有機EL発光モジュールおよび光プリンタ
【課題】印刷の高精細化を図りつつ、信号電極線の増加を抑制し駆動制御手段への機能負担を軽減することが可能な有機EL発光モジュールを提供すること。
【解決手段】それぞれの主走査方向Xに延びる部分21Ra〜22Baが副走査方向Yに並び、各色用に複数ずつ設けられた走査電極線2と、それぞれの副走査方向Yに延びる部分が複数の走査電極線2と交差するように主走査方向Xに並んだ複数の信号電極線3と、複数の走査電極線2と、複数の信号電極線3との交差部分においてこれらに挟まれた有機層からなる複数ずつの各色用の発光部4と、複数の走査電極線2と複数の信号電極線3とを介して複数ずつの各色用の発光部4を発光駆動させる信号駆動IC71および走査駆動IC72を備えており、各色用の複数の発光部4は、互いの主走査方向Xにおける位置が一定ピッチを隔てて異なり、かつ、各色用の複数の走査電極線2に沿って複数列をなす配置とされている。
【解決手段】それぞれの主走査方向Xに延びる部分21Ra〜22Baが副走査方向Yに並び、各色用に複数ずつ設けられた走査電極線2と、それぞれの副走査方向Yに延びる部分が複数の走査電極線2と交差するように主走査方向Xに並んだ複数の信号電極線3と、複数の走査電極線2と、複数の信号電極線3との交差部分においてこれらに挟まれた有機層からなる複数ずつの各色用の発光部4と、複数の走査電極線2と複数の信号電極線3とを介して複数ずつの各色用の発光部4を発光駆動させる信号駆動IC71および走査駆動IC72を備えており、各色用の複数の発光部4は、互いの主走査方向Xにおける位置が一定ピッチを隔てて異なり、かつ、各色用の複数の走査電極線2に沿って複数列をなす配置とされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主走査方向に配列された複数の発光部を備えた有機EL発光モジュールおよびこれを用いた光プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の有機EL発光モジュールとしては、特許文献1に記載されたものがある。図13は、そのような有機EL発光モジュールの一例を示している。この有機EL発光モジュールMは、複数ずつの赤色、緑色、および青色用の発光部91を備えている。これらの発光部91は、主走査方向Xに延びる各色用の2本ずつの走査電極線92と、副走査方向Yに延びる複数の信号電極線93との交差部分において、これらに挟まれた有機層により構成されている。走査電極線92は、赤色、緑色、および青色用の一本ずつが一組とされて、副走査方向Yにおける上流側および下流側にその一組ずつが配置されている。同様に、複数の信号電極線93は、走査電極線92の各組と交差するように副走査方向Yに離間する2組とされており、各組の信号電極線93が主走査方向Xにおいて一定ピッチで配列されている。これらにより、各色ごとの発光部91は、主走査方向Xにおいて2列の千鳥状に配列されている。
【0003】
有機EL発光モジュールMは、たとえば光プリンタ(図示略)において感光フィルム(図示略)を露光させるための露光手段として用いられるものであり、この場合有機EL発光モジュールMに対して副走査方向Yに移動させられる上記感光フィルムの各部を連続的に露光させるように使用される。つまり、上記感光フィルムの露光対象部分が副走査方向Yに進行してくると、発光部91の各列について所定の走査電極線92と信号電極線93とに選択的に通電することにより印刷画像に対応した発光部91を発光させる。この主走査方向Xにおける線状の露光を副走査方向Yにおいて連続的に行なうことにより、上記感光フィルムの露光面全面に印刷画像に対応した印刷ドット(図示略)が形成される。有機EL発光モジュールMによれば、各色用の複数の発光部91が千鳥状とされているために、各列における発光部91間のピッチを十分に小さくすることにより、上記印刷ドットを主走査方向Xにおいて隙間無く、あるいは重なり合うように配置することが可能であり、印刷の高精細化を図ることができる。
【0004】
しかしながら、2つの駆動制御手段94は、複数の発光部91および複数の走査電極線92を挟んで副走査方向Yに互いに離間して配置する必要がある。このため、この有機EL発光モジュールMは、副走査方向Yに大きいものとなってしまう。また、印刷の高精細化を図るほど、発光部91の個数および信号電極線93の本数が増える。信号電極線93の本数が増えると、これらの信号電極線93を介して発光部91の選択制御を行なう駆動制御手段94を多く備える必要がある。このように上記感光フィルムのサイズが同じであっても、印刷の高精細化が進められると、有機EL発光モジュールMの微細化だけでなく、上記駆動制御手段の個数増加あるいは高機能化が必要となっていたために、有機EL発光モジュールMの高コスト化を招来するという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2000−103114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、印刷の高精細化を図りつつ、信号電極線の本数が増加することを抑制し駆動制御手段への機能負担を軽減することが可能な有機EL発光モジュールを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面によって提供される有機EL発光モジュールは、それぞれの主走査方向に延びる部分が副走査方向に並び、各色用に複数ずつ設けられた走査電極線と、それぞれの副走査方向に延びる部分が上記複数の走査電極線と交差するように主走査方向に並んだ複数の信号電極線と、上記複数の走査電極線と、上記複数の信号電極線との交差部分においてこれらに挟まれた有機層からなる複数ずつの各色用の発光部と、上記複数の走査電極線と複数の信号電極線とを介して上記複数ずつの各色用の発光部を発光駆動させる駆動制御手段とを備えており、上記各色用の複数の発光部は、互いの主走査方向における位置が一定ピッチを隔てて異なり、かつ、各色用の複数の走査電極線に沿って複数列をなす配置とされている、有機EL発光モジュールであって、上記各信号電極線が、上記複数ずつの各色用の走査電極線のすべてと交差していることにより、上記各色用の走査電極線の本数と同数ずつの上記各色用の発光部が、上記各信号電極線に沿って配置されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、上記各信号電極線により各色ごとに複数の発光部に通電することが可能である。従来例においては、上記各色用の複数の発光部と同数の信号電極線を備える必要があった。本発明によれば、たとえば各色用に2本ずつの走査電極線を備える場合には、上記各信号電極線により各色用2つずつの発光部に通電することができる。これにより、上記複数の信号電極線の本数は、上記各色用の発光部の個数の1/2となり、従来例における本数の半分となる。これらの発光部を発光駆動させる上記駆動制御手段についても、その個数を従来例の半分とすることができる。したがって、上記発光部を微細化し、その個数を増やすことにより印刷の高精細化を図る場合においても、上記駆動制御手段の個数増加や機能負担の増大を抑制することが可能であり、低コスト化を図ることができる。また、上記駆動制御手段を上記有機発光モジュールの副走査方向一端寄りに配置することが可能であり、上記有機発光モジュールの小型化に有利である。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数ずつの各色用の走査電極線は、同色用のすべての走査電極線が互いに副走査方向において隣り合うように配置されている。このような構成によれば、各色用の有機層について、上記同色用の走査電極線すべてと重なるように一体的に形成することが可能であり、各走査電極線に対応して副走査方向に分割して形成する必要が無い。したがって、この有機EL発光モジュールの製造工程において、有機層の形成を容易化することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各信号電極線は、副走査方向において互いに隣り合う上記同色用の走査電極線と交差する部分どうしが、主走査方向において上記一定ピッチだけ互いにシフトした形状とされている。このような構成によれば、各信号電極線に沿って配置される同色用の複数の発光部は、主走査方向における位置が上記一定ピッチだけ互いに異なるものとなる。したがって、上記複数の信号電極線を主走査方向に配列することにより、上記複数ずつの各色用の発光部を主走査方向における位置が上記一定ピッチだけ異なるように適切に配置することが可能であり、この有機EL発光モジュールによる印刷ドットが不均一な配置となることなどを防止することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の走査電極線は、各組が各色用の走査電極線を一本ずつ含んだ複数組とされ、かつ、上記各組ごとに副走査方向に並んで配置されており、各信号電極線は、上記走査電極線の各組と交差する部分が、それぞれ副走査方向に延びる帯状とされている。このような構成によれば、上記各信号電極線は、折れ曲がった部分の少ない形状とすることが可能である。したがって、上記各信号電極線の製造を容易化し、その耐久性を高めるのに有利である。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の走査電極線および複数の発光部は、赤色用、緑色用、および青色用とされている。このような構成によれば、各印刷ドットの色調をバランスの良いものとすることが可能であり、印刷の高品質化に適している。
【0014】
本発明の第2の側面によって提供される光プリンタは、感光性記録媒体に画像を露光させる光プリンタであって、副走査方向に相対移動させられる上記感光性記録媒体に露光するための露光手段として、本発明の第1の側面により提供される有機EL発光モジュールが搭載されていることを特徴としている。このような構成によれば、印刷の高精細化を図りつつ、この光プリンタの低コスト化を図るのに有利である。
【0015】
