検査方法、検査装置および検査用プログラム
【課題】基板の検査に際し、被検査部位の種類等に応じた検査ができ、かつ、検査時間を短縮できる、検査方法、検査装置および検査用プログラムを提供する。
【解決手段】X線源2からX線が出力され、検査対象である基板を透過したX線が、FPD(フラットパネルディテクタ)において、X線透視画像として撮影される。X線CTによる再構成データの生成のための撮影は、トモシンセシスによる再構成データ生成のための撮影と同様に、X線源2の光軸Lを軸とした仮想円300上の位置301〜308で行なわれる。そして、X線CTによる再構成データの生成の際には、位置302〜308のそれぞれで得られたX線透視画像が、位置302A〜308Aで撮影されたかのように、仮想円300上の回転位置に応じて、各X線透視画像の中心を軸とし、アフィン変換を用いて、各画像が回転するようデータを変換された後、フィルタ処理を施される。
【解決手段】X線源2からX線が出力され、検査対象である基板を透過したX線が、FPD(フラットパネルディテクタ)において、X線透視画像として撮影される。X線CTによる再構成データの生成のための撮影は、トモシンセシスによる再構成データ生成のための撮影と同様に、X線源2の光軸Lを軸とした仮想円300上の位置301〜308で行なわれる。そして、X線CTによる再構成データの生成の際には、位置302〜308のそれぞれで得られたX線透視画像が、位置302A〜308Aで撮影されたかのように、仮想円300上の回転位置に応じて、各X線透視画像の中心を軸とし、アフィン変換を用いて、各画像が回転するようデータを変換された後、フィルタ処理を施される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査方法、検査装置および検査用プログラムに関し、特に、X線断層画像を生成することにより検査対象物に関する検査を行なう検査方法、検査装置および検査用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装基板を対象にX線による断層画像を生成し、生成された画像を用いて部品側電極と基板との接合状態やはんだ電極の内部構造などを検査する手法の一例として、X線CT(Computed Tomography)がある。
【0003】
特許文献1(特開2006−292465号公報)には、X線CTを用いた基板の検査に関する技術の一例が開示されている。
【0004】
図18(A)を参照して、特許文献1には、検査対象となる基板920上のバンプをX線検出器950の視野内に移動させてX線画像を取得する技術が開示されている。X線発生器900の焦点Fから鉛直方向に延ばした軸Aを中心に半径Rの円周上を、X線検出器950は、回転可能に構成されている。αは、軸Aに対する、X線検出器950の傾斜角度である。ここでは、X線検出器950の回転動作が行なわれるとともに、回転後のX線検出器950の視野内に検査対象であるバンプが含まれるように基板920がX−Y平面内で移動される。基板920のZ軸方向の位置を固定した状態で、X線検出器920の視野領域FOVを移動させ、視野領域FOVの複数の状態で、X線検出器950にX線画像を撮影させる。そして、Z軸方向の位置を変化させながら、X−Y平面内での複数の視野領域FOVについて、X線画像を撮影する。そして、複数のZ軸方向について得られた、それぞれの複数の視野領域FOVについてのX線画像を用いて、三次元画像の再構成演算が行なわれる。
【0005】
このようなX線CTのための撮影では、X−Y平面内では、図18(B)に示されるように、X線検出器920の視野領域FOVは、X線発生器900の焦点Fの鉛直上の対応点であるOを中心として回転するFOV1〜FOV4のように変化する。
【0006】
また、基板の断層画像の生成方法として、X線CTよりも簡易に基板の断層画像を生成する方法である、トモシンセシスにより基板の断層画像を生成する方法がある。たとえば、特許文献2(特開2005−121633号公報)に、この方法による断層画像の生成について開示されている。特許文献2では、図19を参照して、X線源900がその光軸AXを垂直方向の上方に向けて配置され、その上方において、検査対象物921である基板を支持するXYステージが、さらにその上方に、二次元X線検出器を支持するXYステージが、配置されている。図19において、円軌道R1,R2は、それぞれX線源900の光軸AX(破線)を中心とする円軌道である。そして、各XYステージが円軌道R1,R2に沿って移動されながら、所定角度ごとに停止されて、撮影が行なわれる。そして、各撮影により生成された画像(P1〜P4)が合成されて、断層画像が生成される。
【0007】
特許文献2に記載されているように、トモシンセシス用の撮影では、所定高さの平面を対象に、この対象平面の各構成点が毎時の画像の同じ座標に投影される一方、その上下の平面の各構成点が撮影ごとに異なる座標に投影されるように、毎時の撮影におけるX線源およびX線検出器ならびに基板の関係を調整する。この結果、各画像を合成すると、対象平面の構成点が重畳されて明瞭になる一方で、他の平面の構成点は不鮮明になる。これにより、対象平面についてノイズが軽減された断層画像を生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−292465号公報
【特許文献2】特開2005−121633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
トモシンセシスによる断層画像とX線CT画像とを比較すると、精度の面では後者の方が一般的に優れている。しかし、X線CTでは、演算が複雑になるため、断層画像の生成に要する時間が長くなる。これに対し、トモシンセシスによれば、演算が簡単であるので、比較的短い時間で断層画像を得ることができる。一方で、トモシンセシスによると、被検査部位の形状や周囲の構成物との関係によっては、断層画像中に無視できないノイズ成分が含まれることがある。
【0010】
このような事情から、基板の製造および検査を行なう事業者では、被検査部位の種類や被検査部位の周囲の状態に応じて、X線CTとトモシンセシスとを選択して実行することが希望される。
【0011】
しかしながら、X線CT画像を生成するための撮影とトモシンセシスの断層画像を生成するための撮影とは、撮影方式が異なっていた。つまり、X線CT画像用の撮影では、二次元X線検出器の姿勢は、図20(A)に示されるように、位置951〜958に示されるように、撮影ごとに、X線源900の光軸を中心とした円軌道上を回転するように制御されるとともに、各検出領域の中心を軸としても回転するように制御されていた。なお、図20(A)は、二次元X線検出器とX線源とを、X線源の光軸方向の上方から見た図に相当する。
【0012】
一方、トモシンセシスによる画像用の撮影では、図20(C)に位置911〜918として示すように、二次元X線検出器の姿勢は、撮影ごとに、X線源900の光軸を中心とした円軌道上を回転するよう制御されるのみであって、位置の変化によって、その中心を軸として回転されるよう制御されることはない。
【0013】
したがって、X線CT用の撮影後にトモシンセシス用の撮影に撮影方式を切換える場合、図20(A)の領域908と示された二次元X線検出器の姿勢を、二次元X線検出器に接続されたケーブルが捩じれを解消するように、つまり、図20(B)中の位置D1から位置D2となるように、トモシンセシス用の撮影の開始位置まで回転させる必要が生じる。したがって、検査のための撮影に、無駄なタクトタイムが含まれることとなる。
【0014】
本発明はかかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、基板の検査に際し、被検査部位の種類等に応じた検査ができ、かつ、検査時間を短縮できる、基板検査方法、検査装置および基板検査用プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に従った検査方法は、X線源から出力され検査対象物の検査対象領域を透過したX線をX線検出部で撮像し、撮像された画像に基づいて、前記検査対象領域の3次元データを再構成する検査方法であって、前記X線源の光軸を中心とする仮想円上で前記X線検出部の位置を変化させるステップと、当該仮想円上の複数の位置のそれぞれにおいて、前記X線検出部にX線透視撮影をさせるステップと、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいてX線CT(Computed Tomography)画像を生成するステップと、前記X線CT画像の生成に用いたものと同一のX線透視撮影の結果に基づいてトモシンセシスの断層画像を生成するステップとを備える。
【0016】
また、本発明に従った検査方法は、前記X線CT画像を生成するステップでは、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果として得られた各画素のデータを、当該X線検出部の撮影位置についての前記X線源の光軸を中心とする仮想円上での回転角度に応じた方向にフィルタ処理を施すことが好ましい。
【0017】
また、本発明に従った検査方法は、前記X線CT画像を生成するステップでは、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果として得られた各画素のデータを、当該X線検出部の撮影位置についての前記X線源の光軸を中心とする仮想円上での回転角度に応じて、当該データの中心画素を中心として回転させた後、当該データに対して前記フィルタ処理を施すことが好ましい。
【0018】
また、本発明に従った検査方法は、前記X線CT画像を生成するステップでは、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果として得られた各画素のデータに対して、当該X線検出部の撮影位置についての前記X線源の光軸を中心とする仮想円上での回転角度に応じた方向にフィルタ処理を施すことが好ましい。
【0019】
また、本発明に従った検査方法では、前記フィルタ処理の方向は、前記仮想円上での回転角度について、一定の角度の範囲ごとに決定されることが好ましい。
【0020】
また、本発明に従った検査方法では、前記X線CT画像を生成するステップは、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいて第1の再構成画素を生成するステップと、前記第1の再構成画素に対してフィルタ処理を施すことにより、第2の再構成画素を生成するステップと、前記第2の再構成画素に基づいて前記X線断層画像を生成するステップとを含むことが好ましい。
【0021】
本発明に従った検査装置は、検査対象物を、2方向に駆動軸を有する移動機構により移動可能に支持する第1のステージと、前記第1のステージの上方または下方に光軸を垂直方向に向けて固定配置されるX線源と、X線検出部と、前記X線検出部を前記第1のステージを挟んで前記X線源に対向する位置で前記第1のステージの各駆動軸に平行な駆動軸を有する移動機構により移動可能に支持する第2のステージと、前記X線検出部の検出出力に基づいて前記基板の検査領域のX線断層画像を生成する制御部とを備え、前記制御部は、前記X線源の光軸を中心とする仮想円上で前記X線検出部の位置を変化させ、当該仮想円上の複数の位置のそれぞれにおいて、前記X線検出部にX線透視撮影をさせ、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいてX線CT(Computed Tomography)画像を生成し、前記X線CT画像の生成に用いたものと同一のX線透視撮影の結果に基づいてトモシンセシスの断層画像を生成する。
【0022】
本発明に従った検査用プログラムは、X線源から出力され検査対象物の検査対象領域を透過したX線をX線検出部で撮像し、撮像された画像に基づいて、前記検査対象領域の3次元データを再構成する検査装置に実行させるコンピュータ読取可能な検査用プログラムであって、前記検査装置に、前記X線源の光軸を中心とする仮想円上で前記X線検出部の位置を変化させるステップと、当該仮想円上の複数の位置のそれぞれにおいて、前記X線検出部にX線透視撮影をさせるステップと、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいてX線CT(Computed Tomography)画像を生成するステップと、前記X線CT画像の生成に用いたものと同一のX線透視撮影の結果に基づいてトモシンセシスの断層画像を生成するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、X線CT画像の生成と、トモシンセシスによる断層画像が、同一のX線透視撮影の結果に基づいて生成できる。
【0024】
したがって、X線CT画像生成用の撮影とトモシンセシスによる断層画像の生成のための撮影との間で、X線検出部にその検出領域を回転移動させる等の作業を要しない。これにより、基板等の検査対象物の検査に際し、被検査部位の種類や被検査部位の周囲の状態に応じて、X線CTとトモシンセシスとを選択して実行することができ、かつ、これらの双方を実行することによるX線検出部の検出領域の回転といった工程を削除できるため、検査時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の検査装置の一実施の形態の概略構成を示す図である。
【図2】図1の検査装置においてX線透視画像を撮影する際のX線源、FPD、基板の位置関係を模式的に示す図である。
【図3】図1の検査装置での、1サイクル分の撮影処理における基板およびFPDの位置の変化の一例を示す図である。
【図4】図1の検査装置における、トモシンセシスの断層画像の再構成処理の原理を説明するための図である。
【図5】図1の検査装置における撮影処理でのX線源とFPDとの位置関係の変化を模式的に示す図である。
【図6】図1の検査装置におけるX線CTによる再構成データの生成の際の画像データの回転による配列変更について説明するための図である。
【図7】図1の検査装置におけるX線CTによる再構成データの生成における、フィルタ処理の方向を説明するための図である。
【図8】図1の検査装置におけるX線CTによる再構成データの生成における、フィルタ処理の方向を説明するための図である。
【図9】図1の検査装置におけるX線CTによる再構成データの生成における、フィルタ処理の方向を説明するための図である。
【図10】図1の検査装置におけるX線CTによる再構成データの生成態様の一例を説明するための図である。
【図11】図1の演算部が実行する基板検査処理のフローチャートである。
【図12】図11のステップS110のサブルーチンのフローチャートである。
【図13】図11のステップS100のサブルーチンのフローチャートである。
【図14】図13の処理の変形例のフローチャートである。
【図15】図13の処理の他の変形例のフローチャートである。
【図16】図11の基板検査処理の変形例のフローチャートである。
【図17】従来の走査型X線管の構成を説明するための図である。
【図18】従来の検査装置におけるX線CT用の撮影の態様を説明するための図である。
【図19】従来の検査装置におけるトモシンセシス用の撮影の態様を説明するための図である。
【図20】従来の検査装置においてX線CT用の撮影とトモシンセシス用の撮影を行なう場合に想定される課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の検査装置の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、同一の構成要素には各図において同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。
【0027】
