説明

極めて優れた特性のプロファイルを有する変性ポリオレフィン、それらの製造方法およびそれらの使用

【課題】材料特性が向上した官能化ポリオレフィン、特に、遊離ラジカル官能化におけるそれらの明確な鎖構造により、高度な官能化と同時に適度なポリマー分解を可能にする、明確なポリマー構造を有する非官能化ポリオレフィンに基づいて製造される官能化ポリオレフィンが必要であった。
【解決手段】非官能化ポリオレフィンを基礎とする変性ポリオレフィンであって、プロペントライアドに対する13C NMRによって測定されたトライアド分布が、特定のアイソタクチック含有量、特定のシンジオタクチック含有量、特定のアタクチック含有量を有し、プロペンおよび1−ブテンのアイソタクチック、シンジオタクチックおよびアタクチックトライアドの含有量が、それぞれ合計100%になる変性ポリオレフィンによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その製造がアイソタクチック構造要素を有する半結晶性ポリオレフィンを基礎とする極めて優れた特性のプロファイルを有する変性ポリオレフィン、それらの製造方法、および特に接着剤または接着剤の成分としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
非晶質ポリ−アルファ−オレフィンは、多くの場合において、広範な用途に対する接着剤原料としての役割を果たす。使用分野は、衛生分野から貼合せおよび包装用接着剤、そしてさらには建設用接着剤および木材処理における使用に及ぶ。(APAOとして既知の)非変性非晶質ポリ−アルファ−オレフィンは、完全に物理的に硬化し、それがその熱可塑性により要望に応じて可逆的であることが注目に値する。しかし、それらは、引張強度および接着剪断強度が非常に限定され、熱安定性が比較的低い。さらに、それらを使用して、反応性表面基(例えば−OH)の接着ボンドへの共有結合的導入を達成することができない。
【0003】
非変性APAOの記載の短所を、変性のために特にカルボン酸もしくはカルボン酸誘導体および/またはシランを使用できる後の官能化(変性)によって改善することができる。
【0004】
ポリエチレンと不飽和シランとの反応によるシラン変性ポリオレフィンの製造が、ある程度既知である。EP0004034には、最大の架橋度を達成することを目的として、シラン結合を利用してポリ(α−オレフィン)を架橋するための方法が早い段階で記載されている。架橋は、グラフトの直後に続き、例えば、ケーブル外装および/または成形品の製造に使用される、脆化温度の低い硬質の高強度材料をもたらす。記載のポリマーを接着剤として使用することができない。
【0005】
DE1963571、DE2353783およびDE2406844には、少量のプロペンおよび/または1−ブテンを含むポリエチレンポリマーまたはエチレンコポリマーを架橋するための方法が記載されている。目標の製品は、ポリエチレンを基礎とする架橋成形体である。
【0006】
DE2554525およびDE2642927には、押出機を使用することによって、1回の処理で、ポリマーのシラン官能化、シラン縮合触媒の導入ならびにポリマーの成形および架橋を含む、押出品を製造するための方法が記載されている。記載の最終用途は、ケーブル、パイプおよびホースである。接着ボンドは、このようにして製造されたポリマーでは不可能であり、さらなる処理は、概して、変性直後に実施される架橋により、ごく限られた程度で可能であるにすぎない。
【0007】
シラン基の導入によって、官能性表面、例えばガラスへのポリオレフィンの接着性を向上させることが可能であることもある程度既知である。例えば、US3,075,948には、耐熱性が向上され、ガラスへの接着性が良好である、不飽和シランモノマーおよび2〜6個の炭素原子を有する固体ポリ(α−オレフィン)からなるグラフトポリマーが、早い段階で記載されている。得られた変性ポリマーは、成形品および容器の製造に使用され、かつガラス容器の塗料として使用される。それらは、要件のプロファイル(溶融粘度、非架橋状態における材料硬度等)が全く異なるため、溶融接着剤としての使用に適さない。
【0008】
シラン架橋のための非晶質ポリ(アルファ−オレフィン)の使用も既知である。例えば、EP0260103には、気候の影響からの保護のための塗料材料として使用される、飽和炭素骨格および低分子量を有する非晶質シラン変性ポリマーが記載されている。当該ポリマーの例としては、エチレンおよび/またはα−オレフィンのコポリマー、特にEPMおよびEPDMが挙げられる。記載の基材ポリマーは、非晶質でゴム様であり、高度な弾力性を有する。それらのゴム様の特性により、非架橋状体の加工性が劣る。それらの製品は、本出願における接着剤およびシール材分野の意図する用途に不適切である。
【0009】
DE4000695には、APAOと遊離ラジカル供与体および場合によってさらにグラフト可能なモノマー(例えばビニルシラン)とを同時剪断応力下で反応させる方法における実質的に非晶質のポリ(アルファ−オレフィン)の使用が記載されている。得られた製品は、カーペット塗料材料または溶融接着剤としての使用に好適である。しかし、変性ポリ(アルファ−オレフィン)を製造するために使用される実質的に非晶質のポリオレフィンは、それ自体では(すなわち非変性状態では)、材料または接着特性が低または中程度であり、特に、未処理のアイソタクチックポリプロピレンに対する接着剪断強度および引張強度が低く、変性ポリマーも低い要件の用途にしか適さない。特に、非変性の主として非晶質のポリオレフィンは、材料凝集性における短所、および低分子量成分のガス抜きの問題を招く高度な多分散性を有する。ポリマー鎖の微小構造もさほど明確でなく、その1つの理由は、非変性ポリオレフィンの製造に使用される重合触媒が不均一であるためであり、そのため、特定の材料または接着要件に対する問題のない制御調整が不可能である。さらなる要因は、グラフト重合と鎖開裂の比が好ましくないため、変性ポリマーの官能化が低いことである。官能化が低いため、架橋反応の進行が遅く、反応性表面への接着が比較的弱い。さらなる要因は、非架橋変性ポリオレフィンおよび架橋変性ポリオレフィンの両方の引張強度が比較的小さい値になるため、製品が、多くの用途分野から排除されることである。
【0010】
JP2003−002930において、グラフトポリマーは、非晶質ポリ(α−オレフィン)、不飽和カルボン酸および場合によってさらなる不飽和芳香族物質(例えばスチレン)から製造される。使用されるポリオレフィンは、非晶質であり、DSC測定における結晶度が1J/g以下である。湿分架橋モノマー系、例えばビニルシランについては記載されていない。グラフトポリオレフィンは、それらの基材ポリマーおよび使用されるグラフトモノマーの特性により、所望の材料パラメータを有さない。特に、それらは、あまりにも柔らかく、耐熱性が低く、引張強度が低すぎる。
【0011】
WO03/070786には、変性ポリ(1−ブテン)ポリマーを製造するための方法、該方法から得られる変性ポリ(1−ブテン)ポリマー、および変性ポリ(1−ブテン)ポリマーを含む接着剤組成物が記載されている。変性に使用されるポリ(1−ブテン)基材ポリマーは、0〜100℃の範囲の融点、20%を超えるアイソタクチシティ指数および4.0未満の多分散度を有する。挙げられているグラフトモノマーは、不飽和カルボン酸、無水カルボン酸、またはアミド、エステル等の対応する誘導体である。
【0012】
湿分架橋モノマー、例えばビニルシランについては記載されていない。製造された変性ポリマーは、それらの結晶度が低いため、比較的軟質かつワックス質である。融点が低いため、接着ボンドの耐熱性が劣る。それらのポリマーは、本出願に意図される用途に不適切である。
【0013】
WO2006/069205には、なかでも遊離ラジカルグラフト重合法によって製造することができる、プロピレン含有量が50モル%を超え、アイソタクチックプロピレントライアドの割合が85%を超える低粘度ポリプロピレンポリマーを基礎とする金属含有量が少ない変性ポリオレフィンが記載されている。50ppm未満の記載の金属含有量は、複合「非メタロセン」触媒と、多くの欠点をもたらす、アルミニウムを含まない共触媒(例えばホウ酸塩共触媒)との併用を介してのみ達成され得る。非常に低含有量の低分子量種(1000ダルトン未満)を含むにもかかわらず、高い融合エンタルピーを有する、室温でキシレンおよびテトラヒドロフランの両方への溶解度が高いポリマーは、この方法で得られない。使用される基材ポリマーの材料特性により、得られた製品は、本出願に意図される使用分野に不適切である。
【0014】
WO2007/067243には、130〜165℃の反応温度において、100000g/モル未満の質量平均モル質量、157℃未満の融点および40000cPs未満の190℃における溶融粘度を有するポリプロピレン系ホモポリマーおよび/またはコポリマーに基づいて製造された、カルボン酸によって官能化され、高い、または非常に高いプロピレン含有量(75〜90モル%)を有するポリプロピレンポリマーが記載されている。例えばシランを基礎とする湿分架橋系については記載されていない。使用される基材ポリマーおよび使用されるグラフトモノマーにより、記載の製品は、本出願に意図される使用分野に不適切である。
【0015】
WO91/06580には、例えば成形品として架橋状態で使用することができるシラン変性不飽和非晶質ポリマーが記載されている。シラン変性ポリマーのさらなる使用例としては、溶融接着剤を含む接着剤組成物が挙げられる。不飽和基材ポリマーの例としては、ゴム様ポリマー、例えば、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム、ポリクロロプレンゴムおよびブチルゴムが挙げられる。挙げられているすべての基材ポリマーは、ゴム弾性(すなわち不十分な加工性)および/または他の不利な材料特性(例えば不十分な耐熱性)を有するため、溶融接着剤の用途に不適切である。
【0016】
ホットメルト接着剤におけるシラン変性ポリマーの使用も既知である。例えば、WO89/11513には、少なくとも1つのシラン変性またはシラングラフト半結晶性ポリマーを含む接着剤組成物が記載されている。挙げられている基材ポリマーは、特に、C2-6−α−オレフィンのホモポリマー、コポリマーおよびターポリマーであり、特にそれらがアタクチックポリプロピレンを含むときはアイソタクチックポリプロピレンポリマーおよびポリプロピレンのブレンドでもある。グラフト反応は、140〜250℃の温度で進行する。明確なポリマー微小構造を有さないアタクチックポリプロピレンは、本質的に軟化点が非常に低い[例えば、H.−G.Elias;Makromolekuele[Macromolecules];Vol.III;Wiley−VCH:Weinheim;2001参照]。WO89/11513に記載されている手順は、特に、非架橋状態(例えば、散布直後)の凝集性、接着性(接着剪断強度)および耐熱性に関して不満足な材料特性を有する製品をもたらす。接着剤組成物の粘度、溶融挙動および凝集力の調整は、因果的に、「より開かれた構造」をもたらすと言われる比較的長鎖のシランモノマー(ケイ素原子とポリマー鎖との間に3個以上の連結原子が存在する)の使用に帰される。比較的長鎖のシランモノマーの使用は、さらにグラフトポリマーの材料特性に悪影響を与える網鎖(すなわち2つの架橋部位の間のモノマーベース単位)のより高い重合度の結果として架橋を弱くするという点で不利である。
【0017】
DE19516457には、少なくとも50質量%のシラングラフトポリオレフィンおよびさらにカルボン酸グラフトポリオレフィンからなる架橋性接着剤組成物が記載されている。グラフトに対して特定される基材ポリマーは、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(エチレン−コ−メタクリレート)およびポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)である。使用される基材ポリマーおよび使用されるグラフトモノマーにより、記載の製品は、所望の使用分野に不適切である。
【0018】
EP1508579には、高プロピレン含有量の(シラン)変性結晶性ポリオレフィンワックスが記載されている。それらのワックス様特性およびそれに起因する低接着特性により、記載のポリマーは、意図する使用分野に不適切である。使用される基材ポリマーの材料特性により、当該要件による高度な官能化が達成可能でない。
【0019】
WO2007/001694には、官能化ポリマー(好ましくは、無水マレイン酸−グラフトプロピレンポリマー)を含む接着剤組成物が記載されている。使用される基材ポリマーは、高いアイソタクチック含有量および1.5〜40の多分散度を有するプロピレン(コ)ポリマー、すなわち、通常は多峰性分布のポリマーにおいてのみ達成可能である非常に広いモル質量分布を有する主として結晶性のポリマーである。好適に使用されるポリマーの質量平均モル質量は、5000000g/モルまで、すなわち、0.2g/10分のメルトインデックスの特定限界によっても表される、主として非常に高いモル質量または溶融粘度の範囲である。しかし、非常に広いモル質量分布、特に4を超えるモル質量分布のポリマーは、遊離ラジカルで開始されるグラフト反応において、ポリマー鎖上の官能基の非常に不均一な分布を示す。特に、グラフトポリマーは、反応結合を全く生じさせない(官能基がない場合)、または三次元網を形成することができない、官能基を有さない、または1つのみ、もしくは最大で2つの官能基を有する非常に高比率の短鎖を含む。これは、結局、不十分な接着性および比較的不十分な凝集性の双方をもたらす。非常に大きいモル質量および非常に高い溶融粘度を有するポリマーは、さらに、特に溶融法で処理するのが困難であり、大きな粘度差により、モノマーおよび遊離ラジカル開始剤との混和性が不十分であるため、不十分な特性のプロファイルを有する不均一な製品をもたらす。
【0020】
WO2007/002177には、ポリ(プロピレン)ランダムコポリマー、シンジオタクチック単位が豊富な官能化ポリオレフィンコポリマーおよび非官能化接着性樹脂を基礎とする接着剤組成物であって、ポリ(プロピレン)ランダムコポリマーが、0.5〜70J/gの融合エンタルピーおよび少なくとも75%の(より好ましくは90%を超える)比率のアイソタクチックプロピレントライアドを有し、使用される官能化(シンジオタクチック)ポリマーが、少なくとも0.1%の含有量の官能性モノマー単位を有し、5質量%未満の比率で接着剤組成物に存在する接着剤組成物が記載されている。記載のポリ(プロピレン)ランダムコポリマーは、1.5〜40の多分散度を有し、それは、多峰性モル質量分布、および複数の触媒種の同時的存在を示す。異なる強度のいくつかの溶融ピークを有する25〜105℃の特定の溶融範囲は、同じ方向において、105℃の特定範囲が、ポリプロピレンポリマー、特にアイソタクチックポリプロピレンポリマーにとって異常な低い値を有することを示している。非常に広いモル質量分布、特に5を超えるモル質量分布のポリマーは、遊離ラジカルで開始されるグラフト反応において、ポリマー鎖上の官能基の非常に不均一な分布を示す。特に、グラフトポリマーは、反応結合を全く生じさせない(官能基がない場合)、または三次元網を形成することができない、官能基を有さない、または1つのみ、もしくは最大で2つの官能基を有する非常に高比率の短鎖を含む。これは、結局、不十分な接着性および比較的不十分な凝集性の双方をもたらす。溶融範囲の特定の上限は、対応する結合の熱安定性を低くする。
【0021】
WO2007/008765には、接着剤原料としての低粘度シラングラフトポリ(エチレン−コ−1−オレフィン)ポリマーの使用が記載されている。変性に使用されるポリマーは、エチレン含有量が少なくとも50モル%である。1−オレフィンコモノマーとしては、多くの高級1−オレフィン、例えば、1−ヘキセンおよび1−オクテンだけでなく、いくつかの分枝鎖状1−オレフィン、例えば3−メチル−1−ペンテン、ならびに上記「1−オレフィン」の要件を満たさないため、全く異なる材料特性を有するポリマーをもたらす様々な他のモノマー、例えば、ジエン、スチレン等が挙げられる。ジエンポリマーは、特に、過酸化プロセスに使用されると、架橋し、ゲル粒子を形成する傾向がある。この傾向は、基材ポリマーにおけるビニル末端基の新規の存在によって強化される。シラン−グラフトポリマーは、43℃強(PAFT)および60℃強(SAFT)程度の非常に低い破壊温度を有する。高エチレン含有量のポリオレフィンの使用は、必然的に、ポリマーにおける長いエチレンブロックの存在を意味する。これは、結局、多くのプラスチック表面上の不十分な湿潤および接着特性をもたらすため、非常に多くの接着性の問題を最適に解決することができない。加えて、長いポリエチレン配列は、(他の用途のなかでもケーブル外装の製造に工業的に利用される)過酸化架橋の傾向があり、その結果としてゲル形成が不可避である。非グラフト基材ポリマーは、モル質量が比較的小さく、177℃における溶融粘度が50000cP以下である。モル質量(および溶融粘度)は、過酸化によって誘発されるグラフト反応における鎖開裂によって低下することが知られる。したがって、高い官能化率の対応するポリマーは、必然的に非常に小さいモル質量/溶融粘度を有し、多くの用途分野に不適切である。比較的低分子量の基材ポリマーを使用すると、官能化率がかなり低くなる。架橋ポリ(エチレン−コ−1−オレフィン)ポリマーを予め含む樹脂組成物も記載されている。当該ゴム様成分を含む組成物は、視覚的要件が厳しい用途に不適切であり(表面構造が劣る)、接着剤分野において慣例の多くの散布システム(例えば溶融噴霧)で処理することができない(散布ノズルの詰まり)。その用途として記載されている溶融接着剤は、基本的に、溶融粘度が低い。同様にグラフトに好適であると言われる結晶性および半結晶性ポリ(プロピレン−コ−1−オレフィン)ポリマーの使用も記載されている。これらは、プロピレン含有量が少なくとも50モル%であり、好ましくは同様に、(グラフト前およびグラフト後の)177℃における溶融粘度が50000cPを超えず、多分散度が1〜5である。ポリ(プロピレン−コ−1−オレフィン)ポリマーの例としては、VISTAMAXX、LICOCENE、Eastoflex、REXTACおよびVESTOPLAST製品群のポリマーが挙げられる。特殊な微小構造を有する半結晶性ポリオレフィンポリマーについては記載されていない。ポリ(プロピレン−コ−1−オレフィン)コポリマーの結晶度は、2〜60%(すなわち3〜100J/g)であると報告されているため、実質的に高結晶度の範囲である。これは、結局、ポリオレフィン表面の湿潤性を低下させ、かつ/または当該表面に対する接着性を低下させ、多くの用途分野を排除する。
【0022】
EP0827994には、湿分架橋接着剤原料または接着剤としてシラン−グラフト非晶質ポリ(アルファ−オレフィン)の使用が記載されている。使用される基材ポリマーは、アタクチックポリプロピレン(aPP)、アタクチックポリ(1−ブテン)、または好ましくは、C4−C10アルファ−オレフィン(0〜95質量%)、プロペン(5〜100質量%)およびエチレン(0〜20質量%)から形成されるコポリマーもしくはターポリマーである。実施例に記載されているシラン変性APAOは、軟化点が98℃であり、針入度が15*0.1mmであり、溶融粘度が6000mPa*sである。使用されるアタクチックポリオレフィンおよびAPAOは、モル質量が比較的小さく、結晶度が比較的低いため、変性すると、低官能価および低引張強度を有するため多くの用途に不適切である柔軟性の低い製品がもたらされる。
【0023】
オレフィン重合における触媒としてのメタロセン化合物の使用もある程度既知である。Kaminskyらは、塩化シクロペンタジエニルジルコニウム/メチルアルミノキサン(Cp2ZrCl2/MAO)触媒系が重合に極めて好適であることを示した(Adv.Organomet.Chem.1980,18,99−149)。このとき以来、重合反応において、メタロセン化合物とメチルアルミノキサン(MAO)との併用が普及した。例えば、プロペンのメタロセン触媒オレフィン重合に関する多くの文献、例えば、US6,121,377、EP584609、EP516018、WO2000/037514、WO2001/46274およびUS2004/0110910が存在する。
【0024】
