説明

構造化表面物品の製造方法

構造化表面を有する物品の製造プロセスである。プロセスは、所望の構造化表面のネガティブを含むツールを提供する工程と、ツールのネガティブ表面をフルオロケミカルベンゾトリアゾールと接触させてコートされた表面を形成する工程と、コートされたツールと樹脂とを接触させて樹脂上に構造化表面を形成する工程と、樹脂をツールから除去して所望のポジティブ構造化表面を有する表面を有する物品を形成する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複製物品の生産に関する。複製物品は、所望の断面を有する少なくとも1つの幾何学的特徴を含む構造化表面を有する。
【背景技術】
【0002】
複製された表面を有する物品、およびこのような物品を提供するためのプロセスが公知である。例えば、米国特許第6,096,247号明細書および同6,808,658号明細書、および米国特許出願公開第2002/0154406 A1号明細書を参照のこと。これらの文献において開示された複製された表面は微小角柱(微小立方体などの)およびレンズを包含する。典型的にはこれらの構造は、例えばエンボス加工、押出し成形または切削により好適なポリマーの表面に形成される。
【0003】
このような物品の生産は、度々、所望の構造化表面のネガティブ版を備えるツールがポリマー樹脂と接触される工程を含む。樹脂との接触は、ツールのキャビティを充填するための適切な条件化で一定時間の間維持され、その後、樹脂がツールから除去される。得られた構造化表面は、ツールのネガティブ表面の複製である。
【0004】
樹脂のツールからの除去を促進するために離型剤がツールに塗布されることが典型的である。例えば、油およびワックスなどの有機材料ならびにシリコーンが、離型剤として用いられて、離型特性が表面に提供されている。これらの離型剤の1つの短所は、適切な離型特性が提供されるよう、通常は表面に頻繁に再塗布される必要性があることである。ポリテトラフルオロエチレンから形成されるものなどの高分子離型コーティングは、油、ワックス、シリコーンおよび他の一時的コーティングのいくつかの欠点に対応しており、および多くの場合より耐久性である。典型的にはしかしながら、高分子離型コーティングは、非耐久性処理よりもより厚いコーティングを必要とし、これらは厚さの偏差を被ることができ、および適用困難性を呈する可能性がある。
【0005】
さらに、半結晶性ポリマーなどの一定のクラスのポリマーは、ツールから高い信頼性をもって、かつ、きれいに分離しないことが見出されている。従って、このようなポリマーでツールのネガティブ表面を複製することは困難である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ツールのネガティブ表面の複製に広く多様なポリマーを用いることができる方法を提供する。本発明は、
(a)所望の構造化表面のネガティブ表面を含むツールを提供する工程と、
(b)ツールのネガティブ表面を、フルオロケミカルベンゾトリアゾールを含む組成物と接触させて、コートされたネガティブ表面を提供する工程と、
(c)コートされたネガティブ表面を樹脂と接触させて、樹脂に幾何学的特徴を含む所望の構造化表面を形成する工程と、
(d)樹脂をツールから除去する工程と
含む、所望の構造化表面を有する高分子物品の製造方法を提供する。
【0007】
本発明のプロセスにより物品に形成された構造化表面は、ツールのネガティブ表面の複製物を含む。物品の構造化表面は、所望の断面形状を有する少なくとも1つの幾何学的特徴を有する。本発明の方法の一実施形態は、構造化表面を有するフィルムの製造を含む。本発明の方法は、フィルムなどの非配向および配向物品の製造に用いられ得る。配向物品は一軸配向または二軸配向であり得る。本発明のプロセスによって製造された複製された構造化表面は、複数の幾何学的特徴を含み得る。幾何学的特徴または複数の特徴は、細長くてもよい。特徴または複数の特徴は、物品の第1の面内軸と配列されていてもよい。または、これらは、第1の面内軸に対していずれかの所望の角度で物品上に配置されていてもよい。方法は、単一層または複数の個別層を含む物品の製造に用いられ得る。層は、異なる高分子材料を含み得る。物品は、ポジティブにまたはネガティブに複屈折性であってもよい。追加で、本発明の方法は、それらの反対の面の両方に構造化表面を有する物品の製造に用いられ得る。
【0008】
本発明のプロセスによって複製された幾何学的特徴または複数の特徴は、角柱状またはレンズ状幾何学的特徴の一方であり得る。幾何学的特徴または複数の特徴は連続的であっても断続的であってもよく、マクロ−または微小特徴であってもよく、以下により完全に考察されるとおり、多様な断面プロファイルを有していてもよい。幾何学的特徴は、複製された表面上において反復的であっても非反復的であってもよい。複製された表面は、同一の断面形状を有する複数の幾何学的特徴を含み得る。または、複製された表面は、異なる断面形状を有する複数の幾何学的特徴を有し得る。
【0009】
本願明細書において、以下の用語および句は以下の意味を有するとして用いられている。
【0010】
「断面形状」およびその明らかな変形は、第2の面内軸および第3の軸によって分画される幾何学的特徴の外周縁の構成を意味する。幾何学的特徴の断面形状は、物理的寸法から独立している。
【0011】
「延伸比」およびその明らかな変形は、延伸方向に沿って離間する2つの点の間の延伸後の距離対相当する点の間の延伸前の距離の比を意味する。
【0012】
「幾何学的特徴」およびその明らかな変形は、構造化表面上に存在する、予め定められた形状または複数の形状を意味する。
【0013】
「マクロ」は接頭語として用いられており、修飾する用語が1mmを超える高さを有する断面プロファイルを有することを意味する。
【0014】
「金属表面」およびその明らかな変形は、メタロイドをも含有し得る、金属または金属合金でコートまたは形成された表面を意味する。「金属」とは、延性、展延性、光沢、および熱および電気の伝導性によって一般に特性づけられ、ヒドロキシルラジカルと塩基を形成し、および酸の水素原子を置き換えて塩を形成することができる、鉄、金、アルミニウム等などのエレメントを指す。「メタロイド」とは、金属のいくつかの特性を有するおよび/または金属と合金を形成する(例えば、半導体)非金属エレメントを指し、金属および/またはメタロイドドーパントを含有する非金属エレメントをも包含する。
