説明

有機EL装置及びその製造方法、並びに電子機器

【課題】 有機EL装置において、大型で高品質の画像表示を行う。
【解決手段】 透明な第1基板と、該第1基板における一方の基板面上に所定の第1パターンで配列されて貼り合わせられる複数の第2基板と、(i)第1基板に形成されると共に少なくとも第1基板側へ光を出射する有機EL素子と(ii)第2基板に形成され且つ第2基板が第1基板に貼り合わせられた状態で有機EL素子に電気的に接続されると共に有機EL素子を駆動する駆動素子とを夫々含み、基板面上に所定の第2パターンで配列された複数の画素部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electro-Luminescence)装置及びその製造方法、並びにそのような有機EL装置を備えた各種電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の有機EL装置では、一枚の基板上に、有機EL素子に駆動電流を選択的に流すための駆動用やスイッチング制御用の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下適宜、“TFT”と称する)を含む画素回路及びその配線等が形成され、更に有機EL素子及びその電極等が形成される形式のものが一般的である。更に、特許文献1から5に開示されているように、有機EL素子が形成された基板と、駆動素子が形成された基板とを貼り合わせることによって形成される形式のものも提案されている。このように2枚の基板が貼り合わされた状態で、有機EL素子と駆動素子とは電気的に接続される。
【0003】
ここで、駆動素子を、低温ポリシリコン技術を用いて、比較的大型の基板上に形成するのは一般的に困難である。特許文献6には、駆動素子を製造する際の歩留まりの低下を防止して大型の有機EL装置を製造する技術が開示されている。特許文献6によれば、夫々駆動素子が形成された複数の小型基板を所定パターンで配列させて大型の支持基板に貼り合わせた後、各小型基板上に駆動素子に電気的に接続される有機EL素子を形成する。このように製造された有機EL装置では、駆動時に、支持基板側から表示光を出射させることにより画像表示が行われる。
【0004】
また、特許文献7及び8には、駆動素子を含む素子チップを、配線が形成された基板上に転写する技術が開示されている。この技術によれば、素子チップが基板上に転写された状態で、駆動素子に電気的に接続されて素子チップの表面に形成された第1パッドと、配線に電気的に接続されて基板上に形成された第2パッドとが電気的に接続される。
【0005】
【特許文献1】特開2003−208108号公報
【特許文献2】特開2001−282123号公報
【特許文献3】特開2003−66859号公報
【特許文献4】特開2000−117509号公報
【特許文献5】特開2002−82633号公報
【特許文献6】特開2001−102171号公報
【特許文献7】特開2003−298006号公報
【特許文献8】特表2002−536695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献6に開示された技術によれば、隣接する小型基板間の境目において、有機EL素子から出射された光が反射等することにより、光漏れが生じる恐れがある。これにより、隣接する小型基板の境目が表示画像において視認されることとなり、表示画像の品質が極端に低下してしまう。また、このような事態を防止するために、複数の小型基板の各々の境目に隣接して配置された画素の開口領域を小さくすると、有機EL装置における開口率が低下する。その結果、このような有機EL装置では、各画素の発光量が減ると共に画面全体が暗くなり、やはり表示画像の品質が劣化する。更に、支持基板上に複数の基板を貼り合わせて形成されるため、有機EL装置を薄型化することや大型化することが困難となる。尚、本明細書では、各画素或いは各画素部において発光が行われる領域を「開口領域」とし、各画素の全領域(即ち、開口領域及びそれ以外の非開口領域)に占める開口領域の面積割合を「開口率」として説明する。
【0007】
本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、大型で高品質の画像を表示することが可能な有機EL装置及びその製造方法、及び該有機EL装置を備えた各種電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の有機EL装置は、上記課題を解決するために、透明な第1基板と、該第1基板における一方の基板面上に所定の第1パターンで配列されて貼り合わせられる複数の第2基板と、(i)前記第1基板に形成されると共に少なくとも前記第1基板側へ光を出射する有機EL素子と(ii)前記第2基板に形成され且つ前記第2基板が前記第1基板に貼り合わせられた状態で前記有機EL素子に電気的に接続されると共に前記有機EL素子を駆動する駆動素子とを夫々含み、前記基板面上に所定の第2パターンで配列された複数の画素部とを備える。
【0009】
本発明の有機EL装置は、第1基板と複数の第2基板とが例えば接着部材を介して貼り合わせられることにより形成されている。より具体的には、複数の第2基板は、第1基板における一方の基板面上に、所定の第1パターンとして、例えばマトリクス状に配列されるか又はライン状に配列されて、第1基板と貼り合わせられる。また、このように複数の第2基板が第1基板に貼り合わせられた状態で、前記基板面上には、所定の第2パターンとして例えばマトリクス状或いはライン状に複数の画素部が配列されている。この際、表示画像の解像度或いは精細度を向上させる観点から、画素部は、前記基板面上において第2基板より平面形状が小さいことが望ましく、更に、第2基板の占める領域内に、画素部はマトリクス状或いはライン状に複数配列されるのが好ましい。
【0010】
ここで、各画素部には、第1基板に形成された有機EL素子と、第2基板に形成された駆動素子とが含まれる。そして、第1基板と複数の第2基板とが貼り合わされた状態で、有機EL素子と駆動素子とは電気的に接続されている。有機EL装置の駆動時、各画素部では、駆動素子により有機EL素子が駆動されることにより、該有機EL素子は発光する。そして、有機EL素子より出射された光は表示光として、第1基板側から出射される。
【0011】
よって、本発明の有機EL装置では、画像表示は第1基板側において行われるため、隣接する第2基板の境目において光漏れが生じることで、この境目が表示画像において視認されるのを防止することが可能となる。よって、第1基板上に平面的に見て、第2基板の各辺に隣接して配置された画素部の開口領域を小さくする必要が無いため、高開口率を維持することが可能となる。その結果、本発明の有機EL装置では、各画素の発光量が増すと共に画面全体が明るくなり、高品質の画像表示を行うことが可能となる。
【0012】
また、本発明では特に、両基板の貼り合わせ前における第1基板には、有機EL素子に駆動電流を流すための駆動用TFT、駆動用TFTに画像信号を選択的に供給するためのスイッチング制御用TFT、各画素部への画像信号の書込タイミング、発光タイミング、消去タイミング等の走査信号によるスイッチング制御されるスイッチング用TFT等の半導体素子が、形成されていない。即ち、半導体膜の成膜、パターニング、エッチング、ドーピング等の半導体素子を製造する相対的に複雑高度なプロセスは、第1基板を製造する際には、概ね不要である。代わりに、第1基板には、インクジェット方式等の相対的に簡易なプロセスによって、第2基板に製造される半導体素子と比べて格段に簡単且つ低不良率で製造可能な有機EL素子が主に形成される。よって、第1基板を、高歩留まりで大型化することは容易である。他方で、第2基板は、上述の如き各種TFT等を製造したにせよ、個々の基板自体が小型であるので歩留まりは元来高い。例えば、駆動素子を低温ポリシリコン技術により形成する場合も、第2基板を、該駆動素子の歩留まりを低下させない程度の小型サイズとすることにより、当該有機EL素子の製造工程における歩留まりを向上させることができる。このように、第1基板を大型化しつつ小型の第2基板を複数用いることで、本発明に係る有機EL装置全体としての大型化は、非常に容易となる。
【0013】
以上の結果、本発明によれば、大型で高品質の画像を表示することが可能となる。加えて、第1基板上に、複数の第2基板を配列させて貼り合せるため、例えば特許文献6に開示の技術のように支持基板を用いる場合と比較して、有機EL装置を薄型化することが可能となる。
【0014】
本発明の有機EL装置の一態様では、前記基板面上において、前記複数の画素部は、前記複数の第2基板のうち相隣接する2つの前記第2基板の境目を介して2つの前記画素部が隣接するように配列されている。
【0015】
この態様によれば、前記基板面上に、相隣接する2つの第2基板の境目に、画素部が配置されないように、複数の画素部を形成することが可能となる。この場合、前記基板面上に、複数の画素部のうち、相隣接する2つの第2基板の境目を介して隣り合って配置された2つの画素部を除いた他の画素部は夫々、隣接する第2基板の境目を介して配置された2つの画素部の間隔と同一の間隔で配列されるようにしてもよいし、これら2つの画素部と異なる間隔で配列されるようにしてもよい。
