説明

検査装置、検査方法およびこれらを用いた画像表示用パネルの製造方法

【課題】ガラス板上に形成された電極パターンの形状欠陥部を少ない測定回数で精度よく検出できる検査装置、検査方法およびこれらを用いた画像表示用パネルの製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】電極パターンを有するガラス板(被検査物106)の裏面に光を照射する第1投光装置101と、ガラス板の表面に斜め方向から光を照射する第2投光装置109と、ガラス板の表面を撮像する撮像装置102と、ガラス板の表面を撮像装置102に結像させるレンズ系103と、撮像装置102で撮像したガラス板の表面の画像を画像処理して、電極パターンの形状欠陥部を検出する処理装置とを備え、第1、第2投光装置101、109による照明条件が、ガラス板の内部に形成された内部気泡の画像、ガラス板の画像、電極パターンの画像の順に輝度が高くなるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板上に形成されたパターンの形状欠陥部を検出する検査装置、検査方法およびこれらを用いた画像表示用パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと言う)は、大画面、かつ薄型、軽量であることを特徴とする視認性に優れた表示デバイスである。PDPの放電方式としてはAC型とDC型とがあり、PDPの電極構造としては3電極面放電型と対向放電型とがある。現在は、高精細化に適し、しかも製造の容易なことから、AC型かつ3電極面放電型であるAC面放電型パネルが主流となっている。
【0003】
一般的なAC面放電型パネルは、対向配置された前面ガラス板と背面ガラス板との間に多数の放電セルが形成された構成をしている。
【0004】
前面ガラス板上には、走査電極と維持電極とが互いに平行に複数対形成されてなる表示電極と、この表示電極を覆うように形成されたガラスからなる誘電体層と、誘電体層を覆うように形成された酸化マグネシウム(MgO)などからなる保護層とが配置されている。
【0005】
背面ガラス板上には、互いに平行に複数形成されてなるアドレス電極と、このアドレス電極を覆うように形成された電極保護層とが配置されている。この電極保護層上にはアドレス電極と平行に隔壁が複数形成され、電極保護層の表面および隔壁の側面に赤(R)、緑(G)、青(B)に発光する蛍光体層が配置されている。
【0006】
そして、前面ガラス板と背面ガラス板とを、表示電極とアドレス電極とが立体交差するように対向させて密封し、その内部の空間に放電ガスが封入されている。
【0007】
以上に説明したPDPを製造する際、電極パターンをガラス板上に形成した後に電極パターンの形状欠陥部を検出して、製造工程における歩留まりの向上を図っている。電極パターンの形状欠陥部を検出する際に重要なことは、ガラス板の表面に形成された電極パターンの形状欠陥部と、ガラス板の内部に内包されている気泡(以下、内部気泡と言う)やガラス板の裏面に付着した異物との分別である。その理由は、電極パターンの形状欠陥部を有するPDPは不良品になるが、内部気泡やガラス板の裏面に付着した異物を有するPDPは不良品にならないからである。
【0008】
そこで、従来の検査では、内部気泡やガラス板の裏面に付着した異物と、電極パターンの形状欠陥部とを分別するために、検査装置の光学系の焦点をガラス板の表面、内部および裏面の3箇所に変更しながら複数回検査していた。そして、表面検査で受光した散乱光と、内部検査で受光した散乱光と、裏面検査で受光した散乱光との光強度の違いを検出して、内部気泡やガラス板の裏面に付着した異物と、電極パターンの形状欠陥部とを分別していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−201887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の検査方法では、例えば150インチ以上の大型プラズマディスプレイパネルのように面積の大きなガラス板上に形成されている電極パターンの形状欠陥部を検査する場合、光学系の焦点位置を検査する位置毎に変更しながら複数回検査しなければならないため、工程スループットが増大し、生産性が低下する問題があった。また、ガラス板の検査面積が大きくなると、ガラス板の反りや撓みも大きくなるため、被検査物の全面を狭焦点深度で検査することが難しくなり、しかも検査する位置毎に焦点位置を合わせることが困難になると言う問題があった。