【0015】
「微小」は接頭語として用いられており、修飾する用語が1mm以下の高さを有する断面プロファイルを有することを意味する。好ましくは、断面プロファイルは、0.5mm以下の高さを有する。より好ましくは、断面プロファイルは、0.05mm以下の高さを有する。
【0016】
「一軸延伸」は、その明らかな変形を包含して、物品の対向する縁を把持し、およびこの物品を1方向にのみ物理的に延伸する動作を意味する。一軸延伸は、例えば瞬間的なまたは比較的極めて少ない二軸延伸をフィルムの部分に誘起することができるせん断効果に起因するフィルムの均一な延伸におけるわずかな不完全性を包含することを意図する。
【0017】
「構造表面」は、少なくとも1つの幾何学的特徴を有する表面を意味する。
【0018】
「構造化表面」は、所望の何学的特徴または複数の幾何学的特徴を表面に付与するいずれかの技術によって形成された表面を意味する。
【0019】
積層フィルムの場合において、「一軸」または「真に一軸」は、他に記載がなければ、フィルムの個別の層に適用されることを意図している。
【0020】
本発明は、本発明の種々の実施形態の、添付の図面に関連した以下の詳細な説明において、より完全に理解され得る。
【0021】
本発明は、種々の改良および代替形態を受容可能である。本発明の詳細が、例示の目的のみのために図面に示されている。記載の特定の実施形態に本発明が限定されることを意図するものではない。代わりに、本発明の思想および範囲内のすべての改良、均等物、および代替物をカバーすることを意図する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明のプロセスによって製造される物品およびフィルムは、一般に、本体部分および表面構造部分を含む。図1は、本発明の種々の実施形態により製造されたフィルムの端面図を表す。図2A〜2Eは、本発明のプロセスによって製造されることができるいくつかの変形実施形態フィルムの端面図を表す。図3A〜3Wは、本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの変形実施形態を表す。
【0023】
図1を参照すると、フィルム9は、厚さ(Z)を有する本体またはランド部分11および高さ(P)を有する表面部分13を含む。表面部分13は、ここでは直角角柱として表される、一連の平行な幾何学的特徴15を含む。幾何学的特徴15の各々は、ベース幅(BW)および頂間間隔(PS)を有する。フィルムは、P+Zの和に等しい総厚Tを有する。
【0024】
本体またはランド部分11は、フィルム9の底面17と、表面部分15の最低点との間の物品の部分を含む。いくつかの場合において、これは、物品の幅(w)にわたって一定の寸法であり得る。他の場合において、この寸法は、異なる頂部の高さを有する幾何学的特徴の存在によって変化し得る。図2Eを参照のこと。
【0025】
フィルム9は、第1の面内軸18、第2の面内軸20および第3の軸22を有する。図1において、第1の面内軸18は幾何学的特徴15の長さに実質的に平行である。図1において、第1の面内軸はフィルム9の端部に対して直角である。これらの3本の軸は互いに相関して相互に直交する。
【0026】
本発明の方法は一軸配向フィルムの製造に用いられることができる。一軸配向は、第1の面内軸(n1)に沿ったフィルムの屈折率、第2の面内軸(n2)に沿った屈折率、および第3の軸(n3)に沿った屈折率の差を測定することにより判定され得る。本発明の一軸配向フィルムは、n1≠n2およびn1≠n3を有する。さらに、n2およびn3は、n1との差に関して互いに実質的に同一である。本発明のフィルムが真に一軸配向であることが好ましい。
【0027】
本発明の方法はまた、0.3以下の相対的複屈折を有するフィルムを提供するために用いられ得る。他の実施形態において、相対的複屈折は0.2未満でありおよびさらなる他の実施形態においては0.1未満である。相対的複屈折は、以下の式から決定される絶対値である。
|n2−n3|/|n1−(n2+n3)/2|
【0028】
本発明の方法は、角柱状またはレンズ状幾何学的特徴の少なくとも1つを有するフィルムの製造に用いることができる。幾何学的特徴は、フィルムの第1の面内軸に全体が平行である細長い構造であり得る。図1に示されているとおり、構造化表面は一連の直角角柱16を含む。しかしながら、他の幾何学的特徴およびこれらの組み合わせが用いられ得る。例えば、図2A〜2Eおよび図3A〜3Wを参照のこと。図2Aは、幾何学的特徴が、尖部を有している必要がなく、かつ、ベースにおいて相互に接触している必要もないことを示している。図2Bは、幾何学的特徴が丸みのある頂部および湾曲したファセットを有し得ることを示している。図2Cは、幾何学的特徴の頂部が平坦であり得ることを示している。図2Dは、フィルムの反対の表面の両方が構造化表面を有し得ることを示している。図2Eは、幾何学的特徴がさまざまなランド厚さ、頂部高さおよびベース幅を有し得ることを示している。
【0029】
図3A〜3Wは、構造化表面を提供するために用いられ得る他の断面形状を現している。これらの図は、幾何学的特徴が、窪み(図3A〜Iおよび3Tを参照のこと)または突起(図3J〜3Sおよび3U〜Wを参照のこと)を含み得ることをさらに表している。特徴が窪みを含む場合には、図3Cに示されるとおり、窪みの間の隆起したエリアは突起−タイプの特徴と見なし得る。
【0030】
本発明の方法は、所望の結果を達成するよういずれかの方策で組み合わされ得る種々の特徴の実施形態を提供するために用いられ得る。例えば水平面が、ラジアス形または平坦な頂部を有する特徴を分離し得る。しかも、これらの特徴のいずれかにおいて湾曲した表面が用いられ得る。
【0031】
