説明

材料除去および分配装置、システム、および方法

本発明は、マルチウエルプレートのウエルから材料を非侵襲的に除去する材料除去ヘッドおよび装置を提供する。本発明の材料除去ヘッドは、材料がプレートから除去されるにつれて、マルチウエルプレートのウエル間の交差汚染を防ぐように構成される。本発明はまた、傾斜をつけたディスペンサーを含むディスペンスヘッドおよび装置を提供する。関連するシステム、キット、および方法をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
著作権通知
37C.F.R.(米国特許法施行規則)1.71(e)項に従って、出願人は、本開示の一部は、著作権保護を受ける資料を含むことに注目する。著作権所有者は、特許商標庁の特許ファイルまたは記録にあるような特許文書または特許開示を誰でもファクシミリ複写することに反対しないが、その他の点では全ての著作権を何であっても保有する。
関連出願への相互参照
【0002】
本出願は、2003年4月8日に出願された米国特許仮出願番号第60/461,638号の優先権を主張し、その全ての開示内容を全ての目的のために本明細書中に援用する。
【背景技術】
【0003】
マルチウエルプレートは、急速に、さまざまな生化学および細胞ベースのアッセイを含む多くの現代の薬の発見および開発手順において利用される標準フォーマットとなってきた。例えば、多数の共通の細胞ベースのアッセイステップは、日常的に、マルチウエルプレートにおいて並列に行われる。これらは、細胞培養媒体を分配しかつ除去するステップ、細胞を洗浄するステップ、細胞に薬剤候補を投薬するステップ、細胞培養物を低温放置するステップ、および細胞応答を検出するステップ等のステップを含む。候補をスクリーニングする方法の利点は、以前のアプローチに対して著しく高められたスループットを含む。スループットは、これらのアッセイの多くがますます自動化されたシステムにおいて行わるにつれて、さらにもっと改良されつつある。
【0004】
マルチウエルプレートで行われる共通の種類のアッセイのより特定的な例は、信号変換、細胞粘着、アポトーシス、細胞移動、GPCR、細胞透過性、受容体/配位子アッセイ、および細胞成長/増殖に関するものを含む。マルチウエルプレートを含むこれらおよび他のアッセイに関するさらなる詳細を、例えば、パーカー(Parker)ら、(2000)「蛍光偏光を用いる高スループットスクリーニングアッセイの開発:核受容体−配位子結合およびキナーゼ/ホスファターゼアッセイ(Development of high throughput screening assays using fluorescence polarization:nuclear receptor−ligand binding and kinase/phosphatase assays)」、生体分子スクリーニングジャーナル(J.Biomolecular Screening)、5(2):77−88、アサ(Asa)(2001)「自動化細胞透過性アッセイ(Automating cell permeability assays)」、スクリーニング(Screening)、1:36-37、ノリントン(Norrington)(1999)「薬発見工程の自動化(Automation of the drug discovery process)」、薬学技術の革新(Innovations in Pharmaceutical Technology)、1(2):34−39、福島ら、(2001)「ヒト星状細胞および膀胱癌細胞の要因によるホースラディシュ・ペルオキシダーゼに対する減じられた内皮透過性の誘導:マルチウエルプレート培養物の検出(Induction of reduced endothelial permeability to horseradish peroxidase by factor(s) of human astrocytes and bladder carcinoma cells:detection in multi−well plate culture)」、方法細胞科学(Methods Cell Sci.)、23(4):211−9、ノイマイヤー(Neumayer)(1998)「蛍光ELISA、二つの蛍光性および一つの発色性酵素基質の比較(Fluorescence ELISA,a comparison between two fluorogenic and one chromogenic enzyme substrate)」、BPI、10(Nr.5)、グレエフ(Graeff)ら、(2002)「ナノモル感度を持つニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸のための新規サイクルアッセイ(A novel cycling assay for nicotinic acid−adenine dinucleotide phosphate with nanomolar sensitivity)」、生化学ジャーナル(Biochem J.)、367(Pt1):163−8、ロジャス(Rogers)ら、(2002)「神経電位依存性Ca2+チャネルに影響を及ぼす植物エキスの蛍光検出(Fluorescence detection of plant extracts that affect neuronal voltage−gated Ca2+ channels)」、薬物科学ヨーロッパジャーナル(Eur.J.Pharm.Sci.)、15(4):321−30、およびラッパポート(Rappaport)ら、(2002)「足場依存性哺乳類細胞の多層成長のための新規のペルフルオロカーボン系(New perfluorocarbon system for multilayer growth of anchorage−dependent mammalian cells)」、バイオ技術(Biotechniques)、32(1):142−51に記載されている。
【0005】
上で参照されたプロトコルの多くは、材料が、マルチウエルプレートに配設されるウエルに分配されかつ/またはそれから除去されるステップを含む。例証するために、ある細胞ベースのELISAアッセイは、細胞がウエルの側面または底部に付着したままであるウエルから溶媒または他の流体材料を除去することを含む。その後、新たな流体は、例えば、細胞等を洗浄するために、ウエルに分配されてもよい。これらの流体材料をウエルから除去するために用いられる以前から存在する装置は、典型的に、ウエルから流体を非侵襲的に吸引するチップを有するシリンジまたは真空ポンプを利用する。典型的に、チップをウエルに挿入して、流体の表面と接触しかつそれを貫通して、吸引を実行することを含むこれらの非侵襲的技術は、マルチウエルプレートにおけるウエル間の交差汚染を最小にしようとする努力において、しばしば連続する吸引間の装置のチップを洗浄する必要がある。これらのアプローチに関連する非侵襲性および頻繁なチップ洗浄は、アッセイスループットを著しく制限する。さらに、これらのチップへの開口部は、一般的に、細胞またはウエルから吸引された他の残屑によって容易に詰められまたはその他閉鎖される小さい内部寸法(例えば、直径)を有する。多くの場合、これによって、最後にバイアスされたアッセイ結果を生じうる不完全に空にされたウエルとなる。検出するのが困難なこともあるこれらの以前から存在する装置の詰まったチップは、一般的に、詰まったものを除去するかまたは交換されなければならない。この「休止時間」は、アッセイスループットをさらに制限する。
【0006】
以上のことから、マルチウエルプレートまたは他のマルチウエルプレート容器から材料を除去するさらなる装置、システム、および方法が望ましいことは明らかである。より詳細には、とりわけ、これらの容器のウエル間の交差汚染と材料除去ステップ間で行われる装置洗浄ステップの数との両方を最小にするために、マルチウエル容器から材料を非侵襲的に除去するのが望ましい。これらの属性は、スループット、可撓性、アッセイの質、またはマルチウエルフォーマットを含む他の手順を、以前から存在する装置および方法を用いて行われるものに対して著しく改良する。これらおよび本発明のさまざまなさらなる特性は、次の開示を徹底的に見直すと明らかとなろう。
【非特許文献1】パーカー(Parker)ら、(2000)「蛍光偏光を用いる高スループットスクリーニングアッセイの開発:核受容体−配位子結合およびキナーゼ/ホスファターゼアッセイ(Development of high throughput screening assays using fluorescence polarization:nuclear receptor−ligand binding and kinase/phosphatase assays)」、生体分子スクリーニングジャーナル(J.Biomolecular Screening)、5(2):77−88
【非特許文献2】アサ(Asa)(2001)「自動化細胞透過性アッセイ(Automating cell permeability assays)」、スクリーニング(Screening)、1:36-37
【非特許文献3】ノリントン(Norrington)(1999)「薬発見工程の自動化(Automation of the drug discovery process)」、薬学技術の革新(Innovations in Pharmaceutical Technology)、1(2):34−39
【非特許文献4】福島ら、(2001)「ヒト星状細胞および膀胱癌細胞の要因によるホースラディシュ・ペルオキシダーゼに対する減じられた内皮透過性の誘導:マルチウエルプレート培養物の検出(Induction of reduced endothelial permeability to horseradish peroxidase by factor(s) of human astrocytes and bladder carcinoma cells:detection in multi−well plate culture)」、方法細胞科学(Methods Cell Sci.)、23(4):211−9
【非特許文献5】ノイマイヤー(Neumayer)(1998)「蛍光ELISA、二つの蛍光性および一つの発色性酵素基質の比較(Fluorescence ELISA,a comparison between two fluorogenic and one chromogenic enzyme substrate)」、BPI、10(Nr.5)
【非特許文献6】グレエフ(Graeff)ら、(2002)「ナノモル感度を持つニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸のための新規サイクルアッセイ(A novel cycling assay for nicotinic acid−adenine dinucleotide phosphate with nanomolar sensitivity)」、生化学ジャーナル(Biochem J.)、367(Pt1):163−8
【非特許文献7】ロジャス(Rogers)ら、(2002)「神経電位依存性Ca2+チャネルに影響を及ぼす植物エキスの蛍光検出(Fluorescence detection of plant extracts that affect neuronal voltage−gated Ca2+ channels)」、薬物科学ヨーロッパジャーナル(Eur.J.Pharm.Sci.)、15(4):321−30
【非特許文献8】ラッパポート(Rappaport)ら、(2002)「足場依存性哺乳類細胞の多層成長のための新規のペルフルオロカーボン系(New perfluorocarbon system for multilayer growth of anchorage−dependent mammalian cells)」、バイオ技術(Biotechniques)、32(1):142−51
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一般的に、マルチウエルプレート(例えば、マイクロウエルプレート、反応ブロック等)に配設されるウエルからの材料の除去に関する。特に、本発明は、固体材料および/または流体材料等の材料をマルチウエルプレートから非侵襲的に除去する材料除去ヘッドを提供する。非侵襲的な材料除去に加えて、本発明の材料除去ヘッドは、典型的に、材料がプレートから除去されると、ウエル間の交差汚染を最小にするように構成される部分(例えば、チップ、表面等)を含む。材料除去ヘッドはまた、一般的に、本発明の装置またはシステムの部品として含まれる。本明細書で説明する装置およびシステムは、例えば、以前から存在する装置を用いて行われるそれらの工程より優れているスループットで、例えば十分な洗浄すなわち清浄ステップ、さまざまなアッセイ、および他の手順を行うために利用されてもよい。本発明はまた、本明細書で説明する材料除去ヘッドを含むマルチウエルプレートおよびキットから材料を非侵襲的に除去する方法を提供する。
【0008】
一態様では、本発明は、マルチウエルプレートの一つ以上のウエルから材料を除去する材料除去ヘッドに関する。該材料除去ヘッドは、a)少なくとも一つの通気開口部、少なくとも一つの入口、および少なくとも一つの出口を含む少なくとも一つのチップであって、該入口は、出口(例えば、チップを通して配設されるチャネルまたは他のキャビティを含む)と連通し、かつb)入口が、材料が除去されるべき選択されたウエルの近位に配設されるとき、該チップは、選択されたウエルと少なくとも一つの隣接するウエルとの間にバリヤーを形成するように構成されるチップを含む。さらに、出口が、負圧源に動作可能に連結されるとき、通気開口部を通してかつ入口へ空気が吸い込まれ、それによってバリヤーが隣接するウエルの交差汚染を防いでいる間に、選択されたウエルから材料を非侵襲的に除去する。いくつかの実施形態では、チップは、弾性カップリングによって材料除去ヘッドの本体構造に結合され、例えばマルチウエルプレートの表面変動の原因となって、例えば、材料がプレートから非侵襲的に除去されると、チップおよびマルチウエルプレートの損傷を防ぐ。いくつかの実施形態では、本発明の材料除去ヘッドは、例えば、多数の入口が一つ以上の出口と連通することができるか、あるいは多数の出口が一つ以上の入口と連通することができるように、一つ以上のマニホールドを含む。
【0009】
本発明の材料除去ヘッドで利用されるチップは、さまざまな実施形態を含む。例えば、チップは、入口が選択されたウエルの近位に配設されるとき、該チップが、選択されたウエルと、一つ以上の、いくつかの実施形態では3つ以上の隣接するウエルとの間にバリヤーを形成するように場合により構成される。いくつかの実施形態では、チップは、選択されたウエルの両側面と嵌合する傾斜をつけた表面を含む。傾斜をつけた面の一方は、典型的には、通気開口部を含み、それによって空気が選択されたウエルへ通過することができ、それによってかけられた真空は、ウエルからの材料の非侵襲的除去を行うことができる空気流を生じることができる。
【0010】
ある実施形態では、チップは、チップ(例えば、コーティング等)の周囲に配設される封止材料を含む。封止材料は、典型的に、ゴムまたは他のコンプライアント材料を含む。チップが、選択されたウエルの近位に配設されるとき、封止材料は、一つ以上の隣接するウエルを実質的に封止し、それによって材料が選択されたウエルから除去されると、隣接するウエルの交差汚染を防ぐ。これらの実施形態では、通気開口部を、封止材料とチップの一側面との間に形成することができ、該通気開口部によって、空気が選択されたウエルへ通過することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、本発明の材料除去ヘッドは、多数のチップを含む。例証するために、材料除去ヘッドは、典型的に、少なくとも二つのチップを含み、チップの入口は、マルチウエルプレートに配設される少なくとも二つのウエル間の距離にほぼ対応する距離離れている。例えば、材料除去ヘッドは、複数のチップを場合により含み、少なくともそのサブセットは、マルチウエルプレートに配設される少なくとも一列のウエルの少なくともサブセットの占有面積にほぼ対応する占有面積を含む。例えば、これらの実施形態では、一列のチップにおける隣接するチップ間に配設される隙間領域の数は、典型的に、マルチウエルプレートに配設される対応する列のウエルにおける隣接するウエル間に配設される隙間領域の数の倍数である。さらに例証するために、本発明の材料除去ヘッドは、複数のチップを場合により含み、チップの入口の少なくとも二つの中心は、互いに18mm、9mm、4.5mm、2.25mm以下互いに離れている。96ウエルプレートの一列の全てのウエルから材料を同時に除去する材料除去ヘッドは、例えば、8つのチップまたは12のチップを含みうる。384ウエルプレートについての材料除去ヘッドは、例えば、16のチップまたは24のチップを含みうる。1536ウエルプレートについては、材料除去ヘッドは、32または48のチップを有することができる。代替的に、材料除去ヘッドは、一列のウエルにおけるウエルのサブセットから材料をほぼ同時に除去するように構成されうる。例えば、16または24のチップを含む材料除去ヘッドは、横列または縦列のウエルにおけるウエルの半分から材料を同時に除去するように用いることができる。
