説明

板材接合用ボルトとそれを用いた板材の接合方法

【課題】板材を、締結部品を用いて接合する場合に、板材の上面側のみからの締結作業を可能とし、添接板を必要とせず、薄肉の板材でも良好な接合が可能な板材接合用ボルトとこのボルトを用いた接合方法を提供する。
【解決手段】板材を重ねて接合する板材接合用ボルト1を、両側にねじ部2、2aを形成し、このねじ部間に節部3を設け、この節部3が、前記板材のボルト穴を通過せず、重ねた板材と接触する平面部を有し、この平面部と板材表面間の摩擦抵抗で接合強度を確保できる大きさにして形成したのである。このようにすれば、板材6、6aの接合を、その上面側のみからの締結作業で行なうことができ、接合作業効率および安全性が向上し、添接板を使用する必要がなくなり、必要な接合用ボルト数は半減し、大幅な低コスト化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、床、壁など板構造、とくに薄板構造の建材の継手部や機械装置類における板材の継手部等に用いられる板材接合用ボルトとこのボルトを用いた板材の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板材の締結部品(締結部材)を用いた接合については、道路橋等の鋼構造物に用いられる鋼板・コンクリート合成床版の底面の鋼板の接合が知られている。この合成床版では、通常、図5(d)に示すように、複数の鋼板21、21aがボルト22、22、ナット23、23およびワッシャ24、24等の締結部品により、添接板25を介して連結して摩擦接合され、合成床版の底面の鋼板が形成される。この接合の手順は以下の通りである。
【0003】
まず、図5(a)に示すように、接合すべき一方の鋼板21の上に、添接板25の片側半分を、鋼板21および添接板25のそれぞれに設けたボルト穴26および27が一致するように重ね、鋼板21の下側からボルト22を挿通して、添接板25の上側からワッシャ24およびナット23を嵌める。そして、鋼板21の上側から、このナット23を締め込んで、一方の鋼板21に添接板25を固定する。次に、図5(b)に示すように、接合すべき他方の鋼板21aを、添接板25を固定した一方の鋼板21に近接させ、鋼板21および添接板25のそれぞれに設けたボルト穴26aおよび27aが一致するように添接板25の他方側の半分と重ね、図5(c)に示すように、鋼板21aの下面側からボルト22を挿通する。そして、図5(d)に示したように、ボルト22にワッシャ24およびナット23を嵌め、鋼板21aの上面側からこのナット23を締め込んで締結し、この鋼板21aに添接板25を固定する。このようにして、添接板25がそれぞれの鋼板21、21aに固定される結果として、この鋼板21、21aが添接板25を介して、ボルト22およびナット23により摩擦接合される。
【0004】
しかし、このように、ボルト22を用いて鋼板どうしを接合する場合、鋼板21、21aの下面側からボルト22をそれぞれ挿通し、このボルト22が落下しないように保持してワッシャ24およびナット23を嵌めて締め込む必要があるため、鋼板21、21aの上面側からだけでは、その接合作業を行なうことができない。このため、架設現場で鋼板21、21aの下面側にも足場を設けて、そこからボルト22を挿通し、鋼板21、21aの上面側から締結するとういう施工手順を踏まざるを得ず、型枠の取り外し作業を省略できることによる床板下側の足場が不要という合成床版の前述のコストメリットの一つを相殺することになる。
【0005】
このような問題点を解消するために、合成床版の架設現場での鋼板下面側からの作業を解消する方法として、図6(a)に示すように、鋼板21、21aの対向する端部に連結用フランジとして機能させるリブ28、28をそれぞれ設け、このリブ28、28同士をボルト29およびナット30で締結する方法、また、図6(b)に示すように、一方の鋼板21に連結板31を予め溶接しておき、かつ、他方の鋼板21aにナット30を予め溶接しておき、この連結板31を他方の鋼板21aにボルト29を挿通し、ナット30aを締め込んで締結する方法、そして図6(c)に示すように、双方の鋼板21、21に予めナット30、30をそれぞれ溶接しておき、上側からそれぞれボルト29を挿通して、添接板25を双方の鋼板21に締結・固定し、これらの鋼板21、21を接合する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
