説明

椅子式マッサージ機

【課題】
着座した使用者の脚部を左右に揺動させるように構成して脚部全体における揺動マッサージを可能とした椅子式マッサージ機に関し、脚部における揺動運動を可及的にリラックスした姿勢で実施することができ、且つ、脚部全体に揺動運動の十分な効果がもたらされるようにした椅子式マッサージ機を提供する。
【解決手段】
座部11aと該座部11aの前端において出没可能に連結した足載せ部13aとを有した椅子式マッサージ機1aであり、該足載せ部13aに人体の脚部を保持するための脚保持部130aを設け、且つ該脚保持部130aで保持した人体脚部を左右に揺動させるための揺動機構5aを設けると共に、前記座部11aにおいて使用者の臀部が当接する臀部当接部112aの隆起を調節する隆起調節機構6aを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座した使用者の脚部を左右に揺動させるように構成して脚部全体における揺動マッサージを可能とした椅子式マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の脚部に対するマッサージ機構を足載せ部に備えた椅子式マッサージ機として、例えば該足載せ部に内装したバイブレータによる振動マッサージや、空気給排装置における空気の給排気で膨縮する膨縮袋を足載せ部に形成した左右一対の凹部内部に対設しつつ、各膨縮袋を膨縮動作させて実施する押圧または挟圧マッサージを行うものなどが存在している。このようなマッサージ機構を足載せ部に設けた椅子式マッサージ機は、使用者の所望に応じた脚部における部位を局部的にマッサージすることができる構成のものとなっている。
【0003】
さらには、足載せ部における脚部の局部的なマッサージだけでなく、脚部を全体的にほぐしながら受動的に運動させる揺動運動(いわゆる金魚運動)によるマッサージを実施する椅子式マッサージ機も近年開示されている。例えば、図24乃至図26に示す椅子式マッサージ機がある。すなわち、該椅子式マッサージ機の椅子本体1として、左右一対の肘掛け部2を備えたベースフレーム3に対し、座部4および足載せ部5からなるシート部6と、背もたれ部7とを設けて構成している。ベースフレーム3に対し、座部4は固定され、足載せ部5は座部4の前側に前後方向に回動可能に支持され、また背もたれ部7は前後方向に移動しながら上下方向に旋回可能に設けられている。
【0004】
下半身を載せる前記シート部6のうち、膝から下の部分を載せる前記足載せ部5には、図26に示すような、下半身をマッサージするための揺動式マッサージ機構64が設けられている。この揺動式マッサージ機構64は、両足の例えば足首部分を受ける足受け部材65を駆動装置66によって左右方向に往復移動させ、これにより両足を左右に揺らして下半身をマッサージするためのものである。該足受け部材65が左右方向に往復移動すると、前記座部4に支えられている腰部分を中心にして下半身が左右に揺動運動(いわゆる金魚運動)すると共に、足の付け根を中心にしてひねられるようになる。このため、腰部分にもひねり運動が与えられるようになる。このように、椅子本体1に揺動式マッサージ機構64を設けることで、椅子本体1に着座した使用者の下半身のほぼ全体を揺動させてマッサージできるようにしている。
【0005】
前記足載せ部5は、図24及び図25に示すようにその姿勢が水平以下から水平以上までに角度調節可能に連結されており、このような水平姿勢と上向き姿勢とでは足受け部材65の位置が前後に異なるようになる。このため、使用者の身長に合わせて足載せ部5の姿勢を選択することにより、足受け部材65を伸長に合った位置にセットすることが可能になる。
【0006】
尚、前記足載せ部5を水平姿勢にした場合には、その膝の裏側の緊張度合いは比較的弱く、リラックスした姿勢となり、また、足載せ部5を上向き姿勢にした場合には、膝の裏側が強く伸ばされて緊張した姿勢となるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−328262号公報(第9頁図1及び図2、第10頁図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前述したような従来の椅子式マッサージ機は、図24に示すように前記足載せ部5を上向き姿勢にした場合において、膝の裏側が強く伸ばされて緊張した姿勢となるため、使用者がリラックスした状態でマッサージを受けることができず、特に体力的に衰弱した高齢者などは、そのような無理な姿勢からくる身体的な負担やストレスに耐えられないと懸念される。
【0009】
