説明

有機金属遷移金属化合物、ビスシクロペンタジエニル配位子、触媒組成物、及びポリオレフィンの製造方法

本発明は、式(I)
【化1】


(式中、
1が、元素周期表の第3、4、5又は6族の元素又はランタノイドを表し、
Xが、同一であっても異なってもよく、それぞれ有機又は無機の基を表し、且つ2個の基Xが相互に結合しても良く、
nが、1〜4の自然数であり、
Zが、1〜40個の炭素原子を有する二価の有機基であり、この二価の有機基は、インデニルの2個の炭素原子と共に、飽和又は不飽和、置換又は無置換の、4〜12原子の環員を有する環を形成し、且つインデニルと縮合した環内のZが、Si、Ge、N、P、O、S、Se及びTeからなる群から選ばれる一個以上の同一又は異なるヘテロ原子を更に含んでいても良く、
1が、水素又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
2が、水素又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
3が、水素、ハロゲン又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
4が、水素、ハロゲン又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
5が、水素、又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
6が、水素、又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
7、R8が、同一又は異なっていても良く、それぞれが、水素又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表すか、又はR7及びR8が、これらを結合している原子と共に、単環式、又は多環式の、置換又は無置換の、1〜40個の炭素原子を有し、且つSi、Ge、N、P、O、S、Se及びTeからなる群から選ばれるヘテロ原子を含んでも良い環を形成しており、
Aが、二価の原子又は二価の基からなる架橋基を表し、そして、
3が水素の場合、R5が3〜20個の炭素原子を有し、且つα位で分岐している有機基を表し、そしてR6が水素で表される、有機金属遷移金属化合物に関し、
このような置換パターンを有するビスシクロペンタジエニル配位子、
本発明の有機金属遷移金属化合物を少なくとも1種含む触媒粗製物、本発明の触媒組成物の存在下に少なくとも1種のオレフィンを重合又は共重合させることによりポリオレフィンを製造する方法、有機金属遷移金属化合物の製造用に、本発明のビスシクロペンタジエニル配位子を使用する方法、及びビスシクロペンタジエニル配位子を使用して有機金属遷移金属化合物を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、
1が、元素周期表の第3、4、5又は6族の元素又はランタノイドを表し、
基Xが、同一であっても異なってもよく、それぞれ有機又は無機の基を表し、且つ2個の基Xが相互に結合しても良く、
nが、1〜4の自然数であり、
Zが、1〜40個の炭素原子を有する二価の有機基であり、この二価の有機基は、インデニル(indenyl system)の2個の炭素原子と共に、飽和又は不飽和、置換又は無置換の、4〜12原子の環員を有する環(ring system)を形成し、且つインデニルと縮合した環内のZが、Si、Ge、N、P、O、S、Se及びTeからなる群から選ばれる一個以上の同一又は異なるヘテロ原子を更に含んでいても良く、
1が、水素又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
2が、水素又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
3が、水素、ハロゲン又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
4が、水素、ハロゲン又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
5が、水素、又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
6が、水素、又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
7、R8が、同一又は異なっていても良く、それぞれが、水素又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表すか、又はR7及びR8が、これらを結合している原子と共に、単環式、又は多環式の、置換又は無置換の、1〜40個の炭素原子を有し、且つSi、Ge、N、P、O、S、Se及びTeからなる群から選ばれるヘテロ原子を含んでも良い環を形成しており、
Aが、二価の原子又は二価の基からなる架橋基を表し、そして、
3が水素の場合、R5が3〜20個の炭素原子を有し、且つα位で分岐している有機基を表し、そしてR6が水素で表される、有機金属遷移金属化合物に関する。
【0004】
本発明は、更に、このような置換パターンを有するビスシクロペンタジエニル配位子(ligand system)、本発明の少なくとも1種の有機金属遷移金属化合物を含む触媒組成物、本発明の触媒組成物の存在下での、少なくとも1種のオレフィンの重合又は共重合によるポリオレフィンの製造方法、有機金属遷移金属化合物を製造するための本発明のスシクロペンタジエニル配位子の使用方法、及び、ビスシクロペンタジエニル配位子を使用して有機金属遷移金属化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
調整されたポリオレフィンを製造することを目的として、有機金属遷移金属化合物、特にメタロセンを、オレフィンの重合又は共重合のための触媒組成物として使用することについて、過去15年にわたり大学及び産業界で集中的な研究開発がなされてきた。メタロセン触媒組成物を用いて製造され、エチレンを基礎とするポリオレフィンと、特にメタロセン触媒組成物を用いて製造され、プロピレンを基礎とするポリオレフィンは、現在、動的に成長する市場区分である。
【0006】
例えば、耐衝撃性改質プロピレン重合体の製造で、ゴム相として使用されるプロピレン−エチレン共重体の製造において、公知のメタロセン触媒を使用して達成されるプロピレン−エチレン共重体のモル質量は、アイソタクチックプロピレン単独重合体のモル質量と比較して相当に低いという問題を、通常有している。
【0007】
特許文献1(EP−A−776913)には、特定の置換C2−対称ビスインデニル−メタロセンを使用する、高分子量のプロピレン−エチレン共重合体の製造方法が記載されている。
【0008】
特許文献2(EP−A−834519)には、プロピレンの単独重合に適当であり、融点が高いプロピレン単独重合体が得られ、C1−対称ビスインデニルメタロセンを含む触媒組成物が記載されている。
【0009】
特許文献3(WO01/48034)には、特定の置換メタロセンの結果として、十分なモル量を有するゴム相としてのプロピレン−エチレン共重合体と、融点が十分に高いプロピレン単独重合体の両方を製造可能な、十分な剛性を有するマトリックス用の触媒組成物が記載されている。特許文献4(WO03/045551)には、上述した必要条件に関して更に改良がされた特性を有する触媒組成物が記載されている。
【0010】
【特許文献1】EP−A−776913
【特許文献2】EP−A−834519
【特許文献3】WO01/48034
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
現在まで開発が行なわれてきたが、ゴム相の高い分子質量(molar mass)とマトリックスの硬度と結合した新しいメタロセン触媒を見出すために開発が引く続き必要である。更なる局面は、触媒組成物の経済的な利用性である。
【0012】
本発明の目的は、触媒成分として使用された場合、公知のメタロセンと比較して重合の結果生じるプロピレン−エチレン共重合体の更なるモル質量の増加を達成し、及び同時に、プロピレン単独重合体の所望の硬度を増加させるか、又は少なくとも維持する有機金属遷移金属化合物を見出すことにある。更に、有機金属遷移金属化合物は経済的な様式で得られ得るべきである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明者は、この目的は、上述した式(I)の有機金属遷移金属化合物によって達成されることを見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
1は、元素周期表の第3、4、5又は6族の元素又はランタノイド、例えば、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロミウム、モリブデン、又はタングステン、好ましくはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、特に好ましくはジルコニウム、又はハフニウム及び極めて好ましくはジルコニウムである。
【0015】
基Xは、同一であっても又は異なっても良く、好ましくは同一で、及びそれぞれが有機又は無機基で、2個の基Xが相互に結合しても良いものである。Xは、ハロゲンが好ましく、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、好ましくは、塩素、水素、C1−C20−、好ましくは、C1−C4−アルキル、特にメチル、C2−C20−、好ましくは、C2−C4−アルケニル、C6−C22−、好ましくは、C6−C10−アリール、1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子をアルキル基に有し、6〜22個、好ましくは6〜10個の炭素原子をアリール基に有するアルキルアリールまたはアリールアルキル基、−OR13又はNR1314 を表し、好ましくは−OR13を表し、2個のX基、好ましくは2個の基OR13が相互に結合していても良い。2個の基Xが、置換又は無置換のジエン配位子、特に、1,3−ジエン配位子を形成することも可能である。基R13、及びR14は、それぞれ、C1−C10−、好ましくは、C1−C4−アルキル、C6−C15−、好ましくは、C6−C10−アリール、1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子をアルキル基に有し、及び6〜22個、好ましくは6〜10個の炭素原子をアリール基に有するアルキルアリール、アリールアルキル、フルオロアルキル、又はフルオロアリールである。
【0016】
更に限定しない限り、アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、又はn−オクチル等の線状の基、分岐した基、又は環状の基である。
【0017】
指数(index)のnは、M1の酸化数から2を引いた値にしばしば等しくなる1〜4の自然数である。周期元素表の第4族の元素にとっては、nは2が好ましい。
【0018】
Zは、1〜40個の炭素原子を有し、及び、インデニル(インデニル環:indenyl system)の2個の炭素原子と共に飽和又は不飽和、置換又は無置換の、環員(ring size)が4〜12個、好ましくは4〜8個、特に好ましくは4〜6個、極めて好ましくは5又は6個の原子である環を形成する二価の有機基であり、ここで、インデニルと縮合(fuse)した環内のZが、Si、Ge、N、P、O、S、Se及びTe、好ましくはSi、Ge、N、O、及びS、特にO、及びSからなる群から選ばれる、1個以上、好ましくは1個又は2個の同一又は異なるヘテロ原子を含んでも良い。
【0019】
Zは、好ましくは、−(C(Rab))k−、−O−(C(Rab))j−O−、−C(Ra)=C(Ra)−C(Ra)=C(Ra)−又は−C(Ra)=C(Ra)−S−、(但し、基Raと基Rbの両方が互いに独立して、同一又は異なるものであり、及びRaとRbがそれぞれ水素、ハロゲン、又は1〜40個炭素原子を有する有機基であるか、又は2個の基Ra及び/又はRbが、これらを結合している原子と一緒に、単環式、又は多環式の、置換又は無置換の、1〜30個の炭素原子を有する環(ring system)を形成するものであり、及びSi、Ge、N、P、O、S、Se及びTe、特に、N、O、及びSからなる群から選ばれるヘテロ原子を含んでも良く、及びkが2〜6、好ましくは3又は4、特に3の自然数であり、及びjが、1〜4、好ましくは1又は2、特に2の自然数である。)である。Ra及びRbは、好ましくは、それぞれが水素、C1−C10−特にC1−C4−アルキル基、又は、置換又は無置換のC6−C14−アリール基である。
【0020】
Zの好ましい例は、
【0021】
【化2】

【0022】
【化3】

好ましくは、
【0023】
【化4】

特に
【0024】
【化5】

である。
【0025】
1は、水素、又は1〜40個の炭素原子を有する有機基、例えば、C1−C40−アルキル、C1−C10−フルオロアルキル、C2−C40−アルケニル、C6−C40−アリール、C6−C10−フルオロアリール、アルキル部位に1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、アリール部位に6〜22個、好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアリールアルキル、アルキルアリール又はアリールアルケニル、又は原子O、N、S、P及びSe、特にO、N、及びSから成る群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むC2−C40−ヘテロ芳香族基であり、ここで、ヘテロ芳香族基が別の基R15によって置換されても良い(但し、R15が、1〜20個の炭素原子を有し、及び特にR13と同様に定義される有機基であり、及び複数のR15が同一又は異なるものであって良い。)。R1は、好ましくは、水素又は1〜40個、好ましくは1〜20個の炭素原子を有し、及びα位で分岐していない有機基であり、α位で分岐していない有機基は、結合α原子が、水素原子以外の1個以下の原子に結合する基として定義される。α位で分岐していない有機基の結合α原子は、好ましくは炭素原子である。基R1は、特に好ましくは、分岐していないC1−C20−、好ましくはC1−C10−n−アルキル基、C2−C20−、好ましくは、C2−C8−アルケニル基、又は1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子をアルキル部位に有し、及び6〜22個、好ましくは6〜10個の炭素原子をアリール部位に有するアリールアルキル基である。特に好ましい基R1は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、ベンジル、及び2−フェニルエチル、特にメチル、エチル、n−プロピル、及びn−ヘキシルである。
【0026】
2は、水素、又は1〜40個の炭素原子を有する有機基、例えば、C1−C40−アルキル、C1−C10−フルオロアルキル、C2−C40−アルケニル、C6−C40−アリール、C6−C10−フルオロアリール、それぞれ、1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子をアルキル部位に有し、及び6〜22個、好ましくは6〜10個の炭素原子をアリール部位に有するアリールアルキル、アリールアルケニル、又はアルキルアリール、又はO、N、S、P、及びSe、特にO、N、Sからなる群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を有するC2−C40−ヘテロ芳香族基であり、ここで、ヘテロ芳香族基は、別の基R15(但し、R15は、1〜20個の炭素原子を有し、及び特にR13と同様に定義されたものであり、及び複数のR15が、同一又は異なるものであって良い。)によって置換されても良い。R2は、水素が好ましい。
【0027】
3は、水素、ハロゲン、又は1〜40個の炭素原子を有する有機基、好ましくは、ハロゲン、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、又は1〜40個の炭素原子を有する有機基、例えば、C1−C40−アルキル、C1−C10−フルオロアルキル、C2−C40−アルケニル、C6−C40−アリール、C6−C10−フルオロアリール、それぞれ、1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子をアルキル部位に有し、及び6〜22個、好ましくは6〜10個の炭素原子をアリール部位に有するアリールアルキル、アルキルアルケニル、又はアルキルアリール、又はO、N、S、P、及びSe、特にO、N、及びSからなる群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を有するC2−C40−ヘテロ芳香族基であり、ここで、ヘテロ芳香族基は、別の基R15(但し、R15は、1〜20個の炭素原子を有し、及び特にR13と同様に定義されたものであり、及び複数のR15が、同一又は異なるものであって良い。)によって置換されても良い。R3は、好ましくは置換又は無置換のC6−C40−アリール基、又は、O、N、S、及びP、特にO、N、及びSからなる群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を有するC2−C40−ヘテロ芳香族基であり、又は基R3は、C1−C40−、好ましくは、C3−C20−アルキル基、例えば、イソプロピル、シクロブチル、1−メチルプロピル、1−メチルブチル、1−エチルブチル、1−メチルペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はt−ブチル、特にイソプロピルである。
【0028】
基R3は、特に好ましくは、置換又は無置換のC6−C40−アリール基又は1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子をアルキル部位に有し、及び6〜22個、好ましくは6〜10個の炭素原子をアリール部位に有するアルキルアリール基であり、基は、ハロゲン化することも可能である。特に好ましい基R3の例は、フェニル、2−トリル、3−トリル、4−トリル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、3,5−ジ(tert−ブチル)フェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,3,4−トリメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、フェナンスレニル(phenanthrenyl)、p−イソプロピルフェニル、p−tert−ブチルフェニル、p−s−ブチルフェニル、p−シクロヘキシルフェニル、及びp−トリメチルシリルフェニルであり、特にフェニル、1−ナフチル、3,5−ジメチルフェニル、及びp−tert−ブチルフェニルである。
【0029】
4は、水素、ハロゲン、例えば、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素、特に、フッ素、又は、1〜10個の炭素原子を有する有機基、例えばC1−C40−アルキル、C1−C10−フルオロアルキル、C2−C40−アルケニル、C6−C40−アリール、C6−C10−フルオロアリール、それぞれ、アルキル部位に1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、アリール部位に6〜22個、好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアリールアルキル、アリールアルケニル、又はアルキルアリール、又は原子O、N、S、P及びSe、特にO、N、及びSから成る群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むC2−C40−ヘテロ芳香族基であり、ここで、ヘテロ芳香族基が別の基R15によって置換されても良い(但し、R15が、1〜20個の炭素原子を有し、及び特にR13と同様に定義される有機基であり、及び複数の基R15が同一又は異なるものであって良い。)。R4は、好ましくは、水素、フッ素、C1−C10−アルキル、特に、n−アルキル、置換又は無置換のC6−C40−アリール基、又はO、N、S、及びP、特にO、N、及びSから成る群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むC2−C40−ヘテロ芳香族基である。R4は、特に好ましくは、水素、C1−C6−n−アルキル、又は置換又は無置換のC6−C40−アリール基である。特に好ましい基R4の例は、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、2−トリル、3−トリル、4−トリル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、3,5−ジ(tert−ブチル)フェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,3,4−トリメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、フェナンスレニル(phenanthrenyl)、p−イソプロピルフェニル、p−tert−ブチルフェニル、p−s−ブチルフェニル、p−シクロヘキシルフェニル、又はp−トリメチルシリルフェニルである。特に好ましいR4は、水素である。
【0030】
5は、水素、又は1〜40個の炭素原子を有する有機基、好ましくは、1〜40個の炭素原子を有する有機基、例えば、C1−C40−アルキル、C1−C10−フルオロアルキル、C2−C40−アルケニル、C6−C40−アリール、C6−C10−フルオロアリール、アルキル部位に1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、アリール部位に6〜22個、好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアリールアルキル、アルキルアリール又はアリールアルケニル、又は原子O、N、S、P及びSe、特にO、N、及びSから成る群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むC2−C40−ヘテロ芳香族基であり、ここで、ヘテロ芳香族基が別の基R15によって置換されても良い(但し、R15が、1〜20個の炭素原子を有し、及び特にR13と同様に定義される有機基であり、及び複数のR15が同一又は異なるものであって良い。)。R5は、好ましくは、3〜20個の炭素原子を有し、及びα位で分岐している有機基であり、ここで、α位で分岐している有機基は、結合α原子が、水素以外の少なくとも2個の原子と、1個以下の直接結合水素原子を有する基である。結合α原子は、好ましくは炭素である。
【0031】
基R5は、特に好ましくは、C3−C20−、好ましくはC3−C10−アルキル、C3−C20−、好ましくはC3−C8−アルケニル、C6−C18−、好ましくはC6−C10−アリール、それぞれ、アルキル部位に1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、アリール部位に6〜18個、好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアリールアルキル、アルキルアリール又はアリールアルケニル、C3−C12−、好ましくは、C5−C8−シクロアルキル、又はシクロアルケニル、又は基R5は、3〜10個の炭素原子を含み、及びO、N、S、P及びSe、特にO、N、及びSから成る群から選ばれる少なくとも1個ヘテロ原子を含む飽和、又は不飽和複素環であり、ここで、炭素環(carbocycle)と複素環が、別の基R15によって置換されても良い(但し、R15が、1〜10個の炭素原子を有し、及び特にR13と同様に定義される有機基であり、及び複数のR15が同一又は異なるものであって良い。)。
【0032】
好ましい基R5の例は、イソプロピル、シクロブチル、1−メチルプロピル、1−メチルブチル、1−エチルブチル、1−メチルペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、t−ブチル、シクロペント−2−エニル(enyl)、シクロペント−3−エニル、シクロヘキ(cyclohex)−2−エニル、シクロヘキ−3−エニル、パラ−メチルシクロヘキシル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニル、2−トリル、3−トリル、4−トリル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、フェナンスリル、チエニル、フリル、メチルチエニル、メチルフリル、トリフルオロメチル、及びトリメチルシリルであり、特に好ましくは、イソプロピル、1−メチルプロピル、1−メチルブチル、1−エチルブチル、1−メチルフェニル及びシクロヘキシルであり、特に、イソプロピル及びシクロヘキシルである。
【0033】
6は、水素、又は1〜40個の炭素原子を有する有機基、例えば、C1−C40−アルキル、C1−C10−フルオロアルキル、C2−C40−アルケニル、C6−C40−アリール、C6−C10−フルオロアリール、アルキル部位に1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、アリール部位に6〜22個、好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアリールアルキル、アルキルアリール又はアリールアルケニル、又は原子O、N、S、P及びSe、特にO、N、及びSから成る群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むC2−C40−ヘテロ芳香族基であり、ここで、ヘテロ芳香族基が別の基R15によって置換されても良い(但し、R15が、1〜20個の炭素原子を有し、及び特にR13と同様に定義される有機基であり、及び複数のR15が同一又は異なるものであって良い。)。R6は、好ましくは水素である。
【0034】
7及びR8は、同一又は異なるものであり、及びそれぞれが、水素又は1〜40個の炭素原子を有する有機基、例えば環状、分岐、又は分岐していないC1−C20−、好ましくはC1−C8−アルキル基、C2−C20−、好ましくはC2−C8−アルケニル基、C6−C22−、好ましくはC6−C10−アリール基、アルキル部位に1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、アリール部位に6〜22個、好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアリールアルキル、アルキルアリール基であり、又は、R7及びR8はこれらを結合している原子と一緒に、単環式、又は多環式の、置換又は無置換の、1〜40個の炭素原子を有する環を形成するものであり、及び原子Si、Ge、N、P、O、S、Se及びTe、好ましくはSi、N、O、及びS、特にS及びNからなる群から選ばれるヘテロ原子を含んでも良い。
【0035】
好ましくは、基R7及びR8が共に1〜40個の炭素原子を有する2価の有機基Tを形成するものである。ここで、Tは、シクロペンタジエニル環の2個の炭素原子と一緒に、好ましくは5〜7原子の環員を有する、飽和又は不飽和、置換又は無置換の環を形成するものであり、シクロペンタジエニル環と縮合(fuse)した環内のTが、原子Si、Ge、N、P、O、S、Se及びTe、好ましくはSi、N、O、及びS、特にS及びNからなる群から選ばれる、1個以上の同一、又は異なるヘテロ原子を含んでも良い。
【0036】
好ましい、2価の有機基Tの例は、
【0037】
【化6】

