検電器及び検電方法
【課題】非接触型の検電器の検出感度を高めることができる。
【解決手段】検電器100は、交流から変換された直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する。受信部110は、交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を受信する。検出部130は、受信した信号に含まれる高調波周波数成分の信号強度に応じて、充電部の充電状態を検出する。
【解決手段】検電器100は、交流から変換された直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する。受信部110は、交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を受信する。検出部130は、受信した信号に含まれる高調波周波数成分の信号強度に応じて、充電部の充電状態を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流送電システムにおいて用いられる非接触型の検電器及び検電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検電器は、充電される充電部の充電状態を検出する際に用いられる。
直流送電システムは、例えば電車線の送電に利用され、直流式電気鉄道の「き電回路」などに適用されている。直流式電気鉄道の「き電回路」には、発電機から供給される電力によって、1500V程度の直流電圧が印加されている。その直流式電気鉄道の「き電回路」の充電状態を検出する場合、検電器の基準電位線をレールに接続しておき、検出端子を架線に接触させて、充電状態を検知する携帯可能な検電器が知られている。
【0003】
また、高圧の送電システムに適用する場合、上記の接触型検電器であっても、充電部から電力を得ることができず、バッテリーなどの電力により動作させるため、低消費電力であることが必要とされる。
例えば、直流送電システムに適用可能な電力消費の少ない検出方式の検電器としては、(1)静電式検電器をはじめ、(2)静電電圧計、(3)液晶、(4)ピエゾ効果、(5)電気光学効果などを用いる方式が知られている。
これらの方式のうち、「静電式検電器及び電気光学効果」を用いた方式のものは、必ずしも充電部に接触させて用いることを必要としないが、他の方式のものはいずれも接触させて用いることが必要とされる(例えば、特許文献1参照)。また、静電式検電器であっても、検出感度を向上させるには接地することが必要であり、直流1500V程度の電圧を検出する場合においても同様である。
また、「液晶」を用いた方式のものは、液晶の電界応答性に温度依存性があることから、屋外で利用する場合には、環境温度変化、日射による温度上昇などの影響をうけることにより検出性能を維持しにくい。
「ピエゾ効果」を用いた方式のものは、機械的な変位を利用して検出することから、温度依存性があり、屋外で利用する場合には、環境温度変化、日射による温度上昇などの影響をうけることにより検出性能を維持しにくい。また、外部に仕事をする構成とする場合には、その分のエネルギーを消費する。
「電気光学効果」を用いた方式のものは、電界の変化により生じる屈折率の変化を検出する。このような方式の検出部では、光路における微小な屈折率の変化を検出するために、光ファイバをコイル状に多数回巻いたものを用いて長い光路長を確保する。検出部の検出感度高めるには、光ファイバーの量が多くなり、設備が大掛かりなものになり検出部の重量が増大することから、検電器としての操作性が低下することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−198759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電車線は、単線であるとは限られず、複線、或いは、複数のプラットホームを持つ駅又は拠点駅における渡り線や留置線などがある輻輳区間が多く存在する。このような輻輳区間においては、誤認による感電事故が防ぎきれていない。
また、検電器では、検出する電圧が高圧の場合、安全性を高めるために充電部に非接触で検出することが望まれる。
しかしながら、直流の検電器を充電部に接触させない非接触型とする場合には、検出感度を高めることが困難であるというという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、検出感度を高めることができる非接触型の検電器及び検電方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記問題を解決するために、本発明は、交流から変換された直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する検電器であって、前記交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を受信する受信部と、前記受信した信号に含まれる前記高調波周波数成分の信号強度に応じて、前記充電部の充電状態を検出する検出部とを備えることを特徴とする検電器である。
【0008】
(2)また、本発明は、上記発明において、前記検出部は、前記受信した信号に含まれる前記高調波周波数成分を抽出する抽出部を備えることを特徴とする。
【0009】
(3)また、本発明は、上記発明において、複数の前記高調波周波数成分を所望の周波数成分に変換する周波数変換部を備え、前記抽出部は、前記変換された所望の周波数成分から、前記複数の高調波周波数成分を抽出することを特徴とする。
【0010】
(4)また、本発明は、上記発明において、前記受信部は、前記受信した信号から前記交流の基準周波数成分を低減させるフィルタ部を備え、前記抽出部は、前記交流の基準周波数成分を低減させた信号に基づいて前記高調波周波数成分を抽出することを特徴とする。
【0011】
(5)また、本発明は、上記発明において、前記高調波周波数成分を含む擬似信号を生成し発生させる擬似信号発生部を備え、前記検出部は、前記擬似信号を検出することを特徴とする。
【0012】
(6)また、本発明は、上記発明において、前記受信部は、前記交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含み、異なる2つの信号を受信し、前記検出部は、前記受信した異なる2つの信号に含まれる前記高調波周波数成分の信号強度を差動増幅することにより、前記充電部の充電状態を検出することを特徴とする。
【0013】
(7)また、本発明は、交流から変換された直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する検電方法であって、前記交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を受信する受信過程と、前記受信した信号に含まれる前記高調波周波数成分の信号強度に応じて、前記充電部の充電状態を検出する検出過程とを含むことを特徴とする検電方法である。
【発明の効果】
【0014】
この本発明によれば、検電器は、交流から変換された直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する。受信部は、交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を受信する。検出部は、受信した信号に含まれる高調波周波数成分の信号強度に応じて、充電部の充電状態を検出する。
これにより、非接触型の検電器の検出感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態における直流送電システムをモデル化したブロック図である。
【図2】12相整流された直流の電圧変化を示す図である。
【図3】本実施形態における検電器を示すブロック図である。
【図4】本実施形態における受信部110の詳細構成を示す接続図である。
【図5】本実施形態における周波数変換部と電源部の構成を示す接続図である。
【図6】本実施形態における受信部の特性をシミュレートした結果を示す図である。
【図7】本実施形態におけるモデル化した直流送電システムからの信号に基づいて、周波数変換を行う処理までをシミュレーションした結果によるスペクトルを示す図である。
【図8】本実施形態における受信部におけるフィルタの伝達特性と位相特性を示す図である。
【図9】本実施形態における受信部によって検出されたスペクトルを示す図である。
【図10】第2実施形態における検電器を示すブロック図である。
【図11】本実施形態における検電器の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本実施形態における直流送電システムをモデル化したブロック図である。
この図1に示される直流送電システムのモデルは、発電機700、直流変換装置800、及び負荷900を備えている。
【0018】
発電機700は、所定の基準周波数fgに基づいた三相交流電力を発電する。この図では、各相に接続されている電圧源として示す。
直流変換装置800は、発電機700からの電力を直流に変換する。
直流変換装置800は、変圧器810及び整流器820を備える。
変圧器810は、三相Y型結線の一次巻線811、三相Δ型結線の第1の二次巻線812、三相Y型結線の第2の二次巻線813を備える。
変圧器810は、一次巻線811の各相に発電機700の各相がそれぞれ接続されており、発電機700から供給される電力を変換して、Δ型結線の第1の二次巻線812とY型結線の第2の二次巻線813から出力する。Δ型結線の第1の二次巻線812には、整流器822が接続され、Y型結線の第2の二次巻線813には、整流器823が接続される。
【0019】
整流器820は、整流器822と整流器823を備える。
整流器822は、3相ごとに直列接続されたダイオードがそれぞれ設けられ、Δ型結線の第1の二次巻線812から供給される電力を整流する。整流器822は、Δ型結線の第1の二次巻線812と併せてΔ型整流回路を形成する。
整流器823は、3相ごとに直列接続されたダイオードがそれぞれ設けられ、Y型結線の第2の二次巻線813から供給される電力を整流する。整流器823は、Y型結線の第2の二次巻線813と併せてY型整流回路を形成する。
整流器822と整流器823は、直列に接続されており、整流器822のダイオードのアノードが接地され、整流器823のダイオードのカソードが負荷900に接続されている。
【0020】
負荷900は、例えば、直流電化された電車線の場合では、架線910及びレール920、並びに、架線910及びレール920から電力の供給を受ける電車が含まれる。負荷900は、整流器820によって整流された直流が供給される。また、一例として示したこのような接続による整流方式は、12相整流方式と呼ばれている。
12相整流方式では、6相整流方式に比べ、脈動周波数が2倍に、脈動振幅が4半分以下になることから、電圧変動を少なくできる。
【0021】
図2は、12相整流された直流の電圧変化を示す図である。
以下の記載では、発電機700が出力する電力の基準周波数fgを60Hzとした場合を例に説明する。
図2(a)に示されるグラフでは、縦軸が電圧(kV(キロボルト))であり、横軸が時間(ミリ秒)であり、波形g2aが12相整流された直流の電圧変動を示す。
波形g2aに示されるように、整流された直流の電圧は、1.5kVをピーク電圧とし、1.45kVから1.5kV間で変動する成分が重畳する脈流になる。
【0022】
図2(b)に示されるグラフでは、縦軸が電圧(kV(キロボルト))であり、横軸が時間(ミリ秒)であり、波形g2bが12相整流方式により生成される脈流の電圧変動を示す。
【0023】
図2(c)に示されるグラフでは、縦軸が周波数成分の電力(dB(デシベル))であり、横軸が周波数(Hz(ヘルツ))であり、波形g2cが12相整流方式により生成される脈流の周波数スペクトルを示す。
脈流には、発電機700が発電した交流の基準周波数fgに対応する成分が含まれる。周波数f1の周波数は、360Hzであり、基準周波数fg(60Hz)の6倍の周波数である。また、周波数f2の周波数は、720Hzであり、基準周波数fgの12倍の周波数である。
【0024】
Δ型整流回路とY型整流回路の特性がそろっていれば、波高値の約3%の振幅の720Hzを基本波とする脈流成分が発生する。実際には、それらの特性が完全には一致しないので、360Hzを基本波とする脈流成分も含まれる。図2(b)に示したグラフの場合では、360Hzを基本波とする脈流成分は、720Hzを基本波とする脈流成分の振幅の1/3程度の大きさが含まれている。
このように、負荷900に供給される直流電圧には、発電機700の基準周波数fgに依存する周波数成分が含まれている。
なお、発電機700が出力する電力の基準周波数fgが、50Hzの場合では、周波数f1の周波数は、300Hzであり、基準周波数fg(50Hz)の6倍の周波数である。また、周波数f2の周波数は、600Hzであり、基準周波数fgの12倍の周波数である。発電機700が出力する電力の基準周波数fgが50Hzの場合においても、60Hzの場合と同様に、本実施形態を適用することができる。
【0025】
図3は、本実施形態における検電器を示すブロック図である。
この図3に示される検電器100は、図1に示した負荷900の一部である架線910に、直流が給電されている状態を検出する。
