説明

有機電界発光素子及び電荷輸送材料

【課題】優れた発光効率と耐久性を有し、更に駆動電圧が低く、かつ耐熱性に優れた有機電界発光素子を提供すること。
【解決手段】基板上に、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有する有機電界発光素子であって、前記有機層のうち少なくとも一層に、例えば下記のようなトリフェニレン骨格の特定の位置に芳香族6員環を有し、該芳香族6員環のトリフェニレンに対してメタ位にsp炭素含有縮合環基が置換した化合物を含有する有機電界発光素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機電界発光素子及び電荷輸送材料に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子(以下、「素子」、「有機EL素子」ともいう)は、低電圧駆動で高輝度の発光が得られることから活発に研究開発が行われている。有機電界発光素子は、一対の電極間に有機層を有し、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが有機層において再結合し、生成した励起子のエネルギーを発光に利用するものである。
【0003】
近年、イリジウム錯体や白金錯体などの燐光発光材料を用いることにより、素子の高効率化が進んでいる。また、発光材料をホスト材料中にドープした発光層を用いるドープ型素子が広く採用されている。
発光層に用いられるホスト材料やその他の有機層に含有される電荷輸送材料の開発も盛んに行われている。
例えば、特許文献1には、下記ref−1、ref−2、及びref−3で表される化合物のような、トリフェニレンに置換したベンゼン環の、該トリフェニレンに対してメタ位にベンゼン環からなる置換基を有するトリフェニレン化合物を含む有機電界発光素子が記載されている。
【0004】
【化1】

【0005】
また、特許文献2には、下記ref−4で表される化合物のような、トリフェニレンに置換したアントラセン環に、フルオレン環が置換している化合物を含む有機電界発光素子が記載されている。
【0006】
【化2】

【0007】
また、特許文献3〜5にも、トリフェニレン構造とフルオレン構造とを有する化合物を含む有機電界発光素子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第09/021107号
【特許文献2】国際公開第09/066809号
【特許文献3】特開2004−43349号公報
【特許文献4】特開2004−83481号公報
【特許文献5】特開2009−114068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1に記載されたトリフェニレン構造を有する化合物を用いた有機電界発光素子は、高温で保管した後の発光効率が著しく低下することがわかった。また、特許文献2〜5に記載されたトリフェニレン構造を有する化合物を用いた有機電界発光素子は、高温で保管した後の発光効率低下はないが、最低励起三重項(T)エネルギーが小さいために特に燐光素子に用いると発光がクエンチされてしまい低効率となることが分かった。屋外用途や車載用途等、高温下に曝される用途に向けて、高温保管後にも高効率を示す有機電界発光素子が求められている。
【0010】
本発明の目的は、優れた発光効率と耐久性を有し、更に駆動電圧が低く、かつ耐熱性に優れた有機電界発光素子を提供することである。
また、本発明の別の目的は、優れた発光効率と耐久性を有し、更に駆動電圧が低く、かつ耐熱性に優れた有機電界発光素子に供し得る化合物及び電荷輸送材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らの検討によると、下記一般式(1)のように、トリフェニレン骨格の特定の位置に芳香族6員環を有し、該芳香族6員環のトリフェニレンに対してメタ位にsp炭素原子を含む5員又は6員環と、単環のみからなる芳香族炭化水素環及び単環のみからなる芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの環とが縮合した縮合環から1つの水素原子を除して得られる1価の基(以下、「sp炭素含有縮合環基」ともいう)が置換した化合物により上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は下記の手段により達成することができる。
【0012】
〔1〕
基板上に、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有する有機電界発光素子であって、前記有機層のうち少なくとも一層に下記一般式(1)で表される化合物を含有する有機電界発光素子。
【0013】
【化3】

【0014】
(一般式(1)中、
S1は下記一般式(S1)で表される基を表す。
【0015】
【化4】

【0016】
、X、X、及びXは各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。
は単結合、又は単環のみからなる芳香族炭化水素環と単環のみからなる芳香族複素環とからなる群より選ばれる少なくとも1つの環から構成される連結基を表す。該連結基は下記置換基群Wから選ばれる置換基を有してもよい。
はsp炭素原子を含む5員又は6員環と、単環のみからなる芳香族炭化水素環及び単環のみからなる芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの環とが縮合した縮合環から1つの水素原子を除して得られる1価の基を表す。該1価の基は下記置換基群Wから選ばれる置換基を有してもよい。
、R、及びRは各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シアノ基、ハロゲン原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基を表す。R、R、及びRは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよいが、R及びRがともにRS1と同一の構造を有する基になることはない。a1及びb1は各々独立に0〜4の整数を表す。c1は0〜3の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。d1は0〜4の整数を表す。
置換基群W:アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
〔2〕
前記Aにおける縮合環が下記一般式(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)、又は(A−5)で表される、上記〔1〕に記載の有機電界発光素子。
【0017】
【化5】

【0018】
(一般式(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)、及び(A−5)中、
、X、X、X、X、X、X、及びXは各々独立にC(Rb25)又は窒素原子を表す。
、Y、Y、Y、及びYは各々独立にC(Ra15)(Ra16)、酸素原子、硫黄原子、N(Ra17)、Si(Ra18)(Ra19)、C=O、P(=O)(Rb26)、又はS(=O)を表す。
Ra〜Ra19は各々独立に水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Rb〜Rb26は各々独立に水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Ra〜Ra19及びRb〜Rb26のうち隣り合う2つが結合してsp炭素原子を有する環を形成してもよい。
置換基群W:アルキル基、単環のみからなるアリール基、及びこれらに下記置換基群Wから選ばれる置換基が結合した基
置換基群W:アルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
〔3〕
前記Lが下記一般式(L−1)で表される、上記〔1〕又は〔2〕に記載の有機電界発光素子。
【0019】
【化6】

【0020】
(一般式(L−1)中、XはC(Rb27)又は窒素原子を表す。Rは下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合互いに同じでも異なっていてもよい。Rb27は水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rb27は複数存在する場合互いに同じでも異なっていてもよい。L1は0〜4の整数を表す。L2は0〜3の整数を表す。L2が0の場合、一般式(L−1)は単結合を表す。*は結合部位を表す。
置換基群W:アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記一般式(1)におけるAで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
〔4〕
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)又は(3)で表される、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【0021】
【化7】

【0022】
(一般式(2)中、
S2は下記一般式(S2)で表される基を表す。
【0023】
【化8】

【0024】
、R、及びRは各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。R、R、及びRは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよいが、R及びRがともにRS2と同一の構造を有する基になることはない。a1及びb1は各々独立に0〜4の整数を表す。c1は0〜3の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。d1は0〜4の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合互いに同じでも異なっていてもよい。L1は0〜4の整数を表す。
L2は0〜3の整数を表す。
Ra及びRaは各々独立に水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Ra及びRaは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。b2は0〜4の整数を表す。b3は0〜3の整数を表す。
n2は1又は2を表す。
Ra、Ra及びRのうち隣り合う2つが結合してsp炭素原子を有する環を形成してもよい。
置換基群W:アルキル基、単環のみからなるアリール基、及びこれらに下記置換基群Wから選ばれる置換基が結合した基
置換基群W:アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
【0025】
【化9】

【0026】
(一般式(3)中、
S3は下記一般式(S3)で表される基を表す。
【0027】
【化10】

【0028】
、R、及びRは各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。R、R、及びRは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよいが、R及びRがともにRS3と同一の構造を有する基になることはない。a1及びb1は各々独立に0〜4の整数を表す。c1は0〜3の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。d1は0〜4の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合互いに同じでも異なっていてもよい。L1は0〜4の整数を表す。
L2は0〜3の整数を表す。
Raは水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Raは互いに同じでも異なっていてもよい。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。b3は0〜3の整数を表す。
n3は1又は2を表す。
Ra及びRのうち隣り合う2つが結合してsp炭素原子を有する環を形成してもよい。
置換基群W:アルキル基、単環のみからなるアリール基、及びこれらに下記置換基群Wから選ばれる置換基が結合した基
置換基群W:アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記一般式(1)におけるAで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
〔5〕
前記発光層に少なくとも1種の燐光発光材料を含有する、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
〔6〕
前記燐光発光材料が下記一般式(E−1)で表される、上記〔5〕に記載の有機電界発光素子。
【0029】
【化11】

【0030】
(一般式(E−1)中、Z及びZはそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。
はZと窒素原子と共に5又は6員のヘテロ環を形成する原子群を表す。
はZと炭素原子と共に5又は6員環を形成する原子群を表す。
(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。
E1は1〜3の整数を表す。)
〔7〕
前記一般式(E−1)で表される燐光発光材料が下記一般式(E−2)で表される、上記〔6〕に記載の有機電界発光素子。
【0031】
【化12】

【0032】
(一般式(E−2)中、AE1〜AE8はそれぞれ独立に、窒素原子又はC−Rを表す。
は水素原子又は置換基を表す。
(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。
E2は1〜3の整数を表す。)
〔8〕
前記一般式(1)で表される化合物を発光層に含有する、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
〔9〕
前記一般式(1)で表される化合物を、正孔ブロック層に含有する、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
〔10〕
少なくとも一層の有機層が溶液塗布法により成膜して作製された、上記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
〔11〕
前記一般式(1)で表される化合物を含む有機層が溶液塗布法により成膜して作製された、上記〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
〔12〕
上記〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
〔13〕
上記〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
〔14〕
上記〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
〔15〕
上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の前記一般式(1)、(2)、又は(3)で表される電荷輸送材料。
〔16〕
上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の前記一般式(1)、(2)、又は(3)で表される化合物。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、優れた発光効率と耐久性を有し、更に駆動電圧が低く、かつ耐熱性に優れる有機電界発光素子を提供することができる。
また、本発明によれば、優れた発光効率と耐久性を有し、更に駆動電圧が低く、かつ耐熱性に優れる有機電界発光素子に供し得る化合物及び電荷輸送材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る有機電界発光素子の構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る発光装置の一例を示す概略図である。
【図3】本発明に係る照明装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明において、置換基群A及びBを下記のように定義する。
(置換基群A)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレノフェニル、テルロフェニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)、ホスホリル基(例えばジフェニルホスホリル基、ジメチルホスホリル基などが挙げられる。)が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。また、置換基に置換した置換基は更に置換されてもよく、さらなる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。また、置換基に置換した置換基に置換した置換基は更に置換されてもよく、さらなる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
【0036】
(置換基群B)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、シアノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレノフェニル、テルロフェニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、前記 置換基群Bから選択される基を挙げることができる。また、置換基に置換した置換基は更に置換されてもよく、さらなる置換基としては、以上に説明した置換基群Bから選択される基を挙げることができる。また、置換基に置換した置換基に置換した置換基は更に置換されてもよく、さらなる置換基としては、以上に説明した置換基群Bから選択される基を挙げることができる。
【0037】
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有する有機電界発光素子であって、前記有機層のうち少なくとも一層に下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
【0038】
【化13】

【0039】
(一般式(1)中、
S1は下記一般式(S1)で表される基を表す。
【0040】
【化14】

【0041】
、X、X、及びXは各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。
は単結合、又は単環のみからなる芳香族炭化水素環と単環のみからなる芳香族複素環とからなる群より選ばれる少なくとも1つの環から構成される連結基を表す。該連結基は下記置換基群Wから選ばれる置換基を有してもよい。
はsp炭素原子を含む5員又は6員環と、単環のみからなる芳香族炭化水素環及び単環のみからなる芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの環とが縮合した縮合環から1つの水素原子を除して得られる1価の基を表す。該1価の基は下記置換基群Wから選ばれる置換基を有してもよい。
、R、及びRは各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シアノ基、ハロゲン原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基を表す。R、R、及びRは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよいが、R及びRがともにRS1と同一の構造を有する基になることはない。a1及びb1は各々独立に0〜4の整数を表す。c1は0〜3の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。d1は0〜4の整数を表す。
置換基群W:アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
【0042】
発光層のホスト材料、又は発光層と陰極の間にあり発光層に隣接する有機層の電荷輸送材料は、発光材料より薄膜状態でのエネルギーギャップ(発光材料が燐光発光材料の場合には、薄膜状態での最低励起三重項(T)エネルギー)が大きいと、発光がクエンチすることを抑制でき、効率向上に有利である。
一般的に、化合物に縮環構造を導入することにより化合物の分子量が大きくなり、Tgが上昇し、耐熱性が向上することが知られている。
しかしながら、本発明者らの検討によると、トリフェニレン骨格を有する化合物に、ナフタレン環、アントラセン環、キノリン環などの、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が2つ以上縮合した縮合環を置換基として導入すると、耐熱性は向上するものの、Tエネルギーが大きく低下し、特に燐光発光材料を用いた素子では大きな効率低下を招くことがわかった。
更に本発明者らが鋭意検討を進めた結果、一般式(1)で表される化合物のように、トリフェニレン骨格とsp炭素含有縮合環基とを芳香族6員環でメタ位で連結させた構造を有する化合物は、Tエネルギーを低下させることなく耐熱性を向上させることができることがわかった。これは、sp炭素含有縮合環基のsp炭素原子においてπ共役系が途切れるため、Tエネルギーが低下しないものと考えられる。
したがって、一般式(1)で示される化合物を用いることで効率、駆動電圧、駆動耐久性、及び耐熱性の全て観点で優れた素子を得ることができる。
一般式(1)で表される化合物の膜状態でのTエネルギーは、2.39eV(55kcal/mol)以上3.25eV(75kcal/mol)以下であることが好ましく、2.47eV(57.0kcal/mol)以上3.04eV(70kcal/mol)以下であることがより好ましく、2.52eV(58.0kcal/mol)以上2.82eV(65kcal/mol)以下であることが更に好ましい。特に、発光材料として燐光発光材料を用いる場合には、Tエネルギーが上記範囲となることが好ましい。
【0043】
〔一般式(1)で表される化合物〕
以下、一般式(1)で表される化合物について説明する。
【0044】
【化15】

