検体前処理搬送装置
【課題】検体入り容器の搬送路及びサンプルカップラックの搬送路の構成の簡素化を図るとともに、処理能率の向上を図る。
【解決手段】検体入り試験管を試験管ホルダーに保持して立位状態で1本づつ搬送する試験管搬送路13と、少なくとも5本のサンプルカップを1組としてサンプルカップラックに立位状態で保持し、このサンプルカップラックを搬送するラック搬送路14と、検体入り試験管を試験管搬送路13に搬入する検体入り試験管搬入部15と、サンプルカップラックをラック搬送路14に搬入するラック搬入部16と、搬送路を搬送する検体入り試験管を少なくとも5本1組として同試験管内の検体を同時に分取し、ラック搬送路14上の少なくとも5本のサンプルカップに同時に分注する分取・分注装置と、ラック搬送路14の下流側に設けられ、検体が収容されたサンプルカップラックを受け入れて検体を分析する分析装置を具備した。
【解決手段】検体入り試験管を試験管ホルダーに保持して立位状態で1本づつ搬送する試験管搬送路13と、少なくとも5本のサンプルカップを1組としてサンプルカップラックに立位状態で保持し、このサンプルカップラックを搬送するラック搬送路14と、検体入り試験管を試験管搬送路13に搬入する検体入り試験管搬入部15と、サンプルカップラックをラック搬送路14に搬入するラック搬入部16と、搬送路を搬送する検体入り試験管を少なくとも5本1組として同試験管内の検体を同時に分取し、ラック搬送路14上の少なくとも5本のサンプルカップに同時に分注する分取・分注装置と、ラック搬送路14の下流側に設けられ、検体が収容されたサンプルカップラックを受け入れて検体を分析する分析装置を具備した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液等の検体を収容した試験管から血清を分取してサンプルカップに分注し、分析装置に搬入する検体前処理搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液等の検体を収容した試験管から血清を分析装置に搬入する検体前処理搬送装置は、例えば、特許文献1で知られている。特許文献1の検体前処理搬送装置は、デスク型筐体の検体操作面上に配設された親検体搬入部と、この親検体搬入部により搬入された親検体の使用可能域を検知する使用可能域検知部と、前記親検体が入っている検体容器の栓を抜く栓抜部と、子検体用の空の検体容器を供給する子検体容器供給部とを備えている。
【0003】
さらに、子検体容器供給部から供給される子検体容器に対し、識別標示ラベルを作成して貼付するラベル発行部と、使い捨てタイプの分注用チップを供給する分注用チップ供給部と、この分注用チップ供給部から供給され且つ装着された前記分注用チップを介して前記栓抜部で栓を抜かれた親検体容器内の前記使用可能域にある親検体を分取したのち、前記識別標示ラベルを貼付された子検体容器に分注する分注部とを備えている。また、分注部により検体を分注された子検体を搬出する子検体搬出部と、分取操作が終了した前記親検体容器を搬出する親検体容器搬出部とを備えている。
したがって、検体の搬入出、ラベル発行、分注処理等の一連の処理作業が、全て自動的に行なわれるので、検体が作業員に触れるおそれがなく、感染防止上きわめて有用であり、しかも検体検査前処理工程を自動的に実行処理することができる。
【特許文献1】特開2002−14109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、親検体搬送部と子検体搬送部が複雑であるとともに、親検体搬出ラック及び子検体搬出ラックに対する検体の搬入・搬出を1本単位で行なっているために処理能率が悪いという問題がある。
本発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、試験管搬送路の途中に設けられた分取・分注装置によって、同搬送路を搬送する検体入り試験管内の検体を分取し、ラック搬送路上のサンプルカップに分注することが能率的に処理でき、また検体入り試験管の搬送路及びサンプルカップラックの搬送路の構成の簡素化を図るとともに、処理能率の向上を図ることができる検体前処理搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記目的を達成するために、請求項1は、検体入り試験管24を試験管ホルダー24Aに保持して立位状態で1本づつ搬送する試験管搬送路13と、前記試験管搬送路13と平行に設けられ、少なくとも5本のサンプルカップ34を1組としてサンプルカップラック35に立位状態で保持し、このサンプルカップラック35を搬送するラック搬送路14と、前記検体入り試験管24を前記試験管搬送路13に搬入する検体入り試験管搬入部15と、前記サンプルカップラック35を前記ラック搬送路14に搬入するラック搬入部16と、前記試験管搬送路13の途中に設けられ、同搬送路を搬送する前記検体入り試験管13を少なくとも5本1組として同試験管内の検体を同時に分取し、前記ラック搬送路14上の少なくとも5本のサンプルカップ34に同時に分注する分取・分注装置36と、前記ラック搬送路14の下流側に設けられ、検体が収容された前記サンプルカップラック35を受け入れて検体を分析する分析装置21とを具備したことを特徴とする検体前処理搬送装置にある。
請求項2は、検体入り試験管24を試験管ホルダー24Aに保持して立位状態で1本づつ搬送する試験管搬送路13と、前記試験管搬送路13と平行に設けられ、複数本のサンプルカップ34を1組としてサンプルカップラック35に立位状態で保持し、このサンプルカップラック35を搬送するラック搬送路14と、バーコードが表示された前記検体入り試験管24を複数本づつ前記試験管搬送路13に搬入する検体入り試験管搬入部15と、複数本のサンプルカップ34を立位状態で保持したサンプルカップラック35を前記ラック搬送路14に搬入するラック搬入部16と、前記検体入り試験管搬入部15より下流側の前記試験管搬送路13に設けられ、前記バーコードを読み取り、前記検体入り試験管24を、分注依頼のある試験管と分注依頼のない試験管とに区分けするバーコードリーダ26と、前記バーコードリーダ26より下流側の前記試験管搬送路13が分岐して設けられ、前記バーコードリーダ26の読み取り結果によって分注依頼のある試験管と分注依頼のない試験管とを分岐部27で振り分けて搬送する分注有り搬送ライン31及び分注無し搬送ライン31と、前記分注有り搬送ライン31の途中に設けられ、同搬送ラインを搬送する前記検体入り試験管24を複数本を1組として同試験管内の検体を分取し、前記ラック搬送路14上の複数本のサンプルカップ34に同時に分注する分取・分注装置36と、前記ラック搬送路14の下流側に設けられ、検体が収容された前記サンプルカップラック35を受け入れて検体を分析する分析装置21と、前記分析装置21より上流側の前記ラック搬送路14に設けられ、前記サンプルカップラック35の前記分析装置21への搬入量を制御するラック待機ユニット43とを具備したことを特徴とする検体前処理搬送装置にある。