同様に、架設現場での鋼板下面側からの作業を解消する方法として、以下のような鋼板の接合方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。即ち、図7(a)に示すように、まず、接合すべきそれぞれの鋼板21、21の下面側からボルト29、29を挿通し、鋼板21、21の上面側に突出したボルトねじ部29a、29aの側面に引張りワイヤ32aを取り付けた落下防止部材32を装着することで、すべてのボルト29を鋼板21から抜け落ちないように保持する。次いで、架設現場では、図7(b)に示すように、両側にボルト穴27、27を設けた添接板25を、このボルト穴27にそれぞれのボルトねじ部29aを挿通させて鋼板21、21の接合部33、33の直上に配置し、そして、図7(c)に示すように、添接板25のボルト穴27の上に突出した全てのボルトねじ部29aにナット30を、添接板25が遊動でき、落下防止部材32を容易に取り外せるように、仮止めの状態に嵌める。次に、図7(d)に示すように、引張りワイヤ32aで落下防止部材32をボルトねじ部29aから引き抜くと、図7(d)に示すように、ボルト29は抜け落ちず、ナット30で止められる。最後に、図7(e)に示すように、ナット30をボルトねじ部29aに締め込むことにより、添接板25を介して鋼板21、21を接合することができる。
【特許文献1】特開2002−47616号公報([0008]〜[0015])
【特許文献2】特開2001−279854号公報([0016]〜[0029])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の図6(a)の接合方法では、接合部への曲げ応力の作用により、ボルト28自体に疲労破壊が発生することがあり、また、連結用フランジとして機能させる端部のリブ28を局部曲げで形成する場合には局部曲げに起因して、鋼板21の疲労破壊が発生するなどの試験結果が示されている(非特許文献3参照)。
【非特許文献3】鋼構造物設計指針 PART(B) 合成構造物(土木学会 平成9年度版、第181〜182頁)。
【0008】
また、図6(b)の接合方法では、一方の鋼板21に連結板を溶接し、他方の鋼板21aには、その下面側に、ボルト29の挿通箇所に対応してナット30を溶接する必要がある。図6(c)の接合方法でも、双方の鋼板21の下面側に、ボルト29の挿通箇所に対応してナット30を溶接する必要があり、いずれの場合も、煩雑な作業を伴い、連結板31や添接板25を必要とし、添接板25を用いる場合には、ボルトおよびナットが余分に必要となる。
【0009】
一方、特許文献2に示された図7(a)〜(e)の接合方法では、予め鋼板21の下面側から挿入したボルト29のねじ部に、上面側一方向からナット30を締め付けるためには、ボルト30には、価格が通常の高力ボルトの10倍以上の高力ワンサイドボルトを使用する必要があり、しかも、添接板25を使用するために、高価な高力ワンサイドボルトを倍近く余分に必要とするために、施工コストが増大する。また、落下防止材32を別途設け、鋼板21の接合用のすべてのボルトに着脱する必要があるため煩雑となる。また、このような締結部品を用いた板材の接合方法では、例えば、建材の床や壁、または機械装置類などに用いられる薄肉の板材に対しても良好な接合状態を実現することが望まれる。
【0010】
そこで、この発明の課題は、建材や機械装置類に用いられる板材を、締結部品を用いて接合する場合に、板材の上面側のみからの締結作業を可能として板材下面側の作業スペースを不要とし、必ずしも添接板を必要とせず、しかも板材の厚みにかかわらず良好な接合が可能な板材接合用ボルトとそれを用いた継ぎ手構造およびその接合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するために、この発明では以下の構成を採用したのである。
【0012】
即ち、請求項1に係る板材接合用ボルトは、板材を重ねて接合する板材接合用ボルトであって、前記ボルトがその両側にねじ部を有し、このねじ部間に節部を設け、この節部が、前記板材のボルト穴を通過せず、重ねた板材と接触する平面部を有し、この平面部(節部)と板材表面間の摩擦抵抗で接合強度を確保できる大きさであることを特徴とする。
【0013】
このようにすれば、板材を上下重ねる場合、接合すべき一方の板材のボルト穴に、その上面側からボルトを挿通しても、節部がボルト穴を通過しないため、ボルトが板材に保持されて落下せず、その上面側のみからの締結作業で接合することができ、接合作業効率および安全性が向上する。また、前記平面部(節部)と板材表面間の摩擦抵抗で接合強度を確保できるため、添接板を使用する必要がなくなり、添接板を使用する場合に比べて必要な接合用ボルト数は半減し、大幅な低コスト化を図ることができる。
