説明

有機発光表示装置

【課題】有機発光表示装置を提供する。
【解決手段】対向配置された第1基板と第2基板;第1基板と第2基板との間に配され、画素ごとに分離形成された画素電極、画素電極に対向配置された共通電極、及び画素電極と共通電極との間に配された有機発光層;を備え、第1基板と画素電極との間に配され、画素電極に発光信号を伝達する少なくとも一つの薄膜トランジスタ、少なくとも一つのキャパシタ、及び少なくとも一つの配線部;を備え、薄膜トランジスタ及びキャパシタを構成する電極部及び配線部のうち少なくとも一つの表面には、電極部及び配線部の光学特性が変形された光特性変形層が形成された有機発光表示装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置に関し、さらに詳細には、外光反射によるコントラスト低下を防止できる有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は、自発光型表示装置であって、視野角が広くて応答速度が速いという長所を有する。しかし、有機発光表示装置は、外光のある環境では、画像を表示するとき表示装置内部の電極及び配線を構成する金属材料による外光の反射によってコントラストが低下するという問題がある。
【0003】
コントラスト低下を防止するために、一般的には高価な偏光板が使われる。また、コントラスト低下を防止するために、ブラックマトリックスを電極または配線に形成することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】大韓民国特許公開第2005−0012958号
【特許文献2】国際公開第2008/097374号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、偏光板の使用はコスト高、発光層から放出される光の遮断による透過率の低下、及び輝度の低減など他の問題を引き起こす。また、ブラックマトリックスを使用すると、ブラックマトリックスを形成するための別途のマスク工程が必要となり、製造工程を複雑にする。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、配線部及び電極部表面の光学特性を変形してコントラストが改善された有機発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、対向配置された第1基板と第2基板と、第1基板と第2基板との間に設けられ、画素ごとに分離形成された画素電極、前記画素電極に対向配置された共通電極、及び前記画素電極と前記共通電極との間に配された有機発光層と、第1基板と前記画素電極との間に設けられ、前記画素電極に発光信号を伝達する少なくとも一つの薄膜トランジスタ、少なくとも一つのキャパシタ、及び少なくとも一つの配線部を備え、薄膜トランジスタ及び前記キャパシタを構成する電極部及び前記配線部のうち少なくとも一つの表面には、前記電極部及び前記配線部の光学特性が変形された光特性変形層が形成される、有機発光表示装置が提供される。
【0008】
前記光特性変形層は、前記電極部及び前記配線部より低い反射率を有するようにしてもよい。
【0009】
前記光特性変形層は、前記電極部及び前記配線部より高い光吸収率を有するようにしてもよい。
【0010】
また、記光特性変形層は、前記電極部及び前記配線部と、透過率、屈折率、回折及び色のうち少なくとも一つ以上の光学特性が異なるようにしてもよい。
【0011】
さらに、光特性変形層は、前記電極部及び前記配線部のうち少なくとも一つの表面にフェムト秒持続レーザービームパルスを少なくとも1回以上照射させることで形成してもよい。
【0012】
前記光特性変形層の前記レーザービームにより変形された領域は、ナノスケールまたはマイクロスケールのサイズとしてもよい。
【0013】
前記電極部は、前記薄膜トランジスタのゲート電極、ソース電極とドレイン電極、及び前記キャパシタの電極を含んでもよい。
【0014】
前記配線部は、ゲート配線、データ配線、及び電源配線を含んでもよい。
【0015】
有機発光層から放出された光は、前記第2基板側に放出され、電極部及び前記配線部の前記有機発光層に近い表面に第1光特性変形層が形成され、画素電極の前記有機発光層に近い表面に前記画素電極の光学特性が変形された第2光特性変形層がさらに形成されるようにしてもよい。
【0016】
前記第2光特性変形層は、前記画素電極より低い反射率を有するようにしてもよい。
【0017】
前記第2光特性変形層は、前記画素電極より高い光吸収率を有するようにしてもよい。
【0018】
また、有機発光層から放出された光は、前記第1基板側に放出され、電極部及び前記配線部の前記有機発光層から遠い表面に第1光特性変形層が形成され、共通電極の前記有機発光層に近い表面に前記画素電極の光学特性が変形された第2光特性変形層がさらに形成されてもよい。