【0006】
請求項3は、請求項1または2の前記試験管搬送路13は、前記検体入り試験管24を立位状態で保持する試験管ホルダー24Aを搬送するベルトコンベア式であり、前記検体入り試験管搬入部15を有する往路13aと、この往路13aと平行する復路13b及び前記往路13aと復路13bとの上流端と下流端を連結する連結路13d,13eとからなり、前記検体入り試験管24がピックアップされた空の試験管ホルダー24Aは、前記復路13bを介して前記検体入り試験管搬入部15に復帰することを特徴とする。
請求項4は、請求項1または2の前記検体入り試験管24を試験管ホルダー24Aに保持して立位状態で1本づつ搬送する前記試験管搬送路13と複数本のサンプルカップ34を1組としてサンプルカップラック35に立位状態で保持して搬送するラック搬送路14とは平行に、しかも直線的に設けられ、前記試験管搬送路13とラック搬送路14に面して前記分取・分注装置36及びラック待機ユニット43が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、試験管搬送路の途中に設けられた分取・分注装置は、同搬送路を搬送する検体入り試験管を少なくとも5本1組として同試験管内の検体を同時に分取し、ラック搬送路上の少なくとも5本のサンプルカップに同時に分注することができ、能率的に処理できるという効果がある。また、検体入り容器の搬送路及びサンプルカップラックの搬送路の構成の簡素化を図るとともに、処理能率の向上を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は検体前処理搬送装置の第1の実施形態の全体を示す概略的平面図である。まず、検体前処理搬送装置の概略的構成を説明すると、図1に示すように、第1の搬送ライン11と第2の搬送ライン12が平行に設けられ、この第1と第2の搬送ライン11,12には同一構成であるため、第1の搬送ライン11について説明すると、試験管搬送路13とラック搬送路14とが平行して設けられている。試験管搬送路13の最も上流側には親検体としての検体入り試験管搬入部15が、ラック搬送路14の最も上流側にはラック搬入部16が設けられている。
【0010】
試験管搬送路13にはその上流側から下流側に向って分取・分注エリア17及び検体仕分け・搬出エリア18が設けられている。試験管搬送路13の下流端は直角の搬送方向変換部19を介して連絡路20に接続されている。この連絡路20には3基の分析装置21(21A,21B,21C)が設けられている。
【0011】
次に、前記第1の搬送ライン11の各部の構成を具体的に説明する。図2に示すように、第1の搬送ライン11の試験管搬送路13はベルトコンベア式であり、上流側から下流側に走行する往路13aと下流側から上流側に走行する復路13bが平行して設けられている。検体入り試験管搬入部15における往路13aは、その途中からエラーライン13cが設けられている。さらに、復路13bの最も下流端は往路13aの上流端に連結路13dによって接続されている。
【0012】
前記検体入り試験管搬入部15について説明すると、図3に示すように、往路13aの側部に面して試験管ラック架設部22が設けられている。試験管ラック架設部22には複数個(本実施形態においては8個)の試験管ラック23が配置されている。試験管ラック23は横列5本、縦列10本、合計50本の検体入り試験管24を立位状態で収納できるようになっている。検体入り試験管24は、図4に示すように、75mmと100mmの2種類があり、側壁の所定の位置にはバーコードを表示したラベル25が貼着されている。
【0013】
前記試験管搬送路13には、例えば、特開2003−211006号公報等で公知である試験管ホルダー24Aが立位状態に載置され、検体入り試験管24が1本づつ保持されて搬送されるようになっている。すなわち、試験管ホルダー24Aは、試験管搬送路13の往路13aに1列縦隊に配置され、試験管ラック23からロボットアーム(図示しない)によって検体入り試験管24が試験管ホルダー24Aに移載されるようになっいる。この場合、試験管ラック23からロボットアームによって横一列(5本)の検体入り試験管24が同時に試験管ホルダー24Aにセットされるようになっている。
図3に示すように、往路13aの側部には検体入り試験管24のバーコードを読み取る第1のバーコードリーダ26が設けられている。さらに、往路13aとエラーライン13cとの分岐部27には読み取りと読み取りエラーとを振り分け、読み取りエラーの検体入り試験管24をエラーライン13cに排除する第1のゲート28が設けられている。エラーライン13cに排除された検体入り試験管24が例えば5本で満杯となり、オペレータに警報で報知するようになっている。オペレータは警報で報知されると、エラーライン13cの検体入り試験管24を人手によって試験管ホルダー24Aから抜き取り、試験管ラック23に戻す作業を行なう。
図3及び図5に示すように、第1のゲート28より下流側の往路13aには検体入り試験管24を、分注依頼のある試験管と分注依頼のない試験管とを読み取る第2のバーコードリーダ29が設けられている。さらに、第2のバーコードリーダ29の下流側には分岐部30が設けられている。往路13aは分岐部30から分注有り搬送ライン31と分注無し搬送ライン32とに分離され、分岐部30には検体入り試験管24を分注有り搬送ライン31と分注無し搬送ライン32とに振り分ける第2のゲート33が設けられている。
【0014】
試験管搬送路13の往路13aの分注有り搬送ライン31と分注無し搬送ライン32は平行であり、前記復路13bとともに3列の搬送ラインが形成されている。さらに、復路13bに平行して前記ラック搬送路14が設けられている。ラック搬送路14も試験管搬送路13と同様にベルトコンベア式であり、このラック搬送路14の最も上流側のラック搬入部16には子検体としての例えば5本のサンプルカップ34を1組として立位状態で保持するサンプルカップラック35が保管されている。サンプルカップラック35は、図6(b)に示すように、長方形状のラック本体35aに検体入り試験管24と略同様の形状の5本のサンプルカップ34が保持され、ラック搬送路14を介して分取・分注エリア17に搬送されるようになっている。
【0015】