一方、図25に示すように前記足載せ部5を水平姿勢にした場合は、前述したような緊張や負担などは幾分軽減されるが、図24に示す姿勢の場合よりも使用者の自重により、大腿部や臀部などが前記座部4の表面に当接し易くなってしまう。
【0010】
よって、前記揺動式マッサージ機構64による揺動運動の際に、前記座部4の表面と該表面に当接する脚部の一部位との間に摩擦が発生することになるため、脚部の全体的な、またスムーズな揺動マッサージの実施が極めて困難となり、揺動運動(いわゆる金魚運動)の十分な効果が期待できないという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、上記問題点を解消する為に成されたものであり、脚部における揺動運動を可及的にリラックスした姿勢で実施することができ、且つ、脚部全体に揺動運動(いわゆる金魚運動)の十分な効果がもたらされるようにした椅子式マッサージ機を提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明の椅子式マッサージ機は、座部と該座部の前端において出没可能に連結した足載せ部とを有した椅子式マッサージ機であって、該足載せ部に人体の脚部を保持するための脚保持部を設け、且つ該脚保持部で保持した人体脚部を左右に揺動させるための揺動機構を設けると共に、前記座部において使用者の臀部が当接する臀部当接部の隆起を調節する隆起調節機構を設けた構成のものとしている。
【0013】
また、本発明の椅子式マッサージ機は、前記足載せ部の前記脚保持部として、人体脚部を挿入載置する左右一対の凹部を設けたものとしている。
【0014】
さらに、本発明の椅子式マッサージ機は、前記隆起調節機構として空気給排装置による空気の給排気により膨縮する膨縮袋を設けたものとしている。
【0015】
また、本発明の椅子式マッサージ機は、前記隆起調節機構として前記座部を前方傾斜させたり、または座部の後部を昇降させたりするための伸縮部材を設けたものとしている。
【0016】
さらにまた、本発明の椅子式マッサージ機は、前記足載せ部における前記各凹部の内部左右側面に、前記空気給排装置の給排気により膨縮する膨縮袋をそれぞれ対設したものとしている。
【発明の効果】
【0017】
よって、本発明の本発明の椅子式マッサージ機は、前記足載せ部に人体の脚部を保持するための脚保持部を設け、且つ該脚保持部で保持した人体脚部を左右に揺動させるための揺動機構を設けると共に、前記座部において使用者の臀部が当接する臀部当接部の隆起を調節する隆起調節機構を設けた構成のものとしているため、従来のように脚部を上げたような無理な姿勢を強いられて身体的な負担やストレスがもたらされることはなくなり、自然でリラックスした着座姿勢で脚部に対する揺動マッサージを実施することができる。
【0018】
しかも、前記隆起調節機構による前記座部の隆起によって、使用者の大腿部を含む脚部の全体が座部から浮き上がり、揺動運動の際に発生する脚部と座部との摩擦を可及的に防止することができる。また、この構成により臀部または股関節を支点とした揺動運動が可能となるので、脚部の付け根から足先までの脚部全体を効果的に揺動マッサージすることができる。
【0019】
また、前記隆起調節機構を小隆起または無隆起にさせた状態での前記揺動機構による揺動運動の場合は、前記座部に臀部や大腿部、また膝部が当接した状態となるので、膝関節を支点とした主に脛部における部分的な小揺動運動が可能となる。
【0020】
このように、前記隆起調節機構の隆起を調節することにより、使用者の所望に応じた脚部における範囲を揺動マッサージすることが可能となる。
【0021】
加えて、隆起調節機構の大隆起状態と小隆起または無隆起とを繰り返しながら揺動機構による揺動運動を行う場合は、臀部または股関節を支点とした脚部全体の揺動運動と、膝部を支点とした主に脛部における部分的な揺動運動とが交互に繰り返されるので、脚部におけるマッサージ範囲を周期的に変化させることができ、飽きのこないメリハリのあるマッサージが実現できる。
【0022】
また、本発明の椅子式マッサージ機は、前記足載せ部の前記脚保持部として、人体脚部を挿入載置する左右一対の凹部を設けたものとしているため、前記揺動機構による揺動運動の際に、脚部がずれ落ちたりしないようにすることができる。
【0023】
さらに、本発明の椅子式マッサージ機は、前記隆起調節機構として空気給排装置による空気の給排気により膨縮する膨縮袋を設けたものとしているため、隆起調節機構を容易に且つ比較的安価に取り付けられる構成となり、また、自重が集中する臀部を支点とした揺動運動の際、該臀部における当接感が柔軟であるため、臀部における不必要な痛みや摩擦を可及的に抑えて、長時間マッサージを継続することができる。
【0024】
