説明

材料を乾燥し熱処理する方法及び装置

本発明は糞尿を有機農業施設の入力として有用な新規な肥料及び/又はソイルビルダー製品に変換する装置及び方法を開示する。装置システムは、ガスタービン発電機ユニット(好ましくは熱源)、乾燥容器及び処理ユニットからなる。ここで、ガスタービンと乾燥容器の接続部は実質的に全てのガスタービン排気を乾燥容器に導く空気の乾燥容器への進入を実質的に排除する。乾燥容器は糞尿を受け入れ、タービン排ガスと接触させ、糞尿を乾燥材料に変換する。乾燥材料は処理ユニットに送られ、ここで、グラニュール、ペレット、又は最終乾燥肥料製品用の他の所望の形態に形成する。方法は、糞尿を乾燥、加熱、変換して有機農業及び他の用途用の新規な自己結合肥料及びソイルビルダー型の製品を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糞尿及び汚水を商業的農業、家庭用芝生、庭、開拓用の有機物(好ましくは認定有機物)含有率が高い新規な肥料製品(好ましくは認定された有機肥料)及びソイルビルダー(soil builder)製品に経済的に変換する方法及び設備に関する。
【背景技術】
【0002】
ビーフ、ポーク、鳥肉、エルクその他狩猟動物、ヤギ、ラム、魚、ミルク、チーズ、卵、その他の動物から生成される食品を生成する集中動物飼育及び他の農業施設の数と大きさは、着実に増加してきており、その傾向が続いている。ウール、毛皮その他の繊維製品を生成する羊、ミンク、アルパカ、その他の動物の動物飼育施設についてもあてはまる。一つの用地で多数の動物を収容し飼育する主な利点は、統合した施設は単位製品当たりの運転コストを低減し収益性を向上するというスケールメリットを与えることである。しかしながら、集中し密閉した動物飼育施設の数とサイズは年月を重ねるにつれ成長しているが、これらの施設から糞尿を処理する技術は進歩していない。大部分の糞尿はラグーン(lagoon)又はパイル(pile)に貯蔵され、そこで分解し、これらの施設から離れた現場に輸送され、僅かに処理し又は処理せずに、食用作物が生育する土地に与えられる。この結果、生又は僅かに処理された糞尿を地上に直接与えることについて、雨水による汚染物質の地上水及び地下水への流出や、生物変換又は分解による温室効果ガスの大気への放出を含む、環境的及び健康的な問題がある。
【0003】
鶏卵生産は近年著しく成長している。最小100万の産卵数の雌鳥を収容する多くの卵生産施設がある。なぜなら、生産者は、卵生産と処理設備を大きくし、競争ビジネス環境での経済的性能を向上することに集中しなければならないという問題に直面しているからである。これらの主な生産施設は堆肥化することで糞尿を処分するが、この糞尿の廃棄方法により引き起こされる著しい環境問題がある。
【0004】
酪農場、飼育場及び養豚施設からの動物糞尿は、典型的には70重量%を越える含水率を有し、このような糞尿を経済的に取扱い投棄するのを困難にしている。容積縮小し埋立処分を可能にするために水分を除去することは環境的に望ましくない。直接投棄及び耕作地のための農場への輸送は、費用がかかり、設備に有毒臭気が放出され、糞尿中に汚染物、病原菌、雑草種子が存在するため、環境的に望ましくない。
【0005】
生物変換は、都市下水、家畜廃棄物の処理に通常使用されるが、有機物のバクテリア分解によって有機物の有用な製品(有用な飼料又は燃料)への変換又は分解に言及する。生物変換は嫌気性と好気性を含む。大きな動物飼育施設のオペレータは、土地に付与する前に糞尿を溜めて廃棄物を生物変換消化させるためにラグーンや溜池を建設している。しかしながら、これらのラグーンは地下水や表面水の著しい汚染を生じる。また、広い土地区域を必要とし、有毒臭気、温室効果ガス又は汚染ガスが大気に放出するのを制御できない。生物ガス設備はラグーンからガスを発電機用の燃料として収集するが、そのような設備はガスの一部を収集するだけであり、少量の電気を非効率に発生し、廃棄しなければならないラグーンスラッジを有する。
【0006】
消化、焼却、体積減少、及び/又は分解により上記問題に取り組む従来技術の公報の例として、フィンハムの米国特許第5535528号、ディキンソンらの米国特許第5685153号、マックミュレンらの米国特許第6039774号、ストロメヤーの米国特許第6125633号及び第6173508号、ボウチャラットの米国特許第6171499号、カーチナーの米国特許第6524632号、ドボークの米国特許第6613562号、ソワーの米国特許第6682578号、ボンデらによる米国特許出願第2004/0025715号がある。
【0007】
動物飼育事業及び下水処理に存在する他の問題は、大気汚染であり、メタン及びCOを含む温室効果ガスの排出、有毒臭気を有するガスの排出を含む。住宅地区が拡大するにつれ、多くの人が動物飼育施設に隣接した土地に侵入しており、増大する有毒臭気に関する住民からの不満があがっている。臭気及び大気汚染する糞尿及び該糞尿の生物変換から生じる温室効果ガスに加え、著しい量の有毒ガス及び温室効果ガスが鼓腹、げっぷ、反すうから直接生じる。糞尿(尿及び糞)から直接放出される臭気及び温室効果ガスを制御する必要性に加え、動物自身から放出される臭気及び温室効果ガスを制御し、これらが大気に放出されるのを防止する必要性も認められる。
【0008】
認定された有機作物生産方法及び材料を使用することによって食用作物を生産することもますます強調されている。カナダ、オーストラリア、アメリカ合衆国、ヨーロッパ連合その他の国の政府は、「有機生産」又は「有機的生産」として食物製品を格付けする発達した標準を有し、農産物及び市場製品を適当な標準で「有機」として認定する幾つかの公知の認定機構及び政府機関が存在する。このように「認定有機(certified organic)」の標識及び用語は、認定機構により適用期間標準を満たすと認定された生産物又は農産物、及び有機生産方法の政府機関標準を満たす方法により作られた生産物又は農産物を意味するように発展してきた。最初に、「認定有機」は、農薬、除草剤及び肥料を含む本質的に人工の化学薬品が生育及び生産過程で許容されていないことを意味する。したがって、有機農業従事者は土に糞尿及び有機物を補給し再構築する重大な問題をかかえている。なぜなら、得有効な有機入力材料が利用できないからである。
【0009】
堆肥化された汚物及びその他の材料は、現在有機農業従事者により使用されているが、堆肥材料は栄養価が低く、農作業に有害な変化しやすい病原菌や雑草種子を有している。さらに、堆肥化作用自身により著しい空気と地上水の汚染の問題を生じる。これまで発展してきた認定有機肥料を生産する技術は、製品品質、有効性、環境適合性、又は妥当な価格の商品を提供することの経済的実行可能性の1又は複数の問題により満足のゆくものではなかった。有機または認定有機肥料製品の生産に取り組んだ従来技術と公報の例は、井上の米国特許第5354349号、コンネルの米国特許第6461399号、ディネルの米国特許第6517600号及び第6645267号、スタンパーらの米国特許出願第2003/0038087号、ローガンらの米国特許出願第2003/0089151号、2003/0136165号、ブランソンの米国特許出願第2003/0111410号がある。
【0010】
以上のことから、種々の廃棄物を処分し、有毒な温室効果ガスを制御し、廃棄物を有用でリサイクル可能な製品に変換し、高含水率プロセス流れから水を有効に経済的に除去する、環境的及び経済的に受容できる技術の本質的に満たされていない要求があることが明らかである。本発明は、これらの要求のいくつか又は全てにかなった方法、装置、システム及び製品に向けられている。
【特許文献1】米国特許第5535528号
【特許文献2】米国特許第5685153号
【特許文献3】米国特許第6039774号
【特許文献4】米国特許第6125633号
【特許文献5】米国特許第6173508号
【特許文献6】米国特許第6171499号
【特許文献7】米国特許第6524632号
【特許文献8】米国特許第6613562号
【特許文献9】米国特許第6682578号
【特許文献10】米国特許出願第2004/0025715号
【特許文献11】米国特許第5354349号
【特許文献12】米国特許第6461399号
【特許文献13】米国特許第6517600号
【特許文献14】米国特許第6645267号
【特許文献15】米国特許出願第2003/0038087号
【特許文献16】米国特許出願第2003/0089151号
【特許文献17】米国特許出願第2003/0136165号
【特許文献18】米国特許出願第2003/0111410号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、糞尿原料を肥料及びソイルビルダー製品に変換する、好ましくは認定有機肥料及びソイルビルダー製品に変換する経済的で単純化された方法、システム及び装置を提供する。本発明はさらに、動物飼育施設からの有毒で臭気のある温室効果ガスを制御し収容する経済的で単純化された方法、システム及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一つの局面において、本発明は、糞尿原料から有機肥料製品を製造する方法において、ガスタービン発電機を運転して、電気と排ガスを生成する工程と、糞尿原料を著しく乾燥させることなく約20重量%以下の含水率を有する乾燥肥料材料を生成するのに十分な接触時間、乾燥容器内で前記排ガスを少なくとも約30重量%の含水率を有する糞尿原料と接触させる工程と、前記肥料材料を処理して従来の乾燥肥料の作物生育場への適用に適したグラニュー、ペレット又はプリルの形態の肥料製品に形成する工程とからなる、有機肥料製品製造方法を提供する。
【0013】
他の局面では、本発明は、糞尿原料から肥料材料を生成する方法において、ガスタービン発電機を運転して、電気と1000°F以上の温度を有する排ガスを生成する工程と、糞尿原料を著しく酸化させることなく、約20重量%以下の含水率を有する乾燥肥料材料を生成するのに十分な接触時間、乾燥容器内で前記1000°F以上の温度を有する排ガスを少なくとも約30重量%の含水率を有する糞尿原料と接触させる工程と、オプションとして肥料材料をグラニュー化、ペレット化又はプリル化して、従来の作物育成場での乾燥肥料の適用に適した肥料製品を生成する工程とからなる肥料材料生成方法を提供する。
【0014】
他の局面では、本発明は、糞尿原料を乾燥及び/又は変換して肥料及び/又はソイルビルダー材料を生成する装置において、糞尿原料を受け入れ、前記ガスタービンから接続部を介して排ガスを受け入れるようにされた乾燥容器と組み合わせたガスタービンからなり、前記ガスタービンと前記乾燥容器の間の接続部は前記乾燥容器への空気の導入を実質的に排除するようにされ、オプションとして前記乾燥容器は、前記排ガスと前記糞尿原料の直接接触により前記糞尿原料を乾燥及び/又は変換するようにされている装置を提供する。
【0015】
他の局面では、本発明は、糞尿原料を処理して肥料製品を生成する移動可能な装置において、肥料原料を乾燥して肥料材料を生成するようにされた少なくとも1つの移動可能な乾燥ユニットと、前記乾燥ユニットからの肥料材料を従来の作物育成場での肥料の適用に適した形態を有する肥料製品に形成するようにされた少なくとも1つの移動可能な処理ユニットと、からなる移動可能な装置を提供し、オプションとして前記乾燥ユニットがガスタービンと乾燥容器とからなる移動可能な装置を提供する。さらに、本発明はオプションとして、前記ガスタービンと乾燥容器が、ガスタービン排ガスを乾燥容器に送るようにされるとともに、乾燥容器への空気の導入を実質的に排除するようにされた装置により接続されている移動可能な装置を提供する。
【0016】
他の局面では、本発明は、電気を生成するようにされたガスタービンエンジンからなる第1スキッド搭載ユニットと、ガスタービンに接続され、ガスタービン排ガスを受け入れ、乾燥容器に空気の進入を排除するようにガスタービンに接続するようにされた乾燥容器からなる第2スキッド搭載ユニットと、からなる移動可能な装置を提供する。オプションとして、処理ユニットからなる第3スキッド搭載ユニットが設けられている。好ましくは、本発明の移動可能な装置は、列車搭載、トラック搭載、半トレーラー搭載のユニットからなる。他の局面では、本発明は、ガスタービンと乾燥ユニットからなり、加えて単一のスキッド搭載又はトラック搭載設備のために構成され大きさが決められたオプションとしての処理ユニットからなる移動可能な装置を提供する。他のオプションとしての局面は、
移動可能なユニットのためのエンクロージャを有し、主として騒音減少を操作する。
【0017】
他の局面では、本発明は、著しく酸化することなく十分な温度で、望まれない有機物、微生物、生存種子、農薬、細菌、ホルモン、プリオン又はウィルスを有する糞尿材料に存在するほぼ全ての望まれない成分を破壊又は無害形態に変換するのに十分な時間、熱処理された糞尿原料からなる製品を提供する。好ましくは、前記有機肥料材料は、破壊又は変換されない検出可能レベル以下の望まれない成分を含み、オプションとしてさらに従来の作物育成作業場での乾燥肥料の適用に適した乾燥製品の形態の肥料材料を提供する。この発明は、さらに、糞尿原料を著しく酸化することなく、閉じ込められた空間で、糞尿原料をガスタービン排ガスと接触させた結果、吸収され合成されたNOx、SOx又はCOx成分を含む、熱処理された糞尿原料からなる肥料材料又は製品を提供する。糞尿原料の関連栄養含有率と有機物含有率に依存して、この局面の発明は、類似の特徴を有する有機物含有量の高いソイルビルダー製品を提供するのにも有益である。
【0018】
他の局面では、本発明は、著しく酸化することなく十分な温度で、従来の作物育成作業場での乾燥肥料の適用に適した自己結合肥料材料又は製品を提供するのに十分な時間、熱処理された糞尿原料からなる肥料材料又は製品を提供する。