プロペンおよびその高級相同体の重合において、異なる相対的立体異性体が形成され得る。構造的反復単位が巨大分子の主鎖において繋がっている規則性をタクチシティと呼ぶ。タクチシティを測定するために、ポリマー鎖のモノマー単位を考慮し、先行原子に対する各(擬性)不斉鎖原子の相対的構造を確認する。アイソタクチシティは、見いだされるすべての(擬性)不斉鎖原子の相対的構造が常に同じである状態、すなわち鎖がただ1つの構造的反復単位から形成されている状態を指す。シンジオタクチシティは、対照的に、連続的(擬性)不斉鎖原子の相対的構造が互いに反対である状態、すなわち鎖が2つの異なる交互構造的反復単位から形成されている状態を指す。アタクチックポリマーでは、最終的に、異なる構造的反復単位が鎖に沿ってランダムに配置されている。
【0025】
プロピレンポリマーの物理特性は、主として、巨大分子の構造に左右されるため、結晶度、その分子量および分子量分布にも左右され、使用される重合法および特に使用される重合触媒に影響され得る[R.Viewing,A.Schley,A.Schwarz(eds.);Kunststoff Handbuch[Plastics Handbook];vol.IV/"Polyolefine"[Polyolefins];C.Hanser Verlag,Munich 1969]。
【0026】
したがって、ポリプロピレンポリマーは、それらのタクチシティに基づいてアタクチック、アイソタクチックおよびシンジオタクチックポリマーに分類される。さらなる特殊な形としては、所謂ヘミアイソタクチックポリプロピレンポリマーおよび所謂ステレオブロックポリマーが挙げられる。後者は、ポリマー鎖の物理的架橋が生じて、異なる結晶性ポリマー領域を結合させるため、通常、熱可塑性エラストマーのような挙動を示す、アイソタクチックおよびアラクチックステレオブロックを有するポリマーである(A.F.Mason,G.W.Coates:"Macromolecular Engineering";Wiley−VCH,Weinheim;2007)。
【0027】
アタクチックポリプロピレンは、低軟化点、低密度、および良好な有機溶媒溶解性を有する。従来のアタクチックポリプロピレン(aPP)は、第1に広い溶融範囲をもたらし、第2に、移動する傾向がより強い、またはより弱い低分子量部分の比率を高くする非常に広い分子量分布を特徴とする。aPPは、約1MPa非常に低い引張強度を有する一方、2000%までの非常に高い破断伸度を有する(H.−G.Elias;Makromolekuele;vol.III;Wiley−VCH:Weinheim;2001)。軟化点が低いため、aPP配合物の熱安定性は相応に低く、使用分野が著しく制限される。純粋にアタクチックのポリプロピレンポリマーをメタロセン触媒によって製造して、非常に低分子量のポリマーも比較的高分子量のポリマーも製造することができる(L.Resconi:"Metallocene based Polyolefins";J.Scheirs,W.Kaminsky(eds.);J.Wiley&Sons;Weinheim;1999)。
【0028】
シンジオタクチックポリプロピレンは、透明性が高く、良好な熱安定性が注目に値し、溶融温度がアイソタクチックポリプロピレンの溶融温度を下回る。それは、高度な破壊抵抗性とともに中程度の破断伸度を有する(A.F.Mason,G.W.Coates,"Macromolecular Engineering";Wiley−VCH,Weinheim;2007)。短所は、溶融物からの結晶化が遅いことであり、それは、多くの場合に観察される。物理的な環により、同等のモル質量を有するシンジオタクチックポリプロピレンの溶融粘度は、アイソタクチックポリプロピレンのそれより有意に高い。すなわち、有意に低いモル質量で同等の溶融粘度を達成することが可能である。シンジオタクチックおよびアイソタクチックポリプロピレンは、特定のモル質量から、不混和性である。対応するポリマーブレンドは、相分離を生じる傾向がある。シンジオタクチックポリプロピレンと他のポリオレフィンとのポリマーブレンドは、アイソタクチックポリプロピレンを含むブレンドより破断伸度が有意に大きい(T.Shiomura,N.Uchikawa,T.Asanuma,R.Sugimoto,I.Fujio,S.Kimura,S.Harima,M.Akiyama,M.Kohno,N.Inoue:"Metallocene based Polyolefins";J.Scheirs,W.Kaminsky(eds.);J.Willey&Sons;Weinheim;1999)。従来の不均一チーグラー・ナッタ触媒は、シンジオタクチックポリプロピレンを製造することができない。
【0029】
アイソタクチックポリプロピレンは、溶融温度が高く、引張強度が良好であることを特徴とする。100%アイソタクチックポリプロピレンでは、算定溶融温度が185℃であり、溶融エンタルピーが約207J/gである(J.Bicerano;J.M.S.;Rev.Macromol.Chem.Phys.;C38(1998);391ff)。しかし、ホモポリマーとして、それは、低温安定性が比較的低く、脆性が高く、ヒートシール性または溶接性が不十分である。引張(破壊)強度は約30MPaであり、破断伸びは実質的に起こらない。エチレンおよび1−ブテンとの共重合または三元重合によって材料特性を向上させることができ、コモノマー含有量は、エチレンとのコポリマーでは典型的には8質量%未満であり、エチレンおよび1−ブテンとのターポリマーでは12%未満である(H.−G.Elias;Makromolekuele;vol.III;Wiley−VCH;Weinheim;2001)。同じMFR(溶融流量)では、従来の不均一チーグラー・ナッタ触媒によって製造されたアイソタクチックポリプロピレンは、メタロセン触媒によって製造されたポリプロピレンより有意に低い固有粘度を有する。メタロセン系ポリマーの耐衝撃性は、広いモル質量範囲内で、チーグラー・ナッタ触媒の耐衝撃性を上回る(W.Spaleck:"Metallocene based Polyolefin";J.Scheirs,W.Kaminsky(eds.);J.Wiley&Sons;Weinheim;1999)。
【0030】
ポリプロピレンの溶解性は、分子量およびその結晶度の両方に左右されるため、溶解試験を用いて、対応する分別を実施することができる[A.Lehtinen;Macromol.Chem.Phys.;195(1994);1539ff]。
【0031】
ポリプロピレンポリマーの芳香族溶媒および/またはエーテルへの溶解性に関しては、多くの科学論文の文献が存在する。例えば、キシレン可溶性成分の比率は、メタロセン触媒によって得られたアイソタクチックポリ(プロピレン)ホモポリマーでは1質量%を有意に下回ることが判明した。エチレンとのランダムコポリマーの場合は、エチレン含有量に応じて、キシレン可溶部分が5質量%以下であることが判明した(W.Spaleck:"Metallocene based Polyolefins";J.Scheirs,W.Kaminsky(eds.);J.Wiley&Sons;Weinheim;1999)。
【0032】
エーテルを用いた抽出によって、非晶質アタクチック部分[J.Boor;"Ziegler−Natta Catalysts and Polymerization";Academic Press;New York;1979]および低結晶度の低分子量部分[G.Natta,I.Pasquon,A.Zambelli,G.Gatti;Makromol.Chem.;70(1964);191ff]をポリプロピレンポリマーから得ることが可能であることがある程度既知である。高結晶性アイソタクチックポリマーは、対照的に、特に高温においても、脂肪族溶媒およびエーテルの両方に対する溶解性が非常に低い[B.A.Krentsel,Y.V.Kissin,V.I.Kleiner,L.L.Stotskaya;"Polymers and Copolymers of higher 1−Olefins";p.19/20;Hanser Publ.;Munich;1997]。可溶性ポリマー部分は、一般に、結晶性であったとしても非常に低い結晶度を有し、融点を示さない[Y.V.Kissin;"Isospecific polymerization of olefins";Springer Verlag;New York;1985]。テトラヒドロフラン可溶性ポリプロピレンオリゴマーは、1500g/モルを有意に下回る非常に小さい数平均モル質量を有する[H.El Mansouri,N.Yagoubi,D.Scholler,A.Feigenbaum,D.Ferrier;J.Appl.Polym.Sci.;71(1999);371ff]。
【0033】
異なるポリマータイプは、材料特性が有意に異なる。アイソタクチック性またはシンジオタクチック性が高いポリマーの結晶度は、それらの次数が大きいため非常に高い。アタクチックポリマーは、対照的に、非晶質部分がより大きいため、結晶度がより低い。高結晶度のポリマーは、特にホットメルト接着剤の分野において望ましくない多くの材料特性を示す。例えば、低分子量のポリマーにおける高結晶化度は、場合によっては1秒未満の開放時間(「開放時間」=接着ボンドさせる部分を互いに結合させることができる時間間隔)で非常に高速の結晶化をもたらす。散布の場合(例えば噴霧によるノズル散布の場合)は、これは、温度変化が非常に小さい場合であっても、使用する散布装置を詰まらせるため、処理安定性が非常に悪くなる。さらなる要因は、散布後に接着ボンドを接合させることができる時間間隔が極めて短いことである。室温における高結晶性ポリマーは、さらに硬質および脆弱であり、柔軟性が非常に低く、それも同様に接着ボンドの場合に望ましくない。さらなる要因は、個々の点(導入部位)および導管システム全体における高結晶性ポリマーの溶融に極めて大量のエネルギーが必要とされるため、経済的影響とともに、加工性に対しても悪影響を及ぼすことである。また、高結晶ポリマーの場合は、融点より下で自然(即時)固化(示査熱測定(DSC)による分析では、第2の加熱において鋭い溶融ピークによって特徴づけられる)が生じ、それにより、当該ポリマーまたは当該ポリマーに基づいて製造された製品の加工が不可能になるか、または著しく複雑になる。
【0034】
メタロセン触媒の使用によるアイソタクチックプロピレン部分を有するポリ−1−オレフィンの製造は、既知である。
【0035】
例えば、EP0384264には、プロピレン含有量が80〜99.75質量%のポリプロピレンワックスを製造するための、大いに異なる架橋要素を有する置換および非置換ビスインデニルジルコノセンが記載されている。記載されているアイソタクチック結晶性ワックスは、それらの高結晶性、それらの硬度および配合物における不十分な接着性能により、本出願に意図される用途に不適切である。遊離ラジカルグラフト重合を使用する変性は、好ましくない鎖の幾何学的形状により、著しいポリマー分解と同時に低いグラフト速度をもたらす。
【0036】
EP480390には、タクチシティが高く、モル質量が大きいポリオレフィンを製造するための方法であって、メタロセン触媒および共触媒で構成された特別に調整された系を選択することで、芳香族溶媒の使用を省くことができる方法が記載されている。その実施例によれば、アイソタクチックポリマーおよびシンジオタクチックポリマーの両方が得られ、そのアイソタクチシティ指数は、90〜99%の範囲であり、そのシンジオタクチシティ指数は、96%である。高比率のアタクチックトライアドを有するポリマー、ならびに特定の比のシンジオタクチック構造要素対アイソタクチックおよびアタクチック構造要素を有するポリマーについては記載されていない。遊離ラジカルグラフト重合を使用する記載のポリマーの変性も同様に、好ましくない鎖の幾何学的形状により、著しいポリマー分解と同時に低いグラフト速度をもたらす。
【0037】
EP584609には、アタクチックおよびアイソタクチックポリオレフィンの混合物を製造することを可能にする置換または非置換ビスインデニルジルコノセンのラク/メソ混合物が記載されている。メタロセン触媒のメソ系は、非規則で不明確な立体構造を有すると同時に、触媒活性が非常に低く、重合結果の再現性が劣るポリマーを製造することが知られている。遊離ラジカルグラフト重合に当該製品を使用すると、特に材料の凝集性に関して材料特性が不十分な材料が得られることになる。
【0038】
EP1263815には、それらの流体学的挙動により、接着剤として好適であると言われるポリ(1−オレフィン)コポリマーを基礎とする実質的に非晶質のポリマー、およびその製造方法が開示されている。しかし、長きにわたって知られているように、非晶質ポリマーは、非常に不均衡な材料挙動を有する。特に、当該ポリマーの凝集性は、接着性に対して不十分であるため、対応する接着ボンドにおける接着の凝集破壊が頻繁に生じる。
【0039】
WO01/46278には、メタロセン触媒によって得られる、主として非晶質の特性を有する1−オレフィンコポリマーが記載されている。溶融接着剤としてのその使用は、接着性樹脂を添加するとしても、その必要な添加量を最小限にすると言われる。該コポリマーは、A:60〜94%のC3−C61−オレフィン、B:6〜40モル%の1つ以上のC4−C101−オレフィン、および場合によってC:0〜10モル%の別の不飽和モノマー(好ましくはエチレン)からなる。コモノマーBのランダム分布は、ごくわずかな領域のみが結晶化に必要な最小ブロック長を達成するため、ポリマーの結晶度を特に著しく低下させる(例えば、S.Davison,G.L.Taylor;Br.Polym.J.:4(1972);65ff参照)。これも、とりわけ、記載されているポリマーの融点が低いことから明らかである。実質的に非晶質のポリマーは、さらに、非常に不均衡な材料特性を有する。特に、当該ポリマーの凝集性は、接着性に対して明らかに不十分であるため、対応する接着ボンドにおける接着の凝集破壊が頻繁に生じる。低融点の当該ポリマーは、また、ボンドにおける耐熱性を不十分にするため、多くの用途分野を排除する。4個を超える炭素原子を有するコモノマーは、さらに非常に高価であるため、それらの用途分野およびそこで達成される製品価格に関して製品を不経済なものにする。特に、芳香族溶媒中での重合が好ましく、使用される共触媒は脂肪族溶媒に溶解しないため、芳香族化合物の排除は、記載の製造方法を介して保証するのが困難である。製造されるポリマーの融点を上回る(場合によっては、はるかに上回る)高い反応温度は、重合法を経済的に実施することを困難にする非常に高い反応圧力を招く。さらなる要因は、多くの発明のモノマーが、指定される処理枠(TR40〜250℃、pR10〜3000バール)の大部分において超臨界状態であるため、プロセスを制御するために高度な技術的複雑さが必要とされ、さらにプロセスの経済的実用性が制限される。
【0040】
引用された文献に記載されている、エチレンおよび/またはより高級なオレフィンを有するアイソタクチックまたはシンジオタクチック性の高いポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマーは、溶融接着剤または接着剤原料としての使用に不適切である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】EP0004034
【特許文献2】DE1963571
【特許文献3】DE2353783
【特許文献4】DE2406844
【特許文献5】DE2554525
【特許文献6】DE2642927
【特許文献7】US3,075,948
【特許文献8】EP0260103
【特許文献9】DE4000695
【特許文献10】JP2003−002930
【特許文献11】WO03/070786
【特許文献12】WO2006/069205
【特許文献13】WO2007/067243
【特許文献14】WO91/06580
【特許文献15】WO89/11513
【特許文献16】WO89/11513
【特許文献17】DE19516457
【特許文献18】EP1508579
【特許文献19】WO2007/001694
【特許文献20】WO2007/002177
【特許文献21】WO2007/008765
【特許文献22】EP0827994
【特許文献23】US6,121,377
【特許文献24】EP584609
【特許文献25】EP516018
【特許文献26】WO2000/037514
【特許文献27】WO2001/46274
【特許文献28】US2004/0110910
【特許文献29】EP0384264
【特許文献30】EP480390
【特許文献31】EP584609
【特許文献32】EP1263815
【特許文献33】WO01/46278
【非特許文献】
【0042】
【非特許文献1】H.−G.Elias;Makromolekuele[Macromolecules];Vol.III;Wiley−VCH:Weinheim;2001
【非特許文献2】Adv.Organomet.Chem.1980,18,99−149
【非特許文献3】R.Viewing,A.Schley,A.Schwarz(eds.);Kunststoff Handbuch[Plastics Handbook];vol.IV/"Polyolefine"[Polyolefins];C.Hanser Verlag,Munich 1969
【非特許文献4】A.F.Mason,G.W.Coates:"Macromolecular Engineering";Wiley−VCH,Weinheim;2007
【非特許文献5】H.−G.Elias;Makromolekuele;vol.III;Wiley−VCH:Weinheim;2001
【非特許文献6】L.Resconi:"Metallocene based Polyolefins";J.Scheirs,W.Kaminsky(eds.);J.Wiley&Sons;Weinheim;1999
【非特許文献7】A.F.Mason,G.W.Coates,"Macromolecular Engineering";Wiley−VCH,Weinheim;2007
【非特許文献8】T.Shiomura,N.Uchikawa,T.Asanuma,R.Sugimoto,I.Fujio,S.Kimura,S.Harima,M.Akiyama,M.Kohno,N.Inoue:"Metallocene based Polyolefins";J.Scheirs,W.Kaminsky(eds.);J.Willey&Sons;Weinheim;1999
【非特許文献9】J.Bicerano;J.M.S.;Rev.Macromol.Chem.Phys.;C38(1998);391ff
【非特許文献10】H.−G.Elias;Makromolekuele;vol.III;Wiley−VCH;Weinheim;2001
【非特許文献11】W.Spaleck:"Metallocene based Polyolefin";J.Scheirs,W.Kaminsky(eds.);J.Wiley&Sons;Weinheim;1999)
【非特許文献12】A.Lehtinen;Macromol.Chem.Phys.;195(1994);1539ff
【非特許文献13】W.Spaleck:"Metallocene based Polyolefins";J.Scheirs,W.Kaminsky(eds.);J.Wiley&Sons;Weinheim;1999
【非特許文献14】J.Boor;"Ziegler−Natta Catalysts and Polymerization";Academic Press;New York;1979
【非特許文献15】G.Natta,I.Pasquon,A.Zambelli,G.Gatti;Makromol.Chem.;70(1964);191ff
【非特許文献16】B.A.Krentsel,Y.V.Kissin,V.I.Kleiner,L.L.Stotskaya;"Polymers and Copolymers of higher 1−Olefins";p.19/20;Hanser Publ.;Munich;1997
【非特許文献17】Y.V.Kissin;"Isospecific polymerization of olefins";Springer Verlag;New York;1985