本発明の第3の側面によって提供される有機EL発光モジュールの駆動方法は、それぞれの主走査方向に延びる部分が副走査方向に並び、各色用に複数ずつ設けられた走査電極線と、それぞれの副走査方向に延びる部分が上記複数の走査電極線と交差するように主走査方向に並んだ複数の信号電極線と、上記複数の走査電極線と上記複数の信号電極線との交差部分においてこれらに挟まれた有機層からなる複数ずつの各色用の発光部と、上記複数の走査電極線および複数の信号電極線を介して上記複数ずつの各色用の発光部を発光駆動させる駆動制御手段とを備えており、上記各色用の複数の発光部は、互いの主走査方向における位置が一定ピッチを隔てて異なり、かつ、各色用の複数の走査電極線に沿って複数列をなす配置とされた有機EL発光モジュールを使用する際に、副走査方向に相対移動させられる露光対象物に向けて、それぞれが主走査方向に並ぶ複数のドットからなる複数のドット列を副走査方向において複数列露光することにより、上記露光対象物上に複数のドットをマトリクス状に露光するように、上記露光対象物の副走査方向における位置に同期させて上記複数の発光部を発光駆動させる、有機EL発光モジュールの駆動方法であって、上記各信号電極線が、上記複数ずつの各色用の走査電極線のすべてと交差していることにより、上記各色用の走査電極線の本数と同数ずつの上記各色用の発光部が、上記各信号電極線に沿って配置されており、かつ、上記各ドット列を露光する際には、上記駆動制御手段により上記各信号電極線を介して各色ごとに複数の上記発光部を発光駆動させることを特徴としている。このような構成によれば、本発明の第1の側面によって提供される有機EL発光モジュールを用いて、高精細な印刷を適切に行うことができる。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
図1〜5は、本願発明に係る有機EL発光モジュールの一例を示している。図1および図2に良く表れているように、この有機EL発光モジュールA1は、基板1、複数の走査電極線2、複数の信号電極線3、複数の発光部4、および封止部6を備えている。なお、図2においては、封止部6が省略されている。
【0019】
基板1は、長矩形状の透明基板であり、たとえばガラス製である。基板1の長手方向が主走査方向Xであり、短手方向が副走査方向Yである。
【0020】
複数の走査電極線2は、赤色、緑色、および青色用の走査電極線21R,22R,21G,22G,21B,22Bからなり、各色用に2本ずつの合計6本とされている。複数の走査電極線2は、それぞれが主走査方向Xに延びる直線状部21Ra〜22Baを有しており、これらの直線状部21Ra〜22Baが副走査方向Yに並んだ配置とされている。本実施形態においては、副走査方向Yの上流側から赤色、緑色、および青色の順で配置された3本ずつの走査電極線21R,21G,21Bと走査電極線22R,22G,22Bとのそれぞれを一組として、2組の走査電極線21R〜22Bが副走査方向Yに並んで配置されている。走査電極線2は、アルミニウムなどの導体の蒸着およびエッチング処理により、あるいはマスクを用いて蒸着した後にマスクを除去することにより形成することができる。
【0021】
複数の信号電極線3は、それぞれ副走査方向Yに延びる部分を有しており、主走査方向Xに一定の間隔で配列されている。複数の信号電極線3は、たとえばITOなどを用いた蒸着やスパッタリングなどの公知の手法により、厚さが200〜500Åの透明導体膜を形成した後に、エッチング処理を施すことにより形成することができる。もちろん、複数の信号電極線3は、フォトリソグラフィの手法によりマスクを形成した後に蒸着やスパッタリングなどの手法により成膜し、マスクとともに不要部分を除去することにより形成してもよい。
【0022】
図3に良く表れているように、赤色、緑色、および青色用の走査電極線21R〜22Bと各信号電極線3との交差部分には、赤色、緑色、および青色用の発光部4R,4G,4Bが形成されている。各信号電極線3は、6本の走査電極線21R〜22Bのすべてと交差するような形状とされている。これにより、各信号電極線3に沿って各色2つずつの計6つの発光部4R,4G,4Bが形成されている。本実施形態は、主走査方向Xに480ドットの分解能で露光可能な有機EL発光モジュールA1とされており、各色について480個の発光部4R,4G,4Bが備えられている。複数の信号電極線3としては、複数の発光部4R,4G,4Bの個数の半分である240本が設けられている。
【0023】
各信号電極線3のうち、走査電極線21R,21G,21Bおよび走査電極線22R,22G,22Bと交差する部分は、副走査方向に延びる帯状部31,32とされている。帯状部31,32のそれぞれに沿って配置された赤色、緑色、および青色用の発光部4R,4G,4Bどうしは、主走査方向Xにおける位置が互いに等しいものとなっている。
【0024】
各信号電極線3には、帯状部31,32を連結するクランク状部33が形成されている。このことにより、帯状部31,32は、互いの主走査方向Xにおける位置が寸法Pだけ異なっている。このため、たとえば帯状部31に沿って配置された赤色用の発光部4Rと、帯状部32に沿って配置された赤色用の発光部4Rとは、主走査方向Xにおける位置が寸法Pだけ異なっている。これと同様に、緑色用および青色用の発光部4G,4Bについても、異なる帯状部31,32に沿って配置された同色用の発光部4G,4Bどうしは、走査方向Xにおける位置が寸法Pだけ異なる。
【0025】
また、複数の信号電極線3は、隣り合うものどうしの中心間位置が寸法2Pとなるように配置されている。これにより、たとえば、複数の赤色用の発光部4Rは、互いの主走査方向Xにおける位置が寸法Pだけ異なるように、2本の赤色用の走査電極線21R,22Rにそって千鳥状の配置とされている。複数ずつの緑色用および青色用の発光部4G,4Bも、同様の配置となっている。さらに、本実施形態においては、各信号電極線3の幅が寸法Pと同等か若干大きくされていることにより、各発光部4R,4G,4Bの主走査方向Xにおける幅は、ほぼ寸法Pとなっている。たとえば、一方の赤色用の走査電極線21Rに沿って配置された複数の赤色用の発光部4Rと、他方の赤色用の走査電極線22Rに沿って配置された複数の赤色用の発光部4Rとは、仮に副走査方向Yに平行移動させて互いを重ね合わせると、隣り合う赤色用の発光部4Rどうしの間に隙間を生じないような位置関係となっている。
【0026】
以上に説明した複数の発光部4R,4G,4Bは、図4および図5に良く表れているように、基板1上に、複数の信号電極線3、有機層5および複数の走査電極線2を積層することにより形成することができる。
【0027】
有機層5は、ホール注入層51、ホール輸送層52、発光層53、電子輸送層54および電子注入層55が積層された構成とされている。ホール注入層51およびホール輸送層52は、少なくとも複数の信号電極線3の帯状部31,32を覆うようにして、ホール注入層51およびホール輸送層52の順序で積層形成されている。ホール注入層51は、有機層5へのホール注入効率を向上させる役割を有するものであり、ホール輸送層52は、発光層53へのホールの移動を効率良く行うとともに、発光層53における電子とホールとの再結合効率を高める役割を有するものである。ホール注入層51およびホール輸送層52は、たとえば蒸着やスパッタリングを利用して、複数の走査電極線3の帯状部31,32を一括して覆うように成膜することにより形成することができる。ホール注入層51は、たとえば厚さが数〜10Åに、ホール輸送層52は、たとえば厚さが100〜1000Åに成膜される。もちろん、ホール注入層51およびホール輸送層52は、複数の信号電極線3を個別に覆うように、複数の直線状のものとして形成してもよい。ここで、ホール注入層51を構成する材料としては、たとえば銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン、芳香族アミン(TPAC、2Me−TPD、α−NPDなど)を用いることができる。一方、ホール輸送層52を構成する材料としては、たとえば1,1−ビス(4−ジ−p−アミノフェニル)シクロヘキサン、ガルバゾールおよびその誘導体、トリフェニルアミンおよびその誘導体を用いることができる。
【0028】
複数の発光層53は、赤色光発光層53R、緑色光発光層53Gおよび青色光発光層53Bからなる。これらの発光層53R,53G,53Bは、赤色、緑色、および青色用走査電極線21R〜22Bにおける直線状部21Ra〜22Baの直下領域において、直線状に延びるようにして形成されている。これらの発光層53R,53G,53Bは、発光物質を含んでおり、信号電極線3からのホールと走査電極線21R〜22Bからの電子との再結合により励起子を生成する場である。励起子は、発光層53R,53G,53Bを移動するが、その過程において発光物質が発光する。発光層53R,53G,53Bに含ませる発光物質の種類を選択することにより、赤色光発光層53R、緑色光発光層53G、および青色光発光層53Bのそれぞれが、赤色光、緑色光および青色光を自発光するように構成されている。発光層53R,53G,53Bは、たとえば赤色光発光層53R、緑色光発光層53G、青色光発光層53Bのそれぞれを、マスクを用いて個別に発光物質を蒸着することにより、厚さが100〜1000Åに形成される。発光物質としては、たとえばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体、ジトルイルビニルビフェニル、トリ(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム錯体(Eu(DBM)3(Phen))、およびフェニルピリジンイリジウム化合物などの蛍光またはりん光性発光物質を使用することができる。もちろん、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリアルキルチオフェン、ポリフルオレン、およびこれらの誘導体などのような高分子発光物質を用いてもよい。
【0029】