【0012】
他の態様では、本発明は、少なくとも一つの通気開口部、少なくとも一つの入口、および少なくとも一つの出口を含む材料除去ヘッドに関し、該入口は、出口と連通(例えば、流体的に)する。入口は、出口が、少なくとも一つの負圧源に動作可能に連結されるとき、少なくとも一つのマルチウエルプレートに配設される少なくとも一つの選択されたウエルから材料を非侵襲的に除去するように構成され、それによって、通気開口部を通してかつ入口へ空気を吸い込む。入口を含む前記材料除去ヘッドの表面は、入口が、材料が除去されるべき選択されたウエルの近位に配設されるとき、マルチウエルプレートの少なくとも一つの非選択ウエルを実質的に封止するように構成される。本明細書で説明する装置およびシステムに含まれるもの等、本発明のこれらの実施形態のいくつかでは、入口を含む材料除去ヘッドの表面は、一般的に、ほぼ平坦であり、例えば、材料が除去されるべきものの近位に配設される非選択ウエルの封止を行って、ウエル間の交差汚染を最小にする。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、材料除去ヘッドから延びる少なくとも一つのチップを含む材料除去ヘッドを提供する。該チップは、少なくとも一つの入口を含む。好ましい実施形態では、材料除去ヘッドは、多数のチップを含み、各々は少なくとも一つの入口を有する。材料除去ヘッドは、入口と連通する少なくとも一つの出口をさらに含み、該入口は、出口が、少なくとも一つの負圧源に動作可能に連結されるとき、少なくとも一つのマルチウエルプレートに配設される少なくとも一つウエルから材料を非侵襲的に除去するように構成される。さらに、チップは、材料が除去されるべきウエルと嵌合するように構成され、材料が除去されると、ウエルと一つ以上の隣接する材料含有ウエルとの間にバリヤーを形成する。
【0014】
他の態様では、本発明は、少なくとも一つの通気開口部、少なくとも一つの入口、および少なくとも一つの出口を含む材料除去ヘッドに関し、該入口は、出口と連通し、入口は、少なくとも一つのマルチウエルプレートに配設される少なくとも一つのウエルの第1断面寸法未満であるかあるいはそれに等しい第1断面寸法を含む。材料除去ヘッドは、マルチウエルプレートに配設される少なくとも一列のウエルの長さの少なくともセグメントにほぼ対応する断面寸法を有する。材料除去ヘッドは、入口がウエルの近位に配設され、かつ出口が少なくとも一つの負圧源に動作可能に連結されるとき、一列のウエルに配設される一つ以上のウエルから材料を非侵襲的に除去するように構成され、それによって通気開口部を通してかつ入口へ空気を吸い込む。さらに、入口を含む材料除去ヘッドの表面は、入口が、材料が除去されるべきウエルの近位に配設されるとき、マルチウエルプレートの少なくとも一つの他のウエルを実質的に封止するように構成される。
【0015】
本発明のある実施形態では、負圧源(例えば、ポンプ等)は、出口に動作可能に連結される。これらの実施形態では、材料除去ヘッドおよび負圧源はいっしょに、材料除去装置を含む。いくつかの実施形態では、材料除去装置は、手持ち式であり、一方他の実施形態では、材料除去ヘッドまたは装置は、システムの部品である。典型的に、少なくとも一つの管は、負圧源を出口に動作可能に連結する。場合により、負圧源は、材料除去ヘッドと一体形である。好ましい実施形態では、本明細書で説明する負圧源は、少なくとも毎分0.3立方フィートの流量で、材料除去ヘッドの入口で、少なくとも28.5インチHgの圧力をかける。さらに、少なくとも一つの弁(例えば、電磁弁等)は、典型的に、材料除去装置に動作可能に連結され、該弁は、負圧源からの圧力流を規制する。場合により、少なくとも一つのトラップは、材料除去装置に動作可能に連結され、該トラップは、廃棄物を捕らえるように構成される。
【0016】
他の態様では、本発明は、少なくとも一つのマルチウエルプレートの一つ以上のウエルに材料(例えば、流体材料等)を分配するように構成される、少なくとも一つのディスペンサーを含むディスペンスヘッドに関する。該ディスペンサーは、Z軸に対して傾斜がつけられ(例えば、約0度と約90度との間)、その結果材料は、ディスペンサーが材料源に動作可能に連結され、かつ材料がディスペンサーから分配されると、ウエルの側面上に分配される。例えば、流体材料が分配されると、傾斜をつけたディスペンサーは、材料がウエルの他の部分と接触する前に、これらの材料の流れの選択されたウエルの両側面との接触を指示する。数ある利点の中でも、このことは、ウエルでの気泡の形成を最小にし、さもなければ、例えば、検出すると、アッセイの結果にバイアスをかけることになるだろう。
【0017】
さらに他の態様では、本発明は、マルチウエルプレート処理システムを提供する。該システムは、本明細書で説明するように、少なくとも一つの材料除去ヘッドを含む。該システムはまた、少なくとも一つの負圧源(例えば、ポンプ等)を含むことができる。例えば、材料除去ヘッドは、典型的に、少なくとも一つの通気開口部、少なくとも一つの入口、および少なくとも一つの出口を含み、該入口は、出口と連通し、かつ該出口は、負圧源に(例えば、少なくとも一つの管または他の導管を経て)動作可能に連結される。入口は、選択されたウエルが入口の近位に配設され、かつ負圧源が負圧を出口にかけると、少なくとも一つのマルチウエルプレートの少なくとも一つの選択されたウエルから材料を非侵襲的に除去するように構成され、それによって通気開口部を通してかつ入口の方へ空気を吸い込む。材料除去ヘッドは、流体材料をマルチウエルプレートから非侵襲的に除去するように構成される。マルチウエル処理システムはまた、典型的に、材料除去部品に動作可能に連結される少なくとも一つの弁(例えば、電磁弁等)を含み、該弁は、負圧源からの圧力流を規制するように構成される。さらに、該システムは、材料除去部品に動作可能に連結される少なくとも一つのトラップを場合により含み、該トラップは、例えば、次の廃棄のために廃棄物を捕らえるように構成される。
【0018】
例えば、本発明のある実施形態では、入口を含む材料除去ヘッドの表面は、ほぼ平坦である。他の実施形態では、材料除去ヘッドは、通気開口部、入口、および出口を含む少なくとも一つのチップを含み、該チップは、入口が、材料が除去されるべき選択されたウエルの近位に配設されるとき、チップが、選択されたウエルと少なくとも一つの隣接するウエルとの間にバリヤーを形成するように構成される。これらの実施形態では、チップは、典型的に、少なくとも一つの弾性カップリングによって、材料除去ヘッドに弾性的に結合される。チップは、一般的に、材料が除去されるべき選択されたウエルと嵌合するように構成される。好ましい実施形態では、材料除去ヘッドは、多数のチップを含む。
【0019】
マルチウエルプレート処理システムは、一つ以上のマルチウエルプレートを、材料除去部品に対して位置決めするように構成される、少なくとも一つの位置決め部品、または一つ以上のマルチウエルプレートの一つ以上のウエルに、一つ以上の材料(例えば、清浄液、溶媒、試薬等)を分配するように構成される、少なくとも一つの分配部品をさらに含む。ある実施形態では、該システムは、位置決め部品と分配部品との両方を含む。典型的に、分配部品は、マルチウエルプレートがディスペンサーの近位に配設されるとき、一つ以上のマルチウエルプレートに配設される一つ以上のウエルと整列する少なくとも一つのディスペンサーを含む。いくつかの実施形態では、分配部品は、一つ以上の流体材料を分配するように構成される。いくつかの実施形態では、分配部品は、複数のマルチウエルプレートに材料をほぼ同時に分配するように構成される。ある実施形態では、分配部品は、Z軸に対して傾斜をつけた(例えば、約0度と約90度との間)少なくとも一つのディスペンサーを含み、その結果材料は、選択されたウエルの側面上に分配されて(例えば、材料は、ウエルの他の部分の前にウエルの両側面と接触して)、例えば、流体材料が分配されると気泡形成を最小にし、材料がウエルなどに分配されると、ウエルに配設される他の材料の破壊を最小にする。
【0020】
マルチウエルプレート処理システムの分配部品は、いくつかの実施形態では、材料除去ヘッドの出口および入口を通して材料を分配することができる。例えば、各出口は、ウエルに分配されるべき材料を収納する溜めへ至る導管と負圧源に連結されかつウエルから除去される材料のための廃棄物容器へ至る導管とを切り替える弁に動作可能に連結されうる。
【0021】
本発明のマルチウエルプレート処理システムは、一つ以上のさらなる部品を場合により含む。例えば、該システムは、マルチウエルプレート処理システムの部品間および/またはマルチウエルプレート処理システムと他の位置との間に、マルチウエルプレートを把持しかつ転位するように構成される少なくとも一つのロボット把持部品を場合により含む。ある実施形態では、該システムはまた、一つ以上のマルチウエルプレートを貯蔵するように構成される少なくとも一つのマルチウエルプレート貯蔵部品(例えば、ホテル、カルーセル等)を含む。いくつかの実施形態では、該システムはまた、一つ以上のマルチウエルプレートを低温放置するように構成される少なくとも一つのインキュベーション部品を含む。該システムはまた、材料除去部品、位置決め部品、または分配部品の一つ以上を互いに対して(例えば、X軸、Y軸および/またはZ軸に沿って)転位するように構成される少なくとも一つの転位部品を場合により含む。いくつかの実施形態では、該システムは、材料除去部品および/または分配部品の少なくとも一部分を洗浄するように構成される少なくとも一つの洗浄部品をさらに含む。ある実施形態では、該システムはまた、一つ以上のマルチウエルプレートに配設される一つ以上のウエルで発生される検出可能信号を検出するように構成される少なくとも一つの検出部品を含む。場合により、該システムはまた、一つ以上のマルチウエルプレートを少なくとも材料除去部品に対して移動させるように構成されるマルチウエルプレート移動部品を含む。さらに、マルチウエルプレート処理システムはまた、典型的に、マルチウエルプレート処理システムの一つ以上の部品に動作可能に連結される少なくとも一つの制御器を含み、該制御器は、部品の動作を制御する。制御器は、一般的に、少なくとも一つのコンピュータを含み、あるいはそれに動作可能にリンクされる。
【0022】
好ましい実施形態では、本明細書で説明するような材料除去ヘッドは、材料が多数のウエルからほぼ同時に除去されうるように、多数の入口を含む。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の材料除去ヘッドは、マルチウエルプレートに配設される少なくとも二つのウエル間の距離にほぼ対応する距離離れた少なくとも二つの入口を含む。例えば、材料除去ヘッドは、典型的に、複数の入口を含み、入口の少なくとも二つの中心は、18mm、9mm、4.5mm、2.25mm以下互いに離れており、その結果、例えば、24、96、384、または1536ウエルのマイクロウエルプレートの隣接するウエル間の中心間隔にそれぞれ対応する。さらに例証するために、材料除去ヘッドは、複数の入口を場合により含み、少なくともそのサブセットは、マルチウエルプレートに配設される少なくとも一列のウエルの少なくともサブセットの占有面積にほぼ対応する占有面積を有する。これらの実施形態では、一列の入口における隣接する入口間に配設される隙間領域の数は、典型的には、マルチウエルプレートに配設される対応する列のウエルにおける隣接するウエル間に配設される隙間領域の数の倍数である。さらに、本発明の材料除去ヘッドは、少なくとも一つのマニホールドを場合により含み、例えば、その結果多数の入口は、一つ以上の出口と連通することができる。場合により、例えば、本発明のシステムでは、出口と負圧源との間の動作可能連結は、少なくとも一つのマニホールドを含む。ある実施形態では、材料除去ヘッドは、複数のマルチウエルプレートからほぼ同時に材料を非侵襲的に除去するように構成される。
【0023】
本明細書で開示される材料除去ヘッドの入口は、さまざまな実施形態を含む。例えば、入口は、例えば、正n角形、不等n角形、三角形、四角形、長方形、台形、円形、および楕円形等から選択される断面形を場合により含む。真空開口部によって、ウエルを通してかつ入口の方へ空気を吸い込むことができ、結果として生じる空気流は、マルチウエルプレートからの非侵襲的な材料の除去を行うベンチュリ効果を生じる。好ましい実施形態では、入口の断面積は、マルチウエルプレートに配設されるウエルの断面積未満であるかまたはそれに等しい。例えば、入口は、例えば、6、12、24、48、96、192、384、768、1536以上のウエルを含むマルチウエルプレートから材料を非侵襲的に除去するように場合により構成される。入口は、例えば、固体材料をマルチウエルプレートから除去するように場合により構成されるが、好ましい実施形態では、入口は、例えば、固体材料に加えてまたはその代わりに、流体材料を非侵襲的に除去するように構成される。
【0024】
他の態様では、本発明は、a)少なくとも一つのマルチウエルプレートの一つ以上のウエルに材料を分配するように構成される少なくとも一つのディスペンサーを含む少なくとも一つのディスペンスヘッドを含む分配システムを提供する。ディスペンサーは、Z軸に対して傾斜がつけられ(例えば、約0度と約90度との間)、その結果材料は、ディスペンサーが材料源に動作可能に連結され、かつ材料がディスペンサーから分配されると、ウエルの側面上に分配される。本明細書で説明するように、これは、数ある利点の中でも、流体材料が、ウエルに分配されると、気泡の形成を最小にする。さらに、分配システムはまた、b)一つ以上のマルチウエルプレートをディスペンスヘッドに対して位置決めするように構成される少なくとも一つの位置決め部品を含む。
【0025】
さらに他の態様では、本発明は、材料をマルチウエルプレートから除去する方法に関する。該方法は、本明細書で説明するような、少なくとも一つの材料除去ヘッドを含む少なくとも一つの材料除去装置またはシステムを提供することを含む。材料除去装置またはシステムはまた、材料除去ヘッドの出口に動作可能に連結される少なくとも一つの負圧源を含む。該方法はまた、材料除去ヘッドの入口を、少なくとも一つのマルチウエルプレートに配設される少なくとも一つの選択されたウエルの近位に配設することを含む。さらに、本方法は、材料(例えば、流体材料等)が、実質的にマルチウエルプレートに配設される隣接するウエルを交差汚染することなしに、選択されたウエルから非侵襲的に除去されるように、負圧源から負圧をかけることを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの他の材料(例えば、細胞材料または他の非流体材料)は、選択されたウエルから除去されない。場合により、該方法は、材料を複数のマルチウエルプレートからほぼ同時に非侵襲的に除去することを含む。
【0026】
ある実施形態では、材料除去ヘッドは、真空開口部、入口、および出口を含む少なくとも一つのチップを含み、該チップは、材料が除去される選択されたウエルと嵌合するように構成される。これらの実施形態では、配設ステップは、典型的に、材料除去ヘッドのチップを選択されたウエルと嵌合させることを含む。チップは、一般的に、選択されたウエルとマルチウエルプレートに配設される少なくとも一つの隣接するウエルとの間にバリヤーを形成し、それによって実質的に隣接するウエルを交差汚染することなく、印加ステップ中選択されたウエルから材料を除去する。他の実施形態では、配設ステップは、材料除去ヘッドをマルチウエルプレートの表面と接触させることを含む。これらの実施形態では、材料除去ヘッドは、それによって、典型的に、実質的にマルチウエルプレートに配設される隣接するウエルを交差汚染することなしに、印加ステップ中、選択されたウエルから材料を除去するために、入口の近位に配設されないマルチウエルプレートに配設される少なくとも一つの非選択ウエルを実質的に封止する。
【0027】
典型的に、該方法は、マルチウエルプレートに配設される少なくとも一つの他の選択されたウエルの近位に入口を配設することをさらに含み、かつ材料が他の選択されたウエルから非侵襲的に除去されるように、負圧源から負圧をかけることを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、マルチウエルプレートの一つ以上のウエルに発生される検出可能信号を、検出器を用いて検出することをさらに含む。好ましい実施形態では、該方法は、配設ステップの前後に、ディスペンサーを用いて、一つ以上の材料(例えば、緩衝液、洗浄溶媒等の流体材料)を一つ以上のウエルに分配することをさらに含む。これらの実施形態のいくつかでは、ディスペンサーは、Z軸に対して傾斜がつけられ(例えば、約0度と約90度との間)、その結果、材料は、ウエルの側面上に分配され、例えば、流体材料がウエルに分配されるとき、気泡形成を最小にし、分配された材料が、ウエル等に配設される他の材料に直接影響を与えるのを防ぐ。これらの実施形態は、例えば、高スループット洗浄プロトコルの一部として場合により利用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