【非特許文献18】H.El Mansouri,N.Yagoubi,D.Scholler,A.Feigenbaum,D.Ferrier;J.Appl.Polym.Sci.;71(1999);371ff
【非特許文献19】S.Davison,G.L.Taylor;Br.Polym.J.:4(1972);65ff
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
したがって、材料特性が向上した官能化ポリオレフィン、特に、遊離ラジカル官能化におけるそれらの明確な鎖構造により、高度な官能化と同時に適度なポリマー分解を可能にする、明確なポリマー構造を有する非官能化ポリオレフィンに基づいて製造される官能化ポリオレフィンが必要であった。それと同時に、官能化ポリオレフィンは、高結晶性ポリマー系の短所を有することなく、高凝集材料挙動とともに良好な接着特性をさらに示すべきである。驚いたことに、本発明による官能化ポリオレフィンは、この複雑な要件のプロファイルを満たし、特に、接着剤における使用または接着剤としての使用に好適であることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0044】
したがって、本発明は、第1に、20質量%以下のエチレン、50〜98質量%の、もしくは20質量%以下のプロピレンおよび/または70〜100質量%の、もしくは20質量%以下の1−ブテンまたはその他の直鎖状1−オレフィン(比率の合計は100質量%である)を含む非官能化ポリオレフィンを基礎とする変性ポリオレフィンであって、(発明のポリマーがプロペントライアドを含む場合に)プロペントライアドに対する13C NMRによって測定されたトライアド分布が、75〜98質量%のアイソタクチック含有量、20質量%以下のシンジオタクチック含有量および20質量%未満のアタクチック含有量を有し、かつ/または(ポリマーがブテントライアドを含む場合に)1−ブテントライアドに対する13C NMRによって測定されたトライアド分布が、10〜98質量%のアイソタクチック含有量および1〜90質量%のアタクチック含有量および25質量%以下のシンジオタクチック含有量を有し、プロペンおよび1−ブテンのアイソタクチック、シンジオタクチックおよびアタクチックトライアドが、それぞれ合計100%になり、非官能化ポリマーが、メタロセン触媒、および非官能化ポリオレフィンにグラフトされた1つ以上の官能基を有するモノマーを使用して、好ましくは遊離ラジカルグラフト重合によって製造された変性ポリオレフィンを提供する。官能化ポリオレフィンは、特に、接着剤として、かつ/または接着剤に使用される。
【0045】
一般に、チーグラー・ナッタ触媒(例えば、支持または独立TiCl3*AlCl3触媒)に基づいて製造されたポリオレフィンとメタロセン触媒に基づいて製造されたポリオレフィンとの間には有意な差がある。この1つの効果は、本発明に従って使用される非変性ポリオレフィンを従来のチーグラー・ナッタ触媒によって得ることができないことである。主な差異は、不均一な触媒構造(「多点」触媒)により、チーグラー・ナッタポリオレフィンの場合の方がメタロセン系ポリオレフィンの場合より有意に小さい(コ)ポリマーの分子および化学的均一性である。特に、3未満の多分散度およびポリマー鎖上のコモノマー(特に高反応性のコモノマー、例えばエチレン)の同時ランダム分布をチーグラー・ナッタ触媒によって達成することができない。結果として、チーグラー・ナッタポリオレフィンの場合における低分子量種の比率は、一般に、メタロセンポリオレフィンの場合より有意に大きい。
【0046】
発明の官能化ポリオレフィンは、たいていの一般的材料への接着性が良好であるとともに、明確なポリマー鎖構造により材料凝集性が良好であり、後者は、官能基の先行反応(例えば架橋反応)がなくても、発明の変性ポリオレフィンを含む接着剤配合物の初期強度を十分なものにするという特定の利点を有する。発明の非官能化ポリマーを使用する遊離ラジカルグラフト重合におけるグラフト反応(官能化)と鎖崩壊との均衡化された比により、例えば、高い反応性と同時に高い溶融粘度を有する官能化ポリオレフィンをもたらす、高度な官能化と同時に大きなモル質量が確保される。発明の官能化ポリオレフィンを接着剤、特に溶融接着剤に使用することが特に有利であり、その物理特性は、このように、発明の官能化ポリオレフィンの有利な材料特性によって形づくられる。
【0047】
特に、発明の官能化ポリマーは、本発明における後に記載される方法によって、発明の非官能化ポリマーを使用して得られる。発明の官能化ポリマーを製造するための本発明による方法の使用は、特に好適であり、所望の官能化ポリマーを簡単に得ることを可能にする。
【0048】
発明の官能化ポリオレフィンの明確な特性についての基本的特徴は、官能化に使用されるポリマー鎖の特定の微小構造、そのポリマー組成、および/または使用される基材ポリマーの特定の(微視的な)材料特性である。
【0049】
発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリオレフィンにおいて、(ポリマーがプロペントライアドを含む場合に)プロペントライアドに対する13C NMRによって測定されたトライアド分布は、好ましくはプロペントライアドに対してアイソタクチック含有量が75〜98質量%、好ましくは77〜97質量%、より好ましくは79〜96質量%、特に80〜95質量%である。
【0050】
発明の非官能ポリマーおよびそれらから製造される官能化ポリマーは、高硬度および脆弱性を伴わずに高度な凝集性を有すると同時に、グラフトに並行して進行する鎖開裂(「β−切断」=副反応)の制限によって、遊離ラジカル官能化における高度なグラフトを達成することが可能である効果を達成する。
【0051】
同様に好ましくは、(ポリマーがプロペントライアドを含む場合に)発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリオレフィンにおけるプロペントライアドに対する13C NMRによって測定されたトライアド分布は、プロペントライアドに対してアタクチック含有量が20質量%未満、好ましくは1〜18質量%、より好ましくは2〜16質量%、特に3〜15質量%である。
【0052】
これは、発明の非官能化ポリマーおよびそれから製造される官能化ポリマーの両方が、顕著な凝集材料特性に加えて、高接着性および十分な柔軟性も有するという効果を達成する。
【0053】
加えて、(ポリマーがプロペントライアドを含む場合に)発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリオレフィンにおけるプロペントライアドに対する13C NMRによって測定されたトライアド分布は、好ましくは、プロペントライアドに対してシンジオタクチック含有量が20質量%を超えず、好ましくは1〜18質量%、より好ましくは2〜16質量%、特に3〜15質量%である。
【0054】
これは、発明の非官能化ポリマーおよびそれから製造される官能化ポリマーの両方が、接着および凝集材料特性に加えて、高い弾力性を有し、溶融物を塗布したときに最適な平滑性を示すという効果を達成する。さらなる要因は、特にフィルム接着の分野で所望される透明性の向上である。
【0055】
発明の官能化ポリマーの特に好適な実施形態において、(ポリマーがアイソタクチックおよびアタクチックプロペントライアドを含む場合に)製造に使用される非官能化ポリマーのプロペントライアドに対して13C NMRによって測定されたトライアド分布は、アイソタクチック対アタクチックプロペントライアドの比率1:0.005〜1:0.5の範囲、好ましくは1:0.01〜1:0.45の範囲、より好ましくは1:0.015〜1:0.40の範囲、特に好ましくは1:0.02〜1:0.37である。これは、発明の非官能化ポリマーおよびそれらから製造された官能化ポリマーの両方が、顕著な凝集性および接着材料特性の最適な均衡を有する効果を達成する。
【0056】
特に好ましくは、(ポリマーが1−ブテントライアドを含む場合に)発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリオレフィンにおける1−ブテントライアドに対する13C NMRによって測定されたトライアド分布は、1−ブテントライアドに対してシンジオタクチック含有量が25質量%を超えず、好ましくは1〜22質量%、より好ましくは2〜20質量%、特に3〜19質量%であり、0質量%のシンジオタクチック1−ブテントライアドが存在する場合、ポリマーは、5〜85質量%の範囲のアタクチックトライアドを有する。これは、発明の非官能化ポリマーおよびそれらから製造される官能化ポリマー(後者は特に非架橋状態である)の両方が、良好な柔軟性に加えて、ポリオレフィン表面に最適な濡れ挙動を有するとともに、溶融物が塗布されたときに最適の平滑性を示す効果を発揮する。さらなる要因は、特にフィルム結合の分野で所望される透明性の向上である。
【0057】
さらに好ましくは、(ポリマーが1−ブテントライアドを含む場合に)発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリオレフィンにおける1−ブテントライアドに対する13C NMRによって測定されたトライアド分布は、1−ブテントライアドに対してアタクチック含有量が1〜90質量%、好ましくは2〜85質量%、より好ましくは3〜82質量%、特に5〜80質量%である。
【0058】
これは、発明の官能化ポリマーが接着剤に、かつ/または接着剤として使用される場合、緩慢化された結晶化を通じてより長い開放時間を達成することができるため、硬化挙動を既存の要件に併せて厳密に調整することができる効果を達成する。
【0059】
さらに好ましくは、(ポリマーが1−ブテントライアドを含む場合に)発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリオレフィンにおける1−ブテントライアドに対する13C NMRによって測定されたトライアド分布は、1−ブテントライアドに対してアイソタクチック含有量が10〜98質量%、好ましくは15〜97質量%、より好ましくは17〜96質量%、特に19〜95質量%である。
【0060】
さらに好ましくは、発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリオレフィンの場合、13C NMRによって測定されたトライアド分布は、それらが15質量%までのエチレン含有量のポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−1−ブテン)ターポリマーである場合は、エチレン含有量に対するエチレントライアドの比率が6質量%未満、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは0.6〜4質量%、特に好ましくは0.7〜3.5質量%であり、エチレンモノマーを基礎とするランダム導入が支配的であるが、特定の比率のエチレンブロックが存在する。これは、発明の非官能化および官能化ポリマーが、比較的硬いアイソタクチック構造単位および個々の「分断モノマーユニット」に加えて、一方ではサンプル全体の結晶性に対して固有の貢献をせず、他方では均衡化された材料挙動(剛性および柔軟性)を確保する柔軟なエチレンブロックをも含む効果を達成する。
【0061】
発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリオレフィンは、好ましくは20質量%以下のエチレン、好ましくは18質量%以下のエチレン、より好ましくは15質量%以下のエチレンを含む。
【0062】
本発明の好適な実施形態において、発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリオレフィンは、100質量%の1−ブテンを含む。
【0063】
本発明のさらなる好適な実施形態において、発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリマーは、特に、エチレン、プロピレンおよび/または1−ブテンのコポリマーであり、該コポリマーは、20質量%以下のエチレン、好ましくは18質量%以下のエチレン、より好ましくは15質量%以下のエチレンを含む。プロピレンまたはブテン含有量については、いくつかの代替的な可能性がある。プロピレン含有量は、50〜98質量%、好ましくは55〜95質量%、特に好ましくは60〜90質量%の範囲であり、またはプロピレン含有量は20質量%を超えず、好ましくは1〜18質量%の範囲、より好ましくは2〜16質量%の範囲である。ブテン含有量は、70〜100質量%、好ましくは75〜96質量%の範囲であり、または25質量%を超えず、好ましくは1〜22質量%の範囲、より好ましくは2〜20質量%の範囲である。全体的に、記載されているすべてのコモノマーの含有量は、合計100質量%になるはずである。すなわち、発明のポリマーは、比較的プロピレンまたはブテンが豊富であり、要望に応じて記載のモノマーを互いに、すなわちプロピレンとブテンおよび/またはエチレンとを組み合わせることができる。
【0064】
より好ましくは、発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリマーは、20質量%以下のエチレン含有量を有するポリ(エチレン−コ−プロピレン)コポリマー、15質量%以下のエチレン含有量を有するポリ(エチレン−コ−1−ブテン)コポリマー、2〜20質量%または50〜98質量%のプロピレン含有量を有するポリ(プロピレン−コ−1−ブテン)コポリマー、または20質量%以下のエチレン含有量を有するポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−1−ブテン)ターポリマーである。
【0065】
本発明の特定の実施形態において、本発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化コポリマーは、プロピレン、1−ブテンおよび/またはエチレン、ならびに3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ヘキセン、3−メチル−1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン、6−メチル−1−ヘプテンを含む群から選択される分枝鎖状オレフィンを含み、コポリマーにおける分枝鎖状1−オレフィンの最大比率は、50質量%を超えず、好ましくは40質量%を超えず、より好ましくは30質量%以下である。
【0066】
ターポリマーの同様に好適な場合について、本発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ターポリマーは、特に、エチレン、プロピレンおよび1−ブテンであり、3つのコモノマーの1つは、含有量が少なくとも50質量%であり、2つの他のモノマーは、併せて50質量%の含有量を構成する。ターポリマーは、エチレンの含有量が20質量%を超えず、好ましくは18質量%を超えず、より好ましくは15質量%以下である。
【0067】
上記コポリマーおよびターポリマーについては、以下の半組合せが特に好適である。ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−1−ブテン)、ポリ(プロピレン−コ−1−ブテン)、ポリ(プロピレン−コ−3−メチル−1−ブテン)、ポリ(1−ブテン−コ−3−メチル−1−ブテン)、ポリ(プロピレン−コ−3−メチル−1−ヘキセン)、ポリ(プロピレン−コ−3−メチル−1−ヘプテン)、ポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−1−ブテン)およびポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−3−メチル−1−ブテン)。
【0068】
発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリマーは、好ましくは、粉末の形、ペレットの形または顆粒の形である。溶融した非官能化ポリマーをそのままさらに処理して、発明の官能化ポリマーを得ることも可能である。
【0069】
汎用的な較正を含む高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定された、発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリマーのモル質量分布は、一峰性または多峰性であってよく、その場合、二峰分布ポリマーの場合は狭いモル質量分布も存在する。狭いモル質量分布を有するポリマーは、材料特性の変化が小さいことが注目に値する。例えば、それらは、極めて明確な溶融および硬化挙動を有する。モル質量分布が非常に狭い場合は、特に、比較的長い開放時間が必要とされ、かつ/または鋭い溶融ピークが生じてはならない場合(接合時間が長いか、または塗布温度が変化する場合)に、二峰分布ポリマーでも明確な溶融/硬化挙動を達成することができる。
【0070】
加えて、発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリマーは、汎用的な較正を含む高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定された多分散度(数平均と質量平均モル質量の比)が1.4〜4、好ましくは1.5〜3.5である。この範囲は、特に接着剤の分野での使用に特に有利である。ポリマー、特にポリオレフィンにおける結晶化または溶融挙動は、モル質量の関数、および直鎖状ポリオレフィンの場合は特に鎖長の関数であることが知られる。例えば、ホットメルト接着剤の分野で現在使用されている従来の非晶質ポリオレフィンだけでなく、特許文献による半結晶性ポリオレフィンから、4〜6(またはそれ以上)の多分散度は、特に物理的硬化/結晶化の遅延をもたらすことが知られる。後者は、ポリマーが、結果として、ときには極めて長い開放時間(成分の結晶化が(まだ)不完全であることにより、ポリマーの粘着力が強い時間)を有するため、結合品の迅速なさらなる処理を必要とする分野に使用されるホットメルト接着剤に特に不利である。当該ポリマーは、高速法および/または装置での処理に不適切である。挙げられている系のさらなる短所は、モル質量分布の広いポリマーが、記載の結晶化不十分により、同様に概して接着剤に余り望ましくない不十分な引張強度をもしばしば示すことである。一般に、広いモル質量分布は、均一なポリマーでなく、その代わりにポリマー混合物(またはポリマーブレンド)が存在し、それにより材料特性が制限される徴である。
【0071】
汎用的な較正を含む高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定された、発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリマーの質量平均モル質量は、典型的には少なくとも10000g/モル、好ましくは少なくとも20000g/モル、より好ましくは少なくとも30000g/モル、特に好ましくは少なくとも40000g/モルである。これは、発明の非変性ポリオレフィンから製造される変性ポリオレフィンが、全体的に生じるポリマー分解にかかわらず、官能化(=β−切断=モル質量分解)中に十分な凝集性を有するという利点を有する。特定の好適な実施形態において、変性ポリオレフィンの製造に使用される非変性ポリオレフィンは、質量平均モル質量が、50000〜750000g/モル、好ましくは55000〜700000g/モル、より好ましくは60000〜650000g/モル、特に好ましくは65000〜600000g/モルであり、さらなる好適な範囲は、65000〜95000g/モル、75000〜120000g/モル、100000〜150000g/モル、150000〜200000g/モルおよび175000〜275000g/モルである。
【0072】
