説明

材料供給装置およびこれを用いる積層板の製造装置

【課題】シート材料を供給する材料供給装置の大型化を避ける。
【解決手段】巻芯6に複数のシート材料4a、4b、4cをロール状に重ね巻きした積層ロール5から、各シート材料4a、4b、4cを巻出して供給する材料供給装置12は、積層ロール5の巻芯6を回転自在に軸支する積層ロール支持部21、23と、積層ロール5の複数のシート材料4a、4b、4cの周長差を吸収する周長差吸収機構30と、を備え、周長差吸収機構30が積層ロール5の巻芯6に装着されている。この周長差吸収機構30は、積層ロール5から引き出すシート材料4b、4cを引き出し方向にガイドするガイドロール36、37と、ガイドロール36、37を通過したシート材料4b、4cに対してガイドロールとは逆側から圧接する張力付加ロール32、34と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料供給装置およびこれを用いる積層板の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層板の製造装置としては、複数のシート材料をそれぞれ巻き取った複数のロールと、複数のロールから巻き出した複数のシート材料を積層した状態で通過させつつ互いに熱溶着して積層板とする熱プレス機と、熱プレス機からの積層板を巻き取る製品巻取装置と、を備えて構成されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
そのため、複数のシート材料を熱プレス機に供給するための材料供給装置では、各ロールを支持するロール支持部が少なくともシート材料の枚数以上必要になり、この複数のロール支持部を互いに干渉しないように設置するために、材料供給装置が大型化してしまう。
【0004】
なお、材料供給装置を大型化させずに複数のロール支持部を配置すると、複数のロール支持部が互いに近接することになり、セット時にロール支持部にロールを装着する作業や、シート材料を熱プレス機に挿入する作業が困難になる。
【特許文献1】特開平5−42555号公報
【特許文献2】特開平9−1590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本出願人は、複数のシート材料を積層した状態でロール状にして巻き取って積層ロールを作り、この積層ロールを積層ロール支持部に装着しておき、この積層ロールから複数のシート材料を引き出す方法に想い至った。
【0006】
この方法によれば、複数のロール支持部を、一つの積層ロール支持部としてまとめることができるため、装置を大幅に小型化できる。しかしながら、このような積層ロールからシート材料を巻き出すと、各シート材料の周長差により外側のシート材料ほど巻き出し量が長くなるため、この周長差を吸入できないと、複数のシート材料を重ね合わせて熱プレスする際に皺や折り目ができてしまう虞がある。
【0007】
そこで、周長差を吸収するためにダンサーロール機構などを設けることが考えられる。例えば特許文献2には走行距離補正手段としてダンサーロール機構の一例が開示されている。ダンサーロール機構は、回転軸が固定されている一対の固定ロールと、一対の固定ロールの間に設けられ且つその回転軸が固定ロールに対して移動可能なダンサーロールと、を備えて構成される。このようなダンサーロール機構を用いると、積層ロール支持部の以外に、複数のシートごとにそれぞれダンサーロール機構の支持部が必要となり、こらら積層ロール支持部とダンサーロール機構支持部とが互いに干渉しないようにすると、材料供給装置が大型化し、装置全体の大型化が避けられなくなってしまう。
【0008】
本発明は、装置の大型化を回避できる積層板の製造装置およびこれに用いる材料供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る積層板の製造装置および材料供給装置は、積層ロールの巻芯に装着され且つ積層ロールの複数のシート材料の周長差を吸収する周長差吸収機構を備え、前記周長差吸収機構は、前記積層ロールから引き出すシート材料を引き出し方向にガイドする1以上のガイドロールと、前記ガイドロールを通過したシート材料に対して前記ガイドロールとは逆側からシート材料に圧接して張力を与える1以上の張力付加ロールと、を備えて構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、積層ロールから複数のシート材料を引き出した際にこれら複数のシート材料間に生じる周長差を、周長差吸収機構によって吸収できる。
