説明

有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法

【課題】本発明は、工程数を増やすことなく、第1電極層上に配線抵抗を低減するための補助電極を形成することが可能な、新規な有機EL素子およびその製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、基板と、基板上にストライプ状に形成された第1電極層と、基板上に発光領域内および補助電極形成領域内の第1電極層が露出するように形成された絶縁層と、絶縁層上に第1電極層の長手方向に垂直にストライプ状に形成された第2電極層分断用隔壁と、絶縁層上に補助電極形成領域を囲むように形成され、所定の幅の開口部を有する補助電極形成用隔壁と、補助電極形成用隔壁の開口部を除く少なくとも発光領域内の第1電極層上に形成された有機EL層と、有機EL層上に形成された第2電極層と、補助電極形成領域内の第1電極層上に形成され、第2電極層と同一の材料からなる補助電極とを有することを特徴とする有機EL素子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陰極隔壁を有し、陽極上に配線抵抗を低減するための補助電極が形成されている有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パッシブ型の有機エレクトロルミネッセンス(以下、エレクトロルミネッセンスをELと略すことがある。)素子の製造方法として、陽極上に逆テーパー(逆台形)形状を有する絶縁性の隔壁を設け、その上から有機層および陰極を順に蒸着法により成膜することにより、陰極を分断する方法が知られている。
【0003】
また、パッシブ型の有機ELパネルの駆動時の配線抵抗を低減するために、陽極上に補助電極(配線ともいう。)を形成することが知られている。この補助電極を形成する場合、例えば、フォトリソグラフィー法による陽極のパターニング後に、補助電極を形成するために、さらにフォトリソグラフィー法によって抵抗率の比較的小さい金属の薄膜をパターニングする必要がある。そのため、工程数が増えるという問題があった。
【0004】
そこで、第1電極と第2電極との間に有機層が設けられている有機EL素子において、第2電極形成時に第1電極上に配線を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法では、第1電極上に、第1電極の一部分が露出するように絶縁膜を形成し、絶縁膜上に絶縁リブを形成し、絶縁膜および絶縁リブが形成された第1電極上に、第1電極の所定の部分が露出するように金属マスクを用いて有機層を形成し、有機層上に第2電極を形成することで、第2電極形成時に第1電極上に第2電極と同一の金属で配線を形成することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−306679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、工程数を増やすことなく、第1電極層上に配線抵抗を低減するための補助電極を形成することが可能な、新規な有機EL素子およびその製造方法を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、基板と、上記基板上にストライプ状に形成された第1電極層と、上記第1電極層が形成された基板上に、発光領域内および補助電極形成領域内の上記第1電極層が露出するように形成された絶縁層と、上記絶縁層上に、上記第1電極層の長手方向と直交する方向にストライプ状に形成された絶縁性の第2電極層分断用隔壁と、上記絶縁層上に、上記補助電極形成領域を囲むように形成され、所定の幅の開口部を有する絶縁性の補助電極形成用隔壁と、上記補助電極形成用隔壁の開口部を除く、少なくとも上記発光領域内の上記第1電極層上に形成され、発光層を含む有機EL層と、上記有機EL層上に形成された第2電極層と、上記補助電極形成領域内の上記第1電極層上に形成され、上記第2電極層と同一の材料からなる補助電極とを有することを特徴とする有機EL素子を提供する。
【0008】
本発明によれば、補助電極形成領域を囲むように、所定の幅の開口部を有する絶縁性の補助電極形成用隔壁が形成されているので、例えば有機層形成用塗工液を用いて発光層等の有機層を形成する場合には、有機層形成用塗工液が補助電極形成用隔壁の開口部に入り込むのを防ぐことができる。よって、補助電極形成用隔壁の開口部内に有機EL層を形成させないことが可能である。したがって、第2電極層形成時に、補助電極形成用隔壁の開口部内の第1電極層上に第2電極層と同一の材料を成膜することができる。すなわち、工程数を増やすことなく、第1電極層上に補助電極を形成することが可能な有機EL素子とすることができる。
【0009】
上記発明においては、上記絶縁層上に、上記補助電極形成用隔壁を囲むように形成された第2補助電極形成用隔壁を有していてもよい。この場合、有機層形成用塗工液が補助電極形成用隔壁の開口部に入り込むのを効果的に防ぐことができる。
【0010】
また本発明においては、上記第2電極層分断用隔壁の各々が、所定間隔をおいて平行に設けられた複数の小隔壁から構成されていることが好ましい。この場合、有機層形成用塗工液が小隔壁間に入り込むのを抑制することができ、第2電極層を確実に分断し、第2電極層分断用隔壁を挟んで位置する第2電極層間でショートするのを防止することができるからである。
【0011】
さらに本発明は、ストライプ状の第1電極層が形成された基板上に、発光領域内および補助電極形成領域内の上記第1電極層が露出するように絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、上記絶縁層上に、上記第1電極層の長手方向と直交する方向に延在するストライプ状の絶縁性の第2電極層分断用隔壁を形成するとともに、上記補助電極形成領域を囲むように、所定の幅の開口部を有する絶縁性の補助電極形成用隔壁を形成する隔壁形成工程と、上記絶縁層、上記第2電極層分断用隔壁および上記補助電極形成用隔壁が形成された上記第1電極層上に、発光層を含む有機EL層を構成する有機層のうち少なくとも1層の有機層を、印刷法、吐出法または転写法により形成する有機層形成工程を有し、上記有機EL層を形成する有機EL層形成工程と、上記有機EL層上に第2電極層を形成するとともに、上記補助電極形成領域内の上記第1電極層上に補助電極を形成する第2電極層形成工程とを有することを特徴とする有機EL素子の製造方法を提供する。
【0012】
本発明によれば、補助電極形成領域を囲むように、所定の幅の開口部を有する絶縁性の補助電極形成用隔壁を形成した後、絶縁層、第2電極層分断用隔壁および補助電極形成用隔壁が形成された第1電極層上に、有機層を印刷法、吐出法または転写法により形成するので、補助電極形成用隔壁の開口部に有機層形成用塗工液が入り込むのを防ぐことができる。よって、補助電極形成用隔壁の開口部内に有機EL層を形成させないことが可能である。したがって、第2電極層形成時に、補助電極形成用隔壁の開口部内の第1電極層上に第2電極層と同一の材料を成膜して、補助電極を形成することができる。すなわち、工程数を増やすことなく、第1電極層上に補助電極を形成することが可能である。
【0013】
上記発明においては、上記第2電極層形成工程が、上記有機エレクトロルミネッセンス層および上記補助電極形成領域内の上記第1電極層の上に、金属材料を成膜する工程であることが好ましい。第2電極層の材料としては抵抗が低いものであればよく、金属材料が最も適しているからである。
【0014】
この際、上記金属材料の成膜方法が真空蒸着法であってもよい。真空蒸着法は、ドライプロセスで有機EL層へのダメージが少ない方法であり、積層に適しているからである。
【0015】
また、上記金属材料として金属ペーストを用いてもよい。ウェットプロセスはドライプロセスよりも大面積の対応に適しているからである。ウェットプロセスであっても、有機EL層に影響を与えない溶媒が配合された金属ペーストは使用可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、補助電極形成領域を囲むように、所定の幅の開口部を有する絶縁性の補助電極形成用隔壁が形成されているので、補助電極形成用隔壁の開口部内に有機EL層を形成させないようにすることができ、工程数を増やすことなく、第1電極層上に補助電極を形成することが可能であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の有機EL素子およびその製造方法について詳細に説明する。
【0018】
A.有機EL素子
まず、本発明の有機EL素子について説明する。
本発明の有機EL素子は、基板と、上記基板上にストライプ状に形成された第1電極層と、上記第1電極層が形成された基板上に、発光領域内および補助電極形成領域内の上記第1電極層が露出するように形成された絶縁層と、上記絶縁層上に、上記第1電極層の長手方向と直交する方向にストライプ状に形成された絶縁性の第2電極層分断用隔壁と、上記絶縁層上に、上記補助電極形成領域を囲むように形成され、所定の幅の開口部を有する絶縁性の補助電極形成用隔壁と、上記補助電極形成用隔壁の開口部を除く、少なくとも上記発光領域内の上記第1電極層上に形成され、発光層を含む有機EL層と、上記有機EL層上に形成された第2電極層と、上記補助電極形成領域内の上記第1電極層上に形成され、上記第2電極層と同一の材料からなる補助電極とを有することを特徴とするものである。
【0019】
本発明の有機EL素子について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の有機EL素子の一例を示す上面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図である。なお、図1において、有機EL層および第2電極層は省略されている。