本実施の形態の検査装置は、IC(Integrated Circuit)のリードに形成されたパックフィレットや、BGA(Ball Grid Array)を構成するはんだ電極など、外観検査が困難な箇所を対象に、X線による断層画像を再構成し、生成された断層画像を用いて検査を行なうものである。また、本実施の形態の検査装置は、断層画像として、X線CT画像を生成する機能とトモシンセシスによる断層画像を生成する機能を具備する。
【0028】
[1.検査装置の概略構成]
図1は、検査装置の概略構成を示す図である。
【0029】
図1を参照して、検査装置は、検査対象の基板10を支持する基板ステージ1と、その下方に配置されたX線源2と、基板ステージ1の上方に設けられたディテクタステージ4と、当該検査装置の動作を全体的に制御する制御装置7とを含む。
【0030】
基板10には、部品11が実装された状態が示されている。
基板ステージ1は、基板10を長さ方向(図1中の左右方向。以下、これをX方向とする)に沿う各端縁部で支持する1対のコンベア部15A,15B、各コンベア部15A,15Bを固定支持する1対のコンベア支持部16A,16Bを具備する。コンベア部15A,15Bは、図示しない上流機構から基板10の搬入を受付けて、この基板10をコンベア15Aまたはコンベア15Bに設けられたストッパ(図示略)に当接する位置まで搬入して停止する。なお、当該ストッパは、基板10の搬送路に対して出没可能に設けられており、基板10の搬入時に上昇して基板を固定し、検査が終了すると下降する。コンベア15A,15Bは、ストッパの下降に応じて基板10を外部に搬出する。
【0031】
コンベア支持部16A,16Bは、各コンベア部15A,15Bを支持した状態で、基板制御機構78によって駆動制御されることにより、図1中のX方向およびY方向に移動可能に支持されている。コンベア支持部16A,16Bの動きによって、基板10が水平移動する(水平な仮想平面上を移動する)ことになる。
【0032】
ディテクタステージ4には、Y軸方向に沿う1対のスライドレール41A,41B(以下、「Y軸レール41A,41B」という。)と、X軸方向に沿うスライドレール42(以下、「X軸レール42」という。)とが設けられる。各Y軸レール41A,41Bには、1対のスライダ43が設けられる。X軸レール42は、各Y軸レール41A,41Bのスライダ43,43により両端部が連結されて支持される。
【0033】
X軸レール42には、大型のスライダ45が設けられる。スライダ45には、接続部材46を介して、二次元X線検出器としてフラットパネルディテクタ3(以下、「FPD3」と略す。)が取付けられている。
【0034】
検査装置には、さらに、基板10のXY平面内の位置およびこの平面に垂直な高さ方向の位置を検出するためのCCDカメラ5および変位センサ6が設けられている。CCD(Charge Coupled Device)カメラ5の検出出力は、画像処理機構77Bによって処理され、また、変位センサ6の検出出力は、変位計制御機構77Aによって処理される。
【0035】
スライダ43,45は、図示しない駆動モータをディテクタ制御機構75によって駆動制御されることにより、FPD3を移動させる。具体的には、FPD3は、スライダ45の動きに従ってX軸方向に沿って移動するとともに、Y軸レール41A,41Bのスライダ43の動きに従ってY軸方向に沿って移動する。
【0036】
FPD3は、図示せぬケーブルを介して、制御装置7に接続される。また、X線源2、CCDカメラ5、変位センサ6、および各ステージ1,4の駆動部も同様に、制御装置7にケーブル接続される。
【0037】
CCDカメラ5および変位センサ6は、検査前に基板10の状態をチェックする目的で使用される。具体的には、CCDカメラ5は、基板10を正確な位置に位置合わせするために基板10のフィデューシャルマーク19を撮像する。この撮像により生成された画像は、制御装置7の画像処理機構77Bに入力されて、基板10の位置ずれ量の計測に用いられ、その計測値に基づき各ステージ1,4の位置関係が調整される。
【0038】
変位センサ6は、基板10の上面までの距離を測定する。測定された距離データは、制御装置7の変位計制御機構77Aに入力され、X線透視撮影の際に、後述する基準平面Tの高さを調整する目的に使用される。
【0039】
図1には、また、本実施の形態の検査装置の制御装置7の主要部分のブロック図が示されている。
【0040】
制御装置7は、X線透視撮影に関する制御を実行し、また、断層画像の再構成処理や検査を実行する。制御装置7は、たとえば、専用のプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータにより構成される。当該プログラムは、その出荷時に、制御装置7の主記憶部71にインストールされていてもよいし、制御装置7に対して着脱可能な記録媒体に記録されていて適宜制御装置7にインストールされてもよいし、ネットワーク上のサーバからネットワークを通じて制御装置7にダウンロードされてもよい。
【0041】
制御装置7は、CPU(Central Processing Unit)を含む演算部70、補助記憶装置からなる補助記憶部72、キーボードや操作ボタンなどからなり外部からの情報の入力を受付ける入力部73、画像情報や音声などを出力する出力部74、およびX線源2のX線出力動作などを制御するX線源制御機構79を含む。
【0042】
演算部70は、ディテクタ制御機構75等の各機構の動作を制御することにより、X線源2およびFPD3ならびに基板10の位置関係を種々に変更しながら基板10に対するX線透視撮影(プロジェクション)を実行する。また、演算部70は、CCDカメラ5、変位センサ6、コンベア部15A,15Bの動作を制御する機能や、CCDカメラ5からの入力に基づき上記した基板10の位置調整を行なう機能や、変位センサ6からの入力に基づいて撮影時の基準平面Tの高さの設定値を変更し、その変更に併せて基板10やFPD3の移動量を調整する機能も有する。
【0043】
検査装置では、後述するように、基板10の複数の検査領域について、検査領域ごとに、FPD3の位置を変えて、複数回のX線透視撮影を行なう。毎時のX線透視撮影により生成されたX線透視画像は、補助記憶部72に蓄積される。演算部70は、これらの画像に付加情報として、対応する検査領域や撮影時のFPD3の位置を識別する情報を設定し、これらの付加情報を画像に対応付けて補助記憶部72に保存する。演算部70は、再構成によって得られたデータに基づいて、基板10の被検査部位の適否を判定する。判定結果は、たとえばモニタなどの出力部74や外部機器などに出力される。
【0044】
[2.トモシンセシス用の撮影および再構成処理]
図2は、トモシンセシス用の撮影を行なう場合のX線源2、FPD3、および基板10の位置関係を模式的に示した図である。なお、図2では、基板10の一部を拡大して示されている。また、図2では、基板10上には、部品11を接続するはんだ電極12が記載され、そして、基板10の裏面側に実装されている部品13(以下、「裏面部品13」という。)が記載されている。また、図2では、はんだ電極12を含む三次元の検査領域を水平方向に沿って横切る平面である平面Tが記載されている。平面Tは、透視撮影の際の基準として使用される。点Oは、この平面Tの所定位置に設定された基準点である。
【0045】
トモシンセシス用の撮影では、基準点OがX線源2の光軸Lを基準に点対称の位置にある2点P1,P2にそれぞれ位置合わせされるように、基板10を移動させるとともに、位置決めされた基準点OがFPD3の検出面31の中心点Rに投影される位置(図2中の点Q1,Q2)にFPD3を移動させ、これらの位置で撮影を行なう。X線源2からは、円錐状のビームが出射されているので、各位置での基準点Oに対するX線の照射角度は、ほぼ同一となる。また、光軸Lに対する点P1,P2の距離が等しいので、検出面31の中心点Rが位置合わせされる点Q1,Q2の光軸Lに対する距離も等しくなる。したがって、Q1,Q2のいずれの位置における撮影でも、基準点Oを含む平面T内の各点は、検出面31の同一座標に投影される。これに対し、裏面部品13の構成点など、平面Tとは異なる高さにある検査領域中の点は、撮影の位置が変わるたびに、検出面31内の異なる位置に投影される。
【0046】
上記の原理に基づき、本実施の形態では、図3に示されるように、X線源2の光軸を介して対向する関係にある方位の組合せを複数選択し、これらの方位において、それぞれX線源2、FPD3、基板10の三者が、図2に示したのと同様の位置関係を持って停止するよう、演算部70は、基板ステージ1およびディテクタステージ4の各制御機構(基板制御機構78,ディテクタ制御機構75)の動作を制御する。なお、図3中のX1,Y1は、ディテクタステージ4の駆動軸であり、図示しない基板ステージ1の駆動軸と平行、すなわち基板10の各方向の端縁方向に沿う方向に設定される。また、このときのFPD3の二次元画像の座標系の各座標軸の方向も、X1,Y1に合わせられる。
【0047】
図4は、図3に示した4方位に基板10およびFPD3を位置決めして撮影を行なうことにより生成されたX線透視画像A1,A2,A3,A4を、撮影時のFPD3の方位に対応付けて配置するとともに、これらの画像の中央に、各画像を再構成されて得られたデータ中の断層画像Bを配置したものである。なお、図示の便宜上、各画像とも、X線吸収率の高い部位(画像データにおいては階調が高い部位に相当する。)を斜線パターンで示す。
【0048】
各画像A1〜A4中のS1〜S4は、はんだ電極12の投影範囲であり、U1〜U4は、裏面部品13の投影範囲である。図2を参照して説明したように、平面Tにおけるはんだ電極12の構成点は、いずれのX線透視画像A1〜A4でも、それぞれ同一の座標に投影されるが、裏面部品13の構成点が投影される座標は、画像によって変動している。
【0049】
本実施の形態において、トモシンセシスによる再構成データの生成では、上記の点に着目して、各画像間で対応関係にある画素の組ごとに、その組内で最も低いX線吸収率を示す画素のデータを選択し、選択された各データにより断層画像Bを生成する。
【0050】
なお、検査領域の三次元データを得るために複数の平面の断層画像を再構成する場合には、各平面につき、それぞれ基準平面に対する高さの比に基づき各X線透視画像をシフト補正することによって、画像中の対象平面の構成点の座標を同一にして、図4に示したような手法を適用することになる。
【0051】
トモシンセシスによる再構成データの生成によれば、はんだ電極12の投影範囲S1〜S4に対応する画素については、いずれの画像のデータが選択されたとしても、はんだ電極12を表わすデータが選択される。これに対し、はんだ電極12の投影範囲以外の場所については、裏面部品13が投影されていない画像データ(ノイズ成分が最も小さい画像データ)が選択されるため、断層画像Bに裏面部品13の像が現われることはない。
【0052】
図5は、トモシンセシス用の撮影を行なう場合のX線源2とFPD3(の検出領域)の位置関係の変化を模式的に示したものである。
【0053】
図5に示された例では、図3に示した4方位とこれらの方位の中間にある4方位を加えた8方位で、FPD3を停止して、撮影を行なうようにしている。
【0054】
先に説明したように、撮影時のFPD3とX線源2の光軸Lとの距離は常に一定であるので、毎時の撮影におけるFPD3は、光軸Lを中心とする仮想円300上に位置すると考えられる。そこで、この例では、FPD3が上記の仮想円300に沿って上記の8方位に対応する位置に順に移動して(すなわち、FPD3の方位を光軸Lを中心として45°ずつ変更して)、各位置で一時停止するように、ディテクタステージ4の動作を制御する。また、図5では図示を省略しているが、基板10についても同様に、X線源2の光軸Lを中心とする仮想円に沿って移動させ、FPDが停止したときに常に図2に示した関係が成立する位置に停止するように、基板ステージ1の動作を制御する。また、基板ステージ1とディテクタステージ4のX,Y方向の移動量を調整することによって、基板10やFPD3を直線状に移動させて移動を効率よく行なうようにしている。
【0055】
[3.X線CT用の撮影]
本実施の形態では、X線CT用の撮影を行なう場合のX線源2とFPD3との位置関係は、上記したようなトモシンセシス用の撮影を行なう場合と同様のものとされる。つまり、X線CT用の撮影においても、基板10の1つの検査領域について複数回の撮影が行なわれるとき、FPD3の位置は、X線源2の光軸を中心とする仮想円に沿って順に移動するが、図20(A)を参照して説明したように、その検出領域の中心を軸として回転することはない。
【0056】
本実施の形態では、X線CT用の撮影でも、トモシンセシス用の撮影の場合と同様に、FPD3が、X線源2の光軸Lを中心とする仮想円300に沿って所定角度ずつ直線状に移動される。また、基板10についてもトモシンセシス用の撮影と同様に、所定高さの平面T内の1点を基準点Oとして、いずれの撮影においても、基準点Oが撮像面31の中心点Rに投影される関係が維持されるように、基板ステージ1の動作が制御される。
【0057】
[4.X線CTによる再構成処理]
以下、本実施の形態の検査装置における、X線CTによる再構成データの生成態様の具体例を挙げる。
【0058】
4−1.第1の再構成データの生成態様例
本実施の形態の検査装置では、X線透視撮影が行なわれた場合、まず、毎時の撮影により生成された画像について、FPD3の検出面31の法線方向が基板を透過したX線の中心線に合っていないことにより生じるゆがみを補正し、補正後の画像を、基板10の厚みに直交する方向から透視した状態を示す画像に変換する。さらに、変換後の各画像を用いて、処理対象の平面の各構成点のX線吸収率を算出することにより吸収係数データに変換し、当該吸収係数データに対してフィルタ処理を施した後、再構成データを構成する画素(再構成画素)ごとに、撮影により生成されたすべてのプロジェクションデータにおける各再構成画素についての吸収係数データの画素値を加算する。
【0059】
この第1の例では、FPD3をX線源2の光軸を中心とした仮想円上を移動させ、移動させた複数の位置のそれぞれにおいて得られた複数のX線透視画像について、当該仮想円上での回転角度に応じて、得られたX線透視画像を当該画像の中心を軸として回転させた後に、フィルタ処理を施す。
【0060】
以下、図6および図7を参照して、より具体的に説明する。
図6(A)には、X線源2の光軸Lを軸とした仮想円300上のFPD3の位置301〜308が示されている。本実施の形態の検査装置では、トモシンセシスによる断層画像の生成のための撮影と同様に、X線CTによる三次元画像の生成のための撮影においても、同一の仮想円300上の複数の位置301〜308で、X線透視画像の撮影が行なわれる。つまり、X線CTによる三次元画像の生成のための撮影において、FPD3が仮想円300上を移動される場合であっても、FPD3は、図20(A)に示されたようにその中心を軸とした回転をするよう制御されることはない。
【0061】
そして、この例では、図6(A)の位置302〜308のそれぞれで得られたX線透視画像が、図6(B)に示された位置302A〜308Aで撮影されたかのように、仮想円300上の回転位置に応じて、各X線透視画像の中心を軸とし、アフィン変換を用いて、各画像が回転するようデータを変換される。なお、この例では、位置302で得られた画像はその中心を軸として45°回転されることにより位置302Aで撮影された画像とされ、位置303で得られた画像は同様に90°回転されることにより位置303Aで撮影された画像とされ、位置304で得られた画像は同様に135°回転されることにより位置304Aで撮影された画像とされ、位置305で得られた画像は同様に180°回転されることにより位置305Aで撮影された画像とされ、位置306で得られた画像は同様に225°回転されることにより位置306Aで撮影された画像とされ、位置307で得られた画像は同様に270°回転されることにより位置307Aで撮影された画像とされ、そして、位置308で得られた画像は同様に315°回転されることにより位置308Aで撮影された画像とされる。