検電器100は、受信部110、周波数変換部120、検出部130、表示部140、電源部150及び擬似信号発生部160を備える。
受信部110は、アンテナANTによって検出した信号を受信する。アンテナANTは、架線910との間の空間に形成される容量成分によって静電結合されている。受信部110は、発電機700によって発電される交流の基準周波数fgに基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を、その容量成分を介して受信する。受信部110は、接地されており、例えばレール920に接続されている。受信部110は、架線910(充電部)に対しては絶縁されており、架線910に充電されている直流電圧が直接印加されない状態に保持される。
受信部110は、アンテナANT、帯域除去フィルタ111、及び、帯域通過フィルタ112を備える。
【0026】
アンテナANTは、架線910と容量結合されていることにより、架線910を充電している直流に重畳されている変動成分(脈流)を検出する。
帯域除去フィルタ(BRF)111は、アンテナANTによって検出された信号から、発電機700の基準周波数fgの周波数領域の成分(交流の基準周波数成分)を低減させる。
アンテナANTによって検出された信号には、基準周波数fgの周波数領域の成分が多く含まれている。また、この周波数領域は、他の商用電源の電源系統に重畳される周波数成分(50又は60Hz)も含まれている。この周波数領域の信号を低減することにより、受信電界強度の大きな雑音成分を抑圧することができ、誤検出を低減することができる。
【0027】
帯域通過フィルタ(BPF)112は、発電機700の基準周波数fgの6倍及び12倍の周波数領域の成分を透過させる。12相整流方式された脈流に含まれている特徴のある周波数領域を透過させることにより、各種ノイズの影響を低減することができる。
このように構成された受信部110は、アンテナANTによって受信した信号から、発電機700の基準周波数fgの6倍及び12倍の周波数領域の成分を透過することができる。
【0028】
続いて周波数変換部120について説明する。
周波数変換部120は、受信部110によって制限された周波数領域に含まれる、発電機700の基準周波数fgの6倍及び12倍の周波数領域の成分(高調波周波数成分)を所望の周波数成分に変換する周波数変換を行う。
周波数変換部120は、ローカル(Lo)発振器121、乗算器122、ローパスフィルタ(LPF)123を備える。
【0029】
ローカル(Lo)発振器121は、周波数変換を行う際の基本周波数foの正弦波を生成する。Lo発振器121は、無線機の局部発振器に相当する。
乗算器122は、2つの入力信号によって示される値を乗算する。乗算器122の一方の入力には、受信部110から出力される信号が入力され、他方の入力には、Lo発振器121によって生成される基本周波数foの正弦波が入力される。例えば、基本周波数を500Hzとする場合、乗算器122は、周波数f1(360Hz)を、周波数f1C’(140Hz(=500−360))に変換し、周波数f2(720Hz)を、周波数f2C’(220Hz(=720−500))に変換する。
なお、基本周波数foは、直流成分に変換されるので回路構成をAC結合とすることにより除去することができる。
【0030】
ローパスフィルタ(LPF)123は、周波数f1C’と周波数f2C’の両方の周波数成分を透過させる周波数帯域を確保できるカットオフ周波数を有している。また、LPF123は、周波数領域をさらに制限することにより、ノイズ成分をさらに低減することができる。本実施形態では、カットオフ周波数fcを1kHzとするローパスフィルタを例に示すが、上記周波数成分を透過するバンドパスフィルタとしてもよい。
【0031】
続いて検出部130について説明する。
検出部130は、受信した信号に含まれる高調波周波数成分の信号強度に応じて、架線910(充電部)の充電状態を検出する。
検出部130は、周波数検出部131、判定部132、電圧検出部133、及び、設定部134を備える。
【0032】
周波数検出部131(抽出部)は、受信した信号に含まれる発電機700によって発電される基準周波数fgの交流を、直流変換装置800における整流器820で整流した際に発生する高調波周波数成分を抽出する。周波数検出部131(抽出部)は、周波数変換部120によって変換された所望の周波数成分から、複数の高調波周波数成分を抽出する。
例えば、周波数検出部131は、予め定められる所定の周波数を抽出する「Goertzelフィルタ」を適用することができる。Goertzelフィルタは、電話器のダイヤル情報を送信するトーン信号(DTMFシグナル)を検出する際に用いることが知られており、複数の周波数成分が重畳されていてもそれぞれ分離することができる。
本実施形態では、周波数検出部131は、LPF123によって透過された周波数f1C’と周波数f2C’の両方の周波数成分を抽出する。
【0033】
判定部132、抽出された高調波周波数成分のそれぞれの信号強度を予め定められる閾値に基づいて判定する。予め定められる閾値は、検出精度に応じて複数個が設けられており、信号強度に応じて複数の段階に分別することができる。
電圧検出部133は、抽出された高調波周波数成分の信号強度を、予め定められる閾値に基づいて判定された結果に従って架線910(充電部)の充電電圧を検出し、検出結果を表示部140に表示させる。
設定部134は、ユーザの操作を検出する操作入力検出部、検出した情報を記憶する記憶部を備え、検出したユーザの操作に基づいて、ユーザの意向に応じた動作モードを選択する。設定部134は、ユーザが選択した動作モードに応じた情報を記憶部に記憶させるとともに、その情報に基づいて検電器100の各部の動作を制御する。
【0034】
続いて表示部140について説明する。
表示部140は、検出結果に応じて、基準周波数fgの6倍及び12倍の周波数の信号の検出状況を表示する。また、表示部140は、擬似信号発生部160によって生成された信号を検出した際にも、同様の検出状況を表示する。これにより、装置の検出機能が作動している状態を検出することができる。
【0035】
続いて電源部150について説明する。
電源部150は、バッテリーE(図5)から給電される電力により、各部を機能させる際に必要とされる基準電位とバイアス電位を生成する。
【0036】
続いて擬似信号発生部160について説明する。
擬似信号発生部160は、あらかじめ定められた周期にしたがって擬似信号を発生する。擬似信号発生部160が発生させる擬似信号は、発電機700の基準周波数fgの周波数領域の成分(交流の基準周波数成分)を含む信号である。また、この擬似信号は、選択的に受信部110に入力され、検出部130によって検出される。
これにより、検出対象が充電されていない場合と、検出対象が充電されているのに、検電器100の故障などにより検出不能状態にある場合とを容易に判別することができる。
【0037】
図4は、本実施形態における受信部の詳細構成を示す接続図である。図3と同じ構成には、同じ符号を附す。
BRF111は、BRF111A、BRF111B、及び、BRF111Cを備える。
BRF111には、基準電位(接地電位)に対するアンテナANTからの信号が入力端子TB111から入力される。BRF111においてBRF111A、BRF111B、及び、BRF111Cは、順に直列に接続され、それぞれ設定された周波数特性により、入力端子TB111から入力された信号から所定の周波数成分を低減する。
【0038】
BRF111におけるBRF111Aは、基準電位(接地電位)に対するアンテナANTからの信号が入力端子TB111に入力される。アンテナANTからの信号は、基準電位(接地電位)に対して定められる。
入力端子TB111には、コンデンサC10の一方の端子が接続され、コンデンサC10の他端には、抵抗R11からR13とコンデンサC11からC13によって形成されるツインT型の帯域除去フィルタ(BRF111A)が接続される。
BRF111Aにおいて、抵抗R11とR12は、直列に接続されており、直列に接続された状態でコンデンサC10の他端とBRF111Aの出力端子に接続される。抵抗R11とR12との接続点は、コンデンサC13を介して基準電位線に接続されている。また、コンデンサC11とC12は、直列に接続されており、直列に接続された状態でコンデンサC10の他端とBRF111Aの出力端子に接続される。コンデンサC11とC12との接続点は、抵抗R13を介して基準電位線に接続されている。
BRF111Aにおいて、抵抗R11からR13とコンデンサC11からC13は、発電機700の基準周波数成分及び商用電源の周波数の周波数成分(50Hz)を低減できる値にする。例えば、BRF111Aにおいて除去する帯域の中心周波数を、50Hzに設定する。
【0039】
BRF111Aの出力端子、すなわちBRF111Bの入力端子には、抵抗R14からR16とコンデンサC14からC16によって形成されるツインT型の帯域除去フィルタ(BRF111B)が接続される。
BRF111Bにおいて、抵抗R14とR15は、直列に接続されており、直列に接続された状態でBRF111Bの入力端子とBRF111Bの出力端子に接続される。抵抗R14とR15との接続点は、コンデンサC16を介して基準電位線に接続されている。また、コンデンサC14とC15は、直列に接続されており、直列に接続された状態でBRF111Bの入力端子とBRF111Bの出力端子に接続される。コンデンサC14とC15との接続点は、抵抗R16を介して基準電位線に接続されている。
BRF111Bにおいて、抵抗R14からR16とコンデンサC14からC16は、発電機700の基準周波数成分及び商用電源の周波数の周波数成分(60Hz)を低減できる値にする。例えば、BRF111Aにおいて除去する帯域の中心周波数を、60Hzに設定する。
【0040】
BRF111Bの出力端子、すなわちBRF111Cの入力端子には、抵抗R17からR19とコンデンサC17からC19によって形成されるツインT型の帯域除去フィルタ(BRF111C)が接続される。
BRF111Cにおいて、抵抗R17とR18は、直列に接続されており、直列に接続された状態でBRF111Cの入力端子とBRF111Cの出力端子に接続される。抵抗R17とR18との接続点は、コンデンサC19を介して基準電位線に接続されている。また、コンデンサC17とC18は、直列に接続されており、直列に接続された状態でBRF111Cの入力端子とBRF111Cの出力端子に接続される。コンデンサC17とC18との接続点は、抵抗R19を介して基準電位線に接続されている。
BRF111Cにおいて、抵抗R17からR19とコンデンサC17からC19は、発電機700の基準周波数の倍の周波数成分(120Hz)を低減できる値にする。例えば、BRF111Bにおいて除去する帯域の中心周波数を、120Hzに設定する。なお、発電機700の基準周波数が50Hzである場合は、その中心周波数を100Hzとする。
【0041】
BPF112は、ハイパスフィルタ112HPとローパスフィルタ112LPを備える。
ハイパスフィルタ(HPF)112HPは、抵抗R21からR23、コンデンサC21からC23、演算増幅器U1を備える。
HPF112HPにおいて、コンデンサC21、コンデンサC22、抵抗R21及び抵抗R22は、順に直列に接続されており、直列に接続された状態の両端の一方にあたるコンデンサC21の一端が、HPF112HPの入力端子に、抵抗R22の一端が基準電位線に接続されている。コンデンサC22と抵抗R21の接続点は、演算増幅器U1の非反転入力端子に接続されている。演算増幅器U1の出力端子は、反転入力端子に接続されるとともに、抵抗R23を介してコンデンサC21とコンデンサC22の接続点に接続され、さらに、コンデンサC23を介して抵抗R21と抵抗R22の接続点に接続される。演算増幅器U1の出力端子から出力される信号が、HPF112HPの出力信号となる。
【0042】
ローパスフィルタ(LPF)112LPは、抵抗R24からR25、コンデンサC24からC25、演算増幅器U2を備える。
LPF112LPにおいて、抵抗R24、抵抗R25、及び、コンデンサC24は、順に直列に接続されており、直列に接続された状態の両端の一方にあたる抵抗R24の一端が、LPF112LPの入力端子に、コンデンサC24一端が基準電位線に接続されている。抵抗R25とコンデンサC24の接続点は、演算増幅器U2の非反転入力端子に接続されている。演算増幅器U2の出力端子は、反転入力端子に接続されるとともに、コンデンサC25を介して抵抗R24と抵抗R25の接続点に接続される。演算増幅器U2の出力端子から出力される信号が、BPF112の出力信号となる。
【0043】
図5は、本実施形態における周波数変換部と電源部の構成を示す接続図である。図3と同じ構成には同じ符号を附す。
この図5に示される周波数変換部120は、ローカル発振器121、乗算器122、LPF123を備える。
ローカル発振器121は、発振器121OSCとコンデンサC41を備える。
発振器121OSCは、一端が基準電位線に接続され、他端がコンデンサC41を介して出力端子に接続される。発振器121OSCは、周波数変換を行う基本周波数foの正弦波を生成する。ローカル発振器121は、発振器121OSCによって生成された基本周波数foの正弦波を出力する。
