説明

柔軟性導波路構造及び光学的相互接続アセンブリ

【課題】柔軟性導波路構造及び光学的相互接続アセンブリが提供される。
【解決手段】前記柔軟性導波路構造は、薄膜ストリップコア、内部クラッド層、及び外部クラッド層を含む。前記薄膜ストリップコアは、対向する第1の面及び第2の面を有し、金属物質から成る。前記内部クラッド層は、前記薄膜ストリップコアの前記第1の面及び第2の面のうちの少なくとも一つを覆う。前記外部クラッド層は、前記内部クラッド層を覆う。前記内部クラッド層は、前記外部クラッド層の屈折率より高い屈折率を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される本発明は、柔軟性導波路(flexible waveguide)構造及び光学的相互接続アセンブリに関し、より詳細には、曲げ(bending)によって引き起こされる信号品質の低下を最小化するように構成された柔軟性導波路構造及び光学的相互接続アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器の要求する高信号伝送及び処理速度を満足させるために、数十個の電気信号チャンネルを並列に配列した多層フレキシブル電気配線モジュールがモバイルシステムに用いられてきた。装置の実装密度に比例する電磁気波の障害により、既存の電気配線モジュールは、より高い信号伝送速度に対する変わらない要求を満たすことに限界をする。
【0003】
これらの既存の電気配線モジュールの限界を克服するために、高分子多重モード光導波路によって構成されたフレキシブル光配線及びフレキシブル光配線のモバイル機器への適用の積極的な研究が実施されている。しかし、光導波路を利用した光学的相互接続構造は、製作費用削減のための工程単純化、能動光素子との効率的な配列、及びモバイルシステムへの適用に十分な光学的及び機械的な耐屈曲性など多くの態様において、さらに改良されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公開第2008−0112713号公報
【特許文献2】韓国特許第0809396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、曲げによって引き起こされる追加的な光損失を低減させるように構成された柔軟性導波路構造、及びこの柔軟性導波路構造を備える光学的相互接続アセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、対向する第1の面及び第2の面を有し金属から成る薄膜ストリップコア(thin film strip core)と、薄膜ストリップコアの第1の面及び第2の面のうちの少なくとも一つを覆う内部クラッド層と、内部クラッド層を覆う外部クラッド層とを含む柔軟性導波路構造を提供する。ここで、内部クラッド層は、外部クラッド層の屈折率より高い屈折率を有する。
【0007】
一部の実施形態において、内部クラッド層の屈折率と外部クラッド層の屈折率との間の差は、外部クラッド層屈折率の約0.1%以上であってもよい。
【0008】
他の実施形態において、薄膜ストリップコアを、表面プラズモンポラリトン又は表面エキシトンポラリトンに関する現象により光を伝送するように構成することができる。
【0009】
さらに他の実施形態において、薄膜ストリップコアは、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、及び銅(Cu)のうちの少なくとも一つの金属、又はこれらの合金又はこれらの混合物を含むことができる。
【0010】
さらに他の実施形態において、薄膜ストリップコアは、約5nm〜約100nmの範囲の厚さを有することができ、薄膜ストリップコアは、約0.5μm〜約50μmの範囲の幅を有することができる。
【0011】
さらなる実施形態において、内部クラッド層及び外部クラッド層のうちの少なくとも一つは、柔軟性光学ポリマを含むことができる。
【0012】
さらなる実施形態において、薄膜ストリップコアを、内部クラッド層によって囲むことができる。
【0013】
さらなる実施形態において、薄膜ストリップコアの第1の面及び第2の面のうちの一つは、内部クラッド層と接触し、第1の面及び第2の面のうちの他方は、外部クラッド層と接触することができる。
【0014】
さらなる実施形態において、薄膜ストリップコアは、その一端に連結される結合部を含むことができ、この結合部は、薄膜ストリップコアの一端から位置が遠ざかる方向に変化する幅を有する。