好ましくは、
【0038】
【化7】

特に、
【0039】
【化8】

【0040】
(但し、
9、R10、R11、及びR12が、同一又は異なるものであり、及び、それぞれが水素、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素、好ましくは、フッ素等のハロゲン、又は、1〜40個の炭素原子を有する有機基、例えば、環状、分岐、又は分岐していないC1−C20−、好ましくはC1−C8−アルキル基、C2−C20−、好ましくはC2−C8−アルケニル基、C6−C22−、好ましくはC6−C10−アリール基、アルキル部位に1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、アリール部位に6〜22個、好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はアリールアルキル基であり、ここで、基は、ハロゲン化されても良く、又は、基R9、R10、R11、及びR12は、2〜40個、特に4〜20個の炭素原子を有し、及びO、N、S、及びP、特に Nから成る群から選ばれることが好ましい、少なくとも1個のヘテロ原子を含む、置換、無置換の、飽和、又は不飽和の、特に、芳香族の複素環式基であり、又は、2個の隣接基(隣り合う基)R9、R10、及び/又はR11がこれらを結合している原子と一緒に、単環式、又は多環式の、置換又は無置換の、1〜40個の炭素原子を有する環を形成するものであり、及びSi、Ge、N、P、O、S、Se及びTe、特に、N、又はSからなる群から選ばれるヘテロ原子を含んでも良い。
【0041】
好ましくは、R9、及びR10は共に、置換又は無置換の、特に無置換の1,3−ブタジエン−1,4−ジイル基であり、又はR9が、置換又は無置換のC6−C40−アリール基、又は原子O、N、S、及びP、特にO、N、及びSから成る群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むC2−C40−ヘテロ芳香族基である。
【0042】
基R9は、特に好ましくは、置換又は無置換のC6−C40−アリール基又は1〜10個、好ましくは1〜4個の炭素原子をアルキル部位に有し、及び6〜22個、好ましくは6〜10個の炭素原子をアリール部位に有するアルキルアリール基であり、基は、ハロゲン化することも可能である。特に好ましい基R9の例は、フェニル、2−トリル、3−トリル、4−トリル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、3,5−ジ(tert−ブチル)フェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,3,4−トリメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、フェナンスレニル(phenanthrenyl)、p−イソプロピルフェニル、p−tert−ブチルフェニル、p−s−ブチルフェニル、p−シクロヘキシルフェニル、及びp−トリメチルシリルフェニルであり、特にフェニル、1−ナフチル、3,5−ジメチルフェニル、及びp−tert−ブチルフェニルである。
【0043】
成長するポリマー鎖と基R1及びR5との相互作用が、重合挙動と得られるポリマーの特性に特に重要なので、少なくとも1個の基R1及びR5特にR5が、α位で分岐している有機基である、式(I)の有機金属遷移金属化合物が好ましい。基R1及びR5が異なるものである有機金属遷移金属化合物、特にR1がα位で分岐していない有機基である式(I)の有機金属遷移金属化合物が特に好ましい。
【0044】
Aは、2価の原子又は2価の基から成る架橋基である。Aの例は、
【0045】
【化9】

特に
【0046】
【化10】

【0047】
(但し、
2が、シリコン、ゲルマニウム、又は錫、好ましくは、シリコン、又はゲルマニウム、特に好ましくはシリコンであり、及び、
16、R17及びR18が、同一又は異なるものであり、及びそれぞれが水素原子、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、C1−C10−、好ましくはC1−C3−アルキル基、C1−C10−フルオロアルキル基、C6−C10−フルオロアルキル基、C6−C10−アリール基、C1−C10−、好ましくはC1−C3−アルコキシ基、C7−C15−アルキルアリールオキシ基、C2−C10−、好ましくはC2−C4−アルケニル基、C7−C40−アリールアルキル基、C8−C40−アリールアルケニル基、又はC7−C40−アルキルアリール基であり、又は、2個の隣接基が、これらを結合している原子と一緒に、4〜15個の炭素原子を有する飽和又は不飽和環を形成するものである。
【0048】
Aの好ましい実施例は、架橋基であり、ジメチルシランジイル、メチルフェニルシランジイル、ジフェニルシランジイル、ジメチルゲルマンジイル、エチリデン、1−メチルエチリデン、1,1−ジメチルエチリデン、1,2−ジメチルエチリデン、1,1,2,2−テトラメチルエチリデン、ジメチルメチリデン、フェニルメチルメチリデン、及びジフェニルメチリデン、特にジメチルシランジイル、ジフェニルシランジイル、及びエチリデンである。
【0049】
Aは、特に好ましくは、置換シリレン(silylene)基、又は置換又は無置換のエチレン基、好ましくは、ジメチルシランジイル、メチルフェニルシランジイル、メチル−tert−ブチルシランジイル、又はジフェニルシランジイル、特にジメチルシランジイル等の置換シリレン基である。
【0050】
基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、及びR18は、本発明に従い、別のヘテロ原子、特に、Si、N、P、O、S、F、及びClから成る群から選ばれるヘテロ原子、又は官能基を炭素原子又は水素原子の代わりに含むことができ、これらの含有は、これらへテロ原子又は官能基が重合条件下において不活性である限り、本発明の有機金属遷移金属化合物の特性を変えることがない。
【0051】
更に、本発明に従う置換基は、以下のように定義されるが、これらに限られるものではない。
【0052】
本願明細書に使用される「1〜40個の炭素原子を有する有機基」という用語は、例えば、C1−C40−アルキル基、C1−C10−フルオロアルキル基、C1−C12−アルコキシ基、飽和C3−C20−複素環式基、C6−C40−アリール基、C2−C40−複素環式基、C6−C10−フルオロアリール基、C6−C10−アリールオキシ基、C3−C18−トリアルキルシリル基、C2−C20−アルケニル基、C2−C20−アルキニル基、C7−C40−アリールアルキル基、又はC8−C40−アリールアルケニル基を意味する。このような有機基は、有機化合物から誘導される。従って、1個の炭素原子を有する3種の異なる有機基が、原則として、有機化合物メタノールから誘導されるが、すなわち、メチル(H3C−)、メトキシ(H3C−O−)及びヒドロキシメチル(HOC(H2)−)である。
【0053】
本願明細書に使用される「アルキル」という用語は、線状、又は単一分岐又は複数分岐した飽和炭化水素を含み、炭化水素は環状であっても良い。好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、イソヘキシル、sec−ブチル、又はtert−ブチルである。
【0054】
本願明細書に使用される「アルケニル」という用語二重結合を有する線状、又は単一分岐又は複数分岐した炭化水素を含み、は、少なくとも1個のC−C二重結合を有し、所望により複数のC−C複数分岐は積層状又は交互状であって良い。
【0055】
本願明細書に使用される「飽和複素環式基」という用語は、例えば、1個以上の炭素原子、CH基及び/又はCH2基がヘテロ原子、好ましくは、O、S、N及びPからなる群から選ばれるヘテロ原子に置き換えられている、単環式、又は多環式の、置換又は無置換の炭化水素基を意味する。置換又は無置換の、飽和複素環式基の好ましい例は、ピロロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、及びこれらと同等の物、及び又、これらの、メチル−、エチル−、プロピル−、イソプロピル−、及びtert−ブチル−置換誘導体である。
【0056】
本願明細書に使用される「アリール」という用語は、例えば、芳香族の、縮合した(fused)又は縮合(unfused)していないポリ芳香族炭化水素置換基を意味し、これらは線状又は分岐したC1−C18−アルキル、C1−C18−アルコキシ、C2−C10−アルケニル、又はハロゲン、特にフッ素によって単一置換又は複数置換されて良いものである。置換及び置換アリール基の好ましい例は、特に、フェニル、ペンタフルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−n−プロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、4−メトキシフェニル、1−ナフチル、9−アンスリル、9−フェナンスリル、3,5−ジメチルフェニル、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル又は4−トリフルオロメチルフェニルである。
【0057】
本願明細書に使用される「ヘテロ芳香族基」という用語は、例えば、1個以上の炭素原子が、窒素、燐、酸素、又は硫黄原子によって置き換えられた芳香族性炭化水素基、又はこれらの組み合わせを意味する。これらは、アリール基のように、線状の、又は分岐したC1−C18−アルキル、C2−C10−アルケニル、又はハロゲン、特にフッ素によって単一置換又は複数置換されて良いものである。好ましい例は、フリル、チエニル、ピロロリル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、及びこれらと同等のものであり、及び又、これらの、メチル−、エチル−、プロピル−、イソプロピル−、及びtert−ブチル−置換誘導体である。
【0058】
本願明細書に使用される「アリールアルキル」という用語は、例えば、アリール基が、アルキル鎖を介して分子の残余に結合しているアリール含有置換基を意味する。好ましい例は、ベンジル、置換ベンジル、フェネチル、置換フェネチル、及びこれらと同等のものである。
【0059】
フルオロアルキル及びフルオロアリールという用語は、それぞれアルキル基及びアリール基を意味し、これら基ではそれぞれの置換基の少なくとも1個の水素原子、好ましくは1個〜最大で全ての水素原子がフッ素原子に置き換えられている。本発明に従い好ましいフッ素含有置換基の例は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−ペルフルオロ−tert−ブチルフェニル、及びこれらと同等のものである。
【0060】
式(I)の好ましい有機金属遷移金属化合物は、
2が、水素を表し、
5が、3〜20個の原子を有し、及びα位で分岐している有機基を表し、
6が、水素を表し、
1及びR5が異なるものであり、及び、
1、X、n、Z、R1、R3、R4、R7、R8、及びAが式(I)と同義であるものである。
【0061】
上述した定義に従う、式(I)の特に好ましい有機金属遷移金属化合物は、
2、R6が、それぞれ水素を表し、
3が、置換又は無置換のC6−C40−アリール基、又はO、N、S、又はPからなる群から選ばれる、少なくとも1個のヘテロ原子を含むC2−C40−ヘテロ芳香族基であるか、又はR3が、C1−C40−アルキル基であり、
4が、水素、フッ素、C1−C10−アルキル、置換又は無置換のC6−C40−アリール基、又はO、N、S、又はPからなる群から選ばれる、少なくとも1個のヘテロ原子を含むC2−C40−ヘテロ芳香族基であり、
7、R8が、共に1〜40個の炭素原子を有する二価の有機基Tを形成し、ここで、Tが、シクロペンタジエニル環の2個の炭素原子と共に、5〜7原子の環員を有する飽和又は不飽和、置換又は無置換の環を形成するものであって、シクロペンタジエニルリングと縮合したリングシステム内のTが、Si、Ge、N、P、O、S、Se及びTeからなる群から選ばれる同一又は異なる1個以上のヘテロ原子を含んでも良く、及び、
1、X、n、R1、R5、Z及びAが式(I)として定義されたものである。
上述した定義に従う、式(I)の極めて好ましい有機金属遷移金属化合物は、
1が、Ti、Zr又はHfを表し、
nが、2を表し、
1が、水素又は1〜20個の炭素原子を有し、α位で分岐していない有機基であり、特に、1〜20個の炭素原子を有し、α位で分岐していない有機基を表し、
3が、置換又は無置換のC6−C40−アリール基を表し、及び、
5が、3〜20個の炭素原子を有し、及びα位で分岐している有機基を表す、
ものである。
【0062】
上述した定義に従う、式(I)の非常に極めて好ましい有機金属遷移金属化合物は、
7、R8が、共に、
【0063】
【化11】