【0044】
乗算器122は、2つの入力端子のうち、一方の入力端子がローカル発振器121の出力端子に接続され、ローカル発振器121における発振器121OSCによって生成された基本周波数の正弦波が入力される。また、乗算器122は、2つの入力端子のうち、他方の入力端子がローパスフィルタ112LPの出力端子に接続され、前段からの信号が入力される。
乗算器122は、トランジスタQ1からQ8、抵抗R51からR59、及び、コンデンサC51からC52を備える。
コンデンサC51は、抵抗R57と直列に接続されており、一端が入力端子TB122に接続され、他端が抵抗R57を介して基準電位線に接続されている。
トランジスタQ1からQ8は、NPN型バイポーラトランジスタである。
トランジスタQ1からQ4は、同じ特性を備えており、トランジスタQ1とQ2、並びに、トランジスタQ3とQ4は、それぞれのエミッタが接続されており、差動対をそれぞれ形成する。
【0045】
トランジスタQ1は、ベースがトランジスタQ4のベースと、ローカル発振器121の出力端子に接続され、コレクタがトランジスタQ3のコレクタに接続されると共に、抵抗R51を介して電源線VCCLに接続される。
トランジスタQ2は、ベースがトランジスタQ3のベースに接続され、コレクタがトランジスタQ4のコレクタに接続される共に、抵抗R52を介して電源線VCCLに接続される。
【0046】
また、トランジスタQ5とQ6は、それぞれ同じ特性を備え、対を成して形成されている。トランジスタQ5は、ベースがコンデンサC51と抵抗R57の接続点に接続され、コレクタがトランジスタQ1とQ2のエミッタにそれぞれ接続される。トランジスタQ6は、ベースが並列に接続されたコンデンサC52と抵抗R58の一端に接続され、コンデンサC52と抵抗R58を介して基準電位線に接続されており、コレクタがトランジスタQ3とQ4のエミッタにそれぞれ接続される。
【0047】
また、トランジスタQ7とQ8は、それぞれ同じ特性を備え、対を成して形成されている。トランジスタQ7とQ8は、ベースが互いに接続され、ダイオードDと抵抗R56を介して電源線VEELに接続され、抵抗R55を介して基準電位線に接続されている。また、トランジスタQ7とQ8は、コレクタが抵抗R59を介して接続されている。
さらに、トランジスタQ7は、コレクタがトランジスタQ5のエミッタに接続され、エミッタが抵抗R53を介して電源線VEELに接続される。トランジスタQ8は、コレクタがトランジスタQ6エミッタに接続され、エミッタが抵抗R54介して電源線VEELに接続される。
このように構成された乗算器122は、接続されているトランジスタQ1とQ3のコレクタが、乗算器122の出力端子となり、乗算結果を出力する。
【0048】
ローパスフィルタ(LPF)123は、抵抗R61からR64、コンデンサC61からC64、演算増幅器U4を備える。
LPF123において、コンデンサC61、抵抗R61、及び、抵抗R62は、順に直列に接続されており、直列に接続された状態の両端にあたる、コンデンサC61の一端がLPF123の入力端子に、抵抗R62の一端が基準電位線に接続されている。また、抵抗R62には、コンデンサC62が並列に接続されている。
演算増幅器U4において非反転入力端子が、抵抗R61とR62の接続点に接続されている。反転入力端子が、直列に接続されている抵抗R63とコンデンサC63を介して基準電位線に接続されると共に、並列に接続されている抵抗R64とコンデンサC64を介して出力端子に接続されている。
なお、演算増幅器U4の出力端子は、出力端子TB123に接続されており、演算増幅器U4の出力端子から出力される信号が、LPF123の出力信号となる。
【0049】
電源部150は、基準電位生成部151とバイアス電位生成部152を備える。
検電器100の電力は、検電器100の筐体内に設けられているバッテリーEから供給される。基準電位生成部151は、バッテリーEから供給される電位に基づいて、各部を機能させるための基準電位を生成し、基準電位線に出力する。
基準電位生成部151は、抵抗R31、R32及び演算増幅器U3を備える。
抵抗R31とR32は、直列に接続された状態でバッテリーEの正極端子接続される電源線VCCLと、バッテリーEの負極端子接続される電源線VEELとにそれぞれ接続され、バッテリーEの端子間電圧を分圧する。
演算増幅器U3は、非反転入力端子が抵抗R31とR32との接続点に接続され、反転入力端子が出力端子と基準電位線に接続されており、抵抗R31とR32との接続点の電位を出力する。基準電位生成部151は、抵抗R31とR32が同じ値であれば、バッテリーEの端子電圧の中間の電位を基準電位として生成することができる。
なお、第1実施形態に示すように、基準電位線をレール・大地に接続(接地)することにより、基準電位を大地の電位と一致することができる。
【0050】
バイアス電位生成部152は、バッテリーの正極端子接続される電源線VCCLと、基準電位生成部151によって生成された基準電位を示す基準電位線に接続され、供給されるバッテリー電圧に基づいて、各部を機能させるバイアス電位を生成する。
バイアス電位生成部152は、抵抗R33、R34、R35及びコンデンサC31を備える。
抵抗R33とR34は、直列に接続された状態で一端がバッテリーEの正極端子に接続される電源線VCCLに接続され、他端が基準電位を示す基準電位線に接続される。抵抗R34には、コンデンサC31が並列に接続される。
抵抗R33とR34の接続点は、トランジスタQ2とQ3のベースに接続され、抵抗R35を介してトランジスタQ1とQ4のベースに接続される。
【0051】
以上に示した構成の検電器100の動作を整理する。
受信部110は、アンテナANTによって検出した信号を、BRF111により不要な周波数成分を低減させる。例えば、BRF111A、BRF111B及びBRF111Cにより、それぞれ50Hz、60Hz、及び、120(100)Hzを中心周波数とする周波数成分を低減させる。
また、BPF112により、発電機700の基準周波数fgの6倍と12倍の周波数成分を透過させる。BPF112は、HPF112HPとLPF112LPとによって伝達特性が定められている。
【0052】
周波数変換部120は、受信部110によって不要周波数が低減され、透過された、発電機700の基準周波数fgの6倍と12倍の周波数成分に対する周波数変換を行う。
検出部130は、周波数変換された、基準周波数fgの6倍と12倍の周波数成分を周波数抽出部131によりそれぞれ抽出する。判定部132は、抽出された周波数成分の信号強度を判定する。電圧検出部133は、判定部132による判定結果により、予め定められた大きさより大きな信号が検出され場合、架線910(充電部)が充電状態にあると判定し、表示部140に判定結果を表示する。
また、検電器100は、擬似信号発生部160によって生成される擬似信号を用いた診断機能を備えており、例えば周期的発生された擬似信号を受信することにより、その周期に応じて表示部140に周期的に充電を検出状態が示されることにより、検出機能が正常に作動していると診断することができる。
【0053】
図6から9を参照し、本実施形態にける検電器の検出特性について説明する。
図6は、本実施形態にける受信部の特性をシミュレートした結果を示す図である。
この図6に示されるグラフでは、縦軸が周波数成分の電力(dB(デシベル))又は位相角度であり、横軸が周波数(Hz(ヘルツ))であり、波形g6aが受信部におけるフィルタの伝達特性を示し、波形g6bが同フィルタの位相特性を示す。
波形g6aによって示されるように、カットオフ周波数以下の周波数帯域において十分な遮断特性を示し、カットオフ周波数を越え、800Hz以下の周波数帯域において、ゲイン変動が約8dB以下である。
波形g6bによって示されるように、カットオフ周波数を越える透過領域の位相特性は、単調に変化し安定性を確保している。
【0054】
図7は、モデル化した直流送電システムからの信号に基づいて、周波数変換を行う処理までをシミュレーションした結果によるスペクトルを示す図である。
この図7に示されるシミュレーションでは、モデル化した直流送電システムからの信号波形(図2参照)をコンデンサ(0.01pF(ピコファラッド))を介してアンテナANTに入力する条件に基づいて計算している。
この図7に示されるグラフでは、縦軸が周波数成分の電力(dB(デシベル))であり、横軸が周波数(Hz(ヘルツ))であり、波形g7aが、モデル化した直流送電システムからの信号に基づいて、周波数変換を行う処理までをシミュレーションした結果のスペクトルを示す。
波形g7aによって示されるように、得られたスペクトルのうち、周波数変換部120における局部発振周波数(500Hz)、及び、140Hzと220Hzにスペクトルにピークが検出されている。
【0055】
図8は、受信部におけるフィルタの伝達特性と位相特性を示す図である。
この図8に示されるグラフでは、縦軸が周波数成分の電力(dB(デシベル))又は位相角度であり、横軸が周波数(Hz(ヘルツ))であり、波形g8aが受信部におけるフィルタの伝達特性を示し、波形g8bが同フィルタの位相特性を示す。
波形g8aによって示されるように、カットオフ周波数以下の周波数帯域において十分な遮断特性を示し、カットオフ周波数を越える透過領域の周波数特性の平坦性を確保している。
波形g8bによって示されるように、カットオフ周波数を越える透過領域の位相特性は、単調的に変化し安定性が確保されている。
【0056】
図9は、受信部によって検出されたスペクトルを示す図である。
アンテナANT(100x120mm)を、架線910に対して1から1.5m(メートル)、地面に対して、3.5から4m離した状態に配置して、実際に測定した結果を示す。
図9(a)に示されるグラフでは、縦軸が周波数成分の電力(dB(デシベル))であり、横軸が周波数(Hz(ヘルツ))であり、波形g9aが、架線910に1500Vの直流電圧を印加している状態で、受信部によって検出されたスペクトルを示す。
波形g9aによって示されるように、検出されたスペクトルのうち、最も高い電力の周波数(500Hz)は、周波数変換部120における局部発振周波数であり、140Hzと220Hzにスペクトルにピークが検出されている。
【0057】
図9(b)に示されるグラフでは、縦軸が周波数成分の電力(dB(デシベル))であり、横軸が周波数(Hz(ヘルツ))であり、波形g9bが、架線910に直流電圧を印加しない状態で、受信部によって検出されたスペクトルを示す。
波形g9bによって示されるように、波形gaと同様に、検出されたスペクトルのうち、最も高い電力の周波数(500Hz)は、周波数変換部120における局部発振周波数である。また、周波数領域全般のノイズ成分が低減し、波形g9aにおいて検出された、140Hzと220Hzの成分は消失していることがわかる。
このように、波形g9aにおいて検出された、140Hzと220Hzの成分は、直流送電を行ったことにより、架線910に重畳する脈流成分により発生していることがわかる。
【0058】
続いて、検電器100における周波数変換の必要性について説明する。
周波数検出部131にGoertzelフィルタを適用した場合、12相整流方式によって発生する周波数成分が720Hzであれば、周波数変換部120による周波数変換を行わずに、受信部110からの信号を周波数検出部131によって検出することも可能である。また、Goertzelフィルタでは、目的の周波数を検出するには、何サイクルかの信号を加え続ける必要があり、高速に警告を発するためには検知周波数が高いことが望まれる。
【0059】
一方で、より高い周波数成分は、遠方まで伝わりやすくなる。不要な電磁波の到来に対して、静電シールドにより不要な電界成分は低減できるが、磁気シールドで磁界成分を低減することは容易ではない。検電器100において検出する信号は、電界成分の信号であり、必要とされる電界成分の信号を、乗算器122により、磁界シールドで低減できない磁界成分の影響を受けにくい周波数に変換することにより、雑音として検出される磁界成分の影響を回避することができる。このように、乗算器122による周波数変換部120を備えることにより、より確実に検出できるGoertzelフィルタを構成することができる。
【0060】
なお、設定部134は、局部発振器121、周波数検出部131におけるGoertzelフィルタの周波数を設定により変更することができるので、環境条件などに応じて、雑音の影響を受けにくい周波数に設定することができる。その設定では、個々に値を定めるだけでなく、周波数配置のパターンを予め定めておき、そのパターンのいずれかを選択するようにしてもよい。設定部134は、周波数配置のパターンを設定部134内の記憶部に識別子に対応付けて予め記憶する。設定部134は、検出感度の高い周波数配置のパターンとして選択された識別子に従って、記憶された周波数配置のパターンに従って、局部発振器121、周波数検出部131におけるGoertzelフィルタの周波数を設定することとしてもよい。
【0061】
(第2実施形態)
図1から5、及び10を参照し、異なる実施態様について説明する。
図10は、本実施形態における検電器を示すブロック図である。図1から5に示した構成と同じ構成には、同じ符号を附す。
この図に示される検電器100Aは、図1に示した負荷900の一部である架線910とレール(大地)920間に、直流が供給されている状態を検出する。
