説明

楕円状または針状ポリマー粒子およびその製造方法

【課題】光拡散性および集光性等の光学特性、滑り性等の摩擦特性などの向上を図ることができる、高アスペクト比を有する楕円状または針状ポリマー粒子を提供すること。
【解決手段】表面に微細な凹凸を有する楕円状または針状ポリマー粒子であって、粒子の長軸方向と直交する方向から光を照射して得られる投影二次元図の長径(L1)と短径(D1)とから算出されるアスペクト比(P1)=長径(L1)/短径(D1)が(P1)≧1.8を満たす楕円状または針状ポリマー粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楕円状または針状ポリマー粒子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミクロンサイズの高アスペクト比を有する粒子またはフィラーは、充填剤や検体として電子・電気材料、光学材料、建築材料、生物・医薬材料、化粧料等の種々の分野で使用されている。
一般に汎用されている高アスペクト比を有する粒子の多くは、金属酸化物等の無機材料からなるものである。
このような無機材料は、有機物に比べて比重が大きいため、フィルムや成形品等の使用用途によっては均一に分散させることが難しいだけでなく、樹脂と馴染みにくいことから、成形品や、その性能に不都合が生じる場合があった。
【0003】
ところで、近年、樹脂粒子の開発が進むにつれ、従来汎用されていた、粉砕法および溶液重合法等から得られる不定形または球状粒子とは異なる、円板状や扁平状などの特異な形状を有する樹脂粒子が開発されている(特許文献1:特公平6−53805号公報、特許文献2:特開平5−317688号公報等)。
【0004】
これらの粒子は、隠蔽性、白色度、光拡散性等の各特性において、従来の球状粒子よりも優れていることから、情報記録紙等の紙用の塗料・コーティング剤(特許文献3:特開平2−14222号公報)、光拡散用シート(特許文献4:特開2000−39506号公報)などの様々な分野に応用されている。
その一方で、いずれの粒子も板状ではあるものの、タルク,マイカ等の無機化合物からなる板状粒子と比較した場合、滑り性、集光性、光拡散性等の顕著な向上は未だ達成できていない。
【0005】
そこで、これらの特性を向上させるべく、最近、境界線を基準に二つの曲面で形成した特異的な形状を有する樹脂粒子が報告され(特許文献5:国際公開第01/070826号パンフレット)、この樹脂粒子を用いて、滑り性、集光性、光拡散性等の向上が検討されている。
これら各特性は、粒子の大きさやアスペクト比にも大きく左右されるものであるが、特許文献5の方法では、高アスペクト比かつミクロンサイズの粒子を製造することは困難であり、光学特性や、大きさおよび形状等の点において、さらなる改良が求められている。
【0006】
また、高アスペクト比を有する有機物粒子は、例えば、溶融、紡糸および切断の各工程からなる機械的手法により製造することも可能であるが、この方法では、粒子サイズをミクロンサイズまで小さくすることが技術的に困難であるだけでなく、量産化する場合には時間と労力を要する。しかも、このような機械的方法では、中央部分が太く両極に向かうにつれて細くなるような高精度の楕円球状粒子を、破断面の無い状態で得ることは困難である。
【0007】
このような点から、光拡散性および集光性等の光学特性、滑り性等の摩擦特性、付着性、固着性、成形品の耐衝撃強度および引張り強度等の材料力学上の特性、現像剤の荷電性を維持したままでのクリーニング特性、流れ性、塗料の艶消し性、隠蔽性等の様々な特性を向上し得る可能性を持つ、高アスペクト比かつミクロンサイズの楕円状または針状有機物粒子の開発が求められている。
【0008】
【特許文献1】特公平6−53805号公報
【特許文献2】特開平5−317688号公報
【特許文献3】特開平2−14222号公報
【特許文献4】特開2000−39506号公報
【特許文献5】国際公開第01/070826号パンフレット
【特許文献6】特開2007−70372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光拡散性および集光性等の光学特性、滑り性等の摩擦特性などの向上を図ることができる、高アスペクト比を有する楕円状または針状ポリマー粒子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ね、高アスペクト比を有する楕円状ポリマー粒子を既に見出している(特許文献6:特開2007−70372号公報等)。
これらの粒子は、その表面が滑らかなものであるため比表面積が小さく、光拡散性という点において改良の余地があった。
そこで、本発明者らは、さらなる検討を重ねた結果、表面に微細な凹凸を有するとともに、高アスペクト比を有する楕円状または針状ポリマー粒子が、光拡散性や集光性等の光学特性に優れているのみならず、流れ性などに優れていることを見出すとともに、この粒子の効率的な製造方法を見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、
1. 表面に微細な凹凸を有する楕円状または針状ポリマー粒子であって、前記粒子の長軸方向と直交する方向から光を照射して得られる投影二次元図の長径(L1)と短径(D1)とから算出されるアスペクト比(P1)=長径(L1)/短径(D1)が(P1)≧1.8を満たすことを特徴とする楕円状または針状のポリマー粒子、
2. 前記粒子の比表面積が、下記式(1)を満たす1の楕円状または針状ポリマー粒子、
(SB)/(SD)≧5 (1)
(式中、SBは前記粒子の実際の比表面積を意味し、SDは前記粒子の平均粒子径から算出される真球状粒子の理論比表面積を意味する。)
3. 前記粒子の比表面積が、10m2/g以上である1または2の楕円状または針状ポリマー粒子、
4. 前記長径(L1)の平均長径(L1a)が、0.01〜500μmである1〜3のいずれかの楕円状または針状ポリマー粒子、
5. 多孔性である1〜4のいずれかの楕円状または針状ポリマー粒子、
6. 前記ポリマー粒子が、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、スチレン系スルホン酸塩、スチレン系カルボン酸塩、(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸エステル系カルボン酸塩、および(メタ)アクリル酸エステル系スルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種の重合体からなる粒子である1〜5のいずれかの楕円状または針状ポリマー粒子、
7. 溶媒の存在下でモノマーを溶液重合させる楕円状または針状ポリマー粒子の製造方法であって、前記モノマーを含めた反応媒体の全光線透過率が20〜70%であり、乳化部分と溶解部分とが共存する条件下で前記重合を行う1の楕円状または針状ポリマー粒子の製造方法、
8. 前記溶媒が、水および水溶性有機溶媒からなる混合溶媒である7の楕円状または針状ポリマー粒子の製造方法、
9. 前記溶媒が、さらに疎水性有機溶媒を含む8の楕円状または針状ポリマー粒子の製造方法、
10. 1〜6のいずれかの楕円状または針状ポリマー粒子を含む樹脂組成物、
11. 1〜6のいずれかの楕円状または針状ポリマー粒子を用いてなる光拡散用シート、
12. 1〜6のいずれかの楕円状または針状ポリマー粒子を用いてなる化粧用部材
を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の楕円状または針状ポリマー粒子は、表面に微細な凹凸を有するとともに、1.8以上という高いアスペクト比を有しており、高い光の拡散性を有する。さらに表面凹凸の大きさ、多孔質性を適宜調整することで、光の透過性が高い状態で光を拡散することができる。
また、主成分が有機成分であるから、樹脂添加剤として用いて樹脂の屈折率を容易に変更することができるだけでなく、粒子径を小さくすることができる結果、細密充填が可能となるため、光の拡散性や屈折率の変更が極めて容易になる。したがって、本発明の楕円状または針状ポリマー粒子は、光拡散用シート用の添加剤として好適に利用できる。
さらに、例えば化粧品等の部材として用いた場合は光の拡散性による皺隠し等、従来の美容効果だけでなく、高アスペクト比により流れ性をよくするため滑らかさ等を得る助剤としても大きな効果がある。
また、多孔質であるため、吸水性、吸油性等多機能な効果を得ることができる。
【0013】
さらに、有機ポリマー粒子であり、無機粒子に比べて比重が小さいから、各種樹脂の添加剤として用いた場合、被添加物である樹脂中での分散性および樹脂との親和性に優れる。したがって、当該粒子と各種樹脂とを含む樹脂組成物を成形して得られるフィルム等の樹脂成形品は、強度等の機械的物性に優れたものとなる。
また、主成分が有機成分であるから、粒子表面を容易に無機または有機コーティング処理することができる結果、機能性のカプセルを作製することができる。しかもイオン性官能基を有する粒子とすることもできるから、この官能基を修飾することで、多機能な粒子を作製することができる。
さらに、主成分が有機成分であるから、顔料、染料等を用いた着色が容易に行え、塗料やトナー材料など着色材料分野にも応用できる。
【0014】
このような高アスペクト比の楕円状または針状ポリマー粒子は、めっき加工処理や真空放電蒸着等を施すことにより、電磁波シールド用のフィラー、プラスチック材等に導電性を付与する導電性フィラー、並びに液晶ディスプレイパネルの電極と駆動用LSIとの接続、LSIチップの回路基板への接続、およびその他の微小ピッチの電極端子間を接続するための導電材料等の導電素材に用いられる導電性粒子として、新たな応用が可能である。
