説明

案内情報提供システム、制御装置、案内情報提供方法、及びプログラム

【課題】 紙媒体という馴染みのある媒体を利用して、直感的な方法で、拡張現実感のある案内を行う案内情報提供システム等を提供する。
【解決手段】 撮像装置2によってユーザ7が手に持って見ているパンフレット8を撮像すると、制御装置5は撮像情報から紙面の印刷内容を認識し、この段階で紙面に印刷されている全てのマーカに対して第2投影装置4によりスポットコンテンツ41を投影させる。そして、制御装置5は、紙面のいずれかのマーカが指示されたと認識した段階で、指示されたマーカに対して第2投影装置4によりスポットコンテンツ43を投影させる。更に、認識された指示マーカに応じた適切な情報コンテンツを第1投影装置3により床面等の情報コンテンツ表示エリア6に表示させる。これにより、ユーザ7が紙面を指差すとユーザの視点7からは床面に拡がるように情報コンテンツが見えるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙媒体に対する指示動作に応じて適切な案内表示を行う案内情報提供システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地図上で目的地への経路情報を案内するナビゲーションシステムが開発されている。例えば、車載用ナビゲーションシステムでは、GPS(Global Positioning System)等を利用して現在位置を測位し、地図上に方向や矢印等を表示してナビゲーションを行うものがある。また、特許文献1に示すような携帯用ナビゲーション装置も提案されている。特許文献1に示す携帯用ナビゲーション装置では、装置本体の方位と実際の方位とを一致させて地図を表示させている。
また、経路情報を地図上に表示するもの以外にも様々な手法でユーザに提供するものが提案されている。例えば、特許文献2には、施設内を移動する操作装置(カート)からの操作に従って、操作装置の現在位置や目的地情報を取得すると、目的地への経路情報を生成して施設内の最寄の出力装置に案内情報を出力する案内情報提供システムについて記載されている。また、特許文献3には、経路誘導エリア内の交差点や駅構内の通路の分岐点等に方向表示器を設置し、方向表示器が歩行者の保持する携帯端末の接近を感知すると、携帯端末の保持する目的地座標に基づいて案内センタ装置により探索された経路情報を取得して、方向表示器に経路情報を表示させる経路誘導システムについて記載されている。
【0003】
ところで、近年AR(Augmented Reality;拡張現実感)と呼ばれる技術が開発されている。ARでは、所定の画像パターンを有するマーカをカメラにて検出し、検出したマーカの動きを追跡しつつ、対応する仮想物体を実写画像内に合成表示することにより、現実の空間と仮想的な物体とを融合させた特殊な映像を作成することが可能となっている。ARにおけるマーカ認識に関しては、例えば、非特許文献1や特許文献4等に示すような研究が行われている。非特許文献1には、マーカ位置検出法とそのキャリブレーション法について記載されており、特許文献4には、AR技術をより柔軟にシミュレーション画像生成に利用するため、基準マーカと対象(絵画)とを正規化する手法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−280583号公報
【特許文献2】特開2004−347459号公報
【特許文献3】特開2002−54945号公報
【特許文献4】特開2009−271822号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】加藤博一、他3名、「マーカ追跡に基づく拡張現実感システムとそのキャリブレーション」、論文誌、日本バーチャルリアリティ学会、1999、第4巻、第4号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の経路誘導に関する技術は、いずれも携帯端末やカート等の操作装置をユーザが所持する必要があった。例えば、展示会の経路誘導において上述の特許文献等に示される手法を用いて経路誘導を行う場合には、入場者に対して携帯端末や移動装置を提供する必要があり、また、場合によっては、入場者がそれらの機器の操作を習熟する必要があった。更に、展示会や遊戯施設等の運営者の立場からは、訪問者の関心を集めるような方法で案内情報を提供することが望まれていた。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、紙媒体という馴染みのある媒体を利用して、直感的な方法で、拡張現実感のある案内を行う案内情報提供システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するため第1の発明は、ユーザが所持している紙媒体を画像情報として取得する撮像手段と、前記ユーザの視点から視認可能な領域に情報コンテンツを表示する表示手段と、複数のマーカの画像パターン及び各マーカに対応する情報コンテンツを記憶する記憶手段と、前記撮像手段及び前記表示手段を制御する制御装置と、を備えた案内情報提供システムであって、前記制御装置は、前記撮像手段により撮像された画像情報に基づいて前記紙媒体上で前記ユーザが指示したマーカを認識する画像認識手段と、前記画像認識手段により認識された前記マーカに応じて前記記憶手段から対応する情報コンテンツを読み出し、前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする案内情報提供システムである。
【0009】