図1〜図3に例示する有機EL素子1は、基板2と、基板2上にストライプ状に形成された第1電極層3と、第1電極層3が形成された基板2上に、発光領域12内および補助電極形成領域13内の第1電極層3が露出するように形成された絶縁層4と、絶縁層4上に、第1電極層の長手方向11と直交する方向にストライプ状に形成された絶縁性の第2電極層分断用隔壁5と、絶縁層4上に、補助電極形成領域13を囲むように形成され、所定の幅dの開口部を有する絶縁性の補助電極形成用隔壁6と、補助電極形成用隔壁6の開口部を除く、少なくとも発光領域12内の第1電極層3上に形成され、発光層を含む有機EL層7と、有機EL層7上に形成された第2電極層8と、補助電極形成領域13内の第1電極層3上に形成され、第2電極層8と同一の材料からなる補助電極9とを有している。
【0020】
このような有機EL素子は、例えば図4および図5に示すように作製することができる。なお、図4(a)〜(d)は上面図、図5(a)は図4(a)のC1−C1線断面図、図5(b)は図4(b)のC2−C2線断面図、図5(c)は図4(c)のC3−C3線断面図、図5(d)は図4(d)のC4−C4線断面図である。図4(b)および(c)において第1電極層を一点鎖線、図4(d)において第2電極層分断用隔壁および補助電極用隔壁を二点鎖線で示している。
【0021】
まず、基板2上にストライプ状の第1電極層3を形成する(図4(a)および図5(a))。次いで、第1電極層3が形成された基板2上に、発光領域12内および補助電極形成領域13内の第1電極層3が露出するように絶縁層4を形成する(図4(b)および図5(b))。次に、絶縁層4上に、第1電極層の長手方向11と直交する方向に延在するストライプ状の絶縁性の第2電極層分断用隔壁5を形成するとともに、補助電極形成領域13を囲むように、所定の幅dの開口部を有する絶縁性の補助電極形成用隔壁6を形成する(図4(c)および図5(c))。
【0022】
次に、第2電極層分断用隔壁5および補助電極形成用隔壁6が形成された基板2上の全面に、印刷法、吐出法または転写法により有機層形成用塗工液を塗布し、有機層20を形成する(図4(d)および図5(d))。このとき、補助電極形成用隔壁6の開口部の幅が比較的狭いため、補助電極形成用隔壁6の開口部に有機層形成用塗工液が入り込むのを防ぐことができる。
【0023】
印刷法、吐出法または転写法の場合、補助電極形成用隔壁の開口部の幅が比較的狭いと、補助電極形成用隔壁の開口部に有機層形成用塗工液が入り込み難くなる理由については明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、印刷法では、補助電極形成用隔壁の開口部の幅が比較的狭いので、版やブランケットが補助電極形成用隔壁の開口部内の第1電極層表面に接触できなくなり、補助電極形成用隔壁の開口部に有機層形成用塗工液が入り込み難くなるものと思料される。転写法では、印刷法と同様に、補助電極形成用隔壁の開口部の幅が比較的狭いので、転写シートが補助電極形成用隔壁の開口部内の第1電極層表面に接触できなくなり、補助電極形成用隔壁の開口部に有機層形成用塗工液が入り込み難くなるものと思料される。また、吐出法では、有機層形成用塗工液を補助電極形成用隔壁の開口部内の第1電極層上に吐出しないことにより、補助電極形成用隔壁の開口部に有機層形成用塗工液を入り込み難くすることができる。
【0024】
よって、図4(d)および図5(d)に例示するように、補助電極形成用隔壁6の開口部に有機層20を形成しないようにすることができる。すなわち、補助電極形成領域13に有機層20を形成させないことが可能である。
【0025】
次いで、有機層20を含む有機EL層7が形成された基板2上の全面に、例えば金属材料を真空蒸着法により成膜し、第2電極層8および補助電極9を形成する(図5(e))。金属材料は補助電極形成用隔壁の開口部にも堆積されるので、図5(e)に例示するように、補助電極形成用隔壁6の開口部には補助電極9が形成される。よって、第1電極層3の直上に、第2電極層8と同一の材料で補助電極9を形成することができる。したがって、工程数を増やすことなく、第1電極層上に補助電極を形成することが可能である。
【0026】
この補助電極9は、図2に例示するように、補助電極形成領域13を囲むように形成された補助電極形成用隔壁6によって第2電極層8と分断されている。よって、補助電極形成領域13にて第1電極層3と補助電極9とが接触していても、第1電極層および第2電極層間でショートすることはない。
【0027】
図1〜図3に例示する有機EL素子において、第1電極層については、ストライプ状の第1電極層の長手方向に沿って電流が流れる。このとき、第1電極層の直上に補助電極が形成されているので、第1電極層の長手方向に沿って電流が流れやすくなり、配線抵抗による電圧低下を抑えることができる。一方、第2電極層については、第2電極層が第2電極層分断用隔壁によって分断されており、第1電極層の長手方向に対して垂直な方向に沿って電流が流れる。このとき、第2電極層分断用隔壁と補助電極形成用隔壁とは別体に形成されているので、補助電極形成用隔壁によって電流が遮られることはない。
【0028】
なお、「発光領域」とは、発光に寄与する領域をいう。
「補助電極形成領域」とは、補助電極が設けられる領域をいう。この補助電極形成領域は、絶縁層により画定される。
【0029】
以下、本発明の有機EL素子における各構成について説明する。
【0030】
1.絶縁層
本発明における絶縁層は、第1電極層が形成された基板上に、発光領域内および補助電極形成領域内の第1電極層が露出するように形成されるものである。絶縁層により、第1電極層と第2電極層とが接触してショートするのを防ぐことができる。
【0031】
絶縁層の形成位置としては、絶縁層が、発光領域内および補助電極形成領域内の第1電極層が露出するように形成されていればよい。
補助電極形成領域の幅は、補助電極が形成可能であり、補助電極形成用隔壁の開口部の幅以下であればよい。通常、補助電極形成領域の幅は、補助電極形成用隔壁の開口部の幅よりも小さくなるように設定される。具体的に、補助電極形成領域の幅は、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは60μm〜1μmの範囲内、さらに好ましくは30μm〜1μmの範囲内である。補助電極形成領域の幅が広すぎると、補助電極形成用隔壁の開口部の幅も広くなりすぎ、有機層形成用塗工液が補助電極形成用隔壁の開口部に入り込みやすくなり、第1電極層の直上に、第2電極層と同じ材料で補助電極を形成することが困難になるからである。一方、補助電極形成領域の幅が狭すぎると補助電極の形成が困難になるからである。
また、発光領域の大きさとしては、有機EL素子の用途等に応じて適宜選択される。
【0032】
絶縁層は、第1電極層の端部を覆うように形成されていることが好ましい。第1電極層の端部では有機EL層の厚みが薄くなるため、絶縁層を形成することでショートし難くすることができる。また隣り合う発光領域が電気的に接続されるのを防ぐことができるからである。絶縁層が形成された部分は、発光に寄与しない領域とすることができる。
【0033】
絶縁層の形成材料としては、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂等の光硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂、および無機材料等を挙げることができる。
【0034】
絶縁層の形成方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法等の一般的な方法を用いることができる。
【0035】
2.補助電極形成用隔壁
本発明における補助電極形成用隔壁は、上記絶縁層上に、補助電極形成領域を囲むように形成され、所定の幅の開口部を有するものである。この補助電極形成用隔壁は、絶縁性を有している。
【0036】
補助電極形成用隔壁の開口部の幅は、有機層の形成方法に応じて適宜調整されるものであるが、具体的には、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは60μm〜1μmの範囲内、さらに好ましくは30μm〜1μmの範囲内である。補助電極形成用隔壁の開口部の幅が広すぎると、有機層形成用塗工液が補助電極形成用隔壁の開口部に入り込みやすくなり、第1電極層の直上に、第2電極層と同じ材料で補助電極を形成することが困難になるからである。一方、補助電極形成用隔壁の開口部の幅が狭すぎるものは形成が困難であったり、また補助電極形成用隔壁の開口部の幅が狭すぎると有機層が補助電極形成用隔壁の開口部で連なって成膜されるおそれがあったりするからである。
【0037】
なお、補助電極形成用隔壁の開口部の幅は、光学顕微鏡、レーザ顕微鏡、走査型白色干渉法により測定することができる。
【0038】
補助電極形成用隔壁が所定の高さを有していれば、補助電極と第2電極層とを分断することができるため、補助電極形成用隔壁の断面形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、矩形状、台形状(順テーパー形状)、逆テーパー形状等が挙げられる。好ましくは、逆テーパー形状等のオーバーハング形状である。
【0039】
逆テーパー形状の場合、基板表面に対するテーパー角度θは、0°<θ<90°であればよいが、好ましくは20°<θ<80°、より好ましくは30°<θ<70°である。なお、逆テーパー形状の場合、テーパー角度θとは、図2に例示するような基板2表面に対するテーパー角度θ1をいう。
【0040】
補助電極形成用隔壁の高さとしては、基板表面から補助電極形成用隔壁表面までの高さが、発光領域の中心部における基板表面から第2電極層表面までの高さよりも高くなるように設定される。通常、補助電極形成用隔壁の高さは、第2電極層分断用隔壁の高さと同一である。
【0041】