本発明の楕円状または針状ポリマー粒子は、高アスペクト比を有し、しかもミクロンサイズとすることも容易であるから、充填剤や検体等として、電子・電気材料、光学材料、建築材料、生物・医薬材料、化粧料等様々な分野で応用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る楕円状または針状ポリマー粒子は、表面に微細な凹凸を有し、粒子の長軸方向と直交する方向から光を照射して得られる投影二次元図の長径(L1)と短径(D1)とから算出されるアスペクト比(P1)=長径(L1)/短径(D1)が(P1)≧1.8を満たすものである。
【0016】
本発明において楕円状または針状ポリマー粒子の長軸方向と直交する方向から光を照射して得られる投影二次元図におけるアスペクト比(P1)は、(P1)≧1.8であるが、光の拡散性能および組成物化した場合における楕円状または針状ポリマー粒子の形状の維持(硬度)という観点から、1.8≦(P1)≦20が好ましく、2.0≦(P1)≦15がより好ましく、2.2≦(P1)≦10が最適である。
さらに、楕円状または針状ポリマー粒子の長軸方向から見た場合の形状(すなわち長軸方向から光を照射して得られる投影二次元図の形状と同義)は、略円形状または長径と短径との比が1に近い楕円形状であることが好ましい。
【0017】
本発明の楕円状または針状ポリマー粒子は、微小粒子が多数凝集して構成されていると推察され、このため、その表面に微小粒子に由来すると考えられる微細な凹凸を有している。また、このような構成を有しているため多孔質性を有しており、比表面積が比較的大きい。
本発明の楕円状または針状ポリマー粒子の比表面積としては、特に限定されるものではないが、光の拡散性をより高めることを考慮すると、下記式(1)を満たすことが好適である。
(SB)/(SD)≧5 (1)
(式中、SBは楕円状または針状ポリマー粒子の実際の比表面積を意味し、SDは楕円状または針状ポリマーの平均粒子径から算出される真球状粒子の理論比表面積を意味する。)
より好ましくは、(SB)/(SD)≧10、より一層好ましくは、(SB)/(SD)≧15である。
【0018】
また、本発明の楕円状または針状ポリマー粒子自体の比表面積は、特に限定されるものではないが、上述同様、光の拡散性をより高めることを考慮すると、10m2/g以上が好ましく、15m2/g以上がより好ましい。
なお、上記比表面積は、自動比表面積細孔分布測定装置(TriStar 3000,(株)島津製作所製)を用い、ガス吸着法により測定した値である。
【0019】
さらに、本発明の楕円状または針状ポリマー粒子の長軸方向と直交する方向から光を照射して得られる投影二次元図における長径(L1)の平均長径(L1a)は、0.01〜500μmが好ましく、0.1〜200μmがより好ましく、0.3〜100μmがより一層好ましく、0.8〜80μmがさらに好ましく、1〜50μmが最適である。
平均長径(L1a)が500μmを超える粒子を作製することもできるが、特に化粧品分野や拡散性能を必要とする電材分野等ではそのメリットは少ない。一方、平均長径(L1a)が0.01μm未満であると、粒子径が小さすぎるために、本発明の微細粒子による楕円状または針状ポリマー粒子の形成は難しく、また、粒子同士が凝集し易くなり、単分散化した粒子が得られない可能性が高い。
【0020】
本発明の楕円状または針状ポリマー粒子を構成するポリマーの分子量としては、特に限定されるものではなく、通常、重量平均分子量で、1,000〜3,000,000程度である。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定値である。
また、本発明の楕円状または針状ポリマー粒子を含む樹脂組成物を成形し、拡散板や拡散シートとした場合、高温下でも十分な耐熱性を発揮させるために、当該楕円状または針状ポリマー粒子の融点は60℃以上であることが好ましい。
本発明の楕円状または針状ポリマー粒子は、耐熱性を向上させるモノマーを使用して重合することで、融点を向上させることができる。例えば、モノマー中にイオン性官能基を導入したり、その種類や量などを変更したりすることによって、100℃以上、場合によっては120℃以上、さらには150℃以上にすることも可能である。
なお、本発明における融点は、示差走査熱量計(DSC6200,セイコーインスツル(株)製)において、融解によるピークが観測される温度を意味する。
【0021】
本発明の楕円状または針状ポリマー粒子は、溶媒の存在下でモノマーを溶液重合させる際に、モノマーを含めた反応媒体が、溶解している部分と分散している部分との両方を備える状態とする、すなわち、少なくとも乳化部分と溶解部分との両方を有する(ファジー)状態とすることで製造できる。
この場合、完全に乳化状態にすると微小粒子として安定して存在するため、微小粒子による楕円状または針状の凝集体は形成しづらく微小粒子だけとなってしまう。また楕円状または針状となった場合でも、微小粒子が小さすぎるため、楕円状粒子を形成する際、微小粒子で構成することができないため、目的とする表面に微細な凹凸を有する粒子を得ることができない。
一方、完全に溶解状態にすると楕円状または針状粒子を合成し難い。また楕円または針状となった場合でも微小粒子の凝集体は形成しづらい。
【0022】
上記のような乳化部分および溶解部分の併存状態を作る目安として、反応媒体の全光線透過率を用いることができる。ここで、全光線透過率とは、JIS K7136、7361に基づき作製されたヘーズメーターを用いてセル厚1cmのセルに溶液を投入して測定した値である。
本発明の楕円状または針状ポリマー粒子を製造するにあたっては、モノマーを含めた反応媒体の全光線透過率を20〜70%となるように調整することが好ましく、より好ましくは25〜70%、さらに好ましくは25〜65%、最良は30〜60%になるように調整するのがよい。
この全光線透過率は、後に詳述するモノマーおよび溶媒の種類および量比、並びに必要に応じて用いられる分散剤や乳化剤の量比を変えることで適宜調整することができる。
【0023】
本発明の楕円状または針状ポリマー粒子の製造に用いることのできる有機モノマーとしては、特に限定されるものではなく、一般的に溶液重合で使用されるような不飽和2重結合を有するモノマーが挙げられる。
その具体例としては、(i)スチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレンなどのスチレン系モノマー、(ii)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、(iii)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー、(iv)アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの(メタ)アクリル酸誘導体、(v)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー、(vi)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン系モノマー、(vii)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物、(viii)フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、またはアクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸テトラフルオロプロピルなどのフッ素アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、(ix)スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸などのスチレン系スルホン酸およびその塩、(x)ビニル安息香酸などのスチレン系カルボン酸およびその塩、(xi)(メタ)アクリル酸などの(メタ)アクリル酸およびその塩、(xii)マレイン酸またはマレイン酸モノC1〜8アルキルエステル、イタコン酸またはイタコン酸モノC1〜8アルキルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル系カルボン酸およびその塩、(xiii)C1〜10アルキル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル、スルホプロピル(メタ)アクリレート等のスルホC2〜6アルキル(メタ)アクリレート、メチルビニルスルフォネート,2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸,2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸,3−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸,3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸,2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸,3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、デカンアリルサクシネートスルホン酸、ビス(オリオキシエチレンジフェニルエーテル)メタクリレートスルホン酸などの(メタ)アクリル酸エステル系スルホン酸およびその塩等が挙げられる。
また、重合性基によっては、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオール基、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基等の反応性官能基を有するモノマーも用いることができる。
なお、これらの有機モノマーは、1種単独で、または2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
