有機EL表示装置用基板
【課題】 多数の有機EL表示素子について一括して配線間に短絡が生じていないかどうか検査することを可能にする。
【解決手段】 製造時に、多数の有機EL表示素子が接続されている状態で、それぞれの有機EL表示素子における各陽極配線1は、陽極接続配線で、陽極エージング用共通配線に接続される。そして、隣接する陽極接続配線の抵抗値R0,R1を異ならせる(R0≠R1)。全ての有機EL表示素子における画素を点灯させた場合に、隣接する陽極配線1が短絡していたときには、連続した2列(短絡した2列)が同輝度になる。しかも、その2列の輝度は、左右の隣接するいずれの列の輝度とも異なる。よって、目視検査によって、陽極配線1間で短絡が生じているか否か判定することができる。
【解決手段】 製造時に、多数の有機EL表示素子が接続されている状態で、それぞれの有機EL表示素子における各陽極配線1は、陽極接続配線で、陽極エージング用共通配線に接続される。そして、隣接する陽極接続配線の抵抗値R0,R1を異ならせる(R0≠R1)。全ての有機EL表示素子における画素を点灯させた場合に、隣接する陽極配線1が短絡していたときには、連続した2列(短絡した2列)が同輝度になる。しかも、その2列の輝度は、左右の隣接するいずれの列の輝度とも異なる。よって、目視検査によって、陽極配線1間で短絡が生じているか否か判定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置に適用される有機EL表示装置用基板であって、特に、効率的なエージング処理を行うことができる有機EL表示装置用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置は、対向して設けられた陽極と陰極との間に配置された有機EL層に電流が供給されると自発光する電流駆動型の表示装置である。有機EL表示装置は半導体発光ダイオードに似た特性を有しているので有機LEDと呼ばれることもある。
【0003】
有機EL表示装置の表示部を形成する有機EL表示素子は、ガラス基板上に陽極に接続されるかまたは陽極そのものを形成する複数の陽極配線が平行して配置され、陽極配線と直交する方向に、陰極に接続されるかまたは陰極そのものを形成する複数の陰極配線が平行して配置され、両電極間に有機EL層が挟持された構造を有する。陽極配線と陰極配線とがマトリクス状に配置された有機EL表示素子において、陽極配線と陰極配線との交点が画素となる。すなわち、画素がマトリクス状に配置されている。一般に、陰極配線は金属で形成され、陽極配線はITO(インジウム・錫・酸化物)などの透明導電膜で形成される。
【0004】
陽極配線と陰極配線とがマトリクス状に配置された有機EL表示素子を単純マトリクス駆動法によって駆動する場合、陽極配線と陰極配線とのうちのいずれか一方を走査電極とし、他方をデータ電極とする。そして、定電圧回路を備えた走査電極駆動回路を走査電極に接続し、走査電極を定電圧駆動する。データ電極には、出力段に定電流回路が備えられたデータ電極駆動回路を接続する。そして、選択状態にある走査電極に対応する行の表示データに応じた電流を、走査に同期して各データ電極に供給する。
【0005】
有機EL表示装置の製造時に、陽極と陰極との間に配されている有機EL層にごみ等の異物が混入したり、陽極に突起が生じて突起が有機EL層に侵入したりすることがある。そして、有機EL表示装置の実稼働中に、異物等に電荷が集中し局所的に熱が発生すると、有機EL層における有機物の分解が進む。すると、ついには有機物が陰極とともに裂け、陽極と陰極との短絡(層間短絡)が生ずる。短絡が生ずると、実稼働中に、特定の画素が発光しなくなる現象が生ずる。
【0006】
実稼働中にそのような現象が発生することを避けるために、あらかじめ、異物が混入している欠陥部を電気的な開放状態である絶縁状態にしたり酸化により不導体化したりするエージング処理が行われる(例えば、特許文献1参照。)。エージング処理は、陽極と陰極との間に、所定時間パルス状の直流電圧を印加することによって実行される。
【0007】
有機EL表示素子を用いた有機EL表示装置を作製する場合、一般に、1枚の大きなガラス基板上に複数の有機EL表示素子を形成する。一般的な製造工程は、1枚のガラス基板上に配線群および有機EL層を形成する有機EL表示素子形成工程と、有機EL層を水分などから守るために有機EL表示素子ごとにガラスなどの対向基板によって外気から隔離する封止工程と、ガラス基板を切断して複数の有機EL表示素子に分離する切断工程と、反射防止のために円偏光板などの光学フィルムを貼り付ける光学フィルム貼付工程と、駆動回路などの周辺回路を実装して有機EL表示装置を得る実装工程とを順に実行することによって成り立っている。
【0008】
エージング処理を効率的に実行するために、切断工程よりも前にエージング処理が実施されることが好ましい。切断工程よりも前にエージング処理を実施するために、多数の有機EL表示素子が形成されるガラス基板上に、エージング処理用の電圧を印加するための配線であって有機EL表示装置外に設置される電圧印加装置に接続可能な配線を形成し、多数の有機EL表示素子の陽極配線と有機EL表示素子の陰極配線との間に一括して電圧を印加する方法がある(例えば、特許文献2参照。)。そのような配線による陽極配線の接続状態および陰極配線の接続状態は、切断工程において、配線が分断されることによって解消される。その方法によれば、多数の有機EL表示素子に対して短時間で効率的にエージング処理を施すことができる。
【0009】
図10は、特許文献2に示された有機EL表示装置用基板を示す平面図である。1枚のガラス基板(図示せず)に、図10に示すように、それぞれが表示領域7を含む多数の有機EL表示素子が形成される。各有機EL表示素子における各陽極配線1は、陽極用接続部材としての陽極接続配線5で、陽極エージング用共通配線3に接続される。従って、全ての有機EL表示素子における各陽極配線1に、陽極エージング用共通配線3から同じ信号を供給することができる。また、各有機EL表示素子における各陰極配線2は、陰極用接続部材としての陰極接続配線6で、陰極エージング用共通配線4に接続される。従って、全ての有機EL表示素子における各陰極配線2に、陰極エージング用共通配線4から同じ信号を供給することができる。従って、有機EL表示装置用基板を図10に示すように形成することによって、多数の有機EL表示素子に対して一括してエージング処理を施すことができる。
【0010】
例えば、有機EL表示装置用基板の外部から、電圧印加装置によって、陽極エージング用共通配線3と陰極エージング用共通配線4との間に所定時間パルス状の直流電圧を印加する。その結果、有機EL表示装置用基板に形成されている全ての有機EL表示素子において、陽極配線と陰極配線との間に、所定時間パルス状の直流電圧が印加される。その後、切断工程で、陽極接続配線5および陰極接続配線6上に設定された切断線において、ガラス基板を切断して複数の有機EL表示素子に分離する。すなわち、それぞれの陽極配線1とそれぞれの陰極配線2とを、陽極エージング用共通配線3および陰極エージング用共通配線4から分離する。切断線は、陽極配線1および陰極配線2にかかっていてもよい。
【0011】
【特許文献1】特開2003−282253号公報(段落0004−0007)
【特許文献2】特開2004−146212号公報(段落0036、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
また、陽極配線1と陰極配線2との短絡、陽極配線1同士の短絡、陰極配線2同士の短絡などの欠点を検出するために、有機EL表示素子の検査を行う必要がある。その場合、切断工程よりも前に検査を実行できれば、多数の有機EL表示素子を一括して検査できるので効率的である。
【0013】
しかし、切断工程よりも前にエージング処理を施す場合には、図10に示すように、エージング処理対象である多数の有機EL表示素子のそれぞれの陽極配線1が接続され、また、それぞれの陰極配線2が接続されている。すると、陽極配線1同士の短絡および陰極配線2同士の短絡という欠点を検出することができない。エージング処理のために、全ての陽極配線1が接続され、かつ、全ての陰極配線2が接続されているからである。
【0014】
よって、図10に示す構造では、切断工程よりも前に多数の有機EL表示素子について一括して陽極配線1同士の短絡および陰極配線2同士の短絡が生じていないかどうか検査することはできない。すなわち、それらの短絡が生じていないかどうか検査する場合、図10に示すような有機EL表示装置用基板をそれぞれの有機EL表示素子に切断した後、個々の有機EL表示素子について検査する必要がある。従って、製造工程における比較的下流側でしか短絡を検出することができず、短絡が発生した工程へのフィードバックが遅れる。その結果、短絡欠点が再発するおそれがある。
【0015】
そこで、本発明は、切断工程よりも前に多数の有機EL表示素子について一括して配線間に短絡が生じていないかどうか検査することが可能になる有機EL表示装置用基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による有機EL表示装置用基板は、陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える複数の有機EL表示素子が基板上に形成された有機EL表示装置用基板であって、複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陽極配線が、基板上で陽極配線のそれぞれに対応する陽極用接続部材を介して陽極用共通配線に電気的に接続され、複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陰極配線が、基板上で陰極配線のそれぞれに対応する陰極用接続部材を介して陰極用共通配線に電気的に接続され、それぞれの有機EL表示素子において、各陽極用接続部材の抵抗値が隣接する陽極用接続部材の抵抗値と異なるか、各陰極用接続部材の抵抗値が隣接する陰極用接続部材の抵抗値と異なるか、または、各陽極用接続部材の抵抗値が隣接する陽極用接続部材の抵抗値と異なるとともに各陰極用接続部材の抵抗値が隣接する陰極用接続部材の抵抗値と異なることを特徴とする。