補助電極形成用隔壁により画定される領域の幅は、500μm以下であることが好ましい。上記領域の幅が広すぎると、発光領域が相対的に狭くなるからである。
なお、補助電極形成用隔壁により画定される領域とは、図1に例示するような領域15をいう。
【0042】
補助電極形成用隔壁は、通常、ストライプ状の第1電極層の端に配置される。図1および図2に例示するように、ストライプ状の第1電極層3の片端に補助電極形成用隔壁6が形成されていてもよく、図6および図7に例示するように、ストライプ状の第1電極層3の両端に補助電極形成用隔壁6が形成されていてもよい。
なお、図6は上面図、図7は図6のD−D線断面図であり、図6において有機EL層および第2電極層は省略されている。
【0043】
補助電極形成用隔壁は、第2電極層分断用隔壁と一体に形成されていてもよい。この場合、第2電極層について第1電極層の長手方向に対して垂直な方向への電流を遮らないように、補助電極形成用隔壁が第2電極層分断用隔壁と一体に形成される。例えば図8および図9に示すように、補助電極形成用隔壁6が第2電極層分断用隔壁5と一体に形成されている場合には、第2電極層について第1電極層の長手方向に対して垂直な方向への電流を遮ることはない。
【0044】
本発明においては、図10および図11に例示するように、絶縁層4上に、補助電極形成用隔壁6aを囲むように第2補助電極形成用隔壁6bが形成されていてもよい。この場合、有機層形成用塗工液が補助電極形成用隔壁の開口部に入り込むのを効果的に防ぐことができる。
なお、図10は上面図、図11は図10のE−E線断面図であり、図10において有機EL層および第2電極層は省略されている。
【0045】
補助電極形成用隔壁と第2補助電極形成用隔壁との間隔は、補助電極形成用隔壁の開口部の幅と同様に、有機層形成用塗工液が入り込み難いものであることが好ましい。具体的に、補助電極形成用隔壁と第2補助電極形成用隔壁との間隔は、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは60μm〜1μmの範囲内、さらに好ましくは30μm〜1μmの範囲内である。補助電極形成用隔壁と第2補助電極形成用隔壁との間隔が上記範囲であれば、有機層形成用塗工液が補助電極形成用隔壁の開口部に入り込むのを効果的に防ぐことができる。
なお、補助電極形成用隔壁と第2補助電極形成用隔壁との間隔とは、図10に例示するような間隔k1、k2をいう。
【0046】
第2補助電極形成用隔壁により画定される領域の幅は、500μm以下であることが好ましい。上記領域の幅が広すぎると、発光領域が相対的に狭くなるからである。
なお、第2補助電極形成用隔壁により画定される領域とは、図10に例示するような領域16をいう。
【0047】
補助電極形成用隔壁の形成材料としては、例えば、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂、ノボラック系樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂等の光硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂、および無機材料等を挙げることができる。
【0048】
補助電極形成用隔壁の形成方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法等の一般的な方法を用いることができる。
【0049】
3.第2電極層分断用隔壁
本発明における第2電極層分断用隔壁は、上記絶縁層上に、第1電極層の長手方向と直交する方向にストライプ状に形成されるものである。この第2電極層分断用隔壁は絶縁性を有している。第2電極層分断用隔壁は、第2電極層を複数に分断するために設けられるものである。
【0050】
パッシブ型の有機EL素子の場合、通常、第1電極層がストライプ状に形成されることから、このストライプ状の第1電極層の長手方向に直交するように、第2電極層分断用隔壁もストライプ状に形成される。
【0051】
第2電極層分断用隔壁が所定の高さを有していれば、第2電極層を複数に分断することができるため、第2電極層分断用隔壁の断面形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、矩形状、台形状(順テーパー形状)、逆テーパー形状等が挙げられる。好ましくは、逆テーパー形状等のオーバーハング形状である。
【0052】
逆テーパー形状の場合、基板表面に対するテーパー角度θは、0°<θ<90°であればよいが、好ましくは20°<θ<80°、より好ましくは30°<θ<70°である。なお、逆テーパー形状の場合、テーパー角度θとは、図3に例示するような基板2表面に対するテーパー角度θ2をいう。
【0053】
第2電極層分断用隔壁の高さとしては、通常、基板表面から第2電極層分断用隔壁表面までの高さが、発光領域の中心部における基板表面から第2電極層表面までの高さよりも高くなるように設定される。
【0054】
第2電極層分断用隔壁の幅は、特に限定されるものではないが、100μm以下であることが好ましい。第2電極層分断用隔壁の幅が広すぎると、発光領域が相対的に狭くなるからである。
【0055】
第2電極層分断用隔壁の各々は、所定間隔をおいて平行に設けられた複数の小隔壁から構成されていることが好ましい。図12および図13に示す例においては、第2電極層分断用隔壁5の各々は、所定間隔mをおいて平行に設けられた2個の小隔壁5a,5bから構成されている。上記の補助電極形成用隔壁の開口部と同様に、小隔壁5a,5b間の間隔mが比較的狭いため、小隔壁5a,5b間に有機層形成用塗工液が入り込むのを抑制することができる。よって、第2電極層を確実に分断し、第2電極層分断用隔壁を挟んで位置する第2電極層間でショートするのを防止することが可能である。なお、図13は図12のF−F線断面図であり、図12において有機EL層および第2電極層は省略されている。
【0056】
なお、「小隔壁間の間隔」とは、第2電極層分断用隔壁を構成する複数の小隔壁のうち、隣接する小隔壁の向かい合う端部から端部までの距離をいう。
ここで、小隔壁の端部とは、小隔壁の最も外側の端部をいう。例えば、小隔壁の断面形状が逆テーパー形状である場合、小隔壁の端部は、図13に例示するように上底面の端部となる。また例えば、小隔壁の断面形状が順テーパー形状である場合、小隔壁の端部は、図14に例示するように下底面の端部となる。
【0057】
小隔壁間の間隔は、有機層を形成する際の塗布方法に応じて適宜調整されるものであるが、具体的には、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは60μm〜1μmの範囲内、さらに好ましくは30μm〜1μmの範囲内である。小隔壁間の間隔が広すぎると、有機層形成用塗工液が小隔壁間に入り込みやすくなり、第2電極層を分断することが困難となるおそれがあるからである。一方、小隔壁間の間隔が狭すぎるものは形成が困難であったり、また小隔壁間の間隔が狭すぎると有機層が小隔壁間で連なって成膜されるおそれがあったりするからである。
なお、小隔壁間の間隔は、光学顕微鏡、レーザ顕微鏡、走査型白色干渉法により測定することができる。
【0058】
第2電極層分断用隔壁を構成する小隔壁の数が3個以上である場合、通常、小隔壁間の間隔は等間隔とされる。
【0059】
第2電極層分断用隔壁を構成する小隔壁の数としては、複数であればよく、例えば、2個、3個等とすることができる。第2電極層分断用隔壁を構成する小隔壁の数が多すぎると、発光領域が相対的に狭くなることから、第2電極層分断用隔壁を構成する小隔壁の数は2個であることが好ましい。
【0060】
第2電極層分断用隔壁により画定される領域の幅は、300μm以下であることが好ましい。上記領域の幅が広すぎると、発光領域が相対的に狭くなるからである。
なお、第2電極層分断用隔壁により画定される領域とは、図12に例示するような領域17をいう。
【0061】
第2電極層分断用隔壁の形成材料としては、例えば、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂、ノボラック系樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂等の光硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂、および無機材料等を挙げることができる。
【0062】
第2電極層分断用隔壁の形成方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法等の一般的な方法を用いることができる。
【0063】
4.有機EL層
本発明における有機EL層は、上記補助電極形成用隔壁の開口部を除く、少なくとも発光領域内の第1電極層上に形成されるものである。この有機EL層は、少なくとも発光層を含んでいる。
【0064】
有機EL層の形成位置としては、有機EL層が、補助電極形成用隔壁の開口部を除く、少なくとも発光領域内の第1電極層上に形成されていればよい。すなわち、有機EL層を構成する各層が、少なくとも発光領域に形成され、補助電極形成用隔壁の開口部に形成されていなければよい。例えば、有機EL層7は、図2に示すように補助電極形成用隔壁6および第2電極層分断用隔壁(図示なし)の上に形成されていてもよく、図15に示すように補助電極形成用隔壁6および第2電極層分断用隔壁(図示なし)の上に形成されていなくてもよい。また、有機EL層が補助電極形成用隔壁および第2電極層分断用隔壁の上に形成されている場合、図2に例示するように有機EL層7が補助電極形成用隔壁6および第2電極層分断用隔壁(図示なし)上の全部に形成されていてもよく、図16に例示するように有機EL層7が補助電極形成用隔壁6および第2電極層分断用隔壁(図示なし)上の一部に形成されていてもよい。
【0065】
なお、有機EL層を構成する各層が、補助電極形成用隔壁の開口部に形成されていないことは、例えば、補助電極形成用隔壁の開口部における有機EL層の厚みを、Zygo社製の走査型白色干渉法またはキーエンス社製のレーザ顕微鏡により測定することにより、確認することができる。