また、本発明の椅子式マッサージ機は、前記隆起調節機構として前記座部を前方傾斜させたり、または座部の後部を昇降させたりするための伸縮部材を設けたものとしているため、使用者ごとの体重などの身体特性による隆起の誤差が生じることなく、正確な隆起調節が可能となる。
【0025】
さらにまた、本発明の椅子式マッサージ機は、前記足載せ部における前記各凹部の内部左右側面に、前記空気給排装置の給排気により膨縮する膨縮袋を左右一対としてそれぞれ対設したものとしているため、対設する膨縮袋を同期膨張させて凹部内部に挿入された脚部をしっかりと保持した状態で、揺動機構による揺動運動を実施することができる。また、それらの膨縮袋を周期的に膨縮させる場合は脚部に対する押圧または挟圧マッサージが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の椅子式マッサージ機における椅子型の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の椅子式マッサージ機における椅子型の一実施形態を示す使用状態図である。
【図3】本発明の椅子式マッサージ機の左手用の肘掛け部を除いて構成を示した一実施形態の右側面参考図である。
【図4】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部を前方へ突出させた状態の一実施形態を示す右側面参考図である。
【図5】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の凹部を前後に移動調節させた状態の一実施形態を示す右側面参考図である。
【図6】本発明の椅子式マッサージ機における座部に設けた隆起調節機構を隆起させた状態の一実施形態を示す右側面参考図である。
【図7】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の凹部を分割構成した一実施形態を示す右側面参考図である。
【図8】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の分割構成した至端側の凹部を前方へ突出させた状態の一実施形態を示す右側面参考図である。
【図9】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の分割構成した基端側の凹部を前方へ突出させた状態の一実施形態を示す右側面参考図である。
【図10】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部をスライド可能に設けた一実施形態を示す正面参考図である。
【図11】本発明の椅子式マッサージ機のスライド可能に設けた足載せ部を伸張させた状態の一実施形態を示す正面参考図である。
【図12】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の揺動機構に流体圧駆動装置を適用した一実施形態を示す参考図である。
【図13】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の凹部を左右に揺動させた状態の一実施形態を示す参考図である。
【図14】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の凹部に膨縮袋を対設した一実施形態を示す参考図である。
【図15】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の凹部に挿入した脚部を膨縮袋で保持しつつ揺動させた状態の一実施形態を示す参考図である。
【図16】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部に設けた凹部の左右揺動における一移動方向とは逆方向側の膨縮袋のみを膨張させる状態の一実施形態を示す参考図である。
【図17】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部のモータを駆動源とする揺動機構の一実施形態を示す参考図である。
【図18】本発明の椅子式マッサージ機における伸縮部材からなる隆起調節機構の一実施形態の右側面参考図である。
【図19】本発明の椅子式マッサージ機における隆起調節機構の伸縮部材を伸張させて座部を隆起させた状態の一実施形態の右側面参考図である。
【図20】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部を平坦状に形成して脚保持部に保持ベルトを設けた構成の一実施形態を示す部分斜視図である。