【0015】
一部の実施形態において、薄膜ストリップコアは、その一端に連結される結合部を含むことができ、この結合部を、単一の光導波モードの範囲内で、二つ又は複数の分岐に分けることができる。
【0016】
他の実施形態において、薄膜ストリップコアは、単一の光導波モードを伝送するように構成される複数個の薄膜帯を含むことができる。
【0017】
さらに他の実施形態において、薄膜ストリップコアを、各々が同一の光信号を分けて伝送する二つ又は複数の部分に分けることができる。
【0018】
さらに他の実施形態において、柔軟性導波路構造は、外部クラッド層を完全に又は部分的に覆うように構成される追加クラッド層又は構造的支持層をさらに含むことができる。
【0019】
本発明の他の実施形態において、光学的相互接続アセンブリは、柔軟性導波路構造と、柔軟性導波路構造の一端に配置される光送信モジュールと、柔軟性導波路構造の他端に配置される光受信モジュールとを含む。
【0020】
一部の実施形態において、光送信モジュールは、第1の半導体チップと、光エミッタとを含むことができ、光受信モジュールは、第2の半導体チップと、光受信器とを含むことができる。
【0021】
本発明のさらに他の実施形態において、柔軟性光及び電気配線モジュールは、柔軟性導波路構造と、柔軟性導波路構造に結合された電気的相互接続構造とを含むことができる。
【0022】
一部の実施形態において、光学的及び電気的相互接続アセンブリは、柔軟性光及び電気配線モジュールと、光学的及び電気的配線モジュールの一端に配置される光及び電気送信モジュールと、光及び電気的配線モジュールの他端に配置される光及び電気受信モジュールとを含む。ここで、柔軟性導波路構造は、光及び電気送信モジュールと光及び電気受信モジュールとの間で光信号を伝送し、電気的相互接続構造は、光及び電気送信モジュールと光及び電気受信モジュールとの間で電気信号を伝送する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態によると、柔軟性導波路は、多重構造のクラッド層によって曲げ損失を最小化することができ、また機械的安全性を向上することができる。一方、柔軟性導波路構造を含む光学的相互接続アセンブリは、高速の信号伝送が要求される次世代モバイル機器内で、激しい曲げ、或いは変形が発生される条件で、信号品質の低下と機械的な低下効果を最小化することができる。
【0024】
本発明のさらなる理解を提供するために添付図面が含まれており、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。図面は本発明の例示的な実施形態を示し、説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態による柔軟性導波路構造を説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態による柔軟性導波路構造を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態による柔軟性導波路構造を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態による薄膜ストリップコアを被覆する多様な構造を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態による薄膜ストリップコアを被覆する多様な構造を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態による薄膜ストリップコアを被覆する多様な構造を説明する図である。
【図7】本発明の別の実施形態による柔軟性導波路構造を説明する図である。
【図8】本発明の実施形態による柔軟性導波路構造の結合効率又は結合構成を改善する多様な構造を説明する図である。
【図9】本発明の実施形態による柔軟性導波路構造の結合効率又は結合構成を改善する多様な構造を説明する図である。
【図10】本発明の実施形態による柔軟性導波路構造の結合効率又は結合構成を改善する多様な構造を説明する図である。
【図11】本発明の別の実施形態による柔軟性導波路構造を説明する図である。
【図12】本発明の一実施形態による構造的支持層を組み込む柔軟性導波路構造を説明する図である。