特に
【0064】
【化12】

【0065】
(但し、R9、R10、R11、及びR12が、同一又は異なるものであり、及びそれぞれが水素、ハロゲン、又は1〜40個の炭素原子を有する有機基、又は2個の隣接基R9、R10及び/又はR11が、これらを結合している原子と一緒に、単環式、又は多環式の、置換又は無置換の、1〜40個の炭素原子を有する環(ring system)を形成するものであり、及びSi、Ge、N、P、O、S、Se及びTeの原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を含んでも良いものである。)を形成し、及び、
Aが、置換されたシリレン(silylene)基又は置換又は無置換のエチレン基、特に置換されたシリレン基である、
ものである。
【0066】
式(I)の新規な有機金属遷移金属化合物の例を以下に示すが、しかし本発明がこの例に限られるものではない。
【0067】
Me2Si(6−Me−4−Ph−1,2,3,5,−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6,8−Me2−4−Ph−1,2,3,5,−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6−Me−4,8−Ph2−1,2,3,5,−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6−Me−4−(4−ビフェニル)−1,2,3,5,−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(1,1,3,3,6−Me5−4−Ph−1,2,3,5,−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,2,6−Me3−4−Ph−1,2,3,5,−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(3,3,6−Me3−4−Ph−1,2,3,5,−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
2
Me2Si(2,5,8−Me3−4−Ph−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−6,7−ジヒドロ−1H−5,8−ジオキサシクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,6−Me2−4−Ph−5H−1−チア−S−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,3,6−Me3−4−Ph−5H−1−チア−S−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(5−Me−3−Ph−2,4−ジヒドロ−1H−1−シクロブタ[f]インデン−6−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−1,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロシクロヘプタ[f]インデン−1−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6−(2−(5−メチルフリル))−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−Ph−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6−Me−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6,8−Me2−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6−Me−4,8−Ph2−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6−Me−4−(4−ビフェニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(1,1,3,3,6−Me5−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,2,6−Me3−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
【0068】
Me2Si(3,3,6−Me3−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,5,8−Me3−4−Ph−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−6,7−ジヒドロ−1H−5,8−ジオキサシクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,6−Me2−4−Ph−5H−1−チア−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,3,6−Me3−4−Ph−5H−1−チア−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(5−Me−3−Ph−2,4−ジヒドロ−1H−シクロブタ[f]インデン−6−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−1,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロシクロヘプタ[f]インデン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6−Me−4−i−Pr−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6−Me−4−(4−t−BuPh)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6,8−Me2−4−(4−t−BuPh)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(1,1,3,3,6−Me5−4−(4−t−BuPh)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,2,6−Me3−4−(4−t−BuPh)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(3,3,6−Me3−4−(4−t−BuPh)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−(4−t−BuPh)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,5,8−Me3−4−(4−t−BuPh)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
【0069】
Me2Si(2−Me−4−(4−t−BuPh)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−(4−t−BuPh)−6,7−ジヒドロ−1H−5,8−ジオキサシクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,6−Me2−4−(4−t−BuPh)−5H−1−チア−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,3,6−Me3−4−(4−t−BuPh)−5H−1−チア−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(5−Me−3−(4−t−BuPh)−2,4−ジヒドロ−1H−シクロブタ[f]インデン−6−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−(4−t−BuPh)−1,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロシクロヘプタ[f]インデン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6−Me−4−(2−MePh)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インデン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6,8−Me2−4−(2−MePh)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インデン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(1,1,3,3,6−Me5−4−(2−MePh)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,2,6−Me3−4−(2−MePh)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インデン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(3,3,6−Me3−4−(2−MePh)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インデン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−(2−MePh)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,5,8−Me3−4−(2−MePh)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−(2−MePh)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−(2−MePh)−6,7−ジヒドロ−1H−5,8−ジオキサシクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,6−Me2−4−(2−MePh)−5H−1−チア−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,3,6−Me3−4−(2−MePh)−5H−1−チア−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
【0070】
Me2Si(5−Me−3−(2−MePh)−2,4−ジヒドロ−1H−シクロブタ[f]インデン−6−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−(2−MePh)−1,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロシクロヘプタ[f]インデン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6−Me−4−(2,5−Me2Ph)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6,8−Me2−4−(2,5−Me2Ph)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(1,1,3,3,6−Me5−4−(2,5−Me2Ph)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,2,6−Me3−4−(2,5−Me2Ph)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(3,3,6−Me3−4−(2,5−Me2Ph)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−(2,5−Me2Ph)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,5,8−Me3−4−(2,5−Me2Ph)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−(2,5−Me2Ph)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−(2,5−Me2Ph)−6,7−ジヒドロ−1H−5,8−ジオキサシクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,6−Me2−4−(2,5−Me2Ph)−5H−1−チア−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2,3,6−Me3−4−(2,5−Me2Ph)−5H−1−チア−s−インダセン−7−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(5−Me−3−(2,5−Me2Ph)−2,4−ジヒドロ−1H−シクロブタ[f]インデン−6−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−(2,5−Me2Ph)−1,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロシクロヘプタ[f]インデン−1−イル)(2−i−Pr−4−(4−t−BuPh)−インデン−1−イル)ZrCl2
Me2Si(6−Me−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−3−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)ZrCl2
【0071】
Me2Si(6−Me−4−(2,5−Me2Ph)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−3−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)ZrCl2
Me2Si(6,8−Me2−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−3−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)ZrCl2
Me2Si(1,1,3,3,6−Me5−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−3−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)ZrCl2
Me2Si(2,2,6−Me3−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−3−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)ZrCl2
Me2Si(3,3,6−Me3−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−3−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(5−i−Pr−3−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)ZrCl2
Me2Si(2,5,8−Me3−4−Ph−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(5−i−Pr−3−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(5−i−Pr−3−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−6,7−テトラヒドロ−1H−5,8−ジオキサシクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(5−i−Pr−3−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)ZrCl2
Me2Si(2,6−Me2−5H−1−チア−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−3−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)ZrCl2
Me2Si(2,3,6−Me3−4−Ph−5H−1−チア−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−3−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)ZrCl2
Me2Si(5−Me−3−Ph−2,4−ジヒドロ−1H−シクロブタ[f]インデン−6−イル)(5−i−Pr−3−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−1,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロシクロブタ[f]インデン−1−イル)(5−i−Pr−3−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)ZrCl2
Me2Si(6−Me−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−1−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−4−イル)ZrCl2
Me2Si(6,8−Me2−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−1−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−4−イル)ZrCl2
Me2Si(1,1,3,3,6−Me5−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−1−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−4−イル)ZrCl2
【0072】
Me2Si(2,2,6−Me3−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−1−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−4−イル)ZrCl2
Me2Si(3,3,6−Me3−4−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−1−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−4−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(5−i−Pr−1−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−4−イル)ZrCl2
Me2Si(2,5,8−Me3−4−Ph−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(5−i−Pr−1−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−4−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(5−i−Pr−1−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−4−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−6,7−ジヒドロ−1H−5,8−ジオキサシクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル)(5−i−Pr−1−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−4−イル)ZrCl2
Me2Si(2,6−Me2−4−Ph−5H−1−チア−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−1−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−4−イル)ZrCl2
Me2Si(2,3,6−Me3−4−Ph−5H−1−チア−s−インダセン−7−イル)(5−i−Pr−1−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−4−イル)ZrCl2
Me2Si(5−Me−3−Ph−2,4−ジヒドロ−1H−シクロブタ[f]インデン−6−イル)(5−i−Pr−1−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−4−イル)ZrCl2
Me2Si(2−Me−4−Ph−1,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロシクロヘプタ[f]インデン−1−イル)(5−i−Pr−1−Ph−2−Me−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−4−イル)ZrCl2
命名と環の原子の番号は、以下の例に対応する。
【0073】
【化13】

【0074】
従来から公知のメタロセンと比較して、新規な式(I)の有機金属遷移金属化合物(organometallic trasition metal compound)は、プロピレンとエチレンの共重合において、従来から達成し得る分子量の増加を与え、そして同時に、プロピレンの単独重合において、アイソタクチクポリプロピレンの十分なモル質量と高融点を与える。
【0075】
式(I)の新規なメタロセンは、WO01/48034に記載されている方法で製造可能である。これらの方法は、通常、式(I)の有機金属遷移金属化合物を、別のジアステレオマーと共に製造する。
【0076】
【化14】

【0077】
触媒の製造において、式(I)の有機金属遷移金属化合物(rac又はプセウド−rac)は、その合成において共に製造される望ましくないジアステレオマー副製造物(meso又はプセウド−meso)とのジアステレオマー混合物として使用可能である。式(I)の有機金属遷移金属化合物は、高アイソタクチックのポリプロピレンを与え、一方、対応する望ましくないジアステレオマーは、通常、アタクチック(atactic)のポリプロピレンを与える。
【0078】
ジアステレオマーの分離は、原則として公知である。
【0079】
本発明は更に、式(II)のビスシクロペンタジエニル配位子(配位子組成物:ligand system)、
【0080】
【化15】

又はこれらの二重結合異性体
【0081】
(但し、記号R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Z及びAは、式(I)に定義されたものである。)を提供する。
【0082】
式(II)のビスシクロペンタジエニル配位子の置換パターンは、これらビスシクロペンタジエニル配位子を含む有機金属遷移金属化合物の特定の重合特性にとって重要である。
【0083】
本発明は、更に、有機金属遷移金属化合物を製造するため、好ましくは元素周期表の第4族の元素、特にジルコニウムの有機金属遷移金属化合物を製造するための、式(II)のビスシクロペンタジエニル配位子の使用方法を提供する。
【0084】
従って、式(II)のビスシクロペンタジエニル配位子又はこれらから製造されるビスアニオンと遷移金属化合物とを反応させることを含む、有機金属遷移金属化合物の製造方法も、本発明の範囲に含まれる。この方法では、n−ブチルリチウム等の塩基を使用して通常最初に、式(II)の配位子を二重に脱プロトン化し、その後、結果として得られたビスアニオンをジルコニウムテトラクロリド等の適切な遷移金属源と反応させるものである。この代わりに、荷電していない式(II)のビスシクロペンタジエニル配位子を適切な強塩基性の遷移金属源、例えばテトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウムと反応させることが可能である。
【0085】
あるシクロペンタジエニル配位子の基R5と他のシクロペンタジエニル配位子の2価の基Zとの立体的な相互作用が、式(I)の有機金属遷移金属化合物の重合特性にとって特に重要である。
【0086】
式(IIIa)のインデン又は式(IIIb)のこれらの二重結合異性体
【0087】
【化16】

【0088】
(但し、変数R1、R2、R3、R4、及びZが式(I)に定義されたものである。)は、公知の、又は入手が容易な先駆物質から製造可能である。
【0089】
式(IV)のインダノンが、残基(leaving group)Lを有する式(V)のインダノンに転化される方法が好ましく、Lは、好ましくはハロゲン、特に臭素である。残基Lは、この後に、例えばWO98/40331に記載されているように、R3によって置き換えられ、そして結果として得られるインダノン(IV)が還元されてインダノールを形成し、インダノールは、後に脱水されて式(IIIa)又は(IIIb)のインデンが得られる。
【0090】
【化17】

【0091】
この代わりに、式(V)のインダノンを最初に反応させてインデンを形成することができるが、インデンの残基Lは、US5789634に記載された方法に類似する方法を使用して、後にR3によって置き換えられる。
【0092】
新規な式(I)の有機金属遷移金属化合物は、特に適切な共触媒(cocatalyst)の存在下に、オレフィンの重合用の高活性触媒成分として作用する。
【0093】
式(I)の新規な有機金属遷移金属化合物と共に重合活性な触媒組成物を形成する共触媒は、有機金属遷移金属化合物を、少なくとも1種のオレフィンに対して重合活性な種(化合物:species)に転化することができる。従って、共触媒は、活性化化合物と称される場合もある。重合活性な遷移金属種は、しばしばカチオン性種である。この場合、共触媒は、しばしばカチオン形成化合物とも称される。
【0094】
従って、本発明は更に、オレフィンの重合用に、少なくとも1種の式(I)の有機金属遷移金属化合物、及び少なくとも1種の共触媒を含む触媒組成物を提供するが、共触媒は、有機金属遷移金属化合物を、少なくとも1種のオレフィンに対して重合活性な種に転化可能なものである。
【0095】
適切な共触媒又はカチオン形成化合物は、例えば、アルミノキサン、非荷電の強ルイス酸、ルイス酸カチオンを有するイオン性化合物、又はブレンステッド酸をカチオンとして含むアニオン性化合物等の化合物である。共触媒としてアルミノキサンが好ましい。
【0096】
有機金属遷移金属化合物としてメタロセン錯体の場合、共触媒は、しばしばメタロセニウムイオンを形成可能な化合物をも意味する。
【0097】
アルミノキサンとして、例えば、WO00/31090に記載された化合物を使用することも可能である。式(VII)又は(VIII)の開鎖(open-chain)状又は環状アルミノキサン化合物、
【0098】
【化18】

【0099】
(但し、
19が、C1−C4−アルキル基、好ましくはメチル、又はエチル基、及びmが5〜30、好ましくは10〜25の整数である。)
が特に有用である。
【0100】
これらオリゴマーのアルミノキサン化合物は、通常トリアルキルアルミニウムの溶液と水との反応によって製造される。通常、このようにして得られたオリゴマーのアルミノキサン化合物は、長さの異なる線状又は環状鎖の分子の両方の混合物の状態であり、このため、mは平均値としてとらえられる。アルミノキサン化合物は、他の金属アルキル、好ましくはアルミニウムアルキルとの混合物中にも存在し得る。
【0101】
更に、いくつかの炭化水素基又は水素原子が、アルコキシ、アリールオキシ、シルオキシ、又はアミド基によって置き換えられた改質されたアルミノキサンが、式(VII)、又は式(VIII)のアルミノキサン化合物の代わりに使用可能である。
【0102】
新規な式(I)の有機金属遷移金属、及びアルミノキサン化合物を以下の量で使用すること、すなわち、アルミノキサン化合物からのアルミニウムの、有機金属遷移金属化合物からの遷移金属に対する原子割合が、10:1〜1000:1の範囲、好ましくは20:1〜500:1の範囲、及び特に30:1〜400:1の範囲の量で使用することが有利であることがわかった。
【0103】
電荷を帯びていない、強ルイス酸として、式(IX)の化合物
【0104】
【化19】

【0105】
(但し、
3が元素周期表の第13族の元素、特にB、Al、又はGa、好ましくはBであり、
1、X2、及びX3が、それぞれが互いに独立して、水素、C1−C10−アルキル、C6−C15−アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキル、又はハロアリール(それぞれがアルキル基に1〜10個の炭素原子、及びアリール基に6〜20個の炭素原子を有するものである)、又はフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素、特にハロアリール、好ましくはペンタフルオロフェニルである。) が好ましい。
【0106】
電荷を帯びていない強ルイス酸の別の例が、WO00/31090に記載されている。
【0107】
特に好ましい式(IX)の化合物は、X1、X2、及びX3が同一であり、好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0108】
共触媒又はカチオン形成化合物として適当な、電荷を帯びていない強ルイス酸は、ボロン酸(boronic acid)と二当量のトリアルキルアルミニウムとの反応による反応生成物をも含み、又は、トリアルキルアルミニウムと、二当量の、ペンタフルオロフェノール又はビス(ペンタフルオロフェニル)ボリン酸等の、酸性のフッ素化炭化水素、特に過フッ素化炭化水素との反応による反応生成物も含む。
【0109】
ルイス酸カチオンを有する適当なイオン性化合物は、式(X)のカチオンの塩状化合物
【0110】
【化20】

【0111】
(但し、
Yが、元素周期表の第1〜16族の元素であり、
1〜QZが、それぞれ、C1−C28−アルキル、C6−C15−アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ハロアリール(それぞれが、アリール基に6〜20個の炭素原子を有し、及びアルキル基に1〜28個の炭素原子を有するものである)、置換基としてC1−C10−アルキル基を有していても良いC3−C10−シクロアルキル、ハロゲン、C1−C28−アルコキシ、C6−C15−アリールオキシ、シリル、又はメルカプチル(mercaptyl)基等のマイナス一価に荷電された基であり、
aが1〜6の整数であり、
zが0〜5の整数であり、
dがa−zの差に相当し、しかし、1より大きいか、又は等しいものである 。)を含む。
【0112】
特に有用なカチオンは、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、及びスルホニウムカチオン、及びカチオン性遷移金属錯体である。特に、トリフェニルメチルカチオン、シルバーカチオン、及び1、1'−ジメチルフェロセニルカチオンであって良い。これらは非配位 (noncoordinating) 対イオン、特にWO91/09882に記載されたホウ素化合物、好ましくはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを有していることが好ましい。
【0113】
非配位アニオンを有する塩は、ホウ素又はアルミニウム化合物、例えば、アルキルアルミニウムを、第2の化合物、及び第3の化合物と結合させることによっても製造でき、第2の化合物は、反応して、2個以上のホウ素又はアルミニウム原子と結合(link)可能なもので、例えば、水であり、第3の化合物は、ホウ素又はアルミニウム化合物と、イオン化イオン性化合物(ionizing ionic compound)を形成するもので、例えば、トリフェニルクロロメタンである。これに加え、同様にホウ素又はアルミニウム化合物と反応する第4の化合物、例えば、ペンタフルオロフェノールを加えることも可能である。
【0114】
カチオンとしてブレンステッド酸を含むイオン性化合物は、同様に非配位対イオンを有していることが好ましい。ブレンステッド酸として、陽子が加えられたアミン、又はアニリン誘導体が特に好ましい。好ましいカチオンは、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジメチルシクロヘキシルアンモニウム、及びN,N−ジメチルベンジルアンモニウム、及び後者の2個の誘導体である。
【0115】
共触媒又はカチオン形成化合物として好ましいイオン性化合物は、特に、N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、及びN,N−ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0116】
2種以上のボレートアニオンを、ジアニオン[(C652B−C64−B(C6522-中のものとして、互いに結合させることも可能であり、又担体粒子の表面上に、適当な官能基を有する架橋基を介してボレートアニオンを結合させることも可能である。
【0117】
更に適当な共触媒又はカチオン形成化合物が、WO00/31090に記載されている。
【0118】
電荷を帯びていない、強ルイス酸、ルイス酸カチオンを有するイオン性化合物、又はカチオンとしてブレンステッド酸を含むイオン性化合物の量は、新規な式(I)の有機遷移金属化合物に対して、通常0.1〜20当量、好ましくは1〜10当量である。
【0119】
更なる適当な共触媒又はカチオン形成化合物は、ジ[ビス(ペンタフルオロフェニルボロキシ)]メチルアラン等のホウ素−アルミニウム化合物を含む。このようなホウ素−アルミニウム化合物の例はWO99/06414に開示されている。
【0120】
上述した共触媒又はカチオン形成化合物の全ての混合物を使用することも可能である。好ましい混合物は、アルミノキサンを含み、特にメチルアルミノキサン、及びイオン性化合物であり、特にテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン、及び/又は電荷を帯びていない強ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを含むものである。
【0121】
式(I)の新規な有機金属遷移金属化合物、及び共触媒又はカチオン形成化合物は両方とも、溶媒、好ましくは6〜20個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、特にキシレン、及びトルエン中で使用することが好ましい。
【0122】
触媒は、更に式(XI)
【0123】
【化21】