【0011】
また、この周長差吸収機構を、積層ロールの巻芯を支持する積層ロール支持部に対して積層ロールの軸方向にずれた位置に配置できるため、複数の積層ロール支持部を近接配置してもこれら積層ロール支持部に周長差吸収機構が干渉せずにすみ、材料供給装置の大型化を避けることができる。
【0012】
また、周長差吸収機構は、ガイドロールと張力付加ロールとを備えて構成されているため、ガイドロールが無い構造に比べ、周長差を吸収できる量が大きくなる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態の積層板の製造装置について図1〜7を参照しつつ説明する。
【0015】
「積層板の製造装置の概略」
まず、本実施形態の積層板の製造装置10の全体構造を概略的に説明する。本実施形態の積層板の製造装置10は、図2に示すように、材料供給装置12と、熱プレス機としてのダブルベルトプレス装置13と、製品巻取装置14と、を備えて構成されている。
【0016】
材料供給装置12は、各積層ロール5から多層ワーク8(複数のシート材料4a、4b、4cを積層したもの)を巻き出してダブルベルトプレス装置13のワーク供給口に供給するものであり、ダブルベルトプレス装置13は、公知のダブルベルトプレス装置により構成され、材料供給装置12からの多層ワーク8を通過させつつ加熱圧着することにより多層ワーク8を構成する複数のシート材料4a、4b、4c同士を熱溶着(ラミネート成形)して積層板9とするものであり、このようにダブルベルトプレス装置13でラミネート成形された積層板9を、製品巻取装置14で巻き取るようになっている。
【0017】
なお、積層ロール5の製造方法は、図1に示すように長尺帯状の複数のシート材料4a、4b、4cを積層した状態で巻芯6にロール状に巻き取ることにより、行われる。この積層ロール5を製造するための積層ロール製造装置1は、図1に示すように各シート材料4a、4b、4cがそれぞれ別々にロール状に巻き取られた単層ロール3a、3b、3cを軸支する単層ロール支持部2a、2b、2cと、各単層ロールからのシート材料4a、4b、4cを積層した状態で巻き取るための巻芯6を支持する積層ロール支持部7と、を主な構成要素として備える。この例では、複数のシート材料4a、4b、4cは3枚で、銅箔4a,ポリイミドフィルム4b,及び銅箔4cからなる。そのため、図2に示す製造装置10で製造される積層板9は、ポリイミドフィルム4bの両面が銅箔層4a、4cとなる両面銅箔積層板(ラミネートシート)となる。なお、シート材料4a、4b、4cが上述の材質の場合、ダブルベルトプレス装置13による加熱圧着処理は、圧力20〜80[bar]、温度180〜400[℃]、時間1〜10[分]の範囲内で行うことが望ましい。
【0018】
「材料供給装置」
次に、材料供給装置12についてより詳しく説明する。
【0019】
材料供給装置12は、図2、4に示すように、積層ロール5の巻芯6を回転自在に軸支する積層ロール支持部21、23を備えている。積層ロール支持部21、23は巻芯6の軸方向両端側に設けられており、軸方向一端側の積層ロール支持部21が、床面から垂直方向に立設された取付壁20に各積層ロール5毎に埋設されており、軸方向他端側の積層ロール支持部23が、各積層ロール5毎に床面または天井から垂直方向に立設された柱状に形成されている。
【0020】
この積層ロール支持部21、23は、回転シャフト25を介して積層ロール5の巻芯6を軸支している。つまり、積層ロール5の巻芯6は中空(この例では円筒状)に形成されており、この巻芯6内を貫通する回転シャフト25を積層ロール支持部21、23によって支持している。なお、回転シャフト25は、巻芯6の内周面に係合すべく径方向にむけて出没する図示せぬストッパを有しており、ストッパが径方向に突出すると、回転シャフト25と巻芯6とが一体化して回転シャフト25と巻芯6とが一体的に回転することとなる。
【0021】