I.定義
本発明を詳細に説明する前に、本発明は、特定の装置、システム、キット、または方法に限られず、もちろんそれらを変更することができることを理解されたい。本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけであり、かつ限定的であることが意図されていないことも理解されるべきである。さらに、別途規定しなければ、本明細書で用いられる全ての技術および科学用語は、本発明に関係する当業者によって普通に理解されるのと同じ意味を持つ。本発明を説明しかつ特許請求する際に、次の用語および文法上の変化は、以下で設定する定義に従って用いられよう。
【0029】
用語「非侵襲的」または「非接触」は、マルチウエルプレートから除去されるべき材料の表面を貫通するまたはそれと接触することを含まない作業のことをいう。材料の表面は、典型的に、流体材料および/または固体材料(例えば、乾燥したまたは溶解していない化学試薬、細胞等)の表面を含む。例えば、好ましい実施形態では、材料は、本発明の材料除去ヘッドを用いて、マルチウエルプレート(例えば、マイクロウエルプレート、反応ブロック、または類似の容器)から非侵襲的に除去される。すなわち、本発明の材料除去ヘッド、またはその部分(例えば、チップ、表面等)は、材料がプレートから除去されるとき(例えば、ヘッドのチップが、マルチウエルプレートのウエルに入っても)、マルチウエルプレートのウエルに配設される材料の表面を貫通しない。例えば、本発明のある実施形態では、材料除去ヘッドのいかなる部分も、それが、材料をプレートから除去するとき、マルチウエルプレートの表面を貫通しない(例えば、ウエルに入らない)。
【0030】
材料除去ヘッドの入口は、材料を、例えばヘッドを通して入口から出口へ、例えば印加圧力下で転位することができるとき、ヘッドの出口と「連通」する。好ましい実施形態では、材料除去ヘッドの入口および出口は、流体的に互いに連通する。多数の入口を含む材料除去ヘッドの実施形態では、ヘッドは、出口と入口との間で連通を行うように構成されるマニホールドを場合により含む。
【0031】
「鋭い端縁」は、90度未満である角度をなす断面またはそのような断面の外挿を含む対象物の端縁、へり、表面、または界面のことをいう。例えば、好ましい実施形態では、鋭い端縁は、鋭いまたはナイフ状端縁を形成する。他の実施形態では、鋭い端縁は、丸くなった、とがっていない、またはその他90度未満である角度をなすように外挿する断面を含む形状の表面を形成する。
【0032】
材料除去ヘッドは、ヘッドの部分(例えば、ヘッドへの入口を含む表面等)が、例えば、ウエルへの入口を含むマルチウエルプレートの表面またはウエル自体への入口を含むチップ(例えば、ウエルの頂端縁等)と接触することによって、ウエルと嵌合し、ウエルを閉じ、またはその他ウエルを接近、漏れ、または通過の恐れがないようにすると、マルチウエルプレートに配設されるウエルを「封止する」。
【0033】
マルチウエルプレートに配設される「ウエル列」は、プレートに配設されるウエルの少なくともサブセットのことをいい、該サブセットは、二つ以上のウエルの少なくとも一つの線形配列を含む。例えば、ある実施形態では、ウエル列は、マルチウエルプレートに配設される少なくとも一縦列または一横列のウエル、またはそのような一横列または一縦列のウエルのサブセットを含む。他の実施形態では、ウエル列は、斜めにまたはその他マルチウエルプレートに配設される少なくともウエルのサブセットを含む。同様に、材料除去ヘッドの「入口列」または「チップ列」は、ヘッドの入口またはチップの少なくともサブセットのことをいい、該サブセットは、二つ以上の入口またはチップの少なくとも一つの線形配列を含む。
【0034】
「占有面積」は、装置部品またはその部分によって覆われるかまたはそれに対応する表面上の領域のことをいう。例えば、材料除去ヘッドの入口またはチップは、典型的に、一つ以上のマルチウエルプレートの選択されたウエルに対応する(例えば、一致する、整列する等)。いくつかの実施形態では、対応は、一対一で(例えば、マルチウエルプレートにおけるウエルごとに一つの入口またはチップ等)であるが、また場合により、別のものである(例えば、マルチウエルプレートのウエルごとの多数の入口またはチップ、入口またはチップごとのマルチウエルプレートの多数のウエル等)。例えば、本発明の好ましい実施形態では、本明細書で説明する材料除去ヘッドの入口またはチップは、これらの入口またはチップの少なくともサブセットおよびウエルが軸方向に互いに整列する(例えば、互いに連通する等)ように、マルチウエルプレートに配設されるウエルの選択されたサブセットに対応する(例えば、プレートに配設される一列以上のウエルにおけるウエルの全てまたは全て未満に対応する等)占有面積を含む。
【0035】
用語「頂部」は、マルチウエルプレートのウエルから材料を除去する等、典型的な設計されたまたは意図された動作上の使用を目的としている場合、装置または装置部品の最も高い点、レベル、面、または部分のことをいう。対比して、用語「底部」は、典型的な設計されたまたは意図された動作上の使用を目的としている場合、装置または装置部品の最も低い点、レベル、表面、または部分のことをいう。
【実施例】
【0036】
II.材料除去ヘッドおよび装置
本発明を、特定のいくつかの実施形態を参照して説明するが、説明は本発明を例示するものであり、かつ発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明のさまざまな修正は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような、本発明の真の範囲を逸脱することなく、当業者によって好ましい実施形態に対してなされうる。よりよい理解のために、ある同じ部品は、さまざまな図面全体を通して同じ参照文字および/または番号で表記される。
【0037】
概要では、本発明の材料除去ヘッドおよび装置は、流体または他の材料がマルチウエルプレートから確実に除去されるべきであるときはいつでも、本質的に用いられても良い。これらの非侵襲的または非接触装置は、装置の詰まりおよびウエル間の交差汚染を含む、以前から存在する装置に関連する問題の多くを避ける。材料が、ウエルから非侵襲的に除去されるので(すなわち、ヘッドまたはその部分が、ウエルの中味の表面を貫通することなしに)、材料を、本発明の材料除去ヘッドが洗浄される前に、マルチウエルプレートの多くのウエルから除去することができる。大部分の以前から存在する装置が各周期中に多数回洗浄されるように、以前から存在する装置で達成されうるサイクル時間に対して、マルチウエルプレートから材料を除去するためのサイクル時間を著しく減少させる。
【0038】
本発明はまた、ディスペンスヘッドおよび関連システムを提供する。本発明のディスペンスヘッドを、単独でまたは本明細書で説明する材料除去ヘッドと組み合わせて用いることができる。ディスペンスヘッドおよびシステムを、以下でさらに説明する。
【0039】
まず第一に、本発明の材料除去ヘッドの実施形態を、さまざまな観点から概略的に図示する図1Aおよび1Bを参照する。より詳細には、図1Aは、本発明の一実施形態による材料除去ヘッド100の頂部斜視図を概略的に示し、一方図1Bは、材料除去ヘッド100を底部斜視図から概略的に示す。図示したように、材料除去ヘッド100は、チップ112を含み、そのチップの各々は、出口104と連通する入口102を含む。図示した実施形態では、各入口102は、別個の出口104と連通する。場合により、本発明の材料除去ヘッドは、多数の入口が同じ出口と連通するように製造される。すなわち、材料除去ヘッドは、一つ以上のマニホールドを含むように場合により製造される。これらの実施形態のいくつかを、以下でさらに説明する。材料除去ヘッド100のチップ112は、出口104が(例えば、フレキシブルチューブまたは他の導管を経て)一つ以上の負圧源(図示せず)に動作可能に連結されるとき、マルチウエルプレートに配設されるウエルから材料を非侵襲的に除去するように構成される。負圧源を、以下でより詳細に説明する。図1にさらに示されるように、材料除去ヘッド100はまた、取付ブラケット106を含み、該取付ブラケットは、孔108を含み、それにねじ、ボルト、リベット、または他の締結装置が挿入され、マルチウエルプレートに対して材料除去ヘッド100を移動させる並進アーム110、材料除去ヘッド洗浄部品等の他の装置またはシステム部品に材料除去ヘッド100を取り付ける。材料除去ヘッドを他の装置またはシステム部品に取り付ける他の方法は、本明細書に記載されるか、さもなければ当業界で公知である。
【0040】
図1に概略的に示した実施形態では、材料除去ヘッド100の、入口102を含むチップ112は、材料除去ヘッド100の本体構造114から延びる。チップ112は、典型的には、チャネルまたは他のキャビティがそれを通して配設される真空チップ等である。場合により、チップは、装置の組み立て中、材料除去ヘッドの別々に製造される本体構造に位置決めされる材料除去ヘッドの一体形部品として(例えば、一つの成形品等として)または材料除去ヘッドの別個の部品として製造される。製造技術を、以下でさらに説明する。図1に示されるように、チップ112は、別個の部品として概略的に図示される。特に、捕捉プレート116を材料除去ヘッド100から除去した頂部斜視図、および材料除去ヘッド100の一セグメントの透視正面図から、それぞれ材料除去ヘッド100を概略的に図示する図1Cおよび図1Dを参照する。捕捉プレート116は、図示した実施形態で利用されて、組み立てられたヘッドの材料除去ヘッド100の本体構造に対して適切な位置にチップを整列しかつ保持する。本発明の好ましい実施形態では、チップ112は、選択された屈曲または伸張を有する弾性カップリング118によって本体構造114に弾性的に結合され、例えば、それらが材料除去工程中接触されると、ウエル間およびプレート間の変動の原因となりかつチップおよび/またはマルチウエルプレートが損傷されるのを防ぐ。本質的に任意の種類の弾性カップリングは、これらの実施形態における使用に適応しうる。例示的な弾性カップリングには、ばね、エラストマー材料、または他の圧縮性固体、および圧縮性気体および/または流体がある。ある実施形態では、弾性カップリング118は、材料除去ヘッド100に含まれない。例えば、これらの実施形態では、レジリエンスは、材料除去ヘッド100が取り付けられる他の装置またはシステム部品、および/またはマルチウエルプレート位置決め部品に場合により設計される。
【0041】
図1Eにさらに示されるように、材料除去ヘッド100のチップ112は、通気開口部125を含み、負圧源が出口にかけられると、それを通して空気が吸い込まれる。空気は、通気開口部を通して入口へ流れ、それによってウエルにベンチュリ効果を生じ、材料のウエルからの非侵襲的除去に影響を及ぼす。材料除去ヘッドもまた、通気開口部(図1A〜図1Dの120)を含みうる。材料除去ヘッドにおけるこれらの通気開口部は、チップの通気開口部125と整列される。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、チップ112は、ウエル(例えば、ウエルへの開口部の頂端縁等)と嵌合するように構成され、それから材料は、チップがウエルと一つ以上の隣接するウエルとの間にバリヤーを形成するように除去されるべきであり、それによって交差汚染が処理されているマルチウエルプレートのウエル間に生じるのを防ぐ。マルチウエルプレートのウエルと嵌合しかつそれを封止するように設計されるチップの例は、材料除去ヘッド100からのチップ112を、底部斜視図から示す図1Eおよび図1Fにさらに概略的に図示される。図示するように、チップ112は、入口102および傾斜をつけた表面122を含む。傾斜をつけた表面122は、ウエル開口部の頂端縁と嵌合して、ウエルを封止するように設計される。傾斜をつけた表面の少なくとも一つは、通気開口部125によって遮断され、それによって、空気は、真空が出口にかけられると、ウエルへ通過することができる。残りの傾斜をつけた表面は、ウエルの両側面と接触し、かつ材料が除去されるべきウエルと少なくとも一つの隣接するウエルとの間にバリヤーを形成する。例証するために、図1Gおよび図1Hは、マルチウエルプレート129のウエル127と嵌合する材料除去ヘッド100からのチップ112を、それぞれ頂部斜視図および断面図から概略的に示す。いくつかの実施形態では、チップは、開口部の一側面の輪郭を描く一つ以上の鋭い端縁を含む。例えば、図1Eおよび図1Fに示されるように、チップの入口102は、入口を通気開口部から分離する鋭い端縁124を含む。鋭い端縁の使用は、チップの入口および通気開口部の大きさを最大にすることができる。場合により、鋭い端縁は、本明細書で説明する材料除去ヘッドには含まれない。本発明の材料除去ヘッドのチップおよび鋭い端縁に関するさらなる詳細を、以下で提供する。
【0043】
チップは、任意のウエル形状と嵌合するように場合により製造される。例えば、材料除去ヘッド100のチップ112は、例えば、正n角形、不等n角形、三角形、四角形、長方形、台形、円形、楕円形等から選択される断面形状を場合により含む。さらに、チップは、それらがウエルから除去されるべき材料の表面を貫通しまたはそれと接触しない限り、嵌合するとマルチウエルプレートのウエルへ任意の距離延びるように場合により設計される。例えば、チップは、典型的に、プレートと嵌合すると、マルチウエルプレートのウエルへ約0.5mm未満延び、より典型的には、プレートと嵌合すると、マルチウエルプレートのウエルへ約0.4mm未満延び、かつなおより典型的には、プレートと嵌合すると、マルチウエルプレートのウエルへ約0.3mm未満延びる(例えば、0.2mm、0.1mm等)。
【0044】
代替的実施形態では、チップは、マルチウエルプレートと接触し、かつ材料が除去されるべきウエルと一つ以上の隣接するウエルとの間にバリヤーを形成するシールを含む。シールを、ゴム(例えば、シリコンゴム)または他のコンプライアント材料から形成することができる。チップは、チップの少なくとも一側面(例えば、チップとシールとの間にギャップを残すチップの凹部)に通気開口部を含み、それによって、真空が出口にかけられると、空気が開口部をかつウエルへ通過することができ、例えば、材料のウエルからの非侵襲的な除去を行なう。そのような凹部(例えば、開口部125)の一実施形態を、図1Eに概略的に図示する。
【0045】
この種類のチップの他の例は、好ましくは剛体材料から形成される、並置される二つの管を含む。管の直径は、両方の管がマルチウエルプレートのウエルと嵌通されうるようなものである。代替的に、一つの管は、第2の管内に配置されうる。一つの管は、通気開口部として役立ち、かつ他の管は、一端部に入口および他端部に出口を含む。これらの実施形態の一つを例証するために、図1Iは、マルチウエルプレート135のウエル133と嵌合する材料除去ヘッドからのチップ131を、断面図から概略的に図示する。図示したように、チップ131は、ウエル133およびチップ131の出口(図示せず)と連通する第1管137、およびウエル133およびチップ131の通気開口部141と連通する第2管139を含む。ガスケット等の封止材料は、管の周囲に場合により配設され、その結果チップがマルチウエルプレートのウエルの近位に配設されるとき、ガスケットは、材料が除去されるべきウエルを封止し、このウエルと隣接するウエルとの間にバリヤーを形成し、それによって交差汚染を減じるかあるいは排除する。材料除去ヘッドは、マルチウエルプレートについて適切な間隔が開いたこれらのチップの一つ以上を保持する支持体を含むことができる。いくつかの実施形態では、各チップは、3つの管を含むことができ、その一つは、ウエルに分配されるべきである流体を含む溜めに動作可能に連結されるディスペンサーである。
【0046】
本発明の材料除去ヘッドの入口を含むチップの配置は、さまざまな実施形態を含む。好ましい実施形態では、材料除去ヘッドは、多数のチップを含み、例えば、材料除去工程のスループットを、一つのチップのみ有する装置を用いて実行されるスループットに対して増加させる。例えば、図1では、材料除去ヘッド100は、例えば、1536ウエルプレートの32ウエル横列の一つおきのウエルと同時に嵌合するように、互いに距離が開けられている16のチップ112を含む。
【0047】
