説明

有機発光ダイオード表示装置

【課題】駆動スイッチング素子の劣化を防止できる有機発光ダイオード表示装置の提供。
【解決手段】発光ダイオードを備えた画素セルと、データ信号を伝送するデータラインと、互いに異なる大きさを持つゲート高電圧、第1ゲート低電圧、及びデータ信号と相反する極性を持つ第2ゲート低電圧からなるゲート信号を伝送するゲートラインとを含み、各画素セルは、ゲートラインからの第1ゲート高電圧によってデータラインとノード間を接続させる信号伝達スイッチング素子と、ノードの信号状態で発光ダイオードに供給される駆動電流の大きさを制御する駆動スイッチング素子と、ノードと駆動スイッチング素子のソース電極またはドレイン電極間に接続されたストレージキャパシタと、ゲートラインからの第2ゲート低電圧及び制御ラインからの制御信号でゲートラインとノード間を接続させる制御スイッチング素子とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード表示装置に関するもので、特に、駆動スイッチング素子の劣化を防止できる有機発光ダイオード表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、陰極線管に比べて重さと体積が小さい各種の平板表示装置が開発されており、特に発光効率、輝度及び視野角に優れており、応答速度の速い発光表示装置が注目を受けている。
【0003】
発光素子は、光を発散する薄膜である発光層が、カソード電極とアノード電極との間に位置する構造を有し、この発光層に電子及び正孔を注入しこれらを再結合させることによって励起子を生成し、励起子が低いエネルギーに落ちながら発光するという特性を有する。
【0004】
このような発光素子は、発光層が無機物または有機物で構成され、発光層の種類によって無機発光素子と有機発光素子とに区分する。
【0005】
かかる発光素子に流れる駆動電流は、駆動スイッチング素子によってその大きさが制御される。すなわち、この駆動スイッチング素子は、自身のゲート電極に供給されるデータ信号に応じて駆動電流の大きさを制御する。しかし、このデータ信号は常に正極性または負極性のみを示すので、この駆動スイッチング素子の駆動時間が増加するにつれて駆動スイッチング素子のしきい電圧がいずれか一方向に増加し続け、駆動スイッチング素子が劣化してしまうという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題点を解決するために案出されたもので、その目的は、駆動スイッチング素子のゲート電極に周期別にデータ信号に対して反対の極性を持つ電圧を供給し、駆動スイッチング素子のしきい電圧が元の値に回復するようにすることによって、駆動スイッチング素子の劣化を防止できる有機発光ダイオード表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明に係る有機発光ダイオード表示装置は、発光ダイオードを備えた複数の画素セルと、
画像に関する情報を持つデータ信号を伝送する複数のデータラインと、
互いに異なる大きさを持つゲート高電圧、第1ゲート低電圧、及び前記データ信号と相反する極性を持つ第2ゲート低電圧からなるゲート信号を伝送する複数のゲートラインと、を含み
各画素セルは、前記ゲートラインからの第1ゲート高電圧によってデータラインとノード間を接続させる信号伝達スイッチング素子と、
前記ノードの信号状態に応じて前記発光ダイオードに供給される駆動電流の大きさを制御する駆動スイッチング素子と、
前記ノードと前記駆動スイッチング素子のソース電極またはドレイン電極間に接続されたストレージキャパシタと、
前記ゲートラインからの第2ゲート低電圧及び制御ラインからの制御信号に応じて前記ゲートラインと前記ノード間を接続させる制御スイッチング素子と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る有機発光ダイオード表示装置には下記のような効果がある。
本発明によると、駆動スイッチング素子のゲート電極に周期別にデータ信号に対して反対の極性を持つ電圧を供給することによって駆動スイッチング素子のしきい電圧が元の値に回復するようにし、駆動スイッチング素子の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による有機発光ダイオード表示装置を示す図である。
【図2】図1に示す有機発光ダイオード表示装置に供給される各種信号の波形を示す図である。