【図21】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部を平坦状に形成して脚保持部に保持ベルトを設けた構成の一実施形態を示す使用状態図である。
【図22】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部を平坦状に形成して脚保持部に膨縮袋を設けた構成の一実施形態を示す部分断面参考図である。
【図23】本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部を平坦状に形成して脚保持部に設けた膨縮袋が膨張した状態の一実施形態を示す部分断面参考図である。
【図24】従来技術を示す参考図である。
【図25】従来技術を示す参考図である。
【図26】従来技術を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の椅子式マッサージ機を、図面に示す一実施形態に基づきこれを詳細に説明する。図1は本発明の椅子式マッサージ機における椅子型の一実施形態を示す斜視図であり、図2は本発明の椅子式マッサージ機における椅子型の一実施形態を示す使用状態図である。図3は本発明の椅子式マッサージ機の左手用の肘掛け部を除いて構成を示した一実施形態の右側面参考図であり、図4は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部を前方へ突出させた状態の一実施形態を示す右側面参考図であり、図5は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の凹部を前後に移動調節させた状態の一実施形態を示す右側面参考図であり、図6は本発明の椅子式マッサージ機における座部に設けた隆起調節機構を隆起させた状態の一実施形態を示す右側面参考図である。図7は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の凹部を分割構成した一実施形態を示す右側面参考図であり、図8は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の分割構成した至端側の凹部を前方へ突出させた状態の一実施形態を示す右側面参考図であり、図9は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の分割構成した基端側の凹部を前方へ突出させた状態の一実施形態を示す右側面参考図である。図10は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部をスライド可能に設けた一実施形態を示す正面参考図であり、図11は本発明の椅子式マッサージ機のスライド可能に設けた足載せ部を伸張させた状態の一実施形態を示す正面参考図である。図12は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の揺動機構に流体圧駆動装置を適用した一実施形態を示す参考図であり、図13は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の凹部を左右に揺動させた状態の一実施形態を示す参考図であり、図14は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の凹部に膨縮袋を対設した一実施形態を示す参考図であり、図15は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部の凹部に挿入した脚部を膨縮袋で保持しつつ揺動させた状態の一実施形態を示す参考図であり、図16は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部に設けた凹部の左右揺動における一移動方向とは逆方向側の膨縮袋のみを膨張させる状態の一実施形態を示す参考図である。図17は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部のモータを駆動源とする揺動機構の一実施形態を示す参考図であり、図18は本発明の椅子式マッサージ機における伸縮部材からなる隆起調節機構の一実施形態の右側面参考図であり、図19は本発明の椅子式マッサージ機における隆起調節機構の伸縮部材を伸張させて座部を隆起させた状態の一実施形態の右側面参考図である。図20は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部を平坦状に形成にして脚保持部に保持ベルトを設けた構成の一実施形態を示す部分斜視図であり、図21は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部を平坦状に形成して脚保持部に保持ベルトを設けた構成の一実施形態を示す使用状態図であり、図22は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部を平坦状に形成して脚保持部に膨縮袋を設けた構成の一実施形態を示す部分断面参考図であり、図23は本発明の椅子式マッサージ機における足載せ部を平坦状に形成して脚保持部に設けた膨縮袋が膨張した状態の一実施形態を示す部分断面参考図である。尚、図24乃至図26は従来技術を示す参考図である。