【図13】本発明の一実施形態による光及び電気的相互接続アセンブリを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の好ましい実施形態が、添付図面を参照して以下でより詳細に説明されるだろう。しかし、本発明は、異なる形式で具体化することができ、本明細書で説明する実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底且つ完全になるように、そして当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。
【0027】
本明細書では、第1及び第2といった用語が用いられて、様々な構成要素を記述しているが、これらの構成要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるだろう。これらの用語は、一構成要素を別の構成要素と区別するために使われるだけである。
【0028】
図において、層の寸法及び領域は、説明の明確性のために誇張され、明細書全体に亘って同様の参照番号は同様の構成要素を参照する。
【0029】
本開示において、幾つかの実施形態が例示的に説明されて、本発明の趣旨及び範囲についての理解を提供し、簡単のためその実施形態に関する多様な修正及び変更は説明されない。しかし、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、形式及び細部において多用な修正及び変更を行えることは、当業者によって理解されるだろう。
【0030】
図1乃至図3は、本発明の実施形態による柔軟性導波路(flexible wave guide)構造を説明する。
【0031】
図1及び図2を参照すると、柔軟性導波路構造は、薄膜ストリップコア10と、内部クラッド層20と、外部クラッド層30とを含む。薄膜ストリップコア10は、互いに対向する第1の面10a及び第2の面10bを有し、金属から成る。内部クラッド層20は、薄膜ストリップコア(thin film strip core)10の第1の面10a及び第2の面10bのうちの少なくとも一つを覆う。外部クラッド層30は内部クラッド層20を覆う。内部クラッド層20は、外部クラッド層30の屈折率より高い屈折率を有する。
【0032】
薄膜ストリップコア10は、表面プラズモンポラリトン(SPP)又は表面エキシトンポラリトンに関する現象により、光を伝送することができる。用語「表面プラズモン」は、誘電体と金属薄膜との間の境界面で発生する電荷密度の振動を意味する。金属薄膜が数nm程度と非常に薄い場合、金属薄膜は、薄膜形状というよりは、金属の島構造(island structure)を実質的に形成し、用語「表面エキシトン」は、この金属の島構造内の電荷分布振動を意味する。用語「表面プラズモンポラリトン」又は「表面エキシトンポラリトン」は、表面プラズモン又は表面エキシトンと結合され金属表面に沿って伝播する電磁気波を意味する。以下の説明では、簡単のため、この2つの単語を代表して用語「表面プラズモンポラリトン」を使用する。
【0033】
表面プラズモンポラリトンモードの波数ベクトルは、周辺の誘電体物質によって伝達される波数ベクトルより大きいので、表面プラズモンポラリトンは、金属薄膜の近辺に束縛された電磁波の形で伝えられる。表面プラズモンポラリトンモードの電場が誘電体と金属との間の界面に沿って伝播する場合、金属及び誘電体を通って大部分の電場が伝播する。従って、一般的には、表面プラズモンポラリトンモードの伝搬損失は、非常に大きくて、可視光線領域では、表面プラズモンポラリトンモードは、約数十μmのみ伝播する。しかし、非常に薄い金属薄膜の両面に沿って進行する表面プラズモンポラリトンを重畳する結合モードにおいては、表面プラズモンポラリトンは数cm乃至数十cmまで伝えることができる。このモードを長距離表面プラズモンポラリトンという。
【0034】
薄膜ストリップコア10は、1つ又は複数の金属から形成することができる。例えば、薄膜ストリップコア10は、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、及び銅(Cu)のうちの一つ、又は記載の金属のうちの少なくとも一つを含む合金若しくは混合物から形成することができる。一般的に、金属の屈折率値は、大きい虚数部を有する。即ち、金属は入射光の大部分を吸収する。しかし、薄膜ストリップコア10の場合では、表面プラズモンポラリトンモードの大部分のエネルギーを、薄膜ストリップコア10を通じて伝送する代わりに、内部クラッド層20を通じて伝送するので、金属の吸収によって引き起こされる損失は少ない。従って、柔軟性導波路構造の伝搬損失を、1dB/cmより下の値まで減らすことができる。