【0016】
よって、隣接する第2基板の境目を介して配置された2つの画素部の間隔を調整することにより、第1基板と第2基板との貼り合わせにおけるマージンを比較的広くすることが可能となる。
【0017】
また、例えば一枚の大型基板を切断することにより複数の第2基板が形成される場合に、この大型基板において切断される個所から離れた領域に、駆動素子を形成できる。よって、隣接する第2基板の境目を介して配置された2つの画素部において、駆動素子を損傷なく形成することができる。
【0018】
その結果、この態様によれば、これら2つの画素部において、高開口率を維持しつつ、より確実に駆動素子と有機EL素子との電気的接続を行うことが可能となる。
【0019】
この態様では、前記複数の画素部間の間隔は、前記複数の画素部のピッチが揃うように、或いは前記境目を介して隣り合う前記2つの画素部のピッチが他の画素部のピッチより大きくなるように設定されていてもよい。
【0020】
この態様によれば、隣り合う第2基板の境目を介して設けられる画素部にダメージを与えることなく、複数の画素部全体のピッチを揃えることが可能である。より具体的には、例えば、一枚の大型基板を分割して複数の小型基板を形成する場合、スクライブ或いはダイシングによって、大型基板から小型基板を分割した後に小型基板の周縁部を更に高精度で切り取り、小型基板を所要の精度で仕上げる工程が行われることが多い。このような場合、隣り合う第2基板の境目を介して隣り合う画素部間に、例えばダイシング及びスクライブによる損傷を受けない程度に十分な間隔を確保したとしても、複数の画素部全体におけるピッチを揃えることは可能である。また、第2基板の境目を介して隣り合う画素部のピッチを他の画素部のピッチより大きくすることによって、スクライブ又はダイシングによるダメージを確実に回避することも可能である。ここで、「ピッチ」とは、平面的に見た場合における各画素部の中心の間隔を意味し、例えば画素部のサイズを一定にした場合には画素部の間隔を変えることによって間接的に変更可能なものである。
【0021】
本発明の有機EL装置の他の態様では、前記基板面上において、前記複数の画素部の各々に前記有機EL素子と異なる位置に形成され、前記有機EL素子に電気的に夫々接続される複数の第1接続端子と、前記第2基板における前記基板面に貼り合わせられる表面上に、前記第1接続端子に対応する位置に前記駆動素子に電気的に接続されて夫々形成され、前記第2基板が前記第1基板に貼り合わせられた状態で、前記第1接続端子に電気的に夫々接続される複数の第2接続端子とを更に備える。
【0022】
この態様によれば、第1基板に複数の第2基板が貼り合わせられた状態で、各画素部において、第1接続端子と第2接続端子とが電気的に接続されることにより、駆動素子と有機EL素子とが電気的に接続される。
【0023】
ここで、第1基板と複数の第2基板とを例えば接着部材を介して貼り合せて、該接着部材を硬化させる際に、各画素部において、第1接続端子と第2接続端子とが電気的に接続されるように、第1基板又は複数の第2基板を加圧することがある。この際、特に第1接続端子及び第2接続端子には、比較的大きい圧力が加わる。よって、各画素部において、第1接続端子及び第2接続端子と有機EL素子とを、第1基板上に平面的に見て同じ位置に配置すると、有機EL素子に比較的大きい圧力が加わることにより、該有機EL素子が損傷する恐れがある。この態様では、各画素部において、第1及び第2接続端子は有機EL素子と異なる位置に形成されるため、有機EL装置の製造時に、有機EL素子が加圧されて損傷する事態を回避することが可能となる。従って、各画素部において、より確実に画像表示を行うことが可能となる。
【0024】
この、複数の第1接続端子及び複数の第2接続端子を更に備える態様では、前記基板面上において、前記複数の画素部のうち、前記第2基板の一辺に隣接する位置に形成された前記画素部には、前記第2接続端子は、前記一辺に対して前記駆動素子を介して離れるように配置されているように構成してもよい。
【0025】
このように構成すれば、前述したように、一枚の大型基板を切断することにより複数の第2基板が形成される場合に、この大型基板において切断される個所との間に十分なマージンをとって第2接続端子を形成できる。よって、前記基板面上に、第2基板の一辺に隣接して配置された画素部において、第2接続端子を損傷なく形成することができる。その結果、この態様によれば、これら第2基板の一辺に隣接して配置された画素部において、より確実に駆動素子と有機EL素子との電気的接続を行うことが可能となる。
【0026】
本発明の有機EL装置の他の態様では、前記第1基板は、前記第2基板の接続部をまたいで設けられた配線部分を有し、隣接する前記第2基板が前記配線部分を介して電気的に接続されていてもよい。
【0027】
この態様によれば、隣接する前記第2基板を互いに電気的に接続する配線等を別途形成することなく、第2基板を互いに隣接するように配置するだけでこれら第2基板を電気的に接続できることになる。
【0028】
本発明の有機EL装置の他の態様では、前記第2基板に形成された配線部分を夫々含み、前記第2基板が前記第1基板に貼り合わせられた状態で前記複数の第2基板を夫々電気的に接続すると共に前記駆動素子を介して前記有機EL素子に電気的に夫々接続される複数の配線を更に備える。
【0029】
この態様によれば、複数の配線として、走査線やデータ線、電源供給線が形成される。そして、このような各配線を介して、駆動素子を駆動させることで、有機EL素子を発光させることが可能となる。
【0030】
ここで、これら複数の配線の各々の一部が、第2基板に、配線部分として形成される。この配線部分は、例えば、第2基板において駆動素子に電気的に接続されて形成される。或いは、配線部分は、隣接する第2基板の各々に形成された別の配線部分同士を互いに電気的に接続するように、隣接する第2基板に渡って形成される。尚、各第2基板において、2以上の配線部分が絶縁膜を介して積層して形成されるようにしてもよい。
【0031】
更に、配線部分は、第2基板の少なくとも一辺に対して画素部を介して隣接するように形成されるのが好ましい。このように構成すれば、複数の配線の形成時において、前述したように、一枚の大型基板を切断することにより複数の第2基板を形成される場合に、この大型基板において切断される個所との間に十分なマージン、即ち間隔をおいて配線部分を形成できる。これにより、複数の配線のうち、第2基板の一辺に対して形成された配線部分を含む一の配線における断線不良を防止することが可能となる。
【0032】
この、複数の配線を更に備える態様では、前記配線部分は、前記第2基板における前記第1基板と貼り合わされた側と反対側の表面に少なくとも部分的に露出するように、形成されているように構成してもよい。
【0033】
このように構成すれば、配線部分の一部を、次のように接続端子として利用することで、多様な電気的接続を複雑な構成を伴わずに行うことが可能となる。例えば、隣接する第2基板において夫々、第1基板と貼り合わされた側と反対側の表面に露出した配線部分の一部同士を、該表面上に形成された別の配線部分を介して電気的に接続することにより、別の配線部分によって、隣接する第2基板同士を、容易に電気的に接続させることが可能となる。或いは、各配線の末端に形成された配線部分において、第2基板において第1基板と貼り合わされた側と反対側の表面に露出した一部に外部回路を電気的に接続させることにより、有機EL装置に外部回路を実装したりすることも可能となる。
【0034】
この、複数の配線を更に備える態様では、前記第1基板に形成され、前記第2基板が前記第1基板に貼り合わせられた状態で前記配線部分に電気的に接続される補助配線を更に備えるように構成してもよい。
【0035】
このように構成すれば、第2基板に形成される配線部分に代えて又は加えて、補助配線によって、隣接する第2基板の各々に形成された配線部分同士を互いに電気的に接続することが可能となる。或いは、同一の第2基板に形成された配線部分同士を、補助配線を介して電気的に接続するようにしてもよい。
【0036】
加えて、補助配線を第2基板における配線部分に対応するパターンで形成し、この補助配線を対応する配線部分に電気的に接続させることにより、配線部分即ち配線の一部の電気的な裏打ちを行うことが可能となる。この際、第1又は第2基板における一方の面上の配線に対して、第1又は2基板における他方の面上に補助配線を設け、両配線間を、第1基板を貫通するコンタクトホールを介して電気的に接続することも可能である。尚、補助配線と同様に、第1又は第2基板における一方の面上の配線と、第1又は2基板における他方の面上の配線部分とを互いに電気的に接続するようにしてもよい。
【0037】
このように配線部分を補助配線によって電気的に裏打ちすることで、各配線の配線抵抗を小さくすることが可能となる。或いは、配線部分が仮に損傷していても、補助配線において電気的導通を確保することで、断線不良が生じるのを防止することが可能となる。尚、第1基板において、2以上の補助配線が絶縁膜を介して積層して形成されるようにしてもよい。
