説明

板状ワークの吸着搬送装置および搬送方法

【課題】複数のガイドピンが突出したワーク処理装置の架台に載置された板状ワークを確実かつ円滑に吸着保持できる吸着搬送装置および搬送方法を提供する。
【解決手段】支持フレーム15が降下してバキュームパッド16でフレキシブルプリント基板(FPC)11を吸着するときに、支持フレーム15に垂設された筒状磁石19にガイドピン14の先端が嵌合するとともに、筒状磁石19の下面がFPC11の上面に当接する。このとき、筒状磁石19の磁気に筒状ブッシュ18が吸引されて、筒状磁石19と筒状ブッシュ18との間にFPC11が挟持されるので、FPC11が撓むことなく、バキュームパッド16にて確実に吸着できる。FPC11が所定の高さまで上昇すれば、筒状ブッシュ18の上昇が規制されてFPC11の下面から離反し、筒状ブッシュ18が元の状態に戻るとともに、FPC11のガイド穴12がガイドピン14から円滑に抜け出る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状ワークの吸着搬送装置および搬送方法に関するものであり、特に、複数のガイドピンが突出したワーク処理装置の架台に載置された状態から、支持フレームに垂設された複数のバキュームパッドで板状ワークを吸着保持して搬送する吸着搬送装置および搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
板状ワークを複数のバキュームパッドで吸着保持しながら搬送する装置については、従来から主にプレス加工される金属板材の搬送などに広く使用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、フレキシブルプリント基板などの可撓性を有する板状ワークは、図8に示すように、フレキシブルプリント基板などの板状ワーク1には予めガイド穴2が開穿されており、ワーク処理装置の架台3から突出する複数のガイドピン4に前記ガイド穴2を挿入し、板状ワーク1が前記架台3の載置面に位置決め載置された状態で加工処理される。
【0004】
加工処理後の板状ワーク1を搬送する場合、支持フレーム5に垂設された複数のバキュームパッド6を上方から降下させ、図9に示すように、前記バキュームパッド6で板状ワーク1を吸着保持し、この状態で前記支持フレーム5を上昇させて搬送する。
【0005】
薄板などの変形しやすい対象物を吸着する装置としては、薄板に吸着する吸盤と、ばねで付勢されて前記吸盤が吸着対象である薄板に接触するのに先立って、薄板の吸盤のない部分を押圧して平面に引き伸ばす伸ばし板と、前記吸盤と伸ばし板を所定の構造に組み立てて保持する手段とから構成された薄板吸着装置も知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】実開平4−39532号公報
【特許文献2】実開昭59−123038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8に示すようなワーク処理装置の架台3において、可撓性の板状ワーク1のガイド穴2をガイドピン4に挿入して位置決めを行う場合、一般的にガイドピン4は上部が丸みを帯びた円柱状に形成されており、板状ワーク1に開穿されたガイド穴2は前記ガイドピン4の外形よりも若干大きい穴が開口されている。
【0007】
板状ワーク1が平坦な状態で垂直に持ち上げられた場合は、ガイド穴2とガイドピン4との干渉がなく、板状ワーク1はガイドピン4から抜け出て円滑に搬送されるが、板状ワーク1が可撓性を有しているため、図10に示すように、バキュームパッド6の近傍が先に上昇して板状ワーク1に撓みが生じ、ガイド穴2の周辺部がガイドピン4に引っ掛かることがある。
【0008】
このようなときは、板状ワーク1のばね性により、バキュームパッド6が吸着している箇所の一部分に隙間ができ、この隙間から空気が進入して吸着力が低下する。したがって、吸着力が急激に低下して所謂チャッキングエラーが発生し、板状ワーク1を持ち上げることができない、あるいは、持ち上げた板状ワーク1が落下するという不具合が起きる。