電子輸送層54および電子注入層55は、発光層53R,53G,53Bを覆うようにして、電子輸送層54、電子注入層55の順序で積層されている。電子注入層55は、有機層5への電子注入効率を向上させる役割を有するものであり、電子輸送層54は、発光層53R,53G,53Bへの電子の移動を効率良く行うとともに、発光層53R,53G,53Bにおける電子とホールとの再結合効率を高める役割を有するものである。電子輸送層54および電子注入層55は、たとえば蒸着により、複数の発光層53R,53G,53Bを一括して覆うように成膜することにより形成することができる。電子輸送層54は、たとえば厚さが100〜1000Åに、電子注入層55は、たとえば厚さが数〜10Åに形成される。電子輸送層54および電子注入層55を構成する材料としては、たとえばアントラキノジメタン、ジフェニルキノン、ペリレンテトラカルボン酸、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ベンズオキサゾール、およびこれらの誘導体を用いることができる。
【0030】
絶縁膜56は、信号電極線3と走査電極線2とが交差する領域であっても、それらの間に電位差が生じることを制限し、発光層53が不当に発光することを防ぐためのものである。絶縁膜56は、たとえばフォトリソグラフィの手法を利用して、信号電極線3の帯状部31,32に直交するようにして、厚みが、たとえば100〜1000Åに形成される。
【0031】
複数の発光部4R,4G,4Bは、封止部6により覆われている。封止部6は、ガラスなどの無機物により形成されている。封止部6を設ければ、発光部4R,4G,4Bを外力から保護することができる。また、無機物は有機物に比べて水分を吸収しにくいため、発光部4R,4G,4Bを無機物たる封止部6により覆えば、周囲環境から発光素子への水分の侵入が抑制される。
【0032】
図1および図2に良く表れているように、信号駆動IC71は、基板1の副走査方向Yの上流側において長手方向略中央に配置されており、各信号電極線3の一端部が接続されている。走査駆動IC72は、基板1の長手方向一端寄りに配置されており、走査電極線21R〜22Bそれぞれの一端部が接続されている。信号駆動IC71および走査駆動IC72は、フェイスダウン方式で基板1に面実装されている。
【0033】
図6は、有機EL発光モジュールA1が用いられた光プリンタPrを示している。この光プリンタPrは、有機EL発光モジュールA1、ケース81、およびロッドレンズアレイ82などからなるプリントヘッドHを備えており、感光性フィルムKに画像を露光させて印刷するものである。
【0034】
プリントヘッドHは、上部開口部81aおよび下部開口部81bを有するように樹脂成形により一体的に形成されたケース81を備えている。上部開口部81aと下部開口部81bとの間は、内部空間81cを介して連通している。この内部空間81cには、ロッドレンズアレイ82が嵌合保持されている。
【0035】
ロッドレンズアレイ82は、全体として棒状の形態を有しており、円柱状の貫通孔が長手方向に並ぶようにして複数設けられたホルダ82aに対して、各貫通孔内にロッドレンズ82bを嵌合保持させたものである。このロッドレンズアレイ82では、ロッドレンズ82bの下側端面から入射した光がその上側端面から一定距離隔てたところに正立等倍に結像する。
【0036】
ケース81の上部開口部81aには、透明カバー83が装着されている。透明カバー83は、たとえばガラスや樹脂により透明な板状の形態に形成されている。ロッドレンズアレイ82からの光は、透明カバー83上に結像するように透明カバー83とロッドレンズアレイ82の位置関係が設定されている。プラテンローラ85は、透明カバー83に接触するようにして配置されており、感光フィルムKを透明カバー83に密着させつつ搬送するためのものである。
【0037】
以上に説明した光プリンタPrでは、以下に説明する動作により感光フィルムKに画像が形成される。なお、感光フィルムKは、図面上には表れていないが、赤色光、緑色光、または青色光を照射することにより露光され、それを現像することにより画像が顕在化する感光層を有するものとして構成されている。
【0038】
図6に良く表れているように、プラテンローラ85の回転により感光フィルムKが透明カバー83に密着して副走査方向Yに搬送される。一方、有機EL発光モジュールA1では、信号駆動IC71から、印刷データ、クロックパルスあるいは電力が供給される。信号駆動IC71では、印刷データに応じて、発光部4R,4G,4Bに電力を供給するか否かが選択される。一方、赤色用走査電極線21R,22R、緑色用走査電極線21G,22G、青色用走査電極線21B,22Bは、走査駆動IC72により、これらの走査電極21R〜22Bのうちから電力供給すべきものが順次選択される。つまり、複数の赤色光発光部4R、複数の緑色光発光部4Gおよび青色光発光部4Bについて、それらが順次発光可能な状態が選択され、信号駆動IC71により選択された発光部4R,4G,4Bのみに電力が供給される。電力が供給された発光部4R,4G,4Bでは、信号電極線3からホールが供給される一方、走査電極線21R〜22Bから電子が供給されて、これらが発光層53R,53G,53Bにおいて再結合して、供給電力量に応じた輝度をもって、発光層53R,53G,53Bの発光物質に応じた色を発光する。
【0039】
発光層53R,53G,53Bからの光は、ロッドレンズアレイ82により透明カバー83の表面、つまり感光フィルムK上に主走査方向Xに延びる線状光として結像される。これにより、感光フィルムKでは、照射された光の輝度に応じた明度をもって各感光層が線状に露光される。このような光照射は、感光フィルムKの搬送に同期させて繰り返し行われる結果、感光フィルムKの全体が露光される。露光された感光フィルムKは、現像液を用いて現像することにより感光フィルムKに画像が形成される。
【0040】
ここで、感光フィルムKのうち主走査方向Xの1ライン分に相当する所定の露光対象領域に対する露光処理を、以下に説明する。
【0041】
図7は、複数の発光部4、複数の走査電極線2、複数の信号電極線3、信号駆動IC71、および走査駆動IC72を模式的に表したものである。上記露光対象領域が副走査方向Yに進行してくると、まず副走査方向Yの上流側に配置された赤色用の走査電極線21Rが走査駆動IC72により選択される。これと同時に、赤色用の走査電極線21Rに沿って形成された赤色用の発光部4Rが、信号駆動IC71により画像に応じた発光輝度もしくは発光時間で通電可能とされる。これらの赤色用の発光部4Rが発光駆動されることにより、上記露光対象領域には、主走査方向Xにおいて寸法2Pのピッチで並んだ複数の赤色の印刷ドットが露光される。
【0042】
次に、上記露光対象領域がさらに副走査方向Yに進行すると、緑色用の走査電極線21Gが走査駆動IC72により選択され、信号駆動IC71により緑色用の走査電極線21Gに沿って配置された緑色用の発光部4Gが発光駆動される。これにより、上記露光対象領域には、既に露光された複数の赤色の印刷ドットに重ねて複数の緑色の印刷ドットが露光される。
【0043】
そして、上記露光対象領域がさらに副走査方向Yに進行すると、青色用の走査電極線21Bが走査駆動IC72により選択されるとともに、信号駆動IC71により青色用の走査電極線21Bに沿って配置された青色用の発光部4Bが発光駆動される。これにより、上記露光対象領域には、既に露光された複数の赤色および緑色の印刷ドットと重ねて複数の青色の印刷ドットが露光される。これらにより、上記露光対象領域には、赤色、緑色、および青色の全色について露光された複数の印刷ドットが、副走査方向に寸法2Pで並んで配置される。
【0044】
赤色用、緑色用、および青色用の走査電極線21R,21G,21Bが選択されることにより、上記複数の印刷ドットの露光がなされた後は、赤色用、緑色用、および青色用の走査電極線22R,22G,22Bが順次選択されて、上記複数の印刷ドットと同数の複数の印刷ドットが、上記露光対象領域にさらに露光される。
【0045】
具体的には、上記露光対象領域が副走査方向Yにさらに進行すると、赤色用、緑色用、および青色用の走査電極線22R,22G,22Bが順次選択され、これらに沿って配置された赤色用、緑色用、および青色用の発光部4R,4G,4Bが順次発光駆動される。これにより、上記露光対象領域には、主走査方向Xにおいて寸法2Pのピッチで並んだ複数の印刷ドットがさらに露光される。ここで、各信号電極線3の帯状部31,32は、互いに主走査方向Xにおける位置が寸法Pだけ異なっている。また、隣り合う信号電極線3どうしの中心間距離は、寸法2Pとされている。したがって、後から露光された複数の印刷ドットは、既に露光された複数の印刷ドットの各隙間にはまり込むように配置されることとなる。以上の露光処理により、上記露光対象領域には、主走査方向Xにおいて寸法Pのピッチで並ぶ複数の印刷ドットからなる印刷ドット列が露光される。
【0046】
図8は、上述した1ライン分の露光対象領域に対する上記印刷ドット列の露光処理における信号電極線3、走査電極線21R〜22Bの通電状態を、時系列に表している。上述したように、上記印刷ドット列を露光する際には、走査電極線21R〜22Bが、各1回ずつ選択されて、相対的に低電位とされる。これらの走査電極線21R〜22Bが選択されるごとに、各信号電極線3により対応する発光部4R〜4Bが相対的に高電位とされて通電可能とされる。つまり、上記1ラインに相当する露光対象領域への露光処理においては、各信号電極線3により合計6回の発光駆動がなされる。本発明と異なり、従来例によれば、上記印刷ドット列の露光処理においては、2本の信号電極線によりそれぞれ3回の発光駆動がなされる。このように、本発明の有機EL発光モジュールA1は、複数の発光部4R,4G,4Bの発光駆動制御について、信号電極線3の使用方法が従来の例と異なっている。
【0047】
本実施形態によれば、複数の信号電極線3の本数を各色用の発光部4R,4G,4Bの個数の1/2とすることができるために、信号駆動IC71の機能負担を軽減することが可能である。たとえば、本実施形態においては、240本の信号電極線3を介して発光駆動可能な信号駆動IC71を1つだけ備えているが、本発明と異なり従来例のように各色用の発光部の個数と信号電極線の本数が同数となる構成においては、信号駆動IC71と同種の信号駆動ICが2つ必要となる。あるいは、信号駆動ICの個数を1つとするには、480個の発光部を発光駆動可能である高機能な信号駆動ICを採用することが必要となる。したがって、発光部4R,4G,4Bの個数を増やしつつ、信号駆動IC71の個数を抑制することが可能であり、印刷の高精細化と低コスト化とを図ることができる。また、信号駆動IC71と走査駆動IC72とを、基板1の副走査方向Yにおける一端寄りに配置することが可能であるために、有機EL発光モジュールA1は、小型化に適している。