【0019】
他の局面では、本発明は生物変換糞尿原料からソイルビルダー製品を生成する方法において、ガスタービン発電機を運転して、電気と排ガスを生成する工程と、糞尿原料を著しく乾燥させることなく約20重量%以下の含水率を有する乾燥ソイルコンディショナー材料を生成するのに十分な接触時間、乾燥容器内で前記排ガスを少なくとも約30重量%の含水率を有する糞尿原料と接触させる工程と、オプションとして前記ソイルコンディショナー材料を処理して従来の土への適用に適したグラニュー、ペレット又はプリルの形態のソイルコンディショナー製品に形成する工程とからなる、ソイルビルダー製品製造方法を提供する。
【0020】
他の局面では、本発明は、糞尿原料からの動物ガスと有毒又は臭気のあるガスを処理する装置において、燃焼空気取入口を有するガスタービンと、換気空気を排出する動物シェルターとからなり、燃焼空気取入口は前記動物シェルターから排出される換気空気の一部及び好ましくはほぼ全部を受け入れるようにされているガス処理装置を提供する。前記ガスタービンはオプションとしてガスタービン発電機からなり、オプションとしてガスタービン排気を受け入れ、糞尿原料を受け入れて熱処理するようにされた乾燥容器を含むことができる。他の局面では、この発明は、動物ガス、有毒又は臭気のあるガス、往復エンジンの燃焼空気取入口を通るガスを処理する装置を提供し、オプションとして発電機を含み、オプションとしてエンジン排気を受け入れるようにされた乾燥容器を含む。
【0021】
他の局面では、本発明は、糞尿原料を処理する装置において、動物シェルターから換気空気を受け入れるようにされた燃焼空気取入口を有するガスタービンと、前記ガスタービンから排ガスを受け入れるようにされた接続部を有するとともに、糞尿原料を受け入れる入口を有する乾燥容器と、からなる糞尿原料処理装置を提供する。オプションとして、燃焼空気取入口は動物シェルターの換気装置に接続するようにされ、これにより燃焼空気取入口は前記動物シェルターから排出される実質的に全ての換気空気を受け入れる。さらにこの局面において、前記乾燥機容器と前記ガスタービン排ガスとの間の接続部は前記乾燥容器への空気の導入を実質的に排除するようにされている。
【0022】
前記局面及び他の局面は以下の説明から当業者に明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は糞尿及び家畜からのガス、地方自治体からの下水によって生じる環境汚染のますます増加する問題の経済的、効率的な単純化された解決手段を提供する。今まで提供された従来の方法及び装置は糞尿とガスの安全で環境的に受け入れられる形態への変換が十分に効率的ではなかったし、大小の商業施設に対して経済的に実現可能ではなかった。従来の装置に存在する他の問題は、不経済な運転、浄化できないこと、空気汚染を防止できないことなどである(実際にはプロセスの運転において追加の環境問題を生じる)。
【0024】
従来の装置の例とそれらの欠陥は以下のものを含む。好気性であろうと嫌気性であろう消化工程が遅く、非能率であり、埋立地に廃棄し、又は土地に散布しなければならないような汚泥を生じる。燃料用のバイオガス、典型的にはメタンを生成するように設計された消化又は堆肥化システムは、燃料の経済的に有益な燃料を生成しないし、運転が高価である。なぜなら、燃料生成は十分な速度で生成されないし、経済的な運転のための十分な熱価(thermal value)を有しないからである。それは、燃焼したときに環境的に受け入れられない排気を発生し、可変の内容物により効率的に燃焼することが困難である「低質(dirty)」燃料である。この可変で一貫性のない容量の汚染物と燃料価(fuel value)は、腐食や制御できない予測できない燃焼条件により、実際にガスタービンや往復エンジンのような幾つかの装置を損傷する。生物ガス生成運転は環境的に受容できる方法で廃棄するにはコストがかかる劣化スラッジを生成する。肥料やソイルコンディショナー製品を生成するように設計された消化や堆肥化装置は、生成した製品に有害で耕作地での使用、特に認定有機使用が禁じられている生物又は化学汚染物が通常無いとはいえないし、またそのような製品は有効な肥料として供給するには栄養価が低すぎるという欠点を有している。
【0025】
熱処理と化学処理を利用する処理装置は、安全な最終製品を製造するのに効率が悪く、有効ではない。これらは、pH調整と化学物質添加を含み、通常は微生物を死滅させるために加熱する。いくつかの加熱処理装置は圧力(高温調理のため)、マイクロ波加熱、放射線その他の補充処理を利用しているが、これらは運転コストを増加するだけで、製品品質又は環境浄化の利益を減少している。多くの場合、処理の複雑性と処理工程の組合せを付加した結果、処理全体からの環境への影響よりも、利用した資源と生成した副産物からの環境への影響が大きい。多くの装置は代替的又は付加的な副産物を生成し、これらの副産物は汚染され、運転に付随の環境汚染を引き起こす。燃焼、部分燃焼、ガス化、熱分解を伴う装置は、同様に効率が悪く、十分に有効ではない。なぜなら、燃焼は代替的又は付加的な空気汚染を防止するために含まれていなければならない付加的な廃水を生成するからである。また、燃焼装置は十分に殺菌されている製品を生成しているが、その製品はある肥料の用途に不適切にする燃焼副産物を含んでいるかもしれないので、望ましくはないが埋立地に廃棄する必要がある。そして、燃焼装置は、潜在的に制御不能であり、突発的な火事の危険性があり、処理設備の損害を最小限に押さえ、最悪の場合には安全問題を引き起こす。
【0026】
従来の装置は、動物飼育施設や市営下水処理設備で生成される有毒ガスと温室効果ガスの問題に満足のゆく取り組みはしていなかった。このようなガスの発生源は、動物そのもの、動物からの糞尿及び廃棄物、糞尿、下水及び廃棄物の生物変換又は分解である。これらのガスは典型的には換気され大気に放出されるが、有毒臭気のために近隣住民に好ましくないし、そこに含まれる温室効果ガス、特にメタンによって生じる大気汚染により環境的にも好ましくない。
【0027】
本発明は、糞尿原料を有用で環境的に受け入れられる材料と製品に変換する方法、装置及びシステムの形態の新規な技術を提供し、好ましい局面では認定有機農業施設で使用するのに適した形態で生成することができる。さらに、ここに開示するように、本発明は、動物飼育施設で生成される温室効果ガスの望まれない環境への影響を減少し排除する技術を提供する。また、本発明の技術は従来の方法及び装置に比べて、糞尿原料処理の望ましくない環境への影響を減少し排除する。本発明の主な利点の一つは、本発明による糞尿原料処理において、全ての廃棄固体を方法と装置に含めることができ、肥料又はソイルビルダー製品の最終製品の一部として組み入れることができることである。したがって、本発明は全ての廃棄物減量固体を本発明により製造された最終製品に変換し及び/又は組み入れることにより、残りの汚泥や他の固体を埋立地に廃棄し土地に散布する必要性を完全に排除することができる。原料から除去された水は、廃棄物源又は他の再使用設備に回収し再使用することが好ましい。これは、本発明により経済的に提供される著しい環境的利益であり、水保存因子である。
【0028】
ここでは、「糞尿原料」の用語は、糞便及び/又は尿として動物から排泄された廃棄物を意味し包含するように使用される。例えば、人間(市営下水又はスラッジ)、牛(肉用牛、乳牛、バッファロー、子牛等)、馬、羊、豚、家禽(ニワトリ、七面鳥、ダチョウ、鳩等)、ヤギ、ミンク、獣医、家畜置場、家畜小屋、競馬場、ロデオ場、催し物会場、飼育場、販売小屋、動物園、水性動物(様名、エビ等)、エルク(及びその他の狩猟物)、ラマ、アルパカ、下水又は糞尿の施設及び資源、これらの混合があるが、これらに限定するものではない。ここで使用される糞尿原料は、農業施設で通常存在する材料を伴う物体を含む。その施設では、このような物体の他の材料に対する比が非常に低いものから高いものまで変化しようとなかろうと、わら、寝わら(典型的には細断紙、木片等)、毛、羽毛、昆虫、齧歯動物等の物体が生成される。ここで使用される糞尿原料は、生の形態、任意の調製された形態の物体を含み、さらに、生物物体(庭こみ、緑のごみ等)、添加剤、加工助剤、骨粉、魚粉等のような他の材料との混合を含み、その物体が新鮮である場合、堆肥化や消化におり完全に生物変換されている場合、又はその間の任意の段階である場合も含む。本発明により処理するために骨粉等のような他の成分が糞尿原料に付加され、混合され、含まれているとき、そのような追加の成分は、糞尿原料がそうであるように、プリオンのような上に列挙した望まれない成分の熱破壊又は変換から利益を得ることは認識されるであろう。農薬を含むわら、プリオンを含む骨粉等のような汚染材料を処理される糞尿と混合し、本発明による糞尿原料の処理中にこれらの汚染物質が変換又は破壊されるようにすることが望ましい。以下に参照するように、原料には、既存の糞尿ラグーン及び/又は糞尿パイルの内容物を含めて清掃と撤廃をするようにしても良い。本発明は、同一出願人の同時係属米国特許出願第10/895030号に開示されているように、他のタイプの廃棄物や排気流れを処理するのに有益である。同出願の開示内容破産症することでその全体をここに組み入れる。
【0029】
本発明は従来技術に対して単純化され経済的に効率的な代替案を提供し、その好ましい局面では肥料及び/又はソイルビルダー製品として100%有効な製品を提供し、糞尿原料固体を有用な製品に100%変換し、堆肥化や生物ガス生成等の種々の糞尿原料処理から残った固体を投棄するという従来技術では未解決であった問題を排除する。本発明の好ましい局面では、肥料製品は認定有機製品の地位を脅かすことなく、認定有機食品生産者に有益な有機肥料である。本発明によると、糞尿原料の堆肥化、消化、燃焼及び酸化が回避され、少なくとも最小化されれば、糞尿原料からの生成される肥料の栄養価は最大化される。
【0030】
本発明では、好ましくは例えば1000°F以上の高温ガスと直接接触させることによる糞尿原料の高温処理は、そのような熱処理が糞尿原料の著しい酸化、燃焼、又は熱分解をすることなく十分な時間行われたときに、有機物、微生物(遺伝子組み換え有機物、バクテリア、病原体、及びその他の微生物を含む)、種子、農薬、抗生物質、ホルモン、プリオン及びウィルスを含む糞尿原料に存在する望ましくないほぼ全ての成分を破壊し又は無害な形態に変換する。著しい酸化及び/又は熱分解「調理」又はその逆をすることなく、十分な時間、十分に高い温度での処理は、糞尿原料を自己結合製品に転化又は変換させ、これにより通常結合剤や集塊添加剤を加えることなく、従来の形状及びサイズに形成し、従来の乾燥肥料散布機器や設備に使用するのに十分な物理的硬度及び強度を有する、従来のペレット、グラニュール、プリル又は他の形態に形成することができる。
【0031】
本発明はさらに、糞尿原料から除去された水を再生し再循環し、該水はプロセス水、家畜用水、灌漑又はその他の産業用に使用し、また本方法で生成された固体(細粒その他)を回収しリサイクルするのに使用することができる。本発明の実施において、商業的使用に適した望ましい肥料及び/又はソイルビルダー製品以外に本発明から生成される多くの固体製品はなくなる。本発明により提供される水リサイクルは著しい環境的利益があり、水保全要因である。例えば、毎日4000頭の乳牛からの糞尿を処理する本発明による運転装置は、生の糞尿原料の含水率と他の運転条件にもよるが、見積もって毎年7百万ガロンの水をリサイクルし、日常使用に戻される。
【0032】
本発明によると、高温ガスを糞尿原料と接触させる最も有効な方法は、ガスタービン及び好ましくはガスタービン発電機からの排ガスである。本発明の装置によると、ガスタービンは地方でも入手できる従来の燃料源から燃料が供給される。なぜなら、本発明の作用においては生物変換が生じないし糞尿原料から生物ガスが発生しないからであり、また従来の燃料は最も有効で信頼性があり、制御可能なガスタービンの運転を与えるからである。ガスタービン発電機から生成される電気は、本発明の実施の収入源としての地方高圧送電線網(local power grid)に売り戻すことが好ましいが、本発明で使用される方法から電力と熱を回収するための使用と組み合わせて、本発明の装置の運転に内部的に使用することができる。生成された電力を地方高圧送電線網に単に販売することは、好ましく、本発明の実施上最も有効である。これにより、特定の最小又は必要レベルの電気出力を変更しないという要求に案じたり脅迫されることなく、糞尿原料を処理して所望の品質の肥料又はソイルビルダー製品を生成する最も効率的で有効な方法で、本発明の方法及び設備を変更することができる。
【0033】
本発明の方法と装置の一つの重要な特徴は、ガスタービンと該ガスタービンからの排ガスを受け入れる糞尿原料乾燥容器が互いに接続され、乾燥容器への外部空気の導入が本質的に排除され、乾燥容器がガスタービンから直接排ガスを受け入れることが好ましいことである。乾燥容器がガスタービン排気から最大熱を受けるために、最も有効な運転では、介在する熱交換器、サイレンサ、その他の機器を通過することなく、100%のガスタービン排ガスが乾燥容器に移動することが好ましい。しかし、乾燥容器の運転に必要でない過剰の排ガスは進路を変えて、本発明の装置の他の工程で必要な熱を提供することは認められる。また、排ガスはガスタービン内の従来の有効な燃焼比から生じ、最小又は限定された量の自由酸素を含み、本質的に未燃焼の燃料と露出した炎を含まないようにすることが好ましく、さらに最適排ガス温度(EGT)が達成され、単位消費燃料当たり最大の熱を生成するようにすることが好ましい。また、燃焼はピークEGT運転に対しては二段燃焼率(stoichiometric ratio)、本発明の方法及び装置に対しては最大温度及び最大熱入力とすることができる。排ガス中に過剰酸素は無いことで乾燥容器への外部空気の誘導が排除され、露出した炎が無いこと、とここで述べた温度での運転により、乾燥容器の糞尿原料の著しい酸化が防止され、最大栄養価が糞尿原料中に保存され肥料製品に閉じ込められ、装置の火災損害の危険性が排除され、乾燥容器内の突発的火事からの安全運転が提供される。排ガスに過剰燃料が無いことで、排ガスが、大気に放出される前に本発明の実施により流出する蒸気から洗い落さなければならないような炭化水素の源となるのが防止される。
