説明

有機ケイ素前駆体を使用するPECVD被覆材

PECVDによる基板表面の被覆方法を提供し、当該方法は、有機ケイ素前駆体と随意にO2からなるガス状反応物質からプラズマを生成する手法からなる。当該被覆材の潤滑性、疎水性および/または遮断性は、ガス状反応物質内のO2対有機ケイ素前駆体の比率の設定により、および/またはプラズマ生成に使用する電力の設定により決定される。特に、前述方法により生成される潤滑性被覆材を提供する。前述方法により被覆される容器、および非被覆容器表面の機械的および/または化学的作用から前述の被覆容器内に含有されるまたは収受される化合物または組成物を保護するためのかかる容器の使用法も提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体表面の被覆材の潤滑性を設定する方法であって、
(a) 基体表面付近に、有機ケイ素前駆体と、随意的なO2とからなるガス状反応物質とを提供すること、
(b) ガス状反応物質からプラズマを発生させ、かくしてプラズマ促進化学蒸着(PECVD)により基体表面上に被覆材を形成すること、を含み、
前記被覆材の潤滑性が、ガス状反応物質内のO2対有機ケイ素前駆体の比率の設定により、および/またはプラズマ発生に使用する電力の設定により決定される方法。
【請求項2】
基体上に疎水性被覆材を生成する方法であって、
(a) 基体表面付近に、有機ケイ素前駆体と随意的なO2とからなるガス状反応物質を提供すること、
(b) ガス状反応物質からプラズマを発生させ、かくしてプラズマ促進化学蒸着(PECVD)により基体表面上に被覆材を形成すること、を含み、
前記被覆材の疎水性が、ガス状反応物質内のO2対有機ケイ素前駆体の比率の設定により、および/またはプラズマ生成に使用する電力の設定により決定される方法。
【請求項3】
有機ケイ素前駆体の総和公式と比較して原子比率C :Oが増加しおよび/または原子比率Si :Oが減少する総和公式により特徴付けられる被覆材が生成される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
O2のガス状反応物質に対する体積/体積比が0:1〜5:1であり、随意的には0:1〜1:1であり、随意的には0:1〜0.5:1であり、随意的には0:1〜0.1:1であり、好ましくは酸素が少なくとも本質的にガス状反応物質内に存在しない請求項1〜3いずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ガス状反応物質が1体積%未満のO2、より詳細には0.5体積%未満O2を含み、好ましくはO2が含まれていない、請求項1〜4いずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
プラズマが非中空陰極プラズマである、請求項1〜5いずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
(i) プラズマが、基体表面に被覆材を生成するのに十分な電力を受ける電極で生成され、好ましくは0.1〜25W、より好ましくは1〜22W、さらにより好ましくは3〜17W、さらに好ましくは5〜14W、最も好ましくは7〜11W、特に8Wの電力を受ける電極で生成され、および/または
(ii) 電極電力対プラズマ量の比が10 W/ml未満であり、好ましくは5W/ml〜0.1W/ml、より好ましくは4W/ml〜0.1W/ml、最も好ましくは2W/ml〜0.2W/mlである請求項1〜6いずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
基体表面上に被覆材を生成する方法であって、
(a)基体表面付近における、有機ケイ素前駆体と随意的なO2とからなるガス状反応物質を提供すること
(b) 減圧下にガス状反応物質から非中空陰極プラズマを発生させ、かくしてプラズマ促進化学蒸着(PECVD)により基体表面上に被覆材を形成すること、を含み、
前記被覆材の物理的および化学的性質が、ガス状反応物質内のO2対有機ケイ素前駆体の比率の設定により、および/またはプラズマ発生に使用する電力の設定により決定される方法。
【請求項9】
基体上に遮断性被覆材を生成する方法であって、
(a) 基体表面付近に、有機ケイ素前駆体とO2とからなるガス状反応物質を提供すること、
(b) 減圧下にガス状反応物質から非中空陰極プラズマを発生させ、かくしてプラズマ促進化学蒸着(PECVD)により基体表面上に被覆材を形成すること、を含み、
前記被覆のバリア性が、ガス状反応物質内のO2対有機ケイ素前駆体の比率の設定により、および/またはプラズマ発生に使用する電力の設定により決定される方法。
【請求項10】
(i) プラズマが、前記基体表面に被覆材を生成するのに十分な電力を受ける電極で生成され、好ましくは8〜500W、より好ましくは20〜400W、さらにより好ましくは35〜350W、さらに好ましくは44〜300W、最も好ましくは44〜70Wの電力を受ける電極で生成され; および/または
(ii) 当該電極電力対プラズマ量の比が5 W/ml以上であり、好ましくは6W/ml〜150W/ml、より好ましくは7W/ml〜100W/ml、最も好ましくは7W/ml〜20W/mlである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
O2のガス状反応物質に対する体積/体積比が1 :1〜100 :1であり、好ましくは5 :1〜30 :1であり、より好ましくは10 :1〜20 :1であり、さらにより好ましくは15 :1.である、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
有機ケイ素前駆体が、線状シロキサン、単環シロキサン、多環シロキサン、ポリシルセスキオキサン、線状シラザン、単環シラザン、多環シラザン、ポリシルセスキアザン、アルキル・トリメトキシシロキサン、およびこれらの化合物2つ以上の複合体からなる群から選択され、