一つの例示的な実施形態では、材料除去ヘッドのこの特定の実施形態を用いる1536ウエルプレートからの材料の除去は、チップが第1横列の一つおきのウエルと接触するように、材料除去ヘッドを配置することを含む。チップの通気開口部は、プレートの端縁に面する(すなわち、開口部はプレートの任意の隣接するウエルに面しない)。チップは、これらのウエルと全ての隣接するウエルとの間にバリヤーを形成する。真空が出口にかけられ、それによって通気開口部を通して入口へ空気を吸い込み、かつウエルから材料を除去する。隣接するウエルの交差汚染は、チップによって形成されるバリヤーのために生じる。次に、材料除去ヘッドまたはマルチウエルプレートは、チップが、材料がまだ除去されていない第1横列のウエルと嵌合するように移動される。この場合も、通気開口部は、プレートの端縁に面し、任意の隣接するウエルには面しない。真空が出口にかけられ、それによって材料をこれらのウエルから除去する。次に、材料除去ヘッドまたはプレートは、チップが第2横列のウエルにおける一つおきのウエルと嵌合するように移動される。チップの通気開口部は、今度は材料がすでに除去されている第1横列のウエルに面する。チップは、材料が除去されるべきウエルと、隣接する材料含有ウエルとの間にバリヤーを形成し、それによって隣接するウエルの交差汚染を防ぐ。真空が出口にかけられ、通気開口部を通してかつ入口へ空気を吸い込み、それによって、チップが嵌合されるウエルから材料を除去する。この工程は、材料が全ての所望のウエルから除去されるまで、必要に応じて繰り返される。プレートおよび材料除去ヘッドを、チップの通気開口部が、除去されるべき材料を含む隣接するウエルに決して面しないように位置決めすることによって、交差汚染は大きく減じられるか、あるいは排除される。
【0048】
材料除去ヘッドのチップは、1536のウエルプレートとは異なる数のウエルを有するプレートと嵌合するように場合により構成される。さらに、それらを、これらのプレートにおける任意の数のウエル(例えば、所与の横列または縦列の全てのウエル、多数の横列または縦列のウエル、特定のプレートの全てのウエル等)と同時に嵌合するように構成することができる。ある実施形態では、チップは、多数のウエルプレートに配設されるウエルを同時に嵌合するように構成される。
【0049】
本発明の材料除去ヘッドの他の実施形態をさまざまな図から概略的に示す図2A〜図2Eを次に参照する。特に、図2Aは、材料除去ヘッド200を、頂部斜視図から概略的に示し、一方図2Bは、材料除去ヘッド200を、底部斜視図から概略的に図示する。さらに、図2Cは、材料除去ヘッド200を、分解底部斜視図から概略的に示す。図示したように、材料除去ヘッド200は、入口202を含み、それを通って材料は、材料除去ヘッド200が本発明の装置またはシステムに含まれるとき、マルチウエルプレートから非侵襲的に除去される。また図示したように、材料除去ヘッド200は、材料除去ヘッド200の頂面を通して配設される出口204を含む。本発明の材料除去装置またはシステムでは、出口204は、典型的に、負圧源に、一つ以上の管または他の導管を経て動作可能に連結され、その結果負圧源は、入口202を通して負圧をかけることができる。負圧源を、以下でさらに説明する。場合により、本発明の材料除去ヘッドは、多数の出口(例えば、2、3、4、5以上の出口)を含む。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、材料除去ヘッドは、入口ごとに一つの出口(すなわち、対応する入口および出口の対)を含む。さらに、出口はまた、材料除去ヘッドの頂面以外の表面を通して場合により配設される。図2にさらに示されるように、材料除去ヘッド200は、孔208を有する取付ブラケット206を含み、それにねじ、ボルト等が挿入されて、材料除去ヘッド200を、Z軸または多軸並進アーム等の他のシステム部品、または材料除去ヘッド200をマルチウエルプレートに対して移動させる部品、材料除去ヘッド洗浄部品等に取り付ける。場合により材料除去ヘッドは、締結され、接着され、溶着され、またはその他、他のシステム部品に取り付けられる。いくつかの実施形態では、材料除去ヘッドは、他のシステム部品と一体形に製造される。本発明の材料除去システムを、以下でより詳細に説明する。
【0050】
材料除去ヘッドの出口は、典型的に、入口と(例えば、流体的に)連通する。例えば、図2に示されるように、出口204および入口202は、材料除去ヘッド200の入口202に引き入れられる材料が、出口204の方へ向けられるように、いっしょにマニホールドを形成する。これは、材料除去ヘッド200の異なる切欠き底部斜視部を概略的に示す図2Dおよび図2Eにさらに図示される。図示したように、入口202および出口204は、キャビティ210を経て互いに連通する。各入口は、負圧が出口にかけられると、それを通して空気が吸い込まれる通気口として役立つ開口部に流体的に連結される。例えば、図2Bに示されるように、傾斜をつけた切欠き222は、頂部ヘッド部品212の中に製造され、それによって、入口を通して空気を抜くことができる。いくつかの実施形態では、入口の少なくとも一部分は、鋭い端縁(例えば、ナイフエッジ等)を含む。鋭い端縁の例は、図2に概略的に示される。図示したように、傾斜をつけた切欠き222は、頂部ヘッド部品212の中に製造され、鋭い端縁224を形成し、該端縁は、頂部ヘッド部品212および底部ヘッド部品214が組み立てられると、入口204の部分(図示された各入口の4辺の一つ)を形成する。
【0051】
本発明の材料除去ヘッドは、一つの一体形ユニットとして場合により製造される。好ましい実施形態では、材料除去ヘッドは、個々に製造された構成部品から組み立てられる。例えば、これは、二つの構成部品、すなわち頂部ヘッド部品212および底部ヘッド部品214から組み立てられた材料除去ヘッド200を示す図2に概略的に図示される。材料除去ヘッドは、三つ以上の部品から場合により製造される。組み立てられると、ヘッド部品は、付着、接着、圧締、溶接、ねじ締め、ボルト締め等を含む本質的に任意の締結技術を用いて、互いに締結される。例えば、図2に示されるように、頂部ヘッド部品212および底部ヘッド部品214は、ねじ、ボルト等(図示せず)を受けるように構成されるファスナー受けエレメント216および218を用いて製造される。さらに図2に示されるように、頂部部品212および底部部品214は、組み立てられると、入口202およびキャビティ210を形成する。いくつかの実施形態では、入口、出口、キャビティ等は、一つの材料除去ヘッド部品内に完全に製造される。これは、例えば、出口204が頂部ヘッド部品212の中に完全に製造される図2に図示される。
【0052】
この種類の材料除去ヘッドの好ましい実施形態では、入口を含む材料除去ヘッドの表面は、材料が除去されるべきウエルの近位に入口が配設されるとき、マルチウエルプレートの少なくとも一つの他のウエルを実質的に封止するように構成される。これらの実施形態では、材料除去ヘッドのこの表面は、一般的に、ほぼ平坦である。例えば、これは、材料がマルチウエルプレートから除去される時点で、入口202と整列されるウエル以外のマルチウエルプレートのあるウエルを実質的に封止するように構成される材料除去ヘッド200の底面220を示す図2に図示される。より詳細には、底面220は、入口202が、材料が除去されるべきマルチウエルプレートのウエルの近位に配設されるとき、これらの他のウエルを、それらを覆うことによって封止する。これらの他のウエルを実質的に封止する一つの利点は、例えば、材料がプレートから除去されるとき、マルチウエルプレートのウエル間の交差汚染を防ぐことである。
【0053】
本発明の材料除去ヘッドの入口は、さまざまな実施形態を含む。例えば、本発明の材料除去ヘッドは、典型的に多数の入口(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上の入口)を含む。さらに例証するために、本明細書で説明するような材料除去ヘッドは、典型的に少なくとも二つの入口を含み、より典型的には少なくとも8つの入口を含み、かつさらにより典型的には少なくとも16の入口を含む。例えば、図1に示されるように、材料除去ヘッド100は、16の入口102を含み、一方図2では、材料除去ヘッド200は、8つの入口202を含む。入口は、例えば、正n角形、不等n角形、三角形、四角形、長方形、台形、円形、楕円形等から選択される断面形状を場合により含む。入口の断面積は、場合により、マルチウエルプレートに配設されるウエルの断面積超であるが、好ましい実施形態では、入口の断面積は、マルチウエルプレートに配設されるウエルの断面積未満である。さらに、入口は、例えば6、12、24、48、96、192、384、768、1536以上のウエルを含むマルチウエルプレートから材料を非侵襲的に除去するように場合により構成される。入口は、例えば固形物をマルチウエルプレートから除去するように場合により構成されるが、好ましい実施形態では、入口は、流体材料または固体材料と流体材料との両方を非侵襲的に除去するように構成される。
【0054】
好ましい実施形態では、材料除去ヘッドは、マルチウエルプレートに配設される少なくとも二つのウエル間の距離にほぼ対応する距離離れた少なくとも二つの入口を含む。例証するために、材料除去ヘッドは、典型的に、入口の少なくとも二つの中心が、互いに18mm、9mm、4.5mm、2.25mm以下離れている複数の入口を含み、その結果それらは、それぞれ、例えば24、96、384、または1536ウエルのマイクロウエルプレートにおける隣接するウエル間の中心間距離に対応する。他のより低いまたはより高い密度構成はまた、場合により利用される。例えば、入口は、一横列または一縦列のウエルにおける一つおきのウエル間の、または第3または第4ウエル毎の中央間の間隔に対応するような間隔に配置されうる。さらに例証するために、材料除去ヘッドは、複数の入口を場合により含み、少なくともそのサブセットは、マルチウエルプレートに配設される少なくとも一列のウエルの少なくともサブセットの占有面積にほぼ対応する占有面積を含む。例えば、1536ウエルプレートで使用するための材料除去ヘッドは、1536ウエルプレートの32ウエル横列における一つおきのウエル間の間隔に等しい中心間隔を有する16の入口を含むことができる。これらの実施形態では、一列の入口における隣接する入口間に配設される隙間領域の数は、典型的には、マルチウエルプレートに配設される対応するウエル列における隣接するウエル間に配設される隙間領域の数の倍数である。ある実施形態では、材料除去ヘッドは、複数のマルチウエルプレートからほぼ同時に材料を非侵襲的に除去するように構成される。例証するために、本発明の材料除去ヘッドの入口は、例えば、それらのプレートが互いに隣り合って位置決めされると、多数のマルチウエルプレートに配設されるウエルの少なくともサブセットの占有面積に対応する占有面積を場合により含む。
【0055】
材料除去ヘッド200が、例えばマルチウエルプレートにおいて清浄されるべきあるいは材料が除去されるべき第1縦列または第1横列のウエル上に下げられると、周囲のウエルは、清浄されるべきものあるいはそれから材料が除去されるべきものを除いて、材料除去ヘッドの底面によって、上で説明したように、封止される。例えば、電磁弁を開いて、材料除去ヘッドの出口に動作可能に連結される真空管路を開くことによって、負圧が入口にかけられると、空気は、通気開口部を通して材料除去ヘッドに吸い込まれる。速く移動している空気は、材料除去ヘッドへ引き込まれるので、流体または他の材料を(例えば、選択された印加圧力の強さによっては)ウエルから引き上げる。周囲のウエルが、この工程中、材料除去ヘッドの底面によって実質的に封止されるので、交差汚染は、マルチウエルプレートに配設されるウエル間に生じない。流体または他の材料がウエルから除去されたとき、電磁弁は、負圧源からの真空流をオフにする。
【0056】
例示となる実施形態では、材料は、マルチウエルプレートの端縁に隣接している一横列のウエルからまず除去される。通気開口部は、隣接するウエルから離れたプレートの端縁に面する。真空が出口にかけられ、それによって入口の近位にあるウエルから材料を除去する。いったん入口の近位にあるウエルから材料が除去されると、材料除去ヘッドまたはプレートのいずれかが、該入口が、現在材料がまだ除去されていないウエル(例えば、次の横列のウエルにおけるウエル)の近位にあるように移動される。材料を含む隣接するウエルは、材料除去ヘッドによって実質的に封止され、交差汚染を防ぎ、かつ通気開口部は、材料がすでに除去されたウエルに面する。このようにしてプレートを横切って順次移動することによって、他のウエルを交差汚染することなしに、各ウエルから材料を除去することができる。
【0057】
さらに例証するために、図1はまた、上述したように、チップが、材料が除去されるべきウエルと嵌合されると、空気を材料除去ヘッド100に向ける鋭い端縁124を含むチップ112の入口102を概略的に示す。他の鋭い端縁構成もまた可能である。例えば、ある実施形態では、材料除去ヘッドに配設される所与の入口の多数の部分は、鋭い端縁を含む。場合により、特定的な材料除去ヘッドの異なる入口は、異なる鋭い端縁構成を含む。本発明のある他の実施形態では、入口には鋭い端縁がない(例えば、切欠き等は、材料除去ヘッドの中に製造されない)。
【0058】
本発明の材料除去ヘッドは、多くの関連する実施形態を含む。例証するために、材料除去ヘッドの外形寸法は、場合により変更される。例えば、ある実施形態では、材料除去ヘッドの少なくとも一部分(例えば、入口、チップ等を含む表面)は、マルチウエルプレートまたはそのようなプレートの一部分の占有面積にほぼ対応する占有面積を含む。場合により、材料除去ヘッドは、多数のマルチウエルプレートまたはそのようなプレートの選択された部分全体で形成される占有面積にほぼ対応する占有面積を含む。さらに、入口および/または出口の数、寸法、形状等も変更されうる。例えば、図3は、本発明の材料除去ヘッドの他の実施形態を、底面斜視図から概略的に示す。特に、材料除去ヘッド300は、互いに連通する入口302および出口(図面内にない)を含む。入口302は、典型的に、少なくとも一つのマルチウエルプレートに配設される少なくとも一つのウエルの第1断面寸法未満である第1断面寸法304(例えば、入口302の幅)を含む。入口302はまた、典型的に、マルチウエルプレートに配設される少なくとも一列のウエルの長さの少なくとも一部分にほぼ対応する第2の断面寸法306(例えば、入口302の長さ)を含む。入口302は、出口が少なくとも一つの負圧源に動作可能に連結されるとき、一列のウエルに配設される一つ以上のウエルから材料を非侵襲的に除去するように構成される。通気開口部は、材料が除去されるウエルに真空を生じるように負圧がかけられると、入口302を通して材料除去ヘッド300に気流を向けるように構成される、例えば、入口302の鋭い端縁308によって形成される。さらに、入口302を含む材料除去ヘッド300の表面310は、材料が除去されるべきウエルの近位に入口302が配設されるとき、マルチウエルプレートの少なくとも一つの他のウエルを実質的に封止するように構成される。さらに例証するために、入口302の第2断面寸法306は、マルチウエルプレートに配設されるウエルの一横列または一縦列の長さにほぼ対応するように場合により製造される。さらなるオプションとして、第2の断面寸法306は、マルチウエルプレートに配設されるウエルの一横列または一縦列の長さに、例えば、該プレートが、二つ以上のプレートに配設されるウエルから材料が同時に除去されうるように、互いに隣接してまたはその他近位に位置決めされまたは整列されるとき、ほぼ対応するように製造される。
【0059】
本明細書に記載される装置およびシステムの材料除去ヘッド部品および他の部品は、反応不活性、耐久性、費用等の特性に従って一般に選択される材料または基板から製造される。例えば、ある実施形態では、材料除去ヘッド部品は、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(TEFLON)(商標))、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリメチルペンタン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のさまざまな高分子材料から製造される。高分子部品は、典型的に製造するのが経済的であり、そのことは、材料除去ヘッドまたは部品に廃棄性(すなわち、材料除去ヘッドまたは部品を、マルチウエルプレート貯蔵部品、洗浄部品等の他の装置またはシステム部品を交換することなく交換すること)を与える。材料除去ヘッドまたは構成部品はまた、例えば、ガラス、金属(例えば、ステンレス鋼、アルマイト等)、珪素等を含む他の材料から場合により製造される。例えば、材料除去ヘッドは、永久的にまたは取り外し可能に接合または嵌合された材料、例えば、重合体またはガラス頂部ヘッド部品と、ステンレス鋼底部ヘッド部品との組み合わせから場合により組み立てられる。
【0060】