【0062】
そして、このような回転処理後の画像に対して、図7に示すようにフィルタ処理を施して、フィルタ処理後のデータに基づいて再構成画素を取得し、これにより再構成データを取得する。
【0063】
図7では、位置301および位置302A〜308Aとともに記載されている矢印は、各位置で撮影された画像に対するフィルタ処理の方向を模式的に示している。各画像において、長方形で表わされたその外郭の長手方向に沿う方向に、フィルタ処理の方向が設定されている。
【0064】
このように、画像を回転するようにデータ変換を行なった上でフィルタ処理を施すことにより、上記した仮想円上で検出領域を移動させるときに、従来のように二次元X線検出器の検出領域をその中心を軸として回転(図20(A)参照)させなくとも、基板10に対する各検査領域の画像の方向を、図20(A)に示したものと同様とすることができる。
【0065】
したがって、この例によれば、従来の検査装置のようにFPD3をその検出領域の中心を軸として回転する機構を設けることなく、そのような機構が設けられていた従来の検査装置において採用されていたX線CT画像の再構成アルゴリズムを用いて、X線CT画像による三次元画像のデータを生成することが可能となる。
【0066】
4−2.第2の再構成データの生成態様例
この例では、X線透視画像に対するフィルタ処理の方向が、図8に示されたようなものに設定される。
【0067】
図8を参照して、仮想円300上の位置301〜308では、仮想円300上の回転位置について範囲を設定され、その範囲ごとに、フィルタ処理の方向が設定されている。具体的には、フィルタ処理の方向は、90°の回転位置ごとに設定されている。
【0068】
図8に示された例では、仮想円300上の回転位置45°ごとに、X線透視画像の撮影が行なわれている。そして、フィルタ処理の方向は、回転位置90°ごとに設定されている。つまり、X線源2の光軸LをXY平面の原点とした場合、その中心が第1象限にある位置301,302で撮影された画像は、水平方向の左から右に向く方向にフィルタ処理の方向が設定され、その中心が第4象限にある位置303,304で撮影された画像は、Y軸方向の下向きにフィルタ処理の方向が設定され、第3象限にその中心がある位置305,306で撮影された画像はX軸方向の右から左に向けてフィルタ処理の方向が設定され、そして、第2象限にその中心がある位置307,308で撮影された画像はY軸方向の下から上に向けてフィルタ処理の方向が設定されている。
【0069】
4−3.第3の再構成データの生成態様例
X線透視画像に対するフィルタ処理の方向は、図9に示されるように、仮想円300上の位置301〜308に対して、X軸に沿う左から右に向けて設定されてもよい。
【0070】
これにより、すべてのX線透視画像について、検出領域である長方形の長手方向に沿うようにフィルタ処理がなされることになる。これにより、長方形の形状内でマトリックス状に配列したデータに対して、最も高速で処理を行なうことができる。
【0071】
また、本実施の形態において利用されるフィルタは、高周波強調のフィルタであるため、図9に示されたように、異なる位置で撮影されたX線透視画像の間で検査対象である基板10に対するフィルタ処理の方向が異なっても、基板10のはんだ電極等の検査を行なう上では画質には影響しないものと考えられる。
【0072】
4−4.第4の再構成データの生成態様例
この例では、図10(A)に400A〜400Dに示されるように、仮想円300として示されたような仮想円上の複数の位置でX線透視画像が撮影された場合、まず、これらの画像を逆投影することにより、図10(B)に示されるように、暫定的な三次元画像401を生成し、そして、得られた三次元画像401を構成するデータを、図10(B)に破線で示すような、X線源の光軸に垂直な断面を得るように、所定間隔でスライスし、図10(C)に示すように、得られた断面402X上の画像データに対して、図10(C)に各方向の4本ずつの矢印で示すように、互いに交わる2つの方向についてフィルタ処理を施す。そして、フィルタ処理後の各断面の画像データを再度積み重ねることによって、最終的な三次元画像のデータを得ることができる。
【0073】
図10(B)に示した三次元画像401から断面のスライス画像を得る際の所定の間隔とは、ICのリードに形成されたバックフィレットやBGAを構成するはんだ電極などの、検査の対象となる要素のサイズを考慮したものとされることが好ましい。具体的には、たとえば、BGAのはんだ電極についての検査を行なう場合であれば、所定の間隔は、想定されるボールサイズの最小値とされることが好ましい。
【0074】
また、図10(C)に示したような、2種類のフィルタ処理の方向は、三次元画像401の断面形状が長方形になる場合であれば、隣り合う2辺のそれぞれに平行な方向とされることが好ましい。
【0075】
なお、第1〜第3の再構成データの生成態様例として説明したように、この例においても、各断面におけるフィルタ処理の方向は、図10(C)に示したような縦横2種類ではなく単一の方向とされてもよい。ただし、フィルタ処理の方向が複数とされることにより、処理時間は長くなるものの、より精度よく、検査対象物の三次元画像を得ることができる。
【0076】
[5.基板検査処理]
次に、本実施の形態の検査装置において実行される基板検査処理の内容について説明する。なお、検査装置では、検査対象の基板10について、複数の検査領域について、それぞれの3次元画像のデータを再構成することができるものとする。
【0077】
5−1.基板検査処理の具体例
図11は、演算部70が実行する基板検査処理の一例のフローチャートである。
【0078】
図11を参照して、入力部73に対して基板の検査を開始する旨の情報が入力される等すると、演算部70は、ステップS10で、FPD3を、基板10の検査対象である複数の視野の中の1つ目の視野のX線画像を撮影する位置へ移動させて、ステップS20へ処理を進める。
【0079】
ステップS20では、演算部70は、図6(A)に示したような、その時点での撮影位置における、仮想円300上の複数の撮影位置の中の1つ目の位置での撮影(プロジェクション)を行なって、ステップS30へ処理を進める。
【0080】
ステップS30では、その時点での仮想円300上の次の位置での撮影(プロジェクション)のために基板ステージ1およびディテクタステージ4を移動させて、ステップS40へ処理を進める。
【0081】
ステップS40では、演算部70は、直前のステップS30で移動させた位置で撮影(プロジェクション)を行なって、ステップS50へ処理を進める。
【0082】
ステップS50では、演算部70は、直前のステップS40における撮影で得られた画像データを、画像取得機構76を介して、FPD3から受付け、当該画像データを補助記憶部72に保存して、ステップS60へ処理を進める。
【0083】
ステップS60では、現在生成しようとしている3次元画像用のデータを生成するために予め定められた設定枚数の撮影を終了したか否かを判断し、終了したと判断するとステップS70へ処理を進め、まだ終了していないと判断するとステップS30へ処理を戻す。
【0084】
このようにして、ステップS10で移動された撮影位置において、FPD3と基板10とが移動されて、図4の画像A1〜A4や図6(A)のX線透視画像301〜308のように、1つの3次元画像を生成するために必要な複数のX線透視画像の撮影が行なわれる。
【0085】
そして、演算部70は、ステップS70で、生成予定の3次元画像のその時点での撮影位置でのプロジェクション撮影を完了させて、ステップS80へ処理を進める。
【0086】
ステップS80では、演算部70は、基板10の検査に用いる画像として生成する再構成データを、X線CT画像とするかトモシンセシスによる画像とするかの選択をする情報の入力を受付け、ステップS90へ処理を進める。
【0087】
なお、ステップS80では、たとえば、演算部70は、いずれの画像を選択するかの情報の入力を即する情報を出力部74に表示させてもよい。
【0088】
ステップS90では、ステップS80で受付けた情報の結果が、X線CTの画像であるか否かを判断し、そうであると判断するとステップS100へ処理を進め、そうではないと判断すると、つまり、トモシンセシスの画像であったと判断すると、ステップS110へ処理を進める。
【0089】
ステップS100では、演算部70は、X線CTによる再構成データの生成のための、再構成画素のデータを生成する処理を実行して、ステップS120へ処理を進める。
【0090】
一方、ステップS110では、演算部70は、トモシンセシスによる再構成データの生成のための、再構成画素のデータを生成する処理を実行して、ステップS120へ処理を進める。
【0091】
そして、演算部70は、ステップS120で、ステップS100またはステップS110で生成した再構成画素のデータを用いて再構成データを生成して、ステップS130へ処理を進める。
【0092】
ステップS130では、演算部70は、ステップS120で生成した再構成データに基づいて、当該再構成データに対する検査領域についての検査(はんだ電極の良否判断等)を実行して、ステップS140へ処理を進める。
【0093】
ステップS140では、演算部70は、検査対象となっている基板10に対し、すべての検査領域についての検査が終了したか否かを判断する。そして、まだ終了していないと判断すると、次の検査領域についてステップS10〜ステップS130を実行する。一方、終了したと判断すると、検査対象となっている基板10についての基板検査処理を終了させる。
【0094】
5−2.トモシンセシスによる再構成データ生成のための再構成画素の生成
図12は、ステップS110の、トモシンセシスによる再構成データの生成のための再構成画素を生成する処理のサブルーチンのフローチャートである。
【0095】
図12を参照して、当該処理では、演算部70は、まずステップSD10で、補助記憶部72に記憶させたプロジェクションデータを読込んで、ステップSD20へ処理を進める。
【0096】
ここで読み込まれるプロジェクションデータとは、再構成データの生成の対象となっている基板10上の所定の視野についての、FPD3による複数回の撮影によって得られた画像データの中の1回分の画像データである。なお、本実施の形態では、基板10上について設定された視野ごとに、異なる方向から複数のX線透視画像が撮影され、3次元データが再構成される。
【0097】
ステップSD20では、ステップSD10で読込まれたプロジェクションデータの各画素のデータについてX線吸収率を算出することにより当該データを吸収係数データに変換して、ステップSD30へ処理を進める。
【0098】
ステップSD30では、再構成データを構成する画素(再構成画素)の中の1つの再構成画素を選択して、ステップSD40へ処理を進める。
【0099】
ステップSD40では、ステップSD10で読込んだプロジェクションデータの中から、直前のステップSD30で選択した再構成画素についての、吸収係数データの画素値を算出して、ステップSD50へ処理を進める。
【0100】
ステップSD50では、演算部70は、ステップSD30で選択されて処理対象となっている再構成画素について、直前で実行したステップSD40で算出した画素値(吸収係数データ)と、それまでに当該再構成画素について算出された画素値(吸収係数データ)とを比較し、画素値の高い方(吸収係数データの低い方)を選択して、ステップSD60へ処理を進める。なお、再構成画素について初めてステップSD50が実行された場合には、直前に実行されたステップSD40での画素値(吸収係数データ)が選択される。また、ステップSD50では、画素値か吸収係数データのいずれか一方が処理対象とされても良い。
【0101】
ステップSD60では、ステップSD10で読込んだプロジェクトデータの中で、再構成データの中のすべての再構成画素について、ステップSD50におけるデータの選択を行なったか否かを判断し、まだ当該選択を行なっていない再構成画素がある場合には、ステップSD30へ処理を戻し、すべての再構成画素について行なった場合には、ステップSD70へ処理を進める。
【0102】
そして、ステップSD70では、演算部70は、補助記憶部72に記憶されたすべてのプロジェクションデータについて、ステップSD10〜ステップSD60の処理を実行したか否かを判断し、まだこれらの処理を実行していないプロジェクションデータがあると判断するとステップSD10へ処理を戻し、すべてのプロジェクションデータについて処理を実行したと判断すると、図11へ処理をリターンする。
【0103】
以上説明したステップSD10〜ステップSD70の処理により、補助記憶部72に記憶された複数のプロジェクションデータについて、1つのプロジェクションデータごとに、すべての再構成画素について、順に、画素値等の選択が行なわれる。そして、すべての再構成画素について、複数のプロジェクションデータの中の最も画素値が高いデータ(最も吸収係数データが小さいデータ)が選択される。
【0104】
5−3.X線CTによる再構成データ生成のための再構成画素の生成(1)
図13は、ステップS100の、X線CTによる再構成データの生成のための再構成画素のデータを生成する処理のサブルーチンのフローチャートである。
【0105】
図13を参照して、当該処理では、まずステップSA10で、演算部70は、補助記憶部72に記憶されたプロジェクションデータを読込んで、ステップSA20へ処理を進める。
【0106】
ここで、読込まれるプロジェクションデータは、図12を参照して説明した処理のステップSD10で読込まれるプロジェクションデータと同様のものとすることができる。つまり、本実施の形態の検査装置では、X線CTによる再構成データ生成用の再構成画素を生成するためのプロジェクションデータは、トモシンセシスによる再構成データ生成用の再構成画素を生成するためのプロジェクションデータと共用とすることができる。
【0107】
ステップSA20では、演算部70は、ステップSD20(図12参照)と同様に、ステップSA10で読込んだプロジェクションデータの各画素の画像データを吸収係数データに変換して、ステップSA30へ処理を進める。
【0108】
ステップSA30では、演算部70は、図6(A)および図6(B)を参照して説明したように、同じ仮想円300上の異なる位置で撮影されたX線透視画像のそれぞれについて、X線源2の光軸を中心とした回転位置に応じて、ステップSA20で得られた吸収係数データの座標を回転移動させて、ステップSA40へ処理を進める。
【0109】
ステップSA40では、演算部70は、ステップSA30で座標を回転移動した吸収係数データに対して、図7に示したようにフィルタ処理を施して、ステップSA50へ処理を進める。
【0110】
ステップSA50では、再構成データの中の1つの再構成画素を選択して、ステップSA60へ処理を進める。
【0111】
ステップSA60では、演算部70は、ステップSA40のフィルタ処理後のデータから、直前のステップSA50で選択した再構成画素に対応する吸収係数データおよび/または画素値を算出して、ステップSA70へ処理を進める。
【0112】
ステップSA70では、直前のステップSA60で算出した画素値を、ステップSA50で選択した再構成画素についてそれまで加算されてきた画素値に加算して、ステップSA80へ処理を進める。
【0113】
ステップSA80では、演算部70は、すべての再構成画素についてステップSA50〜ステップSA70の処理を実行したか否かを判断し、実行したと判断するとステップSA90へ処理を進め、まだ処理対象としていない再構成画素があると判断するとステップSA50へ処理を戻す。
【0114】
以上、ステップSA50〜ステップSA80の処理により、処理対象となっているプロジェクションデータに関し、再構成データを構成するすべての再構成画素について、画素値が算出され、そして、算出された各再構成画素の画素値は、再構成画素ごとに加算される。