【0045】
(一般式(1)中、
S1は下記一般式(S1)で表される基を表す。
【0046】
【化16】

【0047】
、X、X、及びXは各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。
は単結合、又は単環のみからなる芳香族炭化水素環と単環のみからなる芳香族複素環とからなる群より選ばれる少なくとも1つの環から構成される連結基を表す。該連結基は下記置換基群Wから選ばれる置換基を有してもよい。
はsp炭素原子を含む5員又は6員環と、単環のみからなる芳香族炭化水素環及び単環のみからなる芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの環とが縮合した縮合環から1つの水素原子を除して得られる1価の基を表す。該1価の基は下記置換基群Wから選ばれる置換基を有してもよい。
、R、及びRは各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シアノ基、ハロゲン原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基を表す。R、R、及びRは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよいが、R及びRがともにRS1と同一の構造を有する基になることはない。a1及びb1は各々独立に0〜4の整数を表す。c1は0〜3の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。d1は0〜4の整数を表す。
置換基群W:アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
【0048】
すなわち、一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(1)’で表すこともできる。
【0049】
【化17】

【0050】
一般式(1)’中、X、X、X、X、R、R、R、a1、b1、c1、R、d1、L、Aは、前記一般式(1)と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0051】
一般式(1)が水素原子を有する場合、同位体(重水素原子等)も含む。この場合、化合物中の全ての水素原子が同位体に置き換わっていてもよく、また一部が同位体を含む化合物である混合物でもよい。
【0052】
置換基群Wは、アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基からなる。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6、更に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2−メチルペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、又は2,3−ジメチルブチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、又は1,1−ジメチルプロピル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、又はt−ブチル基がより好ましい。
シクロアルキル基としては、好ましくは炭素数3〜10、より好ましくは炭素数4〜6、更に好ましくは炭素数5又は6のシクロアルキル基である。シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
単環のみからなるアリール基としては、フェニル基が好ましい。
単環のみからなるヘテロアリール基としては、含窒素又は含硫黄の単環のみからなるヘテロアリール基が好ましく、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、又はチオフェニル基がより好ましく、ピリジル基が更に好ましい。
で表される縮合環基の具体例及び好ましい範囲は、後述するAと同様である。
これらを組み合わせて得られる基としては、アリール基が置換したアルキル基、アルキル基が置換したアリール基、アルキル基又はアリール基が置換したシリル基(好ましくはトリメチルシリル基又はトリフェニルシリル基)、フルオロアルキル基(好ましくはパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基)、及び下記一般式(Arx)で表される基などが挙げられる。
【0053】
【化18】

【0054】
(一般式(Arx)において、Ara〜Ardはそれぞれ独立に単環のみからなる芳香族炭化水素環、単環のみからなる芳香族複素環、又はAで表される縮合環を表す。na、及びnbはそれぞれ独立に0又は1を表し、nc及びndは1を表す。na、nbが0の場合、Ara及びArbは単結合を表す。Ara〜Ardはそれぞれ独立にアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、又はAで表される縮合環基で置換されていてもよい。*は結合部位を表す。)
【0055】
一般式(Arx)において、単環のみからなる芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環が好ましい。単環のみからなる芳香族複素環としては、含窒素芳香族複素環又は含硫黄芳香族複素環が好ましく、含窒素芳香族複素環がより好ましい。含窒素芳香族複素環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環が好ましく、ピリジン環がより好ましい。含硫黄芳香族複素環としてはチオフェン環が好ましい。Aで表される縮合環の具体例及び好ましい範囲は、後述するものと同様である。
Ara〜Ardに置換してもよいアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、Aで表される縮合環基の好ましい範囲は、前記したものと同様である。
電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、na及びnbは0であることが好ましい。
【0056】
一般式(1)中、Aはsp炭素原子を含む5員又は6員環と、単環のみからなる芳香族炭化水素環及び単環のみからなる芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの環とが縮合した縮合環から1つの水素原子を除して得られる1価の基を表す。該1価の基は置換基群Wから選ばれる置換基を有してもよい。
【0057】
トリフェニレンに、ナフタレン環、アントラセン環、キノリン環などの、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が2つ以上縮合した縮合環を置換基として導入すると、耐熱性の向上は見られるものの、Tエネルギーが大きく低下し、特に燐光発光材料を用いた素子では大きな効率低下を招く。これに対して、本発明の一般式(1)におけるAは、sp炭素原子を含む5員又は6員環と、単環のみからなる芳香族炭化水素環及び単環のみからなる芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの環とが縮合した縮合環からなるため、sp炭素原子においてπ共役系が途切れ、Tエネルギーが低下せず、かつ耐熱性も向上すると考えられる。
【0058】
におけるsp炭素原子を含む5員又は6員環としては、飽和の5員又は6員環が好ましく、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、又は少なくとも1種のヘテロ原子を含む飽和の5員若しくは6員環がより好ましく、シクロペンタン環又はシクロヘキサン環が更に好ましく、シクロペンタン環が特に好ましい。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子、又はリン原子が好ましく、酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子がより好ましく、酸素原子又は窒素原子が更に好ましい。
窒素原子を含む飽和の5員又は6員環としては、ピペジリン環、ピペラジン環、ピロリジン環が好ましく、ピペジリン環、ピペラジン環がより好ましく、ピペジリン環が更に好ましい。
酸素原子を含む飽和の5員又は6員環としては、テトラヒドロピラン環、ジオキサン環、テトラヒドロフラン環、1,3−ジオキソラン環が好ましく、ジオキサン環、1,3−ジオキソラン環がより好ましい。
硫黄原子を含む飽和の5員又は6員環としては、1,4−ジチアン環、テトラヒドロチオフェン環が好ましく、1,4−ジチアン環がより好ましい。
また、Aにおけるsp炭素原子を含む5員又は6員環は、カルボニル基、スルホニル基、又はリン酸基を含んでいてもよい。
【0059】
が単環のみからなる芳香族炭化水素環を含んでなる場合、該単環のみからなる芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環が好ましい。
が単環のみからなる芳香族複素環を含んでなる場合、該単環のみからなる芳香族複素環としては、含窒素芳香族複素環又は含硫黄芳香族複素環が好ましく、含窒素芳香族複素環がより好ましい。含窒素芳香族複素環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環が好ましく、ピリジン環がより好ましい。含硫黄芳香族複素環としてはチオフェン環が好ましい。
【0060】
における縮合環としては、下記一般式(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)、又は(A−5)で表される環が好ましい。
【0061】
【化19】