積層ロール支持部21、23の少なくとも何れか一方には、製品巻取装置14による積層板9の巻き取りに対してブレーキをかけるブレーキ手段(図示せぬ)が内蔵されており、これにより多層ワーク8が張架した状態でダブルベルトプレス装置13に投入されるようになっている。
【0022】
しかしながら、多層ワーク8は複数のシート材料4a、4b、4c(厚さt1,t2,t3)により形成されているため、積層ロール5から巻出した際に、外側のシート材料4cは中間のシート材料4bによりも1周あたり2π×(t2)/2だけ長く巻き出されるとともに内側のシート材料4aに対しては1周あたり2π×(t2+t3)/2だけ長く巻き出されることとなる。
【0023】
そのため、ダブルベルトプレス装置13に多層ワーク8が挿入される際、ダブルベルトプレス装置13のワーク挿入口においてシート材料4a、4b、4cの精度よく積層されずに皺などが発生して、積層板の成形不良を引き起こす可能性がある。そこで、このような不具合が発生することを防止するために、本実施形態の材料供給装置12は周長差吸収機構30を備えて構成されている。
【0024】
「周長差吸収機構」
次に周長差吸収機構30について図4〜8を主に参照しつつより詳しく説明する。
【0025】
周長差吸収機構30は、積層ロール5の複数のシート材料4a、4b、4cの周長差を吸収するものである。本実施形態の周長差吸収機構30は、積層ロール5の巻芯6に装着されている。より具体的には、以下のような構成になっている。
【0026】
本実施形態の周長差吸収機構30では、積層ロール5の巻芯6の軸方向両端側にはベアリング39を介して懸架された一対の板状の取付ベース35が設けられている。この対向する一対の取付ベース35には、巻芯6と平行になるようにガイドロール36、37が懸架された状態で軸支されているとともに、一対の支持アーム31および一対の支持アーム32の基端が回転自在に軸支されている。この一対の支持アームの回転自由端側には張力付加ロール32、34が巻芯6と平行になるように架設された状態でその軸方向両端が軸支されている。
【0027】
ガイドロール36、37は、積層ロール5から引き出す多層ワーク8の各シート材料4b、4cを引き出し方向にガイドするものであり、また、張力付加ロール32、34は、ガイドロール36、37を通過したシート材料4b、4cに対してガイドロール36、37とは逆側から圧接して張力を与えるものである。ここで、ガイドロール36、37および張力付加ロール32、34の個数は、シート材料4a、4b、4cの枚数と同一であってもよいが、この例では、ガイドロール36、37および張力付加ロール32、34が、複数のシート材料4a、4b、4cのうち最内側のシート材料4aを除いた各シート材料4b、4cに対して設けられており、最内側のシート材料4aはガイドロールおよび張力付加ロールを介さずにダブルベルトプレス装置13を通じて製品巻取装置14で巻き取るようになっているため、ガイドロール36、37および張力付加ロール32、34の個数は、シート材料4a、4b、4cの枚数よりも1つ少なくなっている。つまり、この例では、多層ワーク8のシート材料の枚数が3枚に対して、ガイドロール36、37および張力付加ロール32、34は1つ少ない2つになっている。
【0028】
なお、取付ベース35は、回転する巻芯6に対して当該取付ベース35の自重によって姿勢が一定に保たれているか、床面や積層ロール支持部やその他の固定点に係合されて姿勢が一定に保たれるようになっている(回転する巻芯6につられて回転しないようになっている)。
【0029】
そして、張力付加ロール32、34がシート材料4b、4cに圧接する方向に向けて支持アーム31、33が回転するように、支持アーム31、33が付勢手段41によって付勢されている。本実施形態の付勢手段41は、支持アーム31、33に連結されたワイヤ43,45を電動モータ41で引っ張る構造であるが、付勢手段としては、バネ部材やエアシリンダなど様々な形態で実現されうる。また、本発明では、付勢手段を設けずに、張力付加ロール32、34および支持アーム31、33の自重により、張力付加ロール32、34がシート材料4b、4cに圧接するようなっていても良い。
【0030】
このような周長差吸収機構30により、ダブルベルトプレス装置13に投入される複数のシート材料4a、4b、4c間の巻出し長さが吸収される。具体的には、図5→図6→図7に示すように、積層ロール5から多層ワーク8が巻り出されるにしたがって、外側のシート材料ほど弛みが大きくなるため、これを吸収するように支持アーム31、33が回転していく。これにより、製造される積層板9に皺が発生することが防止される。