【0019】
前記第2光特性変形層は、前記共通電極より低い反射率を有するようにしてもよい。
【0020】
前記第2光特性変形層は、前記共通電極より高い光吸収率を有するようにしてもよい。
【0021】
前記第2光特性変形層は、前記画素電極に対応する領域のみに形成されるようにしてもよい。
【0022】
さらに、第1基板と第2基板のうち少なくとも一つは透明基板であり、透明基板の外光が入射する方向側の一面に透明干渉層がさらに備えられてもよい。
【0023】
前記透明干渉層は、前記外光の1/4波長に同等な厚さを有するようにしてもよい。
【0024】
前記透明干渉層は、前記透明基板の屈折率より小さな屈折率を有するようにしてもよい。
【0025】
前記透明干渉層は、フッ化マグネシウム、シリカ、高屈折透明材料及びこれらの組み合わせから選択された一つの物質を含んでもよい。
【0026】
前記透明干渉層は複数層設けられ、前記複数の透明干渉層は透明基板に近いほど高い屈折率を有するようにしてもよい。
【0027】
前記透明干渉層の各層は、前記外光の1/4波長に同等な厚さを有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように本発明によれば、以下のような効果を提供することができる。第1に、電極及び配線部の表面に光特性変形層を形成することで、外光反射を低減させてコントラストを改善できる。第2に、反射電極の一表面に光特性変形層を形成することで、外光反射を低減させてコントラスト低下を防止できる。第3に、表示装置の透明基板に透明干渉層を形成することで、基板による外光反射を低減させてコントラスト低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来の一般的な有機発光表示装置のピクセルを概略的に示す平面図である。
【図2】図1のII−II切断線における断面図である。
【図3】図1の等価回路図である。
【図4】本発明の一実施形態による有機発光表示装置を概略的に示す平面図である。
【図5】図4のV−V切断線における断面図である。
【図6】フェムト秒持続レーザービームパルスをアルミニウムに適用した時、得られたアルミニウムの波長による反射率を示すグラフである。
【図7】本発明の他の実施形態による有機発光表示装置を概略的に示す平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII切断線における断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態による有機発光表示装置を概略的に示す断面図である。
【図10】単層の透明干渉層を概略的に示す断面図である。
【図11】複数層の透明干渉層を概略的に示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態による有機発光表示装置を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0031】
図1は、従来の一般的な有機発光表示装置を概略的に示す平面図である。図2は、図1のII−II切断線における断面図である。図3は、図1の等価回路図である。
【0032】
図1〜図3を参照すれば、従来の一般的な有機発光表示装置1は、第1基板110上にゲート配線部26、データ配線部27及び電源配線部25を備え、さらに第1薄膜トランジスタ21、第2薄膜トランジスタ23、キャパシタ22を備える。第2薄膜トランジスタ23と有機発光素子24とが連結され、有機発光素子24は、画素電極241、共通電極243、及び画素電極241と共通電極243との間に介在された有機発光層242を含む。
【0033】
第1基板110上には、基板の平滑性及び不純元素の浸透遮断のために、SiO及び/またはSiNなどで構成されたバッファ層111が備えられる。バッファ層111上には、第1薄膜トランジスタ21の第1活性層211及び第2薄膜トランジスタ23の第2活性層231が形成され、第1及び第2活性層211、231上にはゲート絶縁膜112が形成される。ゲート絶縁膜112の上部には、第1薄膜トランジスタ21の第1ゲート電極212、及び第2薄膜トランジスタ23の第2ゲート電極232が形成される。第1ゲート電極212はゲート配線部26に連結され、第2ゲート電極232はキャパシタ22の第1電極221に連結される。
【0034】
第1ゲート電極212、第2ゲート電極232及びキャパシタ22の第1電極221上に層間絶縁膜113が形成される。コンタクトホールを通じて第1ソース電極213及び第1ドレイン電極214は、それぞれ第1活性層211のソース領域(図示せず。)及びドレイン領域(図示せず。)に連結され、第2ソース電極233及び第2ドレイン電極234は、それぞれ第2活性層221のソース領域(図示せず。)及びドレイン領域(図示せず。)に連結される。
【0035】