【0062】
(一般式(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)、及び(A−5)中、
、X、X、X、X、X、X、及びXは各々独立にC(Rb25)又は窒素原子を表す。
、Y、Y、Y、及びYは各々独立にC(Ra15)(Ra16)、酸素原子、硫黄原子、N(Ra17)、Si(Ra18)(Ra19)、C=O、P(=O)(Rb26)、又はS(=O)を表す。
Ra〜Ra19は各々独立に水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Rb〜Rb26は各々独立に水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Ra〜Ra19及びRb〜Rb26のうち隣り合う2つが結合してsp炭素原子を有する環を形成してもよい。
置換基群W:アルキル基、単環のみからなるアリール基、及びこれらに下記置換基群Wから選ばれる置換基が結合した基
置換基群W:アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
【0063】
一般式(A−1)中、Ra及びRaは各々独立に水素原子又は置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Ra及びRaとしては電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、水素原子、アルキル基、又は単環のみからなるアリール基が好ましく、アルキル基がより好ましい。アルキル基としては炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又はn−ブチル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。単環のみからなるアリール基としてはフェニル基が好ましい。
また、Ra及びRaは互いに結合して、一般式(A−1)で表される環がスピロビフルオレン環を形成することも好ましい。
【0064】
一般式(A−1)中、Rb〜Rbは各々独立に水素原子又は置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Rb〜Rbとしては電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、水素原子、アルキル基、又は単環のみからなるアリール基が好ましく、水素原子又はアルキル基がより好ましく、水素原子が更に好ましい。アルキル基としては炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、t−ブチル基が更に好ましい。単環のみからなるアリール基としてはフェニル基が好ましい。
Ra、Ra及びRb〜Rbのうち隣り合う2つが結合してsp炭素原子を有する環を形成してもよい。該環としてはシクロアルカン環が好ましく、炭素数3〜10のシクロアルカン環がより好ましく、シクロヘキサン環が更に好ましい。環形成する場合としては、Ra及びRbが互いに結合してsp炭素原子を有する環を形成する場合が好ましい。
一般式(A−1)で表される縮合環は、Ra、Ra及びRb〜Rbのうち少なくともいずれか1つが水素原子を表し、該該水素原子のうちいずれか1つが除されて一般式(1)中のAとしてLに結合する。電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、特にRb〜Rbが水素原子であり、該水素原子のうちいずれか1つが除されて一般式(1)中のAとしてLに結合することが好ましい。
【0065】
一般式(A−2)中、Ra〜Raは各々独立に水素原子又は置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Ra〜Raは、電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、水素原子、アルキル基、又は単環のみからなるアリール基が好ましく、水素原子であることがより好ましい。該アルキル基、及び単環のみからなるアリール基の好ましい範囲はRa及びRaがアルキル基、又は単環のみからなるアリール基である場合の好ましい範囲と同様である。
【0066】
一般式(A−2)中、Rb〜Rb16は各々独立に水素原子又は置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Rb〜Rb16としては、電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、水素原子、アルキル基、又は単環のみからなるアリール基が好ましく、水素原子がより好ましい。該アルキル基、及び単環のみからなるアリール基の好ましい範囲はRb〜Rbがアルキル基、又は単環のみからなるアリール基である場合の好ましい範囲と同様である。
Ra〜Ra及びRb〜Rb16のうち隣り合う2つが結合してsp炭素原子を有する環を形成してもよい。該環としてはシクロアルカン環が好ましく、炭素数3〜10のシクロアルカン環がより好ましく、シクロヘキサン環が更に好ましい。環形成する場合としては、Rb12及びRb13が互いに結合してsp炭素原子を有する環を形成する場合が好ましい。
一般式(A−2)で表される縮合環は、Ra〜Ra及びRb〜Rb16のうち少なくともいずれか1つが水素原子を表し、該該水素原子のうちいずれか1つが除されて一般式(1)中のAとしてLに結合する。電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、特にRb〜Rb16が水素原子であり、該水素原子のうちいずれか1つが除されて一般式(1)中のAとしてLに結合することが好ましい。
【0067】
一般式(A−3)中、Y及びYは各々独立にC(Ra15)(Ra16)、酸素原子、硫黄原子、N(Ra17)、Si(Ra18)(Ra19)、C=O、P(=O)(Rb26)、又はS(=O)を表す。Ra15〜Ra19は各々独立に水素原子又は置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Ra15及びRa16としては水素原子、アルキル基、又は単環のみからなるアリール基が好ましく、水素原子であることがより好ましい。該アルキル基、及び単環のみからなるアリール基の好ましい範囲はRa及びRaがアルキル基、又は単環のみからなるアリール基である場合の好ましい範囲と同様である。
Ra17としては水素原子、アルキル基、又は単環のみからなるアリール基が好ましく、水素原子又は単環のみからなるアリール基がより好ましい。該アルキル基、及び単環のみからなるアリール基の好ましい範囲はRa及びRaがアルキル基、又は単環のみからなるアリール基である場合の好ましい範囲と同様である。
Ra18、及びRa19としては水素原子、アルキル基、又は単環のみからなるアリール基が好ましく、アルキル基、又は単環のみからなるアリール基であることがより好ましい。該アルキル基、及び単環のみからなるアリール基の好ましい範囲はRa及びRaがアルキル基、又は単環のみからなるアリール基である場合の好ましい範囲と同様である。
Rb26としては水素原子、アルキル基、又は単環のみからなるアリール基が好ましく、単環のみからなるアリール基がより好ましい。該アルキル基、及び、単環のみからなるアリール基の好ましい範囲はRa及びRaがアルキル基、又は単環のみからなるアリール基である場合の好ましい範囲と同様である。
及びYとしては電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、各々独立にC(Ra15)(Ra16)、酸素原子、硫黄原子、N(Ra17)、又はSi(Ra18)(Ra19)を表すことが好ましく、C(Ra15)(Ra16)、酸素原子、又はN(Ra17)を表すことが好ましく、C(Ra15)(Ra16)、又は酸素原子を表すことがより好ましく、C(Ra15)(Ra16)を表すことが更に好ましい。
【0068】
一般式(A−3)中、Ra〜Ra10は各々独立に水素原子又は置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Ra〜Ra10は、電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、水素原子、アルキル基、又は単環のみからなるアリール基が好ましく、水素原子であることがより好ましい。該アルキル基、及び単環のみからなるアリール基の好ましい範囲はRa及びRaがアルキル基、又は単環のみからなるアリール基である場合の好ましい範囲と同様である。
【0069】
一般式(A−3)中、X、X、X、及びXは各々独立にC(Rb25)又は窒素原子を表す。
電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、Xが窒素原子を表し、X、X、及びXが各々独立にC(Rb25)(Rb26)を表す場合、並びにX、X、X、及びXが各々独立にC(Rb25)を表す場合が好ましく、X、X、X、及びXが各々独立にC(Rb25)を表す場合がより好ましい。
Rb25は各々独立に水素原子又は置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Rb25としては、電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、水素原子、アルキル基、又は単環のみからなるアリール基が好ましく、水素原子がより好ましい。該アルキル基、及び単環のみからなるアリール基の好ましい範囲はRb〜Rbがアルキル基、又は単環のみからなるアリール基である場合の好ましい範囲と同様である。
Ra〜Ra10、Ra15〜Ra19、Rb25及びRb26のうち隣り合う2つが結合してsp炭素原子を有する環を形成してもよい。該環としてはシクロアルカン環が好ましく、炭素数3〜10のシクロアルカン環がより好ましく、シクロヘキサン環が更に好ましい。環形成する場合としては、YにおけるRa15とXにおけるRb25が互いに結合してsp炭素原子を有する環を形成する場合が好ましい。
一般式(A−3)で表される縮合環は、Ra〜Ra10、Ra15〜Ra19、Rb25及びRb26のうち少なくともいずれか1つが水素原子を表し、該該水素原子のうちいずれか1つが除されて一般式(1)中のAとしてLに結合する。電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、特にRb25又はRb26が水素原子であり、該水素原子のうちいずれか1つが除されて一般式(1)中のAとしてLに結合することが好ましい。
【0070】
一般式(A−4)中、Y及びYは各々独立にC(Ra15)(Ra16)、酸素原子、硫黄原子、N(Ra17)、Si(Ra18)(Ra19)、C=O、P(=O)(Rb26)、又はS(=O)を表す。Ra15〜Ra19は各々独立に水素原子又は置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Ra15〜Ra19及び(Rb26)の好ましい範囲は、前記一般式(A−3)におけるものと同様である。
及びYの好ましい範囲は、前記一般式(A−3)におけるY及びYの好ましい範囲と同様である。
【0071】
一般式(A−4)中、Ra11及びRa12は各々独立に水素原子又は置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Ra11及びRa12の好ましい範囲は、前記一般式(A−3)におけるRa〜Ra10の好ましい範囲と同様である。
【0072】
一般式(A−4)中、X、X、X、及びXは各々独立にC(Rb25)又は窒素原子を表す。
Rb25の好ましい範囲は、前記一般式(A−3)におけるものと同様である。
、X、X、及びXの好ましい範囲は、前記一般式(A−3)におけるX、X、X、及びXの好ましい範囲と同様である。
Ra11、Ra12、Ra15〜Ra19、Rb25及びRb26のうち隣り合う2つが結合してsp炭素原子を有する環を形成してもよい。該環としてはシクロアルカン環が好ましく、炭素数3〜10のシクロアルカン環がより好ましく、シクロヘキサン環が更に好ましい。環形成する場合としては、YにおけるRa15とXにおけるRb25が互いに結合してsp炭素原子を有する環を形成する場合が好ましい。
一般式(A−4)で表される縮合環は、Ra11、Ra12、Ra15〜Ra19、Rb25及びRb26のうち少なくともいずれか1つが水素原子を表し、該該水素原子のうちいずれか1つが除されて一般式(1)中のAとしてLに結合する。電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、特にRb25又はRb26が水素原子であり、該水素原子のうちいずれか1つが除されて一般式(1)中のAとしてLに結合することが好ましい。
【0073】
一般式(A−5)中、YはC(Ra15)(Ra16)、酸素原子、硫黄原子、N(Ra17)、Si(Ra18)(Ra19)、C=O、P(=O)(Rb26)、又はS(=O)を表す。Ra15〜Ra19は各々独立に水素原子又は置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Ra15〜Ra19及び(Rb26)の好ましい範囲は、前記一般式(A−3)におけるものと同様である。
はC(Ra15)(Ra16)、酸素原子、又はN(Ra17)を表すことが好ましく、C(Ra15)(Ra16)、又はN(Ra17)を表すことがより好ましく、N(Ra17)を表すことが更に好ましい。
【0074】
一般式(A−5)中、Ra13及びRa14は各々独立に水素原子又は置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Ra13及びRa14の好ましい範囲は、前記一般式(A−3)におけるRa〜Ra10の好ましい範囲と同様である。
【0075】
一般式(A−5)中、Rb17〜Rb24は各々独立に水素原子又は置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Rb17〜Rb24の好ましい範囲は、前記一般式(A−1)におけるRb〜Rbと同様である。
Ra13〜Ra19、Rb17〜Rb26のうち隣り合う2つが結合してsp炭素原子を有する環を形成してもよい。該環としてはシクロアルカン環が好ましく、炭素数3〜10のシクロアルカン環がより好ましく、シクロヘキサン環が更に好ましい。環形成する場合としては、Ra13及びRa14が互いに結合してsp炭素原子を有する環を形成する場合が好ましい。
一般式(A−5)で表される縮合環は、Ra13〜Ra19、Rb17〜Rb26のうち少なくともいずれか1つが水素原子を表し、該該水素原子のうちいずれか1つが除されて一般式(1)中のAとしてLに結合する。電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、特にRa17が水素原子であり、該水素原子が除されて一般式(1)中のAとしてLに結合することが好ましい。また、電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、特にRb17〜Rb24が水素原子であり、該水素原子のうちいずれか1つが除されて一般式(1)中のAとしてLに結合することが好ましい。
【0076】
における縮合環としては、電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、前記一般式(A−1)、又は(A−4)で表される環が特に好ましい。
【0077】
における縮合環の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。なお、下記具体例には前述の通り置換基群Wから選ばれる置換基を有してもよい。
【0078】
【化20】

【0079】
上記構造式中、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。該アルキル基、アリール基の好ましい範囲は、置換基群Wと同様である。
【0080】
一般式(1)中、Lは単結合、又は単環のみからなる芳香族炭化水素環と単環のみからなる芳香族複素環とからなる群より選ばれる少なくとも1つの環から構成される連結基を表す。該単環のみからなる芳香族炭化水素環としてはベンゼン環が好ましい。該単環のみからなる芳香族複素環としては含窒素複素環が好ましく、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環がより好ましく、ピリジンが更に好ましい。
は下記一般式(L−1)で表されることが好ましい。
【0081】
【化21】

【0082】
(一般式(L−1)中、XはC(Rb27)は窒素原子を表す。Rは下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合互いに同じでも異なっていてもよい。Rb27は水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rb27は複数存在する場合互いに同じでも異なっていてもよい。L1は0〜4の整数を表す。L2は0〜3の整数を表す。L2が0の場合、一般式(L−1)は単結合を表す。*は結合部位を表す。
置換基群W:アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記一般式(1)におけるAで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
【0083】
一般式(L−1)中、XはC(Rb27)又は窒素原子を表し、電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、C(Rb27)が好ましい。
Rb27は水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rb27は複数存在する場合互いに同じでも異なっていてもよい。Rb27としては、電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、水素原子、アルキル基、又は単環のみからなるアリール基が好ましく、水素原子がより好ましい。該アルキル基、及び単環のみからなるアリール基の好ましい範囲は前記Rb〜Rbがアルキル基、又は単環のみからなるアリール基である場合の好ましい範囲と同様である。
【0084】
一般式(L−1)中、Rは置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
は電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、アルキル基、単環のみからなるアリール基、シリル基、Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基が好ましく、アルキル基、単環のみからなるアリール基、Aで表される縮合環基が置換した単環のみからなるアリール基、アルキル基が置換したシリル基、Aで表される縮合環基、アルキル基が置換したAで表される縮合環基がより好ましく、アルキル基、又はAで表される縮合環基が置換したフェニル基が更に好ましい。
【0085】
一般式(L−1)中、L1は0〜4の整数を表し、電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が更に好ましい。
【0086】
一般式(L−1)中、L2は0〜3の整数を表し、電荷輸送性及び化学的安定性の観点から、0〜2の整数が好ましい。
【0087】
は電荷輸送性、化学的安定性、及びTエネルギーの観点から、メタ位又はパラ位で連結しているものが好ましい。
【0088】
の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。なお、下記具体例ではRは省略している。
【0089】
【化22】

【0090】
一般式(1)中、R、R、及びRは各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シアノ基、ハロゲン原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基を表す。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6、更に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、又はt−ブチル基が好ましい。
シクロアルキル基としては、好ましくは炭素数3〜10、より好ましくは炭素数4〜6、更に好ましくは炭素数5又は6のシクロアルキル基であり、シクロペンチル基、又はシクロヘキシル基が好ましい
単環のみからなるアリール基としては、フェニル基が好ましい。
単環のみからなるヘテロアリール基としては、含窒素又は含硫黄の単環のみからなるヘテロアリール基が好ましく、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、又はチオフェニル基がより好ましく、ピリジル基が更に好ましい。
、R、及びRとして好ましくは、アルキル基、単環のみからなるアリール基、シリル基、シアノ基であり、より好ましくはアルキル基、単環のみからなるアリール基であり、更に好ましくは単環のみからなるアリール基である。
一般式(1)中、a1及びb1は各々独立に0〜4の整数を表す。電荷輸送性及び合成が容易であるという理由から、a1及びb1としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が更に好ましい。
一般式(1)中、c1は0〜3の整数を表す。電荷輸送性及び合成が容易であるという理由から、c1としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が更に好ましい。
【0091】
一般式(1)中、X、X、X、及びXは各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。
化学的安定性の観点からXは炭素原子であることが好ましく、X、X、X、及びXが全て炭素原子であることがより好ましい。
【0092】
一般式(1)中、Rは置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
としてはアルキル基、単環のみからなるアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基であることが好ましい。
【0093】
がアルキル基を表す場合、該アルキル基としては、電荷輸送性の観点から、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2−メチルペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、又は2,3−ジメチルブチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、又は1,1−ジメチルプロピル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はt−ブチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
また、該アルキル基としては、フッ素原子に置換されたアルキル基も好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が更に好ましい。
【0094】
がシクロアルキル基を表す場合、該シクロアルキル基としては、好ましくは炭素数3〜10、より好ましくは炭素数4〜6、更に好ましくは炭素数5又は6のシクロアルキル基であり、シクロペンチル基、又はシクロヘキシル基が好ましい
【0095】
が単環のみからなるアリール基を表す場合、該単環のみからなるアリール基としては、フェニル基が好ましい。
また、RがAで表される縮合環基が置換したフェニル基であることも好ましい。Aで表される縮合環の好ましい範囲は前述のものと同様である。
【0096】
が単環のみからなるヘテロアリール基を表す場合、該単環のみからなるヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、チオフェニル基が好ましく、ピリジル基がより好ましい。
【0097】
がシリル基を表す場合、該シリル基としては、アルキル基又はフェニル基に置換されたシリル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基に置換されたシリル基がより好ましく、トリフェニルシリル基が更に好ましい。
【0098】
がAで表される縮合環基を表す場合、該Aで表される縮合環基としては、アルキル基が置換したAで表される縮合環基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が置換したAで表される縮合環基がより好ましく、t−ブチル基が置換したAで表される縮合環基が更に好ましい。Aで表される縮合環の好ましい範囲は前述のものと同様である。
【0099】
d1は0〜4の整数を表し、電荷輸送性及び合成が容易であるという理由から、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が更に好ましい。
d1が1の場合は、電荷輸送性及び耐久性の観点から、RはXに置換することが好ましい。
【0100】
一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)又は(3)で表されることが好ましく、下記一般式(2)で表されることがより好ましい。
【0101】
【化23】

【0102】
(一般式(2)中、
S2は下記一般式(S2)で表される基を表す。
【0103】
【化24】

【0104】
、R、及びRは各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。R、R、及びRは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよいが、R及びRがともにRS2と同一の構造を有する基になることはない。a1及びb1は各々独立に0〜4の整数を表す。c1は0〜3の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。d1は0〜4の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合互いに同じでも異なっていてもよい。L1は0〜4の整数を表す。
L2は0〜3の整数を表す。
Ra及びRaは各々独立に水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Ra及びRaは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。b2は0〜4の整数を表す。b3は0〜3の整数を表す。
n2は1又は2を表す。
Ra、Ra及びRのうち隣り合う2つが結合してsp炭素原子を有する環を形成してもよい。
置換基群W:アルキル基、単環のみからなるアリール基、及びこれらに下記置換基群Wから選ばれる置換基が結合した基
置換基群W:アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
【0105】
一般式(2)中、R、R、R、R、a1、b1、c1、d1、R、L1、Ra及びRaはそれぞれ前述のものと同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
は前述の一般式(A−1)におけるRb〜Rbと同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
b2は0〜4の整数を表し、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が更に好ましい。
b3は0〜3の整数を表し、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
L2は前述の一般式(L−1)におけるL2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
n2は1であることが好ましい。
【0106】
一般式(2)で表される化合物は、下記一般式(2)’で表すこともできる。
【0107】
【化25】