【0011】
本発明は上記問題を解決し、ガラス板上に形成された電極パターンの形状欠陥部を少ない測定回数で精度よく検出できる検査装置、検査方法およびこれらを用いた画像表示用パネルの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明の検査装置は、電極パターンを有するガラス板の裏面に光を照射する第1投光装置と、前記ガラス板の表面に斜め方向から光を照射する第2投光装置と、前記ガラス板の表面を撮像する撮像装置と、前記ガラス板の表面を前記撮像装置に結像させるレンズ系と、前記撮像装置で撮像した前記ガラス板の表面の画像を画像処理して、前記電極パターンの形状欠陥部を検出する処理装置とを備え、前記第1、第2投光装置による照明条件が、前記ガラス板の内部に形成された内部気泡の画像または前記ガラス板の裏面に付着した異物の画像、前記ガラス板の画像、前記電極パターンの画像の順に輝度が高くなるように設定されていることを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するために本発明の検査方法は、極パターンを有するガラス板の裏面に光を照射する第1投光装置と、前記ガラス板の表面に斜め方向から光を照射する第2投光装置で、前記ガラス板に光を照射するとともに、前記ガラス板の表面の上方に配置した撮像装置で、前記ガラス板の表面を撮像する工程と、前記撮像装置で撮像した画像の輝度情報から前記電極パターンの形状欠陥部を検出する工程を含む検査方法であって、前記ガラス板の内部に形成された内部気泡の画像または前記ガラス板の裏面に付着した異物の画像、前記ガラス板の画像、前記電極パターンの画像の順に輝度が高くなるように、前記第1、第2投光装置で前記ガラス板に光を照射することによって、前記内部気泡または前記異物と、前記電極パターンの形状欠陥部とを分別し、前記電極パターンの形状欠陥部のみを検出することを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するために本発明の画像表示用パネルの製造方法は、上記検査装置または検査方法を用いて画像表示用パネルを製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記構成により本発明は、ガラス板の内部に形成された内部気泡の画像またはガラス板の裏面に付着した異物の画像、ガラス板の画像、電極パターンの画像の順に輝度が高くなるように、第1、第2投光装置でガラス板に光を照射するので、電極パターンの形状欠陥部と、内部気泡またはガラス板の裏面に付着した異物とが的確に分別される。
【0016】
したがって、電極パターンの形状欠陥部を少ない測定回数で精度よく検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態における検査装置の概略図
【図2】本発明の一実施の形態における検査装置で用いた被検査物であるPDPの要部の分解斜視図
【図3】本発明の一実施の形態における検査装置で撮像した被検査物の画像を示す図
【図4】本発明の一実施の形態における検査装置の照明条件を示すグラフ
【図5】本発明の一実施の形態における検査方法のフローチャート
【図6】本発明の一実施の形態における他の検査方法のフローチャート
【図7】本発明の一実施の形態における差画像の生成方法を説明するための説明図
【図8】本発明の一実施の形態におけるエリア判定方法を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施の形態における検査装置、検査方法およびこれらを用いた画像表示用パネルの製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1において、本発明の検査装置100は、被検査物106の裏面から垂直方向に光を照射するための第1投光装置101と、被検査物106に対して斜め方向から光を照射する第2投光装置109と、被検査物106を撮像する撮像装置102と、被検査物106を撮像装置102に結像させるレンズ系103と、被検査物106を載置してXY方向に移動させる搬送ローラ105と、搬送ローラ105を駆動させる駆動装置104を備えている。また、被検査物106の測定エリア、第1投光装置101と第2投光装置109による照明条件、被検査物106の移動量などの測定条件に合わせて、第1投光装置101や第2投光装置109や駆動装置104に制御指令を与えるとともに、撮像装置102で撮像した被検査物106の画像を基にして画像処理を行う処理装置107と、撮像装置102で撮像した画像を処理装置107で処理した処理結果を表示する表示装置108を備えている。この表示装置108は、LCD(液晶ディスプレイ)あるいはモニターなどで構成され、被検査物106の測定ポイントなどの測定条件を入力するためのインターフェイス機能も有する。