【図3】図1の任意の画素セルの回路構成を示す図である。
【図4】本発明の第1実施例によるゲートドライバの構成を示す図である。
【図5】本発明の第2実施例によるゲートドライバの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明による有機発光ダイオード表示装置を示す図であり、図2は、図1に示す有機発光ダイオード表示装置に供給される各種信号の波形を示す図である。
【0011】
図1を参照すると、本発明による有機発光ダイオード表示装置は、データ信号(Data)が供給されるm(ただし、mは自然数)本のデータラインDL1〜DLmと、ゲート信号が供給されるn(ただし、nはmと異なる自然数)本のゲートラインGL1〜GLnと、第1駆動電源VDDが供給される第1駆動電源ライン(図示せず)と、第2駆動電源VSSが供給される第2駆動電源ライン(図示せず)と、複数の画素セルPXLと、を含む表示部100と;各ゲートラインGL1〜GLnを駆動するためのゲートドライバ200と;各データラインDL1〜DLmに画像に関する情報を持つデータ信号Dataを供給するデータドライバ300と;を含んで構成される。
【0012】
ゲートドライバ200は、スタートパルスSP1,SP2とクロック信号CLK1,CLK2を用いてゲート信号GS1〜GSnを生成し、生成されたゲート信号GS1〜GSnのそれぞれを各ゲートラインGL1〜GLnに供給する。図2に示すように、各ゲートラインGL1〜GLnに供給されるゲート信号GS1〜GSnは、ゲート高電圧VGH、第1ゲート低電圧VGL1及び第2ゲート低電圧VGL2からなる。このゲート高電圧VGH、第1ゲート低電圧VGL1及び第2ゲート低電圧VGL2は、互いに異なる大きさを持つ。すなわち、第1ゲート低電圧VGL1はゲート高電圧VGHより小さく、そして第2ゲート低電圧VGL2は第1ゲート低電圧VGL1より小さい。特に、第2ゲート低電圧VGL2はデータ信号と相反する極性を持つ。ここで、上述したように、データ信号Dataが正極性であるから、第2ゲート低電圧VGL2は負極性を持つ。もし、データ信号Dataが負極性であれば、第2ゲート低電圧VGL2は正極性となる。
【0013】
ゲートドライバ200は、第1スタートパルスSP1及び第1クロック信号CLK1を用いてゲート信号のゲート高電圧VGH及び第1ゲート低電圧VGL1を生成し、第2スタートパルスSP2及び第2クロック信号CLK2を用いてゲート信号の第2ゲート低電圧VGL2を生成する。言い換えると、ゲートドライバ200は、第1スタートパルスSP1を第1クロック信号CLK1に応じてシフトさせることによって、ゲートラインに必要なゲート高電圧VGH及び第1ゲート低電圧VGL1を順次に生成する。なお、第2スタートパルスSP2を第2クロック信号CLK2に応じてシフトさせることによって、ゲートラインに必要な第2ゲート低電圧VGL2を順次に生成する。したがって、第1クロック信号CLK1の立ち上がりエッジごとにゲート高電圧VGHが発生し、第2クロック信号CLK2の立ち上がりエッジごとに第2ゲート低電圧VGL2が発生する。
【0014】
第1及び第2スタートパルスSP1,SP2は、1フレーム期間に只1度のみ出力される。言い換えると、第1及び第2クロック信号CLK1,CLK2は、1フレーム期間に周期的に数回アクティブ状態(ハイ状態)を示すが、第1及び第2スタートパルスSP1,SP2は、1フレーム期間に只1度のアクティブ状態を示す。ここで、第2スタートパルスSP2は第1スタートパルスSP1よりも遅く出力される。また、第2スタートパルスSP2は、第1スタートパルスSP1に比べてより広いパルス幅を持つ。一方、第1クロック信号CLK1は、第2クロック信号CLK2より2倍高い周波数を持つ。
【0015】
データドライバ300は、図示せぬデータ制御信号に応じてデータ信号Dataを生成して、各データラインDL1〜DLmに供給する。この時、データドライバ300は、1水平期間ごとに1水平ライン分ずつのデータ信号Dataを各データラインDL1〜DLmに供給する。このデータ信号Dataは正極性または負極性を持つことができ、ここでは、データ信号Dataが正極性信号を持つとして説明する。
【0016】