【0034】
本発明の方法と装置の実施においては、糞尿原料ができるだけ新鮮で高含水率であるべきである。換言すれば、そのような糞尿材料は、本発明による処理の前に、堆肥化、消化、その他の生物変換を受けないか、できるだけ少なくすべきである。これは、肥料及びソイルビルダー製品に最高の栄養価と有機物量を与える。この好ましい局面は、トラックによる輸送に適したスキッド搭載又は他の形態でモジュール化したプロセス装置である本発明の装置の好ましい設計によって有効に達成される。これにより、本発明の全システムを適切な大きさにして、肥育場、養鶏場、養豚場等の現場に設置することができ、そのような施設からの糞尿廃棄物を生成されると直ちに処理することができる。このような施設に対する好ましい装置は、さらに経済性と環境効率を提供する。なぜなら、それは糞尿原料又は劣化スラッジを処理又は投棄のために離れた場所に輸送するコストと環境への影響を排除するからである。分用原料をある場所から他の場所に輸送する必要性を排除することは、施設間のバイオセキュリティの利益を与える。すなわち、有害又は望ましくない植物又は動物の病気を排除するからである。またこの設計は、顧客又は請負業者の処理を可能にし、トラック搭載ユニットがある糞尿原料蓄積場所から他の場所へ容易に移動する場合、本発明を実施するのに利用される設備に資本投資を最大限に利用することができる。このような可搬性により、本発明の設備を効率的に経済的に運転するために適当なサイズにして完全利用することができ、いずれか1つの場所への永久的な設置が必要とされないか経済的に正当でない特定の地域にあるいくつかの異なる飼育場、養豚場等にてパートタイムで使用することができる。また本発明の装置は、個々の動物飼育施設に対してフルタイムで運転して該施設で連続的に生成される糞尿を連続的に処理するのに適当なサイズにすることができ、これにより飼育施設が操業している任意の時間に糞尿の備蓄又は過剰な糞尿を最小化することができる。同様に、本発明の装置は事務所の建物、病院、ホテル等に設置するためのサイズにして、そこからの未処理下水を途中で阻止して処理し、市営下水処理設備の負担を軽減することができる。多くの市営下水処理設備が全能力に達し、市が新たな拡張施設を建設する多大な資本支出に直面しているので、大きな製造設備の現場で廃棄物流れを処理して有用な製品を生成し、市営下水処理システムの負担を軽減することで、本発明は経済的に魅力的な代案を提供している。本発明の装置はまた、事務所の建物、病院、ホテル等からの未処理下水を現場で衛生的に処理し、肥料製品を現場で生成するようにすることができ、これにより市営下水処理システムの負担を軽減することができる。本発明のこの局面の装置は、市営下水処理設備が利用できない遠いリゾート地で、そこからの下水を処理して肥料製品を生成し、スラッジ投棄の問題を排除するのに特に有益である。
【0035】
この発明で使用するためには、糞尿原料は、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも70重量%のように高含水率を有することが好ましい。高い含水率は素材の機械化された取扱いを容易にし、原料を均一にするために融合したり混合することにより使用の準備をすることを容易にする。典型的には、糞尿原料は、特に牛及び家禽施設において、オージェ搬送機(auger)、フロントエンドローダ、バックホー、コンベヤベルト等により移送される。しかしながら、いくつかの事業では、特に乳牛及び豚の施設で、糞尿原料はポンプで汲み上げ可能なスラリーの形態に調製してもよい。この場合小屋の洗浄は水張りにより行われ、糞尿原料の含水率は、90%、95%、98%のように高くてもよい。本発明より前は、そのような糞尿原料は経済的に処理できなかったし、溜池又若しくは沈殿池又はラグーンに簡単に置いていたので、多大な空気汚染、臭気、環境問題を有していた。本発明はこのような高含水率の糞尿原料を効率的に経済的に処理して、高栄養肥料の形態で糞尿を回収するだけでなく、プロセス水を回収する。このプロセス水は、病原体等から浄化され、家畜飲料水、作物灌漑等にリサイクルすることができる。本発明は、乾燥容器で生成された過剰な蒸気を下流側、上流側、又は他の近傍の設備で小屋の洗浄、糞尿原料の予熱、温室の加熱等に使用することができるという事実により、高含水率の糞尿原料を有効に経済的に取り扱うことができる。高含水率糞尿原料を開放ラグーンに保持する代わりに、本発明は囲い又はタンクに糞尿を保持することができ、これにより空気汚染、臭気、開放ラグーンと関連した環境問題を排除することができる。本発明はここに開示されたように、水と固形物だけでなく、生成されたガスを収容し処理するように適合させることができる。注記したように、糞尿原料はできる限り新鮮であり、例えば堆肥化や消化による生物変換を出来るだけ受けないことが本発明にとって好ましい。糞尿を処理前に保持し保管しなければならない場合、本発明により糞尿が肥料に処理される前に生物変換を最小化するために、クラエセンのEP0677237号に開示されているように、糞尿原料をその源又は保管場所で冷却することが望ましい。このような冷却とともに又は冷却なしに、生物変換を特に本発明により迅速に処理することで生物変換を最小化することは、大気への有毒又は有害な放出を減少するという環境的利益と、農業施設での臭気改善又は放出制御の施設の必要性を排除するという経済的利益とをさらに有する。ある場合には、本発明の装置で糞尿を処理する前に、例えば遠心分離機により高含水率糞尿から水分を機械的に分離することは、経済的な運転にためには好ましい。このような分離水は、床洗浄のような用途、又は他のプロセス水の要求のために、リサイクルすることができる。
【0036】
生の糞尿原料は、典型的にはわら、より糸、針金、小石、ジュート、又はプラスチック袋などの他の材料を含む。このような材料は、レベルが異常に高くなければ、本発明では有害な効果をもたらすことなく糞尿原料の一部として処理可能である。しかしながら、通常そのような材料、乾燥容器又は下流側の処理機器を損傷するような特に小石、針金等は分離することが好ましい。さもなければ、糞尿原料を切断し、擦りつぶし又は他の準備をして、より糸、袋などの品目を小片に細かく砕くことで糞尿原料を準備することが望ましい。小片は本発明の方法と装置の通常の実施又は製品の最終使用と著しく干渉することなく、最終製品に加工することができる。不活性又は生物分解性であるそのような材料は、有害な効果なく、肥料製品に含めることができることに注意すべきであり、これは本発明による処理中に糞尿原料からそのような材料を除去することが経済的に有効でない場合に特に望ましい。切断、擦りつぶし、チッピング、チョッピング、押しつぶし等による糞尿原料は、処理する原料の均一性を向上するだけでなく、前述したわら、木片、庭ごみ等の原料に他の材料の添加を促進する。さらに、糞尿原料準備は、家禽のような非常に乾燥した糞尿に有益である洗浄工程を含み、該洗浄工程は最終肥料又はソイルビルダー製品には望まれない過剰な塩分を除去するのに有用である。
【0037】
糞尿原料は堆肥化、消化等による生物変換を受けないか少ないことが望ましいが、本発明は完全に生物変換(極度に堆肥化、消化)された糞尿原料を乾燥し処理して有用な材料又は製品を生成するのにも同様に有益であることが認識される。このような材料又は製品の肥料栄養価は最小であってもよいが、その材料又は製品はソイルコンディショナーとして有用である。ここで使用されている用語の「生物変換糞尿原料」は、肥料製品の製造よりもソイルコンディショナー又はソイルビルダー製品の製造により適した原料を提供するために、その中の栄養の十分な部分が堆肥化、消化等により変換されていない原料を意味するように意図されている。本発明に有益な糞尿材料は実際の動物排泄物(糞便及び/又は尿)が糞尿原料に対する割合が小さく、残りがわら、寝わら等のような他の材料であるものを含むことが認識される。例えば、いくつかのニワトリ飼育場では、細断紙が巣作り/ベッド作り材料として使用され、そのような施設からの糞尿原料は重量パーセントが低く、例えば約10%から約30%が廃棄物、約50%から約80%が他の材料、残り約10%から20%が水であるように頻繁に変更される。そのような糞尿材料は本発明により有利に処理され、ソイルビルダー及び/又は肥料製品を提供する。
【0038】
ここでは、「ガスタービン」の用語は、圧縮タービンステージと、燃焼ゾーンと、少なくとも500°F、好ましくは少なくとも約700°F、さらに好ましくは少なくとも約900°F、さらに好ましくは約1000°F以上の排ガス温度を生成することができる排気タービンステージとを有する任意のタービンエンジンを意味し包含するように使用されている。ガスタービンはその効率的な運転と高熱出力のために本発明で使用するのに好ましい熱源である。ガスタービン発電機は発電機によりエネルギーを生成するために本発明で使用するのにさらに好ましく、エネルギーは本発明の装置の運転の経済性を向上するために利用され販売される。発電機は典型的には、生成される電気を使用/販売することの利便性により電気発電機である。しかしながら、発電機は、ポンプ、オージェ、コンベヤ及び他のタイプの本発明の装置内の機器又は近傍の施設の機器の水圧モータを駆動することができる水圧ポンプ、パワーパックのような望まれる他の任意のタイプのエネルギー発生器とすることができる。必要熱量及びシステム経済性は、ガスタービン又はガスタービン発電機が使用されるか否かを決定する。与えられた小サイズのガスタービンから高温排ガスと高熱出力を有することが望まれる場合、小サイズのガスタービン発電機の代わりにガスタービンを使用することが望ましい。ガスタービンに比べて、ガスタービン発電機は吸収エネルギーの排ガスをさらに膨張し冷却し発電機を駆動する。ここで、高温ガスにエネルギーが含まれているガスタービンは本発明の乾燥容器で使用するのに利用される。これは、収入源又は電気の経済的利益又はガスタービンによる他のエネルギー生産物を持つよりもりも、小さな(運搬可能な)高温ユニットを持つことが、本発明の実施で経済的に最も重要であるときのオプションとすることができる。
【0039】
本発明で有用なガスタービン又はガスタービン発電機は、任意の利用可能な燃料源から特定のガスタービン及び本発明により設計された処理機器に適した燃料が供給される。好ましい従来の燃料は無硫天然ガス、ディーゼル油、灯油、ジェット燃料である。なぜなら、ガスタービンはこれらのタイプの良好な品質の燃料で最も効率的に動くように設計され、またこれらの燃料は本発明のユニットがもっとも効率的に配置された遠くの農業施設でも普通に入手できるからである。しかしながら、ガスタービンに給油するのに使用することができる他の燃料はメタン、プロパン、ブタン、水素、生物ガス、生物液体燃料(メタン、オイル、ディーゼル及びエタノール)である。本発明の装置は生物燃料を生成しないので、本発明で使用されるガスタービン用の燃料は、本発明が利用される地方で入手できなければならない。燃料が地方で入手可能でなければ、ディーゼルのような燃料は必要なら現地にトラックで運ぶことができる。
【0040】
商業的に入手できる本発明で有用なガスタービン及びガスタービン発電機燃料の例は、以下のものを含む(定格メガワット(MW)出力は概算である)。
− 標準状態で定格出力3.9MW又は5.0MWのロールスロイスガスタービンエンジンアリソン501-KB5、-KB5S、又は-KB7
− 定格出力7.0MWを有するヨーロッパガスタービントルネード
− 定格出力9.4MWを有するソーラーマーズ90及び定格出力10.7MWを有するソーラーマーズ100
− 定格出力5.5MWを有するソーラータルス60及び定格
2.5メートルトン/時(2,500kg/時)の公称生産出力能力に対しては、システム全体に設計された断熱性及び熱回収効率に依存するが、大きさが約4MWのガスタービン発電機を使用することができる。小さな単一の半トレーラー又はトラックシステムでは、ユニットはより小さい大きさにしてもよい。生産出力が0.3メトリックトン/時のような小さな生産出力システムでは、ソーラーサターン0.8MW、ソーラースパルタン0.2MW又はキャップストーン0.5MW又は0.3MW発電機のような小さな発電機をシステム効率と要求熱入力範囲に応じて使用することができる。本発明によるシステムはガソリンやディーゼル発電機のようなレシプロエンジンからの排ガス熱を利用するように設計することもできることは分かるであろう。このような小さなシステムは、ロデオ場のような一時的場所で使用して、電気を提供し、新鮮な又は古い糞尿を清掃し、肥料製品を生成することができる。
【0041】