【0020】
検査装置100は、PDP、液晶パネル、有機ELパネルなど表面に数μm以上の凹凸パターンがある被検査物106の形状欠陥部検出に適している。本実施形態では、被検査物106として、図2に示すPDP201を用いた場合を例にして、背面ガラス板212に形成されたアドレス電極214の形状欠陥部を検査する方法について以下に詳しく説明する。尚、背面ガラス板212の厚さは1.8mmである。
【0021】
図2に示すPDPは、一般的なAC面放電型パネルである。対向配置された前面ガラス板211と背面ガラス板212との間に多数の放電セルが形成された構成をしている。
【0022】
前面ガラス板211上には、走査電極219aと維持電極219bとが互いに平行に複数対形成されてなる表示電極219と、表示電極219を覆うように形成されたガラスからなる誘電体層217と、誘電体層217を覆うように形成された酸化マグネシウム(MgO)などからなる保護層218とが配置されている。
【0023】
背面ガラス板212上には、互いに平行に複数形成されてなるアドレス電極214と、アドレス電極214を覆うように形成された絶縁体層213とが配置されている。この絶縁体層213は、電極保護層として機能している。そして、絶縁体層213上にアドレス電極214と平行に隔壁215とが複数形成され、絶縁体層213の表面および隔壁215の側面に赤(R)、緑(G)、青(B)に発光する蛍光体層216R、216G、216Bが形成されている。
【0024】
そして、前面ガラス板211と背面ガラス板212とを、表示電極219とアドレス電極214とが立体交差するように対向させて密封し、その内部の空間に放電ガスが封入されている。
【0025】
図1、図2において、検査をする際は、アドレス電極214を形成した背面ガラス板212を被検査物106として搬送ローラ105上に載置する。このとき、背面ガラス板212の全域は、搬送ローラ105によって水平に保持された状態で固定される。但し、搬送ローラ105は、第1投光装置101の開口部が搬送ローラ105で遮光されないような構成になっている。
【0026】
第1投光装置101は、レンズ系103および撮像装置102の光軸と同軸となるように、背面ガラス板212の裏面に垂直方向に光を照射する。本実施形態では、第1投光装置101の光源としてLED光源を使用し、第1投光装置101から被検査物106までの距離を100mmとした。尚、光源としては、撮像装置102の感度に応じてハロゲン光源、メタルハライド光源などの他の光源を使用することができる。
【0027】
図1において、第2投光装置109は、背面ガラス板212に照射角度αを60度にして斜め方向に光を照射するように配置されている。この照射角度αは20〜70度の範囲で設定するとよい。また、第2投光装置109の光源としてはLED光源を2個使用し、第1投光装置101から被検査物106までの距離を100mmとした。
【0028】
撮像装置102としては、例えば150インチ以上の大きな背面ガラス板212の全面を検査することが可能な、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサカメラが適している。CCDラインセンサカメラは、被検査物106の大きさおよび測定精度に合わせて選定すればよい。尚、本実施形態ではCCDラインセンサカメラとして、画素数7450Pix(ピクセル)、画素サイズ4.7μm×4.7μm、分解能10μmのモノクロCCDラインセンサカメラを使用した。
【0029】
レンズ系103は、第1投光装置101および第2投光装置109から被検査物106に光を照射した際、被検査物106からの反射光や散乱光を撮像装置102に結像させるものである。また、このレンズ系103としては、背面ガラス板212の全面が検査できるような焦点深度を有するものを用いる。本実施形態では、焦点深度±300μm、倍率2.13倍のレンズ系103を用い、レンズ系103と被検査物106までの距離を216mmとした。
