説明

梁型枠の支持構造及び梁型枠支持用補助具

【課題】梁型枠をサポートで支持させるときのコストや手間の低減、安全性の向上を図る。
【解決手段】角鋼管2と当該角鋼管2に沿って配置した桟木3との2本の部材に対し、これら2本の部材を内包するように受け金物4の溝形部5を上向きに外嵌させて支持用補助具1,18を構成し、この支持用補助具1,18を梁型枠9の下側に当該梁型枠9の左右巾方向に配置すると共に、支持用補助具1,18の前記桟木3と梁型枠9の桟木11a〜12bとを釘止めし、前記受け金物4の下向き突出脚部6にサポート10の上端開口部を外嵌させて、前記支持用補助具1,18を前記サポート10により支持した構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の梁部を構築するための梁型枠を床面側からサポートで支持する構造と、その際に利用する梁型枠支持用補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
縦断面溝形の梁型枠は、その両端が壁用型枠などに結合されて支持されるが、長さ方向の中間部分は、床面上に立てたサポート(支柱材)で支持することにより、コンクリート打設時やその後の養生時に重力で撓み変形するのを防止する必要がある。従来の梁型枠の支持構造が開示された特許文献を示すことはできないが、従来の梁型枠の支持構造は、梁型枠の下側に90mm角又は100mm角の木材を梁型枠の左右巾方向に配置し、この角木材を床面上に立てたサポートで支持する構成が一般的であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
角木材を使用する理由は、梁型枠の底部に配置されている桟木に釘などで止着して、当該角木材の位置を梁型枠に対して固定するためであるが、必要な曲げ強度を確保するために90mm角や100mm角の太く高価な木材が必要であった。又、このような理由で90mm角や100mm角の太い角木材を支持部材として使用するため、通常、サポートの上端に取り付けて60mm角の鋼管バタ材を支持するための受け金物を活用することができず、従って、支持部材として使用している前記角木材の下側にサポートの上端プレートを当接させ、当該上端プレートに設けられている釘孔を利用してサポートと前記角木材とを止着しなければならず、全体として従来の梁型枠の支持構造では、コスト高になるにもかかわらず施工に手間がかかり、又、十分な安全性が得られるものでもなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得る梁型枠の支持構造を提供することを目的とするものであって、その手段を後述する実施形態の参照符号を付して示すと、角鋼管2と当該角鋼管2に沿って配置した桟木3との2本の部材に対し、これら2本の部材を内包するように受け金物4の溝形部5を上向きに外嵌させて支持用補助具1,18を構成し、この支持用補助具1,18を梁型枠9の下側に当該梁型枠9の左右巾方向に配置すると共に、支持用補助具1,18の前記桟木3と梁型枠9の桟木11a〜12bとを釘止めし、前記受け金物4の下向き突出脚部6にサポート10の上端開口部を外嵌させて、前記支持用補助具1,18を前記サポート10により支持した構成となっている。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、具体的には請求項2に記載のように、角鋼管2と、当該角鋼管2の上に重ねて配置された桟木3と、少なくとも2つの受け金物4とから成り、各受け金物4は、上下に重なる前記角鋼管2と桟木3とに対して上向きに外嵌する溝形部5と下向き突出脚部6とを備え、各受け金物4の前記溝形部5の両側板部5aの内、少なくとも一方の側板部5aが前記桟木3に対して釘8などにより止着されている梁型枠支持用補助具1や、請求項3に記載のように、角鋼管2と、当該角鋼管2の横に沿って配置された桟木3と、少なくとも2つの受け金4物とから成り、各受け金物4は、左右に並列する前記角鋼管2と桟木3とに対して上向きに外嵌する溝形部5と下向き突出脚部6とを備え、各受け金物4の前記溝形部5の両側板部5aが前記角鋼管2と桟木3とに対して釘8などにより止着されている梁型枠支持用補助具18が利用できる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る梁型枠の支持構造によれば、梁型枠とサポートとの間に介在される支持用補助具として角鋼管が組み込まれているので、必要な曲げ強度が確実に確保できる。