【0038】
この、補助配線を更に備える態様では、前記基板面上において、前記複数の画素部のうち少なくとも一部の前記画素部は夫々、前記配線部分又は前記補助配線を形成するために、前記一部の画素部のうち相隣接する前記画素部が他の前記画素部とは異なる間隔で配列されるか、又は前記他の画素部とは異なる形状のパターンで形成されるように構成してもよい。
【0039】
このように構成すれば、第2基板において、配線部分又は補助配線を形成する領域を確保することが可能となる。ここで、一部の画素部が他の画素部と異なる形状のパターンで形成される場合には、一部の画素部の各々の平面的なサイズは、他の画素部と同等するのが好ましい。このようにすれば、例えば一部の画素部における輝度が他の画素部と異なることで、表示画像全体に渡って均一な明るさが得られず、該表示画像の品質が劣化するのを防止することが可能となる。
【0040】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の有機EL装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
【0041】
本発明の電子機器は、上述した本発明の有機EL装置を具備してなるので、高品質の画像表示を行い且つ薄型化することが可能なテレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなど、更には有機EL装置を露光用ヘッドとして用いたプリンタ、コピー、ファクシミリ等の画像形成装置などの各種電子機器を実現できる。
【0042】
本発明の有機EL装置の製造方法は、上記課題を解決するために、透明な第1基板に、画素部毎に、少なくとも該第1基板側へ光を出射する有機EL素子を所定の第2パターンで配列して形成する第1工程と、複数の第2基板に夫々、前記画素部毎に前記有機EL素子を駆動するための駆動素子を形成する第2工程と、前記第1基板における一方の基板面上に前記複数の第2基板を所定の第1パターンで配列して、前記複数の第2基板を前記第1基板に接着部材を介して貼り合わせる第3工程と、前記有機EL素子と前記駆動素子とを電気的に接続して、前記接着部材を硬化する第4工程とを備える。
【0043】
本発明の有機EL装置の製造方法によれば、上述した本発明の有機EL装置と同様に、大型の有機EL装置を容易に製造すると共に、該有機EL装置の製造工程における歩留まりを向上させることができる。また、有機EL装置において高品質な画像表示を行うと共に、当該有機EL装置を薄型化することが可能となる。
【0044】
本発明の有機EL装置の製造方法の一態様では、前記第4工程では、前記第1基板及び前記第2基板の各々において貼り合わせられる側と反対側の表面を加圧して、前記接着部材を硬化させる。
【0045】
この態様によれば、第4工程において、接着部材を硬化させる際に、駆動素子と有機EL素子とをより確実に電気的に接続させることが可能となる。
【0046】
本発明の有機EL装置の製造方法の他の態様では、前記第1工程は、前記基板面上に、前記画素部に前記有機EL素子と異なる位置に、前記有機EL素子に電気的に接続された第1接続端子を形成する工程を含み、前記第2工程は、前記第2基板における前記基板面に貼り合わせられる表面上に、前記第1接続端子に対応する位置に前記駆動素子に電気的に接続された第2接続端子を形成する工程を含み、前記第4工程では、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを電気的に接続して、前記接着部材を硬化させる。
【0047】
この態様によれば、第4工程では、第1接続端子と第2接続端子とを、例えば導電性の接着部材を介して電気的に接続させるために、第1基板及び第2基板を加圧して接着部材を硬化させるのが好ましい。この際、各画素部において、有機EL素子が比較的大きい圧力で加圧されて損傷する事態を回避することが可能となる。従って、各画素部において、より確実に画像表示を行うことが可能となる。
【0048】
この態様では、前記有機EL素子の陰極及び前記接続端子を形成する工程と、複数の前記有機EL素子を第1の方向に沿って共通に接続する様に陰極を設け、前記接続端子を形成する第1のパターンを形成する工程と、複数の前記有機EL素子を前記第1のパターンと異なる方向に沿って共通に接続する様に陰極を設ける第2のパターンを形成する工程とを含んでいてもよい。
【0049】
この態様によれば、第1パターン及び第2パターンによって、各有機EL素子の陰極側が電気的に接続される。より具体的には、例えば、第1接続端子が、陰極と同時に形成され第1のパターンを介して導電材料を蒸着させることによって、有機EL素子の一部にのみ導電材料を蒸着させることが可能である。第1のパターンは、例えば、導電膜を構成する導電材料の蒸着を阻害する部分の位置に合わせて形成された開口部を有しているため、第1のパターンを用いれば容易に所要の形状に導電膜313及び第1接続端子320を形成できる。
【0050】
この態様では、前記第1のパターン及び第2のパターンの形成を、マスクを用いた物理的蒸着方法により行ってもよい。
【0051】
この態様によれば、効率的に開口部を有する共通陰極のパターンと、その共通陰極の開口部の中の島状のパターンをマスクを用いた物理的蒸着方法により形成することができる。
【0052】
本発明の有機EL装置の製造方法の他の態様では、前記第3工程では、更に各第2基板間を前記接着部材を介して互いに貼り合わせる。
【0053】
この態様によれば、第2基板同士を貼り合せることにより、隣接する第2基板の境目から大気中の水分等が浸入するのを防止して、有機EL素子を第1基板及び第2基板間により確実に封止することが可能となる。これにより、有機EL装置の耐環境性を向上させることが可能となる。尚、このような効果を得るために、第2基板同士を貼り合せるための接着部材は、第1基板と第2基板とを貼り合せるための接着部材と異なる材料、例えば耐水性のより高い材料から形成されるものを用いるとよい。
【0054】
本発明の有機EL装置の製造方法の他の態様では、前記第4工程の後に、少なくとも前記第1基板及び前記第2基板間が前記第1基板の外周に沿って前記接着部材によって覆われるように、前記第1基板及び前記複数の第2基板の少なくとも一部に前記接着部材を塗布して硬化させる工程を更に含む。
【0055】
この態様によれば、第1基板の外周に沿って形成された接着部材によって、第1基板及び第2基板間に大気中の水分等が浸入するのを防止することが可能となる。従って、有機EL装置の耐環境性を向上させることが可能となる。尚、このような効果を得るために、第1基板の外周に沿って、第1基板と第2基板とを貼り合せるための接着部材と異なる材料、例えば耐水性のより高い材料から形成される接着部材を塗布するようにするとよい。
【0056】
本発明の有機EL装置の製造方法の他の態様では、前記第2工程は、前記第2基板に、前記複数の第2基板を電気的に接続すると共に前記駆動素子に電気的に接続される配線を構成する配線部分を形成する工程を含み、前記第4工程の後に、前記配線部分の少なくとも一部を、前記第2基板における前記第1基板と貼り合わせられた側と反対側の表面に露出させる工程を更に含む。
【0057】
この態様によれば、第2基板に配線部分を形成することで、配線として、走査線やデータ線、電源供給線を形成することが可能となる。ここで、第2工程におおいて、第2基板に配線部分を形成する際、予め第2基板に所定の深さの凹部を形成しておいて、この凹部の底から第2基板の表面に連続的に延在する配線部分を形成する。そして、第3工程で、第2基板において凹部が形成された側を、第1基板に対して接着部材を介して貼り合わせて、第4工程において接着部材を硬化させる。その後、第2基板における第1基板と貼り合わせられた側と反対側の表面に対して、例えばCMP(化学的機械研磨)処理を施すことで、凹部の底に形成された配線部分の一部を露出させる。このように露出した配線部分の一部を、接続端子として利用することで、多様な電気的接続を複雑な構成を伴わずに行うことが可能となる。
【0058】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下では、本発明の有機EL装置に係る実施の形態について図を参照しつつ説明する。
【0060】
<1:有機EL装置の全体構成>
先ず、図1及び図2を参照して有機EL装置の全体構成について説明する。図1は、有機EL装置の全体構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、図1のA−A'部分における概略的な断面図を示してある。尚、図2では、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。ここでは、本発明の一例として駆動回路内蔵型のアクティブマトリクス駆動方式の有機EL装置を例にとる。
【0061】
図1及び図2に示すように、有機EL装置1は、第1基板10における一方の基板面上に、複数の第2基板20が所定の第1パターンで配列されて、接着部材30を介して貼り合わせられることで形成される。図1には、9枚の第2基板20が、第1基板10における一方の基板面上に、所定の第1パターンとして例えばマトリクス状に配列される構成を示してある。