分取・分注エリア17には往路13aに面して、例えば、特開2005−233765号公報に示すように、公知の分取・分注装置36が設けられている。分取・分注装置36は、図6(a)に示すように、ディスポーザブルの5本一組の分取・分注チップ36aが1列の5本の検体入り試験管24の開口に対向するように昇降ホルダー36bに支持されている。そして、昇降ホルダー36bが昇降機構(図示しない)によって昇降するようになっている。すなわち、分注有り搬送ライン31上に5本の検体入り試験管24が縦一列に停止したとき、5本の分取・分注チップ36aによって5本の検体入り試験管24から所定量の血清を分取し、分取した血清は分取・分注チップ36aによって5本一組のサンプルカップ34に同時に分注するようになっている。
分取・分注エリア17の下流側にはインクジェット装置37が設けられている。インクジェット装置37は、図7に示すように、検体入り試験管24の側壁に対してシーケンス番号(4桁)38と分注機号機番号(3桁)39のナンバリングを行なうもので、分注有り搬送ライン31と分注無し搬送ライン32に対してノズル(図示しない)が進退してナンバリングを行なう。なお、分取・分注装置36で分注エラーが発生した場合は、分注機号機番号(3桁)39に「E」が付加される。
前記検体仕分け・搬出エリア18で、インクジェット装置37の下流側にはエラー検体排出ユニット40が設けられている。エラー検体排出ユニット40は、図2に示すように、往路13aに面して設けた搬出用ラック架設部41と、この搬出用ラック架設部41に配置された複数個の試験管ラック42とを備えている。試験管ラック42は、前記試験管ラック23と同様に、横列5本、縦列10本、合計50本の検体入り試験管24を立位状態で収納できる。そして、分注有り搬送ライン31上の試験管ホルダー24Aからロボットアーム(図示しない)によって5本単位で検体入り試験管24をピックアップして試験管ラック42に移載されるようになっている。エラー検体排出ユニット40の下流側には往路13aの分注有り搬送ライン31と分注無し搬送ライン32の下流端と復路13bの上流端とを接続する連結路13eが設けられている。
【0016】
さらに、検体仕分け・搬出エリア18には、前記分析装置21A,21B,21Cへの搬入量を制御するラック待機ユニット43が設けられている。ラック待機ユニット43は、図8に示すように、ラック搬送路14に面してラックストッカ44が設けられている。このラックストッカ44はラック搬送路14に面して開口する開口部45が設けられ、ラック搬送路14を搬送するサンプルカップラック35を幅方向(搬送方向と直角方向)に移動させてラックストッカ44に収納できるようになっている。すなわち、分析装置21A,21B,21Cが満杯のときにサンプルカップラック35を一時的に退避して分析装置21A,21B,21Cへの搬入量を制御できるようになっている。
【0017】
ラック待機ユニット43より下流側のラック搬送路14にはラック割り込み搬入ユニット46が設けられている。ラック割り込み搬入ユニット46は、図9に示すように、ラック搬送路14に面して搬入ストッカ47が設けられている。この搬入ストッカ47はラック搬送路14に面して開口する開口部48が設けられ、マニュアル分注後、バックアップ機等で分注されたサンプルカップ34を収納したサンプルカップラック35を人手により投入できるようになっている。そして、搬入ストッカ47の開口部48からラック搬送路14にサンプルカップラック35を割り込み搬入できるようになっている。
【0018】
ラック搬送路14の下流端と連絡路20とを直角に結ぶ搬送方向変換部19は、図10に示すように、ベース49に対して少なくとも90°反転可能な回転テーブル50が設けられている。この回転テーブル50の中央部には径方向にレール51が設けられ、レール51にサンプルカップラック35を保持した状態で回転テーブル50を90°回転させることにより、サンプルカップラック35をラック搬送路14から連絡路20に方向変換できるようになっている。なお、搬送方向変換部19に設けられた90°反転可能な回転テーブル50は、連絡路20と分析装置21A,21B,21Cとを結ぶ分岐部52にも設けられている。
【0019】
次に、前述のように構成された検体前処理搬送装置の作用を説明する。
本実施形態においては、第1の搬送ライン11と第2の搬送ライン12が同時に作動し、各搬送ライン11,12の試験管搬送路13を介して検体入り試験管24が試験管ホルダー24Aに支持されて搬送されるとともに、ラック搬送路14を介してサンプルカップ34がサンプルカップラック35に支持されて搬送される。そして、第1の搬送ライン11と第2の搬送ライン12から搬送されたサンプルカップ34を有するサンプルカップラック35は連絡路20を介して分析装置21A,21B,21Cに搬送されて検体が分析処理される。
第1の搬送ライン11及び第2の搬送ライン12は同一作用であるため、第1の搬送ライン11について説明する。試験管ラック23に収納されている横一列の5本の検体入り試験管24はロボットアームによって同時に把持されて試験管搬送路13の往路13aに搬入される。このとき、往路13aには試験管ホルダー24Aが待機しているため、5本の検体入り試験管24は試験管ホルダー24Aにセットされて往路13a上を搬送する。
検体入り試験管24にはバーコードを表示したラベル25が貼付されているため、バーコードはバーコードリーダ26によって読み取られる。バーコードリーダ26によってバーコードを読み取れない、読み取りエラーが発生した場合、第1のゲート28が作動し、その検体入り試験管24をエラーライン13cに排除する。バーコードリーダ26によって読み取られた検体入り試験管24は往路13aの分岐部27を通過する。往路13aの分岐部27より下流側には第2のバーコードリーダ29が設けられているため、この第2のバーコードリーダ29によってバーコードを読み取り、検体入り試験管24は第2のゲート33によって分注依頼のある試験管と分注依頼のない試験管とに振り分けられる。
分注依頼のある試験管としての検体入り試験管24は分注有り搬送ライン31を搬送して分取・分注エリア17に搬送され、分注依頼のない試験管としての検体入り試験管24は分注無し搬送ライン32を搬送する。一方、ラック搬送路14のラック搬入部16からサンプルカップ34を支持したサンプルカップラック35が搬送され、分取・分注エリア17に搬入されている。
【0020】
分取・分注エリア17の往路13aに面して設けられた分取・分注装置36の5本一組の分取・分注チップ36aは、分注有り搬送ライン31上の5本の検体入り試験管24から所定量の血清を分取し、分取した血清は分取・分注チップ36aによってラック搬送路14上の5本一組のサンプルカップ34に同時に分注する。そして、分注が完了した5本一組のサンプルカップ34はサンプルカップラック35によって検体仕分け・搬出エリア18へ搬送される。