【0066】
本発明に用いられる有機EL層は、少なくとも発光層を含む1層もしくは複数層の有機層を有するものである。すなわち、有機EL層とは、少なくとも発光層を含む層であり、その層構成が有機層1層以上の層をいう。通常、塗布によるウェットプロセスで有機EL層を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、1層もしくは2層の有機層で構成される場合が多いが、有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
【0067】
発光層以外に有機EL層を構成する有機層としては、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等を挙げることができる。正孔輸送層は、正孔注入層に正孔輸送の機能を付与することにより、正孔注入層と一体化される場合がある。また、電子輸送層は、電子注入層に電子輸送の機能を付与することにより、電子注入層と一体化される場合がある。さらに、有機EL層を構成する有機層としては、キャリアブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
【0068】
以下、有機EL層における各構成について説明する。
【0069】
(1)発光層
本発明における発光層に用いられる材料としては、例えば、色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料等の発光材料を挙げることができる。
【0070】
色素系材料としては、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーなどを挙げることができる。
【0071】
また、金属錯体系材料としては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロビウム錯体等、中心金属にAl、Zn、Be等または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体を挙げることができる。
【0072】
さらに、高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール等、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、およびそれらの共重合体等を挙げることができる。
【0073】
上記発光層中には、発光効率の向上、発光波長を変化させる等の目的でドーピング剤を添加してもよい。このようなドーピング剤としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体を挙げることができる。
【0074】
発光層の厚みとしては、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を発現することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、例えば1nm〜500nm程度とすることができる。
【0075】
発光層は、第2電極層分断用隔壁により分断される。この際、発光層は、赤・緑・青等の複数色の発光部を有するようにパターン状に形成されていることが好ましい。これにより、カラー表示が可能な有機EL素子を得ることができる。
この場合、図17および図18に例示するように、赤色の発光部21R、緑色の発光部21Gおよび青色の発光部21Bが、ストライプ状の第1電極層の長手方向11に対して平行にストライプ状に配列されていてもよく、図19および図20に例示するように、赤色の発光部21R、緑色の発光部21Gおよび青色の発光部21Bが、ストライプ状の第1電極層の長手方向11に対して垂直にストライプ状に配列されていてもよい。
なお、図17は上面図、図18は図17のG−G線断面図であり、図19は上面図、図20は図19のH−H線断面図である。図17および図19において、補助電極形成用隔壁を一点鎖線、第2電極層分断用隔壁を二点差線で示しており、第2電極層は省略されている。図17および図19において赤色の発光部21R、緑色の発光部21Gおよび青色の発光部21Bを省略したものは、図1に相当する。
【0076】
(2)正孔注入層
上述したように、正孔輸送層は、正孔注入層に正孔輸送の機能を付与することにより、正孔注入層と一体化される場合がある。すなわち、正孔注入層は、正孔注入機能のみを有していてもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有していてもよい。
【0077】
正孔注入層に用いられる材料としては、発光層内への正孔の注入を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではなく、上記発光層の発光材料に例示した化合物の他、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン誘導体等を用いることができる。具体的には、ビス(N−(1−ナフチル−N−フェニル)ベンジジン(α−NPD)、4,4,4−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、ポリ3,4エチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等が挙げられる。
【0078】
また、正孔注入層の厚みとしては、正孔注入機能や正孔輸送機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されないが、具体的には0.5nm〜1000nmの範囲内、中でも10nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。
【0079】
(3)電子注入層
上述したように、電子輸送層は、電子注入層に電子輸送の機能を付与することにより、電子注入層と一体化される場合がある。すなわち、電子注入層は、電子注入機能のみを有していてもよく、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有していてもよい。
【0080】
電子注入層に用いられる材料としては、発光層内への電子の注入を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではなく、上記発光層の発光材料に例示した化合物の他、アルミリチウム合金、フッ化リチウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、カルシウム、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、リチウム、セシウム、フッ化セシウム等のようにアルカリ金属類、およびアルカリ金属類のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体等を用いることができる。
【0081】
また、電子輸送性の有機材料にアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属をドープした金属ドープ層を形成し、これを電子注入層とすることもできる。上記電子輸送性の有機材料としては、例えばバソキュプロイン、バソフェナントロリン、フェナントロリン誘導体等を挙げることができ、ドープする金属としては、Li、Cs、Ba、Sr等が挙げられる。
【0082】
上記電子注入層の厚みとしては、電子注入機能や電子輸送機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されない。
【0083】
(4)電子輸送層
電子輸送層に用いられる材料としては、陰極から注入された電子を発光層内へ輸送することが可能な材料であれば特に限定されるものではなく、例えばバソキュプロイン、バソフェナントロリン、フェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)の誘導体等を挙げることができる。
【0084】
上記電子輸送層の厚みとしては、電子輸送機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されない。
【0085】
5.補助電極
本発明における補助電極は、補助電極形成領域内の第1電極層上に形成され、第2電極層と同一の材料からなるものである。
【0086】
補助電極の材料は、第2電極層と同一の材料であればよい。なお、第2電極層の材料については、後述の第2電極層の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
【0087】
本発明においては、補助電極は補助電極形成用隔壁により第2電極層と電気的に絶縁されているので、電圧の印加に関与しない。よって、補助電極が第1電極層に接触していても、第1電極層および第2電極層間でショートすることはない。
【0088】
6.第1電極層
本発明における第1電極層は、基板上にストライプ状に形成されるものである。
第1電極層は、陽極であっても陰極であってもよいが、通常は陽極として形成される。
【0089】
第1電極層は透明性を有していても有していなくてもよい。第1電極層の透明性は、光の取出し面等によって適宜選択される。例えば第1電極層側から光を取り出す場合は、第1電極層は透明または半透明である必要がある。
【0090】
陽極としては、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい導電性材料を用いることが好ましく、具体的には、ITO、酸化インジウム、金のような仕事関数の大きい金属、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等を挙げることができる。