【0017】
有機EL表示素子において、それぞれの陽極用接続部材の抵抗値は、例えば、隣接する陽極用接続部材にさらに隣接する陽極用接続部材の抵抗値に等しく、それぞれの陰極用接続部材の抵抗値は、例えば、隣接する陰極用接続部材にさらに隣接する陰極用接続部材の抵抗値に等しい。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、それぞれの有機EL表示素子において、各陽極用接続部材の抵抗値が隣接する陽極用接続部材の抵抗値と異なるか、各陰極用接続部材の抵抗値が隣接する陰極用接続部材の抵抗値と異なるか、または、各陽極用接続部材の抵抗値が隣接する陽極用接続部材の抵抗値と異なるとともに各陰極用接続部材の抵抗値が隣接する陰極用接続部材の抵抗値と異なるので、隣接する陽極電極の間もしくは隣接する陰極電極の間、または隣接する陽極電極の間および隣接する陰極電極2の間で短絡が生じているか否かを、複数の有機EL表示素子について一括して検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。本発明による有機EL表示装置用基板の構造は、図10に示された構造と同じである。なお、図10には6つの有機EL表示素子が例示されているが、有機EL表示装置用基板において形成される有機EL表示素子の数は任意である。
【0020】
図1は、有機EL表示装置用基板における1つの有機EL表示素子のうちの4本の陽極配線1の部分を拡大して示す説明図である。図10に示された構造において、陽極配線1は、陽極用接続部材としての陽極接続配線5で、陽極用共通配線としての陽極エージング用共通配線3に接続される。
【0021】
この実施の形態では、図1に示すように、陽極接続配線5の抵抗値R0,R1を異ならせる(R0≠R1)。すなわち、隣接する陽極接続配線5の抵抗値が異なるように、それぞれの陽極接続配線5を形成する。なお、図1には、1本おき(間に1本が存在すること)に陽極接続配線5の抵抗値を同じにした例が示されている。すなわち、それぞれの陽極接続配線5の抵抗値は、隣接する陽極接続配線5にさらに隣接する陽極接続配線5の抵抗値に等しい。しかし、互いに隣接する陽極接続配線5の抵抗値が異なればよく、1本おきに陽極接続配線5の抵抗値を同じにすることは必須のことではない。また、抵抗値R0,R1の違いは5%程度でよい。その程度でも、以下に説明するシート一括点灯検査工程において、短絡欠点があることを十分に視認できる。
【0022】
図2は、本実施の形態の有機EL表示装置用基板を用いる有機EL表示装置の製造方法の一例を説明するための工程図である。図2に示す方法では、以下のような工程を経て有機EL表示素子が形成され、さらに有機EL表示素子を用いた有機EL表示装置が形成される。
【0023】
(S1)1枚のガラス基板上に配線群および有機EL層を形成する有機EL表示素子形成工程。
(S2)有機EL層を水分などから守るためにガラスなどの対向基板で有機EL表示素子ごとに外気から隔離する封止工程。
(S3)有機EL表示素子にエージングを施すエージング処理を実行するエージング工程。
(S4)配線間(隣接する陽極電極1の間もしくは隣接する陰極電極2の間、または隣接する陽極電極1の間および隣接する陰極電極2の間)の短絡を検出するためのシート一括点灯検査工程。
(S5)ガラス基板を切断して複数の有機EL表示素子に分離する切断工程。
(S6)分離されたそれぞれの有機EL表示素子(パネル)の画素を点灯させて欠点画素を検出するパネル点灯検査工程。
(S7)反射防止のために円偏光板などの光学フィルムを貼り付ける光学フィルム貼付工程。
(S8)有機EL表示素子に、駆動回路などの周辺回路を実装して有機EL表示装置を作成する実装工程。
【0024】
有機EL表示素子形成工程では、ガラス基板上にITOを成膜し、ITOをエッチングして陽極配線1と、陽極接続配線5および陰極接続配線6とを形成する(図10参照)。次に、金属膜を成膜し、金属膜をエッチングして各有機EL表示素子内の引き回し配線と、陽極エージング用共通配線3および陰極エージング用共通配線4とを形成する。その上に、絶縁膜を塗布し露光現像等を行って各画素の発光部となる開口部を形成する。さらに、その上に、有機EL層としての有機薄膜を積層する。有機薄膜として、順に、第1正孔輸送層、第2正孔輸送層、発光層、陰極界面層を形成する。最後に、アルミニウム等の金属で陰極配線2を形成し、陰極引き回し配線に接続する。
【0025】
上記のように、それぞれの陽極接続配線5は、隣接する陽極接続配線5の抵抗値が異なるように形成される。例えば、抵抗値が大きい方の陽極接続配線5の配線長を、抵抗値が小さい方の陽極接続配線5の配線長よりも長くする。配線長を長くするには、陽極配線1と陽極エージング用共通配線3との間で、例えば蛇行するように陽極接続配線5を形成すればよい。
【0026】
有機EL表示素子形成工程が終了すると、ガラス基板上に形成された複数の単純マトリクス型の有機EL表示素子におけるそれぞれの陽極配線1がガラス基板上で陽極用接続配線5を介して陽極エージング用共通配線3に電気的に接続され、複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陰極配線2がガラス基板上で陰極用接続配線6を介して陰極エージング用共通配線4に電気的に接続された構造を有する有機EL表示装置用基板が形成される。
【0027】
封止工程では、有機EL表示素子形成工程でガラス基板上に形成された有機EL層を水分から守るために、第2の基板としての他のガラス基板1枚を、ガラス基板に対して対向配置し、間隙材としての周辺シール材によって双方のガラス基板を接合する。そして、2枚のガラス基板と周辺シール材とによって形成された封止空間の内部に乾燥窒素ガスを封入する。
【0028】
次いで、エージング工程を実施する。エージング工程において実行されるエージング処理では、陽極配線1および陰極配線2に対してエージングのための通電処理を行うために、陽極エージング用共通配線3および陰極エージング用共通配線4にエージング用の電圧印加装置を接続する。そして、エージング工程では、複数の有機EL表示素子が形成されているガラス基板の周囲温度を室温以上、好ましくは80℃以上の高温に設定して通電処理を行う。高温で通電処理を行うことによって、短い時間で所望の輝度低下をさせることができる。通電処理を行う際の温度は、有機EL表示素子が変質しない範囲で、できるだけ高い温度にすることが好ましい。高温にしても、円偏光板などの光学フィルムを貼り付ける光学フィルム貼付工程より前の工程での処理であるから、光学フィルムに熱による悪影響を与えることはない。
【0029】
さらに、有機EL表示装置用基板に形成されている全ての有機EL表示素子における全ての画素を一括して点灯させることによってシート一括点灯検査工程を実施する。この段階では、全ての有機EL表示素子における全ての陽極配線1および陰極配線2が接続されているので、全ての画素を一括して点灯させることは容易である。
【0030】
図1に例示されたように、隣接した陽極接続配線5の抵抗値を異ならせた場合には、隣接する陽極配線1間に短絡が生じていないときには、図3(A)に示すように、有機EL表示素子(パネル)に1本おきに縦縞が現れる。図3(A)において白色で表されている各矩形部分は抵抗値が小さい陽極接続配線5に接続される陽極配線1に対応する画素を示し、斜線が施された各矩形部分は抵抗値が大きい陽極接続配線5に接続される陽極配線1に対応する画素を示す。なお、図3には、パネルにおける全画素のうちの36画素の部分が例示されている。
【0031】
隣接する陽極配線1間で短絡が生じている場合には、図3(B)に例示するように、パネルにおいて連続した2列(短絡した2列)が同輝度になる。しかも、その2列の輝度は、左右の隣接するいずれの列の輝度とも異なる。隣接する陽極配線1間で短絡が生じている場合には、図4に示すように、2本の陽極配線1に対して抵抗値R0の抵抗と抵抗値R1の抵抗との並列抵抗が接続されたことになり、その並列抵抗の抵抗値は、抵抗値R0とも異なり、抵抗値R1とも異なるからである。
【0032】
従って、シート一括点灯検査工程において、目視検査によって、陽極配線1間で短絡が生じているか否か判定することができる。なお、輝度変化については、厳密には、陽極配線1自身の抵抗値も考慮に入れなければならない。しかし、陽極配線1自身の抵抗値を考慮に入れても、隣接する陽極配線1間で短絡が生じているときには、(陽極配線1の抵抗値+陽極接続配線5の抵抗値)は、短絡が生じていないときとは異なる値になる。
【0033】
また、目視検査ではなく、画像処理によって検査を行うようにしてもよい。例えば、カメラでパネルの表示状態を撮影し、撮影した画像の輝度を示す信号をパーソナルコンピュータ等に入力する。そして、パーソナルコンピュータが、撮影された画像における各画素の輝度をディジタルデータに変換し、輝度が同じ2列が存在し、かつ、その2列の輝度が左右の隣接列の輝度と異なることを検出したら、そのような2列の位置を示す情報を短絡欠点情報として出力する。
【0034】