【0031】
ここで、本実施形態では、周長差吸収機構30は、ガイドロール36、37に対する張力付加ロール32、34の位置を固定すべく支持アーム31、33を所定の回転位置に一時的にロックするストッパ47を備えている。この実施形態では、ストッパ47は、取付ベース45に対して出没自在に設けられたピンにより形成されており、ストッパ47を取付ベース45から突出させると支持アーム31、33を所定位置で一時的にロックでき、逆に取付ベース45に没入させると支持アーム31、33の回転を許容できる。
【0032】
ストッパ47は、シート材料4a、4b、4cの引き出し位置と、ガイドロール36、37と、張力付加ロール32、34と、がほぼ一直線上になる位置において支持アーム31、33を一時的にロックできるようになっている。これにより、積層ロール5のセット時に、積層ロール3からシート材料4a、4b、4cを引き出してガイドロール36、37および張力付加ロール32、34の間をくぐらせる際に、シート材料4b、4cのくぐらせ作業が容易となる。
【0033】
次に本実施形態の効果を列挙する。
【0034】
(1)本実施形態の積層板の製造装置10およびこれに用いる材料供給装置12は、積層ロール5から引き出した複数のシート材料4a、4b、4cの周長差を吸収する周長差吸収機構30を備えている。そのため、積層ロール5から多層ワーク8を引き出した際に多層ワーク8を構成する複数のシート材料4a、4b、4c間に生じる周長差を、周長差吸収機構30によって吸収できる。結果、熱プレス機13のワーク挿入口において多層ワーク8の積層状態を安定させることができ、製造される積層板9に皺が入るなどの製造不良を防止できる。
【0035】
(2)本実施形態では、当該周長差吸収機構30が積層ロール5の巻芯6に装着されている。そのため、周長差吸収機構30を、積層ロール支持部21、23に対して軸方向にずれた位置に配置できるため、複数の積層ロール支持部21、23を径方向に近接配置してもこれら積層ロール支持部21、23に周長差吸収機構30が干渉せずにすみ、材料供給装置12の大型化を避けることができる。
【0036】
特に、多層ワーク8を構成するシート材料が3枚以上の構造において、複数の積層ロール5を互いに近接配置することが容易となる。
【0037】
(3)本実施形態では、周長差吸収機構30は、積層ロール5から引き出した多層ワーク(積層した複数のシート材料4a、4b、4cからなる)のうち最内側のシート材料4aを除いた各シート材料4b、4cを引き出し方向にガイドするガイドロール36、37と、前記ガイドロール36、37を通過したシート材料4b、4cに対して前記ガイドロール36、37とは逆側からシート材料4b、4cに圧接して張力を与える張力付加ロール32、34と、を備えて構成されている。そのため、ガイドロール36、37が無い構造に比べ、周長差を吸収できる量が大きくなる利点がある。
【0038】
(4)本実施形態では、積層ロール5から引き出した多層ワーク(積層した複数のシート材料4a、4b、4cからなる)のうち最内側のシート材料4aを除いた各シート材料4b、4cに対して、ガイドロール36、37および張力付加ロール32、34が設けられている。つまり、ガイドロール36、37および張力付加ロール32、34の個数が、シート材料の枚数よりも1つ少ない個数になっている。そのため、張力付加ロール32、34およびこれを支持する支持アーム31、33が最小限で済むため、部品点数が低減され、原価低減に寄与する。
【0039】
(5)本実施形態では、周長差吸収機構30が、積層ロール5の巻芯6の軸方向両端側にベアリング39を介して懸架された取付ベース35を備え、ガイドロール36、37が取付ベース35に支持され、張力付加ロール32、34が、前記巻芯6または前記取付ベース35に軸支された一対の支持アーム31、33の回転自由端側同士の間に架設されている。そのため、積層ロール5の巻芯6に装着される周長差吸収機構30が、簡素な構成となり、装置の原価低減に寄与する。
【0040】