【0009】
この不具合を回避するためには、ガイドピン4に嵌合する板状ワーク1のガイド穴2の直径を、より大きくすればガイドピン4に引っ掛かることがなくなるが、位置決め精度を損ねるためガイド穴2を必要以上に大きくすることはできない。
【0010】
可撓性を有する板状ワークの撓みにバキュームパッドを追随させるだけであれば、特許文献1のように、板状ワークの各部分でバキュームパッドの上昇速度を変えることにより対応できるが、撓みによるガイドピンとの干渉を防止することはできない。
【0011】
また、特許文献2のように、撓みを伸ばし板によって矯正してから吸着保持したとしても、板状ワークの上昇時にはバキュームパッドの近傍がより早く上昇するため、板状ワークに撓みが生じてチャッキングエラーが発生する。
【0012】
そこで、本発明は、複数のガイドピンが突出したワーク処理装置の架台に載置された状態から、支持フレームに垂設された複数のバキュームパッドで板状ワークを吸着保持して搬送する際に、板状ワークがガイドピンに引っ掛からずに確実かつ円滑に吸着保持できる吸着搬送装置および搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、ガイド穴を有する可撓性の板状ワークであって、ワーク処理装置の架台に突設された複数のガイドピンに前記ガイド穴を挿入して前記架台に載置された前記板状ワークを、搬送装置の支持フレームに垂設された複数のバキュームパッドで吸着保持しながら前記ガイド穴から抜き出して搬送する装置において、前記架台に突設されたガイドピンの外周には丸穴が開穿され、磁気に吸引される材質からなる筒状ブッシュを、その上面が前記架台の載置面と同一高さとなるように前記丸穴内に埋設するとともに、該筒状ブッシュを前記架台の載置面から所定の高さまで持ち上げ可能に形成し、前記支持フレームには、前記ガイドピンに相対する位置に前記ガイドピンよりやや大きい内径を有して前記ガイドピンと嵌合する筒状磁石が垂設され、前記支持フレームが降下して前記バキュームパッドで前記板状ワークを吸着するときに、前記ガイドピンが前記筒状磁石に嵌合しつつ、筒状磁石の磁気に前記筒状ブッシュが吸引されて筒状磁石と筒状ブッシュとの間に板状ワークを挟持し、前記支持フレームが上昇するのに伴い、前記筒状磁石に吸引された筒状ブッシュも前記所定の高さまで上昇して板状ワークを挟持し続けるように構成したことを特徴とする板状ワークの吸着搬送装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、支持フレームが降下してバキュームパッドで板状ワークを吸着するときに、支持フレームに垂設された筒状磁石にガイドピンの先端が嵌合するとともに、筒状磁石の下面が板状ワークの上面に当接する。このとき、該筒状磁石の磁気に筒状ブッシュが吸引されて、筒状磁石と筒状ブッシュとの間に板状ワークが挟持される。したがって、板状ワークは複数箇所で筒状磁石と筒状ブッシュに挟持されて撓むことなく、バキュームパッドが板状ワークを確実に吸着する。
【0015】
支持フレームの上昇に伴って、筒状ブッシュが所定の高さまで上昇すれば、該筒状ブッシュの上昇が規制されて板状ワークの下面から離反し、該筒状ブッシュが元の状態に戻るとともに、板状ワークのガイド穴が前記ガイドピンから円滑に抜け出る。
【0016】
請求項2記載の発明は、上記筒状ブッシュの外側面に凹部を設け、前記丸穴の内側面に凸部を設けて前記筒状ブッシュの凹部内に突設し、該筒状ブッシュが前記丸穴から持ち上げられたときは、前記丸穴の凸部が筒状ブッシュの凹部に係止されて、筒状ブッシュの上昇を所定の高さまでに規制するように構成したことを特徴とする請求項1記載の板状ワークの吸着搬送装置を提供する。
【0017】
この構成によれば、架台の丸穴に埋設されている筒状ブッシュが持ち上げられると、筒状ブッシュの外側面に設けた凹部の端部に丸穴の内側面に突設した凸部が係止されて、筒状ブッシュの上昇が所定高さまでに規制される。