本発明の乾燥容器は、糞尿原料を乾燥するのに適し、また排ガスが糞尿原料に接触する乾燥容器の乾燥チャンバに著しい量の外部空気を進入させることなくガスタービン排ガスを受け入れ、糞尿原料を受け入れるようにすることができる任意のタイプと形態にすることができる。本発明の目的のためにガスタービン排気を乾燥容器に接続する設計の目的は、任意の多くの外部空気が乾燥容器に進入するのを排除し、糞尿原料の著しい酸化を防止するのを助けることである。前に指摘したように、これらのタイプの糞尿原料に存在する有機物、炭素及び/又は栄養価を保存し、火事を防止し、安全な運転を提供することが好ましい。この発明で使用されているように、乾燥容器に対する最も有効な排ガス温度(EGT)を生成するために、また最小の自由酸素を含む乾燥容器に導入するガスを生成するために、タービンは従来通りの燃焼空気に対する燃料の比で運転される。自由酸素を最小化するために従来の燃焼比状態で運転され、排ガス中に自由酸素を無くするために二段燃焼率で運転され、原料の著しい酸化を排除するために著しい外部空気が乾燥容器に進入するのを防止するように乾燥容器に接続されているとすれば、従来の油又はガスバーナとレシプロエンジンからの排ガスのようなガスタービン以外の熱ガスの代案の供給源を使用し、乾燥容器に接続することができることは、本発明の開示から当業者に分かることである。もちろん、そのような代案の追加の熱ガス源は、オプションとして本発明の乾燥容器に接続することができ、ガスタービンの排ガス出力を補足するのに使用することができ、始動、遮断、急増負荷状態、又はガスタービンがオフラインになった場合のバックアップに必要であれば乾燥容器に追加の熱入力容量を提供する。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態では、主に糞尿原料に存在し取り込まれた空気、糞尿原料に存在する水分に溶解した空気、及び燃料と空気の二段燃焼比が達成されない期間中にタービン排ガスに存在する過剰の酸素があるため、外部空気の全てを排除することができないし、糞尿原料の酸化を完全に排除することができないことは分かるであろう。さらに、ある場合には、熱処理及び変換が生じてそのような材料を腐食又は変換したときに、糞尿原料に存在する有機物又はその他の材料から酸素が生成され解放される。したがって、「空気の導入の排除」や「著しく酸化させることなく」等のここで使用される用語は、前記運転上の前後関係で使用され、また糞尿原料又は排ガスの一部として装置に進入し又は熱変換処理で生成される空気又は酸素を排除するように意図されていないとか、空気が糞尿原料とともに装置に進入した結果生じる酸化を防止するように意図されていないという認識や意図的意味で使用されている。しかしながら、このようなレベルの酸化は、本発明の範囲や、背景、実施、又はここで使用されている用語の意味の範囲内では、重要であるとは考えられていない。同様に、「著しく熱分解することなく」は、ここでは例えば米国特許第6039774号に記載されているようにせいぜい糞尿材料の重要でない部分が熱分解されないという意味で使用されている。熱分解生成物は本発明の方法及び製品では望ましくない。本発明の方法及び設備は、糞尿原料の所望の乾燥を達成し、農薬、プリオン、有機物、種子等のような種々の糞尿原料の成分の所望の変換及び破壊を達成するように運転されるが、著しい酸化を回避し、好ましくは著しい熱分解を回避し、又は少なくとも酸化を最小化し、熱分解を最小化するように運転される。ここでの開示に従うと、特定の糞尿原料を処理して所望の結果を達成し、最終製品中の栄養価を最大にするために、乾燥容器内の排ガス温度、接触時間及び/又は残留時間、乾燥容器内の固体及び蒸気相の含水率、及びその他の変数を制御することは、当業者に明らかである。
【0043】
乾燥又は低含水率の糞尿原料は、湿潤又は高含水率の糞尿原料よりも、粒子間の隙間に多くの空気が取り込まれやすい。乾燥容器に導入する前に、糞尿原料からそのような取込み空気を排除することは通常経済的には実施できないかもしれない。しかしながら、本発明の他の運転上の局面と一致するが、高水分で低空気の糞尿原料を使用することが好ましいし、また水を乾燥糞尿原料に加えて本発明の装置で処理する前にそこから空気を置換することが好ましい。乾燥容器への空気及び酸素の導入を最小化することは、糞尿の栄養成分、過剰の空気や酸素が乾燥容器内に存在するとすれば火事や安全上の問題を引き起こすようなわら、埃等の原料の他の成分の著しい酸化を防止するのに好ましい。
【0044】
外部空気の排除も経済的効率のために好ましい。なぜなら、過剰の又は外部空気を加熱することは糞尿原料を加熱することとともに処理の効率を減少するからである。糞尿原料が非常に低い含水率で、本発明の好ましい運転には乾燥しすぎるような幾つかの場合には、原料、タービン排気、タービン空気取入口、又は乾燥容器に水を加えて、乾燥容器の水分レベルを有効な運転のレベルに上昇させ、乾燥容器から所望の含水率と所望の自己結合特性を備えた固形材料を生成することができる。乾燥糞尿原料に水を加えた後、干し草の混合やローラによる押圧のように、混合、コネ、押圧を行うことは、乾燥容器に導入するまえに原料から空気を置換するのに役立つことができる。非常に乾燥した糞尿原料の場合は、惨は乾燥容器に入れる前に加えられる処理助剤と考えてもよい。
【0045】
乾燥容器の作用は、通常、乾燥又は糞尿原料の含水率を減少することであるが、糞尿原料を高温加熱して望まれない成分を変換又は破壊し、原料に化学的又は熱的変化を達成して最終製品に望まれる結合、粒子硬度特性を提供することであることは分かるであろう。前述したように、本発明の一つの重要な特徴は、外部空気から著しく酸化させることなく糞尿原料の種々の成分を熱的変換することである。糞尿原料の成分は非常に多く多様であるので、何の特定の化学反応が熱的変換で生じているは明確には理解されない。出願人は特定の理論やそれに関する憶測に束縛されることは望まない。しかしながら、ある観察を行った。以下の観察結果を理解することは、当業者が本発明を効果的に能率的に実施することを可能にする。
【0046】
第一は、ここで説明した有機物や化学製品のような望まれない成分の熱的変換及び破壊である。第二は、糞尿原料の有機物(動物廃棄物、わら、寝わら)の熱的、化学又は物理的な変換である。有機物は製品を本質的に自己結合とすることができ、また結合剤や類似の材料を付加することなく製品を高い物理学的強度のペレット、グラニュール、プリルに形成することができる。ペレット化、グランッユール化、プリル化された製品を形成するための従来の結合剤は本発明の実施例で使用することができるが、自己結合する材料を生成するための熱処理温度と滞留時間で運転して、結合剤を付加することなくペレット化/グラニュール化/プリル化することができることが好ましい。有る程度、原料中の有機物が化学的に変更され、及び/又は熱的に変換されて、「調理」されると、それはリガンド、セルロース、スターチ、炭水化物等を最終製品で結合剤として作用することができる材料に変換すると信じられている。これは、粒子強度、自由流動固化防止及び砕けにくい特性を有する最終製品の形成を可能にする結合プロフィールを与え、従来の乾燥肥料の取扱い及び適用を有利にする。有機物の割合が非常に高いものから非常に低いものまでの糞尿原料は、追加の結合剤を付加することなく、良好な強度のペレット、グラニュール、又はプリル製品を形成する自己結合材料に変換することができる。もちろん、望まれるなら、追加の結合剤を付加して本発明の最終固形製品の強度特性を向上してもよい。さらに、栄養価は低いが、有機物が高く、ソイルコンディショナー又はソイルビルダーとして有用である生成材料は、同様に処理して、有用なペレット、グラニュール、又はプリル製品を生成することができる。第三は、非常に低い含水率の糞尿原料を処理するいくつかの事業では、実際にはいかなる著しい乾燥も生じない、すなわち、乾燥容器に入る原料の含水率が乾燥容器を出る肥料又はソイルビルダーと本質的に同じであり、乾燥容器は本質的にオーブンとして作用するという認識である。この場合、生じる重要な処理は、原料に存在する有機物又は他の成分の少なくとも一部の熱処理、又は変換及び/又は化学変換(「調理」)であり、生成材料を十分に自己結合させて、有用な結合、凝集、硬度、固化防止、砕けやすくない、表面粉化しにくい、自由に流れる、耐候性のプロフィールを有する最終ペレット、グラニュール又はプリル製品を提供することである。再度言うが、望まれるなら、オプションの結合剤を付加して最終製品の強度特性を向上してもよい。
【0047】
本発明で使用することができる乾燥容器のタイプは、例えば、内部スクレーパ、攪拌板及び/又は櫂を有するか有しないロータリードラムや、スクレーパ及び/又は攪拌板及び/又は櫂を有するか有しない固定「ヤマアラシ」ドラムドライヤー、及び当業者に自明な他の装置である。本発明で有用な又は本発明で使用するのに適した商業的に入手可能な乾燥容器の例は、シモンドライヤーリミッテドのスコットASTドライヤー(登録商標)システム、ドラムドライヤー、ウィスモントターボドライヤーシステム、ダスクエンジニアリングカンパニーインコーポレーテッドのドライヤーである。さらに、本発明で有用な又は本発明で使用するのに適した乾燥容器の例は、ダスケらの米国特許第5746006号、ルーカーの米国特許第5570517号、第6367163号に開示され、それらの開示は参照することでここに組み入れる。
【0048】
前述したように、本発明の装置で糞尿原料から水分を除去することにより、「乾燥容器」は必ずしも常に主としてドライヤーとして機能しない。また、乾燥容器は、糞尿原料を十分な温度に十分な時間加熱してここに開示したような所望の最終材料及び製品を生成する熱処理/変換/変性容器又はオーブンとして機能する。さらに、乾燥容器は、タービン排ガス又は他の熱源と糞尿原料とを直接接触する必要がないが、糞尿原料を間接加熱して本発明により望まれる乾燥及び/又は熱処理/変換/変性を達成する。直接又は間接加熱のいずれでも、装置は糞尿原料の著しい酸化と著しい熱分解が生じないように制御される。
【0049】
本発明で使用するのに適した乾燥容器の他の局面は、乾燥容器が好ましくはガスタービン又は高温排ガスを提供する他のエンジンのサイレンサ又はマフラーとして機能することである。ガスタービン(本質的にはジェット飛行機エンジン)が高レベルの騒音を生じ近隣環境に影響を与えることは公知である。電力生成又は他の目的で使用される定常ガスタービンは、ガスタービンの排ガスの騒音を受容レベルに消音するようにサイレンサを設置することが地方、州、連邦規制により通常要求される。このようなサイレンサはコストの経済的欠点を有するとともに、ガスタービン排気に背圧を生じるという欠点を有し、それはガスタービン運転の効率を減少する。本発明による一つの利点は、ガスタービン排ガスと好ましくは外部空気に対して閉じられている乾燥容器との間の接続により、乾燥容器はガスタービンのサイレンサとして有効に機能することである。これは高含水率の糞尿原料の存在との組み合わせで作用する乾燥容器の内部形状構造の結果の少なくとも一部であり、その組み合わせはガスタービン排気ノイズを吸収し消音するのに有効である。これはまた大気に対して閉鎖されている乾燥機の下流側端によるものである。なぜなら、乾燥容器からの蒸気とオフガスは、凝縮、洗浄、リサイクルするため、及び大気に放出される前に閉鎖システム内の下流側の処理で熱回収するために、収集される。工程及び機器装置の種々の点で換気する能力は、始動、遮断、逆転、又は原料の変動を受け入れることが望ましいが、最終製品出力とクレーンガス換気のみ有する閉鎖システムとして通常は運転されることは当業者に明らかである。タービン排ガスは、他の処理ユニットでの補足熱のため、又は始動、停止又は逆転のために必要であるとき、乾燥容器を迂回することで、オプションとして部分的に又は一時的に全体的に他の下流側ユニットにそらすことができる。
【0050】
本発明により与えられる他の利点は、蒸気及びオフガスを適当なファン、ベントブロワー等により乾燥容器の排出端から抽出し、乾燥容器の上流側入口で圧力を減少させ、これによりガスタービン破棄の背圧を減少することができることである。これにより、ガスタービンの運転の効率が増加する。なぜなら、ガスタービン排気と乾燥容器の間の接続が外部空気に開放していないためである。商業的なシステムの設計は、始動、遮断又は逆転運転中に使用するために、ガスタービン排気と乾燥容器の間の接続部にティー又は他の形状により接続されたベント又は従来のサイレンサを含むが、前述したように本発明の方法及び装置のための通常の運転形態に利用されないことは、理解されるであろう。本発明の運転の最良の効率を達成するためには、ガスタービンと乾燥容器の間の最小の熱及びエネルギー損失で排ガスを乾燥容器に引き渡すために、ガスタービン排気と乾燥容器入口との間の接続部は障害物がないことが好ましい。ガスタービン発電機の運転は、電力生産のために最適又は最良のガスタービン運転状態ではないかもしれないが、糞尿原料の乾燥、熱変換、化学的変性、及びその他の必要な処理に対する最適な効率と経済性のために制御されることが好ましいこともここの開示から認められるであろう。電力生産は、このシステムに対するコスト回収収入源である。しかし、本発明の運転の全体的経済性は、有効な乾燥容器運転のための最適排気熱出力と、所望の特性を有する生産物の下流側での生産とに好ましく、電力生産には好ましくないガスタービン運転条件では良好である。本発明の特定の設置に対するこのような運転条件の決定は、ここでの教示に従うことにより、当業者に明らかである。このタイプのガスタービン制御システムは、2004年7月19日に出願された本願出願人の同時係属の米国特許出願第10/894875号に開示され、その開示内容は参照することでその全体をここに組み入れる。
【0051】
本発明により与えられる他の利点は、著しい外部空気が存在することなく、乾燥容器の制限された空間でのガスタービン排ガスの糞尿原料との接触から生じる。ガスタービン排ガス中のNOxとSOxの放出及び有る程度のCOとCOの放出は、NOxとSOx成分の糞尿原料への吸収又は錯化により、実質的に減少し、ある場合にはゼロに減少する。ここで、これらは、乾燥容器を流出する乾燥され又は処理された材料、及びグラニュラー、ペレット、又はプリル又は他の形態に処理された後の肥料製品に吸収され、錯化され、固定されたまま残る。これは、NOxとSOx(及びCO/CO)の大気への放出を低減し又は排除することと、窒素、硫黄、及び炭素成分を本発明の方法及び装置により生産される栄養価に加えることの2重の利点を与える。