第1ソース電極213は、データ配線部27に連結されて第1活性層211にデータ信号を供給し、前記第1ドレイン電極214は、キャパシタ22の第1電極221に連結されてキャパシタ22にデータ信号を保存する。第2ソース電極233はキャパシタ22の第2電極222に連結され、第2ドレイン電極234は有機発光素子24の画素電極241に連結される。第1及び第2ソース電極213、233、第1及び第2ドレイン電極214、234、及びキャパシタ22の第2電極222上にパッシベーション層114が形成される。パッシベーション層114上には、ビアホールを通じて画素電極241が第2ドレイン電極234に連結される。
【0036】
有機発光素子24は、画素ごとに分離形成された画素電極241と、画素電極241に対向配置された共通電極243と、及び画素電極241と共通電極243との間に配された有機発光層242とを含む。
【0037】
前面発光型の場合、画素電極241は反射電極として備えられ、共通電極243は透明電極として備えられる。これに対し、背面発光型の場合、画素電極241は透明電極として備えられ、共通電極243は反射電極として備えられる。
【0038】
一般的に、薄膜トランジスタ21、23とキャパシタ22とを構成する電極と、前記素子に連結された配線とは、反射率の高い金属で形成される。したがって、外部から有機発光表示装置1に入射した外光は、第1基板110上に備えられた電極及び配線により反射され、反射された光は、有機発光層242から放出された光と共に放出される。反射された外光は、有機発光表示装置1のコントラストを低下させる要因になっている。
【0039】
<第1の実施形態>
以下、図4及び5を参照して、本発明の第1の実施形態による有機発光表示装置2を説明する。以下、前述した従来の一般的な有機発光表示装置1との差異点を中心として、本実施形態による有機発光表示装置2を説明するが、図面に図示された同じ参照番号は同じ構成要素を表す。
【0040】
図4は、本発明の一実施形態に係る前面発光型有機発光表示装置2を概略的に示す平面図である。図5は、図4のV−V線の断面図である。
【0041】
図4及び図5を参照すれば、本実施形態に係る有機発光表示装置2は、第1基板110上に電源配線部25、ゲート配線部26、及びデータ配線部27を備え、さらに第1薄膜トランジスタ21、キャパシタ22、第2薄膜トランジスタ23及び有機発光素子24を備える。
【0042】
前述した各配線部25、26、27と第1及び第2薄膜トランジスタ21、23の第1及び第2ゲート電極212、232、第1及び第2ソース電極213、233、第1及び第2ドレイン電極214、234の上部表面には、これらの表面の光学特性が変形された光特性変形層31、32、33、35、36、37がそれぞれ備えられる。
【0043】
詳細に説明すれば、電源配線部25、ゲート配線部26、及びデータ配線部27の各上部表面に光特性変形層35、36、37が形成される。第1薄膜トランジスタ21の第1ゲート電極212、第1ソース電極213及び第1ドレイン電極214の上部表面に、それぞれ光特性変形層312、313、314が形成される。第2薄膜トランジスタ23の第2ゲート電極232、第2ソース電極233及び第2ドレイン電極234の上部表面に、それぞれ光特性変形層332、333、334が形成される。キャパシタ22の第1電極221及び第2電極222の上部表面に、光特性変形層321、322が形成される。
【0044】
配線部25、26、27と薄膜トランジスタ21、23及びキャパシタ22を構成する電極212、213、214、232、233、234、221、222の上部表面に形成された光特性変形層31、32、33、35、36、37は、これら配線部25、26、27と電極212、213、214、232、233、234、221、222との光学特性が変形されたものである。例えば、光特性変形層31、32、33、35、36、37は、配線部25、26、27と電極212、213、214、232、233、234、221、222とを構成する金属材料の反射率、光吸収率、透過率、屈折率、回折及び色のうち少なくとも一つ以上の光学特性が変形されたものとすることができる。本実施形態で光特性変形層31、32、33、35、36、37は、配線部25、26、27と電極212、213、214、232、233、234、221、222とを構成する本来の金属材料より反射率が低く、光吸収率が高い。
【0045】
本実施形態のように、第1基板110の反対側に画像が具現される前面発光型有機発光表示装置2の場合、表示装置の内部に入射した外光が電極212、213、214、232、233、234、221、222と配線部25、26、27との表面で反射されることで、有機発光層242から放出される光のコントラストは低下する。一方で、本実施形態のように、電極212、213、214、232、233、234、221、222と配線部25、26、27の表面のうち、有機発光層242に近い上部表面に光特性変形層31、32、33、35、36、37を形成することで、外光反射を低減させてコントラストを改善できる。