1水平ライン中のm個の画素セルPXLは、一つのゲートラインに共通して接続されるとともに、m本のデータラインに個別に接続される。例えば、第1水平ラインHL1に沿って配列された第1〜第m画素セルPXLはいずれも第1ゲートラインGL1に共通して接続されるとともに、第1〜第mデータラインDL1〜DLmにそれぞれ個別に接続される。言い換えると、第1水平ラインHL1の第1画素セルPXLは、第1データラインDL1に接続され、第1水平ラインHL1の第2画素セルPXLは、第2データラインDL2に接続され、第1水平ラインHL1の第3画素セルPXLは、第3データラインDL3に接続され、…、そして第1水平ラインHL1の第m画素セルPXLは、第mデータラインDLmに接続される。
【0017】
第1及び第2駆動電源ライン、そして制御ラインは全ての画素セルPXLに共通して接続される。
【0018】
ここで、各画素セルPXLの構造をより具体的に説明すると、下記の通りである。
【0019】
図3は、図1の任意の画素セルPXLの回路構成を示す図である。
【0020】
各画素セルは、図3に示すように、発光ダイオードOLED、信号伝達スイッチング素子Tr_T、駆動スイッチング素子Tr_D、制御スイッチング素子Tr_C及びストレージキャパシタCstを含む。
発光ダイオードOLEDは、駆動スイッチング素子Tr_Dにより制御された駆動電流を受けて発光する発光ダイオードOLEDで、この発光ダイオードOLEDのカソード電極は、駆動スイッチング素子Tr_Dのドレイン電極(またはソース電極)に接続され、アノード電極は、第1駆動電源ラインに接続される。
【0021】
信号伝達スイッチング素子Tr_Tは、ゲートラインからの第1ゲート高電圧VGHによってデータラインとノードn間を接続させる。そのために、信号伝達スイッチング素子Tr_Tのゲート電極はゲートラインに接続され、ドレイン電極(またはソース電極)はデータラインDLに接続され、そしてソース電極(またはドレイン電極)はノードnに接続される。
【0022】
駆動スイッチング素子Tr_Dは、ノードnの信号状態に応じて発光ダイオードOLEDに供給される駆動電流の大きさを制御する。そのために、駆動スイッチング素子Tr_Dのゲート電極はノードnに接続され、ドレイン電極(またはソース電極)は発光ダイオードOLEDのカソード電極に接続され、そしてソース電極(またはドレイン電極)は、第2駆動電源を伝送する第2駆動電源ラインに接続される。
【0023】
制御スイッチング素子Tr_Cは、ゲートラインからの第2ゲート低電圧VGL2及び制御ラインからの制御信号CSに応じてゲートラインとノードnを接続させる。そのために、制御スイッチング素子Tr_Cのゲート電極は、制御信号CSを伝送する制御信号ラインに接続され、ドレイン電極(またはソース電極)はノードnに接続され、そしてソース電極(またはドレイン電極)はゲートラインに接続される。
【0024】
制御信号CSは、第2ゲート低電圧VGL2と制御スイッチング素子Tr_Cのしきい電圧との和より大きく、かつ、第1ゲート低電圧VGL1より小さい値を持つ直流電圧である。これは下記の式1で示される。
【0025】
[数1]
VGL2 + Vth(Tr_C) < CS ≦ VGL1
【0026】
ここで、Vth(Tr_C)は、制御スイッチング素子Tr_Cのしきい電圧を意味する。
【0027】
これにより、制御スイッチング素子Tr_Cは、自身のソース電極(ゲートラインに接続された電極)に供給されるゲート信号のレベルによってターン−オンするか否かが決定される。すなわち、ソース電極に供給されるゲート信号がゲート高電圧VGHまたは第1ゲート低電圧VGL1のレベルである時、制御スイッチング素子Tr_Cのゲート電極とソース電極間の電圧、すなわち、ゲート−ソース電極電圧は負極性のレベルを表す。したがって、制御スイッチング素子Tr_Cのソース電極に供給されるゲート信号がゲート高電圧VGHまたは第1ゲート低電圧VGL1のレベルである時、制御スイッチング素子Tr_Cはターン−オフ状態を維持する。しかし、制御スイッチング素子Tr_Cのソース電極に供給されるゲート信号が第2ゲート低電圧VGL2のレベルである時、制御スイッチング素子Tr_Cのゲート−ソース電極電圧は正極性のレベルを表す。したがって、制御スイッチング素子Tr_Cのソース電極に供給されるゲート信号が第2ゲート低電圧VGL2のレベルである時、制御スイッチング素子Tr_Cはターン−オン状態を維持する。
【0028】
この制御スイッチング素子Tr_Cがターン−オンされると、制御スイッチング素子Tr_Cのソース電極とドレイン電極が互いに連結される。すなわち、ゲートラインとノードnが互いに連結される。すると、ノードnが、ゲートラインからの第2ゲート低電圧VGL2によって負極性状態となる。これにより、ノードnにゲート電極を介して接続された駆動スイッチング素子Tr_Dの劣化が防止される。