【0014】
一方、図5(d)、図6(c)および図7(e)に示したように、添接板を使用する場合には、添接板と板材間の摩擦抵抗で接合強度が確保されるため、前記節部を設けた接合用ボルトを用いる場合には、節部の厚みは添接板の厚みよりも小さくする必要がある。通常、建材の床や壁、または機械装置類などに用いられる薄肉の板材を接合する場合には、バランス上、添接板の厚みも同様に薄くすることが望まれるため、前記節部を設けた接合用ボルトの使用には、節部の厚みを添接板の厚みよりもさらに小さくする必要がある。しかし、節部がより薄肉になるとその製作が精度上困難となり、その上、損傷しやすくなって製作後の形状維持についても困難になる。接合に添接板が不要になると、前記節部の厚みは添接板の厚みの影響を受けず、上記問題点は回避される。また、添接板に設けるボルト孔の大きさにも影響されないため、前記節部は所要の摩擦抵抗が得られるように、板材に設けるボルト孔よりも十分大きく形成することができ、節部の製作や、製作後の形状維持も容易となる。
【0015】
請求項2に係る板材の継ぎ手構造は、板材を重ね、ボルトを用いて接合した板材の継ぎ手構造であって、前記ボルトが、その両側にねじ部を有し、このねじ部間に設けた節部が、前記板材のボルト穴を通過せず、重ねた両方の板材と平面部と接触し、前記ボルトの両側にそれぞれ嵌め込んだナットを締め付けて、前記節部と板材間の摩擦抵抗で接合強度を確保するように形成したことを特徴とする。
【0016】
このように添接板を使用しない継ぎ手構造にすれば、ボルト節部が接合すべき両板材によって締め付けられる構造となるため、前記節部が添接板の孔に入ったか否かを確認する必要もなく、接合作業効率および安全性が向上に寄与する。
【0017】
請求項3に係る板材接合用ボルトは、前記ボルトの両側に設けたねじ部のねじ山の方向が同じ方向に形成されたことを特徴とする。
【0018】
このようにすれば、板材を上下方向に重ねる場合、板材の上面側から、ボルトねじ部にナットを嵌めて締め込む際に、予めボルトを板材に固定するために、その下面側に突出したボルトのねじ部に締め込んだナットが締まる方向に締め込むことになるため、このナットの緩みを防止することができる。
【0019】
請求項4に係る板材の接合方法は、上記の板材接合用ボルトを、接合すべき一方の板材に設けたボルト穴に挿通して前記ボルトの節部と平面接触させ、板材の下面側に突出した一方のねじ部にナットを嵌めて締め込み、前記ボルトを予め接合すべき一方の板材に固定する第1の工程と、この第1の工程で板材に固定したボルトの上方から接合すべき他方の板材を、前記ボルトの節部と平面接触するように配置した後、板材に固定した前記ボルトの他方のねじ部に嵌めたナットで、板材の上面側から締め込んで両方の板材を固定する第2の工程とからなる接合方法である。
【0020】
このように、第1の工程で、ボルトに設けた節部が一方の板材のボルト穴に嵌って当たることにより、板材を上下に重ねて接合する場合に、ボルトが抜け落ちず、板材の下面側からナットを締め込んで、ボルトを板材に固定できる。そして、第2の工程で、他方の板材を上部から重ねてナットで固定することができるため、工事現場で上面側のみからの締結作業で接合することができ、また、添接板が不要なため、接合作業効率が向上するなどの利点もある。
【発明の効果】
【0021】
この発明では、両側にねじ部を有し、その間に平板状の節部が形成されたボルトを用いて、接合すべき両板材を前記節部の両側の面にそれぞれ平面接触させて締結し、その摩擦抵抗により接合強度を確保するようにしたので、添接板が不要となり、必要な接合用ボルト数は半減し、大幅な低コスト化を図ることができる。また、前記節部の厚みは、薄肉の板材を接合する場合でも、この板材よりも薄くする必要はなく、また、所要の摩擦抵抗が得られるように、その大きさもボルト孔よりも十分大きく形成することができるため、節部の製作や、製作後の形状維持も容易となる。さらに、前記節部が添接板の孔に入ったか否かを確認する必要もなく、板材を上面側など、一方の側から接合作業を行なえるので、接合作業効率および安全性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、この発明の実施形態を添付の図1から図4に基づいて説明する。
【0023】