【0035】
薄膜ストリップコア10の厚さ(図2で、tによって示される)を調整して、第1の表面10aと第2の表面10bで生成される表面プラズモンポラリトンモードを互いに結合できるようにする。例えば、薄膜ストリップコア10の厚さは、約5nm〜約100nmであってもよい。薄膜ストリップコア10が金(Au)又は銀(Ag)から形成される場合、薄膜ストリップコア10の厚さは、光通信波長帯域で数nm又は数十nmである。
【0036】
薄膜ストリップコア10の幅(図2で、wによって示される)は、柔軟性導波路構造と光送信素子又は光受信素子との間の光学的相互接続の結合効率(coupling efficiency)、及び柔軟性導波路構造の伝搬損失に基づいて決定することができる。例えば、薄膜ストリップコア10の幅は、約0.5μm〜約50μmであってもよい。
【0037】
内部クラッド層20と外部クラッド層30との間の屈折率差は、薄膜ストリップコア10及び他の層の厚さ、構造及び配置に基づいて、モード分布特性と曲げ損失特性を評価することにより決定することができる。例えば、内部クラッド層20と外部クラッド層30との間の屈折率差は、外部クラッド層30の屈折率の0.1%以上であってもよい。例として、内部クラッド層20の屈折率は約1.46であってもよく、外部クラッド層30の屈折率は約1.45であってもよい。必要によっては、外部クラッド層30の上部と下部は、異なる屈折率を有することができる。この場合においても、内部クラッド層20と外部クラッド層30との間の屈折率差は、外部クラッド層30のうちの任意の一つの屈折率の0.1%以上であってもよい。内部クラッド層20と外部クラッド層30のうちの少なくとも一つは、柔軟性を有する光学ポリマ(polymer)から形成することができる。例えば、柔軟性を有する光学ポリマは、典型的な光学ポリマの水素原子をフッ素などのハロゲン原子又は重水素原子と置換することにより得た低損失光学ポリマであってもよい。
【0038】
図3を参照して、ここでは、柔軟性導波路構造が垂直に曲げられるとき、どのようにして柔軟性導波路構造は低い曲げ損失を有することができるか説明する。内部クラッド層20が備えられていない場合、薄膜ストリップコア10に沿って伝播する表面プラズモンポラリトンモードの光出力は、矢印1の方向に無駄に消散される可能性がある。しかし、本発明によると、内部クラッド層20の屈折率は外部クラッド層30の屈折率より大きいので、内部クラッド層20と外部クラッド層30との間の界面で表面プラズモンポラリトンモードの光出力は消散されずに、矢印2の方向に伝播することができる。従って、内部クラッド層20によって、表面プラズモンポラリトンを、より少ない消散で外部クラッド層30にとどめることができる。
【0039】
図4乃至図6を参照して、薄膜ストリップコア10の多様な被覆(cladding)方法について説明が与えられる。図4を参照すると、薄膜ストリップコア10は、内部クラッド層20によって囲まれており、この内部クラッド層20は、外部クラッド層30によって囲まれている。図4に示した場合では、全方向において曲げ損失を最小化することができる。
【0040】
図5を参照すると、薄膜ストリップコア10の第1の面10aは内部クラッド層20と接触し、薄膜ストリップコア10の第2の面10bは外部クラッド層30と接触する。図5に示す柔軟性導波路構造の場合、第1の面10a及び第2の面10bのうちのどれが外側に配されるかは、柔軟性導波路構造の曲げ損失を最小化することへの重大な影響を全く有さない。図6を参照すると、薄膜ストリップコア10を囲む内部クラッド層20は拡張部を有することができる。即ち、前記薄膜ストリップコア10を囲む内部クラッド層20の一部分を内部クラッド層20の他の部分よりも厚くすることができる。
【0041】
図7は、本発明の別の実施形態による柔軟性導波路構造を説明する。現行の実施形態は、追加クラッド層を除き上述の実施形態と同様である。従って、同一の要素についての説明は省略される。現行の実施形態の柔軟性導波路構造は、薄膜ストリップコア10を囲む内部クラッド層20と、内部クラッド層20を覆う外部クラッド層30と、外部クラッド層30を完全に又は部分的に覆うように構成される追加クラッド層40とを含む。外部クラッド層30の屈折率は、追加クラッド層40の屈折率より大きくてよい。しかし、内部クラッド層20と外部クラッド層30との間の屈折率差及びそれぞれの層の高さによって薄膜ストリップコア10に対し充分にバウンドモードを得ることができる場合、追加クラッド層40は、外部クラッド層30の屈折率より高い屈折率を有する物質から形成することができる。追加クラッド層40によって、柔軟性導波路構造の重要部はより少なく損傷され、一部の場合においては、外部クラッド層30への放射に関する光学的損失を追加クラッド層40によって抑えることができるので、柔軟性導波路構造の縦曲げ損失をさらに低減することができる。