【0108】
(一般式(2)’中、R、R、R、R、a1、b1、c1、d1、R、L1、L2、Ra、Ra、R、b2、b3、n2は一般式(2)と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0109】
【化26】

【0110】
(一般式(3)中、
S3は下記一般式(S3)で表される基を表す。
【0111】
【化27】

【0112】
、R、及びRは各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。R、R、及びRは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよいが、R及びRがともにRS3と同一の構造を有する基になることはない。a1及びb1は各々独立に0〜4の整数を表す。c1は0〜3の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。d1は0〜4の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合互いに同じでも異なっていてもよい。L1は0〜4の整数を表す。
L2は0〜3の整数を表す。
Raは水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Raは互いに同じでも異なっていてもよい。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。b3は0〜3の整数を表す。
n3は1又は2を表す。
Ra及びRのうち隣り合う2つが結合してsp炭素原子を有する環を形成してもよい。
置換基群W:アルキル基、単環のみからなるアリール基、及びこれらに下記置換基群Wから選ばれる置換基が結合した基
置換基群W:アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記一般式(1)におけるAで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
【0113】
一般式(3)中、R、R、R、R、a1、b1、c1、d1、R、及びL1はそれぞれ前述のものと同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
Raは前述の一般式(A−4)におけるRa11、Ra12、Ra15、及びRa16と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
L2は前述の一般式(L−1)におけるL2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
の具体例及び好ましい範囲は、前記一般式(A−3)におけるRb25と同様である。
b3は0〜3の整数を表し、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n3は1を表すことが好ましい。
【0114】
一般式(3)で表される化合物は、下記一般式(3)’で表すこともできる。
【0115】
【化28】

【0116】
一般式(3)’中、R、R、R、R、a1、b1、c1、d1、R、L1、L2、Ra、n3、R、b3は一般式(3)と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0117】
一般式(1)で表される化合物の分子量は、400以上1200以下であることが好ましく、500以上1000以下であることがより好ましく、550以上800以下であることがより好ましい。分子量が400以上であれば良質なアモルファス薄膜が形成でき、分子量が1000以下であると溶媒への溶解性や昇華及び蒸着適正の面で好ましい。
【0118】
有機電界発光素子の発光材料としてTエネルギーの大きい青色燐光発光材料を用いる場合は、一般式(1)で表される化合物は、正孔ブロック層に含有されることが好ましい。
有機電界発光素子の発光材料としてTエネルギーが青色燐光発光材料よりも小さい緑色燐光発光材料、又は赤色燐光発光材料を用いる場合は、一般式(1)で表される化合物は、発光層又は正孔ブロック層に含有されることが好ましい。
【0119】
エネルギーは、材料の薄膜の燐光発光スペクトルを測定し、その短波長端から求めることができる。例えば、洗浄した石英ガラス基板上に、材料を真空蒸着法により約50nmの膜厚に成膜し、薄膜の燐光発光スペクトルを液体窒素温度下でF−7000日立分光蛍光光度計(日立ハイテクノロジーズ)を用いて測定する。得られた発光スペクトルの短波長側の立ち上がり波長をエネルギー単位に換算することによりTエネルギーを求めることができる。
【0120】
有機電界発光素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対して安定して動作させる観点から、一般式(1)で表される化合物のガラス転移温度(Tg)は80℃以上400℃以下であることが好ましく、100℃以上400℃以下であることがより好ましく、120℃以上400℃以下であることが更に好ましい。
【0121】
一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。
【0122】
【化29】

【0123】
【化30】

【0124】
【化31】

【0125】
上記一般式(1)で表される化合物は、特開2004−43349号公報、特開2004−83481号公報、US2006/0280965、WO2009/021107、特開2009−114068号公報等に記載の方法や、その他公知の反応を組み合わせて合成できる。
合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶等による精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により、有機不純物を分離できるだけでなく、無機塩や残留溶媒等を効果的に取り除くことができる。
【0126】
一般式(1)で表される化合物は、有機電界発光素子の陰極と陽極の間のいずれの有機層に含有されてもよい。一般式(1)で表される化合物は発光層、又は発光層と陰極の間にあり、かつ発光層に隣接する有機層に含有されることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物を含有してもよい有機層としては、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層(正孔ブロック層、電子ブロック層など)などを挙げることができ、好ましくは、発光層、励起子ブロック層、電荷ブロック層、電子輸送層、電子注入層のいずれかであり、より好ましくは発光層、励起子ブロック層、電荷ブロック層、又は電子輸送層であり、更に好ましくは発光層又は正孔ブロック層である。
【0127】
一般式(1)で表される化合物は、発光層に含有される場合、発光層の全質量に対して0.1〜99質量%含まれることが好ましく、1〜95質量%含まれることがより好ましく、10〜95質量%含まれることがより好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、発光層以外の有機層に含有される場合、該有機層の全質量に対して70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。
【0128】
〔一般式(1)で表される電荷輸送材料〕
本発明は、上記一般式(1)で表される電荷輸送材料にも関する。
本発明の一般式(1)で表される化合物及び電荷輸送材料は、電子写真、有機トランジスタ、有機光電変換素子(エネルギー変換用途、センサー用途等)、有機電界発光素子等の有機エレクトロニクス素子に好ましく用いることができ、有機電界発光素子に用いるのが特に好ましい。
一般式(1)で表される電荷輸送材料の好ましい範囲は前記の通りである。
【0129】
〔一般式(1)で表される化合物を含有する組成物〕
本発明は一般式(1)で表される化合物を含む組成物にも関する。該組成物において、一般式(1)で表される化合物の含有量は、組成物中の全固形分に対して30〜99質量%であることが好ましく、50〜97質量%であることがより好ましく、70〜96質量%であることが更に好ましい。本発明の組成物における他に含有しても良い成分としては、有機物でも無機物でもよく、有機物としては、後述するホスト材料、蛍光発光材料、燐光発光材料、炭化水素材料として挙げた材料が適用でき、好ましくはホスト材料、燐光発光材料、炭化水素材料である。
該組成物は蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等の湿式製膜法により有機電界発光素子の有機層を形成することができる。
【0130】
〔一般式(1)で表される化合物を含有する薄膜〕
本発明は一般式(1)で表される化合物を含有する薄膜にも関する。該薄膜は、前記組成物を用いて蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等の湿式製膜法により形成することができる。薄膜の膜厚は用途によっていかなる厚みでもよいが、好ましくは0.1nm〜1mmであり、より好ましくは0.5nm〜1μmであり、更に好ましくは1nm〜200nmであり、特に好ましくは1nm〜100nmである。
【0131】
〔有機電界発光素子〕
本発明の有機電界発光素子について詳細に説明する。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有する有機電界発光素子であって、前記少なくとも一層の有機層のいずれか少なくとも一層に本発明の一般式(1)で表される化合物を含む。発光素子の性質上、一対の電極である陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明若しくは半透明であることが好ましい。
有機層としては、発光層以外に、正孔注入層、正孔輸送層、ブロック層(正孔ブロック層、励起子ブロック層など)、電子輸送層などが挙げられる。これらの有機層は、それぞれ複数層設けてもよく、複数層設ける場合には同一の材料で形成してもよいし、層毎に異なる材料で形成してもよい。
本発明の有機電界発光素子は、前記発光層に燐光発光材料を少なくとも一種含むことが好ましい。
図1に、本発明に係る有機電界発光素子の構成の一例を示す。図1の有機電界発光素子10は、基板2上に、一対の電極(陽極3と陰極9)の間に発光層6を含む有機層を有する。有機層としては、陽極側3から正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、正孔ブロック層7及び電子輸送層8がこの順に積層されている。
【0132】
<有機層の構成>
前記有機層の層構成としては、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記透明電極上に又は前記半透明電極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機層は、前記透明電極又は前記半透明電極上の前面又は一面に形成される。
有機層の形状、大きさ、及び厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0133】
具体的な層構成として、下記が挙げられるが本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
有機電界発光素子の素子構成、基板、陰極及び陽極については、例えば、特開2008−270736号公報に詳述されており、該公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0134】
<基板>
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
【0135】
<陽極>
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
【0136】
<陰極>
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
【0137】
<有機層>
本発明における有機層について説明する。
【0138】
(有機層の形成)
本発明の有機電界発光素子において、各有機層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法、スピンコート法、バーコート法等の溶液塗布法のいずれによっても好適に形成することができる。有機層の少なくとも1層が溶液塗布法により形成されることが好ましく、前記一般式(1)で表される化合物を含有する層が溶液塗布法により形成されることがより好ましい。
【0139】
(発光層)
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。本発明の有機電界発光素子における発光層は、少なくとも一種の燐光発光材料を含有することが好ましい。
【0140】
(発光材料)
本発明では、発光層に含有される少なくとも一種の燐光発光材料に加えて、発光材料として、蛍光発光材料や、発光層に含有される燐光発光材料とは異なる燐光発光材料を用いることができる。
これら蛍光発光材料や燐光発光材料については、例えば、特開2008−270736号公報の段落番号[0100]〜[0164]、特開2007−266458号公報の段落番号[0088]〜[0090]に詳述されており、これら公報の記載の事項を本発明に適用することができる。
【0141】
本発明に使用できる燐光発光材料としては、例えば、US6303238B1、US6097147、WO00/57676、WO00/70655、WO01/08230、WO01/39234A2、WO01/41512A1、WO02/02714A2、WO02/15645A1、WO02/44189A1、WO05/19373A2、特開2001−247859、特開2002−302671、特開2002−117978、特開2003−133074、特開2002−235076、特開2003−123982、特開2002−170684、EP1211257、特開2002−226495、特開2002−234894、特開2001−247859、特開2001−298470、特開2002−173674、特開2002−203678、特開2002−203679、特開2004−357791、特開2006−256999、特開2007−19462、特開2007−84635、特開2007−96259等の特許文献に記載の燐光発光化合物などが挙げられ、中でも、更に好ましい発光材料としては、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、及びCe錯体等の燐光発光性金属錯体化合物が挙げられる。特に好ましくは、Ir錯体、Pt錯体、又はRe錯体であり、中でも金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が好ましい。更に、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点で、Ir錯体、Pt錯体が特に好ましく、Ir錯体が最も好ましい。
【0142】
本発明における発光層に含有される燐光発光材料としては、以下に示す一般式(E−1)で表されるイリジウム錯体、又は以下の一般式(C−1)で表される白金錯体を用いることが好ましい。
【0143】
一般式(E−1)について説明する。
【0144】
【化32】

【0145】
一般式(E−1)中、Z及びZはそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。
はZと窒素原子と共に5又は6員のヘテロ環を形成する原子群を表す。
はZと炭素原子と共に5又は6員環を形成する原子群を表す。
(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。
E1は1〜3の整数を表す。
【0146】
E1は1〜3の整数を表し、好ましくは2又は3である。
及びZはそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZとして好ましくは炭素原子である。
【0147】
はZと窒素原子と共に5又は6員のヘテロ環を形成する原子群を表す。A、Z及び窒素原子を含む5又は6員のヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環などが挙げられる。
錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点から、A、Z及び窒素原子で形成される5又は6員のヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環であり、より好ましくはピリジン環、イミダゾール環、ピラジン環であり、更に好ましくはピリジン環、イミダゾール環であり、最も好ましくはピリジン環である。
【0148】
前記A、Z及び窒素原子で形成される5又は6員のヘテロ環は置換基を有していてもよく、炭素原子上の置換基としては前記置換基群Aが、窒素原子上の置換基としては前記置換基群Bが適用できる。炭素上の置換基として好ましくはアルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、シアノ基、フッ素原子である。
【0149】
置換基は発光波長や電位の制御のために適宜選択されるが、短波長化させる場合には電子供与性基、フッ素原子、芳香環基が好ましく、例えばアルキル基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、フッ素原子、アリール基、芳香族ヘテロ環基などが選択される。また長波長化させる場合には電子求引性基が好ましく、例えばシアノ基、ペルフルオロアルキル基などが選択される。
【0150】
窒素上の置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基であり、錯体の安定性の観点からアルキル基、アリール基が好ましい。
前記置換基同士は連結して縮合環を形成していてもよく、形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。これら形成される環は置換基を有していてもよく、置換基としては前述の炭素原子上の置換基、窒素原子上の置換基が挙げられる。
【0151】
はZと炭素原子を含む5又は6員環を表す。B、Z及び炭素原子で形成される5又は6員環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。
錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点からB、Z及び炭素原子で形成される5又は6員環として好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チオフェン環であり、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラゾール環であり、更に好ましくはベンゼン環、ピリジン環である。
【0152】
前記B、Z及び炭素原子で形成される5又は6員環は置換基を有していてもよく、炭素原子上の置換基としては前記置換基群Aが、窒素原子上の置換基としては前記置換基群Bが適用できる。炭素上の置換基として好ましくはアルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、シアノ基、フッ素原子である。
【0153】
置換基は発光波長や電位の制御のために適宜選択されるが、長波長化させる場合には電子供与性基、芳香環基が好ましく、例えばアルキル基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリール基、芳香族ヘテロ環基などが選択される。また短波長化させる場合には電子求引性基が好ましく、例えばフッ素原子、シアノ基、ペルフルオロアルキル基などが選択される。
【0154】
窒素上の置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基であり、錯体の安定性の観点からアルキル基、アリール基が好ましい。前記置換基同士は連結して縮合環を形成していてもよく、形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。これら形成される環は置換基を有していてもよく、置換基としては前述の炭素原子上の置換基、窒素原子上の置換基が挙げられる。
また前記A、Z及び窒素原子で形成される5又は6員のヘテロ環の置換基と、前記B、Z及び炭素原子で形成される5又は6員環の置換基とが連結して、前述と同様の縮合環を形成していてもよい。
【0155】
(X−Y)で表される配位子としては、従来公知の金属錯体に用いられる種々の公知の配位子があるが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer−Verlag社 H.Yersin著 1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社 山本明夫著 1982年発行等に記載の配位子(例えば、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロアリール配位子(例えば、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)が挙げられる。(X−Y)で表される配位子として好ましくは、ジケトン類あるいはピコリン酸誘導体であり、錯体の安定性と高い発光効率が得られる観点から以下に示されるアセチルアセトネート(acac)であることが最も好ましい。
【0156】
【化33】