【0062】
また、本実施形態では、図2に示すように、有機EL装置においてカラー表示を行うために、大型の第1基板10には、赤色(R)用、緑色(G)用、及び青色(B)用の3種の有機EL素子72r、72g、及び72bが夫々、画素部毎に形成される。
【0063】
小型の第2基板20には夫々、詳細は後述するが、3種の有機EL素子72r、72g、及び72bを夫々駆動するための駆動素子としてTFTや保持容量が形成されると共に、これら駆動素子を含み、画素部毎に有機EL素子72r、72g、若しくは72bを駆動するための画素回路が形成される。そして、第2基板20が第1基板10に貼り合わされた状態で、第2基板20における駆動素子と、第1基板10における有機EL素子72r、72g、若しくは72bとは、接続部420を介して電気的に接続される。接続部420は、第2基板20における、第1基板10に貼り合わせられる側の表面上に、画素部毎に形成される。
【0064】
また、第1基板10の隣接する2辺に沿って、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150が形成されている。本実施形態では、詳細は後述するが、走査線、データ線、及び電源供給線は夫々第2基板20に形成される配線部分を含む。走査線駆動回路130は、マトリクス状に配列された第2基板20に対して行毎に走査信号を供給すると共に、第2基板20に内蔵されて形成された回路部分130aを複数含む。また、データ線駆動回路150は、マトリクス状に配列された第2基板20に対して列毎に画像信号を供給すると共に、第2基板20に内蔵されて形成された回路部分150aを複数含む。尚、走査線やデータ線等の各種配線に電気的に接続される外部回路接続端子を第1基板10又は第2基板20に設けて、外部回路接続端子に走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150を外部回路として、TAB(Tape Automated Bonding)方式やCOG(Chip On Glass)方式により実装するようにしてもよい。
【0065】
次に、図3を参照して、有機EL装置の電気的な構成について説明する。図3は、有機EL装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【0066】
有機EL装置1における画像表示領域110には、複数の第2基板20が第1基板10に貼り合わせられた状態で、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112が設けられると共に、各データ線114に対応して電源供給線117が設けられる。よって、これら各種配線によって、複数の第2基板20同士は電気的に接続される。
【0067】
また、画像表示領域110には、3種の有機EL素子72r、72g、及び72bを含む3種の画素部70r、70g、及び70bが形成される。3種の画素部70r、70g、及び70bは夫々、データ線114及び走査線112の交点に対応して形成されている。これにより、第1基板20において、第2基板20が貼り合わせられる基板面上の画像表示領域110に、所定の第2パターンとしてマトリクス状に3種の画素部70r、70g、及び70bは配列されることとなる。
【0068】
複数のデータ線114及び複数の電源供給線117は夫々、R用、G用、及びB用の3種の画素部70r、70g、及び70bに対応して形成される。図3において、例えば隣接する3本のデータ線114毎に3種の画素部70r、70g、及び70bが設けられる。3本のデータ線114のうち、いずれか1本のデータ線114には、3種の画素部70r、70g、及び70bのうちいずれか1種の画素部が配列され、このように配列された画素部には、対応する種類の電源供給線117が電気的に接続される。
【0069】
そして、第1基板20の、第2基板20が貼り合わせられる基板面上において、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150は、画像表示領域110の周辺に位置する周辺領域に設けられる。走査線駆動回路130は複数の走査線112に走査信号を順次供給する。また、データ線駆動回路150は、画像表示領域110に配線された3種のデータ線114に、R用、G用、及びB用の3種の画像信号を供給する。尚、走査線駆動回路130の動作と、データ線駆動回路150の動作とは、同期信号160によって相互に同期が図られる。また、3種の電源供給線117には夫々、外部回路から電源が供給される。
【0070】
ここで、図4を参照して、3種の画素部70r、70g、及び70bの回路構成について説明する。図4は、3種の画素部70r、70g、及び70bのうちいずれか一つの画素部70の回路構成を示す回路図である。尚、本実施形態では、3種の画素部70r、70g、及び70bは互いに同様の構成で形成されているものとする。また、以下では、3種の画素部70r、70g、及び70bを各々の区別をすることなしに、いずれも画素部70として適宜説明する。
【0071】
図4において、画素部70には、有機EL素子72が設けられると共に、例えばTFTを用いて構成されるスイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74、並びに保持容量78が設けられている。
【0072】
スイッチング用トランジスタ76のゲート電極には走査線112が電気的に接続されており、スイッチング用トランジスタ76のソース電極にはデータ線114が電気的に接続され、スイッチング用トランジスタ76のドレイン電極には駆動用トランジスタ74のゲート電極が電気的に接続されている。また、駆動用トランジスタ74のソース電極には、電源供給線117が電気的に接続されており、駆動用トランジスタ74のドレイン電極には有機EL素子72の陽極が電気的に接続されている。
【0073】
尚、図3及び図4に例示した画素部70の回路構成の他にも、電流プログラム方式の画素回路、電圧プログラム方式の画素回路、電圧比較方式の画素回路、サブフレーム方式の画素回路等の各種方式の画素回路を採用してもよい。
【0074】
<2:第1基板及び第2基板の構成>
次に、図5から図7を参照して、第1基板10及び第2基板20の構成について、より詳細に説明する。図5は、第1基板10上において、隣接する第2基板20の境目付近における、画素部70の配置に係る構成を示すレイアウト図であり、図6は、図5における画素部70のB−B'部分の断面の構成を示す断面図である。また、図7は、第2基板20における画素回路の構成を示すレイアウト図である。尚、図6では、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0075】
本実施形態では、第1基板10において、第2基板20が貼り合わされる基板面上には、第2基板20の占める領域内に、画素部70はマトリクス状に複数配列されるのが好ましい。また、好ましくは、図5に示すように、第2基板20の領域内に配列された画素部70は夫々、隣接する画素部70と所定の間隔d2で配列される。
【0076】
本実施形態では、特に、第1基板10上に、相隣接する2つの第2基板20の境目を介して隣り合う2つの画素部70の間隔d1は、2つの第2基板20の境目に画素部70が配列されないような値としてあるのが好ましい。尚、2つの第2基板20の境目を介して隣り合う2つの画素部70の間隔d1は、第2基板20の領域内に配列された他の画素部70と異なる値とするか、又は同等の値であってもよい。
【0077】
また、第1基板10において、第2基板20が貼り合わされる基板面上には、複数の画素部70の各々に有機EL素子72と異なる位置に形成され、有機EL素子72に電気的に夫々接続される複数の第1接続端子320が設けられる。図5に示すように、第1基板10上において、複数の画素部70のうち、第2基板20の一辺に隣接する位置に形成された画素部70には、この一辺に対して画素部70を介して第1接続端子320が離れるように配置されている。第2基板20の接続部に隣接する画素では、画素部70内で第1接続端子320が接続部から離れた位置となる様に配置している。この様に第1接続端子320を配置することにより、第2基板20上の駆動素子及び配線を形成する領域を接続部から離して配置することが可能となる。第2基板20は接続する辺は、接続する寸法精度を向上するために、駆動素子及び配線を形成した後に切断する必要がある。上記の様な配置をすることにより、第1接続端子320を配置した位置よりも基板接続部から離れた位置の側に駆動素子及び配線を配置することができるため、切断工程の物理的なダメージが駆動素子及び配線へ及ぶことを抑えることができる。また、上記の様な配置をするために、第1基板の画素部70のパターンに、第2基板20の接続部分の近傍のみ、他の領域と異なるパターンを用いても良い。更に、接続部分近傍で画素ので、画素間のピッチを他の領域よりも狭くしても良い。この様にすることで、基板20において、より接続部から離れた位置に駆動素子及び配線を配置することができる。
