説明

有害生物に対する保護活性を付与する繊維、織物及び網製品の含浸用の組成物

本発明は、ヤーン、繊維、織物、ニット製品、不織布、網製品の材料、ホイル、防水シート及び被覆組成物からなる群から選択されるテキスタイル材料又はプラスチック材料に施すための殺虫剤組成物であって、少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤と、少なくとも1種のバインダーと、を含む組成物を含む殺虫剤組成物;少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤と、少なくとも1種のバインダーと、を含む含浸テキスタイル材料又はプラスチック材料;テキスタイル材料又はプラスチック材料の含浸方法;及びテキスタイル材料又はプラスチック材料の被覆方法に関する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヤーン、繊維、織物、ニット製品、不織布、網製品の材料(ネット材料)、ホイル、防水シート及び被覆組成物からなる群から選択されるテキスタイル材料又はプラスチック材料に施すための殺虫剤組成物であって、少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤と、少なくとも1種のバインダーと、を含む組成物を含む殺虫剤組成物;少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤と、少なくとも1種のバインダーと、を含む含浸テキスタイル材料又はプラスチック材料;テキスタイル材料又はプラスチック材料の含浸方法;及びテキスタイル材料又はプラスチック材料の被覆方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感染による病気は、人間及び動物を衰弱させ、又は死なせることにより多くの国、特に熱帯性の国において甚大な損害を引き起こしている。これらの病気(例えば、マラリア、デング熱及び黄熱、リンパ管フィラリア症、そしてリーシュマニア症)の多くは、昆虫によって伝染する。多くの医療法、例えば予防接種又は医療処置が、不可能であるか、又は非常に高価であり、或いは薬剤に対する広がり抵抗に起因して効果的でないことから、労力は、昆虫の感染を防除することに関し集中してきた。このような昆虫を防除するための方法としては、小屋及び家の表面を処理し、エア噴霧し、そしてカーテン及びベッドのネットを含浸することである。後者の含浸処理は、テキスタイル材料を殺虫剤のエマルジョン又は分散液に浸すか、又はかかるエマルジョン又は分散液をネットに噴霧することにより、今日に至るまで最も多く行われている。これにより、繊維の表面において殺虫剤分子の付着を緩くするだけであるので、この処理は、永続洗浄(wash-permanent)ではなく、各洗浄後に繰り返す必要がある。研究では、長時間効果の殺虫剤処理ネット(LLINs)が、従来のネット(各洗浄後に殺虫剤を含浸する必要がある)と比較して、キャリアボーン病の予防において信頼性のあることが証明されてきた。しかしながら、経験では、洗浄されたネットは、多くの場合に再処理されないので、ネットを生物活性を有していない状態にすることが分かっている。従って、WHO、UNICEF及び世界的な救援組織では、予備処理される長時間効果の殺虫剤処理ネットを推奨しており、これは、致命的な熱帯特有の病気、特にマラリア及びデング熱を抑制する有効な手段としての永続洗浄である。これは、利用者にとって快適であるだけでなく、利用者が経済的に有利となるので、繰り返される含浸のコストを減ずる。その上、これは環境的にも有効である。なぜなら、永続処理は、テキスタイルの最終プラントにおいて制御条件下で行われるからである。
【0003】
特許文献1は、殺虫剤及び/又は防虫剤と、被膜形成成分と、を含み、昆虫又はダニの殺傷及び/又は虫除け若しくはダニ除け用の含浸ネット又は織物を開示している。塗膜形成成分は、耐水性フィルム及び必要により耐油性フィルムを形成することによってネット又は織物から殺虫剤成分の洗い流し及び分解を減している。被膜形成成分は、パラフィン油又はワックス誘導体、ケイ素誘導体、シリコンオイル又はワックス誘導体、及びポリフルオロカーボン誘導体から選択される1種以上の成分を含んでいるのが好ましい。殺虫剤及び/又は防虫剤及び被膜形成成分の溶液又は水エマルジョンを連続的に(二段階で)又は一回の処理工程で添加することによってネット又は織物を含浸する。特許文献1の明細書によれば、織物又はネットの含浸方法において有機溶剤に溶解させた殺虫剤及び/又は防虫剤を開示している。
【0004】
特許文献2は、ファブリック(織物)材料に施す殺虫剤組成物を開示しており、組成物は、殺虫剤、共重合体のバインダ(染色後且つファブリック材料の乾燥と同時に、疎水性を殺虫剤に付与する)、及び分散剤(当該組成物を織物に施した後且つその織物の湿潤時に、殺虫剤に付与された疎水性をバインダで減じることにより、殺虫剤の放出を制限することができる)を含む混合物を含む。共重合体のバインダは、a)炭素原子数1〜18の脂肪酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニル及びビニルバーサテート、b)炭素原子数1〜18のアルコールのアクリル酸及びメタクリル酸エステル、例えばブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びメチルアクリレート、並びにc)モノエチレン性及びジエチレン性不飽和炭化水素、例えばスチレン、及び脂肪族ジエン、例えばブタジエンを含む少なくとも1種の基から選択されるモノマーからエマルジョン重合技術によって誘導される共重合体エマルジョンとして調製される。好ましい共重合体バインダは、2種類の相互に異なるモノマーのエマルジョン重合によって調製される。特許文献2の殺虫剤組成物は、浸漬、噴霧、はけ塗り等によって織物又はネットに施される。実施例によれば、殺虫剤組成物をファブリック材料に施す前に、殺虫剤を有機溶剤に溶解させる必要がある。
【0005】
特許文献3は、洗濯のきく衣服とするため、特に、ペルメトリン等の殺虫剤を織物に導入するための織物の製造方法を開示し、殺虫剤の導入は、ポリマーのバインダ及び架橋剤を含浸させるか、或いはポリマーのバインダ及び増粘剤を表面コーティングすることによって行われ、これにより、防虫剤としての有効性及び衣類の良好な洗浄を介しての効果的な殺虫剤として織物におけるペルメトリンの保持力を改良する。実施例によると、好適なバインダは、アクリルバインダ及びポリビニルアセテートバインダであり、これらは更に特定されていない。織物の含浸のための溶液中における殺虫剤の量は、極めて高い(1
2あたり1250mgの殺虫剤)。
【0006】
【特許文献1】WO01/37662
【特許文献2】WO03/034823
【特許文献3】US5631072
【発明の開示】
【0007】
従って、本発明の目的は、テキスタイル材料又はプラスチック材料に施す殺虫剤組成物であって、殺虫剤が洗い流されず且つ昆虫を殺傷するための殺虫剤の生物学的利用能が複数回の洗浄後に保持されている殺虫剤組成物を提供することにある。
【0008】
本発明によると、テキスタイル材料又はプラスチック材料に施すための殺虫剤組成物であって、
前記組成物は、
a)成分Aとしての少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤と、
b1)以下の各成分b1a)〜b1e):
b1a)成分B1Aとしてのn−ブチルアクリレート、
b1b)式I:
【0009】
【化1】

【0010】
[但し、R1、R2及びR3が相互に独立して、直鎖であっても又は分岐していても良いC1〜C10アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、i−アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、C1〜C4アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル;置換されていても良いアリール、好ましくは置換されていても良いC6〜C10アリール、更に好ましくは置換されていても良いC6アリール、例えばフェニル又はトリルから選択され、R1及びR2が更にHであっても良く、そしてR1及びR2がHである場合にはR3がn−ブチルを表さず、
好ましくは、R1がH又はメチルを表し、R2がHを表し、R3がメチル、エチル、又は2−エチルヘキシルを表し、
更に好ましくは、R1がH又はメチルを表し、R2がHを表し、R3がメチル、エチル、又は2−エチルヘキシルを表し、
最も好ましくは、式Iのモノマーが2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート又はエチルアクリレートから選択される。]
で表される成分B1Bとしての少なくとも1種のモノマー、
b1c)式II:
【0011】
【化2】

【0012】
[但し、R4、R5、R6及びR7が相互に独立して、H、直鎖であっても又は分岐していても良いC1〜C10アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、i−アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、好ましくはH、置換されていても良いC1〜C4アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル;置換されていても良いアリール、好ましくは置換されていても良いC6〜C10アリール、更に好ましくは置換されていても良いC6アリール、例えばフェニル又はトリルから選択され、
更に好ましくは、R4がH又はメチルを表し、R5、R6及びR7が相互に独立してそれぞれHを表し、
最も好ましくは、R4がH又はメチルを表し、R5、R6及びR7がHを表す。]
で表される成分B1Cとしての少なくとも1種のモノマー、
b1d)必要により、式III:
【0013】
【化3】

【0014】
[但し、R8及びR9が相互に独立して、H、直鎖であっても又は分岐していても良いC1〜C10アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、i−アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、好ましくはH、置換されていても良いC1〜C4アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル;置換されていても良いアリール、好ましくは置換されていても良いC6〜C10アリール、更に好ましくは置換されていても良いC6アリール、例えばフェニル又はトリルから選択され、
最も好ましくは、R8及びR9がHを表し、
Xが、H、OH、NH2、OR11OH、グリシジル、ヒドロキシプロピル、以下の基、
【0015】
【化4】