検電器100Aは、受信部110A、周波数変換部120A、検出部130、表示部140、電源部150及び擬似信号発生部160を備える。この図10においては、表示部140、電源部150及び擬似信号発生部160を不図示とする。
【0062】
受信部110Aは、アンテナANT1とANT2によって検出した信号を受信する。アンテナANT1とANT2は、検出対象である架線910とレール920の間の空間に形成される容量成分によって静電結合されている。受信部110Aは、発電機700によって発電される交流の基準周波数fgに基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を、その容量成分を介して受信する。
受信部110Aは、接地せずに用いることができる。受信部110Aは、架線910(充電部)及びレール920に対して絶縁されており、架線910に充電されている直流電圧が直接印加されない状態に保持される。
【0063】
受信部110Aは、アンテナANT1とANT2、帯域除去フィルタ111A、及び、帯域通過フィルタ112Aを備える。
アンテナANT1とANT2は、図3に示したアンテナANTとそれぞれ同じに構成とし、測定時において、異なる位置に配置される。
帯域除去フィルタ(BRF)111Aは、アンテナANT1とANT2によって検出された信号から、発電機700の基準周波数fgの周波数領域の成分(交流の基準周波数成分)をそれぞれ低減させる。
帯域除去フィルタ(BRF)111Aは、BRF111−1と111−2を備え、それぞれが図3に示したBRF111と同じ特性を備える。
帯域通過フィルタ(BPF)112Aは、BPF112−1と112−2を備え、それぞれが図3に示したBPF112と同じ特性を備える。
受信部110Aでは、アンテナANT1、BRF111−1及びBPF112−1が順に接続され、また、アンテナANT2、BRF111−2及びBPF112−2が順に接続される。
このように構成された受信部110Aは、同じ特性の受信部110(図3)を2系統備えていることになる。
【0064】
周波数変換部120Aは、受信部110Aによって検出された2つの信号に対して、受信部110Aによって制限された周波数領域に含まれる、発電機700の基準周波数fgの6倍及び12倍の周波数領域の成分(高調波周波数成分)を所望の周波数成分に変換する周波数変換を行う。
周波数変換部120Aは、ローカル(Lo)発振器121、乗算器122−1と122−2、ローパスフィルタ(LPF)123−1と123−2、及び、演算増幅器124を備える。
【0065】
乗算器122−1と122−1は、乗算器122(図3)と同じ構成を備え、前段のBRF111Aから供給される信号の周波数変換をそれぞれ行う。
ローパスフィルタ(LPF)123−1と123−2は、LPF123(図3)と同じ構成を備えており、乗算器122−1と122−1からの信号の周波数帯域をそれぞれ制限する。
演算増幅器124は、ローパスフィルタ(LPF)123−1と123−2とからそれぞれ出力される信号を差動増幅する。
このように構成された周波数変換器120Aは、同じ特性の周波数変換器120(図3)を2系統備え、LPF123−1と123−2がそれぞれ出力する信号から同相成分を除去した信号を出力する。
【0066】
第1実施形態に示す検電器100は、受信部110を接地して用いることが必要とされる構成であるため、受信部110を接地しない場合には、雑音の影響により脈流成分の検出が困難となる。
本実施形態に示す検電器100Aは、接地を不要とすることができる。
脈流成分は、架線910に近いほど大きな信号として検出される。そこで、アンテナANT1とANT2の一方が、レール920より架線910に近い位置に配置され、他方が架線910よりレール920に近い位置に配置される。このように、アンテナANT1又はANT2から、架線910又はレール920までの距離を互いに異なるように配置することにより、アンテナANT1及びANT2には検出すべき高調波周波数成分が互いに逆相で誘起される。つまり、アンテナANT1及びANT2に逆相で誘起される電圧は、差動電圧として検出することができる。
【0067】
検電器100Aは、それぞれ配置されたアンテナの位置において検出される脈流成分を検出する。検出される信号には、周囲環境に依存する同相雑音が含まれる。差動増幅器124が同相雑音成分を除去することにより、雑音成分を低減させることができ、脈流成分の抽出が容易となる。それぞれ配置されたアンテナの位置により、検出される雑音は厳密には異なるが、雑音成分が集中する数百Hzまでの低周波領域では、アンテナの距離が数m(メートル)程度離れていても、信号の波長に対して十分無視できる距離であることから、検出される雑音の大きさと位相は同じとみなすことができる。
【0068】
つまり、検電器100Aでは、架線910又はレール920と静電結合されたアンテナANT1およびANT2に、発電機700の基準周波数fgの高調波周波数成分が互いに逆相で誘起される。一方、周囲環境に依存する雑音はあまり大きさの変わらない同相信号として検出されるので、差動増幅器あるいは差動演算を用いて基準周波数fgの高調波周波数成分を抽出することができる。なお、測定状態において、雑音が最小となるよう乗算器122−1と122−2の出力電圧あるいは入力電圧を調整することが望ましいが、無調整でもS/N比を向上させることができる。
【0069】
図11を参照し、検電器の構造の一実施態様について示す。
図11は、検電器の構造を示す概略図である。
図11(a)に示される形態は、第1実施形態において示される検電器100の構造を示す。
検電器100が備えるアンテナANTが、長さ約3mの操作棒190の一方の先端に固定して支持されており、アンテナANT全体が絶縁シートにより覆われている。操作棒190の中央部には、検電器100の本体が2つに分割して設けられ、第1の本体には、主に受信部110、周波数変換部120及び電源部150が配置される。第2の本体には、検出部130が配置される。
また、第1の本体の受信部110は、アンテナANTと、レール920に接続される。
表示部140は、第2の本体に接続されており、スペクトル波形を画面に表示することができる。この場合、表示部140として、オシロスコープなどの測定器を用いることもできる。
また、第2の本体は、第1の本体に収納されるバッテリーE(不図示)を電源として、供給される電力により駆動される。
【0070】
図11(b)に示される形態は、第1実施形態において示される検電器100の構造を簡素化させた形態を示す。
検電器100が備えるアンテナANTが、長さ約3mの操作棒190の一方の先端に固定して支持されており、アンテナANT全体が絶縁シートにより覆われている。操作棒190の中央部には、検電器100が配置される。検電器100の本体には、表示部140を備えており、本体単独で測定結果を表示させることができる。
検電器100の本体は、アンテナANTとレール920にそれぞれ接続される。
このような構造の検電器100のアンテナANTを架線910に対して、概ね1.5m以上隔離した位置に保持して測定を行う。
【0071】
図11(c)に示される形態は、第2実施形態において示される検電器100Aの構造を簡素化させた形態を示す。
検電器100Aが備えるアンテナANT1が、長さ約3mの操作棒190の一方の先端に固定して支持されており、アンテナANT2が、操作棒190の他方の先端に固定して支持されており、アンテナANT1、ANT2の全体が絶縁シートによりそれぞれの覆われている。操作棒190の中央部には、検電器100Aが配置される。検電器100Aの本体には、表示部140を備えており、本体単独で測定結果を表示させることができる。
検電器100Aの本体は、アンテナANT1とANT2にそれぞれ接続される。
このように、検電器100Aでは、操作棒190の向きを架線910とレール920に向けて配置することにより、架線910とレール920に対して、アンテナANT1とANT2を近い位置に配置することができ、検出感度を高めることができる。
【0072】
以上の実施形態に示したように、検電器100(100A)は、発電機700の電力を整流することにより生成される脈流成分を検出することにより、直流が充電部に印加されている状態を間接的に検出する。
検電器100(100A)は、充電部(架線910)に直接接触させることなく、非接触の状態で充電状態(発電機700からの電力が印加されている状態)を検出することができる。作業者及び装置は、測定対象電圧(例えば、高圧)に対する絶縁対策を施すことなく測定を行うことができる。よって作業者は、ゴム手袋や長靴のような防護対策無しに作業を行うことができ、作業効率を高めることができる。
【0073】
また、検電器100Aでは、接地しない状態で用いることができ、作業効率を高めるだけでなく、接触型の検出方法で防ぐことができなかった、例えば接触不良による誤判定を防ぐことが可能となる。
【0074】
なお、本発明の要旨を変えない範囲で、本実施形態の構成、数量、特性などを変更することができる。
例えば、BRF111に示した中心周波数は代表的な値を示したものであり、必要な周波数成分を必要な信号レベルまで低減できるものであれば、他の周波数に設定してもよい。また、構成する回路構成、段数、各段の伝達関数、順序についても任意である。
BRF111の構成を、受動型回路で示したが能動素子を含んで構成してもよい。
【0075】
また、第2実施形態において、演算増幅器を用いて同相成分の除去(低減)を行う形態を示したが、乗算器120(図5)におけるコンデンサC52を接地せずに、第2のアンテナ(ANT2)によって検出された信号をトランジスタQ6のベースに供給することにより、乗算器120において同相雑音を低減させることができ、演算増幅器124が不要になり、後段のLPF123以降を1系統で構成することができる。
また、本実施形態における受信部110(110A)、周波数変換部120(120A)の構成をアナログ回路による実施態様を例にして示したが、各部をデジタル回路によって構成し、各部がそれぞれ必要な演算処理を行うことにより、所望の信号処理を実現することとも可能である。また、各部をアナログ回路とデジタル回路とを組み合わせて構成することも可能である。
【0076】
なお、上述の検電器100、100Aは内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した情報表示システムにおける検電器100、100Aにおける処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0077】
100、100A…検電器、110、110A…受信部、
120、120A…周波数変換部、130…検出部、140…表示部、
150…電源部、160…擬似信号発生部、
700…発電機、800…直流変換装置、810…変圧器、820…整流器、
900…負荷、架線910、レール920
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流送電システムにおいて用いられる非接触型の検電器及び検電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検電器は、充電される充電部の充電状態を検出する際に用いられる。
直流送電システムは、例えば電車線の送電に利用され、直流式電気鉄道の「き電回路」などに適用されている。直流式電気鉄道の「き電回路」には、発電機から供給される電力によって、1500V程度の直流電圧が印加されている。その直流式電気鉄道の「き電回路」の充電状態を検出する場合、検電器の基準電位線をレールに接続しておき、検出端子を架線に接触させて、充電状態を検知する携帯可能な検電器が知られている。
【0003】
また、高圧の送電システムに適用する場合、上記の接触型検電器であっても、充電部から電力を得ることができず、バッテリーなどの電力により動作させるため、低消費電力であることが必要とされる。
例えば、直流送電システムに適用可能な電力消費の少ない検出方式の検電器としては、(1)静電式検電器をはじめ、(2)静電電圧計、(3)液晶、(4)ピエゾ効果、(5)電気光学効果などを用いる方式が知られている。
これらの方式のうち、「静電式検電器及び電気光学効果」を用いた方式のものは、必ずしも充電部に接触させて用いることを必要としないが、他の方式のものはいずれも接触させて用いることが必要とされる(例えば、特許文献1参照)。また、静電式検電器であっても、検出感度を向上させるには接地することが必要であり、直流1500V程度の電圧を検出する場合においても同様である。
また、「液晶」を用いた方式のものは、液晶の電界応答性に温度依存性があることから、屋外で利用する場合には、環境温度変化、日射による温度上昇などの影響をうけることにより検出性能を維持しにくい。
「ピエゾ効果」を用いた方式のものは、機械的な変位を利用して検出することから、温度依存性があり、屋外で利用する場合には、環境温度変化、日射による温度上昇などの影響をうけることにより検出性能を維持しにくい。また、外部に仕事をする構成とする場合には、その分のエネルギーを消費する。