以上の説明では、陽極配線1間の短絡を検出するために、隣接する陽極接続配線5の抵抗値が異ならせたが、陰極配線2間の短絡を検出するために、隣接する陰極用接続部材としての陰極接続配線6の抵抗値を異ならせるようにしてもよい。具体的には、図1に例示した場合と同様に、1本おきに陰極接続配線6の抵抗値を同じにする。
【0035】
その場合、隣接する陰極配線2間に短絡が生じていないときには、図5(A)に示すように、有機EL表示素子(パネル)に1本おきに横縞が現れる。隣接する陰極配線2間で短絡が生じている場合には、図5(B)に例示するように、パネルにおいて連続した2行が同輝度になる。しかも、その2行の輝度は、上下の隣接するいずれの行の輝度とも異なる。従って、シート一括点灯検査工程において、目視検査等によって、陰極配線2間で短絡が生じているか否か判定することができる。
【0036】
さらに、陽極配線1間の短絡を検出するために隣接する陽極接続配線5の抵抗値を異ならせるとともに、陰極配線2間の短絡を検出するために隣接する陰極用接続部材としての陰極接続配線6の抵抗値を異ならせるようにしてもよい。例えば、図1に例示した場合と同様に、1本おきに陽極接続配線5の抵抗値を同じにし、かつ、1本おきに陰極接続配線6の抵抗値を同じにする。
【0037】
すると、隣接する陽極配線1間に短絡が生じていない場合であって、かつ、隣接する陰極配線2間に短絡が生じていないときには、図6(A)に示すように、有機EL表示素子(パネル)に1本おきに縦縞および横縞が現れる。しかし、隣接する陽極配線1間で短絡が生じている場合には、図6(B)に例示するように、パネルにおいて連続した2列が同輝度になる。しかも、その2列の輝度は、左右の隣接するいずれの列の輝度とも異なる。また、隣接する陰極配線2間で短絡が生じている場合には、図6(C)に例示するように、パネルにおいて連続した2行が同輝度になる。しかも、その2行の輝度は、上下の隣接するいずれの行の輝度とも異なる。従って、シート一括点灯検査工程において、目視検査等によって、陽極配線1間に短絡が生じているか否かと、陰極配線2間で短絡が生じているか否かとを判定することができる。
【0038】
なお、シート一括点灯検査工程で、陽極配線1および陰極配線2において断線が生じているか否かも検査することが好ましい。断線が生じている場合には、断線箇所よりも後(電源よりも遠い側)の部分が消灯するので、やはり、目視検査等によって容易に断線が生じているか否か判定することができる。
【0039】
(実施の形態2)
上記の実施の形態では、ガラス基板上で表示領域を形成する有機EL表示素子の矩形平面の2つの辺(図10に示すように左辺および下辺)から配線が引き出されるように構成されているが、有機EL表示装置には、ガラス基板上で、表示領域を形成する有機EL表示素子の矩形平面の3つの辺から配線が引き出されるように構成されたものがある。つまり、陽極配線1と駆動回路または陽極実装端子とを接続する配線(以下、陽極引き回し配線という。)が矩形平面の一辺から引き出され、陰極配線2と駆動回路または陰極実装端子とを接続する配線(以下、陰極引き回し配線という。)が左右両辺から引き出されるように構成されたものがある。なお、COF(Chip On Film)やTAB(Tape Automated Bonding)によって駆動回路が実装される場合に、ガラス基板上に陽極実装端子と陰極実装端子とが形成され、陽極配線1が陽極引き回し配線で陽極実装端子に接続され、陰極配線2が陰極引き回し配線で陰極実装端子に接続される。また、例えば、奇数行の陰極配線2が、有機EL表示素子の左辺において陰極引き回し配線と接続され、偶数行の陰極配線2が、有機EL表示素子の右辺において陰極引き回し配線と接続される。
【0040】
図7は、COFまたはTABによって駆動回路(図示せず)と接続される有機EL表示装置200を模式的に示す平面図である。なお、1枚のガラス基板上に多数の有機EL表示装置が互いに接触して形成されるが、図7には、1つの有機EL表示装置200のみを示す。また、符号201は、有機EL表示装置用基板において、有機EL表示装置200の直下に位置する有機EL表示装置を示す。また、図7に示す例では、有機EL表示装置200における表示領域(図8参照)の部分が有機EL表示素子に相当する。また、以下、陽極配線1を単に陽極といい、陰極配線2を単に陰極という。
【0041】
図7に示すように、陽極実装端子8と2つの陰極実装端子9とが有機EL表示装置200における下部に形成され、陽極引き回し配線10が陽極実装端子8の上部から有機EL表示素子に延び、陰極引き回し配線11が陰極実装端子9の上部から有機EL表示素子に延びている場合には、上記の第1の実施の形態を適用することは難しい。ガラス基板上で、陽極を有機EL表示装置200の外部において電気的に接続するための経路(配線)を確保すると同時に、左右の領域に存在する全ての陰極引き回し配線11を有機EL表示装置200の外部において電気的に接続するための経路を確保することが難しいからである。
【0042】
そこで、図7に示す比較例とは異なり、図8に示すように、陽極用接続部材としての陽極エージング用引出線23と陰極用接続部材としての陰極エージング用引出線24とを形成して、陽極を有機EL表示装置100の外部において電気的に接続するための経路を確保するとともに、左右の領域に存在する全ての陰極引き回し配線11を有機EL表示装置100の外部において電気的に接続するための経路を確保する。
【0043】
図8に示すように、有機EL表示装置100,101の下部の中央には、有機EL表示素子とドライバICなどの駆動回路とを接続するための陽極実装端子8が形成され、有機EL表示装置100,101の下部の左右には、それぞれ、陰極実装端子9が形成されている。例えば、左側の陰極実装端子9は、奇数行の陰極に電気的に接続され、右側の陰極実装端子9は、偶数行の陰極に電気的に接続される。陽極実装端子8および陰極実装端子9には、ガラス基板がそれぞれの有機EL表示装置毎に切断された後、COFやTABで駆動回路が実装されたフィルム状基板が接続される。なお、陽極実装端子8の領域には、有機EL表示素子の陽極の数に応じた数の端子が形成されている。また、陰極実装端子9には、有機EL表示素子の陰極の数に応じた数の端子が形成されている。
【0044】
有機EL表示素子の陽極と陽極実装端子8とは、陽極配線引き回し配線10で接続されている。また、有機EL表示素子の陰極と陰極実装端子9とは、有機EL表示素子の左右外側において陰極配線引き回し配線11で接続されている。なお、陽極配線引き回し配線10の領域には、有機EL表示素子の陽極の数に応じた数の配線が形成されている。また、陰極配線引き回し配線11の領域には、有機EL表示素子の陰極の数に応じた数の配線が形成されている。
【0045】
第1の実施の形態の場合と同様に、有機EL表示装置100,101を作製するときに、ガラス基板上に、ガラス基板上に形成されている全ての有機EL表示装置の陽極に通電するための陽極エージング用共通配線3と、全ての有機EL表示装置の陰極に通電するための陰極エージング用共通配線4とが形成される。図8に示す例では、有機EL表示装置100,101における左端部分に、ガラス基板上で一列をなす複数の有機EL表示装置100,101の陽極に通電するための陽極エージング用共通配線3が形成され、右端部分に、ガラス基板上で一列をなす複数の有機EL表示装置100,101の陰極に通電するための陰極エージング用共通配線4が形成されている。
【0046】
また、有機EL表示装置100,101の上部(有機EL表示素子を挟んで陽極実装端子8および陰極実装端子9と反対側)には、陽極配線用接続部材としての陽極エージング用接続抵抗21と、陰極配線用接続部材としての陰極エージング用接続抵抗22とが形成されている。なお、陽極エージング用接続抵抗21の領域には、有機EL表示素子の陽極の数に応じた数の抵抗体が例えばITOや金属膜で形成されている。また、陰極エージング用接続抵抗22の領域には、有機EL表示素子の陰極の数に応じた数の抵抗体が例えばITOや金属膜で形成されている。
【0047】
陽極エージング用接続抵抗21および陰極エージング用接続抵抗22は、エージング処理中に一つの有機EL表示素子において陽極と陰極の間で短絡が生じたときに他の有機EL表示素子に印加される電圧が低下することを防止する等の目的で設けられている。なお、第1の実施の形態においても、陽極エージング用接続抵抗および陰極エージング用接続抵抗を設けることが好ましいが、陽極接続配線5および陰極接続配線6の抵抗値を高くすることによって、陽極エージング用接続抵抗および陰極エージング用接続抵抗としての役割を果たさせることができる。
【0048】
有機EL表示装置101に着目すると、図8に示すように、陰極エージング用共通配線4から見て遠い側にある陰極エージング用接続抵抗22と陰極エージング用共通配線4とを接続するための陰極エージング用引出線24は、陰極エージング用接続抵抗22から引き出された後、有機EL表示装置101に隣接する有機EL表示装置100において陰極引き回し配線11の外側(有機EL表示素子の反対側)で配線され、さらに、有機EL表示素子と陰極エージング用接続抵抗22および陽極エージング用接続抵抗21との間を配線されて陰極エージング用共通配線4に接続されるように形成されている。なお、有機EL表示装置101に限らず、ガラス基板上に形成されている他の有機EL表示装置についても、陰極エージング用引出線24は、陰極エージング用接続抵抗22から引き出された後、直上に位置する有機EL表示装置において陰極引き回し配線11の外側で配線され、さらに、有機EL表示素子と陰極エージング用接続抵抗22および陽極エージング用接続抵抗21との間を配線されて陰極エージング用共通配線4に接続される。
【0049】