【0016】
そして、下式:
【0017】
【化5】

【0018】
{但し、R10が直鎖であっても又は分岐していても良いC1〜C10アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、i−アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、好ましくは置換されていても良いC1〜C4アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル;置換されていても良いアリール、好ましくは置換されていても良いC6〜C10アリール、更に好ましくは置換されていても良いC6アリール、例えばフェニル又はトリルから選択される。}
で表される基からなる群から選択され、
11がC1〜C10アルキレン、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、好ましくはC1〜C4アルキレン、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン;置換されていても良いアリーレン、好ましくは置換されていても良いC6〜C10アリーレン、更に好ましくは置換されていても良いC6アリーレン、例えばフェニレンから選択される。]
で表される成分B1Dとしての少なくとも1種のモノマー、最も好ましくは成分B1DにおいてXがアセトアセチルを表し、
b1e)以下の成分:
b1e1)成分B1E1としての極性モノマー、好ましくは(メタ)アクリル酸ニトリル及び/又はメチル(メタ)アクリレート、及び/又は
b1e2)成分B1E2としての無極性モノマー、好ましくはスチレン及び/又はメチルスチレン
から選択される上述のモノマーと共重合可能な他のモノマー、
のエマルジョン重合により得られる成分B1としての少なくとも1種のアクリルバインダと、及び/又は
b2)以下の各成分b2a)〜b2d):
b2a)成分B2Aとしての少なくとも1種のジイソシアネート又はポリイソシアネート、好ましくは脂肪族、脂環式、アリール脂肪族及び/又は芳香族イソシアネート、更に好ましくはジイソシアネート(必要によりビウレット化及び/又はイソシアヌレート化されていても良い。)、最も好ましくは1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチレンシクロヘキサン(IPDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート−1,6(HMDI)、
b2b)成分B2Bとしての少なくとも1種のジオール、トリオール又はポリオール、好ましくは炭素原子数2〜14、好ましくは4〜10の脂肪族、脂環式及び/又はアリール脂肪族ジオール、更に好ましくは1,6−ヘキサンジオール又はネオペンチルグリコール、
b2c)必要により、成分B2Cとしての他の成分、好ましくはアジピン酸又はカルボニルジイミダゾール(CDI)、及び
b2d)必要により、成分B2Dとしての他の添加剤、
の反応により得られる成分B2としての少なくとも1種のポリウレタンと、を含む混合物を含むことを特徴とする殺虫剤組成物を提供する。
【0019】
本発明の殺虫剤組成物は、固体又は水性調製液の状態であっても良く、水性調製液であるのが好ましい。
【0020】
本発明の殺虫剤組成物により、耐洗浄性を得られると共に、殺虫剤及び/又は防虫剤を制御された割合で連続放出可能となり、これにより殺虫剤及び/又は防虫剤の必要な生物学的利用能を得ることができる。本発明者等により、成分A並びにB1A、B1B及びB1C及び/又はB2を含む殺虫剤組成物により、極めて良好な耐洗浄性が得られると共に、殺虫剤及び/又は防虫剤を制御された割合で連続放出可能となることが見出された。更に、テキスタイル材料又はプラスチック材料に施される本発明の組成物を用いることによって、環境への殺虫剤の排出を低減する。
【0021】
本願発明において、テキスタイル材料又はプラスチック材料は、ヤーン、繊維、織物、ニット製品、不織布、網製品(ネット製品)の材料、ホイル、防水シート及び被覆組成物からなる群から選択される。網製品の材料は、当該分野における公知の方法により、例えば輪編み又はワープニットか、或いは網(網製品)の一部を縫い合わせて所望の網製品を得ることによって製造可能である。
【0022】
本発明の殺虫剤組成物は、殺虫剤組成物の質量に対して、一般に0.001〜95質量%、好ましくは0.1〜45質量%、更に好ましくは0.5〜30質量%の少なくとも1種の殺虫剤及び/又は防虫剤を含んでいる。
【0023】
殺虫剤組成物は、組成物の固体含有量に対して、以下の成分:
a)0.1〜45質量%、好ましくは0.5〜30質量%、更に好ましくは1〜25質量%の少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤(成分A)、
b1)以下のb1a)〜b1e)を含む55〜99質量%、好ましくは70〜98質量%、更に好ましくは75〜90質量%の少なくとも1種の上述のアクリルバインダ(成分B1)、すなわち
b1a)アクリルバインダに対して、10〜90質量%、好ましくは15〜80質量%、更に好ましくは20〜70質量%のn−ブチルアクリレート(成分B1A)、
b1b)アクリルバインダに対して、10〜90質量%、好ましくは12〜85質量%、更に好ましくは15〜65質量%の少なくとも1種の式Iのモノマー(成分B1B)、
b1c)アクリルバインダに対して、1〜5質量%の少なくとも1種の式IIのモノマー(成分B1C)、
b1d)アクリルバインダに対して、0〜5質量%、好ましくは1〜4質量%、更に好ましくは0.2〜3質量%の少なくとも1種の式IIIのモノマー(成分B1D)、
b1e)以下の成分:
b1e1)アクリルバインダに対して、0〜30質量%、好ましくは0〜25質量%、更に好ましくは5〜20質量%の少なくとも1種の極性モノマー、好ましくは(メタ)アクリル酸ニトリル及び/又はメチル(メタ)アクリレート(成分B1E1)、及び/又は
b1e2)アクリルバインダに対して、0〜40質量%、好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%の少なくとも1種の無極性モノマー、好ましくはスチレン及び/又はメチルスチレン(成分B1E2)、
から選択される上述のモノマーと共重合可能な他のモノマー(成分B1E)、及び/又は
b2)以下のb2a)〜b2d)を含む55〜99質量%、好ましくは70〜98質量%、更に好ましくは75〜90質量%の少なくとも1種の上述のポリウレタン(成分B2)、すなわち
b2a)ポリウレタンに対して、55〜99質量%、好ましくは70〜98質量%、更に好ましくは75〜90質量%の少なくとも1種のジイソシアネート又はポリイソシアネート(成分B2A)、好ましくは脂肪族、脂環式、アリール脂肪族及び/又は芳香族イソシアネート、更に好ましくはジイソシアネート(必要によりビウレット化及び/又はイソシアヌレート化されていても良い。)、最も好ましくは1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチレンシクロヘキサン(IPDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート−1,6(HMDI)、
b2b)ポリウレタンに対して、10〜90質量%、好ましくは12〜85質量%、更に好ましくは15〜65質量%の少なくとも1種のジオール、トリオール又はポリオール(成分B2B)、好ましくは炭素原子数2〜14、好ましくは4〜10の脂肪族、脂環式及び/又はアリール脂肪族ジオール、更に好ましくは1,6−ヘキサンジオール又はネオペンチルグリコール、
b2c)ポリウレタンに対して、0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは1〜5質量%の他の成分(成分B2C)、好ましくはアジピン酸又はカルボニルジイミダゾール(CDI)、及び
b2d)ポリウレタンに対して、0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.5〜5質量%の他の添加剤(成分B2D)、
(但し、各成分の合計は、殺虫剤組成物の固体含有量に対して100質量%となる。)
を含んでいるのが好ましい。
【0024】
他の好ましい実施の形態において、殺虫剤組成物は、組成物の固体含有量に対して、以下の成分:
a)20〜70質量%、好ましくは25〜65質量%、更に好ましくは30〜65質量%の少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤(成分A)、
b1)以下のb1a)〜b1e)を含む30〜80質量%、好ましくは35〜75質量%、更に好ましくは35〜70質量%の少なくとも1種の上述のアクリルバインダ(成分B1)、すなわち
b1a)アクリルバインダに対して、10〜90質量%、好ましくは15〜85質量%、更に好ましくは30〜85質量%のn−ブチルアクリレート(成分B1A)、
b1b)アクリルバインダに対して、10〜90質量%、好ましくは12〜85質量%、更に好ましくは15〜65質量%の少なくとも1種の式Iのモノマー(成分B1B)、
b1c)アクリルバインダに対して、1〜5質量%の少なくとも1種の式IIのモノマー(成分B1C)、
b1d)アクリルバインダに対して、0〜5質量%、好ましくは0.1〜4質量%、更に好ましくは0.2〜3質量%の少なくとも1種の式IIIのモノマー(成分B1D)、
b1e)以下の成分:
b1e1)アクリルバインダに対して、0〜30質量%、好ましくは0〜25質量%、更に好ましくは5〜20質量%の少なくとも1種の極性モノマー、好ましくは(メタ)アクリル酸ニトリル及び/又はメチル(メタ)アクリレート(成分B1E1)、及び/又は
b1e2)アクリルバインダに対して、0〜40質量%、好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%の少なくとも1種の無極性モノマー、好ましくはスチレン及び/又はメチルスチレン(成分B1E2)、
から選択される上述のモノマーと共重合可能な他のモノマー(成分B1E)、及び/又は
b2)以下のb2a)〜b2d)を含む30〜80質量%、好ましくは35〜75質量%、更に好ましくは35〜70質量%の少なくとも1種の上述のポリウレタン(成分B2)、すなわち
b2a)ポリウレタンに対して、55〜99質量%、好ましくは70〜98質量%、更に好ましくは75〜90質量%の少なくとも1種のジイソシアネート又はポリイソシアネート(成分B2A)、好ましくは脂肪族、脂環式、アリール脂肪族及び/又は芳香族イソシアネート、更に好ましくはジイソシアネート(必要によりビウレット化及び/又はイソシアヌレート化されていても良い。)、最も好ましくは1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチレンシクロヘキサン(IPDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート−1,6(HMDI)、
b2b)ポリウレタンに対して、10〜90質量%、好ましくは12〜85質量%、更に好ましくは15〜65質量%の少なくとも1種のジオール、トリオール又はポリオール(成分B2B)、好ましくは炭素原子数2〜14、好ましくは4〜10の脂肪族、脂環式及び/又はアリール脂肪族ジオール、更に好ましくは1,6−ヘキサンジオール又はネオペンチルグリコール、
b2c)ポリウレタンに対して、0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは1〜5質量%の他の成分(成分B2C)、好ましくはアジピン酸又はカルボニルジイミダゾール(CDI)、及び
b2d)ポリウレタンに対して、0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.5〜5質量%の他の添加剤(成分B2D)、
(但し、各成分の合計は、殺虫剤組成物の固体含有量に対して100質量%となる。)
を含んでいる。
【0025】
本発明の目的は、種々の害虫、例えばダニ、ゴキブリ、トコジラミ、ダニ類、ノミ、シラミ、ヒル、イエバエ、蚊、シロアリ、アリ、蛾、クモ、バッタ、コオロギ、シミ、更にこれらの幼虫及び卵の形のもの、そして他の飛ぶ昆虫及び這って動く昆虫、また軟体動物類、例えばカタツムリ及びナメクジ、そして齧歯類、例えばラット及びネズミ並びに菌類、例えば水虫を引き起こす菌類を防除(制御)することにある。
【0026】
テキスタイル材料又はプラスチック材料は、種々の天然及び合成繊維から作製されていても良く、更に、織布又は不織布の形のテキスタイルブレンドとして、ニット製品、ヤーン又は繊維として作製されていても良い。天然繊維は、例えば綿、ウール、絹、黄麻又はハンプ(hamp)である。合成繊維は、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリアクリルニトリル、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン若しくはポリエチレン、テフロン(登録商標)、そして繊維の混合物、例えば合成繊維と天然繊維の混合物である。ポリアミド、ポリオレフィン及びポリエステルが好ましい。ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0027】
本発明によると、テキスタイル材料又はプラスチック材料なる用語は、非テキスタイル物質、例えば被膜組成物、革、革の合成適合品、フロック加工の織物、敷布、ホイル及び充填材料についても開示している。
【0028】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートから作製されたネット製品が最も好ましい。
【0029】
テキスタイル材料又はプラスチック材料は、カバーの形、例えば寝具、マットレス、ピロー、キルト、クッション、カーテン、壁紙、敷物材料並びに窓、食器棚及びドアの網(網戸)であっても良い。他の一般的なテキスタイル材料又はプラスチック材料は、ジオテキスタイル、テント、靴の中底、衣類、例えばソックス、ズボン、シャツであり、すなわち好ましくは衣類、例えば、虫刺され等に晒される体面積に用いられるユニフォーム並びに馬用の毛布である。ネット製品は、例えば蚊帳等の虫除けネットとして、或いは農業及びブドウ栽培でのカバーに又はネットとして用いられる。他の用途は、人間及び動物を空気感染の低空飛行昆虫から保護するための可動フェンスである。織物又は網は、パッケージ、包装用の布袋、食料、種子及び飼料用の容器に使用されるので、材料を昆虫の攻撃から保護することができるが、殺虫剤処理された網又は織物との直接的接触を回避することができる。
【0030】
処理されたホイル又は防水シートは、難民キャンプ等の永続的に又は一時的に居住する全ての人間の家屋に対して使用され得る。
【0031】
更に、処理された網製品を、土壁を有する住居に用いることも可能である。処理された網製品を、新鮮な、湿った土壁内に乾燥前に押し込む。泥は、網の細孔にしみ出るだろうが、網のヤーンは、被覆されないであろう。この壁の覆いを乾燥させた場合、処理された網の殺虫剤及び/又は防虫剤がゆっくり放出され、そして壁に接触する害虫を撃退又は殺傷可能となる。
【0032】
本発明の殺虫剤組成物は、蚊帳で用いられるようなポリエステル製の網製品に施すのが特に好適である。
【0033】
本発明の殺虫剤組成物を、テキスタイル材料又はプラスチック材料に、これらが所望の製品に形成される前に施しても良い、すなわち、依然としてヤーン又はシートの形の間に、又は所望の製品の形成後に施しても良い。
【0034】
[殺虫剤及び/又は防虫剤](成分A)
本発明によれば、殺虫剤及び/又は防虫剤なる用語は、殺虫剤及び/又は防虫剤の他に、殺鼠剤、殺菌剤、ムロシサイド、殺幼虫剤及び殺卵剤についても開示している。
【0035】
殺虫剤及び/又は防虫剤は、昆虫を早期に麻痺又は殺傷する作用を有し、そして哺乳類の毒性度の極めて低い殺虫剤及び/又は防虫剤であるのが好ましい。好適な殺虫剤及び/又は防虫剤は、当業者等により知られている。好適な殺虫剤及び防虫剤並びに好適な投薬量は、例えば、世界健康機関のウエブサイト(http://www.who.int/whopes/recommendations/en/)、特にDr. J. A. Najera & Dr. M. Zaimによって"Malaria Vector Control"、"Insecticides for Indoor Residual Spraying"に記載されている。
【0036】
好ましい殺虫剤及び/又は防虫剤は、以下の通りである:
ピレスロイド化合物、例えば
エトフェンプロックス(Etofenprox):2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエーテル、
クロロフェナピル(Chlorfenapyr):4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−1−エトキシメチル−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−カルボニトリル、
フェンバレレート(Fenvalerate):(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(RS)−2−(4−クロロフェニル)−3メチルブチレート、
エスフェンバレレート(Esfenvalerate):(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(S)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート、
フェンプロパトリン(Fenpropathrin):(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、
シペルメトリン(Cypermethrin):(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1RS)−cis,trans−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
α−シペルメトリン:(S)−α−(1R)と(R)−α−(1S)のジアステレオマーを含むラセミ化合物、
ペルメトリン(Permethrin):3−フェノキシベンジル(1RS)−cis,trans−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
シハロトリン(Cyhalothrin):(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(Z)−(1RS)−cis−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
λ−シハロトリン、
デルタメトリン(Deltamethrin):(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R)−cis−3−(2,2−ジブロモビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
シクロプロトリン(Cycloprothrin):(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(RS)−2,2−ジクロロ−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシレート、
フルバリネート(Fluvalinate):α−シアノ−3−フェノキシベンジルN−(2−クロロ−α、α、α、α−トリフルオロ−p−トリル)−D−バリネート、
ビフェントリン(Bifenthrin):(2−メチルビフェニル−3−イルメチル)0(Z)−(1RS)−cis−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2−メチル−2−(4−ブロモジフルオロメトキシフェニル)プロピル(3−フェノキシベンジル)エーテル、
トラロメトリン(Tralomethrin):(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R−cis)3((1’RS)(1’、2’、2’、2’−テトラブロモエチル))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
【0037】
シラフルオフェン(Silafluofen):4−エトキシフェニル(3−(4−フルオロ−3−フェノキシフェニル)プロピル)ジメチルシラン、
D−フェノトリン(D-fenothrin):3−フェノキシベンジル(1R)−cis,trans−クリサンセメート、
シフェノトリン(Cyphenothrin):(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R−cis,trans)−クリサンセメート、
D−レスメトリン(D-resmethrin):5−ベンジル−3−フリルメチル(1R−cis,trans)クリサンセメート、
アクリナトリン(Acrinathrin):(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R−cis(Z))−(2,2−ジメチル−3−(オキソ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルオキシ)プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、
シフルトリン(Cyfluthrin):(RS)−α−シアノ−4−フルオロ−3−フェノキシベンジル3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
テフルトリン(Tefluthrin):2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル(1RS−cis(Z))−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
トランスフルトリン(Transfluthrin):2,3,5,6−テトラフルオロベンジル(1R−trans)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
テトラメトリン(Tetramethrin):3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル(1RS)−cis、trans−クリサンセメート、
アレトリン(Allethrin):(RS)−3−アリル−2−メチル−4−オキソシクロペンタ−2−エニル(1RS)−cis、trans−クリサンセメート、
プラレトリン(Prallethrin):(S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル(1RS)−cis、trans−クリサンセメート、
エンペントリン(Empenthrin):(RS)−1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル(1R)−cis、trans−クリサンセメート、
イミプロトリン(Imiprothrin):2,5−ジオキソ−3−(プロパ−2−イニル)イミダゾリジン−1−イルメチル(1R)−cis、trans−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、
D−フラメトリン(D-flamethrin):5−(2−プロピニル)フルフリル(1R)−cis、trans−クリサンセメート、及び5−(2−プロピニル)フルフリル2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、
ピリプロキシフェン(Pyriproxyfen):4−フェノキシフェニル(RS)−2−(2−ピリジルオキシ)プロピルエーテル、
ピレスルム(Pyrethrum)、
d−d、trans−シフェノトリン(d-d, trans-Cyphenothrin):(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1RS,3RS;1RS,3SR)−2,2−ジメチル−3−(2−メチルプロパ−1−エニル)シクロプロパンカルボキシレート、