【0042】
図8乃至図10は、本発明の実施形態による柔軟性導波路構造の結合効率又は結合構成を改善するための多様な構造を説明する。
【0043】
図8を参照すると、薄膜ストリップコア10は、柔軟性導波路構造と、光送信素子又は光受信素子との間の結合効率を改善する構造を有することができる。薄膜ストリップコア10は、薄膜ストリップコア10の真っすぐな部分の一端に連結される結合部12を含むことができる。結合部12の幅は、光送信素子又は光受信素子との結合の状況に従って、薄膜ストリップコア10の一端から遠ざかるほど変えることができる。一部の場合では、それぞれの幅を有する薄膜ストリップコア10の2つの異なる部分の間に結合部12を配置することができる。
【0044】
図9を参照すると、薄膜ストリップコア10は、表面プラズモンポラリトンのモードサイズを増加させるために、又は複数個の光信号を同時に送信若しくは受信するために、多岐結合部14を含むことができる。詳細には、多岐結合部14は、同一の面で複数の分岐に分けることができる。それぞれの分岐の表面プラズモンポラリトンが互いに結び付いて、結合モードを形成するような方法で、多岐結合部14の分岐を、配置することができる。その結果、図9に示した結合部14によって、光信号を、増加したモードサイズで出力することができる。図10を参照すると、結合部15は、2つの分かれた部分で同一の光信号を出力するように、Y分岐構造を有することができる。図9の多岐結合部14の構造と異なり、図10の結合部15は、それぞれの分岐の表面プラズモンポラリトンの間で結合しないように互いに十分に離隔して配置することができ、このようにして、二つの同一の光信号を別々に出力することができる。
【0045】
図11は、本発明の別の変形形態による柔軟性導波路構造を説明する。図11を参照すると、複数個の薄いストリップ16が、1つの薄膜ストリップコアに対する構造を形成することができる。薄いストリップ16の数は、2つ、4つ、又は任意の他の数であってよい。例えば、薄膜ストリップコアが2つの薄いストリップ16を含む場合、薄いストリップ16で生成される表面プラズモンポラリトンを互いに結合させて、薄膜ストリップコアに沿って長距離表面プラズモンポラリトンモードとして伝送することができる。薄膜ストリップコアが二つより多くの薄いストリップ16を含む場合、長距離表面プラズモンポラリトンモードを上述の方法と同様の方法で転送することができる。
【0046】
図12は、本発明の実施形態による構造的支持層を組み込む柔軟性導波路構造を説明する。図12を参照すると、柔軟性導波路構造は、柔軟性導波路構造の基本部分の下面の両側に取り付けられた支持層50をさらに備える。この場合、柔軟性導波路構造を容易に扱うことができ、光送信素子及び/又は光受信素子と容易に結合することができる。
【0047】
図13は、本発明の実施形態による光学的及び電気的相互接続アセンブリ(optical and electrical interconnection assembly)を説明する。図13を参照すると、上述のように、柔軟性導波路構造100は、薄膜ストリップコア10と、内部クラッド層20と、外部クラッド層30とを含む。柔軟性導波路構造100の一端に光送信モジュール70が結合され、柔軟性導波路構造100の他端に光受信モジュール60が結合される。柔軟性導波路構造100に、支持層50を取り付けることができる。光送信モジュール70は、第1の基板71上に配置された第1の半導体チップ72と、光エミッタ74とを含むことができる。第1の半導体チップ72と光エミッタ74は、第1の電気配線73を通じて電気的に接続することができる。第1の基板71は、半導体基板であってもよい。光エミッタ74は、レーザダイオードであってもよい。第1の半導体チップ72は、シリコン-ゲルマニウム又は他の物質に基づくバイポーラトランジスタを含むことができる。光エミッタ74及び第1の半導体チップ72の代わりに、相当する機能を有する任意の他の素子を使用することができる。
【0048】