【0030】
尚、大面積の被検査物を短時間で測定するには、第1投光装置101、撮像装置102、レンズ系103、第2投光装置109からなる光学測定系を複数配置して、同時に駆動させて検査すればよい。
【0031】
駆動装置104は、処理装置107の制御により搬送ローラ105を回転させ、被検査物106を送り方向へ移動させる。被検査物106を送り方向へ移動させることにより、第1投光装置101と第2投光装置109とから照射された光が被検査物106の表面と裏面とを走査するので、被検査物106の全体を検査することができる。
【0032】
ここで、撮像装置102の焦点深度内に被検査物106が収まる場合は、搬送ローラ105を移動させる代わりに、投光装置101、撮像装置102、レンズ系103、第2投光装置109からなる光学測定系を移動させてもよい。尚、本実施形態では、モーターとエンコーダとからなる駆動装置104を用いたが、被検査物106をXY方向に移動させる駆動装置であればこれに限らず、どうような駆動装置でも用いることができる。
【0033】
第1投光装置101により背面ガラス板212の裏面方向に照射された光(以下、検査光と言う)は、背面ガラス板212を透過し、一部は背面ガラス板212の裏面で反射する。また、背面ガラス板212を透過した検査光の一部は、背面ガラス板212上のアドレス電極214の裏面で散乱し、アドレス電極214のない部分は透過する。背面ガラス板212に内部気泡がある場合、背面ガラス板212を透過した検査光の一部は内部気泡によって散乱し、一部は透過する。また、背面ガラス板212の裏面に異物が付着している場合は、背面ガラス板212を透過した検査光の一部は異物によって散乱し、一部は透過する。
【0034】
このとき、各部位について、背面ガラス板212の画像輝度を階調度で100とした場合、アドレス電極214の画像輝度の階調度は14、内部気泡および異物の画像輝度の階調度は17であった。
【0035】
第2投光装置109により斜め方向に照射された検査光の一部は、背面ガラス板212の表面で反射し、一部は背面ガラス板212を透過する。背面ガラス板212上のアドレス電極214に照射された検査光の一部はアドレス電極214の表面で散乱する。背面ガラス板212の内部気泡に照射された検査光の一部は、この内部気泡によって散乱される。また、背面ガラス板212裏面の異物部に照射された検査光の一部は異物によって散乱される。
【0036】
このとき、各部位について、アドレス電極214の画像輝度を階調度で100とした場合、背面ガラス板212の階調度は11、内部気泡及び異物部の階調度は17であった。
【0037】
背面ガラス板212におけるアドレス電極214の形状欠陥部のエリア判定あるいは白黒判定の精度を向上するためには、内部気泡、背面ガラス板212、アドレス電極214の画像輝度をこの順に高くなるように第1投光装置101および第2投光装置109の照射条件を設定することにより達成できる。さらに精度を上げるためには、内部気泡と背面ガラス板212との輝度差、および背面ガラス板212とアドレス電極214との輝度差が50階調以上になるように第1投光装置101および第2投光装置109の照射条件を設定するとよい。このような照射条件で撮像した画像(原画像)の一例を図3(a)に示す。図3(a)より、アドレス電極214の画像301と、背面ガラス板212の画像302と、内部気泡の画像303とを分別することが可能となる。次に、第1投光装置101および第2投光装置109の照明条件の設定方法について説明する。
【0038】
第1投光装置101および第2投光装置109の照明条件は、アドレス電極214の画像301と、背面ガラス板212の画像302と、内部気泡の画像303の各々の輝度から決定する。但し、輝度の最大値(飽和光量)は階調度で255とする。
【0039】
本実施形態では、図4に示すように、アドレス電極214の画像301の輝度が階調度240、背面ガラス板212の画像302の輝度が階調度119、内部気泡の画像303の輝度が階調度55となるように第1投光装置101および第2投光装置109の照明条件を設定した。
【0040】
尚、背面ガラス板212、アドレス電極214の材質および厚みなどが変更になった場合は、事前に照明条件の確認を行って設定する。また、検査時毎に背面ガラス板212の画像輝度、アドレス電極214部の画像輝度の平均値を算出し、その変化に応じて照明条件を設定してもよい。