【0046】
ここで、特許文献2は、物質の光学特性を変形する方法を開示している。この方法によれば、金属にフェムト秒持続レーザービームパルスを少なくとも1回以上照射させることで、レーザービームにより変形された領域がナノスケールまたはマイクロスケールのサイズを持つように表面構造が変形されて、金属表面の光学特性が変わるということが分かる。
【0047】
図6は、中心波長800nm、約1.1mJ/pulseの65フェムト秒パルスを生成するTi:sapphireレーザーシステムをアルミニウムに適用したときに得られたアルミニウムの波長による反射率を図示している。図6を参照すれば、250nm〜2500nmの波長範囲で、表面処理されていないアルミニウム(polished
Al)に比べて表面処理されたアルミニウム(Colden Al、Gray Al、Black Al)の反射率が低下することが分かる。もちろん、アルミニウムの表面色も変わることが分かる。
【0048】
したがって、アルミニウムを、本実施形態による有機発光表示装置2の配線部25、26、27及び電極212、213、214、232、233、234、221、222に適用する場合、配線部25、26、27及び電極212、213、214、232、233、234、221、222の上部表面に、上述したフェムト秒レーザービーム技術を利用して表面処理すれば、上部表面の光学特性が変化する。したがって、配線部25、26、27及び電極212、213、214、232、233、234、221、222の上部表面は、表面処理されていない本来のアルミニウムより反射率の低い、または光吸収率の高い表面処理されたアルミニウムが光特性変形層31、32、33、35、36、37をそれぞれ形成するので、外光の反射を低減させることができる。
【0049】
したがって、本実施形態によれば、高コストの偏光板を使用せずに別途のマスク工程を追加してブラックマトリックスを形成する必要なく、既存に形成されている配線部25、26、27及び電極212、213、214、232、233、234、221、222の光学特性を簡易な方法で変化させることで、コントラストを改善できる。
【0050】
なお、図4及び図5には、2個の薄膜トランジスタ21、23及び一つのキャパシタ22が一つのピクセルを構成する例を示しているが、本発明はこれらに限定されるものではない。したがって、薄膜トランジスタとキャパシタとの多様な組み合わせが可能である。また、図4及び図5には、一つの画素に電源配線部25、ゲート配線部26及びデータ配線部27がそれぞれ互いに直交する方向に配列されているが、本発明はこれに限定されず、デザインルールによって多様な変形ができるということはいうまでもない。
【0051】
<第2の実施形態>
次に、図7及び図8を参照して、本発明の第2の実施形態に係る前面発光型有機発光表示装置3を説明する。以下、上述した第1の実施形態に係る有機発光表示装置2との差異点を中心に本実施形態による有機発光表示装置3を説明する。図面に図示された同じ参照番号は同じ構成要素を表す。
【0052】
図7は、本発明の第2の実施形態による有機発光表示装置を概略的に示す平面図であり、図8は、図7のVIII−VIII切断線における断面図である。
【0053】
図7及び図8を参照すれば、本実施形態に係る有機発光表示装置3は、第1基板110上に電源配線部25、ゲート配線部26、及びデータ配線部27を備え、さらに第1薄膜トランジスタ21、キャパシタ22、第2薄膜トランジスタ23及び有機発光素子24を備える。
【0054】
上述した各配線部25、26、27と第1及び第2薄膜トランジスタ21、23の第1及び第2ゲート電極212、232、第1及び第2ソース電極213、233と、第1及び第2ドレイン電極214、234との上部表面には、これらの表面の光学特性が変形された光特性変形層31、32、33、35、36、37がそれぞれ備えられる。
【0055】
また、画素電極241の上部表面に光特性変形層34が備えられる。
【0056】
本実施形態のような前面発光型有機発光表示装置3は、画素電極241が反射電極として備えられる。したがって、有機発光表示装置3に入射した外光は画素電極241の上部表面で反射された後、有機発光層242から放出された光と共に放出される。このときに反射された外光は表示装置のコントラストを低下させる。
【0057】
しかし、本実施形態による有機発光表示装置3は、反射電極の画素電極241の上部表面には画素電極241より反射率が低いか、または吸収率が高い光特性変形層34が形成されているので、外光の反射を低減させる。
【0058】
もちろん、上述した第1の実施形態と同様に、配線部25、26、27と電極212、213、214、232、233、234、221、222の上部表面にも、反射率の低いまたは光吸収率の高い光特性変形層31、32、33、35、36、37をそれぞれ形成するので、外光の反射を低減させる。