ここで、マーカとは、紙媒体の印刷内容のうち、予め登録された画像パターンを有するものを意味する。マーカには、枠で囲まれた図案全体、及び枠内の図案そのものが含まれる。図案には、図形、イラスト、図案化された文字が含まれる。
【0010】
第1の発明の案内情報提供システムによれば、撮像手段によって、ユーザが所持している紙媒体を画像情報として取得すると、前記制御装置の画像認識手段は、前記撮像手段により撮像された画像情報に基づいて前記紙媒体上でユーザが指示したマーカを認識し、表示制御手段は、認識された前記マーカに対応する情報コンテンツを前記記憶手段から読み出し、前記表示手段によって、該情報コンテンツを前記ユーザの視点から視認可能な領域に表示させる。
【0011】
これにより、ユーザが持っている紙媒体の印刷内容のうちいずれかのマーカをユーザが指等で指し示すと、指し示したマーカに応じた適切な情報コンテンツがユーザの視点から見える領域に表示されるようになる。よって、ユーザに簡単に提供できる媒体である紙媒体を利用して、直感的な方法で案内情報を提供できるようになる。また、非電子媒体である普通の紙への指示動作であるにもかかわらず、現実の空間に案内情報(情報コンテンツ)が表示されるという拡張現実感のある興趣に満ちた情報提供を行えるようになる。
【0012】
また、第1の発明において、前記記憶手段にはマーカと紙媒体の紙面との関係付けを表したテーブルが格納されており、前記画像認識手段は、前記撮像手段により撮像された画像情報に基づいてユーザが所持している紙媒体の紙面を識別可能であること望ましい。
ここで、「紙媒体の紙面の識別」という語の意味は、紙媒体の「種類」の識別、及び紙媒体の「頁(表・裏等)」の識別の両者を含むものとする。
これにより、画像認識手段は、前記テーブルを参照することにより、撮像手段により撮像された画像情報に含まれるマーカから紙媒体の紙面(紙媒体の種類や紙媒体の頁)を識別できる。
【0013】
また、第1の発明の案内情報提供システムにおいて、前記紙媒体に対する投影を行う投影手段を更に備え、前記表示制御手段は、前記画像認識手段により前記紙媒体の紙面が識別された段階で、前記紙媒体に印刷されている全てのマーカに対して前記投影手段によってスポットコンテンツを投影する全マーカ明示手段と、前記画像認識手段によりいずれかのマーカが指示されたと認識された段階で、指示されたマーカに対して前記投影手段によってスポットコンテンツを投影する指示マーカ明示手段と、を更に備えることが望ましい。
ユーザは、全マーカ明示手段により投影されるスポットコンテンツによって、紙媒体の印刷内容のうち指示可能な画像(マーカ)を直感的に認識できる。また、指示マーカ明示手段によって投影されるスポットコンテンツにより、指示したマーカを装置が認識したことを直感的に認識できる。そのため、ユーザにとって使用しやすい案内情報提供システムを提供できる。
【0014】
ここで、投影手段により投影されるスポットコンテンツは、単に投影対象を局所的に照らす光のみならず、スポットコンテンツ自体が形状や情報等を示すものであってもよい。
【0015】
また、第1の発明の案内情報提供システムにおいて、前記表示手段は、前記撮像手段が撮影する空間の周囲の床面を含む領域を表示領域とすることが望ましい。
これにより、ユーザが前記紙媒体を持って見ている姿勢のままで、ユーザの視点からは紙から床へ拡張するように情報コンテンツが投影されるように見える。これによりユーザは持っている紙よりも広範囲に拡張表示された情報コンテンツを自然に見ることが可能となる。
【0016】
また、第1の発明の案内情報提供システムにおいて、前記画像認識手段は、前記撮像手段により撮影された画像内に前記紙媒体に印刷された全てのマーカが収まっているか否かを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段により全てのマーカが収まっていると判定された場合に、前記全てのマーカのうち、認識されないマーカがあるか否かを判定する第2判定手段と、前記第2判定手段により認識されないマーカがあると判定された場合に、認識されないマーカの配置に基づいて、前記ユーザが指示したマーカを決定する指示マーカ決定手段と、を備えることが望ましい。
これにより、撮像した画像を用いて、ユーザにより指示されたマーカを認識することが可能となる。
【0017】
第2の発明は、複数のマーカの画像パターンと各マーカに対応する情報コンテンツを関係付けて記憶する記憶手段を備えた制御装置であって、ユーザが所持している紙媒体を撮像する撮像手段により撮像された画像情報に基づいて前記ユーザが紙面上で指示したマーカを認識する画像認識手段と、前記画像認識手段により認識された前記ユーザによる指示マーカに応じて前記記憶手段から対応する情報コンテンツを読み出し、前記ユーザの視点から視認可能な領域に情報コンテンツを表示する表示手段に前記対応する情報コンテンツを表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする制御装置である。
【0018】
第2の発明の制御装置によれば、第1の発明と同様に、撮像手段によって、ユーザが所持している紙媒体を画像情報として取得すると、画像認識手段は、前記撮像手段により撮像された画像情報に基づいて前記ユーザが紙面上で指示したマーカを認識し、表示制御手段は、認識されたマーカに対応する情報コンテンツを記憶装置から読み出して前記ユーザの視点から視認可能な領域に表示させる。
【0019】