図8に示すように、2つの陰極エージング用引出線24の長さは互いに異なっている。すなわち、図8において、右側に引き出されている陰極エージング用引出線24の長さは、左側に引き出されている陰極エージング用引出線24の長さよりも短い。すると、図7を参照すると、隣接する陰極に対応する陰極エージング用引出線24(陰極用接続部材に相当)の抵抗値が異なっていることになる。
【0050】
よって、第1の実施の形態の場合と同様に、隣接する陰極間に短絡が生じていないときには、図5(A)に示すように、有機EL表示素子(パネル)に1本おきに横縞が現れる。隣接する陰極間で短絡が生じている場合には、図5(B)に例示するように、パネルにおいて連続した2行が同輝度になる。しかも、その2行の輝度は、上下の隣接するいずれの行の輝度とも異なる。従って、シート一括点灯検査工程において、目視検査等によって、陰極配線2間で短絡が生じているか否か判定することができる。
【0051】
以上に説明したように、上記の各実施の形態では、多数の有機EL表示素子が形成されている有機EL表示装置用基板において、それぞれの陰極と陰極エージング用共通配線とを接続するそれぞれの陰極用接続部材を、隣接する陰極用接続部材の抵抗値が異なるように形成したので、多数の有機EL表示素子について一括して陰極同士の短絡が生じているか否か検査することができる。また、第1の実施の形態では、多数の有機EL表示素子が形成されている有機EL表示装置用基板において、それぞれの陽極と陽極エージング用共通配線とを接続するそれぞれの陽極用接続部材を、隣接する陽極用接続部材の抵抗値が異なるように形成したので、多数の有機EL表示素子について一括して陽極同士の短絡が生じているか否か検査することができる。
【0052】
よって、切断工程よりも前に検査を実行でき、検査の効率が高まる。また、配線間の短絡が生じていることを早めに検出することができるので、短絡が発生した工程に早くフィードバックをかけることができる。さらに、個々の有機EL表示素子(パネル)の画素を点灯させて欠点画素を検出するパネル点灯検査工程においても配線間の短絡を検出するので、短絡検出の工程が増えることになる。その結果、短絡検出の精度が向上し、有機EL表示素子の品質がより向上する。
【0053】
図9は、全ての陽極用接続部材の抵抗値を同じにし、全ての陰極用接続部材の抵抗値を同じにして、シート一括点灯検査を試みた場合の有機EL表示素子の表示例を示す説明図である。隣接する陽極配線1間に短絡が生じていない場合であって、かつ、隣接する陰極配線2間に短絡が生じていないときには、図9(A)に示すように、有機EL表示素子(パネル)は全画素が同じ輝度で点灯する。
【0054】
しかし、陽極配線1間に短絡が生じても、図9(B)に示すように輝度変化は生じない。短絡が生じた2本の陽極に接続されている陽極用接続部材の抵抗値が同じであるから、2本の陽極に流れる電流値が、短絡が生じていない場合とほぼ等しいからである。また、陰極配線2間に短絡が生じても、図9(C)に示すように輝度変化は生じない。短絡が生じた2本の陰極に接続されている陰極用接続部材の抵抗値が同じであるから、2本の陰極に流れる電流値が、短絡が生じていない場合とほぼ等しいからである。従って、シート一括点灯検査を試みても、陽極配線および陰極配線に短絡が生じたことを確認することができない。
【0055】
それに対して、上記の各実施の形態では、隣接する接続部材(陽極用接続部材もしくは陰極用接続部材、または陽極用接続部材および陰極用接続部材)の抵抗値が異なるので、隣接する陽極配線または陰極配線に短絡が生じた場合には、短絡が生じていない場合に比べて電流値が変化する。その結果、輝度変化が生じ、短絡が生じたことを容易に視認できる。
【0056】
また、上記の各実施の形態では、隣接する接続部材(陽極用接続部材もしくは陰極用接続部材、または陽極用接続部材および陰極用接続部材)の抵抗値を異ならせ、かつ、1本おきに接続部材の抵抗値を同じにした。すなわち、2本の接続部材を1周期として、異なる抵抗値R0,R1(R0≠R1)の組み合わせが現れるようにした。しかし、周期的に異なる抵抗値の組み合わせが現れるように接続部材を形成する場合に、1周期は「2」(2本の接続部材)である必要はなく、「3」以上であってもよい。さらに、隣接する陽極接続配線5の抵抗値が異なるのであれば、周期的に異なる抵抗値の組み合わせが現れるようにしなくてもよい。例えば、それぞれの抵抗値が単調増加するようにしてもよい。
【0057】
ただし、2色表示(点灯および消灯)の有機EL表示素子では、陽極用接続部材および陰極用接続部材のそれぞれについて、上記の各実施の形態のように1周期は「2」であることが好ましい。1周期が「2」であれば、多数の陽極または陰極のうちのどの2本で短絡が生じても、輝度変化が同じようになって視認しやすいからである。また、カラー表示可能に形成された有機EL表示素子では、陽極をデータ電極にした場合、陽極用接続部材については、1周期は「3」(すなわち2本おきに抵抗値を同じにする。)であることが好ましい。カラー表示可能に形成された有機EL表示素子では、例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)表示用の3本の陽極が隣接して配置され、その3本について陽極用接続部材の抵抗値R0,R1,R2(R0≠R1≠R2)を異ならせれば、配色周期と抵抗値の周期とを一致させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、1枚のガラス基板上に多数の有機EL表示素子が形成される有機EL表示装置用基板に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】有機EL表示素子のうちの4本の陽極配線1の部分を拡大して示す説明図。
【図2】有機EL表示装置の製造方法の一例を説明するための工程図。
【図3】シート一括点灯検査時の有機EL表示素子の表示例を示す説明図。
【図4】隣接する陽極配線間で短絡が生じた場合の抵抗値を説明するための説明図。
【図5】シート一括点灯検査時の有機EL表示素子の表示例を示す説明図。
【図6】シート一括点灯検査時の有機EL表示素子の表示例を示す説明図。
【図7】COFまたはTABによって駆動回路と接続される有機EL表示装置200を模式的に示す平面図。
【図8】第1の実施の形態の有機EL表示装置用基板を示す平面図。
【図9】シート一括点灯検査時の有機EL表示素子の表示例を示す説明図。
【図10】有機EL表示装置用基板を示す平面図。
【符号の説明】
【0060】
1 陽極配線
2 陰極配線
3 陽極エージング用共通配線
4 陰極エージング用共通配線
5 陽極接続配線
6 陰極接続配線
7 表示領域
8 陽極実装端子
9 陰極実装端子
10 陽極配線引き回し配線
11 陰極配線引き回し配線
21 陽極エージング用接続抵抗
22 陰極エージング用接続抵抗
23 陽極エージング用引出線
24 陰極エージング用引出線
100,101 有機EL表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置に適用される有機EL表示装置用基板であって、特に、効率的なエージング処理を行うことができる有機EL表示装置用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置は、対向して設けられた陽極と陰極との間に配置された有機EL層に電流が供給されると自発光する電流駆動型の表示装置である。有機EL表示装置は半導体発光ダイオードに似た特性を有しているので有機LEDと呼ばれることもある。
【0003】
有機EL表示装置の表示部を形成する有機EL表示素子は、ガラス基板上に陽極に接続されるかまたは陽極そのものを形成する複数の陽極配線が平行して配置され、陽極配線と直交する方向に、陰極に接続されるかまたは陰極そのものを形成する複数の陰極配線が平行して配置され、両電極間に有機EL層が挟持された構造を有する。陽極配線と陰極配線とがマトリクス状に配置された有機EL表示素子において、陽極配線と陰極配線との交点が画素となる。すなわち、画素がマトリクス状に配置されている。一般に、陰極配線は金属で形成され、陽極配線はITO(インジウム・錫・酸化物)などの透明導電膜で形成される。
【0004】
陽極配線と陰極配線とがマトリクス状に配置された有機EL表示素子を単純マトリクス駆動法によって駆動する場合、陽極配線と陰極配線とのうちのいずれか一方を走査電極とし、他方をデータ電極とする。そして、定電圧回路を備えた走査電極駆動回路を走査電極に接続し、走査電極を定電圧駆動する。データ電極には、出力段に定電流回路が備えられたデータ電極駆動回路を接続する。そして、選択状態にある走査電極に対応する行の表示データに応じた電流を、走査に同期して各データ電極に供給する。
【0005】
有機EL表示装置の製造時に、陽極と陰極との間に配されている有機EL層にごみ等の異物が混入したり、陽極に突起が生じて突起が有機EL層に侵入したりすることがある。そして、有機EL表示装置の実稼働中に、異物等に電荷が集中し局所的に熱が発生すると、有機EL層における有機物の分解が進む。すると、ついには有機物が陰極とともに裂け、陽極と陰極との短絡(層間短絡)が生ずる。短絡が生ずると、実稼働中に、特定の画素が発光しなくなる現象が生ずる。
【0006】
実稼働中にそのような現象が発生することを避けるために、あらかじめ、異物が混入している欠陥部を電気的な開放状態である絶縁状態にしたり酸化により不導体化したりするエージング処理が行われる(例えば、特許文献1参照。)。エージング処理は、陽極と陰極との間に、所定時間パルス状の直流電圧を印加することによって実行される。
【0007】