しかも、受け金物の溝形部の外嵌により当該角鋼管と一体化された桟木は、梁型枠の桟木などと釘止めするための木部を提供するだけのものであるから、コンクリート型枠構成部材として多用されている60×30mmの細い桟木を転用することができ、梁型枠の支持構造全体を比較的安価に構成できるものでありながら、強度部材として角鋼管が使用されている支持用補助具でありながら、従来の太い角木材を支持部材として使用する場合と同様に、当該支持用補助具に組み込まれている桟木を利用して釘止めにより簡単容易に当該支持用補助具と梁型枠とを結合し、支持用補助具が振動などで不測に移動して危険な事態を招くような恐れもなくなる。勿論、支持用補助具を組み立てている受け金物の下向き突出脚部にサポートの上端開口部を外嵌させて、前記支持用補助具をサポートにより支持する構造であるから、従来の太い角木材を支持部材として使用する場合のように、サポート上端のプレートを角木材に釘止めしなければならない場合と比較して、安全性に優れた梁型枠の支持構造を簡単容易に組み立てることができる。
【0007】
尚、請求項2に記載の支持用補助具を使用すれば、上段の桟木と受け金物の溝形部における側板部とを釘止めするだけで下段の角鋼管も確実に保持させることができ、一体物の支持用補助具として容易に取り扱うことができる。又、上段の桟木の上面を広くすることができ、梁型枠側の桟木などとの釘止め作業も容易に行える。勿論、請求項3に記載の支持用補助具を使用することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明の具体的実施例を添付図に基づいて説明すると、図1において、1は支持用補助具であって、下段の角鋼管(例えば60mm角の鋼管)2と当該角鋼管2の巾と同一巾の上段の桟木(例えば60×30mmの角木材)3、及び2つの受け金物4から組み立てられている。
【0009】
受け金物4は、図2にも示すように、帯状鋼板を曲げ加工して構成されたもので、溝形部5とU字形の下向き突出脚部6とを備え、溝形部5を構成する左右両側板部5aは、上端側ほど互いに近づくように左右対称形に傾斜すると共に、上端に外側に傾斜して開く導入部5bが形成され、更に、導入部5bの直下位置には釘孔7が設けられている。而して、溝形部5の左右両側板部5aは、当該左右両側板部5a間に導入部5bを利用して上下に重ねられた角鋼管2と桟木3とを押し入れたとき(実際には、床面に桟木3を下にして置いた角鋼管2と桟木3とに対し受け金物4の溝形部5を上から下向きに押圧外嵌させたとき)、左右両側板部5aが弾性に抗して左右に押し広げられ、溝形部5の内側底面が角鋼管2に当接したとき、左右両側板部5aの内側面が角鋼管2と桟木3の側面に面接触するように構成されている。又、溝形部5の内側底面が角鋼管2に当接したときに左右両側板部5aの先端(導入部5bの先端)が桟木3の上面より若干低い位置に位置するように、左右両側板部5aの長さ(高さ)が設定されている。
【0010】
上記の要領で、上下に重なる角鋼管2と桟木3とに対し、その両端から適当距離だけ内側に入った位置に2つの受け金物4の溝形部5を角鋼管2側から外嵌させたならば、各受け金物4の溝形部5の左右両側板部5aを、釘孔7を利用して各1本の釘8により桟木3の左右両側面に止着して、支持用補助具1が組み立てられる。
【0011】
組み立てられた支持用補助具1は、図1Aに示すように梁型枠9の左右横巾より適当長さだけ長いもので、梁型枠9の長さ方向の適当間隔おきの位置に、梁型枠9の底面に桟木3の上面が当接するように、梁型枠9の左右巾方向に配置されると同時に、2つの受け金物4と床面との間にサポート10が介在され、当該サポート10により支持用補助具1を介して梁型枠9が床面上所定高さに支持される。サポート10による支持用補助具1の支持は、サポート10の上端開口部に受け金物4の下向き突出脚部6が挿入するようにサポート10を支持用補助具1の下側に垂直に配置すると共に、サポート10の長さ(高さ)調整機構を操作して支持用補助具1を梁型枠9の底面に圧接させることにより行われる。
【0012】
梁型枠9は、底型枠板11の左右両側辺に壁型枠板12を結合して縦断面溝形に組み立てられたもので、梁型枠9の底部には、底型枠板11の左右両側辺底面に固着された桟木11a,11bと、壁型枠板12の下側辺外側に固着された桟木12a,12bとが位置しており、梁型枠9の底面を支持する前記支持用補助具1は、上段の桟木3と梁型枠9側の前記桟木11a〜12bが当接することになる。従って、支持用補助具1と梁型枠9とは、支持用補助具1の上段桟木3とこれに当接している梁型枠9側の桟木11a〜12b、例えば図1A及び図1Cに示すように、底型枠板11の左右両側桟木11a,11bに対して支持用補助具1の上段桟木3から斜め上向きに釘13を打ち込むことで、互いに止着することができる。勿論、受け金物4がこの釘止め作業の邪魔になるような場合には、壁型枠板12の下側辺桟木12a,12bと支持用補助具1の上段桟木3とを釘止めすることもできる。