加えて、発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリマーは、汎用的な較正を含む高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定されたALPHA値が、0.5〜1.15の範囲、好ましくは0.55〜1.10の範囲、より好ましくは0.57〜1.07の範囲、特に好ましくは0.58〜1.05の範囲である点で注目に値する。したがって、発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリマーは、分岐傾向が低いことが注目に値する。特に、それらは、好ましくは、長鎖分枝を含まない。それらの分子構造により、分枝鎖状ポリマーは、極めて複雑な流動学的特性を示し、それによって加工性が低下する。さらなる要因は、高度に分枝したポリオレフィン(特に高エチレン含有量のポリオレフィン)が、この場合に明らかな理由により望ましくない過酸化架橋を生じる傾向があることである。
【0073】
特に好適な実施形態において、発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリマーについて汎用的な較正を含む高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定されたALPHA値は、0.55〜0.80の範囲、好ましくは0.57〜0.78の範囲、特に好ましくは0.6〜0.75の範囲であり、同様に汎用的な較正を含む高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定された発明の非変性ポリマーの多分散度は、同時に、3を超えず、好ましくは2.9を超えず、より好ましくは2.8を超えず、特に好ましくは2.7以下である。
【0074】
さらなる特に好適な実施形態において、発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリマーについて汎用的な較正を含む高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定されたALPHA値は、0.7〜1.1の範囲、好ましくは0.75〜1.08の範囲、より好ましくは0.8〜1.05の範囲、特に好ましくは0.82〜1.04の範囲であり、同様に汎用的な較正を含む高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定された発明の非変性ポリマーの多分散度は、同時に、2.6を超えず、好ましくは2.5を超えず、より好ましくは2.3を超えず、特に好ましくは2.0以下である。
【0075】
好ましくは、発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリマーについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析で確認された500〜1000ダルトンの分子量の低分子量成分の比率は、0.75質量%を超えず、好ましくは0.70質量%を超えず、より好ましくは0.65質量%を超えず、特に0.60質量%以下である。最も好ましくは、記載の方法は、500〜1000ダルトンの分子量の成分を検出することができない。これは、発明の非変性ポリマーが、例えば、表面または界面に移動する傾向があるポリマー成分を含まないという効果を達成する。鎖開裂(β切断)は、遊離ラジカル官能化の場合にも生じ得るため、低分子量ポリマー鎖を形成することも可能である。官能化ポリマーにおける低分子量ポリマー鎖の全濃度は、特に、低分子量成分が官能化に使用される非変性ポリオレフィンに既に存在していた場合に臨界値に達する。
【0076】
さらに好ましくは、発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリマーについて汎用的な較正を含む高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析で確認された500ダルトン未満の分子量の低分子量成分の比率は、0.4質量%を超えず、好ましくは0.35質量%を超えず、より好ましくは0.3質量%を超えず、特に0.25質量%以下である。最も好ましくは、記載の方法は、500ダルトン未満の分子量の成分を検出することができない。鎖開裂(β切断)は、遊離ラジカル官能化の場合にも生じ得るため、低分子量ポリマー鎖を形成することも可能である。官能化ポリマーにおける低分子量ポリマー鎖の全濃度は、特に、低分子量成分が官能化に使用される非変性ポリオレフィンに既に存在していた場合に臨界値に達する。発明の変性ポリオレフィンの製造に使用される非変性ポリオレフィンに500ダルトン未満のモル質量の低分子量化合物が存在する場合、遊離ラジカル官能化において気体分解生成物が多量に形成し、それによって、(例えば発泡による)製造法が著しく複雑になる危険性がある。
【0077】
特定の好適な実施形態において、発明の官能化ポリオレフィンの製造に使用される非官能化ポリオレフィンは、汎用的な較正を含むht−GPCによって測定された1000〜500ダルトンの分子量のポリマーの含有量が、0.2質量%未満、好ましくは0.15質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、特に好ましくは0.075質量%未満であると同時に、同様に汎用的な較正を含むht−GPCによって測定された500ダルトン未満の分子量のポリマーの含有量が0.2質量%未満、好ましくは0.15質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、特に好ましくは0.075質量%未満である。
【0078】
さらなる特に好適な実施形態において、発明の官能化ポリオレフィンの製造に使用される非官能化ポリオレフィンは、汎用的な較正を含むht−GPCによって検出可能な1000〜500ダルトンの分子量のポリマー含有量が0であると同時に、500ダルトン未満の分子量の含有量を記載のht−GPC法で検出することができない。
【0079】
加えて、発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリマーは、190℃の温度、1%以下の変形率および1Hzの測定周波数において、複合溶融粘度が500〜3000000mPa*s、好ましくは1000〜2750000mPa*s、より好ましくは5000〜2500000mPa*s、特に好ましくは10000〜2250000mPa*sである点で注目に値し、12000〜45000mPa*s、40000〜90000mPa*s、80000〜150000mPa*s、100000〜600000mPa*s、300000〜1500000mPa*sの範囲の溶融粘度がさらに好ましい。これは、発明の非官能化ポリオレフィンを遊離ラジカル開始グラフト重合法で処理すると、異なる溶融粘度が特定の適用範囲に合わせて調整された官能化ポリオレフィンを得ることができるという効果をもたらす。
【0080】
官能化に使用される非官能化ポリオレフィンの溶融物は、特に溶融法での処理に特に好適である特定の構造粘度が注目に値する。測度は、10Hzの剪断速度と0.1Hzの剪断速度とにおける、190℃および1%以下の変形率で測定された溶融粘度の比であってよい。発明の官能化ポリマーの製造に使用される非官能化ポリマーについてのこの比は、好ましくは1:1〜1:1000、より好ましくは1:2〜1:750、さらにより好ましくは1:3〜1:500、特に好ましくは1:4〜1:400である。
【0081】
変性に使用される非変性ポリマーの針入度は、50*0.1mmを超えず、好ましくは45*0.1mmを超えず、より好ましくは35*0.1mmを超えず、特に好ましくは1〜30*0.1mmの範囲であり、2〜12*0.1mm、10〜30*0.1mmの数値範囲が極めて好ましい。これは、本発明に従って使用される非変性ポリマーが溶融物における、または溶融物からの処理に特に有利である十分な可塑度(非常に良好な溶融挙動)を有するという効果を達成する。
【0082】
本発明に従って使用される非変性ポリマーは、主として本質的に半結晶性である。すなわち、有意な結晶分を有する。これは、示差熱測定(DSC)でのポリマーの第1および/または第2の加熱における溶融ピークに示される。DSCによる分析における、変性に使用される非変性ポリオレフィンは、より好ましくは、第1および第2の加熱の両方において少なくとも1つの溶融ピークを有し、最も好ましくは、第1および第2の加熱において少なくとも2つの溶融ピークを有する。溶融ピークの数および形状にかかわらず、第1の加熱における示差熱測定器(DSC)による測定での発明の非変性ポリオレフィンの溶融ピーク極大値は、20〜155℃、より好ましくは25〜150℃、特に好ましくは30〜145℃の範囲である。第1の加熱における示差熱測定器(DSC)での測定は、1〜3個の溶融ピークを検出できることが好適であり、その場合、3つの溶融ピークの場合は、第1の溶融ピーク極大値が20〜90℃の温度にあり、第2の溶融ピーク極大値が30〜110℃の温度にあり、第3の溶融ピーク極大値が40〜155℃、より好ましくは45〜145℃の温度にある。2つの溶融ピークしか存在しないときは、第1の溶融ピーク極大値が30〜130℃の範囲にあり、第2の溶融ピーク極大値が40〜155℃の範囲、より好ましくは45〜145℃の範囲にある。溶融ピークが1つしか存在しないときは、溶融ピーク極大値が20〜155℃の範囲である。
【0083】
溶融ピークの数および形状にかかわらず、第2の加熱における示差熱測定器(DSC)による測定での非変性ポリオレフィンの溶融ピーク極大値は、25〜157℃の範囲、好ましくは30〜155℃の範囲、より好ましくは35〜150℃の範囲、特に好ましくは40〜147℃の範囲である。示差熱測定器での第2の加熱において、非変性ポリマーは、好ましくは1、2または3個の溶融ピークを有し、3つの溶融ピークの場合、第1の溶融ピーク極大値が25〜100℃、好ましくは30〜95℃の温度にあり、第2の溶融ピーク極大値が30〜115℃の温度にあり、第3の溶融ピーク極大値が35〜157℃、より好ましくは40〜155℃の温度にある。2つの溶融ピークの場合、第1の溶融ピーク極大値が25〜125℃であり、第2の溶融ピーク極大値が35〜157℃、より好ましくは45〜155℃、特に好ましくは55〜150℃である。溶融ピークが1つしか存在しないときは、溶融温度が25〜157℃、より好ましくは30〜155℃、特に好ましくは40〜140℃である。コポリマー組成に応じて、非変性ポリマーは、低温結晶化する傾向を有し、その場合(存在すれば)、第2の加熱における発熱低温結晶化ピークが0〜60である。これは、非変性ポリマーが、結晶性単位と非結晶性単位との最適な比を有し、特に溶融物における、または溶融物からの処理に最適な熱特性を示す効果を達成する。
【0084】
単一の非常に鋭い溶融ピークを有する高結晶性ポリオレフィンと異なり、DSC測定の第2の加熱曲線における非変性ポリマーは、1つの溶融ピーク、2つの溶融ピークもしくは3つの溶融ピークを有し、その場合、これらの溶融ピークは、異なる強度を有することができる。発明のポリマーの(ピークオフセットとして既知の)DSCの第2の加熱曲線の溶融範囲の末端は、50℃〜165℃の範囲、好ましくは60℃〜162℃の範囲、より好ましくは65℃〜160℃の範囲、特に好ましくは70℃〜157℃の範囲である。
【0085】
好ましくは、変性に使用される非変性ポリマーは、DSCでの第2の加熱において測定された吸熱融合エンタルピーが、85J/gを超えず、好ましくは5〜80J/g、より好ましくは7〜78J/g、特に好ましくは10〜75J/gであり、1〜18J/g、15〜42Jg、40〜75J/gの数値範囲が極めて好ましい。これは、非変性ポリマーが、一方では、非変性ポリマーおよびそれらから製造される変性ポリマーの両方の良好な材料凝集性を可能にし、他方では、ポリマーを溶融させるのに必要なエネルギー寄与率が(高結晶性ポリオレフィンと比較して)相対的に中程度である結晶度を有する効果を達成する。後者は、特に、溶融物での、または溶融物からの当該ポリマーの処理に関して利点をもたらす。
【0086】
非変性ポリオレフィンについてDSCの第2の加熱において測定された低温結晶化(低温結晶化が存在する場合)の発熱エンタルピーは、好ましくは40J/gを超えず、特に10〜35J/gであり、より好ましくは15〜32J/gであり、最も好ましくは17から30J/gである。
【0087】
第2の加熱曲線からDSCによって測定された非変性ポリマーのガラス転移温度は、−5℃を超えず、好ましくは−10〜−50℃の範囲、より好ましくは−12〜−47℃の範囲、特に好ましくは−15〜−45℃の範囲である。これは、発明の変性ポリマーが、それらの結晶性アイソタクチック含有量にかかわらず、ポリマー組成および選択された重合条件に応じて、高い低温柔軟性を必要とするため、高結晶性ポリオレフィン(例えばアイソタクチックポリプロピレン)を排除する用途分野にも使用され得る効果を達成する。特に、この場合、高価なコモノマー、例えば、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネンおよび/または1−デセンを使用しなくても、発明のポリマーについて低いガラス転移温度を達成できることが注目に値する。
【0088】
加えて、コポリマー組成に応じて、リング・ボール法によって測定された、変性に使用される発明の非変性ポリマーの軟化点は、165℃を超えず、好ましくは80〜160℃、より好ましくは85〜155℃、特に90〜150℃である。これは、一方では、溶融物における処理に必要とされる温度が可能な限り小さく、他方では、変性ポリオレフィンが非架橋状態でも良好な安定性を既に有する効果を達成する。
【0089】
極めて好適な実施形態において、変性に使用される非変性ポリオレフィンは、リング・ボール法によって測定された軟化点が少なくとも80℃、好ましくは少なくとも90℃、特に好ましくは少なくとも100℃であり、発明のポリオレフィンの針入度は、同時に、15*0.1mmを超えず、12*0.1mmを超えず、より好ましくは10*0.1mm以下である。これは、選択されたモノマー組成に応じて、変性の結果として、基本特性に有意な制限が加えられることなく、さらなる有利な材料特性を享受する、変性のための最適な出発特性を有する非変性ポリマーを提供できるという利点を有する。
【0090】
変性に使用される非変性ポリマーは、好ましくは、室温におけるキシレンへの溶解度が100質量%を超えず、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは2〜98質量%、特に好ましくは3〜97質量%であり、さらなる好適な範囲は、3〜20質量%、15〜42質量%、40〜95質量%および85〜97質量%である。これは、ポリマー組成およびモル質量ならびに溶融物での変性に応じて、溶液でのポリマーの変性は問題なく可能であるという利点を有する。特に好ましくは、室温におけるキシレン溶解度が100質量%である非変性ポリマーは、DSCの第2の加熱における発熱溶融エネルギーが50J/g以下、より好ましくは48J/g以下、特に好ましくは1〜45J/gであり、(プロペンがコモノマーとして存在する場合に)アイソタクチックプロペントライアドの含有量は、存在するプロペントライアドに基づいて好ましくは98質量%を超えず、特に好ましくは70〜95質量%であり、(1−ブテントライアドがコモノマーとして存在する場合に)アイソタクチック1−ブテンの含有量は、存在する1−ブテントライアドに基づいて、好ましくは99質量%を超えず、特に好ましくは60〜95質量%である。キシレンへの溶解度が高い非変性ポリマーは、特に、溶媒を使用するグラフト法による変性ポリマーの製造を可能にし、これらの方法は、特に、反応圧力が低いこと(処理形態が安価なこと)および有毒危険潜在性が低いことが注目に値する。
【0091】
非変性ポリマーは、好ましくは、室温におけるテトラヒドロフランへの溶解度が100質量%以下、好ましくは1〜100質量%、より好ましくは5〜100質量%、特に好ましくは10〜100質量%である。特定の好適な実施形態において、それらのポリマーは、室温におけるテトラヒドロフランへの溶解度が60質量%以下、好ましくは1〜58質量%、より好ましくは2〜56質量%、特に好ましくは5〜55質量%である。これは、変性のために、高沸点の芳香族溶媒(例えばキシレン)と同様に、低沸点の非芳香族極性溶媒も利用可能であるという利点を有する。後者の事実は、特に、溶媒が蒸発する場合に特に有利である。したがって、非変性ポリオレフィンは、エーテルへの溶解度が良好な、今日まで既知のポリオレフィンと対照的に、非常に狭いモル質量分布とともに、極めて少量の低分子量分、溶解度に対して高い結晶性、ならびに高軟化点および中程度の針入度を有するため、非変性ポリマーは、それらのテトラヒドロフランへの溶解度にかかわらず、非常に良好な材料凝集性を既に有する。
【0092】
加えて、変性に使用する非変性ポリマーは、さらなる添加剤を含まずに、少なくとも24時間の貯蔵時間後に、それらの引張試験による引張強度が1〜25MPa、好ましくは1.2〜23MPa、より好ましくは1.3〜21MPa、特に1.5〜20MPaであり、1.5〜7.5MPa、3.5〜11MPa、10〜14.5MPa、12〜17.5MPaの範囲がさらに好ましく、かつ/または絶対破断伸度が少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは20〜1500%、特に好ましくは25〜1250%であり、50〜750%、100〜650%、150〜600%、150〜1200%、250〜1100%および350〜1000%が同様に特に好適な範囲である点で注目に値する。
【0093】
極めて好適な実施形態において、変性のために本発明に従って使用される非変性ポリオレフィンは、引張強度が少なくとも5MPa、好ましくは少なくとも7.5MPa、特に好ましくは少なくとも8.5Mpaであると同時に、絶対破断伸度が少なくとも40%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも120%、特に好ましくは少なくとも150%である。
【0094】
変性のために使用される発明の非変性ポリオレフィンは、メタロセン触媒と、非ハロゲン化脂肪族溶媒である少なくとも1つの第1の溶媒、第1の溶媒と同一であっても異なっていてもよい非ハロゲン化溶媒である第2の溶媒に場合によって溶解および/または懸濁して存在する、アルキル基によって変性された少なくとも1つのメチルアルミノキサン成分、ならびに少なくとも1つの1−オレフィンモノマーとを反応チャンバにて接触させ、次いで少なくとも1つの1−オレフィンモノマーを反応温度で重合して発明のポリオレフィンを形成することによって製造され、反応温度が第1の溶媒の沸騰温度を超えることを特徴とする。定常反応状態における反応温度が、第1の溶媒の沸騰温度を超えると同時に、好ましくは、本発明に従って製造されるポリマーの(リング・ボール法によって測定された)軟化点を下回ることが重要である。特に、定常反応状態における重合温度は、軟化温度を少なくとも10K下回り、好ましくは少なくとも15K下回り、より好ましくは少なくとも20K下回り、特に好ましくは少なくとも25K下回る。後者は、本発明による方法の適用に際してこの温度範囲にかかわらず重合媒体に(例えば、スラリー重合に存在するような)巨視的なポリマー粒子が形成されず、その代わりに均一な相で重合が進行するため、本発明による方法の特に優れた特徴である。
【0095】
少なくとも1つの第1の溶媒は、非ハロゲン化環式および/または直鎖状脂肪族溶媒から選択される。該溶媒は、好ましくは、標準的な圧力における沸騰温度が101℃以下である。脂肪族溶媒は、好ましくは、標準的な圧力における沸騰温度が80℃を超えず、好ましくは60℃を超えず、より好ましくは40℃を超えず、特に好ましくは20℃以下である。
【0096】
特に、非ハロゲン化脂肪族溶媒は、7個以下の炭素原子、好ましくは6個以下の炭素原子、より好ましくは5個以下の炭素原子を有する環式および/または直鎖状脂肪族化合物である。非ハロゲン化脂肪族溶媒は、より好ましくは、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタンまたはそれらの混合物を含む群から選択される。溶媒は、最も好ましくは、プロパンおよび/またはn−ブタンである。
【0097】
変性に使用する非変性ポリマーの製造に好適に使用されるメタロセン触媒は、式I
x11aYR22a(IndR3456782MCl2
[式中、
Mは、Zr、HfおよびTiを含む群から選択される遷移金属、好ましくはZrであり、
Indはインデニルであり、