有機EL表示素子を用いた有機EL表示装置を作製する場合、一般に、1枚の大きなガラス基板上に複数の有機EL表示素子を形成する。一般的な製造工程は、1枚のガラス基板上に配線群および有機EL層を形成する有機EL表示素子形成工程と、有機EL層を水分などから守るために有機EL表示素子ごとにガラスなどの対向基板によって外気から隔離する封止工程と、ガラス基板を切断して複数の有機EL表示素子に分離する切断工程と、反射防止のために円偏光板などの光学フィルムを貼り付ける光学フィルム貼付工程と、駆動回路などの周辺回路を実装して有機EL表示装置を得る実装工程とを順に実行することによって成り立っている。
【0008】
エージング処理を効率的に実行するために、切断工程よりも前にエージング処理が実施されることが好ましい。切断工程よりも前にエージング処理を実施するために、多数の有機EL表示素子が形成されるガラス基板上に、エージング処理用の電圧を印加するための配線であって有機EL表示装置外に設置される電圧印加装置に接続可能な配線を形成し、多数の有機EL表示素子の陽極配線と有機EL表示素子の陰極配線との間に一括して電圧を印加する方法がある(例えば、特許文献2参照。)。そのような配線による陽極配線の接続状態および陰極配線の接続状態は、切断工程において、配線が分断されることによって解消される。その方法によれば、多数の有機EL表示素子に対して短時間で効率的にエージング処理を施すことができる。
【0009】
図10は、特許文献2に示された有機EL表示装置用基板を示す平面図である。1枚のガラス基板(図示せず)に、図10に示すように、それぞれが表示領域7を含む多数の有機EL表示素子が形成される。各有機EL表示素子における各陽極配線1は、陽極用接続部材としての陽極接続配線5で、陽極エージング用共通配線3に接続される。従って、全ての有機EL表示素子における各陽極配線1に、陽極エージング用共通配線3から同じ信号を供給することができる。また、各有機EL表示素子における各陰極配線2は、陰極用接続部材としての陰極接続配線6で、陰極エージング用共通配線4に接続される。従って、全ての有機EL表示素子における各陰極配線2に、陰極エージング用共通配線4から同じ信号を供給することができる。従って、有機EL表示装置用基板を図10に示すように形成することによって、多数の有機EL表示素子に対して一括してエージング処理を施すことができる。
【0010】
例えば、有機EL表示装置用基板の外部から、電圧印加装置によって、陽極エージング用共通配線3と陰極エージング用共通配線4との間に所定時間パルス状の直流電圧を印加する。その結果、有機EL表示装置用基板に形成されている全ての有機EL表示素子において、陽極配線と陰極配線との間に、所定時間パルス状の直流電圧が印加される。その後、切断工程で、陽極接続配線5および陰極接続配線6上に設定された切断線において、ガラス基板を切断して複数の有機EL表示素子に分離する。すなわち、それぞれの陽極配線1とそれぞれの陰極配線2とを、陽極エージング用共通配線3および陰極エージング用共通配線4から分離する。切断線は、陽極配線1および陰極配線2にかかっていてもよい。
【0011】
【特許文献1】特開2003−282253号公報(段落0004−0007)
【特許文献2】特開2004−146212号公報(段落0036、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
また、陽極配線1と陰極配線2との短絡、陽極配線1同士の短絡、陰極配線2同士の短絡などの欠点を検出するために、有機EL表示素子の検査を行う必要がある。その場合、切断工程よりも前に検査を実行できれば、多数の有機EL表示素子を一括して検査できるので効率的である。
【0013】
しかし、切断工程よりも前にエージング処理を施す場合には、図10に示すように、エージング処理対象である多数の有機EL表示素子のそれぞれの陽極配線1が接続され、また、それぞれの陰極配線2が接続されている。すると、陽極配線1同士の短絡および陰極配線2同士の短絡という欠点を検出することができない。エージング処理のために、全ての陽極配線1が接続され、かつ、全ての陰極配線2が接続されているからである。
【0014】
よって、図10に示す構造では、切断工程よりも前に多数の有機EL表示素子について一括して陽極配線1同士の短絡および陰極配線2同士の短絡が生じていないかどうか検査することはできない。すなわち、それらの短絡が生じていないかどうか検査する場合、図10に示すような有機EL表示装置用基板をそれぞれの有機EL表示素子に切断した後、個々の有機EL表示素子について検査する必要がある。従って、製造工程における比較的下流側でしか短絡を検出することができず、短絡が発生した工程へのフィードバックが遅れる。その結果、短絡欠点が再発するおそれがある。
【0015】
そこで、本発明は、切断工程よりも前に多数の有機EL表示素子について一括して配線間に短絡が生じていないかどうか検査することが可能になる有機EL表示装置用基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による有機EL表示装置用基板は、陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える複数の有機EL表示素子が基板上に形成された有機EL表示装置用基板であって、複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陽極配線が、基板上で陽極配線のそれぞれに対応する陽極用接続部材を介して陽極用共通配線に電気的に接続され、複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陰極配線が、基板上で陰極配線のそれぞれに対応する陰極用接続部材を介して陰極用共通配線に電気的に接続され、それぞれの有機EL表示素子において、各陽極用接続部材の抵抗値が隣接する陽極用接続部材の抵抗値と異なるか、各陰極用接続部材の抵抗値が隣接する陰極用接続部材の抵抗値と異なるか、または、各陽極用接続部材の抵抗値が隣接する陽極用接続部材の抵抗値と異なるとともに各陰極用接続部材の抵抗値が隣接する陰極用接続部材の抵抗値と異なることを特徴とする。
【0017】
有機EL表示素子において、それぞれの陽極用接続部材の抵抗値は、例えば、隣接する陽極用接続部材にさらに隣接する陽極用接続部材の抵抗値に等しく、それぞれの陰極用接続部材の抵抗値は、例えば、隣接する陰極用接続部材にさらに隣接する陰極用接続部材の抵抗値に等しい。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、それぞれの有機EL表示素子において、各陽極用接続部材の抵抗値が隣接する陽極用接続部材の抵抗値と異なるか、各陰極用接続部材の抵抗値が隣接する陰極用接続部材の抵抗値と異なるか、または、各陽極用接続部材の抵抗値が隣接する陽極用接続部材の抵抗値と異なるとともに各陰極用接続部材の抵抗値が隣接する陰極用接続部材の抵抗値と異なるので、隣接する陽極電極の間もしくは隣接する陰極電極の間、または隣接する陽極電極の間および隣接する陰極電極2の間で短絡が生じているか否かを、複数の有機EL表示素子について一括して検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。本発明による有機EL表示装置用基板の構造は、図10に示された構造と同じである。なお、図10には6つの有機EL表示素子が例示されているが、有機EL表示装置用基板において形成される有機EL表示素子の数は任意である。
【0020】
図1は、有機EL表示装置用基板における1つの有機EL表示素子のうちの4本の陽極配線1の部分を拡大して示す説明図である。図10に示された構造において、陽極配線1は、陽極用接続部材としての陽極接続配線5で、陽極用共通配線としての陽極エージング用共通配線3に接続される。
【0021】
この実施の形態では、図1に示すように、陽極接続配線5の抵抗値R0,R1を異ならせる(R0≠R1)。すなわち、隣接する陽極接続配線5の抵抗値が異なるように、それぞれの陽極接続配線5を形成する。なお、図1には、1本おき(間に1本が存在すること)に陽極接続配線5の抵抗値を同じにした例が示されている。すなわち、それぞれの陽極接続配線5の抵抗値は、隣接する陽極接続配線5にさらに隣接する陽極接続配線5の抵抗値に等しい。しかし、互いに隣接する陽極接続配線5の抵抗値が異なればよく、1本おきに陽極接続配線5の抵抗値を同じにすることは必須のことではない。また、抵抗値R0,R1の違いは5%程度でよい。その程度でも、以下に説明するシート一括点灯検査工程において、短絡欠点があることを十分に視認できる。
【0022】
図2は、本実施の形態の有機EL表示装置用基板を用いる有機EL表示装置の製造方法の一例を説明するための工程図である。図2に示す方法では、以下のような工程を経て有機EL表示素子が形成され、さらに有機EL表示素子を用いた有機EL表示装置が形成される。
【0023】
(S1)1枚のガラス基板上に配線群および有機EL層を形成する有機EL表示素子形成工程。
(S2)有機EL層を水分などから守るためにガラスなどの対向基板で有機EL表示素子ごとに外気から隔離する封止工程。
(S3)有機EL表示素子にエージングを施すエージング処理を実行するエージング工程。
(S4)配線間(隣接する陽極電極1の間もしくは隣接する陰極電極2の間、または隣接する陽極電極1の間および隣接する陰極電極2の間)の短絡を検出するためのシート一括点灯検査工程。
(S5)ガラス基板を切断して複数の有機EL表示素子に分離する切断工程。
(S6)分離されたそれぞれの有機EL表示素子(パネル)の画素を点灯させて欠点画素を検出するパネル点灯検査工程。
(S7)反射防止のために円偏光板などの光学フィルムを貼り付ける光学フィルム貼付工程。
