説明

木材からなる板状体およびその製造方法

【課題】板状体と取付け体との長期間の固定状態を保つ。
【解決手段】雄側螺合部材が螺合する硬質素材からなる雌側螺合部材を抜け止めするとともに、雌側螺合部材の先端側のみを板状体の裏側から露出させて埋め込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル、机、椅子等の木工家具全般および木工構造物に用いられる木材からなる板状体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテーブル、机等の天板や椅子に一体に設けられた台や座部に用いられる板状体を脚部等の取り付け体に取り付ける際には、たとえば、ボルトや木ねじ等を用いて板状体と脚部を連結することによって取り付けている。
また、ボルトや木ねじをねじ込む際には、板状体の表面から突出しないように、板状体に形成されるボルト孔や木ねじの長さが決定される。
しかしながら、ボルトや木ねじは木材からなる板状体に直接ねじ込まれるため、ねじ孔が破損しやすく、また、板状体が薄いものである場合には、ボルトや木ねじを板状体の厚みに対応する短いものを使用しなければならず、板状体の長期間の固定状態を保つのが難しいものであった。
なお、本発明に関連する先行技術文献情報に関しては、本願出願人の知り得る範囲において無い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、板状体と取付け体との長期間の固定状態を保つことを課題とし、この課題を解決する木材からなる板状体およびその製造方法のの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前記目的を達成するため、下記の技術的手段を採用した。
木材からなる板状体であって、雄側螺合部材が螺合する硬質素材からなる雌側螺合部材が抜け止めされるとともに、雌側螺合部材の先端側のみを板状体の裏側から露出させて埋め込まれてなることを特徴とする板状体とした(第1発明)。
前記硬質素材は、金属材や硬質の合成樹脂材が例示できるが、長期間の固定状態を保つということから金属材が好ましい。
また、板状体が取り付けられる取付け体の厚み等に対応するため、前記雌側螺合部材を板状体の裏面から突出させる(第2発明)ようにするとよい。
また、前記抜け止めの具体的構造として、たとえば、後端側に座金を備えた雌側螺合部材とする(第3発明)ことが挙げられる。
また、前記板状体の製造方法であって、雌側螺合部材を貫通した裏面側板と表面側板を固着することを特徴とする製造方法とした(第4発明)。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、下記の優れた効果が期待できる。
第1発明によれば、板状体に埋め込まれた硬質素材からなる雌側螺合部材に雄側羅合部材がねじ込まれるので、螺合部位が破損しにくくなって、板状体と取付け体との長期間の固定状態を保つことができる上に、雌側螺合部材の抜けが防止できる。
また、第2発明によれば取付け体の厚み等に対応することができる。
また、第3発明によれば、雌側螺合部材の抜け止め構造を具体的に提供することができる。
そして、第4発明の製造方法によれば、前記第1発明ないし第3発明の板状体を具体的に製造することができる上に、板状体を傷付けること無く雌側螺合部材を確実に埋め込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の板状体およびその製造方法を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図2は、本発明における板状体の第1の形態を、図3〜図4は、本発明における板状体の第2の形態を、図5〜図7は、本発明における板状体の製造方法の一例を示している。
【0007】
第1の形態の板状体1は、木材からなる板本体11の内部に雌側螺合部材2が埋め込まれ、当該雌側螺合部材2に取付け体3を介して雄側螺合部材(ボルトや木ねじ)4をねじ込むことによって取付け体3との固定状態を保持するようにしたものである。
板本体11は、単板や合板を貼り合せてなるものであり、表面側板1Aと裏面側板1Bとを固着することで構成される。
雌側螺合部材2は、金属材からなるものであり、雌ねじが切られた螺合管21と、当該螺合21よりも大径とする管抜け止め用の座金22とを一体として形成されている。
前記雌側螺合部材2は、前記裏面側板1Bに貫通状に嵌め込まれていて、前記螺合管21の先端を裏面側板1Bの表側面11Bと同面にし、前記座金22の裏面側を裏面側板1Bの裏側面12Bと同面にしている。
このような構成の板状体1によれば、金属材製の雌側螺合部材2が抜け止めされた状態で埋め込まれているので、雄側螺合部材3の長期間に亘るねじ込みにおいても、破損すること無く取付け体3と固定状態を保つことができる。
【0008】
第2の形態の板状体1は、雌側螺合部材2における螺合管21の先端側を裏面側板1Bの表側面11Bから突出させたものであり、取付け体3の厚みに対応する長さ突出させている。
すなわち、板状体1と取付け体3を連結した際に、螺合管21が取付け体3の貫通孔31に嵌合するとともに、螺合管21の先端が取付け体3の表側面32と同面になる。
なお、第1の形態の板状態を重複する部位についての説明は、図面に同符号を付すことにより省略した。
【0009】
次に、本発明に係る板状体の製造方法をその行程順に説明する。
第1行程:裏面側板1Bに雌側螺合部材2における螺合管21が貫通する貫通孔5と、座金22が嵌合する嵌合凹部6を形成する。(図5)
第2行程:前記貫通孔5に螺合管21を嵌合し、嵌合凹部6に座金22を嵌合する。(図6)
第3行程:前記裏面側板1Bと表面側板1Aを接着剤等を用いて貼り付けるとともに、圧をかけて一体に形成する。(図7)
この行程によって雌側螺合部材が埋め込まれた板状体1を製造することができる。
なお、本製造方法では、図面上、第1の形態の板状体を示しているが、これに限定するものではなく第2の形態の板状体も同様の方法で製造できる。
【0010】
なお、本発明は、例示した実施の形態に限定するものでは無く、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1の形態の板状体の断面図。
【図2】同、固定状態の拡大断面図。
【図3】本発明に係る第2の形態の板状体の断面図。
【図4】同、固定状態の拡大断面図。
【図5】本発明にかかる製造方法の第1行程。
【図6】同、第2行程
【図7】同、第3行程
【符号の説明】
【0012】
1:板状体
2:雌側螺合部材
3:取付け体
4:雄側螺合部材
1A:表面側板
1B:裏面側板
21:螺合管
22:座金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材からなる板状体であって、雄側螺合部材が螺合する硬質素材からなる雌側螺合部材が抜け止めされるとともに、雌側螺合部材の先端側のみを板状体の裏側から露出させて埋め込まれてなることを特徴とする板状体。
【請求項2】
前記雌側螺合部材を板状体の裏面から突出させていることを特徴とする請求項1に記載の板状体。
【請求項3】
後端側に座金を備えた雌側螺合部材としていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の板状体。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれか1項に記載の板状体の製造方法であって、雌側螺合部材を貫通した裏面側板と表面側板を固着することを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−205574(P2006−205574A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21538(P2005−21538)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(503438506)協同組合ジャパンウッド (1)
【Fターム(参考)】