【0048】
さらに、本実施形態においては、各信号電極線3は、2つの帯状部31,32とクランク状部33とを組み合わせて形成されていることにより、段差部などの少ない比較的単純な形状となっている。したがって、各信号電極線3の形状が不当に複雑化されることを防止し、信号電極線3を形成する際の煩雑化を抑制することや、使用時における耐久性の向上に有利である。
【0049】
図9〜図12は、本発明に係る有機EL発光モジュールの他の例を示している。なお、図9以降の図面においては、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0050】
図9に示した有機EL発光モジュールA2は、走査電極線21R〜22Bの副走査方向Yにおける配置および各信号電極線3の形状が、上記実施形態の有機EL発光モジュールA1と異なる。走査電極線21R〜22Bは、赤色用の走査電極線21R,22Rと緑色用の走査電極線21G,22Gと青色用の走査電極線21B,22Bのそれぞれが2本ずつ対となって副走査方向Yに並んで配置されている。各信号電極線3は、走査電極線21R〜22Bとの交差部分34が副走査方向Yにおいて千鳥状となる形状とされている。すなわち、交差部分34のうち副走査方向Yにおいて隣り合うものどうしは、主走査方向Xにおける位置が寸法Pだけ異なるように、各交差部分34どうしがクランク状部33により連結されている。このことにより、各信号電極線3に沿って配置された発光部4R,4G,4Bも、副走査方向Yにおいて千鳥状に配列されている。
【0051】
このような実施形態においても、複数の信号電極線3の本数を従来の例と比較して1/2とすることができる。また、本実施形態においては、たとえば、赤色発光層を2本の赤色用の走査電極線21R,22Rを覆うように一体的に形成することが可能である。したがって、各色の発光層の形成が容易となり、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0052】
図10に示した有機EL発光モジュールA3においては、各信号電極線3の交差部分34の位置が、主走査方向Xにおいて同じ側に寸法Pずつだけ異なる形状とされている。信号電極線3を合理的に配置し、発光駆動における信号処理の複雑化を回避するためには、信号電極線3の形状を上記実施形態の有機EL発光モジュールA1,A2における形状とすることが好ましいが、信号電極線3を本実施形態のような形状としても、信号電極線3の本数を削減する効果を発揮することが可能である。
【0053】
図11に示した有機EL発光モジュールA4においては、各色用の走査電極線21R〜23Bが3本ずつ備えられている点が、上述した実施形態と異なる。各信号電極線3が、合計9本の走査電極線21R〜23Bのすべてと交差していることにより、各信号電極線3に沿って各色ごとに3個ずつの発光部4R,4G,4Bが配置されている。また、複数の信号電極線3は、隣り合うものどうしの中心間距離が寸法3Pとなる配置とされている。このような実施形態によれば、たとえば、主走査方向Xについて480ドットの分解能を実現するために各色用の発光部4R,4G,4Bを480個ずつ有する場合に、信号電極線3の本数を各色用の発光部4R,4G,4Bの個数の1/3にあたる160本とすることができる。したがって、信号駆動ICの機能負担をさらに軽減して低コスト化を図るのに適している。
【0054】
図12に示した有機EL発光モジュールA5においては、各色用の発光部4R,4G,4Bの主走査方向Xにおける幅が、寸法Pよりも大きい寸法P’とされている点が上記実施形態の有機EL発光モジュールA1と異なる。すなわち、各色用の発光部4R,4G,4Bは、互いの主走査方向Xにおける位置が寸法Pだけ異なる配置とされているが、各色用の発光部4R,4G,4Bの幅が寸法Pよりも大きい寸法P’であるために、主走査方向Xに並んでライン状に露光される印刷ドットどうしは、互いに重なり合うような配置とされる。これにより、たとえば、発光部4R,4G,4Bのサイズや位置に製造上の誤差が生じた場合においても、隣り合う印刷ドット間に隙間が生じにくいものとすることができる。
【0055】
本発明に係る有機EL発光モジュールは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る有機EL発光モジュールの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0056】
副走査方向における各色用の走査電極線の配置順序は、上記本実施形態に限定されない。各信号電極線の形状についても、複数ずつの各色用の発光部を合理的に配置することにより、主走査方向に並んだ印刷ドットを適切に露光可能な形状であればよい。信号駆動ICを1つだけ備えた構成に限定されず、複数の信号駆動ICを主走査方向に並列に配置することによりさらに多数の発光部を発光駆動可能な構成としても良い。
【0057】
有機EL発光モジュールは、透明基板を備えた下面発光構造に限定されず、上面発光構造であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る有機EL発光モジュールの一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る有機EL発光モジュールの一例を示す要部平面図である。
【図3】本発明に係る有機EL発光モジュールの一例を示す要部平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う要部断面図である。
【図5】図3のV−V線に沿う要部断面図である。
【図6】本発明に係る光プリンタの一例を示す要部断面図である。
【図7】本発明に係る有機EL発光モジュールの発光駆動を説明するための模式図である。
【図8】本発明に係る有機EL発光モジュールの発光駆動を説明するための概念図である。
【図9】本発明に係る有機EL発光モジュールの他の例を示す要部平面図である。
【図10】本発明に係る有機EL発光モジュールの他の例を示す要部平面図である。
【図11】本発明に係る有機EL発光モジュールの他の例を示す要部平面図である。
【図12】本発明に係る有機EL発光モジュールの他の例を示す要部平面図である。
【図13】従来の有機EL発光モジュールの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0059】
A1,A2,A3,A4,A5 有機EL発光モジュール
H プリントヘッド
K 感光性フィルム
Pr 光プリンタ
X 主走査方向
Y 副走査方向
1 基板
2 走査電極線
3 信号電極線
4 発光部
4R 赤色用の発光部
4G 緑色用の発光部
4B 青色用の発光部
5 有機層
21R,22R 赤色用の走査電極線
21G,22G 緑色用の走査電極線
21B,22B 青色用の走査電極線
21Ra,22Ra,21Ga,22Ga,21Ba,22Ba 直線状部
31,32 帯状部
33 クランク状部
71 信号駆動IC(駆動制御手段)
72 走査駆動IC(駆動制御手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、主走査方向に配列された複数の発光部を備えた有機EL発光モジュールおよびこれを用いた光プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の有機EL発光モジュールとしては、特許文献1に記載されたものがある。図13は、そのような有機EL発光モジュールの一例を示している。この有機EL発光モジュールMは、複数ずつの赤色、緑色、および青色用の発光部91を備えている。これらの発光部91は、主走査方向Xに延びる各色用の2本ずつの走査電極線92と、副走査方向Yに延びる複数の信号電極線93との交差部分において、これらに挟まれた有機層により構成されている。走査電極線92は、赤色、緑色、および青色用の一本ずつが一組とされて、副走査方向Yにおける上流側および下流側にその一組ずつが配置されている。同様に、複数の信号電極線93は、走査電極線92の各組と交差するように副走査方向Yに離間する2組とされており、各組の信号電極線93が主走査方向Xにおいて一定ピッチで配列されている。これらにより、各色ごとの発光部91は、主走査方向Xにおいて2列の千鳥状に配列されている。
【0003】
有機EL発光モジュールMは、たとえば光プリンタ(図示略)において感光フィルム(図示略)を露光させるための露光手段として用いられるものであり、この場合有機EL発光モジュールMに対して副走査方向Yに移動させられる上記感光フィルムの各部を連続的に露光させるように使用される。つまり、上記感光フィルムの露光対象部分が副走査方向Yに進行してくると、発光部91の各列について所定の走査電極線92と信号電極線93とに選択的に通電することにより印刷画像に対応した発光部91を発光させる。この主走査方向Xにおける線状の露光を副走査方向Yにおいて連続的に行なうことにより、上記感光フィルムの露光面全面に印刷画像に対応した印刷ドット(図示略)が形成される。有機EL発光モジュールMによれば、各色用の複数の発光部91が千鳥状とされているために、各列における発光部91間のピッチを十分に小さくすることにより、上記印刷ドットを主走査方向Xにおいて隙間無く、あるいは重なり合うように配置することが可能であり、印刷の高精細化を図ることができる。
【0004】