分注が完了した検体入り試験管24が分注有り搬送ライン31を介して分取・分注エリア17の下流側のインクジェット装置37に到達すると、インクジェット装置37は、検体入り試験管24の側壁に対してシーケンス番号(4桁)38と分注機号機番号(3桁)39のナンバリングを行なう。このとき、分注無し搬送ライン32に対してもノズルが進退して検体入り試験管24にナンバリングを行なう。
分注が完了した検体入り試験管24は、分注有り搬送ライン31上の試験管ホルダー24Aからロボットアーム(図示しない)によって5本単位で検体入り試験管24をピックアップして試験管ラック42に移載される。また、往路13aの分注有り搬送ライン31と分注無し搬送ライン32は連結路13eを介して復路13bに接続されているため、試験管ホルダー24Aは復路13bを介して上流側に戻される。
また、分取・分注が完了してラック搬送路14を搬送する5本一組のサンプルカップ34を有するサンプルカップラック35は分析装置21A,21B,21Cへ搬入されるが、分析装置21A,21B,21Cが満杯のときは、ラック搬送路14を搬送するサンプルカップラック35を幅方向(搬送方向と直角方向)に移動させてラックストッカ44に収納し、サンプルカップラック35を一時的に退避して分析装置21A,21B,21Cへの搬入量を制御する。
【0021】
ラック待機ユニット43より下流側のラック割り込み搬入ユニット46は、マニュアル分注後、バックアップ機等で分注されたサンプルカップ34を収納したサンプルカップラック35を搬入ストッカ47に人手により投入する。そして、搬入ストッカ47の開口部48からラック搬送路14にサンプルカップラック35を割り込み搬入できる。
【0022】
このように親検体としての検体入り試験管24は試験管搬送路13を搬送中に、自動的に分取・分注装置36によって血清が分取され、サンプルカップ34に分注される。サンプルカップ34に分注された血清はサンプルカップラック35によって分析装置21A,21B,21Cへの搬入されて分析される。なお、分取・分注装置36は、5本の分取・分注チップ36aによって5本の検体入り試験管24から所定量の血清を分取し、分取した血清は分取・分注チップ36aによって5本一組のサンプルカップ34に同時に分注するようにしたが、5本に限らず、10本でもよく、少なくとも5本が望ましい。
また、第1の搬送ライン11と第2の搬送ライン12を同時に作動させることにより、分析装置21A,21B,21Cの処理能力に応じて搬入量を制御でき、処理能力を向上できる。
なお、本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態を示し、検体前処理搬送装置全体の概略的平面図。
【図2】同実施形態を示し、試験管搬送路とラック搬送路の平面図。
【図3】同実施形態を示し、検体入り試験管搬入部の平面図。
【図4】同実施形態を示し、検体入り試験管の正面図。
【図5】同実施形態を示し、分注有り搬送ラインと分注無し搬送ラインの分岐部の平面図。
【図6】同実施形態を示し、(a)は分取・分注装置の正面図、(b)はサンプルカップ用ラックの正面図。
【図7】同実施形態を示し、検体入り試験管の正面図。
【図8】同実施形態を示し、ラック待機ユニットの平面図。
【図9】同実施形態を示し、ラック割り込み搬入ユニットの平面図。
【図10】同実施形態を示し、搬送方向変換部の平面図。
【図11】同実施形態を示し、検体前処理搬送装置の作用を示すブロック図。
【符号の説明】
【0024】
13…試験管搬送路、13a…往路、13b…復路、13d,13e…連結路、14…ラック搬送路、15…検体入り試験管搬入部、16…ラック搬入部、21…分析装置、24…検体入り試験管、24A…試験管ホルダー、26…バーコードリーダ、31…分注有り搬送ライン、32…分注無し搬送ライン、34…サンプルカップ、35…サンプルカップラック、36…分取・分注装置、43…ラック待機ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液等の検体を収容した試験管から血清を分取してサンプルカップに分注し、分析装置に搬入する検体前処理搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液等の検体を収容した試験管から血清を分析装置に搬入する検体前処理搬送装置は、例えば、特許文献1で知られている。特許文献1の検体前処理搬送装置は、デスク型筐体の検体操作面上に配設された親検体搬入部と、この親検体搬入部により搬入された親検体の使用可能域を検知する使用可能域検知部と、前記親検体が入っている検体容器の栓を抜く栓抜部と、子検体用の空の検体容器を供給する子検体容器供給部とを備えている。
【0003】
さらに、子検体容器供給部から供給される子検体容器に対し、識別標示ラベルを作成して貼付するラベル発行部と、使い捨てタイプの分注用チップを供給する分注用チップ供給部と、この分注用チップ供給部から供給され且つ装着された前記分注用チップを介して前記栓抜部で栓を抜かれた親検体容器内の前記使用可能域にある親検体を分取したのち、前記識別標示ラベルを貼付された子検体容器に分注する分注部とを備えている。また、分注部により検体を分注された子検体を搬出する子検体搬出部と、分取操作が終了した前記親検体容器を搬出する親検体容器搬出部とを備えている。
したがって、検体の搬入出、ラベル発行、分注処理等の一連の処理作業が、全て自動的に行なわれるので、検体が作業員に触れるおそれがなく、感染防止上きわめて有用であり、しかも検体検査前処理工程を自動的に実行処理することができる。
【特許文献1】特開2002−14109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、親検体搬送部と子検体搬送部が複雑であるとともに、親検体搬出ラック及び子検体搬出ラックに対する検体の搬入・搬出を1本単位で行なっているために処理能率が悪いという問題がある。
本発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、試験管搬送路の途中に設けられた分取・分注装置によって、同搬送路を搬送する検体入り試験管内の検体を分取し、ラック搬送路上のサンプルカップに分注することが能率的に処理でき、また検体入り試験管の搬送路及びサンプルカップラックの搬送路の構成の簡素化を図るとともに、処理能率の向上を図ることができる検体前処理搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記目的を達成するために、請求項1は、検体入り試験管24を試験管ホルダー24Aに保持して立位状態で1本づつ搬送する試験管搬送路13と、前記試験管搬送路13と平行に設けられ、少なくとも5本のサンプルカップ34を1組としてサンプルカップラック35に立位状態で保持し、このサンプルカップラック35を搬送するラック搬送路14と、前記検体入り試験管24を前記試験管搬送路13に搬入する検体入り試験管搬入部15と、前記サンプルカップラック35を前記ラック搬送路14に搬入するラック搬入部16と、前記試験管搬送路13の途中に設けられ、同搬送路を搬送する前記検体入り試験管13を少なくとも5本1組として同試験管内の検体を同時に分取し、前記ラック搬送路14上の少なくとも5本のサンプルカップ34に同時に分注する分取・分注装置36と、前記ラック搬送路14の下流側に設けられ、検体が収容された前記サンプルカップラック35を受け入れて検体を分析する分析装置21とを具備したことを特徴とする検体前処理搬送装置にある。