【0018】
請求項3記載の発明は、上記ガイドピン先端部は直径が漸減する先細り形状とし、上記支持フレームのバキュームパッドで板状ワークを吸着して所定高さまで持ち上げたとき、前記筒状磁石と筒状ブッシュとの間に挟持された板状ワークのガイド穴内に、前記ガイドピン先端部の先細り開始部分が挿入するように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の板状ワークの吸着搬送装置を提供する。
【0019】
この構成によれば、支持フレームが降下してバキュームパッドで板状ワークを吸着したとき、板状ワークのガイド穴にガイドピンが挿入されて嵌合し、筒状磁石と筒状ブッシュとの間に挟持された板状ワークが持ち上げられて、筒状ブッシュが所定高さまで持ち上げられたときに、ガイドピン先端部の先細り開始部分がガイド穴内に挿入されて、ガイド穴とガイドピンとの干渉がなく、板状ワークはガイドピンから抜け出る。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項1,2または3記載の板状ワークの吸着搬送装置を使用する搬送方法であって、ワーク処理装置の架台に突設された複数のガイドピンに前記ガイド穴を挿入して前記架台に載置された前記板状ワークを、搬送装置の支持フレームに垂設された複数のバキュームパッドで吸着保持しながら前記ガイド穴から抜き出して搬送する方法において、前記支持フレームが降下してバキュームパッドで板状ワークを吸着するときに、支持フレームに垂設された筒状磁石にガイドピンの先端が嵌合するとともに、ガイドピンの外周部に持ち上げ可能に埋設された筒状ブッシュが前記筒状磁石に磁気吸引されて、筒状磁石と筒状ブッシュとの間に板状ワークを挟持し、前記支持フレームが上昇するのに伴い、前記筒状磁石に吸引された筒状ブッシュも板状ワークを挟持しながら上昇し、所定の高さにて筒状ブッシュの上昇が規制されて板状ワークから離反し、筒状ブッシュが元の状態に戻るとともに、板状ワークのガイド穴が前記ガイドピンから円滑に抜け出るようにしたことを特徴とする板状ワークの吸着搬送方法を提供する。
【0021】
この構成によれば、支持フレームが降下してバキュームパッドで板状ワークを吸着するときに、筒状磁石にガイドピンの先端が嵌合するとともに、筒状ブッシュが前記筒状磁石に磁気吸引されて板状ワークを挟持する。板状ワークが筒状磁石と筒状ブッシュにより上下から挟持されて上昇し、所定高さに至ったときに板状ワークから筒状ブッシュが離反し、板状ワークのガイド穴がガイドピンから抜け出る。
【0022】
請求項5記載の発明は、上記可撓性の板状ワークがフレキシブルプリント基板であることを特徴とする請求項4記載の板状ワークの吸着搬送方法を提供する。
【0023】
この構成によれば、上記吸着搬送装置を使用してフレキシブルプリント基板を搬送することにより、バキュームパッドでフレキシブルプリント基板を吸着して持ち上げる際に、筒状磁石と筒状ブッシュとの間にフレキシブルプリント基板が挟持されるので、フレキシブルプリント基板が撓むことなくガイドピンから円滑に抜け出る。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、上述したように、架台に突設したガイドピンが挿入されたガイド穴の近傍を、筒状磁石と筒状ブッシュが板状ワークを上下から挟持しながら、バキュームパッドで板状ワークを吸着して持ち上げるので、板状ワークが撓むことなく、バキュームパッドが板状ワークを確実に吸着することができる。そして、板状ワークが所定の高さまで持ち上げられたときは、前記筒状ブッシュが板状ワークから離反して元に戻るため、板状ワークのガイド穴がガイドピンから円滑に抜け出て、板状ワークを確実に搬送することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る板状ワークの吸着搬送装置および搬送方法について、好適な実施例をあげて説明する。