【0013】
尚、梁型枠9の左右横巾が広いときは、図示のように、底型枠板11の両桟木11a,11b間で底型枠板11と支持用補助具1の上段桟木3との間に角鋼管14が介在される。又、図1Aにおいて、15は左右両壁型枠板12間の間隔を規制するセパレーター、16は左右両壁型枠板12の外側に配置された角鋼管、17はセパレーター15と角鋼管16とを壁型枠板12に締結する型枠締結金物である。
【0014】
尚、上記実施形態では、角鋼管2と桟木3とを上下に重ねて受け金物4により一体化したが、図3に示すように、例えば前記のように上下に重ねた60mm角の角鋼管2と60×30mmの角木材の桟木3とをそのまま横に倒して並列状態とし、この並列状態の角鋼管2と桟木3とに対して受け金物4の溝形部5を上向きに外嵌させて一体化することもできる。この場合、溝形部5の左右両側板部5aの一方は角鋼管2の横側面に釘8(又はビスやピアスネジなど)で止着し、他方の側板部5aは桟木3の横側面に釘8で止着することになる。勿論、溝形部5の左右両側板部5aの先端は、同一レベルにある角鋼管2や桟木3の上面に対し若干低い位置にある。このように構成した支持用補助具18も、先の実施形態における支持用補助具1と同様に使用できる。
【0015】
角鋼管2と桟木3とを受け金物4で一体化する具体的な方法は、上記実施形態に示した方法に限定されない。例えば、受け金物4の弾性による把持力が十分に大きければ、当該把持力だけで角鋼管2、桟木3、及び受け金物4の三者を一体化することも可能である。又、上記実施形態のように、受け金物4と桟木3とを釘止めする場合、角鋼管2を桟木3又は受け金物4の少なくとも一方に接着剤で接着することもできるし、受け金物4に溶接することもできる。又、釘止めに代えて接着又は接着と溶接とで角鋼管2、桟木3、及び受け金物4の三者を一体化することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】A図は本発明による梁型枠の支持構造の一実施形態を示す一部縦断正面図、B図は支持用補助具の要部縦断側面図、C図は支持用補助具と梁型枠との結合箇所を示す一部縦断側面図である。
【図2】支持用補助具の要部の分解斜視図である。
【図3】別の実施形態にかかる支持用補助具の側面図である。
【符号の説明】
【0017】
1,18 支持用補助具
2 角鋼管
3 桟木
4 受け金物
5 受け金物の溝形部
5a 溝形部の左右両側板部
6 受け金物の下向き突出脚部
7 釘孔
8 釘
9 梁型枠
10 サポート
11 梁型枠の底型枠板
11a,11b 底型枠板の桟木
12 梁型枠の壁型枠板
12a,12b 壁型枠板の桟木

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角鋼管と当該角鋼管に沿って配置した桟木との2本の部材に対し、これら2本の部材を内包するように受け金物の溝形部を上向きに外嵌させて支持用補助具を構成し、この支持用補助具を梁型枠の下側に当該梁型枠の左右巾方向に配置すると共に、支持用補助具の前記桟木と梁型枠の桟木とを釘止めし、支持用補助具の前記受け金物の下向き突出脚部にサポートの上端開口部を外嵌させて、前記支持用補助具を前記サポートにより支持して成る、梁型枠の支持構造。
【請求項2】
角鋼管と、当該角鋼管の上に重ねて配置された桟木と、少なくとも2つの受け金物とから成り、各受け金物は、上下に重なる前記角鋼管と桟木とに対して上向きに外嵌する溝形部と下向き突出脚部とを備え、各受け金物の前記溝形部の両側板部の内、少なくとも一方の側板部が前記桟木に対して釘などにより止着されている、梁型枠支持用補助具。
【請求項3】
角鋼管と、当該角鋼管の横に沿って配置された桟木と、少なくとも2つの受け金物とから成り、各受け金物は、左右に並列する前記角鋼管と桟木とに対して上向きに外嵌する溝形部と下向き突出脚部とを備え、各受け金物の前記溝形部の両側板部が前記角鋼管と桟木とに対して釘などにより止着されている、梁型枠支持用補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−38395(P2008−38395A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211558(P2006−211558)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000143558)株式会社国元商会 (64)
【Fターム(参考)】