【0157】
*はイリジウムへの配位位置を表す。
(X−Y)で表される配位子としては下記一般式(l−1)〜(l−15)が好ましいが、本発明はこれらに限定されない。
【0158】
【化34】

【0159】
*は一般式(E−1)におけるイリジウムへの配位位置を表す。Rx、Ry及びRzはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
【0160】
Rx、Ry及びRzが置換基を表す場合、該置換基としては前記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。好ましくは、Rx、Rzはそれぞれ独立にアルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、アリール基のいずれかであり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基、フッ素原子、置換されていても良いフェニル基であり、最も好ましくはメチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、フェニル基である。Ryは好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、アリール基のいずれかであり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、置換されていても良いフェニル基であり、最も好ましくは水素原子、メチル基のいずれかである。これら配位子は素子中で電荷を輸送したり励起によって電子が集中する部位ではないと考えられるため、Rx、Ry、Rzは化学的に安定な置換基であれば良く、本発明の効果にも影響を及ぼさない。錯体合成が容易であるため好ましくは(I−1)、(I−4)、(I−5)であり、最も好ましくは(I−1)である。これらの配位子を有する錯体は、対応する配位子前駆体を用いることで公知の合成例と同様に合成できる。例えば国際公開2009−073245号46ページに記載の方法と同様に、市販のジフルオロアセチルアセトンを用いて以下に示す方法で合成する事ができる。
【0161】
一般式(E−1)で表されるIr錯体の好ましい態様は、一般式(E−2)で表されるIr錯体である。
【0162】
【化35】

【0163】
一般式(E−2)中、AE1〜AE8はそれぞれ独立に、窒素原子又はC−Rを表す。
は水素原子又は置換基を表す。
(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。
E2は1〜3の整数を表す。
【0164】
E1〜AE8はそれぞれ独立に、窒素原子又はC−Rを表す。Rは水素原子又は置換基を表し、R同士が互いに連結して環を形成していてもよい。形成される環としては、前述の一般式(E−1)において述べた縮合環と同様のものが挙げられる。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。
E1〜AE4として好ましくはC−Rであり、AE1〜AE4がC−Rである場合に、AE3のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、又はシアノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はフッ素原子であり、特に好ましく水素原子、又はフッ素原子であり、AE1、AE2及びAE4のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、又はシアノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はフッ素原子であり、特に好ましく水素原子である。
【0165】
E5〜AE8として好ましくはC−Rであり、AE5〜AE8がC−Rである場合に、Rとして好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、又はフッ素原子であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、又はフッ素原子であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、トリフルオロメチル基、又はフッ素原子である。また可能な場合は置換基同士が連結して縮環構造を形成してもよい。発光波長を短波長側にシフトさせる場合、AE6が窒素原子であることが好ましい。
(X−Y)、及びnE2は一般式(E−1)における(X−Y)、及びnE1と同義であり好ましい範囲も同様である。
【0166】
前記一般式(E−2)で表される化合物のより好ましい形態は、下記一般式(E−3)で表される化合物である。
【0167】
【化36】

【0168】
一般式(E−3)中、RT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6及びRT7は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−COR、−C(O)R、−NR、−NO、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
AはCR’又は窒素原子を表し、R’は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−COR、−C(O)R、−NR、−NO、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
T1〜RT7、及びR’は、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。これらのうち、RT1とRT7、又はRT5とRT6で縮環してベンゼン環を形成する場合が好ましく、RT5とRT6で縮環してベンゼン環を形成する場合が特に好ましい。
置換基Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R”、−OR”、−N(R”)、−SR”、−C(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)N(R”)、−CN、−NO、−SO、−SOR”、−SOR”、又は−SOR”を表し、R”はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、モノアニオン性の二座配位子を表す。nE3は1〜3の整数を表す。
【0169】
アルキル基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基Zを挙げることができる。RT1〜RT7、及びR’で表されるアルキル基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、シクロヘキシル基、t−ブチル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基Zを挙げることができる。RT1〜RT7、及びR’で表されるシクロアルキル基として、好ましくは環員数4〜7のシクロアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数5〜6のシクロアルキル基であり、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
T1〜RT7、及びR’で表されるアルケニル基としては好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、1−プロペニル、1−イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。
T1〜RT7、及びR’で表されるアルキニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル、プロパルギル、1−プロピニル、3−ペンチニルなどが挙げられる。
【0170】
T1〜RT7、及びR’で表されるペルフルオロアルキル基は、前述のアルキル基の全ての水素原子がフッ素原子に置き換えられたものが挙げられる。
【0171】
T1〜RT7、及びR’で表されるアリール基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0172】
T1〜RT7、及びR’で表されるヘテロアリール基としては、好ましくは、炭素数5〜8のヘテロアリール基であり、より好ましくは、5又は6員の置換若しくは無置換のヘテロアリール基であり、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、ピロリル基、インドリル基、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、ベンズオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、チアジアゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、イミダゾリジニル基、チアゾリニル基、スルホラニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、7ピリドインドリル基などが挙げられる。好ましい例としては、ピリジル基、ピリミジニル基、イミダゾリル基、チエニル基であり、より好ましくは、ピリジル基、ピリミジニル基である。
【0173】
T1〜RT7、及びR’として好ましくは、水素原子、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ペルフルオロアルキル基、ジアルキルアミノ基、フルオロ基、アリール基、ヘテロアリール基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロ基、アリール基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基である。置換基Zとしては、アルキル基、アルコキシ基、フルオロ基、シアノ基、ジアルキルアミノ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0174】
T1〜RT7、及びR’は任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。形成されるシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールの定義及び好ましい範囲はRT1〜RT7、及びR’で定義したシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基と同じである。
またAがCR’を表すと共に、RT1〜RT7、及びR’のうち、0〜2つがアルキル基又はフェニル基で、残りが全て水素原子である場合が特に好ましく、RT1〜RT7、及びR’のうち、0〜2つがアルキル基で、残りが全て水素原子である場合が特に好ましい。
【0175】
E3は2又は3であることが好ましい。錯体中の配位子の種類は1〜2種類から構成されることが好ましく、更に好ましくは1種類である。錯体分子内に反応性基を導入する際には合成容易性という観点から配位子が2種類からなることも好ましい。
(X−Y)は、一般式(E−1)における(X−Y)と同義であり好ましい範囲も同様である。
【0176】
前記一般式(E−3)で表される化合物の好ましい形態の一つは、下記一般式(E−4)で表される化合物である。
【0177】
【化37】

【0178】
一般式(E−4)におけるRT1〜RT4、A、(X−Y)及びnE4は、一般式(E−3)におけるRT1〜RT4、A、(X−Y)及びnE3と同義であり、好ましい範囲も同様である。R’〜R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−COR、−C(O)R、−NR、−NO、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
’〜R’は、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R”、−OR”、−N(R”)、−SR”、−C(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)N(R”)、−CN、−NO、−SO、−SOR”、−SOR”、又は−SOR”を表し、R”はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
また、R’〜R’における好ましい範囲は、一般式(E−3)におけるRT1〜RT7、R’と同様である。またAがCR’を表すと共に、RT1〜RT4、R’、及びR’〜R’のうち、0〜2つがアルキル基又はフェニル基で残りが全て水素原子である場合が特に好ましく、RT1〜RT4、R’、及びR’〜R’のうち、0〜2つがアルキル基で残りが全て水素原子である場合が更に好ましい。
【0179】
前記一般式(E−3)で表される化合物の好ましい別の形態は、下記一般式(E−5)で表される化合物である。
【0180】
【化38】

【0181】
一般式(E−5)におけるRT2〜RT6、A、(X−Y)及びnE5は、一般式(E−3)におけるRT2〜RT6、A、(X−Y)及びnE3と同義であり、好ましい範囲も同様である。R’〜R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−COR、−C(O)R、−NR、−NO、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
T5、RT6、R’〜R’は、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R”、−OR”、−N(R”)、−SR”、−C(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)N(R”)、−CN、−NO、−SO、−SOR”、−SOR”、又は−SOR”を表し、R”はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
また、R’〜R’における好ましい範囲は、一般式(E−3)におけるRT1〜RT7、R’と同様である。またAがCR’を表すと共に、RT2〜RT6、R’、及びR’〜R’のうち、0〜2つがアルキル基又はフェニル基で残りが全て水素原子である場合が特に好ましく、RT2〜RT6、R’、及びR’〜R’のうち、0〜2つがアルキル基で残りが全て水素原子である場合が更に好ましい。
【0182】
一般式(E−4)又は(E−5)で表される燐光発光材料を用いる場合、一般式(1)で表される化合物は、発光層又は正孔ブロック層に含有されることが好ましく、発光層に含有されることがより好ましい。
【0183】
一般式(E−1)で表される化合物の好ましい別の形態は、下記一般式(E−6)で表される場合である。
【0184】
【化39】

【0185】
一般式(E−6)中、R1a〜R1kは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−COR、−C(O)R、−NR、−NO、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
1a〜R1kは、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R”、−OR”、−N(R”)、−SR”、−C(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)N(R”)、−CN、−NO、−SO、−SOR”、−SOR”、又は−SOR”を表し、R”はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、モノアニオン性の二座配位子を表す。
E6は1〜3の整数を表す。
【0186】
一般式(E−6)において、R1a〜R1kの好ましい範囲は、一般式(E−3)におけるRT1〜RT7、R’におけるものと同様である。またR1a〜R1kのうち、0〜2つがアルキル基又はフェニル基で残りが全て水素原子である場合が特に好ましく、R1a〜R1kのうち、0〜2つがアルキル基で残りが全て水素原子である場合が更に好ましい。
1jとR1kとが連結し単結合を形成する場合が特に好ましい。
(X−Y)、及びnE6の好ましい範囲は、一般式(E−3)における(X−Y)、及びnE3と同様である。
【0187】
一般式(E−6)で表される化合物のより好ましい形態は、下記一般式(E−7)で表される場合である。
【0188】
【化40】

【0189】
一般式(E−7)中、R1a〜R1iは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−COR、−C(O)R、−NR、−NO、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
1a〜R1kは、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基であり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R”、−OR”、−N(R”)、−SR”、−C(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)N(R”)、−CN、−NO、−SO、−SOR”、−SOR”、又は−SOR”を表し、R”はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、モノアニオン性の二座配位子を表す。
E7は1〜3の整数を表す。
【0190】
一般式(E−7)中、R1a〜R1iの定義や好ましい範囲は一般式(E−6)におけるR1a〜R1iと同様である。またR1a〜R1iのうち、0〜2つがアルキル基又はアリール基で残りが全て水素原子である場合が特に好ましい。(X−Y)、及びnE7の定義や好ましい範囲は一般式(E−3)における(X−Y)、及びnE3と同様である。
【0191】
一般式(E−6)又は(E−7)で表される燐光発光材料を用いる場合、一般式(1)で表される化合物は、発光層又は正孔ブロック層に含有されることが好ましい。
【0192】
一般式(E−1)で表される化合物の好ましい具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
【0193】
【化41】