(S8)有機EL表示素子に、駆動回路などの周辺回路を実装して有機EL表示装置を作成する実装工程。
【0024】
有機EL表示素子形成工程では、ガラス基板上にITOを成膜し、ITOをエッチングして陽極配線1と、陽極接続配線5および陰極接続配線6とを形成する(図10参照)。次に、金属膜を成膜し、金属膜をエッチングして各有機EL表示素子内の引き回し配線と、陽極エージング用共通配線3および陰極エージング用共通配線4とを形成する。その上に、絶縁膜を塗布し露光現像等を行って各画素の発光部となる開口部を形成する。さらに、その上に、有機EL層としての有機薄膜を積層する。有機薄膜として、順に、第1正孔輸送層、第2正孔輸送層、発光層、陰極界面層を形成する。最後に、アルミニウム等の金属で陰極配線2を形成し、陰極引き回し配線に接続する。
【0025】
上記のように、それぞれの陽極接続配線5は、隣接する陽極接続配線5の抵抗値が異なるように形成される。例えば、抵抗値が大きい方の陽極接続配線5の配線長を、抵抗値が小さい方の陽極接続配線5の配線長よりも長くする。配線長を長くするには、陽極配線1と陽極エージング用共通配線3との間で、例えば蛇行するように陽極接続配線5を形成すればよい。
【0026】
有機EL表示素子形成工程が終了すると、ガラス基板上に形成された複数の単純マトリクス型の有機EL表示素子におけるそれぞれの陽極配線1がガラス基板上で陽極用接続配線5を介して陽極エージング用共通配線3に電気的に接続され、複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陰極配線2がガラス基板上で陰極用接続配線6を介して陰極エージング用共通配線4に電気的に接続された構造を有する有機EL表示装置用基板が形成される。
【0027】
封止工程では、有機EL表示素子形成工程でガラス基板上に形成された有機EL層を水分から守るために、第2の基板としての他のガラス基板1枚を、ガラス基板に対して対向配置し、間隙材としての周辺シール材によって双方のガラス基板を接合する。そして、2枚のガラス基板と周辺シール材とによって形成された封止空間の内部に乾燥窒素ガスを封入する。
【0028】
次いで、エージング工程を実施する。エージング工程において実行されるエージング処理では、陽極配線1および陰極配線2に対してエージングのための通電処理を行うために、陽極エージング用共通配線3および陰極エージング用共通配線4にエージング用の電圧印加装置を接続する。そして、エージング工程では、複数の有機EL表示素子が形成されているガラス基板の周囲温度を室温以上、好ましくは80℃以上の高温に設定して通電処理を行う。高温で通電処理を行うことによって、短い時間で所望の輝度低下をさせることができる。通電処理を行う際の温度は、有機EL表示素子が変質しない範囲で、できるだけ高い温度にすることが好ましい。高温にしても、円偏光板などの光学フィルムを貼り付ける光学フィルム貼付工程より前の工程での処理であるから、光学フィルムに熱による悪影響を与えることはない。
【0029】
さらに、有機EL表示装置用基板に形成されている全ての有機EL表示素子における全ての画素を一括して点灯させることによってシート一括点灯検査工程を実施する。この段階では、全ての有機EL表示素子における全ての陽極配線1および陰極配線2が接続されているので、全ての画素を一括して点灯させることは容易である。
【0030】
図1に例示されたように、隣接した陽極接続配線5の抵抗値を異ならせた場合には、隣接する陽極配線1間に短絡が生じていないときには、図3(A)に示すように、有機EL表示素子(パネル)に1本おきに縦縞が現れる。図3(A)において白色で表されている各矩形部分は抵抗値が小さい陽極接続配線5に接続される陽極配線1に対応する画素を示し、斜線が施された各矩形部分は抵抗値が大きい陽極接続配線5に接続される陽極配線1に対応する画素を示す。なお、図3には、パネルにおける全画素のうちの36画素の部分が例示されている。
【0031】
隣接する陽極配線1間で短絡が生じている場合には、図3(B)に例示するように、パネルにおいて連続した2列(短絡した2列)が同輝度になる。しかも、その2列の輝度は、左右の隣接するいずれの列の輝度とも異なる。隣接する陽極配線1間で短絡が生じている場合には、図4に示すように、2本の陽極配線1に対して抵抗値R0の抵抗と抵抗値R1の抵抗との並列抵抗が接続されたことになり、その並列抵抗の抵抗値は、抵抗値R0とも異なり、抵抗値R1とも異なるからである。
【0032】
従って、シート一括点灯検査工程において、目視検査によって、陽極配線1間で短絡が生じているか否か判定することができる。なお、輝度変化については、厳密には、陽極配線1自身の抵抗値も考慮に入れなければならない。しかし、陽極配線1自身の抵抗値を考慮に入れても、隣接する陽極配線1間で短絡が生じているときには、(陽極配線1の抵抗値+陽極接続配線5の抵抗値)は、短絡が生じていないときとは異なる値になる。
【0033】
また、目視検査ではなく、画像処理によって検査を行うようにしてもよい。例えば、カメラでパネルの表示状態を撮影し、撮影した画像の輝度を示す信号をパーソナルコンピュータ等に入力する。そして、パーソナルコンピュータが、撮影された画像における各画素の輝度をディジタルデータに変換し、輝度が同じ2列が存在し、かつ、その2列の輝度が左右の隣接列の輝度と異なることを検出したら、そのような2列の位置を示す情報を短絡欠点情報として出力する。
【0034】
以上の説明では、陽極配線1間の短絡を検出するために、隣接する陽極接続配線5の抵抗値が異ならせたが、陰極配線2間の短絡を検出するために、隣接する陰極用接続部材としての陰極接続配線6の抵抗値を異ならせるようにしてもよい。具体的には、図1に例示した場合と同様に、1本おきに陰極接続配線6の抵抗値を同じにする。
【0035】
その場合、隣接する陰極配線2間に短絡が生じていないときには、図5(A)に示すように、有機EL表示素子(パネル)に1本おきに横縞が現れる。隣接する陰極配線2間で短絡が生じている場合には、図5(B)に例示するように、パネルにおいて連続した2行が同輝度になる。しかも、その2行の輝度は、上下の隣接するいずれの行の輝度とも異なる。従って、シート一括点灯検査工程において、目視検査等によって、陰極配線2間で短絡が生じているか否か判定することができる。
【0036】
さらに、陽極配線1間の短絡を検出するために隣接する陽極接続配線5の抵抗値を異ならせるとともに、陰極配線2間の短絡を検出するために隣接する陰極用接続部材としての陰極接続配線6の抵抗値を異ならせるようにしてもよい。例えば、図1に例示した場合と同様に、1本おきに陽極接続配線5の抵抗値を同じにし、かつ、1本おきに陰極接続配線6の抵抗値を同じにする。
【0037】
すると、隣接する陽極配線1間に短絡が生じていない場合であって、かつ、隣接する陰極配線2間に短絡が生じていないときには、図6(A)に示すように、有機EL表示素子(パネル)に1本おきに縦縞および横縞が現れる。しかし、隣接する陽極配線1間で短絡が生じている場合には、図6(B)に例示するように、パネルにおいて連続した2列が同輝度になる。しかも、その2列の輝度は、左右の隣接するいずれの列の輝度とも異なる。また、隣接する陰極配線2間で短絡が生じている場合には、図6(C)に例示するように、パネルにおいて連続した2行が同輝度になる。しかも、その2行の輝度は、上下の隣接するいずれの行の輝度とも異なる。従って、シート一括点灯検査工程において、目視検査等によって、陽極配線1間に短絡が生じているか否かと、陰極配線2間で短絡が生じているか否かとを判定することができる。
【0038】
なお、シート一括点灯検査工程で、陽極配線1および陰極配線2において断線が生じているか否かも検査することが好ましい。断線が生じている場合には、断線箇所よりも後(電源よりも遠い側)の部分が消灯するので、やはり、目視検査等によって容易に断線が生じているか否か判定することができる。
【0039】
(実施の形態2)
上記の実施の形態では、ガラス基板上で表示領域を形成する有機EL表示素子の矩形平面の2つの辺(図10に示すように左辺および下辺)から配線が引き出されるように構成されているが、有機EL表示装置には、ガラス基板上で、表示領域を形成する有機EL表示素子の矩形平面の3つの辺から配線が引き出されるように構成されたものがある。つまり、陽極配線1と駆動回路または陽極実装端子とを接続する配線(以下、陽極引き回し配線という。)が矩形平面の一辺から引き出され、陰極配線2と駆動回路または陰極実装端子とを接続する配線(以下、陰極引き回し配線という。)が左右両辺から引き出されるように構成されたものがある。なお、COF(Chip On Film)やTAB(Tape Automated Bonding)によって駆動回路が実装される場合に、ガラス基板上に陽極実装端子と陰極実装端子とが形成され、陽極配線1が陽極引き回し配線で陽極実装端子に接続され、陰極配線2が陰極引き回し配線で陰極実装端子に接続される。また、例えば、奇数行の陰極配線2が、有機EL表示素子の左辺において陰極引き回し配線と接続され、偶数行の陰極配線2が、有機EL表示素子の右辺において陰極引き回し配線と接続される。
【0040】
図7は、COFまたはTABによって駆動回路(図示せず)と接続される有機EL表示装置200を模式的に示す平面図である。なお、1枚のガラス基板上に多数の有機EL表示装置が互いに接触して形成されるが、図7には、1つの有機EL表示装置200のみを示す。また、符号201は、有機EL表示装置用基板において、有機EL表示装置200の直下に位置する有機EL表示装置を示す。また、図7に示す例では、有機EL表示装置200における表示領域(図8参照)の部分が有機EL表示素子に相当する。また、以下、陽極配線1を単に陽極といい、陰極配線2を単に陰極という。