【0052】
乾燥容器に対する運転条件及び手順は、本発明の開示のここでの教示に従えば当業者に明らかである。乾燥容器に入る典型的なタービン排ガス温度は、糞尿原料の水分及び他の成分、乾燥容器からの出力される飼料又はソイルビルダー材料の所望の条件に依存するが、約500°Fから約1500°Fの範囲である。小さなエンジンを備えた小さな装置では、入口排ガス温度は約300°F又は約350°Fのように低くすることができる。好ましい範囲は、約600°Fから約1200°Fであり、入口温度は少なくとも約650°Fであり、最も好ましくは少なくとも約700°Fであることが好ましい。乾燥容器に進入するガスの温度及び流量は、糞尿原料の含水率及び他の特性に部分的に依存する。含水率が高いとその含水率を減少するために明らかに入口ガス温度を大体において高くする必要がある。高含水率の糞尿原料が高温ガスと接触する本発明の装置で付加効率が達成されると信じられている。このような接触により、水蒸気が糞尿原料から離脱するにつれて直ちに過熱蒸気が生成され、該過熱蒸気は近傍の糞尿原料から出る水分を加熱し押し出す。この機構は糞尿原料を迅速に乾燥し低含水率にする原因となり、これにより乾燥容器内の糞尿原料の残りの滞留時間が本発明による所望の熱処理/変換/変性すなわち「調理」に貢献すると信じられている。いくつかの糞尿原料はより低温が必要であるが、特に「有機」標準を満たす他の所望の特性を有する自己結合製品を生成するのに必要な変換すなわち「調理」を達成するのに、より長い滞留時間が必要である。乾燥容器を出る肥料又はソイルビルダー材料の温度は、典型的には、約150°Fから約450°F、好ましくは約200°Fから約350°Fの範囲である。ある運転では、肥料又はソイルビルダー材料の乾燥容器出口温度は少なくとも約175°Fであり、好ましくは少なくとも約200°Fである。
【0053】
本発明の材料及び製品の自己結合特性は、本発明の重要な好ましい特徴である。従来の結合剤及び添加剤はオプションとしてグラニュール、ペレット、プリルの所望の物理的強度特性を所望の形状及び形態で与えるのに使用することができるが、好ましくは、運転条件は糞尿原料を調理し変換して自己結合製品を生成するものでなければならない。このような運転条件は、結合特性を有する成分に変換することができる糞尿原料の含水率及び含有機物率に依存する。理解されたり、特定の理論に拘束されるものではないが、澱粉、タンパク質及び糖は結合剤として作用するグルテン状又は他の材料に変換され、油及びリガンドタイプの成分は重合されて結合剤として作用すると信じられている。いずれの場合でも、運転条件は、排ガスの温度、糞尿原料と排ガスの間の接触時間、上昇温度での乾燥容器内の糞尿原料固形物の滞留時間を含む。これらの条件は、上昇する固形物の温度、及び固形物が温度上昇を受ける時間の長さを決定する。このような温度は、固形物の増加に対して一定温度ではないが、ある時間にわたって最大まで上昇し、ある時間にわたって下降し、又は乾燥容器出力が出口で急冷される場合には迅速に下降するような温度プロフィールであってもよい。最適な自己結合製品を達成するのに最適な条件は、ここの開示に従って、特定の糞尿原料に対して決定することができる。
【0054】
ここで使用されている「肥料材料」の用語は、本発明により乾燥容器内で糞尿原料の含水率を既存のレベルから低いレベルの減少し、及び/又はここでいう化学的変性及び変換を達成することで生成される乾燥糞尿原料を言及し意味するのに使用されている。「肥料材料」は、さらに処理して顧客、商業的、工業的使用に適した最終肥料製品にするのに適切な中間生成物であると考えられる。典型的には、乾燥容器からの変換材料はミリングにより処理され、粉末又は粗挽き粉(meal)を生成し、該粉末又は粗挽き粉をグラニュール化、ペレット化、プリル化し、従来の作物育成施設での乾燥適用に適した最終肥料製品又はソイルビルダー製品を生成する。肥料材料はまた製粉(milling)され、又は粉にされて、スラリー又は他の液体、又は汲み上げ可能な製品にされる。該製品は、土に適用し、又は作物育成施設で湿潤状態で適用し、修正する丘や崖に圧力で適用し、又は水力マルチング(mulching)、水力播種(seedng)及び水力小枝取り(sprigging)のような播種タイプに適用することができる。また、そのような用途又は種まき機又は空中播種用に種子を被覆するのに使用することができる。同様に、乾燥容器が生成する材料は、オプションとして、処理して天然泥炭(natural peat)に類似した製品を形成してもよいが、典型的には天然泥炭よりも有機物が多く(20%、30%、40%、50%又は60%又はそれ以上)、含水率が低い。糞尿原料が部分的に又は主として生物変換されている場合、乾燥容器により生成される材料は依然としてソイルビルダー製品として有用な泥炭状の製品に形成することができる。このような製品は栄養価が高くないが、前述したように有機物が高い。乾燥容器からの未処理の出力は、新鮮原料からのものであろうと生物変換原料からのものであろうと、最終肥料又はソイルビルダー製品とすることができ、該製品は種々の農業及び造園施設での使用に適した所望の形態に梱包又は包装することができる。例えば、建設現場での砂防(erosion control)に使用するわらスネークロールに類似した長い「へび」状のロールに形成することができる。本発明の材料から作られたこのようなロールは、わらロールのような砂防にまさに有効であるが、わらに比べて栄養価及び/又は有機物が高いことにより、その現場での早期の植物成長を促進し可能にし、ロールが分解しもはや有効でなくなった後の腐食に抵抗する。乾燥容器からの材料はまた溶融尿素のような結合剤と組み合わせて、農業用の製品を形成することができる。ここで使用する「肥料材料」及び「肥料製品」は、植物に有用な栄養価が高い材料及び製品に言及するように意図されている(典型的には新鮮な糞尿原料から作られる)。そして、「ソイルビルダー材料」及び「ソイルビルダー製品」は植物に有用な栄養価が低い材料及び製品を言及するように意図されている(典型的には生物変換糞尿原料、又は糞尿含有量が少なくてわら、巣作り材料等のような他の含有量が高い原料)。しかし、それにもかかわらず、ソイルコンディショナー、ソイルビルダー、ソイルアメンドメントとして有益な有機物が高い。これらの材料又は製品はここに開示されたような他の材料又は薬品と融合することができることが認識される。また、本発明の装置により生成される製品は、肥料及びソイルビルダー用に好ましいが、熱又は電気生成用の燃料としても使用することができる。地域経済は、乾燥容器から生成される材料で形成される最終用途を決定し、本発明の装置から生成される最終製品を決定する。
【0055】
ここで使用されている「グラニュール」、「グラニュール化」等の用語は、本発明により生成される材料又は製品の任意のグラニュール形態に言及しており、従来のグラニュール方法や装置で生成される従来のグラニュール、パウダー、ダスト、パンくず等を含み、さらに以前に形成されたペレットやプリルを粉砕し、粉々にすることを含む。「ペレット」、「ペレット化」等の用語は、本発明により生成される材料又は製品の任意のペレット形態を言及し、典型的にはスラリー又はペーストを引く抜き、所望のサイズに切断、裁断、破砕するような従来のペレット化方法及び装置で造られた円筒、弾丸(billet)、球又は他の形状を含む。「プリル」、「プリル化」等の用語は、本発明により生成され、
噴霧塔処理、フリーズドライ処理などを含む従来のプリル方法及び装置で造られた材料又は製品の任意のプリル形態を言及している。
【0056】
押し出しペレタイザーは、本発明で使用する好ましい処理装置の一つである。なぜなら、それは乾燥容器で生成される材料の自己結合特性を利用しているからであり、また材料の「調理」を提供し又はさらに「調理」に貢献し、本発明の基本の及び/又は向上した自己結合特性の製品を生成する温度と圧力の条件で、運転することができるからである。典型的な運転では、ミリング装置からの粉末又は粗挽き粉は、高温高圧で押し出し可能でペレット又は他の形状を形成することができる材料を形成するのに十分な蒸気又は水、例えば乾燥容器からの蒸気又は腹水と混合される。押し出しペレタイザーでの温度は、加熱スクリュ、ダイ又はドラムからくるか、又は高圧圧縮のエネルギーからくる。いずれの場合でも、押し出し可能な材料は高温まで加熱される。いくつかの糞尿原料に対しては、押し出しペレタイザーでの高温と高圧は、材料のある成分をさらに「調理」又は変換し、得られるペレット化、グラニュール化、プリル化された製品の自己結合特性を付加し向上するのに貢献する。このような押し出しペレタイザーの典型的な運転条件は、使用する押し出し装置に依存するが、約20重量%まで又はそれ以上の含水率の押し出し可能な材料である。押し出し機の温度及び圧力は、従来の押し出し装置で通常使用されているものである。他の運転条件は、処理される糞尿原料と形成された製品の所望の特性に依存して、使用することができる。生成されたペレットは、乾燥して、含水率を安定した製品貯蔵に適したレベル例えば約10重量%に減少することができる。この処理のこの時点で除去された水分は、ここに開示された本発明の装置の他の工程及び処理で使用するためにリサイクルすることができる。
【0057】
糞尿原料は典型的には約50重量%と約90重量%の間、好ましくは約60重量%と約80重量%の間、最も好ましくは約65重量%と約75重量%の間の含水率を有する。(ここで使用されている重量パーセントは、水分の全重量に基づく当該成分のパーセントである。)例えば約40重量%、約30%のような低含水率の糞尿原料は本発明で処理することができる。好ましい糞尿原料は少なくとも約50重量%、好ましくは約60重量%、最も好ましくは少なくとも約70重量%の含水率を有する。糞尿原料がこの範囲の高含水率を有しているとき、処理の効果は乾燥容器の入口での蒸気又は過熱蒸気の本質的に瞬間的な生成から達成される。ここで、1000°Fの排気ガスは大気圧又は大気圧下の圧力で高含水率の糞尿原料と接触する。このように生成された蒸気及び過熱蒸気は、糞尿原料の隣接又は近傍の及び下流側の粒子の乾燥、調理、及び変換に貢献し、処理の効率を向上する。糞尿原料がバッチ処理で、又は同一バッチ処理の異なる部分(上部、底部、屋内、屋外等)で混合又は融合され、均一な糞尿原料特性を与えることは本発明の方法及び装置の運転に好ましい。この好ましい調製により、乾燥容器からより均一な肥料材料の生成が可能であり、プロセス運転の制御が単純化される。糞尿原料の温度は典型的には大気温度、すなわち、約30°Fから約100°Fの範囲であるが、凍った塊が原料調製又は乾燥容器及び原料供給装置の運転の邪魔をしない場合は30°Fより低くすることもできる。本発明による処理の前に堆肥化又は栄養の生物変換を減少し防止するために糞尿原料は低温であることが好ましいが、プロセスの経済性又は処理能力に対しては、乾燥容器に導入する前に糞尿原料を予熱することが有利である。予熱が行われる場合、本発明で使用する直前に行い、堆肥化及び生物変換を最小にするのが好ましい。このような原料予熱を利用する場合、ステージング(staging)及び原料準備領域での例えば熱交換器、ソーラーヒーティング、加熱コンベヤ又はオージェ、加熱コンクリートスラブのような所望の任意の方法で行ってもよい。
【0058】
タービン排ガスと糞尿原料の間の接触時間は、原料の含水率、乾燥容器出力材料に望まれる含水率、望まれる化学変性/変換、乾燥由岐に進入する排ガスの容量及び温度、その他の要因を含むいくつかの変数によって決定される。接触時間は、所望の乾燥を提供するだけでなく、糞尿原料固形物の粒子を十分に高温に上昇し、有機物、微生物、種子、農薬、抗生物資、ホルモン、プリオン、ウィルス等の原料に存在する望まれない成分を
無害な形態に破壊し変換するために調整される。所望のレベルの前記成分の破壊及び変換、所望のレベルの自己結合が達成される限り、粒子により達成される実際の温度は重要ではない。所望の接触時間は、乾燥容器の容量とサイズにより、また原料と排ガスの処理量により、変更し調整することができる、排ガスから原料への熱伝達及び原料が加熱される温度は、主として原料に対する排ガスの質量比の関数である。ガスタービン発電機を備えた乾燥容器の例は、1000°Fで約122000lb./hr.の排ガス出力を得るロールスロイス製のアリソン501-KB5発電機(定格3.9MW)で、米国ミネソタ州ニュープラグのスコットエクイップメントカンパニー製の約26立方メートル(m)の内容積を有するロータリーチューブラードライヤーモデルAST8424に接続されている。糞尿原料は、約70重量%の含水率と約65°Fの温度を有する新鮮牛肥育場糞尿であり、約6500kg./hr.の率、すなわち約10m3/hr.(約16200lb./hr.)の率で乾燥容器に供給され、約10から18分の乾燥容器内の固形物の平均又は公称滞留時間と、約7.5の糞尿原料に対する排ガスの重量比を提供する。乾燥容器出力は、約200°Fである。原料に対する排ガスの重量比は、一般に約15:1と約1:1、好ましくは約10:1と約3:1、さらに好ましくは約10:1と約3:1の間である。必要熱量は、少なくとも約20:1又は少なくとも約25:1の比又はそれ以上を必要とする。ここで、原料は低温で非常に高い含水率を有し、排ガスは高温又は最大温度ではない。乾燥容器を通る排ガス流れ及び糞尿原料流れは、所望の結果、種々のシステム設計、経済的考慮に依存して、並行流、対向流、一段、多段等にしてもよい。
【0059】