図から見ることができるように、いかなる所望の幾何学的形状の特徴を提供するために本発明の方法が用いられ得る。これらはフィルムのz軸について、対称または非対称であり得る。これらは、単一の特徴、所望のパターンの複数の同一の特徴、または所望のパターンに配設された2つ以上の特徴の組み合わせを含み得る。追加で、高さおよび/または幅などの特徴の寸法は、構造化表面にわたって同一であり得る。または、これらは特徴毎に異なっていてもよい。
【0032】
本発明のプロセスは、一般に、エンボス加工、キャスティング、共押出しまたは他の非切削技術によって付与される所望の構造化を有することが可能である高分子樹脂を提供する工程を含む。構造化表面は、所望の物品の形成と同時に形成されても、物品が形成された後に樹脂の第1の表面に付与されてもよい。プロセスを、図4に関してさらに説明する。
【0033】
図4は、本発明による方法の概略図である。方法において、フィルムの所望の構造化表面のネガティブ版を含むツール24が提供され、および駆動ロール26Aおよび26Bの手段によりダイ28のオリフィス(図示せず)を通過して推進される。ダイ28は、ペレット、粉末等の形態での乾燥高分子樹脂を受けるフィードホッパー32を有するエクストルーダ30をここでは含む溶融系の排出点を含む。溶融樹脂は、ツール24上にダイ28から排出される。ダイ28およびツール24の間に間隙33が設けられている。溶融樹脂はツール24に接触すると共に硬化して高分子フィルム34を形成する。次いで、フィルム24の前縁がストリッパロール36でツール24から除去される。続いて、フィルム24は、所望の場合には、延伸装置38に向かわされ得る。フィルム24は、次いで、ステーション40で連続ロールに巻かれ得る。
【0034】
フィルム34が延伸される必要はないことに注目すべきである。従って、フィルムはロールに巻かれるか、またはシートに切り取られてさらなる使用のために、延伸せずに積み重ねられてもよい。延伸が所望の場合には、図4に示すライン上ではなく、これに続く工程において行い得る。
【0035】
多様な技術が用いられて構造化表面をフィルムに付与し得る。これらはバッチおよび連続的技術を包含する。これらは、所望の構造化表面のネガティブである表面を有するツールを提供する工程と、所望の構造化表面のポジティブ版をポリマーに形成するに適当な条件下で一定の時間、高分子フィルムの少なくとも1つの表面をツールに接触させる工程と、および構造化表面を有するポリマーをツールから除去する工程とを含む。典型的にはツールのネガティブ表面は、金属表面を含む。
【0036】
ダイ28およびツール24が相互に垂直配置で示されているが、水平配置または他の配置もまた利用し得る。特定の配置にかかわらず、ダイ28は溶融樹脂を間隙33でツール24に供給する。
【0037】
ダイ28は、ツール24に向って移動することが許容される形で搭載されている。これは、間隙32を所望の空隙に調整することを可能としている。間隙32のサイズは、溶融樹脂の組成、その粘度およびほとんど完全にツールを溶融樹脂で充填するために必要な圧力に応じる。
【0038】
溶融樹脂は、任意により適用される吸引、圧力、温度、超音波振動または機械的手段で、好ましくはツール24のキャビティに実質的に充填されるような粘度のものである。樹脂が実質的にツール24のキャビティを充填した場合、得られるフィルムの構造化表面が複製されたと称される。
【0039】
樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、典型的には固体としてフィードホッパー32に供給される。十分な熱がエクストルーダ30に供給されて、固体樹脂が溶融塊に転換される。ツールは、典型的には、加熱された駆動ロール26A上を通過することにより加熱される。駆動ロール26Aは、例えばその中に高温オイルを循環させることにより、または誘電的に加熱することにより加熱され得る。ツール24の温度は、典型的には樹脂の軟化点を超えるが、その分解温度未満である。
【0040】
部分的に重合された樹脂を包含する重合性樹脂の場合、樹脂は、ダイ28へ供給するディスペンサへ直接的に注入またはポンプされ得る。樹脂が反応性樹脂である場合、本発明の方法は、樹脂を硬化させる1つ以上の追加の工程を包含する。例えば、樹脂は、紫外光、赤外線、電子ビーム放射、可視光等などの化学線などの好適な放射エネルギー源に、樹脂を硬化させるに十分な時間露出させることにより硬化され、およびツール24から除去される。
【0041】
溶融フィルムは、多様な方法により冷却されて、さらなる処理のためにフィルムを硬化されることができる。これらの方法としては、押出し樹脂への水の噴霧、冷却ロールを備えるツールの非構造化表面を接触させること、または空気のフィルムへの直接的な吹付けが挙げられる。
【0042】
前述の考察は、フィルムおよび構造化表面の同時の形成に集中していた。本発明において有用である他の技術は、ツールを、予め形成されたフィルムの第1の表面に接触させる工程を含む。次いで、圧力、熱または圧力および熱が、フィルムの表面が十分に軟化してフィルムに所望の構造化表面が形成されるまでフィルム/ツールの組み合わせに適用される。ツールのキャビティが完全に充填されるまでフィルムの表面が十分に軟化されることが好ましい。続いて、フィルムが冷却されおよびマスターから除去される。
【0043】
前述のとおり、ツールは、所望の構造化表面のネガティブ版(すなわち、ネガティブ表面)を含む。従って、ツールは、突起および窪み(またはキャビティ)を予め定められたパターンで含む。ツールのネガティブ表面は、第1のまたは第2の面内軸に関していずれかの配列で構造化表面上に幾何学的特徴が形成されるよう、樹脂と接触されることができる。従って、例えば、図1の幾何学的特徴は、物品の縦または長さ方向、または横または幅方向のいずれかと配列されていてもよい。
【0044】
複製工程の一実施形態において、ツールのキャビティは、樹脂によって少なくとも50%充填される。他の実施形態において、キャビティは樹脂によって少なくとも75%充填される。さらに他の実施形態において、キャビティは、樹脂によって少なくとも90パーセント充填される。さらに他の実施形態においては、キャビティは、樹脂によって少なくとも95%充填される。他の実施形態の事例においては、キャビティは、樹脂によって少なくとも98%充填される。
【0045】