これにより、ユーザが持っている紙媒体上でいずれかのマーカを指等で指し示すと、指し示したマーカに応じた適切な情報コンテンツがユーザの視点から見える領域に表示されるようになる。よって、ユーザに簡単に提供できる媒体である紙媒体を利用して、直感的な方法で案内表示を行えるようになる。また、非電子媒体である普通の紙への指示動作であるにもかかわらず、現実の空間に案内(情報コンテンツ)が表示されるという拡張現実感のある興趣に満ちた案内表示を行うことが可能となる。
【0020】
第3の発明は、ユーザが所持している紙媒体を画像情報として取得する撮像ステップと、撮像された画像情報に基づいて前記紙媒体上で前記ユーザが指示したマーカを認識する画像認識ステップと、複数のマーカの画像パターンに対応する情報コンテンツが記憶された記憶装置から、認識した前記マーカに対応する情報コンテンツを読み出し、前記ユーザの視点から視認可能な領域に情報コンテンツを表示させる表示制御ステップと、を含むことを特徴とする案内情報提供方法である。
【0021】
第3の発明の案内情報提供方法によれば、第1及び第2の発明と同様に、ユーザが所持している紙媒体を画像情報として取得すると、画像情報に基づいて、前記ユーザが紙面上で指示したマーカを認識し、記憶装置から、認識したマーカに対応する情報コンテンツを読み出し、該情報コンテンツを前記ユーザの視点から視認可能な領域に表示させる。
【0022】
これにより、持っている紙媒体上でいずれかのマーカをユーザが指等で指し示すと、指し示したマーカに応じた適切な情報コンテンツがユーザの視点から見える領域に表示されるようになる。よって、ユーザにとって馴染みのある媒体である紙媒体を利用して、直感的な方法で案内表示を行えるようになる。また、非電子媒体である普通の紙への指示動作であるにもかかわらず、現実の空間に案内(情報コンテンツ)が表示されるという拡張現実感のある興趣に満ちた案内表示を行うことが可能となる。
【0023】
第4の発明は、コンピュータにより読み取り可能な形式で記述されたプログラムであって、撮像手段により所定の空間内に入場したユーザが所持している紙媒体を画像情報として取得する撮像ステップと、撮像された画像情報に基づいて前記紙媒体上で前記ユーザが指示したマーカを認識する画像認識ステップと、認識した前記マーカに応じて、複数のマーカの画像パターンに対応する複数の情報コンテンツが記憶された記憶装置から対応する情報コンテンツを読み出し、表示装置に該情報コンテンツを出力する表示制御ステップと、を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0024】
第4の発明により、コンピュータを第1の発明の案内情報提供システムの制御装置として機能させることが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ユーザにとって馴染みのある媒体である紙媒体を利用して、直感的な方法で、拡張現実感のある案内を表示する案内情報提供システム等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る案内情報提供システム1のハードウエア構成を示す図
【図2】案内情報提供システム1の内部構成を示すブロック図
【図3】マーカと紙面との関連付けテーブル56の一例を示す図
【図4】本発明で利用される紙(パンフレット8)の印刷内容と、全マーカ8a〜8fに対して投影されるスポットコンテンツ41の一例を示す図
【図5】指示マーカ8fに対して投影されるスポットコンテンツ43の一例を示す図
【図6】床面(コンテンツ表示エリア6)への表示内容の一例を示す図
【図7】ユーザ視点から見た紙面(パンフレット8)と床面(コンテンツ表示エリア6)の投影イメージ図
【図8】案内情報提供システム1における処理の流れを示すシーケンス図
【図9】画像認識処理の流れを説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
まず、図1〜図2を参照して本発明に係る案内情報提供システム1の構成について説明する。
【0028】
図1は、本発明に係る案内情報提供システム1のハードウエア構成を示す図であり、図2は、案内情報提供システム1の内部構成を示すブロック図である。
【0029】
図1及び図2に示すように、案内情報提供システム1は、ユーザ7が入場する空間の所定の撮像エリア11を撮像する撮像装置2と、床面等の所定のコンテンツ表示エリア6に情報コンテンツを表示する第1投影装置3と、パンフレット8(紙媒体)の紙面にスポットコンテンツを投影したりユーザ7の立ち位置付近に所定のコンテンツを投影する第2投影装置4とが制御装置5に接続されて構成される。撮像装置2、第1投影装置3、及び第2投影装置4は、架台10に設置されている。
【0030】
図1の例では、撮像装置2及び第2投影装置4は、ユーザ7の立ち位置の上部に設置され、また、第1投影装置3はユーザ7の視点から視認可能なコンテンツ表示エリア6内に所定の表示内容を投影することが可能な位置に設置されているが、この例に限定されない。ただし、撮像装置2の設置位置は、ユーザ7が持って見ているパンフレット8の印刷内容を認識可能な距離としつつ、ユーザ7の動きを妨げない広さの撮像エリア11を確保できるような距離とすることが望ましい。
【0031】
撮像装置2は、所定の撮像エリア11内を撮像する装置であり、例えば、赤外線カメラ等により構成される。撮像エリア11は、当該案内情報提供システム1の設置空間内に入場したユーザ7が手に持って見ているパンフレット8全体を撮像できる範囲とする。本実施の形態の案内情報提供システム1では、後述するように、パンフレット8にスポットコンテンツが投影された状態と投影されない状態との両方の状態でパンフレット8の印刷内容を撮像する必要がある(図4参照)。このため、撮像対象の明るさによらず撮像が可能な赤外線カメラを用いることが好適である。