しかしながら、2つの駆動制御手段94は、複数の発光部91および複数の走査電極線92を挟んで副走査方向Yに互いに離間して配置する必要がある。このため、この有機EL発光モジュールMは、副走査方向Yに大きいものとなってしまう。また、印刷の高精細化を図るほど、発光部91の個数および信号電極線93の本数が増える。信号電極線93の本数が増えると、これらの信号電極線93を介して発光部91の選択制御を行なう駆動制御手段94を多く備える必要がある。このように上記感光フィルムのサイズが同じであっても、印刷の高精細化が進められると、有機EL発光モジュールMの微細化だけでなく、上記駆動制御手段の個数増加あるいは高機能化が必要となっていたために、有機EL発光モジュールMの高コスト化を招来するという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2000−103114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、印刷の高精細化を図りつつ、信号電極線の本数が増加することを抑制し駆動制御手段への機能負担を軽減することが可能な有機EL発光モジュールを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面によって提供される有機EL発光モジュールは、それぞれの主走査方向に延びる部分が副走査方向に並び、各色用に複数ずつ設けられた走査電極線と、それぞれの副走査方向に延びる部分が上記複数の走査電極線と交差するように主走査方向に並んだ複数の信号電極線と、上記複数の走査電極線と、上記複数の信号電極線との交差部分においてこれらに挟まれた有機層からなる複数ずつの各色用の発光部と、上記複数の走査電極線と複数の信号電極線とを介して上記複数ずつの各色用の発光部を発光駆動させる駆動制御手段とを備えており、上記各色用の複数の発光部は、互いの主走査方向における位置が一定ピッチを隔てて異なり、かつ、各色用の複数の走査電極線に沿って複数列をなす配置とされている、有機EL発光モジュールであって、上記各信号電極線が、上記複数ずつの各色用の走査電極線のすべてと交差していることにより、上記各色用の走査電極線の本数と同数ずつの上記各色用の発光部が、上記各信号電極線に沿って配置されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、上記各信号電極線により各色ごとに複数の発光部に通電することが可能である。従来例においては、上記各色用の複数の発光部と同数の信号電極線を備える必要があった。本発明によれば、たとえば各色用に2本ずつの走査電極線を備える場合には、上記各信号電極線により各色用2つずつの発光部に通電することができる。これにより、上記複数の信号電極線の本数は、上記各色用の発光部の個数の1/2となり、従来例における本数の半分となる。これらの発光部を発光駆動させる上記駆動制御手段についても、その個数を従来例の半分とすることができる。したがって、上記発光部を微細化し、その個数を増やすことにより印刷の高精細化を図る場合においても、上記駆動制御手段の個数増加や機能負担の増大を抑制することが可能であり、低コスト化を図ることができる。また、上記駆動制御手段を上記有機発光モジュールの副走査方向一端寄りに配置することが可能であり、上記有機発光モジュールの小型化に有利である。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数ずつの各色用の走査電極線は、同色用のすべての走査電極線が互いに副走査方向において隣り合うように配置されている。このような構成によれば、各色用の有機層について、上記同色用の走査電極線すべてと重なるように一体的に形成することが可能であり、各走査電極線に対応して副走査方向に分割して形成する必要が無い。したがって、この有機EL発光モジュールの製造工程において、有機層の形成を容易化することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各信号電極線は、副走査方向において互いに隣り合う上記同色用の走査電極線と交差する部分どうしが、主走査方向において上記一定ピッチだけ互いにシフトした形状とされている。このような構成によれば、各信号電極線に沿って配置される同色用の複数の発光部は、主走査方向における位置が上記一定ピッチだけ互いに異なるものとなる。したがって、上記複数の信号電極線を主走査方向に配列することにより、上記複数ずつの各色用の発光部を主走査方向における位置が上記一定ピッチだけ異なるように適切に配置することが可能であり、この有機EL発光モジュールによる印刷ドットが不均一な配置となることなどを防止することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の走査電極線は、各組が各色用の走査電極線を一本ずつ含んだ複数組とされ、かつ、上記各組ごとに副走査方向に並んで配置されており、各信号電極線は、上記走査電極線の各組と交差する部分が、それぞれ副走査方向に延びる帯状とされている。このような構成によれば、上記各信号電極線は、折れ曲がった部分の少ない形状とすることが可能である。したがって、上記各信号電極線の製造を容易化し、その耐久性を高めるのに有利である。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の走査電極線および複数の発光部は、赤色用、緑色用、および青色用とされている。このような構成によれば、各印刷ドットの色調をバランスの良いものとすることが可能であり、印刷の高品質化に適している。
【0014】
本発明の第2の側面によって提供される光プリンタは、感光性記録媒体に画像を露光させる光プリンタであって、副走査方向に相対移動させられる上記感光性記録媒体に露光するための露光手段として、本発明の第1の側面により提供される有機EL発光モジュールが搭載されていることを特徴としている。このような構成によれば、印刷の高精細化を図りつつ、この光プリンタの低コスト化を図るのに有利である。
【0015】
本発明の第3の側面によって提供される有機EL発光モジュールの駆動方法は、それぞれの主走査方向に延びる部分が副走査方向に並び、各色用に複数ずつ設けられた走査電極線と、それぞれの副走査方向に延びる部分が上記複数の走査電極線と交差するように主走査方向に並んだ複数の信号電極線と、上記複数の走査電極線と上記複数の信号電極線との交差部分においてこれらに挟まれた有機層からなる複数ずつの各色用の発光部と、上記複数の走査電極線および複数の信号電極線を介して上記複数ずつの各色用の発光部を発光駆動させる駆動制御手段とを備えており、上記各色用の複数の発光部は、互いの主走査方向における位置が一定ピッチを隔てて異なり、かつ、各色用の複数の走査電極線に沿って複数列をなす配置とされた有機EL発光モジュールを使用する際に、副走査方向に相対移動させられる露光対象物に向けて、それぞれが主走査方向に並ぶ複数のドットからなる複数のドット列を副走査方向において複数列露光することにより、上記露光対象物上に複数のドットをマトリクス状に露光するように、上記露光対象物の副走査方向における位置に同期させて上記複数の発光部を発光駆動させる、有機EL発光モジュールの駆動方法であって、上記各信号電極線が、上記複数ずつの各色用の走査電極線のすべてと交差していることにより、上記各色用の走査電極線の本数と同数ずつの上記各色用の発光部が、上記各信号電極線に沿って配置されており、かつ、上記各ドット列を露光する際には、上記駆動制御手段により上記各信号電極線を介して各色ごとに複数の上記発光部を発光駆動させることを特徴としている。このような構成によれば、本発明の第1の側面によって提供される有機EL発光モジュールを用いて、高精細な印刷を適切に行うことができる。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
図1〜5は、本願発明に係る有機EL発光モジュールの一例を示している。図1および図2に良く表れているように、この有機EL発光モジュールA1は、基板1、複数の走査電極線2、複数の信号電極線3、複数の発光部4、および封止部6を備えている。なお、図2においては、封止部6が省略されている。
【0019】
基板1は、長矩形状の透明基板であり、たとえばガラス製である。基板1の長手方向が主走査方向Xであり、短手方向が副走査方向Yである。
【0020】
複数の走査電極線2は、赤色、緑色、および青色用の走査電極線21R,22R,21G,22G,21B,22Bからなり、各色用に2本ずつの合計6本とされている。複数の走査電極線2は、それぞれが主走査方向Xに延びる直線状部21Ra〜22Baを有しており、これらの直線状部21Ra〜22Baが副走査方向Yに並んだ配置とされている。本実施形態においては、副走査方向Yの上流側から赤色、緑色、および青色の順で配置された3本ずつの走査電極線21R,21G,21Bと走査電極線22R,22G,22Bとのそれぞれを一組として、2組の走査電極線21R〜22Bが副走査方向Yに並んで配置されている。走査電極線2は、アルミニウムなどの導体の蒸着およびエッチング処理により、あるいはマスクを用いて蒸着した後にマスクを除去することにより形成することができる。
【0021】
複数の信号電極線3は、それぞれ副走査方向Yに延びる部分を有しており、主走査方向Xに一定の間隔で配列されている。複数の信号電極線3は、たとえばITOなどを用いた蒸着やスパッタリングなどの公知の手法により、厚さが200〜500Åの透明導体膜を形成した後に、エッチング処理を施すことにより形成することができる。もちろん、複数の信号電極線3は、フォトリソグラフィの手法によりマスクを形成した後に蒸着やスパッタリングなどの手法により成膜し、マスクとともに不要部分を除去することにより形成してもよい。
【0022】
図3に良く表れているように、赤色、緑色、および青色用の走査電極線21R〜22Bと各信号電極線3との交差部分には、赤色、緑色、および青色用の発光部4R,4G,4Bが形成されている。各信号電極線3は、6本の走査電極線21R〜22Bのすべてと交差するような形状とされている。これにより、各信号電極線3に沿って各色2つずつの計6つの発光部4R,4G,4Bが形成されている。本実施形態は、主走査方向Xに480ドットの分解能で露光可能な有機EL発光モジュールA1とされており、各色について480個の発光部4R,4G,4Bが備えられている。複数の信号電極線3としては、複数の発光部4R,4G,4Bの個数の半分である240本が設けられている。
【0023】
各信号電極線3のうち、走査電極線21R,21G,21Bおよび走査電極線22R,22G,22Bと交差する部分は、副走査方向に延びる帯状部31,32とされている。帯状部31,32のそれぞれに沿って配置された赤色、緑色、および青色用の発光部4R,4G,4Bどうしは、主走査方向Xにおける位置が互いに等しいものとなっている。
【0024】