【0124】
(但し、
4がアルカリ金属、アルカリ土類金属又は元素周期表の第13族の金属、すなわち、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムを表し、
20が、水素、C1−C10−アルキル、C6−C15−アリール、アルキルアリール、又はアリールアルキルであって、それぞれが、アルキル部位に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部位に6〜20個の炭素原子を有するものを表し、
21及びR22が同一、又は異なるものであり、それぞれが、水素、ハロゲン、C1−C10−アルキル、C6−C15−アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、又はアルコキシであって、それぞれが、アルキル基に1〜10個の炭素原子を有し、アリール基に6〜20個の炭素原子を有するものを表し、
rが、1〜3の整数であり、及び
s及びtが、0〜2の整数であり、r+s+tという合計がM4の原子価に相当し、
そして、式(XI)の金属化合物が通常、共触媒又はカチオン形成化合物と同一ではない。)の金属化合物を含む。式(XI)の種々の金属化合物の混合物を使用することも可能である。
【0125】
式(XI)の金属化合物の中で、
4がリチウム、マグネシウム、又はアルミニウムであり、及び
21及びR22がそれぞれC1−C10−アルキルである金属化合物が好ましい。
特に好ましい式(XI)の金属化合物は、n−ブチルリチウム、n−ブチル−n−オクチルマグネシウム、n−ブチル−n−ヘプチルマグネシウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、及びトリメチルアルミニウム、及びこれらの混合物である。
【0126】
式(XI)の金属化合物を使用する場合、式(XI)の金属化合物は、触媒中に存在することが好ましく、この存在する量は、好ましくは、式(XI)からのM4の、式(I)の新規な有機金属遷移金属化合物からのM1に対するモル比が、800:1〜1:1、特に200:1〜2:1である。
【0127】
式(I)の新規な有機金属遷移金属化合物、及び少なくとも1種の共触媒、及び付加的な担体をも含む触媒組成物が特に好ましい。
【0128】
このような担体触媒組成物を得るために、支持されていない触媒組成物を担体と反応させることも可能である。担体、本発明に従う有機金属遷移金属化合物、及び共触媒が結合する順番は、原則として重要ではない。有機金属遷移金属化合物、及び共触媒は互いに独立して又は同時に固定することができる。個々の工程段階の後、固体物は、脂肪族又は芳香族炭化水素等の適当な不活性溶媒、例えば、脂肪族又は芳香族炭化水素で洗浄することができる。
【0129】
担体として、いずれの有機又は無機不活性固体でもあり得る、微細に分配された担体を使用することが好ましい。特に、担体は、タルク、シート状珪酸塩、無機酸化物等の多孔性の固体物、又は微細に分配されたポリマー粉(例えばポリオレフィン)であり得る。
【0130】
適当な、無機の酸化物は、元素周期表の第2、3、4、5、13、14、15、及び16族の元素の酸化物の中から見出されるもので良い。担体として好ましい酸化物の例は、二酸化珪素、酸化アルミニウム、及びカルシウム、アルミニウム、シリコン、マグネシウム、又はチタニウムの原子の混合酸化物、及び対応する酸化物の混合物である。単独で使用可能であり、又は上述した好ましい酸化物担体と組み合わせて使用可能である他の無機酸化物は、例えば、MgO、ZrO2、TiO2、B23である。好ましい混合酸化物の例は、か焼されたヒドロタルサイト(hydrotalcite)である。
【0131】
使用される支持体材料は、比表面積が10〜1000m2/gの範囲、細孔容積が0.1〜5ml/gの範囲、及び平均粒径が1〜500μmの範囲であることが好ましい。比表面積が50〜500m2/gの範囲、細孔容積が0.5〜3.5ml/gの範囲、及び平均粒径が5〜350μmの範囲である担体が好ましい。比表面積が200〜400m2/gの範囲、細孔容積が0.8〜3.0ml/gの範囲、及び平均粒径が10〜100μmの範囲である担体が特に好ましい。
【0132】
無機の担体は、例えば、吸収した水を除去するために、熱処理に付すことが可能である。このような乾燥処理は、通常80〜300℃、好ましくは100〜200℃で行われ、減圧下において、及び/又は不活性気体(例えば、窒素)の雰囲気下において、100℃〜200℃で乾燥することが好ましく、又、無機担体を、200〜1000℃でか焼して、固体の所望の構造、及び/又は表面上での所望のOH濃度を製造することができる。担体は、金属アルキル、好ましくは、アルミニウムアルキル、クロロシラン、又はSiCl4又は他のメチルアルミノキサン等の通常の乾燥剤を使用して化学的に処理することができる。適当な処理方法は、例えば、WO00/31090に記載されている。無機の担体材料も、化学的に改質可能である。例えば、シリカゲルの(NH42SiF6での処理は、シリカゲル表面をフッ素化させ、又はシリカゲルの(窒素、フッ素又は硫黄を含む基を含む)シランでの処理は、対応する改質シリカゲル表面をもたらす。
【0133】
微粉状のポリオレフィン粉末(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリスチレン)等の有機担体材料を使用することも可能であり、そして、有機担体材料は好ましくは同様に、使用の前に、付着した湿分、残留溶媒又は他の不純物が、適当な精錬及び乾燥処理によって使用の前に除去される。官能化(functionalized)したポリマー担体、例えば、ポリスチレンをベースにしたものを使用することが可能であり、ポリマー担体は、その官能基、例えばアンモニウム、又はヒドロキシ基を介して少なくとも1種の触媒組成物を固定可能である。
【0134】
担持された触媒組成物を製造する好ましい方法では、少なくとも1種の式(I)の新規な有機金属遷移金属化合物が少なくとも1種の、適当な溶媒における活性化化合物又はカチオン形成化合物としての共触媒と接触され、これにより、溶解性又は不溶性、好ましくは、溶解性反応生成物、付加生成物(adduct)又は混合物を与える。
【0135】
このようにして得られた製造物は、脱水素化した、又は不導体化した担体材料と混合され、溶媒が除去され、そして結果物である担持された有機金属遷移金属触媒組成物が乾燥され、溶媒の全て又は大半が、担体材料の孔から確実に除去される。担持された触媒は易流動性粉末(free-flowing powder)として得られる。上述した方法の工業的手段は、WO96/00243、WO98/40419、又はWO00/05277に例示されている。
【0136】
更なる好ましい実施の形態では、共触媒又はカチオン形成化合物は、最初に担体材料に固定され、そしてこの担持された共触媒又はこのカチオン形成化合物が、次に本発明の有機遷移金属化合物と接触される。
【0137】
重要な共媒組成物は、従って以下の成分の組み合わせによって得られる化合物(combination)を含む。
【0138】
第1の成分 : 少なくとも1種の微粒子状のホウ素又はアルミニウム化合物、
第2の成分 : 少なくとも1個の酸性の水素原子を有し、少なくとも1種の電荷を帯びていない化合物、
第3の成分 : 少なくとも1種の担体、好ましくは無機酸化物担体、及び任意に、第4の成分として、塩基、好ましくは有機窒素含有塩基、例えば、アミン、アニリン誘導体又は窒素へテロ環。
【0139】
これら担持された共触媒の製造に使用されるホウ素又はアルミニウム化合物は式(XII)の化合物
【0140】
【化22】

【0141】
(但し、
23が同一又は異なるものであり、及びそれぞれが水素、ハロゲン、C1−C20−アルキル、C1−C20−ハロアルキル、C1−C10−アルコキシ、C6−C20−アリール、C6−C20−ハロアリール、C6−C20−アリールオキシ、C7−C40−アリールアルキル、C7−C40−ハロアリールアルキル、C7−C40−アルキルアリール、C7−C40−ハロアルキルアリール、又はOSiR243基を表し、但し、
基R24が同一又は異なるものであり、及びそれぞれが水素、ハロゲン、C1−C20−アルキル、C1−C20−ハロアルキル(ハロンアルキル)、C1−C10−アルコキシ、C6−C20−アリール、C6−C20−ハロアリール、C6−C20−アリールオキシ、C7−C40−アリールアルキル、C7−C40−ハロアリールアルキル、C7−C40−アルキルアリール、C7−C40−ハロアルキルアリール、好ましくは、水素、C1−C8−アルキル、又はC7−C20−アリールアルキルを表し、及び
5が、ホウ素又はアルミニウム、好ましくはアルミニウムである。)であることが好ましい。
【0142】
式(XII)の特に好ましい化合物は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、及びトリイソブチルアルミニウムである。
【0143】
少なくとも1種の酸化物形成水素原子を有し、及び式(XII)の化合物と反応可能な電荷を帯びていない化合物は、好ましくは式(XIII)、(XIV)、又は(XV)の化合物
【0144】
【化23】

【0145】
(但し、
基R25が同一又は異なるものであり、及びそれぞれが水素、ハロゲン、1〜40個の炭素原子を有しホウ素を有していない有機基、例えば、C1−C20−アルキル、C1−C20−ハロアルキル、C1−C10−アルコキシ、C6−C20−アリール、C6−C20−ハロアリール、C6−C20−アリールオキシ、C7−C40−アリールアルキル、C7−C40−ハロアリールアルキル、C7−C40−アルキルアリール、C7−C40−ハロアルキルアリール、Si(R273基、又はCHSi(R2732基であり、但し、
27が1〜40個の炭素原子を有し、ホウ素を有していない有機基、例えば、C1−C20−アルキル、C1−C20−ハロアルキル、C1−C10−アルコキシ、C6−C20−アリール、C6−C20−ハロアリール、C6−C20−アリールオキシ、C7−C40−アリールアルキル、C7−C40−ハロアリールアルキル、C7−C40−アルキルアリール、C7−C40−ハロアルキルアリールを表し、及び
26が、1〜40個の炭素原子を有している二価の有機基、例えば、C1−C20−アルキレン、C1−C20−ハロアルキレン、C6−C20−アリーレン、C6−C20−ハロアリーレン、C7−C40−アリールアルキレン、C7−C40−ハロアリールアルキレン、C7−C40−アルキルアリーレン、C7−C40−ハロアルキルアリーレンを表わし、
Dが、元素周期表の第16族の元素、又はNR28基(但し、R28が水素、又はC1−C20−アルキル、又はC6−C20−アリール等のC1−C20−炭化水素基である)を表し、好ましくは酸素を表し及び、
hが1又は2を表す。)である。
【0146】
式(XIII)の適当な化合物は、水、アルコール、フェノール誘導体、チオフェノール誘導体、又はアニリン誘導体を表し、特にハロゲン化された、及びとりわけ過フッ素化されたアルコール及びフェノールが重要である。特に有用な化合物の例は、ペンタフルオロフェノール、1,1−ビス(ペンタフルオロフェノール)メタノール、及び4−ヒドロキシ−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ノナフルオロビフェニルである。
【0147】
式(XIV)の適当な化合物は、ボロン酸(boronic acid)、又はボリン酸 (bornic acid)であり、特に過フッ素化されたアリール基を有するボリン酸、例えば、(C652BOHである。式(XV)の適当な化合物は、内部で二価の炭素含有基が、好ましくはハロゲン化されている、特に好ましくは過フッ素化されているジヒドロキシ化合物である。このような化合物の例は、4,4'−ジヒドロキシ−2,2,3,3,5,5,6,6-オクタフルオロビフェニルハイドレートである。
【0148】
式(XII)の化合物と式(XIII)又は式(XV)の化合物の組み合わせの例は、トリメチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノール、トリエチルアルミニウム/1−ビス(ペンタフルオロフェニル)メタノール、トリメチルアルミニウム/4−ヒドロオキシ−2,2,3,3,4,5,5,6,6-ノナフルオロビフェニル、トリエチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノール、トリイソブチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノール、及びトリエチルアルミニウム/4,4−ジヒドロキシ−2,2,3,3,5,5,6,6−オクタフルオロビフェニルハイドレートであり、例えば以下の形式の反応生成物が形成可能である。
【0149】
【化24】