【0041】
次に、検査装置100を用いてアドレス電極214の形状欠陥部を検出する検出方法の一例について図1、図5を用いて説明する。
【0042】
はじめに、被検査物106であるアドレス電極214を有する背面ガラス板212を搬送ローラ105に載置する。次に、搬送ローラ105を駆動させて背面ガラス板212を事前に処理装置107に登録した検査開始位置(1)に移動させる(ステップS1)。
【0043】
次に、エンコーダパルスに基づいてCCDラインセンサカメラで背面ガラス板212の画像を取込む(ステップS2)。ここで、カメラクロックによる時間管理に基づいて画像を取込んでもよい。
【0044】
次に、ステップS2で取り込んだ画像に対して比較処理を行い(ステップ3)、差画像を生成する(ステップ4)。
【0045】
比較処理の方法としては、図7に示すように、注目画素401と、アドレス電極214のパターンピッチに合わせた周囲8点の内の1点以上の比較画素402と比較し、その差の最大値または最小値、あるいは平均値を算出し、算出した階調差を基に差画像を生成する。差が無い場合は、基準階調度として128とする。また、差がある場合は、階調差の1/2に基準階調度128を加えたものを差画像の階調度とする。
【0046】
ここで、アドレス電極214の電極パターンの向きは、H方向、V方向のどちらでもよく、X、Yの数値を変更して対応する。尚、図中のH方向はXμm、V方向はYμmを示す。このような比較処理方法によって、図3(a)に示す画像(原画像)から得られた差画像の一例を図3(b)に示す。
【0047】
次に、ステップS4で生成した差画像を2値化するための閾値処理を行う(ステップS5)。閾値処理方法としては、白形状欠陥部を検出するための閾値処理方法と、黒形状欠陥部を検出するための閾値処理方法との2つがある。白形状欠陥部はアドレス電極214の電極パターンのショートや、アドレス電極214の電極パターンの形成工程における現像残りなどである。また、黒形状欠陥部はアドレス電極214の電極パターンの断線・欠け・薄抜けなどである。他の閾値処理方法としては、アドレス電極214の電極パターンの面積、高さ、あるいは幅などを閾値のパラメータとして2値化する方法でもよい。
【0048】
次に、検出した形状欠陥部がアドレス電極214もしくは背面ガラス板212のいずれに存在するかを判定するエリア判定を行う(ステップS6)。エリア判定の方法としては、図7およびステップS3で説明した比較処理方法によって行う。すなわち、検出した形状欠陥部の面積重心あるいは矩形中心を注目画素401とし、アドレス電極214のパターンピッチに合わせた周囲8点を比較画素402として、周囲8点の輝度のメディアン値あるいは平均値からアドレス電極214であるか背面ガラス板212であるかを判定する。尚、周囲8点に形状欠陥部が存在する場合は、その部分の輝度を除外してメディアン値あるいは平均値を算出する。
【0049】
エリア判定により、図8に示すように、アドレス電極214の形状欠陥部と、背面ガラス板212の内部気泡または背面ガラス板212の裏面に付着した異物とを分別することができる(ステップS7)。本実施形態では、アドレス電極214の画像301の輝度を階調度255付近に設定しているため、図3(b)に示すように、差画像にはアドレス電極214の画像301は白形状欠陥部として検出されず、内部気泡の画像303は黒形状欠陥部として検出される。したがって、エリア判定処理により、背面ガラス板212上の黒形状欠陥部は内部気泡の画像301であると判別することができる。
【0050】
次に、ステップS1からS7までの工程をN回分繰返し、背面ガラス板212の全域を検査する(ステップ8)。
【0051】
また、図6に示すように、ステップS1からS2までの画像取込と、ステップS3からS7までの画像処理とを並列して行ってもよい。この検査方法によれば、画像取込み時に他のラインの画像処理を行うことができるため、検査時間の短縮が図れる。
【0052】