【0115】
ステップSA90では、ステップSA10〜ステップSA80の処理を、補助記憶部72に記憶されているすべてのプロジェクションデータについて実行したか否かを判断し、実行したと判断すると図11へ処理をリターンさせる。一方、処理対象としていないプロジェクションデータがあると判断すると、ステップSA10へ処理を戻し、すべてのプロジェクションデータが処理対象となるまで、ステップSA10〜ステップSA80の処理を実行する。
【0116】
5−4.X線CTによる再構成データ生成のための再構成画素の生成(2)
図14は、ステップS100の、X線CTによる再構成データの生成のための再構成画素のデータを生成する処理のサブルーチンのフローチャートであって、図13に記載の処理の変形例のフローチャートである。
【0117】
図14を参照して、当該処理では、まずステップSB10で、演算部70は、ステップSA10と同様に、補助記憶部72に記憶されたプロジェクションデータを読込んで、ステップSB20へ処理を進める。
【0118】
ステップSB20では、演算部70は、ステップSA20と同様に、ステップSB10で読込んだプロジェクションデータの各画素の画像データを吸収係数データに変換して、ステップSB30へ処理を進める。
【0119】
ステップSB30では、演算部70は、処理対象となっているプロジェクションデータが撮影されたときのFPD3の仮想円300上の回転角度を判定する。そして、演算部70は、FPD3の位置が、図8を参照して説明したように、予め設定した第1象限または第3象限に入るような回転角度(Y軸のX軸との交点より上方を基準とした場合の回転角度−45°から45°まで、および、135°から225°まで)である場合には、ステップSB40へ処理を進め、第2象限または第4象限に入るような回転位置(Y軸のX軸との交点より上方を基準とした場合の回転角度45°から135°まで、および、225°から315°まで)である場合には、ステップSB50へ処理を進める。
【0120】
ステップSB40では、演算部70は、図8の第1象限および第3象限について示したように、X軸方向に沿うように画像データに対してフィルタ処理を施して、ステップSB60へ処理を進める。
【0121】
ステップSB50では、演算部70は、図8の第2象限および第4象限について示したように、Y軸方向に沿うように画像データに対してフィルタ処理を施して、ステップSB60へ処理を進める。
【0122】
ステップSB60では、再構成データの中の1つの再構成画素を選択して、ステップSB70へ処理を進める。
【0123】
ステップSB70では、演算部70は、ステップSB40のフィルタ処理後のデータから、直前のステップSB60で選択した再構成画素に対応する吸収係数データおよび/または画素値を算出して、ステップSB80へ処理を進める。
【0124】
ステップSB80では、直前のステップSB70で算出した画素値を、ステップSB60で選択した再構成画素についてそれまで加算されてきた画素値に加算して、ステップSB90へ処理を進める。
【0125】
ステップSB90では、演算部70は、すべての再構成画素についてステップSB60〜ステップSB80の処理を実行したか否かを判断し、実行したと判断するとステップSB100へ処理を進め、まだ処理対象としていない再構成画素があると判断するとステップSB60へ処理を戻す。
【0126】
以上、ステップSB60〜ステップSB90の処理により、処理対象となっているプロジェクションデータに関し、再構成データを構成するすべての再構成画素について、画素値が算出され、そして、算出された各再構成画素の画素値は、再構成画素ごとに加算される。
【0127】
ステップSB100では、ステップSB10〜ステップSB90の処理を、補助記憶部72に記憶されているすべてのプロジェクションデータについて実行したか否かを判断し、実行したと判断すると図11へ処理をリターンさせる。一方、処理対象としていないプロジェクションデータがあると判断すると、ステップSB10へ処理を戻し、すべてのプロジェクションデータが処理対象となるまで、ステップSB10〜ステップSB90の処理を実行する。
【0128】
5−5.X線CTによる再構成データ生成のための再構成画素の生成(3)
図15は、ステップS100の、X線CTによる再構成データの生成のための再構成画素のデータを生成する処理のサブルーチンのフローチャートであって、図13に記載の処理の他の変形例のフローチャートである。
【0129】
図14を参照して、当該処理では、まずステップSC10で、演算部70は、ステップSA10と同様に、補助記憶部72に記憶されたプロジェクションデータを読込んで、ステップSC20へ処理を進める。
【0130】
ステップSC20では、演算部70は、ステップSA20と同様に、ステップSC10で読込んだプロジェクションデータの各画素の画像データを吸収係数データに変換して、ステップSC30へ処理を進める。
【0131】
ステップSC30では、演算部70は、再構成データの中の1つの再構成画素を選択して、ステップSC40へ処理を進める。
【0132】
ステップSC40では、演算部70は、直前のステップSC30で選択した再構成画素に対応する吸収係数データおよび/または画素値を算出して、ステップSC50へ処理を進める。
【0133】
ステップSC50では、直前のステップSC40で算出した画素値を、ステップSC30で選択した再構成画素についてそれまで加算されてきた画素値に加算して、ステップSC60へ処理を進める。
【0134】
ステップSC60では、演算部70は、すべての再構成画素についてステップSC30〜ステップSC50の処理を実行したか否かを判断し、実行したと判断するとステップSC70へ処理を進め、まだ処理対象としていない再構成画素があると判断するとステップSC30へ処理を戻す。
【0135】
以上、ステップSC30〜ステップSC60の処理により、処理対象となっているプロジェクションデータに関し、再構成データを構成するすべての再構成画素について、画素値が算出され、そして、算出された各再構成画素の画素値は、再構成画素ごとに加算される。
【0136】
ステップSC70では、ステップSC10〜ステップSC60の処理を、補助記憶部72に記憶されているすべてのプロジェクションデータについて実行したか否かを判断し、実行したと判断するとステップSC80へ処理を進める。一方、処理対象としていないプロジェクションデータがあると判断すると、ステップSC10へ処理を戻し、すべてのプロジェクションデータが処理対象となるまで、ステップSC10〜ステップSC60の処理を実行する。
【0137】
ステップSC80では、演算部70は、図10を参照して説明したように、ステップSC90までの処理によって得られた再構成画素に基づいて暫定的に再構成データを生成し、当該再構成データを所定の間隔ごとにスライスし、各スライス面のデータに対してフィルタ処理を実行して、図11のフローチャートへ処理をリターンさせる。
【0138】
そして、本変形例では、すべてのプロジェクションデータが処理されることにより最終的に得られた再構成画素によって、最終的な再構成データが生成される。
【0139】
本変形例では、暫定的な再構成データを構成する再構成画素が第1の再構成画素に相当し、最終的な再構成データを構成する再構成画素が第2の再構成画素に相当する。
【0140】
5−6.基板検査処理の変形例
図16は、図11に示した基板検査処理の変形例のフローチャートである。
【0141】
図11を参照して説明した処理では、ステップS70でプロジェクションの撮影が完了した後にステップS80で再構成データを、X線CT画像とするかトモシンセシスによる画像とするかの選択をする情報の入力を受付けていた。この点、この変形例では、図11の処理ではステップS70でプロジェクションの撮影が完了した後、ステップS100とステップS110で、X線CTによる再構成画素のデータの生成とトモシンセシスによる再構成画素のデータを生成する処理を平行して開始する。
【0142】
そして、演算部70は、ステップS112で、トモシンセシス用の再構成画素によって再構成データの生成を実行し、ステップS114で、トモシンセシスによる再構成データの生成が可能であるか否かを判断する。
【0143】
そして、ステップS114で、トモシンセシスによる再構成データの生成が不可能であると判断すると、演算部70は、ステップS116でX線CTによる再構成データを生成し、ステップS130で、当該X線CTによる再構成データに基づいて、検査対象である基板10についての検査を実行して、ステップS140へ処理を進める。
【0144】
一方、ステップS114で、トモシンセシスによる再構成データの生成が可能であると判断すると、演算部70は、ステップS130で、トモシンセシスによる再構成データに基づいて、検査対象である基板10についての検査を実行して、ステップS140で処理を進める。
【0145】
本変形例では、トモシンセシスによる再構成データの生成が可能である場合には、フィルタ処理等を必要とすることにより長時間を要するX線CTによる再構成データの生成を省略することができ、検査時間の短縮を図ることができる。
【0146】
[6.その他]
以上説明した本実施の形態では、X線源を固定し、基板およびディテクタを、それぞれ基板ステージおよびディテクタステージを用いて移動することにより、X線透過画像が撮影されたが、これに限らず、基板ステージおよびディテクタステージのいずれか一方を使用することなく、図示しないX線源移動機構を利用して、X線源を機械的に移動させることにより撮像位置を変更しても良い。このことを、図17を参照してより詳細に説明する。図17は、従来技術の文献(特開平6−124671号公報)に記載の検査装置の断面図である。
【0147】
図17に示された走査型X線管1は、電子銃2で発生した電子ビーム5をターゲット3の面上で走査して、X線7を発生する。ターゲット3で発生したX線のうち、ターゲット3を透過した電子ビーム5と同一方向のX線7が利用される。X線7は、非検査物4を透過し、X線検出器6で検出される。なお、この図およびその説明における符号は、上記従来技術の文献中の符号にあわせたものであり、他の箇所の説明における符号とは関係しない。
【0148】
このような公知の走査型X線管を使用することにより、X線焦点位置を移動することができるので、基板またはFPDの位置を変更せずとも、X線源の光軸を中心とする円上でX線検出器の位置を相対的に変化させることが可能になる。走査型X線源によるX線走査は、ステージにより機械的な位置変更動作よりも、所要時間がはるかに短い。すなわち、一定の範囲内であれば、基板ステージまたはディテクタステージのいずれか一方を使用しなくてもFPD(X線検出器)の位置を相対的に変化させることができる。
【0149】
なお、保守性や信頼性等の観点から、本実施の形態では、基板ステージおよびディテクタステージが使用されている。
【0150】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、X線CTによる再構成データの生成におけるフィルタ処理の方向や画像データの回転の有無など、変形例として説明された技術的思想は、可能な限り組合されて実現されることが意図される。
【符号の説明】
【0151】
1 基板ステージ、2 X線源、3 フラットパネルディテクタ(FPD)、4 ディテクタステージ、7 制御装置、10 基板、11 部品、70 演算部、71 主記憶部、72 補助記憶部、75 ディテクタ制御機構、76 画像取得機構、77A 変位計制御機構、77B 画像処理機構、78 基板制御機構、79 X線源制御機構。
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査方法、検査装置および検査用プログラムに関し、特に、X線断層画像を生成することにより検査対象物に関する検査を行なう検査方法、検査装置および検査用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装基板を対象にX線による断層画像を生成し、生成された画像を用いて部品側電極と基板との接合状態やはんだ電極の内部構造などを検査する手法の一例として、X線CT(Computed Tomography)がある。
【0003】
特許文献1(特開2006−292465号公報)には、X線CTを用いた基板の検査に関する技術の一例が開示されている。
【0004】
図18(A)を参照して、特許文献1には、検査対象となる基板920上のバンプをX線検出器950の視野内に移動させてX線画像を取得する技術が開示されている。X線発生器900の焦点Fから鉛直方向に延ばした軸Aを中心に半径Rの円周上を、X線検出器950は、回転可能に構成されている。αは、軸Aに対する、X線検出器950の傾斜角度である。ここでは、X線検出器950の回転動作が行なわれるとともに、回転後のX線検出器950の視野内に検査対象であるバンプが含まれるように基板920がX−Y平面内で移動される。基板920のZ軸方向の位置を固定した状態で、X線検出器920の視野領域FOVを移動させ、視野領域FOVの複数の状態で、X線検出器950にX線画像を撮影させる。そして、Z軸方向の位置を変化させながら、X−Y平面内での複数の視野領域FOVについて、X線画像を撮影する。そして、複数のZ軸方向について得られた、それぞれの複数の視野領域FOVについてのX線画像を用いて、三次元画像の再構成演算が行なわれる。
【0005】
このようなX線CTのための撮影では、X−Y平面内では、図18(B)に示されるように、X線検出器920の視野領域FOVは、X線発生器900の焦点Fの鉛直上の対応点であるOを中心として回転するFOV1〜FOV4のように変化する。
【0006】
また、基板の断層画像の生成方法として、X線CTよりも簡易に基板の断層画像を生成する方法である、トモシンセシスにより基板の断層画像を生成する方法がある。たとえば、特許文献2(特開2005−121633号公報)に、この方法による断層画像の生成について開示されている。特許文献2では、図19を参照して、X線源900がその光軸AXを垂直方向の上方に向けて配置され、その上方において、検査対象物921である基板を支持するXYステージが、さらにその上方に、二次元X線検出器を支持するXYステージが、配置されている。図19において、円軌道R1,R2は、それぞれX線源900の光軸AX(破線)を中心とする円軌道である。そして、各XYステージが円軌道R1,R2に沿って移動されながら、所定角度ごとに停止されて、撮影が行なわれる。そして、各撮影により生成された画像(P1〜P4)が合成されて、断層画像が生成される。
【0007】
特許文献2に記載されているように、トモシンセシス用の撮影では、所定高さの平面を対象に、この対象平面の各構成点が毎時の画像の同じ座標に投影される一方、その上下の平面の各構成点が撮影ごとに異なる座標に投影されるように、毎時の撮影におけるX線源およびX線検出器ならびに基板の関係を調整する。この結果、各画像を合成すると、対象平面の構成点が重畳されて明瞭になる一方で、他の平面の構成点は不鮮明になる。これにより、対象平面についてノイズが軽減された断層画像を生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−292465号公報
【特許文献2】特開2005−121633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
トモシンセシスによる断層画像とX線CT画像とを比較すると、精度の面では後者の方が一般的に優れている。しかし、X線CTでは、演算が複雑になるため、断層画像の生成に要する時間が長くなる。これに対し、トモシンセシスによれば、演算が簡単であるので、比較的短い時間で断層画像を得ることができる。一方で、トモシンセシスによると、被検査部位の形状や周囲の構成物との関係によっては、断層画像中に無視できないノイズ成分が含まれることがある。