「電気光学効果」を用いた方式のものは、電界の変化により生じる屈折率の変化を検出する。このような方式の検出部では、光路における微小な屈折率の変化を検出するために、光ファイバをコイル状に多数回巻いたものを用いて長い光路長を確保する。検出部の検出感度高めるには、光ファイバーの量が多くなり、設備が大掛かりなものになり検出部の重量が増大することから、検電器としての操作性が低下することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−198759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電車線は、単線であるとは限られず、複線、或いは、複数のプラットホームを持つ駅又は拠点駅における渡り線や留置線などがある輻輳区間が多く存在する。このような輻輳区間においては、誤認による感電事故が防ぎきれていない。
また、検電器では、検出する電圧が高圧の場合、安全性を高めるために充電部に非接触で検出することが望まれる。
しかしながら、直流の検電器を充電部に接触させない非接触型とする場合には、検出感度を高めることが困難であるというという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、検出感度を高めることができる非接触型の検電器及び検電方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記問題を解決するために、本発明は、交流から変換された直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する検電器であって、前記交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を受信する受信部と、前記受信した信号に含まれる前記高調波周波数成分の信号強度に応じて、前記充電部の充電状態を検出する検出部とを備えることを特徴とする検電器である。
【0008】
(2)また、本発明は、上記発明において、前記検出部は、前記受信した信号に含まれる前記高調波周波数成分を抽出する抽出部を備えることを特徴とする。
【0009】
(3)また、本発明は、上記発明において、複数の前記高調波周波数成分を所望の周波数成分に変換する周波数変換部を備え、前記抽出部は、前記変換された所望の周波数成分から、前記複数の高調波周波数成分を抽出することを特徴とする。
【0010】
(4)また、本発明は、上記発明において、前記受信部は、前記受信した信号から前記交流の基準周波数成分を低減させるフィルタ部を備え、前記抽出部は、前記交流の基準周波数成分を低減させた信号に基づいて前記高調波周波数成分を抽出することを特徴とする。
【0011】
(5)また、本発明は、上記発明において、前記高調波周波数成分を含む擬似信号を生成し発生させる擬似信号発生部を備え、前記検出部は、前記擬似信号を検出することを特徴とする。
【0012】
(6)また、本発明は、上記発明において、前記受信部は、前記交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含み、異なる2つの信号を受信し、前記検出部は、前記受信した異なる2つの信号に含まれる前記高調波周波数成分の信号強度を差動増幅することにより、前記充電部の充電状態を検出することを特徴とする。
【0013】
(7)また、本発明は、交流から変換された直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する検電方法であって、前記交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を受信する受信過程と、前記受信した信号に含まれる前記高調波周波数成分の信号強度に応じて、前記充電部の充電状態を検出する検出過程とを含むことを特徴とする検電方法である。
【発明の効果】
【0014】
この本発明によれば、検電器は、交流から変換された直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する。受信部は、交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を受信する。検出部は、受信した信号に含まれる高調波周波数成分の信号強度に応じて、充電部の充電状態を検出する。
これにより、非接触型の検電器の検出感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態における直流送電システムをモデル化したブロック図である。
【図2】12相整流された直流の電圧変化を示す図である。
【図3】本実施形態における検電器を示すブロック図である。
【図4】本実施形態における受信部110の詳細構成を示す接続図である。
【図5】本実施形態における周波数変換部と電源部の構成を示す接続図である。
【図6】本実施形態における受信部の特性をシミュレートした結果を示す図である。
【図7】本実施形態におけるモデル化した直流送電システムからの信号に基づいて、周波数変換を行う処理までをシミュレーションした結果によるスペクトルを示す図である。
【図8】本実施形態における受信部におけるフィルタの伝達特性と位相特性を示す図である。
【図9】本実施形態における受信部によって検出されたスペクトルを示す図である。
【図10】第2実施形態における検電器を示すブロック図である。
【図11】本実施形態における検電器の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本実施形態における直流送電システムをモデル化したブロック図である。
この図1に示される直流送電システムのモデルは、発電機700、直流変換装置800、及び負荷900を備えている。
【0018】
発電機700は、所定の基準周波数fgに基づいた三相交流電力を発電する。この図では、各相に接続されている電圧源として示す。
直流変換装置800は、発電機700からの電力を直流に変換する。
直流変換装置800は、変圧器810及び整流器820を備える。
変圧器810は、三相Y型結線の一次巻線811、三相Δ型結線の第1の二次巻線812、三相Y型結線の第2の二次巻線813を備える。
変圧器810は、一次巻線811の各相に発電機700の各相がそれぞれ接続されており、発電機700から供給される電力を変換して、Δ型結線の第1の二次巻線812とY型結線の第2の二次巻線813から出力する。Δ型結線の第1の二次巻線812には、整流器822が接続され、Y型結線の第2の二次巻線813には、整流器823が接続される。
【0019】
整流器820は、整流器822と整流器823を備える。
整流器822は、3相ごとに直列接続されたダイオードがそれぞれ設けられ、Δ型結線の第1の二次巻線812から供給される電力を整流する。整流器822は、Δ型結線の第1の二次巻線812と併せてΔ型整流回路を形成する。
整流器823は、3相ごとに直列接続されたダイオードがそれぞれ設けられ、Y型結線の第2の二次巻線813から供給される電力を整流する。整流器823は、Y型結線の第2の二次巻線813と併せてY型整流回路を形成する。
整流器822と整流器823は、直列に接続されており、整流器822のダイオードのアノードが接地され、整流器823のダイオードのカソードが負荷900に接続されている。
【0020】
負荷900は、例えば、直流電化された電車線の場合では、架線910及びレール920、並びに、架線910及びレール920から電力の供給を受ける電車が含まれる。負荷900は、整流器820によって整流された直流が供給される。また、一例として示したこのような接続による整流方式は、12相整流方式と呼ばれている。
12相整流方式では、6相整流方式に比べ、脈動周波数が2倍に、脈動振幅が4半分以下になることから、電圧変動を少なくできる。
【0021】
図2は、12相整流された直流の電圧変化を示す図である。
以下の記載では、発電機700が出力する電力の基準周波数fgを60Hzとした場合を例に説明する。
図2(a)に示されるグラフでは、縦軸が電圧(kV(キロボルト))であり、横軸が時間(ミリ秒)であり、波形g2aが12相整流された直流の電圧変動を示す。
波形g2aに示されるように、整流された直流の電圧は、1.5kVをピーク電圧とし、1.45kVから1.5kV間で変動する成分が重畳する脈流になる。
【0022】
図2(b)に示されるグラフでは、縦軸が電圧(kV(キロボルト))であり、横軸が時間(ミリ秒)であり、波形g2bが12相整流方式により生成される脈流の電圧変動を示す。
【0023】
図2(c)に示されるグラフでは、縦軸が周波数成分の電力(dB(デシベル))であり、横軸が周波数(Hz(ヘルツ))であり、波形g2cが12相整流方式により生成される脈流の周波数スペクトルを示す。
脈流には、発電機700が発電した交流の基準周波数fgに対応する成分が含まれる。周波数f1の周波数は、360Hzであり、基準周波数fg(60Hz)の6倍の周波数である。また、周波数f2の周波数は、720Hzであり、基準周波数fgの12倍の周波数である。
【0024】
Δ型整流回路とY型整流回路の特性がそろっていれば、波高値の約3%の振幅の720Hzを基本波とする脈流成分が発生する。実際には、それらの特性が完全には一致しないので、360Hzを基本波とする脈流成分も含まれる。図2(b)に示したグラフの場合では、360Hzを基本波とする脈流成分は、720Hzを基本波とする脈流成分の振幅の1/3程度の大きさが含まれている。
このように、負荷900に供給される直流電圧には、発電機700の基準周波数fgに依存する周波数成分が含まれている。
なお、発電機700が出力する電力の基準周波数fgが、50Hzの場合では、周波数f1の周波数は、300Hzであり、基準周波数fg(50Hz)の6倍の周波数である。また、周波数f2の周波数は、600Hzであり、基準周波数fgの12倍の周波数である。発電機700が出力する電力の基準周波数fgが50Hzの場合においても、60Hzの場合と同様に、本実施形態を適用することができる。
【0025】
図3は、本実施形態における検電器を示すブロック図である。
この図3に示される検電器100は、図1に示した負荷900の一部である架線910に、直流が給電されている状態を検出する。
検電器100は、受信部110、周波数変換部120、検出部130、表示部140、電源部150及び擬似信号発生部160を備える。
受信部110は、アンテナANTによって検出した信号を受信する。アンテナANTは、架線910との間の空間に形成される容量成分によって静電結合されている。受信部110は、発電機700によって発電される交流の基準周波数fgに基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を、その容量成分を介して受信する。受信部110は、接地されており、例えばレール920に接続されている。受信部110は、架線910(充電部)に対しては絶縁されており、架線910に充電されている直流電圧が直接印加されない状態に保持される。
受信部110は、アンテナANT、帯域除去フィルタ111、及び、帯域通過フィルタ112を備える。
【0026】
アンテナANTは、架線910と容量結合されていることにより、架線910を充電している直流に重畳されている変動成分(脈流)を検出する。
帯域除去フィルタ(BRF)111は、アンテナANTによって検出された信号から、発電機700の基準周波数fgの周波数領域の成分(交流の基準周波数成分)を低減させる。
アンテナANTによって検出された信号には、基準周波数fgの周波数領域の成分が多く含まれている。また、この周波数領域は、他の商用電源の電源系統に重畳される周波数成分(50又は60Hz)も含まれている。この周波数領域の信号を低減することにより、受信電界強度の大きな雑音成分を抑圧することができ、誤検出を低減することができる。
【0027】
帯域通過フィルタ(BPF)112は、発電機700の基準周波数fgの6倍及び12倍の周波数領域の成分を透過させる。12相整流方式された脈流に含まれている特徴のある周波数領域を透過させることにより、各種ノイズの影響を低減することができる。
このように構成された受信部110は、アンテナANTによって受信した信号から、発電機700の基準周波数fgの6倍及び12倍の周波数領域の成分を透過することができる。
【0028】
続いて周波数変換部120について説明する。
周波数変換部120は、受信部110によって制限された周波数領域に含まれる、発電機700の基準周波数fgの6倍及び12倍の周波数領域の成分(高調波周波数成分)を所望の周波数成分に変換する周波数変換を行う。
周波数変換部120は、ローカル(Lo)発振器121、乗算器122、ローパスフィルタ(LPF)123を備える。
【0029】
ローカル(Lo)発振器121は、周波数変換を行う際の基本周波数foの正弦波を生成する。Lo発振器121は、無線機の局部発振器に相当する。
乗算器122は、2つの入力信号によって示される値を乗算する。乗算器122の一方の入力には、受信部110から出力される信号が入力され、他方の入力には、Lo発振器121によって生成される基本周波数foの正弦波が入力される。例えば、基本周波数を500Hzとする場合、乗算器122は、周波数f1(360Hz)を、周波数f1C’(140Hz(=500−360))に変換し、周波数f2(720Hz)を、周波数f2C’(220Hz(=720−500))に変換する。
なお、基本周波数foは、直流成分に変換されるので回路構成をAC結合とすることにより除去することができる。
【0030】