【0091】
第1電極層は抵抗が小さいことが好ましく、一般には金属材料が用いられるが、有機化合物または無機化合物を用いてもよい。
【0092】
第1電極層の成膜方法としては、一般的な電極の成膜方法を用いることができ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法などを挙げることができる。また、第1電極層のパターニング方法としては、所望のパターンに精度よく形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、具体的にはフォトリソグラフィー法等を挙げることができる。
【0093】
7.第2電極層
本発明における第2電極層は、上記有機EL層上に形成されるものである。
第2電極層は、陽極であっても陰極であってもよいが、通常は陰極として形成される。
【0094】
また、第2電極層は、透明性を有していても有していなくてもよく、光の取出し面等によって適宜選択される。例えば第2電極層側から光を取り出す場合は、第2電極層は透明または半透明である必要がある。
【0095】
陰極としては、電子が注入しやすいように仕事関数の小さい導電性材料を用いることが好ましく、例えばMgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、Li、Caをはじめとするアルカリ金属類およびアルカリ土類金属類、または、アルカリ金属類およびアルカリ土類金属類の合金などが挙げられる。
【0096】
また、第2電極層は抵抗が小さいことが好ましく、一般には金属材料が用いられるが、有機化合物または無機化合物を用いてもよい。中でも、金属材料が好ましい。第2電極層の材料としては抵抗が低いものであればよく、金属材料が最も適しているからである。
【0097】
金属材料の成膜方法としては、一般的な電極の形成方法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の一般的な蒸着法や、金属ペーストを塗布する方法等が挙げられる。中でも、真空蒸着法、金属ペーストを塗布する方法が好ましい。真空蒸着法は、ドライプロセスで有機EL層へのダメージが少ない方法であり、積層に適している。また、金属ペーストを塗布する方法はウェットプロセスであり、ウェットプロセスはドライプロセスよりも大面積の対応に適している。ウェットプロセスであっても、有機EL層に影響を与えない溶媒が配合された金属ペーストは使用可能である。すなわち、有機EL層の耐溶剤性などによって有機EL層に影響を与えないように工夫することで、ウェットプロセスも適用可能となる。
【0098】
8.基板
本発明に用いられる基板は、上述の絶縁層、補助電極形成用隔壁、第2電極層分断用隔壁、第1電極層などを支持するものであり、所定の強度を有するものであれば特に限定されない。本発明においては、第1電極層が所定の強度を有する場合には、第1電極層が基板を兼ねるものであってもよいが、通常は所定の強度を有する基板上に第1電極層が形成される。
【0099】
基板としては、上記の隔壁や第1電極層等が形成可能であれば特に限定されるものではないが、例えば光の取出し面により光透過性が必要か否かが適宜決定される。一般的には、基板側を光の取出し面とすることが好ましいことから、基板は透明な材料で形成されることが好ましい。
【0100】
このような基板の形成材料としては、例えばソーダ石灰ガラス、アルカリガラス、鉛アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカガラス等のガラス板、またはフィルム状に成形が可能な樹脂基板等を用いることができる。この樹脂基板に用いる樹脂としては、耐溶媒性および耐熱性の比較的高い高分子材料であることが好ましい。具体的には、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリミクロイキシレンジメチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル−スチレン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、非晶質ポリオレフィン等が挙げられる。また、上記の他にも所定の条件を満たす高分子材料であれば使用可能であり、2種類以上の共重合体を用いることもできる。さらに必要に応じて水分、酸素等のガスを遮断するガスバリア性を有する基板を用いてもよい。
【0101】
9.導電層
本発明においては、第1電極層と補助電極との間および第1電極層と発光層との間に導電層が形成されていてもよい。また、第1電極層と補助電極との間および発光層と第2電極層との間に導電層が形成されていてもよい。この導電層は、発光領域および補助電極形成領域のいずれにも形成されるものである。
【0102】
導電層に用いられる材料としては、導電性を有し、補助電極の機能を阻害するものでなければ特に限定されるものではなく、例えば、導電性高分子や、アルカリ金属類およびアルカリ金属のハロゲン化物が挙げられる。
導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。より具体的には、ポリ3,4エチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)を用いることができる。
また、アルカリ金属類およびアルカリ金属のハロゲン化物としては、アルミリチウム合金、フッ化リチウム、ストロンチウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、カルシウム、リチウム、セシウム、フッ化セシウム等が挙げられる。
【0103】
B.有機EL素子の製造方法
次に、本発明の有機EL素子の製造方法について説明する。
本発明の有機EL素子の製造方法は、ストライプ状の第1電極層が形成された基板上に、発光領域内および補助電極形成領域内の上記第1電極層が露出するように絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、上記絶縁層上に、上記第1電極層の長手方向と直交する方向に延在するストライプ状の絶縁性の第2電極層分断用隔壁を形成するとともに、上記補助電極形成領域を囲むように、所定の幅の開口部を有する絶縁性の補助電極形成用隔壁を形成する隔壁形成工程と、上記絶縁層、上記第2電極層分断用隔壁および上記補助電極形成用隔壁が形成された上記第1電極層上に、発光層を含む有機EL層を構成する有機層のうち少なくとも1層の有機層を、印刷法、吐出法または転写法により形成する有機層形成工程を有し、上記有機EL層を形成する有機EL層形成工程と、上記有機EL層上に第2電極層を形成するとともに、上記補助電極形成領域内の上記第1電極層上に補助電極を形成する第2電極層形成工程とを有することを特徴とするものである。
【0104】
本発明の有機EL素子の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図4および図5は、本発明の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。なお、図4(a)〜(d)は上面図、図5(a)は図4(a)のC1−C1線断面図、図5(b)は図4(b)のC2−C2線断面図、図5(c)は図4(c)のC3−C3線断面図、図5(d)は図4(d)のC4−C4線断面図である。図4(b)および(c)において第1電極層を一点鎖線、図4(d)において第2電極層分断用隔壁および補助電極用隔壁を二点鎖線で示している。
【0105】
まず、基板2上にストライプ状の第1電極層3を形成する(図4(a)、図5(a))。次いで、第1電極層3が形成された基板2上に、発光領域12内および補助電極形成領域13内の第1電極層3が露出するように絶縁層4を形成する(図4(b)、図5(b)、絶縁層形成工程)。次に、絶縁層4上に、第1電極層の長手方向11と直交する方向に延在するストライプ状の絶縁性の第2電極層分断用隔壁5を形成するとともに、補助電極形成領域13を囲むように、所定の幅dの開口部を有する絶縁性の補助電極形成用隔壁6を形成する(図4(c)、図5(c)、隔壁形成工程)。
【0106】
次に、第2電極層分断用隔壁5および補助電極形成用隔壁6が形成された基板2上の全面に、印刷法、吐出法または転写法、例えばグラビア印刷法により有機層形成用塗工液を塗布し、有機層20を形成する(図4(d)、図5(d)、有機層形成工程)。このとき、補助電極形成用隔壁6の開口部の幅が比較的狭いため、補助電極形成用隔壁6の開口部に有機層形成用塗工液が入り込むのを防ぐことができる。
【0107】
印刷法、吐出法または転写法の場合、補助電極形成用隔壁の開口部の幅が比較的狭いと、補助電極形成用隔壁の開口部に有機層形成用塗工液が入り込み難くなる理由については明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、上記「A.有機EL素子」の項に記載したように、印刷法では、補助電極形成用隔壁の開口部の幅が比較的狭いので、版やブランケットが補助電極形成用隔壁の開口部内の第1電極層表面に接触できなくなり、補助電極形成用隔壁の開口部に有機層形成用塗工液が入り込み難くなるものと思料される。転写法では、印刷法と同様に、補助電極形成用隔壁の開口部の幅が比較的狭いので、転写シートが補助電極形成用隔壁の開口部内の第1電極層表面に接触できなくなり、補助電極形成用隔壁の開口部に有機層形成用塗工液が入り込み難くなるものと思料される。また、吐出法では、有機層形成用塗工液を補助電極形成用隔壁の開口部内の第1電極層上に吐出しないことにより、補助電極形成用隔壁の開口部に有機層形成用塗工液を入り込み難くすることができる。
【0108】
よって、図4(d)および図5(d)に例示するように、補助電極形成用隔壁6の開口部に有機層20を形成しないようにすることができる。すなわち、補助電極形成領域13に有機層20を形成させないことが可能である。
【0109】