ネガティブに対する適切な適合度は、キャビティが樹脂によって少なくとも75%充填されるとき、多くの適用について達成され得る。しかしながら、キャビティが樹脂により少なくとも90%充填されるとき、ネガティブに対するよりよい適合度が達成される。キャビティが樹脂によって少なくとも98%充填されるとき、ネガティブに対する最良の適合度が達成される。
【0046】
所望の構造化表面の形成に用いられるツールは、フルオロケミカルベンゾトリアゾールを含むコーティングをネガティブ表面に有する。フルオロケミカルベンゾトリアゾールは、好ましくは、実質的に連続的な単一層フィルムをツール上に形成する。分子が「実質的に連続的な単一層フィルム」を形成する、とは、個別の分子が、それらの分子構造が許容する限り密に詰まることを意味する。フィルムの自己組織化においては、本発明の分子のトリアゾール基がツールの金属/メタロイド表面の可能エリアに結合し、およびフルオロカーボン末端が実質的に外部界面にむかって配列されている、と考えられている。
【0047】
単一層フィルムの有効性および、表面に単一層フィルムが形成される程度は、一般に、化合物とツールの特定の金属またはメタロイド表面との間の結合の強度およびフィルム−コートされた表面が用いられる条件に依存する。例えば、いくつかの金属またはメタロイド表面は高度に粘着性の単一層フィルムを必要とし得る一方、他のこのような表面はより低い結合強度を有する単一層フィルムを必要とする。有用な金属およびメタロイド表面としては、本発明の化合物と結合を形成するであろう、および好ましくは、単一層または実質的に連続的な単一層フィルムを形成するいずれかの表面が挙げられる。前記単一層フィルムを形成するための好適な表面の例としては、銅、ニッケル、クロム、亜鉛、銀、ゲルマニウム、およびこれらの合金を含むものが挙げられる。
【0048】
単一層または実質的に連続的な単一層フィルムは、表面の全面をコートするのに十分な量のフルオロケミカルベンゾトリアゾールと接触させることにより形成され得る。化合物は、適切な溶剤に溶解されていてもよく、組成物は表面に塗布され、および乾燥される。好適な溶剤としては、酢酸エチル、2−プロパノール、アセテート、2プロパノール、アセトン、水およびこれらの混合物が挙げられる。または、フルオロケミカルベンゾトリアゾールは表面に気相から蒸着されてもよい。いずれの過剰な化合物は、基材を溶剤ですすぐことにより、および/または処理済基材を利用することにより除去され得る。
【0049】
フルオロケミカルベンゾトリアゾールは、単に金属およびメタロイド表面に化学的に結合すると見出されたばかりではなく、例えば、離型性および/または腐食防止特徴をもこれらの表面に付与する。これらの化合物は、金属またはメタロイド表面(マスターツールなどの)に結合することができる頭部基と、被離型材料から適当に異なる極性および/または官能性の尾部分を有するとして特性づけられる。これらの化合物は、単層である、または実質的に単層である耐久性の、自己組織化フィルムを形成する。フルオロケミカルベンゾトリアゾールとしては以下の式を有するものが挙げられる。
【化1】

式中、RfはCn2n+l−(CH2m−であり、ここで、nは1〜22の整数であり、およびmは0、または1〜22の整数であり、Xは−CO2−、−SO3−、−CONH−、−O−、−S−、共有結合、−SO2NR−、または−NR−であり、ここで、RはHまたはC1〜C5アルキレンであり;Yは−CH2−であり、ここでzは0または1であり;およびR’はH、低級アルキルまたはRf−X−Yz−であり、ただし、Xが−S−、または−O−であるとき、mは0、およびzは0、nは≧7でありおよびXが共有結合であるとき、mまたはzは少なくとも1である。好ましくは、n+mは8〜20の整数に等しい。
【0050】
フルオロケミカルベンゾトリアゾール組成物の離型剤として用いられるために特に有用なクラスは、以下の式を有する1つ以上の化合物を含む。
【化2】

式中、RfはCn2n+l−(CH2m−であり、ここで、nは1〜22であり、mは0または1〜22の整数であり、Xは−CO2−、−SO3−、−S−、−O−、−CONH−、共有結合、−SO2NR−、または−NR−であり、ここで、RはHまたはC1〜C5アルキレンであり、およびqは0または1であり;YはC1〜C4アルキレンであり、およびzは0または1であり;およびR’はH、低級アルキル、またはRf−X−Yzである。このような材料が、米国特許第6,376,065号明細書に記載されている。
【0051】
本発明のプロセスは延伸工程を包含し得る。例えば、物品は、一軸(uniaxially)(monoaxiallyを含む)配向または二軸配向の一方であり得る。追加で、プロセスは、任意により、オーブンまたは他の装置を提供することなどの、延伸に先立つ前処理工程を包含し得る。前処理工程は、予熱ゾーンおよび加熱ゾーンを包含し得る。プロセスは後処理工程をも包含し得る。例えば、フィルムが先ず熱処理されおよび続いて急冷され得る。
【0052】
普通、本発明において用いられるポリマーは、結晶性、半結晶性、液晶性または非晶質ポリマーまたはコポリマーであり得る。ポリマー技術分野においては、ポリマーは、典型的には、完全に結晶性ではないと一般に認識されており、従って、本発明のコンテクストにおいては、結晶性または半結晶性ポリマーは非晶質ではないポリマーを指すと共に、部分結晶性、半結晶性等の、通例結晶性として称されるこれらの材料のいずれかを含むことが理解されるべきである。液晶ポリマーはまた、度々剛性−ロッドポリマーとして称され、技術分野において三次元的結晶性秩序から異なるいくらかの形態の長距離秩序を備えていると理解されている。
【0053】