ローパスフィルタ(LPF)123は、周波数f1C’と周波数f2C’の両方の周波数成分を透過させる周波数帯域を確保できるカットオフ周波数を有している。また、LPF123は、周波数領域をさらに制限することにより、ノイズ成分をさらに低減することができる。本実施形態では、カットオフ周波数fcを1kHzとするローパスフィルタを例に示すが、上記周波数成分を透過するバンドパスフィルタとしてもよい。
【0031】
続いて検出部130について説明する。
検出部130は、受信した信号に含まれる高調波周波数成分の信号強度に応じて、架線910(充電部)の充電状態を検出する。
検出部130は、周波数検出部131、判定部132、電圧検出部133、及び、設定部134を備える。
【0032】
周波数検出部131(抽出部)は、受信した信号に含まれる発電機700によって発電される基準周波数fgの交流を、直流変換装置800における整流器820で整流した際に発生する高調波周波数成分を抽出する。周波数検出部131(抽出部)は、周波数変換部120によって変換された所望の周波数成分から、複数の高調波周波数成分を抽出する。
例えば、周波数検出部131は、予め定められる所定の周波数を抽出する「Goertzelフィルタ」を適用することができる。Goertzelフィルタは、電話器のダイヤル情報を送信するトーン信号(DTMFシグナル)を検出する際に用いることが知られており、複数の周波数成分が重畳されていてもそれぞれ分離することができる。
本実施形態では、周波数検出部131は、LPF123によって透過された周波数f1C’と周波数f2C’の両方の周波数成分を抽出する。
【0033】
判定部132、抽出された高調波周波数成分のそれぞれの信号強度を予め定められる閾値に基づいて判定する。予め定められる閾値は、検出精度に応じて複数個が設けられており、信号強度に応じて複数の段階に分別することができる。
電圧検出部133は、抽出された高調波周波数成分の信号強度を、予め定められる閾値に基づいて判定された結果に従って架線910(充電部)の充電電圧を検出し、検出結果を表示部140に表示させる。
設定部134は、ユーザの操作を検出する操作入力検出部、検出した情報を記憶する記憶部を備え、検出したユーザの操作に基づいて、ユーザの意向に応じた動作モードを選択する。設定部134は、ユーザが選択した動作モードに応じた情報を記憶部に記憶させるとともに、その情報に基づいて検電器100の各部の動作を制御する。
【0034】
続いて表示部140について説明する。
表示部140は、検出結果に応じて、基準周波数fgの6倍及び12倍の周波数の信号の検出状況を表示する。また、表示部140は、擬似信号発生部160によって生成された信号を検出した際にも、同様の検出状況を表示する。これにより、装置の検出機能が作動している状態を検出することができる。
【0035】
続いて電源部150について説明する。
電源部150は、バッテリーE(図5)から給電される電力により、各部を機能させる際に必要とされる基準電位とバイアス電位を生成する。
【0036】
続いて擬似信号発生部160について説明する。
擬似信号発生部160は、あらかじめ定められた周期にしたがって擬似信号を発生する。擬似信号発生部160が発生させる擬似信号は、発電機700の基準周波数fgの周波数領域の成分(交流の基準周波数成分)を含む信号である。また、この擬似信号は、選択的に受信部110に入力され、検出部130によって検出される。
これにより、検出対象が充電されていない場合と、検出対象が充電されているのに、検電器100の故障などにより検出不能状態にある場合とを容易に判別することができる。
【0037】
図4は、本実施形態における受信部の詳細構成を示す接続図である。図3と同じ構成には、同じ符号を附す。
BRF111は、BRF111A、BRF111B、及び、BRF111Cを備える。
BRF111には、基準電位(接地電位)に対するアンテナANTからの信号が入力端子TB111から入力される。BRF111においてBRF111A、BRF111B、及び、BRF111Cは、順に直列に接続され、それぞれ設定された周波数特性により、入力端子TB111から入力された信号から所定の周波数成分を低減する。
【0038】
BRF111におけるBRF111Aは、基準電位(接地電位)に対するアンテナANTからの信号が入力端子TB111に入力される。アンテナANTからの信号は、基準電位(接地電位)に対して定められる。
入力端子TB111には、コンデンサC10の一方の端子が接続され、コンデンサC10の他端には、抵抗R11からR13とコンデンサC11からC13によって形成されるツインT型の帯域除去フィルタ(BRF111A)が接続される。
BRF111Aにおいて、抵抗R11とR12は、直列に接続されており、直列に接続された状態でコンデンサC10の他端とBRF111Aの出力端子に接続される。抵抗R11とR12との接続点は、コンデンサC13を介して基準電位線に接続されている。また、コンデンサC11とC12は、直列に接続されており、直列に接続された状態でコンデンサC10の他端とBRF111Aの出力端子に接続される。コンデンサC11とC12との接続点は、抵抗R13を介して基準電位線に接続されている。
BRF111Aにおいて、抵抗R11からR13とコンデンサC11からC13は、発電機700の基準周波数成分及び商用電源の周波数の周波数成分(50Hz)を低減できる値にする。例えば、BRF111Aにおいて除去する帯域の中心周波数を、50Hzに設定する。
【0039】
BRF111Aの出力端子、すなわちBRF111Bの入力端子には、抵抗R14からR16とコンデンサC14からC16によって形成されるツインT型の帯域除去フィルタ(BRF111B)が接続される。
BRF111Bにおいて、抵抗R14とR15は、直列に接続されており、直列に接続された状態でBRF111Bの入力端子とBRF111Bの出力端子に接続される。抵抗R14とR15との接続点は、コンデンサC16を介して基準電位線に接続されている。また、コンデンサC14とC15は、直列に接続されており、直列に接続された状態でBRF111Bの入力端子とBRF111Bの出力端子に接続される。コンデンサC14とC15との接続点は、抵抗R16を介して基準電位線に接続されている。
BRF111Bにおいて、抵抗R14からR16とコンデンサC14からC16は、発電機700の基準周波数成分及び商用電源の周波数の周波数成分(60Hz)を低減できる値にする。例えば、BRF111Aにおいて除去する帯域の中心周波数を、60Hzに設定する。
【0040】
BRF111Bの出力端子、すなわちBRF111Cの入力端子には、抵抗R17からR19とコンデンサC17からC19によって形成されるツインT型の帯域除去フィルタ(BRF111C)が接続される。
BRF111Cにおいて、抵抗R17とR18は、直列に接続されており、直列に接続された状態でBRF111Cの入力端子とBRF111Cの出力端子に接続される。抵抗R17とR18との接続点は、コンデンサC19を介して基準電位線に接続されている。また、コンデンサC17とC18は、直列に接続されており、直列に接続された状態でBRF111Cの入力端子とBRF111Cの出力端子に接続される。コンデンサC17とC18との接続点は、抵抗R19を介して基準電位線に接続されている。
BRF111Cにおいて、抵抗R17からR19とコンデンサC17からC19は、発電機700の基準周波数の倍の周波数成分(120Hz)を低減できる値にする。例えば、BRF111Bにおいて除去する帯域の中心周波数を、120Hzに設定する。なお、発電機700の基準周波数が50Hzである場合は、その中心周波数を100Hzとする。
【0041】
BPF112は、ハイパスフィルタ112HPとローパスフィルタ112LPを備える。
ハイパスフィルタ(HPF)112HPは、抵抗R21からR23、コンデンサC21からC23、演算増幅器U1を備える。
HPF112HPにおいて、コンデンサC21、コンデンサC22、抵抗R21及び抵抗R22は、順に直列に接続されており、直列に接続された状態の両端の一方にあたるコンデンサC21の一端が、HPF112HPの入力端子に、抵抗R22の一端が基準電位線に接続されている。コンデンサC22と抵抗R21の接続点は、演算増幅器U1の非反転入力端子に接続されている。演算増幅器U1の出力端子は、反転入力端子に接続されるとともに、抵抗R23を介してコンデンサC21とコンデンサC22の接続点に接続され、さらに、コンデンサC23を介して抵抗R21と抵抗R22の接続点に接続される。演算増幅器U1の出力端子から出力される信号が、HPF112HPの出力信号となる。
【0042】
ローパスフィルタ(LPF)112LPは、抵抗R24からR25、コンデンサC24からC25、演算増幅器U2を備える。
LPF112LPにおいて、抵抗R24、抵抗R25、及び、コンデンサC24は、順に直列に接続されており、直列に接続された状態の両端の一方にあたる抵抗R24の一端が、LPF112LPの入力端子に、コンデンサC24一端が基準電位線に接続されている。抵抗R25とコンデンサC24の接続点は、演算増幅器U2の非反転入力端子に接続されている。演算増幅器U2の出力端子は、反転入力端子に接続されるとともに、コンデンサC25を介して抵抗R24と抵抗R25の接続点に接続される。演算増幅器U2の出力端子から出力される信号が、BPF112の出力信号となる。
【0043】
図5は、本実施形態における周波数変換部と電源部の構成を示す接続図である。図3と同じ構成には同じ符号を附す。
この図5に示される周波数変換部120は、ローカル発振器121、乗算器122、LPF123を備える。
ローカル発振器121は、発振器121OSCとコンデンサC41を備える。
発振器121OSCは、一端が基準電位線に接続され、他端がコンデンサC41を介して出力端子に接続される。発振器121OSCは、周波数変換を行う基本周波数foの正弦波を生成する。ローカル発振器121は、発振器121OSCによって生成された基本周波数foの正弦波を出力する。
【0044】
乗算器122は、2つの入力端子のうち、一方の入力端子がローカル発振器121の出力端子に接続され、ローカル発振器121における発振器121OSCによって生成された基本周波数の正弦波が入力される。また、乗算器122は、2つの入力端子のうち、他方の入力端子がローパスフィルタ112LPの出力端子に接続され、前段からの信号が入力される。
乗算器122は、トランジスタQ1からQ8、抵抗R51からR59、及び、コンデンサC51からC52を備える。
コンデンサC51は、抵抗R57と直列に接続されており、一端が入力端子TB122に接続され、他端が抵抗R57を介して基準電位線に接続されている。
トランジスタQ1からQ8は、NPN型バイポーラトランジスタである。
トランジスタQ1からQ4は、同じ特性を備えており、トランジスタQ1とQ2、並びに、トランジスタQ3とQ4は、それぞれのエミッタが接続されており、差動対をそれぞれ形成する。
【0045】
トランジスタQ1は、ベースがトランジスタQ4のベースと、ローカル発振器121の出力端子に接続され、コレクタがトランジスタQ3のコレクタに接続されると共に、抵抗R51を介して電源線VCCLに接続される。
トランジスタQ2は、ベースがトランジスタQ3のベースに接続され、コレクタがトランジスタQ4のコレクタに接続される共に、抵抗R52を介して電源線VCCLに接続される。
【0046】
また、トランジスタQ5とQ6は、それぞれ同じ特性を備え、対を成して形成されている。トランジスタQ5は、ベースがコンデンサC51と抵抗R57の接続点に接続され、コレクタがトランジスタQ1とQ2のエミッタにそれぞれ接続される。トランジスタQ6は、ベースが並列に接続されたコンデンサC52と抵抗R58の一端に接続され、コンデンサC52と抵抗R58を介して基準電位線に接続されており、コレクタがトランジスタQ3とQ4のエミッタにそれぞれ接続される。
【0047】
また、トランジスタQ7とQ8は、それぞれ同じ特性を備え、対を成して形成されている。トランジスタQ7とQ8は、ベースが互いに接続され、ダイオードDと抵抗R56を介して電源線VEELに接続され、抵抗R55を介して基準電位線に接続されている。また、トランジスタQ7とQ8は、コレクタが抵抗R59を介して接続されている。
さらに、トランジスタQ7は、コレクタがトランジスタQ5のエミッタに接続され、エミッタが抵抗R53を介して電源線VEELに接続される。トランジスタQ8は、コレクタがトランジスタQ6エミッタに接続され、エミッタが抵抗R54介して電源線VEELに接続される。
このように構成された乗算器122は、接続されているトランジスタQ1とQ3のコレクタが、乗算器122の出力端子となり、乗算結果を出力する。
【0048】
ローパスフィルタ(LPF)123は、抵抗R61からR64、コンデンサC61からC64、演算増幅器U4を備える。
LPF123において、コンデンサC61、抵抗R61、及び、抵抗R62は、順に直列に接続されており、直列に接続された状態の両端にあたる、コンデンサC61の一端がLPF123の入力端子に、抵抗R62の一端が基準電位線に接続されている。また、抵抗R62には、コンデンサC62が並列に接続されている。
演算増幅器U4において非反転入力端子が、抵抗R61とR62の接続点に接続されている。反転入力端子が、直列に接続されている抵抗R63とコンデンサC63を介して基準電位線に接続されると共に、並列に接続されている抵抗R64とコンデンサC64を介して出力端子に接続されている。