次いで、図示しないが、有機層20を含む有機EL層を形成する。
次に、有機EL層7が形成された基板2上の全面に、例えば金属材料を真空蒸着法により成膜し、有機EL層7上に第2電極層8を形成するとともに、補助電極形成領域13内の第1電極層3上に補助電極9を形成する(図5(e)、第2電極層形成工程)。真空蒸着法等では金属材料が補助電極形成用隔壁の開口部にも堆積されるので、図5(e)に例示するように、補助電極形成用隔壁6の開口部には補助電極9が形成される。よって、第1電極層3と補助電極9とを接触させることができ、第1電極層3の直上に、第2電極層8と同一の材料で補助電極9を形成することができる。したがって、工程数を増やすことなく、第1電極層上に補助電極を形成することが可能である。
【0110】
以下、本発明の有機EL素子の製造方法における各工程について説明する。
【0111】
1.絶縁層形成工程
本発明における絶縁層形成工程は、ストライプ状の第1電極層が形成された基板上に、発光領域内および補助電極形成領域内の上記第1電極層が露出するように絶縁層を形成する工程である。
【0112】
なお、基板、第1電極層、絶縁層、および絶縁層の形成方法については、上記「A.有機EL素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0113】
2.隔壁形成工程
本発明における隔壁形成工程は、上記絶縁層上に、上記第1電極層の長手方向と直交する方向に延在するストライプ状の絶縁性の第2電極層分断用隔壁を形成するとともに、上記補助電極形成領域を囲むように、所定の幅の開口部を有する絶縁性の補助電極形成用隔壁を形成する工程である。
【0114】
なお、第2電極層分断用隔壁、補助電極形成用隔壁、およびこれらの隔壁の形成方法については、上記「A.有機EL素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0115】
3.有機EL層形成工程
本発明における有機EL層形成工程は、上記絶縁層、上記第2電極層分断用隔壁および上記補助電極形成用隔壁が形成された上記第1電極層上に、発光層を含む有機EL層を構成する有機層のうち少なくとも1層の有機層を、印刷法、吐出法または転写法により形成する有機層形成工程を有し、上記有機EL層を形成する工程である。
【0116】
有機EL層は、少なくとも発光層を含む1層もしくは複数層の有機層を有するものであり、その層構成については、上記「A.有機EL素子」の項に記載した通りである。本発明においては、有機EL層を構成する有機層のうち少なくとも1層の有機層を、印刷法、吐出法または転写法により形成すればよく、有機EL層を構成する他の層を、印刷法、吐出法および転写法、以外の方法で形成することができる。例えば、絶縁層、第2電極層分断用隔壁および補助電極形成用隔壁が形成された第1電極層上に、正孔注入層および発光層を印刷法、吐出法または転写法により順に形成した後に、発光層上に電子輸送層や電子注入層を印刷法、吐出法および転写法、以外の方法、例えば真空蒸着法により形成することができる。
【0117】
このように、有機EL層を構成する少なくとも1層の有機層を印刷法、吐出法または転写法により形成し、有機EL層を構成する他の層を印刷法、吐出法および転写法、以外の方法で形成してもよいが、中でも、有機EL層を構成する有機層のうち、湿式法で形成する有機層のすべてを印刷法、吐出法または転写法により形成することが好ましい。これにより、補助電極形成用隔壁の開口部に有機層を確実に形成しないようにすることができるからである。
【0118】
以下、有機層形成工程、ならびに、印刷法、吐出法および転写法、以外の方法で有機EL層を構成する層を形成する方法について説明する。
【0119】
(1)有機層形成工程
本発明における有機層形成工程は、上記絶縁層、上記第2電極層分断用隔壁および上記補助電極形成用隔壁が形成された上記第1電極層上に、発光層を含む有機EL層を構成する有機層のうち少なくとも1層の有機層を、印刷法、吐出法または転写法により形成する工程である。
【0120】
印刷法、吐出法または転写法により形成する有機層の数としては、1層以上であればよく、例えば1層、2層、3層等とすることができる。
【0121】
印刷法、吐出法または転写法により形成する有機層としては、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層が挙げられる。中でも、印刷法、吐出法または転写法により形成する有機層は、発光層であることが好ましい。また、印刷法、吐出法または転写法により形成する有機層は、正孔注入層および発光層であってもよい。
【0122】
上記有機層を形成する際には、絶縁層、第2電極層分断用隔壁および補助電極形成用隔壁が形成された第1電極層上に、有機層を形成するための有機層形成用塗工液を、印刷法、吐出法または転写法により塗布する。この有機層形成用塗工液には、有機層の種類に応じた材料が用いられる。
【0123】
有機層形成用塗工液は、上記有機層を構成する材料を溶媒に溶解もしくは分散させることにより調製される。溶媒としては、有機層を構成する材料に応じて適宜選択される。例えば、有機層として発光層を形成する場合、発光層形成用塗工液に用いられる溶媒としては、上述した発光材料を溶解もしくは分散させることができるものであれば特に限定されるものではなく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、テトラリン、メシチレン等を挙げることができる。
【0124】
印刷法としては、グラビア印刷法、活版印刷法、スクリーン印刷法などが挙げられる。吐出法としては、インクジェット法が挙げられる。インクジェット法の場合、有機層形成用塗工液を不連続的に吐出してもよく連続的に吐出してもよい。また、転写法としては、熱転写法が挙げられる。
【0125】
有機層形成用塗工液の塗布に際しては、絶縁層、第2電極層分断用隔壁および補助電極形成用隔壁が形成された第1電極層上の全面に有機層形成用塗工液を塗布してもよく、絶縁層、第2電極層分断用隔壁および補助電極形成用隔壁が形成された第1電極層上にパターン状に有機層形成用塗工液を塗布してもよい。
【0126】
また、有機層形成用塗工液の塗布に際しては、ストライプ状の第1電極層の長手方向に対して平行に有機層形成用塗工液を塗布してもよく、ストライプ状の第1電極層の長手方向に対して垂直に有機層形成用塗工液を塗布してもよい。例えば赤色の発光部21R、緑色の発光部21Gおよび青色の発光部21Bの3色の発光部を有するようにパターン状に発光層を形成する場合、図17に例示するように、ストライプ状の第1電極層の長手方向11に対して平行に各発光層形成用塗工液を塗布してもよく、図19に例示するように、ストライプ状の第1電極層の長手方向11に対して垂直に各発光層形成用塗工液を塗布してもよい。
【0127】
有機層形成用塗工液の塗布後は、乾燥を行ってもよい。
【0128】
(2)印刷法、吐出法および転写法、以外の方法で有機EL層を構成する層を形成する方法
本発明において、印刷法、吐出法および転写法、以外の方法で形成する他の層としては、発光層以外の層であることが好ましい。このような層としては、例えば、正孔注入層、電子注入層、電子輸送層等が挙げられる。
【0129】
印刷法、吐出法および転写法、以外の方法としては、真空蒸着法等の一般的な蒸着方法を用いることができる。マスクを用いて真空蒸着法等により層を形成することで、補助電極形成用隔壁の開口部に層を形成しないようにすることができる。
【0130】
4.第2電極層形成工程
本発明における第2電極層形成工程は、上記有機EL層上に第2電極層を形成するとともに、上記補助電極形成領域内の上記第1電極層上に補助電極を形成する工程である。
【0131】
なお、第2電極層、補助電極、およびこれらの電極の形成方法については、上記「A.有機EL素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0132】
5.導電層形成工程
本発明においては、有機EL層形成工程にて発光層を形成する前に、発光領域内および補助電極形成領域内の第1電極層上に導電層を形成する導電層形成工程を行ってもよい。この場合、第1電極層と発光層との間および第1電極層と補助電極との間に導電層が形成されることになる。また、有機EL層形成工程にて発光層を形成した後に、発光層および補助電極形成領域内の第1電極層の上に導電層を形成する導電層形成工程を行ってもよい。この場合、発光層と第2電極層の間および第1電極層と補助電極との間に導電層が形成されることになる。いずれの場合においても、導電層は、発光領域および補助電極形成領域の両方に形成されることになる。
【0133】
導電層の形成方法としては、印刷法、吐出法および転写法のいずれでもなければ特に限定されるものではなく、湿式法であってもよく乾式法であってもよい。
湿式法としては、塗工液を塗布する方法が挙げられる。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、ロールコート法、ブレードコート法、スピンコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、キャスト法、LB法等を挙げることができる。
乾式法としては、真空蒸着法等の一般的な蒸着方法を用いることができる。
【0134】
なお、導電層に用いられる材料については、上記「A.有機EL素子」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0135】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0136】
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
(透明電極層の形成)