【0029】
ストレージキャパシタCstは、1フレーム期間のデータ信号Dataを保存するためのもので、これは、ノードnと駆動スイッチング素子Tr_Dのソース電極間に接続されたり、または、ノードnとドレイン電極間に接続される。
【0030】
このように構成された画素セルPXLの動作について説明すると、下記の通りである。
【0031】
図2及び図3に示すように、データ入力期間T1でゲート信号がゲート高電圧VGHに維持されることから、このゲート高電圧VGHをゲート電極から受ける信号伝達スイッチング素子Tr_Tがターン−オンされる。これにより、ターン−オンされた信号伝達スイッチング素子Tr_Tを介してデータラインDLからのデータ信号Dataがノードnに供給される。すると、ノードnの電圧がデータ信号Data分だけ上昇し、このノードnにゲート電極を介して接続された駆動スイッチング素子Tr_Dがターン−オンされる。すると、ターン−オンされた駆動スイッチング素子Tr_Dを通じて駆動電流が発生する。この駆動電流は発光ダイオードOLEDに供給されて、発光ダイオードOLEDを発光させ始める。一方、このデータ入力期間T1で制御スイッチング素子Tr_Cのゲート−ソース電極電圧は負極性を表すので、この期間T1で制御スイッチング素子Tr_Cはターン−オフ状態を維持する。
【0032】
その後、図2及び図3に示すように、発光維持期間T2でゲート信号が第1ゲート低電圧VGL1に維持されることから、この第1ゲート低電圧VGL1をゲート電極を介して受ける信号伝達スイッチング素子Tr_Tがターン−オフされる。これにより、ノードnはフローティング状態になり、このフローティング状態のノードnにはデータ入力期間T1で供給されたデータ信号Dataの電圧がそのまま維持される。したがって、この期間T2で駆動スイッチング素子Tr_Dはターン−オン状態にあり、このターン−オン状態の駆動スイッチング素子Tr_Dからの駆動電流により発光ダイオードOLEDは引続き発光状態を維持する。一方、この発光維持期間T2で制御スイッチング素子Tr_Cのゲート−ソース電極電圧は負極性を表すので、この期間に制御スイッチング素子Tr_Cはターン−オフ状態を維持する。
【0033】
次いで、回復期間T3でゲート信号が第2ゲート低電圧VGL2に維持されることから、この第2ゲート低電圧VGL2をゲート電極を介して受ける信号伝達スイッチング素子Tr_Tがターン−オフ状態を維持する。一方、この回復期間T3に制御スイッチング素子Tr_Cのゲート−ソース電極電圧は正極性に変更されることによって、この期間T3で制御スイッチング素子Tr_Cはターン−オンされる。すると、ゲートラインGLからの第2ゲート低電圧VGL2がターン−オンされた制御スイッチング素子Tr_Cを介してノードnに供給され、これにより、ノードnが第2ゲート低電圧VGL2に放電される。結局、この回復期間T3に、ノードnの電圧がデータ信号Dataによる正極性電圧から第2ゲート低電圧VGL2による負極性電圧に下降し、よって、駆動スイッチング素子Tr_Dの劣化が防止される。
【0034】
上述したような動作のために、本発明による有機発光ダイオード表示装置におけるゲートドライバ200は下記のような構成を持つ。
【0035】
図4は、本発明の第1実施例によるゲートドライバ200の構成を示す図である。
【0036】
本発明の第1実施例によるゲートドライバ200は、図4に示すように、第1駆動部401と、第2駆動部402と、選択部444とを含む。
【0037】
第1駆動部401は、第1スタートパルスSP1及び第1クロック信号CLK1を用いて、各ゲートラインに供給されるゲート高電圧VGH及び第1ゲート低電圧VGL1を順次に生成し、第2駆動部402は、第2スタートパルスSP2及び第2クロック信号CLK2を用いて、各ゲートラインに供給される第2ゲート低電圧VGL2を順次に生成する。
【0038】
選択部444は、第1及び第2駆動部401,402からの出力のいずれかを選択して各ゲートラインに出力する。
【0039】
次に、第1駆動部401、第2駆動部402、及び選択部444についてより具体的に説明する。
【0040】
第1駆動部401は、第1シフトレジスタSR1と複数のレベルシフターL/Sとを含む。
【0041】