【0028】
すなわち、本発明の椅子式マッサージ機は、図1及び図2の実施例で示したように座部11aと共に、該座部11aの後側にリクライニング可能に連結する背凭れ部12aと、座部11aの前端において前後へ出没可能に連結した足載せ部13aとから構成した椅子式マッサージ機1aである。
【0029】
更に、前記座部11aの両側に肘掛け部14aを立設すると共に、前記背凭れ部12aの左右両側に前方に向かって突出した側壁部2aを夫々配設している。
【0030】
図1及び図3に示すように、前記背凭れ部12aには、その中央部に左右一対の施療子31aを備えた昇降自在の背部マッサージ機構3aを設けている。該背部マッサージ機構3aは、背凭れ部12aの内部左右に設けた左右一対のガイドレール32aに沿って背凭れ部12aの上端から下端にかけて昇降するようにしている。
【0031】
前記左右一対の施療子31aは、モータ等を駆動源とした機械式の椅子式マッサージ機構であり、前記背凭れ部12aに凭れた施療者の首部、背部、腰部、臀部等の背面全域を、たたき、揉み、ローリング、振動、指圧などの多様な形態で施療するようにしたものである。
【0032】
また、前記椅子式マッサージ機1aの各所定の位置には、空気の給排気により膨縮を繰り返す事が可能な膨縮袋4aを夫々埋設している。該膨縮袋4aは、エアーコンプレッサー及び各膨縮袋4aに空気を分配するための分配器等からなる空気給排装置41aによる給排気により膨縮動作を行うようにしており、該空気給排装置41aは前記座部11aの下部空間に配備している。
【0033】
前記空気給排装置41aによる各前記膨縮袋4aの膨縮動作によって、施療者の所定の施療部位を押圧、指圧等を実施する事ができ、一定間隔を存して対向するよう複数の膨縮袋4aを対設させる場合、挟圧等の施療も行う事ができる。また膨縮袋4aを膨張状態に保つ場合は、施療者の所定の部位を一定の時間保持する事も可能としている。
【0034】
また、前記椅子式マッサージ機1aは、前記背凭れ部12aの左右側において、上部及び下部に夫々膨縮袋4aを設けており、施療者の背中及び腰部を押圧、または左右両側から挟圧するような施療を行うよう構成している。
【0035】
前記左右の肘掛け部14aの上部には、必要に応じて人体の手や前腕を嵌入保持して施療するための凹部を形成する腕保持部15aを設ける事ができる。図1の場合、該腕保持部15aの内部において、上下に各膨縮袋4aを夫々対設するよう設けて、凹部内部で人体の手や前腕に対する挟圧施療を実施するようにしている。
【0036】
前記左右の側壁部2aは、座部11aに着座した施療者の肩または上腕側方となる位置に配設しており、該左右の側壁部2aの内側面には夫々左右方向に重合した膨縮袋4aを並列状態に埋設している。これら重合した膨縮袋4a・4aはその基端部のみを側壁部2aの基端部に取り付けているため、膨張時には重合した膨縮袋4a・4aが扇状に広がって施療者の身体側部を挟圧しつつ、身体前方まで覆うようになる。
【0037】
よって、前記左右側壁部2aの前記膨縮袋4aは、膨縮動作により身体側部を施療する事ができるだけでなく、一定の時間において膨張状態を保つ場合は、施療者の身体が前記背凭れ部12aから離れないようにしっかりと保持する事ができ、施療者の身体を固定したままの状態で前記背部マッサージ機構3aの前記施療子31aによる背部からの施療を効果的に受ける事が可能となるのである。
【0038】
本発明の前記椅子式マッサージ機1aにおける前記足載せ部13aは、人体の脚部を保持するための脚保持部130aを設けている。
【0039】
前記脚保持部130aとして、図1及び図3に示すように人体の脚部における足先部や足首、脛部や膝部、さらには適宜大腿部を挿入することが可能な左右一対の凹部131aを設けることができる。
【0040】
または、図20及び図21に示すように、前記足載せ部13aの脚部当接面を平坦状に形成した場合は、前記脚保持部130aとして保持ベルト138aをその平坦状の当接面に設けることができる。この構成は、前記凹部131aを脚保持部130aに設けた構成とは違って、図20に示すように該保持ベルト138aが平坦状に畳まれた状態となるため、脚保持部130aにおける脚部の保持を必要としない時には、足載せ部13aを通常の足載せとして使用し易くなる。