【0150】
少なくとも1種の式(XII)の化合物と、少なくとも1種の式(XIV)の化合物との反応生成物の例は、
【0151】
【化25】

である。
【0152】
化合物は原則として、いずれの方法によっても結合可能である。
【0153】
所望により、少なくとも1種の式(XII)の化合物と、少なくとも1種の式(XIII)、(XIV)又は(XV)の化合物と、及び任意に有機窒素塩基との反応生成物を、式(VII)、(VIII)、(IX)、及び/又は(XI)の化合物と付加的に化合させ、そして担体と共に担持された共触媒組成物を形成する。
【0154】
好ましい実施の形態(変形例)では、第1の成分、例えば、式(XII)の化合物、及び第2の成分、例えば、式(XIII)、(XIV)、又は(XV)の化合物が混合され、及び第3の成分として担体、及び第4の成分として塩基が別に混合され、そしてその後、2個の混合物を、好ましくは、不活性の溶媒又は懸濁媒体において、互いに反応させる。担持された共触媒を、新規な式(I)の有機金属遷移金属化合物、及び任意に式(XI)の金属化合物と反応させて触媒組成物を形成する前に、形成された、担持された共触媒から不活性の溶媒又は懸濁媒体を除去することができる。
【0155】
第1に、触媒固体をα−オレフィン、好ましくは線状のC2−C10−1−アルケン、及び特にエチレン、又はプロピレンと予備重合させ、そして次に、結果物である予備重合された触媒固体物を実際の重合に使用することも可能である。予備重合に使用された触媒固体の、触媒固体上に重合されたモノマー(単量体)に対する質量比は、1:0.1〜1:200の範囲である。
【0156】
更に、少量のオレフィン、好ましくはα−オレフィン、例えばビニルシクロヘキサン、スチレン、又はフェニルジメチルビニルシランを改質成分として、静電防止(antistatic)剤、又は蝋又は油等の適当な不活性化合物を添加剤として、担持された触媒組成物の製造の間、又は後に加えることが可能である。添加剤の本発明に従う有機金属遷移金属化合物に対するモル比は、通常1:1000〜1000:1、好ましくは1:5〜20:1である。
【0157】
式(I)の新規な有機金属遷移金属化合物、又は有機金属遷移金属化合物が存在する触媒組成物は、オレフィンの重合又は共重合に適当である。
【0158】
本発明は、従って、少なくとも1種の式(I)の新規な有機金属遷移金属化合物を含む触媒組成物存在下における少なくとも1種のオレフィンの単独重合又は共重合によるポリオレフィンの製造方法をも提供する。
【0159】
通常、触媒組成物は、式(XI)の更なる金属化合物と共にオレフィンの重合又は共重合に使用され、この式(XI)の金属化合物は、触媒組成物の製造に使用された式(XI)の金属化合物(複数種類の場合を含む)とは異なり得るものである。通常、更なる金属化合物がモノマー又は懸濁媒体に加えられ、そして触媒活性に悪影響を与え得る物質のモノマーを取り除くように作用する。重合工程の間に、1種以上の別の共触媒又はカチオン形成化合物を触媒組成物に加えることも可能である。
【0160】
オレフィンは、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミド誘導体等の、官能化したオレフィン性不飽和化合物、例えば、アクリレート、メタクリレート又はアクリロニトリルであるか、又はアリール置換のα−オレフィンを含む無極性のオレフィン化合物であっても良い。
【0161】
式Rm−CH=CH−Rnの重合オレフィン(但し、Rm及びRnは、同一又は異なるものであり、及びそれぞれが水素原子、又は有機基、特に、1〜20個の炭素原子、特に1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基であり、又は、RmとRnがこれらを結合させる原子と共に1個以上の環を形成可能なものである。)が好ましい。
【0162】
このようなオレフィンの例は、2〜40個、好ましくは2〜10個の炭素原子を有する1−オレフィン、例えば、エテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、又は4−メチル−1−ペンテン、又はスチレン及びスチレン誘導体等の不飽和又は飽和ビニル芳香族化合物、又は1,3−ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、5−エチルジエン−2−ノルボルネン(norbornene)、ノルボルナジエン(norbornadiene)、エチルノルボルナジエン等のジエン、又はノルボルネン(norbornene)、テトラシクロドデセン又はメチルノルボルネン等の環式オレフィンである。
【0163】
本発明の触媒組成物は、特に好ましくは、プロペン又はエテンの単独重合に使用され、又はエテンと、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、及び/又は1−オクテン等のC3−C8−α−オレフィン、及び/又はノルボルネン等の環式オレフィン、及び/又は4〜20個の炭素原子を有するジエン、例えば、1,4−ヘキサジエン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、又はエチルノルボルナジエンとの共重合に使用され、又は最も好ましくは、プロペンとエテン、及び/又は1−ブテンとの共重合に使用される。このような共重合体の例は、プロペン−エテン、プロペン−1−ブテン、エテン−1−ヘキセン、エテン−1−オクテン共重合体、及びエテン−プロペン−エチリデンノルボルネン又はエテン−プロペン−1,4−ヘキサジエンターポリマーである。
【0164】
重合は、バルク(bulk)中、懸濁中、気相中、又は超臨界的(supercritical)な媒体中で、オレフィンの重合のための通常の反応器において、公知の方法で行われる。この重合は、バッチ形式で、又は好ましくは連続的に、1以上の段階で行うことが可能である。溶解法、懸濁法、攪拌気体相法、又は気相流動床法の全てが可能である。溶媒又は懸濁媒体として、不活性炭化水素、例えば、イソブタン又は他に、モノマー自身を使用することが可能である。
【0165】
重合は、−60〜300℃、及び0.5〜3000バールの範囲の圧力で行うことが可能である。温度範囲は、好ましくは、50〜200℃の範囲、特に好ましくは60〜100℃の範囲であり、圧力範囲は、好ましくは5〜100バールの範囲、特に好ましくは15〜70バールの範囲である。平均滞留時間は、通常、0.5〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。モル質量調整剤として、及び/又は、活性を増加させるために、水素が重合に使用可能である。更に、静電気防止剤等の通常の添加剤も使用可能である。本発明の触媒組成物は、重合に直接的に使用可能であり、すなわち、本発明の触媒組成物は、純粋な状態で重合系(polymerization system)に導入され、又は本発明の触媒組成物は、計量性を改良するために、パラフィン、油、又は蝋等の不活性成分と混ぜられる。
【0166】
新規な式(I)の有機金属遷移金属化合物又は内部に式(I)の有機金属遷移金属化合物が存在する触媒組成物は、ポリプロピレン/プロペン−エテン共重合体混合物を製造するために、特に有用である。
【0167】
本発明は、従って、上述した触媒組成物の存在下に、ポリプロピレン/プロペン−エテン共重合体混合物を製造する方法をも提供する。
【0168】
本発明の触媒を使用して製造された重合体(以降、(共)重合体とする)は、均一な粒子形態(particle morphology)を示し、及び微粉(fines)を含まない。本発明の触媒組成物を使用しての重合中に、沈殿物又は塊は形成されない。
【0169】
本発明の触媒組成物を使用して得ることができる(共)重合体は、プロペンの単独重合体とランダム共重合体の両方を含む。これらのモル質量Mw(ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して測定される)は、100000〜1000000g/molの範囲であり、そしてこれらのMw/Mn(ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して測定される)は、1.8〜4.0の範囲、好ましくは1.8〜3.5の範囲である。プロペンのランダム共重合体は、従属する量のモノマーを含み、このモノマーは、プロペン、例えばエテン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、又は4−メチル−1−ペンテン等のC2−C8−1−アルケン(alk-1-ene)と共重合することが可能である。2種以上の異なる共重合体、(従って、例えば、ランダムターポリマーを与える共重合体)を使用することも可能である。
【0170】
本発明の触媒組成物は、プロペンの単独重合体の製造、又はプロペンと、50質量%以下の他の共重合可能な8個以下の炭素原子を有する共重合体化した1−アルケンとの共重合体の製造に特に有用である。プロペンの共重合体は、ランダム共重合体、又はブロック、又は耐衝撃性共重合体である。プロペンの共重合体がランダム構造を有している場合、それらは、通常、50質量%以下、好ましくは15質量%以下、特に好ましくは5質量%以下の、他の8個以下の炭素原子を有する1−アルケン、特にエテン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、又はエテンと1−ブテンの混合物、及びエテンと1−ヘキセンの混合物、又はエテンと4−メチル−1−ペンテンの混合物を含む。
【0171】
本発明の触媒組成物を使用して製造可能である共重合体は、プロペンのブロック共重合体、又は耐衝撃性共重合体であり、この共重合体は、第1段階で、プロピレンの単独重合体、又は0.001〜15質量%、好ましくは0.01〜6質量%の、8個以下の炭素原子を有する他の1−アルケン(例えば、エテン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン)とプロピレンのランダム共重合体を製造し、そして次に第2段階で、エテン含有量が15〜80質量%であり、更に所望により追加的なC4−C8−1−アルケン(alk-1-ene)(例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン)を第1段階で製造された重合体上に含んでいても良いプロピレン−エテン共重合体を重合させることにより製造される。通常、重合したプロペン−エテン共重合体(プロペン−エテン共重合体は、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンを更なるモノマーとして更に含んで良い)の量は、第2段階で製造された共重合体が、最終生成物の3〜60質量%を形成する程度である。
【0172】
本発明の触媒組成物を使用して製造されたプロピレン単独重合体、及び共重合体は、メソ形に配置された2連子(diad)(13C−NMR分光器によって測定、実施例、参照)を少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、及び特に好ましくは、少なくとも97%有する。
【0173】
シングルサイト触媒(例えば、メタロセン触媒)を使用して製造されたランダム共重合体は、例えばチーグラー−ナッタ−触媒により製造された、コモノマーの含有量が同等である共重合体と比較して、いくつかの特性を有している。
【0174】
シングルサイト触媒により製造された共重合体は、それらのモル質量スペクトル全域にわたって、均一なコモノマー分布を有する。このような分布は、例えば、一対のGPC−IR測定によって測定可能である。
【0175】
シングルサイト触媒による共重合体において、共重合体は、ランダムに分配され、これに対し、チーグラー−ナッタ−触媒により製造された共重合体の場合には、コモノマーの含有量が低い場合であっても、コモノマーは、ブロックで組み込まれる傾向がある。コモノマー含有量は、その画分(fraction)が、重合体合計に対して十分に大きな割合(少なくとも10%)を形成している場合においては、ほとんど変動しない。本発明の触媒組成物を使用して製造された共重合体の場合、コモノマー含有量は、共重合体の割合が十分に大きい画分の間で、最大で10%の変動を示し、好ましくは最大で5%の変動、特に好ましくは、最大で1.5%の変動を示す。
【0176】
シングルサイト触媒による共重合体は、反応器を出た後(ex reactor)のモル質量分布が狭い(通常、Mw/Mn<=3.0である。)。チーグラー−ナッタ−触媒による共重合体は、反応器を出た後のモル質量分布がより広い。
【0177】
更に、シングルサイト触媒による共重合体は、溶解性材料の割合が低い。10モル%のエテンが組み込まれた場合、エーテル−溶解性材料の割合は、5質量%未満である。
【0178】
これに加え、上述した特長の組み合わせもまた、TREFにおける狭い温度範囲において溶出された、本発明の触媒組成物を使用して製造された重合体(単独重合体及び共重合体)をもたらす。本発明の触媒を使用して製造された単独重合体、及びランダム共重合体の場合、最大溶出が起こる温度(「ピーク温度」)より15℃未満〜最大溶出が起こる温度を15℃超えるまでの温度範囲内で、80〜100質量%が溶出(elute)される。この温度範囲は、ピーク温度より15℃未満〜ピーク温度を10℃超えることが好ましく、ピーク温度より10℃未満〜ピーク温度を10℃超えることが特に好ましい。
【0179】
本発明の触媒組成物を使用して製造された重合体(単独重合体、及び共重合体)は、硬い(hard)、及び堅い(stiff)、成形物、ファイバー、フィラメント、射出成形部品、フィルム、板又は高い抗張力を有する大型空洞状物(例えば、パイプ)の製造に適当である。成形物は、20℃以下の温度においてでも特に強い靭性(toughness)を有し、高度な堅さをも有している。
【0180】
本発明の触媒組成物を使用して製造されたブロック、又は耐衝撃性共重合体を含む成形物(例えば、射出成形物品)は、一般的には、当業者にとって公知である通常の射出成形法によって製造され、及び堅さ、靭性及び透明性と組み合わされた新規な特徴を有し、及びストレスホワイトニング(stress whitening)をほとんど示さない。
【0181】
本発明の触媒組成物を使用して製造された共重合体の堅さの測定として、ISO527に従った引っ張り強さ試験(tensile test)において測定された弾性(elasticity)のモジュールは、通常、500〜6000MPaの範囲、好ましくは800〜2000MPaの範囲、非常に特に好ましくは900〜1400MPaの範囲である。
【0182】
本発明の触媒組成物を使用して製造された共重合体の靭性の測定として、ISO179−2/1eUに従って測定されたシャルピー衝撃強さは、23℃で、>200kJ/m2、及び−20℃で、>200kJ/m2である。23℃で記録された好ましい試験例では、割れはなかった。
【0183】
透明度の補完的な値(透明度%+曇り%=100%)として、ASTMD1003に従って測定された、本発明の触媒組成物を使用して製造された共重合体の曇り(haze)は、好ましくは40%以下、特に好ましくは30%以下である。
【0184】
上述した重合体から製造された射出成形物品は、通常、当業者にとって公知である通常の添加剤を通常の量で含み、この添加剤は、例えば、安定剤、潤滑剤、及び型解放剤、充填剤、核形成剤、静電気防止剤、可塑剤、染料、顔料、又は難燃性付与剤である。通常、添加剤は、重合において、粉末として形成された製造物を造粒(granulation)する間に組み込まれる。
【0185】
通常、安定剤は、立体障害フェノール(sterically hindered phenpl)等の酸化防止剤、亜燐酸塩又はホスホナイト等の加工安定剤、カルシウムステアリン酸、又は亜鉛ステアリン酸等の、酸性の不純物除去剤、又はジヒドロタルサイト、立体障害アミン又はUV安定剤を含む。通常、本発明に従うプロピレン共重合体合成物(混合物)は、1種以上の安定剤を2質量%以下の量で含む。
【0186】
適当な潤滑剤及び型解放剤は、例えば、脂肪酸、脂肪酸のカルシウム又は亜鉛塩、脂肪酸アミド又は低分子量のポリオレフィンワックスで、これらは通常2質量%以下の濃度で使用される。
【0187】
可能な充填剤は、例えば、タルク、チョーク(chalk)、又はグラスファイバーであり、これらは、通常50質量%以下の範囲で使用される。
【0188】
適当な核形成剤は、例えば、タルク、シリカ、又はカオリン等の無機添加剤、モノカルボン酸又はポリカルボン酸の塩、例えば、安息香酸ナトリウム、又はアルミニウムtert-ブチル安息香酸、ジベンジリデンソルビトール、又はそのC1−C8−アルキル−置換誘導体(メチル−、エチル−、又はジメチルジベンジリデンソルビトール等のもの)、又は燐酸 のジエステルの塩、例えば、ナトリウム2、2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェイトである。プロピレンポリマー合成物の核形成剤の量は、通常5質量%以下である。
【0189】
このような添加剤は、通常、市販されており、及び例えば、Gachter/Muller、Plastics Additives Handbook、第4版、Hansa Publishers、Munich、1993に記載されている。
【0190】
以下に、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0191】
実施例
総括(General)
実験番号又は物質名称の最初に付された「c」という文字は、本発明によるものではなく、比較の目的で含められた実施例又は物質であることを示している。
【0192】
触媒の製造
0.206mmolのメタロセンジクロリドを、室温にて4.33mmolのMAO(トルエン中、30質量%濃度(strength)、Albemarleより)に加えた。溶液を、室温で一晩保持し、そして、次に10.9mlのトルエンで希釈した。希釈溶液を、10gのシリカ(Sylopol948、600℃でか焼、Graceより)に慎重に加えた。着色溶液を担体材料に均一に分配するために、特に注意を払った。10分後、触媒懸濁液を含んだフラスコを真空ラインに結合し、そして揮発分が5質量%以下に低減するまで乾燥した。
【0193】
重合
3.5kgの液体プロペンが入った10l(リットル)の反応器において単独重合を行った。容器は充填(charge)の前に窒素で不活性にした。Exxsol(Witcoより)中の8mlのトリエチルアルミニウム溶液(20質量%濃度)を反応器内に導入し、そして、混合物を30℃で15分間攪拌した。水素を加える場合、その濃度は、液体プロピレン1リットル当たり、0.5標準リットルに設定した。20mlのExxsolに各触媒が懸濁したものを反応器に導入した。反応器の温度を、65℃にまで高くし、そしてこのレベルで60分間維持した。反応器から排出(vent)することにより重合を停止させた。分析を行う前に、重合体を減圧下で一晩乾燥した。
【0194】
3.5kgの液体プロペンが入った10lの反応器で共重合を行った。Exxsol(Witcoより)中のトリエチルアルミニウム溶液(20質量%濃度)を反応器内に導入し、そして、混合物を30℃で15分間攪拌した。20mlのExxsolに各触媒が懸濁したものを反応器に導入した。反応器にエチレンを導入した(合計160g)。反応器の温度を、65℃にまで高くし、そしてこのレベルで60分間維持した。エチレンを連続的に加えることにより、反応器内の圧力を32バールに維持した(47gのエチレンを更に導入した)。反応器から排出することにより重合を停止させた。分析を行う前に、重合体を減圧下で一晩乾燥した。
【0195】
空気および湿分に敏感な物質の一般的な取り扱いと合成手順
有機金属化合物及び触媒の合成と取り扱いは、アルゴン雰囲気(グローブボックス及びSchlenk技術)で空気と湿分を除外して行なわれた。使用した全ての溶媒がアルゴンでパージされ、そして使用の前に分子ふるいの上で乾燥させた。数時間還流させることにより、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、及びトルエンをナトリウム/ベンゾフェノンの上で乾燥させ、ペンタンをナトリウム/ベンゾフェノン/トリグリムの上で乾燥させ、及び、ジクロロメタンを水素化カルシウムの上で乾燥させ、そして次に溶媒を蒸留し、そして、4A分子ふるいの上で保管した。
【0196】
無水のアルミニウムトリクロリド、インダン(純度95%)及び2−ブロモイソブチリルブロマイド(純度98%)をAldrich Chemical Companyから入手した。
【0197】
series 5973質量分析器(El、70eV)を備えたHewlett Packard series 6890装置を使用して、質量スペクトルを測定した。有機及び有機金属化合物のNMRスペクトルを、室温で、Varian Unity−300NMRスペクトロメーターを使用して記録した。SiMe4に対する化学変位(chemical shift)を使用した。
【0198】
融点の測定
1分につき20℃の加熱速度で200℃まで加熱する第1の加熱段階、1分につき20℃の冷却速度で25℃まで行うダイナミッククリスタリゼーション(dynamic crystallization)、1分につき20℃の加熱速度で200℃まで再加熱する第2の加熱段階において、ISOスタンダード3146に従うDSC測定により融点Tmを測定した。この融点とは、第2の加熱段階において、温度に対するエンタルピーの曲線が最高値を示す温度であった。
【0199】
ゲル浸透クロマトグラフィー
150CGPC装置(Watersより)を使用して、1,2,4−トリクロロベンゼン中で、145℃でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行った。HC−Entwicklungsgesellschaft fur wissenschaftliche Hard−und Software mbH,Ober−Hilbersheimからのsoftware Win−GPCを使用して、データを評価した。100〜107g/molのモル質量を有するポリプロピレンスタンダードを使用して、カラムの目盛定めを行った。重合体の質量平均モル質量(Mw)と数平均モル質量(Mn)を測定した。Q値は、質量平均モル質量(Mw)の数平均モル質量(Mn)に対する割合である。
【0200】
粘度数の測定(I.V.)
S5測定ヘッドを有するウッベローデ粘度計PVS1(両方ともLaudaより)で、デカリン中において135℃で粘度数を測定した。試料を製造するために、135℃で2時間にわたって、20mgの重合体を20mlのデカリン中に溶解した。15mlの溶液を粘度計に配置し、そして、一貫した結果が得られるまで、装置で、3回の最小のランニングアウト時間の計測を行った。I.V.=(t/t0−1)*1/c(但し、t=溶液の平均ランニングアウト時間、t0=溶媒の平均ランニングアウト時間、c:溶液の濃度、g/mlである。)の式に従い、ランニングアウト時間からI.V.を計算した。
【0201】
実施例
1.ジメチルシランジイル−(6−メチル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)−(2−イソプロピル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド(1)
【0202】
【化26】