本発明においては、フィルム形態へ溶融加工性または硬化性の一方であるいずれかのポリマーが用いられ得ることが予期される。これらとしては、限定されないが、ホモポリマー、コポリマー、および以下の族からポリマーへ硬化することができるオリゴマーであって:ポリエステル(例えば、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンビ安息香酸、ポリアルキレンナフタレート(例えばポリエチレンナフタレート(PEN)およびその異性体(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および2,3−PEN)およびポリブチレンナフタレート(PBN)およびその異性体)、および液晶ポリエステル);ポリアリレート;ポリカーボネート(例えば、ビスフェノールAのポリカーボネート);ポリアミド(例えばポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、およびポリアミド612、芳香族ポリアミドおよびポリフタルアミド);ポリエーテル−アミド;ポリアミド−イミド;ポリイミド(例えば、熱可塑性ポリイミドおよびポリアクリルイミド);ポリエーテルイミド;ポリオレフィンまたはポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリ(4−メチル)ペンテン);サーリン(Surlyn)(登録商標)(デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.Du Pont de Nemours & Co.,Wilmington,Del.)から入手可能)などのアイオノマー;ポリ酢酸ビニル;ポリビニルアルコールおよびエチレン−ビニルアルコールコポリマー;ポリメタクリレート(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、およびポリメチルメタクリレート);ポリアクリレート(例えば、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、およびポリブチルアクリレート);ポリアクリロニトリル;フルオロポリマー(例えば、パーフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン−コ−トリフルオロエチレン、ポリ(エチレン−alt−クロロトリフルオロエチレン)、およびTHV(登録商標)(3M Co.));塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデンおよびポリ塩化ビニル);ポリアリールエーテルケトン(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」));脂肪族ポリケトン(例えば、エチレンおよび/またはプロピレンと二酸化炭素とのコポリマーおよびターポリマー);いずれかの立体規則性のポリスチレン(例えば、アタクチックポリスチレン、イソタクチックポリスチレンおよびシンジオタクチックポリスチレン)およびいずれかの立体規則性の環状−または鎖状−置換ポリスチレン(例えば、シンジオタクチックポリ−α−メチルスチレン、およびシンジオタクチックポリジクロロスチレン);いずれかのこれらのスチレン系材料のコポリマーおよびブレンド(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー);ビニルナフタレン;ポリエーテル(例えば、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)、ポリエチレンオキシドおよびポリオキシメチレン);セルロース系材料(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、および硝酸セルロース);硫黄含有ポリマー(例えば、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、およびポリエーテルスルホン);シリコーン樹脂;エポキシ樹脂;エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、およびネオプレン)、およびポリウレタンを挙げ得る。2つ以上のポリマーまたはコポリマーのブレンドまたは混合物もまた用いられ得る。
【0054】
上述のとおり、半結晶性ポリマー、特にポリエステルを用いて表面複製することは困難であった。一般に、これらは複製プロセス中にツールに粘着的に接着する。その結果、複製された表面に損傷を起こさずにツールから除去することは困難である。本発明において有用である半結晶性熱可塑性ポリマーの例としては、半結晶性ポリエステルが挙げられる。これらの材料としては、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートが挙げられる。ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含むポリマーは、本発明における望ましい特性を多数有していることが見出されている。
【0055】
ポリエステルに用いられるための好適なモノマーおよびコモノマーは、ジオールまたはジカルボン酸またはエステルタイプのものであり得る。ジカルボン酸コモノマーとしては、限定されないが、テレフタル酸;イソフタル酸;フタル酸;すべてのナフタレンジカルボン酸異性体(2,6−、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,4−、2,5−、2,8−);4,4’−ビフェニルジカルボン酸およびその異性体、t−4,4’−スチルベンジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸およびその異性体、ハロゲン化芳香族ジカルボン酸(2−クロロテレフタル酸および2,5−ジクロロテレフタル酸など)、他の置換芳香族ジカルボン酸(第3級ブチルイソフタル酸およびナトリウムスルホン化イソフタル酸など)、シクロアルカンジカルボン酸(1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびその異性体など)および2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸およびその異性体などのビベンゾイック酸;二環式−または多環式−ジカルボン酸(種々のノルボルナン異性体およびノルボルネン異性体ジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、およびビシクロ−オクタンジカルボン酸など);アルカンジカルボン酸(セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、およびドデカンジカルボン酸など);および縮合環芳香族炭化水素のジカルボン酸異性体のいずれか(インデン、アントラセン、フェネアントラセン(pheneanthrene)、ベンゾナフテン、フルオレン等など)が挙げられる。他の脂肪族、芳香族、シクロアルカンまたはシクロアルカンジカルボン酸が用いられ得る。または、ジメチルテレフタレートなどのこれらのジカルボン酸モノマーのいずれかのエステルが、ジカルボン酸自体の代わりにまたは組み合わせて用いられ得る。