第1シフトレジスタSR1は、第1スタートパルスSP1を第1クロック信号CLK1に応じてシフトさせて順次に出力する。第1シフトレジスタSR1は、第1クロック信号CLK1を伝送する第1クロック伝送ラインCL1に共通して接続された複数のフリップ−フロップF/Fを含む。これらのフリップ−フロップF/Fの数は、ゲートラインの数と同一である。各フリップ−フロップF/Fは、前段のフリップ−フロップF/Fからの出力をスタートパルスとして受け、これを第1クロック信号CLK1に応じてシフトさせて出力する。それらのうち、図面の最も左側に位置した1番目のフリップ−フロップF/Fは、外部から第1スタートパルスSP1を受ける。各フリップ−フロップF/Fからの出力は、次の段のフリップ−フロップF/Fの入力端に供給されるとともに、第1シフトレジスタSR1の各出力として使われる。これにより、第1シフトレジスタSR1の各出力端子からは順次に出力が発生し、この順次に出力された出力は、該当のレベルシフターL/Sに供給される。これらレベルシフターL/Sの数は、フリップ−フロップF/Fの数と同一である。
【0042】
各レベルシフターL/Sは、第1シフトレジスタSR1からの各出力の論理に応じてゲート高電圧VGHまたは第1ゲート低電圧VGL1のいずれかを選択して出力する。これらのレベルシフターL/Sは、ゲート高電圧VGHを伝送する高電圧伝送ラインVHL及び第1ゲート低電圧VGL1を伝送する第1低電圧伝送ラインVLL1に共通して接続される。すなわち、任意のレベルシフターL/Sは、第1シフトレジスタSR1のいずれか一つの出力端子から供給される出力がハイ論理の場合、ゲート高電圧VGHを選択して出力する。逆に、出力がロー論理の場合、第1ゲート低電圧VGL1を選択して出力する。
第2駆動部402は、第2シフトレジスタSR2及び低電源生成部を含む。
第2シフトレジスタSR2は、第2スタートパルスSP2を第2クロック信号CLK2に応じてシフトさせて順次に出力する。第2シフトレジスタSR2は、第2クロック信号CLK2を伝送する第2クロック伝送ラインCL2に共通して接続された複数のフリップ−フロップF/Fを含む。これらフリップ−フロップF/Fの数は、ゲートラインの数と同一である。各フリップ−フロップF/Fは、前段のフリップ−フロップF/Fからの出力をスタートパルスとして受け、これを第2クロック信号CLK2に応じてシフトさせて出力する。これらのうち、図面の最も左側の1番目のフリップ−フロップF/Fは、外部から第2スタートパルスSP2を受ける。各フリップ−フロップF/Fからの出力は、次の段のフリップ−フロップF/Fの入力端に供給されるとともに、第2シフトレジスタSR2の各出力として使われる。これにより、第2シフトレジスタSR2の各出力端子からは順次に出力が発生し、この順次に出力された出力は、該当のレベルシフターL/Sに供給される。これらレベルシフターL/Sの数はフリップ−フロップF/Fの数と同一である。
【0043】
低電源生成部は、第2ゲート低電圧VGL2を生成する。この低電源生成部からの第2ゲート低電圧VGL2は、第2低電圧伝送ラインVLL2に供給される。
【0044】
選択部444は、各レベルシフターL/Sに対応する複数のマルチプレクサM/Xを含む。各マルチプレクサM/Xは、第2シフトレジスタSR2からの出力の論理に応じて、レベルシフターL/Sからの出力または第2低電圧伝送ラインからの出力のいずれかを選択する。すなわち、各マルチプレクサM/Xは、第2シフトレジスタSR2からの出力がロー論理の時、各レベルシフターL/Sからのゲート高電圧VGHまたは第1ゲート低電圧VGL1を選択し、第2シフトレジスタSR2からの出力がハイ論理の時、低電源生成部からの第2ゲート低電圧VGL2を選択する。
【0045】
このような本発明の第1実施例によるゲートドライバ200の構造によれば、第1スタートパルスSP1によって第1シフトレジスタSR1がまず順次に出力を発生させ、この第1シフトレジスタSR1の特定出力の後に第2スタートパルスSP2が発生しながら第2シフトレジスタSR2が順次に出力を発生し始める。言い換えると、第1シフトレジスタSR1の各出力端子からの出力は、これに対応する第2シフトレジスタSR2の各出力端子からの出力よりも先に出力される。
【0046】