光受信モジュール60は、第2の基板61上に配置された第2半導体チップ62と、光検出器(光受信器)64とを含むことができる。第2の半導体チップ62及び光検出器64は、第2の電気配線63を通じて電気的に接続することができる。光エミッタ74は、第1の半導体チップ72から受信した電気信号を光信号に変換することができ、この光信号は、柔軟性導波路構造100を通じて光検出器64に伝送することができる。
【0049】
光学的及び電気的相互接続アセンブリの柔軟性導波路構造100は、電気的相互接続構造80をさらに含むことができる。電気的相互接続構造80を、柔軟性導波路100の内部、外部クラッド層30の表面、付加的な構造の表面、又は付加的な構造と外部クラッド層30との間の界面に配置することができる。代替的に、傾斜面又はビア孔(via hole)などの多様な連結構造を介して異なる層に配置される構造を接続することにより、電気的相互接続構造80を形成することができる。電気的相互接続構造80は、光送信モジュール70に配置された電気配線又は回路75と、光受信モジュール60に配置された電気配線又は回路65とに接続されて、電気信号を、柔軟性導波路構造100を通じて伝達する光信号とは独立して伝送する。即ち、高速信号は、柔軟性導波路構造100を通じて伝送することができ、相対的に低速信号又は電力は、電気的相互接続構造80を通じて伝送することができる。柔軟性導波路構造100は、最小化された曲げ損失を有するので、柔軟性導波路構造100を、必要に応じて曲げることができる。
【0050】
本発明の実施形態によると、柔軟性導波路構造は、その多層クラッディングにより、低い縦曲げ損失と高い機械的安定度とを有する。柔軟性導波路構造を含む光学的相互接続アセンブリを、次世代高速モバイル機器内部で発生する厳格な曲げ及び変形条件下で、より低い品質低下及び機械的崩壊で、使用することができる。
【0051】
上述の主題は、限定的ではなく説明的に解釈されるべきであり、添付された特許請求の範囲は、本発明の正確な趣旨及び範囲内に入る、変更、拡張、及び他の実施形態などの全てを網羅することを意図されている。従って、本発明の範囲は、法によって許される最大の範囲まで、以下の特許請求の範囲及びその均等物の最も広く許容される解釈によって決定されるべきであり、前述の詳細な説明により制限又は限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0052】
10 薄膜ストリップコア
20 内部クラッド層
30 外部クラッド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1の面及び第2の面を有し、金属から成る薄膜ストリップコアと、
前記薄膜ストリップコアの前記第1の面及び第2の面のうちの少なくとも一つを覆う内部クラッド層と、
前記内部クラッド層を覆う外部クラッド層と
を備える柔軟性導波路構造であって、
前記内部クラッド層は、前記外部クラッド層の屈折率より高い屈折率を有することを特徴とする柔軟性導波路構造。
【請求項2】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造において、前記内部クラッド層の屈折率と前記外部クラッド層の屈折率との間の差は、前記外部クラッド層屈折率の約0.1%以上であることを特徴とする柔軟性導波路構造。
【請求項3】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造において、前記薄膜ストリップコアは、表面プラズモンポラリトン又は表面エキシトンポラリトンに関する現象により光を伝送するように構成されることを特徴とする柔軟性導波路構造。
【請求項4】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造において、前記薄膜ストリップコアは、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、及び銅(Cu)のうちの少なくとも一つ、又はこれらの合金又はこれらの混合物を備えることを特徴とする柔軟性導波路構造。
【請求項5】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造において、前記薄膜ストリップコアは、約5nm〜約100nmの範囲の厚さを有することを特徴とする柔軟性導波路構造。
【請求項6】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造において、前記薄膜ストリップコアは、約0.5μm〜約50μmの範囲の幅を有することを特徴とする柔軟性導波路構造。