本発明においては、親水性基を有しないモノマーのみを用いた場合、乳化状態や懸濁状態になり易く、上述した乳化部分と溶解部分との両方を有する(ファジー)状態を作りにくくなる。
このため、親水性基を有するモノマーを単独で、またはこれを疎水性モノマーと組み合わせて用いることが好ましい。
親水性基としては、エステル基、エーテル基、エチレンオキサイド基、水酸基、イオン性官能基等が挙げられ、中でも、イオン性官能基が好適である。
【0025】
イオン性官能基としては、アニオン性官能基、カチオン性官能基のどちらでもよい。アニオン性官能基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基およびこれらの塩などが挙げられる。カチオン性官能基としては、アミノ基、イミダゾール基、ピリジン基、アミジノ基およびこれらの塩などが挙げられる。
特に、汎用品が多く、種類が豊富であり、かつ楕円状または針状ポリマー粒子の大きさ、形状等を効率良く制御できることから、アニオン性官能基が好適であり、分子内への導入が容易であるとともに、安定性および安全性に優れていることから、中でも、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基およびこれらの誘導体から選ばれる1種以上の官能基であることが好ましい。
【0026】
これらのイオン性官能基の対イオンとなりうる化合物としては、アニオン性官能基に対しては金属カチオン、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等が挙げられ、カチオン性官能基に対しては塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物イオン等が挙げられる。
アニオン性官能基を用いる場合、製造コストおよび種類の豊富さと楕円状または針状ポリマー粒子の精度、大きさ、形状等を効率良く制御することを考慮すると、対イオンとして、特に、金属カチオンが好適である。
【0027】
金属カチオンとしては、リチウム,ナトリウム,ルビジウム,セシウム等のアルカリ金属カチオン、マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム等のアルカリ土類金属カチオン、アルミニウム等のその他の非遷移金属カチオン、亜鉛,銅,マンガン,ニッケル,コバルト,鉄,クロム等の遷移金属等の酸化物、水酸化物、炭酸化物等の遷移金属含有カチオンが挙げられる。
【0028】
アニオン性官能基を有するモノマーとしては、例えば、モノカルボン酸系モノマー、ジカルボン酸系モノマー、スルホン酸系モノマー、硫酸エステル系モノマー、フェノール性水酸基含有モノマー、リン酸系モノマー等が挙げられる。
モノカルボン酸系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノC1〜8アルキルエステル、イタコン酸モノC1〜8アルキルエステル、ビニル安息香酸およびこれらの塩などが挙げられる。
ジカルボン酸系モノマーとしては、(無水)マレイン酸、α−メチル(無水)マレイン酸、α−フェニル(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびこれらの塩などが挙げられる。
【0029】
スルホン酸系モノマーとしては、エチレンスルホン酸,ビニルスルホン酸,(メタ)アリルスルホン酸等のアルケンスルホン酸、スチレンスルホン酸,α−メチルスチレンスルホン酸等の芳香族(スチレン系)スルホン酸、C1〜10アルキル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル、スルホプロピル(メタ)アクリレート等のスルホC2〜6アルキル(メタ)アクリレート、メチルビニルスルフォネート,2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸,2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸,3−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸,3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸,2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸,3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和エステルおよびこれらの塩などが挙げられる。
【0030】
硫酸エステル系モノマーとしては、ポリオキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル化物等の(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン(重合度2〜15)硫酸エステルおよびこれらの塩などが挙げられる。
フェノール性水酸基含有モノマーとしては、ヒドロキシスチレン、ビスフェノールAモノアリルエーテル、ビスフェノールAモノ(メタ)アクリルエステルおよびこれらの塩などが挙げられる。
リン酸系モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート,フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル燐酸モノエステル、ビニルリン酸などが挙げられる。
【0031】
なお、この場合、塩としては、ナトリウム塩,カリウム塩等のアルカリ金属塩、トリエタノールアミン等のアミン塩、テトラC4〜18アルキルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0032】
一方、カチオン性官能基を有するモノマーとしては、1級アミノ基含有モノマー、2級アミノ基含有モノマー、3級アミノ基含有モノマー、第4級アンモニウム塩基含有モノマー、複素環含有モノマー、ホスホニウム基含有モノマー、スルホニウム基含有モノマー、スルホン酸基含有重合性不飽和モノマーなどが挙げられる。
1級アミノ基含有モノマーとしては、(メタ)アリルアミン,クロチルアミン等のC3〜6アルケニルアミン、アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノC2〜6アルキル(メタ)アクリレート、ビニルアニリン,p−アミノスチレン等の芳香環と1級アミノ基を有するモノマー、エチレンジアミン、ポリアルキレンポリアミンなどが挙げられる。
2級アミノ基含有モノマーとしては、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート,メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のC1〜6アルキルアミノC2〜6アルキル(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アリルアミン等のC6〜12のジアルケニルアミン、エチレンイミン、ジアリルアミンなどが挙げられる。
【0033】
3級アミノ基含有モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート,N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート,N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート,N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート,N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート等のジC1〜4アルキルアミノC2〜6アルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド,N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジC1〜4アルキルアミノC2〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノスチレン等の芳香環と3級アミノ基とを有するモノマーなどが挙げられる。
【0034】
第4級アンモニウム塩基含有モノマーとしては、C1〜12アルキルクロライド,ジアルキル硫酸,ジアルキルカーボネート,ベンジルクロライド等の4級化剤を用いて3級アミンを4級化したものが挙げられる。
例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド,2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロマイド,(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド,(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド,(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド,(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムブロマイド,(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド,(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート,トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウム(メタ)アクリレート、トリメチルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレート、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムジメチルホスフェート等のその他の第4級アンモニウム塩基含有モノマーが挙げられる。