ここで、各マルチプレクサM/Xは、レベルシフターL/Sを通過した第1シフトレジスタSR1の出力と、第2低電源伝送ラインからの第2ゲート低電圧VGL2を受けるが、この時、マルチプレクサM/Xは、第2シフトレジスタSR2の出力、すなわち第2シフトレジスタSR2の該当のフリップ−フロップF/Fの出力がロー論理を表す場合、ゲート高電圧VGHと第1ゲート低電圧VGL1を順次に選択して出力する。以降、このマルチプレクサM/Xは、第2シフトレジスタSR2の出力、すなわち第2シフトレジスタSR2の該当のフリップ−フロップの出力がハイ論理を表す場合、第2ゲート低電圧VGL2を選択して出力する。これにより、一つのマルチプレクサM/Xから出力されるゲート信号は順に、ゲート高電圧VGH、第1ゲート低電圧VGL1、そして第2ゲート低電圧VGL2のレベルを表すこととなる。ここで、ゲート高電圧VGHはデータ入力期間T1に出力され、第1ゲート低電圧VGL1は発光維持期間T2に出力され、そして第2ゲート低電圧VGL2は回復期間T3に出力される。一方、回復期間T3以降の出力は、第1ゲート低電圧VGL1のレベルとなる。
【0047】
この時、一つのマルチプレクサM/Xからの出力は一つのゲートラインに供給される。すなわち、第kマルチプレクサM/Xの出力端子は第kゲートラインに接続する(ただし、kは自然数)。
【0048】
また、本発明のゲートドライバ200は下記のような構成にしても良い。
【0049】
図5は、本発明の第2実施例によるゲートドライバ200の構成を示す図である。
【0050】
本発明の第2実施例によるゲートドライバ200は、図5に示すように、第1駆動部501と、第2駆動部502と、選択部555とを含む。
【0051】
ここで、第1及び第2駆動部501,502は、上述された第1実施例の第1及び第2駆動部401,402と同様に構成され、その説明は省略する。
【0052】
選択部555は、各レベルシフターL/Sに対応する複数のマルチプレクサM/Xと、第2シフトレジスタSR2の各出力と外部からのイネーブル信号ENとを論理演算する複数の論理和ゲートANDと、を含む。このイネーブル信号ENは、イネーブル伝送ラインELを通じて伝送される。
【0053】
各マルチプレクサM/Xは、論理和ゲートANDの出力がロー論理の時、各レベルシフターL/Sからのゲート高電圧VGHまたは第1ゲート低電圧VGL1を選択し、論理和ゲートANDの出力がハイ論理の時、低電源生成部からの第2ゲート低電圧VGL2を選択する。イネーブル信号ENは、全てのゲートラインGL1〜GLnに1回ずつのゲート高電圧VGH及び第1ゲート低電圧VGL1が印加される間にはロー論理に維持され、以降の期間ではハイ論理に維持される。すなわち、このイネーブル信号EN及び論理和ゲートANDは、各ゲートラインに第1駆動部501からのゲート高電圧VGH及び第1ゲート低電圧VGL1が供給される期間中には各ゲートラインGL1〜GLnに第2ゲート低電圧VGL2が供給されないようにする。もちろん、第1実施例のような別のイネーブル信号EN及び論理和ゲートANDを用いることなく、第1及び第2スタートパルスSP1、SP2が互いに異なる期間に出力されるようにすることによって、上述の期間で第2ゲート低電圧VGL2が各ゲートラインGL1〜GLnに供給されるのを防止できるが、第2実施例のようにイネーブル信号EN及び論理和ゲートANDをさらに備えることによって、信号の歪みにより生じうる誤動作をより防止することができる。
【0054】
本発明は以上の実施例及び添付の図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であるということは、本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者にとっては明白である。
【符号の説明】
【0055】
Tr_T:信号伝達スイッチング素子
Tr_D:駆動スイッチング素子
Tr_C:制御スイッチング素子
n:ノード
DL:データライン
GL:ゲートライン
Cst:ストレージキャパシタ
VDD:第1駆動電源
VSS:第2駆動電源
OLED:発光ダイオード
Data:データ信号
CS:制御信号
GS:ゲート信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードを備えた複数の画素セルと、
画像に関する情報を持つデータ信号を伝送する複数のデータラインと、
互いに異なる大きさを持つゲート高電圧、第1ゲート低電圧、及び前記データ信号と相反する極性を持つ第2ゲート低電圧からなるゲート信号を伝送する複数のゲートラインと、
を含み
前記各画素セルは、
前記ゲートラインからの第1ゲート高電圧によってデータラインとノード間を接続させる信号伝達スイッチング素子と、
前記ノードの信号状態に応じて前記発光ダイオードに供給される駆動電流の大きさを制御する駆動スイッチング素子と、
前記ノードと前記駆動スイッチング素子のソース電極またはドレイン電極間に接続されたストレージキャパシタと、