なお、演算増幅器U4の出力端子は、出力端子TB123に接続されており、演算増幅器U4の出力端子から出力される信号が、LPF123の出力信号となる。
【0049】
電源部150は、基準電位生成部151とバイアス電位生成部152を備える。
検電器100の電力は、検電器100の筐体内に設けられているバッテリーEから供給される。基準電位生成部151は、バッテリーEから供給される電位に基づいて、各部を機能させるための基準電位を生成し、基準電位線に出力する。
基準電位生成部151は、抵抗R31、R32及び演算増幅器U3を備える。
抵抗R31とR32は、直列に接続された状態でバッテリーEの正極端子接続される電源線VCCLと、バッテリーEの負極端子接続される電源線VEELとにそれぞれ接続され、バッテリーEの端子間電圧を分圧する。
演算増幅器U3は、非反転入力端子が抵抗R31とR32との接続点に接続され、反転入力端子が出力端子と基準電位線に接続されており、抵抗R31とR32との接続点の電位を出力する。基準電位生成部151は、抵抗R31とR32が同じ値であれば、バッテリーEの端子電圧の中間の電位を基準電位として生成することができる。
なお、第1実施形態に示すように、基準電位線をレール・大地に接続(接地)することにより、基準電位を大地の電位と一致することができる。
【0050】
バイアス電位生成部152は、バッテリーの正極端子接続される電源線VCCLと、基準電位生成部151によって生成された基準電位を示す基準電位線に接続され、供給されるバッテリー電圧に基づいて、各部を機能させるバイアス電位を生成する。
バイアス電位生成部152は、抵抗R33、R34、R35及びコンデンサC31を備える。
抵抗R33とR34は、直列に接続された状態で一端がバッテリーEの正極端子に接続される電源線VCCLに接続され、他端が基準電位を示す基準電位線に接続される。抵抗R34には、コンデンサC31が並列に接続される。
抵抗R33とR34の接続点は、トランジスタQ2とQ3のベースに接続され、抵抗R35を介してトランジスタQ1とQ4のベースに接続される。
【0051】
以上に示した構成の検電器100の動作を整理する。
受信部110は、アンテナANTによって検出した信号を、BRF111により不要な周波数成分を低減させる。例えば、BRF111A、BRF111B及びBRF111Cにより、それぞれ50Hz、60Hz、及び、120(100)Hzを中心周波数とする周波数成分を低減させる。
また、BPF112により、発電機700の基準周波数fgの6倍と12倍の周波数成分を透過させる。BPF112は、HPF112HPとLPF112LPとによって伝達特性が定められている。
【0052】
周波数変換部120は、受信部110によって不要周波数が低減され、透過された、発電機700の基準周波数fgの6倍と12倍の周波数成分に対する周波数変換を行う。
検出部130は、周波数変換された、基準周波数fgの6倍と12倍の周波数成分を周波数抽出部131によりそれぞれ抽出する。判定部132は、抽出された周波数成分の信号強度を判定する。電圧検出部133は、判定部132による判定結果により、予め定められた大きさより大きな信号が検出され場合、架線910(充電部)が充電状態にあると判定し、表示部140に判定結果を表示する。
また、検電器100は、擬似信号発生部160によって生成される擬似信号を用いた診断機能を備えており、例えば周期的発生された擬似信号を受信することにより、その周期に応じて表示部140に周期的に充電を検出状態が示されることにより、検出機能が正常に作動していると診断することができる。
【0053】
図6から9を参照し、本実施形態にける検電器の検出特性について説明する。
図6は、本実施形態にける受信部の特性をシミュレートした結果を示す図である。
この図6に示されるグラフでは、縦軸が周波数成分の電力(dB(デシベル))又は位相角度であり、横軸が周波数(Hz(ヘルツ))であり、波形g6aが受信部におけるフィルタの伝達特性を示し、波形g6bが同フィルタの位相特性を示す。
波形g6aによって示されるように、カットオフ周波数以下の周波数帯域において十分な遮断特性を示し、カットオフ周波数を越え、800Hz以下の周波数帯域において、ゲイン変動が約8dB以下である。
波形g6bによって示されるように、カットオフ周波数を越える透過領域の位相特性は、単調に変化し安定性を確保している。
【0054】
図7は、モデル化した直流送電システムからの信号に基づいて、周波数変換を行う処理までをシミュレーションした結果によるスペクトルを示す図である。
この図7に示されるシミュレーションでは、モデル化した直流送電システムからの信号波形(図2参照)をコンデンサ(0.01pF(ピコファラッド))を介してアンテナANTに入力する条件に基づいて計算している。
この図7に示されるグラフでは、縦軸が周波数成分の電力(dB(デシベル))であり、横軸が周波数(Hz(ヘルツ))であり、波形g7aが、モデル化した直流送電システムからの信号に基づいて、周波数変換を行う処理までをシミュレーションした結果のスペクトルを示す。
波形g7aによって示されるように、得られたスペクトルのうち、周波数変換部120における局部発振周波数(500Hz)、及び、140Hzと220Hzにスペクトルにピークが検出されている。
【0055】
図8は、受信部におけるフィルタの伝達特性と位相特性を示す図である。
この図8に示されるグラフでは、縦軸が周波数成分の電力(dB(デシベル))又は位相角度であり、横軸が周波数(Hz(ヘルツ))であり、波形g8aが受信部におけるフィルタの伝達特性を示し、波形g8bが同フィルタの位相特性を示す。
波形g8aによって示されるように、カットオフ周波数以下の周波数帯域において十分な遮断特性を示し、カットオフ周波数を越える透過領域の周波数特性の平坦性を確保している。
波形g8bによって示されるように、カットオフ周波数を越える透過領域の位相特性は、単調的に変化し安定性が確保されている。
【0056】
図9は、受信部によって検出されたスペクトルを示す図である。
アンテナANT(100x120mm)を、架線910に対して1から1.5m(メートル)、地面に対して、3.5から4m離した状態に配置して、実際に測定した結果を示す。
図9(a)に示されるグラフでは、縦軸が周波数成分の電力(dB(デシベル))であり、横軸が周波数(Hz(ヘルツ))であり、波形g9aが、架線910に1500Vの直流電圧を印加している状態で、受信部によって検出されたスペクトルを示す。
波形g9aによって示されるように、検出されたスペクトルのうち、最も高い電力の周波数(500Hz)は、周波数変換部120における局部発振周波数であり、140Hzと220Hzにスペクトルにピークが検出されている。
【0057】
図9(b)に示されるグラフでは、縦軸が周波数成分の電力(dB(デシベル))であり、横軸が周波数(Hz(ヘルツ))であり、波形g9bが、架線910に直流電圧を印加しない状態で、受信部によって検出されたスペクトルを示す。
波形g9bによって示されるように、波形gaと同様に、検出されたスペクトルのうち、最も高い電力の周波数(500Hz)は、周波数変換部120における局部発振周波数である。また、周波数領域全般のノイズ成分が低減し、波形g9aにおいて検出された、140Hzと220Hzの成分は消失していることがわかる。
このように、波形g9aにおいて検出された、140Hzと220Hzの成分は、直流送電を行ったことにより、架線910に重畳する脈流成分により発生していることがわかる。
【0058】
続いて、検電器100における周波数変換の必要性について説明する。
周波数検出部131にGoertzelフィルタを適用した場合、12相整流方式によって発生する周波数成分が720Hzであれば、周波数変換部120による周波数変換を行わずに、受信部110からの信号を周波数検出部131によって検出することも可能である。また、Goertzelフィルタでは、目的の周波数を検出するには、何サイクルかの信号を加え続ける必要があり、高速に警告を発するためには検知周波数が高いことが望まれる。
【0059】
一方で、より高い周波数成分は、遠方まで伝わりやすくなる。不要な電磁波の到来に対して、静電シールドにより不要な電界成分は低減できるが、磁気シールドで磁界成分を低減することは容易ではない。検電器100において検出する信号は、電界成分の信号であり、必要とされる電界成分の信号を、乗算器122により、磁界シールドで低減できない磁界成分の影響を受けにくい周波数に変換することにより、雑音として検出される磁界成分の影響を回避することができる。このように、乗算器122による周波数変換部120を備えることにより、より確実に検出できるGoertzelフィルタを構成することができる。
【0060】
なお、設定部134は、局部発振器121、周波数検出部131におけるGoertzelフィルタの周波数を設定により変更することができるので、環境条件などに応じて、雑音の影響を受けにくい周波数に設定することができる。その設定では、個々に値を定めるだけでなく、周波数配置のパターンを予め定めておき、そのパターンのいずれかを選択するようにしてもよい。設定部134は、周波数配置のパターンを設定部134内の記憶部に識別子に対応付けて予め記憶する。設定部134は、検出感度の高い周波数配置のパターンとして選択された識別子に従って、記憶された周波数配置のパターンに従って、局部発振器121、周波数検出部131におけるGoertzelフィルタの周波数を設定することとしてもよい。
【0061】
(第2実施形態)
図1から5、及び10を参照し、異なる実施態様について説明する。
図10は、本実施形態における検電器を示すブロック図である。図1から5に示した構成と同じ構成には、同じ符号を附す。
この図に示される検電器100Aは、図1に示した負荷900の一部である架線910とレール(大地)920間に、直流が供給されている状態を検出する。
検電器100Aは、受信部110A、周波数変換部120A、検出部130、表示部140、電源部150及び擬似信号発生部160を備える。この図10においては、表示部140、電源部150及び擬似信号発生部160を不図示とする。
【0062】
受信部110Aは、アンテナANT1とANT2によって検出した信号を受信する。アンテナANT1とANT2は、検出対象である架線910とレール920の間の空間に形成される容量成分によって静電結合されている。受信部110Aは、発電機700によって発電される交流の基準周波数fgに基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を、その容量成分を介して受信する。
受信部110Aは、接地せずに用いることができる。受信部110Aは、架線910(充電部)及びレール920に対して絶縁されており、架線910に充電されている直流電圧が直接印加されない状態に保持される。
【0063】
受信部110Aは、アンテナANT1とANT2、帯域除去フィルタ111A、及び、帯域通過フィルタ112Aを備える。
アンテナANT1とANT2は、図3に示したアンテナANTとそれぞれ同じに構成とし、測定時において、異なる位置に配置される。
帯域除去フィルタ(BRF)111Aは、アンテナANT1とANT2によって検出された信号から、発電機700の基準周波数fgの周波数領域の成分(交流の基準周波数成分)をそれぞれ低減させる。
帯域除去フィルタ(BRF)111Aは、BRF111−1と111−2を備え、それぞれが図3に示したBRF111と同じ特性を備える。
帯域通過フィルタ(BPF)112Aは、BPF112−1と112−2を備え、それぞれが図3に示したBPF112と同じ特性を備える。
受信部110Aでは、アンテナANT1、BRF111−1及びBPF112−1が順に接続され、また、アンテナANT2、BRF111−2及びBPF112−2が順に接続される。
このように構成された受信部110Aは、同じ特性の受信部110(図3)を2系統備えていることになる。
【0064】
周波数変換部120Aは、受信部110Aによって検出された2つの信号に対して、受信部110Aによって制限された周波数領域に含まれる、発電機700の基準周波数fgの6倍及び12倍の周波数領域の成分(高調波周波数成分)を所望の周波数成分に変換する周波数変換を行う。
周波数変換部120Aは、ローカル(Lo)発振器121、乗算器122−1と122−2、ローパスフィルタ(LPF)123−1と123−2、及び、演算増幅器124を備える。
【0065】
乗算器122−1と122−1は、乗算器122(図3)と同じ構成を備え、前段のBRF111Aから供給される信号の周波数変換をそれぞれ行う。
ローパスフィルタ(LPF)123−1と123−2は、LPF123(図3)と同じ構成を備えており、乗算器122−1と122−1からの信号の周波数帯域をそれぞれ制限する。
演算増幅器124は、ローパスフィルタ(LPF)123−1と123−2とからそれぞれ出力される信号を差動増幅する。
このように構成された周波数変換器120Aは、同じ特性の周波数変換器120(図3)を2系統備え、LPF123−1と123−2がそれぞれ出力する信号から同相成分を除去した信号を出力する。
【0066】
第1実施形態に示す検電器100は、受信部110を接地して用いることが必要とされる構成であるため、受信部110を接地しない場合には、雑音の影響により脈流成分の検出が困難となる。