各信号電極線3には、帯状部31,32を連結するクランク状部33が形成されている。このことにより、帯状部31,32は、互いの主走査方向Xにおける位置が寸法Pだけ異なっている。このため、たとえば帯状部31に沿って配置された赤色用の発光部4Rと、帯状部32に沿って配置された赤色用の発光部4Rとは、主走査方向Xにおける位置が寸法Pだけ異なっている。これと同様に、緑色用および青色用の発光部4G,4Bについても、異なる帯状部31,32に沿って配置された同色用の発光部4G,4Bどうしは、走査方向Xにおける位置が寸法Pだけ異なる。
【0025】
また、複数の信号電極線3は、隣り合うものどうしの中心間位置が寸法2Pとなるように配置されている。これにより、たとえば、複数の赤色用の発光部4Rは、互いの主走査方向Xにおける位置が寸法Pだけ異なるように、2本の赤色用の走査電極線21R,22Rにそって千鳥状の配置とされている。複数ずつの緑色用および青色用の発光部4G,4Bも、同様の配置となっている。さらに、本実施形態においては、各信号電極線3の幅が寸法Pと同等か若干大きくされていることにより、各発光部4R,4G,4Bの主走査方向Xにおける幅は、ほぼ寸法Pとなっている。たとえば、一方の赤色用の走査電極線21Rに沿って配置された複数の赤色用の発光部4Rと、他方の赤色用の走査電極線22Rに沿って配置された複数の赤色用の発光部4Rとは、仮に副走査方向Yに平行移動させて互いを重ね合わせると、隣り合う赤色用の発光部4Rどうしの間に隙間を生じないような位置関係となっている。
【0026】
以上に説明した複数の発光部4R,4G,4Bは、図4および図5に良く表れているように、基板1上に、複数の信号電極線3、有機層5および複数の走査電極線2を積層することにより形成することができる。
【0027】
有機層5は、ホール注入層51、ホール輸送層52、発光層53、電子輸送層54および電子注入層55が積層された構成とされている。ホール注入層51およびホール輸送層52は、少なくとも複数の信号電極線3の帯状部31,32を覆うようにして、ホール注入層51およびホール輸送層52の順序で積層形成されている。ホール注入層51は、有機層5へのホール注入効率を向上させる役割を有するものであり、ホール輸送層52は、発光層53へのホールの移動を効率良く行うとともに、発光層53における電子とホールとの再結合効率を高める役割を有するものである。ホール注入層51およびホール輸送層52は、たとえば蒸着やスパッタリングを利用して、複数の走査電極線3の帯状部31,32を一括して覆うように成膜することにより形成することができる。ホール注入層51は、たとえば厚さが数〜10Åに、ホール輸送層52は、たとえば厚さが100〜1000Åに成膜される。もちろん、ホール注入層51およびホール輸送層52は、複数の信号電極線3を個別に覆うように、複数の直線状のものとして形成してもよい。ここで、ホール注入層51を構成する材料としては、たとえば銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン、芳香族アミン(TPAC、2Me−TPD、α−NPDなど)を用いることができる。一方、ホール輸送層52を構成する材料としては、たとえば1,1−ビス(4−ジ−p−アミノフェニル)シクロヘキサン、ガルバゾールおよびその誘導体、トリフェニルアミンおよびその誘導体を用いることができる。
【0028】
複数の発光層53は、赤色光発光層53R、緑色光発光層53Gおよび青色光発光層53Bからなる。これらの発光層53R,53G,53Bは、赤色、緑色、および青色用走査電極線21R〜22Bにおける直線状部21Ra〜22Baの直下領域において、直線状に延びるようにして形成されている。これらの発光層53R,53G,53Bは、発光物質を含んでおり、信号電極線3からのホールと走査電極線21R〜22Bからの電子との再結合により励起子を生成する場である。励起子は、発光層53R,53G,53Bを移動するが、その過程において発光物質が発光する。発光層53R,53G,53Bに含ませる発光物質の種類を選択することにより、赤色光発光層53R、緑色光発光層53G、および青色光発光層53Bのそれぞれが、赤色光、緑色光および青色光を自発光するように構成されている。発光層53R,53G,53Bは、たとえば赤色光発光層53R、緑色光発光層53G、青色光発光層53Bのそれぞれを、マスクを用いて個別に発光物質を蒸着することにより、厚さが100〜1000Åに形成される。発光物質としては、たとえばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体、ジトルイルビニルビフェニル、トリ(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム錯体(Eu(DBM)3(Phen))、およびフェニルピリジンイリジウム化合物などの蛍光またはりん光性発光物質を使用することができる。もちろん、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリアルキルチオフェン、ポリフルオレン、およびこれらの誘導体などのような高分子発光物質を用いてもよい。
【0029】
電子輸送層54および電子注入層55は、発光層53R,53G,53Bを覆うようにして、電子輸送層54、電子注入層55の順序で積層されている。電子注入層55は、有機層5への電子注入効率を向上させる役割を有するものであり、電子輸送層54は、発光層53R,53G,53Bへの電子の移動を効率良く行うとともに、発光層53R,53G,53Bにおける電子とホールとの再結合効率を高める役割を有するものである。電子輸送層54および電子注入層55は、たとえば蒸着により、複数の発光層53R,53G,53Bを一括して覆うように成膜することにより形成することができる。電子輸送層54は、たとえば厚さが100〜1000Åに、電子注入層55は、たとえば厚さが数〜10Åに形成される。電子輸送層54および電子注入層55を構成する材料としては、たとえばアントラキノジメタン、ジフェニルキノン、ペリレンテトラカルボン酸、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ベンズオキサゾール、およびこれらの誘導体を用いることができる。
【0030】
絶縁膜56は、信号電極線3と走査電極線2とが交差する領域であっても、それらの間に電位差が生じることを制限し、発光層53が不当に発光することを防ぐためのものである。絶縁膜56は、たとえばフォトリソグラフィの手法を利用して、信号電極線3の帯状部31,32に直交するようにして、厚みが、たとえば100〜1000Åに形成される。
【0031】
複数の発光部4R,4G,4Bは、封止部6により覆われている。封止部6は、ガラスなどの無機物により形成されている。封止部6を設ければ、発光部4R,4G,4Bを外力から保護することができる。また、無機物は有機物に比べて水分を吸収しにくいため、発光部4R,4G,4Bを無機物たる封止部6により覆えば、周囲環境から発光素子への水分の侵入が抑制される。
【0032】
図1および図2に良く表れているように、信号駆動IC71は、基板1の副走査方向Yの上流側において長手方向略中央に配置されており、各信号電極線3の一端部が接続されている。走査駆動IC72は、基板1の長手方向一端寄りに配置されており、走査電極線21R〜22Bそれぞれの一端部が接続されている。信号駆動IC71および走査駆動IC72は、フェイスダウン方式で基板1に面実装されている。
【0033】
図6は、有機EL発光モジュールA1が用いられた光プリンタPrを示している。この光プリンタPrは、有機EL発光モジュールA1、ケース81、およびロッドレンズアレイ82などからなるプリントヘッドHを備えており、感光性フィルムKに画像を露光させて印刷するものである。
【0034】
プリントヘッドHは、上部開口部81aおよび下部開口部81bを有するように樹脂成形により一体的に形成されたケース81を備えている。上部開口部81aと下部開口部81bとの間は、内部空間81cを介して連通している。この内部空間81cには、ロッドレンズアレイ82が嵌合保持されている。
【0035】
ロッドレンズアレイ82は、全体として棒状の形態を有しており、円柱状の貫通孔が長手方向に並ぶようにして複数設けられたホルダ82aに対して、各貫通孔内にロッドレンズ82bを嵌合保持させたものである。このロッドレンズアレイ82では、ロッドレンズ82bの下側端面から入射した光がその上側端面から一定距離隔てたところに正立等倍に結像する。
【0036】
ケース81の上部開口部81aには、透明カバー83が装着されている。透明カバー83は、たとえばガラスや樹脂により透明な板状の形態に形成されている。ロッドレンズアレイ82からの光は、透明カバー83上に結像するように透明カバー83とロッドレンズアレイ82の位置関係が設定されている。プラテンローラ85は、透明カバー83に接触するようにして配置されており、感光フィルムKを透明カバー83に密着させつつ搬送するためのものである。
【0037】
以上に説明した光プリンタPrでは、以下に説明する動作により感光フィルムKに画像が形成される。なお、感光フィルムKは、図面上には表れていないが、赤色光、緑色光、または青色光を照射することにより露光され、それを現像することにより画像が顕在化する感光層を有するものとして構成されている。
【0038】
図6に良く表れているように、プラテンローラ85の回転により感光フィルムKが透明カバー83に密着して副走査方向Yに搬送される。一方、有機EL発光モジュールA1では、信号駆動IC71から、印刷データ、クロックパルスあるいは電力が供給される。信号駆動IC71では、印刷データに応じて、発光部4R,4G,4Bに電力を供給するか否かが選択される。一方、赤色用走査電極線21R,22R、緑色用走査電極線21G,22G、青色用走査電極線21B,22Bは、走査駆動IC72により、これらの走査電極21R〜22Bのうちから電力供給すべきものが順次選択される。つまり、複数の赤色光発光部4R、複数の緑色光発光部4Gおよび青色光発光部4Bについて、それらが順次発光可能な状態が選択され、信号駆動IC71により選択された発光部4R,4G,4Bのみに電力が供給される。電力が供給された発光部4R,4G,4Bでは、信号電極線3からホールが供給される一方、走査電極線21R〜22Bから電子が供給されて、これらが発光層53R,53G,53Bにおいて再結合して、供給電力量に応じた輝度をもって、発光層53R,53G,53Bの発光物質に応じた色を発光する。
【0039】