複数のガイドピンが突出したワーク処理装置の架台に載置された状態から、支持フレームに垂設された複数のバキュームパッドで板状ワークを吸着保持して搬送する際に、板状ワークがガイドピンに引っ掛からずに確実かつ円滑に吸着保持できるようにするという目的を達成するために、本発明はガイド穴を有する可撓性の板状ワークであって、ワーク処理装置の架台に突設された複数のガイドピンに前記ガイド穴を挿入して前記架台に載置された前記板状ワークを、搬送装置の支持フレームに垂設された複数のバキュームパッドで吸着保持しながら前記ガイド穴から抜き出して搬送する装置において、前記架台に突設されたガイドピンの外周には丸穴が開穿され、磁気に吸引される材質からなる筒状ブッシュを、その上面が前記架台の載置面と同一高さとなるように前記丸穴内に埋設するとともに、該筒状ブッシュを前記架台の載置面から所定の高さまで持ち上げ可能に形成し、前記支持フレームには、前記ガイドピンに相対する位置に前記ガイドピンよりやや大きい内径を有して前記ガイドピンと嵌合する筒状磁石が垂設され、前記支持フレームが降下して前記バキュームパッドで前記板状ワークを吸着するときに、前記ガイドピンが前記筒状磁石に嵌合しつつ、筒状磁石の磁気に前記筒状ブッシュが吸引されて筒状磁石と筒状ブッシュとの間に板状ワークを挟持し、前記支持フレームが上昇するのに伴い、前記筒状磁石に吸引された筒状ブッシュも前記所定の高さまで上昇して板状ワークを挟持し続けるように構成したことにより実現した。
【実施例1】
【0026】
図1は本発明に係る板状ワークの吸着搬送装置10の全体を示す説明図であり、本実施例では可撓性の板状ワークとして、フレキシブルプリント基板11の吸着搬送について説明する。
【0027】
該フレキシブルプリント基板(以下、FPCという)11には予めガイド穴12が開穿されており、ワーク処理装置の架台13から突出する複数のガイドピン14に前記ガイド穴12を挿入し、前記FPC11が前記架台13の載置面に位置決め載置された状態で加工処理される。加工処理後のFPC11は、支持フレーム15に垂設された複数のバキュームパッド16を上方から降下させ、該バキュームパッド16でFPC11を吸着保持して搬送する。
【0028】
前記架台13に突設されたガイドピン14の外周には丸穴17が開穿され、この丸穴17に筒状ブッシュ18を埋設する。該筒状ブッシュ18は磁気に吸引される材質(例えば鉄など)にて形成され、その上面が前記架台13の載置面と同一高さとなるように丸穴17の中に埋設されている。
【0029】
一方、前記支持フレーム15には、前記架台13に突設されたガイドピン14に相対する位置に、前記ガイドピン14の外径よりやや大きい寸法の内径を有して前記ガイドピン14と嵌合する筒状磁石19が垂設されている。
【0030】
図2に示すように、前記筒状ブッシュ18は、ガイドピン14に対して上下方向へスライド自在に嵌合しており、前記架台13の載置面から所定の高さまで持ち上げ可能に形成されている。また、該筒状ブッシュ18の外側面に凹部20が設けるとともに、前記丸穴17の内側面に凸部21を設けて筒状ブッシュ18の凹部20内に突設する。
【0031】
図示するように、筒状ブッシュ18が丸穴17に埋設されて、その上面が架台13の載置面と同一高さとなっている状態で、前記凸部21は前記凹部20の最上部となる位置に設けられ、該凸部21の下方には所定の高さHの空間が設けられている。
【0032】
また、前記ガイドピン14の先端部22は、直径が漸減する先細り形状となっており、FPC11が架台13に載置されている状態では、ガイドピンの先細り開始部分23が前記FPC11の上面と同じ高さ位置、あるいはガイド穴12よりも上方に突出した位置に存在している。したがって、ガイドピン14の外側面が前記ガイド穴12の内側全面に亘って接触するため、高い精度にてFPC11が架台13に位置決めされる。なお、説明の都合上、各図面ではガイド穴12の内側面とガイドピン14の外側面との隙間を大きく記載してある。
【0033】