x11aYR22aは、ブリッジとしてインデニル基を結合させ、
ZおよびYは、炭素および/またはケイ素から選択され、
xは=0または1であり、
1、R1aおよびR2aおよびR2aは、H、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル基、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシアルキル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基またはアルコキシアリール基からそれぞれ独立して選択され、
3〜R8は、H、および/または1〜10個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、または6〜10個の炭素原子を有するアリール基を含む群から選択される]の化合物から選択される。
【0098】
3、R5および/またはR7基は、好ましくは、H、および/または1〜10個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル基、または6〜10個の炭素原子を有するアリール基、特に、1〜10個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル基を含む群から選択される。R6およびR7がいずれもHによって置換されていない場合、R6およびR7は、特に好ましくは、特に縮合ベンジル環の形で互いに結合している。より好ましくは、R3〜R8は、それぞれ水素である。すなわち、インデニル環は非置換である。特定の実施形態において、インデニル配位子は、テトラヒドロインデニル配位子である。
【0099】
メタロセン化合物は、好ましくは、式II
【化1】

[式中、
1〜R8は、それぞれ以上に定義されている通りである]の1つである。
【0100】
1〜10個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状アルキル基は、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルを含む群から選択される置換基である。
【0101】
1〜6個の炭素原子を有するアルコキシアルキル基は、特に、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチルおよびエトキシプロピルを含む群から選択される。
【0102】
6〜10個の炭素原子を有するアリール基は、特に、ベンジル、フェニルおよびインデニルを含む群から選択される。
【0103】
6〜10個の炭素原子を有するアルキルアリール基は、特に、メチレンフェニル、メチレンインデニルおよびエチルベンジルを含む群から選択される。
【0104】
6〜10個の炭素原子を有するアリールアルキル基は、特に、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、エチルメチルフェニルおよびメチルインデニルを含む群から選択される。
【0105】
6〜10個の炭素原子を有するアルコキシアリール基は、特に、メトキシフェニル、メトキシベンジル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、メトキシエトキシフェニルおよびメトキシインデニルを含む群から選択され、アルコキシ基は、好ましくはメタロセンへのアルコキシアリール基の結合に対してパラ位に存在する。
【0106】
特に、Zx11aYR22aは、−CH2−、−HCCH3−、−C(CH32−、−CH2CH2−、−C(CH32C(CH32−、−CH2C(CH32−、−Si(CH32−、−Si(CH32Si(CH32−、−Si(CH32C(CH32−、−C(CH32Si(CH32−、−C(C652−、−C(C64OCH32−、−C(OCH2652−、−C(OCH32−、−C(OCH32C(OCH32−および−CH2C(OCH32−を含む群から選択される。
【0107】
本発明による当該方法におけるメタロセン化合物は、最も好ましくは、二塩化ジフェニルシリルビス(インデニル)ジルコニウム、二塩化ジメチルメチレン−ビス(インデニル)ジルコニウム、二塩化ジメチルシリル−ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウム、二塩化ジメチルシリル−ビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウム、二塩化ジメチルシリル−ビス(2−メチル−ベンゾインデニル)−ジルコニウム、二塩化エチリデンビス(インデニル)ジルコニウムまたは二塩化エチリデンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムである。
【0108】
挙げられている化合物は、好ましくは、ラセミ鏡像異性体混合物の形で存在し、特に好ましくは、鏡像異性の光学的不活性なメソ形を多く含まない。本発明におけるメソ形の比率は、5質量%を超えず、好ましくは2質量%を超えず、特に好ましくは1質量%以下である。
【0109】
触媒は、好ましくは高過剰量の脂肪族炭化水素、より好ましくは第1の溶媒と一緒に重合チャンバに供給され、それを均一な形、すなわち完全に溶解した形で供給するのが特に好適である。
【0110】
重合に使用される1−オレフィンモノマーを、基本的に、当業者に既知のすべての1−オレフィンから選択することができる。特に、少なくとも1つの1−オレフィンモノマーは、エチレンおよび直鎖状1−オレフィンを含む群から選択される。好適な直鎖状1−オレフィンは、特に、プロペンおよび/または1−ブテンである。
【0111】
アルキル基によって変性された少なくとも1つのメチルアルミノキサン成分は、本発明による方法において、共触媒としての役割を果たす。特に、共触媒は、直鎖タイプでは式III
【化2】

の化合物であり、かつ/または環式タイプでは式IV
【化3】

の化合物であり、式IIIおよびIVにおいて、R8は、メチルおよび/またはイソブチルであり、nは、2〜50の整数である。特に、R8基の15〜45モル%、好ましくは17〜45モル%、より好ましくは19〜43モル%、特に好ましくは20〜40モル%がイソブチルである。その比率のイソブチル基のみが、非芳香族溶媒への共触媒の溶解を可能にする。共触媒は、好ましくは、その沸騰温度が特に好ましくは101℃以下の第2の溶媒に溶解して存在する。共触媒の第2の溶媒は、特に、3〜7個の炭素原子、好ましくは4〜6個の炭素原子を有する直鎖状アルカンから選択され、第2の溶媒の沸騰温度は、重合温度を有意に下回るのが好ましいが、これは必須でない。特に、第2の溶媒は、プロパン、n−ブタン、n−ペンタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよび/またはn−ヘプタンである。
【0112】
本発明による方法を実施するための反応チャンバは、撹拌タンク、少なくとも2つの撹拌タンクを有する撹拌タンクカスケード、流管および/または強制流通を伴う流管(例えばスクリュー式射出成形機)であってよい。上記反応基を個々の溶液として、または任意の所望の組合せとして使用することが可能である。
【0113】
モル質量を、選択された重合温度および/または計量添加、ならびに気体水素の重合混合物への混入を介して調節することができる。モル質量は、より好ましくは、適切な重合温度の選択のみにより、気体水素を使用せずに制御される。モル質量を調節するために水素が使用される場合は、それは、好ましくは、液体反応相に計量導入され、計量添加は、反応チャンバのベース、かつ/または使用される混合装置、例えば攪拌機により実施される。
【0114】
本発明にしたがって得られたポリマーは、反対の極性の析出物(例えば、水および/またはアルコール、例えばエタノール、イソプロパノールもしくはブタノール)における析出によって、あるいは後に溶融処理を伴う直接的な脱気によって重合後に得られる。脱気後、製造されたポリマーにさらなる仕上工程を施すことができ、仕上工程は、添加剤添加および/または粉砕および/または造粒および/または顆粒化である。溶融ポリマーの直接的なさらなる処理も可能である。
【0115】
発明の官能化ポリオレフィンにおいて、1つ以上の官能基を有するモノマーが、上記非官能化基材ポリマーにグラフトされている。グラフトされるモノマーは、好ましくは、オレフィン二重結合を有する。特に、1つ以上の官能基を有するモノマーは、カルボン酸および/またはカルボン酸誘導体(例えば、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、無水クエン酸、アクリル酸、メタクリル酸)、アクリレート(例えば、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル等)、ビニルシラン(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシランおよび/またはビニルメチルジブトキシシラン、特にビニルトリメトキシシラン)、ビニル芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、アミノスチレン、スチレンスルホン酸等)、環式イミドエステルおよびそれらのビニル化合物(例えば、イソペンテニル−2−オキサゾリン、リシノールオキサゾリン、マレエート等)、ビニルイミダゾリン(例えば、1−ビニルイミダゾール)、ビニルピロリドン(例えばN−ビニルピロリドン)、および/または非環式ビニル化合物(例えば、4−ビニル−1−シクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン等)の群から選択される。
【0116】
変性ポリマーは、それらの一部が変性のために使用される基材ポリマーの特性に起因し、それらの一部が使用されるグラフトモノマーに起因し、それらの一部が変性のために使用される方法に起因し、またはそれらの組合せに起因する特定の特性を有する。
【0117】
発明の変性ポリオレフィンの特性に関して、特に材料特性に対する変性の影響に留意すべきである。例えば、特に、アルコキシ基を有するビニルシランは、水分の存在下で架橋する傾向があるため、材料特性(例えば、溶融粘度、針入度、軟化点等)が貯蔵条件に応じて変化する。以降に記載される特性は、(特記しない限り)さらなる添加剤を含まない非架橋材料の特性と理解されるべきである。
【0118】
したがって、190℃にて1Hzのおよび1%以下の変形率で振動流量計によって測定された非架橋状態の発明の変性(グラフト)ポリオレフィンの溶融粘度は、500〜100000mPa*s、好ましくは1000〜85000mPa*s、より好ましくは1500〜75000mPa*s、特に好ましくは2000〜65000mPa*sであり、さらなる好適な範囲は、2500〜5500、5000〜12500、9000〜17500、15000〜27500および20000〜60000mPa*sである。発明の変性ポリマーの溶融物は、粘弾性および構造粘性挙動を示す。したがって、非架橋状態でのそれらの可変的溶融粘度に基づいて、広範な異なる接着方法に好適であるため、広範な異なる用途分野(例えば、溶融接着剤、シール材、成形材料、下塗剤等)にも使用され得る変性ポリオレフィンが提供される。発明の変性ポリオレフィンの特定の特徴は、非架橋状態におけるそれらの構造粘度(すなわち、溶融粘度の剪断速度への依存性)が、分子量が大きくなるほど上昇する。
【0119】
リング・ボール法によって測定された非架橋の発明の変性(グラフト)ポリオレフィンの軟化点は、80〜155℃、好ましくは85〜150℃、より好ましくは87〜145℃、特に好ましくは90〜140℃であり、さらなる好適な範囲は、90〜99℃、98〜110℃、108〜122℃および120〜140℃である。したがって、ポリマー組成に応じて、低軟化点または中程度の軟化点を有する変性ポリオレフィン、すなわち、一方では、非架橋状態であっても、発明の変性ポリオレフィンを使用して製造される接着剤の十分な熱安定性をもたらしながら、他方では中程度の処理および使用温度での(特に溶融物における)処理を可能にするため、感熱接着にも好適である変性ポリオレフィンが提供される。非架橋の発明の変性ポリオレフィンの針入度は、2〜30*0.1mm、好ましくは3〜28*0.1mm、より好ましくは4〜26*0.1mm、特に好ましくは5〜20*0.1mmである。したがって、非架橋状態において、強度/硬度および柔軟性のバランスが良好である変性ポリオレフィンが提供される。
【0120】
発明の変性ポリオレフィンの引張強度は、(さらなる添加剤を含まずに)非架橋状態で、1〜25MPaの範囲、好ましくは1.5〜20MPaの範囲、より好ましくは2〜18MPaの範囲、特に好ましくは2.5〜16MPaの範囲であり、さらなる好適な範囲は、2〜7.5MPa、5〜13MPa、7.5〜15MPaおよび10〜16MPaの範囲である。これは、特に、非架橋状態における高度な基材凝集性を確保する。発明の変性ポリオレフィンについて引張試験で測定された破断伸度は、(さらなる接着剤を含まずに)、非架橋状態で、10〜1200%の範囲、好ましくは15〜1100%の範囲、より好ましくは20〜1000%の範囲、特に好ましくは20〜900%の範囲であり、さらなる好適な範囲は、25〜225%、200〜450%および400〜800%である。これは、非架橋状態で高度な柔軟性を有する変性ポリオレフィンを提供する。
【0121】
特定の好適な実施形態において、非架橋の本発明の変性ポリオレフィンの針入度は、15*0.1mmを超えず、好ましくは12*0.1mmを超えず、特に好ましくは2〜10*0.1mmの範囲であり、軟化点は、同時に、80〜140℃の範囲、好ましくは90〜135℃の範囲、特に好ましくは95〜132℃の範囲であり、引張強度は、同時に、15MPaを超えず、好ましくは12MPaを超えず、より好ましくは10MPaを超えず、特に好ましくは2〜9MPaの範囲であり、破断伸度は、同時に、500%を超えず、好ましくは450%を超えず、より好ましくは400%を超えず、特に好ましくは40〜380%の範囲である。
【0122】
特に好適な実施形態において、変性のために使用されるモノマーの少なくとも1つは、ケイ素含有モノマー、特にビニルシランである。発明の変性ポリオレフィンは、この場合(未反応残渣モノマーを完全に除去した後)、XRF分光分析法(X線蛍光分光分析法)によって測定されたケイ素含有量が少なくとも0.25質量%、好ましくは少なくとも0.30質量%、より好ましくは少なくとも0.35質量%、特に好ましくは0.40〜2質量%であり、さらなる特に好適な範囲は、0.4〜0.75質量%、0.7〜0.95質量%、0.8〜1.25質量%、1.1〜2質量%である。ケイ素含有量が少なくとも0.25質量%である発明の変性ポリマーは、特に、(さらなる接着剤を含まずに)気候制御キャビネット(20℃/65%の相対大気湿度)での少なくとも14日間の貯蔵時間後、純粋のポリプロピレン接着剤(材料:未処理のアイソタクチックポリプロピレン)において、少なくとも1.25N/mm2、好ましくは少なくとも1.5N/mm2、より好ましくは少なくとも1.75N/mm2、特に好ましくは少なくとも2N/mm2の接着剪断強度を有する点で注目に値する。加えて、それらは、(さらなる添加剤を含まずに)純粋の木材接着剤(木材タイプ:未処理のブナ)において、気候制御キャビネット(20℃/65%の相対大気湿度)での少なくとも14日間の貯蔵時間後、少なくとも1.75N/mm2、好ましくは少なくとも2.0N/mm2、より好ましくは少なくとも2.5N/mm2、特に好ましくは少なくとも3.0N/mm2の接着剪断強度を有する点で注目に値する。
【0123】
さらなる特に好適な実施形態において、変性のために使用されるモノマーの少なくとも1つは、カルボン酸または無水カルボン酸である。この場合、元素分析によって測定された酸素含有量は、特に少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.15質量%、より好ましくは少なくとも0.2質量%、特に好ましくは少なくとも0.25質量%である。これらの発明の変性ポリオレフィンは、特に、金属、特にアルミニウムに対する接着性が非常に良好であることが注目に値する。これらの発明の変性ポリオレフィンは、特に、金属、特にアルミニウムに対する接着性が非常に良好であることが注目に値する。酸素含有量が少なくとも0.1質量%である発明の変性ポリマーは、特に、(さらなる接着剤を含まずに)気候制御キャビネット(20℃/65%の相対大気湿度)での少なくとも14日間の貯蔵時間後、純粋のアルミニウム接着剤(材料:未処理のアルミニウム、99.5)において、少なくとも0.5N/mm2、好ましくは少なくとも0.6N/mm2、より好ましくは少なくとも0.7N/mm2、特に好ましくは少なくとも0.75N/mm2の接着剪断強度を有する点で注目に値する。
【0124】
さらなる特に好適な実施形態において、変性のために使用されるモノマーの少なくとも1つは、アクリレートまたはメタクリレートである。この場合、元素分析によって測定された酸素含有量は、少なくとも0.15質量%、好ましくは少なくとも0.25質量%、より好ましくは少なくとも0.3質量%、特に好ましくは少なくとも0.35質量%である。これらの発明の変性ポリオレフィンは、特に、アクリル系ポリマー、例えばポリメチルメタクリレート、および未処理のポリオレフィン表面に対する接着性が良好なことが注目に値する。酸素含有量が少なくとも0.15質量%である発明のアクリレート変性ポリマーは、特に、(さらなる接着剤を含まずに)気候制御キャビネット(20℃/65%の相対大気湿度)での少なくとも14日間の貯蔵時間後、純粋のPMMA接着剤(「7N」成形材料:Evonik Roehm GmbH;接着温度200℃)において、少なくとも0.5N/mm2、好ましくは少なくとも0.75N/mm2、より好ましくは少なくとも1.0N/mm2、特に好ましくは少なくとも1.25N/mm2の接着剪断強度を有する点で注目に値する。
【0125】
さらなる特に好適な実施形態において、変性のために使用されるモノマーの少なくとも1つは、シランアクリレートである。この場合、XRF分光分析法(X線蛍光分光分析法)によって測定されたケイ素含有量は、少なくとも0.15質量%、好ましくは少なくとも0.20質量%、より好ましくは0.25質量%、特に好ましくは0.30〜2質量%である。
【0126】
これらの発明の変性ポリオレフィンは、特に、ガラス、金属、未処理のポリオレフィンおよびPMMAに対する接着性が良好であることが注目に値し、同時に、架橋性があるため、非常に強い引張剪断強度をもたらす。
【0127】
記載されている好適な特性のポリオレフィンは、接着ボンド、特にホットメルト接着剤としての使用、またはホットメルト接着剤での使用に特に好適であり、既知の系と比較して有利な特性を示す。これは、未処理のポリオレフィン、特に未処理のポリプロピレン、ならびに紙/厚紙、木、ガラス、極性ポリマー、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等および/または金属、特にアルミニウムに対する接着性のさらなる向上について特に当てはまる。
【0128】
本発明は、さらに、発明の変性ポリオレフィンを製造するための方法であって、13C NMR分光分析法によって測定された20質量%以下のエチレン含有量を有する半結晶性ポリオレフィンが、50〜98質量%のプロピレンもしくは20質量%以下のプロピレンおよび/または70〜100質量%の1−ブテンもしくは20質量%以下の1−ブテンを含み、同様に13C NMRによって測定されたトライアド分布が、プロペントライアド(ポリマーがプロペントライアドを含む場合)ではそのトライアド分布が、75〜98質量%のアイソタクチック含有量、20質量%以下のシンジオタクチック含有量、20質量%未満のアタクチック含有量を有し、かつ/または13C NMRによって測定された1−ブテントライアド(発明のポリマーが1−ブテントライアドを含む場合)についてのトライアド分布が、10〜98質量%のアイソタクチック含有量、1〜90質量%のアタクチック含有量および25質量%以下のシンジオタクチック含有量を有するさらなる特徴を有し、プロペンおよび1−ブテンのアイソタクチック、シンジオタクチックおよびアタクチックトライアドの含有量がそれぞれ合計100%になり、官能化ポリマーを、メタロセン触媒を使用して製造し、少なくとも1つの遊離ラジカル開始剤、および1つ以上の官能基を有するモノマーと接触させた後、1つ以上の官能基を有するモノマーをポリオレフィン上にグラフト反応させることを特徴とする方法を提供する。