【0032】
第1投影装置3は、案内情報提供システム1の設置空間内にいるユーザ7の視点から視認可能な範囲にあるコンテンツ表示エリア6に所定のコンテンツを表示する装置であり、例えば、プロジェクタ等が用いられる。コンテンツ表示エリア6は、図1に示すように床面とすることが好適であるが、壁面等を含むようにしてもよい。また、第1投影装置3に代えて、ユーザ7が視認可能な位置に設置されたモニタ等を利用してもよい。また、第1投影装置3とモニタとを組み合わせた表示媒体としてもよい。
第1投影装置3による情報コンテンツの表示のさせ方については後述する(図6、図7参照)。
また、第1投影装置3は、投影内容に同期した音声情報を発するスピーカ等を備えるようにしてもよい。
【0033】
第2投影装置4は、案内情報提供システム1の設置空間内にいるユーザ7の持つパンフレット8の紙面や、ユーザ7の立ち位置付近(投影エリア12)に所定の表示内容を表示させる装置であり、例えば、プロジェクタ等が用いられる。第2投影装置4は、ユーザ7の動作に応じてパンフレット8の印刷内容に所定のスポットコンテンツを投影する(全マーカ明示または指示マーカ明示)。また、撮像エリア11内にユーザ7がいない状態では、投影エリア12の床面に立ち位置マークやガイドメッセージ等を投影する。第2投影装置4から投影されるスポットコンテンツについては後述する(図4、図5参照)。
【0034】
制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク等の記憶装置、通信I/F、周辺機器I/F等を備えた、例えばパーソナルコンピュータ等により構成される。
第1投影装置3、第2投影装置4、及び撮像装置2等と、制御装置5との接続は周辺機器I/Fを介して行なわれることとなる。
【0035】
図2に示すように、制御装置5のCPUは、画像認識部51及び表示制御部53として機能する。また、制御装置5のROM,RAM,または記憶装置は、マーカDB(データベース)55、及びコンテンツDB(データベース)57として機能する。マーカDB55及びコンテンツDB57は、制御装置5の記憶装置に予め記憶される構成としてもよいし、所定の記憶媒体等に記憶され、周辺機器I/Fにより読み込まれるものとしてもよい。
【0036】
画像認識部51は、撮像装置2により撮影された画像の内容を認識する処理を行う。具体的には、画像認識部51は、撮像装置2によって撮像されたパンフレット8の印刷内容から紙面を識別し、紙面に印刷されたマーカ8a〜8fのマーカIDや配置を解析し、パンフレット8の識別情報(紙面ID)と位置姿勢情報とを生成する。パンフレット8の位置姿勢情報とは、ユーザ7の向きやパンフレット8の持ち方の状態を表す情報である。なお、マーカの認識やその認識精度を向上させるために、特開2009−271822号公報や“マーカー追跡に基づく拡張現実感システムとそのキャリブレーション”(加藤博一、他3名、日本バーチャルリアリティ学会論文誌Vol.4,No.4,1999)に記載されるような周知の方法を用いればよい。
【0037】
パンフレット8の識別(紙面IDの識別)を行なう際、画像認識部51は、取得した撮像画像内からマーカDB55に登録されているマーカの画像パターンに該当するマーカを抽出し、抽出した各マーカのマーカIDをそれぞれ特定する。更に、画像認識部51は、パンフレット8に含まれるマーカIDのパターン(どのマーカが存在するか)に基づいてパンフレット8の紙面IDを識別する。パンフレット8の紙面とマーカとの関連付けは、図3に示すマーカと紙面との関連付けテーブル56に予め登録されている。
なお、パンフレット8の識別という語の意味としては、パンフレット8の「種類」の識別、及びパンフレット8の「頁(表・裏等)」の識別の両者を含むものとする。
【0038】
マーカDB55には、複数のマーカの画像パターンと、図3に示すマーカと紙面との関連付けテーブル56とが格納される。例えば、紙面ID「1」のパンフレット8には、マーカID「A」、「B」、「C」のマーカが含まれる。また、紙面ID「2」のパンフレット8には、マーカID「D」、「E」、「F」のマーカが含まれる。図3の例の場合、画像認識部51は、マーカID「A」、「B」、「C」のマーカが撮像した画像に含まれると、紙面IDを「1」と判定し、マーカID「D」、「E」、「F」のマーカが撮像した画像に含まれると、紙面IDを「2」と判定する。
【0039】
また、複数のマーカIDの位置関係により、紙面IDを判定する手法も考えられる。例えば、同じ展示会のパンフレット8であるが言語の異なるものについて、言語の違いを識別するために、各言語で同一の複数のマーカを使用しつつも、マーカの配置が異なるように印刷されるものとする。画像認識部51は、含まれるマーカの種類で紙面IDを識別し、更に各マーカの位置関係から言語を識別する。
【0040】
また、画像認識部51は、紙面ID認識後、撮像画像に存在すべき全てのマーカのうち、いずれかのマーカが認識されない場合は、そのマーカがユーザ7によって指差しされている状態であると認識する。すなわち、ユーザ7により隠されたマーカを指示マーカとして認識する。複数のマーカが隠されている場合は、マーカの配置による優先順位に基づいて指示マーカを決定する。
【0041】