【0041】
或いは、図22及び図23に示すように、脚部当接面を平坦状に形成した前記足載せ部13aにおいて、左右一対であり重合状の膨縮袋4aの膨張作用により、左右の各脚部をそれぞれ保持するように構成してもよい。すなわち、各脚部につき左右一対の膨縮袋4aが挟持状に膨縮するよう、該左右一対の膨縮袋4aの対向側である縁部のみをそれぞれ足載せ部13aの内部にて止着している。尚、この膨縮袋4aの膨縮を周期的に繰り返す場合は、脚部に挟圧マッサージ効果をもたらすことができる。
【0042】
さらに、図17に示すように、前記足載せ部13aには前記凹部131aに載置した人体脚部を左右に揺動させるための揺動機構5aを設けている。該揺動機構5aは、モータ51aと該モータ51aの回転を変速する変速機511aと、該変速機511aの回転に連動回転するクランク52a及びクランクピン521aと、また、幅方向に横架した上下一対のレール531aの内部を転動する各転動ローラ532aを設けて該レール531aに沿って往復スライド動作が可能なスライド体53aとで主に構成している。該スライド体53aの表側において、左右一対の凹部131aを固設すると共に、クランクピン521aをスライド体53aの中央長さ方向に穿設した長溝533aに挿通している。
【0043】
よって、前記モータ51aが回転すると、前記変速機511aを介して前記クランク52a及び前記クランクピン521aにその回転が伝達され、該クランクピン521aが回転しながら前記スライド体53aの前記長溝533a内を往復移動しつつ、スライド体53aは幅方向に往復スライド動作を行うのである。
【0044】
また、図12及び図13に示すように前記揺動機構5aとして、空圧や油圧、またその他の流体圧を駆動源とする流体圧駆動装置54aと、該流体圧駆動装置54aの駆動により回動軸55aを基軸として幅方向に揺動する揺動リンク56aと、該揺動リンク56aの揺動運動に同調して前記左右一対の凹部131aが左右に揺動移動する際のレールとなるレール531aと、該レール531aの内部を転動する、凹部131aの裏側に設けた転動ローラ532aとで主に構成するものとしてもよい。尚、左右一対の凹部131aは、揺動リンク56aの先端である至端側にフレキシブルに連結されている。
【0045】
よって、図13に示すように、前記流体圧駆動装置54aの流体圧の増減により、前記揺動リンク56aの流体圧駆動装置54a側である基端側が左右に揺動することで、該揺動リンク56aの先端である至端側も前記回動軸55aを基軸として左右に揺動するので、該至端側に連結している前記左右一対の凹部131aは前記レール531aに沿って滑らかに揺動できるのである。
【0046】
前記揺動機構5aによる揺動マッサージを実施する場合は、図4に示すように前記座部11aの下部に設けられて該座部11aを支持する座部下フレーム111aの前端に設けた回動部133aを回動軸として、前記足載せ部13aを前方へ突出させつつ略水平状態にしてから該揺動機構5aを作動させる。
【0047】
前記揺動機構5aを作動させる場合、前記足載せ部13aに設けた前記左右一対の凹部131aが、使用者の脛部より下部の足首付近に位置することが望ましい。よって、使用者の身長などの個人差に対応しなければならないが、図10及び図11に示すように、足載せ部13aを使用者の脚部における長さ方向にスライド可能に取り付けることができる。
【0048】
すなわち、前記足載せ部13aにおいて、前記座部下フレーム111aの前端と左右一対の前記回動部133aを介して回動可能に連結したベースフレーム135aと、該ベースフレーム135aの前側に左右一対のスライド連結部137aを介して使用者の脚部における長さ方向にスライド可能に連結したスライドフレーム136aとを設けており、さらに、ベースフレーム135aに対するスライドフレーム136aのスライド動作をスライドフレーム136aの中央に配設したモータ134aの駆動力により行うよう構成している。
【0049】
このように、前記座部11aの前端に前記足載せ部13aをスライド可能に設けることにより、図5に示すように使用者の脚部における長さ方向において足載せ部13aの位置を調整することができる。
【0050】
前記足載せ部13aの他の特徴として、図1及び図14に示すように前記各凹部131aの内部左右側面に、前記空気給排装置41aの給排気により膨縮する膨縮袋4aを設けている。この膨縮袋4aを凹部131a内部に対設させることにより、人体脚部に対する押圧または挟圧マッサージが実施できる。
【0051】