【0035】
複素環含有モノマーとしては、N−ビニルカルバゾール,N−ビニルイミダゾール,N−ビニル−2,3−ジメチルイミダゾリン,N−メチル−2−ビニルイミダゾリン,2−ビニルピリジン,4−ビニルピリジン、N−メチルビニルピリジン、オキシエチル−1−メチレンピリジン等が挙げられる。
ホスホニウム基含有モノマーとしては、グリシジルトリブチルホスホン等が挙げられる。
スルホニウム基含有モノマーとしては、2−アクリロキシエチルジメチルスルホン、グリシジルメチルスルホニウム等が挙げられる。
スルホン酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの(メタ)アクリルアミド−アルカンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレートなどのスルホアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記カチオン性官能基を有するモノマーは、塩酸塩,リン酸塩等の無機酸塩、ギ酸塩,酢酸塩等の有機酸塩として用いることもできる。
なお、以上の説明において「C」は炭素数を意味する。
【0036】
特に、本発明においては、水溶性のモノマーであることが好ましい。水溶性モノマーを用いることで、得られる楕円状または針状ポリマー粒子の粒子径をより小さくすることが可能となる。
水溶性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、エチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸およびこれらの塩;ポリオキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル化合物等の(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン(重合度2〜15)硫酸エステルおよびこれらの塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート;アクリルアミド、エチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩基含有モノマー;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
【0037】
これらの中でも、(メタ)アクリル酸、エチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸およびこれらの塩;ポリオキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル化合物等の(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン(重合度2〜15)硫酸エステルおよびこれらの塩がより好ましい。
なお、以上で説明したアニオン性官能基を有するモノマーおよびカチオン性官能基を有するモノマーは、それぞれ1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0038】
本発明においては、特に、上述した親水性基を有するモノマーと疎水性モノマーとを共重合させることが好ましい。このようにすることで、得られる楕円状または針状ポリマー粒子の形成される微小粒子径、多孔質性の制御と共にアスペクト比をより高め、理想的な楕円状に近づけることが可能となる。
ここで、疎水性モノマーとしては、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー等が好ましい。これらの疎水性モノマーは、それぞれ1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0039】
特に、下記の水溶性モノマーα群から選ばれる少なくとも1種と、疎水性モノマーβ群から選ばれる少なくとも1種との組み合わせを好適に採用することができる。
(1)水溶性モノマーα群
スチレン系スルホン酸およびその塩、スチレン系カルボン酸およびその塩、(メタ)アクリル酸およびその塩、(メタ)アクリル酸エステル系カルボン酸およびその塩、(メタ)アクリル酸エステル系スルホン酸およびその塩、ビニル系スルホン酸およびその塩、ビニル系カルボン酸およびその塩、(メタ)アクリル系スルホン酸およびその塩、(メタ)アクリル系カルボン酸およびその塩
(2)疎水性モノマーβ群
スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー
【0040】
この場合、上記水溶性モノマーと疎水性モノマーとの使用比率は、特に限定されるものではなく、例えば、質量比で水溶性モノマー:疎水性モノマー=5:95〜50:50とすることができる。得られる粒子のアスペクト比をより高め、理想的な楕円状に近づけるということを考慮すると、これらの使用比率は、水溶性モノマー:疎水性モノマー=10:90〜40:60が好ましく、15:85〜25:75がより好ましい。
【0041】
また、反応溶液中における、有機モノマーの合計の含有量(以下、重合成分含有量という)は、得られる粒子のアスペクト比をより高め、理想的な楕円状の粒子を効率よく製造するという点から、全反応溶液中1〜80質量%とすることが好ましく、より好ましくは、5〜50質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。
すなわち、重合成分含有量が、80質量%を超えると、当該成分が過剰となりすぎて溶液中でのバランスが崩れて球状粒子となり易く、その結果、本発明の表面に微細な凹凸を有する(微小粒子から構成されていると推測される)、単分散化した楕円状または針状ポリマー粒子を得ることが困難になる場合がある。一方、1質量%未満であると、目的とする形状の粒子は得られるものの、反応が完結するまでに長時間を要し、実用的ではない。
【0042】
重合反応に使用する溶媒としては、前述したモノマーを含めた反応媒体中で少なくとも乳化部分と溶解部分との両方の(ファジー)状態が得られるような溶媒を用いればよいが、本発明においては、水および水溶性有機溶媒からなる混合溶媒を用いることが好ましい。
また、疎水性のモノマーを使用する場合は、水および水溶性有機溶媒の他に、混合の調和を保ち、目的とする乳化部分と溶解部分との両方の(ファジー)状態を得られ易くするため、さらに疎水性有機溶媒を併用することが好ましい。
ここで、疎水性有機溶媒とは、1気圧において、温度20℃で同容量の純水と緩やかにかき混ぜ、流動がおさまった後に当該混合液体が均一な外観を維持できないものを意味し、水溶性有機溶媒とは、当該混合液が均一な外観を維持するものを意味する。
【0043】
水溶性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で、または2種類以上混合して用いることができる。
【0044】
疎水性有機溶媒の具体例としては、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等の高級アルコール類;ブチルセロソルブ等のエーテルアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、ブチルカルビトールアセテート等のエステル類;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ジシクロヘキシル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の脂肪族または芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
これらの中でも上述したファジー状態に調節し易い疎水性有機溶媒としては、水溶性有機溶媒に相溶で、かつ、水への溶解性が10g未満/水100gのものである。
このような疎水性有機溶媒としては、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール等のアルコール系;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ジシクロヘキシル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の脂肪族または芳香族炭化水素類系;メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系;酢酸エチル等のエステル系溶媒などが挙げられるが、特に、1−ブタノールが好適である。
【0046】
上記溶媒の混合割合は任意であり、例えば、質量比で、水:水以外の有機溶媒=1:99〜99:1の範囲とすることができるが、目的とするファジー状態を得られ易くするため、かつ、(共)重合性を向上させ、より小さな粒子径で高アスペクト比の粒子をより効率的に得るためには、10:90〜80:20、特に、30:70〜70:30とすることが好ましい。
また、水以外の有機溶媒として親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒の混合溶媒を用いる場合には、上記と同様の理由から、質量比で、親水性有機溶媒:疎水性有機溶媒=10:90〜90:10の範囲とすることが好ましく、80:20〜20:80の範囲とすることがより好ましく、最良は70:30〜30:70の範囲である。
【0047】