請求項2は、検体入り試験管24を試験管ホルダー24Aに保持して立位状態で1本づつ搬送する試験管搬送路13と、前記試験管搬送路13と平行に設けられ、複数本のサンプルカップ34を1組としてサンプルカップラック35に立位状態で保持し、このサンプルカップラック35を搬送するラック搬送路14と、バーコードが表示された前記検体入り試験管24を複数本づつ前記試験管搬送路13に搬入する検体入り試験管搬入部15と、複数本のサンプルカップ34を立位状態で保持したサンプルカップラック35を前記ラック搬送路14に搬入するラック搬入部16と、前記検体入り試験管搬入部15より下流側の前記試験管搬送路13に設けられ、前記バーコードを読み取り、前記検体入り試験管24を、分注依頼のある試験管と分注依頼のない試験管とに区分けするバーコードリーダ26と、前記バーコードリーダ26より下流側の前記試験管搬送路13が分岐して設けられ、前記バーコードリーダ26の読み取り結果によって分注依頼のある試験管と分注依頼のない試験管とを分岐部27で振り分けて搬送する分注有り搬送ライン31及び分注無し搬送ライン31と、前記分注有り搬送ライン31の途中に設けられ、同搬送ラインを搬送する前記検体入り試験管24を複数本を1組として同試験管内の検体を分取し、前記ラック搬送路14上の複数本のサンプルカップ34に同時に分注する分取・分注装置36と、前記ラック搬送路14の下流側に設けられ、検体が収容された前記サンプルカップラック35を受け入れて検体を分析する分析装置21と、前記分析装置21より上流側の前記ラック搬送路14に設けられ、前記サンプルカップラック35の前記分析装置21への搬入量を制御するラック待機ユニット43とを具備したことを特徴とする検体前処理搬送装置にある。
【0006】
請求項3は、請求項1または2の前記試験管搬送路13は、前記検体入り試験管24を立位状態で保持する試験管ホルダー24Aを搬送するベルトコンベア式であり、前記検体入り試験管搬入部15を有する往路13aと、この往路13aと平行する復路13b及び前記往路13aと復路13bとの上流端と下流端を連結する連結路13d,13eとからなり、前記検体入り試験管24がピックアップされた空の試験管ホルダー24Aは、前記復路13bを介して前記検体入り試験管搬入部15に復帰することを特徴とする。
請求項4は、請求項1または2の前記検体入り試験管24を試験管ホルダー24Aに保持して立位状態で1本づつ搬送する前記試験管搬送路13と複数本のサンプルカップ34を1組としてサンプルカップラック35に立位状態で保持して搬送するラック搬送路14とは平行に、しかも直線的に設けられ、前記試験管搬送路13とラック搬送路14に面して前記分取・分注装置36及びラック待機ユニット43が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、試験管搬送路の途中に設けられた分取・分注装置は、同搬送路を搬送する検体入り試験管を少なくとも5本1組として同試験管内の検体を同時に分取し、ラック搬送路上の少なくとも5本のサンプルカップに同時に分注することができ、能率的に処理できるという効果がある。また、検体入り容器の搬送路及びサンプルカップラックの搬送路の構成の簡素化を図るとともに、処理能率の向上を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は検体前処理搬送装置の第1の実施形態の全体を示す概略的平面図である。まず、検体前処理搬送装置の概略的構成を説明すると、図1に示すように、第1の搬送ライン11と第2の搬送ライン12が平行に設けられ、この第1と第2の搬送ライン11,12には同一構成であるため、第1の搬送ライン11について説明すると、試験管搬送路13とラック搬送路14とが平行して設けられている。試験管搬送路13の最も上流側には親検体としての検体入り試験管搬入部15が、ラック搬送路14の最も上流側にはラック搬入部16が設けられている。
【0010】
試験管搬送路13にはその上流側から下流側に向って分取・分注エリア17及び検体仕分け・搬出エリア18が設けられている。試験管搬送路13の下流端は直角の搬送方向変換部19を介して連絡路20に接続されている。この連絡路20には3基の分析装置21(21A,21B,21C)が設けられている。
【0011】
次に、前記第1の搬送ライン11の各部の構成を具体的に説明する。図2に示すように、第1の搬送ライン11の試験管搬送路13はベルトコンベア式であり、上流側から下流側に走行する往路13aと下流側から上流側に走行する復路13bが平行して設けられている。検体入り試験管搬入部15における往路13aは、その途中からエラーライン13cが設けられている。さらに、復路13bの最も下流端は往路13aの上流端に連結路13dによって接続されている。
【0012】
前記検体入り試験管搬入部15について説明すると、図3に示すように、往路13aの側部に面して試験管ラック架設部22が設けられている。試験管ラック架設部22には複数個(本実施形態においては8個)の試験管ラック23が配置されている。試験管ラック23は横列5本、縦列10本、合計50本の検体入り試験管24を立位状態で収納できるようになっている。検体入り試験管24は、図4に示すように、75mmと100mmの2種類があり、側壁の所定の位置にはバーコードを表示したラベル25が貼着されている。
【0013】
前記試験管搬送路13には、例えば、特開2003−211006号公報等で公知である試験管ホルダー24Aが立位状態に載置され、検体入り試験管24が1本づつ保持されて搬送されるようになっている。すなわち、試験管ホルダー24Aは、試験管搬送路13の往路13aに1列縦隊に配置され、試験管ラック23からロボットアーム(図示しない)によって検体入り試験管24が試験管ホルダー24Aに移載されるようになっいる。この場合、試験管ラック23からロボットアームによって横一列(5本)の検体入り試験管24が同時に試験管ホルダー24Aにセットされるようになっている。