本実施形態に示す検電器100Aは、接地を不要とすることができる。
脈流成分は、架線910に近いほど大きな信号として検出される。そこで、アンテナANT1とANT2の一方が、レール920より架線910に近い位置に配置され、他方が架線910よりレール920に近い位置に配置される。このように、アンテナANT1又はANT2から、架線910又はレール920までの距離を互いに異なるように配置することにより、アンテナANT1及びANT2には検出すべき高調波周波数成分が互いに逆相で誘起される。つまり、アンテナANT1及びANT2に逆相で誘起される電圧は、差動電圧として検出することができる。
【0067】
検電器100Aは、それぞれ配置されたアンテナの位置において検出される脈流成分を検出する。検出される信号には、周囲環境に依存する同相雑音が含まれる。差動増幅器124が同相雑音成分を除去することにより、雑音成分を低減させることができ、脈流成分の抽出が容易となる。それぞれ配置されたアンテナの位置により、検出される雑音は厳密には異なるが、雑音成分が集中する数百Hzまでの低周波領域では、アンテナの距離が数m(メートル)程度離れていても、信号の波長に対して十分無視できる距離であることから、検出される雑音の大きさと位相は同じとみなすことができる。
【0068】
つまり、検電器100Aでは、架線910又はレール920と静電結合されたアンテナANT1およびANT2に、発電機700の基準周波数fgの高調波周波数成分が互いに逆相で誘起される。一方、周囲環境に依存する雑音はあまり大きさの変わらない同相信号として検出されるので、差動増幅器あるいは差動演算を用いて基準周波数fgの高調波周波数成分を抽出することができる。なお、測定状態において、雑音が最小となるよう乗算器122−1と122−2の出力電圧あるいは入力電圧を調整することが望ましいが、無調整でもS/N比を向上させることができる。
【0069】
図11を参照し、検電器の構造の一実施態様について示す。
図11は、検電器の構造を示す概略図である。
図11(a)に示される形態は、第1実施形態において示される検電器100の構造を示す。
検電器100が備えるアンテナANTが、長さ約3mの操作棒190の一方の先端に固定して支持されており、アンテナANT全体が絶縁シートにより覆われている。操作棒190の中央部には、検電器100の本体が2つに分割して設けられ、第1の本体には、主に受信部110、周波数変換部120及び電源部150が配置される。第2の本体には、検出部130が配置される。
また、第1の本体の受信部110は、アンテナANTと、レール920に接続される。
表示部140は、第2の本体に接続されており、スペクトル波形を画面に表示することができる。この場合、表示部140として、オシロスコープなどの測定器を用いることもできる。
また、第2の本体は、第1の本体に収納されるバッテリーE(不図示)を電源として、供給される電力により駆動される。
【0070】
図11(b)に示される形態は、第1実施形態において示される検電器100の構造を簡素化させた形態を示す。
検電器100が備えるアンテナANTが、長さ約3mの操作棒190の一方の先端に固定して支持されており、アンテナANT全体が絶縁シートにより覆われている。操作棒190の中央部には、検電器100が配置される。検電器100の本体には、表示部140を備えており、本体単独で測定結果を表示させることができる。
検電器100の本体は、アンテナANTとレール920にそれぞれ接続される。
このような構造の検電器100のアンテナANTを架線910に対して、概ね1.5m以上隔離した位置に保持して測定を行う。
【0071】
図11(c)に示される形態は、第2実施形態において示される検電器100Aの構造を簡素化させた形態を示す。
検電器100Aが備えるアンテナANT1が、長さ約3mの操作棒190の一方の先端に固定して支持されており、アンテナANT2が、操作棒190の他方の先端に固定して支持されており、アンテナANT1、ANT2の全体が絶縁シートによりそれぞれの覆われている。操作棒190の中央部には、検電器100Aが配置される。検電器100Aの本体には、表示部140を備えており、本体単独で測定結果を表示させることができる。
検電器100Aの本体は、アンテナANT1とANT2にそれぞれ接続される。
このように、検電器100Aでは、操作棒190の向きを架線910とレール920に向けて配置することにより、架線910とレール920に対して、アンテナANT1とANT2を近い位置に配置することができ、検出感度を高めることができる。
【0072】
以上の実施形態に示したように、検電器100(100A)は、発電機700の電力を整流することにより生成される脈流成分を検出することにより、直流が充電部に印加されている状態を間接的に検出する。
検電器100(100A)は、充電部(架線910)に直接接触させることなく、非接触の状態で充電状態(発電機700からの電力が印加されている状態)を検出することができる。作業者及び装置は、測定対象電圧(例えば、高圧)に対する絶縁対策を施すことなく測定を行うことができる。よって作業者は、ゴム手袋や長靴のような防護対策無しに作業を行うことができ、作業効率を高めることができる。
【0073】
また、検電器100Aでは、接地しない状態で用いることができ、作業効率を高めるだけでなく、接触型の検出方法で防ぐことができなかった、例えば接触不良による誤判定を防ぐことが可能となる。
【0074】
なお、本発明の要旨を変えない範囲で、本実施形態の構成、数量、特性などを変更することができる。
例えば、BRF111に示した中心周波数は代表的な値を示したものであり、必要な周波数成分を必要な信号レベルまで低減できるものであれば、他の周波数に設定してもよい。また、構成する回路構成、段数、各段の伝達関数、順序についても任意である。
BRF111の構成を、受動型回路で示したが能動素子を含んで構成してもよい。
【0075】
また、第2実施形態において、演算増幅器を用いて同相成分の除去(低減)を行う形態を示したが、乗算器120(図5)におけるコンデンサC52を接地せずに、第2のアンテナ(ANT2)によって検出された信号をトランジスタQ6のベースに供給することにより、乗算器120において同相雑音を低減させることができ、演算増幅器124が不要になり、後段のLPF123以降を1系統で構成することができる。
また、本実施形態における受信部110(110A)、周波数変換部120(120A)の構成をアナログ回路による実施態様を例にして示したが、各部をデジタル回路によって構成し、各部がそれぞれ必要な演算処理を行うことにより、所望の信号処理を実現することとも可能である。また、各部をアナログ回路とデジタル回路とを組み合わせて構成することも可能である。
【0076】
なお、上述の検電器100、100Aは内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した情報表示システムにおける検電器100、100Aにおける処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0077】
100、100A…検電器、110、110A…受信部、
120、120A…周波数変換部、130…検出部、140…表示部、
150…電源部、160…擬似信号発生部、
700…発電機、800…直流変換装置、810…変圧器、820…整流器、
900…負荷、架線910、レール920
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流から変換された直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する検電器であって、
前記交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を受信する受信部と、
前記受信した信号に含まれる前記高調波周波数成分の信号強度に応じて、前記充電部の充電状態を検出する検出部と
を備えることを特徴とする検電器。
【請求項2】
前記検出部は、
前記受信した信号に含まれる前記高調波周波数成分を抽出する抽出部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の検電器。
【請求項3】
複数の前記高調波周波数成分を所望の周波数成分に変換する周波数変換部
を備え、
前記抽出部は、
前記変換された所望の周波数成分から、前記複数の高調波周波数成分を抽出することを特徴とする請求項2に記載の検電器。
【請求項4】
前記受信部は、
前記受信した信号から前記交流の基準周波数成分を低減させるフィルタ部
を備え、
前記抽出部は、
前記交流の基準周波数成分を低減させた信号に基づいて前記高調波周波数成分を抽出する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の検電器。
【請求項5】
前記高調波周波数成分を含む擬似信号を生成し発生させる擬似信号発生部
を備え、
前記検出部は、
前記擬似信号を検出する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の検電器。
【請求項6】
前記受信部は、
前記交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含み、異なる2つの信号を受信し、
前記検出部は、
前記受信した異なる2つの信号に含まれる前記高調波周波数成分の信号強度を差動増幅することにより、前記充電部の充電状態を検出する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の検電器。
【請求項7】
交流から変換された直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する検電方法であって、
前記交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を受信する受信過程と、
前記受信した信号に含まれる前記高調波周波数成分の信号強度に応じて、前記充電部の充電状態を検出する検出過程と
を含むことを特徴とする検電方法。
【請求項1】
交流から変換された直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する検電器であって、
前記交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を受信する受信部と、
前記受信した信号に含まれる前記高調波周波数成分の信号強度に応じて、前記充電部の充電状態を検出する検出部と
を備えることを特徴とする検電器。
【請求項2】
前記検出部は、
前記受信した信号に含まれる前記高調波周波数成分を抽出する抽出部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の検電器。
【請求項3】
複数の前記高調波周波数成分を所望の周波数成分に変換する周波数変換部
を備え、
前記抽出部は、
前記変換された所望の周波数成分から、前記複数の高調波周波数成分を抽出することを特徴とする請求項2に記載の検電器。
【請求項4】
前記受信部は、
前記受信した信号から前記交流の基準周波数成分を低減させるフィルタ部
を備え、
前記抽出部は、
前記交流の基準周波数成分を低減させた信号に基づいて前記高調波周波数成分を抽出する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の検電器。
【請求項5】
前記高調波周波数成分を含む擬似信号を生成し発生させる擬似信号発生部
を備え、
前記検出部は、
前記擬似信号を検出する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の検電器。
【請求項6】
前記受信部は、
前記交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含み、異なる2つの信号を受信し、
前記検出部は、
前記受信した異なる2つの信号に含まれる前記高調波周波数成分の信号強度を差動増幅することにより、前記充電部の充電状態を検出する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の検電器。
【請求項7】
交流から変換された直流電圧によって充電される充電部の充電状態を検出する検電方法であって、
前記交流の基準周波数に基づいて生じる高調波周波数成分を含む信号を受信する受信過程と、
前記受信した信号に含まれる前記高調波周波数成分の信号強度に応じて、前記充電部の充電状態を検出する検出過程と
を含むことを特徴とする検電方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−112659(P2012−112659A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259210(P2010−259210)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(506016680)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(506016680)
【Fターム(参考)】
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