【0056】
好適なジオールコモノマーとしては、限定されないが、直鎖または分岐アルカンジオールまたはグリコール(エチレングリコール、トリメチレングリコールなどのプロパンジオール、テトラメチレングリコールなどのブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールおよび高級ジオールなど)、エーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびポリエチレングリコールなどの)、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエートなどの鎖状−エステルジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびその異性体および1,4−シクロヘキサンジオールおよびその異性体シクロアルカングリコール、二環式−または多環式ジオール(種々のトリシクロデカンジメタノール異性体、ノルボルネンジメタノール、ノルボルネンジメタノール、およびビシクロ−オクタンジメタノールなど)、芳香族グリコール(1,4−ベンゼンジメタノールおよびその異性体、1,4−ベンゼンジオールおよびその異性体、ビスフェノールAなどのビスフェノール、2,2’−ジヒドロキシビフェニルおよびその異性体、4,4’−ジヒドロキシメチルビフェニルおよびその異性体、および1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンおよびその異性体など)、およびジメチルまたはジエチルジオールなどのこれらのジオールの低級アルキルエーテルまたはジエーテルが挙げられる。他の脂肪族、芳香族、シクロアルキルおよびシクロアルケニルジオールが用いられ得る。
【0057】
ポリエステル分子への分岐構造の付与に役立つことができるトリ−または多官能コモノマーもまた用いることができる。これらは、カルボン酸、エステル、ヒドロキシまたはエーテルのいずれかのタイプであり得る。例としては、限定されないが、トリメリト酸およびそのエステル、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールが挙げられる。
【0058】
コモノマーとしても好適なものは、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、およびそれらの異性体などのヒドロキシカルボン酸、および5−ヒドロキシイソフタル酸等などの混合官能基のトリ−または多官能コモノマーを包含する混合官能基のモノマーである。
【0059】
好適なポリエステルコポリマーとしては、PENのコポリマー(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および/または2,3−ナフタレンジカルボン酸のコポリマー、またはそれらのエステルであって、(a)テレフタル酸またはそのエステル、(b)イソフタル酸またはそのエステル、(c)フタル酸またはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)を備えるもの)、およびポリアルキレンテレフタレートのコポリマー(テレフタル酸のコポリマーまたはそのエステルであって、(a)ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル、(b)イソフタル酸またはそのエステル、(c)フタル酸またはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタンジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)を備えるもの)が挙げられる。記載のコポリエステルはまた、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれかである、少なくとも1種の成分が1種のポリエステルベースのポリマーであり、および他の成分または複数の成分が他のポリエステルまたはポリカーボネートであるペレットのブレンドであり得る。
【0060】
本発明の方法は、タイヤコード、ろ過媒体、テープバッキング、清拭布などの拭布、微小流体フィルム、ぼかしフィルタ、偏光子、反射型偏光子、ダイクロイック偏光子、直線反射型/ダイクロイック偏光子、吸収性偏光子、位相差板(z軸位相差板を含む)、回折格子、輝度上昇フィルム、および偏光回折格子を含む広く多様な用途において有用である製品の製造に用いることができる。フィルムは、それ自体特定のエレメントを構成し得、またはこれらは、タイヤ、フィルタ、接着テープ、前面および背面投影システム用のビームスプリッタなどの他のエレメントにおける部品として、またはディスプレイまたはマイクロディスプレイにおいて用いられる輝度上昇フィルムとして用いることができる。
【0061】
上記の記載において、エレメントの位置が「第1の」、「第2の」、「第3の」、「上部」および「底部」の用語で度々記載されてきた。これらの用語は、図面に図示されたものなどの本発明の種々のエレメントの説明を簡潔化するために、単に用いられている。本発明のエレメントの有用な配向にどのようにも限定をすると理解されるべきではない。
【0062】
従って、本発明は、上述の特定の例に限定されると考慮されるべきではなく、むしろ、適切に特許請求の範囲に規定されているとおり、本発明のすべての態様を包含すると理解すべきである。本発明に適用され得る種々の改良、均等物、ならびに数多くの構造は、本発明が本明細書のレビューの対象とする当業者に直ちに明らかであろう。特許請求の範囲は、このような改良および装置を包含することを意図している。