【0194】
【化42】

【0195】
【化43】

【0196】
上記一般式(E−1)で表される化合物として例示した化合物は、特開2009−99783号公報に記載の方法や、米国特許7279232号等に記載の種々の方法で合成できる。合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶等による精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により、有機不純物を分離できるだけでなく、無機塩や残留溶媒等を効果的に取り除くことができる。
【0197】
一般式(E−1)で表される化合物は、発光層に含有されることが好ましいが、その用途が限定されることはなく、更に有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。
【0198】
発光層中の一般式(E−1)で表される化合物は,発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜40質量%含有されることがより好ましい。
【0199】
燐光発光材料として用いることができる白金錯体として好ましくは、下記一般式(C−1)で表される白金錯体である。
【0200】
【化44】

【0201】
(式中、Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にPtに配位する配位子を表す。L、L及びLはそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。)
【0202】
一般式(C−1)について説明する。Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にPtに配位する配位子を表す。この時、Q、Q、Q及びQとPtの結合は、共有結合、イオン結合、配位結合などいずれであっても良い。Q、Q、Q及びQ中のPtに結合する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子が好ましく、Q、Q、Q及びQ中のPtに結合する原子の内、少なくとも一つが炭素原子であることが好ましく、二つが炭素原子であることがより好ましく、二つが炭素原子で、二つが窒素原子であることが特に好ましい。
炭素原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、アニオン性の配位子でも中性の配位子でもよく、アニオン性の配位子としてはビニル配位子、芳香族炭化水素環配位子(例えばベンゼン配位子、ナフタレン配位子、アントラセン配位子、フェナントレン配位子など)、ヘテロ環配位子(例えばフラン配位子、チオフェン配位子、ピリジン配位子、ピラジン配位子、ピリミジン配位子、ピリダジン配位子、トリアジン配位子、チアゾール配位子、オキサゾール配位子、ピロール配位子、イミダゾール配位子、ピラゾール配位子、トリアゾール配位子及び、それらを含む縮環体(例えばキノリン配位子、ベンゾチアゾール配位子など))が挙げられる。中性の配位子としてはカルベン配位子が挙げられる。
【0203】
、Q、Q及びQで表される基は、置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適宜適用できる。また置換基同士が連結していても良い(QとQが連結した場合、環状四座配位子のPt錯体になる)。
【0204】
、Q、Q及びQで表される基として好ましくは、炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子でPtに結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子、アルキルオキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、シリルオキシ配位子であり、より好ましくは、炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子でPtに結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子、アリールオキシ配位子であり、更に好ましくは炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子でPtに結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子である。
【0205】
、L及びLは、単結合又は二価の連結基を表す。L、L及びLで表される二価の連結基としては、アルキレン基(メチレン、エチレン、プロピレンなど)、アリーレン基(フェニレン、ナフタレンジイル)、ヘテロアリーレン基(ピリジンジイル、チオフェンジイルなど)、イミノ基(−NR−)(フェニルイミノ基など)、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、ホスフィニデン基(−PR−)(フェニルホスフィニデン基など)、シリレン基(−SiRR’−)(ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基など)、又はこれらを組み合わせたものが挙げられる。ここで、R及びR’としては各々独立してアルキル基、アリール基等が挙げられる。これらの連結基は、更に置換基を有していてもよい。
錯体の安定性及び発光量子収率の観点から、L、L及びLとして好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、イミノ基、オキシ基、チオ基、シリレン基であり、より好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、イミノ基であり、更に好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基であり、更に好ましくは、単結合、メチレン基、フェニレン基であり、更に好ましくは単結合、ジ置換のメチレン基であり、更に好ましくは単結合、ジメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、ジイソブチルメチレン基、ジベンジルメチレン基、エチルメチルメチレン基、メチルプロピルメチレン基、イソブチルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基、シクロペンタンジイル基、フルオレンジイル基、フルオロメチルメチレン基である。
は特に好ましくはジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基であり、最も好ましくはジメチルメチレン基である。
及びLとして最も好ましくは単結合である。
【0206】
一般式(C−1)で表される白金錯体のうち、より好ましくは下記一般式(C−2)で表される白金錯体である。
【0207】
【化45】

【0208】
(式中、L21は単結合又は二価の連結基を表す。A21、A22はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。Z21、Z22はそれぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z23、Z24はそれぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。)
【0209】
一般式(C−2)について説明する。L21は、前記一般式(C−1)中のLと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0210】
21、A22はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。A21、A22の内、少なくとも一方は炭素原子であることが好ましく、A21、A22が共に炭素原子であることが、錯体の安定性の観点及び錯体の発光量子収率の観点から好ましい。
【0211】
21、Z22は、それぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z21、Z22で表される含窒素芳香族ヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環などが挙げられる。錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点から、Z21、Z22で表される環として好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環であり、より好ましくはピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環であり、更に好ましくはピリジン環、ピラゾール環であり、特に好ましくはピリジン環である。
【0212】
23、Z24は、それぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。Z23、Z24で表される含窒素芳香族ヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点からZ23、Z24で表される環として好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チオフェン環であり、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラゾール環であり、更に好ましくはベンゼン環、ピリジン環である。
【0213】
一般式(C−2)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−4)で表される白金錯体である。
【0214】
【化46】

【0215】
(一般式(C−4)中、A401〜A414はそれぞれ独立にC−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L41は単結合又は二価の連結基を表す。)
【0216】
一般式(C−4)について説明する。
401〜A414はそれぞれ独立にC−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。
Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。
401〜A406として好ましくはC−Rであり、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。A401〜A406がC−Rである場合に、A402、A405のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子であり、特に好ましくは水素原子、フッ素原子である。A401、A403、A404、A406のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子であり、特に好ましく水素原子である。
41は、前記一般式(C−1)中のLと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0217】
407〜A414としては、A407〜A410とA411〜A414のそれぞれにおいて、N(窒素原子)の数は、0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。発光波長を短波長側にシフトさせる場合、A408及びA412のいずれかが窒素原子であることが好ましく、A408とA412が共に窒素原子であることが更に好ましい。
【0218】
一般式(C−2)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−5)で表される白金錯体である。
【0219】
【化47】

【0220】
(一般式(C−5)中、A501〜A512は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L51は単結合又は二価の連結基を表す。)
【0221】
一般式(C−5)について説明する。A501〜A506及びL51は、前記一般式(C−4)におけるA401〜A406及びL41と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0222】
507、A508及びA509とA510、A511及びA512は、及びそれぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。
【0223】
一般式(C−1)で表される白金錯体のうち、より好ましい別の態様は下記一般式(C−6)で表される白金錯体である。
【0224】
【化48】

【0225】
(式中、L61は単結合又は二価の連結基を表す。A61はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。Z61、Z62はそれぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z63はそれぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。YはPtに結合するアニオン性の非環状配位子である。)
【0226】
一般式(C−6)について説明する。L61は、前記一般式(C−1)中のLと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0227】
61は炭素原子又は窒素原子を表す。錯体の安定性の観点及び錯体の発光量子収率の観点からA61は炭素原子であることが好ましい。
【0228】
61、Z62は、それぞれ前記一般式(C−2)におけるZ21、Z22と同義であり、また好ましい範囲も同様である。Z63は、前記一般式(C−2)におけるZ23と同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0229】
YはPtに結合するアニオン性の非環状配位子である。非環状配位子とはPtに結合する原子が配位子の状態で環を形成していないものである。Y中のPtに結合する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましく、窒素原子、酸素原子がより好ましく、酸素原子が最も好ましい。
炭素原子でPtに結合するYとしてはビニル配位子が挙げられる。窒素原子でPtに結合するYとしてはアミノ配位子、イミノ配位子が挙げられる。酸素原子でPtに結合するYとしては、アルコキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、アシルオキシ配位子、シリルオキシ配位子、カルボキシル配位子、リン酸配位子、スルホン酸配位子などが挙げられる。硫黄原子でPtに結合するYとしては、アルキルメルカプト配位子、アリールメルカプト配位子、ヘテロアリールメルカプト配位子、チオカルボン酸配位子などが挙げられる。
Yで表される配位子は、置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適宜適用できる。また置換基同士が連結していても良い。
【0230】
Yで表される配位子として好ましくは酸素原子でPtに結合する配位子であり、より好ましくはアシルオキシ配位子、アルキルオキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、シリルオキシ配位子であり、更に好ましくはアシルオキシ配位子である。
【0231】
一般式(C−6)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−7)で表される白金錯体である。
【0232】
【化49】

【0233】
(式中、A701〜A710は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L71は単結合又は二価の連結基を表す。YはPtに結合するアニオン性の非環状配位子である。)
【0234】
一般式(C−7)について説明する。L71は、前記一般式(C−6)中のL61と同義であり、また好ましい範囲も同様である。A701〜A710は一般式(C−4)におけるA401〜A410と同義であり、また好ましい範囲も同様である。Yは一般式(C−6)におけるYと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0235】
一般式(C−1)で表される白金錯体として具体的には、特開2005−310733号公報の〔0143〕〜〔0152〕、〔0157〕〜〔0158〕、〔0162〕〜〔0168〕に記載の化合物、特開2006−256999号公報の〔0065〕〜〔0083〕に記載の化合物、特開2006−93542号公報の〔0065〕〜〔0090〕に記載の化合物、特開2007−73891号公報の〔0063〕〜〔0071〕に記載の化合物、特開2007−324309号公報の〔0079〕〜〔0083〕に記載の化合物、特開2006−93542号公報の〔0065〕〜〔0090〕に記載の化合物、特開2007−96255号公報の〔0055〕〜〔0071〕に記載の化合物、特開2006−313796号公報の〔0043〕〜〔0046〕が挙げられ、その他以下に例示する白金錯体が挙げられる。
【0236】
【化50】