DDT;
カルバメート化合物、例えば
アラニカルブ(Alanycarb):S−メチル−N[[N−メチル−N−[N−ベンジル−N(2−エトキシカルボニルエチル)アミノチオ]カルバモイル]チオアセトイミデート、
ベンジオカルブ(Bendiocarb):2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−4−イル−メチルカルバメート、
カルバリル(1−ナフチル)N−メチルカルバメート、
【0038】
イソプロカルブ(Isoprocarb):2−(1−メチルエチル)フェニルメチルカルバメート、
カルボスルファン(Carbosulfan):2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾフラニル[(ジブチルアミノ)チオ]メチルカルバメート、
フェノキシカルブ(Fenoxycarb):エチル[2−(4−フェノキシフェノキシ)エチル]カルバメート、
インドキサカルブ(Indoxacarb):メチル−7−クロロ−2,2,3,4,5−テトラヒドロ−2−[メトキシカルボニル(4−トリフルオロメトキシフェニル)]、
プロポキスル(Propoxur):2−イソプロピルオキシフェノールメチルカルバメート、
ピリミカルブ(Pirimicarb):2−ジメチルアミノ−5,6−ジメチル−4−ピリミジニル−ジメチルカルバメート、
チオジオカルブ(Thiodiocarb):ジメチルN,N’(チオビス(メチルイミノ)カルボノイルオキシ)ビスエタンイミジオチオエート、
メソミル(Methomyl):S−メチルN−((メチルカルバモイル)オキシ)チオアセトアミデート、
エチオフェンカルブ(Ethiofencarb):2−((エチルチオ)メチル)フェニルメチルカルバメート、
フェノチオカルブ(Fenothiocarb):S−(4−フェノキシブチル)−N,N−ジメチルチオカルバメート、
カルタップ(Cartap):S,S’−(2,5−ジメチルアミノ)トリメチレン)ビス(チオカルバメート)ヒドロクロリド、
フェノブカルブ(Fenobucarb):2−sec−ブチルフェニルメチルカルバメート、
XMC:3,5−ジメチルフェニル−メチルカルバメート、
キシリルカルブ(Xylylcarb):3,4−ジメチルフェニルメチルカルバメート;
有機リン化合物、例えば
トリクロルフォン(Trichlorfon):リン酸(2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル)ジメチルエスエル、
フェニトロチオン(Fenitrothion):O,O−ジメチルO−(4−ニトロ−m−トリル)ホスホロチオエート、
ジアジノン(Diazinon):O,O−ジエチル−O−(2−イソプロピル−6−メチル−4−ピリミジニル)ホスホロチオエート、
ピリダフェンチオン(Pyridaphenthion):O−(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−1−フェニルピラジジン−3−イル)O,O−ジエチルホスホロチオエート、
ピリミホス−エチル(Pirimiphos-Etyl):O,O−ジエチルO−(2−(ジエチルアミノ)6−メチルピリミジニル)ホスホロチオエート、
ピリミホス−メチル(Pirimiphos-Methyl):O−[2−(ジエチルアミノ)−6−メチル−4−ピリミジニル]O,O−ジメチルホスホロチオエート、
エトリムホス(Etrimphos):O−6−エトキシ−2−エチル−ピリミジン−4−イル−O,O−ジメチル−ホスホロチオエート、
フェンチオン(Fenthion):O,O−ジメチル−O−[3−メチル−4−(メチルチオ)フェニル]ホスホロチオエート、
ホキシム(Phoxim):2−(ジエトキシホスフィノトイルオキシイミノ)−2−フェニルアセトニトリル、
クロルピリフォス(Chlorpyrifos):O,O−ジエチル−O−(3,5,6−トリクロロ−2−ピリニル)ホスホロチオエート、
クロルピリホスメチル(Chlorpyriphosmethyl):O,O−ジメチルO−(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジニル)ホスホロチオエート、
シアノホス(Cyanophos):O,O−ジメチルO−(4−シアノフェニル)ホスホロチオエート、
【0039】
ピラクロフォス(Pyraclofos):(R,S)[4−クロロフェニル)−ピラゾール−4−イル]−O−エチル−S−n−プロピルホスホロチオエート、
アセフェート(Acephate):O,S−ジメチルアセチルホスホロアミドチオエート、
アザメチホス(Azamethiphos):S−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−オキソ−1,3−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イルメチルホスホロチオエート、
マラチオン(Malathion):ジエチルメルカプトスクシネートのO,O−ジメチルホスホロジチオエートエステル、
テメホス(Temephos):(O,O’(チオジ−4−1−フェニレン))O,O,O,O−テトラメチルホスホロジチオエート、
ジメトエート(Dimethoate):((O,O−ジメチルS−(n−メチルカルバモイルエチル)ホスホロジチオエート、
フォルモチオン(Formothion):S[2−ホルミルメチルアミノ]−2−オキソエチル−O,O−ジメチルホスホロジチオエート、
フェントエート(Phenthoate):O,O−ジメチルS−(α−エトキシカルボニルベンザール)ホスホロジチオエート、
ロドフェンホス(Lodofenphos):O−(2,5−ジクロロ−4−ヨードフェニル)−O,O−ジメチルホスホロチオエート;
成虫の蚊に対する殺菌効果を有する殺虫剤、例えば
1−(α−(クロロ−α−シクロプロピルベンジリデンアミノ−オキシ)−p−トリル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)尿素、
ジフルベンズロン(Diflubenzuron):N−(((3,5−ジクロロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニルアミノ)カルボニル)2,6−ジフルオロベンズアミド、
トリフルムロン(Triflumuron):2−クロロ−N−(((4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−アミノ−)カルボニル)ベンズアミド、又はトリアジン、例えばN−シクロプロピル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン;及び
ラムダシハオトリン(Lambda-cyhalothrine):(Z)−(1R,3R),R−エステルと(Z)−(1S,3S),S−エステルとの1:1混合物としてのα−シアノ−3−フェノキシベンジル−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート;
から選択され、
【0040】
防虫剤は、
N,N−ジメチル−m−トルアミド(DEET)、
N,N−ジエチルフェニルアセトアミド(DEPA)、
1−(3−シクロヘキサン−1−イルカルボニル)−2−メチルピペリン、
(2−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)酢酸ラクトン、
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、
インダロン、
メチルネオデカンアミド(MNDA)、
昆虫の防除に使用されないピレスロイド、例えば{(+/−)−3−アリル−2−メチル−4−オキソシクロペンタ−2−(+)−エニル−(+)−trans−クリサンセメート}(エスビオトリン(Esbiothrin))、
植物の抽出物から誘導されるか、又は植物の抽出物と同一の防虫剤、例えばリモネン、オイゲノール、(+)−オイカマロル(1)(Eucamalol(1))、(−)−1−エピオイカマロール又は植物から得られる粗な植物抽出物、例えばユーカリプツスマクラタ(Eucalyptus maculata)、ビテックスロツンジフォリア(Vitex rotundifolia)、シンボポガンマルチニ(Cymbopogan martinii)、シンボポガンシトラツス(Cymbopogan citratus)(レモングラス)、シモポガンナルトヅス(Cymopogan nartdus)(シトロネラソウ)、IR3535(エチルブチルアセチルアミノプロピオネート)、イカリジン(icaridin)(1−ピペリジンカルボン酸2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピルエステル);
好適なムロシサイド(mulloscicide)としてのニクロサミド(niclosamide);
第1世代の抗凝固性殺鼠剤としてのヴァルファリン(warfarin)、クロルファシノン(chlorphacinone)、コウマテトラリル(coumatetralyl)、及び第2世代の抗凝固性殺鼠剤としてのフロコウマフェン(flocoumafen)、ブロジファコウム(brodifacoum)、ジフェナコウム(difenacoum)、ブロマジアロン(bromadialone)、ジフェチアロン(difethialone)及びブロメタリン(bromethalin)から選択される第1世代の抗凝固性殺鼠剤と第2世代の抗凝固性殺鼠剤の殺鼠剤;
【0041】
水虫の場合に用いられる抗真菌薬であり、以下の群から選択される殺菌剤:
クロトリマゾール(clotrimazole):1−(2−クロロトリチル)イミダゾール、
ミコナゾール(miconazole):1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−[(2,4−ジクロロフェニル)メトキシ]エトキシ]−1H−イミダゾール、
エコナゾール(econazole):4−[2−[(4−クロロフェニル)メトキシ]−2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−4H−イミダゾール、
チオコナゾール(tioconazole):1−[2−[(2−クロロ−3−チエニル)メトキシ]−2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−1H−イミダゾール、
ウンデシレン酸、
テルビナフィン(terbinafine)ヒドロクロリド:N,6,6−トリメチル−N−(ナフタレン−4−イルメチル)ヘプタ−2−エン−4−イン−1−アミンヒドロクロリド(ラミシルトピカル(lamisil topical))、及び
トルナフテート(tolnaftate):N−メチル−N−(m−トリル)−1−ナフタレン−3−イルオキシチオホルムアミド;
以下の他の殺菌剤、
アゾール、例えばビテルタノール(Bitertanol)、ブロモコナゾール(Bromoconazol)、シプロコナゾール(Cyproconazol)、ジフェノコナゾール(Difenoconazole)、ジニトロコナゾール(Dinitroconazol)、エポキシコナゾール(Epoxiconazol)、フェンブコナゾール(Fenbuconazol)、フルキコナゾール(Fluquiconazol)、フルシラゾール(Flusilazol)、フルトリアフォール(Flutriafol)、ヘキサコナゾール(Hexaconazol)、イマザリル(Imazalil)、イプコナゾール(Ipconazol)、メトコナゾール(Metconazol)、マイクロブタニル(Myclobutanil)、ペンコナゾール(Penconazol)、プロピコナゾール(Propiconazol)、プロクロラゾ(Prochloraz)、プロチオコナゾール(Prothioconazol)、シメコナゾール(Simeconazol)、テブコナゾール(Tebuconazol)、テトラコナゾール(Tetraconazol)、トリアジメフォン(Triadimefon)、トリアジメノール(Triadimenol)、トリフルミゾール(Triflumizol)、トリチコナゾール(Triticonazol)、
ストロビルリン(Strobilurine)、例えばアゾキシストロビン(Azoxystrobin)、ジモキシストロビン(Dimoxystrobin)、フルオキサストロビン(Fluoxastrobin)、クレソキシム−メチル(Kresoxim-methyl)、メトミノストロビン(Metominostrobin)、オリサストロビン(Orysastrobin)、ピコキシストロビン(Picoxystrobin)、ピラクロストロビン(Pyraclostrobin)、トリフロキシストロビン(Trifloxystrobin)、
アシルアラニン(Acylalanine)、例えばベナラキシル(Benalaxyl)、メタラキシル(Metalaxyl)、メフェノキサム(Mefenoxam)、オフラセ(Ofurace)、オキサジキシル(Oxadixyl)、
アミン誘導体、例えばアルジモルフ(Aldimorph)、ドジン(Dodine)、ドデモルフ(Dodemorph)、フェンプロピモルフ(Fenpropimorph)、フェンプロピジン(Fenpropidin)、グアザチン(Guazatine)、イミノクタジン(Iminoctadine)、スピロキサミン(Spiroxamin)、トリデモルフ(Tridemorph)、
アニリノピリミジン(Anilinopyrimidine)、例えばピリメタニル(Pyrimethanil)、メパニピリム(Mepanipyrim)、シプロジニル(Cyprodinil)、
ジカルボキシイミド、例えばイプロジオン(Iprodion)、マイクロゾリン(Myclozolin)、プロシミドン(Procymidon)、ビンクロゾリン(Vinclozolin)、
桂皮酸アミド及び類似物、例えばジメトモルフ(Dimethomorph)、フルメトバー(Flumetover)又はフルモルフ(Flumorph)、
【0042】
抗生物剤、例えばシクロヘキシミド(Cycloheximid)、グリセオフルビン(Griseofulvin)、カスガマイシン(Kasugamycin)、ナタマイシン(Natamycin)、ポリオキイン(Polyoxin)又はストレプトマイシン(Streptomycin)、
ジチオカルバメート、例えばフェルバム(Ferbam)、ナバム(Nabam)、マネブ(Maneb)、マンコゼブ(Mancozeb)、メタム(Metam)、メチラム(Metiram)、プロピネブ(Propineb)、ポリカルバマト(Polycarbamat)、チラム(Thiram)、ジラム(Ziram)、ジネブ(Zineb)、
複素環式化合物、例えばアニラジン(Anilazin)、ベノマイル(Benomyl)、ボスカリド(Boscalid)、カルベンダジム(Carbendazim)、カルボキン(Carboxin)、オキシカルボキシン(Oxycarboxin)、シアゾファミド(Cyazofamid)、ダゾメト(Dazomet)、ジチアノン(Dithianon)、ファモキサドン(Famoxadon)、フェナミドン(Fenamidon)、フェナリモル(Fenarimol)、フベリダゾール(Fuberidazol)、フルトラニル(Flutolanil)、フラメトピル(Furametpyr)、イソプロチオラン(Isoprothiolan)、メプロニル(Mepronil)、ヌアリモル(Nuarimol)、ピコベンズアミド(Picobenzamid)、プロベンアゾール(Probenazol)、プロキナジド(Proquinazid)、ピリフェノックス(Pyrifenox)、ピロキロン(Pyroquilon)、キノキシフェン(Quinoxyfen)、シルチオファム(Silthiofam)、チアベンダゾール(Thiabendazol)、チフルザミド(Thifluzamid)、チオファナトメチル(Thiophanat methyl)、チアジニル(Tiadinil)、トリシクラゾール(Tricyclazol)、トリフォリン(Triforine)、Mアノルガニカ(M Anorganika)、
ニトロフェニル誘導体、例えばビナパクリル(Binapacryl)、ジノキャプ(Dinocap)、ジノブトン(Dinobuton)、ニトロフタル−イソプロピル、
フェニルピロール、例えばフェンピクロニル(Fenpiclonil)、フルジオキソニル(Fludioxonil)、
スルホン酸誘導体、例えばキャプタフォル(Captafol)、キャプタン(Captan)、ジクロフルアニド(Dichlofluanid)、フォルペト(Folpet)、トリルフルアニド(Tolyfluanid)、
他の殺菌剤、例えばアシベンゾラル(Acibenzolar)−S−メチル、ベンチアバリカルブ(Benthiavalicarb)、キャルプロパミド(Carpropamid)、クロロタロニル(Chlorothalonil)、シフルフェナミド(Cyflufenamid)、シモキサニル(Cymoxanil)、ダゾメト(Dazomet)、ジクロメジン(Diclomezin)、ジクロシメト(Diclocymet)、ジクロフルアニド(Diclofluanid)、ジエトフェンカルブ(Diethofencarb)、エジフェンホス(Edifenphos)、エタボキサム(Ethaboxam)、フェンヘキサミド(Fenhexamid)、フェン錫−アセタト(Fentin-Acetat)、フェノキサニル(Fenoxanil)、フェリムゾン(Ferimzone)、フルアジナム(Fluazinam)、フォセチル(Fosetyl)、フォセチル−アルミニウム、亜リン酸、イプロバリカルブ(Iprovalicarb)、ヘキサクロルベンゾール(Hexachlorbenzol)、メトラフェノン(Metrafenon)、ペンシキュロン(Pencycuron)、プロパモカルブ(Propamocarb)、フタリド(Phthalid)、トロクロフォス−メチル(Toloclofos-methyl)、キントゼン(Quintozene)、ゾキサミド(Zoxamid)から選択される。
【0043】
本発明の殺虫剤組成物における好ましい殺虫剤及び/又は防虫剤は、単一の殺虫剤及び/又は防虫剤であっても、或いは織物材料又は網製品に施すのに好適な殺虫剤及び/又は防虫剤からなる群から選択される殺虫剤及び防虫剤の混合物であっても良い。殺虫剤及び/又は防虫剤の好ましい混合物は、同様の放散/移行性を有する殺虫剤及び/又は防虫剤の混合物である。かかる群の殺虫剤及び/又は防虫剤としては、合成ピレスロイド、例えばα−シペルメトリン、シフルトリン、デルタメトリン、エトフェンプロックス及びペルメトリンとして当該分野で知られているピレスロイド、他のピロスレイド(pyrothreid)、例えばビフェンスリンとして当該分野で知られているもの、及び非ピレスロイド、例えばカルボスルファンとして当該分野で知られているものである。
【0044】
上述の殺虫剤及び/又は防虫剤が分子中に1個以上のキラル中心を有している場合、ラセミ化合物、純粋なエナンチオマー又はジアステレオマーとして、或いはキラル性又はジアステレオマー性の高い混合物で施されても良い。
【0045】
本発明で記載されている殺虫剤及び/又は防虫剤は、水を基礎とする殺虫剤及び/又は防虫剤の濃縮物或いは溶剤、好ましくは有機溶剤を基礎とする殺虫剤及び/又は防虫剤の濃縮物或いは水と溶剤、好ましくは有機溶剤の混合物を基礎とする濃縮物のいずれかとして殺虫剤組成物に含まれていても良い。水を基礎とする濃縮物は、必要により好適な分散剤を含んでいる懸濁液又は分散液の形で、或いは乳化剤、溶剤及び適宜、共溶剤(co-solvent)を含むエマルジョンの形であっても良い。ナノパティキュラー(nanoparticular)な殺虫剤調製液は、殺虫剤の固体溶液を有機極性溶剤、例えばポリビニルピロリドン(PVP)に溶解させることによって得ることができる。水を基礎又は溶剤基礎濃縮物における殺虫剤及び/又は防虫剤の濃度は、一般に0.5〜60質量%の範囲であり、1〜40質量%の範囲が好ましく、更に好ましくは3〜20質量%の範囲である。
【0046】
本発明の殺虫剤組成物の一部を形成する殺虫剤及び/又は防虫剤は、異なる用途に用いるのに好適な他の群から選択されても良い。
【0047】
水基礎懸濁液又は分散液中の殺虫剤及び/又は防虫剤の粒径は、50nm〜20μmの範囲、好ましくは50nm〜8μmの範囲、更に好ましくは50nm〜4μmの範囲、もっとも好ましくは50nm〜500nmの範囲である。
【0048】
[アクリルバインダ](成分B1)
アクリルバインダは、以下の成分:
b1a)10〜90質量%、好ましくは15〜80質量%、更に好ましくは20〜70質量%の成分B1A、
b1b)10〜90質量%、好ましくは12〜85質量%、更に好ましくは15〜65質量%の成分B1B、
b1c)1〜5質量%の成分B1C、
b1d)0〜5質量%、好ましくは1〜4質量%、更に好ましくは0.2〜3質量%の成分B1D、
b1e)以下の成分:
b1e1)0〜30質量%、好ましくは0〜25質量%、更に好ましくは5〜20質量%の成分B1E1、及び/又は
b1e2)0〜40質量%、好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%の成分B1E2、
から選択される上述のモノマーと共重合可能な他のモノマー、
(但し、成分B1A、B1B、B1C及び必要によりB1D、B1Eの合計が100質量%となる。)
のエマルジョン重合により得るのが好ましい。
【0049】
他の好ましい実施の形態において、アクリルバインダは、以下の成分:
b1)以下のb1a)〜b1e)を含む30〜80質量%、好ましくは35〜75質量%、更に好ましくは35〜70質量%の少なくとも1種の上述のアクリルバインダ(成分B1)、すなわち
b1a)アクリルバインダに対して、10〜90質量%、好ましくは15〜85質量%、更に好ましくは30〜85質量%のn−ブチルアクリレート(成分B1A)、
b1b)アクリルバインダに対して、10〜90質量%、好ましくは12〜85質量%、更に好ましくは15〜65質量%の少なくとも1種の式Iのモノマー(成分B1B)、
b1c)アクリルバインダに対して、1〜5質量%の少なくとも1種の式IIのモノマー(成分B1C)、
b1d)アクリルバインダに対して、0〜5質量%、好ましくは0.1〜4質量%、更に好ましくは0.2〜3質量%の少なくとも1種の式IIIのモノマー(成分B1D)、
b1e)以下の成分:
b1e1)アクリルバインダに対して、0〜30質量%、好ましくは0〜25質量%、更に好ましくは5〜20質量%の少なくとも1種の極性モノマー、好ましくは(メタ)アクリル酸ニトリル及び/又はメチル(メタ)アクリレート(成分B1E1)、及び/又は
b1e2)アクリルバインダに対して、0〜40質量%、好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%の少なくとも1種の無極性モノマー、好ましくはスチレン及び/又はメチルスチレン(成分B1E2)、
から選択される上述のモノマーと共重合可能な他のモノマー(成分B1E)、
(但し、成分B1A、B1B、B1C及び必要によりB1D、B1Eの合計が100質量%となる。)
のエマルジョン重合により得られる。
【0050】
アクリルバインダは、当業者等に公知の他の添加剤、例えば被膜形成剤及び可塑剤、例えばアジペート、フタレート、ブチルジグリコール、ジカルボン酸とアルコール(直鎖であっても又は分岐していても良い)の反応により調製可能なジエステルの混合物を含んでいても良い。好適なジカルボン酸及びアルコールは、当業者等に知られている。
【0051】
本願の請求項に記載されている特定のバインダを含む殺虫剤組成物は、耐洗浄性であると共に、制御された割合で殺虫剤を連続放出可能であり、これによって、殺虫剤の必要な生物学的利用能を得ることができる。例えば、組成物を織物に施した後、その織物の湿潤時に、バインダにより殺虫剤に付与される疎水性を低減させず、これにより殺虫剤の放出を制限可能にする分散剤を添加する必要はない。従って、本発明の殺虫剤組成物は、アクリルバインダの他に、分散剤を含んでいないのが好ましい。
【0052】
最も好ましくは、アクリルバインダは、以下の成分:
b1a)20〜70質量%の、成分B1Aとしてのn−ブチルアクリレート、
b1b)0〜65質量%の、式I:
【0053】
【化6】