【実施例】
【0063】
実施例1
テネシー州キングスポートのイーストマンケミカルカンパニー(Eastman Chemical Company,Kingsport,TN)から入手可能である0.74の内部粘度(I.V.)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)をこの実施例において用いた。
【0064】
PETペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下でエクストルーダホッパーの押出し型材に充填した。エクストルーダ内の温度プロファイルを232℃から282℃に昇温させながら、および282℃に設定したダイまで溶融系を続けさせてPETを押出した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0065】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、反復的なおよび連続的な一連の三角柱を含んでいた。三角形は鋸刃状パターンを形成していた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング方向または縦方向(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベノトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【化3】

米国特許第6,376,065号明細書に開示されているとおり、式中、RfはC817であり、およびRは−(CH22−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均92℃であった。
【0066】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は7.37×106Pa(1070psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約510ミクロンであった。
【0067】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。顕微鏡を用いて断面を検証して、角柱状構造が、フィルムの表面上で、およそ85°の頂角、フィルムランドの水平面から三角形の一辺について20°の傾斜および垂直面から反対の辺について15°の傾きを有することを特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、44ミクロンの底部幅(BW)および19ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。
【0068】
構造化キャストフィルムを、10:7(溝に沿って:溝に直角に)のアスペクト比のシートに切り取り、プレナムで計測される約100℃に予熱し、およびほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、バッチテンタープロセスを用いて、6.4の公称延伸比まで延伸し、ならびに直ちに6.4の延伸比に緩和させ、そして直ちに6.3の延伸比に緩和させた。6.4から6.3への緩和は、最終フィルムにおける収縮を制御するための延伸温度で達成される。構造化表面は、適度に直線の断面縁(適度に平坦なファセット)およびおよそ類似の形状の角柱状形状を維持した。延伸後の底部幅(BW’)は、顕微鏡的な断面化によって16.5ミクロンと計測され、および延伸後の頂部高さ(P’)は、5.0ミクロンと計測された。構造化高さを含むフィルムの最終厚さ(T’)は、180ミクロンと計測された。延伸フィルムの裏面における屈折率を、ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)から入手可能であるメトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を用いて、632.8nmの波長で計測した。第1の面内(角柱に沿って)、第2の面内(角柱を横切って)、および厚さ方向に沿った屈折率を、それぞれ1.672、1.549および1.547と計測した。この延伸材料の断面における相対的複屈折は、従って0.016であった。
【0069】
実施例2
テネシー州キングスポートのイーストマンケミカルカンパニー(Eastman Chemical Company,Kingsport,TN)から入手可能である0.74の内部粘度(I.V.)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)を、この実施例で用いた。
【0070】
PETペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下で押出し型材ホッパーに充填した。PETを、エクストルーダ内の約282℃の平坦な温度プロファイルで押出し、および282℃に設定したダイまで溶融系を継続した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0071】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面の所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、50ミクロンの底部幅(BW)およびほとんど25ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の二等辺直角三角形を含んでいた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【化4】

式中、RfはC49であり、およびRは−(CH26−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均98℃であった。
【0072】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は7.92×106Pa(1150psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約600ミクロンであった。