【0010】
このような事情から、基板の製造および検査を行なう事業者では、被検査部位の種類や被検査部位の周囲の状態に応じて、X線CTとトモシンセシスとを選択して実行することが希望される。
【0011】
しかしながら、X線CT画像を生成するための撮影とトモシンセシスの断層画像を生成するための撮影とは、撮影方式が異なっていた。つまり、X線CT画像用の撮影では、二次元X線検出器の姿勢は、図20(A)に示されるように、位置951〜958に示されるように、撮影ごとに、X線源900の光軸を中心とした円軌道上を回転するように制御されるとともに、各検出領域の中心を軸としても回転するように制御されていた。なお、図20(A)は、二次元X線検出器とX線源とを、X線源の光軸方向の上方から見た図に相当する。
【0012】
一方、トモシンセシスによる画像用の撮影では、図20(C)に位置911〜918として示すように、二次元X線検出器の姿勢は、撮影ごとに、X線源900の光軸を中心とした円軌道上を回転するよう制御されるのみであって、位置の変化によって、その中心を軸として回転されるよう制御されることはない。
【0013】
したがって、X線CT用の撮影後にトモシンセシス用の撮影に撮影方式を切換える場合、図20(A)の領域908と示された二次元X線検出器の姿勢を、二次元X線検出器に接続されたケーブルが捩じれを解消するように、つまり、図20(B)中の位置D1から位置D2となるように、トモシンセシス用の撮影の開始位置まで回転させる必要が生じる。したがって、検査のための撮影に、無駄なタクトタイムが含まれることとなる。
【0014】
本発明はかかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、基板の検査に際し、被検査部位の種類等に応じた検査ができ、かつ、検査時間を短縮できる、基板検査方法、検査装置および基板検査用プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に従った検査方法は、X線源から出力され検査対象物の検査対象領域を透過したX線をX線検出部で撮像し、撮像された画像に基づいて、前記検査対象領域の3次元データを再構成する検査方法であって、前記X線源の光軸を中心とする仮想円上で前記X線検出部の位置を変化させるステップと、当該仮想円上の複数の位置のそれぞれにおいて、前記X線検出部にX線透視撮影をさせるステップと、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいてX線CT(Computed Tomography)画像を生成するステップと、前記X線CT画像の生成に用いたものと同一のX線透視撮影の結果に基づいてトモシンセシスの断層画像を生成するステップとを備える。
【0016】
また、本発明に従った検査方法は、前記X線CT画像を生成するステップでは、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果として得られた各画素のデータを、当該X線検出部の撮影位置についての前記X線源の光軸を中心とする仮想円上での回転角度に応じた方向にフィルタ処理を施すことが好ましい。
【0017】
また、本発明に従った検査方法は、前記X線CT画像を生成するステップでは、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果として得られた各画素のデータを、当該X線検出部の撮影位置についての前記X線源の光軸を中心とする仮想円上での回転角度に応じて、当該データの中心画素を中心として回転させた後、当該データに対して前記フィルタ処理を施すことが好ましい。
【0018】
また、本発明に従った検査方法は、前記X線CT画像を生成するステップでは、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果として得られた各画素のデータに対して、当該X線検出部の撮影位置についての前記X線源の光軸を中心とする仮想円上での回転角度に応じた方向にフィルタ処理を施すことが好ましい。
【0019】
また、本発明に従った検査方法では、前記フィルタ処理の方向は、前記仮想円上での回転角度について、一定の角度の範囲ごとに決定されることが好ましい。
【0020】
また、本発明に従った検査方法では、前記X線CT画像を生成するステップは、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいて第1の再構成画素を生成するステップと、前記第1の再構成画素に対してフィルタ処理を施すことにより、第2の再構成画素を生成するステップと、前記第2の再構成画素に基づいて前記X線断層画像を生成するステップとを含むことが好ましい。
【0021】
本発明に従った検査装置は、検査対象物を、2方向に駆動軸を有する移動機構により移動可能に支持する第1のステージと、前記第1のステージの上方または下方に光軸を垂直方向に向けて固定配置されるX線源と、X線検出部と、前記X線検出部を前記第1のステージを挟んで前記X線源に対向する位置で前記第1のステージの各駆動軸に平行な駆動軸を有する移動機構により移動可能に支持する第2のステージと、前記X線検出部の検出出力に基づいて前記基板の検査領域のX線断層画像を生成する制御部とを備え、前記制御部は、前記X線源の光軸を中心とする仮想円上で前記X線検出部の位置を変化させ、当該仮想円上の複数の位置のそれぞれにおいて、前記X線検出部にX線透視撮影をさせ、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいてX線CT(Computed Tomography)画像を生成し、前記X線CT画像の生成に用いたものと同一のX線透視撮影の結果に基づいてトモシンセシスの断層画像を生成する。
【0022】
本発明に従った検査用プログラムは、X線源から出力され検査対象物の検査対象領域を透過したX線をX線検出部で撮像し、撮像された画像に基づいて、前記検査対象領域の3次元データを再構成する検査装置に実行させるコンピュータ読取可能な検査用プログラムであって、前記検査装置に、前記X線源の光軸を中心とする仮想円上で前記X線検出部の位置を変化させるステップと、当該仮想円上の複数の位置のそれぞれにおいて、前記X線検出部にX線透視撮影をさせるステップと、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいてX線CT(Computed Tomography)画像を生成するステップと、前記X線CT画像の生成に用いたものと同一のX線透視撮影の結果に基づいてトモシンセシスの断層画像を生成するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、X線CT画像の生成と、トモシンセシスによる断層画像が、同一のX線透視撮影の結果に基づいて生成できる。
【0024】
したがって、X線CT画像生成用の撮影とトモシンセシスによる断層画像の生成のための撮影との間で、X線検出部にその検出領域を回転移動させる等の作業を要しない。これにより、基板等の検査対象物の検査に際し、被検査部位の種類や被検査部位の周囲の状態に応じて、X線CTとトモシンセシスとを選択して実行することができ、かつ、これらの双方を実行することによるX線検出部の検出領域の回転といった工程を削除できるため、検査時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の検査装置の一実施の形態の概略構成を示す図である。
【図2】図1の検査装置においてX線透視画像を撮影する際のX線源、FPD、基板の位置関係を模式的に示す図である。
【図3】図1の検査装置での、1サイクル分の撮影処理における基板およびFPDの位置の変化の一例を示す図である。
【図4】図1の検査装置における、トモシンセシスの断層画像の再構成処理の原理を説明するための図である。
【図5】図1の検査装置における撮影処理でのX線源とFPDとの位置関係の変化を模式的に示す図である。
【図6】図1の検査装置におけるX線CTによる再構成データの生成の際の画像データの回転による配列変更について説明するための図である。
【図7】図1の検査装置におけるX線CTによる再構成データの生成における、フィルタ処理の方向を説明するための図である。
【図8】図1の検査装置におけるX線CTによる再構成データの生成における、フィルタ処理の方向を説明するための図である。
【図9】図1の検査装置におけるX線CTによる再構成データの生成における、フィルタ処理の方向を説明するための図である。
【図10】図1の検査装置におけるX線CTによる再構成データの生成態様の一例を説明するための図である。
【図11】図1の演算部が実行する基板検査処理のフローチャートである。
【図12】図11のステップS110のサブルーチンのフローチャートである。
【図13】図11のステップS100のサブルーチンのフローチャートである。
【図14】図13の処理の変形例のフローチャートである。
【図15】図13の処理の他の変形例のフローチャートである。
【図16】図11の基板検査処理の変形例のフローチャートである。
【図17】従来の走査型X線管の構成を説明するための図である。
【図18】従来の検査装置におけるX線CT用の撮影の態様を説明するための図である。
【図19】従来の検査装置におけるトモシンセシス用の撮影の態様を説明するための図である。
【図20】従来の検査装置においてX線CT用の撮影とトモシンセシス用の撮影を行なう場合に想定される課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の検査装置の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、同一の構成要素には各図において同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。
【0027】
本実施の形態の検査装置は、IC(Integrated Circuit)のリードに形成されたパックフィレットや、BGA(Ball Grid Array)を構成するはんだ電極など、外観検査が困難な箇所を対象に、X線による断層画像を再構成し、生成された断層画像を用いて検査を行なうものである。また、本実施の形態の検査装置は、断層画像として、X線CT画像を生成する機能とトモシンセシスによる断層画像を生成する機能を具備する。
【0028】
[1.検査装置の概略構成]
図1は、検査装置の概略構成を示す図である。
【0029】
図1を参照して、検査装置は、検査対象の基板10を支持する基板ステージ1と、その下方に配置されたX線源2と、基板ステージ1の上方に設けられたディテクタステージ4と、当該検査装置の動作を全体的に制御する制御装置7とを含む。
【0030】
基板10には、部品11が実装された状態が示されている。
基板ステージ1は、基板10を長さ方向(図1中の左右方向。以下、これをX方向とする)に沿う各端縁部で支持する1対のコンベア部15A,15B、各コンベア部15A,15Bを固定支持する1対のコンベア支持部16A,16Bを具備する。コンベア部15A,15Bは、図示しない上流機構から基板10の搬入を受付けて、この基板10をコンベア15Aまたはコンベア15Bに設けられたストッパ(図示略)に当接する位置まで搬入して停止する。なお、当該ストッパは、基板10の搬送路に対して出没可能に設けられており、基板10の搬入時に上昇して基板を固定し、検査が終了すると下降する。コンベア15A,15Bは、ストッパの下降に応じて基板10を外部に搬出する。
【0031】
コンベア支持部16A,16Bは、各コンベア部15A,15Bを支持した状態で、基板制御機構78によって駆動制御されることにより、図1中のX方向およびY方向に移動可能に支持されている。コンベア支持部16A,16Bの動きによって、基板10が水平移動する(水平な仮想平面上を移動する)ことになる。
【0032】
ディテクタステージ4には、Y軸方向に沿う1対のスライドレール41A,41B(以下、「Y軸レール41A,41B」という。)と、X軸方向に沿うスライドレール42(以下、「X軸レール42」という。)とが設けられる。各Y軸レール41A,41Bには、1対のスライダ43が設けられる。X軸レール42は、各Y軸レール41A,41Bのスライダ43,43により両端部が連結されて支持される。
【0033】
X軸レール42には、大型のスライダ45が設けられる。スライダ45には、接続部材46を介して、二次元X線検出器としてフラットパネルディテクタ3(以下、「FPD3」と略す。)が取付けられている。
【0034】
検査装置には、さらに、基板10のXY平面内の位置およびこの平面に垂直な高さ方向の位置を検出するためのCCDカメラ5および変位センサ6が設けられている。CCD(Charge Coupled Device)カメラ5の検出出力は、画像処理機構77Bによって処理され、また、変位センサ6の検出出力は、変位計制御機構77Aによって処理される。
【0035】
スライダ43,45は、図示しない駆動モータをディテクタ制御機構75によって駆動制御されることにより、FPD3を移動させる。具体的には、FPD3は、スライダ45の動きに従ってX軸方向に沿って移動するとともに、Y軸レール41A,41Bのスライダ43の動きに従ってY軸方向に沿って移動する。
【0036】
FPD3は、図示せぬケーブルを介して、制御装置7に接続される。また、X線源2、CCDカメラ5、変位センサ6、および各ステージ1,4の駆動部も同様に、制御装置7にケーブル接続される。
【0037】
CCDカメラ5および変位センサ6は、検査前に基板10の状態をチェックする目的で使用される。具体的には、CCDカメラ5は、基板10を正確な位置に位置合わせするために基板10のフィデューシャルマーク19を撮像する。この撮像により生成された画像は、制御装置7の画像処理機構77Bに入力されて、基板10の位置ずれ量の計測に用いられ、その計測値に基づき各ステージ1,4の位置関係が調整される。
【0038】
変位センサ6は、基板10の上面までの距離を測定する。測定された距離データは、制御装置7の変位計制御機構77Aに入力され、X線透視撮影の際に、後述する基準平面Tの高さを調整する目的に使用される。
【0039】
図1には、また、本実施の形態の検査装置の制御装置7の主要部分のブロック図が示されている。
【0040】
制御装置7は、X線透視撮影に関する制御を実行し、また、断層画像の再構成処理や検査を実行する。制御装置7は、たとえば、専用のプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータにより構成される。当該プログラムは、その出荷時に、制御装置7の主記憶部71にインストールされていてもよいし、制御装置7に対して着脱可能な記録媒体に記録されていて適宜制御装置7にインストールされてもよいし、ネットワーク上のサーバからネットワークを通じて制御装置7にダウンロードされてもよい。
【0041】
制御装置7は、CPU(Central Processing Unit)を含む演算部70、補助記憶装置からなる補助記憶部72、キーボードや操作ボタンなどからなり外部からの情報の入力を受付ける入力部73、画像情報や音声などを出力する出力部74、およびX線源2のX線出力動作などを制御するX線源制御機構79を含む。
【0042】
演算部70は、ディテクタ制御機構75等の各機構の動作を制御することにより、X線源2およびFPD3ならびに基板10の位置関係を種々に変更しながら基板10に対するX線透視撮影(プロジェクション)を実行する。また、演算部70は、CCDカメラ5、変位センサ6、コンベア部15A,15Bの動作を制御する機能や、CCDカメラ5からの入力に基づき上記した基板10の位置調整を行なう機能や、変位センサ6からの入力に基づいて撮影時の基準平面Tの高さの設定値を変更し、その変更に併せて基板10やFPD3の移動量を調整する機能も有する。
【0043】