【0054】
[但し、R1がH又はメチルを表し、R2がHを表し、R3がメチル、エチル、又は2−エチルヘキシルを表す。]
で表される成分B1Bとしての少なくとも1種のモノマー、更に好ましくは2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート又はエチルアクリレート、
b1c)1〜5質量%の、式II:
【0055】
【化7】

【0056】
[但し、R4がH又はメチルを表し、R5、R6及びR7がそれぞれHを表す。]
で表される成分B1Cとしての少なくとも1種のモノマー、
b1d)1〜10質量%、好ましくは1〜7質量%、更に好ましくは2〜5質量%の、式III:
【0057】
【化8】

【0058】
[但し、R8及びR9がHを表し、
XがH、OH、NH2、OR11OH、グリシジル又は以下の
【0059】
【化9】

【0060】
{但し、R10が直鎖であっても又は分岐していても良いC1〜C10アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、i−アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、好ましくは直鎖であっても又は分岐していてもC1〜C4アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル又はtert−ブチル;置換されていても良いアリール、好ましくは置換されていても良いC6〜C10アリール、更に好ましくは置換されていても良いC6アリール、例えばフェニル又はトリルから選択される。}
で表される基を表し、
11がC1〜C10アルキレン、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、好ましくはC1〜C4アルキレン、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン;置換されていても良いアリーレン、好ましくは置換されていても良いC6〜C10アリーレン、更に好ましくは置換されていても良いC6アリーレン、例えばフェニレンから選択される。]
で表される成分B1Dとしての少なくとも1種のモノマー、最も好ましくは成分B1DにおいてXがアセトアセチルを表し、
b1e)以下の成分:
b1e1)0〜30質量%、好ましくは0〜25質量%、更に好ましくは5〜20質量%の成分B1E1、好ましくは(メタ)アクリル酸ニトリル及び/又はメチル(メタ)アクリレート、及び/又は
b1e2)0〜40質量%、好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%の成分B1E2、好ましくはスチレン及び/又はメチルスチレン、
から選択される上述のモノマーと共重合可能な他のモノマー、
(但し、成分B1A、B1B、B1C及び必要によりB1D、B1Eの合計が100質量%となる。)
のエマルジョン重合により得る。
【0061】
他の最も好ましい実施の形態において、成分B1Aとしてのn−ブチルアクリレートの量は30〜85質量%であり、他の成分B1B、B1C及び必要に用いられる成分B1D及びB1Eは上述のように選択され、且つ成分B1A、B1B、B1C及び必要によりB1D、B1Eの合計が100質量%となる。
【0062】
本発明のアクリルバインダは、上述のモノマーのエマルジョン重合によって得られる。好適な処理条件は、当業者等により知られている。
【0063】
モノマーを、通常の条件の温度及び圧力下、すなわち、使用される開始剤に応じて、大気圧〜10バールの範囲及び20〜100℃、好ましくは50〜85℃の温度で重合する。重合は、不活性雰囲気下の撹拌反応容器中で行われるのが一般的である。
【0064】
共重合は水にて行われるのが一般的である。しかしながら、重合処理前、重合処理中又は重合処理後に、水性層に対して、80質量%以下の低級アルコール、例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノール又は低級ケトン、例えばアセトンを添加することも可能である。共重合は、他の溶剤を添加せずに水において行われるのが好ましい。
【0065】
重合処理は、連続的に又はバッチ式で行われても良く、バッチ重合による通常の方法を用いることができ、例えば全ての重合成分を一度に混合するか、又は1以上の計量導入容器から乳化されたモノマー及び触媒を一部のモノマーを含むバッチに供給する。重合混合物にシードされるポリマーを添加して、得られたエマルジョンポリマーの粒径を調節することができる。
【0066】
エマルジョン重合は、重合条件下でラジカルを形成する少なくとも1種の開始剤の存在下で行われるのが好ましい。好適な開始剤は、例えばすべでの通常のペルオキシ化合物又はアゾ化合物である。
【0067】
好適な過酸化物は、例えば、アルカリ金属ペルオキソジスルフェート、例えばナトリウムペルオキソジスルフェート、アンモニウムペルオキソジスルフェート;過酸化水素;有機過酸化物、例えばジアセチルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジアミルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾールペルオキシド、ビス(o−トロイル)ペルオキシド、スクシニルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、tert−ブチルペルマレインエート、tert−ブチルペルビバレート、tert−ブチルブチルペルオクトエート、tert−ブチルペルネオデカノエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチル−ペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、及びジイソプロピルペルオキソジカルバメートである。他の好適な開始剤は、アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−アミドプロパン)ジヒドロクロリド、及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)である。
【0068】
開始剤は、一般的な量、例えばモノマーの質量の合計に対して、0.05〜5質量%、好ましくは0.05〜2質量%の量で添加される。
【0069】
重合を低温で行う場合、従来のレドックス系触媒を用いることができる。例えば、上述したような種類の過酸化物触媒に加えて、モノマーの合計に対して、0.05〜2質量%の還元剤、例えばヒドラジン、可溶性の酸化可能なスルホキシ化合物、例えばヒドロスルフィットのアルカリ金属塩、スルホキシレート、チオスルフェート、スルフィット、及びビスルフィット(亜硫酸水素塩)(微量の重金属、例えばCe、Mo、Fe及びCuの塩を一般的な手法で添加することにより活性化されていても良い。)を使用可能である。好ましいレドックス系触媒は、アセトンジスルフィット及び有機過酸化物のレドックス系触媒、例えばtert−C4Hg−OOH;Na225及び有機過酸化物、例えばtert−C4Hg−OOH;又はHO−CH2−SO2H及び有機過酸化物、例えばtert−C4Hg−OOHである。アスコルビン酸及び過酸化水素等のレドックス系触媒が更に好ましい。
【0070】
開始剤は重合の開始時に完全に添加されても良いが、エマルジョン重合法の途中に連続法で又は段階法で添加することも可能である。開始剤を添加する手法は、当該分野で公知である。
【0071】
重合処理は、少なくとも95質量%のモノマーが転化されるまで行われる。エマルジョン重合の最後に残留モノマーを除去するために、開始剤を化学脱臭に添加しても良い。
【0072】
エマルジョン重合は、当該分野で公知の乳化剤又は乳化剤の混合物を添加することによって行われる。一般に用いられる乳化剤は、イオン性(アニオン性又はカチオン性)及び/又は非イオン性の乳化剤、例えばポリグリコールエーテル、スルホン化パラフィン系炭化水素、高級アルキルスルフェート、例えばオレイルアミン、ラウリルスルフェート、脂肪酸のアルカリ金属塩、例えばステアリン酸ナトリウム及びオレイン酸ナトリウム、脂肪アルコールの硫黄を含む酸のエステル、エトキシル化C8〜C12アルキルフェノール(通常、5〜30個のエチレンオキシド基を有する)、及びそのスルホン化生成物、更にスルホコハク酸エステルである。乳化剤又は乳化剤の混合物は、通常、モノマーの質量の合計に対して、0.05〜7質量%、好ましくは0.5〜4質量%の量で用いられる。
【0073】
共溶剤又は共溶剤の混合物を乳化剤に添加する場合もある。好ましい共溶剤は、直鎖であっても又は分岐していても良い脂肪族C1〜C30アルコール、脂環式C3〜C30アルコール及びこれらの混合物である。例えば、n−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、i−オクタノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール又はコレステロールである。他の使用可能な共溶剤は、アルカンジオール、エチレングリコールアルキルエーテル、N−アルキルピロリドン、及びN−及びN,N−ジアルキル酸アミド、例えばエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、N−メチルピロリドン、N−ヘキシルピロリドン、ジエチル酸アミド又はN−オクチル酸アミドである。共溶剤又は共溶剤の混合物は、0〜20質量%、好ましくは1〜5質量%の量で添加される。
【0074】
多くの場合、保護コロイドを用いることができ、例えばポリビニルアルコール、部分的に鹸化されたポリ酢酸ビニル、セルロース誘導体、メチルアクリレートとアクリル酸アミド及びメチルアクリル酸アミドとの共重合体又はビニルピロリドンポリマーを、モノマーの質量に対して、0.5〜10質量%、特に1.0〜5質量%の量で用いる。
【0075】
更に、一般に10質量%以下、好ましくは0.05〜5質量%の、反応性又は架橋性基を含むモノオレフィン性又はジオレフィン性不飽和モノマーを添加することができる。かかるモノマーの例示は、特に、α,β−オレフィン性不飽和C3〜C5カルボン酸、特にアクリルアミド、メタクリルアミド及びマレイン酸ジアミドのアミド、及びそのN−メチロール誘導体、例えばN−メチロールアクリル酸アミド、N−メチロールメタクリル酸アミド、α,β−モノオレフィン性不飽和C3〜C5カルボン酸のN−アルコキシメチルアミド、例えばN−メトキシメタクリル酸アミド及びN−n−ブトキシメチルアクリル酸アミド、ビニルスルホン酸、アクリル酸及びメタクリル酸とアルカンジオール、例えばグリコール、ブタンジオール−1,4、ヘキサンジオール−1,6又うは3−シクロプロパンジオール−1,2とのモノエステル、更に、α,β−モノオレフィン性モノ及びジカルボン酸のアリル及びメタリルエスエル、例えばジアリルマレエート、ジメチルアリルフマレート、アリルアクリレート及びアリルメタクリレート,ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、p−ジ−ビニルベンゼン、メチレン−ビス−アクリルアミド及びエチレングリコールジ−アリルエーテルである。
【0076】
エマルジョン重合で得られるポリマーの水性分散液における固体含有量は、一般に15〜75質量%であり、好ましくは25〜50質量%である。反応器の高い時空収量を得るために、固体含有量の高い分散液が好ましい。60質量%を超える固体含有量を得るために、二モード又は多モードの粒径分布となるように調節する。なぜなら、そうでなければ極めて高い粘性に起因して、分散液を処理することができないからである。例えば、シードの添加(EP−A0810831)、過剰の乳化剤の添加又はミニエマルジョンの添加によって新たな粒子生成(二モード又は多モードの粒径分布を得るため)が形成される。新たな粒子生成の形成は、任意の時点で行われても良く、低粘性のための所望の粒径分布に応じて行われる。
【0077】
これにより得られる非架橋エマルジョンポリマーの分子量は、一般に40000〜250000の範囲(GPCにより測定)である。分子量は、通常、従来の連鎖停止剤を慣用の量で用いることによって制御される。従来の連鎖停止剤は、例えば有機硫黄化合物である。
【0078】
本発明のアクリルバインダを水性分散液の形で得て、本発明の殺虫剤組成物において水性分散液の形で用いるのが好ましい。
【0079】
[ポリウレタン](成分B2)
ポリウレタンは、以下の成分b2a)〜b2d):
b2a)ポリウレタンに対して、55〜99質量%、好ましくは70〜98質量%、更に好ましくは75〜90質量%の少なくとも1種のジイソシアネート又はポリイソシアネート(成分B2A)、好ましくは脂肪族、脂環式、アリール脂肪族及び/又は芳香族イソシアネート、更に好ましくはジイソシアネート(必要によりビウレット化及び/又はイソシアヌレート化されていても良い。)、更に好ましくはアルキレン単位に4〜12個の炭素原子を有する以下のアルキレンジイソシアネート、例えば1,12−ドデカンジイソシアネート、2−エチルテトラメチレンジイソシアネート−1,4、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート−1,5、テトラメチレンジイソシアネート−1,4、リシンエステルジイソシアネート(LDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート−1,6(HMDI)、シクロヘキサン−1,3−及び/又は−1,4−ジイソシアネート、2,4−及び2,6−ヘキサヒドロトルリレンジイソシアネート、並びに対応の異性体混合物の4,4’−、2,2’−及び2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート並びに対応の混合物、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、2,4−及び/又は2,6−トルリレンジイソシアネート、4,4’−、2,4’−及び/又は2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(モノマーのMDI)、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(ポリマーのMDI)及び/又は少なくとも2種の上述のイソシアネートを含む混合物;更に、ジ−及び/又はポリイソシアネートを含むエステル−尿素−、アロファネート−、カルボジイミド−、ウレオジオン−及び/又はウレタン基を使用しても良く;最も好ましくは1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチレンシクロヘキサン(IPDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート−1,6(HMDI)、
b2b)ポリウレタンに対して、10〜90質量%、好ましくは12から85質量%、更に好ましくは15〜65質量%の少なくとも1種のジオール、トリオール又はポリオール(成分B2B)、好ましくは炭素原子数2〜14、好ましくは4〜10の脂肪族、脂環式及び/又はアリール脂肪族ジオール、更に好ましくは、ポリエーテルオール、例えばポリテトラヒドロフラニル、ポリエステルオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールを含むヒドロキシル基及び脂肪族ポリカーボネートを含むヒドロキシル基又は2種以上の上述のポリオールの混合物なる群から選択されるポリオール、更に好ましくはポリエステルオール及び/又はポリエーテルオールである。ポリヒドロキシ化合物のヒドロキシル数は、一般に20〜850mgKOH/gであり、25〜80mgKOH/gの範囲が好ましい。更に、一般に60〜400g/モル未満、好ましくは60〜300g/モルの分子量を有するのジオール及び/又はトリオールを用いる。好適なジオールは、炭素原子数2〜14、好ましくは4〜10の脂肪族、脂環式及び/又はアリール脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、プロパンジオール−1,3、デカンジオール−1,10、o−、m−、p−ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及び好ましくはブタンジオール−1,4、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール−1,6及びビス(2−ヒドロキシエチル)ヒドロキノン,トリオール、例えば1,2,4−、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセリン及びトリメチロールプロパン並びにエチレンオキシド及び/又は1,2−プロピレンオキシド並びに上述のジオール及び/又はトリオールを基礎とするポリアルキレンオキシドを含む低分子量ヒドロキシル基の混合物であり、
b2c)必要により、ポリウレタンに対して、0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは1〜5質量%の他の成分(成分B2C)、好ましくはアジピン酸又はカルボニルジイミダゾール(CDI)、及び
b2d)ポリウレタンに対して、0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.5〜5質量%の他の添加剤(成分B2D)、
(但し、成分B2A、B2B、必要によりB2C及び必要によりB2Dの合計が100質量%となる。)
の反応により得られる。
【0080】
ポリウレタンは、当該分野で公知の方法によって製造される。更に、当業者等に公知の添加剤をポリウレタンの製造方法で用いることができる。
【0081】
[殺虫剤組成物]
最終生成物の使用に応じて、本発明の殺虫剤組成物は、更に、水、防腐剤、洗浄剤、フィラー、衝撃改良剤、防曇剤、発泡剤、澄まし剤、核剤、カップリング剤、導電性向上剤(耐電防止剤)、安定剤、例えば酸化防止剤、炭素及び酸素ラジカルのスカベンジャー及び分解剤の過酸化物等、難燃剤、離型剤、UV保護性を有する薬剤、増白剤、展着剤、ブロッキング防止剤、拡散防止剤、発砲形成剤、防汚剤、増粘剤、他の殺生物剤、湿潤剤、可塑剤及び被膜形成剤、接着剤又は粘着防止剤、蛍光増白剤(蛍光増白)、芳香剤、顔料及び染料からなる群から選択される1種以上の成分を含んでいても良い。
【0082】
本発明の殺虫剤組成物は、水を含む水性組成物又は乾燥組成物、例えば水を含まない組成物であっても良い。好ましくは、殺虫剤組成物は水性組成物であり、本発明の殺虫剤組成物において水を除く各成分に対して、0.1〜45質量%、更に好ましくは1〜25質量%の水を含む水性組成物が好ましい。
【0083】
他の好ましい実施の形態において、直ぐに使用可能な殺虫剤組成物は、水性組成物、好ましくは、本発明の殺虫剤組成物における各成分の合計に対して、55〜97質量%、更に好ましくは85〜95質量%の水と、3〜45質量%、好ましくは5〜15質量%の固体とを含み、合計が100質量%となる水性組成物が好ましい。固体は、上述したような成分Aとしての少なくとも1種の殺虫剤及び/又は防虫剤、及び上述したような成分B1としての少なくとも1種のアクリルバインダ又は成分B1の他に、上述したような成分B2としての少なくとも1種のポリウレタン、及び必要により以下のような成分Cとしての少なくとも1種の定着剤、及び必要により上述したような最終生成物の使用に応じて異なる他の成分からなる群から選択されるのが好ましい。
【0084】
殺虫剤組成物がテキスタイル材料又はプラスチック材料に施される処理溶液は、本発明の殺虫剤組成物の各成分の合計に対して、95〜99.5質量%、好ましくは95〜99質量%、更に好ましくは97〜99質量%の水を含む水性調製液であるのが好ましい。
【0085】
好適な消泡剤は、例えばケイ素の消泡剤である。紫外線感受性殺虫剤及び/又は防虫剤を保護するための好適なUV保護材は、例えばp−アミノ安息香酸(PABA)、オクチルメトキシシナメト、スチルベン、スチリル又はベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ヒドロキシ置換ベンゾフェノン、サッカリレート、置換トリアジン、コハク酸誘導体(必要により、2−シアノ基で置換されている)、ピラゾリン誘導体、1,1’−ビフェニル−4,4’−ビス−2−(メトキシフェニル)エテニル又は他のUV保護剤である。好適な蛍光増白剤は、ジヒドロキノリノン誘導体、1,3−ジアリールピラゾリン誘導体、ピレン、ナフタル酸イミド、4,4’−ジ−スチリルビフェニレン、4,4’−ジアミノ−2,2’−スチルベンジスルホン酸、クマリン誘導体及びベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール又はベンゾイミダゾール組成物(−CH=CH−ブリッジを介して結合している)又は他の蛍光増白剤である。
【0086】
本発明の殺虫剤組成物で使用される一般的な顔料は、顔料染色又は印刷処理で用いられる顔料か、又はプラスチックの着色に用いられ、当業者等に公知である。
【0087】