乾燥容器からの出力は、蒸気、水蒸気、燃焼ガス、固形物からなり、所望の形態に乾燥され、及び/又は熱処理され、変換されている。ガス及び/又は固形物の典型的な乾燥容器出口温度は通常、約200°Fから約約350°Fの範囲であるが、経済性、製品品質及び/又は処理効率の理由のために、より低い又はより高い温度も選択し、及び/又は望まれてもよい。出口温度は、少なくとも約110°Fから少なくとも約500°F、好ましくは少なくとも約180°F、さらに好ましくは少なくとも約200°Fである。乾燥容器を出る固形材料は約10重量%から約15重量%の間の含水率を有することが一般に望ましいが、約5重量%から約25重量%の範囲とすることができる。重ねて、同様の理由により、乾燥容器出口固形物のより低い又はより高い含水率が選択され、及び/又は望まれてもよい。乾燥容器を出る蒸気、水蒸気及び燃焼ガスは通常、熱交換器(下流側でグラニュール化又はペレット化、上流側で原料又はタービン吸気の予熱に有用なプロセス熱の回収のため)、コンデンサ(上流又は下流で使用し、農業で利用し、又は廃棄するプロセス水の回収のため)、スクラバー、フィルタ又はサイクロン(ガス又は液体に捕捉された固形物の回収のため、ガス及び液体の放出が環境的に受容できるようにするため)及び他の従来のプロセス機器を通過する。
【0060】
乾燥容器から出力される固形物は、ここでは肥料又はソイルビルダー材料と言及するが、その固形物は製粉(milling)、グラニュール化、ペレット化、プリル化、又はその他の工程によって典型的にはさらに処理し、最終肥料又はソイルビルダー製品を最終包装又はばら積みの分配に望まれる形態で生成する。このような本発明で有用な製粉、グラニュール化、ペレット化、プリル化の機器及び設備は従来公知のものである。なぜなら、乾燥容器からの出力は固形物と蒸気の成分からなり、これらはそれら自身を処理に貸すからである。乾燥容器の固形物出力は、さらに粉、グラニュール、ペレット又はプリルの形態に処理することなく飼育場用に生の形態で使用するとき、ここでは肥料又はソイルビルダー製品として言及することができる。乾燥容器出力は、糞尿原料が肥料として低い栄養価を有する材料を生成するタイプであるが、泥炭型製品と同様に高い有機物含有漁を有するソイルビルダー又はコンディショナーとして有用であるとき、ソイルコンディショナー材料又は製品として言及され、又は肥料と有機物ソイルビルダー製品の組み合わせとしてもよい。製品がなんであれ、どんな形態であれ、本発明の装置と設備は、糞尿原料を環境的及び経済的に有効に処理し、環境障害物として除去して、土状態、土又は他の環境的に有利な適用における封鎖炭素(sequester)を向上するのに有用な製品を提供し、埋立地への投棄を排除する。
【0061】
本発明は、糞尿原料から多様な製品及び材料を製造するのに使用することができるが、好ましい材料と製品は、燥容器又は他の設備での加熱、化学変性及び/又は乾燥処理で変換又は破壊されずに残っている著しく望まれない成分がないものである。本発明により生成される製品と材料は、有用な肥料又はソイルビルだ製品であることが好ましいが、本発明は埋立地に投棄する容量の少ない固形物を生成することにおいて有用であり、埋立地から地上水又は地下水に侵出する有害な成分のレベルが低いか又は量がない固形物を提供する利点がある。
【0062】
本発明により生成される製品と材料は、有用であり、特定の特性と特徴を要求する最終用途に望まれるように他の材料、製品又は化学製品との融合も含む。このような他の材料と添加剤は、工程の任意の点で付加し及び融合し;糞尿原料と融合し、乾燥容器へ付加、任意の点のプロセス水への付加し、乾燥容器を出る材料への追加、製粉、グラニュール化、ペレット化の工程の一部として追加し、最終製品と簡単に混合し、使用の時点で袋詰め又は包装する前に最終製品との単純に混合又は融合することができる。例えば、肥料及びソイルビルダー製品は、通常比較的臭気がないが、気持ちの良い臭気を与えるか不愉快な臭気を遮蔽することができる他の材料と融合することができる。そのような材料は、合成(香水)又は天然であり、天然材料が好ましい。天然の有機材料は、サルビア、ミント、フェンネル、ガーリック、ローズマリー、パイン、シトリス、及び有機入力としての照明を妨げない類似の材料を含めることができる。融合の他の材料は、鉄、ミネラル、炭素、ゼオライト、パーライト、化学肥料(尿素、硝酸アンモニウム)、農薬、及び肥料又はソイルビルダー製品を特定の用途に適合させる他の材料を含めることができる。認定有機製品は本発明の最も好ましい製品であるが、本発明の製品は、持続放出(extended release)形態を含む任意の従来の形態での任意の従来のNPK肥料融合又は混合を含むことができる。例えば、本発明の肥料製品は、付加された除草剤(典型的には「雑草及び飼料」製品)と、有機塩基又は認定有機状態に格付けされた又は格付けされていない化学薬品である他の添加剤とを含めてもよい。肥料製品を所望の硬度と乾燥形態での統合性(integrity)を有するが、農業施設に適用し、灌漑又は降雨により水で処理するときに容易に分配することができる所望のグラニュール又は粒子サイズにすることは当業者に公知である。例えば、ムーアの米国特許ダイ4997469号、エルロドらの米国特許第5676729号を参照、これらの開示は参照することでその全体をここに組み入れる。
【0063】
ある場合に、最終製品内の遺伝子組み換え有機物、化学肥料、有機物でない他の材料等を含む人工成分のレベルが典型的には約5重量%以下であれば、その製品は有機認証を認可され、他の場合に、約30重量%以下であれば、「天然」の標識(labeling)である。これに対し、有機肥料又は有機ソイルビルダー製品への入力は、望まれない生物及び微生物(遺伝子組み換え生物)、病原体、成長種子、農薬(殺虫剤、除草剤、殺藻剤、殺鼠剤等を含む)、抗生物質、ホルモン、プリオン、又はウィルスのような望まれない成分として認識された本質的に検出できない量の他の材料を含むことができる。しかしながら、他の場合に、最終製品内のこれらの望まれない成分が検出可能であるが特定のレベル以下あっても、製品は有機認証として格付けされる。ここで使用されている「微生物」は、バクテリア、原生動物、菌類、藻を含むように使用される。しかしながら、認定有機製品であっても全ての微生物が肥料又はソイルビルダー製品の中で望ましくないと認められることはない。しかし、病原体バクテリアのようなある微生物は望ましくないし、破壊され、不活性化され、殺され、又は本発明による熱処理により無害な形態に変換される。有機製品の対する種々の機関により設定される標準はいくらか異なっており、定期的に変更されないので、ここで詳細を述べるのは実際液でない。しかし、本発明の装置で生産するためにある製品が選択されると、本発明の運転状態は広範囲にわたって変化させることができ、適用可能な標準を満足し有機と認定することができる製品を生成する必要がある変換と精製を提供するように選択される。
【0064】
本発明の装置は、動物飼育施設と市営下水処理施設からの有毒臭気及び温室効果ガス(「排出ガス」と言及する)の大気への放出を減少し、ある運転では本質的に排除するのに使用することができる形態を含む。前述したように、動物廃棄物の生物変換に加えて、温室効果ガス(特にメタン)と有毒臭気の主要な源の一つは、動物自身の腸内発酵で生成されるガス、動物のおくびによるガスの放出、鼓腸の放出、尿と糞便からのガスの即時の放出であり、これらは動物から排気されると「動物ガス」としてここで言及される。動物飼育施設は、該製造施設の近傍の人口地域からの圧力の増加による連邦及び州機関の規制の増加を受ける。この規制は2つの局面の空気品質に向けられている。第一は、動物ガス及び生物変換放出からの有毒臭気であり、メルカプタンと悪臭を有し住宅地域に不愉快な多くの他の有機成分を含む。第二は、温室効果ガス放出であり、空気品質に有害である。温室効果ガスは、CO、CH、及びNOを含み、大気へのCO等価効果の用語で言及される。メタンは約23のCO等価係数(USDOEにより使用されている)を有し、大気に放出される1kgのCHは放出される23kgのCOと等価であることを意味する。(いくつかの源は約21の等価係数を与える。)2003年10月に発行されたアメリカ合衆国エネルギー省/エネルギー情報管理レポート#DOE/EIA-0573(2002)(www.eia.doe.gov/oiaf/1605/ggrpt/)には、2002年に8百万MTのCH(183百万MTCO相当)が農業施設、埋立地及び市営下水処理施設を含む他の源によって大気に放出され、農業施設はアメリカ合衆国で排出される全てのCHの約30%であったと見積もっている。農業のCH放出のうち、94%は家畜施設からであり、その67%(約5百万MT)は腸内発酵(動物ガス)から、33%(約3百万MT)は家畜廃棄物の分解からであった。CHは有機廃棄物の生物変換で生成される主な温室効果ガスであり、CO及びNガスも生成される。NOが大気に放出されるのを防止するのが特に好ましい。なぜなら、約310のCO等価係数を有すると見積もられているからである。本発明は、ここに開示されているように、動物ガスを収容し処理すること、糞尿原料を処理して生じる分解又は微生物変換を防止すること、及び/又は糞尿原料を処理する前に行われる分解又は微生物変換からの排出物を収容し処理することで、動物ガスの大気への放出を本質的に排除し、動物飼育施設からの分解温室効果ガス放出を本質的に排除するために使用される。
【0065】
本発明の装置は、ある既存の動物飼育施設の動物ガスからの動物ガスの放出と臭気を本質的に排除することに特に有益である。他の動物飼育施設は、ここでの開示に従って本発明の装置を利用するように容易に修正して、動物ガス及び関連する臭気の大気への放出を低減し排除することができる。本発明の基本装置では、ガスタービン廃棄が乾燥容器に接続されている。動物飼育施設で生成される排ガスを制御するために、ガスタービン空気取入口は動物シェルターの排気系に接続され、該動物シェルターから排気される換気空気がガスタービン空気取入口に導かれるようになっており、ここで2つの処理が通常行われる。第一は、動物ガスがレギュラー燃料供給とともに燃焼され、これによりCHをHOとCOに変換し、メルカプタンと他の有毒又は刺激性成分をHO、CO、NO、及びSOに変換する。第二に、ガスタービンから排ガスは糞尿原料と接触され、ここで、NO及びSO及びある程度のCOガスは、乾燥及び/又は肥料又はソイルビルダー材料、好ましくは自己結合肥料又はソイルビルダー製品に変換されるにつれて、糞尿原料に吸収され又は糞尿原料と合成される。本発明のこの局面は、動物ガスが大気に入るのを防止する。
【0066】
動物ガスを制御するために本発明を迅速に直接及び有効に利用することができる既存の動物飼育施設は、通常は完全に閉鎖され、新鮮空気入口と排気出口により換気されるようなものであり、特に加熱と空気調和により気候制御されるようなものである。温調された動物飼育施設は典型的には養鶏場及び養豚場であるが、乳牛、子牛、食肉牛及び他の施設は包囲され、地方の気候の極端な熱気と冷気により温調される。このような施設からの排気はガスタービン燃焼空気入口に導かれる。自由区画(free-stall)又は開放小屋(open barn)構造を有する他の動物飼育施設は、構造の頂部から換気空気を抽出してタービン空気入口に導くことで、本発明を利用することができる。これにより特に風の無い日に動物ガスの重要な部分を捕獲することができる。なぜなら、動物ガスのメタンは空気より軽く構造の頂部に上昇するからである。さらに、このような構造は経済的に(例えば帆布(canvas)壁により)包囲し、強制空気により(気候制御とともに又はそれなしに)換気して、構造内の動物からの本質的に全ての動物ガスを収集し、該排ガス換気空気をガスタービン空気取入口に導くことができる。
【0067】
本発明のこの局面を利用する場合、養豚場、養鶏場から排気される全ての換気空気がガスタービン空気取入口に導かれ、動物ガスが大気に放出されるのを防止するように運転することが好ましいことが認められる。ガスタービンに必要な残りの燃焼空気は従来の空気フィルタを通して大気空気からくるが、動物小屋の排気空気はガスタービン入口空気フィルタを通過し、取り込まれた埃や他の粒子によりタービン部品の損傷又は腐食を防止することが好ましい。空気フィルタに収集された固形物は、乾燥容器又は装置内の他のプロセスユニットに供給し、本発明の装置により生成される最終肥料又はソイルビルダー製品に組み込むことができる。動物ガスのメタンは、装置の必要燃料の重要な部分を通常は構成しないが、燃焼されて熱を生成し、大気には放出されない。それにもかかわらず、燃焼した動物ガスメタンの全てのkgは1kgだけ外部メタン必要燃料を減少し、温室効果ガスの放出を23kgのCO等価だけ減少する。本発明のこの局面はまたタービン入口騒音制御の利益を与える。タービン排気に対するサイレンサとして作用する乾燥容器と同様に、タービン入口を閉鎖することで、動物小屋から閉鎖システムに送られる空気は、高周波タービン入口騒音を実質的に収容して消音する。
【0068】
既存の動物飼育施設はこの発明を直ちに有効に利用し、既存の糞尿ラグーンの必要性及び使用を排除することができる。全ての新鮮な糞尿を本発明により連続的に毎日処理することで、糞尿ラグーン及び堆肥パイルは必要とされない。さらに、本発明の装置を設置する既存の施設は、ラグーン内容物を通常本施設で毎日処理される新鮮な糞尿と融合してこの装置の原料として供給することで、既存のラグーンを一掃することができる。同様に、飼育場及び他の施設の既存の糞尿パイルは、通常糞尿パイルを毎日処理される新鮮な糞尿と融合することで、この装置の原料として使用して、一掃することができる。もちろん、新たな動物飼育施設の設計と建設において、本発明の装置を組み込むことにより、ラグーン又は糞尿保管又は消化のための他の空間の必要性が排除される。なぜなら、本発明を用いると糞尿は連続又は毎日のベースで処理されるからである。