図3に示すように、前記支持フレーム15が降下してバキュームパッド16でFPC11を吸着するときに、支持フレーム15に垂設された筒状磁石19の穴24にガイドピン14の先端部22が嵌合するとともに、筒状磁石19の下面がFPC11の上面に当接する。このとき、該筒状磁石19の磁気に前記筒状ブッシュ18が吸引されて、筒状磁石19と筒状ブッシュ18との間にFPC11が挟持される。したがって、FPC11は複数箇所で筒状ブッシュ18と筒状磁石19に挟持されるため、FPC11が撓むことなく、バキュームパッド16で確実に吸着される。
【0034】
この状態で支持フレーム15が上昇すれば、図4に示すように、バキュームパッド16に吸着したFPC11が架台13から離反して上昇する。支持フレーム15の上昇に伴って、筒状磁石19に吸引された筒状ブッシュ18も上昇してFPC11を挟持し続ける。このように、ガイドピン14が挿入されたガイド穴12の近傍を、筒状磁石19と筒状ブッシュ18がFPC11を複数箇所に亘って上下から挟持するので、FPC11が撓むことなく、バキュームパッド16でFPC11を確実に吸着して持ち上げることができる。
【0035】
そして、図5に示すように、架台13の丸穴17に埋設されている筒状ブッシュ18が持ち上げられると、筒状ブッシュ18の外側面に設けた前記凹部20の最下部が、丸穴17の内側面に突設した前記凸部21に当接して係止され、筒状ブッシュ18の上昇が所定の高さHまでに規制される。
【0036】
図6に示すように、支持フレーム15がさらに上昇すれば、バキュームパッド16に吸着されたFPC11の下面から筒状ブッシュ18が離反し、該筒状ブッシュ18が元の状態に戻るとともに、FPC11のガイド穴12が前記ガイドピン14から円滑に抜け出て、FPC11が次工程へ搬送される。
【0037】
このように、複数のガイドピン14にガイド穴12を挿入して架台13に位置決めされているFPC11を、バキュームパッド16で吸着して搬送する際に、支持フレーム15に垂設された筒状磁石19にガイドピン14の先端が嵌合するとともに、筒状磁石19と筒状ブッシュ18との間にFPC11を挟持して持ち上げるので、該FPC11が撓むことなく、バキュームパッド16で確実に吸着されてチャッキングエラーの発生を防止することができる。
【0038】
なお、前記筒状ブッシュ18の形状は、上述したように上面と下面が同一直径で、凹部20の縦断面がC字形に限定されるべきではなく、例えば図7に示すように、上面の直径が下面の直径よりも小径で、凹部20aの縦断面がL字形の筒状ブッシュ18aであってもよい。該筒状ブッシュ18aの形状に対応して、前記丸穴17の内側面に凸部21aを設けて筒状ブッシュ18aの凹部20a内に突設する。この場合も、前述した筒状ブッシュ18とまったく同様の作用にて、筒状磁石19と筒状ブッシュ18aとの間にFPC11を挟持して持ち上げるので、チャッキングエラーの発生を防止することができる。
【0039】
而して、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る板状ワークの吸着搬送装置の全体を示す説明図。
【図2】図1に示すガイドピンと筒状ブッシュの要部拡大図。
【図3】図1に示す吸着搬送装置の動作を示し、吸着直後の説明図。
【図4】図1に示す吸着搬送装置の動作を示し、持ち上げ時の説明図。
【図5】図4に示すガイドピンと筒状ブッシュと筒状磁石の要部拡大図。
【図6】図1に示す吸着搬送装置の動作を示し、筒状ブッシュ離反後の説明図。
【図7】図1に示すガイドピンと筒状ブッシュの変形例を示す要部拡大図。
【図8】従来の板状ワークの吸着搬送装置を示す説明図
【図9】図8に示す従来の吸着搬送装置の動作を示し、吸着直後の説明図。
【図10】図8に示す従来の吸着搬送装置の動作を示し、撓み発生時の説明図。
【符号の説明】
【0041】
10 吸着搬送装置
11 フレキシブルプリント基板(FPC)
12 ガイド穴
13 架台
14 ガイドピン
15 支持フレーム
16 バキュームパッド
17 丸穴
18,18a 筒状ブッシュ
19 筒状磁石
20,20a 凹部