【0237】
【化51】

【0238】
【化52】

【0239】
一般式(C−1)で表される白金錯体化合物は、例えば、Journal of Organic Chemistry 53,786,(1988)、G.R.Newkome et al.)の、789頁、左段53行〜右段7行に記載の方法、790頁、左段18行〜38行に記載の方法、790頁、右段19行〜30行に記載の方法及びその組み合わせ、Chemische Berichte 113,2749(1980)、H.Lexyほか)の、2752頁、26行〜35行に記載の方法等、種々の手法で合成できる。
例えば、配位子、又はその解離体と金属化合物を溶媒(例えば、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキサイド系溶媒、水などが挙げられる)の存在下、若しくは、溶媒非存在下、塩基の存在下(無機、有機の種々の塩基、例えば、ナトリウムメトキシド、t−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、炭酸カリウムなどが挙げられる)、若しくは、塩基非存在下、室温以下、若しくは加熱し(通常の加熱以外にもマイクロウェーブで加熱する手法も有効である)得ることができる。
【0240】
本発明の発光層における一般式(C−1)で表される化合物の含有量は発光層中1〜30質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが更に好ましい。
【0241】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、2nm〜500nmであるのが好ましく、中でも、外部量子効率の観点で、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0242】
本発明の素子における発光層は、発光材料のみで構成されていてもよく、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でもよい。発光材料の種類は一種であっても二種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は一種であっても二種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。更に、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
また、発光層は一層であっても二層以上の多層であってもよく、それぞれの層に同じ発光材料やホスト材料を含んでもよいし、層毎に異なる材料を含んでもよい。発光層が複数の場合、それぞれの発光層が異なる発光色で発光してもよい。
【0243】
(ホスト材料)
ホスト材料とは、発光層において主に電荷の注入、輸送を担う化合物であり、また、それ自体は実質的に発光しない化合物のことである。ここで「実質的に発光しない」とは、該実質的に発光しない化合物からの発光量が好ましくは素子全体での全発光量の5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、更に好ましくは1%以下であることを言う。
ホスト材料としては、一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
【0244】
その他の本発明に用いることのできるホスト材料としては、例えば、以下の化合物を挙げることができる。
ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、ポルフィリン系化合物、縮環芳香族炭化水素化合物(フルオレン、ナフタレン、フェナントレン、トリフェニレン等)、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体及びそれらの誘導体(置換基や縮環を有していてもよい)等を挙げることができる。
これらのうち、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アリールアミン、縮環芳香族炭化水素化合物、金属錯体が特に好ましい。
【0245】
本発明において、併用することができるホスト材料としては、正孔輸送性ホスト材料であっても、電子輸送性ホスト材料であってもよい。
【0246】
発光層において、前記ホスト材料の膜状態での三重項最低励起エネルギー(Tエネルギー)が、前記燐光発光材料のTエネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。ホスト材料のTが燐光発光材料のTより0.1eV以上大きいことが好ましく、0.2eV以上大きいことがより好ましく、0.3eV以上大きいことが更に好ましい。
ホスト材料の膜状態でのTが燐光発光材料のTより小さいと発光を消光してしまうためホスト材料には燐光発光材料より大きなTが求められる。また、ホスト材料のTが燐光発光材料より大きい場合でも、両者のT差が小さい場合には一部、燐光発光材料からホスト材料への逆エネルギー移動が起こるため、効率低下や耐久性低下の原因となる。従って、Tが十分に大きく、化学的安定性及びキャリア注入・輸送性の高いホスト材料が求められている。
【0247】
また、本発明におけるホスト化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、発光効率、駆動電圧の観点から、発光層を形成する全化合物質量に対して15質量%以上95質量%以下であることが好ましい。発光層に、一般式(1)で表される化合物を含む複数種類のホスト化合物を含む場合、一般式(1)で表される化合物は全ホスト化合物中50質量%以上99質量%以下であることが好ましい。
【0248】
(電荷輸送層)
電荷輸送層とは、有機電界発光素子に電圧を印加した際に電荷移動が起こる層をいう。具体的には正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層又は電子注入層が挙げられる。好ましくは、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層又は発光層である。塗布法により形成される電荷輸送層が正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層又は発光層であれば、低コストかつ高効率な有機電界発光素子の製造が可能となる。また、電荷輸送層として、より好ましくは、正孔注入層、正孔輸送層又は電子ブロック層である。
【0249】
(正孔注入層、正孔輸送層)
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
正孔注入層、正孔輸送層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0165〕〜〔0167〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0250】
正孔注入層には電子受容性ドーパントを含有することが好ましい。正孔注入層に電子受容性ドーパントを含有することにより、正孔注入性が向上し、駆動電圧が低下する、効率が向上するなどの効果がある。電子受容性ドーパントとは、ドープされる材料から電子を引き抜き、ラジカルカチオンを発生させることが可能な材料であれば有機材料、無機材料のうちいかなるものでもよいが、例えば、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F−TCNQ)、酸化モリブデンなどが挙げられる。
【0251】
正孔注入層中の電子受容性ドーパントは、正孔注入層を形成する全化合物質量に対して、0.01質量%〜50質量%含有されることが好ましく、0.1質量%〜40質量%含有されることがより好ましく、0.2質量%〜30質量%含有されることがより好ましい。
【0252】
(電子注入層、電子輸送層)
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる電子注入材料、電子輸送材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
電子輸送材料としては、本発明の一般式(1)で表される化合物を用いることができる。その他の材料としては、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フタラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、シロールに代表される有機シラン誘導体、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン等の縮環炭化水素化合物等をから選ばれることが好ましく、ピリジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体、金属錯体、縮環炭化水素化合物のいずれかであることがより好ましい。
【0253】
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0254】
電子注入層には電子供与性ドーパントを含有することが好ましい。電子注入層に電子供与性ドーパントを含有させることにより、電子注入性が向上し、駆動電圧が低下する、効率が向上するなどの効果がある。電子供与性ドーパントとは、ドープされる材料に電子を与え、ラジカルアニオンを発生させることが可能な材料であれば有機材料、無機材料のうちいかなるものでもよいが、例えば、テトラチアフルバレン(TTF)、テトラチアナフタセン(TTT)、ビス−[1,3 ジエチル−2−メチル−1,2−ジヒドロベンズイミダゾリル]などのジヒドロイミダゾール化合物、リチウム、セシウムなどが挙げられる。
【0255】
電子注入層中の電子供与性ドーパントは、電子注入層を形成する全化合物質量に対して、0.01質量%〜50質量%含有されることが好ましく、0.1質量%〜40質量%含有されることがより好ましく、0.5質量%〜30質量%含有されることがより好ましい。
【0256】
(正孔ブロック層)
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノレート(Aluminum (III)bis(2−methyl−8−quinolinato)4−phenylphenolate(Balqと略記する))等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9−Dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(BCPと略記する))等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、3nm〜100nmであるのがより好ましく、5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔ブロック層に用いる材料は、前記燐光発光材料のTエネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。正孔ブロック層に用いる材料の膜状態でのTが燐光発光材料のTより0.1eV以上大きいことが好ましく、0.2eV以上大きいことがより好ましく、0.3eV以上大きいことが更に好ましい。
【0257】
(電子ブロック層)
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する有機化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、3nm〜100nmであるのがより好ましく、5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子ブロック層に用いる材料は、前記燐光発光材料のTエネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。電子ブロック層に用いる材料の膜状態でのTが燐光発光材料のTより0.1eV以上大きいことが好ましく、0.2eV以上大きいことがより好ましく、0.3eV以上大きいことが更に好ましい。
【0258】
(保護層)
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0169〕〜〔0170〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0259】
(封止容器)
本発明の素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
封止容器については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0171〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0260】
(駆動)
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書等に記載の駆動方法を適用することができる。
【0261】
本発明の有機電界発光素子の外部量子効率としては、7%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、12%以上が更に好ましい。外部量子効率の数値は20℃で素子を駆動したときの外部量子効率の最大値、若しくは、20℃で素子を駆動したときの300〜400cd/m付近での外部量子効率の値を用いることができる。
【0262】
本発明の有機電界発光素子の内部量子効率は、30%以上であることが好ましく、50%以上が更に好ましく、70%以上が更に好ましい。素子の内部量子効率は、外部量子効率を光取り出し効率で除して算出される。通常の有機EL素子では光取り出し効率は約20%であるが、基板の形状、電極の形状、有機層の膜厚、無機層の膜厚、有機層の屈折率、無機層の屈折率等を工夫することにより、光取り出し効率を20%以上にすることが可能である。
【0263】
(本発明の素子の用途)
本発明の素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、又は光通信等に好適に利用できる。特に、照明装置、表示装置等の発光輝度が高い領域で駆動されるデバイスに好ましく用いられる。
【0264】
(発光装置)
次に、図2を参照して本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置は、前記有機電界発光素子を用いてなる。
図2は、本発明の発光装置の一例を概略的に示した断面図である。図2の発光装置20は、透明基板(支持基板)2、有機電界発光素子10、封止容器16等により構成されている。
【0265】
有機電界発光素子10は、基板2上に、陽極(第一電極)3、有機層11、陰極(第二電極)9が順次積層されて構成されている。また、陰極9上には、保護層12が積層されており、更に、保護層12上には接着層14を介して封止容器16が設けられている。なお、各電極3、9の一部、隔壁、絶縁層等は省略されている。
ここで、接着層14としては、エポキシ樹脂等の光硬化型接着剤や熱硬化型接着剤を用いることができ、例えば熱硬化性の接着シートを用いることもできる。
【0266】
本発明の発光装置の用途は特に制限されるものではなく、例えば、照明装置のほか、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電子ペーパ等の表示装置とすることができる。
【0267】
(照明装置)
次に、図3を参照して本発明の照明装置について説明する。
図3は、本発明の照明装置の一例を概略的に示した断面図である。本発明の照明装置40は、図3に示すように、前述した有機EL素子10と、光散乱部材30とを備えている。より具体的には、照明装置40は、有機EL素子10の基板2と光散乱部材30とが接触するように構成されている。
光散乱部材30は、光を散乱できるものであれば特に制限されないが、図3においては、透明基板31に微粒子32が分散した部材とされている。透明基板31としては、例えば、ガラス基板を好適に挙げることができる。微粒子32としては、透明樹脂微粒子を好適に挙げることができる。ガラス基板及び透明樹脂微粒子としては、いずれも、公知のものを使用できる。このような照明装置40は、有機電界発光素子10からの発光が散乱部材30の光入射面30Aに入射されると、入射光を光散乱部材30により散乱させ、散乱光を光出射面30Bから照明光として出射するものである。
【実施例】
【0268】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0269】
1.合成例
(合成例1)化合物1の合成
【0270】
【化53】

【0271】
9,9−ジメチル−2−フルオレンボロン酸3.57g(15.0mmol)、3,3’−ジブロモ−1,1’−ビフェニル9.36g(30.0mmol)、酢酸パラジウム(Pd(OAc))101mg(0.45mmol)、トリフェニルホスフィン(PPh)472mg(1.80mmol)、炭酸ナトリウム3.18g(30.0mmol)、トルエン65mL、水30mLを混合し、窒素雰囲気下、7時間加熱還流した。反応液を室温に冷却した後、分液により有機層を抽出し、硫酸ナトリウムにより乾燥した。溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘキサン(1:4))により精製し、合成中間体1を4.40g得た(収率69%)。
合成中間体1を2.34g(5.5mmol)、4,4,5,5−テトラメチル−2−(トリフェニレン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボラン2.05g(5.78mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba))151mg(0.17mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(SPhos)271mg(0.66mmol)、リン酸カリウム2.33g(11.0mmol)、1,2−ジメトキシエタン(DME)30mL、水15mLを混合し、窒素雰囲気下、7時間加熱還流した。反応液を室温に冷却した後、析出物をろ過し、純水、エタノール、ヘキサンで順次洗浄した。得られた固体をエタノール50mLでたき洗いした後、トルエン/エタノール(2:1)により再結晶することにより、化合物1を2.50g得た(収率79%)
【0272】
化合物1のNMRデータ
H NMR(400MHz,in DMSO−d6);δ(ppm)=9.17(s,1H),9.12−9.09(m,1H),8.94(d,1H),8.89−8.83(m,3H),8.32(s,1H),8.17−8.15(m,2H),8.05(s,1H),8.03(d,1H),7.94(d,1H),7.89−7.85(m,3H),7.82−7.79(m,2H),7.77−7.63(m,6H),7.59−7.57(m,1H),7.39−7.32(m,2H),1.54(s,6H)ppm.
【0273】
(合成例2)化合物2の合成
【0274】
【化54】

【0275】
4,4,5,5−テトラメチル−2−(トリフェニレン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボラン7.08g(20.0mmol)、m−ブロモヨードベンゼン16.97g(60.0mmol)、酢酸パラジウム135mg(0.60mmol)、トリフェニルホスフィン629mg(2.40mmol)、炭酸ナトリウム4.24g(40.0mmol)、1,2−ジメトキシエタン100mL、水50mLを混合し、窒素雰囲気下、7時間加熱還流した。反応後、水と酢酸エチルを加えて有機層を抽出した。有機層を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)により原点成分を除去した。溶媒を減圧留去し、得られた固体を少量の塩化メチレンで溶解し、メタノールを添加すると固体が析出した。この固体をろ過し、メタノール、ヘキサンで順次洗浄することにより合成中間体2を7.33g得た(収率96%)。
合成中間体2を7.20g(18.8mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン7.16g(28.2mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリドジクロロメタン錯体(1:1)(PdCl(dppf))461mg(0.56mmol)、酢酸カリウム(AcOK)5.54g(56.4mmol)、ジメチルスルホキシド(DMSO)80mLを混合し、窒素雰囲気下、70℃で4時間攪拌した。反応液を氷水に注ぎ、析出した固体をろ過した後、純水、メタノールで順次洗浄した。その後、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)により原点成分を除去した。溶媒を減圧留去した後、得られた固体をエタノールでたき洗いすることにより合成中間体3を5.73g得た(収率71%)。 合成中間体3を1.72g(4.0mmol)、2−ブロモ−9,9’−スピロビフルオレン1.58g(4.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム110mg(0.12mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル197mg(0.48mmol)、リン酸カリウム1.70g(8.0mmol)、トルエン20mL、水10mLを混合し、窒素雰囲気下、5時間加熱還流した。反応液に水とヘキサンを添加し、固形分をろ過し、純水、エタノール、ヘキサンで順次洗浄した。得られた固体をトルエン/ヘキサン(1:2)で2回再結晶することにより化合物2を1.93g得た(収率78%)。
化合物2のNMRデータ
H NMR(400MHz,in DMSO−d6);δ(ppm)=9.02−8.98(m,2H),8.89−8.82(m,4H),8.19(d,1H),8.10(d,1H),8.05−7.94(m,5H),7.86(d,1H),7.74−7.72(m,4H),7.53−7.40(m,5H),7.17(t,3H),6.94(s,1H),6.71(d,2H),6.63(d,1H)ppm.
【0276】
(合成例3)化合物7の合成
【0277】
【化55】

【0278】
4,4,5,5−テトラメチル−2−(トリフェニレン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボラン7.08g(20.0mmol)、3,3’−ジブロモ−1,1’−ビフェニル6.24g(20.0mmol)、酢酸パラジウム225mg(1.00mmol)、トリフェニルホスフィン1.05g(4.00mmol)、炭酸ナトリウム4.24g(40.0mmol)、トルエン220mL、水110mLを混合し、窒素雰囲気下、12時間加熱還流した。反応液を室温に冷却した後、分液により有機層を抽出した。溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘキサン(1:1))により精製した。得られた溶液を濃縮し、析出した固体をエタノールでたき洗いすることにより、合成中間体4を5.57g得た(収率51%)。
合成中間体4を5.46g(10.0mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン3.81g(15.0mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリドジクロロメタン錯体(1:1)408mg(0.50mmol)、酢酸カリウム2.94g(30.0mmol)、ジメチルスルホキシド80mLを混合し、窒素雰囲気下、70℃で5時間攪拌した。反応液を氷水に注ぎ、析出した固体をろ過した後、純水、メタノールで順次洗浄した。その後、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘキサン(1:1))により精製した。得られた溶液を濃縮し、析出した固体をエタノールでたき洗いすることにより合成中間体5をg得た3.24g(収率64%)。 合成中間体5を3.19g(6.3mmol)、2−ブロモ−9,10−ジヒドロフェナントレン1.55g(6.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム165mg(0.18mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル296mg(0.72mmol)、リン酸カリウム2.55g(12.0mmol)、トルエン35mL、水20mLを混合し、窒素雰囲気下、5時間加熱還流した。反応液を室温に冷却した後、分液により有機層を抽出した。溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘキサン(1:1))により精製した。溶媒を減圧留去した後、トルエン/ヘキサン(1:2)で3回再結晶することにより化合物7を2.38g得た(収率71%)。
化合物7のNMRデータ
H NMR(400MHz,in DMSO−d6);δ(ppm)=9.16(s,1H),9.10−9.08(m,1H),8.93(d,1H),8.88−8.83(m,3H),8.31(s,1H),8.18−8.13(m,2H),8.00(d,1H),7.94(d,1H),7.87(t,3H),7.78−7.62(m,9H),7.35−7.23(m,3H),2.94−2.87(m,4H)ppm.
【0279】
その他の化合物は、以下の合成ルートで合成した。反応条件、精製法等は合成例1〜3に準ずる。
【0280】
【化56】