【0069】
本発明は、土中の最大量の炭素を隔離(sequestering)し、メタン及びCOとして炭素が大気に放出されるのを防止することで、農業施設の多くの段階で環境的利益を提供する。糞尿が分解又は消化すると、メタン、CO、及び他のアンモニアを含むガスを(主として嫌気性消化により)大気に放出する。分解又は消化の前に新鮮な糞尿を処理することにより、糞尿の炭素及び窒素含有量は、本発明により生成される乾燥グラニュール肥料製品に保持され固定されて、温室効果ガスとして大気に放出されるのが防止される。本発明の肥料が土に適用されると、炭素及び窒素は土に進入し、ここで土微生物と他の自然過程により炭素と窒素を作物成長の最新植物に利用することができる。同様に、糞尿及び作物場で使用するための他の材料を堆肥化する現在の実施は、炭素と窒素を放出し、堆肥化中に大気に喪失する。本発明の肥料製品は堆肥化の必要性を置換し排除し、これにより堆肥化により生じる大気汚染を排除する。
【0070】
以上の説明はガスタービンを使用することに関しているが、動物ガス放出を制御する本発明のこの局面の同様の利用は、いかなる熱源を使用しても行うことができる。熱源がガスタービン、ガスタービン発電機、レシプロガス又はディーゼルエンジン、又は従来のオイル又はガスバーナ(図1の107)であろうとなかろうと、動物シェルターの排気空気は燃焼空気取入口に導かれ、動物ガスは燃焼され、好ましくは燃焼ガスは糞尿原料と接触させられる。
【0071】
本発明の方法、装置及び設備のさらなる開示と実例として、図1の概略フローチャートを参照する。図示する例示的な方法では、ガスタービン発電機装置100はガスタービン101と発電機102からなる。ガスタービンは空気取入口フィルタ104と燃料供給ライン103を有する。望まれるなら、オプションとしてバイパス排気サイレンサ106は、始動、停止、逆転(upset)のために含めることができ、これらの間ガスタービンは運転しているが、排気ガスは乾燥容器に導くことはできない。しかしながら、乾燥容器200は本発明の装置の通常運転においてサイレンサとして機能する。代案として、サイレンサ106の代わりに、乾燥容器の回りの排気ガスバイパス(図5の908参照)をセパレータ208及び/又はセパレータ600のような任意の適当な下流側装置に導くことができ、一時的なサイレンサ機構を提供することができる。この配置により別個のサイレンサのコストと別個のサイレンサに必要なスペースを排除することができ、これは可動のトラック搭載装置には重要な配慮である。ガスタービン101の排気は乾燥容器200にコネクタ105により接続されている。オプションとして空気入口(不図示)は、乾燥容器200のためにコネクタ105又はどこかに含めることができ、始動、停止、又は他の理由のために、特に排気ガス又は糞尿原料が乾燥容器200に存在しないとき乾燥容器又は装置を清浄することができる。しかしながら、両者が存在するとき、乾燥容器への空気の導入を排除し、乾燥容器200で処理される材料の著しい酸化を排除するために、そのような空気入口を閉鎖して、使用しない。補助熱源と乾燥容器用の燃焼ガスを提供するために、オプションとしてバーナ107を含め、コネクタ105またはどこかに設けることができる。オプションとしての補助熱源は始動、停止、プロセス逆転、タービン機能停止中に有益であり、ピーク負荷又は異常な高含水率原料に出会ったときに所望の処理量を維持するのに有益である。
【0072】
糞尿原料は典型的にはフロントエンドローダ201のような機械的手段により装置に導入され、原料をロックセパレータ、ミキサー、チョッパー装置202に投入する。原料はさらに混合され、スクリュコンベヤ203,204で分離された異物は215を介して乾燥容器200に供給される。原料は、ローダ201でこの装置に装入する前に、所望の均一性を得るために、予め混合し調製することができ、例えば組み合わせ混合することができる保管干草の列(storage windrow)にすることができる。
【0073】
乾燥容器200からの出力は配管205,206によってセパレータ208に移送され、ここで個体とガスに分離される。ガスは配管209とブロワー210を通り、配管211を介して大気に放出され、又は配管212を介して下流側の処理に移送される。ブロワー210はセパレータ208及び乾燥容器200の圧力を低減するように駆動され、
乾燥容器内の水の沸点を低下し、乾燥容器内の水の沸点を低下し、タービン排気の背圧を減少し、タービン出力と効率を増加する。代案として、ブロワー210は糞尿原料の転換又は「調理」が望まれる場合に高温処理するために乾燥容器内の増加圧力を維持するように駆動することができる。乾燥容器200からの出力はオプションの熱交換器207を通り、プロセス熱を回収し、該プロセス熱を下流側で使用し、又は糞尿原料又はタービン吸込空気を予熱するのに使用することができる。セパレータ208から出力される固体は配管、コンベヤ又はオージェ搬送装置301、及びオプションであるミキサー及びコンディショナー302,303を介してボールミル又はハンマーミル300に渡される。さらに、リサイクルループ305からのリサイクルされた細粒(fines)のような固体は、配管304を介して303で混合され、組み合わされてボールミル又はハンマーミル300に供給される。本装置の種々の点で発生する細粒及び規定外材料は収集してループ305を介してリサイクルされ、任意の点で製品加工装置に再導入され、配管304を介してミリング装置300で、配管404を介してペレタイザー400で、糞尿原料準備202,203,204で、又はその他の地点でさらに加工される。本発明の装置の重要な能力は、細粒又は規格外固形物をリサイクルループ305を介して完全にリサイクルし、結局は最終製品に組み入れることである。このため、本発明の装置は、糞尿原料固形物(加工できない石や異物を除く)を肥料又はソイルビルダー製品に100%変換し、例えば埋立て地に処分しなければならないような固体廃棄物流れを生成しない。
【0074】
ボールミル又はハンマーミル300は「ミール(meal)」と称する均一な小粒子サイズで短繊維長さの材料を製造するのに使用される。ミールは、ペレタイザー400で加工して、乾燥肥料製品に通常使用される従来の加工、包装、保管に対する十分な硬度と機械的耐久性を有する製品を提供する。ボールミル又はハンマーミル300の出力は、セパレータ310を通過し、ここで蒸気が除去され、配管315を介してセパレータ600に送られ、リサイクルループ305を介して固形物をリサイクルし、ブロワー601とベント602を介して蒸気を大気に排出する。セパレータ310は細粒又はリサイクルするのに適した材料を取り出し、ミールをミキサー311に引き渡す。ミールは配管312を介してセパレータ401に送られ、配管408を介してペレタイザー400に直接送られるか、配管409aと409bを介して保持又はサージ容器402に送られて、他の材料、配管404からのリサイクル材料、添加剤と混合され、プロセスの始動、停止、逆転の場合に保持する。サージ容器402から、ミールはミキサー403を通り、配管417を介して直接ペレタイザー400に、又は配管412を介してミキサー311に送られて、望まれるときには新鮮ミールと混合される。
【0075】
ペレタイザー400からのペレットは熱交換器、蒸気除去装置405を通過し、そこから直接配管406,414を介して最終製品クリーニング装置407,415に、さらに配管416a、416b、501及び503を介して最終製品輸送貯蔵容器500に移送され、又は配管413及びサージ容器410を介して粉砕グラニュレータ装置411に移送され、それから最終製品クリーニング装置407、415に移送される。最終製品は配管501、503を介して、又は貯蔵容器500を介してトラック502に積載され、市場に輸送される。最終製品クリーニング装置415で分離された細粒および規格外製品はリサイクルループ305を介して再循環し、再加工することができる。粉砕グラニュレータ装置411はペレットを、該ペレットと同じ硬度、機械的耐久性、安定性を有するより小さな粒子又は顆粒サイズに変換する。固形物は、当該材料や環境を考慮して、従来のオージェ搬送装置、コンベヤベルト、気圧チューブコンベヤ等によって本発明の処理装置間を搬送される。この装置は、乾燥容器200から肥料材料又はソイルビルダー製品(直接使用のために包装することができる)、ミル装置300からミール(その後の処理又は直接使用のために袋に入れることができる)、最終製品クリーニング装置415から顆粒状製品、ペレット製品、又は小球製品を生成するように設計し構成することができる。
【0076】
本発明による装置の操作例は次の表から理解できる。この例はロールスロイスのアリソン501−KB5(定格3.9MW)ガスタービン発電機とスコットエクイップメントカンパニーのドライヤーモデルAST8424を使用し、飼育場の新鮮な牛糞尿を加工する。
【0077】
【表1】

【0078】
図2は、糞尿原料が毎日又は周期的に利用可能な所望の農業又は市営施設現場に輸送しそこで運転することができるスキッド搭載、トラック搭載、列車搭載型の装置における本発明の一つの形態を示す。第1ユニット700はガスタービン101と発電機102からなる。第2ユニット701は乾燥容器200とセパレータ208からなる。乾燥容器200は糞尿原料入口215を有し、静止時及び運転時にコネクタ105によりガスタービン排ガスに接続される。第2ユニット702はボールミルやペレタイザーのような特定の操作に望ましい処理装置からなる。出力製品は501を介して貯蔵装置500又は市場への輸送用のトラック502に搬送される。オプション装置には、市場向けの最終製品の袋詰め装置、包装装置を含めることができる。
【0079】
図3は、図2と同様の装置を示すが、異なる形態で操業地に設置される。本発明の移動可能なトラック搭載装置は利用可能なスペースに制限のある種々の現場に適用可能であることは明らかである。
【0080】
図4Aは、本発明の装置の他の移動可能な形態の平面図、図4Bはその立面図であり、ここで全ての操作ユニットは一つの半トレーラートラック800a、800bに搭載されている。ガスタービンユニット100の排気はコネクタ105により乾燥容器200に接続されている。乾燥容器200は糞尿原料入口215を有し、配管206によりセパレータ208に接続されている。セパレータ208は配管209により蒸気/空気クリーナセパレータ600に接続され、該セパレータ600はベント602を介して大気に開放される。セパレータ308の底出口は配管301を介してボールミルユニット300に接続されている。ボールミルユニット300の出口は配管312を介してペレタイザーユニット400に接続され、ペレタイザーユニットは配管414により製品クリーニングユニット415に接続されている。クリーニングユニット415は製品出口416を有している。図2,3,4には示されていないが、雨よけ及び騒音吸収のために全ユニットを覆う
スキッド搭載又はトラック搭載ユニット用のオプションの囲い(enclosure)がある。
【0081】
図5は、本発明のオプションのいくつかの装置の概略プロセスフローチャートである。本発明の好ましい運転では、動物小屋(animal barn)900と糞尿ピット901は包囲され、新鮮空気902で換気されている。前記動物小屋からの換気空気903は供給燃焼空気904の一部としてフィルタ104を介してガスタービン101に供給される。糞尿ピット901は、同じ小屋のエンクロージャの中に入れるか、別個の保持タンク又は囲まれたラグーン(lagoon)とすることができ、これにより、糞尿により放出される全ての蒸気を収容し、燃焼用の小屋換気空気903と地方で入手可能な天然ガスのような従来のガスタービン燃料103とともに、ガスタービン101に送ることができる。これにより、糞尿が本発明の装置で処理される前に生じる生物変換による生物ガスを含み、動物及び糞尿からの温室効果ガス、有毒ガス、刺激性ガスが大気に放出されるのが防止される。これは本発明の商業的使用の機会を与え、温室効果ガスの放出が減少した空気の質の信用を得ることができるだけでなく、近くの居住地域の隣人に受け入れやすい動物飼育方法を提供することができる。動物及び糞尿によって生じる全ての有毒で刺激性のある臭気が装置内に収容され、最終肥料製品に組み入れられ、大気に放出される前に無毒で臭気の無い成分に変換されるからである。DOE/EIAレポートで前述したように、家畜飼育場におり放出される全メタンのうち、約3分の2は腸内発酵からであり(動物ガス)、約3分の1は糞尿の生物変換からの生物ガスである。このように、燃料として糞尿の生物変換からのメタンを使用する従来の生物ガス施設では、家畜飼育施設からのメタンの3分の2は大気に放出されるが、動物ガスの中に生物変換からの3分の1だけが収容され利用される。これと対照的に、本発明のこの局面の使用は、本発明は実質的に生物変換を防止し、糞尿からの全ての栄養価を肥料製品に保持するので、生物ガス中のメタンの形成を防止するだけでなく、動物ガス中の他の3分の2のメタンの大部分又は全てを収容し燃料として利用し、家畜飼育場からのその他の有毒で臭気のある全てガスを、肥料製品に吸収又は複合されるか大気への放出を拒否されない他の成分に変換する。
【0082】