まず、ガラス基板(厚み0.7mm)に対して、イオンプレーティング法により膜厚200nmの酸化インジウムスズ(ITO)電極膜を形成し、このITO電極膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、ITO電極膜のエッチングを行って、幅1.7mmのストライプ状の透明電極層を2.3mmピッチで30本形成した。
【0137】
(絶縁層の形成)
次に、上記のガラス基板(厚み0.7mm)に、洗浄処理と紫外線プラズマ洗浄を施し、その後、ポリイミド前駆体を主成分とするポジ型感光性レジストをスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィープロセスでパターニングして、各透明電極層上に1.5mm×1.0mmの発光領域(開口部)が2.3mmピッチで存在し、また各透明電極層上に1.5mm×0.02mmの補助電極形成領域(開口部)が2.3mmピッチで存在するように、絶縁層(厚み1.5μm)を形成した。
【0138】
(隔壁の形成)
次に、上記の絶縁層が形成されたガラス基板に、洗浄処理と紫外線プラズマ洗浄を施し、その後、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂からなるネガ型感光性レジストをスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィープロセスでパターニングして、絶縁層上に透明電極層と直交するように、ストライプ状で断面形状が逆テーパー状の第2電極層分断用隔壁を並列に形成した。この際、第2電極層分断用隔壁を構成する小隔壁の数は2個(2ライン)とした。小隔壁は、幅が50μm、厚みが4μm、逆テーパーの角度が50°であった。
また、上記第2電極層分断用隔壁を形成すると同時に、補助電極形成用隔壁を補助電極形成領域を囲むように形成した。補助電極形成用隔壁は幅が50μm、厚みが4μm、逆テーパーの角度が50°、開口部の幅が30μmであった。
【0139】
(正孔注入層用のインキおよび赤色発光層用のインキの調製)
次に、下記組成の正孔注入層用のインキA1を調製した。このインキA1のせん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)を、Physica社製の粘弾性測定装置MCR301型により定常流測定モードで測定した結果、15cPであった。また、2Hzにおける動的表面張力(インキ温度23℃)をSITA t60/2(SITA Messtechnik GmbH社製)を用いて測定した結果、30dyne/cmであった。
<正孔注入層用のインキA1の組成>
・PEDOT(ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン)/PSS(ポリスチレンスルフォネート)(混合比=1/20)(バイエル社製 Baytron PCH8000)
… 70重量%
・混合溶媒(水:イソプロピルアルコール(沸点82.4℃)=70:30)
… 30重量%
【0140】
次いで、下記組成の赤色発光層用のインキB1を調製した。このインキB1のせん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)を、上記のインキA1と同様に測定した結果、80cPであった。また、溶媒として使用するメシチレンとテトラリンの表面張力を、協和界面科学(株)製の表面張力計CBVP−Z型により、液温20℃で測定した。
<赤色発光層用のインキB1の組成>
・ポリフルオレン誘導体系の赤色発光材料(分子量:300,000)… 2.5重量%
・溶媒(メシチレン:テトラリン=50:50の混合溶媒) …97.5重量%
(混合溶媒の表面張力=32dyne/cm、沸点=186℃)
(メシチレンの表面張力=28dyne/cm、沸点=165℃)
(テトラリンの表面張力=35.5dyne/cm、沸点=207℃)
【0141】
(正孔注入層および発光層の形成)
グラビア版として、セル間隔25μmとなるように格子形状に配列された正方形のセル(セルの一辺が100μm、セルの深さ35μm)を備えた板状のグラビア版(有効幅80mm)を準備した。このグラビア版では、正方形のセルの対角線方向を、後述のブランケットの稼動方向と一致させた。
次に、樹脂フィルムとして、易接着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製 U10、厚み100μm、表面張力60dyne/cm)を準備した。なお、このフィルムの表面張力は、2種以上の表面張力が判っている液体(標準物質)を使用して、自動接触角計(協和界面科学(株)製 DropMaster 700型)にて接触角θを測定し、γs(樹脂フィルムの表面張力)=γL(液体の表面張力)cosθ+γSL(樹脂フィルムと液体の表面張力)の式に基づいて求めた。
次いで、直径12cm、胴幅30cmのブランケット胴(表面にクッション層(硬度70°)を備える)の周面に、上記の樹脂フィルムを装着してブランケットを作製した。なお、クッション層の硬度はJIS(K6253)デュロメータ硬さ試験によるTypeA硬度である。
【0142】
次に、上記のグラビア版とブランケットを平台オフセット印刷機に装着し、グラビア版に上記の正孔注入層用のインキA1を供給し、ブレードを用いて不要なインキを除去して、セル内にインキを充填した。次いで、グラビア版からブランケットにインキを受理させ、その後、ブランケットから上記の隔壁等が形成されたガラス基板上にインキを転移させることによって、正孔注入層(厚み約70nm)の形成を行った。なお、印刷速度は1000mm/秒であり、乾燥は120℃に設定したホットプレート上で1時間とした。この正孔注入層は80mm×80mmであり、上記の絶縁層の開口部を被覆するように形成した。
【0143】
次いで、グラビア版に上記の赤色発光層用のインキB1を供給し、正孔注入層の形成と同様の作業によって、赤色発光層(厚み約70nm)の形成を行った。なお、印刷速度は1000mm/秒であり、乾燥は180℃に設定したホットプレート上で1時間とした。この赤色発光層は80mm×80mmであり、上記の正孔注入層を被覆するように形成した。
【0144】
(導電層の形成)
赤色発光層を形成した面側に、90mm×90mmの開口部を備えたメタルマスクを配置した。次に、このマスクを介して真空蒸着法によりカルシウムを蒸着(蒸着速度=0.1nm/秒)して導電層(厚み10nm)を形成した。
【0145】
(第2電極層の形成)
次に、導電層の形成に用いたメタルマスクをそのまま使用して、真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着(蒸着速度=0.4nm/秒)した。これにより、導電層上に、アルミニウムからなる90mm×90mmの第2電極層(厚み300nm)を形成した。
最後に、第2電極層を形成した面側に、紫外線硬化型接着剤を介して封止板を貼り合わせることにより、有機EL素子を得た。
【0146】
[比較例1]
下記のようにして絶縁層および隔壁を形成した以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0147】
(絶縁層の形成)
透明電極層が形成されたガラス基板(厚み0.7mm)に、洗浄処理と紫外線プラズマ洗浄を施し、その後、ポリイミド前駆体を主成分とするポジ型感光性レジストをスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィープロセスでパターニングして、各透明電極層上に1.5mm×1.0mmの発光領域(開口部)が2.3mmピッチで存在するように絶縁層(厚み1.5μm)を形成した。
【0148】
(隔壁の形成)
次に、上記の絶縁層が形成されたガラス基板に、洗浄処理と紫外線プラズマ洗浄を施し、その後、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂からなるネガ型感光性レジストをスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィープロセスでパターニングして、絶縁層上に透明電極層と直交するように、ストライプ状で断面形状が逆テーパー状の隔壁を並列に形成した。この際、隔壁を構成する小隔壁の数は2個(2ライン)とした。小隔壁は、幅が50μm、厚みが4μm、逆テーパーの角度が50°であった。
【0149】
[比較例2]
下記のようにして正孔注入層および発光層を形成した以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0150】
(正孔注入層用のインキおよび赤色発光層用のインキの調製)
下記組成の正孔注入層用のインキを調製した。
<正孔注入層用のインキの組成>
・PEDOT(ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン)/PSS(ポリスチレンスルフォネート)(混合比=1/20)(バイエル社製 Baytron PCH8000)
【0151】
また、下記組成の赤色発光層用のインキを調製した。
<赤色発光層用のインキの組成>
・ポリフルオレン誘導体系の赤色発光材料(分子量:300,000)… 1.5重量%
・溶媒(キシレン) …98.5重量%
【0152】
(正孔注入層および発光層の形成)
スピンコーターを用いて、正孔注入層(厚み約70nm)の形成を行った。なお、回転数3000rpmであり、乾燥は120℃に設定したホットプレート上で1時間とした。この際、絶縁層の開口部を被覆するように正孔注入層を形成した。
次に、スピンコーターを用いて、発光層(厚み約70nm)の形成を行った。なお、回転数1500rpmであり、乾燥は180℃に設定したホットプレート上で1時間とした。この際、上記正孔注入層を被覆するように発光層を形成した。
【0153】
[評価]
実施例1および比較例1、2について、次のようにして評価を行った。評価は電圧印加によって、選択位置(選択ライン)の輝度測定を行い、輝度の均一状況を評価した。選択位置としては、図21おいて、第1電極層の長手方向11、第2電極層の長手方向31、第1電極層の電圧印加位置32、第2電極層の電圧印加位置33としたとき、第1電極層の電圧印加位置32に最も近い箇所を選択位置Iとし、第1電極層の電圧印加位置32に最も遠い箇所を選択位置IIとした。