【0281】
【化57】

【0282】
【化58】

【0283】
【化59】

【0284】
【化60】

【0285】
【化61】

【0286】
【化62】

【0287】
【化63】

【0288】
【化64】

【0289】
【化65】

【0290】
【化66】

【0291】
【化67】

【0292】
2.素子作製・評価
素子作製に用いた材料は全て昇華精製を行い、高速液体クロマトグラフィー(東ソーTSKgel ODS−100Z)により純度(254nmの吸収強度面積比)が99.9%以上であることを確認した。
【0293】
(実施例1)
厚み0.5mm、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機化合物層を順次蒸着した。
第1層:HAT−CN:膜厚10nm
第2層:NPD:膜厚30nm
第3層:表1中に記載のホスト材料及びGD−1(質量比90:10):膜厚30nm
第4層:表1中に記載のHBL材料:膜厚5nm
第5層:Alq:膜厚45nm
この上に、フッ化リチウム0.1nm及び金属アルミニウム100nmをこの順に蒸着し陰極とした。
得られた積層体を、大気に触れさせることなく、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ガラス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、素子1−1〜1−7、比較素子1−1〜1−5を得た。これらの素子を以下の方法で効率、駆動電圧、耐久性、高温保管後の効率の観点で評価した結果を表1に示す。なお、比較素子1−5においては、比較化合物7を真空蒸着法により成膜することができなかったため、素子作製できなかった。
【0294】
(a) 効率
東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電圧を各素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社製輝度計BM−8を用いて測定した。発光スペクトルと発光波長は浜松ホトニクス製スペクトルアナライザーPMA−11を用いて測定した。これらを元に輝度が1000cd/m付近の外部量子効率を輝度換算法により算出した。効率は数字が大きいほど好ましい。
【0295】
(b) 駆動電圧
各素子を輝度が1000cd/mになるように直流電圧を印加して発光させる。この時の印加電圧を駆動電圧評価の指標とした。駆動電圧は数字が小さいほど好ましい。
【0296】
(c) 耐久性
各素子を輝度が5000cd/mになるように直流電圧を印加して発光させ続け、輝度が4000cd/mになるまでに要した時間を耐久性の指標とした。表1においては素子1−1の値を、表2においては素子2−1の値を、表3においては素子3−1の値を、表4においては素子4−1の値を、表5においては素子5−1の値を、表6においては素子6−1の値を、表7においては素子7−1の値をそれぞれ1.0として、各表において相対値で示した。耐久性は数字が大きいほど好ましい。
【0297】
(d) 高温保管後の効率(耐熱性)
各素子を100℃の恒温槽中で100時間保管後、(a)と同様の方法により効率を測定した。この値は数字が大きいほど好ましい。
【0298】
【表1】

【0299】
(実施例2)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
第1層:2−TNATA及びF−TCNQ(質量比99.7:0.3) :膜厚160nm
第2層:NPD:膜厚5nm
第3層:HT−1:膜厚3nm
第4層:H−1及びGD−2(質量比85:15):膜厚30nm
第5層:表2中に記載のHBL材料:膜厚10nm
第6層:ET−2:膜厚20nm
【0300】
【表2】

【0301】
(実施例3)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表3に示す。
第1層:CuPc:膜厚10nm
第2層:NPD:膜厚30nm
第3層:表3中に記載のホスト材料及びRD−1(質量比95:5):膜厚30nm
第5層:ET−3:膜厚50nm
【0302】
【表3】

【0303】
(実施例4)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表4に示す。
第1層:TCTA:膜厚35nm
第2層:HT−2:膜厚5nm
第3層:BAlq及びRD−2(質量比90:10):膜厚30nm
第4層:表4中に記載のHBL材料:膜厚5nm
第5層:ET−4:膜厚45nm
【0304】
【表4】

【0305】
(実施例5)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表5に示す。
第1層:HAT−CN:膜厚10nm
第2層:NPD:膜厚115nm
第3層:HT−3:膜厚5nm
第4層:H−2及びFirpic(質量比90:10):膜厚30nm
第5層:表5中に記載のHBL材料:膜厚5nm
第6層:ET−5:膜厚25nm
【0306】
【表5】

【0307】
(実施例6)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表6に示す。
第1層:2−TNATA及びF−TCNQ(質量比99.7:0.3) :膜厚120nm
第2層:NPD:膜厚7nm
第3層:HT−3:膜厚3nm
第4層:H−3及びBD−1(質量比85:15):膜厚30nm
第5層:表6中に記載のHBL材料:膜厚5nm
第6層:BAlq:膜厚25nm
【0308】
【表6】

【0309】
(実施例7)
厚み0.5mm、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上にPEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))/PSS(ポリスチレンスルホン酸)水溶液(BaytronP(標準品))をスピンコート(4000rpm、60秒間)し、120℃で10分間乾燥することにより、膜厚約50nmのホール注入輸送層を形成させた。
次いで、表7中に記載のホスト材料を1質量%、及びGD−1を0.05質量%含有するトルエン溶液を先のバッファ層(ホール注入輸送層)上にスピンコート(1000rpm、60秒間)し、膜厚約50nmの発光層を形成させた。
この発光層に膜厚約45nmのET−4を真空蒸着法により成膜して電子注入輸送層とし、更にフッ化リチウム0.1nm及び金属アルミニウムを100nmをこの順に蒸着し陰極とした。
この積層体を、大気に触れさせること無く、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ガラス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、有機電界発光素子7−1〜7−3、比較素子7−1〜7−2を得た。
【0310】
【表7】

【0311】
以上の結果より、本発明の一般式(1)で表される化合物を用いた素子は、効率が高く、駆動電圧が低く、耐久性に優れ、かつ高温保管後の効率も高い。
【0312】
実施例、及び比較例で使用した化合物を以下に示す。
【0313】
【化68】

【0314】
【化69】

【0315】
【化70】

【符号の説明】
【0316】
2・・・基板
3・・・陽極
4・・・正孔注入層
5・・・正孔輸送層
6・・・発光層
7・・・正孔ブロック層
8・・・電子輸送層
9・・・陰極
10・・・有機電界発光素子
11・・・有機層
12・・・保護層
14・・・接着層
16・・・封止容器
20・・・発光装置
30・・・光散乱部材
31・・・透明基板
30A・・・光入射面
30B・・・光出射面
32・・・微粒子
40・・・照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有する有機電界発光素子であって、前記有機層のうち少なくとも一層に下記一般式(1)で表される化合物を含有する有機電界発光素子。
【化1】

(一般式(1)中、RS1は下記一般式(S1)で表される基を表す。
【化2】

、X、X、及びXは各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。
は単結合、又は単環のみからなる芳香族炭化水素環と単環のみからなる芳香族複素環とからなる群より選ばれる少なくとも1つの環から構成される連結基を表す。該連結基は下記置換基群Wから選ばれる置換基を有してもよい。
はsp炭素原子を含む5員又は6員環と、単環のみからなる芳香族炭化水素環及び単環のみからなる芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの環とが縮合した縮合環から1つの水素原子を除して得られる1価の基を表す。該1価の基は下記置換基群Wから選ばれる置換基を有してもよい。
、R、及びRは各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シアノ基、ハロゲン原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基を表す。R、R、及びRは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよいが、R及びRがともにRS1と同一の構造を有する基になることはない。a1及びb1は各々独立に0〜4の整数を表す。c1は0〜3の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。d1は0〜4の整数を表す。
置換基群W:アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
【請求項2】
前記Aにおける縮合環が下記一般式(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)、又は(A−5)で表される、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化3】

(一般式(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)、及び(A−5)中、
、X、X、X、X、X、X、及びXは各々独立にC(Rb25)又は窒素原子を表す。
、Y、Y、Y、及びYは各々独立にC(Ra15)(Ra16)、酸素原子、硫黄原子、N(Ra17)、Si(Ra18)(Ra19)、C=O、P(=O)(Rb26)、又はS(=O)を表す。
Ra〜Ra19は各々独立に水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Rb〜Rb26は各々独立に水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。
Ra〜Ra19及びRb〜Rb26のうち隣り合う2つが結合してsp炭素原子を有する環を形成してもよい。
置換基群W:アルキル基、単環のみからなるアリール基、及びこれらに下記置換基群Wから選ばれる置換基が結合した基
置換基群W:アルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
【請求項3】
前記Lが下記一般式(L−1)で表される、請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
【化4】

(一般式(L−1)中、XはC(Rb27)又は窒素原子を表す。Rは下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合互いに同じでも異なっていてもよい。Rb27は水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rb27は複数存在する場合互いに同じでも異なっていてもよい。L1は0〜4の整数を表す。L2は0〜3の整数を表す。L2が0の場合、一般式(L−1)は単結合を表す。*は結合部位を表す。
置換基群W:アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記一般式(1)におけるAで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
【請求項4】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)又は(3)で表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【化5】

(一般式(2)中、RS2は下記一般式(S2)で表される基を表す。
【化6】

、R、及びRは各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。R、R、及びRは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよいが、R及びRがともにRS2と同一の構造を有する基になることはない。a1及びb1は各々独立に0〜4の整数を表す。c1は0〜3の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。d1は0〜4の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合互いに同じでも異なっていてもよい。L1は0〜4の整数を表す。
L2は0〜3の整数を表す。
Ra及びRaは各々独立に水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Ra及びRaは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。b2は0〜4の整数を表す。b3は0〜3の整数を表す。
n2は1又は2を表す。
Ra、Ra及びRのうち隣り合う2つが結合してsp炭素原子を有する環を形成してもよい。
置換基群W:アルキル基、単環のみからなるアリール基、及びこれらに下記置換基群Wから選ばれる置換基が結合した基
置換基群W:アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記Aで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
【化7】

(一般式(3)中、RS3は下記一般式(S3)で表される基を表す。
【化8】

、R、及びRは各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。R、R、及びRは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよいが、R及びRがともにRS3と同一の構造を有する基になることはない。a1及びb1は各々独立に0〜4の整数を表す。c1は0〜3の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。d1は0〜4の整数を表す。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合互いに同じでも異なっていてもよい。L1は0〜4の整数を表す。
L2は0〜3の整数を表す。
Raは水素原子又は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Raは互いに同じでも異なっていてもよい。
は下記置換基群Wから選ばれる置換基を表す。Rは複数存在する場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。b3は0〜3の整数を表す。
n3は1又は2を表す。
Ra及びRのうち隣り合う2つが結合してsp炭素原子を有する環を形成してもよい。
置換基群W:アルキル基、単環のみからなるアリール基、及びこれらに下記置換基群Wから選ばれる置換基が結合した基
置換基群W:アルキル基、シクロアルキル基、単環のみからなるアリール基、単環のみからなるヘテロアリール基、シリル基、シアノ基、フッ素原子、前記一般式(1)におけるAで表される縮合環基、及びこれらを組み合わせて得られる基)
【請求項5】
前記発光層に少なくとも1種の燐光発光材料を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記燐光発光材料が下記一般式(E−1)で表される、請求項5に記載の有機電界発光素子。
【化9】

(一般式(E−1)中、Z及びZはそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。
はZと窒素原子と共に5又は6員のヘテロ環を形成する原子群を表す。
はZと炭素原子と共に5又は6員環を形成する原子群を表す。
(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。
E1は1〜3の整数を表す。)
【請求項7】
前記一般式(E−1)で表される燐光発光材料が下記一般式(E−2)で表される、請求項6に記載の有機電界発光素子。
【化10】

(一般式(E−2)中、AE1〜AE8はそれぞれ独立に、窒素原子又はC−Rを表す。
は水素原子又は置換基を表す。
(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。
E2は1〜3の整数を表す。)
【請求項8】
前記一般式(1)で表される化合物を発光層に含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
前記一般式(1)で表される化合物を、正孔ブロック層に含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
少なくとも一層の有機層が溶液塗布法により成膜して作製された、請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項11】
前記一般式(1)で表される化合物を含む有機層が溶液塗布法により成膜して作製された、請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
【請求項15】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の前記一般式(1)、(2)、又は(3)で表される電荷輸送材料。
【請求項16】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の前記一般式(1)、(2)、又は(3)で表される化合物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−59904(P2012−59904A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201488(P2010−201488)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】