材料除去ヘッドまたは部品は、さまざまは製造技術、または射出成形、流し込成形、機械加工、型押、押出成形、エッチング、または他の技術を含むそのような技術の組み合わせによって場合により形成される。これらのおよび他の好適な製造技術は、一般的に、当業界で公知であり、かつ例えば、ロサート(Rosato)、「射出成形ハンドブック(Injection Molding Handbook)」、第3版、クルヴァー・アカデミック出版社(Kluwer Academic Publishers)(2000)、「射出成形の基礎(Fundamentals of Injection Molding)」、W.J.T.アソシエイツ(W.J.T.Associates)(2000)、ウィーラン(Whelan)、「熱可塑性材料の射出成形(Injection Molding of Thermoplastics Materials)」、第2巻、チャップマン&ホール(Chapman&Hall)(1991)、フィッシャー(Fisher)、「プラスチックの押出(Extrusion of Plastics)」、ハルステッドプレス(Halsted Press)(1976)、およびチャン(Chung)、「重合体の押出:理論および実践(Extrusion of Polymers:Theory and Practice)」、ハンサ−ガードナー出版社(Hanser−Gardner Publications)(2000)に記載されている。材料除去ヘッドまたは構成部品製造の後、頂部および底部ヘッド部品、本体構造、チップ、入口、出口、キャビティ等のそのヘッドまたは部品は、例えば、親水性コーティング、疎水性コーティング等で表面を被覆することによって場合によりさらに処理される。
【0061】
本発明の材料除去ヘッドは、材料除去ヘッドの出口に動作可能に連結される少なくとも負圧源を含む。本質的に任意の負圧源は、本明細書で説明するようなマルチウエルプレートからの材料除去を行うために、本発明の装置で場合により利用される。例えば、好ましい実施形態では、負圧源は、吸引力を生じることができる真空または遠心ブロアーポンプ等のポンプを含む。この性質の多くの異なるポンプは、当業界で公知であり、かつさまざまな源から商業的に入手可能である。好ましい実施形態では、負圧源は、少なくとも毎分0.3立方フィートの流量で、入口で少なくとも28.5インチHgの圧力をかける。少なくとも一つの管または他の導管は、典型的に、負圧源を、本発明の装置の材料除去ヘッドの出口に動作可能に連結する。さらに、少なくとも一つの弁(例えば、電磁弁等)は、典型的に、材料除去装置に動作可能に連結され、該弁は、負圧源からの圧力流を規制する。さらに、少なくとも一つのトラップは、材料除去装置に場合により動作可能に連結され、該トラップは、本明細書で説明するように、マルチウエルプレートから除去される廃棄物等を捕らえるように構成される。
【0062】
本発明の材料除去装置は、さまざまな実施形態を含む。例えば、ある実施形態では、材料除去装置は、手持ち式であり、一方他の実施形態では、材料除去装置は、独立型の材料除去または洗浄ステーションに、または他のシステム(例えば、自動スクリーニングシステム等)の部品として含まれる。例証するために、図4Aおよび図4Bは、本発明の一実施形態に従って、手持ち式の材料除去装置を、それぞれ頂部斜視図および底部斜視図から概略的に示す。図示したように、手持ち式の材料除去装置400は、材料除去ヘッド404に取り付けられるハンドル402を含む。また図示したように、材料除去ヘッド404は、管408を経て、ハンドル402と一体形である負圧源と連通するチップ406を含む。さらに例証するために、図5は、本発明の他の実施形態に従って、手持ち式の材料除去装置を、斜視図から概略的に示す。図示したように、手持ち式の材料除去装置500は、材料除去ヘッド504に取り付けられるハンドル502を含む。図示した好ましい実施形態では、管506は、ハンドル502を通して配設され、材料除去ヘッド504の出口と連通する。図示しないが、管506はまた、負圧源に動作可能に連結される。動作中、ユーザは、入口を含む手持ち式の材料除去装置500の表面を、ウエルを含み、かつ材料が除去されるべきウエル全体にわたって入口を移動させるマルチウエルプレート508の表面と接触させる。システムを含む他の材料除去装置の実施形態を、以下でさらに説明する。
【0063】
III.マルチウエルプレート処理システム
本発明はまた、材料をマルチウエルプレートの選択されたウエルから急速に除去することができるマルチウエルプレート処理システムを、例えば、高スループットスクリーニングまたは洗浄手順の一部として提供する。典型的には高度に自動化されたこれらのシステムは、本明細書で説明するような少なくとも一つの材料除去ヘッドに加えて、真空ポンプ、遠心ブロワー等の少なくとも一つの負圧源を含む少なくとも一つの材料除去部品を含む。負圧源は、典型的には、負圧を、負圧源によって材料除去ヘッドに入口でかけることができて、マルチウエルプレートからの非侵襲的な材料除去を行うように、管または他の導管を経て材料除去ヘッドに動作可能に連結される。本発明のシステムで場合により利用される負圧源および材料除去ヘッドは、上で詳細に説明されている。マルチウエルプレート処理システムはまた、位置決め部品、分配部品、または位置決め部品と分配部品との両方を含む。ある実施形態では、本発明のシステムは、位置決めおよび分配部品を含むが、本明細書で説明する材料除去部品を含まない。位置決め部品は、一つ以上のマルチウエルプレートを材料除去部品に対して位置決めするように構成され、一方分配部品は、材料(例えば、流体材料等)をマルチウエルプレートの選択されたウエルに分配するように構成される。例えば、分配部品は、典型的に、マルチウエルプレートがディスペンサーの近位に配設されるとき、一つ以上のマルチウエルプレートに配設されるウエルと整列する少なくとも一つのディスペンサーを含む。さまざまな他の部品はまた、本発明のシステムに場合により含まれる。これらの中のいくつかを、以下でさらに説明する。
【0064】
本発明のシステムをさらに例証するために、図6Aは、マルチウエルプレート処理システムの一実施形態を、斜視図から概略的に図示する。図示したように、マルチウエルプレート処理システム600は、Y軸およびZ軸転位部品602に取り付けられる材料除去ヘッド200を含む。転位部品602は、材料除去ヘッド200および/または分配部品等の他の部品(以下でさらに説明する)を、Z軸に沿って転位させて、例えば材料除去のためにマルチウエルプレートに接触するように構成される。転位部品602はまた、Y軸に沿ってこれらの部品を転位させて、例えば、材料除去ヘッド200および分配部品をマルチウエルプレートを横切って移動させるように構成される。より詳細には、駆動機構638は、Z軸転位を行い、一方駆動機構640は、これらの部品のY軸移動を行う。駆動機構638および640は、典型的には、サーボモーター、ステッピングモーター等である。図6Aは示されないが、管または他の導管は、材料除去ヘッド200を負圧源に動作可能に連結する。負圧源からの圧力流を規制するように構成される少なくとも一つの弁(例えば、電磁弁等)は、一般的に、材料除去ヘッド200および/または管に動作可能に連結される。さらに、一つ以上のトラップ(例えば、流体トラップ、容器、フィルター等)は、典型的に、材料除去ヘッド200と負圧源との間の流体ラインに配設されて、マルチウエルプレートから除去された材料(例えば、廃棄物等)を、次の廃棄のために捕らえかつ貯蔵する。
【0065】
図示したように、マルチウエルプレート処理システム600は、転位部品602に取り付けられた分配部品604および606をさらに含む。転位部品602はまた、Y軸およびZ軸に沿って分配部品604および606を並進させまたは移動させる。分配部品604および606は、ディスペンスヘッド608および610を含む。図示していないが、管または他の流体導管は、典型的に、それぞれ電磁弁612および614をマニホールド616および618に流体連結する。本発明の分配部品は、蠕動ポンプ、シリンジポンプ、ボトル弁等を場合により含む。マニホールド616および618はまた、典型的に、管または他の流体導管(図示せず)を経て一つ以上の容器(例えば、流体容器620および622)と流体連結している。流体は、一般的に、これらの容器から搬送され、ポンプ等の動作可能に連結された流体方向部品によって、ヘッド608および610を分配する。
【0066】
図6Bおよび図6Cは、図6Aのマルチウエルプレート処理システム600からの、材料除去ヘッド200およびディスペンスヘッド608の詳細な頂部および底部斜視図をそれぞれ概略的に示す。場合により、ディスペンスヘッドは、材料除去ヘッドを含まない分配システムに含まれる。これらの実施形態では、分配システムはまた、典型的に、本明細書で説明するように位置決め部品を含む。図6Bおよび図6Cに示される実施形態では、ディスペンサーすなわちディスペンスチップ624(ノズルとして示す)は、垂直すなわちZ軸に対する角度でディスペンスヘッド608に配設される。例証するために、角度は、典型的に、Z軸に対して約0度と約90度との間、より典型的にはZ軸に対して約15度と約75度との間、かつなおより典型的にはZ軸に対して約30度と約60度との間(例えば、約35度、40度、45度、50度、55度等)である。図示したように、ディスペンスヘッド608のディスペンスチップ624は、Z軸に対して約45度の角度で配設される。動作中、いったん流体がマルチウエルプレートから除去されたので、ディスペンスヘッド608は、プレートの選択されたウエルを、例えば清浄流体、試薬等で充填するように場合により利用される。ディスペンスチップ624は、流体が、選択されたウエルの両側面上に分配されて、例えば流体が分配されるときに、選択されたウエルの底部上に配設される非除去材料(例えば、細胞等)が妨害されないことを保証するように傾斜がつけられている。これは、流体の流れを拡張し、かつ流体の流れの運動エネルギーのいくらかを散逸して、ウエルの気泡すなわち泡の形成を最小にする。
【0067】
気泡は、例えば、マルチウエルプレートでの検出のために用いられるたいていの撮像装置を用いた不正確な読みを生じるので、一般に避けられるべきである。例証するために、一種類の撮像装置は、吸光度を検出する。これらの実施形態のいくつかでは、プレートの底部から流体を通して光が当てられ、かつカメラは、プレート上に位置決めされて、画像を捕捉する。信号は、一般的に、流体を通過する光の量によって決定され、例えば、ウエルでの流体濃度をさらに決定する。ウエルに気泡すなわち泡がある状態で、光路が破壊され、かつ下方の信号の結果、例えば、ウエルに気泡がない場合より低い濃度の読みを与える。さらに例証するために、他の種類の撮像装置は、蛍光強度を検出する。ある実施形態では、またウエルの上方のカメラが、後方へ蛍光を発する光の強度を検出している間、この種類の撮像装置は、マルチウエルプレートの上方からウエルへ光を当てる。この種類の撮像装置は、流体の高さに対して敏感である。所与のウエルでの流体レベルが高ければ高いほど、信号は一般にそのウエルから高くなる。気泡がウエルにある状態では、ウエルの流体の高さは、それが気泡なしの場合より高い。これは、典型的に、気泡なしの場合より高い信号を発生し、それによってウエルに対する不正確に高容量の読みを生じる。
【0068】
本発明の傾斜をつけたディスペンサーの代わりに、気泡が溶液から拡散するまで、遠心機内でマルチウエルプレートをスピンするあるいはプレートを着座させることによって、気泡は場合により除去される。しかしながら、いったん形成された気泡を除去するこれらのアプローチは、全体で気泡の形成を最小にし、よって気泡を消散するのに遠心機などの他の装置の使用を必要としない、本発明の傾斜をつけたディスペンスヘッドおよびシステムを利用する工程に対してスループットを著しく制限する。
【0069】
場合により、ディスペンスチップは、例えばZ軸とほぼ平行に配設される。これは、例えば、ディスペンスヘッド610に図示される。ある実施形態では、分配部品は、材料を複数のマルチウエルプレートにほぼ同時に分配するように構成される。流体を多数のマルチウエルプレートに分配する分配部品は、本発明のシステムで使用するのに場合により適応するが、ダウンズ(Downs)ら、によって2002年の3月27日に出願された、「超並列流体分配システムおよび方法(MASSIVELY PARALLEL FLUID DISPENSING SYSTEMS AND MEHTODS)」という題の国際公報番号国際公開第02/076830号パンフレットにさらに記載され、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0070】
図6Aにも示されるように、マルチウエルプレート処理システム600は、マルチウエルプレートを材料除去ヘッド200およびディスペンスヘッド608および610に対して正確に位置決めし、その結果材料を、マルチウエルプレートの選択されたウエルから除去するおよび/またはそれに分配することができる、位置決め部品626を含む。位置決め部品626は、位置決め部品626をX軸に沿って移動して(例えば、摺動して)、マルチウエルプレートに配設されるウエルを、材料除去ヘッド200への入口およびディスペンスヘッド608および610のディスペンスチップに整列させる、X軸転位部品628に取り付けられる。サーボモーター、ステッピングモーター等の駆動機構(図示せず)は、一般的に、X軸転位部品628に動作可能に連結されて、位置決め部品626および/または他の部品の移動を行う。典型的に、本発明の位置決め部品は、例えばマルチウエルプレートのシステム部品との適切な整列を容易にするために、整列ピンおよび/または孔、入れ子ウエル等の適切な取り付け/整列構造エレメントを含む。本発明のシステムで利用されうる位置決め部品に関するさらなる詳細は、例えば、メインクイスト(Mainquist)ら、によって2001年6月15日に出願された「自動化された精密物体ホルダー(AUTOMATED PRECISION OBJECT HOLDER)」という題の国際公報番号国際公開第01/96880号パンフレットに記載され、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0071】
マルチウエルプレート処理システム600はまた、材料除去ヘッド200およびディスペンスヘッド608および610のディスペンスチップを洗浄しまたはその他清浄するように構成される洗浄部品630を含む。洗浄部630はまた、X軸転位部品628(例えば、マルチウエルプレート移動部品等)に取り付けられる。位置決め部品626を移動させるのに加えて、転位部品628はまた、洗浄部品630をX軸に沿って移動し(例えば、摺動し)、材料除去ヘッド200、およびディスペンスヘッド608および610のディスペンスチップを洗浄部品630の構成要素と整列させる。より特定的には、洗浄部品630は、再循環バスまたはトラフ632を含み、それの中へと転位部品602は、例えば材料が位置決め部品626上に位置決めされたマルチウエルプレートから除去された後、清浄するための材料除去ヘッド200を下げる。さらに、洗浄部品630はまた、転位部品602によって、それの中へとディスペンスヘッド608および610のディスペンスチップが下げられる真空ポート634および636をそれぞれ含み、例えばディスペンスチップの外表面に付着された流体または他の材料を除去する。
【0072】
図7は、本発明のマルチウエルプレート処理システムの他の好ましい実施形態を概略的に図示する。図示したように、マルチウエルプレート処理システム700は、Y軸およびZ軸転位部品708に取り付けられる材料除去ヘッド100を含む。図7には示さないが、管または他の導管は、材料除去ヘッド100を負圧源にマニホールド702を経て動作可能に連結する。例えば、ある実施形態では、一つの管は、負圧源をマニホールド702に連結し、一方多数の管は、マニホールド702を材料除去ヘッド100の出口に連結する。マニホールドは、場合により、マニホールド702等の、材料除去ヘッド100とは別個の部品であるか、あるいは材料除去ヘッドと一体形に製造される。管または他の導管は、負圧源からの真空流を制限しないほど十分大きい断面寸法を有する。負圧源から圧力流を規制するように構成される少なくとも一つの弁(例えば、電磁弁等)は、一般的に、材料除去ヘッド100、マニホールド702、および/または管に動作可能に連結される。マルチウエルプレート処理システム700の他の態様は、ある例外は除いて、マルチウエルプレート処理システム600に関して上で説明したものと同じかあるいは類似である。例えば、ディスペンスヘッド608および610は、両方とも分配部品604の構成要素として含まれ、材料除去ヘッド100は、分配部品606の構成要素として含まれる。図6Aに概略的に示されるシステムでは、材料除去ヘッド200は、分配部品604の構成要素として含まれる。さらに、図6Aに図示されるマニホールド616および618はまた、マルチウエルプレート処理システム700での使用に場合により適応する。さらに、X軸転位部品706に動作可能に連結され、X軸転位部品706の移動を行う駆動機構704(例えば、サーボモーター、ステッピングモーター等)はまた、典型的に、マルチウエルプレート処理システム600に含まれて、X軸転位部品628の移動を同様に行う。
【0073】