【0203】
1a 2−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1(2H)−one(1a)の製造
50.71g(377mmol)の無水アルミニウムトリクロリドを、500mlのメチレンクロリド中の19.3g(163mmol)のインダンと38.3gの2−ブロモイソブチルブロマイド混合物中に0℃で、30分にわたり徐々に加えた。反応混合物はダークレッドになった。懸濁液を、室温で17時間攪拌し、そして次に200gの氷の上に注いだ。相が分離された。有機相は、200mlの1規定の塩酸で1回洗浄し、各200mlの飽和ナトリウム炭酸水素塩で2回洗浄し、そして各200mlの水で2回洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして濾過した。減圧下で溶媒を除去し、30g(収率99%)の化合物1(a)を赤茶色ブラウンオイルとして得た。GC−MSに従い、1(a)のオイル中含有量は99%であった。
【0204】
1b 4−ブロモ−2−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1(2H)−one(1b)の製造
31g(162mmol)の2−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1(2H)−one(1a)を、200mlのクロロホルム中の50g(0.37mol)の無水アルミニウムトリクロリドの懸濁液に、強く攪拌しながら0℃で加えた。1時間の攪拌後、20mlのクロロホルム中の8ml(160mmol)の臭素の溶液を混合物に0℃で、滴下して加え、そして次に混合物を一晩攪拌した。反応混合物を500gの氷/水混合物に注いだ。有機相を分離し、5%濃度のナトリウム炭酸水素塩と水で洗浄し、そして次に硫酸マグネシウムの上で乾燥させた。減圧下に濾過と溶媒の除去を行ない、51gのレッドオイルを得た。GC−MS分析は、オイルが84%の所望の化合物(1b)と14%のジブロマイド副生成物を含んでいることを示した。混合物は、溶離剤としてメチレンクロリドを使用したシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって分離された。これにより、18.7g(収率44%)の化合物(b)を得た。
1HNMR(d1−クロロホルム):7.48(s、1H)、3.28(dd、1H)、2.98(m、4H)、2.74(m、1H)、2.59(dd、1H)、2.15(t、2H)、1.32(d、3H)
13CNMR(d1−クロロホルム):208.19、152.44、151.81、145.78、137.09、118.72、117.84、42.34、35.48、34.34、33.19、25.64、16.24
【0205】
1c 4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチル−3,5,6,7−テトラヒオドロ−s−インダセン−1(2H)−one(1c)の製造
0.3gのパラジウムアセテート(3mol%)及び0.7gのトリフェニルホスフィン(6mol%)を良く攪拌した混合物に加えたが、この混合物は、170mlのジメトキシエタン(DME)/56mlの水中の、12g(0.045mol)の4−ブロモ−2−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1(2H)−one(1b)、11.2g(0.063mol)のtert−ブチルフェニルボロニック酸及び13.4g(0.126mol)の炭酸ナトリウムであった。反応混合物を6時間還流させ、水中に注ぎ、そしてメチレンクロリド(5×100ml)で抽出した。化合した有機相を炭酸ナトリウム溶液と水で洗浄し、そして硫酸マグネシウムの上で乾燥した。溶媒の除去後、粗製の製造物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけた(4/1〜1/1のヘキサン/クロロホルム)。これにより、10g(収率70%)の化合物(1c)を粘性オイルとして得た。
1HNMR(d1−クロロホルム):7.59(s、1H)、7.46(d、8.3Hz、2H)、7.40(d、8.2Hz、2H)、3.21(m、1H)、2.99(dd、2H)、2.84(dd、2H)、2.69(m、1H)、2.56(m、1H)、2.07(m、2H)、1.38(s、9H)、1.26(d、7.2Hz、3H)
【0206】
1d 4−(4−tert−ブチルフェニル)−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(1d)の製造
10g(0.031mol)の4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチル−3,5,6,7−テトラヒオドロ−s−インダセン−1(2H)−one(1c)を100mlのジエチルエーテル中の0.6g(0.016mol)のリチウムアルミニウムヒドリドの溶液に、0℃で滴下して加えた。得られた反応混合物を室温にまで暖め、そして更に1時間攪拌した。50mリットルの5%濃度の塩酸を加えた。有機相を分離し、水で2回洗浄し、そして硫酸マグネシウムの上で乾燥した。残留物を200mlのベンゼン中に溶解させ、そして、0.5gのp−トルエンスルホン酸を加えた後、15分還流させた。溶液を室温にまで冷却し、5%濃度のナトリウム炭酸水素塩で洗浄し、そして硫酸マグネシウムの上で乾燥した。溶媒を蒸発させ、4−(4−tert−ブチルフェニル)−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセンを量的な収率で得た。
1HNMR(d1−クロロホルム):7.41(d、8.2Hz、2H)、7.30(d、8.2Hz、2H)、7.10(s、1H)、6.45−6.43(m、1H)、3.29、3.17(s、2H)、2.95(dd、2H)、2.78、2.84(dd、2H)、2.06(s、3H)、2.02(m、2H)、1.36(s、9H)
【0207】
1e ジメチルシランジイル−(4−(4'−tert−ブチルフェニル)−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−イソプロピル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−1−インデン)(1e)の製造
6.5g(21.5mmol)の4−(4'−tert−ブチルフェニル)−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(1d)及び60mgの銅(I)シアン化物を200mlのジエチルエーテルと共に反応容器中に配置し、そして、ヘキサン(2.5molar)中10ml(25mmol)のn−ブチルリチウム溶液を、−70℃で加えた。次に反応混合物を室温にまで暖め、そして更に1時間攪拌した。反応混合物を再度−70℃にまで冷却した。200mlのジエチルエーテル中の、WO01/48034、実施例5、58頁に記載された方法で製造された8.5g(22mmol)の2−イソプロピル−7−(4'−tert−ブチルフェニル)−1−インデニルジメチルクロロシランを1時間にわたって加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌した。60mlの水を加え、そして相を分離した。有機相を100mlの水で洗浄した。化合した水性相を合計100mlのジエチルエーテルで2回抽出した。化合した有機相を硫酸マグネシウムの上で乾燥した。溶媒の除去後、残留物をオイルポンプによる真空中で乾燥させ、そして14gの粘性オイルを分離した。粗製の製造物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけた(ヘキサン/クロロホルム5/1)。これにより、9g(収率64%)の配位子(配位子組成物:ligand system)(1e)を二重結合異性体として粘性オイルの状態で得た。
1HNMR(400MHz、CDCl3):7.51−7.15(m、12H)、6.85、6.83(s、1H)、6.59、6.57(s、1H)、4.01、3.89、3.68(s、2H)、2.95−2.85(m、4H)、2.75−2.63(m、1H)、2.22、2.11(s、3H)、2.06−2.00(m、2H)、1.38、1.39、1.40(s、18H)、1.28−1.26(d、3H)、1.12−1.09(d、3H)、−0.23、−0.22、−0.16(s、6H).
MS(direct):M+=648(C4756Si)
【0208】
1 ジメチルシランジイル−(6−メチル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−イソプロピル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−1−インデニル)ジクロリド(1)の製造
トルエン(2.5molar)中3.8ml(9.6mmol)のn−ブチルリチウム溶液を100mlのジエチルエーテル中の3.1g(4.8mmol)のジメチルシランジイル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)(2−イソプロピル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−1−インデン)(1e)溶液に−70℃で加えた。次に、反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物を−70℃に再度冷却した。50ml中のn−ペンタン中の1.1g(4.8mmol)のジルコニウムテトラヒドリドを加え、そして反応混合物を室温にまで徐々に暖め、そして一晩攪拌した。G3リバーシブルフリットを通した濾過により、オレンジ色の沈殿物が分離され、そして10mlのジエチルエーテルで洗浄した。リバーシブルフリット中のオレンジ残留物をオイルポンプによる真空中で乾燥させ、3.2gのプセウド−rac/プセウド−meso混合物の状態の錯体(1)を得た。トルエンからの再結晶化により、540mg(収率14%)のプセウド−rac化合物(1)を得た。
1HNMR(400MHz、CDCl3):6.67(d、1H)、6.62−7.60(m、2H)、7.49−7.47(m、6H)、7.41(s、1H)、7.33(d、1H)、6.07(dd、1H)、6.98(s、1H)、6.65(s、1H)、3.36(septet、1H)、3.00−2.95(m、3H)、2.86−2.80(m、1H)、2.91(s、3H)、2.00(m、2H)、1.354、1.347(s、18H)、1.34(s、6H)、1.11(d、3H)、1.05(d、3H)
【0209】
2.ジメチルシランジイル−(6−メチル−4−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)−(2−イソプロピル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド(2)
【0210】
【化27】

【0211】
2a 4−フェニル−2−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1(2H)−one(2a)の製造
10g(37.7mmol)の4−ブロモ−2−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1(2H)−one(1b)、5.5g(45.3mmol)のフェニルボロニック酸、8.8g(80mmol)の炭酸ナトリウム、80mlのエチレングリコール及び12mlの水をアルゴン保護雰囲気下に配置し、そして、80℃に加熱した。強く攪拌しながら、4mlの水中の20mgのパラジウム(II)アセテート、260mgの3,3',3''−ホスヒンイジネトリス(ベンゼンスルホン酸)トリナトリウム塩(TPPTS)の新しく製造した触媒溶液を反応に加え、そして、反応混合物を3時間還流させた。室温にまで冷却後、40mlの水を加え、そしてエチレングリコール相を合計で240mlのトルエンを使用して3回抽出した。化合した有機相を合計250mlの水性ナトリウムクロリドで2回洗浄し、そして150gの硫酸ナトリウムの上で乾燥した。溶媒を除去し、9.6gのブラウンオイルを得たが、ブラウンオイルは徐々に結晶化した(97%GC−MS)。
1HNMR(400MHz、CDCl3):1.26(d、3H)、2.08(m、2H)、2.52(dd、1H)、2.68(m、1H)、2.81(m、2H)、3.00(t、2H)、3.17(dd、1H)、7.31(d、2H)、7.39(dd、1H)、7.45(d、2H)、7.61(s、1H)
【0212】
2b 4−フェニル−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(2b)の製造
9.6g(24.4mmol)の4−フェニル−2−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1(2H)−one(2a)及び40mlのトルエン中の2.10g(55mmol)のナトリウムボロヒドリドを反応容器内に配置した。溶液を50℃にまで暖め、そして7mlのメタノールを徐々に加え、そして反応混合物を50℃で3時間攪拌した。室温にまで冷却後、12mlの水及び40mlの1N硫酸を加え、そして混合物を30分攪拌した。相分離後、水相をトルエンで抽出した。有機相を蒸発させ、そして、残留物を100mlのトルエンに取り、そして、100mgのp−トルエン硫酸と混合した。反応が完了するまで、水分離器上で2時間還流させることにより、この反応混合物から水を蒸留させた。反応混合物を100mlの飽和ナトリウム炭酸水素塩溶液で洗浄し、そして硫酸マグネシウムの上で乾燥させた。溶媒の除去後、残留物をオイルポンプを使用使用した真空中で乾燥させた。これにより11.5gのブラウンオイルを得た。粗製の製造物を、カラムクロマトグラフィー(200gのシリカゲル、1lのヘプタン:ジエチルエーテル=9:1)で精製した。
1HNMR(400MHz、CDCl3):2.04(t、2H)、2.08(s、3H)、2.77(t、2H)、2.97(t、2H)、3.15(s、2H)、6.47(s、1H)、7.13(s、1H),7.35−7.48(m、5H)
【0213】
2c ジメチルシランジイル−(4−フェニル−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセニル)(2−i−プロピル−4−t−ブチルフェニル)−1−インデニル)(2c)の製造
400mlのジエチルエーテル中の10g(40.6mmol)の4−フェニル−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(2b)、及び135mg(1.5mmol)の銅シアン化物(I)を、n−ヘキサン中の18.7ml(45mmol)の2.5Mのn−ブチルリチムに、−70℃で滴下させて加えた。この溶液を徐々に室温にまで暖め、そして室温で3時間攪拌した。この溶液に、14g(42.8mmol)のクロロ−(2−i−プロピル−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)−ジメチルシランを−70℃で加え、そしてこの溶液を室温にまで暖め、そして5時間攪拌した。結果として得られたスラリー溶液を、水性アンモニウムクロリド溶液中に注ぎ、そして有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして、溶媒を蒸発させ、23.6gの粗製の製造物を得た。この製造物をカラムクロマトグラフィー(1200gのシリカゲル、12lのヘプタン:CH2Cl2=5:1)で精製した。収率:17.8g(74%)。
1HNMR(400MHz、CDCl3):−0.026、−0.157(s、6H)、1.10(m、3H)、1.25(m、3H)、1.393、1.400(s、9H)、2.05(m、2H)、2.21(s、3H)、2.71(septet、1H)、2.86−2.96(m、4H)、3.65、3.69、3.90、3.97(s、2H)、6.49、6.53(s、1H)、6.81、6.83(s、1H)、7.17−7.51(m、13H)
MS(direct):M+=592(C4348Si)
【0214】
2 ジメチルシランジイル−(6−メチル−4−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)−(2−イソプロピル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド(2)の製造
150mlのジエチルエーテル中の、10.4g(17.5mmol)のジメチルシランジイル−(4−フェニル−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセニル)(2−i−プロピル−4−(4−t−ブチルフェニル)−1−インデニル)(2c)をフラスコ中に配置し、そして、14ml(35mmol)のn−ブチルリチウム溶液(n−ヘキサン中2.5M)を−70℃で加えた。添加が完了した後、この混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物を−70℃に冷却し、そして、100mlのn−ペンタン中に懸濁した4.1g(17.5mmol)のジルコニウムテトラクロリドを加えた。反応混合物を室温にまで徐々に暖め、そして室温で一晩攪拌した。オレンジ色の沈殿物をG3フリット上で分離し、そして50mlのn−ペンタンで洗浄した。フリット上のオレンジの沈殿物を真空中で乾燥させ、5.5gの粗製錯体(プセウド−rac/プセウド−meso=85%/15%、収率:40%)を得た。トルエンからの再結晶で、1.14gのプセウド−rac−化合物(2)を得た。
1HNMR(400MHz、CDCl3):1.07(d、3H)、1.10(d、3H)、1.32(s、6H)、1.37(s、9H)、2.00(m、2H)、2.20(s、3H)、2.82、2.96(m、4H)、3.35(septet、1H)、6.65(s、1H)、7.01(s、1H)、7.06(dd、1H)、7.31(t、1H)、7.35(d、1H)、7.38(s、1H)、7.41(t、2H)、7.46(d、2H)、7.54(broad、2H)、7.62(d、1H)、7.64(d、2H)
MS(direct):M+=750(C4346Cl2SiZr)
【0215】
3.ジメヒルシランジイル−(6−メチル−4−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)−(2−イソプロピル−4−フェニル−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド(3)
【0216】
【化28】