また、前述した前記足載せ部13aの位置調整により、使用者は脚部における特定の部位に前記凹部131aが位置するように調節し、前記膨縮袋4aによるマッサージを実施できる。
【0052】
さらに、図15に示すように前記足載せ部13aに対設した前記各膨縮袋4aを膨張させた状態に保つ場合、前記各凹部131aの内部に挿入載置した脚部における部位をしっかり保持することができ、この状態で前記揺動機構5aを作動させると、この作動力が十分に脚部に伝達されて効果的な揺動運動が行える。
【0053】
加えて、図16は前記凹部131aの内部に対設した前記左右の膨縮袋4aのうち、凹部131aの左右揺動における一移動方向とは逆方向側の膨縮袋4aのみを膨張させる形態のものを示している。すなわち、左右揺動において凹部131aが右側に移動する際は、凹部131a内の左側の膨縮袋4aのみを膨張させ、左側に凹部131aが揺動する際は、右側の膨縮袋4aのみを膨張させる。このように構成することで、前記揺動機構5aによる凹部131aの揺動作用の他に膨縮袋4aによる揺動作用も加わり、それらの相乗作用による効果的な揺動運動が期待できるのである。
【0054】
また、本発明の前記椅子式マッサージ機1aは、図1及び図6に示すように座部11aにおいて使用者の臀部が当接する臀部当接部112aの隆起を調節する隆起調節機構6aを設けている。
【0055】
前記隆起調節機構6aとして、前記空気給排装置41aによる空気の給排気により膨縮する膨縮袋61aを適用できる。
【0056】
図6に示すように、前記足載せ部13aを前方へ突出させた後、前記隆起調節機構6aを隆起させると、着座した使用者の脚部が前記座部11aから浮き上がり、座部11aの隆起した前記臀部当接部112aにのみ使用者の臀部が当接した状態となる。このような状態で前記揺動機構5aを作動させて使用者の脚部を左右に揺動させれば、使用者はリラックスした姿勢で臀部または股関節を支点としたいわゆる金魚運動を効果的に実施することができ、脚部における全体的な揺動マッサージ効果がもたらされる。
【0057】
尚、前記膨縮袋61aを前記空気給排装置41aによって反復膨縮させる場合は、臀部付近に対する押圧マッサージが可能となる。
【0058】
図4に示すように、前記隆起調節機構6aを小隆起または無隆起にさせた状態で前記揺動機構5aによる揺動運動を実施する場合は、前記座部11aに臀部や大腿部、また膝部が当接した状態となるので、膝関節を支点とした主に脛部における部分的な小揺動運動が可能となる。このように、隆起調節機構6aの隆起を調節して、使用者の所望に応じた脚部における範囲を揺動マッサージすることができる。
【0059】
加えて、前記隆起調節機構6aの大隆起状態と小隆起または無隆起とを繰り返しながら前記揺動機構5aによる揺動運動を行う場合は、臀部または股関節を支点とした脚部全体の揺動運動と、膝部を支点とした主に脛部における部分的な揺動運動とが交互に繰り返されるので、脚部におけるマッサージ範囲を周期的に変化させることができ、飽きのこないメリハリのあるマッサージが実現できる。
【0060】
図3に示すように、前記肘掛け部14aの内側にも前記膨縮袋4aを設けることができる。該膨縮袋4aは主に使用者の大腿部や臀部の側部に対向しているので、該膨縮袋4aを前記空気給排装置41aによって反復膨縮させる場合はそれらの部位に対する押圧マッサージを実施することができ、また膨縮袋4aを一定間膨張した状態を保持させる場合は、それらの部位をしっかりと固定することが可能となる。
【0061】
前記肘掛け部14aの内側に設けた前記膨縮袋4aを使用して使用者の大腿部や臀部を固定する場合は、前記揺動機構5aによる揺動マッサージを実施する際、不必要に上半身が揺動したり、または前記背凭れ部12aからずれたりしないようにすることができる。尚、さらに使用者の上半身を強固に固定する場合は、前記背凭れ部12aに設けた左右一対の前記側壁部2aの前記膨縮袋4aによる膨張保持により補助固定できるし、または肘掛け部14aの上部に設けた左右一対の前記腕保持部15aにより使用者の両腕を固定させることができる。
【0062】
図18及び図19に示すように、前記隆起調節機構6aとして前記座部11aを前方傾斜させたり、または座部11aの後部を昇降させたりするための伸縮部材62aを設けてもよい。該伸縮部材62aは電動アクチュエータなどを採用できる。この場合も前記臀部当接部112aにおいて臀部または股関節を支点とした金魚運動が行える。
【0063】
また、図19に示すように、前記座部11aにおける隆起によって使用者の臀部が前方へ滑り落ちないように、該座部11aの前記臀部当接部112aにおいて滑落防止凹部113aを設けてもよい。
【0064】