すなわち、画像認識部51は、紙面に印刷されている全てのマーカを認識すると、それらのマーカIDを紙面での配置に基づいてナンバリングする。例えば、図4に示すパンフレット8において、上段のマーカ8a,8b,8cについて左から順に、「1」,「2」,「3」、下段のマーカ8d,8e,8fについて左から順に「4」,「5」,「6」のようにナンバリングする。そして、マーカが2つ以上隠されている場合は、隠されているマーカのうち最も番号が小さいマーカIDを指示マーカとして決定する。例えば、「1」,「4」とナンバリングされたマーカ8a,8dが隠されている場合は、最も番号の小さい「1」のマーカ8aが指示マーカとされる。同様に、「2」,「5」,「6」とナンバリングされたマーカ8b,8e,8fが隠されている場合は、最も小さい「2」のマーカ8bが指示マーカとされる。なお、この例は、ユーザ7が右利きであることを想定して上段優先かつ左優先として指示マーカを決定している。
【0042】
表示制御部53は、画像認識部51により認識されたマーカの情報や紙面の位置姿勢情報に基づいて適切な投影情報(情報コンテンツ及びスポットコンテンツ)を第1投影装置3や第2投影装置4に出力し、適切な位置に表示させる処理を実行する。
【0043】
具体的には、図4に示すように、表示制御部53は、画像認識部51がパンフレット8の紙面IDを識別した段階で、そのパンフレット8に印刷されている全てのマーカ8a〜8fに対して、第2投影装置4によりスポットコンテンツ41を投影させる(全マーカ明示手段)。
図4は、パンフレット8の各マーカ8a,8b,8c,8d,8e,8fに対して第2投影装置4によりスポットコンテンツ41が投影された状態を示している。図中符号41の点線内が第2投影装置4にて明示される。スポットコンテンツ41により、各マーカ8a,8b,8c,8d,8e,8fが存在することや各マーカの位置がはっきりと明示されるため、ユーザ7は明示された部分を指差し可能なものとして認識できる。また、装置が紙面を識別し、指差し可能な状態にあることを認識できる。
【0044】
また表示制御部53は、図5に示すように、画像認識部51が指示マーカ8fを認識した段階で、指示マーカ8fに対して第2投影装置4によってスポットコンテンツ43を投影させる(指示マーカ明示手段)。
図5は、パンフレット8のマーカ8fに対して第2投影装置4によりスポットコンテンツ43が投影された状態を示している。スポットコンテンツ43により、ユーザ7は指で差した部分(マーカ8f)を装置側が認識したことを認識できる。
【0045】
なお、スポットコンテンツ41,43は、図4及び図5の例では、各マーカを局所的に照らす光であるが、これに限定されない。例えば、スポットコンテンツ自体が何らかの情報や形状等を示してもよい。
【0046】
更に表示制御部53は、図6に示すように、画像認識部51により認識された指示マーカに応じて、第1投影装置3に適切な情報コンテンツをコンテンツ表示エリア6に表示させる。第1投影装置3が表示する情報コンテンツ、及び情報コンテンツとマーカとを関連付けるテーブルは、コンテンツDB57に予め記憶されている。例えばマーカID「A」が指示されると、表示制御部53はコンテンツDB57の関連付けテーブルからマーカID「A」に関連付けられるコンテンツを特定し、そのコンテンツを読み出し、第1投影装置3に投影を要求する。第1投影装置3は、制御装置5に制御されて情報コンテンツを投影する。
【0047】
図6に示すように、床面等のコンテンツ表示エリア6に投影される情報コンテンツには、動画、静止画、テキスト等で表現されたコンテンツ61の他、目的地のマーク63や、目的地へのルート65、目的地への到達手段(徒歩の場合は足のマーク62、階段やエレベータ等を使う場合はそれらのマーク等)、目的地への距離64等が含まれる。
なお、コンテンツ61の再生に同期して音声情報が再生されるようにしてもよい。この場合は、図示しない音声装置が案内情報提供システム1に付加されることとなる。
【0048】
また、表示制御部53により、情報コンテンツやスポットコンテンツの表示位置を、ユーザ7が指示したマーカの位置に追従させるように制御してもよい。
例えば、ユーザ7の視点からコンテンツ表示エリア6を見たときに、パンフレット8の位置や保持角度から情報コンテンツ61〜65がコンテンツ表示エリア6へ連続するように表示させる。すなわち、画像認識部51は、撮像した動画の各フレーム画像についてそれぞれ画像認識処理を実行し、各フレーム画像から指示マーカを検出すると、その指示マーカの移動方向や移動量を追跡し、追跡情報を表示制御部53に出力する。表示制御部53は、追跡情報に従ってコンテンツの表示角度や表示位置を変更させる。
【0049】
図7に示すように、ユーザ7の視点からは、情報コンテンツ61〜64が、パンフレット8の紙面から床に拡張表示されたような見え方となる。また、図7の点線45に示すように、パンフレット8の指示マーカ8fとコンテンツ表示エリア6の表示内容とを連続的に表示させるための軌跡コンテンツ45を紙面に第2投影装置4によって投影させるようにしてもよい。
【0050】
パンフレット8は、図4及び図5等に示すように、任意の内容が印刷された紙媒体であり、紙やインクの材質を問わない。ただし、赤外線カメラ(撮像装置2)からマーカを識別できるコントラストが得られる材質とする。特に、紙面表面はマット紙等を用いると効果的である。また、パンフレット8の印刷内容には、1または複数のマーカが含まれる。
【0051】
マーカは、図4、図5の8a〜8fに示すように、所定形状の枠で囲まれた図案全体のみならず、枠に囲まれない図案も含めるものとする。図案には、図形、イラスト、図案化された文字等が含まれるものとする。マーカの画像パターンは、マーカDB55に予め登録されるものとする。
【0052】
また、パンフレット8に印刷されるマーカには、言語を識別するマーカが含まれてもよい。また、紙面デザイン等の制約等がなければ、紙面の位置姿勢を認識させるためのマーカが紙面の所定位置に印刷されていてもよい。また、マーカ以外の印刷内容については任意である。