【請求項7】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造において、前記内部クラッド層及び前記外部クラッド層のうちの少なくとも一つは、柔軟性光学ポリマを含むことを特徴とする柔軟性導波路構造。
【請求項8】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造において、前記薄膜ストリップコアは、前記内部クラッド層によって囲まれることを特徴とする柔軟性導波路構造。
【請求項9】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造において、前記薄膜ストリップコアの前記第1の面及び前記第2の面のうちの一つは、前記内部クラッド層と接触し、前記第1の面及び前記第2の面のうちの他方は、前記外部クラッド層と接触することを特徴とする柔軟性導波路構造。
【請求項10】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造において、前記薄膜ストリップコアは、前記薄膜ストリップコアの一端に連結される結合部を備え、前記結合部は、前記薄膜ストリップコアの前記一端から位置が遠ざかる方向に変化する幅を有することを特徴とする柔軟性導波路構造。
【請求項11】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造において、前記薄膜ストリップコアは、前記薄膜ストリップコアの一端に連結される結合部を備え、前記結合部は、単一の光導波モードの範囲内で、二つ又は複数の分岐に分かれることを特徴とする柔軟性導波路構造。
【請求項12】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造において、前記薄膜ストリップコアは、単一の光導波モードを転送するように構成される複数個の薄膜帯を備えることを特徴とする柔軟性導波路構造。
【請求項13】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造において、前記薄膜ストリップコアは、各々が同一の光信号を分けて伝送する二つ又は複数の部分に分けられることを特徴とする柔軟性導波路構造。
【請求項14】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造において、前記外部クラッド層を完全に又は部分的に覆うように構成される追加クラッド層又は構造的支持層をさらに備えることを特徴とする柔軟性導波路構造。
【請求項15】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造と、
前記柔軟性導波路構造の一端に配置される光送信モジュールと、
前記柔軟性導波路構造の他端に配置される光受信モジュールと
を備えることを特徴とする光学的相互接続アセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載の光学的相互接続アセンブリにおいて、
前記光送信モジュールは、第1の半導体チップ及び光エミッタを備え、
前記光受信モジュールは、第2の半導体チップ及び光受信器を備えることを特徴とする光学的相互接続アセンブリ。
【請求項17】
請求項1に記載の柔軟性導波路構造と、
前記柔軟性導波路構造に結合された電気的相互接続構造と
を備えることを特徴とする柔軟性光及び電気配線モジュール。
【請求項18】
請求項17に記載の柔軟性光及び電気配線モジュールと、
前記柔軟性光及び電気配線モジュールの一端に配置される光送信モジュールと、
前記柔軟性光及び電気配線モジュールの他端に配置される光受信モジュールと
を備える光学的及び電気的相互接続アセンブリにおいて、
前記柔軟性導波路構造は、前記光送信モジュールと前記光受信モジュールとの間で光信号を伝送し、前記電気的相互接続構造は、前記光送信モジュールと前記光受信モジュールとの間で電気信号を伝送することを特徴とする光学的及び電気的相互接続アセンブリ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−152319(P2010−152319A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209344(P2009−209344)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】