また、一対の支持アーム31、33で張力付加ロール32、34の長手方向両端を支持するため、張力付加ロール32、34の安定性が高く、シート材料4a、4b、4cがより皺になりにくくなる。
【0041】
(6)本発明では、支持アーム31、33は積層ロール5の巻芯6に軸支されていてもよいが、本実施形態では、支持アーム31、33は取付ベース35に軸支されている。そのため、支持アーム31、33を巻芯6よりもガイドロール36、37側において回転自在に軸支することで、支持アーム31、33の長さを短くすることができ、これにより、さらに装置のコンパクト化を図ることができる。
【0042】
(7)また本発明では、複数の支持アーム31、33の回転中心を一致させても良いが、仮に、複数の支持アーム31、33の回転中心を一致させた場合は、複数の支持アーム31、33を巻芯6の軸方向に向けて積層する必要がある。これに対して、本実施形態では、複数の支持アーム31、33の回転中心を一致させずにズラして設けてあるため、巻芯6の軸方向に大型化せずにすむ。
【0043】
(8)また本実施形形態では、ガイドロール36、37に対する張力付加ロール32、34の位置を固定すべく支持アーム31、33を所定の回転位置に一時的にロックするストッパ47を備えている。そのため、積層ロール5のセット時に、積層ロール5からシート材料4a、4b、4cを引き出してガイドロール36、37および張力付加ロール32、34の間をくぐらせる作業が容易となる。
【0044】
「変形例」
次に、周長差吸収機構30の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上述の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、構成ならびにその作用効果の重複する説明は省略する。
【0045】
図9に示す変形例では、積層ロール5に巻き取られた多層ワーク8が2枚のシート材料4a、4bからなり、支持アーム31、張力付加ロール32、ガイドロール36が一つである点で、上述の実施形態と異なる。また、図9に示す変形例では、支持アーム31が積層ロール5の巻芯6に軸支されている点で、上述の実施形態と異なる。
【0046】
このような変形例においても上述の実施形態と同様の作用効果(1)〜(5)が得られる。
【0047】
以上、本発明を上述の実施形態を例にとって説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されることはない。
【0048】
例えば、上記銅箔はアルミニウム箔やステンレス箔等の銅箔以外の金属箔であってもよく、また、ポリイミドフィルムは液晶ポリマーやアラミドフィルム、ペットフィルム、極薄ガラスクロス基材のエポキシ樹脂シートなどポリイミドフィルム以外の種々のフィルム状基材であってもよい。
【0049】
また、上述の実施形態では、多層ワークが2枚または3枚のシート材料である場合について説明しているが、多層ワークが複数のシート材料からなるものであれば、シート材料の枚数に関わらず本発明を適用できる。
【0050】
また、上述の実施形態では、6枚の積層板を同時にラミネート成形するものであったが、本発明では、1枚の積層板をラミネート形成するものであってもよい。但し、同時に製造する積層板の枚数が多いほど、つまり、積層ロールの個数が多いほど、積層ロールの支持部の配置スペースが限られてくるため、本発明の効果がより功を奏する。
【0051】
なお、本発明では、巻芯は中空でも中実でもよい。
【0052】
また、上述の実施形態では、巻芯は回転シャフトを介して積層ロール支持部に装着されていたが、本発明では、巻芯が回転シャフトを介さずに積層ロール支持部に直接装着されていても良い。
【0053】
また、上述の実施形態では、ガイドロール、張力付加ロールおよび支持アームの点数を最小限にすべく、多層ワークを構成するシート枚数よりもガイドロール、張力付加ロールおよび支持アームの個数が1つ少なくなっているが、本発明ではシート枚数と、ガイドロールおよび張力付加ロールおよび支持アームの個数とが同一でもよいし、また多くてもよい。
【0054】
また、その他、上記実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態の積層板の製造装置に用いる積層ロール製造装置の模式図である。
【図2】本実施形態の積層板の製造装置の模式図。