【0129】
1つ以上のモノマーを、例えば溶液または好ましくは溶融物中で、あらゆる先行技術の方法によって基材ポリマー上にグラフトすることができ、その場合、1つ以上の遊離ラジカル供与体が十分な量で使用される。好適な方法を、明示的に参照されるDE−A4000695に見いだすことができる。例えば、以下の遊離ラジカル供与体:ジアシル過酸化物、例えば過酸化ジラウリルまたは過酸化ジデカノイル、アルキル過エステル、例えばペルオキシ−2−エチルヘキサン酸tert−ブチル、ペルケタール、例えば1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンまたは1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、ジアルキル化酸化物、例えば過酸化tert−ブチルクミル、過酸化ジ(tert−ブチル)または過酸化ジクミル、炭素遊離ラジカル供与体、例えば3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサンまたは2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、およびアゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾジ(2−アセトキシプロパン)等を使用することができる。グラフトは、特に30〜250℃の温度で実施される。
【0130】
特定の実施形態において、該方法は、脂肪族および/または芳香族炭化水素および/または環式エーテルを溶媒として使用することができる溶液法である。少なくとも1つの芳香族炭化水素を溶媒として使用するのが特に好ましい。好適な芳香族炭化水素は、特にトリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエンおよびキシレンであり、キシレンを使用するのが特に好ましい。特に好適な脂肪族炭化水素は、例えば、プロパン、n−ブタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンおよびオクタンである。特に好適な環式エーテルは、テトラヒドロフラン(THF)である。
【0131】
エーテル、特に環式エーテルを溶媒として使用する場合、使用されるエーテルの爆発性過酸化物の形成を抑制または制御するために、使用する開始剤および反応条件を特に慎重に選択しなければならない。特に、特定の抑制剤(例えばIONOL)の追加的使用を検討すべきである。
【0132】
溶液グラフト法の場合、使用される基材ポリマーの濃度は、少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも15質量%、より好ましくは少なくとも20質量%、特に好ましくは少なくとも22.5質量%である。溶液グラフト法の反応温度は、30〜200℃、好ましくは40〜190℃、より好ましくは50〜180℃、特に好ましくは55〜140℃である。溶液グラフトは、バッチ式または連続式で実施される。バッチ式反応形態の場合、固体ポリマー(例えば顆粒、粉末等の形)を、最初に使用される溶媒に溶解させる。あるいは、基材ポリマーの製造方法からの調整重合溶液をそのまま使用し、反応温度にする。この後に、1つ以上のモノマーおよび遊離ラジカル開始剤を添加する。特に好適な実施形態において、溶媒、基材ポリマーおよびモノマーを最初に充填して反応温度にしながら、遊離ラジカル開始剤を規定の時間にわたって連続的に計量導入する。これは、定常状態の遊離ラジカル濃度が低いため、グラフト反応と鎖開裂の比が特に好適になる(すなわち、グラフト反応がより強く、鎖開裂がより弱くなる)という利点を有する。さらなる特に好適な実施形態において、溶媒および基材ポリマーを最初に充填して反応温度にしながら、モノマーおよび遊離ラジカル開始剤を規定の時間にわたって、一緒に(例えば混合物の形で)または別々に連続的に計量導入する。これは、反応部分における定常状態の遊離ラジカル濃度およびモノマー濃度の両方が低くなるため、鎖開裂およびホモポリマーの形成の両方が抑制されるという利点を有する。これは、特に、反応温度における熱開始(単独)重合の傾向が強いモノマーを使用する場合に重要である。異なる規定時間の計量添加後に、反応溶液における残留モノマーの含有量を最小限にするために、さらなる量の遊離ラジカル開始剤を計量導入することが極めて好ましい。使用される反応器は、好ましくは撹拌タンクである。代替的な反応容器、例えばバッチ式混練反応器を使用することも可能であり、特に反応温度が低く、かつ/またはポリマー濃度が高い場合に好適である。
【0133】
連続反応形態の場合は、固体ポリマーを最初に1つ以上の貯留容器(例えば撹拌タンク)にて少なくとも1つの溶媒に溶解させ、次いで連続的に反応容器に計量導入する。代替的な同様の特に好適な実施形態において、基材ポリマー製造方法からの調整ポリマー溶液をそのまま使用する。さらなる同様の特に好適な実施形態において、固体ポリマー(例えば、粉末、顆粒、ペレット等の形)を少なくとも1つの溶媒と一緒に(一軸または多軸)成形機またはContikneter連続混練機に連続的に計量導入し、温度および/または剪断の作用下で溶解させ、次いで反応容器に連続的に計量導入する。連続的な溶液中グラフト反応を実施するための有用な反応容器または反応器としては、連続的な撹拌タンク、撹拌タンクカスケード、流管、強制流通を伴う流管(例えばスクリュー式射出成形機)、反応混練機およびそれらの任意の所望の組合せが挙げられる。強制流通を伴う流管が使用される場合、それらは、好ましくは押出機であり、その場合、一軸、二軸または多軸押出機を使用することが可能である。二軸および/または多軸押出機を使用するのが特に好ましい。溶液中での発明の変性ポリマーの連続的製造に特に好適なのは、流管、強制流通を伴う流管および任意の配列の連続撹拌タンクで構成された反応器組合せの使用であり、その場合は好ましくは、残留モノマーおよび揮発性副産物/分解生成物の除去も強制流通を伴う流管または連続撹拌タンクにて実施される。好適な別法は、少なくとも1つの遊離ラジカル開始剤をそのまま溶融物に計量導入する溶融法である。特に、この変形方法において、少なくとも1つの遊離ラジカル開始剤を計量添加するときのポリマー材料の温度は、計量導入される遊離ラジカル開始剤の少なくとも1つのSADT(自己加速分解温度=自己加速分解が開始し得る温度を上回る温度)を上回る。
【0134】
溶融物のグラフト法の反応温度は、160〜250℃、好ましくは165〜240℃、より好ましくは168〜235℃、特に好ましくは170〜230℃である。溶融グラフトは、バッチ式または連続式で実施される。バッチ式反応形態の場合、固体ポリマー(例えば、顆粒、粉末、ペレット等の形態)を最初に溶融し、場合によって均一化する。あるいは、重合法からの調整ポリマー溶融物をそのまま使用し、反応温度にする。この後にモノマーおよび遊離ラジカル開始剤を添加する。
【0135】
特定の実施形態において、モノマーおよびポリマー溶融物を均一に混合して反応温度にしながら、遊離ラジカル開始剤を規定に時間にわたって連続的に計量導入する。これは、定常状態の遊離ラジカル濃度が低いため、グラフト反応と鎖開裂の比が特に好適になる(すなわち、グラフト反応がより強く、鎖開裂がより弱くなる)という利点を有する。さらなる特に好適な実施形態において、ポリマー溶融物を最初に充填して均一にしながら、モノマーおよび遊離ラジカル開始剤を規定の時間にわたって、一緒に(例えば混合物の形態で)または別々に、連続的に計量導入する。これは、反応部分における定常状態の遊離ラジカル濃度およびモノマー濃度の両方が低くなるため、鎖開裂およびホモポリマーの形成の両方が抑制されるという利点を有する。後者は、特に、反応温度における熱(単独)重合の傾向があるモノマーを使用する場合に重要である。使用される反応器は、好ましくは、近接攪拌機装置または反応混練機を有する撹拌タンクである。
【0136】
連続反応形態の場合、固体ポリマーを最初に1つ以上の貯留容器(例えば撹拌タンク)にて溶融させ、次いで反応容器に連続的に計量導入する。代替的な同様の特に好適な実施形態において、重合法からの調整ポリマー溶融物をそのまま使用する。さらなる同様の特に好適な実施形態において、固体ポリマー(例えば、粉末、顆粒、ペレット等の形)を(一軸または多軸)成形機またはContikneter連続混練機に連続的に計量導入し、温度および/または剪断の作用下で溶解させ、次いで反応容器に連続的に計量導入する。連続的な溶融物中グラフト反応を実施するための有用な反応容器または反応器としては、連続的な撹拌タンク、撹拌タンクカスケード、流管、強制流通を伴う流管(例えばスクリュー式射出成形機)、反応混練機およびそれらの任意の所望の組合せが挙げられる。強制流通を伴う流管が使用される場合、それらは、好ましくは押出機であり、その場合、一軸、二軸または多軸押出機を使用することが可能である。二軸および/または多軸押出機を使用するのが特に好ましい。溶融物中での発明の変性ポリマーの連続的製造に特に好適なのは、流管、強制流通を伴う流管および任意の配列の連続撹拌タンクで構成された反応器組合せの使用であり、その場合は好ましくは、残留モノマーおよび揮発性副産物/分解生成物の除去も強制流通を伴う流管または連続撹拌タンクにて実施される。
【0137】
本発明は、さらに、成形材料における発明の変性ポリオレフィンの、接着剤としての、または接着剤での使用、標識材料、塗料材料、シール膜、床材もしくは屋根膜での使用、下塗剤としての使用、あるいは下塗剤配合物および/または接着促進剤配合物および/または水性分散体、懸濁液および/またはエマルジョンでの使用に対応する。発明のポリマーを含む、対応する成形材料、接着剤、標識材料、塗料材料、シール膜、屋根膜、床材、下塗剤もしくは下塗剤配合物、接着促進剤配合物、水性分散体、懸濁液および/またはエマルジョンも本発明の主題の一部を構成する。
【0138】
成形材料の場合は、これらは、発明のポリオレフィンおよび少なくとも1つのさらなるポリマーを含む。特に好適な実施形態において、少なくとも1つの発明の変性ポリオレフィンは、少なくとも2つのさらなるポリマーと一緒に相溶剤として使用され、その場合、成形材料における発明の変性ポリオレフィンの比率は、50質量%を超えず、好ましくは40質量%を超えず、より好ましくは30質量%を超えず、特に好ましくは25質量%以下である。
【0139】
発明の成形材料のさらなる成分は、特に、他のポリマーを含むことができ、その場合、これらの他のポリマーは、1つ以上のエチレンポリマーおよび/またはアイソタクチックプロピレンポリマーおよび/またはシンジオタクチックプロピレンポリマーおよび/またはアイソタクチックポリ−1−ブテンポリマーおよび/またはシンジオタクチックポリ−1−ブテンポリマーであってよい。
【0140】
この文脈において、特に好ましくは、190℃にて振動流量計によって測定された、存在する発明のポリマーと追加的に存在するポリマーとの間の溶融粘度に有意な差があり、追加的に存在するポリマーは、発明のポリマーの少なくとも2倍の溶融粘度、好ましくは少なくとも3倍の溶融粘度、より好ましくは少なくとも4倍の溶融粘度、特に好ましくは少なくとも5倍の溶融粘度を有する。
【0141】
挙げられている成形材料を使用して、(例えば、射出成形による)完成品を製造し、あるいはフィルムおよび/または箔を製造することができる。
【0142】
発明の変性ポリマーは、好ましくは接着剤として、または接着剤に使用され、特に好ましくは接着剤配合物に使用される。
【0143】
発明の接着剤配合物は、発明のポリマーに加えて、さらなる成分を含むことができる。さらなる成分は、特に溶液配合物の場合は、環式および/または直鎖状脂肪族および/または芳香族炭化水素、ならびに対応するハロゲン化炭化水素であってよい。この文脈において、発明のポリマーの様々な溶媒、例えばキシレンおよびテトラヒドロフランへの溶解度が良好であることが、特に有利であることがわかる。したがって、溶液配合物を製造することができるように、ハロゲン化溶媒を選択する必要がない。したがって、好ましくは、ハロゲン化炭化水素を使用しない。室温で液体である接着剤配合物において、挙げられている炭化水素は、配合物含有量が90質量%を超えず、好ましくは80質量%を超えず、より好ましくは75質量%を超えず、特に好ましくは50質量%以下である。
【0144】
最も好ましくは、発明の接着剤配合物は、当業者に既知のあらゆる種類の接着ボンドに使用できるホットメルト接着剤配合物である。
【0145】
発明のホットメルト接着剤配合物は、特定の特性、例えば、変形性、接着能力、加工性、(溶融物もしくは溶液)粘度、安定性、結晶化速度、粘着性、貯蔵安定性等を達成するのに必要とされるさらなる成分を含む。本発明の特定の実施形態において、さらなる成分の比率は、特に好ましくは、10質量%以下である。これは、接着剤配合物の材料特性が、本質的に、使用される発明のポリマーの材料特性であるという利点を有する。当該接着剤配合物を非常に低いレベルの複雑さで製造することができる。
【0146】
あるいは、本発明のさらなる実施形態において、さらなる成分の比率は、10質量%を超えてよい。この場合、さらなる成分は、配合物全体の80質量%を超えず、好ましくは60質量%を超えず、より好ましくは50質量%を超えず、特に好ましくは40質量%以下である。
【0147】
さらなる成分は、要望に応じて導電性または絶縁性であってよい無機および/または有機充填剤、要望に応じて導電性または絶縁性であってよい無機および/または有機顔料、合成および/または天然樹脂、特に接着性樹脂、合成および/または天然油、要望に応じて導電性または絶縁性であってよい無機および/または有機合成および/または天然ポリマー、要望に応じて導電性または絶縁性であってよい無機および/または有機合成および/または天然繊維、無機および/または有機安定剤、無機および/または有機難燃剤であってよい。
【0148】
特に、さらなる成分は、樹脂を含み、樹脂は、接着層の特定の特性、特に、粘着性および/または接着性、接着層の流動およびクリープ挙動および/または接着粘度を特定の要件に合わせて調整するために使用される。樹脂は、天然樹脂および/または合成樹脂であってよい。天然樹脂の場合は、これらの天然樹脂は、主成分としてアビエチン酸(例えばロジン)を含む。樹脂は、特に所謂C5樹脂および/またはC9樹脂および/またはC5/C9樹脂のコポリマーであるテルペンもしくはポリテルペン樹脂、石油樹脂および/またはクマロン−インデン樹脂であってもよい。発明のホットメルト接着剤配合物における樹脂の比率は、配合物全体に対して、特に45質量%を超えず、好ましくは1〜40質量%の範囲であり、より好ましくは2〜30質量%の範囲であり、特に好ましくは3〜20質量%の範囲である。
【0149】
加えて、発明のホットメルト接着剤配合物は、さらなる成分として(APAOとして既知の)従来の非晶質ポリ(α−オレフィン)を含むことができる。挙げられている非晶質ポリ(α−オレフィン)は、例えば、従来のチーグラー・ナッタ触媒またはメタロセン触媒によって得られる、エチレン、プロピレン、1−ブテン、あるいは5〜20個の炭素原子を有する直鎖状および/または分枝鎖状1−オレフィンのホモ/コポリマーおよび/またはターポリマーであってよい。非晶質ポリ(α−オレフィン)の比率は、配合物全体に対して、特に50質量%を超えず、好ましくは40質量%を超えず、より好ましくは30質量%以下である。さらなる成分は、特にアイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリエチレン(HDPE、LDPEおよび/またはLLDPE)、アイソタクチックポリ(1−ブテン)、シンジオタクチックポリ(1−ブテン)、それらのコポリマー、および/またはそれらと、5〜10個の炭素原子を有する直鎖状および/または分枝鎖状1−オレフィンとのコポリマーを含む結晶性または半結晶性ポリオレフィンである。結晶性または半結晶性ポリオレフィンは化学変性ポリオレフィンであることがさらに好適であり、化学変性は、特に、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸、アクリレート、メタクリレート、不飽和エポキシ化合物、シランアクリレート、シランおよびヒドロキシアルキルシランによる変性を含む。
【0150】
加えて、さらなる成分は、極性基を有するポリマーを含むことができる。極性基を有するポリマーとしては、(例えば、無水マレイン酸、アクリロニトリル等を有する)ポリスチレンコポリマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、(コ)ポリエステル、ポリウレタン、(コ)ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリアクリル酸、ポリカーボネートおよび化学変性ポリオレフィン(例えば、ポリ(プロピレン−グラフト−無水マレイン酸)またはポリ(プロピレン−グラフト−アルコキシビニルシラン))が挙げられる。
【0151】
加えて、さらなる成分は、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンおよび/またはイソプレンを基礎とするホモポリマーおよび/またはコポリマーであってよい。これらのポリマーは、特にブロックコポリマー、特にゴム、例えば天然および合成ゴム、ポリ(ブタジエン)、ポリ(イソプレン)、スチレン−ブタジエンゴムおよびニトリルゴムである。ブタジエン、スチレンおよび/またはイソプレンに対するポリマーの比率は、ホットメルト接着剤配合物に対して、20質量%を超えず、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは1.5〜10質量%、特に2〜9質量%である。
【0152】
加えて、さらなる成分は、エチレン、プロピレン、ならびにジエンおよび/またはcis,cis−1,5−シクロオクタジエン、エキソ−ジシクロペンタジエン、エンド−ジシクロペンタジエンおよび1,4−ヘキサジエンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンを基礎とする弾性ポリマーを含むことができる。これらの成分は、特に、エチレン−プロピレンゴム、EPM(二重結合を含まず、エチレン含有量が40〜75質量%)および/またはEPDMである。エチレン、プロピレン、ジエンおよび/またはcis,cis−1,5−シクロオクタジエン、エキソ−ジシクロペンタジエン、エンド−ジシクロペンタジエンおよび1,4−ヘキサジエンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンに対するポリマーの比率は、ホットメルト接着剤配合物に対して、典型的には20質量%を超えず、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは1.5〜10質量%、特に2〜9質量%である。
【0153】
あるいは、さらなる成分はワックス、特に、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび/またはポリ(1−ブテン)を基礎とする結晶性、半結晶性および/または非晶質ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、メタロセンワックス、マイクロワックス、ポリアミドワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックスおよび/またはフィッシャー・トロプシュワックスである変性および非変性ワックスを含むことができる。ワックスの比率は、ホットメルト接着剤配合物に対して、50質量%を超えず、好ましくは1〜40質量%を超えず、より好ましくは2〜30質量%、特に好ましくは3〜20質量%である。
【0154】