図3に示すように、往路13aの側部には検体入り試験管24のバーコードを読み取る第1のバーコードリーダ26が設けられている。さらに、往路13aとエラーライン13cとの分岐部27には読み取りと読み取りエラーとを振り分け、読み取りエラーの検体入り試験管24をエラーライン13cに排除する第1のゲート28が設けられている。エラーライン13cに排除された検体入り試験管24が例えば5本で満杯となり、オペレータに警報で報知するようになっている。オペレータは警報で報知されると、エラーライン13cの検体入り試験管24を人手によって試験管ホルダー24Aから抜き取り、試験管ラック23に戻す作業を行なう。
図3及び図5に示すように、第1のゲート28より下流側の往路13aには検体入り試験管24を、分注依頼のある試験管と分注依頼のない試験管とを読み取る第2のバーコードリーダ29が設けられている。さらに、第2のバーコードリーダ29の下流側には分岐部30が設けられている。往路13aは分岐部30から分注有り搬送ライン31と分注無し搬送ライン32とに分離され、分岐部30には検体入り試験管24を分注有り搬送ライン31と分注無し搬送ライン32とに振り分ける第2のゲート33が設けられている。
【0014】
試験管搬送路13の往路13aの分注有り搬送ライン31と分注無し搬送ライン32は平行であり、前記復路13bとともに3列の搬送ラインが形成されている。さらに、復路13bに平行して前記ラック搬送路14が設けられている。ラック搬送路14も試験管搬送路13と同様にベルトコンベア式であり、このラック搬送路14の最も上流側のラック搬入部16には子検体としての例えば5本のサンプルカップ34を1組として立位状態で保持するサンプルカップラック35が保管されている。サンプルカップラック35は、図6(b)に示すように、長方形状のラック本体35aに検体入り試験管24と略同様の形状の5本のサンプルカップ34が保持され、ラック搬送路14を介して分取・分注エリア17に搬送されるようになっている。
【0015】
分取・分注エリア17には往路13aに面して、例えば、特開2005−233765号公報に示すように、公知の分取・分注装置36が設けられている。分取・分注装置36は、図6(a)に示すように、ディスポーザブルの5本一組の分取・分注チップ36aが1列の5本の検体入り試験管24の開口に対向するように昇降ホルダー36bに支持されている。そして、昇降ホルダー36bが昇降機構(図示しない)によって昇降するようになっている。すなわち、分注有り搬送ライン31上に5本の検体入り試験管24が縦一列に停止したとき、5本の分取・分注チップ36aによって5本の検体入り試験管24から所定量の血清を分取し、分取した血清は分取・分注チップ36aによって5本一組のサンプルカップ34に同時に分注するようになっている。
分取・分注エリア17の下流側にはインクジェット装置37が設けられている。インクジェット装置37は、図7に示すように、検体入り試験管24の側壁に対してシーケンス番号(4桁)38と分注機号機番号(3桁)39のナンバリングを行なうもので、分注有り搬送ライン31と分注無し搬送ライン32に対してノズル(図示しない)が進退してナンバリングを行なう。なお、分取・分注装置36で分注エラーが発生した場合は、分注機号機番号(3桁)39に「E」が付加される。
前記検体仕分け・搬出エリア18で、インクジェット装置37の下流側にはエラー検体排出ユニット40が設けられている。エラー検体排出ユニット40は、図2に示すように、往路13aに面して設けた搬出用ラック架設部41と、この搬出用ラック架設部41に配置された複数個の試験管ラック42とを備えている。試験管ラック42は、前記試験管ラック23と同様に、横列5本、縦列10本、合計50本の検体入り試験管24を立位状態で収納できる。そして、分注有り搬送ライン31上の試験管ホルダー24Aからロボットアーム(図示しない)によって5本単位で検体入り試験管24をピックアップして試験管ラック42に移載されるようになっている。エラー検体排出ユニット40の下流側には往路13aの分注有り搬送ライン31と分注無し搬送ライン32の下流端と復路13bの上流端とを接続する連結路13eが設けられている。
【0016】
さらに、検体仕分け・搬出エリア18には、前記分析装置21A,21B,21Cへの搬入量を制御するラック待機ユニット43が設けられている。ラック待機ユニット43は、図8に示すように、ラック搬送路14に面してラックストッカ44が設けられている。このラックストッカ44はラック搬送路14に面して開口する開口部45が設けられ、ラック搬送路14を搬送するサンプルカップラック35を幅方向(搬送方向と直角方向)に移動させてラックストッカ44に収納できるようになっている。すなわち、分析装置21A,21B,21Cが満杯のときにサンプルカップラック35を一時的に退避して分析装置21A,21B,21Cへの搬入量を制御できるようになっている。
【0017】
ラック待機ユニット43より下流側のラック搬送路14にはラック割り込み搬入ユニット46が設けられている。ラック割り込み搬入ユニット46は、図9に示すように、ラック搬送路14に面して搬入ストッカ47が設けられている。この搬入ストッカ47はラック搬送路14に面して開口する開口部48が設けられ、マニュアル分注後、バックアップ機等で分注されたサンプルカップ34を収納したサンプルカップラック35を人手により投入できるようになっている。そして、搬入ストッカ47の開口部48からラック搬送路14にサンプルカップラック35を割り込み搬入できるようになっている。
【0018】
ラック搬送路14の下流端と連絡路20とを直角に結ぶ搬送方向変換部19は、図10に示すように、ベース49に対して少なくとも90°反転可能な回転テーブル50が設けられている。この回転テーブル50の中央部には径方向にレール51が設けられ、レール51にサンプルカップラック35を保持した状態で回転テーブル50を90°回転させることにより、サンプルカップラック35をラック搬送路14から連絡路20に方向変換できるようになっている。なお、搬送方向変換部19に設けられた90°反転可能な回転テーブル50は、連絡路20と分析装置21A,21B,21Cとを結ぶ分岐部52にも設けられている。
【0019】
次に、前述のように構成された検体前処理搬送装置の作用を説明する。
本実施形態においては、第1の搬送ライン11と第2の搬送ライン12が同時に作動し、各搬送ライン11,12の試験管搬送路13を介して検体入り試験管24が試験管ホルダー24Aに支持されて搬送されるとともに、ラック搬送路14を介してサンプルカップ34がサンプルカップラック35に支持されて搬送される。そして、第1の搬送ライン11と第2の搬送ライン12から搬送されたサンプルカップ34を有するサンプルカップラック35は連絡路20を介して分析装置21A,21B,21Cに搬送されて検体が分析処理される。