好ましくは線状または単環シロキサンである請求項1〜11いずれかに1項に記載の方法。
【請求項13】
有機ケイ素前駆体が単環シロキサンであり、好ましくはOMCTSである請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
有機ケイ素前駆体が線状シロキサンであり、好ましくはHMDSOである請求項2または9に記載の方法。
【請求項15】
基体がポリカーボネート、オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体、およびポリエステルからなる群から選択されるポリマーであり、好ましくは環状オレフィン共重合体、テレフタル酸ポリエチレン、またはポリプロピレンである、請求項1〜14いずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
プラズマが高周波電極により発生され、前記高周波数が好ましくは10kHz〜300MH未満、より好ましくは1〜50MHz、さらにより好ましくは10〜15MHz、最も好ましくは13.56MHzである、請求項1〜15いずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜16いずれかに記載の方法により得られる被覆材。
【請求項18】
潤滑性および/または疎水性被覆材である、請求項17に記載の被覆材。
【請求項19】
炭素の酸素に対する原子比率が有機ケイ素前駆体と比較して増加し、および/または酸素の対ケイ素原子比率が有機ケイ素前駆体と比較して減少する、請求項18に記載の被覆材。
【請求項20】
被覆材が、
(i) 非被覆表面より低い摩擦抵抗、好ましくは非被覆表面と比較して少なくとも25%減、より好ましくは少なくとも45%減、さらに好ましくは少なくとも60%減の摩擦抵抗を有する請求項18または19に記載の被覆材。
【請求項21】
被覆材が、
(i) 非被覆表面より低いぬれ張力、好ましくは20〜72ダイン/cm、より好ましくは30〜60ダイン/cm、より好ましくは30〜40ダイン/cm、好ましくは34ダイン/cmのぬれ張力、および/または
(iv) 非被覆表面より高い疎水性を有する請求項18〜20いずれか1項に記載の被覆材。
【請求項22】
内部表面の少なくとも一部に請求項17〜21いずれか1項に記載の被覆材を使用した被覆容器であって、好ましくは、
(i) 検体採取管、特に採血管、または
(ii) バイアル、または
(iii) シリンジまたはシリンジ部品、特定のシリンジバレルまたはシリンジプランジャー、または
(iv) 導管、または
(v) キュベットの何れかである被覆容器。
【請求項23】
(i) 被覆材がSiOx層と基体表面の間に位置し、またはその逆であり、あるいは、
(ii) 被覆材が2層のSiOxの間に位置し、またはその逆であり、あるいは、
(iii) SiOx層と被覆材がSiwOxCyHz のSiOxへの段階的組成物であり、またはその逆であること、を満たす少なくとも1層のSiOx膜(xは1.5〜2.9)からなる、請求項22に記載の被覆容器。
【請求項24】
内腔に、化合物または組成物、好ましくは生物学的に活性な化合物または組成物または生物学的流体、より好ましくは、(i) クエン酸塩またはクエン酸塩を含む組成物、(ii) 特にインスリンまたはインスリン組成物である薬剤、または (iii) 血液または血球を含む請求項22または23に記載の被覆容器。
【請求項25】
請求項1に記載の方法に従い製造されるシリンジバレルであって、前記前駆体がシロキサン、好ましくは単環シロキサン、より好ましくはオクタメチルシクロテトラシロキサンであり、手順 (a) において前記ガス状反応物質内に実質上O2が含まれず、当該プランジャーを被覆シリンジバレル内で移動させるための力が非被覆シリンジバレルと比較して少なくとも25 %、より好ましくは少なくとも45%、さらにより好ましくは60%減少する請求項22〜24いずれか1項に記載の被覆容器。
【請求項26】
総和公式SiwOxCyHz(wは1、xは0.5〜2.4、yは0.6 〜3、およびzは2〜9)を有する被覆材の、
(i) 非被覆表面より摩擦抵抗が低い潤滑性被覆材、および/または
(ii) 非被覆表面より疎水性が高い疎水性被覆材の各用途における使用。
【請求項27】
非被覆容器の基体表面の機械的および/または化学的作用から被覆容器内に含まれるまたは収受される化合物または組成物を保護するための、好ましくは容器内面と接触する化合物または組成成分の沈殿および/または凝固を防止するための、請求項22〜25いずれか1項に記載の被覆容器の使用。
【請求項28】
化合物または組成物が、
(i) 生物学的に活性な化合物または組成物、好ましくは薬剤、より好ましくはインスリンまたはインスリン沈殿を削減/防止するインスリンからなる組成物であること、または
(ii) 生物学的流体、好ましくは体液、より好ましくは血液または血液凝固を減少または防止する血液分画であることを、満たす請求項27に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【公表番号】特表2012−526922(P2012−526922A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510983(P2012−510983)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/034586
【国際公開番号】WO2010/132591
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(512082716)エスアイオーツー・メディカル・プロダクツ・インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】