本発明においては、以上のような溶媒組成の調整を行うことで、楕円状または針状ポリマー粒子の粒子径やアスペクト比を制御できるとともに、本発明の大きな特徴である表面の微細な凹凸の大きさ、換言すれば、楕円状または針状ポリマー粒子を構成していると推測される微小粒子の粒子径を調整することができ、その結果、多孔質性を制御できることから、光学特性、吸水吸、吸油性等の諸性能をバランスよく制御できることとなる。
なお、本発明において、表面に微細な凹凸を有する(微小粒子の凝集体から形成されると推測される)楕円状または針状ポリマー粒子が形成される理由は定かではないが、反応媒体中に乳化部と溶解部とが存在することで、乳化重合と分散重合が互いに進行するのと同時に、攪拌の影響や、モノマー中に存在する場合もある極性基(親水性基)によって表面張力が変化することに起因するものと推測される。
【0048】
重合反応を行う際に用いられる重合開始剤としては、公知の種々の重合開始剤を用いることができ、例えば、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス−2−シアノプロパン−1−スルホン酸二ナトリウム等のアゾ系化合物などの、各種油溶性、水溶性、イオン性の重合開始剤が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種単独で、または2種類以上混合して用いることができる。
【0049】
重合時の反応温度は、使用する溶媒の種類によっても変わるものであり、一概には規定できないが、通常、−100〜200℃程度であり、好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは40〜100℃である。
また、反応時間は、粒子の楕円状または針状化がほぼ完結するのに要する時間であれば特に限定されるものではなく、モノマー種およびその配合量、イオン性官能基の種類、溶液の粘度およびその濃度等に大きく左右されるが、目的とする楕円状または針状粒子を理想的な形状で、かつ、効率的に製造することを考慮すると、例えば、40〜100℃の場合、2〜24時間、好ましくは8〜16時間程度がよい。
【0050】
楕円状または針状ポリマー粒子の製造の際には、重合方法に応じて(高分子)分散剤、安定剤、乳化剤(界面活性剤)等を、重合成分の合計質量に対し、0.01〜50質量%の適宜な量で配合することもできる。
分散剤および安定剤としては、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリスチレン誘導体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体;ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル誘導体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール誘導体;セルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル等のポリ酢酸ビニル誘導体;ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリ−2−メチル−2−オキサゾリン等の含窒素ポリマー誘導体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル誘導体;ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン誘導体等の各種疎水性または親水性の分散剤、安定剤が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0051】
乳化剤(界面活性剤)としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等のカチオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0052】
上記分散剤、安定剤および乳化剤は、反応溶媒に応じて適宜選択して使用されるものであるが、本発明では、反応溶媒として、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いることが好ましいことから、得られる楕円状または針状ポリマー粒子の粒子径を安定させ、より小さな粒子径の粒子を効率的に得るという点から、これら分散剤等は混合溶媒に溶解するものが好ましい。このような分散剤、安定剤としてはポリスチレン誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、ポリビニルアルキルエーテル誘導体、ポリアルキレングリコール誘導体、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ノニオン系乳化剤等が挙げられる。
なお、楕円状または針状ポリマー粒子の大きさ、形状等を効率よく制御する目的で、また、残存成分の品質などの点から、これら分散剤、安定剤、乳化剤は目的とする粒子に類似した誘導体にしてもかまわない。
【0053】
本発明においては、重合反応の際に、得られる粒子の用途などに応じて、重合成分の合計質量に対し、0.01〜80質量%の適宜な量で架橋剤を配合することもできる。
架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロールアクリロキシジメタクリレート、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルフォン等の化合物が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0054】
また、重合反応の際に、得られる粒子の用途などに応じて、触媒(反応促進剤)を配合することができる。配合量は、粒子物性に悪影響を及ぼさない適宜な量、例えば、重合成分の合計質量に対し、0.01〜20質量%とすることができる。
触媒としては、正触媒であれば特に限定されるものではなく、公知のものから適宜選択して使用することができる。具体例としては、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、トリフェニルアミン等の3級アミン類;トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム化合物類;トリフェニルホスフィン、トリシクロホスフィン等のホスフィン類;ベンジルトリメチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム化合物類;2−メチルイミダゾール、2−メチル−4−エチルイミダゾール等のイミダゾール化合物類;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物類;炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩類;有機酸のアルカリ金属塩類;三塩化ホウ素、三弗化ホウ素、四塩化錫、四塩化チタン等のルイス酸性を示すハロゲン化物類またはその錯塩類等の触媒が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0055】
また、重合反応の際に、得られる楕円状または針状ポリマー粒子の大きさ、形状、品質等を調整する目的で、水またはその他の極性溶媒に溶解し得、陽イオンと陰イオンとに電離してその溶液が電気伝導性を示す化合物を添加することも可能である。
具体例としては、塩類、無機酸、無機塩基、有機酸、有機塩基、イオン液体等が挙げられる。配合量は、粒子物性に悪影響を及ぼさない適宜な量、例えば、重合成分の合計質量に対し、0.01〜80質量%とすることができる。
【0056】
以上説明した本発明の製造方法は、溶液重合という粒子径を制御可能な方法であるため、精密に形状、粒子径等の設計が可能であり、その結果、表面に微細な凹凸を有する(微小粒子の凝集体から形成されると推測される)、所定のアスペクト比を有する楕円状または針状ポリマー粒子が得られることになる。
なお、この製法を用いると、得られた楕円状または針状ポリマー粒子に対して、直接、その他の有機化合物等を結合等させることができるから、連続的かつ効率的にコア/シェル型構造粒子を得ることもできる。
【0057】
本発明の製造方法を実施した場合、得られる粒子の全てが目的とする楕円状または針状となるわけではないが、通常、得られた楕円状または針状ポリマー粒子をランダムに100個抽出した場合、各粒子の長軸方向と直交する方向から光を照射して得られる投影二次元図の長径(L1)と短径(D1)とから算出されるアスペクト比(P1)=長径(L1)/短径(D1)の平均(P1a)が、(P1a)≧1.5を満たすものである。実用的な面からいうと、このアスペクト比の平均は、好ましくは、(P1a)≧1.8、より好ましくは1.8≦(P1a)≦20、より一層好ましくは2.0≦(P1a)≦15、さらに好ましくは2.2≦(P1a)≦10である。
【0058】
本発明においては、走査電子顕微鏡(S−4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用い、測定可能な倍率(300〜100,000倍)で写真を撮影し、得られた楕円球状粒子を二次元化した状態(なお、通常、楕円球状粒子は長軸方向を水平にした状態を保つ)で、各粒子の長径(L1)および短径(D1)を測定し、アスペクト比(P1)を算出する。
粒子の平均長径(L1a)も同様に、長径(L1)の測定をランダムにn=100繰り返し行って求めることができる。
【0059】
なお、本発明の楕円状または針状ポリマー粒子には、さらに、別の微粒子を物理的、化学的に付加して複合粒子とすることもできる。
具体的には、(1)粒子製造時に微粒子を取り込ませる、(2)粒子作製後に粒子表面に存在するイオン性官能基の極性を利用して付加する、(3)付加重合、重縮合、付加縮合等の化学的結合により付加する、などの方法が挙げられる。