検査装置では、後述するように、基板10の複数の検査領域について、検査領域ごとに、FPD3の位置を変えて、複数回のX線透視撮影を行なう。毎時のX線透視撮影により生成されたX線透視画像は、補助記憶部72に蓄積される。演算部70は、これらの画像に付加情報として、対応する検査領域や撮影時のFPD3の位置を識別する情報を設定し、これらの付加情報を画像に対応付けて補助記憶部72に保存する。演算部70は、再構成によって得られたデータに基づいて、基板10の被検査部位の適否を判定する。判定結果は、たとえばモニタなどの出力部74や外部機器などに出力される。
【0044】
[2.トモシンセシス用の撮影および再構成処理]
図2は、トモシンセシス用の撮影を行なう場合のX線源2、FPD3、および基板10の位置関係を模式的に示した図である。なお、図2では、基板10の一部を拡大して示されている。また、図2では、基板10上には、部品11を接続するはんだ電極12が記載され、そして、基板10の裏面側に実装されている部品13(以下、「裏面部品13」という。)が記載されている。また、図2では、はんだ電極12を含む三次元の検査領域を水平方向に沿って横切る平面である平面Tが記載されている。平面Tは、透視撮影の際の基準として使用される。点Oは、この平面Tの所定位置に設定された基準点である。
【0045】
トモシンセシス用の撮影では、基準点OがX線源2の光軸Lを基準に点対称の位置にある2点P1,P2にそれぞれ位置合わせされるように、基板10を移動させるとともに、位置決めされた基準点OがFPD3の検出面31の中心点Rに投影される位置(図2中の点Q1,Q2)にFPD3を移動させ、これらの位置で撮影を行なう。X線源2からは、円錐状のビームが出射されているので、各位置での基準点Oに対するX線の照射角度は、ほぼ同一となる。また、光軸Lに対する点P1,P2の距離が等しいので、検出面31の中心点Rが位置合わせされる点Q1,Q2の光軸Lに対する距離も等しくなる。したがって、Q1,Q2のいずれの位置における撮影でも、基準点Oを含む平面T内の各点は、検出面31の同一座標に投影される。これに対し、裏面部品13の構成点など、平面Tとは異なる高さにある検査領域中の点は、撮影の位置が変わるたびに、検出面31内の異なる位置に投影される。
【0046】
上記の原理に基づき、本実施の形態では、図3に示されるように、X線源2の光軸を介して対向する関係にある方位の組合せを複数選択し、これらの方位において、それぞれX線源2、FPD3、基板10の三者が、図2に示したのと同様の位置関係を持って停止するよう、演算部70は、基板ステージ1およびディテクタステージ4の各制御機構(基板制御機構78,ディテクタ制御機構75)の動作を制御する。なお、図3中のX1,Y1は、ディテクタステージ4の駆動軸であり、図示しない基板ステージ1の駆動軸と平行、すなわち基板10の各方向の端縁方向に沿う方向に設定される。また、このときのFPD3の二次元画像の座標系の各座標軸の方向も、X1,Y1に合わせられる。
【0047】
図4は、図3に示した4方位に基板10およびFPD3を位置決めして撮影を行なうことにより生成されたX線透視画像A1,A2,A3,A4を、撮影時のFPD3の方位に対応付けて配置するとともに、これらの画像の中央に、各画像を再構成されて得られたデータ中の断層画像Bを配置したものである。なお、図示の便宜上、各画像とも、X線吸収率の高い部位(画像データにおいては階調が高い部位に相当する。)を斜線パターンで示す。
【0048】
各画像A1〜A4中のS1〜S4は、はんだ電極12の投影範囲であり、U1〜U4は、裏面部品13の投影範囲である。図2を参照して説明したように、平面Tにおけるはんだ電極12の構成点は、いずれのX線透視画像A1〜A4でも、それぞれ同一の座標に投影されるが、裏面部品13の構成点が投影される座標は、画像によって変動している。
【0049】
本実施の形態において、トモシンセシスによる再構成データの生成では、上記の点に着目して、各画像間で対応関係にある画素の組ごとに、その組内で最も低いX線吸収率を示す画素のデータを選択し、選択された各データにより断層画像Bを生成する。
【0050】
なお、検査領域の三次元データを得るために複数の平面の断層画像を再構成する場合には、各平面につき、それぞれ基準平面に対する高さの比に基づき各X線透視画像をシフト補正することによって、画像中の対象平面の構成点の座標を同一にして、図4に示したような手法を適用することになる。
【0051】
トモシンセシスによる再構成データの生成によれば、はんだ電極12の投影範囲S1〜S4に対応する画素については、いずれの画像のデータが選択されたとしても、はんだ電極12を表わすデータが選択される。これに対し、はんだ電極12の投影範囲以外の場所については、裏面部品13が投影されていない画像データ(ノイズ成分が最も小さい画像データ)が選択されるため、断層画像Bに裏面部品13の像が現われることはない。
【0052】
図5は、トモシンセシス用の撮影を行なう場合のX線源2とFPD3(の検出領域)の位置関係の変化を模式的に示したものである。
【0053】
図5に示された例では、図3に示した4方位とこれらの方位の中間にある4方位を加えた8方位で、FPD3を停止して、撮影を行なうようにしている。
【0054】
先に説明したように、撮影時のFPD3とX線源2の光軸Lとの距離は常に一定であるので、毎時の撮影におけるFPD3は、光軸Lを中心とする仮想円300上に位置すると考えられる。そこで、この例では、FPD3が上記の仮想円300に沿って上記の8方位に対応する位置に順に移動して(すなわち、FPD3の方位を光軸Lを中心として45°ずつ変更して)、各位置で一時停止するように、ディテクタステージ4の動作を制御する。また、図5では図示を省略しているが、基板10についても同様に、X線源2の光軸Lを中心とする仮想円に沿って移動させ、FPDが停止したときに常に図2に示した関係が成立する位置に停止するように、基板ステージ1の動作を制御する。また、基板ステージ1とディテクタステージ4のX,Y方向の移動量を調整することによって、基板10やFPD3を直線状に移動させて移動を効率よく行なうようにしている。
【0055】
[3.X線CT用の撮影]
本実施の形態では、X線CT用の撮影を行なう場合のX線源2とFPD3との位置関係は、上記したようなトモシンセシス用の撮影を行なう場合と同様のものとされる。つまり、X線CT用の撮影においても、基板10の1つの検査領域について複数回の撮影が行なわれるとき、FPD3の位置は、X線源2の光軸を中心とする仮想円に沿って順に移動するが、図20(A)を参照して説明したように、その検出領域の中心を軸として回転することはない。
【0056】
本実施の形態では、X線CT用の撮影でも、トモシンセシス用の撮影の場合と同様に、FPD3が、X線源2の光軸Lを中心とする仮想円300に沿って所定角度ずつ直線状に移動される。また、基板10についてもトモシンセシス用の撮影と同様に、所定高さの平面T内の1点を基準点Oとして、いずれの撮影においても、基準点Oが撮像面31の中心点Rに投影される関係が維持されるように、基板ステージ1の動作が制御される。
【0057】
[4.X線CTによる再構成処理]
以下、本実施の形態の検査装置における、X線CTによる再構成データの生成態様の具体例を挙げる。
【0058】
4−1.第1の再構成データの生成態様例
本実施の形態の検査装置では、X線透視撮影が行なわれた場合、まず、毎時の撮影により生成された画像について、FPD3の検出面31の法線方向が基板を透過したX線の中心線に合っていないことにより生じるゆがみを補正し、補正後の画像を、基板10の厚みに直交する方向から透視した状態を示す画像に変換する。さらに、変換後の各画像を用いて、処理対象の平面の各構成点のX線吸収率を算出することにより吸収係数データに変換し、当該吸収係数データに対してフィルタ処理を施した後、再構成データを構成する画素(再構成画素)ごとに、撮影により生成されたすべてのプロジェクションデータにおける各再構成画素についての吸収係数データの画素値を加算する。
【0059】
この第1の例では、FPD3をX線源2の光軸を中心とした仮想円上を移動させ、移動させた複数の位置のそれぞれにおいて得られた複数のX線透視画像について、当該仮想円上での回転角度に応じて、得られたX線透視画像を当該画像の中心を軸として回転させた後に、フィルタ処理を施す。
【0060】
以下、図6および図7を参照して、より具体的に説明する。
図6(A)には、X線源2の光軸Lを軸とした仮想円300上のFPD3の位置301〜308が示されている。本実施の形態の検査装置では、トモシンセシスによる断層画像の生成のための撮影と同様に、X線CTによる三次元画像の生成のための撮影においても、同一の仮想円300上の複数の位置301〜308で、X線透視画像の撮影が行なわれる。つまり、X線CTによる三次元画像の生成のための撮影において、FPD3が仮想円300上を移動される場合であっても、FPD3は、図20(A)に示されたようにその中心を軸とした回転をするよう制御されることはない。
【0061】
そして、この例では、図6(A)の位置302〜308のそれぞれで得られたX線透視画像が、図6(B)に示された位置302A〜308Aで撮影されたかのように、仮想円300上の回転位置に応じて、各X線透視画像の中心を軸とし、アフィン変換を用いて、各画像が回転するようデータを変換される。なお、この例では、位置302で得られた画像はその中心を軸として45°回転されることにより位置302Aで撮影された画像とされ、位置303で得られた画像は同様に90°回転されることにより位置303Aで撮影された画像とされ、位置304で得られた画像は同様に135°回転されることにより位置304Aで撮影された画像とされ、位置305で得られた画像は同様に180°回転されることにより位置305Aで撮影された画像とされ、位置306で得られた画像は同様に225°回転されることにより位置306Aで撮影された画像とされ、位置307で得られた画像は同様に270°回転されることにより位置307Aで撮影された画像とされ、そして、位置308で得られた画像は同様に315°回転されることにより位置308Aで撮影された画像とされる。
【0062】
そして、このような回転処理後の画像に対して、図7に示すようにフィルタ処理を施して、フィルタ処理後のデータに基づいて再構成画素を取得し、これにより再構成データを取得する。
【0063】
図7では、位置301および位置302A〜308Aとともに記載されている矢印は、各位置で撮影された画像に対するフィルタ処理の方向を模式的に示している。各画像において、長方形で表わされたその外郭の長手方向に沿う方向に、フィルタ処理の方向が設定されている。
【0064】
このように、画像を回転するようにデータ変換を行なった上でフィルタ処理を施すことにより、上記した仮想円上で検出領域を移動させるときに、従来のように二次元X線検出器の検出領域をその中心を軸として回転(図20(A)参照)させなくとも、基板10に対する各検査領域の画像の方向を、図20(A)に示したものと同様とすることができる。
【0065】
したがって、この例によれば、従来の検査装置のようにFPD3をその検出領域の中心を軸として回転する機構を設けることなく、そのような機構が設けられていた従来の検査装置において採用されていたX線CT画像の再構成アルゴリズムを用いて、X線CT画像による三次元画像のデータを生成することが可能となる。
【0066】
4−2.第2の再構成データの生成態様例
この例では、X線透視画像に対するフィルタ処理の方向が、図8に示されたようなものに設定される。
【0067】
図8を参照して、仮想円300上の位置301〜308では、仮想円300上の回転位置について範囲を設定され、その範囲ごとに、フィルタ処理の方向が設定されている。具体的には、フィルタ処理の方向は、90°の回転位置ごとに設定されている。
【0068】
図8に示された例では、仮想円300上の回転位置45°ごとに、X線透視画像の撮影が行なわれている。そして、フィルタ処理の方向は、回転位置90°ごとに設定されている。つまり、X線源2の光軸LをXY平面の原点とした場合、その中心が第1象限にある位置301,302で撮影された画像は、水平方向の左から右に向く方向にフィルタ処理の方向が設定され、その中心が第4象限にある位置303,304で撮影された画像は、Y軸方向の下向きにフィルタ処理の方向が設定され、第3象限にその中心がある位置305,306で撮影された画像はX軸方向の右から左に向けてフィルタ処理の方向が設定され、そして、第2象限にその中心がある位置307,308で撮影された画像はY軸方向の下から上に向けてフィルタ処理の方向が設定されている。
【0069】
4−3.第3の再構成データの生成態様例
X線透視画像に対するフィルタ処理の方向は、図9に示されるように、仮想円300上の位置301〜308に対して、X軸に沿う左から右に向けて設定されてもよい。
【0070】
これにより、すべてのX線透視画像について、検出領域である長方形の長手方向に沿うようにフィルタ処理がなされることになる。これにより、長方形の形状内でマトリックス状に配列したデータに対して、最も高速で処理を行なうことができる。
【0071】
また、本実施の形態において利用されるフィルタは、高周波強調のフィルタであるため、図9に示されたように、異なる位置で撮影されたX線透視画像の間で検査対象である基板10に対するフィルタ処理の方向が異なっても、基板10のはんだ電極等の検査を行なう上では画質には影響しないものと考えられる。
【0072】
4−4.第4の再構成データの生成態様例
この例では、図10(A)に400A〜400Dに示されるように、仮想円300として示されたような仮想円上の複数の位置でX線透視画像が撮影された場合、まず、これらの画像を逆投影することにより、図10(B)に示されるように、暫定的な三次元画像401を生成し、そして、得られた三次元画像401を構成するデータを、図10(B)に破線で示すような、X線源の光軸に垂直な断面を得るように、所定間隔でスライスし、図10(C)に示すように、得られた断面402X上の画像データに対して、図10(C)に各方向の4本ずつの矢印で示すように、互いに交わる2つの方向についてフィルタ処理を施す。そして、フィルタ処理後の各断面の画像データを再度積み重ねることによって、最終的な三次元画像のデータを得ることができる。
【0073】
図10(B)に示した三次元画像401から断面のスライス画像を得る際の所定の間隔とは、ICのリードに形成されたバックフィレットやBGAを構成するはんだ電極などの、検査の対象となる要素のサイズを考慮したものとされることが好ましい。具体的には、たとえば、BGAのはんだ電極についての検査を行なう場合であれば、所定の間隔は、想定されるボールサイズの最小値とされることが好ましい。
【0074】
また、図10(C)に示したような、2種類のフィルタ処理の方向は、三次元画像401の断面形状が長方形になる場合であれば、隣り合う2辺のそれぞれに平行な方向とされることが好ましい。
【0075】
なお、第1〜第3の再構成データの生成態様例として説明したように、この例においても、各断面におけるフィルタ処理の方向は、図10(C)に示したような縦横2種類ではなく単一の方向とされてもよい。ただし、フィルタ処理の方向が複数とされることにより、処理時間は長くなるものの、より精度よく、検査対象物の三次元画像を得ることができる。
【0076】
[5.基板検査処理]
次に、本実施の形態の検査装置において実行される基板検査処理の内容について説明する。なお、検査装置では、検査対象の基板10について、複数の検査領域について、それぞれの3次元画像のデータを再構成することができるものとする。
【0077】
5−1.基板検査処理の具体例
図11は、演算部70が実行する基板検査処理の一例のフローチャートである。
【0078】
図11を参照して、入力部73に対して基板の検査を開始する旨の情報が入力される等すると、演算部70は、ステップS10で、FPD3を、基板10の検査対象である複数の視野の中の1つ目の視野のX線画像を撮影する位置へ移動させて、ステップS20へ処理を進める。