顔料は、その化学的性質により無機であっても有機であっても良い。無機顔料は、主として白色顔料(例えば、ルチル又はアナターゼの形の二酸化チタン、ZnO、チョーク)又は黒色色素(例えばカーボンブラック)として用いられる。着色無機顔料を使用可能であるが、望ましくない。なぜなら、毒物学的危険の可能性があるからである。重要な色の場合、有機顔料又は染料が好ましい。有機顔料は、モノ若しくはジサゾ、ナフトール、ベンゾイミダゾロン、(チオ)インジゴイド、ジオキサジン、キナクリドン、フタロシアニン,イソインドリノン、ペリレン、ペリノン、金属錯体又はジケトピロロピロール型顔料であっても良い。顔料は、粉末又は液体の状態で(すなわち分散剤として)使用可能である。好ましい顔料は、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー138、ピグメントオレンジ34、ピグメントレッド170、ピグメントレッド146、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントブルー15/1、ピグメントブルー15/3、ピグメントグリーン7、ピグメントブラック7である。他の好適な顔料は、当業者等に知られている。
【0088】
本発明で使用可能な一般的な染料は、バット染料、カチオン性染料及び粉末又は液体の形の分散染料である。バッド染料は、顔料として用いられるか、又は以下の建浴(還元)及び酸化処理として用いられても良い。バット染料の形で用いるのが好ましい。バット染料は、インダンスロン型、例えばC.I.バットブルー4、6又は14;又はフラバンスロン型、例えばC.I.バットイエロー1;又はピランスロン型、例えばC.I.バットオレンジ2及び9;又はイソベンゾアントロン(イソバイオランスロン)型、例えばC.I.バットバイオレット1;又はジベンゾアントロン(バイオラントラン)型、例えばC.I.バットブルー16、19、20及び22、C.I.バットグリーン1、2及び9、C.I.バットブラック9;又はアントラキノンカルバゾール型、例えばC.I.バットオレンジ11及び15、C.I.バットブラウン1、3及び44、C.I.バットグリーン8及びC.I.バットブラック27;又はベンゾアントロンアクリドン型、例えばC.I.バットグリーン3及び13及びC.I.バットブラック25;又はアントラキノンオキサゾール型、例えばC.I.バットレッド10;又はペリレンテトラカルボン酸ジイミド型、例えばC.I.バットレッド23及び32;又はイミダゾール誘導体、例えばC.I.バットイエロー46;又はアミノトリアジン誘導体、例えばC.I.バットブルー66であっても良い。他の好適なバット染料は、当業者等に公知である。
【0089】
一般的な分散染料及びカチオン性染料は、当業者等に知られている。
【0090】
セルロース性基板をテキスタイル材料として用いる場合、上記のセルロース性基板を、バット染料、直接染料、反応性染料又は硫化染料で染色するのが好ましい。
【0091】
他の実施の形態において、本発明の殺虫剤組成物は、少なくとも1種の顔料及び/又は少なくとも1種の染料を含む上述の殺虫剤組成物である。本発明の殺虫剤組成物は、殺虫剤及び/又は防虫剤における固体含有量に対して、10〜300質量%、好ましくは20〜150質量%の顔料及び/又は染料を含んでいるのが好ましい。
【0092】
予備染色されたテキスタイル材料又はプラスチック材料、好ましくはネット材料を用いることも可能であり、これに、本発明の殺虫剤組成物が施される。テキスタイル材料又はプラスチック材料の染色に好適な顔料及び染料は、上述の通りである。好適な染色法は、当業者等に知られている。ポリエステル基板をテキスタイル材料又はプラスチック材料として使用する場合、上記のポリエステル基板を、分散染料で、好ましくは排気又は連続染色、例えばサーモゾル(thermosol)法によって染色するのが好ましい。ポリアミド基板をテキスタイル材料又はプラスチック材料として使用する場合、上記のポリアミド基板をアニオン性、酸の、又は金属錯体の染料又はスピン/マス染料で染色するのが好ましい。
【0093】
上述したように本発明の組成物を用いて、本発明により含浸されるテキスタイル材料又はプラスチック材料は、組成物を殺虫剤組成物の成分を含むキットの形の使いやすい形で供給する場合、局所的に含浸されていても良い。従って、他の実施の形態において、本発明は、最終使用者により行われるか、又は地元の工場で行われる含浸のためのキットとして設けられている上述の殺虫剤組成物に関する。好ましい実施の形態において、キットは、水の添加によって溶液又はエマルジョンの調製にあわせて変更する。従って、キットにおける成分は、乾燥組成物、例えば粉末、カプセル、タブレット又は起沸性タブレットの形であっても良い。他の実施の形態において、キットはエマルジョンを含み、且つ水を最終使用者が添加するか、地元の工場で添加する。エマルジョンは、ミクロエマルジョンであっても良く、一般に極めて安定である。エマルジョンはカプセルの形を与えられていても良い。
【0094】
キットは、少なくとも以下の成分:
a)少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤と、
b1)少なくとも1種の上述のアクリルバインダと、及び/又は
b2)少なくとも1種の上述のポリウレタンと、
を含む。
【0095】
好ましい殺虫剤及び/又は防虫剤並びに好ましいアクリルバインダ及び好ましいポリウレタンは、上述した通りである。キットは、更に、上述した成分、特に防腐剤、浄化剤、安定剤、UV保護性を有する薬剤、蛍光増白剤、展着剤、拡散防止剤、発砲形成剤、湿潤剤、防汚剤、増粘剤、他の殺生物剤、可塑剤、接着剤、芳香剤、顔料及び染料からなる群から選択される1種以上の成分を含んでいても良い。好ましくは、キットは、殺虫剤及び/又は防虫剤並びにアクリルバインダ及び/又はポリウレタンの他に、少なくとも1種の顔料及び/又は少なくとも1種の染料を含んでいる。好ましい顔料及び染料は、上述した通りである。
【0096】
他の実施の形態において、本発明は、
a)少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤と、
b1)本発明で開示された少なくとも1種のアクリルバインダと、及び/又は
b2)本発明で開示された少なくとも1種のポリウレタンと、
を含み、昆虫の殺傷及び/又は虫除けに用いられる含浸テキスタイル材料又はプラスチック材料に関する。
【0097】
好ましい殺虫剤及び/又は防虫剤並びに好ましいアクリルバインダ及びポリウレタンは、上述した通りである。テキスタイル材料又はプラスチック材料の物質及び好ましいテキスタイル材料又はプラスチック材料についても上述した通りである。
【0098】
含浸テキスタイル材料又はプラスチック材料における殺虫剤及び/又は防虫剤の一般的な量は、織物材料又は網の質量に対して、殺虫剤の殺虫効果並びに防虫剤の効果に応じて0.01〜10質量%(乾燥質量)である。好ましい量は、テキスタイル材料又はプラスチック材料の質量に対して、殺虫剤及び/又は防虫剤に応じて0.05〜7質量%の範囲である。デルタメトリン又はα−シペルメトリン等のピレスロイドの場合、好ましい量は、テキスタイル材料又はプラスチック材料の質量に対して0.1〜3.5質量%の範囲である。ペルメトリン又はエトフェンプロックス等のピレスロイドの場合、好ましい量は、0.1〜6質量%である。
【0099】
アクリルバインダ及び/又はポリウレタンの一般的な量は、テキスタイル材料又はプラスチック材料の質量(乾燥)に対して、0.001〜10質量%(乾燥質量)である。一般に、特定の種類の殺虫剤の量を高くして添加すると、アクリルバインダ及び/又はポリウレタンの濃度が高くなるので、殺虫剤とアクリルバインダ及び/又はポリウレタンとの間の割合は、殺虫剤の殺虫力及び移動能力に応じて値でほぼ一定とする。アクリルバインダ及び/又はポリウレタンの好ましい量は、テキスタイル材料又はプラスチック材料の質量(乾燥)に対して、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは0.2〜3質量%である。
【0100】
他の実施の形態において、本発明の含浸テキスタイル材料又はプラスチック材料は、更に、防腐剤、浄化剤、安定剤、UV保護性を有する薬剤、蛍光増白剤、展着剤、拡散防止剤、発砲形成剤、湿潤剤、防汚剤、増粘剤、他の殺生物剤、可塑剤、接着剤、芳香剤、顔料及び染料からなる群から選択される1種以上の成分を含んでいる。上述の成分の適例は、当業者等に知られている。
【0101】
本発明の他の実施の形態において、含浸テキスタイル材料又はプラスチック材料は、上述の少なくとも1種の殺虫剤及び/又は防虫剤及び少なくとも1種のアクリルバインダ及び/又はポリウレタンの他に、少なくとも1種の顔料及び/又は少なくとも1種の染料を含んでいる。少なくとも1種の顔料の量は、テキスタイル材料又はプラスチック材料の質量(乾燥)に対して、一般に0.05〜10質量%であり、0.1〜5質量%が好ましく、更に好ましくは0.2〜3.5質量%である。少なくとも1種の染料の量は、テキスタイル材料又はプラスチック材料の質量(乾燥)に対して、一般に0.05〜10質量%であり、0.1〜5質量%が好ましく、更に好ましくは0.2〜3.5質量%である。テキスタイル材料又はプラスチック材料は、少なくとも1種の顔料又は少なくとも1種の染料を含んでいるのが好ましい。好適な顔料及び染料は上述した通りである。
【0102】
[テキスタイル材料又はプラスチック材料の含浸方法]
他の実施の形態において、本発明は、
i)本発明に記載の少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤及び少なくとも1種のアクリルバインダと、必要により他の成分と、を含む水性調製液又は溶融物を形成する工程、
ii)
iia)テキスタイル材料又はプラスチック材料を水性調製液に通過させるか、又は
iib)テキスタイル材料又はプラスチック材料を、水性調製液に部分的に又は完全に浸されるローラに接触させ、そして水性調製液を、ローラに接触しているテキスタイル材料又はプラスチック材料の一方の面に引き寄せるか、又は
iic)テキスタイル材料又はプラスチック材料を両面コーティングするか、又は
iid)水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料に噴霧し、且つその噴霧が手動で又は機械的に噴霧するための装置、例えば工場で用いられるエーロゾル缶又は装置を用いて行われるか、又は
iie)水性調製液をフォームの形で施すか、又は
iif)テキスタイル材料又はプラスチック材料を水性調製液中に沈めるか、又は
iig)水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料上に又はテキスタイル材料又はプラスチック材料中にはけ塗りするか、又は
iih)水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料に注ぐことにより水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料に施すか、或いは溶融物をカレンダ処理により又はドクターブレードを用いて施す工程、
iii)必要により、余分な水性調製液又は溶融物を除去する工程、及び
iv)テキスタイル材料又はプラスチック材料を乾燥及び/又は硬化する工程、を含むテキスタイル材料又はプラスチック材料の含浸方法に関する。
【0103】
本発明の場合、水性調製液は、溶液、エマルジョン又は懸濁液/分散液であっても良い。
【0104】
水性調製液又は溶融物は、上述した本発明の殺虫剤組成物を含んでいるのが好ましく、水性調製液の形で用いるのが好ましい。
【0105】
本発明の場合、“含浸”は、殺虫剤組成物を施す方法(処理)である。この方法には、施された殺虫剤組成物を硬化して、必要によりテキスタイル材料又はプラスチック材料に被膜を形成する方法を含んでいても良い。「含浸テキスタイル材料又はプラスチック材料」は、殺虫剤組成物が施される材料である。「含浸テキスタイル材料又はプラスチック材料」は、必要により施された殺虫剤組成物を硬化することによって被膜形成されても良い。
【0106】
本発明の殺虫剤組成物を、転写、インクジェット印刷、スクリーン法、及びパウダー印刷によってテキスタイル材料又はプラスチック材料に施すことも可能である。
【0107】
好適なテキスタイル材料又はプラスチック材料は上述した通りである。テキスタイル材料又はプラスチック材料をその仕上げ製品の形(ライン処理の最後、不連続処理)で含浸することができる。この場合、含浸後、更に通過させる必要がない。しかしながら、ヤーン又は繊維の形のテキスタイル材料又はプラスチック材料を含浸し、含浸後に更に処理する必要があり、これにより所望の仕上げ処理製品(ライン処理で)を得る。使用される好ましい殺虫剤及び/又は防虫剤は上述した通りであり、好ましいアクリルバインダ及び/又はポリウレタンについても上述した通りである。
【0108】
不連続処理(法)を、工場で、地方の処理センター(地元の工場)又は移動式設備(mobile equipment)を用いてでさえ行うことができ、移動式設備は、例えばトラック又は貨物(例えば、再処理抗マラリアキャンプにおいて)に設けられている。不連続処理を、新しい(未処理のテキスタイル材料又はプラスチック材料、好ましくは網製品で、使用中又は既製の形(好ましくはネットとして)のもの)又は使用済みのテキスタイル材料又はプラスチック材料(好ましくはネット)に、好ましくは洗浄後に行うことができる。
【0109】
本発明の利点の1つは、含浸を水性調製液中で又は溶融物(溶融液)中で行うことである。有機溶剤を添加する必要がない。本発明の好ましい実施の形態において、処理溶液は、他の溶剤、特に有機溶剤を含んでいない水性調製液である。
【0110】
有機溶剤の使用を回避する点において有効である。なぜなら、本発明のテキスタイル材料又はプラスチック材料を、人間の体に密接させて使用することもあるからである。本発明の方法で含浸されたテキスタイル材料又はプラスチック材料は、有機溶剤残留物を含まず、人間の毒性面及び環境的な観点の両方から有益である。
【0111】
含浸法で用いられる水性調製液又は溶融液は、更に、防腐剤、浄化剤、安定剤、UV保護性を有する薬剤、展着剤、拡散防止剤、発砲形成剤、湿潤剤、防汚剤、増粘剤、他の殺生物剤、可塑剤、接着剤、芳香剤、顔料及び染料からなる群から選択される1種以上の成分を含んでいても良い。
【0112】
他の実施の形態において、テキスタイル材料又はプラスチック材料の含浸に用いられる水性調製液又は溶融液は、少なくとも1種の殺虫剤及び/又は防虫剤及び少なくとも1種のアクリルバインダ及び/又は少なくとも1種のポリウレタンの他に、少なくとも1種の顔料及び/又は少なくとも1種染料を含む。これらの水性調製液又は溶融液は、少なくとも1種の殺虫剤及び/又は防虫剤を用いるテキスタイル材料又はプラスチック材料の含浸と、これと同時のテキスタイル材料又はプラスチック材料の着色に好適である。少なくとも1種の殺虫剤及び/又は防虫剤を含浸するテキスタイル材料又はプラスチック材料の多くは、着色されるのが好ましい。本発明の方法により、殺虫剤及び/又は防虫剤を用いてテキスタイル材料又はプラスチック材料を同時に着色し、含浸することができる。従って、本発明の方法は、極めて経済的である。なぜなら、殺虫剤及び/又は防虫剤を用いた着色及び含浸を一工程で行うからである。
【0113】
従って、本発明の他の実施の形態において、本発明は、テキスタイル材料又はプラスチック材料を含浸する上述の方法であって、テキスタイル材料又はプラスチック材料の染色が、テキスタイル材料又はプラスチック材料の含浸と同時に行われ、且つ少なくとも1種の染料及び/又は少なくとも1種の顔料を更に含む水性調製液を形成する方法に関する。
【0114】
顔料の適量は、含浸に使用される水性調製液の質量に対して、一般に0.01〜20質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%であり、更に好ましくは0.2〜5質量%である。好適な染料の量は、含浸に使用される水性調製液の質量に対して、一般に0.01〜20質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%であり、更に好ましくは0.2〜5質量%である。
【0115】
[工程i)殺虫剤及び/又は防虫剤と少なくとも1種のアクリルバインダ及び/又は少なくとも1種のポリウレタンと、必要により他の成分とを含む水性調製液の形成]
水性調製液は、テキスタイル材料又はプラスチック材料の含浸に必要な全ての成分を水と混合することによって形成される。水性調製液は、10〜70℃、好ましくは15〜50℃、更に好ましくは20〜40℃の温度で形成するのが一般的である。好適な水性調製液は、上述したようにテキスタイル材料又はプラスチック材料に施すための殺虫剤組成物を含んでいる。
【0116】
[工程ii)殺虫剤及び/又は防虫剤と少なくとも1種のアクリルバインダ及び/又は少なくとも1種のポリウレタンと、必要により他の成分とを含む水性調製液のテキスタイル材料又はプラスチック材料への施与]
[工程iia)]
殺虫剤組成物は、テキスタイル材料又はプラスチック材料を水性調製液に通過させることによって施される。この工程は、パディングとして当業者等に公知である。好ましい実施の形態において、テキスタイル材料又はプラスチック材料を、水性調製液を含む漕において、水性処理母液(水性調製液)に完全に沈めるか、或いはテキスタイル材料又はプラスチック材料を、2個の水平方向のローラの間に保持される処理溶液(水性調製液)に通過させる。
【0117】
本発明によれば、テキスタイル材料又はプラスチック材料を水性調製液に通過させるか、或いは水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料に通過させても良い。これらの処理方法は、その後にネットに形作られるオープンワイズ材料(open-width material)の含浸を行う場合に好ましい。未処理ネットを小規模製造又は再含浸する場合、簡易な手持ち式ローラを使用すれば十分であろう。
【0118】
[工程iib)]
更に、水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料に片面コーティング塗布法(one-side only-coating application method)によって施すことが可能である。好適な片面コーティング塗布法は、例えば、ナイフ/ドクターブレードコーティング、ローラーコーティング又はスクリーンコーティングである。この方法により、テキスタイル材料又はプラスチック材料の片面のみを含浸可能であり、例えば人間の皮膚を殺虫剤処理材料と直接接触させるのを回避させる場合に有効である。
【0119】
ナイフ/ドクターブレードコーティングシステムは、例えば、ナイフオーバーエアシステム(knife-over-air-system)、ナイフオーバーローラーシステム(knife-over-roller-system)、ナイフオーバーテーブルシステム(knife-over-table system)又はナイフオーバーラバーベルトシステム(knife-over-rubber-belt system)である。他のナイフコーティングシステムは、例えば、コムマバー(commabar)又はマイエルバーナイフシステム(Mayerbar knife system)である。
【0120】
ローラーコーティングシステムは、例えば1個、2個、3個又はそれ以上のローラを有するキスコーティングシステム(kiss-coating system)、リバースロールコーターシステム(reverse-roll-coater system)及びラスターロールシステム(raster-roll system)である。これらのローラーコーティングシステムにおいて、少なくとも1個のローラーを水性調製液に部分的に浸すので、水性調製液をローラーと接触するテキスタイル材料又はプラスチック材料の一方の面に施す(キスローリング)。
【0121】
スクリーンコーティングシステムは、例えば、ロータリースクリーン印刷システム(rotary-screen printing system)及びフラットスクリーン印刷システム(flat-screen printing system)である。これらの塗布法により、ドットコーティング又はフルスクリーンコーティングを、例えばロータリースクリーンの後ろで更にウィスパーブレード(whisper-blade)を用いて、テキスタイル材料又はプラスチック材料に用いることができる。
【0122】
当業者等は、適宜増粘剤を施すことにより使用される水性調製液の粘度を調節するであろう。
【0123】
[工程iic)]
水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料に、両面コーティング塗布法、例えば両面ナイフコーティングシステム、2種類のエアナイフを用いるフラール又は絞りローラを用いるフラールによって更に施すことができる。
【0124】
両面ナイフコーティングシステムを用いるか、又は片面コーティングシステムにより2回通過させることによって、水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料の両面の表面のみに施すので、所定の効果のために必要とされる水性調製液の量を減らすことができる。
【0125】
[工程iid)及び工程iie)]
溶液又はエマルジョンをテキスタイル材料又はプラスチック材料に噴霧することによって水性調製液更に施すことができる。更に、テキスタイル材料又はプラスチック材料に施されるフォームの形のエマルジョンを施すことも可能である。フォームは、水を上述の溶液又はエマルジョンより少なく含んでいる。従って、乾燥処理を極めて短時間で行うことができる。
【0126】