【0053】
次に、案内情報提供システム1の動作を説明する。
図8は、ユーザ7の動作に応答して行なわれる案内情報提供システム1の各部の動作の流れを説明するシーケンス図である。
【0054】
図8に示すように、まずユーザ7がパンフレット8を持って撮像エリア11内に入場し(ステップU1)、パンフレット8を撮像エリア11にかざすと(ステップU2)、撮像装置2は、撮像エリア11内のパンフレット8を撮影する。撮像精度を向上するために第2投影装置4等で立ち位置にマークを投影してもよい。また、ユーザ7がパンフレットをかざす動作は、撮像装置2がパンフレット8の紙面全体を撮像できる位置や姿勢でパンフレット8が保持される程度でよい。
【0055】
撮像装置2は、ユーザ7がかざした(手に持って見ている)パンフレット8を撮像し、撮像情報を制御装置5の画像認識部51へ送出する(ステップS1)。画像認識部51は、撮像装置2の撮像情報をもとにパンフレット8の紙面の識別と位置姿勢の状態を演算する(ステップS2)。画像認識部51は、パンフレット8の識別情報及び位置姿勢情報をもとにパンフレット8の種類と印刷されているマーカを特定し、該当する投影情報を表示するようリクエストする(ステップS3)。表示制御部53は、画像認識部51からのリクエストに応答して、該当する投影情報をコンテンツDB57から読み出し、該当する投影装置3,4に投影させる(ステップS4)。第2投影装置4は、表示制御部53から送出された制御情報に従って、パンフレット8の紙面に所定の投影情報(スポットコンテンツ41,43、軌跡コンテンツ45等を含む)を投影する(ステップS5)。また、第1投影装置3では、表示制御部53から送出された制御情報に従って、出力された情報コンテンツ61〜65を床面等のコンテンツ表示エリア6に投影する(ステップS6)。
ユーザ7は、パンフレット8上の投影情報を見たり(ステップU3)、床面(コンテンツ表示エリア6)上の投影情報を見たりすることが可能となる(ステップU4)。
【0056】
また、ユーザ7がパンフレット8上の所望のマーカを指差した状態も(ステップU5)、撮像装置2に撮像され(ステップS1)、その撮像情報は画像認識部51により認識演算される(ステップS2)。認識された情報に基づいて、該当する投影情報が該当する投影装置3,4によって投影される(ステップS3〜S6)
【0057】
ここで、図9を参照して、画像認識部51において実行される画像認識処理を説明する。
【0058】
画像認識部51は、撮像装置2による撮像画像を取り込み(ステップS21)、画像内のマーカを検索する(ステップS22)。マーカが存在しない場合は(ステップS23;No)は、紙面が正しい位置にないと判定して(ステップS24)、紙面IDに「0」を設定する(ステップS25)。この場合、画像認識部51は、コンテンツの投影を要求せずに(ステップS26)、次の画像フレームの処理を行う(ステップS27)。
【0059】
マーカが撮像した画像内に1つでもある場合(ステップS23;Yes)、画像認識部51は、現在設定されている紙面IDを判定する(ステップS28)。現在設定されている紙面IDが「0」の場合は、マーカDB55に登録されているマーカと紙面との関連付けテーブル56を参照して、各紙面IDについて、それぞれ紐付けられている全てのマーカが存在するか否かを判定する(ステップS29)。いずれの紙面IDについても紐付けられている全てのマーカが存在しない場合は(ステップS29;No)、紙面が正しい位置にないと判定して(ステップS24)、紙面IDに「0」を設定する(ステップS25)。この場合、コンテンツの投影を要求せずに(ステップS26)、次の画像フレームの処理を行う(ステップS27)。
【0060】
マーカが画像内に1つ以上あり(ステップS23;Yes)、現在設定されている紙面IDが「0」である場合(ステップS28;Yes)において、画像内にいずれかの紙面IDに紐付けられている全てのマーカが存在すると判定した場合は(ステップS29;Yes)、紙面が正しい位置にあると判定して(ステップS30)、該当する紙面IDに変更する(ステップS31)。この段階で、画像認識部51は、マーカ非選択時のスポットコンテンツ41を紙面に表示させるよう表示制御部53に要求する(ステップS32)。このとき、マーカ非選択時の情報コンテンツを床面等のコンテンツ表示エリア6に表示させるよう表示制御部53に要求してもよい。
パンフレット8の紙面の各マーカ8a〜8fには、図4に示すようなスポットコンテンツ41が投影される。マーカ非選択時は、紙面の全てのマーカ8a〜8fにスポットコンテンツ41がそれぞれ投影される。
【0061】
ステップS28において、現在設定されている紙面IDが「0」でないと判定した場合は、画像認識部51は、設定されている紙面IDに紐付けられた全マーカが画像内に存在するか否かを判定する(ステップS33)。
設定されている紙面IDに紐付けられた全マーカが画像内に存在する場合は(ステップS33;YES)、ユーザ7がマーカを指差していないと判定し(ステップS34)、ステップS32と同様の表示状態とする。すなわち、画像認識部51は、マーカ非選択時のスポットコンテンツ41を紙面に表示させるよう表示制御部53に要求し、また、マーカ非選択時の情報コンテンツを床面等のコンテンツ表示エリア6に表示させるよう表示制御部53に要求する(ステップS32)。
【0062】