本発明のシステムは、場合により、さまざまなインキュベーション部品および/またはマルチウエルプレート貯蔵部品をさらに含む。例えば、ある実施形態では、システムは、マルチウエルプレート内で低温放置するまたは温度を規制するように構成されるインキュベーション部品を含む。例証するために、多くの細胞ベースのあるいは他の種類のアッセイは、低温放置ステップを含み、かつこれらのシステムを用いて行われうる。本発明のシステムでの使用に場合により適応するインキュベーション装置に関するさらなる詳細は、例えば、ウエスラック(Weselak)ら、によって2000年7月18日に出願された「高スループットインキュベーション装置(HIGH THROUGHPUT INCUBATION DEVICES)」という題の、国際公報番号PCT/US02/23042号に記載され、その内容全体が参照により本明細書に援用される。ある実施形態では、本発明のマルチウエルプレート処理システムは、一つ以上のマルチウエルプレートを貯蔵するように構成されるマルチウエルプレート貯蔵部品を含む。そのような貯蔵部品は、典型的に、当業界で公知であり、かつベックマンクールター社(Beckman Coulter,Inc.)(カリフォルニア州フラートン(Fullerton,CA))等のさまざまな販売供給業者から容易に入手可能であるマルチウエルプレートホテルまたはカルーセルを含む。例えば、一つの実施形態では、本発明のマルチウエルプレート処理システムは、ユーザが、洗浄されるべきまたはその他プレートの自動化された処理のためのシステムの一つ以上の貯蔵部品に加工されるべき多数のマルチウエルプレートに荷重をかける独立型のステーションを含む。これらの実施形態では、本発明のシステムはまた、典型的に、例えば、インキュベーション部品または貯蔵部品と位置決め部品との間に、プレートを移動させる一つ以上のロボット把持装置を含む。本発明のシステムにおける使用に好適であるロボット把持器は、以下でさらに説明され、さもなければ当業界で公知である。例えば、クロンテック(Clontech)社(カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto,CA))から商業的に入手可能であるTECAN(登録商標)ロボットは、本明細書で説明するシステムでの使用に場合により適応する。
【0074】
ある実施形態では、本発明のシステムはまた、例えば、マルチウエルプレートのウエルで、発生される検出可能信号を検出するように構成される少なくとも一つの検出部品を含む。これらのシステムで場合により利用される好適な信号検出器は、例えば、蛍光、燐光、放射能、質量、濃度、pH、電荷、吸光度、屈折率、ルミネッセンス、温度、磁気等を検出する。検出器は、例えば、所与のアッセイステップの実行の上流および/または下流から一つまたは複数の信号を場合により監視する。例えば、検出器は、位置が「リアルタイム」結果に対応する複数の光信号を場合により監視する。例の検出器またはセンサーは、光電子増倍管、CCDアレイ、光センサー、温度センサー、圧力センサー、pHセンサー、導電性センサー、走査検出器等を含む。これらの各々並びに他の種類のセンサーは、本明細書で説明するシステムに場合により容易に組み込まれる。検出器は、マルチウエルプレートまたは他のアッセイ部品に対して場合により移動する、あるいは代替的に、マルチウエルプレートまたは他のアッセイ部品は、検出器に対して移動する。例えば、ある実施形態では、検出部品は、本明細書で説明するシステムの位置決め部品上に位置決めされるマルチウエルプレートに対して検出部品を移動させる転位部品に結合される。場合により、本発明のシステムは、多数の検出器を含む。これらのシステムでは、そのような検出器は、典型的に、検出器が、マルチウエルプレートまたは他の容器との知覚連通内にあるように(例えば、検出器は、プレートまたは容器あるいはその部分の特性、検出器が対象とするプレートまたは容器等の一部分の中味を検出することができる)ように、例えばマルチウエルプレートまたは他の容器内にあるいはそれに隣接して配置される。
【0075】
検出器は、場合により例えば、検出器信号情報をアッセイ結果情報等に変換するシステムソフトウエアを有するコンピュータを含むかあるいはそれに動作可能にリンクされる。例えば、検出器は、場合により、別々のユニットとして存在し、あるいは制御器と一体化されて一つの器具になる。これらの機能の一つのユニットへの一体化は、情報をシステム部品間で伝達するためのわずかなまたは一つの通信ポートの使用を可能にすることによって、これらの器具のコンピュータとの連結を容易にする。コンピュータおよび制御器を、以下でさらに説明する。本発明のシステムに場合により含まれる検出部品は、例えば、スクーグ(Skoog)ら、「国際分析の原理(Principles of Instrumental Analysis)」、第5版、ハートコート・ブレイスカレッジ出版社(Hartcourt Brace College Publishers)(1998)、およびカーレル(Currell)、「分析機器:性能特徴および品質(Analytical Instrumentation:Performance Characteristics and Quality)」、ジョンワイリー&サンズ社(John Wiley&Sons,Inc.)(2000)にさらに記載され、その内容全体が全ての目的のために参照により本明細書に援用される。
【0076】
本発明のシステムはまた、場合により、マルチウエルプレート処理システムの部品間、および/またはマルチウエルプレート処理システムと他の位置(例えば、他のワークステーション等)との間にマルチウエルプレートを把持しかつ転位するように構成される少なくとも一つのロボット把持部品を含む。例えば、ある実施形態では、システムは、位置決め部品、インキュベーション部品、および/または検出部品間でマルチウエルプレートを移動させる把持部品をさらに含む。さまざまな入手可能なロボットエレメント(ロボットアーム、可動プラットフォーム等)を用いることができ、あるいはこれらのシステムでの使用のために修正することができるが、該ロボットエレメントは、典型的に、それらの移動および他の機能を制御する制御器に動作可能に連結される。本発明のシステムでの使用に場合により適応する例示的なロボット把持装置は、例えば、ダウンズ(Downs)ら、による「把持機構、装置、および方法(GRIPPING MECHANISMS,APPARATUS,AND METHODS」という題の国際公報番号国際公開第02/068157号パンフレットにさらに記載され、その内容全体が全ての目的のために参照により本明細書に援用される。
【0077】
本発明のマルチウエルプレート処理システムはまた、典型的に、システムの一つ以上の部品(例えば、電磁弁、ポンプ、転位部品、位置決め部品等)に動作可能に連結される制御器を含み、部品の動作を制御する。より詳細には、制御器は、一般的に、利用される別個のあるいは一体形の部品として含まれ、例えば、マルチウエルプレートを材料除去またはディスペンスヘッド等に対して位置決めすると、例えば、材料除去ヘッドの入口で負圧源によってかけられる圧力、ディスペンスヘッドから分配される試料、試薬、洗浄液等の量、転位部品の移動を規制する。制御器および/または他のシステム部品は、前もってプログラムされたまたはユーザ入力命令に従ってこれらの器具の動作を命じるように機能する、適切にプログラムされた処理装置、コンピュータ、ディジタル装置、または他の情報機器(例えば、必要に応じて、アナログ−ディジタル変換器またはディジタル−アナログ変換器を含む)に動作可能に結合され、これらの器具からデータおよび情報を受け、かつこの情報を解釈し、操作し、かつユーザに報告する。
【0078】
任意の制御器またはコンピュータは、しばしば陰極線管(「CRT」)表示装置、フラットパネル表示装置(例えば、アクティブ・マトリックス液晶表示装置、液晶表示装置等)その他であるモニターを場合により含む。コンピュータ回路構成は、マイクロプロセッサ、メモリ、インターフェース回路等、多数の集積回路チップを含むボックスにしばしば配置される。ボックスはまた、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、書き込み可能CD−ROM等高容量取外し可能ドライブ、および他の共通の周辺エレメントを場合により含む。キーボードまたはマウス等の入力装置は、ユーザからの入力を場合により提供する。
【0079】
コンピュータは、典型的に、一組のパラメータフィールド、例えば、GUIへのユーザ入力の形で、あるいは前もってプログラムされた命令、例えばさまざまな異なる特定の動作について前もってプログラムされた命令の形で、ユーザの命令を受けるための適切なソフトウェアを含む。次に、ソフトウェアは、これらの命令を、一つ以上の制御器の動作を命令して、例えば、さまざまなシステム部品の運動速度またはモードを変更または選択し、ロボット把持装置、材料除去ヘッド、流体分配ヘッドの、または一つ以上のマルチウエルプレートまたは他の容器等の並進を指示する所望の動作を実行するための適切な言語に変換する。次に、コンピュータは、例えば、システム内に含まれるセンサー/検出器からデータを受信し、かつデータを解釈し、データをユーザが理解したフォーマットで提供するかあるいはそのデータを用いて、例えば、低温放置温度、検出可能信号強度等を監視する際などにプログラミングに従って、さらなる制御器の命令を開始する。
【0080】
コンピュータは、例えば、PC(インテルx86またはペンティアムチップ互換性DOS(商標)、OS2(商標)、ウインドウズ(商標)、ウインドウズNT(商標)、ウインドウズ95(商標)、ウインドウズ98(商標)、ウインドウズ2000(商標)、ウインドウズXP(商標)、リナックスベース機械、マッキントッシュ(商標)、パワーPC、またはユニックスベース(例えば、サン(商標)ワークステーション)機械)、または当業者に公知である他の共通の商業的に入手可能なコンピュータでありうる。標準的なデスクトップ・アプリケーション、例えばワープロソフト(例えば、マイクロソフト・ワード(商標)またはコーレル・ワードパーフェクト(商標))およびデータベースソフト(例えば、マイクロソフト・エクセル(商標)、コーレル・クワトロ・プロ(商標)等の表計算ソフト、またはマイクロソフト・アクセス(商標)またはパラドックス(商標)等のデータベースプログラム)は、本発明に適応しうる。例えば、マルチウエルプレートの選択されたウエルからの材料除去を行うためのソフトウェアは、場合により、ビジュアルベーシック、フォートラン、ベーシック、ジャワ等の標準プログラミング言語を用いて当業者によって場合により構成される。
【0081】
図8は、本発明のさまざまな態様が実施されてもよい情報機器を含む代表的な材料除去システムを示す概略図である。本明細書に提供される技術から、当業者によって理解されるように、本発明は、場合により、ハードウェアおよびソフトウェアで実現される。いくつかの実施形態では、本発明の異なる態様は、クライアント側論理かサーバ側論理かのいずれかにおいて実現される。先行技術においても理解されるように、本発明またはその部品は、適切に構成された計算装置にロードされると、それによって装置またはシステムが本発明に従って実行する論理命令および/またはデータを含む媒体プログラム部品(例えば、固定媒体部品)において実施されてもよい。先行技術においてさらに理解されるように、論理命令を含む固定媒体は、視聴者のコンピュータに物理的にロードするための固定媒体上の視聴者に配信されてもよく、あるいは論理命令を含む固定媒体は、視聴者が、プログラムコンポーネントをダウンロードするために通信媒体を通してアクセスする遠隔サーバ上に存在してもよい。
【0082】
図8は、固定媒体822を有するサーバ820に場合により連結されうる媒体817および/またはネットワークポート819からの命令を読むことができる論理装置(例えば、コンピュータ等)として理解されてもよい情報機器またはディジタル装置800を示す。その後、情報機器800は、先行技術において理解されるように、サーバまたはクライアント論理を指示すべきそれらの命令を用いることができ、本発明の態様を具体化する。本発明を具体化することが可能な一種類の論理装置は、CPU807、オプションの入力装置809および811、ディスクドライブ815、およびオプションのモニター805を含む、800で示されるようなコンピュータシステムである。ポート819上の固定媒体817または固定媒体822は、そのようなシステムをプログラミングするために用いられてもよく、かつディスク型光または磁気媒体、磁気テープ、固定ダイナミックまたはスタティクメモリ等を表してもよい。特定の実施形態では、本発明の態様は、この固定媒体上に記録される全体または一部がソフトウェアとして具体化されてもよい。通信ポート819はまた、そのようなシステムをプログラミングするために用いられる命令を最初に受信するために用いられてもよく、かつ任意の種類の通信接続を表してもよい。場合により、本発明の態様は、特定用途向け集積回路(ACIS)またはプログラマブル論理装置(PLD)の回路構成内に全体または一部が具体化される。そのような場合には、本発明の態様は、ASICまたはPLDを生じるために用いられてもよいコンピュータが理解可能な記述子言語で具体化されてもよい。図8はまた、サーバ820を経由して情報機器800に動作可能に連結されるマルチウエルプレート処理システム824を含む。場合により、マルチウエルプレート処理システム824は、情報機器800に直接連結される。動作中、マルチウエルプレート処理システム824は、典型的に、マルチウエルプレート処理システム824の位置決め部品上に位置決めされるマルチウエルプレートの選択されたウエルから、例えば、プレートを清浄する工程の一部として流体材料を除去する。
【0083】
IV.マルチウエルプレートのウエルから材料を除去しかつマルチウエルプレートのウエルに材料を分配する方法
本発明はまた、マルチウエルプレートから材料を除去する方法を提供する。該方法は、本明細書で説明するように、少なくとも一つの材料除去装置またはシステム(例えば、手持ち式の装置、独立型のワークステーション、自動スクリーニングシステム等)を提供すること、および材料除去ヘッドの入口を一つ以上のマルチウエルプレートに配設される選択されたウエルの近位に配設することを含む。該方法はまた、材料(例えば、流体材料および/または固体材料)が、実質的にマルチウエルプレートに配設される他のウエルを交差汚染することなく、選択されたウエルから非侵襲的に除去されるように、装置またはシステムの負圧源から負圧(例えば、各入口で、少なくとも毎分0.3立方フィートの流量で、入口で少なくとも28.5インチHgの圧力)をかけることを含む。ある実施形態では、方法は複数のマルチウエルプレートからほぼ同時に材料を非侵襲的に除去することを含む。場合により、少なくとも一つの他の材料(例えば、細胞材料または他の非流体材料)は、ウエルから選択的に除去されない。この選択性は、例えばさまざまな洗浄ステップ中、典型的にウエルに細胞を保持するのが望ましいので、マルチウエルプレートフォーマットを用いて、細胞ベースのアッセイ(例えば、細胞ベースのELISAアッセイ等)を行うとき特に有利である。本発明の方法は、これらおよび他のスクリーニングアッセイのために実現可能なスループットを、以前から存在する方法を用いて行われるスループットに対して著しく増加させる。
【0084】
さらに例証するために、図9は、本発明の一実施形態に従って、マルチウエルプレートから材料を除去する方法900を示すフローチャートである。図示したように、ステップ902は、選択された入口を選択されたウエルの近位に配設することを含み、その結果材料除去ヘッドは、少なくとも一つの選択ウエルおよび/または少なくとも一つの非選択ウエルを実質的に封止する。該方法の特定のステップでは、選択されたウエルは、それから材料が除去されるべきものであり、一方材料は、少なくともそのステップ中非選択ウエルから除去されるべきではない。ステップ904に示されるように、方法は、マルチウエルプレートの選択されたウエルから材料を非侵襲的に除去することを含む。材料が他のウエルから除去されるべきなら、ステップ906に示されるように、方法は、選択された入口をそれらのウエルの近位に配設することを含む(すなわち、方法は、ステップ902までフィードバックすることで継続する)。いかなる材料も他のウエルから除去されるべきでなければ、ステップ906に示されるように、方法は停止する(ステップ908)。図示していないが、分配ステップ、マルチウエルプレート転位ステップ、および/または材料除去ヘッド洗浄ステップ等さらなるステップは、この方法において選択されたステップの前後で場合により行われる。いくつかの実施形態では、方法は、検出器を用いて一つ以上のウエルで発生される検出可能信号を検出することをさらに含む。
【0085】
本発明の一つの好ましい実施形態では、材料除去ヘッドは、例えば一度に16のウエルを空にするマルチウエルプレートを横切って移動するように設計される。この種類の例示的な材料除去ヘッドは、図1に概略的に示され、かつ上で提供された関連説明にさらに記載されている。この工程は、典型的に、材料除去ヘッドのチップを、吸引されるべき第1グループのウエル上に整列させることで始まる。洗浄ヘッドは、チップが吸引されるべきウエルに差し込むように下げられる。各チップの端部は、一つのウエルの頂端縁と嵌合するように設計され、通気開口部を残し、それを通して入口を通して空気が吸い込まれる。上で参照したように、チップは、任意のウエル形状と嵌合するように設計されうる。この特定のヘッドのチップは、適切な位置にあるとき、ウエルの方へ約0.2mmだけ延び、かつウエルの流体容量は、このレベル以下に維持される。従って、チップは流体の方へ下へ延びない(すなわち、吸引または流体除去は、非接触または非侵襲的である)。チップの入口に真空がかけられると、流体はウエルから除去される。