前記ゲートラインからの第2ゲート低電圧及び制御ラインからの制御信号に応じて前記ゲートラインと前記ノード間を接続させる制御スイッチング素子と、
を含むことを特徴とする有機発光ダイオード表示装置。
【請求項2】
前記第1ゲート低電圧は前記ゲート高電圧より小さく、前記第2ゲート低電圧は前記第1ゲート低電圧より小さく、
前記制御信号は、前記第2ゲート低電圧と前記制御スイッチング素子のしきい電圧との和より大きく、前記第1ゲート低電圧より小さい値を持つ直流電圧であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項3】
前記ゲート信号がゲート高電圧に維持されるデータ入力期間に、前記ノードにデータ信号が供給され、
前記ゲート信号が第1ゲート低電圧に維持される発光維持期間に、前記ノードに供給されたデータ信号が維持され、
前記ゲート信号が第2ゲート低電圧に維持される回復期間に、前記ノードに前記第2ゲート低電圧が供給されることを特徴とする請求項2に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項4】
前記複数のゲートラインを駆動するためのゲートドライバをさらに含み、
前記ゲートドライバは、
第1スタートパルス及び第1クロック信号を用いて、前記各ゲートラインに供給されるゲート高電圧及び第1ゲート低電圧を順次に生成する第1駆動部と、
前記第1スタートパルスよりも遅れて出力され、パルス幅が大きい第2スタートパルス、及び前記第1クロック信号よりもパルス幅が大きい第2クロック信号を用いて、各ゲートラインに供給される第2ゲート低電圧を順次に出力する第2駆動部と、
前記第1及び第2駆動部からの出力のいずれかを選択して、各ゲートラインに出力する選択部と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項5】
第1駆動部は、前記第1スタートパルスを前記第1クロック信号に応じてシフトさせて順次に出力する第1シフトレジスタと、前記第1シフトレジスタからの各出力の論理に応じてゲート高電圧または第1ゲート低電圧のいずれかを選択して出力する複数のレベルシフターと、を含み、
前記第2駆動部は、前記第2スタートパルスを前記第2クロック信号に応じてシフトさせて順次に出力する第2シフトレジスタと、前記第2ゲート低電圧を生成する低電源生成部と、を含み、
前記選択部は、前記各レベルシフトに対応する複数のマルチプレクサを含み、該各マルチプレクサは、前記第2シフトレジスタからの出力がロー論理の時に前記各レベルシフターからのゲート高電圧または第1ゲート低電圧を選択し、前記第2シフトレジスタからの出力がハイ論理の時に前記低電源生成部からの第2ゲート低電圧を選択することを特徴とする請求項4に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項6】
第1駆動部は、前記第1スタートパルスを前記第1クロック信号に応じてシフトさせて順次に出力する第1シフトレジスタと、前記第1シフトレジスタからの各出力の論理に応じてゲート高電圧及び第1ゲート低電圧のいずれかを選択して出力する複数のレベルシフターと、を含み、
前記第2駆動部は、前記第2スタートパルスを前記第2クロック信号に応じてシフトさせて順次に出力する第2シフトレジスタと、前記第2ゲート低電圧を生成する低電源生成部と、を含み、
前記選択部は、前記各レベルシフトに対応する複数のマルチプレクサと、前記第2シフトレジスタの各出力と外部からのイネーブル信号とを論理演算する複数の論理和ゲートと、を含み、前記各マルチプレクサは、前記論理和ゲートの出力がロー論理の時に前記各レベルシフターからのゲート高電圧または第1ゲート低電圧を選択し、前記論理和ゲートの出力がハイ論理の時に前記低電源生成部からの第2ゲート低電圧を選択することを特徴とする請求項4に記載の有機発光ダイオード表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−20314(P2010−20314A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163447(P2009−163447)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(501426046)エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド (732)
【Fターム(参考)】