第1の搬送ライン11及び第2の搬送ライン12は同一作用であるため、第1の搬送ライン11について説明する。試験管ラック23に収納されている横一列の5本の検体入り試験管24はロボットアームによって同時に把持されて試験管搬送路13の往路13aに搬入される。このとき、往路13aには試験管ホルダー24Aが待機しているため、5本の検体入り試験管24は試験管ホルダー24Aにセットされて往路13a上を搬送する。
検体入り試験管24にはバーコードを表示したラベル25が貼付されているため、バーコードはバーコードリーダ26によって読み取られる。バーコードリーダ26によってバーコードを読み取れない、読み取りエラーが発生した場合、第1のゲート28が作動し、その検体入り試験管24をエラーライン13cに排除する。バーコードリーダ26によって読み取られた検体入り試験管24は往路13aの分岐部27を通過する。往路13aの分岐部27より下流側には第2のバーコードリーダ29が設けられているため、この第2のバーコードリーダ29によってバーコードを読み取り、検体入り試験管24は第2のゲート33によって分注依頼のある試験管と分注依頼のない試験管とに振り分けられる。
分注依頼のある試験管としての検体入り試験管24は分注有り搬送ライン31を搬送して分取・分注エリア17に搬送され、分注依頼のない試験管としての検体入り試験管24は分注無し搬送ライン32を搬送する。一方、ラック搬送路14のラック搬入部16からサンプルカップ34を支持したサンプルカップラック35が搬送され、分取・分注エリア17に搬入されている。
【0020】
分取・分注エリア17の往路13aに面して設けられた分取・分注装置36の5本一組の分取・分注チップ36aは、分注有り搬送ライン31上の5本の検体入り試験管24から所定量の血清を分取し、分取した血清は分取・分注チップ36aによってラック搬送路14上の5本一組のサンプルカップ34に同時に分注する。そして、分注が完了した5本一組のサンプルカップ34はサンプルカップラック35によって検体仕分け・搬出エリア18へ搬送される。
分注が完了した検体入り試験管24が分注有り搬送ライン31を介して分取・分注エリア17の下流側のインクジェット装置37に到達すると、インクジェット装置37は、検体入り試験管24の側壁に対してシーケンス番号(4桁)38と分注機号機番号(3桁)39のナンバリングを行なう。このとき、分注無し搬送ライン32に対してもノズルが進退して検体入り試験管24にナンバリングを行なう。
分注が完了した検体入り試験管24は、分注有り搬送ライン31上の試験管ホルダー24Aからロボットアーム(図示しない)によって5本単位で検体入り試験管24をピックアップして試験管ラック42に移載される。また、往路13aの分注有り搬送ライン31と分注無し搬送ライン32は連結路13eを介して復路13bに接続されているため、試験管ホルダー24Aは復路13bを介して上流側に戻される。
また、分取・分注が完了してラック搬送路14を搬送する5本一組のサンプルカップ34を有するサンプルカップラック35は分析装置21A,21B,21Cへ搬入されるが、分析装置21A,21B,21Cが満杯のときは、ラック搬送路14を搬送するサンプルカップラック35を幅方向(搬送方向と直角方向)に移動させてラックストッカ44に収納し、サンプルカップラック35を一時的に退避して分析装置21A,21B,21Cへの搬入量を制御する。
【0021】
ラック待機ユニット43より下流側のラック割り込み搬入ユニット46は、マニュアル分注後、バックアップ機等で分注されたサンプルカップ34を収納したサンプルカップラック35を搬入ストッカ47に人手により投入する。そして、搬入ストッカ47の開口部48からラック搬送路14にサンプルカップラック35を割り込み搬入できる。
【0022】
このように親検体としての検体入り試験管24は試験管搬送路13を搬送中に、自動的に分取・分注装置36によって血清が分取され、サンプルカップ34に分注される。サンプルカップ34に分注された血清はサンプルカップラック35によって分析装置21A,21B,21Cへの搬入されて分析される。なお、分取・分注装置36は、5本の分取・分注チップ36aによって5本の検体入り試験管24から所定量の血清を分取し、分取した血清は分取・分注チップ36aによって5本一組のサンプルカップ34に同時に分注するようにしたが、5本に限らず、10本でもよく、少なくとも5本が望ましい。
また、第1の搬送ライン11と第2の搬送ライン12を同時に作動させることにより、分析装置21A,21B,21Cの処理能力に応じて搬入量を制御でき、処理能力を向上できる。
なお、本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態を示し、検体前処理搬送装置全体の概略的平面図。
【図2】同実施形態を示し、試験管搬送路とラック搬送路の平面図。
【図3】同実施形態を示し、検体入り試験管搬入部の平面図。
【図4】同実施形態を示し、検体入り試験管の正面図。
【図5】同実施形態を示し、分注有り搬送ラインと分注無し搬送ラインの分岐部の平面図。
【図6】同実施形態を示し、(a)は分取・分注装置の正面図、(b)はサンプルカップ用ラックの正面図。
【図7】同実施形態を示し、検体入り試験管の正面図。
【図8】同実施形態を示し、ラック待機ユニットの平面図。
【図9】同実施形態を示し、ラック割り込み搬入ユニットの平面図。
【図10】同実施形態を示し、搬送方向変換部の平面図。
【図11】同実施形態を示し、検体前処理搬送装置の作用を示すブロック図。
【符号の説明】
【0024】
13…試験管搬送路、13a…往路、13b…復路、13d,13e…連結路、14…ラック搬送路、15…検体入り試験管搬入部、16…ラック搬入部、21…分析装置、24…検体入り試験管、24A…試験管ホルダー、26…バーコードリーダ、31…分注有り搬送ライン、32…分注無し搬送ライン、34…サンプルカップ、35…サンプルカップラック、36…分取・分注装置、43…ラック待機ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体入り試験管を試験管ホルダーに保持して立位状態で1本づつ搬送する試験管搬送路と、
前記試験管搬送路と平行に設けられ、少なくとも5本のサンプルカップを1組としてサンプルカップラックに立位状態で保持し、このサンプルカップラックを搬送するラック搬送路と、
前記検体入り試験管を前記試験管搬送路に搬入する検体入り試験管搬入部と、
前記サンプルカップラックを前記ラック搬送路に搬入するラック搬入部と、
前記試験管搬送路の途中に設けられ、同搬送路を搬送する前記検体入り試験管を少なくとも5本1組として同試験管内の検体を同時に分取し、前記ラック搬送路上の少なくとも5本のサンプルカップに同時に分注する分取・分注装置と、
前記ラック搬送路の下流側に設けられ、検体が収容された前記サンプルカップラックを受け入れて検体を分析する分析装置と、
を具備したことを特徴とする検体前処理搬送装置。
【請求項2】