【0078】
次に、図6を参照して、画素部70の更に詳細な構成について説明する。
【0079】
図6において、透明基板を用いて構成される第1基板10における、第2基板20が貼り合わされる基板面上には、バンク310によって、各画素部70における有機EL層304の形成領域が形成されている。この形成領域に対応して、画素部70毎に有機EL素子72の陽極として透明電極302が配置されている。そして、陽極302上であって、バンク310によって囲まれた領域内に、有機EL層304が形成され、有機EL層304上に、各画素部70毎に有機EL素子72の陰極306が形成される。また、有機EL素子72の形成時、陰極306と同じ工程で、有機EL素子72と異なる位置に第1接続端子320が形成される。第1接続端子320は、バンク310を貫通して陽極302上に至る開口の底から開口の側壁に沿ってバンク310の表面に連続的に、且つ陰極306とは電気的に切断された状態で、形成される。よって、第1接続端子320は、開口の底に露出した陽極302の表面の一部と電気的に接続されることとなる。
【0080】
また、第2基板20には、走査線112やデータ線114の配線部分、並びに各種駆動素子が形成されることにより、画素回路202が作り込まれる。そして、画素回路202に電気的に接続された第2接続端子220が、第2基板20における第1基板10と貼り合わせられる側の基板面上に形成される。この基板面上において、第2接続端子220は、第1基板10上における第1接続端子320に対応する位置に配置されている。
【0081】
第2接続端子220上には、例えば銀(Ag)等の導電材料により形成される導電部材400が形成される。より具体的には、例えば、導電部材400は、Agペーストを塗布することによって形成される。そして、画素部70毎に、第2基板20において、第1基板10に貼り合わせられる側の表面上に、第2接続端子220及び導電部材400を含む接続部420が形成される。第2基板20が第1基板10に貼り合わせられた状態で、導電部材400が接着部材30を押しのけて第1接続端子320に接触することによって、第1接続端子320は導電部材400を介して第2接続端子220に電気的に接続される。この様な接続方法を用いることにより、効率的にかつ確実に第1基板10と第2基板20の電気的接続を取ることができる。このように各部が電気的に接続された有機EL装置1によれば、画像表示領域側、即ち図中第1基板10側から見て画素部70のピッチを揃えることが可能であり、第1基板10側の画像表示領域に一様に配置された画素部70から出射される光によって、高品質の画像を表示できる。
【0082】
ここで、接着部材30は低粘度の材料を用いて形成されるのが好ましい。また、導電部材400を導電性接着剤や異方性導電フィルムにより形成することで、導電部材400が接着部材を兼ねるようにしてもよい。また、接着部材30を、異方性導電接着剤により形成して、導電部材400を設けないようにしてもよい。
【0083】
次に、図7を参照して、画素回路202の構成について説明する。図7は、画素回路202を構成する各種構成要素の配置を示すレイアウト図である。
【0084】
図7に示すように、第2基板20には、走査線112、データ線114、及び電源供給線117の各々の一部である配線部分112a、114a、及び117aが形成されている。また、第2基板20において、画素部70毎に、スイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74並びに保持容量78が、画素部70の回路構成が図4を参照して説明したような構成となるように、配線部分112a、114a、及び117aと、電気的に接続されて形成される。そして、駆動用トランジスタ74に電気的に接続されて、第2接続端子220が形成される。
【0085】
尚、第2基板20において、各種駆動素子や配線部分の少なくとも一部を形成する半導体膜や導電膜は、例えば絶縁膜を介して積層されて形成される。また、隣接する第2基板20の各々に形成された配線部分同士を互いに電気的に接続するように、隣接する第2基板20に渡って別の配線部分が形成されるのが好ましい。更に、配線部分は、第2基板20の少なくとも一辺に対して画素部70を介して隣接するように形成されるのが好ましい。
【0086】
以上説明したような構成を有する有機EL装置の駆動時、走査線112を介して走査信号が供給されることにより、スイッチング用トランジスタ76がオン状態になる。スイッチング用トランジスタ76がオン状態となると、データ線114より画像信号が保持容量78に書き込まれる。この保持容量78に書き込まれた画像信号の電流に応じて、駆動用トランジスタ74の電気的な導通状態が決まる。そして、駆動用トランジスタ74のチャネルを介して電源供給線117より、保持容量78に書き込まれた画像信号に応じた電流が有機EL素子72の陽極302に供給されると、供給された電流に応じて有機EL層304が、赤色、緑色、又は青色のいずれか一種に相当する光を発光する。本実施形態では、有機EL素子72からの発光は、第1基板10側から表示光として出射される。
【0087】
よって、本実施形態では、第1基板10における一方の基板面上に複数の第2基板20が第1パターンで配列され、複数の画素部70が第2パターンで配列されることにより、例えば50インチ程度のサイズを有する大型の有機EL装置を形成することが可能となる。以上第1基板10の一方の面上に複数の画素部70をマトリックス状に配置し、第1基板10と貼り合せる複数の第2基板20をマトリックス状に配置する構成を説明したが、第1基板10上に配置する複数の画素部を列状とし、複数の第2基板20を列状に配置する構成を用いてもよい。このように本発明は画素部70の様々な配置に対応することが可能であり、歩留まりを低下させることなく大型化に対応することができる。或いは、複数の第2基板20をライン状に配列すると共に、複数の画素部70をマトリクス状に配列するようにしてもよい。このように、本実施形態では、第1基板10上に、複数の第2基板20及び複数の画素部70を夫々多様なパターンで配列させることが可能であり、その結果、有機EL装置において多様な画像表示を行うことが可能となる。
【0088】
また、本実施形態の有機EL装置では、画像表示は第1基板10側において行われるため、隣接する第2基板20の境目において光漏れが生じることで、この境目が表示画像において視認されるのを防止することが可能となる。よって、第1基板10上に平面的見て、第2基板20の各辺に隣接して配置された画素部70の開口領域を小さくする必要が無いため、高開口率を維持することが可能となる。その結果、有機EL装置において高品質の画像表示を行うことが可能となる。更に、複数の第2基板20を配列させるための支持基板を用いる場合と比較して、有機EL装置を薄型化することが可能となる。
【0089】
尚、本実施形態では、画素部70の構成は、図5から図7を参照して説明した構成に限定されない。
【0090】
<3:有機EL装置の製造方法>
次に、図1から図7に加えて、図8及び図9を参照して有機EL装置の製造プロセスについて説明する。図8は、本実施形態における有機EL装置の製造プロセスにおける各工程を説明するためのフローチャートを示す図であって、図9は、製造プロセスの各工程における図2に対応する断面の構成を示す断面図である。
【0091】
図8において、先ず、第1基板10に有機EL素子72を形成する(ステップS101)。また、この際、有機EL素子72に電気的に接続する第1接続端子320を画素部70毎に形成する。本実施形態では、スイッチング用トランジスタ76等の半導体素子を含む画素回路202は、第1基板10には形成されない。代わりに、第1基板10には、インクジェット方式等の相対的に簡易なプロセスによって、第2基板20に製造される画素回路202と比べて格段に簡単且つ低不良率で製造可能な有機EL素子72が主に形成される。よって、第1基板10を、高歩留まりで大型化することは容易である。
【0092】
他方、第1基板10に係る製造工程と並行して又は相前後して、次のように複数の第2基板20を形成する(ステップS102)。例えば、一枚の大型基板に、第2基板20毎に、例えば低温ポリシリコン技術により、配線部分や各種駆動素子を形成することで、画素回路202を形成する。更に、各画素回路202に電気的に接続される第2接続端子220を形成し、例えば印刷法により第2接続端子220上に導電部材400を形成する。その後、大型基板を切り分けることによって、複数の第2基板20を形成する。
【0093】
本実施形態では、既に説明したように、複数の第2基板20が第1基板10に貼り合わせられた状態で、相隣接する2つの第2基板20の境目を介して隣り合う2つの画素部70の間隔d1は、2つの第2基板20の境目に画素部70が配列されないような値としてある。また、複数の第2基板20が第1基板10に貼り合わせられた状態で、第2基板20の一辺に対して、この一辺に隣接する位置に形成された画素部70を介して、第1及び第2接続端子320及び220並びに配線部分が離れるように配置されている。