【0217】
3a ジメチル−(4−フェニル−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセニル)(2−i−プロピル−4−フェニル−1−インデニル)−シラン(3a)
450mlのジエチルエーテル中の12.3g(50mmol)の4−フェニル−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(2b)及び150mg(1.5mmol)の銅シアン化物(I)に、n−ヘキサン中の23ml(57mmol)の2.5Mのn−ブチルリチウムを滴下して加えた。この溶液を室温にまで徐々に暖め、そして室温で3時間攪拌した。次に、この溶液に、16.4g(50mmol)のクロロ−(2−i−プロピル−4−フェニル−インデニル)−ジメチルシランを−70℃で加え、そしてこの溶液を室温にまで暖め、そして5時間攪拌した。結果として得られたスラリー溶液を水性アンモニウムクロリド溶液に注ぎ、そして有機相をブライン中で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させ、28gの粗製の製造物を得た。この製造物をカラムクロマトグラフィー(800gのシリカゲル、10lヘプタン:CH2Cl2=5:1)で精製した。収率:9.5g(35%)
1HNMR(400MHz、CDCl3):−0.21、−0.17、−0.13(s、6H)、1.10(m、3H)、1.24(m、3H)、2.05(m、2H)、2.22(s、3H)、2.71(m、1H)、2.80−2.98(m、4H)、3.67、3.68、3.90、3.99(s、2H)、6.49、6.54(s、1H)、6.78(s、1H)、7.16−7.57(m、14H)
MS(direct):M+=536(C3940Si)
【0218】
3 ジメチルシランジイル−(6−メチル−4−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)−(2−イソプロピル−4−フェニル−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド(3)
150mlのジエチルエーテル中の4.32g(8.05mmol)のジメチル−(4−フェニル−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセニル)(2−i−プロピル−4−フェニル−1−インデニル)−シラン(3a)をフラスコ内に配置し、そして、6.4ml(16.1mmol)のn−ブチルリチウム溶液(n−ヘキサン中2.5M)を−70℃で加えた。この添加が終了後、混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物を−70℃に冷却し、そして100mlのn−ペンタンに懸濁した1.9g(8.05mmol)のジルコニウムテトラヒドリドを加えた。反応混合物を室温にまで徐々に暖め、そして、室温で一晩攪拌した。オレンジ色の沈殿物をG3フリットで分離し、そして、50mlのn−ペンタンで洗浄した。フリット上のオレンジの残留物を真空中で乾燥し、2.5gの固体粉末を得た(rac/meso=89%/11%、収率:42%)。製造物をトルエン中で再結晶化し、プセウド−rac化合物(3)を得た。
1HNMR(400MHz、CDCl3):1.05(d、3H)、1.11(d、3H)、1.32(s、6H)、1.99(m、2H)、2.20(s、3H)、2.82(m、1H)、2.95(m、3H)、3.34(septet、1H)、6.65(s、1H)、6.96(s、1H)、7.07(dd、1H)、7.31(t、1H)、7.34(t、1H)、7.35(d、1H)、7.38(s、1H)、7.42(m、4H)、7.53(broad、2H)、7.64(d、1H)、7.67(d、2H)
MS(direct):M+=694(C3938Cl2SiZr)
【0219】
4.ジメチルシランジイル−(2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−テトラヒドロシクロペンタ[b]ナフタレン)−(2−イソプロピル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド(4)
【0220】
【化29】

【0221】
4a 2−メチル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−one(4a)の製造
メタクリルクロリド(37.5ml、375mmol)を良く攪拌したCH2Cl2(600ml)中のAlCl3(100g、750mmol)の懸濁液に−70℃で加えた。20分後、テトラヒドロナフタレン(49.5g、375mmol)を加えた。反応混合物を室温にまで暖め、16h攪拌し、そして氷水−HCl(1l/150ml)に注いだ。有機相を分離し、水相を、CH2Cl2(2100ml)で抽出した。化合した有機相を水、aq.NaHCO3で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、そして蒸発させた。真空蒸留(130−140℃/0.5Torr)ケトンの混合物。5日間以内の保管の後、所望の異性体は液体のままであり、そしてデカンターションによって分離できた。収率は、30g(40%)であった。
【0222】
4b 4−ブロモ−2−メチル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−one(4b)の製造
CH2Cl2(50ml)中の2−メチル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−one(3a、30g、150mmol)を、CH2Cl2(250ml)中のAlCl3(40g、300mmol)の懸濁液に、−20℃で加えた。20分の攪拌後、Br2(7.7ml、150mmol)を加えた。反応混合物を室温にまで暖め、16h(時間)攪拌し、氷水−HCl(500ml/70ml)に注いだ。有機相を分離し、水相を、CH2Cl2(2回50ml)で抽出し、化合した有機部位を水、aq.KHCO3で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、そして蒸発させた。残留物をガラス瓶(vacuo)(175−180℃/0.5Torr)で蒸留し、製造物は、31g(74%)の収率であった。
【0223】
4c 4−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−one(4c)の製造
Pd(OAc)2(0.74g、3mol.%)及びPPh3(1.73g、6mol.%)を、DME(380ml)/H2O(130ml)中、2−メチル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−one(4b、31g、110mmol)、tert−ブチルフェニルボロニック酸(26.7g、150mmol)、及びNa2CO3(31.8g、300mmol)の良く攪拌した混合物に加えた。結果物である混合物を攪拌しながら6h還流させ、冷却し、水中(700ml)に注ぎ、そしてベンゼン(100mlで4回)で抽出した。結果物である溶液を濾過し、そして蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、ヘキサン/CH2Cl2=1:1)により製造物が得られた。収率は、18.3g(50%)であった。
【0224】
4d 9−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン(4d)の製造
LiAlH4(0.95g、25mmol)を、Et2O(150ml)中の4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−one(16.6g、50mmol)に−20℃で加えた。結果物である混合物を室温にまで暖め、そして付加的に1h攪拌した。次に、5%のHCl(100ml)を加え、結果物である混合物をEt2O(50mlで3回)で抽出した。化合した有機相を水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、そして蒸発させた。ベンゼン(300ml)及びp−TSA(0.5g)を加え、そして結果物である溶液をDean Stark head(TLCによる制御、ベンゼン/EtOAc4:1)内で4h以内で還流させた。次に、結果物である溶液を水、aq.KHCO3、水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、シリカゲルを通し、そして蒸発させ、12.8g(81%)の製造物を得た。
【0225】
4e [4−(4−t−ブチルフェニル)−2−イソプロピル−1−H−インデン−1−イル][ 4−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル]ジメチルシラン(4e)の製造
Et2O(50ml)中の9−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン(4d、2.97g、9.38mmol)溶液を−60℃に冷却し、そして、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、6.04ml、9.67mmol)を加えた。結果物である混合物を、室温にまで暖め、3h攪拌し、−60℃に冷却し、そして、CuCN(50mg、0.55mol)を加えた。15分後、Et2O(24ml)中のクロロ−(4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−イソプロピル−1H−インデン−1−イル)−ジメチルシラン(9.67mmol)を加え、そして結果物である混合物を室温にまで暖め、そして16h攪拌した。水(5ml)及びヘキサン(200ml)を加え、有機相を分離し、MgSO4上で乾燥させ、シリカゲルを通し、そして蒸発させた。製造物をガラス瓶(vacuo)で乾燥させ、そして精製することなく使用した。
1HNMR(CDCl3、20℃):7.66−7.22(mのグループ、12H、CAr−H);6.94(bs);6.92(bs);6.41(bs);6.39(bs){2H、−CH=};4.13(s);4.09(s);4.02(s);3.95(s){2H、>CH−Si};2.39(s);2.29(s){3H、>C−CH3};3.00−2.66(mのグループ);1.95−1.75(mのグループ);1.36−1.14(mのグループ){9H、−CHMe2及び−CH2CH2CH2CH2−};1.52−1.35(s及びdのグループ、24H、−CH(CH32及び−C(CH33);0.12−0.10(sのグループ、6H、Si−CH3)。化合物は、アリール−ビニル異性体を含む。
【0226】
4 ジメチルシランジイル−(2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−テトラヒドロシクロペンタ[b]ナフタレン)−(2−イソプロピル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド(4)
得られた [4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−イソプロピル−1−H−インデン−1−イル][ 4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1−イル]ジメチルシラン(4e、5.82g、8.78mmol)を、Et2O(60ml)に溶解し、−40℃に冷却し、そしてn−BuLi(ヘキサン中1.6M、11.52ml、18.44mmol)を加えた。反応混合物を室温にまで暖め、3h攪拌し、そして蒸発させた。残留物をペンタン(100ml)中に懸濁させ、−60℃にまで冷却させ、そしてZrCl4(2.15g、9.22mmol)を加えた。5分後、Et2O(1ml)を加えた。結果物である混合物を室温にまで暖め、付加的に16h攪拌し、そして濾過した。結果物であるオレンジ−イエロー粉末を乾燥させ、DME(100ml)及びLiCl(0.3g)を加え、そしてこの混合物を6h攪拌させながら還流させた。次に、DME及びCH2Cl2/Et2Oから再結晶化させ、製造物を得た。rac−状態の収率は、0.88g(24.4%)であった。
1HNMR(CDCl3、20℃):7.67−7.04(mのグループ、12H、CAr−H);7.03(s、1H);6.47(s、1H){C5ringH};3.48(m、4H);1.12(m;4H){8H、−CH2CH2CH2CH2−};2.77(m、1H、−CHMe2);2.18(s、3H、C-CH3);1.35(bs18H、−C(CH33);1.34(s、3H);1.33(s、3H){Si−CH3};1.13−1.10(dd、6H、−CH(CH32
【0227】
5 ジメチルシランジイル−(6−メチル−4,8−ジフェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)−(2−イソプロピル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド(5)
【0228】
【化30】

【0229】
5a 4,8−ジブロモ−2−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1(2H)−one(5a)の製造
290mlのクロロホルム中の73.2gのAlCl3(0.542mol)懸濁液を150mlのクロロホルム中の45g(240mmol)の2−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1(2H)−one(1a)で、0℃で強く攪拌させながら処理した。0℃で1時間攪拌後、混合物を50mlのクロロホルム中の24ml(0.48mol)の臭素で、0℃の冷却槽で10分間滴下させて処理し、冷却槽を除去し、そして溶液を一晩攪拌した。反応混合物を氷水に注ぎ、そしてメチレンクロリドで抽出した。有機相を分離し、aq.NaHCO3と水で洗浄し、そしてMgSO4の上で乾燥した。真空下で蒸発させて乾燥し、93gのダークオイルを得たが、ダークオイルは徐々に結晶化した。この粗製製造物を、100mlのn−ヘプタン中に懸濁させ、そして、室温で1時間攪拌し、そして濾過した。52gのブラウンオイルが得られ、そして、GC−MSで測定し、目的の化合物をほぼ100%含んでいた(収率:63%)。濾過物を濃縮し、そして、同様の手順を繰り返し、10gの固体を得た(合計62g、収率:75%)。
1HNMR(400MHz、CDCl3):1.31(d,3H)、2.16(pent.、2H)、2.53(dd、1H)、2.75(m、1H)、3.07(m、4H)、3.22(dd、1H)
13CNMR(100MHz、CDCl3):16.47、23.31、34.73、34.92、35.77、43.34、115.51、118.08、133.90、147.09、152.70、154.64、205.54
【0230】
5b 2−メチル−4,8−フェニル−3,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1(2H)−one(5b)の製造
80mlの水中の20g(0.312mol)のKOHに、400mlのジメトキシエタン中の18.4g(53mmol)の4,8−ジブロモ−2−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1(2H)−one(5a)、19.0g(0.156mol)のフェニルボロニック酸、及び2.3g(9mmol)のトリフェニルホスフィンを加え、機械的な攪拌器で攪拌した。反応混合物を真空状態とし、そしてアルゴンで満たし、そして0.6g(2.67mmol)のパラジウム(II)アセテートを加え、そして混合物をアルゴン雰囲気下に90℃で4時間攪拌した。次にこれを室温にまで冷却し、そして1Lの氷水に注ぎ、合計600mlのメチレンクロリドで抽出し、そして有機相を水で中性になるまで洗浄し、乾燥させ、そして、蒸発させ、22gのダークオイルを得た。粗製精製物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、メチレンクロリド)で精製し、17.4gのブラウン固体(収率:97%)を得た。
1HNMR(400MHz、CDCl3):1.22(d、3H)、2.02(pent.、2H)、2.53(dd、1H)、2.64(m、1H)、2.86(m、4H)、3.18(dd、1H)、7.34−7.50(m、10H)
13CNMR(100MHz、CDCl3):16.35、25.80、31.98、33.10、33.75、43.07、127.33、127.47、127.63、127.78、127.93、128.37、128.57、128.87、128.98、129.08、131.99、135.46、135.97、137.34、138.25、143.83、150.15、151.61
【0231】
5c 6−メチル−4,8−ジフェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(5c)の製造
100mlのトルエン中の17.4g(51mmol)の2−メチル−4,8−ジフェニル−3,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1(2H)−one(4b)、及び3.8g(100mmol)のナトリウムボロヒドリドを反応容器に配置した。溶液を50℃にまで暖め、そして22mlのメタノールを徐々に加え、そして反応混合物を50℃で3時間攪拌し、そして室温で一晩維持した。攪拌の間、固体が沈殿した。12mlの水、及び80mlの1N硫酸を加え、そして、混合物を35℃で30分間攪拌した。200mlのメチレンクロリドを加え、そして有機相を分離し、そして蒸発させ、そして残留物(18.0g)を200mlのトルエンに取り、そして、100mgのp−トルエンスルホン酸と混合した。水分離器上で1時間、反応が完了するまで還流させることにより、この反応混合物から水を蒸留した。反応混合物を100mlの飽和ナトリウム炭酸水素塩溶液で1回洗浄し、そして、硫酸マグネシウムの上で乾燥させた。溶媒の除去後、残留物をオイルポンプによる真空中で乾燥させた。これにより、18gのペールブラウン固体を得た。粗製の製造物をカラムクロマトグラフィーで精製した。
1HNMR(400MHz、CDCl3):2.00(t、2H)、2.04(s、3H)、2.84(t、2H)、2.90(t、2H)、3.24(s、2H)、6.44(s、1H)、7.35(m、2H)、2.44(m、8H)
13CNMR(100MHz、CDCl3):145.67、143.03、141.06140.58、140.30、139.92、138.54、133.45、129.67、129.54、128.86、128.24、128.06、126.83、126.61、126.27、42.49、32.75、32.50、31.89、31.45、26.14、16.77
【0232】
5d ジメチル−(6−メチル−4,8−ジフェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセニル)(2−i−プロピル−4−(4−t−ブチルフェニル)−1−インデニル)−シラン(5d)の製造
300mlのジエチルエーテルに20mlのTHFを加えたものの中の、11.4g(35.3mmol)の6−メチル−4,8−ジフェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(5c)及び100mgの銅シアン化物(I)に、n−ヘキサン中16ml(40mmol)の2.5Mのn−ブチルリチウムを滴下して加えた。溶液を室温にまで徐々に暖め、そして室温で3時間攪拌した(イエローブラウン懸濁)。この懸濁液に、13.4g(35mmol)のクロロ−(2−i−プロピル−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)−ジメチルシランを−70℃で加え、そしてこの溶液を室温にまで暖め、そして週末にわたり攪拌した。結果とて得られたブラウンスラリー溶液を水性アンモニウムクロリド溶液に注ぎ、そして有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムの上で乾燥させ、そして、溶媒を蒸発させた。粗製製造物をカラムクロマトグラフィーで精製し、17.0gのアモルファス固体を得た(収率:64%)。
1HNMR(400MHz、CDCl3):異性体混合物、−0.69、−0.66、−0.64、−0.51(それぞれs、6H)、0.99(d、3H)、1.10、1.21(それぞれd、3H)、1.37、1.38(それぞれs、9H)、1.94、2.09(m、2H)、2.06、2.13(それぞれs、3H)、2.35、2.50、2.60(それぞれm、2H)、2.92(m、2H)、2.96、3.05(それぞれs、1H、アリール)、3.19(m、1H)、4.26、4.34(それぞれs、1H、アリール)、6.50、6.61、6.64(それぞれs、2H、ビニル)、7.12−7.62(m、17H)
MS(direct):M+=669(C4952Si)
【0233】
5 ジメチルシランジイル−(6−メチル−4,8−ジフェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)−(2−イソプロピル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド(5)
7.63g(11.4mmol)の(5d)を、100mlのジエチルエーテルと共にフラスコ内に配置し、そして、9.1ml(22.8mmol)のn−ブチルリチウム溶液(トルエン中2.5M)を−70℃で加えた。添加が完了した後、この混合物を、室温で3時間攪拌した。反応混合物を−70℃に冷却し、そして60mlのn−ペンタンに懸濁した2.66g(11.4mmol)のジルコニウムテトラヒドリドを加えた。反応混合物を徐々に室温にまで暖め、そして室温で、週末にわたり攪拌した。オレンジ色の沈殿物をG3フリット上で分離し、そして、10mlのn−ペンタンで洗浄した。フリット上のオレンジ色の残留物を真空中で乾燥させ、6.7gの粗製のメタロセン(5)(プセウド−rac/プセウド−meso=61%/39%、収率:67%)を得た。トルエンから再結晶化させ、350mgのプセウド−rac化合物(5)を得た。
1HNMR(400MHz、CD2Cl3):−0.115(s、3H)、0.87(d、3H)、1.16(d、3H)、1.18(s、3H)、1.35(s、9H)、1.75(m、1H)、2.01(m、1H)、2.28(s、3H)、2.49(m、1H)、2.89(m、1H)、3.02(m、1H)、3.09(m、2H)、6.79(s、1H)、7.04(dd、1H)、7.06(s、1H)、7.33(m、2H)、7.38−7.55(m、12H)、7.65(m、2H)
MS(direct):M+=826(C4950Cl2SiZr)
【0234】
6. ジメチルシランジイル−(6−メチル−4−(2,5−ジメチルフェニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)−(2−イソプロピル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド(6)
【0235】
【化31】