加えて、さらなる成分は充填剤を含むことができ、充填剤は、接着層の特定の特性プロファイル、例えば、温度適用範囲、安定性、収縮性、導電性、磁気および/または熱伝導性を制御的に特定の要件に合わせて調整するために使用される。一般に、充填剤は、無機および/または有機充填剤である。無機充填剤は、特に、シリカ(疎水化シリカを含む)、石英粉、チョーク、バライト、ガラス粒子(特に、光反射性を高めるための球形粒子)、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト粒子、アスベスト繊維および/または金属粉末から選択される。有機充填剤は、例えば、カーボンブラック、ビチューメン、架橋ポリエチレン、架橋未加硫もしくは加硫ゴム混合物、合成繊維、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、サラン繊維、MP繊維、または藁、羊毛、木綿、絹、亜麻、大麻、黄麻および/またはサイザル麻等の天然繊維である。充填剤の比率は、ホットメルト接着剤配合物に対して、80質量%を超えず、好ましくは1〜60質量%、より好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは7〜30質量%である。
【0155】
さらなる成分は、接着剤配合物を外的影響、例えば(処理)熱、剪断応力、太陽放射線、大気湿度および酸素の影響から保護するために使用できる安定剤を含むこともできる。好適な安定剤は、例えば、ヒンダードアミン(HALS安定剤)、ヒンダードフェノール、ホスファイトおよび/または芳香族アミンである。挙げられている配合物において、安定剤の比率は、ホットメルト接着剤配合物に対して、3質量%を超えず、好ましくは0.05〜2.5質量%の範囲であり、特に好ましくは0.1〜2質量%の範囲である。
【0156】
加えて、さらなる成分は、天然および/または合成油であってよい1つ以上の油を含むことができる。これらの1つ以上の油は、好ましくは、処理温度において、1〜1000mPa*s、好ましくは2〜750mPa*s、最も好ましくは3〜500mPa*sの粘度を有する。好適な油は、例えば、鉱油、(医療用)ホワイト油、イソブテン油、ブタジエン油、水素化ブタジエン油および/またはパラフィン油である。1つ以上の油の比率は、ホットメルト接着剤配合物に対して、50質量%を超えず、好ましくは1〜45質量%、より好ましくは3〜40質量%、特に5〜38質量%である。
【0157】
加えて、ホットメルト接着剤配合物は、無機および/有機顔料、UV活性物質、ポリマーの結晶化を加速させるため、接着ボンドの開放時間を短くする有機および/無機核形成剤を含むことができる。
【0158】
発明のホットメルト接着剤配合物のさらなる好適な実施形態において、上記配合物は多相ブレンドである。
【0159】
発明のホットメルト接着剤配合物を、特に、ビーズとしての噴霧塗布および/またはナイフ塗布によって、接着すべき表面に塗布することができる。
【0160】
本発明は、さらに、本発明の1つ以上のポリマーを含む接着ボンドを提供する。特に、接着ボンドは、包装用接着ボンド、衛生品の接着ボンド、木材接着ボンド、ガラス表面の接着ボンド、ラベル用接着ボンド、積層接着ボンド、カーペットもしくは人工芝用接着ボンド、靴用接着ボンド、感圧接着ボンド、本の接着ボンドまたは織物用接着ボンドである。
【0161】
包装用接着ボンドの場合は、包装材料は、木、厚紙、紙、プラスチック、金属、セラミック、ガラス、合成および/または天然繊維および/または織物の材料を含むことができる。包装材料は、好ましくは非極性代ポリマー、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)またはそれと直鎖状および/または分枝鎖状C2-201−オレフィンとのコポリマー、例えば、非架橋ポリエチレン、例えばLDPE、LLDPEおよび/またはHDPE、および/または(例えばシラン)架橋ポリオレフィン、特にシラン架橋ポリエチレンである。加えて、非極性ポリマーは、特に、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレンホモポリマーおよび/またはコポリマー、および/またはそれらと直鎖状および/または分枝鎖状C2-201−オレフィンもしくはジエンとのコポリマー、例えばEPDM、EPMもしくはEPR、および/または合成もしくは天然ゴムであってよい。
【0162】
極性ポリマーの場合は、それらは、特に、ポリアクリレート、特にポリアルキルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエステルおよび/またはコポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレート、ポリアミドおよび/またはコポリアミド、アクリロニトリルコポリマー、特にアクリロニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマーおよび/またはスチレン/アクリロニトリルコポリマー、無水マレイン酸コポリマー、特にS/MAコポリマーおよび/またはMAグラフトポリオレフィン、例えばポリプロピレンおよび/またはポリエチレン、ポリ塩化ビニルおよび/またはポリカーボネートである。一般に、包装材料は、カートン、箱、容器、シート、パネル、フィルムおよび/または箔の形で存在してよい。例えば、対応するポリマーフィルムを押出、圧延、ブロー成形、鋳造法、溶液延伸、熱成形または複数のこれらの方法の組合せによって製造することができる。例えば、ポリマーフィルムは、延伸または無延伸の単層フィルムである。単層フィルムの延伸の場合は、一軸、二軸または多軸延伸が存在してよく、その場合は、延伸の軸をフィルム延伸方向に対して任意の角度に設定することができる。あるいは、ポリマーフィルムは、多層フィルムであってよく、その場合は、フィルム層を同じ材料または異なる材料から製造することができる。多層フィルムは、延伸または無延伸であってよい。多層ポリマーフィルムの延伸の場合は、一軸、二軸または多軸延伸が存在してよく、その場合は、延伸の軸をフィルム延伸方向に対して任意の角度に設定することができる。特定の実施形態において、多層ポリマーフィルムは、複合フィルムである。複合フィルムの接着結合において、1つ以上のフィルム層は、複合材料で構成されていてよく、その場合、複合材料は、連続した形(例えば、紙またはアルミニウムフィルム等)および/または不連続の形(例えば粒子/繊維)で存在できる。
【0163】
特に、本発明によるプラスチック包装材料の接着結合の場合は、一般に、接着性を確保するために、ポリマー表面に化学および/またはエネルギー前処理(例えば、プラズマ、コロナ処理、エッチング、スルホン化等)を施す必要がない。
【0164】
木材包装材料の接着結合の場合は、木材包装材は、固体の真性木材、真性木材積層体、ポリマー積層体、MDFパネルまたは同様の木様物質であってよい。低樹脂または低油木材、例えばブナ、カシ等を使用することが可能であるが、チーク、マツ等の樹脂が豊富な木材または油が豊富な木材も可能である。
【0165】
挙げられている包装用接着ボンドにおいて、好ましくは、存在する本発明のポリマーの少なくとも1つが30秒未満の開放時間を有する。
【0166】
基本的に、衛生品、例えば、それらはオムツ、ナプキン等の接着ボンドに制限はない。概して、発明の接着剤ボンドは、異なる材料、例えばポリマーフィルムおよび不織布を含む多層構造を形成する。加えて、吸湿物質、例えばポリアクリル酸粒子が接着ボンドに存在してよい。
【0167】
本発明の接着剤ボンドのさらなる使用分野は、構造木材接着ボンド、特に、はぎ接着および/または装飾紙被覆および/または装飾フィルム積層および/または組立接着ボンドである。
【0168】
発明の接着ボンドのさらなる重要な使用分野は、ガラス表面を含む分野である。この場合、接着ボンドは、吸湿物質、例えば、シリカゲル、ポリアクリル酸粒子等を含むことができる。この文脈における複合体は、好ましくは、マルチペイン絶縁ガラス複合体である。この目的のために、個々の構造にかかわらず、例えばさらなるスペーサが含まれていても、いなくても、当業者に既知のすべての種類のマルチペイン絶縁ガラス絶縁ガラス複合体が好適である。
【0169】
加えて、ガラス表面を含む発明の接着ボンドの場合は、積層を実施することができる。
【0170】
また、ガラス表面は、ガラス繊維の表面、例えば、データおよび/または電話線などに使用されるガラス繊維ケーブルの表面であってよい。
【0171】
本発明のさらなる実施形態において、接着結合される製品はラベルである。ラベルは、紙フィルム、ポリマーフィルム、金属箔および/または多層フィルムで構成されていてよく、ラッカー塗布、被覆、陽極化および/または表面処理された金属缶、特に錫メッキ缶、ならびにガラスまたはプラスチック(特にPET)ボトルのラベリングに使用される。特に、ラベル接着ボンドのための接着剤は、所謂「感圧」接着剤(PSA)であってよい。
【0172】
本発明のさらなる実施形態において、接着ボンドは積層であり、その場合、積層される表面は、好ましくは、金属(例えば、鋼、アルミニウム、真鍮、銅、錫、亜鉛、エナメル)、ガラス、セラミックで構成された無機および/または有機物質、および/または無機建築材料、例えば開放もしくは閉鎖気孔コンクリートの表面であってよい。加えて、表面は、木、紙、厚紙および/またはプラスチックであってよい。表面は、それ自体が、無機および有機材料で構成される複合材料(例えばガラス繊維複合材料)であってよい。この場合、貼合せ積層材料は、無機質および/または有機質であってよい。貼合せ無機積層材料の例は、超薄ガラスペイン、セラミック膜および/または金属箔(例えばアルミニウム箔)である。貼合せ有機積層材料の対応する例は、紙、厚紙、木ワニス、プラスチックおよび/または合成織物、不織布、合成革および/または天然革である。
【0173】
発明の接着ボンドは、自動車内装(例えば、サンバイザ、ルーフライナー等)における接着ボンドであってもよいことが理解される。
【0174】
本発明のさらなる好適な実施形態において、接着ボンドは、カーペットおよび/または合成芝を製造することを目的とする。特に、接着ボンドは、芝およびフィラメント結着に使用される。結合される繊維または繊維複合体は、天然および/または合成繊維であってよい。天然繊維または繊維複合体の例は、羊毛、木綿、サイザル麻、黄麻、藁、大麻、亜麻、絹および/またはこれらの繊維の混合物である。結合される合成繊維または繊維複合体の例は、(コ)ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、(コ)ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維および/またはこれらの繊維の混合物である。合成芝接着ボンドの場合、接着ボンドによって結合されるフィラメントは、ポリプロピレンフィラメント、ポリエチレンフィラメント、ポリアミドフィラメント、ポリエステルフィラメント、または列記されたポリマーの混合フィラメントから選択される。
【0175】
カーペット裏地の被覆のために接着ボンドを使用することが好ましい。加えて、織物基板をさらに貼り合わせることができる。得られたカーペット要素は、例えば、所謂メートル品、カーペットタイルまたは後変形性自動車カーペットである。芝およびフィラメント結着について記載されている用途において、存在する発明のポリオレフィンは、190℃の溶融粘度が10000mPa*sを超えず、好ましくは500〜8000mPa*s、より好ましくは600〜6000mPa*s、特に好ましくは750〜4000mPa*sである。発明のポリオレフィンの比率は、特に60〜98質量%である。塗布質量は、特に20〜1500g/m2である。さらなる実施例は、さらなる例は、当業者の技術的能力の範囲内である。
【0176】
加えて、発明の接着ボンドは、例えば、スポーツシューズ分野および/または所謂床革の製造に使用することができる靴用接着ボンドであってよい。
【0177】
同様に本発明による接着ボンドは、所謂「感圧接着ボンド」(PSA)である。ここで、発明のポリマーおよび/または存在する配合物成分の1つが、「低温流動性」(すなわち室温未満の溶融点)を有する場合に有利である。低温流動性を有する配合物成分は、例えば、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−ヘキセン−コ−1−オクテン)、ポリアクリレート等である。
【0178】
本接着ボンドの場合は、ボンドは、一般に、製本工程で用いられる接着ボンドである。
【0179】
織物接着ボンドの場合は、複数の織物層を特定の点で、または広範囲にわたって互いに結合させることができ、結合される織物要素は、天然または合成材料を含むことができる。特に、天然織物要素は、羊毛、馬毛、木綿、リネン布、大麻、黄麻、サイザル麻、亜麻、藁および/または革である。好適な合成織物要素は、成分として、ポリプロピレン、ポリエチレン、(コ)ポリアミド、(コ)ポリエステル、ナイロン、ペルロンおよび/またはKeflar(登録商標)を含む。特に、結合される1つ以上の要素は、不活性であってよい。特定の実施形態において、発明の接着剤配合物は、接着結合される織物層の間に粉末の形で導入され、熱エネルギーによって(例えばしごきプレスを利用して)活性化される。
【0180】
本発明の同様の発明の実施形態において、発明のポリマーを、標識材料、塗料材料、シール膜または屋根膜に使用することができる。
【0181】
発明の標識材料は、成形材料および接着剤配合物の説明のなかで既に記載されているさらなる成分を含むことができる。例えば、発明の標識材料を道路標識材料として使用することができる。
【0182】
塗料材料の場合、材料は、例えば、厚紙または紙の塗装のための塗料材料であってよい。
【0183】
加えて、発明のポリマーは、シール膜での使用に好適である。発明のポリマーに加えて、シール膜は、さらなる成分を含むことができる。特に、さらなる成分は、他のポリマー、充填剤およびビチューメンであってよい。屋根膜の場合は、発明のポリマーは、屋根膜に対して、30質量%を超えず、好ましくは27質量%を超えず、より好ましくは25質量%を超えず、特に好ましくは22質量%以下である。特に、シール膜は屋根膜である。屋根膜の場合、発明のポリマーの少なくとも1つが、−10℃以下のガラス転移温度、好ましくは−15℃以下のガラス転移温度、より好ましくは−18℃以下のガラス転移温度、特に好ましくは−20℃以下のガラス転移温度を有する。
【0184】
加えて、発明のポリマーは、下塗剤、接着促進剤としての使用、あるいは下塗剤配合物および/または接着促進剤配合物における使用に好適であり、特に、ハロゲン化有機成分が存在しないことが有利である。特に、未処理のポリオレフィン表面、特に未処理のポリプロピレンに対する有機塗料および/または接着剤の接着を達成するために、発明のポリマーを含む下塗剤および接着促進剤配合物が使用される。特定の場合、下塗剤および/または接着促進剤配合物は、後のペイント系の良好な接着性を達成するために、下塗剤としてポリプロピレン成形品、例えば自動車用緩衝装置および/または裏張部品に塗布される。
【0185】
加えて、発明のポリマーは、水性分散体、懸濁液および/またはエマルジョンでの使用に好適である。発明のポリマーに加えて、表面活性物質(例えば、イオン性および/または非イオン性の無機および/または有機界面活性剤)およびさらなるポリマー、特に極性モノマー単位を有するポリマー(例えば、ポリ(プロピレン−グラフト−無水マレイン酸))が、分散体、懸濁液および/またはエマルジョンに存在することが可能である。水性分散体、懸濁液および/またはエマルジョンは、好ましくは、発明のポリマーの特にテトラヒドロフランまたはキシレン溶液を使用して製造される。発明のポリマーの溶融物を使用する製造も可能であり、その場合、100℃未満、特に好ましくは90℃未満の溶融/軟化温度を有するポリマーを使用することが好ましい。挙げられている水性分散体、懸濁液および/またはエマルジョンにおいて、発明のポリオレフィンの比率は、配合物全体に対して10質量%を超える。
【0186】
さらなる説明を加えなくても、当業者は、上記説明を最大限に利用することができると想定される。したがって、好適な実施形態および実施例は、いかなる場合も制限として解釈されるべきでない単なる説明的開示として解釈されるべきである。
【0187】
実施例を参照して本発明を以下に詳細に説明する。本発明の代替的な実施形態が、同様の方法で得られる。
【実施例】
【0188】
分析:
a)高温13C NMR
ポリマー組成を高温13C NMRによって測定する。ポリマーの13C NMR分光分析は、例えば以下の文献に記載されている。
[1]S.Berger,S.Braun,H.−O.Kalinowski,13C NMR−Spektroskopie[13C NMR Spectroscopy],Georg Thieme Verlag Stuttgart 1985
[2]A.E.Tonelli,NMR Spectroscopy and Polymer Microstructure,Verlag Chemie Weinheim 1989
[3]J.L.Koenig,Spectroscopy of Polymers,ACS Professional Reference Books,Washington 1992
[4]J.C.Randall,Polymer Sequence Determination,Academic Press,New York 1977
[5]A.Zambelli et al:Macromolecules,8,687(1975)
[6]A.Fiho,G.Galland:J.Appl.Polym.Sci.,80.1880(2001)
【0189】
b)高温GPC
分子量を高温GPCによって測定する。測定をASTM D6474−99に従って実施するが、温度をより高くし(140℃の代わりに160℃)、射出容量を300μlの代わりにより低い150μlとする。ポリマーのGPS分析について引用されているさらなる文献を以下に示す。
H.G.Elias:"Makromolekuele";vol.2;Wiley−VCH;Weinheim 2001;
Z.Grubisic,P.Rempp,H.Benoit;Polym.Lett.;5;753(1967);
K.A.Boni,F.A.Sliemers,P.B.Stickney;J.Polym.Sci.;A2;6;1579(1968);
D.Goedhart,A.Opschoor;J.Polym.Sci;A2;8;1227(1970);
A.Rudin,H.L.W.Hoegy;J.Polm.Sci.;A1;10;217(1972);
G.Samay,M.Kubin,J.Podesva;Angew.Makromol.Chem.;72;185(1978);
B.Ivan,Z.Laszlo−Hedvig,T.Kelen,F.Tuedos;Polym.Bull.;8;311(1982);
K.−Q.Wang,S.−Y.Zhang,J.Xu,Y.Li,H.P.Li;J.Liqu.Chrom.;5;1899(1982);
T.G.Scholte,H.M.Schoffeleers,A.M.G.Brands;J.Appl.Polym.Sci.;29;3763(1984)。
【0190】
使用する溶媒はトリクロロベンゼンである。分析を160℃のカラム温度で実施する。溶離曲線の評価のために使用する汎用的な較正をポリオレフィン標準品に基づいて実施する。そうでなければ異なる三次元のポリマー構造および/または流体力学的半径の許容し得ない比較が行われるため、結果は、その較正が別の種類のポリマー、例えばポリスチレンに基づいて実施された分析、または汎用的な較正を含めずに実施された分析に匹敵しない。異なる三次元ポリマー構造および/または流体力学的半径が異なる溶媒に存在し得ることで、分子量測定の結果が異なるため、指定されたもの以外の溶媒を使用する測定との比較も許容し得ない。
【0191】
多分散度Pdを、数平均モル質量と質量平均モル質量との比と定義する。それは、特に、結局、存在する重合挙動に関する結論を許容することになる、存在するモル質量分布の幅の測度である。それを、高温GPCによって測定する。一定の範囲内において、多分散度は、特定の触媒−共触媒の組合せに対して特徴的である。多分散度は、室温における材料の粘着性および接着性に比較的強い影響を及ぼす。
【0192】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるモル質量の測定において、溶液に存在するポリマー鎖の流体力学的半径が重要な役割を果たす。熱伝導度、RI(屈折率)ならびにUV/VISおよびFTIRまたは光散乱検出器と同様に、使用される検出機構も粘度検出器である。ポリマー鎖が安定した球と見なされるときは、極限粘度数とモル質量との関係を所謂KMHS式