【0094】
よって、一枚の大型基板において切断される個所との間に十分なマージン、即ち間隔をおいて、各種駆動素子や配線部分、並びに第2接続端子220を形成できる。よって、各種駆動素子や配線部分、並びに第2接続端子220を損傷無く形成することができる。また、第2基板20を、各種駆動素子の製造に係る歩留まりを低下させない程度のサイズとするのが好ましい。従って、本実施形態では、第2基板20の製造工程における歩留まりを向上させることが可能となる。また、第2基板20の一辺に隣接して配置された画素部70において、より確実に駆動素子と有機EL素子72との電気的接続を行うことが可能となる。
【0095】
続いて、図9(a)に示すように、第1基板10において有機EL素子72が形成された側の基板面上に接着部材30aを塗布する(ステップS103)。
【0096】
その後、図9(b)に示すように、第1基板10上に、複数の第2基板20を夫々位置合わせして貼り合わせた後、図9(b)中、矢印X1及びX2に示す方向から、第1基板10及び第2基板20の各々において貼り合わせられる側と反対側の表面を加圧する(ステップS104)。このように第1基板10及び第2基板20の各々を加圧することにより、既に説明したように、導電部材400が接着部材30aを押しのけることによって第1接続端子320及び導電部材400を接触させることができる。
【0097】
また、前述したように、相隣接する2つの第2基板20の境目を介して隣り合う2つの画素部70の間隔d1を調整することにより、第1基板10と第2基板20との貼り合わせにおけるマージンを比較的広くすることが可能となる。
【0098】
更に、第1基板10上において、複数の画素部70の各々に、第1及び第2接続端子320及び220は、有機EL素子72と異なる位置に形成される。よって、有機EL装置の製造時に、有機EL素子72が加圧されて損傷する事態を回避することが可能となる。従って、各画素部70において、より確実に画像表示を行うことが可能となる。
【0099】
その後、図9(c)に示すように、第1基板10及び第2基板20の各々に対して、図中の矢印X1及びX2に示す方向から加圧した状態で、隣接する第2基板20間に接着部材30aを追加して塗布した後、接着部材30aを硬化させる(ステップS105)。よって、このように、隣接する第2基板20間を更に接着部材30によって相互に接着させることにより、隣接する第2基板20の境目から大気中の水分等が浸入するのを防止して、有機EL素子72を第1基板10及び第2基板20間により確実に封止することが可能となる。これにより、有機EL装置の耐環境性を向上させることが可能となる。
【0100】
尚、第1基板10及び第2基板20を貼り合せるための接着部材30aと異なる材料により形成される接着部材を第2基板20間に追加して塗布することにより、複数の第2基板20同士を貼り合せるようにしてもよい。
【0101】
よって、以上説明したような本実施形態の有機EL装置の製造プロセスによれば、歩留まりを向上させることが可能となり、効率良く有機EL装置を製造することができる。
【0102】
次に、図16及び図17を参照しながら、第1基板10に形成される陰極306及び第1接続端子320の形成方法を説明する。図16は、第1基板10上に陰極306及び第1接続端子320を形成する工程を順次示した工程図である。図17は、陰極306及び第1接続端子320を形成する際に用いられるマスクのパターン形状の一例を示す図である。尚、図16では、説明の便宜上、第1基板10の一部を示しているが、第1基板10の他の領域でも同様にして陰極306及び第1接続端子320が形成されることは言うまでもない。
【0103】
図16(a)において、陽極302が第1基板10上の画素部が形成されるべき領域71の全体に形成されている。陽極302上には、バンク310及び311が形成されており、バンク310及び311によって囲まれたL字型の領域316に有機EL層304が形成されている。領域71の端には、バンク310及び311を貫通して陽極302の表面の一部が臨む開口部312が形成されている。
【0104】
図16(b)において、図中上下方向(第1の方向)に沿って導電膜313を形成する。導電膜313は、領域316のうちL字の一辺に相当する領域を覆うように形成され、有機EL層304の陰極側に電気的に接続されている。導電膜313は、図中上下方向に沿って各画素部が形成されるべき領域71に渡って延在するように形成され、画素部に共通に接続される陰極306の一部を構成する。
【0105】
第1接続端子320は、導電膜313と同時に形成される。より具体的には、図17(a)に示すように、第1マスク330を介して導電材料を蒸着させることによって、有機EL層304の一部及び開口部314にのみ導電材料を蒸着させることが可能である。第1マスク330は、導電膜を構成する導電材料の蒸着を阻害する部分331と、開口部312の位置に合わせて部分331の一部に形成された開口部332を有している(第1のパターン)ため、第1マスク330を用いれば容易に所要の形状に導電膜313及び第1接続端子320を形成できる。上記の陰極及び第1接続端子を形成する成膜方法は、真空加熱蒸着法を用いることができる。また、他にもスパッタ法やイオンプレーティング法等、物理的蒸着方法を用いることが可能である。
【0106】
図16(c)において、領域316のうち、既に導電膜313が形成されなかった領域を含む領域に導電膜315を形成する。導電膜315は、図17(b)に示す第2マスク340を介して導電材料を蒸着させることによって形成される。第2マスク340は、第1マスク330の開口部332に重なるように図中左右方向(第2の方向)に延在された部分341を有しており(第2のパターン)、部分341に覆われない領域に導電材料が蒸着され、導電膜315が形成される。導電膜315は、導電膜313と共に陰極306を構成する。
【0107】
図16(d)において、第1接続端子320上に導電部材400を形成する。続いて第1基板10及び第2基板20を互いに接着することによって、第1基板10及び第2基板20の夫々対応する部分が電気的に接続されることになる。
【0108】
以上図16及び図17を参照しながら説明したように、図16に示した陰極306及び第1接続端子320の形成工程によれば、陰極306及び第1接続端子320を所要の領域にのみ形成することが可能であり、本実施形態の陰極306等を容易に形成できる。
【0109】
<4:変形例>
次に、以上説明したような本実施形態に係る変形例について、図10から14を参照して説明する。
【0110】
先ず、図10から図12を参照して、本変形例における第1基板10又は第2基板の構成について説明する。図10は、本変形例に係る一の構成について、隣接する第2基板の境目付近における画素部の配置に係る構成を示すレイアウト図であり、図11及び図12は夫々、本変形例に係る他の構成について、隣接する第2基板の境目付近における画素部の配置に係る構成を示すレイアウト図である。
【0111】
図10において、第1基板10に、複数の第2基板20が貼り合わせられた状態で、複数の画素部70のうち、隣接する第2基板20の境目付近に配置された画素部70を次のように配列することで、隣接する第2基板20同士を電気的に接続するための配線部分80が形成される。配線部分80を介して隣接する第2基板20を電気的に接続することが可能である。即ち、第2基板20中の走査線112、データ線114、電源線117に接続する第3接続端子を第2基板の接続部をまたいで接続部の近傍に設けられた配線部分80と重なる位置に設け、この第3接続端子と配線部分80の電気的に接続することで、隣接する第2基板20を電気的に接続することができる。配線部分80と第3接続端子との接続は、第1接続端子と同様の方法を用いることができる。この様な方法を用いることにより、特別な工程を付加する事無く、複数の第2基板20間の電気的接続を取ることができる。さらに、この様な方法を用いることにより、図1に示される様な外周部に接する辺を持たない様な第2基板20が存在する配置も用いることが可能となる。本実施形態では、画素部70周辺での接続例のみを示したが、他の信号線、電源線に関しても同様の方法での接続が可能である。例えば走査線駆動回路130やデータ線駆動回路150等を含む周辺回路間の接続に用いることも可能である。
【0112】
即ち、第2基板20の占める領域内にマトリクス状に配置された画素部70について、隣接する第2基板20の境目付近では、互いに隣り合う2つの画素部70の間隔の値を、例えば第2基板20内から境目に向かって、行毎に段階的にd30、d31、d32に変化させて、配列させる。
【0113】
また、隣り合う2つの画素部70の間隔を変化させることに代えて又は加えて、第2基板20の少なくとも一辺に隣接する画素部70は、他の画素部70と異なる形状のパターンで形成されるのが好ましい。この場合、異なるパターン形状で形成される画素部70の各々の平面的なサイズは、他の画素部70と同等するのが好ましい。このように構成すれば、例えば異なるパターン形状の画素部70における輝度が他の画素部70と異なることで、表示画像全体に渡って均一な明るさが得られず、該表示画像の品質が劣化するのを防止することが可能となる。