【0086】
洗浄ヘッドが、清浄されるべき第1縦列のウエル上へ下げられると、チップとウエルの頂端縁との間の嵌合は、清浄されるべきウエルと清浄されるべきウエルを取り囲む全ての材料含有ウエルとの間にバリヤーを形成する。さらに、この実施形態の各チップは、個々にバネ荷重をかけられて(例えば、弾性的に結合されて)、ウエル間およびプレート間の変動の原因となる。次に、電磁弁は、典型的に、真空ラインを活性化するように開かれる。通気開口部を通して洗浄ヘッドへ空気が吸い込まれる。早く移動する空気は、洗浄ヘッドへ引き込まれるにつれて、ウエルから流体を引き上げるベンチュリ効果を生じる。このベンチュリ効果は、一般的に、流体を除去するのに十分強いが、十分穏やかで、例えば、ウエルの底部の細胞を妨害しない。チップが、清浄されているウエルと全ての周囲の流体含有ウエルとの間にバリヤーを形成するので、交差汚染はない。
【0087】
流体がウエルから除去されたとき、電磁弁は、負圧源からの真空流をオフにする。材料除去またはワッシャーヘッドは、次に1536ウエルプレート上の次の縦列まで移動される。いったん適切な位置になると、上で説明した工程が繰り返される。今回あらかじめ清浄されたウエルは封止されていないが、ウエルには流体がないので、交差汚染は生じない。ワッシャーは、この工程に続いてプレートを横切って移動する。ワッシャーはまた、絶えず真空で実行されうる。これによって、はるかに早いサイクルタイムが可能になる。交差汚染は、この方法を用いて最小化され、かつアッセイに影響を及ぼさない。
【0088】
一旦流体がプレートから除去されると、ディスペンスヘッドは、典型的に、各ウエルを洗浄液で充填する。このディスペンサー上のチップは、典型的に、傾斜がつけられ(本明細書に記載するように)、その結果流体が、各選択されたウエルの側面上に分配される。このことは、各ウエルの底面上の任意の材料(例えば、細胞等)は妨害されないことを保証する。上で説明したように、本発明の傾斜をつけたディスペンサーの使用はまた、これらの分配工程中、マルチウエルプレートのウエルでの気泡の形成を最小にする。次に、清浄液は、典型的に、上で説明した方法に続いて除去されるだろう。次に洗浄は、場合により繰り返され、あるいはプレートは、アッセイにおける次のステップまで移動し続けうる。
【0089】
いくつかの実施形態では、流体は洗浄ヘッドの入口を通してウエルに分配されうる。例えば、出口は、一つの位置では、負圧源に動作可能に連結され、かつしたがって材料をウエルから引き出す弁に連結されうる。弁が第2位置に切り替えられると、動作可能連結は、洗浄ヘッドの出口とウエルに分配されるべきである流体を含む溜めとの間に形成される。弁を一回以上循環させることによって、洗浄および除去の数サイクルを素早く行うことができる。
【0090】
上で説明した方法は、本明細書で説明する材料除去ヘッドのいずれかを用いて、場合により行われ、典型的にはいくらか変形して行われる。例えば、ある実施形態では、図2に概略的に示されているような材料除去ヘッドは、場合により使用される。これらの実施形態では、材料除去ヘッドの表面は、典型的に、ヘッドへの入口が、材料が除去されるべきウエルと整列するように、マルチウエルプレートの表面と接触される。プレートと接触している材料除去ヘッドの表面は、典型的に、入口の近位に配設されないマルチウエルプレートに配設される他のウエルを封止する。このように、これらの材料除去ヘッドの入口に負圧がかけられると、材料は、実質的に他のウエルを交差汚染することなく、選択されたウエルから除去される。
【0091】
V.材料除去および分配キット
本発明はまた、少なくとも一つの材料除去ヘッド、ディスペンスヘッド、および/またはその部品を含むキットを提供する。例えば、キットは、典型的に、頂部および底部ヘッド部品、本体構造、チップ、弾性カップリング(例えば、バネ、形成されたエラストマー材料等)、捕捉プレート、および/または締結部品(例えば、ねじ、ボルト等)を含み、ヘッド部品を組み立てかつ/または材料除去ヘッドおよび/またはディスペンスヘッドを他の装置またはシステム部品に取り付ける。本発明のキットの材料除去ヘッドおよび/またはディスペンスヘッドは、場合により前もって組み立てられ(例えば、互いに一体形である部品を含む)か、あるいは組み立てられない。さらに、キットは、典型的に、材料除去ヘッド、ディスペンスヘッド、および/またはその部品を組み立て、利用し、かつ維持するための適切な命令をさらに含む。キットはまた、典型的に、キット部品を保持するためのパッケージング材料または容器を含む。
【0092】
以上の発明を、明確さおよび理解の目的で詳細に説明してきたが、形状のさまざまな変更および詳細は、本発明の真の範囲から逸脱することなくなされうるというこの開示を読むことから当業者に明らかとなろう。例えば、上で説明した全ての技術および装置は、さまざまな組み合わせで用いられても良い。全ての出版物、特許、特許出願、またはこの出願において引用された他の文献は、個々の出版物、特許、特許出願、または他の文献の各々が、全ての目的のために参照により本明細書に援用されることが個別に指示されるかのように、同じ程度まで、その内容全体が全ての目的のために参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1A】本発明の一実施形態に従って、材料除去ヘッドの頂部斜視図を概略的に示す。
【図1B】図1Aの材料除去ヘッドを、底部斜視図から概略的に示す。
【図1C】図1Aの材料除去ヘッドを、捕捉プレートがヘッドから除去された頂部斜視図から概略的に図示する。
【図1D】図1Aの材料除去ヘッドのセグメントの透視正面図を概略的に示す。
【図1E】図1Aの材料除去ヘッドからのチップを、底部斜視図から概略的に示す。
【図1F】図1Aの材料除去ヘッドからのチップを、他の底部斜視図から概略的に示す。
【図1G】マルチウエルプレートのウエルと嵌合する図1Aの材料除去ヘッドからのチップを、頂部斜視図から概略的に図示する。
【図1H】マルチウエルプレートのウエルと嵌合する図1Aの材料除去ヘッドからのチップを、断面図から概略的に図示する。
【図1I】本発明の一実施形態に従って、マルチウエルプレートのウエルと嵌合する材料除去ヘッドからのチップを、断面図から概略的に示す。
【図2A】本発明の一実施形態に従って、材料除去ヘッドの頂部斜視図を概略的に示す。
【図2B】図2Aの材料除去ヘッドを、底部斜視図から概略的に示す。
【図2C】図2Aの材料除去ヘッドを、分解底部斜視図から概略的に図示する。
【図2D】図2Aの材料除去ヘッドを、切欠き底部斜視図から概略的に図示する。
【図2E】図2Aの材料除去ヘッドを、他の切欠き底部斜視図から概略的に図示する。
【図3】本発明の材料除去ヘッドの一実施形態を、底部斜視図から概略的に示す。
【図4A】本発明の一実施形態に従って、手持ち式の材料除去装置を、頂部斜視図から概略的に示す。
【図4B】図4Aの手持ち式の材料除去装置を、底部斜視図から概略的に示す。
【図5】本発明の一実施形態に従って、他の手持ち式の材料除去装置を、斜視図から概略的に示す。
【図6A】マルチウエルプレート処理システムの一実施形態を、斜視図から概略的に図示する。
【図6B】図6Aのシステムから材料除去ヘッドおよびディスペンスヘッドの詳細頂部斜視図を概略的に図示する。
【図6C】図6Aのシステムから材料除去ヘッドおよびディスペンスヘッドの詳細底部斜視図を概略的に図示する。
【図7】マルチウエルプレート処理システムの他の実施形態を、斜視図から概略的に示す。
【図8】本発明のさまざまな態様が具体化されるマルチウエルプレートから材料を除去する代表例システムを概略的に図示する。
【図9】本発明の一実施形態に従って、マルチウエルプレートから材料を除去する方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチウエルプレートの一つ以上のウエルから材料を除去する材料除去ヘッドであって、前記材料除去ヘッドは、少なくとも一つのチップを含み、該チップは、
a)少なくとも一つの通気開口部、少なくとも一つの入口、および少なくとも一つの出口を含み、該入口は、前記出口と連通し、かつ
b)前記入口が、材料が除去されるべき選択されたウエルの近位に配設されるとき、前記チップは、前記選択されたウエルと少なくとも一つの隣接するウエルとの間にバリヤーを形成するように構成され、
前記出口が、負圧源に動作可能に連結されるとき、前記通気開口部を通してかつ前記入口へ空気が吸い込まれ、それによって前記バリヤーが前記隣接するウエルの交差汚染を防いでいる間に、前記選択されたウエルから材料を非侵襲的に除去する、材料除去ヘッド。
【請求項2】
前記チップは、前記入口が前記選択されたウエルの近位に配設されるとき、前記チップが、前記選択されたウエルと3つの隣接するウエルとの間にバリヤーを形成するように構成される、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項3】
前記チップは、弾性カップリングによって前記材料除去ヘッドの本体構造に結合される、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項4】
前記材料除去ヘッドは、多数のチップを含む、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項5】
前記材料除去ヘッドは、少なくとも一つのマニホールドを含む、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項6】
前記材料除去ヘッドは、少なくとも二つのチップを含み、前記チップの前記入口は、マルチウエルプレートに配設される少なくとも二つのウエル間の距離にほぼ対応する距離離れている、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項7】
前記材料除去ヘッドは、複数のチップを含み、前記チップの前記入口の少なくとも二つの中心は、18mm、9mm、4.5mm、2.25mm以下互いに離れている、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項8】
前記材料除去ヘッドは、複数のマルチウエルプレートから材料をほぼ同時に非侵襲的に除去するように構成される、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項9】
前記チップは、前記選択されたウエルから流体材料を非侵襲的に除去するように構成される、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項10】
前記チップは、正n角形、不等n角形、三角形、四角形、長方形、台形、円形、および楕円形からなる群から選択される断面形を含む、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項11】
前記チップは、6、12、24、48、96、192、384、768、1536以上のウエルを含むマルチウエルプレートから材料を非侵襲的に除去するように構成される、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項12】
前記チップの断面積は、マルチウエルプレートに配設される少なくとも一つのウエルの断面積未満である、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項13】
前記チップの少なくとも一部分は、鋭い端縁を含む、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項14】
前記材料除去ヘッドは、前記材料除去ヘッドを少なくとも一つの装置部品に取り付ける少なくとも一つの取付ブラケットをさらに含む、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項15】
前記チップは、前記選択されたウエルの両側面と嵌合する傾斜をつけた面を含む、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項16】
傾斜をつけた面の一方は、前記通気開口部を含み、それによって空気が前記選択されたウエルへ通過することができる、請求項15に記載の材料除去ヘッド。
【請求項17】
前記チップは、前記通気開口部の境界を形成する鋭い端縁を含む、請求項16に記載の材料除去ヘッド。
【請求項18】
前記チップは、前記チップの周囲に配設される封止材料を含む、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項19】
前記封止材料は、ゴムまたは他のコンプライアント材料を含む、請求項18に記載の材料除去ヘッド。
【請求項20】
前記通気開口部は、前記封止材料と前記チップの一側面との間に形成され、該通気開口部によって、空気が前記選択されたウエルへ通過することができる、請求項18に記載の材料除去ヘッド。
【請求項21】
前記材料除去ヘッドは、複数のチップを含み、少なくともそのサブセットは、マルチウエルプレートに配設される少なくとも一列のウエルの少なくともサブセットの占有面積にほぼ対応する占有面積を含む、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項22】
一列のチップにおける隣接するチップ間に配設される隙間領域の数は、マルチウエルプレートに配設される対応する列のウエルにおける隣接するウエル間に配設される隙間領域の数の倍数である、請求項21に記載の材料除去ヘッド。
【請求項23】
前記出口に動作可能に連結される前記負圧源をさらに含み、該材料除去ヘッドおよび負圧源はいっしょに、材料除去装置を含む、請求項1に記載の材料除去ヘッド。
【請求項24】
前記負圧源は、前記材料除去ヘッドと一体形である、請求項23に記載の材料除去ヘッド。
【請求項25】
前記負圧源は、ポンプを含む、請求項23に記載の材料除去ヘッド。
【請求項26】
前記負圧源は、少なくとも毎分0.3立方フィートの流量で、前記入口で、少なくとも28.5インチHgの圧力をかける、請求項23に記載の材料除去ヘッド。
【請求項27】
少なくとも一つの管は、前記負圧源を前記出口に動作可能に連結する、請求項23に記載の材料除去ヘッド。
【請求項28】
前記材料除去装置は、手持ち式である、請求項23に記載の材料除去ヘッド。
【請求項29】
前記材料除去装置に動作可能に連結される少なくとも一つのトラップをさらに含み、該トラップは、廃棄物を捕らえるように構成される、請求項23に記載の材料除去ヘッド。
【請求項30】
前記材料除去装置に動作可能に連結される少なくとも一つの弁をさらに含み、該弁は、前記負圧源からの圧力流を規制する、請求項23に記載の材料除去ヘッド。
【請求項31】
前記弁は、電磁弁を含む、請求項30に記載の材料除去ヘッド。
【請求項32】
少なくとも一つの通気開口部、少なくとも一つの入口、および少なくとも一つの出口を含み、該入口は、前記出口と連通する材料除去ヘッドであって、前記入口は、前記出口が、少なくとも一つの負圧源に動作可能に連結されるとき、少なくとも一つのマルチウエルプレートに配設される少なくとも一つの選択されたウエルから材料を非侵襲的に除去するように構成され、かつ前記入口を含む前記材料除去ヘッドの表面は、前記入口が、前記材料が除去されるべき前記選択されたウエルの近位に配設されるとき、前記マルチウエルプレートの少なくとも一つの非選択ウエルを実質的に封止するように構成される、材料除去ヘッド。
【請求項33】
前記入口を含む前記材料除去ヘッドの前記表面は、ほぼ平坦である、請求項32に記載の材料除去ヘッド。
【請求項34】
前記入口の少なくとも一部分は、前記入口を前記通気開口部から分離する鋭い端縁を含む、請求項32に記載の材料除去ヘッド。
【請求項35】
前記出口に動作可能に連結される前記負圧源をさらに含み、該材料除去ヘッドおよび負圧源はいっしょに、材料除去装置を含む、請求項32に記載の材料除去ヘッド。
【請求項36】
前記負圧源は、前記材料除去ヘッドと一体形である、請求項35に記載の材料除去ヘッド。
【請求項37】
前記負圧源は、ポンプを含む、請求項35に記載の材料除去ヘッド。
【請求項38】
前記負圧源は、少なくとも毎分0.3立方フィートの流量で、前記入口で、少なくとも28.5インチHgの圧力をかける、請求項35に記載の材料除去ヘッド。
【請求項39】
少なくとも一つの管は、前記負圧源を前記出口に動作可能に連結する、請求項35に記載の材料除去ヘッド。
【請求項40】
前記材料除去装置は、手持ち式である、請求項35に記載の材料除去ヘッド。
【請求項41】
前記材料除去装置に動作可能に連結される少なくとも一つのトラップをさらに含み、該トラップは、廃棄物を捕らえるように構成される、請求項35に記載の材料除去ヘッド。
【請求項42】
前記材料除去装置に動作可能に連結される少なくとも一つの弁をさらに含み、該弁は、前記負圧源からの圧力流を規制する、請求項35に記載の材料除去ヘッド。