21,21a 凸部
22 ガイドピンの先端部
23 ガイドピンの先細り開始部分
24 筒状磁石の穴


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイド穴を有する可撓性の板状ワークであって、ワーク処理装置の架台に突設された複数のガイドピンに前記ガイド穴を挿入して前記架台に載置された前記板状ワークを、搬送装置の支持フレームに垂設された複数のバキュームパッドで吸着保持しながら前記ガイド穴から抜き出して搬送する装置において、
前記架台に突設されたガイドピンの外周には丸穴が開穿され、磁気に吸引される材質からなる筒状ブッシュを、その上面が前記架台の載置面と同一高さとなるように前記丸穴内に埋設するとともに、該筒状ブッシュを前記架台の載置面から所定の高さまで持ち上げ可能に形成し、
前記支持フレームには、前記ガイドピンに相対する位置に前記ガイドピンよりやや大きい内径を有して前記ガイドピンと嵌合する筒状磁石が垂設され、
前記支持フレームが降下して前記バキュームパッドで前記板状ワークを吸着するときに、前記ガイドピンが前記筒状磁石に嵌合しつつ、筒状磁石の磁気に前記筒状ブッシュが吸引されて筒状磁石と筒状ブッシュとの間に板状ワークを挟持し、前記支持フレームが上昇するのに伴い、前記筒状磁石に吸引された筒状ブッシュも前記所定の高さまで上昇して板状ワークを挟持し続けるように構成したことを特徴とする板状ワークの吸着搬送装置。
【請求項2】
上記筒状ブッシュの外側面に凹部を設け、前記丸穴の内側面に凸部を設けて前記筒状ブッシュの凹部内に突設し、
該筒状ブッシュが前記丸穴から持ち上げられたときは、前記丸穴の凸部が筒状ブッシュの凹部に係止されて、筒状ブッシュの上昇を所定の高さまでに規制するように構成したことを特徴とする請求項1記載の板状ワークの吸着搬送装置。
【請求項3】
上記ガイドピン先端部は直径が漸減する先細り形状とし、上記支持フレームのバキュームパッドで板状ワークを吸着して所定高さまで持ち上げたとき、前記筒状磁石と筒状ブッシュとの間に挟持された板状ワークのガイド穴内に、前記ガイドピン先端部の先細り開始部分が挿入するように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の板状ワークの吸着搬送装置。
【請求項4】
請求項1,2または3記載の板状ワークの吸着搬送装置を使用する搬送方法であって、ワーク処理装置の架台に突設された複数のガイドピンに前記ガイド穴を挿入して前記架台に載置された前記板状ワークを、搬送装置の支持フレームに垂設された複数のバキュームパッドで吸着保持しながら前記ガイド穴から抜き出して搬送する方法において、
前記支持フレームが降下してバキュームパッドで板状ワークを吸着するときに、支持フレームに垂設された筒状磁石にガイドピンの先端が嵌合するとともに、ガイドピンの外周部に持ち上げ可能に埋設された筒状ブッシュが前記筒状磁石に磁気吸引されて、筒状磁石と筒状ブッシュとの間に板状ワークを挟持し、
前記支持フレームが上昇するのに伴い、前記筒状磁石に吸引された筒状ブッシュも板状ワークを挟持しながら上昇し、所定の高さにて筒状ブッシュの上昇が規制されて板状ワークから離反し、筒状ブッシュが元の状態に戻るとともに、板状ワークのガイド穴が前記ガイドピンから円滑に抜け出るようにしたことを特徴とする板状ワークの吸着搬送方法。
【請求項5】
上記可撓性の板状ワークがフレキシブルプリント基板であることを特徴とする請求項4記載の板状ワークの吸着搬送方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−152454(P2007−152454A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348458(P2005−348458)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000230249)日本メクトロン株式会社 (216)
【Fターム(参考)】