発光層53R,53G,53Bからの光は、ロッドレンズアレイ82により透明カバー83の表面、つまり感光フィルムK上に主走査方向Xに延びる線状光として結像される。これにより、感光フィルムKでは、照射された光の輝度に応じた明度をもって各感光層が線状に露光される。このような光照射は、感光フィルムKの搬送に同期させて繰り返し行われる結果、感光フィルムKの全体が露光される。露光された感光フィルムKは、現像液を用いて現像することにより感光フィルムKに画像が形成される。
【0040】
ここで、感光フィルムKのうち主走査方向Xの1ライン分に相当する所定の露光対象領域に対する露光処理を、以下に説明する。
【0041】
図7は、複数の発光部4、複数の走査電極線2、複数の信号電極線3、信号駆動IC71、および走査駆動IC72を模式的に表したものである。上記露光対象領域が副走査方向Yに進行してくると、まず副走査方向Yの上流側に配置された赤色用の走査電極線21Rが走査駆動IC72により選択される。これと同時に、赤色用の走査電極線21Rに沿って形成された赤色用の発光部4Rが、信号駆動IC71により画像に応じた発光輝度もしくは発光時間で通電可能とされる。これらの赤色用の発光部4Rが発光駆動されることにより、上記露光対象領域には、主走査方向Xにおいて寸法2Pのピッチで並んだ複数の赤色の印刷ドットが露光される。
【0042】
次に、上記露光対象領域がさらに副走査方向Yに進行すると、緑色用の走査電極線21Gが走査駆動IC72により選択され、信号駆動IC71により緑色用の走査電極線21Gに沿って配置された緑色用の発光部4Gが発光駆動される。これにより、上記露光対象領域には、既に露光された複数の赤色の印刷ドットに重ねて複数の緑色の印刷ドットが露光される。
【0043】
そして、上記露光対象領域がさらに副走査方向Yに進行すると、青色用の走査電極線21Bが走査駆動IC72により選択されるとともに、信号駆動IC71により青色用の走査電極線21Bに沿って配置された青色用の発光部4Bが発光駆動される。これにより、上記露光対象領域には、既に露光された複数の赤色および緑色の印刷ドットと重ねて複数の青色の印刷ドットが露光される。これらにより、上記露光対象領域には、赤色、緑色、および青色の全色について露光された複数の印刷ドットが、副走査方向に寸法2Pで並んで配置される。
【0044】
赤色用、緑色用、および青色用の走査電極線21R,21G,21Bが選択されることにより、上記複数の印刷ドットの露光がなされた後は、赤色用、緑色用、および青色用の走査電極線22R,22G,22Bが順次選択されて、上記複数の印刷ドットと同数の複数の印刷ドットが、上記露光対象領域にさらに露光される。
【0045】
具体的には、上記露光対象領域が副走査方向Yにさらに進行すると、赤色用、緑色用、および青色用の走査電極線22R,22G,22Bが順次選択され、これらに沿って配置された赤色用、緑色用、および青色用の発光部4R,4G,4Bが順次発光駆動される。これにより、上記露光対象領域には、主走査方向Xにおいて寸法2Pのピッチで並んだ複数の印刷ドットがさらに露光される。ここで、各信号電極線3の帯状部31,32は、互いに主走査方向Xにおける位置が寸法Pだけ異なっている。また、隣り合う信号電極線3どうしの中心間距離は、寸法2Pとされている。したがって、後から露光された複数の印刷ドットは、既に露光された複数の印刷ドットの各隙間にはまり込むように配置されることとなる。以上の露光処理により、上記露光対象領域には、主走査方向Xにおいて寸法Pのピッチで並ぶ複数の印刷ドットからなる印刷ドット列が露光される。
【0046】
図8は、上述した1ライン分の露光対象領域に対する上記印刷ドット列の露光処理における信号電極線3、走査電極線21R〜22Bの通電状態を、時系列に表している。上述したように、上記印刷ドット列を露光する際には、走査電極線21R〜22Bが、各1回ずつ選択されて、相対的に低電位とされる。これらの走査電極線21R〜22Bが選択されるごとに、各信号電極線3により対応する発光部4R〜4Bが相対的に高電位とされて通電可能とされる。つまり、上記1ラインに相当する露光対象領域への露光処理においては、各信号電極線3により合計6回の発光駆動がなされる。本発明と異なり、従来例によれば、上記印刷ドット列の露光処理においては、2本の信号電極線によりそれぞれ3回の発光駆動がなされる。このように、本発明の有機EL発光モジュールA1は、複数の発光部4R,4G,4Bの発光駆動制御について、信号電極線3の使用方法が従来の例と異なっている。
【0047】
本実施形態によれば、複数の信号電極線3の本数を各色用の発光部4R,4G,4Bの個数の1/2とすることができるために、信号駆動IC71の機能負担を軽減することが可能である。たとえば、本実施形態においては、240本の信号電極線3を介して発光駆動可能な信号駆動IC71を1つだけ備えているが、本発明と異なり従来例のように各色用の発光部の個数と信号電極線の本数が同数となる構成においては、信号駆動IC71と同種の信号駆動ICが2つ必要となる。あるいは、信号駆動ICの個数を1つとするには、480個の発光部を発光駆動可能である高機能な信号駆動ICを採用することが必要となる。したがって、発光部4R,4G,4Bの個数を増やしつつ、信号駆動IC71の個数を抑制することが可能であり、印刷の高精細化と低コスト化とを図ることができる。また、信号駆動IC71と走査駆動IC72とを、基板1の副走査方向Yにおける一端寄りに配置することが可能であるために、有機EL発光モジュールA1は、小型化に適している。
【0048】
さらに、本実施形態においては、各信号電極線3は、2つの帯状部31,32とクランク状部33とを組み合わせて形成されていることにより、段差部などの少ない比較的単純な形状となっている。したがって、各信号電極線3の形状が不当に複雑化されることを防止し、信号電極線3を形成する際の煩雑化を抑制することや、使用時における耐久性の向上に有利である。
【0049】
図9〜図12は、本発明に係る有機EL発光モジュールの他の例を示している。なお、図9以降の図面においては、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0050】
図9に示した有機EL発光モジュールA2は、走査電極線21R〜22Bの副走査方向Yにおける配置および各信号電極線3の形状が、上記実施形態の有機EL発光モジュールA1と異なる。走査電極線21R〜22Bは、赤色用の走査電極線21R,22Rと緑色用の走査電極線21G,22Gと青色用の走査電極線21B,22Bのそれぞれが2本ずつ対となって副走査方向Yに並んで配置されている。各信号電極線3は、走査電極線21R〜22Bとの交差部分34が副走査方向Yにおいて千鳥状となる形状とされている。すなわち、交差部分34のうち副走査方向Yにおいて隣り合うものどうしは、主走査方向Xにおける位置が寸法Pだけ異なるように、各交差部分34どうしがクランク状部33により連結されている。このことにより、各信号電極線3に沿って配置された発光部4R,4G,4Bも、副走査方向Yにおいて千鳥状に配列されている。
【0051】
このような実施形態においても、複数の信号電極線3の本数を従来の例と比較して1/2とすることができる。また、本実施形態においては、たとえば、赤色発光層を2本の赤色用の走査電極線21R,22Rを覆うように一体的に形成することが可能である。したがって、各色の発光層の形成が容易となり、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0052】
図10に示した有機EL発光モジュールA3においては、各信号電極線3の交差部分34の位置が、主走査方向Xにおいて同じ側に寸法Pずつだけ異なる形状とされている。信号電極線3を合理的に配置し、発光駆動における信号処理の複雑化を回避するためには、信号電極線3の形状を上記実施形態の有機EL発光モジュールA1,A2における形状とすることが好ましいが、信号電極線3を本実施形態のような形状としても、信号電極線3の本数を削減する効果を発揮することが可能である。
【0053】
図11に示した有機EL発光モジュールA4においては、各色用の走査電極線21R〜23Bが3本ずつ備えられている点が、上述した実施形態と異なる。各信号電極線3が、合計9本の走査電極線21R〜23Bのすべてと交差していることにより、各信号電極線3に沿って各色ごとに3個ずつの発光部4R,4G,4Bが配置されている。また、複数の信号電極線3は、隣り合うものどうしの中心間距離が寸法3Pとなる配置とされている。このような実施形態によれば、たとえば、主走査方向Xについて480ドットの分解能を実現するために各色用の発光部4R,4G,4Bを480個ずつ有する場合に、信号電極線3の本数を各色用の発光部4R,4G,4Bの個数の1/3にあたる160本とすることができる。したがって、信号駆動ICの機能負担をさらに軽減して低コスト化を図るのに適している。
【0054】
図12に示した有機EL発光モジュールA5においては、各色用の発光部4R,4G,4Bの主走査方向Xにおける幅が、寸法Pよりも大きい寸法P’とされている点が上記実施形態の有機EL発光モジュールA1と異なる。すなわち、各色用の発光部4R,4G,4Bは、互いの主走査方向Xにおける位置が寸法Pだけ異なる配置とされているが、各色用の発光部4R,4G,4Bの幅が寸法Pよりも大きい寸法P’であるために、主走査方向Xに並んでライン状に露光される印刷ドットどうしは、互いに重なり合うような配置とされる。これにより、たとえば、発光部4R,4G,4Bのサイズや位置に製造上の誤差が生じた場合においても、隣り合う印刷ドット間に隙間が生じにくいものとすることができる。
【0055】
本発明に係る有機EL発光モジュールは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る有機EL発光モジュールの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0056】
副走査方向における各色用の走査電極線の配置順序は、上記本実施形態に限定されない。各信号電極線の形状についても、複数ずつの各色用の発光部を合理的に配置することにより、主走査方向に並んだ印刷ドットを適切に露光可能な形状であればよい。信号駆動ICを1つだけ備えた構成に限定されず、複数の信号駆動ICを主走査方向に並列に配置することによりさらに多数の発光部を発光駆動可能な構成としても良い。