【0114】
よって、図10に示す構成によれば、配線部分80を形成する領域を確保することが可能となる。
【0115】
また、図11及び図12に示すように、第1基板10に、例えば走査線112やデータ線114、電源供給線117の補助配線112b、114b、及び117bが形成されるのが好ましい。
【0116】
この場合、図11に示すように、第1基板10において第2基板20が貼り合わせられる側の基板面上において、第2基板20の占める領域内に配置された画素部70の間隔を、一部、値d20又は値d21に変化させて、補助配線112b、114b、及び117bが形成されている。そして、このように形成された補助配線112b、114b、及び117bと、第2基板20上に形成された走査線112やデータ線114、電源供給線117の配線部分112a、114a及び117aとは、第1基板10に複数の第2基板20が貼り合わせられた状態で、電気的に接続される。
【0117】
よって、第2基板20に形成される配線部分に代えて又は加えて、補助配線112b、114b、及び117bによって、隣接する第2基板20の各々に形成された配線部分112a、114a、及び117a同士を互いに電気的に接続することが可能となる。或いは、同一の第2基板20に形成された配線部分112a、114a、及び117a同士を、補助配線112b、114b、及び117bを介して電気的に接続するようにしてもよい。
【0118】
加えて、補助配線112b、114b、及び117bを第2基板20における配線部分112a、114a、及び117aに対応するパターンで形成し、この補助配線112b、114b、及び117bを対応する配線部分112a、114a、及び117aに電気的に接続させることにより、配線部分112a、114a、及び117aの電気的な裏打ちを行うことが可能となる。このように配線部分112a、114a、及び117aを補助配線112b、114b、及び117bによって電気的に裏打ちすることで、走査線112やデータ線114、並びに電源供給線117における配線抵抗を小さくすることが可能となる。或いは、配線部分112a、114a、及び117aが仮に損傷していても、補助配線112b、114b、及び117bにおいて電気的導通を確保することで、断線不良が生じるのを防止することが可能となる。
【0119】
尚、第1基板10において、補助配線112b、114b、及び117bが絶縁膜を介して積層して形成されるようにしてもよい。また、図10を参照して説明した構成と同様に、隣り合う2つの画素部70の間隔を変化させることに代えて又は加えて、画素部70のパターン形状を変化させることで、補助配線112b、114b、及び117bを形成する領域を確保するようにしてもよい。
【0120】
次に、図13及び図14を参照して、有機EL装置の製造方法に係る変形例について説明する。図13は、配線部分の形成に係る製造工程における、第2基板20の断面の構成を順を追って示す工程図であって、図14は、第1基板及び第2基板が貼り合わされた後に行われる工程における図2に対応する断面の構成を示す断面図である。
【0121】
図13(a)において、例えば一枚の大型基板Sにおいて、第2基板20毎に配線部分を形成する際、予めこの大型基板Sに例えば深さH1が100[μm]程度の凹部204を形成しておいて、この凹部204の底から大型基板Sの表面に連続的に延在する配線部分205を形成する。その後、大型基板Sを切断して、複数の第2基板20を形成する。
【0122】
その後、図9(a)から図9(c)を参照して説明した各工程を行って、第1基板10と複数の第2基板20と貼り合わせる。この際、第2基板20において凹部204が形成された側を、第1基板10に対して接着部材30を介して貼り合わせる。
【0123】
続いて、図13(b)において、第2基板20における第1基板10と貼り合わせられた側と反対側の表面に対して、例えばCMP処理を施して、この表面を例えば値H2が100[μm]程度として、アスペクト比が1:1となるように後退させて、凹部204の底に形成された配線部分205の一部を露出させる。
【0124】
よって、このように露出した配線部分205の一部を、接続端子として利用することで、多様な電気的接続を複雑な構成を伴わずに行うことが可能となる。例えば、第1基板10に複数の第2基板20が貼り合わされた状態で、隣接する第2基板20において夫々、第1基板10と貼り合わされた側と反対側の表面に露出した配線部分の一部同士を、該表面上に形成された別の配線部分を介して電気的に接続することにより、該別の配線部分によって、隣接する第2基板20同士を、容易に電気的に接続させることが可能となる。或いは、走査線112やデータ線114等の末端に形成された配線部分において、第2基板20において第1基板10と貼り合わされた側と反対側の表面に露出した一部に外部回路を電気的に接続させることにより、有機EL装置に外部回路を実装したりすることも可能となる。
【0125】
次に、図14において、図9(c)を参照して説明した工程の後に、少なくとも第1基板10及び第2基板20間が第1基板10の外周に沿って接着部材31によって覆われるように、第1基板10及び複数の第2基板20の少なくとも一部に接着部材31を塗布して硬化させるようにしてもよい。また、更に、隣接する第2基板20間にも接着部材31を追加して塗布して硬化させるようにしてもよい。
【0126】
このようにすれば、第1基板10の外周に沿って形成された接着部材31によって、第1基板10及び前記第2基板20間に大気中の水分等が浸入するのを防止することが可能となる。従って、有機EL装置の耐環境性を向上させることが可能となる。尚、このような効果を得るために、第1基板10の外周に沿って、第1基板10と第2基板20とを貼り合せるための接着部材30と異なる材料、例えば耐水性のより高い材料から形成される接着部材31を塗布するようにするとよい。
【0127】
次に、図18を参照しながら、本発明に係る有機EL装置の他の例を説明する。図18は、有機EL装置の他の例の構成を示した断面図である。尚、図18では、図6と共通する部分について共通の参照符号を付している。図18に示すように、本例の有機EL装置100は、画素部に含まれる有機EL素子72毎に設けられた陰極306と、複数の有機EL素子72で共通に電気的に接続された陽極302aを備えている。より具体的には、図18の図中上側である第2基板20側に個別に陰極306が設けられ、陰極306に電気的に接続された第1接続端子320がバンク310上に形成されている。図中下側に配置された第1基板10側に複数の有機EL素子72に共通に接続されるように陽極302aが形成されている。第2基板20側に形成された陰極306は、第2基板20に形成された配線等により互いに電気的に接続されており、これら互いに電気的に接続された陰極306を介して有機EL素子72を流れた電流が装置外部に導かれる。尚、第1基板10及び第2基板は、図1乃至図14を参照しながら説明した装置構成及び製造方法と同様にして互いに接着される。
【0128】
<5:電子機器>
次に、上述した有機EL装置が各種の電子機器に適用される場合について説明する。この有機EL装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図15は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、有機EL装置を用いて構成された表示ユニット1206とを備えている。
【0129】
この他にも、自発光装置は、ノート型のパーソナルコンピュータ、PDA、テレビ、ビューファインダ、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、POS端末、タッチパネルを備えた装置等に、更にはプリンタ、コピー、ファクシミリなどの画像形成装置における露光用ヘッド等に適用することができる。
【0130】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う有機EL装置及びその製造方法、並びにそのような有機EL装置を備えた各種電子機器もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】有機EL装置の全体構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のA−A'部分における概略的な断面図である。
【図3】有機EL装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】画素部の回路構成を示す回路図である。
【図5】画素部の配置に係る構成を示すレイアウト図である。
【図6】図5のB−B'断面図である。
【図7】第2基板における画素回路の構成を示すレイアウト図である。
【図8】本実施形態における有機EL装置の製造プロセスにおける各工程を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図9】製造プロセスの各工程における図2に対応する断面の構成を示す断面図である。