【0060】
ここで、別の微粒子とは、母粒子となる楕円状または針状ポリマー粒子よりも小さい粒子であれば有機物、無機物の制限は無い。好ましい粒径は、楕円状または針状ポリマー粒子の大きさにもよるが、通常、0.01〜1000μm程度である。
有機粒子としては、本発明の粒子の製造に用いられる重合性モノマーからなる粒子、硬化性粒子、有機顔料等が挙げられる。
無機粒子としては、銅粉、鉄粉、金粉、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化錫、酸化銅、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化マンガン、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属、金属酸化物、水和金属酸化物、無機顔料等の無機粒子が挙げられる。
なお、これらの微粒子は、市販品をそのまま用いてもよく、予めカップリング剤等の表面処理剤で表面修飾したものを用いてもよい。
【0061】
特に、本発明の楕円状または針状ポリマー粒子を光学用途に用いる場合には、屈折率の制御や、光拡散性の向上を目的として、粒径0.01〜500μmの酸化金属微粒子、中でも酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素等を付加させることが好ましい。これらは1種単独で、または2種類以上組み合わせて用いることができる。
この酸化金属微粒子の付加は、本発明の粒子の製造時に、当該微粒子を、重合成分全体に対して0.1〜50質量%配合して反応を行うことで、得られる楕円状または針状ポリマー粒子内に当該微粒子を物理的・化学的吸着等により取り込ませるなどにより行うことができる。
【0062】
既に述べたように、本発明の楕円状または針状ポリマー粒子は、光の拡散性に優れているため、光拡散用シート用の添加剤として好適に利用できる。具体的には、例えば、本発明の楕円状または針状ポリマー粒子、バインダー、およびその他の添加剤からなる組成物を、フィルム、シート、板等の透明または乳白色化した基材上にコーティングするなどにより光拡散層を形成し、液晶ディスプレイ、オーバーヘッドプロジェクター、広告用電飾看板、テレビ、映画等の映像スクリーンなどに用いられる光拡散用シートとして好適に使用することができる。
また、本発明の楕円状または針状ポリマー粒子は、光拡散性能に加えて多孔質性、吸水性、吸油性等をも有しているから、機能性化粧品部材としても好適に使用することができる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
まず、本実施例における各物性等の測定方法について説明する。
【0064】
(1)楕円状または針状ポリマー粒子のアスペクト比
走査電子顕微鏡(S−4800,(株)日立ハイテクノロジーズ製、以下、SEMという)を用い、測定可能な倍率(300〜100,000倍)で写真を撮影し、得られた楕円状または針状ポリマー粒子を二次元化した状態(なお、通常、楕円状または針状ポリマー粒子は長軸方向を水平にした状態を保つ)で、各粒子の長径(L1)および短径(D1)を測定し、アスペクト比(P1)を算出する。
粒子の平均長径(L1a)も同様に、長径(L1)の測定をランダムにn=100繰り返し行って算出する。
【0065】
(2)楕円状または針状ポリマー粒子の真球状換算した体積平均粒子径
MICROTRACK HRA9320−X100(日機装(株)製)を用いて測定した。
(3)ガラス転移温度Tg
示差走査熱量計(DSC6200,セイコーインスツル(株)製)を用いて測定した。
具体的には、測定試料10mgを精秤し、精秤した測定試料をアルミ製パン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、常温常湿下、測定温度範囲20〜200℃で昇温速度10℃/分で昇温を行った。得られたリバーシングヒートフロー曲線の吸熱(融解)ピーク点を算出した。
【0066】
(4)比表面積の測定
自動比表面積細孔分布測定装置(TriStar 3000,(株)島津製作所製)を用い、ガス吸着法により測定した。
(5)比重の測定
乾式自動密度計(アキュピック1330−01,(株)島津製作所製)を用いて測定した。
【0067】
(6)楕円状または針状ポリマー粒子の同一平均粒子径の真球状粒子の理論比表面積SD(m2/g)の算出
まず、楕円状または針状粒子の同一平均粒子径を2r(m)、その半径をr(m)、その比重をG(g/cm3)とした。このとき、半径r(m)の真球状粒子の面積S′(m2)、体積V(m3)はそれぞれ次式で表される。
半径r(m)の真球状粒子の面積S′(m2)=4πr2
半径r(m)の真球状粒子の体積V(m3)=4πr3/3
この場合、粒子1g当たりに含まれる粒子の個数Nは次式で表される。
粒子1g当たりに含まれる粒子の個数N=1/VG
したがって、楕円状または針状ポリマー粒子と同一粒径の真球状粒子の理論比表面積SD(m2/g)は次式で表される。
理論比表面積SD(m2/g)=S′N=S′/VG=3/rG
【0068】
(7)合成溶液の全光線透過率の測定
ヘーズメーターNDH−5000(日本電色工業(株)製)を用いて装置付属の角セル(10×36×55)に合成溶液を加えて測定した。
(8)光拡散フィルムの全光線透過率、濁度の測定
JIS K7136、7361に準拠し、ヘーズメーターNDH−5000(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
(9)光拡散性能の測定
自動変角光度計GP−200((株)村上色彩技術研究所製)を用いて−90°〜90°での拡散光強度を測定し、得られた拡散光強度を次式で表される放射輝度を算出し、光拡散性能を確認した。
放射輝度=拡散光強度/cos(θ)
【0069】
(10)吸水量の測定
乾燥させた粉を約2質量%の濃度で水に分散させ、一日静置後、再度分散させ、ガラスフィルターを用いて、減圧濾過を行った。濾過したガラスフィルターを、遠心分離機(CR−20GII,(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、3000rpmで30分間遠心を行った後、得られた粉を乾燥し、乾燥させる前後の粉体の質量を測定し、その差を吸水した水分の量とした。
(11)吸油量の測定
JIS K 5101に記される、あまに油法に準拠して測定した。
【0070】
[1]楕円状または針状ポリマー粒子
[実施例1]
2000mlフラスコに下記に示した化合物を下記割合で混合してなる混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で窒素気流下オイルバス温度88℃で、約12時間加熱をして、スチレン・p−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合粒子溶液を得た。なお、仕込み後の媒体(モノマーを含む、以下同様)の全光線透過率は58.8%であった。また、重合前、媒体には乳化部分と溶解部分とが共存していた。
スチレン 240g
p−スチレンスルホン酸ナトリウム 60g
ブタノール 400g
メタノール 200g
水 600g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 30g
ポリビニルピロリドン(K−30) 250g
SDS(ドデシル硫酸ナトリウム) 6.0g
【0071】
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってメタノールで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥し、楕円状または針状ポリマー粒子を得た。
得られた粒子100個をランダムに抽出し、SEMにて形状を観察したところ、長径(L1)の平均長径(L1a)が19.1μmであり、多数の微細粒子が凝集してできたような、表面に微細な凹凸を有する楕円状または針状ポリマー粒子であることが確認された。また、アスペクト比(P1)の平均(P1a)は6.2であり、粒度分布を用いて測定した球状換算した場合の体積平均粒子径は8.5μmであった。なお、示差走査熱量計(DSC6200,セイコーインスツル(株)製)において融解によるピークが観測される温度から算出した融点は115℃であり、比重は1.09g/cm3、比表面積は10.4m2/gであった。得られた楕円状または針状ポリマー粒子のSEM写真を図1〜3に示す。
【0072】
[実施例2]
2000mlフラスコに下記に示した化合物を下記割合で混合してなる混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で窒素気流下オイルバス温度90℃で、約12時間加熱をして、スチレン・p−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合粒子溶液を得た。なお、仕込み後の媒体の全光線透過率は41.2%であった。また、重合前、媒体には乳化部分と溶解部分とが共存していた。
スチレン 225g
p−スチレンスルホン酸ナトリウム 75g
ブタノール 400g
メタノール 200g
水 600g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 30g
ポリビニルピロリドン(K−30) 400g
SDS(ドデシル硫酸ナトリウム) 6.0g
【0073】
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってメタノールで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、楕円状または針状ポリマー粒子を得た。