以上にように本発明によれば、ガラス板の内部に形成された内部気泡の画像303またはガラス板の裏面に付着した異物の画像、ガラス板の画像302、電極パターンの画像301の順に輝度が高くなるように、第1、第2投光装置でガラス板に光を照射するので、電極パターンの形状欠陥部と、内部気泡またはガラス板の裏面に付着した異物とが的確に分別される。したがって、電極パターンの形状欠陥部を少ない測定回数で精度よく検出することが可能となる。これによって、検査工程のスループットを短縮できる。また、焦点深度の調整機能のない安価なレンズ系を用いることができるため、検査装置のコストダウンが図れる。さらに、ガラス板の大型化による反りや撓み量の増大に対してもパターン形状の形状欠陥部を精度よく検出することが可能となる。
【0053】
なお、上記の検査装置または検査方法を用いて画像表示用パネルを製造することもできる。この画像表示用パネルの製造方法によれば、上記と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明による検査装置および検査方法は、プラズマディスプレイパネル・液晶デバイスパネル・エレクトロルミネッセンスパネルなどの製造工程におけるパターン形状の検査に有用である。
【符号の説明】
【0055】
100 検査装置
101 第1投光装置
102 撮像装置
103 レンズ系
104 駆動装置
105 搬送ローラ
106 被検査物
107 処理装置
108 表示装置
109 第2投光装置
201 PDP
211 前面ガラス板
212 背面ガラス板
213 絶縁体層
214 アドレス電極
215 隔壁
216R、216G、216B 蛍光体層
217 誘電体層
218 保護層
219 表示電極
219a 走査電極
219b 維持電極
301、302、303 画像
401 注目画素
402 比較画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極パターンを有するガラス板の裏面に光を照射する第1投光装置と、前記ガラス板の表面に斜め方向から光を照射する第2投光装置と、前記ガラス板の表面を撮像する撮像装置と、前記ガラス板の表面を前記撮像装置に結像させるレンズ系と、前記撮像装置で撮像した前記ガラス板の表面の画像を画像処理して、前記電極パターンの形状欠陥部を検出する処理装置とを備え、前記第1、第2投光装置による照明条件が、前記ガラス板の内部に形成された内部気泡の画像または前記ガラス板の裏面に付着した異物の画像、前記ガラス板の画像、前記電極パターンの画像の順に輝度が高くなるように設定されている検査装置。
【請求項2】
前記照明条件は、前記ガラス板の内部に形成された内部気泡の画像または前記ガラス板の裏面に付着した異物の画像、前記ガラス板の画像、前記電極パターンの画像の各々の画像の輝度差が50階調以上になるように設定されている請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記レンズ系は、前記ガラス板の反りや撓みに対して許容範囲に入る焦点深度を有している請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
電極パターンを有するガラス板の裏面に光を照射する第1投光装置と、前記ガラス板の表面に斜め方向から光を照射する第2投光装置で、前記ガラス板に光を照射するとともに、前記ガラス板の表面の上方に配置した撮像装置で、前記ガラス板の表面を撮像する工程と、前記撮像装置で撮像した画像の輝度情報から前記電極パターンの形状欠陥部を検出する工程を含む検査方法であって、前記ガラス板の内部に形成された内部気泡の画像または前記ガラス板の裏面に付着した異物の画像、前記ガラス板の画像、前記電極パターンの画像の順に輝度が高くなるように、前記第1、第2投光装置で前記ガラス板に光を照射することによって、前記内部気泡または前記異物と、前記電極パターンの形状欠陥部とを分別し、前記電極パターンの形状欠陥部のみを検出する検査方法。
【請求項5】
前記内部気泡の画像または前記異物の画像、前記ガラス板の画像、前記電極パターンの画像の各々の画像の輝度差が50階調以上になるように前記ガラス板に光を照射する請求項4に記載の検出方法。
【請求項6】
請求項1に記載の検査装置または請求項4に記載の検査方法を用いて画像表示用パネルを製造する画像表示用パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−257258(P2011−257258A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131700(P2010−131700)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】