検体入り試験管を試験管ホルダーに保持して立位状態で1本づつ搬送する試験管搬送路と、
前記試験管搬送路と平行に設けられ、複数本のサンプルカップを1組としてサンプルカップラックに立位状態で保持し、このサンプルカップラックを搬送するラック搬送路と、
バーコードが表示された前記検体入り試験管を複数本づつ前記試験管搬送路に搬入する検体入り試験管搬入部と、
複数本のサンプルカップを立位状態で保持したサンプルカップラックを前記ラック搬送路に搬入するラック搬入部と、
前記検体入り試験管搬入部より下流側の前記試験管搬送路に設けられ、前記バーコードを読み取り、前記検体入り試験管を、分注依頼のある試験管と分注依頼のない試験管とに区分けするバーコードリーダと、
前記バーコードリーダより下流側の前記試験管搬送路が分岐して設けられ、前記バーコードリーダの読み取り結果によって分注依頼のある試験管と分注依頼のない試験管とを分岐部で振り分けて搬送する分注有り搬送ライン及び分注無し搬送ラインと、
前記分注有り搬送ラインの途中に設けられ、同搬送ラインを搬送する前記検体入り試験管を複数本を1組として同試験管内の検体を分取し、前記ラック搬送路上の複数本のサンプルカップに同時に分注する分取・分注装置と、
前記ラック搬送路の下流側に設けられ、検体が収容された前記サンプルカップラックを受け入れて検体を分析する分析装置と、
前記分析装置より上流側の前記ラック搬送路に設けられ、前記サンプルカップラックの前記分析装置への搬入量を制御するラック待機ユニットと、
を具備したことを特徴とする検体前処理搬送装置。
【請求項3】
前記試験管搬送路は、前記検体入り試験管を立位状態で保持する試験管ホルダーを搬送するベルトコンベア式であり、前記検体入り試験管搬入部を有する往路と、この往路と平行する復路及び前記往路と復路との上流端と下流端を連結する連結路とからなり、前記検体入り試験管がピックアップされた空の試験管ホルダーは、前記復路を介して前記検体入り試験管搬入部に復帰することを特徴とする請求項1または2記載の検体前処理搬送装置。
【請求項4】
前記検体入り試験管を試験管ホルダーに保持して立位状態で1本づつ搬送する前記試験管搬送路と複数本のサンプルカップを1組としてサンプルカップラックに立位状態で保持して搬送するラック搬送路とは平行に、しかも直線的に設けられ、前記試験管搬送路とラック搬送路に面して前記分取・分注装置及びラック待機ユニットが配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の検体前処理搬送装置。
【請求項1】
検体入り試験管を試験管ホルダーに保持して立位状態で1本づつ搬送する試験管搬送路と、
前記試験管搬送路と平行に設けられ、少なくとも5本のサンプルカップを1組としてサンプルカップラックに立位状態で保持し、このサンプルカップラックを搬送するラック搬送路と、
前記検体入り試験管を前記試験管搬送路に搬入する検体入り試験管搬入部と、
前記サンプルカップラックを前記ラック搬送路に搬入するラック搬入部と、
前記試験管搬送路の途中に設けられ、同搬送路を搬送する前記検体入り試験管を少なくとも5本1組として同試験管内の検体を同時に分取し、前記ラック搬送路上の少なくとも5本のサンプルカップに同時に分注する分取・分注装置と、
前記ラック搬送路の下流側に設けられ、検体が収容された前記サンプルカップラックを受け入れて検体を分析する分析装置と、
を具備したことを特徴とする検体前処理搬送装置。
【請求項2】
検体入り試験管を試験管ホルダーに保持して立位状態で1本づつ搬送する試験管搬送路と、
前記試験管搬送路と平行に設けられ、複数本のサンプルカップを1組としてサンプルカップラックに立位状態で保持し、このサンプルカップラックを搬送するラック搬送路と、
バーコードが表示された前記検体入り試験管を複数本づつ前記試験管搬送路に搬入する検体入り試験管搬入部と、
複数本のサンプルカップを立位状態で保持したサンプルカップラックを前記ラック搬送路に搬入するラック搬入部と、
前記検体入り試験管搬入部より下流側の前記試験管搬送路に設けられ、前記バーコードを読み取り、前記検体入り試験管を、分注依頼のある試験管と分注依頼のない試験管とに区分けするバーコードリーダと、
前記バーコードリーダより下流側の前記試験管搬送路が分岐して設けられ、前記バーコードリーダの読み取り結果によって分注依頼のある試験管と分注依頼のない試験管とを分岐部で振り分けて搬送する分注有り搬送ライン及び分注無し搬送ラインと、
前記分注有り搬送ラインの途中に設けられ、同搬送ラインを搬送する前記検体入り試験管を複数本を1組として同試験管内の検体を分取し、前記ラック搬送路上の複数本のサンプルカップに同時に分注する分取・分注装置と、
前記ラック搬送路の下流側に設けられ、検体が収容された前記サンプルカップラックを受け入れて検体を分析する分析装置と、
前記分析装置より上流側の前記ラック搬送路に設けられ、前記サンプルカップラックの前記分析装置への搬入量を制御するラック待機ユニットと、
を具備したことを特徴とする検体前処理搬送装置。
【請求項3】
前記試験管搬送路は、前記検体入り試験管を立位状態で保持する試験管ホルダーを搬送するベルトコンベア式であり、前記検体入り試験管搬入部を有する往路と、この往路と平行する復路及び前記往路と復路との上流端と下流端を連結する連結路とからなり、前記検体入り試験管がピックアップされた空の試験管ホルダーは、前記復路を介して前記検体入り試験管搬入部に復帰することを特徴とする請求項1または2記載の検体前処理搬送装置。
【請求項4】
前記検体入り試験管を試験管ホルダーに保持して立位状態で1本づつ搬送する前記試験管搬送路と複数本のサンプルカップを1組としてサンプルカップラックに立位状態で保持して搬送するラック搬送路とは平行に、しかも直線的に設けられ、前記試験管搬送路とラック搬送路に面して前記分取・分注装置及びラック待機ユニットが配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の検体前処理搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−76185(P2008−76185A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254773(P2006−254773)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(397054691)株式会社アイディエス (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(397054691)株式会社アイディエス (10)
【Fターム(参考)】
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