【0059】
<第3の実施形態>
次に、図9〜図11を参照して、本発明の第3の実施形態に係る前面発光型有機発光表示装置4を説明する。以下、上述した第2の実施形態に係る有機発光表示装置3との差異点を中心に本実施形態に係る有機発光表示装置4を説明する。図面に図示された同じ参照番号は同じ構成要素を表す。
【0060】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る有機発光表示装置4を概略的に示す平面図である。図10は、単層の透明干渉層を概略的に示す断面図である。図11は、複数層の透明干渉層を概略的に示す断面図である。
【0061】
図9を参照すれば、本実施形態による有機発光表示装置4は、第1基板110上に電源配線部25、ゲート配線部26、及びデータ配線部27を備え、さらに第1薄膜トランジスタ21、キャパシタ22、第2薄膜トランジスタ23及び有機発光素子24を備える。
【0062】
配線部25、26、27と、第1及び第2薄膜トランジスタ21、23の第1及び第2ゲート電極212、232と、第1及び第2ソース電極213、233と、第1及び第2ドレイン電極214、234と、画素電極241との上部表面には、これらの表面の光学特性が変形された光特性変形層31、32、33、34、35、36、37がそれぞれ備えられる。
【0063】
また、第2基板50の一面に透明干渉層60が備えられる。
【0064】
透明干渉層60は、透明基板である第2基板50の外光が入射する方向側の一面に配される。外光は、第2基板50を通過して表示装置内部に入射することもあるが、外光の一部は第2基板50の表面で直接反射される。したがって、第2基板50の表面で反射された外光は、有機発光層242から放出される光と共に観測者の視野に入ってコントラストを低下させる恐れがある。
【0065】
しかし、本実施形態に係る有機発光表示装置4は、第2基板50の一面に外光波長の1/4に該当する厚さを持つ透明干渉層60を配置して、第2基板50の表面で反射する外光の反射を低減させる。
【0066】
図10を参照すれば、外光Liは、大気中で透明干渉層60を通過して第2基板50に一部入射し(Lt)、一部は、透明干渉層60の表面で反射される(この反射光をLr0とする)。一方、入射光の一部(Lt)は、第2基板50と透明干渉層60との境界で反射される(この反射光をLr0’とする)。このとき、透明干渉層60の厚さdが入射する外光Liの波長λの1/4に相応する(すなわち、同等の)厚さを持つ場合、透明干渉層60における反射光Lr0と、第2基板50における反射光Lr0’とが干渉により相殺されるので、第2基板50の表面における外光の反射を低減させる。
【0067】
このとき、透明干渉層60の厚さdは、最大強度を持つ外光の波長を基準として、または可視光帯域の波長の算術平均、または外光帯域の算術平均で定められるなど、多様な条件で定められる。
【0068】
一方、透明干渉層60は、大気中の屈折率(n0=1)と第2基板50の屈折率(n2)との間の屈折率(n1)を持つことが望ましい。第2基板50として屈折率(n1)約1.5の一般的なガラスを使用する場合、透明干渉層60の屈折率(n1)は約1.23が適当である。
【0069】
本実施形態では、透明干渉層60として、屈折率が約1.38のフッ化マグネシウムを使用している。フッ化マグネシウムは耐久性に優れ、PVDで容易に蒸着できる。また、透明干渉層60として、シリカ、または多様な高屈折透明材料を使用することができる。
【0070】
図11は、第2基板50の一面に複数の透明干渉層61、62、63が備えられている場合を示す。
【0071】
図11を参照すれば、外光Liのうち一部は、大気中で複数の透明干渉層61、62、63を通過して第2基板20に一部入射する(Lt)。各透明干渉層61、62、63は、第2基板50に近いほど高い屈折率を持つ(n11<n12<n13)。
【0072】
外光Liの一部は第1透明干渉層61で反射され(この反射光をLr1とする)、入射光(Lt)の一部は、第2透明干渉層62と第1透明干渉層61との境界で反射される(この反射光をLr1’とする)。このとき、第1透明干渉層61の厚さd1が、入射する外光Liの波長λの1/4に相応する(すなわち、同等の)厚さを持つ場合、第1透明干渉層61における反射光(Lr1)と、第2透明干渉層62と第1透明干渉層61との境界における反射光(Lr1’)とが、干渉により相殺される。
【0073】
また、外光Liの一部は、第2透明干渉層62で反射され(この反射光をLr2とする)、入射光(Lt)の一部は、第3透明干渉層63と第2透明干渉層62との境界で反射される(この反射光をLr2’とする)。このとき、第2透明干渉層62の厚さd2が入射する外光Liの波長λの1/4に相応する(すなわち、同等の)厚さを持つ場合、第2透明干渉層62における反射光(Lr2)と、第3透明干渉層63と第2透明干渉層62との境界における反射光(Lr2’)とが、干渉により相殺される。