[工程iif)、工程iig)及び工程iih)]
テキスタイル材料又はプラスチック材料を水性調製液中に沈めるか、水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料上に又はテキスタイル材料又はプラスチック材料内にはけ塗りするか、又は水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料に注ぐことによって、水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料に施すことが更にできる。好適な方法は当業者等に知られている。
【0127】
工程iia)、iib)、iic)、iid)、iie)、iif)、iig)、又はiih)における織物材料又はネットの含浸は、一般に10〜70℃、好ましくは15〜50℃、更に好ましくは20〜40℃の温度で行われる。
【0128】
[工程iii)必要により行われる余分な水性調製液の除去]
余分な水性調製液は、テキスタイル材料又はプラスチック材料を圧搾することにより、好ましくはテキスタイル材料又はプラスチック材料を当業者等に知られているローラに通過させることにより、好ましくはドクターブレードを用いて除去するのが一般的であり、これにより所定の母液取込を達成する。圧搾除去された母液は、通常、再利用される。
【0129】
或いは、余分な水性調製液は、遠心分離又は吸引ろ過によって除去されることもある。
【0130】
[工程iv)テキスタイル材料又はプラスチック材料の乾燥及び/又は硬化]
乾燥は200℃未満の温度で行われるのが一般的である。好ましい温度は、50〜170℃、更に好ましくは70〜150℃である。温度の選択は、調製液における殺虫剤の蒸発温度と流動性の関数である。
【0131】
乾燥処理は、当該処理が暖かい気候で行われることから太陽熱単純利用の乾燥であっても良い。活性ドライ法は、通常、大規模処理中に行われる。
【0132】
乾燥後又は乾燥と同時に、含浸テキスタイル材料又はプラスチック材料を、必要により最終的に硬化及び/又は定着させる。当業者等は、硬化及び/又は定着をどのように行うのかを知っている。硬化処理は、乾燥温度より高温の温度条件下で行われるのが一般的である。硬化のための好ましい温度は、60〜170℃であり、好ましくは70〜170℃であり、更に好ましくは80〜150℃である。乾燥及び硬化を、例えば異なる温度まで加熱することができる異なる区画を有するテンターにおいて、単一処理中に行うことができる。反応性架橋剤を使用する場合、温度はより低温、例えば30〜130℃、好ましくは30〜100℃であっても良い。
【0133】
乾燥及び/又は硬化は、このために織物工場で一般に利用される装置、例えばテンター、ループ式乾燥機、ホットフルー(hotflue)、回転式乾燥機、パッドスチーム機(pad steam machine)等で達成可能である。本発明の一実施の形態において、不連続(バッチ式)乾燥及び/又は硬化のための装置を使用する。かかる装置は、業務洗濯の、処理温度まで加熱可能な連結洗濯/乾燥機で使用されるロータリ式又は回転式乾燥機、ジーンズのストーン・ウォッシュを備えていても良い。処理用化学物質を、母液として添加するか、又はネット材料に噴霧して、その後、乾燥/硬化前又は乾燥/硬化中に、湿潤材料を回転させることによって均一に分散させる。処理用母液は、例えば遠心分離によって過剰の母液を除去可能である場合、過剰に添加しても良い。当業者等は、処理時間が同一の温度条件下の連続法における場合より長くなることがあることについて気付いている。
【0134】
硬化処理は、テキスタイル材料又はプラスチック材料を加圧下の加熱面、例えば鉄又は加熱ローラーに対して通過させる工程を含むか、かかる工程から構成されている。乾燥処理及び硬化中、テキスタイル材料又はプラスチック材料を、形の変化、例えば収縮又は寸法の歪みを防ぐように機械的に固定するのが好ましい。更に、殺虫剤及び/又は防虫剤が洗い流されるのを防止する。或いは、硬化及び/又は定着を、熱及びUV光を組み合わせる二重硬化法か、又はUV光のみによって行うことができる。好適な処理方法は、当業者等に知られている。
【0135】
アクリルバインダ及び/又はポリウレタンは、殺虫剤及び/又は防虫剤のテキスタイル材料又はプラスチック材料に対する付着を改善するための定着剤を用いて施され得るのが有利である。定着剤は、遊離イソシアネート基を含んでいても良い。
【0136】
好適な定着剤は、例えば、遊離イソシアネート基を含むイソシアヌレートである。好ましいイソシアヌレートは、アルキレン単位に4〜12個の炭素原子を有する以下のアルキレンジイソシアネート、例えば1,12−ドデカンジイソシアネート、2−エチルテトラメチレンジイソシアネート−1,4、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート−1,5、テトラメチレンジイソシアネート−1,4、リシンエステルジイソシアネート(LDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート−1,6(HMDI)、シクロヘキサン−1,3−及び/又は−1,4−ジイソシアネート、2,4−及び2,6−ヘキサヒドロトルリレンジイソシアネート、並びに対応の異性体混合物の4,4’−、2,2’−及び2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート並びに対応の混合物、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、2,4−及び/又は2,6−トルリレンジイソシアネート、4,4’−、2,4’−及び/又は2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(モノマーのMDI)、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(ポリマーのMDI)及び/又は少なくとも2種の上述のイソシアネートを含む混合物を基礎としている。更に好ましくは、イソシアヌレートは、ヘキサメチレンジイソシアネート−1,6(HMDI)を基礎としている。
【0137】
更に好ましくは、イソシアヌレートは、エチレンオキシド及び/又は1,2−プロピレンオキシド、好ましくはポリエチレンオキシドを基礎とするポリアルキレンオキシドで親水性にされているイソシアヌレートである。
【0138】
定着剤として使用されるイソシアヌレートは、当業者等に知られている方法で製造可能である。イソシアヌレートの製造に出発材料として使用されるイソシアネートの量に対して、好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは7〜20質量%、最も好ましくは10〜15質量%のイソシアネート基は、遊離イソシアネート基である。
【0139】
定着剤として使用されるイソシアヌレートを、極性の非プロトン性溶剤、例えばTHF、DMF又はポリエチレン若しくはエチレンカーボネートに溶解させるのが最も好ましい。
【0140】
定着剤として、ポリエチレンオキシドで親水性とされ、プロピレンカーボネートに溶解させたHMDI(70質量%のHMDIを30質量%のプロピレンカーボネートに溶解)を基礎とするイソシアヌレートを使用するのが最も好ましい。遊離シアネート基の量は、イソシアヌレートの調製のための出発材料として用いられるイソシアネートの量に対して、11〜12質量%の範囲である。
【0141】
殺虫剤組成物は、定着剤を使用する場合、組成物の固体含有量に対して、以下の成分:
a)20〜70質量%、好ましくは25〜65質量%、更に好ましくは30〜65質量%の少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤(成分A)、
b1)以下の成分を含む29〜72質量%、好ましくは34〜70質量%、更に好ましくは33〜66質量%の少なくとも1種の上述のアクリルバインダ(成分B1)、すなわち
b1a)アクリルバインダに対して、10〜90質量%、好ましくは15〜80質量%、更に好ましくは20〜70質量%のn−ブチルアクリレート(成分B1A)、
b1b)アクリルバインダに対して、10〜90質量%、好ましくは12〜85質量%、更に好ましくは15〜65質量%の少なくとも1種の式Iのモノマー(成分B1B)、
b1c)アクリルバインダに対して、1〜5質量%の少なくとも1種の式IIのモノマー(成分B1C)、
b1d)アクリルバインダに対して、0〜5質量%、好ましくは1〜4質量%、更に好ましくは0.2〜3質量%の少なくとも1種の式IIIのモノマー(成分B1D)、
b1e)以下の成分:
b1e1)アクリルバインダに対して、0〜30質量%、好ましくは0〜25質量%、更に好ましくは5〜20質量%の少なくとも1種の極性モノマー、好ましくは(メタ)アクリル酸ニトリル及び/又はメチル(メタ)アクリレート(成分B1E1)、及び/又は
b1e2)アクリルバインダに対して、0〜40質量%、好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%の少なくとも1種の無極性モノマー、好ましくはスチレン及び/又はメチルスチレン(成分B1E2)、
から選択される上述のモノマーと共重合可能な他のモノマー(成分B1E)、
b2)以下のb2a)〜b2d)を含む29〜72質量%、好ましくは34〜70質量%、更に好ましくは33〜66質量%の少なくとも1種の上述のポリウレタン(成分B2)、すなわち
b2a)ポリウレタンに対して、55〜99質量%、好ましくは70〜98質量%、更に好ましくは75〜90質量%の少なくとも1種のジイソシアネート又はポリイソシアネート(成分B2A)、好ましくは脂肪族、脂環式、アリール脂肪族及び/又は芳香族イソシアネート、更に好ましくはジイソシアネート(必要によりビウレット化及び/又はイソシアヌレート化されていても良い。)、最も好ましくは1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチレンシクロヘキサン(IPDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート−1,6(HMDI)、
b2b)ポリウレタンに対して、10〜90質量%、好ましくは12〜85質量%、更に好ましくは15〜65質量%の少なくとも1種のジオール、トリオール又はポリオール(成分B2B)、好ましくは炭素原子数2〜14、好ましくは4〜10の脂肪族、脂環式及び/又はアリール脂肪族ジオール、更に好ましくは1,6−ヘキサンジオール又はネオペンチルグリコール、
b2c)ポリウレタンに対して、0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは1〜5質量%の他の成分(成分B2C)、好ましくはアジピン酸又はカルボニルジイミダゾール(CDI)、及び
b2d)ポリウレタンに対して、0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.5〜5質量%の他の添加剤(成分B2D)、
c)1〜8質量%、好ましくは1〜5質量%、更に好ましくは2〜4質量%の少なくとも1種の定着剤(成分C)、
(但し、各成分の合計は、殺虫剤組成物の固体含有量に対して100質量%となる。)
を含むのが好ましい。
【0142】
好ましい定着剤は、上述した通りである。
【0143】
上述したように、溶液又はエマルジョンは、更に、水、防腐剤、洗浄剤、フィラー、衝撃改良剤、防曇剤、発泡剤、澄まし剤、核剤、カップリング剤、導電性向上剤(耐電防止剤)、安定剤、例えば酸化防止剤、炭素及び酸素ラジカルのスカベンジャー及び分解剤の過酸化物等、難燃剤、離型剤、UV保護性を有する薬剤、展着剤、ブロッキング防止剤、拡散防止剤、発砲形成剤、防汚剤、増粘剤、他の殺生物剤、湿潤剤、可塑剤及び被膜形成剤、接着剤又は粘着防止剤、蛍光増白剤(蛍光増白)、芳香剤、顔料及び染料から選択される1種以上の成分を含んでいても良い。
【0144】
本発明の方法は、上述のキットを用いる工程を更に包含するので、含浸処理法を、最終利用者により、小規模な方法で、又は地元の工場で行うことができる。従って、本発明は、上述したように織物材料を含浸する方法であって、含浸組成物が、最終利用者によって行われるか、又は地元の工場で行われる含浸のためのキットとして設けられている方法に関する。
【0145】
本発明の他の実施の形態において、上述したように殺虫剤組成物を施与する工程を含む含浸方法は、繊維を織る又は編む前に行うことも可能である。
【0146】
他の実施の形態において、本発明は、少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤及び本願発明で開示された少なくとも1種のアクリルバインダ及び/又はポリウレタンを含む組成物をテキスタイル材料又はプラスチック材料に施すことによるテキスタイル材料又はプラスチック材料の被覆方法に関する。被覆は、ドクターブレード法で行われるのが好ましい。処理条件は、当業者等に知られている。
【0147】
テキスタイル材料又はプラスチック材料を被覆する好ましい組成物及びその組成物における好ましい他の成分は、上述した通りである。
【0148】
他の実施の形態において、本発明は、以下の工程:
i)テキスタイル材料又はプラスチック材料を、耐圧容器に含まれる他の添加剤を必要により含んでいても良い水性溶液(水溶液)中に導入する工程、
ii)少なくとも1種の殺虫剤及び/又は防虫剤を含む水性調製液を添加する工程、
iii)水性溶液を100〜140℃の温度に加熱し、その温度を20〜120分間保持する工程、及び
iv)溶液を冷却し、排水し、そして含浸されたテキスタイル材料又はプラスチック材料を濯ぎ、乾燥する工程、
を含むテキスタイル材料又はプラスチック材料を含浸するための排気法に関する。
【0149】
本発明者等は、テキスタイル材料又はプラスチック材料を、バインダ又はポリウレタンの不存在下であっても、上述の方法によって含浸することによって、殺虫剤及び/又は防虫剤が洗い流されず、そして昆虫を殺傷するための殺虫剤及び/又は防虫剤の生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)が複数回の洗浄後に保持されることを見出した。少なくとも1種の殺虫剤及び/又は防虫剤を含む水性溶液及び水性調製液は、バインダ又はポリウレタンを含まないのが好ましい。
【0150】
好適なテキスタイル材料又はプラスチック材料は、上述したテキスタイル材料又はプラスチック材料である。好適な殺虫剤及び/又は防虫剤についても上述した通りである。
【0151】
好適な他の添加剤は、防腐剤、洗浄剤、フィラー、衝撃改良剤、防曇剤、発泡剤、澄まし剤、核剤、カップリング剤、導電性向上剤(耐電防止剤)、安定剤、例えば酸化防止剤、炭素及び酸素ラジカルのスカベンジャー及び分解剤の過酸化物等、難燃剤、離型剤、UV保護性を有する薬剤、増白剤、展着剤、ブロッキング防止剤、拡散防止剤、発砲形成剤、防汚剤、増粘剤、他の殺生物剤、湿潤剤、可塑剤及び被膜形成剤、接着剤又は粘着防止剤、蛍光増白剤(蛍光増白)、芳香剤、顔料及び染料から選択されるのが好ましい。
【0152】
上述した群から選択される好ましい他の添加剤は、上述した通りである。
【0153】
従って、本発明は、水性溶液が、他の添加剤として、防腐剤、洗浄剤、フィラー、衝撃改良剤、防曇剤、発泡剤、澄まし剤、核剤、カップリング剤、導電性向上剤(耐電防止剤)、安定剤、例えば酸化防止剤、炭素及び酸素ラジカルのスカベンジャー及び分解剤の過酸化物等、難燃剤、離型剤、UV保護性を有する薬剤、増白剤、展着剤、ブロッキング防止剤、拡散防止剤、発砲形成剤、防汚剤、増粘剤、他の殺生物剤、湿潤剤、可塑剤及び被膜形成剤、接着剤又は粘着防止剤、蛍光増白剤(蛍光増白)、芳香剤、顔料及び染料から選択される1種以上の成分を含む上述の方法に関する。
【0154】
工程ii)で添加される水性調製液の一部を形成する殺虫剤及び/又は防虫剤は、水基礎殺虫剤及び/又は防虫剤濃縮物又は溶剤、好ましくは有機溶剤基礎殺虫剤及び/又は防虫剤濃縮物又は水と溶剤、好ましくは有機溶剤の混合物を基礎とする濃縮物の形であっても良い。水基礎濃縮物は、必要により好適な分散剤を含む懸濁液又は分散液の形か、或いは乳化剤、溶剤及び適宜共溶剤を含むエマルジョンの形であっても良い。ナノパティキュラーな殺虫剤調製液は、殺虫剤の固体溶液を有機極性溶剤、例えばポリビニルピロリドン(PVP)に溶解させることによって得ることができる。水基礎又は溶剤基礎濃縮物における殺虫剤及び/又は防虫剤の濃度は、一般に0.5〜60質量%の範囲であり、1〜40質量%の範囲が好ましく、更に好ましくは3〜20質量%の範囲である。
【0155】
水基礎懸濁液又は分散液における殺虫剤及び/又は防虫剤の粒径は、一般に50nm〜20μmの範囲、好ましくは50nm〜8μmの範囲、更に好ましくは50nm〜4μmの範囲、もっとも好ましくは50nm〜500nmの範囲である。
【0156】
少なくとも1種の殺虫剤及び/又は防虫剤を含み、工程ii)で添加される水性調製液は、殺虫剤において水を除く各成分の合計に対して、0.1〜45質量%の水、好ましくは1〜25質量%の水を含むのが好ましい。
【0157】
[工程i)]
水性溶液は、耐圧容器中に含まれる。好適な耐圧容器は当業者等に知られている。
【0158】
テキスタイル材料又はプラスチック材料の量と水性溶液における液体の量との間の質量比である液体割合は、好ましくは1:3〜1:50の範囲であり、更に好ましくは1:5〜1:30の範囲であり、最も好ましくは1:20(すなわち20Lの水性溶液に対して1kgのテキスタイル材料又はプラスチック材料)である。他の好ましい実施の形態において、液体割合は1:5〜1:20の範囲であり、1:10〜1:20の範囲が好ましい。
【0159】
水性溶液のpHは、わずかに酸性に設定されるのが好ましく、好ましくは3〜6の範囲であり、更に好ましくは4〜5の範囲である。pHを所望の値に設定するための好適な添加剤は、当業者等に知られている。
【0160】
[工程ii)]
少なくとも1種の殺虫剤及び/又は防虫剤を含む水性調製液の添加は、当業者等に知られている方法で行うことができる。少なくとも1種の殺虫剤及び/又は防虫剤を含む好適な水性調製液は、上述した通りである。
【0161】
[工程iii)]
水性溶液を100〜140℃の温度に加熱し、その温度を20〜120分間保持する。水性溶液を110〜130℃に加熱するのが好ましく、120〜130℃に加熱するのが更に好ましい。水性溶液の温度を20〜90分間保持するのが好ましく、30〜60分間保持するのが更に好ましい。水性溶液を、当業者等に知られている好適な方法で加熱可能である。
【0162】
[工程iv)]
工程iv)において、水性溶液を冷却し、そして排出する。更に、含浸されたテキスタイル材料又はプラスチック材料を濯ぎ、そして乾燥する。好ましくは、水性溶液を90〜50℃に冷却するのが好ましく、80〜60℃に冷却するのが更に好ましい。溶液の排出は、当業者等に知られている方法で行われる。排出後、含浸されたテキスタイル材料又はプラスチック材料を、好ましくは暖かい及び/又は冷たい(低温)の水を用いて濯ぐ。最終的に、これにより得られた含浸テキスタイル材料又はプラスチック材料を当業者等に知られている方法によって乾燥する。
【0163】
従って、本発明のテキスタイル材料又はプラスチック材料を含浸する排気法は、以下の通りに行われるのが好ましい:
テキスタイル材料又はプラスチック材料を、耐圧容器中に含まれる水性溶液に対して、1:3〜1:50の範囲であり、好ましくは1:5〜1:30の範囲であり、更に好ましくは1:20(すなわち20Lの水性溶液に対して1kgのテキスタイル材料又はプラスチック材料)の液体割合で導入する。殺虫剤及び/又は防虫剤の水性調製液を懸濁液又はエマルジョンとして添加するのが好ましく、溶液を100〜140℃、好ましくは100〜130℃、更に好ましくは120〜130℃に加熱する。温度を20〜120分間保持し、20〜90分間保持するのが好ましく、30〜60分間保持するのが更に好ましい。その後、処理溶液を90〜50℃、更に好ましくは80〜60℃に冷却し、次いで溶液を排出する。処理された材料を暖かい及び/又は冷たい水を用いて注ぎ、そして乾燥する。
【0164】
他の実施の形態において、本発明は、以下の工程:
i)テキスタイル材料又はプラスチック材料を、耐圧容器に含まれる他の添加剤を必要により含んでいても良い水性溶液に導入する工程、
ii)少なくとも1種の殺虫剤及び/又は防虫剤を含む水性調製液を添加する工程、
iii)水性溶液を100〜140℃の温度に加熱し、その温度を20〜120分間保持する工程、及び
iv)溶液を冷却し、排水し、そして含浸されたテキスタイル材料又はプラスチック材料を濯ぎ、乾燥する工程、
を含むことによる排気法によって得られる含浸されたテキスタイル材料又はプラスチック材料に関する。
【0165】
含浸法の工程i)〜iv)は、上記で詳述したとおりである。
【実施例】
【0166】
[バインダ]
A)ポリマー分散液の調製
一般的な手続き:
250gの水及び30nmの中位の粒径を有する3gのスチレンシード(スチレン種)(33質量%)を85℃に加熱し、そして5質量%の供給物2を添加した。10分後、以下に述べるモノマーと供給物2を含む供給物1の添加を開始した。
【0167】
供給物2は、39.9gの水に溶解させた3.0gのナトリウムペルオキソジスルフェートを含んでいた。供給物1の組成を表1に列挙する。
【0168】
供給物1及び2を3時間で添加し、そして更に0.5時間重合した。
【0169】
【表1】