ガスタービン発電機101/102は電力905を生成し、地方電力会社906に販売されるか、動物飼育施設での使用又は本発明の装置の処理ユニットでの使用のために907で分配される。いくつかの動物飼育施設は、903を介して全ての温室効果ガスを収容し処理するために開放動物小屋を包囲し、加熱及び空調制御の調節器を設置し運転するコストが、調節器システムの運転のための電力905を使用することにより、少なくとも部分的にそうでなければ実質的に相殺されることが分かるであろう。例えば、通常開放した飼育場又は酪農場をテニスコートで使用されているような拡張可能なテントで覆い、そのような設備からの全ての動物ガスを収容し収集するための経済的な装置を提供し、これらのガスを903を介して本発明により処理することは、実行可能であり、政府規制によりある場合に必要である。商業的運転の経済性、燃料コスト、電気の販売/購入価格、設備の資本費用は、電気を動物飼育施設で内部的に使用するか、電力会社に販売するか、近くの設備で使用するか、又はこれらの組み合わせで使用するか否かで決定する。
【0083】
ガスタービン101からの排気ガスは、外気が乾燥容器に進入するのを防ぐ接続部105により乾燥容器200に送られる。ここで開示されているように、乾燥容器200及び本装置のどこかでの糞尿原料の酸化が最小になり実質的に回避されるように運転される。乾燥容器200はガスタービンのサイレンサとしての役目もする。オプションのバイパス908は、乾燥容器がオフラインのときにガスタービン排気を消音し、一時運転中に排気ガスを大気に開放する前に清浄するために、排ガスをセパレータ/コンデンサ208のような下流側の機器に送ることができるように設けることができる。又は、バイパス908の排ガスは、水の加熱、動物シェルターの加熱、又は他の空気調節器又はプロセスエネルギー要求のために、熱交換器に送られる。このバイパスは、別個のサイレンサを設けるコストを削除して、乾燥容器がオフラインのときのガスタービンの騒音制限を満足し、移動可能なトラック搭載ユニットに対するさらにコンパクトな設計を提供することができる。
【0084】
糞尿原料215は、接続部105からの排ガスと、代替又は補助の熱源107から提供される補助熱とともに、乾燥容器200に供給される。糞尿原料は設備900の糞尿ピット901から直接くることが好ましく、このため新鮮で、生物変換の時間がほとんど無いか、全く無い。即時動物小屋からの糞尿と組み合わせ又は混合するために持ち込まれる備蓄された糞尿や他の施設からの糞尿のような他の糞尿原料源910を使用し、又は含めることができる。ここに開示されたように、他の植物廃棄物、有機材料、無機材料、又は添加材を、本発明の装置で処理するための糞尿と組み合わせることができる。
【0085】
乾燥容器200からの出力は、下流側でさらに処理するために固体912を分離するように設計されたセパレータ/コンデンサに205を介して送られ、水蒸気を凝縮して再生水913にし、大気に排出するガス914を清浄する。再生水は、糞尿原料を準備し調製し、家畜用に使用し、作物の灌漑に使用するためにリサイクルされたプロセス水として下流側で使用することができる。セパレータユニット208からの固体出力912は通常さらにミリング、小球化、顆粒化、袋に入れる等により処理される。しかしながら、固体912は他のタイプの製品を生成するための中間体として使用することができる。例えば、泥炭材料のように使用するために梱包することができ、わらロールのように砂防で使用するためにレンガ、ロール、その他の形状に形成することができ(わらよりも高い栄養又はソイルビルダー価を有する)、単独で又は材料の燃料化を利用する燃焼用の他の材料と組み合わせて使用することができ、メタン又は生物ガスを生成するために生物変換システムで使用することができ、動物飼料として使用することができ、任意の所望の用途又は後日のさらなる処理のために保管することができる。同様に、製粉設備からの穀粉/粉末出力914は通常さらに、ペレット化、グラニュール化等により処理されるが、噴霧用、水圧マルチング(hydro-mulching)等用のスラリーのような他のタイプの製品を形成するために中間物として使用することができる。最終製品915は肥料として使用するのが好ましいが、前述したように中間製品のためにも有用である。
【0086】
下流側の操作では、水蒸気は回収され、再使用のためにセパレータ/コンデンサ208に再循環される。明らかなように、本発明の装置は、特別な動物飼料操作の処理の要求と経済性に依存して、種々の配置と設計に適用可能である。図5に示されていない
従来の種々の熱回収と再循環の局面は、図5に示されていないが、図1に示す精製リサイクル305、種々の熱回収及び予熱に適用するためのガス/蒸気流れ914の使用、装置の種々の所望の地点での結合剤、添加剤、及び混合材料の挿入、ガスタービンの効率と出力を増加するための例えば水の噴霧による燃焼空気及び/又は動物小屋換気空気の冷却、非常に高含水率の糞尿原料の脱水等を含む通常のプロセスエンジニアリング設計能力を使用して、本発明の装置を商業的に設置するように設計することができる。最終のペレット化、顆粒化、小球化された製品915は、従来の最終用途のために、袋に入れ又は船積みされたバルクとすることができる。
【0087】
当業者に明らかなように、単独設置において、多段ガスタービン、同一又はタイプとサイズが異なる他のエンジン及び/又はバーナをマニホールドに集めて、同一又はタイプとサイズが異なる多段の乾燥容器に送ることができる。これは、原料処理能力を増加するだけでなく、変化する供給原料負荷を処理し、運転を停止することなく装置のメンテナンスを行うという運転のフレキシビリティを与える。
【0088】
以上本発明の様々な実施例を説明したが、これらは例としてのものであり、本発明の意図や請求の範囲内で種々の変更や修正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明による方法及び設備を使用して糞尿原料を処理する方法の概略図。
【図2】携帯スキッド搭載の運搬可能なユニットの形態の本発明によるプロセスユニットの平面図。
【図3】携帯スキッド搭載の運搬可能なユニットの形態の本発明によるプロセスユニットの他の形態の平面図。
【図4A】半トレーラートラックに搭載された本発明のシステムの形態の平面図。
【図4B】半トレーラートラックに搭載された本発明のシステムの形態の側面図
【図5】本発明による方法を使用して動物ガス及び温室効果ガスの大気への排出を防止する方法の概略図。
【符号の説明】
【0090】
100 ガスタービン発電機装置
101 ガスタービン
102 発電機
104 空気取入口フィルタ
105 コネクタ
200 乾燥容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糞尿から肥料製品を製造する方法において、
ガスタービン発電機を運転して、電気と排ガスを生成する工程と、
糞尿原料を著しく乾燥させることなく約20重量%以下の含水率を有する乾燥肥料材料を生成するのに十分な接触時間、乾燥容器内で前記排ガスを少なくとも約30重量%の含水率を有する糞尿原料と接触させる工程と、
前記肥料材料を作物生育作業での従来の乾燥肥料付与に適したグラニュール、ペレット又はプリル形態の肥料製品に処理し形成する工程とからなる、肥料製品製造方法。
【請求項2】
前記糞尿原料は少なくとも約50重量%の含水率を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記糞尿原料は少なくとも約15重量%の含水率を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
糞尿原料を処理する装置において、
ガスタービンと、
前記ガスタービンから接続部を介して排ガスを受け入れ、糞尿原料を受け入れる乾燥容器とからなり、
前記ガスタービンと前記乾燥容器の間の接続部は前記乾燥容器への空気の導入を実質的に排除するようにされている装置。
【請求項5】
前記ガスタービンと前記乾燥容器の間の接続部はさらに本質的に100%のガスタービン排気ガスを前記乾燥容器に導くようにされた請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記乾燥容器は、前記排ガスと前記糞尿原料の直接接触により前記糞尿原料を乾燥し熱処理し、肥料材料又はソイルビルダー材料を生成するようにされている請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記乾燥容器から材料を受け入れて該材料をグラニュー、ペレット、プリルの形態に成形する処理ユニットをさらに有する請求項4に記載の装置。
【請求項8】
著しく酸化することなく十分な温度で、従来の乾燥製品の作物生育作業での適用に適したグラニュー、ペレット、プリルの製品に成形するのに適した自己結合糞尿材料を提供するのに十分な時間、熱処理された糞尿原料からなる肥料材料又はソイルビルダー材料。
【請求項9】
約15重量%以下の水分を有する請求項8に記載の肥料材料又はソイルビルダー材料。
【請求項10】
グラニュール、ペレット又はプリルに形成された請求項9に記載の肥料材料又はソイルビルダー材料。
【請求項11】
糞尿原料を処理して肥料製品又はソイルビルダー製品を生成する移動可能な装置において、
糞尿原料を乾燥し肥料又はソイルビルダー材料を生成するようにされた少なくとも1つの移動可能な乾燥ユニットと、
前記乾燥ユニットからの肥料又はソイルビルダー材料を従来の作物生育作業での土への適用に適した形態を有する製肥料製品又はソイルビルダー製品に変換するようにされた少なくとも1つの移動可能な処理ユニットと、
からなる移動可能な装置。
【請求項12】
前記乾燥ユニットはガスタービン発電機と乾燥容器からなる請求項11に記載の移動可能な装置。
【請求項13】
前記ガスタービンと乾燥容器は、ガスタービン排ガスを乾燥容器に送るようにされるとともに、乾燥容器への空気の導入を排除するようにされた装置により接続されている請求項12に記載の移動可能な装置。
【請求項14】
電気を生成するようにされた発電機を有するガスタービンからなる第1スキッド搭載ユニットと、
ガスタービン発電機に接続し、ガスタービン排気を受け入れ、乾燥容器への空気の導入を排除するようにされた乾燥容器からなる第2スキッド搭載ユニットと、
前記処理ユニットからなる第3スキッド搭載ユニットと、
からなる請求項13に記載の移動可能な装置。
【請求項15】
前記移動可能な装置はトラックに搭載されている請求項14に記載の移動可能な装置。
【請求項16】
動物ガスを処理する装置において、
燃焼空気取入口を有するガスタービンと、
換気空気を排出させる動物シェルターとからなり、
前記燃焼空気取入口は前記シェルターから排出される換気空気の少なくとも1部を受け入れるようにされている動物ガス処理装置。
【請求項17】
前記燃焼空気取入口は、排出された換気空気の少なくとも1部を当該燃焼空気取入口に導くようにされた接続部によって前記動物シェルターに接続されている請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記ガスタービンはガスタービン発電機からなる請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記ガスタービンの排ガスは、糞尿原料を受け入れるようにされた乾燥容器に接続されている請求項18に記載の装置。
【請求項20】
肥料又はソイルビルダー製品を製造する方法において、
ガスタービン、油又はガスバーナ、又は往復エンジンから高温燃焼排ガスを生成する工程と、
動物シェルターからの換気空気をガスタービン、バーナ、又はエンジンの燃焼空気取入口に導く工程と、
前記高温燃焼排ガスを糞尿原料と接触させる工程と、
からなる製品製造方法。
【請求項21】
前記糞尿原料の著しい酸化を実質的に防止するようにされた閉じ込められた装置内で、前記排ガスを前記糞尿原料と接触させる工程を有する請求項20に記載の方法。
【請求項22】
動物飼育、市営下水処理、糞尿の生物変換施設から放出される温室効果ガスを低減する方法において、
温室効果ガスを生成する施設の少なくとも一部を閉じ込めてガスを収容する工程と、
前記ガスの少なくとも一部をガスタービン、オイル又はガスバーナ、往復エンジンの燃焼空気取入口に導く工程と、
前記タービン、バーナ、エンジンからの排ガスの少なくとも一部を乾燥容器に導き、糞尿原料を乾燥し処理する工程と、
からなる方法。
【請求項23】
前記閉じ込められた施設は、動物飼育小屋である請求項22に記載の方法。
【請求項24】
肥料又はソイルビルダー製品を製造する方法において、
ガスタービン、オイル又はガスバーナ、又は往復エンジンから高温燃焼排ガスを生成する工程と、
前記高温燃焼排ガスを糞尿原料に接触させて、十分な温度で十分な時間、前記原料を熱処理し、
作物生育作業での乾燥適用に適したグラニュール、ペレット、又はプリルに形成するのに適した自己結合糞尿材料を提供する工程と、
からなる方法。
【請求項25】
閉じ込められた装置内で前記排ガスを前記糞尿原料と接触させて、前記糞尿原料の著しい酸化を実質的に防止する工程からなる請求項24に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−509871(P2008−509871A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522629(P2007−522629)
【出願日】平成17年7月18日(2005.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/025466
【国際公開番号】WO2006/020253
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(507020381)アースリニュー・アイピー・ホールディングズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (4)
【氏名又は名称原語表記】EarthRenew IP Holdings LLC
【Fターム(参考)】