図1は、この発明の板材接合用のボルト1を示したもので、この板材接合用ボルト1の両側には、同じ方向のねじ部2、2aがそれぞれ形成されている。これらのねじ部2、2aの間に、平板状の節部3が形成され、この節部3は、その両面が接合すべき板材と平面接触して摩擦抵抗により必要な接合強度が得られるように、板材に設けられるボルト孔径よりも十分に大きく形成され、その形状は、円形、四角形等任意に形成することができる。ここで、十分に大きく形成される一例を挙げると、円形の節部3の場合には、通常、ボルト接合で用いられるナットの直径程度の大きさは必要である。即ち、ボルト1がM6であれば、直径約12mm、M8であれば同約17mm、M10であれば、同約21mmの大きさは必要である。また、節部3の厚みとしては、少なくとも1mm程度の厚みがあれば接合可能である。前記ボルト1としては、通常、高力ボルトが、ワッシャ4およびナット5とセットで用いられる。
【0024】
図2(a)〜(d)は、前記節付き両ねじタイプのボルト1を用いて板材を上下に重ねて接合する場合について、その接合手順を示したものである。図2(a)は、接合すべき一方の板材6にボルト1を上方から挿通し、その節部3が板材6に設けたボルト孔7に当たり、落下せずに留まっている状態を示し、図2(b)は、板材6の下面側に突出したボルト1の一方のねじ部2にワッシャ4を介して嵌めたナット5を締め込み、予めボルト1を一方の板材6に固定した第1の工程後の状態を示している。
【0025】
図2(c)は、第2の工程において、ボルト1にその上方から、ボルト孔7を設けた接合すべき他方の板材6を嵌めて、節部3の両面が接合すべき板材5および5aとそれぞれ平面接触している状況を示したものである。図2(d)は、この状態で、ボルト1にワッシャ4およびナット5を嵌め込んで板材6aの上面側から締め込み、板材6、6aを、節部3を介して締結した状態を示したもので、このような継ぎ手構造により、添接板を使用せずに、所要の接合強度を確保して板材を接合することができる。
【0026】
図2(a)〜(d)に示したように、前記節付きボルト7を用いた接合方法により、板材6、6aを、上面側などの一方側からのみの締結作業で接合が可能となり、板材6、6aの下面側など、他方側の作業スペースが不要となり、接合作業効率や安全性などが向上する。また、添接板を使用せずに済むため、接合に必要なボルト数は半減し、さらに、添接板に設けた孔にボルト節部が入っているという、とくに板材6,6aが薄肉材の場合に困難な接合部状態の確認も不要になるため、作業工程および接合コストが大幅に低下する。
【0027】
なお、前記ボルト1の節部3は、予め溶接または接着によりボルト軸に取り付けてもよく、また、節部3の内周面に雌ねじを形成し、ボルト軸にねじ込んで取り付けてもよい。また、前記接合用ボルト1および接合方法は、鋼板、アルミ合金など非鉄金属板、プラスチック板などのいずれの板材にも適用が可能で、これらの板材が薄肉材の場合に、特に効果が発揮される。
【0028】
前記板材6、6aの接合部の接合強度、即ち、継ぎ手構造の接合強度は、前記節部3の上下両面、即ち平面接触面を、サンドペーパーなどを用いて粗くしておく、即ち、細かい凹凸をつけることにより、図2(d)に示した締結状態で、節部3とこの節部3を挟みこんだ板材6、6aとの間の摩擦抵抗を増加させることができ、接合強度が向上する。さらに、両板材6、6aの節部3との接触面についても、予めサンドペーパーなどを用いて粗くしておくことにより、前記摩擦抵抗をさらに増加させることができ、接合強度が一層向上する。
【実施例】
【0029】
本発明による板材の接合部の接合強度を確認するために、図3に示すように、図2(d)と同様の継ぎ手構造の接合試験片を製作し、接合強度試験を実施した。接合試験片の全長Lは300mm、幅Wは30mm、接合すべき板材6、6aの厚みtは1mmである。接合用ボルト1は、両側にM8のねじ部2、2aが形成され、節部3は直径17mm、厚み1mmの円形平板を、ねじ部2、2a間に溶接することにより形成されている。両板材6、6aの節部3との接触面の状態は、(a)無塗装、(b)エポキシ樹脂塗料を用いた塗装有り、(c)亜鉛めっき処理、(d)サンドペーパーにより表面を粗面化(粗表面)の4種類とした。これらの接触面の表面状態の接合試験片を、それぞれ引張り試験機にセットし、両端部をチャックキングし、荷重を徐々に増加させ、両板材6、6aが滑り始めた時点の荷重Psを求め、次式(1)により接触面の摩擦係数μを算出した。
【0030】
μ=Ps/N (1)
ここで、Nはボルト軸力である。このボルト軸力Nは、ナット5によるボルト1の締め付けトルクの測定値とねじ部2、2aの呼び径から算出することができる。
【0031】
【表1】

【0032】