【0170】
開始剤のナトリウムペルオキソジスルフェートの量は、0.3質量部であり、乳化剤は、表1における100質量部のモノマー組成物に対して、0.4質量部のダウワックス2A1(ダウ社)と0.6質量部のルミテンIRA(BASF社)を含んでいた。
【0171】
略語:
MMA: メチルメタクリレート、
S: スチレン、
AN: アクリル酸ニトリル、
EA: エチルアクリレート、
EHA: 2−エチルヘキシルアクリレート、
BA: n−ブチルアクリレート、
FI: アクリル酸基を有する共重合可能なベンゾフェノン、
GMA: グリシジルメタクリレート、
BMA−Acac: ビタンジオールモノアクリレートアセチルアセテート、
Amol: N−メチロールアクリルアミド、
MAMol: N−メチロールメタクリルアミド、
HPMA: ヒドロキシプロピルメタクリレート、
AS: アクリル酸、
AM: アクリル酸アミド。
【0172】
ダウワックス2A1:
【0173】
【化10】

【0174】
ルミテンIRA:
【0175】
【化11】

【0176】
[実施例A1及びA8]
その後に架橋剤として有用となるFl−1重合性光開始剤を含むポリマー水性分散液は、下式:
【0177】
【化12】

【0178】
[但し、R8が炭素原子数1〜30の有機基を表し、
9がH又はメチル基を表し、そして
10が、必要により置換されているフェニル基、又はC1〜C4アルキル基を表す。]
で表される光開始剤である。
【0179】
[使用実施例](B01〜B14)
長時間効果の殺虫剤処理を、事前に洗浄することなく、市販の白色ポリエステルネット材料(繊維のタイター75デニール、156メッシュ、質量28〜32g/m2)において実施例A1〜A17による水性分散液を用いて行った。水性分散液を殺虫剤及び/又は防虫剤の市販のエマルジョンと混合し、緩衝溶液を用いてpHを調節し、(必要により)定着剤を添加することによって水性処理溶液を調製した。処理溶液の濃度は、液体取込性に基づき調節した(60〜100%の範囲のLU)。実験室規模のパッドテンター装置(マシス(Mathis)社、スイス)を用いて処理溶液を施した。ネット材料を処理溶液に完全に漬け、そして逆方向に移動するシリンダーに通過させることによって過剰の液体を除去した。これらのシリンダー間において所定の距離を選択することによって(これにより所定の圧力となる)、液体の取込性を調節可能となった。液体取込(量)は、ネットの含浸部分を秤量し、そして乾燥の未処理ネットの質量を減じることによって測定し、ネットの質量に対して、液体を質量換算(質量%)で得た。乾燥/硬化工程を実験室用のテンターで行うことにより、温度及び処理時間を制御可能となった。
【0180】
処理されたネットを、表2に記載のように異なる時間で洗浄した("ノックダウン60分"の欄を参照、括弧内の記載(数+w)は、試験を行う前にネットをどのくらい洗浄したのかを示している。)。洗浄は、"Montpellier washing procedure"(補遺 WHO PVC、3/07/2002"Evalution of wash resistance of long-lasting isecticidal nets"に記載されているように)に基づき行った:ネットのサンプルを、1分間に150回の運動条件下、透明な水中において10分間揺動される水浴中において、0.5Lの脱イオン化水及び2g/Lの石鹸(pH10〜11)を含むビーカーで個々に洗浄した。使用された石鹸は、以下の成分(エチドロン酸及び水酸化ナトリウム又はココナッツ酸、テトラナトリウムEDTA並びにリモネン等の他の成分の中で):ナトリウム牛脂脂肪酸、水、ナトリウムパルムケルネレート又はナトリウムココエート、ペルフメ、グリセロール、塩化ナトリウム及び染料(C.I.77891)を含んでいた。
【0181】
試料を、以下に説明するようなコーン試験手順に従い生物学的検定(バイオアッセイ)した。
【0182】
試験の手順:
試験は、WHOコーン試験手順の基本ガイドラインに従い修正を加えて行った。コーン(cone)(WHOコーン(WHOPES96.1)):底縁の周囲に平坦なフランジと頂部に細孔を有する透明なプラスチック製コーン構造体(直径11cm))を、CDC(疾病対策予防センター:Centers for Disease Control and Prevention)の方法論に類似して設計された手製のマニホールド装置を間に介して処理されたネット部品(25×25cm)に対して保持した。使用されるマニホールド装置は、プラスチック製サービングトレイ(30.5cm×41.0cm、強化プラスチック)に4個の細孔(直径9cm)を切り取ることによって作製された。同一の寸法の未変性トレイはベースとして作用した。ベーストレイの表面に対して、二組の吸い取り紙を載置し、裁断して、トレイの内側に合わせた。その後、1つの処理されたネットを吸い取り紙に載置し、次いで4個のWHOコーンを載置して、マニホールドの(頂部)トレイで切り取られた細孔の位置にほぼ対応させた。その後、かかる頂部トレイをコーンに対して載置して、コーンを細孔に通過させた。その後、頂部トレイを、4個の大きなバインダクリップを用いてベーストレイにしっかり固定した。吸い取り紙により、コーンをネットに対して適度に強固に適合させる助けとなった。日齢1〜5日の雄雌混合の蚊を飼育箱からアスピレータを用いて移し、約5匹の蚊を各々のコーンに導入した。昆虫を第1のコーンに導入した後に実験室用タイマーを作動させ、各々のコーンに約15秒ごとに蚊が供給され、全てのコーンを満たすために1分必要であった。昆虫の導入直後に、各々のコーンをゴム製のストッパで塞いだ。蚊を各コーンで3分間保持し、且つ各昆虫は、一般に、ネットの表面で静止していた(処理が強固な虫除けでない場合)。蚊がコーンの壁部で静止した場合、その後、コーンを穏やかに軽く叩いて、昆虫をネットに移動させても良い。3分後、昆虫を全てアスピレータで移動させ、プラスチック製の保持キャップに導入し、4個の全てのコーンから蚊を集めた(これは、1回の複製を示す)。各処理において4回の複製が推奨される。保持キャップは、ねじ式のプラスチック製の蓋を有する透明なプラスチック製キャプ(高さ9cm×幅6.5cm)から構成されていた。蓋における1cmの細孔を利用して、昆虫の載置のためのアスピレータを挿入した。各コーンから一組の蚊を集め、一度に保持容器に載置した。
【0183】
アスピレータの先端を容器の蓋に挿入する間、頂部の透明な印を用いて、昆虫の脱出を防ぐために細孔を塞いだ。4個全てのコーンにおいて保持容器への昆虫が居なくなった後、10%の砂糖水で浸された歯科用綿製ガーゼで細孔を塞いだ。キャップから突き出るガーゼの端部は、キャップを落下させず且つ蚊を逃がさないようにするために手で少し平坦化された端部を有している。60分及び24時間においてプールされた蚊からノックダウンデータ(KD)を得た。30分(又はその他)の測定値についても、必要により含めて良い。ノックダウンの速度に関して、蚊をコーンに残し、KDまでの時間を各々の蚊ごとに記録した。各々のKD蚊は、それが残ることにより、再度飛ぶ場合に昆虫を数え直すのを防止するようにするため、取り除かれた。その後、全ての蚊を上述したように24時間の死亡率をカウントするため保持した。
【0184】
【表2】

【0185】
【表3】

【0186】
[実験C]
5kgの未処理ネット材料を回転式乾燥機に導入し、10g/Lの実施例A17のポリマー、6.4g/Lの分散液としてのα−シペルメトリン、0.66g/Lの定着剤[(ポリエチレンオキシドで親水性とされ、プロピレンカーボネートに溶解させたHMDI(70質量%のHMDIを30質量%のプロピレンカーボネートに溶解)を基礎とするイソシアヌレート);イソシアヌレートの製造に出発材料として使用されるイソシアネートの量に対して、遊離イソシアネート基の量は、11〜12質量%であった;定着剤の沸点は、240〜245℃であった、そして粘度は、280mPa・s(ブロックフィールド100U/分)であり、緩衝溶液を用いてpH6に設定した。]を含む5L(リットル)の処理溶液を、室温条件下で材料に噴霧した。材料を回転させながら乾燥機を80℃まで加熱し、回転させながら80℃で15分間保持した。処理されたネットを15回以下洗浄し、始めに述べた指針("Montpellier washing procedure")に従い、上述したように生物学的検定した。
【0187】
結果:60分後のノックダウン:98.9%
24時間後の死亡率:93.5%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキスタイル材料又はプラスチック材料に施すための殺虫剤組成物であって、
前記組成物は、
a)成分Aとしての少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤と、
b1)以下の各成分b1a)〜b1e):
b1a)成分B1Aとしてのn−ブチルアクリレート、
b1b)式I:
【化1】

[但し、R1、R2及びR3が独立して、直鎖であっても又は分岐していても良いC1〜C10アルキル、置換されていても良いアリールから選択され、R1及びR2が更にHであっても良く、そしてR1及びR2がHであってR3がn−ブチルである場合を除く。]
で表される成分B1Bとしての少なくとも1種のモノマー、
b1c)式II:
【化2】

[但し、R4、R5、R6及びR7が独立して、H、直鎖であっても又は分岐していても良いC1〜C10アルキル、置換されていても良いアリールから選択される。]
で表される成分B1Cとしての少なくとも1種のモノマー、
b1d)必要により、式III:
【化3】

[但し、R8及びR9が独立して、H、直鎖であっても又は分岐していても良いC1〜C10アルキル、置換されていても良いアリールから選択され、
Xが、H、OH、NH2、OR11OH、グリシジル、ヒドロキシプロピル、以下の基、
【化4】