【0074】
さらに、外光Liの一部は、第3透明干渉層63で反射され(この反射光をLr3とする)、入射光(Lt)の一部は、第2基板50と第3透明干渉層63との境界で反射される(この反射光をLr3’とする)。このとき、第3透明干渉層63の厚さd3が、入射する外光Liの波長λの1/4に相応する(すなわち、同等の)厚さを持つ場合、第3透明干渉層63における反射光(Lr3)と、第2基板50と第3透明干渉層63との境界における反射光(Lr3’)と、が干渉により相殺される。したがって、全体的に外光の反射を低減させてコントラストが向上する。
【0075】
<第4の実施形態>
以下、図12を参照して本発明の第4の実施形態を説明する。以下、上述した第3の実施形態に係る有機発光表示装置4との差異点を中心に本実施形態に係る有機発光表示装置5を説明する。図面に図示された同じ参照番号は同じ構成要素を表す。
【0076】
図12は、本発明の第4の実施形態に係る能動駆動方式の背面発光型有機発光表示装置5を概略的に示す断面図である。
【0077】
図12を参照すれば、本実施形態に係る有機発光表示装置5は、第1基板110上に電源配線部25、ゲート配線部26、及びデータ配線部27を備え、さらに第1薄膜トランジスタ21、キャパシタ22、第2薄膜トランジスタ23及び有機発光素子24を備える。
【0078】
本実施形態の有機発光表示装置5は、有機発光層242から放出された光I第1基板110側に放出される背面発光型であるため、第1基板110は透明基板により構成されている。共通電極243は反射電極として備え、画素電極241は透明電極として備えられる。
【0079】
第1基板110を通じて有機発光表示装置5の内部に入射した外光は、反射率の高い電極及び配線部に反射された後、有機発光層242から放出された光と共に放出されて表示装置のコントラストを低下させる。
【0080】
したがって、本実施形態の有機発光表示装置5は、配線部25、26、27と、第1及び第2薄膜トランジスタ21、23の第1及び第2ゲート電極212、232と、第1及び第2ソース電極213、233と、第1及び第2ドレイン電極214、234との下部表面に、これらの表面の光学特性が変形された光特性変形層41、42、43、45、46、47をそれぞれ備えることで、外光反射を低減させる。
【0081】
また、反射電極である共通電極243の有機発光層242に向かう表面に、共通電極243の光学特性が変形された光特性変形層44が形成される。したがって、光特性変形層44は、共通電極243より低い反射率または高い光吸収率を持つことで、反射電極である共通電極213による外光反射を低減させる。光特性変形層44は共通電極243の全体領域にも形成されるが、図12に示されたように、有機発光層242が形成された領域に対応する一部領域Aのみに形成されてもよい。
【0082】
また、透明基板である第1基板50の外光が入射する方向側の一面に透明干渉層60が備えられる。透明干渉層60は、第1基板110の表面で直接反射する外光を低減させてコントラストを改善させる。
【0083】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0084】
1〜5 有機発光表示装置
110 第1基板
111 バッファ層
112 ゲート絶縁膜
113 層間絶縁膜
114 パッシベーション層
21 第1薄膜トランジスタ
211 第1活性層
212 第1ゲート電極
213 第1ソース電極
214 第1データ電極
22 キャパシタ
221 キャパシタ第1電極
222 キャパシタ第2電極
23 第2薄膜トランジスタ
231 第2活性層
232 第2ゲート電極
233 第2ソース電極
234 第2ドレイン電極
24 有機発光素子
241 画素電極
242 有機発光層
243 共通電極
25 電源配線部
26 ゲート配線部
27 データ配線部
31、32、33、34 光特性変形層
50 第2基板
60 透明干渉層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された第1基板と第2基板と、
前記第1基板と第2基板との間に設けられ、画素ごとに分離形成された画素電極、前記画素電極に対向配置された共通電極、及び前記画素電極と前記共通電極との間に配された有機発光層と、
前記第1基板と前記画素電極との間に設けられ、前記画素電極に発光信号を伝達する少なくとも一つの薄膜トランジスタ、少なくとも一つのキャパシタ、及び少なくとも一つの配線部を備え、
前記薄膜トランジスタ及び前記キャパシタを構成する電極部及び前記配線部のうち少なくとも一つの表面には、前記電極部及び前記配線部の光学特性が変形された光特性変形層が形成される、有機発光表示装置。