算出した摩擦係数μを表1に示す。表1から、摩擦係数μはいずれの表面状態の場合でも、合格基準の0.40以上であり、とくに(d)粗表面の場合は、0.55以上であった。これらの試験結果から、その摩擦抵抗により接合強度を確保するようにしたので、本発明の継ぎ手構造が、摩擦抵抗により所要の接合強度を満たすことを確認した。
【0033】
一方、接合すべき板材6、6aに段差を付けず、同一面内に保つ必要がある場合には、図4に示す継ぎ手構造により、板材6、6aを接合することができる。この継ぎ手構造では、まず、板材6、6aの接合部をそれぞれ近接するように対向させ、前記接合用ボルト1、1を板材6、6aに設けたボルト孔に挿通して節部3を板材6、6aとそれぞれ平面接触させた後、ナット5、5を下方側からはめ込んで前記ボルト1、1を板材6、6aに固定する。次に、添接板8をボルト1、1の上方から被せて節部3と平面接触させ、ナット5、5を上方から嵌め込んで締め付け、節部3と板材6(6a)および節部3と添接板8との摩擦抵抗により、所要の接合強度を確保するものである。この継ぎ手構造では、添接板8と節部3とが平面接触して一方の接触面を形成するため、前述のように、節部3が添接板8に設けたボルト孔に入っているかどうかを確認する必要がなく、作業効率の向上に寄与する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明は、板構造の建材の継ぎ手部や機械装置類における板材の継ぎ手部などに利用することができ、とくに薄肉の板材の接合に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(a)この発明の実施形態の板材接合用ボルトの正面図である。(b)同上
【図2】(a)〜(d)図1の接合用ボルトを用いた板材の接合工程を示す説明図である。
【図3】(a)接合強度確認実験に用いた接合試験片の側面図である。(b)(a)の平面図である。
【図4】他の実施形態の継ぎ手構造を示す説明図である。
【図5】(a)〜(d)従来技術の鋼板の接合部の構成例を示す説明図である。
【図6】(a)〜(c)従来技術の一般的な鋼板の接合工程を示す説明図である。
【図7】(a)〜(e)従来技術の鋼床板の接合工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1・・・板材接合用ボルト
2、2a・・・ねじ部
3・・・節部
4・・・ワッシャ
5・・・ナット
6、6a・・・板材
7・・・ボルト孔
8・・・添接板




【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材を重ねて接合する板材接合用ボルトであって、前記ボルトがその両側にねじ部を有し、このねじ部間に節部を設け、この節部が、前記板材のボルト穴を通過せず、重ねた板材と接触する平面部を有し、この平面部と板材表面間の摩擦抵抗で接合強度を確保できる大きさであることを特徴とする板材接合用ボルト。
【請求項2】
板材を重ね、ボルトを用いて接合した板材の継ぎ手構造であって、前記ボルトが、その両側にねじ部を有し、このねじ部間に設けた節部が、前記板材のボルト穴を通過せず、重ねた両方の板材と平面部と接触し、前記ボルトの両側にそれぞれ嵌め込んだナットを締め付けて、前記節部と板材間の摩擦抵抗で接合強度を確保するように形成したことを特徴とする板材の継ぎ手構造。
【請求項3】
前記ボルトの両側に設けたねじ部のねじ山の方向が同じ方向に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の板材接合用ボルト。
【請求項4】
請求項1または3に記載の板材接合用ボルトを、接合すべき一方の板材に設けたボルト穴に挿通して前記ボルトの節部と平面接触させ、板材の下面側に突出した一方のねじ部にナットを嵌めて締め込み、前記ボルトを予め接合すべき一方の板材に固定する第1の工程と、この第1の工程で板材に固定したボルトの上方から接合すべき他方の板材を、前記ボルトの節部と平面接触するように配置した後、板材に固定した前記ボルトの他方のねじ部に嵌めたナットで、板材の上面側から締め込んで両方の板材を固定する第2の工程とからなる板材の接合方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−112601(P2006−112601A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−303341(P2004−303341)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】