[η]=KVVα
によって経験的に示すことができる(H.−G.Elias,Makromolekuele,volume 2,6th edition,Wiley−VCH,Weinheim 2001,p.411−413)。ここで、KVおよびαは、ポリマーの構造、構成およびモル質量、ならびに溶媒および温度に影響される定数である。本発明におけるアルファ値の有意な結論は、ポリマー鎖上に存在する枝部に多少依存する流体力学的半径の結論である。アルファ値は、分枝が少ない場合に大きく、分枝が多い場合に小さい。
【0193】
c)流動
プレート−プレート構造(プレート直径:50mm)を有するAnton Paar MCR501流動計を振動計として使用して、ASTM D 4440−01(「Standard Test Method for Plastics: Dynamic Mechanical Properties Melt Rheology」)に従って流動測定を実施する。すべての測定に使用される最大サンプル変形率は1%である。温度に依存する測定を1Hzの測定周波数および1.5K/分の冷却速度で実施する。
【0194】
溶融粘度を、1Hzの剪断速度で作用する振動流量計によって測定する。サンプルが分析時間全体にわたって直線的な粘弾性範囲になるように、サンプルの最大変形率を選択する。Hookean固体と比較して、粘弾性材料は、特定の時間にわたって変形に起因する応力を消散させる(応力緩和)能力が注目に値する。剪断/伸長の作用下で専ら不可逆的に変形するニュートン液体と対照的に、粘弾性流体は、剪断力が除かれると、変形エネルギーの一部を回収することができる(所謂「復元効果」)[N.P.Cheremisinoff;"An Introduction to Polymer Rheology and Processing";CRC Press;London;1993]。ポリマー溶融物のさらなる特徴は、所謂構造粘度の存在である。これは、発生する力としての剪断応力が剪断速度の関数として材料の出発構造を崩壊させる挙動を指す。この崩壊プロセスは、最小の剪断速度を必要とするため、材料は、この剪断速度の下でニュートン液体の如く流動する。ルシャトリエの法則によって説明され、(機械応力を回避する)構造的に粘性の液体の「回避」は、摩擦抵抗を低減するために剪断表面の方向になる。後者は、出発状態の平衡構造の崩壊および剪断配向構造の形成をもたらし、流動がより容易になるという結果(粘度の低下)を招くことになる。ポリマー溶融物において、ニュートン領域は、非常に小さい剪断速度および/または小さい剪断振幅でのみ認知可能である。その測定は、流動試験法(振幅「スイープ」、すなわち剪断振幅の関数としての固定周波数における測定)によって可能であり、測定が可逆的、すなわち再現可能な範囲で実施されるときに必要である[R.S.Lenk;"Rheologie der Kunststoffe"[Rheology of the Plastics];C.Hanser Verlag;Munich;1971;J.Meissner;"Pheologisches Verhalten von Kunststoff−Schmelzen und −Loesungen"[Rheological behaviour of polymer melts and solutions]in:"Praktische Rheologie der Kunststoffe"[Practical rheology of the plastics];VDI−Verlag;Duesseldorf;1978;J.−F.Jansson;Proc.8th.Int.Congr.Rheol.;1980;Vol.3]。そこで作用するその力が弱く、その変形が小さく、その結果としてサンプル形態に対する影響が小さいため、振動流量測定は、構造粘性挙動を示す材料の試験に特に好適である。
【0195】
d)針入度
針入度をDIN EN 1426に従って測定する。
【0196】
e)DSC
溶融エンタルピー、ガラス転移温度および結晶性部分の溶融範囲を、10K/分の加熱速度で第2の加熱曲線からDIN 53765に従って示査走査熱測定(DSC)によって測定する。熱流曲線の回帰点をガラス転移温度として評価する。
【0197】
f)キシレン溶解度
キシレン異性体混合物を使用し、ポリマーを還流下で溶解させ、次いで溶液を室温まで冷却する。
【0198】
2gのポリオレフィンを250mlのキシレンに撹拌しながら溶解させ、キシレンの沸点まで加熱する。該混合物を還流下で20分間煮沸させてから、ポリマー溶液を25℃まで冷却させる。さらに、溶解せず、析出したポリオレフィンを(15cm吸引濾過器、Sartorius 390濾紙で)吸引濾過し、乾燥させる。残留ポリマー溶液を(1滴の37パーセントHCl水溶液を含む)5倍の過剰のメタノールに析出させる。得られた析出物を吸引濾過し、乾燥キャビネット(真空)にて80℃で乾燥させる。
【0199】
g)THFへの溶解度
THFへの溶解度は、半結晶性ポリオレフィンの特性である。手順は、キシレンへの溶解試験と同様である。
【0200】
h)引張強度および破断伸度
引張強度および破断伸度をDIN EN ISO 527−3に従って測定する。
【0201】
i)軟化点(リング・ボール)
軟化点をDIN EN 1427に従ってリング・ボール法によって測定する。
【0202】
j)接着剪断強度
接着剪断強度をDIN EN 1465に従って測定する。
【0203】
k)XRF分光分析
アルミニウム皿に注ぎ、硬化させたサンプルを打抜型(直径30mm)で切り出す。測定を二重測定として実施する。ポリマーサンプルの層厚は5mmを超える。サンプルをサンプルホルダに仕込み、分析する(計器:PANalytical PW2404)。定量測定を硼砂タブレット中のSiの外的較正に対して実施する。
【0204】
記載の試験方法は、グラフトされる基材ポリマーを含むか、または発明のポリオレフィンを含むかにかかわらず、本発明の文脈におけるあらゆる測定に関連する。
【0205】
変性ポリオレフィンの実施例
a)基材ポリマーの調製(重合)
基材ポリマーをWO2009/092752に記載されているように調製する。
【0206】
b)発明の基材ポリマーおよび発明外比較例
調製したポリマーのポリマー組成および微小構造を高温13C NMRによって測定する(第1表)。
【0207】
第1表
【表1】

【0208】
c)モル質量、モル質量分布およびポリマー分枝
分子量を高温GPCによって測定する。
【0209】
測定をASTM D6474−99に従って実施するが、温度をより高く(140℃の代わりに160℃に)し、注入容量を300μlの代わりにより低い150μlとする。低分子量成分を、適切な面積の積分によって得られたモル質量分布曲線から測定する(第2表)。
【0210】
第2表
【表2】

【0211】
【表3】

【0212】
d)発明の変性ポリマー
溶融物の発明の変性ポリオレフィンの調製:
半結晶性ポリオレフィン(組成および材料パラメータについては第1表および第2表参照)を、二軸押出機(Berstorff ZE40)にて、モノマーのビニルトリメトキシシランおよび開始剤の過酸化ジクミル(量については第3表参照)と特定の反応温度(第3表参照)で約90秒間(滞留時間)にわたって反応させる。過剰のモノマーを約20mbarの減圧にて押出機の最終ゾーンで蒸発させる。この後に、約0.3質量%のIRGANOX1076によって安定化させる。
【0213】
第3表
【表4】

【0214】
e)接着ボンド
木材ボンド
本発明に従って変性させたポリオレフィンを保護ガス雰囲気(例えば窒素、アルゴン等)下で乾燥キャビネットにて190℃で1時間にわたって溶融させ、次いで(温度センサを利用して)170℃の温度で木材試料(木の種類:固体ブナ)に塗布する。この木材試料を20秒以内で、さらなる木材試料(木の種類:固体ブナ)の4cm2の面積に対して簡単なオーバーラップによって貼りつけ、2kgの質量をかけながら5分間にわたって押さえつける。過剰の接着性ポリマーを除去する。続いて、結合した試料を気候制御キャビネットにて20℃/65%相対大気湿度で一定の日数にわたって保管し、次いで引張試験によってその機械特性を試験する。
【0215】
ポリプロピレンボンド
本発明に従って変性させたポリオレフィンを保護ガス雰囲気(例えば窒素、アルゴン等)下で乾燥キャビネットにて190℃で1時間にわたって溶融させ、次いで(温度センサを利用して)170℃の温度でポリプロピレン試料(アイソタクチックポリプロピレン、「PP−DWST」/製造者:Simona AG)に塗布する。このポリプロピレン試料を20秒以内で、さらなるポリプロピレン試料(「PP−DWST」/製造者:Simona AG)の4cm2の面積に対して簡単なオーバーラップによって貼りつけ、2kgの質量をかけながら5分間にわたって押さえつける。過剰の接着性ポリマーを除去する。続いて、結合した試料を気候制御キャビネットにて20℃/65%相対大気湿度で一定の日数にわたって保管し、次いで引張試験によってその機械特性を試験する。
【0216】
PMMAの接着ボンド/塗料
本発明に従って変性させたポリオレフィンの各々の100gを保護ガス雰囲気(例えば窒素、アルゴン等)下で乾燥キャビネットにて180℃で1時間にわたって溶融させる。続いて、ポリマー溶融物を(温度センサを利用して)170℃でポリメチルメタクリレート試料(「7N」成形材料、Evonik Roehm GmbH)に塗布する。このポリメチルメタクリレート試料を20秒以内で、さらなるポリメチルメタクリレート試料(「7N」成形材料、Evonik Roehm GmbH)の4cm2の面積に対して簡単なオーバーラップによって塗布し、2kgの質量をかけながら5分間にわたって押さえつける。過剰の接着性ポリマーを除去する。続いて、結合した試料を気候制御キャビネットにて20℃/65%相対大気湿度で14日間にわたって保管し、次いで引張試験によってその機械特性を試験する。
【0217】
アルミニウムの接着ボンド
本発明に従って変性されたポリオレフィンの各々の100gを保護ガス雰囲気(例えば窒素、アルゴン等)下で乾燥キャビネットにて180℃で1時間にわたって溶融させる。続いて、溶融したポリマーを(温度センサを利用して)特定の結合温度でアルミニウム試料(99.5、寸法:100mm×20mm×1.5mm)に塗布する。このアルミニウム試料を20秒以内で、さらなるアルミニウム試料(99.5、寸法:100mm×20mm×1.5mm)の4cm2の面積に対して簡単なオーバーラップによって貼りつけ、2kgの質量をかけながら5分間にわたって押さえつける。過剰の接着性ポリマーを除去する。続いて、結合した試料を気候制御キャビネットにて20℃/65%相対大気湿度で14日間にわたって保管し、次いで引張試験によってその機械特性を試験する。
【0218】
第4表
【表5】

【0219】
発明の実施例は、異なる基材ポリマーを基礎とする対応する比較例より良好な接着特性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20質量%以下のエチレン、50〜98質量%の、もしくは20質量%以下のプロピレンおよび/または75〜96質量%の、もしくは25質量%以下の1−ブテンまたはその他の直鎖状1−オレフィン(比率の合計は100質量%である)を含む非官能化ポリオレフィンを基礎とする変性ポリオレフィンであって、プロペントライアドに対する13C NMRによって測定されたトライアド分布が、75〜98質量%のアイソタクチック含有量、20質量%以下のシンジオタクチック含有量、20質量%未満のアタクチック含有量を有し、かつ/または1−ブテントライアドに対する13C NMRによって測定されたトライアド分布が、10〜98質量%のアイソタクチック含有量、1〜90質量%のアタクチック含有量および25質量%以下のシンジオタクチック含有量を有し、プロペンおよび1−ブテンのアイソタクチック、シンジオタクチックおよびアタクチックトライアドの含有量が、それぞれ合計100%になり、前記非官能化ポリマーが、メタロセン触媒を使用して製造され、かつ前記非官能化ポリオレフィンに、1つ以上の官能基を有するモノマーがグラフトされている変性ポリオレフィン。
【請求項2】
非官能化ポリオレフィンにおいて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析で確認された500〜1000ダルトンの分子量を有する低分子量成分の比率が0.75質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の変性ポリオレフィン。
【請求項3】
官能基を有するモノマーが、カルボン酸および/またはカルボン酸誘導体、アクリレート、ビニルシラン、ビニル芳香族化合物、環式イミドエステルおよびそれらのビニル化合物、ビニルイミダゾリン、ビニルピロリドンおよび/または非環式ビニル化合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の変性ポリオレフィン。
【請求項4】
非官能化ポリマーが、20質量%以下のエチレン含有量を有するポリ(エチレン−コ−プロピレン)コポリマー、15質量%以下のエチレン含有量を有するポリ(エチレン−コ−1−ブテン)コポリマー、2〜20質量%または50〜98質量%のプロピレン含有量を有するポリ(プロピレン−コ−1−ブテン)コポリマー、または20質量%以下のエチレン含有量を有するポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−1−ブテン)ターポリマーであることを特徴とする、請求項1〜3の一項以上に記載の変性ポリオレフィン。
【請求項5】
メタロセン触媒が、式I
x11aYR22a(IndR3456782MCl2
[式中、
Mは、Zr、HfおよびTiを含む群から選択される遷移金属であって、
Indはインデニルであり、
x11aYR22aは、ブリッジとしてインデニル基を結合し、
ZおよびYは、炭素および/またはケイ素から選択され、
xは=0または1であり、
1、R1aおよびR2aおよびR2aは、H、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル基、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシアルキル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基またはアルコキシアリール基からそれぞれ独立して選択され、
3〜R8は、H、および/または1〜10個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル基、6〜10個の炭素原子を有するアルキルアリール基、アリールアルキル基、またはアリール基を含む群から選択される]の化合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜4の一項以上に記載の変性ポリオレフィン。
【請求項6】
請求項1に記載の変性ポリオレフィンを製造するための方法であって、20質量%以下のエチレンを含む少なくとも1つの非官能化ポリオレフィンは、50〜98質量%の、もしくは20質量%以下のプロピレンおよび/または70〜100質量%の、もしくは25質量%以下の1−ブテンもしくは別の直鎖状1−オレフィンを含み(比率の合計は100質量%である)、プロペントライアドについて13C NMRによって測定されたトライアド分布は、アイソタクチック含有量が75〜98質量%であり、シンジオタクチック含有量が20質量%を超えず、アタクチック含有量が20質量%未満であり、かつ/または13C NMRによって測定された1−ブテンのトライアド分布は、アイソタクチック含有量が10〜98質量%であり、アタクチック含有量が1〜90質量%であり、シンジオタクチック含有量が25質量%を超えず、プロペンおよび1−ブテンのアイソタクチック、シンジオタクチックおよびアタクチックトライアドの含有量は、それぞれ合計100%になり、前記非官能化ポリマーを、メタロセン触媒を使用して製造し、少なくとも1つの遊離ラジカル開始剤、および1つまたは複数の官能基を有するモノマーと接触させた後、1つ以上の官能基を有するモノマーを少なくとも1つの非官能化ポリマー上にグラフト反応させることを特徴とする前記方法。
【請求項7】
官能基を有するモノマーが、カルボン酸および/またはカルボン酸誘導体、アクリレート、ビニルシラン、ビニル芳香族化合物、環式イミドエステルおよびそれらのビニル化合物、ビニルイミダゾリン、ビニルピロリドンおよび/または非環式ビニル化合物の群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1つ以上の官能基を有するモノマーが、溶液または溶融物にてグラフトされることを特徴とする、請求項6および7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
グラフトが、30〜250℃の温度で実施されることを特徴とする、請求項6〜8の一項以上に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜5の一項以上に記載の変性ポリオレフィンを、成形材料として、または成形材料において、保護材料において、接着剤として、または接着剤において、シール材において、床材において、標識材料、塗料材料、シール膜、もしくは屋根膜において、下塗剤として、または下塗剤配合物および/または接着促進剤配合物において、および/または分散体、懸濁液もしくはエマルジョンにおいて用いる使用。
【請求項11】
請求項1〜5の一項以上に記載の1つ以上の変性ポリオレフィンを含む成形材料、保護材料、接着剤、シール材、床材、標識材料、塗料材料、シール膜、もしくは屋根膜、下塗剤、下塗剤配合物、接着促進剤配合物、分散体、懸濁液および/またはエマルジョン。
【請求項12】
ホットメルト接着剤配合物であることを特徴とする、請求項11に記載の接着剤。
【請求項13】
架橋促進剤、無機および/または有機充填剤、無機および/または有機顔料、合成および/または天然樹脂、無機および/または有機の合成および/または天然ポリマー、無機および/または有機の合成および/または天然繊維、無機および/または有機安定剤、無機および/または有機難燃剤、樹脂、非晶質ポリ(α−オレフィン)、極性基を有するポリマー、エチレン、ブタジエン、スチレンおよび/またはイソプレンを基礎とするポリマー、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、ジエンおよび/または環式ジエンを基礎とする弾性ポリマー、スチレン、ワックス、1つ以上の合成または天然油、および/またはUV活性物質をさらに含むことを特徴とする、請求項11および12のいずれかに記載の接着剤。
【請求項14】
他のポリマー、充填剤および/またはビチューメンをさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載のシール膜。
【請求項15】
請求項1〜5の一項以上に記載の1つ以上の変性ポリオレフィンを含む接着ボンド。
【請求項16】
包装用ボンド、衛生品のボンド、木材接着ボンド、ガラス表面のボンド、ラベルボンド、積層ボンド、カーペットもしくは合成芝のボンド、靴用ボンド、感圧ボンド、本のボンドまたは織物ボンドであることを特徴とする、請求項15に記載の接着ボンド。
【請求項17】
ポリオレフィン表面を処理するのに使用されることを特徴とする、請求項1〜5の一項以上に記載の1つ以上のポリオレフィンを含む、請求項11に記載の下塗剤および/または接着促進配合物。
【請求項18】
ポリマーの比率は、配合物全体に対して、10質量%を超えることを特徴とする、請求項1〜5の一項以上に記載の1つ以上のポリオレフィンを含む、請求項11に記載の分散体、懸濁液および/またはエマルジョン。

【公開番号】特開2011−12263(P2011−12263A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−152956(P2010−152956)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】