【請求項2】
前記光特性変形層は、前記電極部及び前記配線部より低い反射率を有する、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記光特性変形層は、前記電極部及び前記配線部より高い光吸収率を有する、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記光特性変形層は、前記電極部及び前記配線部と、透過率、屈折率、回折及び色のうち少なくとも一つ以上の光学特性が異なる、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記光特性変形層は、前記電極部及び前記配線部のうち少なくとも一つの表面にフェムト秒持続レーザービームパルスを少なくとも1回以上照射させることで形成される、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記光特性変形層の前記レーザービームにより変形された領域は、ナノスケールまたはマイクロスケールのサイズである、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記電極部は、前記薄膜トランジスタのゲート電極、ソース電極とドレイン電極、及び前記キャパシタの電極を含む、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記配線部は、ゲート配線、データ配線、及び電源配線を含む、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記有機発光層から放出された光は、前記第2基板側に放出され、
前記電極部及び前記配線部の前記有機発光層に近い表面に第1光特性変形層が形成され、
前記画素電極の前記有機発光層に近い表面に前記画素電極の光学特性が変形された第2光特性変形層がさらに形成される、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記第2光特性変形層は、前記画素電極より低い反射率を有する、請求項9に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記第2光特性変形層は、前記画素電極より高い光吸収率を有する、請求項9に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記有機発光層から放出された光は、前記第1基板側に放出され、
前記電極部及び前記配線部の前記有機発光層から遠い表面に第1光特性変形層が形成され、
前記共通電極の前記有機発光層に近い表面に前記画素電極の光学特性が変形された第2光特性変形層がさらに形成される、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
前記第2光特性変形層は、前記共通電極より低い反射率を有する、請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記第2光特性変形層は、前記共通電極より高い光吸収率を有する、請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
前記第2光特性変形層は、前記画素電極に対応する領域のみに形成される、請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項16】
前記第1基板と第2基板のうち少なくとも一つは透明基板であり、
前記透明基板の外光が入射する方向側の一面に透明干渉層がさらに備えられる、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項17】
前記透明干渉層は、前記外光の1/4波長に同等な厚さを有する、請求項16に記載の有機発光表示装置。
【請求項18】
前記透明干渉層は、前記透明基板の屈折率より小さな屈折率を有する、請求項16に記載の有機発光表示装置。
【請求項19】
前記透明干渉層は、フッ化マグネシウム、シリカ、高屈折透明材料及びこれらの組み合わせから選択された一つの物質を含む、請求項18に記載の有機発光表示装置。
【請求項20】
前記透明干渉層は複数層設けられ、前記複数の透明干渉層は透明基板に近いほど高い屈折率を有する、請求項16に記載の有機発光表示装置。
【請求項21】
前記透明干渉層の各層は、前記外光の1/4波長に同等な厚さを有する、請求項16に記載の有機発光表示装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−199220(P2012−199220A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259342(P2011−259342)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】