尚、前記肘掛け部14aの内側に設けた前記各膨縮袋4aは、前記座部11aの傾斜または昇降に追従するように構成することができる。例えば図19に示すように、座部11aの左右両側から上方へ立ち上がって形成される左右一対の立上がり壁114aの各内側面に各膨縮袋4aを内装できる。
【0065】
他にも、前記椅子式マッサージ機1aは、図1及び図3に示すように着座した使用者の足先部を施療するための足先施療部132aを前記座部11aの前方下部に設けることができる。該足先施療部132aは左右一対の凹部を備え、該各凹部の左右側面や底面に前記各膨縮袋4aをそれぞれ配設している。
【0066】
よって、前記足先施療部132aの凹部の底面に設けた膨縮袋4aは足裏を押圧マッサージすることができ、該凹部の左右側面に対設する各膨縮袋4aは足先部を挟圧マッサージすることができる。
【0067】
図7乃至図9に示す実施形態は、前記足載せ部13aにおける前記左右一対の凹部131aを使用者脚部の長さ方向において分割した構成のものである。すなわち、足載せ部13aを前記回動部133a側である基端側の凹部131aと前記足先施療部132a側である至端側の凹部131aとに分割しており、図8及び図9に示すようにそれら各凹部131aは、回動部133aを同軸としてそれぞれ独立して前後回動動作を可能としている。
【0068】
よって、図7に示すような前記基端側及び至端側の各凹部131aを共に垂下させた状態の場合は、各凹部131a、また前記足先施療部132aにそれぞれ対設した前記各膨縮袋4aによる脚部に対する押圧または挟圧マッサージが実施できる。
【0069】
また、図8に示すように前記基端側の凹部131aを垂下させると共に、前記至端側の凹部131aを前方へ突出させて水平状態にさせた場合は、前記揺動機構5aや前記隆起調節機構6aを作動させて前述したような効果的な揺動マッサージができる。尚、この状態においても至端側の凹部131aに対設した前記各膨縮袋4aで前述のようなマッサージが可能である。
【0070】
さらに、図9に示すように垂下状態の前記基端側の凹部131aを水平状態の前記至端側の凹部131aと直線状に揃うよう前方へ突出させると、それら基端側の凹部131a及び至端側の凹部131aにそれぞれ対設した前記各膨縮袋4aで前述のようなマッサージを膝部から足先付近に至るまでの広い範囲の部位に対して同時に実施できる。
【0071】
尚、前記足載せ部13aにおける前記凹部131aの出没動作は、手動及び自動を問わない。手動出没の場合は適宜手動レバー及びリンク機構などを適用することができるし、自動出没の場合は適宜電動アクチュエータ機構などを適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1a 椅子式マッサージ機
11a 座部
111a 座部下フレーム
112a 臀部当接部
113a 滑落防止凹部
114a 立上がり壁
12a 背凭れ部
13a 足載せ部
130a 脚保持部
131a 凹部
132a 足先施療部
133a 回動部
134a モータ
135a ベースフレーム
136a スライドフレーム
137a スライド連結部
138a 保持ベルト
14a 肘掛け部
15a 腕保持部
2a 側壁部
3a 背部マッサージ機構
31a 施療子
32a ガイドレール
4a 膨縮袋
41a 空気給排装置
5a 揺動機構
51a モータ
511a 変速機
52a クランク
521a クランクピン
53a スライド体
531a レール
532a 転動ローラ
533a 長溝
54a 流体圧駆動装置
55a 回動軸
56a 揺動リンク
6a 隆起調節機構
61a 膨縮袋
62a 伸縮部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と該座部の前端において出没可能に連結した足載せ部とを有した椅子式マッサージ機であって、該足載せ部に人体の脚部を保持するための脚保持部を設け、且つ該脚保持部で保持した人体脚部を左右に揺動させるための揺動機構を設けると共に、前記座部において使用者の臀部が当接する臀部当接部の隆起を調節する隆起調節機構を設けたことを特徴とする椅子式マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−40421(P2012−40421A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253371(P2011−253371)
【出願日】平成23年11月20日(2011.11.20)
【分割の表示】特願2007−78636(P2007−78636)の分割
【原出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【Fターム(参考)】