【0057】
有機EL発光モジュールは、透明基板を備えた下面発光構造に限定されず、上面発光構造であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る有機EL発光モジュールの一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る有機EL発光モジュールの一例を示す要部平面図である。
【図3】本発明に係る有機EL発光モジュールの一例を示す要部平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う要部断面図である。
【図5】図3のV−V線に沿う要部断面図である。
【図6】本発明に係る光プリンタの一例を示す要部断面図である。
【図7】本発明に係る有機EL発光モジュールの発光駆動を説明するための模式図である。
【図8】本発明に係る有機EL発光モジュールの発光駆動を説明するための概念図である。
【図9】本発明に係る有機EL発光モジュールの他の例を示す要部平面図である。
【図10】本発明に係る有機EL発光モジュールの他の例を示す要部平面図である。
【図11】本発明に係る有機EL発光モジュールの他の例を示す要部平面図である。
【図12】本発明に係る有機EL発光モジュールの他の例を示す要部平面図である。
【図13】従来の有機EL発光モジュールの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0059】
A1,A2,A3,A4,A5 有機EL発光モジュール
H プリントヘッド
K 感光性フィルム
Pr 光プリンタ
X 主走査方向
Y 副走査方向
1 基板
2 走査電極線
3 信号電極線
4 発光部
4R 赤色用の発光部
4G 緑色用の発光部
4B 青色用の発光部
5 有機層
21R,22R 赤色用の走査電極線
21G,22G 緑色用の走査電極線
21B,22B 青色用の走査電極線
21Ra,22Ra,21Ga,22Ga,21Ba,22Ba 直線状部
31,32 帯状部
33 クランク状部
71 信号駆動IC(駆動制御手段)
72 走査駆動IC(駆動制御手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの主走査方向に延びる部分が副走査方向に並び、各色用に複数ずつ設けられた走査電極線と、
それぞれの副走査方向に延びる部分が上記複数の走査電極線と交差するように主走査方向に並んだ複数の信号電極線と、
上記複数の走査電極線と上記複数の信号電極線との交差部分においてこれらに挟まれた有機層からなる複数ずつの各色用の発光部と、
上記複数の走査電極線と複数の信号電極線とを介して上記複数ずつの各色用の発光部を発光駆動させる駆動制御手段とを備えており、
上記各色用の複数の発光部は、互いの主走査方向における位置が一定ピッチを隔てて異なり、かつ、各色用の複数の走査電極線に沿って複数列をなす配置とされている、有機EL発光モジュールであって、
上記各信号電極線が、上記複数ずつの各色用の走査電極線のすべてと交差していることにより、上記各色用の走査電極線の本数と同数ずつの上記各色用の発光部が、上記各信号電極線に沿って配置されていることを特徴とする、有機EL発光モジュール。
【請求項2】
上記複数ずつの各色用の走査電極線は、同色用のすべての走査電極線が互いに副走査方向において隣り合うように配置されている、請求項1に記載の有機EL発光モジュール。
【請求項3】
上記各信号電極線は、副走査方向において互いに隣り合う上記同色用の走査電極線と交差する部分どうしが、主走査方向において上記一定ピッチだけ互いにシフトした形状とされている、請求項2に記載の有機EL発光モジュール。
【請求項4】
上記複数の走査電極線は、各組が各色用の走査電極線を一本ずつ含んだ複数組とされ、かつ、上記各組ごとに副走査方向に並んで配置されており、
各信号電極線は、上記走査電極線の各組と交差する部分が、それぞれ副走査方向に延びる帯状とされている、請求項1に記載の有機EL発光モジュール。
【請求項5】
上記複数の走査電極線および複数の発光部は、赤色用、緑色用、および青色用とされている、請求項1ないし4のいずれかに記載の有機EL発光モジュール。
【請求項6】
感光性記録媒体に画像を露光させる光プリンタであって、
副走査方向に相対移動させられる上記感光性記録媒体に露光するための露光手段として、請求項1ないし5のいずれかに記載の有機EL発光モジュールが搭載されていることを特徴とする、光プリンタ。
【請求項7】
それぞれの主走査方向に延びる部分が副走査方向に並び、各色用に複数ずつ設けられた走査電極線と、それぞれの副走査方向に延びる部分が上記複数の走査電極線と交差するように主走査方向に並んだ複数の信号電極線と、上記複数の走査電極線と上記複数の信号電極線との交差部分においてこれらに挟まれた有機層からなる複数ずつの各色用の発光部と、上記複数の走査電極線および複数の信号電極線を介して上記複数ずつの各色用の発光部を発光駆動させる駆動制御手段とを備えており、
上記各色用の複数の発光部は、互いの主走査方向における位置が一定ピッチを隔てて異なり、かつ、各色用の複数の走査電極線に沿って複数列をなす配置とされた有機EL発光モジュールを使用する際に、
副走査方向に相対移動させられる露光対象物に向けて、それぞれが主走査方向に並ぶ複数のドットからなる複数のドット列を副走査方向において複数列露光することにより、上記露光対象物上に複数のドットをマトリクス状に露光するように、上記露光対象物の副走査方向における位置に同期させて上記複数の発光部を発光駆動させる、有機EL発光モジュールの駆動方法であって、
上記各信号電極線が、上記複数ずつの各色用の走査電極線のすべてと交差していることにより、上記各色用の走査電極線の本数と同数ずつの上記各色用の発光部が、上記各信号電極線に沿って配置されており、かつ、
上記各ドット列を露光する際には、上記駆動制御手段により上記各信号電極線を介して各色ごとに複数の上記発光部を発光駆動させることを特徴とする、有機EL発光モジュールの駆動方法。
【請求項1】
それぞれの主走査方向に延びる部分が副走査方向に並び、各色用に複数ずつ設けられた走査電極線と、
それぞれの副走査方向に延びる部分が上記複数の走査電極線と交差するように主走査方向に並んだ複数の信号電極線と、
上記複数の走査電極線と上記複数の信号電極線との交差部分においてこれらに挟まれた有機層からなる複数ずつの各色用の発光部と、
上記複数の走査電極線と複数の信号電極線とを介して上記複数ずつの各色用の発光部を発光駆動させる駆動制御手段とを備えており、
上記各色用の複数の発光部は、互いの主走査方向における位置が一定ピッチを隔てて異なり、かつ、各色用の複数の走査電極線に沿って複数列をなす配置とされている、有機EL発光モジュールであって、
上記各信号電極線が、上記複数ずつの各色用の走査電極線のすべてと交差していることにより、上記各色用の走査電極線の本数と同数ずつの上記各色用の発光部が、上記各信号電極線に沿って配置されていることを特徴とする、有機EL発光モジュール。
【請求項2】
上記複数ずつの各色用の走査電極線は、同色用のすべての走査電極線が互いに副走査方向において隣り合うように配置されている、請求項1に記載の有機EL発光モジュール。
【請求項3】
上記各信号電極線は、副走査方向において互いに隣り合う上記同色用の走査電極線と交差する部分どうしが、主走査方向において上記一定ピッチだけ互いにシフトした形状とされている、請求項2に記載の有機EL発光モジュール。
【請求項4】
上記複数の走査電極線は、各組が各色用の走査電極線を一本ずつ含んだ複数組とされ、かつ、上記各組ごとに副走査方向に並んで配置されており、
各信号電極線は、上記走査電極線の各組と交差する部分が、それぞれ副走査方向に延びる帯状とされている、請求項1に記載の有機EL発光モジュール。
【請求項5】
上記複数の走査電極線および複数の発光部は、赤色用、緑色用、および青色用とされている、請求項1ないし4のいずれかに記載の有機EL発光モジュール。
【請求項6】
感光性記録媒体に画像を露光させる光プリンタであって、
副走査方向に相対移動させられる上記感光性記録媒体に露光するための露光手段として、請求項1ないし5のいずれかに記載の有機EL発光モジュールが搭載されていることを特徴とする、光プリンタ。
【請求項7】
それぞれの主走査方向に延びる部分が副走査方向に並び、各色用に複数ずつ設けられた走査電極線と、それぞれの副走査方向に延びる部分が上記複数の走査電極線と交差するように主走査方向に並んだ複数の信号電極線と、上記複数の走査電極線と上記複数の信号電極線との交差部分においてこれらに挟まれた有機層からなる複数ずつの各色用の発光部と、上記複数の走査電極線および複数の信号電極線を介して上記複数ずつの各色用の発光部を発光駆動させる駆動制御手段とを備えており、
上記各色用の複数の発光部は、互いの主走査方向における位置が一定ピッチを隔てて異なり、かつ、各色用の複数の走査電極線に沿って複数列をなす配置とされた有機EL発光モジュールを使用する際に、
副走査方向に相対移動させられる露光対象物に向けて、それぞれが主走査方向に並ぶ複数のドットからなる複数のドット列を副走査方向において複数列露光することにより、上記露光対象物上に複数のドットをマトリクス状に露光するように、上記露光対象物の副走査方向における位置に同期させて上記複数の発光部を発光駆動させる、有機EL発光モジュールの駆動方法であって、
上記各信号電極線が、上記複数ずつの各色用の走査電極線のすべてと交差していることにより、上記各色用の走査電極線の本数と同数ずつの上記各色用の発光部が、上記各信号電極線に沿って配置されており、かつ、
上記各ドット列を露光する際には、上記駆動制御手段により上記各信号電極線を介して各色ごとに複数の上記発光部を発光駆動させることを特徴とする、有機EL発光モジュールの駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−35790(P2006−35790A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222804(P2004−222804)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]