【請求項43】
前記弁は、電磁弁を含む、請求項42に記載の材料除去ヘッド。
【請求項44】
前記材料除去ヘッドから延びる少なくとも一つのチップを含み、該チップは、少なくとも一つの通気開口部および少なくとも一つの入口を含む材料除去ヘッドであって、前記材料除去ヘッドは、前記入口と連通する少なくとも一つの出口をさらに含み、前記入口は、前記出口が、少なくとも一つの負圧源に動作可能に連結されるとき、少なくとも一つのマルチウエルプレートに配設される少なくとも一つウエルから材料を非侵襲的に除去するように構成され、それによって前記通気開口部を通してかつ前記入口へ空気を吸い込み、かつ前記チップは、前記材料が除去されるべき前記ウエルと嵌合するように構成されて、前記材料が除去されると、前記ウエルと一つ以上の隣接する材料含有ウエルとの間にバリヤーを形成する、材料除去ヘッド。
【請求項45】
少なくとも一つの通気開口部、少なくとも一つの入口、および少なくとも一つの出口を含み、該入口は、前記出口と連通する材料除去ヘッドであって、前記入口は、少なくとも一つのマルチウエルプレートに配設される少なくとも一つのウエルの第1断面寸法未満である第1断面寸法、および前記マルチウエルプレートに配設される少なくとも一列のウエルの長さの少なくとも一セグメントにほぼ対応する第2断面寸法を含み、該入口は、前記出口が少なくとも一つの負圧源に動作可能に連結されるとき、前記一列のウエルに配設される一つ以上のウエルから材料を非侵襲的に除去するように構成され、かつ前記入口を含む前記材料除去ヘッドの表面は、前記入口が、材料が除去されるべき前記ウエルの近位に配設されるとき、前記マルチウエルプレートの少なくとも一つの他のウエルを実質的に封止するように構成される、材料除去ヘッド。
【請求項46】
少なくとも一つのマルチウエルプレートの一つ以上のウエルに材料を分配するように構成される、少なくとも一つのディスペンサーを含むディスペンスヘッドであって、該ディスペンサーは、Z軸に対して傾斜がつけられ、その結果前記材料は、前記ディスペンサーが材料源に動作可能に連結され、かつ前記材料が前記ディスペンサーから分配されると、前記ウエルの両側面上に分配される、ディスペンスヘッド。
【請求項47】
a)少なくとも一つのチップを含む少なくとも一つの材料除去ヘッドであって、該チップは、
i)少なくとも一つの通気開口部、少なくとも一つの入口、および少なくとも一つの出口を含み、該入口は前記出口と連通し、
ii)前記入口が、材料が除去されるべき選択されたウエルの近位に配設されるとき、前記チップが、前記選択されたウエルと少なくとも一つの隣接するウエルとの間にバリヤーを形成するように構成され、
前記出口が負圧源に動作可能に連結されるとき、前記通気開口部を通してかつ前記入口へ空気が吸い込まれ、それによって前記バリヤーが前記隣接するウエルの交差汚染を防いでいる間に、前記選択されたウエルから材料を非侵襲的に除去する、材料除去ヘッド、
b)一つ以上のマルチウエルプレートを、前記材料除去部品に対して位置決めするように構成される、少なくとも一つの位置決め部品、および/または
c)一つ以上のマルチウエルプレートの一つ以上のウエルに一つ以上の材料を分配するように構成される、少なくとも一つの分配部品
を含む、マルチウエルプレート処理システム。
【請求項48】
前記材料除去ヘッドは、多数のチップを含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項49】
前記チップは、弾性カップリングによって、前記材料除去ヘッドの本体構造に結合される、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項50】
前記チップは、前記材料が除去されるべき前記選択されたウエルと嵌合するように構成される、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項51】
負圧源をさらに含み、前記出口と前記負圧源との間の前記動作可能な連結は、少なくとも一つのマニホールドを含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項52】
前記材料除去ヘッドは、少なくとも一つのマニホールドを含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項53】
前記材料除去ヘッドは、マルチウエルプレートに配設される少なくとも二つのウエル間の距離にほぼ対応する距離離れている少なくとも二つのチップを含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項54】
前記材料除去ヘッドは、複数のチップを含み、前記チップの前記入口の少なくとも二つの中心は、18mm、9mm、4.5mm、2.25mm以下互いに離れている、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項55】
前記材料除去ヘッドは、複数のマルチウエルプレートから材料をほぼ同時に非侵襲的に除去するように構成される、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項56】
前記材料除去部品は、前記マルチウエルプレートから流体材料を非侵襲的に除去するように構成される、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項57】
前記チップは、正n角形、不等n角形、三角形、四角形、長方形、台形、円形、および楕円形からなる群から選択される断面形を含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項58】
前記チップは、6、12、24、48、96、192、384、768、1536以上のウエルを含むマルチウエルプレートから材料を非侵襲的に除去するように構成される、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項59】
前記入口の断面積は、マルチウエルプレートに配設されるウエルの断面積未満である、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項60】
前記入口の少なくとも一部分は、鋭い端縁を含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項61】
少なくとも一つの管は、前記負圧源を前記出口に動作可能に連結する、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項62】
前記負圧源は、ポンプを含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項63】
前記負圧源は、少なくとも毎分0.3立方フィートの流量で、前記入口で、少なくとも28.5インチHgの圧力をかける、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項64】
前記分配部品は、前記マルチウエルプレートがディスペンサーの近位に配設されるとき、一つ以上のマルチウエルプレートに配設される一つ以上のウエルと整列する少なくとも一つのディスペンサーを含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項65】
前記分配部品は、一つ以上の流体材料を分配するように構成される、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項66】
前記分配部品は、複数のマルチウエルプレートに前記材料をほぼ同時に分配するように構成される、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項67】
前記分配部品は、Z軸に対して傾斜をつけた少なくとも一つのディスペンサーを含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項68】
前記材料除去部品に動作可能に連結される少なくとも一つのトラップをさらに含み、該トラップは、マルチウエルプレートの前記ウエルから除去される廃棄物を捕らえるように構成される、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項69】
前記マルチウエルプレート処理システムの部品間および/または前記マルチウエルプレート処理システムと他の位置との間に、マルチウエルプレートを把持しかつ転位するように構成される少なくとも一つのロボット把持部品をさらに含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項70】
一つ以上のマルチウエルプレートを貯蔵するように構成される少なくとも一つのマルチウエルプレート貯蔵部品をさらに含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項71】
一つ以上のマルチウエルプレートを低温放置するように構成される少なくとも一つのインキュベーション部品をさらに含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項72】
前記材料除去部品、前記位置決め部品、または前記分配部品の一つ以上を互いに対して転位するように構成される少なくとも一つの転位部品をさらに含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項73】
前記材料除去部品および/または前記分配部品の少なくとも一部分を洗浄するように構成される少なくとも一つの洗浄部品をさらに含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項74】
一つ以上のマルチウエルプレートに配設される一つ以上のウエルで発生される検出可能信号を検出するように構成される少なくとも一つの検出部品をさらに含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項75】
一つ以上のマルチウエルプレートを、少なくとも前記材料除去部品に対して移動させるように構成されるマルチウエルプレート移動部品をさらに含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項76】
前記材料除去ヘッドは、複数のチップを含み、少なくともそのサブセットは、マルチウエルプレートに配設される少なくとも一列のウエルの少なくともサブセットの占有面積にほぼ対応する占有面積を含む、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項77】
一列のチップにおける隣接するチップ間に配設される隙間領域の数は、マルチウエルプレートに配設される対応する列のウエルにおける隣接するウエル間に配設される隙間領域の数の倍数である、請求項76に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項78】
前記材料除去部品に動作可能に連結される少なくとも一つの弁をさらに含み、該弁は、前記負圧源からの圧力流を規制するように構成される、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項79】
前記弁は、電磁弁を含む、請求項78に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項80】
前記マルチウエルプレート処理システムの一つ以上の部品に動作可能に連結される少なくとも一つの制御器をさらに含み、該制御器は、前記部品の動作を制御する、請求項47に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項81】
前記制御器は、少なくとも一つのコンピュータを含む、請求項80に記載のマルチウエルプレート処理システム。
【請求項82】
a)少なくとも一つのマルチウエルプレートの一つ以上のウエルに材料を分配するように構成される、少なくとも一つのディスペンサーを含む少なくとも一つのディスペンスヘッドであって、該ディスペンサーは、Z軸に対して傾斜がつけられ、その結果前記材料は、前記ディスペンサーが材料源に動作可能に連結され、かつ前記材料が前記ディスペンサーから分配されると、前記ウエルの両側面上に分配される、ディスペンスヘッドと、
b)一つ以上のマルチウエルプレートを前記ディスペンスヘッドに対して位置決めするように構成される、少なくとも一つの位置決め部品と
を含む、分配システム。
【請求項83】
マルチウエルプレートから材料を除去する方法であって、前記方法は、
少なくとも一つのチップを含む少なくとも一つの前記材料除去ヘッドを提供することであって、該チップは、
a)少なくとも一つの通気開口部、少なくとも一つの入口、および少なくとも一つの出口を含み、該入口は前記出口と連通し、かつ
b)前記入口が、材料が除去されるべき選択されたウエルの近位に配設されるとき、前記チップが、前記選択されたウエルと少なくとも一つの隣接するウエルとの間にバリヤーを形成するように構成され、
前記出口が、負圧源に動作可能に連結されるとき、前記通気開口部を通してかつ前記入口へ空気が吸い込まれ、それによって前記バリヤーが前記隣接するウエルの交差汚染を防いでいる間に、前記選択されたウエルから材料を非侵襲的に除去することと、
前記チップを、少なくとも一つのマルチウエルプレートに配設される少なくとも一つの選択されたウエルの近位に配設することと、
材料が、実質的に前記マルチウエルプレートに配設されるウエルを交差汚染することなしに、前記選択されたウエルから非侵襲的に除去されるように、前記負圧源から負圧をかけ、それによって前記マルチウエルプレートから材料を除去することと
をさらに含む、方法。
【請求項84】
前記方法は、複数のマルチウエルプレートから材料をほぼ同時に非侵襲的に除去することを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記材料は流体材料である、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記材料除去ヘッドは、前記マルチウエルプレートに配設される少なくとも二つのウエル間の距離にほぼ対応する距離離れている少なくとも二つのチップを含み、かつ前記方法は、前記ウエルから前記入口を通して材料をほぼ同時に非侵襲的に除去することを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
前記マルチウエルプレートは、6、12、24、48、96、192、384、768、1536以上のウエルを含む、請求項83記載の方法。
【請求項88】
前記入口の断面積は、前記選択されたウエルの断面積未満である、請求項83に記載の方法。
【請求項89】
前記負圧源は、少なくとも毎分0.3立方フィートの流量で、前記入口で、少なくとも28.5インチHgの圧力をかける、請求項83に記載の方法。
【請求項90】
前記マルチウエルプレートの一つ以上のウエルで発生される検出可能信号を、検出器を用いて検出することをさらに含む、請求項83に記載の方法。
【請求項91】
前記入口を、前記マルチウエルプレートに配設される少なくとも一つの他の選択されたウエルの近位に配設することと、
材料が前記他の選択されたウエルから非侵襲的に除去されるように、前記負圧源から負圧をかけることと
をさらに含む、請求項83に記載の方法。
【請求項92】
少なくとも一つの他の材料は、前記選択されたウエルから除去されない、請求項83に記載の方法。
【請求項93】
前記他の材料は、細胞材料または他の非流体材料を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記配設ステップの前後に、ディスペンサーを用いて、一つ以上の材料を一つ以上のウエルに分配することをさらに含む、請求項83に記載の方法。
【請求項95】
前記ディスペンサーは、Z軸に対して傾斜がつけられ、その結果前記材料は、前記ウエルの両側面上に分配される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記材料は流体材料を含む、請求項94に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−523315(P2006−523315A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509779(P2006−509779)
【出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/010696
【国際公開番号】WO2004/091746
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
フロッピー
ペンティアム
リナックス
【出願人】(502408078)アイアールエム,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】