そして、下式:
【化5】

{但し、R10が直鎖であっても又は分岐していても良いC1〜C10アルキル、置換されていても良いアリールから選択される。}
で表される基からなる群から選択され、
11がC1〜C10アルキレン、置換されていても良いアリーレンから選択される。]
で表される成分B1Dとしての少なくとも1種のモノマー、
b1e)以下の成分:
b1e1)成分B1E1としての極性モノマー、及び/又は
b1e2)成分B1E2としての無極性モノマー、
から選択される上述のモノマーと共重合可能な他のモノマー、
のエマルジョン重合により得られる成分B1としての少なくとも1種のアクリルバインダと、及び/又は
b2)以下の各成分b2a)〜b2d):
b2a)成分B2Aとしての少なくとも1種のジイソシアネート又はポリイソシアネート、
b2b)成分B2Bとしての少なくとも1種のジオール、トリオール又はポリオール、好ましくは炭素原子数2〜14、好ましくは4〜10の脂肪族、脂環式及び/又はアリール脂肪族ジオール、更に好ましくは1,6−ヘキサンジオール又はネオペンチルグリコール、
b2c)必要により、成分B2Cとしての他の成分、及び
b2d)必要により、成分B2Dとしての他の添加剤、
の反応により得られる成分B2としての少なくとも1種のポリウレタンと、を含む混合物を含むことを特徴とする殺虫剤組成物。
【請求項2】
アクリルバインダは、以下の成分:
b1a)10〜90質量%、好ましくは15〜80質量%、更に好ましくは20〜70質量%の成分B1A、
b1b)10〜90質量%、好ましくは12〜85質量%、更に好ましくは15〜65質量%の成分B1B、
b1c)1〜5質量%の成分B1C、
b1d)0〜5質量%、好ましくは1〜4質量%、更に好ましくは0.2〜3質量%の成分B1D、
b1e)以下の成分:
b1e1)0〜30質量%、好ましくは0〜25質量%、更に好ましくは5〜20質量%の成分B1E1、及び/又は
b1e2)0〜40質量%、好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%の成分B1E2、
から選択される上述のモノマーと共重合可能な他のモノマー、
(但し、成分B1A、B1B、B1C及び必要によりB1D、B1Eの合計が100質量%となる。)
のエマルジョン重合により得られる請求項1に記載の殺虫剤組成物。
【請求項3】
ポリウレタンは、以下の成分:
b2a)ポリウレタンに対して、55〜99質量%、好ましくは70〜98質量%、更に好ましくは75〜90質量%の成分B2A、
b2b)ポリウレタンに対して、10〜90質量%、好ましくは12〜85質量%、更に好ましくは15〜65質量%の成分B2B、
b2c)ポリウレタンに対して、0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは1〜5質量%の成分B2C、及び
b2d)0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.5〜5質量%の成分B2D、
(但し、成分B2A、B2B、必要によりB2C及び必要によりB2Dの合計が100質量%となる。)
の反応により得られる請求項1又は2に記載の殺虫剤組成物。
【請求項4】
殺虫剤は、
ピレスロイド化合物、例えば
エトフェンプロックス(Etofenprox):2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエーテル、
クロロフェナピル(Chlorfenapyr):4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−1−エトキシメチル−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−カルボニトリル、
フェンバレレート(Fenvalerate):(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(RS)−2−(4−クロロフェニル)−3メチルブチレート、
エスフェンバレレート(Esfenvalerate):(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(S)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート、
フェンプロパトリン(Fenpropathrin):(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、
シペルメトリン(Cypermethrin):(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1RS)−cis,trans−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
α−シペルメトリン:(S)−α−(1R)と(R)−α−(1S)のジアステレオマーを含むラセミ化合物、
ペルメトリン(Permethrin):3−フェノキシベンジル(1RS)−cis,trans−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
シハロトリン(Cyhalothrin):(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(Z)−(1RS)−cis−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
λ−シハロトリン、
デルタメトリン(Deltamethrin):(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R)−cis−3−(2,2−ジブロモビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
シクロプロトリン(Cycloprothrin):(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(RS)−2,2−ジクロロ−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシレート、
フルバリネート(Fluvalinate):α−シアノ−3−フェノキシベンジルN−(2−クロロ−α、α、α、α−トリフルオロ−p−トリル)−D−バリネート、
ビフェントリン(Bifenthrin):(2−メチルビフェニル−3−イルメチル)0(Z)−(1RS)−cis−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2−メチル−2−(4−ブロモジフルオロメトキシフェニル)プロピル(3−フェノキシベンジル)エーテル、
トラロメトリン(Tralomethrin):(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R−cis)3((1’RS)(1’、2’、2’、2’−テトラブロモエチル))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
シラフルオフェン(Silafluofen):4−エトキシフェニル(3−(4−フルオロ−3−フェノキシフェニル)プロピル)ジメチルシラン、
D−フェノトリン(D-fenothrin):3−フェノキシベンジル(1R)−cis,trans−クリサンセメート、
シフェノトリン(Cyphenothrin):(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R−cis,trans)−クリサンセメート、
D−レスメトリン(D-resmethrin):5−ベンジル−3−フリルメチル(1R−cis,trans)クリサンセメート、
アクリナトリン(Acrinathrin):(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R−cis(Z))−(2,2−ジメチル−3−(オキソ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルオキシ)プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、
シフルトリン(Cyfluthrin):(RS)−α−シアノ−4−フルオロ−3−フェノキシベンジル3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
テフルトリン(Tefluthrin):2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル(1RS−cis(Z))−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
トランスフルトリン(Transfluthrin):2,3,5,6−テトラフルオロベンジル(1R−trans)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
テトラメトリン(Tetramethrin):3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル(1RS)−cis、trans−クリサンセメート、
アレトリン(Allethrin):(RS)−3−アリル−2−メチル−4−オキソシクロペンタ−2−エニル(1RS)−cis、trans−クリサンセメート、
プラレトリン(Prallethrin):(S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル(1RS)−cis、trans−クリサンセメート、
エンペントリン(Empenthrin):(RS)−1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル(1R)−cis、trans−クリサンセメート、
イミプロトリン(Imiprothrin):2,5−ジオキソ−3−(プロパ−2−イニル)イミダゾリジン−1−イルメチル(1R)−cis、trans−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、
D−フラメトリン(D-flamethrin):5−(2−プロピニル)フルフリル(1R)−cis、trans−クリサンセメート、及び5−(2−プロピニル)フルフリル2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、
ピリプロキシフェン(Pyriproxyfen):4−フェノキシフェニル(RS)−2−(2−ピリジルオキシ)プロピルエーテル、
ピレスルム(Pyrethrum)、
d−d、trans−シフェノトリン(d-d, trans-Cyphenothrin):(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1RS,3RS;1RS,3SR)−2,2−ジメチル−3−(2−メチルプロパ−1−エニル)シクロプロパンカルボキシレート、
DDT;
カルバメート化合物、例えば
アラニカルブ(Alanycarb):S−メチル−N[[N−メチル−N−[N−ベンジル−N(2−エトキシカルボニルエチル)アミノチオ]カルバモイル]チオアセトイミデート、
ベンジオカルブ(Bendiocarb):2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−4−イル−メチルカルバメート、
カルバリル(1−ナフチル)N−メチルカルバメート、
イソプロカルブ(Isoprocarb):2−(1−メチルエチル)フェニルメチルカルバメート、
カルボスルファン(Carbosulfan):2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾフラニル[(ジブチルアミノ)チオ]メチルカルバメート、
フェノキシカルブ(Fenoxycarb):エチル[2−(4−フェノキシフェノキシ)エチル]カルバメート、
インドキサカルブ(Indoxacarb):メチル−7−クロロ−2,2,3,4,5−テトラヒドロ−2−[メトキシカルボニル(4−トリフルオロメトキシフェニル)]、
プロポキスル(Propoxur):2−イソプロピルオキシフェノールメチルカルバメート、
ピリミカルブ(Pirimicarb):2−ジメチルアミノ−5,6−ジメチル−4−ピリミジニル−ジメチルカルバメート、
チオジオカルブ(Thiodiocarb):ジメチルN,N’(チオビス(メチルイミノ)カルボノイルオキシ)ビスエタンイミジオチオエート、
メソミル(Methomyl):S−メチルN−((メチルカルバモイル)オキシ)チオアセトアミデート、
エチオフェンカルブ(Ethiofencarb):2−((エチルチオ)メチル)フェニルメチルカルバメート、
フェノチオカルブ(Fenothiocarb):S−(4−フェノキシブチル)−N,N−ジメチルチオカルバメート、
カルタップ(Cartap):S,S’−(2,5−ジメチルアミノ)トリメチレン)ビス(チオカルバメート)ヒドロクロリド、
フェノブカルブ(Fenobucarb):2−sec−ブチルフェニルメチルカルバメート、
XMC:3,5−ジメチルフェニル−メチルカルバメート、
キシリルカルブ(Xylylcarb):3,4−ジメチルフェニルメチルカルバメート;
有機リン化合物、例えば
トリクロルフォン(Trichlorfon):リン酸(2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル)ジメチルエスエル、
フェニトロチオン(Fenitrothion):O,O−ジメチルO−(4−ニトロ−m−トリル)ホスホロチオエート、
ジアジノン(Diazinon):O,O−ジエチル−O−(2−イソプロピル−6−メチル−4−ピリミジニル)ホスホロチオエート、
ピリダフェンチオン(Pyridaphenthion):O−(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−1−フェニルピラジジン−3−イル)O,O−ジエチルホスホロチオエート、
ピリミホス−エチル(Pirimiphos-Etyl):O,O−ジエチルO−(2−(ジエチルアミノ)6−メチルピリミジニル)ホスホロチオエート、
ピリミホス−メチル(Pirimiphos-Methyl):O−[2−(ジエチルアミノ)−6−メチル−4−ピリミジニル]O,O−ジメチルホスホロチオエート、
エトリムホス(Etrimphos):O−6−エトキシ−2−エチル−ピリミジン−4−イル−O,O−ジメチル−ホスホロチオエート、
フェンチオン(Fenthion):O,O−ジメチル−O−[3−メチル−4−(メチルチオ)フェニル]ホスホロチオエート、
ホキシム(Phoxim):2−(ジエトキシホスフィノトイルオキシイミノ)−2−フェニルアセトニトリル、
クロルピリフォス(Chlorpyrifos):O,O−ジエチル−O−(3,5,6−トリクロロ−2−ピリニル)ホスホロチオエート、
クロルピリホスメチル(Chlorpyriphosmethyl):O,O−ジメチルO−(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジニル)ホスホロチオエート、
シアノホス(Cyanophos):O,O−ジメチルO−(4−シアノフェニル)ホスホロチオエート、
ピラクロフォス(Pyraclofos):(R,S)[4−クロロフェニル)−ピラゾール−4−イル]−O−エチル−S−n−プロピルホスホロチオエート、
アセフェート(Acephate):O,S−ジメチルアセチルホスホロアミドチオエート、
アザメチホス(Azamethiphos):S−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−オキソ−1,3−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イルメチルホスホロチオエート、
マラチオン(Malathion):ジエチルメルカプトスクシネートのO,O−ジメチルホスホロジチオエートエステル、
テメホス(Temephos):(O,O’(チオジ−4−1−フェニレン))O,O,O,O−テトラメチルホスホロジチオエート、
ジメトエート(Dimethoate):((O,O−ジメチルS−(n−メチルカルバモイルエチル)ホスホロジチオエート、
フォルモチオン(Formothion):S[2−ホルミルメチルアミノ]−2−オキソエチル−O,O−ジメチルホスホロジチオエート、
フェントエート(Phenthoate):O,O−ジメチルS−(α−エトキシカルボニルベンザール)ホスホロジチオエート、
ロドフェンホス(Lodofenphos):O−(2,5−ジクロロ−4−ヨードフェニル)−O,O−ジメチルホスホロチオエート;
成虫の蚊に対する殺菌効果を有する殺虫剤、例えば
1−(α−(クロロ−α−シクロプロピルベンジリデンアミノ−オキシ)−p−トリル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)尿素、
ジフルベンズロン(Diflubenzuron):N−(((3,5−ジクロロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニルアミノ)カルボニル)2,6−ジフルオロベンズアミド、
トリフルムロン(Triflumuron):2−クロロ−N−(((4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−アミノ−)カルボニル)ベンズアミド、又はトリアジン、例えばN−シクロプロピル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン;及び
ラムダシハオトリン(Lambda-cyhalothrine):(Z)−(1R,3R),R−エステルと(Z)−(1S,3S),S−エステルとの1:1混合物としてのα−シアノ−3−フェノキシベンジル−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート;
から選択され、
防虫剤は、
N,N−ジメチル−m−トルアミド(DEET)、
N,N−ジエチルフェニルアセトアミド(DEPA)、
1−(3−シクロヘキサン−1−イルカルボニル)−2−メチルピペリン、
(2−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)酢酸ラクトン、
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、
インダロン、
メチルネオデカンアミド(MNDA)、
昆虫の防除に使用されないピレスロイド、例えば{(+/−)−3−アリル−2−メチル−4−オキソシクロペンタ−2−(+)−エニル−(+)−trans−クリサンセメート}(エスビオトリン(Esbiothrin))、
植物の抽出物から誘導されるか、又は植物の抽出物と同一の防虫剤、例えばリモネン、オイゲノール、(+)−オイカマロル(1)(Eucamalol(1))、(−)−1−エピオイカマロール又は植物から得られる粗な植物抽出物、例えばユーカリプツスマクラタ(Eucalyptus maculata)、ビテックスロツンジフォリア(Vitex rotundifolia)、シンボポガンマルチニ(Cymbopogan martinii)、シンボポガンシトラツス(Cymbopogan citratus)(レモングラス)、シモポガンナルトヅス(Cymopogan nartdus)(シトロネラソウ)、IR3535(エチルブチルアセチルアミノプロピオネート)、イカリジン(icaridin)(1−ピペリジンカルボン酸2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピルエステル);
好適なムロシサイド(mulloscicide)としてのニクロサミド(niclosamide);
第1世代の抗凝固性殺鼠剤としてのヴァルファリン(warfarin)、クロルファシノン(chlorphacinone)、コウマテトラリル(coumatetralyl)、及び第2世代の抗凝固性殺鼠剤としてのフロコウマフェン(flocoumafen)、ブロジファコウム(brodifacoum)、ジフェナコウム(difenacoum)、ブロマジアロン(bromadialone)、ジフェチアロン(difethialone)及びブロメタリン(bromethalin)から選択される第1世代の抗凝固性殺鼠剤と第2世代の抗凝固性殺鼠剤の殺鼠剤;
水虫の場合に用いられる抗真菌薬であり、以下の群から選択される殺菌剤:
クロトリマゾール(clotrimazole):1−(2−クロロトリチル)イミダゾール、
ミコナゾール(miconazole):1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−[(2,4−ジクロロフェニル)メトキシ]エトキシ]−1H−イミダゾール、
エコナゾール(econazole):4−[2−[(4−クロロフェニル)メトキシ]−2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−4H−イミダゾール、
チオコナゾール(tioconazole):1−[2−[(2−クロロ−3−チエニル)メトキシ]−2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−1H−イミダゾール、
ウンデシレン酸、
テルビナフィン(terbinafine)ヒドロクロリド:N,6,6−トリメチル−N−(ナフタレン−4−イルメチル)ヘプタ−2−エン−4−イン−1−アミンヒドロクロリド(ラミシルトピカル(lamisil topical))、及び
トルナフテート(tolnaftate):N−メチル−N−(m−トリル)−1−ナフタレン−3−イルオキシチオホルムアミド;
以下の他の殺菌剤、
アゾール、例えばビテルタノール(Bitertanol)、ブロモコナゾール(Bromoconazol)、シプロコナゾール(Cyproconazol)、ジフェノコナゾール(Difenoconazole)、ジニトロコナゾール(Dinitroconazol)、エポキシコナゾール(Epoxiconazol)、フェンブコナゾール(Fenbuconazol)、フルキコナゾール(Fluquiconazol)、フルシラゾール(Flusilazol)、フルトリアフォール(Flutriafol)、ヘキサコナゾール(Hexaconazol)、イマザリル(Imazalil)、イプコナゾール(Ipconazol)、メトコナゾール(Metconazol)、マイクロブタニル(Myclobutanil)、ペンコナゾール(Penconazol)、プロピコナゾール(Propiconazol)、プロクロラゾ(Prochloraz)、プロチオコナゾール(Prothioconazol)、シメコナゾール(Simeconazol)、テブコナゾール(Tebuconazol)、テトラコナゾール(Tetraconazol)、トリアジメフォン(Triadimefon)、トリアジメノール(Triadimenol)、トリフルミゾール(Triflumizol)、トリチコナゾール(Triticonazol)、
ストロビルリン(Strobilurine)、例えばアゾキシストロビン(Azoxystrobin)、ジモキシストロビン(Dimoxystrobin)、フルオキサストロビン(Fluoxastrobin)、クレソキシム−メチル(Kresoxim-methyl)、メトミノストロビン(Metominostrobin)、オリサストロビン(Orysastrobin)、ピコキシストロビン(Picoxystrobin)、ピラクロストロビン(Pyraclostrobin)、トリフロキシストロビン(Trifloxystrobin)、
アシルアラニン(Acylalanine)、例えばベナラキシル(Benalaxyl)、メタラキシル(Metalaxyl)、メフェノキサム(Mefenoxam)、オフラセ(Ofurace)、オキサジキシル(Oxadixyl)、
アミン誘導体、例えばアルジモルフ(Aldimorph)、ドジン(Dodine)、ドデモルフ(Dodemorph)、フェンプロピモルフ(Fenpropimorph)、フェンプロピジン(Fenpropidin)、グアザチン(Guazatine)、イミノクタジン(Iminoctadine)、スピロキサミン(Spiroxamin)、トリデモルフ(Tridemorph)、
アニリノピリミジン(Anilinopyrimidine)、例えばピリメタニル(Pyrimethanil)、メパニピリム(Mepanipyrim)、シプロジニル(Cyprodinil)、
ジカルボキシイミド、例えばイプロジオン(Iprodion)、マイクロゾリン(Myclozolin)、プロシミドン(Procymidon)、ビンクロゾリン(Vinclozolin)、
桂皮酸アミド及び類似物、例えばジメトモルフ(Dimethomorph)、フルメトバー(Flumetover)又はフルモルフ(Flumorph)、
抗生物剤、例えばシクロヘキシミド(Cycloheximid)、グリセオフルビン(Griseofulvin)、カスガマイシン(Kasugamycin)、ナタマイシン(Natamycin)、ポリオキイン(Polyoxin)又はストレプトマイシン(Streptomycin)、
ジチオカルバメート、例えばフェルバム(Ferbam)、ナバム(Nabam)、マネブ(Maneb)、マンコゼブ(Mancozeb)、メタム(Metam)、メチラム(Metiram)、プロピネブ(Propineb)、ポリカルバマト(Polycarbamat)、チラム(Thiram)、ジラム(Ziram)、ジネブ(Zineb)、
複素環式化合物、例えばアニラジン(Anilazin)、ベノマイル(Benomyl)、ボスカリド(Boscalid)、カルベンダジム(Carbendazim)、カルボキン(Carboxin)、オキシカルボキシン(Oxycarboxin)、シアゾファミド(Cyazofamid)、ダゾメト(Dazomet)、ジチアノン(Dithianon)、ファモキサドン(Famoxadon)、フェナミドン(Fenamidon)、フェナリモル(Fenarimol)、フベリダゾール(Fuberidazol)、フルトラニル(Flutolanil)、フラメトピル(Furametpyr)、イソプロチオラン(Isoprothiolan)、メプロニル(Mepronil)、ヌアリモル(Nuarimol)、ピコベンズアミド(Picobenzamid)、プロベンアゾール(Probenazol)、プロキナジド(Proquinazid)、ピリフェノックス(Pyrifenox)、ピロキロン(Pyroquilon)、キノキシフェン(Quinoxyfen)、シルチオファム(Silthiofam)、チアベンダゾール(Thiabendazol)、チフルザミド(Thifluzamid)、チオファナトメチル(Thiophanat methyl)、チアジニル(Tiadinil)、トリシクラゾール(Tricyclazol)、トリフォリン(Triforine)、Mアノルガニカ(M Anorganika)、
ニトロフェニル誘導体、例えばビナパクリル(Binapacryl)、ジノキャプ(Dinocap)、ジノブトン(Dinobuton)、ニトロフタル−イソプロピル、
フェニルピロール、例えばフェンピクロニル(Fenpiclonil)、フルジオキソニル(Fludioxonil)、
スルホン酸誘導体、例えばキャプタフォル(Captafol)、キャプタン(Captan)、ジクロフルアニド(Dichlofluanid)、フォルペト(Folpet)、トリルフルアニド(Tolyfluanid)、
他の殺菌剤、例えばアシベンゾラル(Acibenzolar)−S−メチル、ベンチアバリカルブ(Benthiavalicarb)、キャルプロパミド(Carpropamid)、クロロタロニル(Chlorothalonil)、シフルフェナミド(Cyflufenamid)、シモキサニル(Cymoxanil)、ダゾメト(Dazomet)、ジクロメジン(Diclomezin)、ジクロシメト(Diclocymet)、ジクロフルアニド(Diclofluanid)、ジエトフェンカルブ(Diethofencarb)、エジフェンホス(Edifenphos)、エタボキサム(Ethaboxam)、フェンヘキサミド(Fenhexamid)、フェン錫−アセタト(Fentin-Acetat)、フェノキサニル(Fenoxanil)、フェリムゾン(Ferimzone)、フルアジナム(Fluazinam)、フォセチル(Fosetyl)、フォセチル−アルミニウム、亜リン酸、イプロバリカルブ(Iprovalicarb)、ヘキサクロルベンゾール(Hexachlorbenzol)、メトラフェノン(Metrafenon)、ペンシキュロン(Pencycuron)、プロパモカルブ(Propamocarb)、フタリド(Phthalid)、トロクロフォス−メチル(Toloclofos-methyl)、キントゼン(Quintozene)、ゾキサミド(Zoxamid)、
から選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の殺虫剤組成物。
【請求項5】
殺虫剤及び/又は防虫剤の粒径が50nm〜20μmの範囲、好ましくは50nm〜8μmの範囲、更に好ましくは50nm〜4μmの範囲、もっとも好ましくは50nm〜500nmの範囲である請求項1〜4のいずれか1項に記載の殺虫剤組成物。
【請求項6】
更に、水、防腐剤、浄化剤、安定剤、UV保護性を有する薬剤、蛍光増白剤、展着剤、拡散防止剤、発砲形成剤、湿潤剤、防汚剤、増粘剤、他の殺生物剤、可塑剤、接着剤、芳香剤、顔料及び染料からなる群から選択される1種以上の成分を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の殺虫剤組成物。
【請求項7】
約0.001〜95質量%の殺虫剤及び/又は防虫剤を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の殺虫剤組成物。
【請求項8】
最終使用者により行われるか、又は地元の工場で行われる含浸のためのキットとして設けられている請求項1〜7のいずれか1項に記載の殺虫剤組成物。
【請求項9】
キットにおける組成は、水の添加によって溶液又はエマルジョンの調製にあわせて変更する請求項8に記載の殺虫剤組成物。
【請求項10】
a)少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤と、
b1)請求項1又は2に記載の少なくとも1種のアクリルバインダと、及び/又は
b2)請求項1に記載の少なくとも1種のポリウレタンと、
を含み、昆虫の殺傷及び/又は虫除けに用いられる含浸テキスタイル材料又はプラスチック材料。
【請求項11】
請求項4に記載の殺虫剤及び/又は防虫剤を含む請求項10に記載の含浸テキスタイル材料又はプラスチック材料。
【請求項12】
更に、防腐剤、浄化剤、安定剤、UV保護性を有する薬剤、蛍光増白剤、展着剤、拡散防止剤、発砲形成剤、湿潤剤、防汚剤、増粘剤、他の殺生物剤、可塑剤、接着剤、芳香剤、顔料及び染料からなる群から選択される1種以上の成分を含む請求項10又は11に記載の含浸テキスタイル材料又はプラスチック材料。
【請求項13】
テキスタイル材料又はプラスチック材料の質量に対して、約0.001〜10質量%の少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤を含む請求項10〜12のいずれか1項に記載の含浸テキスタイル材料又はプラスチック材料。
【請求項14】
i)請求項1〜13のいずれか1項に記載の少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤及び少なくとも1種のアクリルバインダ及び/又は少なくとも1種のポリウレタンと、必要により他の成分と、を含む水性調製液又は溶融物を形成する工程、
ii)
iia)テキスタイル材料又はプラスチック材料を水性調製液に通過させるか、又は
iib)テキスタイル材料又はプラスチック材料を、水性調製液に部分的に又は完全に浸漬しているローラに接触させ、そして水性調製液を、ローラに接触しているテキスタイル材料又はプラスチック材料の一面に引き寄せるか、又は
iic)テキスタイル材料又はプラスチック材料を両面コーティングするか、又は
iid)水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料に噴霧し、且つその噴霧が手動で又は機械的に噴霧するための装置、例えば工場で用いられるエーロゾル缶又は装置を用いて行われるか、又は
iie)水性調製液をフォームの形で施すか、又は
iif)テキスタイル材料又はプラスチック材料を水性調製液中に沈めるか、又は
iig)水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料上に又はテキスタイル材料又はプラスチック材料中にはけ塗りするか、又は
iih)水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料に注ぐことにより水性調製液をテキスタイル材料又はプラスチック材料に施すか、或いは溶融物をカレンダ処理により又はドクターブレードを用いて施す工程、
iii)必要により、余分な水性調製液又は溶融物を除去する工程、及び
iv)テキスタイル材料又はプラスチック材料を乾燥及び/又は硬化する工程、
を含むテキスタイル材料又はプラスチック材料の含浸方法。
【請求項15】
工程iia)は、水性調製液を含む漕において、テキスタイル材料又はプラスチック材料を水性調製液に完全に沈めるか、或いはテキスタイル材料又はプラスチック材料を、2個の水平方向のローラの間に保持される水性調製液に通過させることによって行われる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
殺虫剤及び/又は防虫剤が請求項4に記載の殺虫剤及び/又は防虫剤である請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
水性調製液が、更に、浄化剤、安定剤、UV保護性を有する薬剤、蛍光増白剤、展着剤、拡散防止剤、防腐剤、発砲形成剤、湿潤剤、増粘剤、他の殺生物剤、可塑剤、接着剤、防汚剤、芳香剤、顔料及び染料からなる群から選択される1種以上の成分を含む請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
含浸組成物が、最終使用者により行われるか、又は地元の工場で行われる含浸のためのキットとして設けられている請求項14〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
テキスタイル材料又はプラスチック材料の染色が、テキスタイル材料又はプラスチック材料の含浸と同時に行われ、且つ少なくとも1種の染料及び/又は少なくとも1種の顔料を更に含む水性調製液を形成する請求項14〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1又は2に記載の少なくとも1種の殺虫剤及び/又は少なくとも1種の防虫剤及び少なくとも1種のアクリルバインダ及び/又は請求項1に記載の少なくとも1種のポリウレタンを含む組成物をテキスタイル材料又はプラスチック材料に施すことによるテキスタイル材料又はプラスチック材料の被覆方法。
【請求項21】
組成物が、更に、浄化剤、安定剤、UV保護性を有する薬剤、蛍光増白剤、展着剤、拡散防止剤、防腐剤、発砲形成剤、防汚剤、湿潤剤、増粘剤、他の殺生物剤、可塑剤、接着剤、芳香剤、顔料及び染料からなる群から選択される1種以上の成分を含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
i)テキスタイル材料又はプラスチック材料を、耐圧容器に含まれる他の添加剤を必要により含んでいても良い水性浴槽中に導入する工程、
ii)少なくとも1種の殺虫剤及び/又は防虫剤を含む水性調製液を添加する工程、
iii)水性浴槽を100〜140℃の温度に加熱し、その温度を20〜120分間保持する工程、及び
iv)水性浴槽を冷却し、排水し、そして含浸されたテキスタイル材料又はプラスチック材料を濯ぎ、乾燥する工程、
を含むテキスタイル材料又はプラスチック材料を含浸するための排気法。
【請求項23】
水性浴槽が、他の添加剤として、防腐剤、洗浄剤、フィラー、衝撃改良剤、防曇剤、発泡剤、澄まし剤、核剤、カップリング剤、導電性向上剤(耐電防止剤)、安定剤、例えば酸化防止剤、炭素及び酸素ラジカルのスカベンジャー及び分解剤の過酸化物、難燃剤、離型剤、UV保護性を有する薬剤、増白剤、展着剤、ブロッキング防止剤、拡散防止剤、発砲形成剤、防汚剤、増粘剤、他の殺生物剤、湿潤剤、可塑剤及びフィルム形成剤、接着剤又は粘着防止剤、蛍光増白剤(蛍光増白)、芳香剤、顔料及び染料からなる群から選択される1種以上の成分を含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1種の殺虫剤及び/又は防虫剤を含む水性調製液が、殺虫剤において水を除く各成分の合計に対して、0.1〜45質量%の水を含む請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
請求項22〜24のいずれか1項に記載の排気法により得られる含浸されたテキスタイル材料又はプラスチック材料。
【請求項26】
テキスタイル材料又はプラスチック材料が、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートから作製された網製品である請求項10〜13又は25のいずれか1項に記載の含浸されたテキスタイル材料又はプラスチック材料。

【公表番号】特表2007−524773(P2007−524773A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546037(P2006−546037)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014536
【国際公開番号】WO2005/064072
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】