実施例1では、一定電圧で選択位置Iの輝度を100%としたとき、選択位置IIの輝度は95%であった。
比較例1では、一定電圧で選択位置Iの輝度を100%としたとき、選択位置IIの輝度は80%であった。
比較例2では、一定電圧で選択位置Iの輝度を100%としたとき、選択位置IIの輝度は82%であった。
なお、比較例2の結果から、スピンコート法は、印刷法、吐出法および転写法のいずれにも該当しなく、本発明に適さないことがわかった。
【0154】
[実施例2]
小隔壁の間隔を30μmとして第2電極層分断用隔壁を形成し、下記のようにして正孔注入層および発光層を形成し、第2電極層を形成した以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
なお、第2電極層分断用隔壁を形成する際には、後述の正孔注入層および発光層の形成時に基板上に着弾したインクが流出しないように、基板の外縁に、第2電極層分断用隔壁の短辺の端部と接合するように枠状の隔壁を形成した。この枠状の隔壁は電極分離領域よりも外側に設けた。
【0155】
(正孔注入層および発光層の形成)
マイクロドロップ社のマイクロドロップシステム(ディスペンサーヘッド MD-K-140)を用いて、実施例1で用いた正孔注入層用のインキA1を第2電極層分断用隔壁間に吐出した。この際、着弾したインクは第2電極層分断用隔壁の高さで保持されるようにした。またこの際、インクをディスペンサーヘッドのヒーターで加熱して吐出し、塗布方向は第2電極層分断用隔壁の長手方向と平行方向とした。インクの吐出後は、自然乾燥させ、さらに120℃に設定したホットプレート上で1時間乾燥させた。これにより、正孔注入層(厚み約70nm)を形成した。この正孔注入層は80mm×80mm領域でライン状に形成されており、絶縁層の開口部を被覆するように形成した。
【0156】
次いで、マイクロドロップ社のマイクロドロップシステム(ディスペンサーヘッド MD-K-140)を用いて、実施例1で用いた赤色発光層用のインキB1を第2電極層分断用隔壁間に吐出した。この際、着弾したインクは第2電極層分断用隔壁の高さで保持されるようにした。またこの際、インクをディスペンサーヘッドのヒーターで加熱して吐出し、塗布方向は第2電極層分断用隔壁の長手方向と平行方向とした。インクの吐出後は、自然乾燥させ、さらに180℃に設定したホットプレート上で1時間乾燥させた。これにより、赤色発光層(厚み約70nm)を形成した。この赤色発光層は80mm×80mm領域でライン状に形成されており、上記の正孔注入層を被覆するように形成した。
【0157】
(第2電極層の形成)
次に、導電層の形成に用いたメタルマスクをそのまま使用して、真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着(蒸着速度=0.4nm/秒)した。これにより、導電層上に、アルミニウムからなる90mm×90mmの第2電極層(厚み300nm)を形成した。
【0158】
[実施例3]
下記のようにして電子注入層および第2電極層を形成した以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0159】
(電子注入層の形成)
赤色発光層を形成した面側に、発光領域が開口となるメタルマスクを配置した。次に、このマスクを介して真空蒸着法によりカルシウムを蒸着(蒸着速度=0.1nm/秒)して、補助電極形成領域にはカルシウムが蒸着されないように電子注入層(厚み10nm)を形成した。
【0160】
(第2電極層の形成)
次に、90mm×90mmの開口部を備えたメタルマスクを使用して、真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着(蒸着速度=0.4nm/秒)した。これにより、電子注入層上に、アルミニウムからなる90mm×90mmの第2電極層(厚み300nm)を形成した。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明の有機EL素子の一例を示す模式図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】本発明の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。
【図5】本発明の有機EL素子の製造方法の他の例を示す工程図である。
【図6】本発明の有機EL素子の他の例を示す模式図である。
【図7】図6のD−D線断面図である。
【図8】本発明の有機EL素子の他の例を示す模式図である。
【図9】本発明の有機EL素子の他の例を示す模式図である。
【図10】本発明の有機EL素子の他の例を示す模式図である。
【図11】図10のE−E線断面図である。
【図12】本発明の有機EL素子の他の例を示す模式図である。
【図13】図12のF−F線断面図である。
【図14】本発明の有機EL素子の他の例を示す概略断面図である。
【図15】本発明の有機EL素子の他の例を示す概略断面図である。
【図16】本発明の有機EL素子の他の例を示す概略断面図である。
【図17】本発明の有機EL素子の他の例を示す模式図である。
【図18】図17のG−G線断面図である。
【図19】本発明の有機EL素子の他の例を示す模式図である。
【図20】図19のH−H線断面図である。
【図21】実施例および比較例の評価方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0162】
1 … 有機EL素子
2 … 基板
3 … 第1電極層
4 … 絶縁層
5 … 第2電極層分断用隔壁
6、6a … 補助電極形成用隔壁
6b … 第2補助電極形成用隔壁
7 … 有機EL層
8 … 第2電極層
9 … 補助電極
11 … 第1電極層の長手方向
12 … 発光領域
13 … 補助電極形成領域
20 … 有機層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上にストライプ状に形成された第1電極層と、
前記第1電極層が形成された基板上に、発光領域内および補助電極形成領域内の前記第1電極層が露出するように形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に、前記第1電極層の長手方向と直交する方向にストライプ状に形成された絶縁性の第2電極層分断用隔壁と、
前記絶縁層上に、前記補助電極形成領域を囲むように形成され、所定の幅の開口部を有する絶縁性の補助電極形成用隔壁と、
前記補助電極形成用隔壁の開口部を除く、少なくとも前記発光領域内の前記第1電極層上に形成され、発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層と、
前記有機エレクトロルミネッセンス層上に形成された第2電極層と、
前記補助電極形成領域内の前記第1電極層上に形成され、前記第2電極層と同一の材料からなる補助電極と
を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
前記絶縁層上に、前記補助電極形成用隔壁を囲むように形成された第2補助電極形成用隔壁を有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記第2電極層分断用隔壁の各々が、所定間隔をおいて平行に設けられた複数の小隔壁から構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
ストライプ状の第1電極層が形成された基板上に、発光領域内および補助電極形成領域内の前記第1電極層が露出するように絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記絶縁層上に、前記第1電極層の長手方向と直交する方向に延在するストライプ状の絶縁性の第2電極層分断用隔壁を形成するとともに、前記補助電極形成領域を囲むように、所定の幅の開口部を有する絶縁性の補助電極形成用隔壁を形成する隔壁形成工程と、
前記絶縁層、前記第2電極層分断用隔壁および前記補助電極形成用隔壁が形成された前記第1電極層上に、発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層を構成する有機層のうち少なくとも1層の有機層を、印刷法、吐出法または転写法により形成する有機層形成工程を有し、前記有機エレクトロルミネッセンス層を形成する有機エレクトロルミネッセンス層形成工程と、
前記有機エレクトロルミネッセンス層上に第2電極層を形成するとともに、前記補助電極形成領域内の前記第1電極層上に補助電極を形成する第2電極層形成工程と
を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項5】
前記第2電極層形成工程が、前記有機エレクトロルミネッセンス層および前記補助電極形成領域内の前記第1電極層の上に、金属材料を成膜する工程であることを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項6】
前記金属材料の成膜方法が真空蒸着法であることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項7】
前記金属材料として金属ペーストを用いることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−80310(P2010−80310A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248255(P2008−248255)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】