得られた粒子100個をランダムに抽出し、SEMにて形状を観察したところ、長径(L1)の平均長径(L1a)が5.0μmであり、多数の微細粒子が凝集してできたような、表面に微細な凹凸を有する楕円状または針状ポリマー粒子であることが確認された。また、アスペクト比(P1)の平均(P1a)は4.6であり、粒度分布を用いて測定した球状換算した場合の体積平均粒子径は3.0μmであった。なお、示差走査熱量計(DSC6200,セイコーインスツル(株)製)において融解によるピークが観測される温度から算出した融点は106℃であり、比重は1.09g/cm3、比表面積は91.2m2/gであった。得られた楕円状または針状ポリマー粒子のSEM写真を図4〜7に示す。
【0074】
[実施例3]
500mlフラスコに下記に示した化合物を下記割合で混合してなる混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で窒素気流下オイルバス温度90℃で、約12時間加熱をして、メタクリル酸n−ブチル・メタクリル酸共重合粒子溶液を得た。なお、仕込み後の媒体の全光線透過率は63.8%であった。また、重合前、媒体には乳化部分と溶解部分とが共存していた。
メタクリル酸n−ブチル 48g
メタクリル酸 12g
ブタノール 80g
メタノール 40g
水 120g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 6.0g
ポリビニルピロリドン(K−30) 60g
SDS(ドデシル硫酸ナトリウム) 1.2g
【0075】
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってメタノール溶液で3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、楕円状または針状ポリマー粒子を得た。
得られた粒子100個をランダムに抽出し、SEMにて形状を観察したところ、長径(L1)の平均長径(L1a)が13.2μmであり、多数の微細粒子が凝集してできたような、表面に微細な凹凸を有する楕円状または針状ポリマー粒子であることが確認された。また、アスペクト比(P1)の平均(P1a)は3.0であり、粒度分布を用いて測定した球状換算した場合の体積平均粒子径は9.2μmであった。なお、示差走査熱量計(DSC6200,セイコーインスツル(株)製)において融解によるピークが観測される温度から算出した融点は142℃であり、比重は1.1g/cm3、比表面積は10.3m2/gであった。
【0076】
[実施例4]
300mlフラスコに下記に示した化合物を下記割合で混合してなる混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で窒素気流下オイルバス温度90℃で、約12時間加熱をして、スチレン・Antox MS−60(ビス(ポリオキシエチレンジフェニルエーテル)メタクリレート硫酸ナトリウム)共重合粒子溶液を得た。なお、仕込み後の媒体の全光線透過率は52.8%であった。また、重合前、媒体には乳化部分と溶解部分とが共存していた。
スチレン 28g
Antox MS−60(日本乳化剤(株)製) 13.3g
ヘキサン 24g
イソプロピルアルコール 72g
水 48g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 4.0g
ポリビニルピロリドン(K−30) 20g
【0077】
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってメタノール溶液で3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、楕円状または針状ポリマー粒子を得た。
得られた粒子100個をランダムに抽出し、SEMにて形状を観察したところ、長径(L1)の平均長径(L1a)が10.5μmであり、多数の微細粒子が凝集してできたような、表面に微細な凹凸を有する楕円状または針状ポリマー粒子であることが確認された。また、アスペクト比(P1)の平均(P1a)は3.6であり、粒度分布を用いて測定した球状換算した場合の体積平均粒子径は7.5μmであった。なお、示差走査熱量計(DSC6200,セイコーインスツル(株)製)において融解によるピークが観測される温度から算出した融点は78℃であり、比重は1.1g/cm3、比表面積は18.3m2/gであった。
【0078】
[実施例5]
2000mlフラスコに下記に示した化合物を下記割合で混合してなる混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で窒素気流下オイルバス温度90℃で、約12時間加熱をして、スチレン・メタクリル酸共重合粒子溶液を得た。なお、仕込み後の媒体の全光線透過率は27.8%であった。また、重合前、媒体には乳化部分と溶解部分とが共存していた。
スチレン 270g
メタクリル酸 180g
ブタノール 480g
メタノール 240g
水 600g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 90g
ポリビニルピロリドン(K−60) 150g
SDS(ドデシル硫酸ナトリウム) 6.0g
【0079】
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使って水:メタノール=1:1混合溶液で3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、楕円状または針状ポリマー粒子を得た。
得られた粒子100個をランダムに抽出し、SEMにて形状を観察したところ、長径(L1)の平均長径(L1a)が1.8μmであり、多数の微細粒子が凝集してできたような、表面に微細な凹凸を有する楕円状または針状ポリマー粒子であることが確認された。また、アスペクト比(P1)の平均(P1a)は6.8であり、粒度分布を用いて測定した球状換算した場合の体積平均粒子径は0.8μmであった。なお、示差走査熱量計(DSC6200,セイコーインスツル(株)製)において融解によるピークが観測される温度から算出した融点は167℃であり、比重は1.1g/cm3、比表面積は112.6m2/gであった。
【0080】
[比較例1]
300mlフラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で窒素気流下オイルバス温度65℃で約15時間加熱をして、スチレン・p−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合粒子溶液を得た。なお、仕込み後の媒体の全光線透過率は76.8%であった。また、重合前、媒体は透明に近い状態であった。
スチレン 28.9g
p−スチレンスルホン酸ナトリウム 7.2g
メタノール 82.8g
水 55.2g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 1.0g
ポリビニルピロリドン(K−90) 10.0g
【0081】
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(質量比3:7)で3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、楕円状または針状ポリマー粒子を得た。
得られた粒子100個をランダムに抽出し、SEMにて形状を観察したところ、長径(L1)の平均長径(L1a)が19.0μmであり、1つの連続する曲面を有する楕円状または針状ポリマー粒子であることが確認された。また、アスペクト比(P1)の平均(P1a)は5.9であり、粒度分布を用いて測定した球状換算した場合の体積平均粒子径は8.5μmであった。なお、示差走査熱量計(DSC6200 セイコーインスツル(株)製)において融解によるピークが観測される温度から算出した融点は151℃であり、比重は1.09g/cm3、比表面積は1.5m2/gであった。得られた楕円状または針状ポリマー粒子のSEM写真を図8に示す。
【0082】
[比較例2]
500mlフラスコに下記に示した化合物を下記割合で混合してなる混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で窒素気流下、オイルバス温度78℃で約12時間加熱をして、スチレン重合粒子溶液を得た。なお、仕込み後の媒体の全光線透過率は95.8%であった。また、重合前、媒体には溶液部分のみが存在していた。
スチレン 86g
メタノール 184g
エタノール 46g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 7.29g
ポリビニルピロリドン(K−30) 24.5g
【0083】
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってメタノールで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、球状粒子を得た。
粒度分布を用いて測定した球状換算の体積平均粒子径は8.5μmであった。なお、示差走査熱量計(DSC6200,セイコーインスツル(株)製)において融解によるピークが観測される温度から算出した融点は101℃であり、比重は1.10g/cm3、比表面積は0.85m2/gであった。
【0084】
[比較例3]
500mlフラスコに下記に示した化合物を下記割合で混合してなる混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で窒素気流下、オイルバス温度78℃で約12時間加熱をして、スチレン重合粒子溶液を得た。なお、仕込み後の媒体の全光線透過率は93.2%であった。また、重合前、媒体には溶液部分のみが存在していた。
スチレン 86g
メタノール 230g
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 6.08g