【0041】
図7に示すように、陽極実装端子8と2つの陰極実装端子9とが有機EL表示装置200における下部に形成され、陽極引き回し配線10が陽極実装端子8の上部から有機EL表示素子に延び、陰極引き回し配線11が陰極実装端子9の上部から有機EL表示素子に延びている場合には、上記の第1の実施の形態を適用することは難しい。ガラス基板上で、陽極を有機EL表示装置200の外部において電気的に接続するための経路(配線)を確保すると同時に、左右の領域に存在する全ての陰極引き回し配線11を有機EL表示装置200の外部において電気的に接続するための経路を確保することが難しいからである。
【0042】
そこで、図7に示す比較例とは異なり、図8に示すように、陽極用接続部材としての陽極エージング用引出線23と陰極用接続部材としての陰極エージング用引出線24とを形成して、陽極を有機EL表示装置100の外部において電気的に接続するための経路を確保するとともに、左右の領域に存在する全ての陰極引き回し配線11を有機EL表示装置100の外部において電気的に接続するための経路を確保する。
【0043】
図8に示すように、有機EL表示装置100,101の下部の中央には、有機EL表示素子とドライバICなどの駆動回路とを接続するための陽極実装端子8が形成され、有機EL表示装置100,101の下部の左右には、それぞれ、陰極実装端子9が形成されている。例えば、左側の陰極実装端子9は、奇数行の陰極に電気的に接続され、右側の陰極実装端子9は、偶数行の陰極に電気的に接続される。陽極実装端子8および陰極実装端子9には、ガラス基板がそれぞれの有機EL表示装置毎に切断された後、COFやTABで駆動回路が実装されたフィルム状基板が接続される。なお、陽極実装端子8の領域には、有機EL表示素子の陽極の数に応じた数の端子が形成されている。また、陰極実装端子9には、有機EL表示素子の陰極の数に応じた数の端子が形成されている。
【0044】
有機EL表示素子の陽極と陽極実装端子8とは、陽極配線引き回し配線10で接続されている。また、有機EL表示素子の陰極と陰極実装端子9とは、有機EL表示素子の左右外側において陰極配線引き回し配線11で接続されている。なお、陽極配線引き回し配線10の領域には、有機EL表示素子の陽極の数に応じた数の配線が形成されている。また、陰極配線引き回し配線11の領域には、有機EL表示素子の陰極の数に応じた数の配線が形成されている。
【0045】
第1の実施の形態の場合と同様に、有機EL表示装置100,101を作製するときに、ガラス基板上に、ガラス基板上に形成されている全ての有機EL表示装置の陽極に通電するための陽極エージング用共通配線3と、全ての有機EL表示装置の陰極に通電するための陰極エージング用共通配線4とが形成される。図8に示す例では、有機EL表示装置100,101における左端部分に、ガラス基板上で一列をなす複数の有機EL表示装置100,101の陽極に通電するための陽極エージング用共通配線3が形成され、右端部分に、ガラス基板上で一列をなす複数の有機EL表示装置100,101の陰極に通電するための陰極エージング用共通配線4が形成されている。
【0046】
また、有機EL表示装置100,101の上部(有機EL表示素子を挟んで陽極実装端子8および陰極実装端子9と反対側)には、陽極配線用接続部材としての陽極エージング用接続抵抗21と、陰極配線用接続部材としての陰極エージング用接続抵抗22とが形成されている。なお、陽極エージング用接続抵抗21の領域には、有機EL表示素子の陽極の数に応じた数の抵抗体が例えばITOや金属膜で形成されている。また、陰極エージング用接続抵抗22の領域には、有機EL表示素子の陰極の数に応じた数の抵抗体が例えばITOや金属膜で形成されている。
【0047】
陽極エージング用接続抵抗21および陰極エージング用接続抵抗22は、エージング処理中に一つの有機EL表示素子において陽極と陰極の間で短絡が生じたときに他の有機EL表示素子に印加される電圧が低下することを防止する等の目的で設けられている。なお、第1の実施の形態においても、陽極エージング用接続抵抗および陰極エージング用接続抵抗を設けることが好ましいが、陽極接続配線5および陰極接続配線6の抵抗値を高くすることによって、陽極エージング用接続抵抗および陰極エージング用接続抵抗としての役割を果たさせることができる。
【0048】
有機EL表示装置101に着目すると、図8に示すように、陰極エージング用共通配線4から見て遠い側にある陰極エージング用接続抵抗22と陰極エージング用共通配線4とを接続するための陰極エージング用引出線24は、陰極エージング用接続抵抗22から引き出された後、有機EL表示装置101に隣接する有機EL表示装置100において陰極引き回し配線11の外側(有機EL表示素子の反対側)で配線され、さらに、有機EL表示素子と陰極エージング用接続抵抗22および陽極エージング用接続抵抗21との間を配線されて陰極エージング用共通配線4に接続されるように形成されている。なお、有機EL表示装置101に限らず、ガラス基板上に形成されている他の有機EL表示装置についても、陰極エージング用引出線24は、陰極エージング用接続抵抗22から引き出された後、直上に位置する有機EL表示装置において陰極引き回し配線11の外側で配線され、さらに、有機EL表示素子と陰極エージング用接続抵抗22および陽極エージング用接続抵抗21との間を配線されて陰極エージング用共通配線4に接続される。
【0049】
図8に示すように、2つの陰極エージング用引出線24の長さは互いに異なっている。すなわち、図8において、右側に引き出されている陰極エージング用引出線24の長さは、左側に引き出されている陰極エージング用引出線24の長さよりも短い。すると、図7を参照すると、隣接する陰極に対応する陰極エージング用引出線24(陰極用接続部材に相当)の抵抗値が異なっていることになる。
【0050】
よって、第1の実施の形態の場合と同様に、隣接する陰極間に短絡が生じていないときには、図5(A)に示すように、有機EL表示素子(パネル)に1本おきに横縞が現れる。隣接する陰極間で短絡が生じている場合には、図5(B)に例示するように、パネルにおいて連続した2行が同輝度になる。しかも、その2行の輝度は、上下の隣接するいずれの行の輝度とも異なる。従って、シート一括点灯検査工程において、目視検査等によって、陰極配線2間で短絡が生じているか否か判定することができる。
【0051】
以上に説明したように、上記の各実施の形態では、多数の有機EL表示素子が形成されている有機EL表示装置用基板において、それぞれの陰極と陰極エージング用共通配線とを接続するそれぞれの陰極用接続部材を、隣接する陰極用接続部材の抵抗値が異なるように形成したので、多数の有機EL表示素子について一括して陰極同士の短絡が生じているか否か検査することができる。また、第1の実施の形態では、多数の有機EL表示素子が形成されている有機EL表示装置用基板において、それぞれの陽極と陽極エージング用共通配線とを接続するそれぞれの陽極用接続部材を、隣接する陽極用接続部材の抵抗値が異なるように形成したので、多数の有機EL表示素子について一括して陽極同士の短絡が生じているか否か検査することができる。
【0052】
よって、切断工程よりも前に検査を実行でき、検査の効率が高まる。また、配線間の短絡が生じていることを早めに検出することができるので、短絡が発生した工程に早くフィードバックをかけることができる。さらに、個々の有機EL表示素子(パネル)の画素を点灯させて欠点画素を検出するパネル点灯検査工程においても配線間の短絡を検出するので、短絡検出の工程が増えることになる。その結果、短絡検出の精度が向上し、有機EL表示素子の品質がより向上する。
【0053】
図9は、全ての陽極用接続部材の抵抗値を同じにし、全ての陰極用接続部材の抵抗値を同じにして、シート一括点灯検査を試みた場合の有機EL表示素子の表示例を示す説明図である。隣接する陽極配線1間に短絡が生じていない場合であって、かつ、隣接する陰極配線2間に短絡が生じていないときには、図9(A)に示すように、有機EL表示素子(パネル)は全画素が同じ輝度で点灯する。
【0054】
しかし、陽極配線1間に短絡が生じても、図9(B)に示すように輝度変化は生じない。短絡が生じた2本の陽極に接続されている陽極用接続部材の抵抗値が同じであるから、2本の陽極に流れる電流値が、短絡が生じていない場合とほぼ等しいからである。また、陰極配線2間に短絡が生じても、図9(C)に示すように輝度変化は生じない。短絡が生じた2本の陰極に接続されている陰極用接続部材の抵抗値が同じであるから、2本の陰極に流れる電流値が、短絡が生じていない場合とほぼ等しいからである。従って、シート一括点灯検査を試みても、陽極配線および陰極配線に短絡が生じたことを確認することができない。
【0055】
それに対して、上記の各実施の形態では、隣接する接続部材(陽極用接続部材もしくは陰極用接続部材、または陽極用接続部材および陰極用接続部材)の抵抗値が異なるので、隣接する陽極配線または陰極配線に短絡が生じた場合には、短絡が生じていない場合に比べて電流値が変化する。その結果、輝度変化が生じ、短絡が生じたことを容易に視認できる。
【0056】
また、上記の各実施の形態では、隣接する接続部材(陽極用接続部材もしくは陰極用接続部材、または陽極用接続部材および陰極用接続部材)の抵抗値を異ならせ、かつ、1本おきに接続部材の抵抗値を同じにした。すなわち、2本の接続部材を1周期として、異なる抵抗値R0,R1(R0≠R1)の組み合わせが現れるようにした。しかし、周期的に異なる抵抗値の組み合わせが現れるように接続部材を形成する場合に、1周期は「2」(2本の接続部材)である必要はなく、「3」以上であってもよい。さらに、隣接する陽極接続配線5の抵抗値が異なるのであれば、周期的に異なる抵抗値の組み合わせが現れるようにしなくてもよい。例えば、それぞれの抵抗値が単調増加するようにしてもよい。