ステップS28において、現在設定されている紙面IDが「0」でなく、設定されている紙面IDに紐付けられた全マーカのうちがいくつかのマーカが画像内に存在しない場合(ステップS33;NO)は、画像認識部51は、ユーザ7がマーカを指差していると判定する(ステップS35)。ステップS35にて複数のマーカが認識されない場合は、認識されないマーカのうち、優先順位の高いマーカ(例えば、上段優先かつ左優先)を指示マーカとして決定する(ステップS36)。
【0063】
この段階で、画像認識部51は、マーカ選択時のスポットコンテンツ43を紙面に表示させるよう表示制御部53に要求し、また、選択されたマーカに該当する情報コンテンツを床面等のコンテンツ表示エリア6に表示させるよう表示制御部53に要求する(ステップS37)。
パンフレット8の紙面には、図5に示すようなスポットコンテンツ43が投影される。マーカ選択時は、選択されたマーカ8fにだけスポットコンテンツ43が投影される。
【0064】
ユーザ7が撮像エリア11から退場すると(図8のステップU6)、撮像装置2の撮像エリア11には紙面情報が何も撮像されない状態となる(ステップS7)。この場合、画像認識部51は、ユーザ7が撮像エリア11から退場したと特定し(ステップS8)、ユーザ退場に該当する投影情報を表示制御部53にリクエストする(ステップS9)。
表示制御部53は、画像認識部51からのリクエストに応答して、該当する投影情報をコンテンツDB57から読み出し、該当する投影装置3,4に投影させる(ステップS10)。例えば、第1投影装置3では、表示制御部53から送出された制御情報に従って、所定の情報コンテンツを床面等のコンテンツ表示エリア6に投影する(ステップS11)。
次に入場したユーザ7は、床面等の投影情報を見ることが可能となる(ステップU7)。
【0065】
以上説明したように、本実施の形態の案内情報表示システム1は、撮像装置2、第1投影装置3、第2投影装置4、及び制御装置5を備え、撮像装置2によってユーザ7が手に持って見ているパンフレット8を撮像し、制御装置5の画像認識部51によって、撮像情報からパンフレット8の紙面に印刷されたマーカを抽出する。そして、画像認識部51によって、ユーザ7により紙面上で指示されたマーカを認識し、表示制御部53によって、認識された指示マーカに応じた適切な情報コンテンツを床面等の情報コンテンツ表示エリア6に表示させる。
【0066】
また、画像認識部51がパンフレット8の紙面を識別した段階で、表示制御部53及び第2投影装置4によって全てのマーカに対してスポットコンテンツ41を投影させ、画像認識部51が指示マーカを認識した段階で、表示制御部53及び第2投影装置4によって指示マーカに対してスポットコンテンツ43を投影させる。
【0067】
これにより、ユーザ7が持っているパンフレット8の印刷内容のうちいずれかのマーカをユーザ7が指等で指し示すと、指し示したマーカに応じた適切な情報コンテンツがユーザ7の視点から見える領域(コンテンツ表示エリア6)に表示されるようになる。よって、ユーザ7に簡単に提供でき、馴染みのある媒体である紙媒体を利用して、直感的な方法で案内情報を提供できるようになる。また、非電子媒体である普通の紙への指示動作であるにもかかわらず、現実の空間に案内情報(情報コンテンツ)が表示されるという拡張現実感のある興趣に満ちた情報提供を行えるようになる。
【0068】
また、画像認識部51が紙面を認識した段階で、指示可能な全てのマーカにスポットコンテンツ41が投影されるので、ユーザ7は、パンフレット8の印刷内容のうち指示可能な部分(マーカ)がどこであるかを直感的に認識できる。また、ユーザ7が指示したマーカを画像認識部51が認識すると、指示マーカのみにスポットコンテンツ43が投影されるので、ユーザ7は、装置が指示マーカを認識したことを直感的に認識できる。そのため、ユーザ7にとって使用しやすい案内情報提供システム1を提供できる。
【0069】
また、情報コンテンツの表示エリア6をユーザ7の立ち位置の周囲の床面を含む領域とすれば、ユーザ7がパンフレット8を持って見ている姿勢のままで、ユーザ7の視点からは紙面から床面へ拡張するように情報コンテンツが投影されるように見える。これによりユーザ7は紙よりも広範囲に拡張表示された情報コンテンツを自然に見ることが可能となる。
【0070】
また、制御装置5の画像認識部51は、前記撮像手段により撮像された画像内にパンフレット8に印刷された全てのマーカが収まっているか否かを判定し、全てのマーカが収まっていると判定した場合に、全てのマーカのうち、認識されないマーカがあるか否かを判定し、認識されないマーカがあると判定した場合に、認識されないマーカの配置に基づいて、ユーザ7が指示したマーカを決定する。これにより、画像認識部51は、撮像した画像からユーザ7により指示されたマーカを認識することが可能となる。
【0071】
なお、本実施の形態の案内情報表示システム1は、撮像装置2を1箇所に設け、撮像エリア11を撮像するものとしたが、撮像装置2の設置箇所は複数であってもよい。また投影装置3,4の設置位置や設置箇所についても複数設けてもよい。
複数の撮像エリア11、複数の表示エリア6を設ける場合は、ユーザ7の立ち位置に応じて撮像可能な撮像エリア11によってパンフレット8を撮像し、指差したマーカを認識して、最適な表示エリア6に表示させる。また、コンテンツ表示エリア6は、ユーザ7の前方のみならず、ユーザ7の周囲としてもよい。この場合、第1投影装置3は、設定した表示エリア6に投影可能な位置に設置される。また、第1投影装置とモニタとを組み合わせて、情報コンテンツを表示するようにしてもよい。
また、ユーザ7による紙面への指差し動作は、指を使う場合に限定されず、物を利用して指示マーカを隠すようにしてもよい。