【図3】同積層板の製造装置により製造される積層板の製造原理を概略的に説明する模式図。
【図4】同積層板の製造装置の材料供給装置に用いられる周長差吸収機構の斜視図。
【図5】同周長差吸収機構の側面図であって、多層ワークの巻出し前の状態を示す図。
【図6】同周長差吸収機構の側面図であって、多層ワークの巻出し中期の状態を示す図。
【図7】同周長差吸収機構の側面図であって、多層ワークの巻出し後期の状態を示す図。
【図8】同周長差吸収機構の断面図。
【図9】同周長差吸収機構の変形例を示す側面図であって、図9aは多層ワークの巻出し初期を示し、図9bは多層ワークの巻出し中期を示し、図9cは多層ワークの巻出し後期を示す図。
【符号の説明】
【0056】
4a,4c:銅箔(シート材料)
4b:ポリイミドフィルム(シート材料)
5:積層ロール
6:巻芯
10:積層板の製造装置
12:材料供給装置
13:ダブルベルトプレス装置(熱プレス機)
14:製品巻取装置
20…取付壁
21、23…積層ロール支持部
30…周長差吸収機構
31、33…支持アーム
32、34…張力付加ロール
36、37…ガイドロール
47…ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシート材料を積層した状態で巻芯にロール状に重ね巻きした積層ロールから各シート材料を巻き出して供給する材料供給装置であって、
前記巻芯に装着され且つ前記積層ロールの複数のシート材料の周長差を吸収する周長差吸収機構を備え、
前記周長差吸収機構は、前記積層ロールから引き出すシート材料を引き出し方向にガイドするガイドロールと、前記ガイドロールを通過したシート材料に対して前記ガイドロールとは逆側から圧接して張力を与える張力付加ロールと、を備えて構成されていることを特徴とする材料供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の材料供給装置であって、
前記周長差吸収機構は、前記巻芯の軸方向両端側にベアリングを介して懸架された取付ベースを備え、
前記ガイドロールは、前記取付ベースに支持され、
前記張力付加ロールは、前記巻芯または前記取付ベースに軸支された一対の支持アームの回転自由端側同士の間に架設されていることを特徴とする材料供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の材料供給装置であって、
前記支持アームは、前記巻芯に回転自在に軸支されていることを特徴とする材料供給装置。
【請求項4】
請求項2に記載の材料供給装置であって、
前記支持アームは、前記巻芯よりもガイドロール側において回転自在に軸支されていることを特徴とする材料供給装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか1項に記載の材料供給装置であって、
前記ガイドロールに対する前記張力付加ロールの位置を固定すべく前記支持アームを所定の回転位置に一時的にロックするストッパを備えることを特徴とする材料供給装置。
【請求項6】
積層板の製造装置であって、
複数のシート材料を積層した状態で巻芯にロール状に巻き取った積層ロールから前記複数のシート材料を巻き出して供給する材料供給装置と、
前記材料供給装置からの複数のシート材料を積層した状態で通過させつつ熱プレスすることにより複数のシート材料同士を熱溶着して積層板とする熱プレス機と、
を備える積層板の製造装置であって、
前記材料供給装置は、前記巻芯に装着され且つ前記積層ロールの複数のシート材料の周長差を吸収する周長差吸収機構を備え、
前記周長差吸収機構は、前記積層ロールから引き出すシート材料を引き出し方向にガイドするガイドロールと、前記ガイドロールを通過したシート材料に対して前記ガイドロールとは逆側から圧接して張力を与える張力付加ロールと、を備えて構成されていることを特徴とする積層板の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−29570(P2009−29570A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195043(P2007−195043)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】