【0057】
ただし、2色表示(点灯および消灯)の有機EL表示素子では、陽極用接続部材および陰極用接続部材のそれぞれについて、上記の各実施の形態のように1周期は「2」であることが好ましい。1周期が「2」であれば、多数の陽極または陰極のうちのどの2本で短絡が生じても、輝度変化が同じようになって視認しやすいからである。また、カラー表示可能に形成された有機EL表示素子では、陽極をデータ電極にした場合、陽極用接続部材については、1周期は「3」(すなわち2本おきに抵抗値を同じにする。)であることが好ましい。カラー表示可能に形成された有機EL表示素子では、例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)表示用の3本の陽極が隣接して配置され、その3本について陽極用接続部材の抵抗値R0,R1,R2(R0≠R1≠R2)を異ならせれば、配色周期と抵抗値の周期とを一致させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、1枚のガラス基板上に多数の有機EL表示素子が形成される有機EL表示装置用基板に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】有機EL表示素子のうちの4本の陽極配線1の部分を拡大して示す説明図。
【図2】有機EL表示装置の製造方法の一例を説明するための工程図。
【図3】シート一括点灯検査時の有機EL表示素子の表示例を示す説明図。
【図4】隣接する陽極配線間で短絡が生じた場合の抵抗値を説明するための説明図。
【図5】シート一括点灯検査時の有機EL表示素子の表示例を示す説明図。
【図6】シート一括点灯検査時の有機EL表示素子の表示例を示す説明図。
【図7】COFまたはTABによって駆動回路と接続される有機EL表示装置200を模式的に示す平面図。
【図8】第1の実施の形態の有機EL表示装置用基板を示す平面図。
【図9】シート一括点灯検査時の有機EL表示素子の表示例を示す説明図。
【図10】有機EL表示装置用基板を示す平面図。
【符号の説明】
【0060】
1 陽極配線
2 陰極配線
3 陽極エージング用共通配線
4 陰極エージング用共通配線
5 陽極接続配線
6 陰極接続配線
7 表示領域
8 陽極実装端子
9 陰極実装端子
10 陽極配線引き回し配線
11 陰極配線引き回し配線
21 陽極エージング用接続抵抗
22 陰極エージング用接続抵抗
23 陽極エージング用引出線
24 陰極エージング用引出線
100,101 有機EL表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える複数の有機EL表示素子が基板上に形成された有機EL表示装置用基板であって、
前記複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陽極配線が、前記基板上で陽極配線のそれぞれに対応する陽極用接続部材を介して陽極用共通配線に電気的に接続され、
前記複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陰極配線が、前記基板上で陰極配線のそれぞれに対応する陰極用接続部材を介して陰極用共通配線に電気的に接続され、
それぞれの前記有機EL表示素子における各陽極用接続部材の抵抗値が、隣接する陽極用接続部材の抵抗値と異なる
ことを特徴とする有機EL表示装置用基板。
【請求項2】
有機EL表示素子におけるそれぞれの陽極用接続部材の抵抗値は、隣接する陽極用接続部材にさらに隣接する陽極用接続部材の抵抗値に等しい
請求項1記載の有機EL表示装置用基板。
【請求項3】
陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える複数の有機EL表示素子が基板上に形成された有機EL表示装置用基板であって、
前記複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陽極配線が、前記基板上で陽極配線のそれぞれに対応する陽極用接続部材を介して陽極用共通配線に電気的に接続され、
前記複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陰極配線が、前記基板上で陰極配線のそれぞれに対応する陰極用接続部材を介して陰極用共通配線に電気的に接続され、
それぞれの前記有機EL表示素子における各陰極用接続部材の抵抗値が、隣接する陰極用接続部材の抵抗値と異なる
ことを特徴とする有機EL表示装置用基板。
【請求項4】
有機EL表示素子におけるそれぞれの陰極用接続部材の抵抗値は、隣接する陰極用接続部材にさらに隣接する陰極用接続部材の抵抗値に等しい
請求項3記載の有機EL表示装置用基板。
【請求項5】
陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える複数の有機EL表示素子が基板上に形成された有機EL表示装置用基板であって、
前記複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陽極配線が、前記基板上で陽極配線のそれぞれに対応する陽極用接続部材を介して陽極用共通配線に電気的に接続され、
前記複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陰極配線が、前記基板上で陰極配線のそれぞれに対応する陰極用接続部材を介して陰極用共通配線に電気的に接続され、
それぞれの前記有機EL表示素子における各陽極用接続部材の抵抗値が、隣接する陽極用接続部材の抵抗値と異なり、
それぞれの前記有機EL表示素子における各陰極用接続部材の抵抗値が、隣接する陰極用接続部材の抵抗値と異なる
ことを特徴とする有機EL表示装置用基板。
【請求項1】
陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える複数の有機EL表示素子が基板上に形成された有機EL表示装置用基板であって、
前記複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陽極配線が、前記基板上で陽極配線のそれぞれに対応する陽極用接続部材を介して陽極用共通配線に電気的に接続され、
前記複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陰極配線が、前記基板上で陰極配線のそれぞれに対応する陰極用接続部材を介して陰極用共通配線に電気的に接続され、
それぞれの前記有機EL表示素子における各陽極用接続部材の抵抗値が、隣接する陽極用接続部材の抵抗値と異なる
ことを特徴とする有機EL表示装置用基板。
【請求項2】
有機EL表示素子におけるそれぞれの陽極用接続部材の抵抗値は、隣接する陽極用接続部材にさらに隣接する陽極用接続部材の抵抗値に等しい
請求項1記載の有機EL表示装置用基板。
【請求項3】
陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える複数の有機EL表示素子が基板上に形成された有機EL表示装置用基板であって、
前記複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陽極配線が、前記基板上で陽極配線のそれぞれに対応する陽極用接続部材を介して陽極用共通配線に電気的に接続され、
前記複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陰極配線が、前記基板上で陰極配線のそれぞれに対応する陰極用接続部材を介して陰極用共通配線に電気的に接続され、
それぞれの前記有機EL表示素子における各陰極用接続部材の抵抗値が、隣接する陰極用接続部材の抵抗値と異なる
ことを特徴とする有機EL表示装置用基板。
【請求項4】
有機EL表示素子におけるそれぞれの陰極用接続部材の抵抗値は、隣接する陰極用接続部材にさらに隣接する陰極用接続部材の抵抗値に等しい
請求項3記載の有機EL表示装置用基板。
【請求項5】
陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える複数の有機EL表示素子が基板上に形成された有機EL表示装置用基板であって、
前記複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陽極配線が、前記基板上で陽極配線のそれぞれに対応する陽極用接続部材を介して陽極用共通配線に電気的に接続され、
前記複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの陰極配線が、前記基板上で陰極配線のそれぞれに対応する陰極用接続部材を介して陰極用共通配線に電気的に接続され、
それぞれの前記有機EL表示素子における各陽極用接続部材の抵抗値が、隣接する陽極用接続部材の抵抗値と異なり、
それぞれの前記有機EL表示素子における各陰極用接続部材の抵抗値が、隣接する陰極用接続部材の抵抗値と異なる
ことを特徴とする有機EL表示装置用基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−10969(P2007−10969A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191507(P2005−191507)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】
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