ポリビニルピロリドン(K−30) 35g
【0085】
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使ってメタノールで3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、球状粒子を得た。
粒度分布を用いて測定した球状換算の体積平均粒子径は3.0μmであった。なお、示差走査熱量計(DSC6200,セイコーインスツル(株)製)において融解によるピークが観測される温度から算出した融点は101℃であり、比重は1.10g/cm3、比表面積は2.75m2/gであった。
【0086】
[比較例4]
500mlフラスコに下記に示した化合物を下記割合で混合してなる混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で窒素気流下、オイルバス温度90℃で約12時間加熱をして、スチレン重合粒子溶液を得た。なお、仕込み後の媒体の全光線透過率は10.3%であった。また、重合前、媒体には乳化部分のみが存在していた。
スチレン 82.8g
SDS(ドデシル硫酸ナトリウム) 2.0g
水 292.8g
炭酸水素ナトリウム 0.075g
過硫酸カリウム 0.193g
【0087】
次に、この粒子溶液を遠心分離機(CR−20GII,(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて10000回転、30分間遠心分離を行い、上澄み液を取り除いた後、メタノールを加え、粒子を分散させた。3〜5回程度、同様の遠心分離操作を繰り返して真空乾燥後、スチレン重合粒子を得た。
得られた粒子をSEMにて形状を観察したところ、真球状の粒子であり、目的とする楕円状または針状ポリマー粒子を得ることはできなかった。粒度分布を用いて測定した球状換算の体積平均粒子径は0.4μmであった。なお、示差走査熱量計(DSC6200,セイコーインスツル(株)製)において融解によるピークが観測される温度から算出した融点は101℃であり、比重は1.10g/cm3、比表面積は16.4m2/gであった。
【0088】
上記実施例1〜5および比較例1〜4で得られた粒子の体積平均粒子径、比表面積(SB)および理論上の比表面積(SD)、その比(SB)/(SD)を表1に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
[2]光拡散用シート
[実施例6]
下記の各成分を混合して組成物を調製し、厚み100μmのPETフィルム(E−5000、東洋紡(株)製、以下同様)の片面にコーティングした。コーティング後、乾燥機にて熱風乾燥を行い、塗工層の厚みが100μmとなるような光拡散用シート1を作製した。
バインダー樹脂:アクリル樹脂(樹脂分45%) 41.3g
重合体粒子:実施例1の楕円状または針状ポリマー粒子 10g
アクリル樹脂:BASFジャパン製のジョンクリル511(以下同様)
【0091】
[実施例7]
下記の各成分を混合して組成物を調製し、厚み100μmのPETフィルムの片面にコーティングした。コーティング後、乾燥機にて熱風乾燥を行い、塗工層の厚みが100μmとなるような光拡散用シート2を作製した。
バインダー樹脂:アクリル樹脂(樹脂分45%) 41.3g
重合体粒子:実施例2の楕円状または針状ポリマー粒子 10g
【0092】
[比較例5]
下記の各成分を混合して組成物を調製し、厚み100μmのPETフィルムの片面にコーティングした。コーティング後、乾燥機にて熱風乾燥を行い、塗工層の厚みが100μmとなるような光拡散用シート3を作製した。
バインダー樹脂:アクリル樹脂(樹脂分45%) 41.3g
重合体粒子:比較例1の楕円状または針状ポリマー粒子 10g
【0093】
[比較例6]
下記の各成分を混合して組成物を調製し、厚み100μmのPETフィルムの片面にコーティングした。コーティング後、乾燥機にて熱風乾燥を行い、塗工層の厚みが100μmとなるような光拡散用シート4を作製した。
バインダー樹脂:アクリル樹脂(樹脂分45%) 41.3g
重合体粒子:比較例2の球状粒子 10g
【0094】
[比較例7]
下記の各成分を混合して組成物を調製し、厚み100μmのPETフィルムの片面にコーティングした。コーティング後、乾燥機にて熱風乾燥を行い、塗工層の厚みが100μmとなるような光拡散用シート5を作製した。
バインダー樹脂:アクリル樹脂(樹脂分45%) 41.3g
重合体粒子:比較例3の球状粒子 10g
実施例6,7および比較例5〜7で得られた光拡散用シートの全光線透過率、ヘーズを表2に、実施例6および比較例5,6で得られた光拡散用シート1,3,4の自動変角光度計を用いた放射輝度分布を図9に、実施例7および比較例7で得られた光拡散用シート2,5の自動変角光度計を用いた放射輝度分布を図10に示す。
【0095】
【表2】

【0096】
[3]化粧品用途
実施例1,2および比較例1〜3で得られた粒子について、吸水量および吸油量を測定し、また皮膚に塗った場合の肌触り、滑り性および光沢性を評価した。結果を表3に示す。
【0097】
【表3】

○:きわめて良好、△:良好、×:不良
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】実施例1で得られた楕円状または針状ポリマー粒子のSEM写真(×1000)を示す図である。
【図2】実施例1で得られた楕円状または針状ポリマー粒子のSEM写真(×30000)を示す図である。
【図3】実施例1で得られた楕円状または針状ポリマー粒子の断面のSEM写真(×35000)を示す図である。
【図4】実施例2で得られた楕円状または針状ポリマー粒子のSEM写真(×3000)を示す図である。
【図5】実施例2で得られた楕円状または針状ポリマー粒子のSEM写真(×40000)を示す図である。
【図6】実施例2で得られた楕円状または針状ポリマー粒子のSEM写真(×80000)を示す図である。
【図7】実施例2で得られた楕円状または針状ポリマー粒子のSEM写真(×100000)を示す図である。
【図8】比較例1で得られた楕円状または針状ポリマー粒子のSEM写真(×2000)を示す図である。
【図9】実施例6および比較例5,6で得られた光拡散用シートの自動変角光度計を用いた放射輝度分布を示す図である。
【図10】実施例7および比較例7で得られた光拡散用シートの自動変角光度計を用いた放射輝度分布を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に微細な凹凸を有する楕円状または針状ポリマー粒子であって、
前記粒子の長軸方向と直交する方向から光を照射して得られる投影二次元図の長径(L1)と短径(D1)とから算出されるアスペクト比(P1)=長径(L1)/短径(D1)が(P1)≧1.8を満たすことを特徴とする楕円状または針状ポリマー粒子。
【請求項2】
前記粒子の比表面積が、下記式(1)を満たす請求項1記載の楕円状または針状ポリマー粒子。
(SB)/(SD)≧5 (1)
(式中、SBは前記粒子の実際の比表面積を意味し、SDは前記粒子の平均粒子径から算出される真球状粒子の理論比表面積を意味する。)
【請求項3】
前記粒子の比表面積が、10m2/g以上である請求項1または2記載の楕円状または針状ポリマー粒子。
【請求項4】
前記長径(L1)の平均長径(L1a)が、0.01〜500μmである請求項1〜3のいずれか1項記載の楕円状または針状ポリマー粒子。
【請求項5】
多孔性である請求項1〜4のいずれか1項記載の楕円状または針状ポリマー粒子。
【請求項6】
前記ポリマー粒子が、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、スチレン系スルホン酸塩、スチレン系カルボン酸塩、(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸エステル系カルボン酸塩、および(メタ)アクリル酸エステル系スルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種の重合体からなる粒子である請求項1〜5のいずれか1項記載の楕円状または針状ポリマー粒子。
【請求項7】
溶媒の存在下でモノマーを溶液重合させる楕円状または針状ポリマー粒子の製造方法であって、
前記モノマーを含めた反応媒体の全光線透過率が20〜70%であり、乳化部分と溶解部分とが共存する条件下で前記重合を行う請求項1記載の楕円状または針状ポリマー粒子の製造方法。
【請求項8】
前記溶媒が、水および水溶性有機溶媒からなる混合溶媒である請求項7記載の楕円状または針状ポリマー粒子の製造方法。
【請求項9】
前記溶媒が、さらに疎水性有機溶媒を含む請求項8記載の楕円状または針状ポリマー粒子の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項記載の楕円状または針状ポリマー粒子を含む樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか1項記載の楕円状または針状ポリマー粒子を用いてなる光拡散用シート。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか1項記載の楕円状または針状ポリマー粒子を用いてなる化粧用部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−235355(P2009−235355A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86863(P2008−86863)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000004374)日清紡ホールディングス株式会社 (370)
【Fターム(参考)】