【0236】
6a 2−ジメチル−4−(2,5−ジメチルフェニル)−3,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1(2H)−one(6a)の製造
30.0g(107.5mmol)の4−ブロモ−2−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−2H−s−インダセン−1−one、410mlのジメトキシエタン、21.0g(135.8mmol)の2,5−ジメチルフェニルボロニック酸、20.0g(321mmol)の水酸化カリウム及び72mlの水を含む混合物を、脱ガスし、そして、フラスコの雰囲気を窒素に置き換えた。攪拌を開始し、そして、0.60g(2.7mmol)のパラジウムアセテート及び2.4g(9.1mmol)のトリフェニルホスフィンを加えた。反応混合物を78℃で4h攪拌した。冷却後、この混合物を水に注ぎ、そして有機相を分離した。水相を、200mlのジクロロメタンで2回抽出した。化合した有機部位(fraction)を乾燥し、そして、ロト蒸発器(rotoevaporator)上で溶媒を除去し、45gの粗製の製造物を得た。この粗製製造物をジクロロメタンに溶解し、そしてシリカゲルのプラグを通して濾過し、溶媒の蒸発後、24gの目的の化合物をオイルとして得た(インダセン−1−one 出発材料に対し、収率77%)。
EIMS:m/z(%)290(M+、100)、269(92)、247(43)、226(31)、203(22)、165(8)
【0237】
6b 6−メチル−4−(2,5−ジメチルフェニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(6b)の製造
4−(2,5−ジメチル−フェニル)−2−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロ−2H−s−インダセン−1−one(24.0g、0.0806mol)を、300mlのメチル−tert−ブチルエーテルに溶解し、そして46mlのLiAlH4のエーテル溶液(1M、0.046mol)で、0℃で処理した。室温で2時間処理した後、20mlの2M HCL溶液を注意深く加えた。有機相を分離し、そして水相をメチル−tert−ブチルエーテルで2回抽出した。化合した有機部分を乾燥(MgSO4)させ、そして蒸発させてオイルとした。このオイルをトルエン(200ml)に溶解し、p−トルエンスルホン酸(0.5g)を加え、そして混合物を、還流において1h攪拌した。冷却後、反応混合物をNaHCO3の飽和水性溶液、ブラインで洗浄し、そして乾燥(MgSO4)させた。溶媒を蒸発させ、20.4gの製造物(収率92%)を得た。
1HNMR(CDCl3):7.0−7.3(m、3H)、6.9(s、1H)、6.5(s、1H)、3.1−2.8(m、3H)、2.4−2.7(m、2H)、2.3(s、3H)、2.0−2.2(m、2H)、2.1(s、3H)、2.0(s、3H)
EIMS:m/z(%)274(M+、100)、258(43)、231(29)、215(25)、189(8)、169(9)、152(8)
【0238】
6c ジメチル−(4−(2,5−ジメチルフェニル)−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセニル)(2−i−プロピル−4−(4−t−ブチルフェニル)−1−インデニル)−シラン(6c)の製造
4−(2,5−ジメチル−フェニル)−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(3.3g、12.1mmol)を、50mlのエーテルに溶解し、そしてヘキサン中5.0mLのブチルリチウム(2.5M、12.5mmol)で、−78℃で処理した。室温で3h攪拌後、95マイクロリットルのN−メチル−イミダゾールを注射器(syringe)で加え、そして15分間攪拌した。THF(ca.30ml)を0℃で加え、後述するクロロシランを加える前に、澄んだ溶液を得た。4−(4−tert−ブチル−フェニル)−2−イソプロピル−1H−インデン(3.5g、12.1mmol)をエーテル(50ml)中に溶解し、そして、−40℃で、ヘキサン中5.2mlのブチルリチウム(2.5M、13.0mmol)で処理した。室温で3h攪拌後、−78℃で、15.6mmolのジクロロジメチルシランを注射器で加えた。混合物を室温で16h攪拌し、濾過し、ガラス瓶中で溶媒を除去し、濾過物からアモルファス固体製造物を残した。この製造物をTHFに溶解し、−78℃に冷却し、そして上述のように製造した4−(2,5−ジメチル−フェニル)−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセンのリシオ(lithio)塩のエーテル/THF溶液で処理した。この混合物を室温にまで暖め、そして10mlのNH4Clの飽和水性溶液で反応を停止させる前に、一晩攪拌した。有機相を分離し、40mlのブライン溶液で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、そして蒸発させてオイルとした。シリカ上のクロマトグラフィー(ヘプタン中、10%CH2Cl2)で、7.0gの製造物をホワイト固体として得た(収率84%)。
1HNMR(CDCl3):7.1−8.0(m、13H)、6.5(s、1H)、4.0−4.4(m、2H)、2.8−3.4(m、6H)、2.7(s、3H)、1.8(s、9H)、1.5(m、3H)、1.2(m、3H)、0.0−0.4(m、6H)
EIMS:m/z(%)620(M+、4)、331(100)、291(19)、271(9)、243(7)、215(5)、191(2)、165(2)
【0239】
6 ジメチルシランジイル−(6−メチル−4−(2,5−ジメチルフェニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン−7−イル)−(2−イソプロピル−4−(4'−tert−ブチルフェニル)−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド(6)の製造
ジメチル−(4−(2,5−ジメチルフェニル)−6−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセニル)(2−i−プロピル−4−(4−t−ブチルフェニル)−1−インデニル)−シラン(5.5g、8.9mmol)を50mlのエーテルに溶解し、−10℃に冷却し、そしてヘキサン中7.4mlのブチルリチウム(2.5M、18.2mmol)で処理した。室温で4h攪拌した後、溶媒を減圧下に除去し、そしてジルコニウム(IV)クロリド(2.07g、8.9mmol)を乾燥粉末として加えた。この混合物を40mlのペンタン中で10分間攪拌し、そして、0℃で、40mlのエーテルを加えた。フラスコと内容物を室温にまで暖め、そして反応混合物を一晩攪拌した。結果物であるイエロー−オレンジの沈殿物を、閉じたフリットの漏斗に集め、エーテル、ペンタンで洗浄し、そしてガラス瓶中で乾燥させた(4.05g)。この製造物をトルエン中で再結晶化させ、1.5gのメタロセンを得た(収率22%、>90%ラセミ化合物状態)。
1HNMR(CDCl3):7.5−7.7(m、2H)、7.4−7.5(m、2H)、7.3−7.4(m、2H)、7.0−7.2(m、3H)、6.35(s、1H)、3.3−3.5(m、1H)、2.8−3.0(m、3H)、2.4(m、1H)、2.3(s、3H)、2.2(s、3H)、2.0(m、2H)、1.9(s、3H)、1.2−1.4(s、9H;s、3H;s、3H、d、3H)、1.1(d、3H)
【0240】
7. ジメチルシランジイル−(2−Me−5−iPr−3−Ph−シクロペント[2,3−b]チオフェン−6−イル)(6−Me−8−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセニル)−ジルコニウムジクロリド(7)
【0241】
【化32】

【0242】
7a (6−Me−8−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセニル)(2−Me−5−iPr−3−Ph−6−ヒドロシクロシクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)SiMe2(7a)の製造
2−Me−5−iPr−3−Ph−4−ヒドロシクロシクロペンタ[2,1−b]チオフェン(7.0g、0.0276mol、WO03/045964に記載された様に製造)を75mlのエーテルに溶解し、そしてヘキサン中11.6mlのブチルリチウム(2.5M、0.029mmol)で、0℃で処理した。室温で4h攪拌した後、この混合物を−78℃に冷却し、そして、5.0ml(0.414mol)のジクロロジメチルシランをフラスコ内に注射した。反応混合物を室温にまで暖め、16h攪拌し、濾過し、そしてガラス瓶中で濾過物から揮発分を除去した。残留物を60mlのTHFに溶解し、−78℃にまで冷却し、後述するように製造した6−Me−8−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセンのリチウム塩(60ml、0.0295mol)のTHF/エーテル溶液で処理した。室温で18h攪拌した後、20mlのNH4Clの飽和水溶液を加えた。有機部分を分離し、ブライン溶液で洗浄し、そして乾燥(MgSO4)させた。ロト蒸発器上で溶媒を蒸発させた後、ダークブラウンオイル(15.7g)を回収した。
粗製の製造物をシリカ上でカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中、10%CH2Cl2)に付し、ホワイト固体(11g、71%)として製造物(7a)を得た。
1HNMRδ(CDCl3):7.3−7.8(m、11H)、6.7−6.9(m、2H)、3.9−4.2(4シングレット、2H合計)、2.9−3.3(m、4H)、2.7−2.8(m、3H)、2.2−2.5(m、4H)、1.2−1.6(m、8H)、0.0−0.5(マルチプレット&3シングレット、6H合計)
【0243】
上記で使用する6−Me−8−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセニルリチウムの製造
7.1g(0.295mol)の6−メチル−8−フェニル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセンを60mlのエーテルに溶解させ、そして、0℃で、ヘキサン中11.8mlのブチルリチウム(2.5M、0.295mol)で処理した。室温で4h攪拌した後、N−Me−イミダゾールの230μlを注射器によって加え、そして、15分間攪拌した。混合物を0℃に冷却し、そして、全固体が溶解するまでTHFを加えた(c.a.15ml)。この溶液を、上述した反応に直ちに使用した。
【0244】
7 ジメチルシランジイル−(2−Me−5−iPr−3−Ph−シクロペント[2,3−b]チオフェン−6−イル)(6−Me−8Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセニル)−ジルコニウムジクロリド(7)の製造
6.58g(0.0118mol)の(6−Me−8Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセニル)(2−Me−5−iPr−3−Ph−6−ヒドロシクロペンタ[2,3−b]チオフェン−6−イル)SiMe2を、60mlのエーテルに溶解し、0℃で、ヘキサン中9.9mlのブチルリチウム(2.5M、0.0248mol)で処理し、そして、室温で4h攪拌した。ガラス瓶内で、オレンジ色のスラリーから溶媒を除去し、ZrCl4(2.7g、0.012mol)を加え、そして混合物を40mlのペンタン中で10分間攪拌した。エーテル(40ml)を加え、そして攪拌を48h続けた。結果物であるイエロー固体を閉じたフリットの漏斗に集め、エーテルで洗浄し、そしてガラス瓶内で乾燥させた(3.3g)。NMR分析は、この部分が、主にプセウド−racemic状態で含んでいることを示した。濾過物を蒸発させ、イエロー−オレンジ固体(5.4g)とした。NMR分析は、この部分は、プセウドracemic&meso状態(form)と不純物とを合わせた混合物であることを示した。イエロー不溶物をDME内において、1.0gのLiClを用い、5h(5時間)還流させた。冷却後、不溶物を閉じたフリットの漏斗に集め、ジクロロメタン(100ml)で抽出した。抽出物の現場蒸発(in-situ evaporation)により、0.5gのプセウド−racemic{Me2Si(2−Me−5−iPr−3−Ph−シクロペント[2,3−b]チオフェン−6−イル)(6−Me−8−Ph−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセニル)}ZrCl2を得た。
1HNMRδ(CDCl3):(プセウド−racemic状態)7.2−7.6(m、11H)、6.7(s、1H)、6.5(s、1H)、3.15−3.3(m、1H)、2.9−3.05(m、3H)、2.7−2.9(m、1H)、2.55(s、3H)、2.35(s、3H)、2.0(m、2H)、1.3(s、3H)、1.1(s、3H&d、3H)、0.95(d、3H);(プセウド−meso状態)7.2−7.6(m、11H)、6.6(s、1H)、6.45(s、1H)、2.9−3.1(m、4H)、2.6−2.8(m、1H)、2.4(s、3H)、2.3(s、3H)、1.8−2.2(m、2H)、1.4(d、3H)、1.35(s、3H)、1.2(s、3H&d、3H)
【0245】
以下のメタロセンを重合試験に使用した。
【0246】
【表1】

【0247】
【表2】

【0248】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
1が、元素周期表の第3、4、5又は6族の元素又はランタノイドを表し、
基Xが、同一であっても異なってもよく、それぞれ有機又は無機の基を表し、且つ2個の基Xが相互に結合しても良く、
nが、1〜4の自然数であり、
Zが、1〜40個の炭素原子を有する二価の有機基であり、この二価の有機基は、インデニルの2個の炭素原子と共に、飽和又は不飽和、置換又は無置換の、4〜12原子の環員を有する環を形成し、且つインデニルと縮合した環内のZが、Si、Ge、N、P、O、S、Se及びTeからなる群から選ばれる一個以上の同一又は異なるヘテロ原子を更に含んでいても良く、
1が、水素又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
2が、水素又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
3が、水素、ハロゲン又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
4が、水素、ハロゲン又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
5が、水素、又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
6が、水素、又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表し、
7、R8が、同一又は異なっていても良く、それぞれが、水素又は1〜40個の炭素原子を有する有機基を表すか、又はR7及びR8が、これらを結合している原子と共に、単環式、又は多環式の、置換又は無置換の、1〜40個の炭素原子を有し、且つSi、Ge、N、P、O、S、Se及びTeからなる群から選ばれるヘテロ原子を含んでも良い環を形成しており、
Aが、二価の原子又は二価の基からなる架橋基を表し、そして、
3が水素の場合、R5が3〜20個の炭素原子を有し、且つα位で分岐している有機基を表し、そしてR6が水素で表される、有機金属遷移金属化合物。
【請求項2】
2が、水素を表し、
5が、3〜20個の原子を有し、及びα位で分岐している有機基を表し、
6が、水素を表し、
1とR5とは異っており、及び、
1、X、n、Z、R1、R3、R4、R7、R8、及びAが式(I)と同義である、請求項1に記載の式(I)の有機金属遷移金属化合物。
【請求項3】
2、R6が、それぞれ水素を表し、
3が、置換又は無置換のC6−C40−アリール基、又はO、N、S、及びPからなる群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むC2−C40−ヘテロ芳香族基を表すか、又はR3が、C1−C40−アルキル基を表し、
4が、水素、フッ素、C1−C10−アルキル、置換又は無置換のC6−C40−アリール基、又はO、N、S、及びPからなる群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むC2−C40−ヘテロ芳香族基を表し、
7、R8が、一緒になって1〜40個の炭素原子を有する二価の有機基Tを形成し、且つ、Tが、シクロペンタジエニル環の2個の炭素原子と共に、5〜7原子の環員を有する飽和又は不飽和で、置換又は無置換の環を形成し、そしてシクロペンタジエニル環と縮合した環内のTが、Si、Ge、N、P、O、S、Se及びTeからなる群から選ばれる同一又は異なる1個以上のヘテロ原子を含んでも良く、及び、
1、X、n、R1、R5、Z及びAが式(I)と同義である、請求項1又は2に記載の式(I)の有機金属遷移金属化合物。
【請求項4】
1が、Ti、Zr又はHfを表し、
nが、2であり、
1が、水素又は1〜20個の炭素原子を有し、α位で分岐していない有機基を表し、
3が、置換又は無置換のC6−C40−アリール基を表し、及び、
5が、3〜20個の炭素原子を有し、α位で分岐している有機基を表し、
及び、他の基と指数が式(I)と同定義である請求項1〜3の何れか1項に記載の式(I)の有機金属遷移金属化合物。
【請求項5】
7、R8が、共に、
【化2】

(但し、R9、R10、R11、及びR12が、同一又は異なっていても良く、それぞれが水素、ハロゲン、又は1〜40個の炭素原子を有する有機基、又は2個の隣接基R9、R10及び/又はR11が、これらを結合している原子と共に、単環式、又は多環式の、置換又は無置換の、1〜40個の炭素原子を有する環を形成し、且つSi、Ge、N、P、O、S、Se及びTeの原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を含んでいても良いものである。)を形成し、及び、
Aが、置換されたシリレン基又は置換又は無置換のエチレン基を表し、及び、
他の基と指数が式(I)と同義である請求項1〜4の何れか1項に記載の式(I)の有機金属遷移金属化合物。
【請求項6】
式(II)
【化3】

(但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Z及びAが、式(I)と同義である)のビスシクロペンタジエニル配位子、又はその二重結合異性体。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか1項に記載の少なくとも1種の有機金属遷移金属化合物、と、有機金属遷移金属化合物を少なくとも1種のオレフィンに対して重合活性を有する種に転化することが可能な少なくとも1種の共触媒とを含むオレフィンの重合のための触媒組成物。
【請求項8】
更に担体を含む請求項7に記載の触媒組成物。
【請求項9】
請求項7又は8の何れか1項に記載の触媒組成物の存在下に、少なくとも1種のオレフィンの重合又は共重合によりポリオレフィンを製造する方法。
【請求項10】
有機金属遷移金属化合物を製造するために、請求項6に記載のビスシクロペンタジエニル配位子を使用する方法。
【請求項11】
請求項6に記載のビスシクロペンタジエニル配位子又はこれから製造されたビスアニオンを遷移金属化合物と反応させることを含む有機金属遷移金属化合物の製造方法。

【公表番号】特表2007−513906(P2007−513906A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543449(P2006−543449)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013827
【国際公開番号】WO2005/058916
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(500585878)バーゼル、ポリオレフィン、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング (35)
【Fターム(参考)】