【0079】
ステップS20では、演算部70は、図6(A)に示したような、その時点での撮影位置における、仮想円300上の複数の撮影位置の中の1つ目の位置での撮影(プロジェクション)を行なって、ステップS30へ処理を進める。
【0080】
ステップS30では、その時点での仮想円300上の次の位置での撮影(プロジェクション)のために基板ステージ1およびディテクタステージ4を移動させて、ステップS40へ処理を進める。
【0081】
ステップS40では、演算部70は、直前のステップS30で移動させた位置で撮影(プロジェクション)を行なって、ステップS50へ処理を進める。
【0082】
ステップS50では、演算部70は、直前のステップS40における撮影で得られた画像データを、画像取得機構76を介して、FPD3から受付け、当該画像データを補助記憶部72に保存して、ステップS60へ処理を進める。
【0083】
ステップS60では、現在生成しようとしている3次元画像用のデータを生成するために予め定められた設定枚数の撮影を終了したか否かを判断し、終了したと判断するとステップS70へ処理を進め、まだ終了していないと判断するとステップS30へ処理を戻す。
【0084】
このようにして、ステップS10で移動された撮影位置において、FPD3と基板10とが移動されて、図4の画像A1〜A4や図6(A)のX線透視画像301〜308のように、1つの3次元画像を生成するために必要な複数のX線透視画像の撮影が行なわれる。
【0085】
そして、演算部70は、ステップS70で、生成予定の3次元画像のその時点での撮影位置でのプロジェクション撮影を完了させて、ステップS80へ処理を進める。
【0086】
ステップS80では、演算部70は、基板10の検査に用いる画像として生成する再構成データを、X線CT画像とするかトモシンセシスによる画像とするかの選択をする情報の入力を受付け、ステップS90へ処理を進める。
【0087】
なお、ステップS80では、たとえば、演算部70は、いずれの画像を選択するかの情報の入力を即する情報を出力部74に表示させてもよい。
【0088】
ステップS90では、ステップS80で受付けた情報の結果が、X線CTの画像であるか否かを判断し、そうであると判断するとステップS100へ処理を進め、そうではないと判断すると、つまり、トモシンセシスの画像であったと判断すると、ステップS110へ処理を進める。
【0089】
ステップS100では、演算部70は、X線CTによる再構成データの生成のための、再構成画素のデータを生成する処理を実行して、ステップS120へ処理を進める。
【0090】
一方、ステップS110では、演算部70は、トモシンセシスによる再構成データの生成のための、再構成画素のデータを生成する処理を実行して、ステップS120へ処理を進める。
【0091】
そして、演算部70は、ステップS120で、ステップS100またはステップS110で生成した再構成画素のデータを用いて再構成データを生成して、ステップS130へ処理を進める。
【0092】
ステップS130では、演算部70は、ステップS120で生成した再構成データに基づいて、当該再構成データに対する検査領域についての検査(はんだ電極の良否判断等)を実行して、ステップS140へ処理を進める。
【0093】
ステップS140では、演算部70は、検査対象となっている基板10に対し、すべての検査領域についての検査が終了したか否かを判断する。そして、まだ終了していないと判断すると、次の検査領域についてステップS10〜ステップS130を実行する。一方、終了したと判断すると、検査対象となっている基板10についての基板検査処理を終了させる。
【0094】
5−2.トモシンセシスによる再構成データ生成のための再構成画素の生成
図12は、ステップS110の、トモシンセシスによる再構成データの生成のための再構成画素を生成する処理のサブルーチンのフローチャートである。
【0095】
図12を参照して、当該処理では、演算部70は、まずステップSD10で、補助記憶部72に記憶させたプロジェクションデータを読込んで、ステップSD20へ処理を進める。
【0096】
ここで読み込まれるプロジェクションデータとは、再構成データの生成の対象となっている基板10上の所定の視野についての、FPD3による複数回の撮影によって得られた画像データの中の1回分の画像データである。なお、本実施の形態では、基板10上について設定された視野ごとに、異なる方向から複数のX線透視画像が撮影され、3次元データが再構成される。
【0097】
ステップSD20では、ステップSD10で読込まれたプロジェクションデータの各画素のデータについてX線吸収率を算出することにより当該データを吸収係数データに変換して、ステップSD30へ処理を進める。
【0098】
ステップSD30では、再構成データを構成する画素(再構成画素)の中の1つの再構成画素を選択して、ステップSD40へ処理を進める。
【0099】
ステップSD40では、ステップSD10で読込んだプロジェクションデータの中から、直前のステップSD30で選択した再構成画素についての、吸収係数データの画素値を算出して、ステップSD50へ処理を進める。
【0100】
ステップSD50では、演算部70は、ステップSD30で選択されて処理対象となっている再構成画素について、直前で実行したステップSD40で算出した画素値(吸収係数データ)と、それまでに当該再構成画素について算出された画素値(吸収係数データ)とを比較し、画素値の高い方(吸収係数データの低い方)を選択して、ステップSD60へ処理を進める。なお、再構成画素について初めてステップSD50が実行された場合には、直前に実行されたステップSD40での画素値(吸収係数データ)が選択される。また、ステップSD50では、画素値か吸収係数データのいずれか一方が処理対象とされても良い。
【0101】
ステップSD60では、ステップSD10で読込んだプロジェクトデータの中で、再構成データの中のすべての再構成画素について、ステップSD50におけるデータの選択を行なったか否かを判断し、まだ当該選択を行なっていない再構成画素がある場合には、ステップSD30へ処理を戻し、すべての再構成画素について行なった場合には、ステップSD70へ処理を進める。
【0102】
そして、ステップSD70では、演算部70は、補助記憶部72に記憶されたすべてのプロジェクションデータについて、ステップSD10〜ステップSD60の処理を実行したか否かを判断し、まだこれらの処理を実行していないプロジェクションデータがあると判断するとステップSD10へ処理を戻し、すべてのプロジェクションデータについて処理を実行したと判断すると、図11へ処理をリターンする。
【0103】
以上説明したステップSD10〜ステップSD70の処理により、補助記憶部72に記憶された複数のプロジェクションデータについて、1つのプロジェクションデータごとに、すべての再構成画素について、順に、画素値等の選択が行なわれる。そして、すべての再構成画素について、複数のプロジェクションデータの中の最も画素値が高いデータ(最も吸収係数データが小さいデータ)が選択される。
【0104】
5−3.X線CTによる再構成データ生成のための再構成画素の生成(1)
図13は、ステップS100の、X線CTによる再構成データの生成のための再構成画素のデータを生成する処理のサブルーチンのフローチャートである。
【0105】
図13を参照して、当該処理では、まずステップSA10で、演算部70は、補助記憶部72に記憶されたプロジェクションデータを読込んで、ステップSA20へ処理を進める。
【0106】
ここで、読込まれるプロジェクションデータは、図12を参照して説明した処理のステップSD10で読込まれるプロジェクションデータと同様のものとすることができる。つまり、本実施の形態の検査装置では、X線CTによる再構成データ生成用の再構成画素を生成するためのプロジェクションデータは、トモシンセシスによる再構成データ生成用の再構成画素を生成するためのプロジェクションデータと共用とすることができる。
【0107】
ステップSA20では、演算部70は、ステップSD20(図12参照)と同様に、ステップSA10で読込んだプロジェクションデータの各画素の画像データを吸収係数データに変換して、ステップSA30へ処理を進める。
【0108】
ステップSA30では、演算部70は、図6(A)および図6(B)を参照して説明したように、同じ仮想円300上の異なる位置で撮影されたX線透視画像のそれぞれについて、X線源2の光軸を中心とした回転位置に応じて、ステップSA20で得られた吸収係数データの座標を回転移動させて、ステップSA40へ処理を進める。
【0109】
ステップSA40では、演算部70は、ステップSA30で座標を回転移動した吸収係数データに対して、図7に示したようにフィルタ処理を施して、ステップSA50へ処理を進める。
【0110】
ステップSA50では、再構成データの中の1つの再構成画素を選択して、ステップSA60へ処理を進める。
【0111】
ステップSA60では、演算部70は、ステップSA40のフィルタ処理後のデータから、直前のステップSA50で選択した再構成画素に対応する吸収係数データおよび/または画素値を算出して、ステップSA70へ処理を進める。
【0112】
ステップSA70では、直前のステップSA60で算出した画素値を、ステップSA50で選択した再構成画素についてそれまで加算されてきた画素値に加算して、ステップSA80へ処理を進める。
【0113】
ステップSA80では、演算部70は、すべての再構成画素についてステップSA50〜ステップSA70の処理を実行したか否かを判断し、実行したと判断するとステップSA90へ処理を進め、まだ処理対象としていない再構成画素があると判断するとステップSA50へ処理を戻す。
【0114】
以上、ステップSA50〜ステップSA80の処理により、処理対象となっているプロジェクションデータに関し、再構成データを構成するすべての再構成画素について、画素値が算出され、そして、算出された各再構成画素の画素値は、再構成画素ごとに加算される。
【0115】
ステップSA90では、ステップSA10〜ステップSA80の処理を、補助記憶部72に記憶されているすべてのプロジェクションデータについて実行したか否かを判断し、実行したと判断すると図11へ処理をリターンさせる。一方、処理対象としていないプロジェクションデータがあると判断すると、ステップSA10へ処理を戻し、すべてのプロジェクションデータが処理対象となるまで、ステップSA10〜ステップSA80の処理を実行する。
【0116】
5−4.X線CTによる再構成データ生成のための再構成画素の生成(2)
図14は、ステップS100の、X線CTによる再構成データの生成のための再構成画素のデータを生成する処理のサブルーチンのフローチャートであって、図13に記載の処理の変形例のフローチャートである。
【0117】
図14を参照して、当該処理では、まずステップSB10で、演算部70は、ステップSA10と同様に、補助記憶部72に記憶されたプロジェクションデータを読込んで、ステップSB20へ処理を進める。
【0118】
ステップSB20では、演算部70は、ステップSA20と同様に、ステップSB10で読込んだプロジェクションデータの各画素の画像データを吸収係数データに変換して、ステップSB30へ処理を進める。
【0119】
ステップSB30では、演算部70は、処理対象となっているプロジェクションデータが撮影されたときのFPD3の仮想円300上の回転角度を判定する。そして、演算部70は、FPD3の位置が、図8を参照して説明したように、予め設定した第1象限または第3象限に入るような回転角度(Y軸のX軸との交点より上方を基準とした場合の回転角度−45°から45°まで、および、135°から225°まで)である場合には、ステップSB40へ処理を進め、第2象限または第4象限に入るような回転位置(Y軸のX軸との交点より上方を基準とした場合の回転角度45°から135°まで、および、225°から315°まで)である場合には、ステップSB50へ処理を進める。
【0120】
ステップSB40では、演算部70は、図8の第1象限および第3象限について示したように、X軸方向に沿うように画像データに対してフィルタ処理を施して、ステップSB60へ処理を進める。
【0121】
ステップSB50では、演算部70は、図8の第2象限および第4象限について示したように、Y軸方向に沿うように画像データに対してフィルタ処理を施して、ステップSB60へ処理を進める。
【0122】
ステップSB60では、再構成データの中の1つの再構成画素を選択して、ステップSB70へ処理を進める。
【0123】
ステップSB70では、演算部70は、ステップSB40のフィルタ処理後のデータから、直前のステップSB60で選択した再構成画素に対応する吸収係数データおよび/または画素値を算出して、ステップSB80へ処理を進める。
【0124】
ステップSB80では、直前のステップSB70で算出した画素値を、ステップSB60で選択した再構成画素についてそれまで加算されてきた画素値に加算して、ステップSB90へ処理を進める。
【0125】
ステップSB90では、演算部70は、すべての再構成画素についてステップSB60〜ステップSB80の処理を実行したか否かを判断し、実行したと判断するとステップSB100へ処理を進め、まだ処理対象としていない再構成画素があると判断するとステップSB60へ処理を戻す。
【0126】
以上、ステップSB60〜ステップSB90の処理により、処理対象となっているプロジェクションデータに関し、再構成データを構成するすべての再構成画素について、画素値が算出され、そして、算出された各再構成画素の画素値は、再構成画素ごとに加算される。
【0127】
ステップSB100では、ステップSB10〜ステップSB90の処理を、補助記憶部72に記憶されているすべてのプロジェクションデータについて実行したか否かを判断し、実行したと判断すると図11へ処理をリターンさせる。一方、処理対象としていないプロジェクションデータがあると判断すると、ステップSB10へ処理を戻し、すべてのプロジェクションデータが処理対象となるまで、ステップSB10〜ステップSB90の処理を実行する。
【0128】
5−5.X線CTによる再構成データ生成のための再構成画素の生成(3)
図15は、ステップS100の、X線CTによる再構成データの生成のための再構成画素のデータを生成する処理のサブルーチンのフローチャートであって、図13に記載の処理の他の変形例のフローチャートである。
【0129】
図14を参照して、当該処理では、まずステップSC10で、演算部70は、ステップSA10と同様に、補助記憶部72に記憶されたプロジェクションデータを読込んで、ステップSC20へ処理を進める。
【0130】
ステップSC20では、演算部70は、ステップSA20と同様に、ステップSC10で読込んだプロジェクションデータの各画素の画像データを吸収係数データに変換して、ステップSC30へ処理を進める。
【0131】
ステップSC30では、演算部70は、再構成データの中の1つの再構成画素を選択して、ステップSC40へ処理を進める。
【0132】
ステップSC40では、演算部70は、直前のステップSC30で選択した再構成画素に対応する吸収係数データおよび/または画素値を算出して、ステップSC50へ処理を進める。
【0133】
ステップSC50では、直前のステップSC40で算出した画素値を、ステップSC30で選択した再構成画素についてそれまで加算されてきた画素値に加算して、ステップSC60へ処理を進める。
【0134】
ステップSC60では、演算部70は、すべての再構成画素についてステップSC30〜ステップSC50の処理を実行したか否かを判断し、実行したと判断するとステップSC70へ処理を進め、まだ処理対象としていない再構成画素があると判断するとステップSC30へ処理を戻す。
【0135】