その他、当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0072】
1・・・案内情報提供システム
2・・・撮像装置
3・・・第1投影装置
4・・・第2投影装置
41・・・マーカ非選択時のスポットコンテンツ
43・・・マーカ選択時のスポットコンテンツ
45・・・軌跡コンテンツ
5・・・制御装置
51・・・画像認識部
53・・・表示制御部
55・・・マーカDB
57・・・コンテンツDB
6・・・コンテンツ情報表示エリア
7・・・ユーザ
8・・・パンフレット
8a,8b,8c,8d,8e,8f・・・・マーカ
10・・・架台
11・・・撮像エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持している紙媒体を画像情報として取得する撮像手段と、
前記ユーザの視点から視認可能な領域に情報コンテンツを表示する表示手段と、
複数のマーカの画像パターン及び各マーカに対応する情報コンテンツを記憶する記憶手段と、
前記撮像手段及び前記表示手段を制御する制御装置と、
を備えた案内情報提供システムであって、
前記制御装置は、
前記撮像手段により撮像された画像情報に基づいて前記紙媒体上で前記ユーザが指示したマーカを認識する画像認識手段と、
前記画像認識手段により認識された前記マーカに応じて前記記憶手段から対応する情報コンテンツを読み出し、前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする案内情報提供システム。
【請求項2】
前記記憶手段にはマーカと紙媒体の紙面との関係付けを表したテーブルが格納されており、前記画像認識手段は、前記撮像手段により撮像された画像情報に基づいてユーザが所持している紙媒体の紙面を識別可能であることを特徴とする請求項1に記載の案内情報提供システム。
【請求項3】
前記紙媒体に対する投影を行う投影手段を更に備え、
前記表示制御手段は、
前記画像認識手段により前記紙媒体の紙面が識別された段階で、前記紙媒体に印刷されている全てのマーカに対して前記投影手段によってスポットコンテンツを投影する全マーカ明示手段と、
前記画像認識手段によりいずれかのマーカが指示されたと認識された段階で、指示されたマーカに対して前記投影手段によってスポットコンテンツを投影する指示マーカ明示手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の案内情報提供システム。
【請求項4】
前記表示手段は、前記撮像手段が撮影する空間の周囲の床面を含む領域を表示領域とすることを特徴とする請求項1に記載の案内情報提供システム。
【請求項5】
前記画像認識手段は、
前記撮像手段により撮像された画像内に前記紙媒体に印刷された全てのマーカが収まっているか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段により全てのマーカが収まっていると判定された場合に、前記全てのマーカのうち、認識されないマーカがあるか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段により認識されないマーカがあると判定された場合に、認識されないマーカの配置に基づいて、前記ユーザが指示したマーカを決定する指示マーカ決定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の案内情報提供システム。
【請求項6】
複数のマーカの画像パターンと各マーカに対応する情報コンテンツを関係付けて記憶する記憶手段を備えた制御装置であって、
ユーザが所持している紙媒体を撮像する撮像手段により撮像された画像情報に基づいて前記ユーザが紙面上で指示したマーカを認識する画像認識手段と、
前記画像認識手段により認識された前記ユーザによる指示マーカに応じて前記記憶手段から対応する情報コンテンツを読み出し、前記ユーザの視点から視認可能な領域に情報コンテンツを表示する表示手段に前記対応する情報コンテンツを表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項7】
ユーザが所持している紙媒体を画像情報として取得する撮像ステップと、
撮像された画像情報に基づいて前記紙媒体上で前記ユーザが指示したマーカを認識する画像認識ステップと、
複数のマーカの画像パターンに対応する情報コンテンツが記憶された記憶装置から、認識した前記マーカに対応する情報コンテンツを読み出し、前記ユーザの視点から視認可能な領域に情報コンテンツを表示させる表示制御ステップと、
を含むことを特徴とする案内情報提供方法。
【請求項8】
コンピュータにより読み取り可能な形式で記述されたプログラムであって、
撮像手段により所定の空間内に入場したユーザが所持している紙媒体を画像情報として取得する撮像ステップと、
撮像された画像情報に基づいて前記紙媒体上で前記ユーザが指示したマーカを認識する画像認識ステップと、
認識した前記マーカに応じて、複数のマーカの画像パターンに対応する複数の情報コンテンツが記憶された記憶装置から対応する情報コンテンツを読み出し、表示装置に該情報コンテンツを出力する表示制御ステップと、
を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−14606(P2012−14606A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152710(P2010−152710)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【Fターム(参考)】