【図10】本変形例に係る一の構成について、画素部の配置に係る構成を示すレイアウト図である。
【図11】本変形例に係る他の構成について、画素部の配置に係る構成を示すレイアウト図である。
【図12】本変形例に係る他の構成について、画素部の配置に係る構成を示すレイアウト図である。
【図13】配線部分の形成に係る製造工程における、第2基板の断面の構成を順を追って示す工程図である。
【図14】第1基板及び第2基板が貼り合わされた後に行われる工程における図2に対応する断面の構成を示す断面図である。
【図15】有機EL装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図16】陰極及び第1接続端子を形成する工程を示す工程図である。
【図17】陰極及び第1接続端子を形成する際に用いられるマスクの形状を示す図である。
【図18】本発明に係る有機EL装置の他の例の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0132】
1,100・・・有機EL装置、10・・・第1基板、20・・・第2基板、70・・・画素部、72・・・有機EL素子、74、76、78・・・駆動素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な第1基板と、
該第1基板における一方の基板面上に所定の第1パターンで配列されて貼り合わせられる複数の第2基板と、
(i)前記第1基板に形成されると共に少なくとも前記第1基板側へ光を出射する有機EL素子と(ii)前記第2基板に形成され且つ前記第2基板が前記第1基板に貼り合わせられた状態で前記有機EL素子に電気的に接続されると共に前記有機EL素子を駆動する駆動素子とを夫々含み、前記基板面上に所定の第2パターンで配列された複数の画素部と
を備えることを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記基板面上において、前記複数の画素部は、前記複数の第2基板のうち相隣接する2つの前記第2基板の境目を介して2つの前記画素部が隣接するように配列されていること
を特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記複数の画素部間の間隔は、前記複数の画素部のピッチが揃うように、或いは前記境目を介して隣り合う前記2つの画素部のピッチが他の画素部のピッチより大きくなるように設定されていること
を特徴とする請求項2に記載の有機EL装置。
【請求項4】
前記基板面上において、前記複数の画素部の各々に前記有機EL素子と異なる位置に形成され、前記有機EL素子に電気的に夫々接続される複数の第1接続端子と、
前記第2基板における前記基板面に貼り合わせられる表面上に、前記第1接続端子に対応する位置に前記駆動素子に電気的に接続されて夫々形成され、前記第2基板が前記第1基板に貼り合わせられた状態で、前記第1接続端子に電気的に夫々接続される複数の第2接続端子と
を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記基板面上において、前記複数の画素部のうち、前記第2基板の一辺に隣接する位置に形成された前記画素部には、前記第2接続端子は、前記一辺に対して前記駆動素子を介して離れるように配置されていること
を特徴とする請求項4に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記第1基板は、前記第2基板の接続部をまたいで設けられた配線部分を有し、隣接する前記第2基板が前記配線部分を介して電気的に接続されていること
を特徴とする請求項1又は4記載の有機EL装置。
【請求項7】
前記第2基板に形成された配線部分を夫々含み、前記第2基板が前記第1基板に貼り合わせられた状態で前記複数の第2基板を夫々電気的に接続すると共に前記駆動素子を介して前記有機EL素子に電気的に夫々接続される複数の配線を更に備えること
を特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項8】
前記配線部分は、前記第2基板における前記第1基板と貼り合わされた側と反対側の表面に少なくとも部分的に露出するように、形成されていること
を特徴とする請求項7に記載の有機EL装置。
【請求項9】
前記第1基板に形成され、前記第2基板が前記第1基板に貼り合わせられた状態で前記配線部分に電気的に接続される補助配線を更に備えること
を特徴とする請求項7又は8に記載の有機EL装置。
【請求項10】
前記基板面上において、前記複数の画素部のうち少なくとも一部の前記画素部は夫々、前記配線部分又は前記補助配線を形成するために、前記一部の画素部のうち相隣接する前記画素部が他の前記画素部とは異なる間隔で配列されるか、又は前記他の画素部とは異なる形状のパターンで形成されること
を特徴とする請求項9に記載の有機EL装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の有機EL装置を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項12】
透明な第1基板に、画素部毎に、少なくとも該第1基板側へ光を出射する有機EL素子
を所定の第2パターンで配列して形成する第1工程と、
複数の第2基板に夫々、前記画素部毎に前記有機EL素子を駆動するための駆動素子を形成する第2工程と、
前記第1基板における一方の基板面上に前記複数の第2基板を所定の第1パターンで配列して、前記複数の第2基板を前記第1基板に接着部材を介して貼り合わせる第3工程と、
前記有機EL素子と前記駆動素子とを電気的に接続して、前記接着部材を硬化する第4工程と
を備えることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項13】
前記第4工程では、前記第1基板及び前記第2基板の各々において貼り合わせられる側と反対側の表面を加圧して、前記接着部材を硬化させること
を特徴とする請求項12に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1工程は、前記基板面上に、前記画素部に前記有機EL素子と異なる位置に、前記有機EL素子に電気的に接続された第1接続端子を形成する工程を含み、
前記第2工程は、前記第2基板における前記基板面に貼り合わせられる表面上に、前記第1接続端子に対応する位置に前記駆動素子に電気的に接続された第2接続端子を形成する工程を含み、
前記第4工程では、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを電気的に接続して、前記接着部材を硬化させること
を特徴とする請求項12又は13に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項15】
前記有機EL素子の陰極及び前記接続端子を形成する工程と、
複数の前記有機EL素子を第1の方向に沿って共通に接続する様に陰極を設け、前記接続端子を形成する第1のパターンを形成する工程と、
複数の前記有機EL素子を前記第1のパターンと異なる方向に沿って共通に接続する様に陰極を設ける第2のパターンを形成する工程とを含むこと
を特徴とする請求項14に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1のパターン及び第2のパターンの形成を、マスクを用いた物理的蒸着方法により行うこと
を特徴とする請求項15記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項17】
前記第3工程では、更に各第2基板間を前記接着部材を介して互いに貼り合わせること
を特徴とする請求項11から16のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項18】
前記第4工程の後に、少なくとも前記第1基板及び前記第2基板間が前記第1基板の外周に沿って前記接着部材によって覆われるように、前記第1基板及び前記複数の第2基板の少なくとも一部に前記接着部材を塗布して硬化させる工程を更に含むこと
を特徴とする請求項11から17のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項19】
前記第2工程は、前記第2基板に、前記複数の第2基板を電気的に接続すると共に前記駆動素子に電気的に接続される配線を構成する配線部分を形成する工程を含み、
前記第4工程の後に、前記配線部分の少なくとも一部を、前記第2基板における前記第1基板と貼り合わせられた側と反対側の表面に露出させる工程を更に含むこと
を特徴とする請求項11から18のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−128057(P2006−128057A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5610(P2005−5610)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】