以上、ステップSC30〜ステップSC60の処理により、処理対象となっているプロジェクションデータに関し、再構成データを構成するすべての再構成画素について、画素値が算出され、そして、算出された各再構成画素の画素値は、再構成画素ごとに加算される。
【0136】
ステップSC70では、ステップSC10〜ステップSC60の処理を、補助記憶部72に記憶されているすべてのプロジェクションデータについて実行したか否かを判断し、実行したと判断するとステップSC80へ処理を進める。一方、処理対象としていないプロジェクションデータがあると判断すると、ステップSC10へ処理を戻し、すべてのプロジェクションデータが処理対象となるまで、ステップSC10〜ステップSC60の処理を実行する。
【0137】
ステップSC80では、演算部70は、図10を参照して説明したように、ステップSC90までの処理によって得られた再構成画素に基づいて暫定的に再構成データを生成し、当該再構成データを所定の間隔ごとにスライスし、各スライス面のデータに対してフィルタ処理を実行して、図11のフローチャートへ処理をリターンさせる。
【0138】
そして、本変形例では、すべてのプロジェクションデータが処理されることにより最終的に得られた再構成画素によって、最終的な再構成データが生成される。
【0139】
本変形例では、暫定的な再構成データを構成する再構成画素が第1の再構成画素に相当し、最終的な再構成データを構成する再構成画素が第2の再構成画素に相当する。
【0140】
5−6.基板検査処理の変形例
図16は、図11に示した基板検査処理の変形例のフローチャートである。
【0141】
図11を参照して説明した処理では、ステップS70でプロジェクションの撮影が完了した後にステップS80で再構成データを、X線CT画像とするかトモシンセシスによる画像とするかの選択をする情報の入力を受付けていた。この点、この変形例では、図11の処理ではステップS70でプロジェクションの撮影が完了した後、ステップS100とステップS110で、X線CTによる再構成画素のデータの生成とトモシンセシスによる再構成画素のデータを生成する処理を平行して開始する。
【0142】
そして、演算部70は、ステップS112で、トモシンセシス用の再構成画素によって再構成データの生成を実行し、ステップS114で、トモシンセシスによる再構成データの生成が可能であるか否かを判断する。
【0143】
そして、ステップS114で、トモシンセシスによる再構成データの生成が不可能であると判断すると、演算部70は、ステップS116でX線CTによる再構成データを生成し、ステップS130で、当該X線CTによる再構成データに基づいて、検査対象である基板10についての検査を実行して、ステップS140へ処理を進める。
【0144】
一方、ステップS114で、トモシンセシスによる再構成データの生成が可能であると判断すると、演算部70は、ステップS130で、トモシンセシスによる再構成データに基づいて、検査対象である基板10についての検査を実行して、ステップS140で処理を進める。
【0145】
本変形例では、トモシンセシスによる再構成データの生成が可能である場合には、フィルタ処理等を必要とすることにより長時間を要するX線CTによる再構成データの生成を省略することができ、検査時間の短縮を図ることができる。
【0146】
[6.その他]
以上説明した本実施の形態では、X線源を固定し、基板およびディテクタを、それぞれ基板ステージおよびディテクタステージを用いて移動することにより、X線透過画像が撮影されたが、これに限らず、基板ステージおよびディテクタステージのいずれか一方を使用することなく、図示しないX線源移動機構を利用して、X線源を機械的に移動させることにより撮像位置を変更しても良い。このことを、図17を参照してより詳細に説明する。図17は、従来技術の文献(特開平6−124671号公報)に記載の検査装置の断面図である。
【0147】
図17に示された走査型X線管1は、電子銃2で発生した電子ビーム5をターゲット3の面上で走査して、X線7を発生する。ターゲット3で発生したX線のうち、ターゲット3を透過した電子ビーム5と同一方向のX線7が利用される。X線7は、非検査物4を透過し、X線検出器6で検出される。なお、この図およびその説明における符号は、上記従来技術の文献中の符号にあわせたものであり、他の箇所の説明における符号とは関係しない。
【0148】
このような公知の走査型X線管を使用することにより、X線焦点位置を移動することができるので、基板またはFPDの位置を変更せずとも、X線源の光軸を中心とする円上でX線検出器の位置を相対的に変化させることが可能になる。走査型X線源によるX線走査は、ステージにより機械的な位置変更動作よりも、所要時間がはるかに短い。すなわち、一定の範囲内であれば、基板ステージまたはディテクタステージのいずれか一方を使用しなくてもFPD(X線検出器)の位置を相対的に変化させることができる。
【0149】
なお、保守性や信頼性等の観点から、本実施の形態では、基板ステージおよびディテクタステージが使用されている。
【0150】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、X線CTによる再構成データの生成におけるフィルタ処理の方向や画像データの回転の有無など、変形例として説明された技術的思想は、可能な限り組合されて実現されることが意図される。
【符号の説明】
【0151】
1 基板ステージ、2 X線源、3 フラットパネルディテクタ(FPD)、4 ディテクタステージ、7 制御装置、10 基板、11 部品、70 演算部、71 主記憶部、72 補助記憶部、75 ディテクタ制御機構、76 画像取得機構、77A 変位計制御機構、77B 画像処理機構、78 基板制御機構、79 X線源制御機構。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線源から出力され検査対象物の検査対象領域を透過したX線をX線検出部で撮像し、撮像された画像に基づいて、前記検査対象領域の3次元データを再構成する検査方法であって、
前記X線源の光軸を中心とする仮想円上で前記X線検出部の位置を変化させるステップと、
当該仮想円上の複数の位置のそれぞれにおいて、前記X線検出部にX線透視撮影をさせるステップと、
前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいてX線CT(Computed Tomography)画像を生成するステップと、
前記X線CT画像の生成に用いたものと同一のX線透視撮影の結果に基づいてトモシンセシスの断層画像を生成するステップとを備える、検査方法。
【請求項2】
前記X線CT画像を生成するステップでは、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果として得られた各画素のデータを、当該X線検出部の撮影位置についての前記X線源の光軸を中心とする仮想円上での回転角度に応じた方向にフィルタ処理を施す、請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記X線CT画像を生成するステップでは、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果として得られた各画素のデータを、当該X線検出部の撮影位置についての前記X線源の光軸を中心とする仮想円上での回転角度に応じて、当該データの中心画素を中心として回転させた後、当該データに対して前記フィルタ処理を施す、請求項2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記X線CT画像を生成するステップでは、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果として得られた各画素のデータに対して、当該X線検出部の撮影位置についての前記X線源の光軸を中心とする仮想円上での回転角度に応じた方向にフィルタ処理を施す、請求項2に記載の検査方法。
【請求項5】
前記フィルタ処理の方向は、前記仮想円上での回転角度について、一定の角度の範囲ごとに決定される、請求項4に記載の検査方法。
【請求項6】
前記X線CT画像を生成するステップは、
前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいて第1の再構成画素を生成するステップと、
前記第1の再構成画素に対してフィルタ処理を施すことにより、第2の再構成画素を生成するステップと、
前記第2の再構成画素に基づいて前記X線断層画像を生成するステップとを含む、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の検査方法。
【請求項7】
検査対象物を、2方向に駆動軸を有する移動機構により移動可能に支持する第1のステージと、
前記第1のステージの上方または下方に光軸を垂直方向に向けて固定配置されるX線源と、
X線検出部と、
前記X線検出部を前記第1のステージを挟んで前記X線源に対向する位置で前記第1のステージの各駆動軸に平行な駆動軸を有する移動機構により移動可能に支持する第2のステージと、
前記X線検出部の検出出力に基づいて前記基板の検査領域のX線断層画像を生成する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記X線源の光軸を中心とする仮想円上で前記X線検出部の位置を変化させ、
当該仮想円上の複数の位置のそれぞれにおいて、前記X線検出部にX線透視撮影をさせ、
前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいてX線CT(Computed Tomography)画像を生成し、
前記X線CT画像の生成に用いたものと同一のX線透視撮影の結果に基づいてトモシンセシスの断層画像を生成する、検査装置。
【請求項8】
X線源から出力され検査対象物の検査対象領域を透過したX線をX線検出部で撮像し、撮像された画像に基づいて、前記検査対象領域の3次元データを再構成する検査装置に実行させるコンピュータ読取可能な検査用プログラムであって、
前記検査装置に、
前記X線源の光軸を中心とする仮想円上で前記X線検出部の位置を変化させるステップと、
当該仮想円上の複数の位置のそれぞれにおいて、前記X線検出部にX線透視撮影をさせるステップと、
前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいてX線CT(Computed Tomography)画像を生成するステップと、
前記X線CT画像の生成に用いたものと同一のX線透視撮影の結果に基づいてトモシンセシスの断層画像を生成するステップとを実行させる、検査用プログラム。
【請求項1】
X線源から出力され検査対象物の検査対象領域を透過したX線をX線検出部で撮像し、撮像された画像に基づいて、前記検査対象領域の3次元データを再構成する検査方法であって、
前記X線源の光軸を中心とする仮想円上で前記X線検出部の位置を変化させるステップと、
当該仮想円上の複数の位置のそれぞれにおいて、前記X線検出部にX線透視撮影をさせるステップと、
前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいてX線CT(Computed Tomography)画像を生成するステップと、
前記X線CT画像の生成に用いたものと同一のX線透視撮影の結果に基づいてトモシンセシスの断層画像を生成するステップとを備える、検査方法。
【請求項2】
前記X線CT画像を生成するステップでは、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果として得られた各画素のデータを、当該X線検出部の撮影位置についての前記X線源の光軸を中心とする仮想円上での回転角度に応じた方向にフィルタ処理を施す、請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記X線CT画像を生成するステップでは、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果として得られた各画素のデータを、当該X線検出部の撮影位置についての前記X線源の光軸を中心とする仮想円上での回転角度に応じて、当該データの中心画素を中心として回転させた後、当該データに対して前記フィルタ処理を施す、請求項2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記X線CT画像を生成するステップでは、前記X線検出部によるX線透視撮影の結果として得られた各画素のデータに対して、当該X線検出部の撮影位置についての前記X線源の光軸を中心とする仮想円上での回転角度に応じた方向にフィルタ処理を施す、請求項2に記載の検査方法。
【請求項5】
前記フィルタ処理の方向は、前記仮想円上での回転角度について、一定の角度の範囲ごとに決定される、請求項4に記載の検査方法。
【請求項6】
前記X線CT画像を生成するステップは、
前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいて第1の再構成画素を生成するステップと、
前記第1の再構成画素に対してフィルタ処理を施すことにより、第2の再構成画素を生成するステップと、
前記第2の再構成画素に基づいて前記X線断層画像を生成するステップとを含む、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の検査方法。
【請求項7】
検査対象物を、2方向に駆動軸を有する移動機構により移動可能に支持する第1のステージと、
前記第1のステージの上方または下方に光軸を垂直方向に向けて固定配置されるX線源と、
X線検出部と、
前記X線検出部を前記第1のステージを挟んで前記X線源に対向する位置で前記第1のステージの各駆動軸に平行な駆動軸を有する移動機構により移動可能に支持する第2のステージと、
前記X線検出部の検出出力に基づいて前記基板の検査領域のX線断層画像を生成する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記X線源の光軸を中心とする仮想円上で前記X線検出部の位置を変化させ、
当該仮想円上の複数の位置のそれぞれにおいて、前記X線検出部にX線透視撮影をさせ、
前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいてX線CT(Computed Tomography)画像を生成し、
前記X線CT画像の生成に用いたものと同一のX線透視撮影の結果に基づいてトモシンセシスの断層画像を生成する、検査装置。
【請求項8】
X線源から出力され検査対象物の検査対象領域を透過したX線をX線検出部で撮像し、撮像された画像に基づいて、前記検査対象領域の3次元データを再構成する検査装置に実行させるコンピュータ読取可能な検査用プログラムであって、
前記検査装置に、
前記X線源の光軸を中心とする仮想円上で前記X線検出部の位置を変化させるステップと、
当該仮想円上の複数の位置のそれぞれにおいて、前記X線検出部にX線透視撮影をさせるステップと、
前記X線検出部によるX線透視撮影の結果に基づいてX線CT(Computed Tomography)画像を生成するステップと、
前記X線CT画像の生成に用いたものと同一のX線透視撮影の結果に基づいてトモシンセシスの断層画像を生成するステップとを実行させる、検査用プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−160070(P2010−160070A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2813(P2009−2813)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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