【0073】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。接触プロフィロメトリ(例えば60°2ミクロン径の触針を備えるKLA−テンコール(Tencor)P−10)を用いて、清透で、適度に鋭い角柱状構造を、フィルムの表面上に特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、50ミクロンの底部幅(BW)および23.4ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。プロフィロメトリは、触針プローブの形状およびサイズにより解像度が約1ミクロンに制限されており、および実際の頂点はかなり高い可能性がある。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。プロファイル−計測断面積対理想算出断面積の比は、99%の算出充填率を導き出した。
【0074】
構造化フィルムは、実施例1と同様の方策で延伸されることができる。
【0075】
実施例3
0.56の内部粘度(I.V.)を有するポリエチレンナフタレート(PEN)を反応容器内で形成した。
【0076】
PENペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下で押出し型材ホッパーに充填した。PENをエクストルーダ内の288℃の平坦な温度プロファイルで押出し、および288℃に設定したダイまで溶融系を継続した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0077】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面の所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、50ミクロンの底部幅(BW)およびほとんど25ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の二等辺直角三角形を含んでいた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【化5】

式中、米国特許第6,376,065号明細書に記載されるように、RfはC817であり、およびRは−(CH22−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均144℃であった。
【0078】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は5.51×106Pa(800psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約600ミクロンであった。
【0079】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。接触プロフィロメトリ(例えば60°2ミクロン径の触針を備えたKLA−テンコール(Tencor)P−10)を用いて、清透で、適度に鋭い角柱状構造を、フィルムの表面上に特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、50ミクロンの底部幅(BW)および23.3ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。プロフィロメトリは触針プローブの形状およびサイズにより解像度が約1ミクロンに制限されており、および実際の頂点はかなり高い可能性がある。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。実際の充填の程度をよりよく特性づける、例えばツールでの複製の精度を特性づけるために、プロフィロメトリ断面を三角形に適合させた。計測したプロファイルからのデータを用いて、ベースから計測された高さ5および15ミクロンの間の断面の辺に沿って直線として縁を適合させた。24.6ミクロンの理想頂点高さが算出された。プロファイル−計測断面積対理想算出断面積の比は、98.0%の算出充填率を導き出した。
【0080】
構造化キャストフィルムを、ほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、バッチテンタープロセスを用いて延伸した。フィルムを、プレナムで計測される公証165℃に予熱し、およびこの温度で、25秒にわたり、均一な速度(縁分離)で約6の最終延伸比まで延伸した。構造化表面は、適度に直線の断面縁(適度に平坦なファセット)およびおよそ類似の形状の角柱状形状を維持した。
【0081】
表1は、キャストフィルムの中心からの種々の距離での延伸の効果を示す。
【0082】
【表1】

【0083】
実施例4
0.56の内部粘度(I.V.)を有するポリエチレンナフタレート(PEN)反応容器内で形成した。
【0084】
PENペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下で押出し型材ホッパーに充填した。PENをエクストルーダ内の288℃の平坦な温度プロファイルで押出し、および288℃に設定したダイまで溶融系を継続した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0085】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面の所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、50ミクロンの底部幅(BW)およびほとんど25ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の二等辺直角三角形を含んでいた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【化6】

米国特許第6,376,065号明細書に開示のとおり、式中、RfはC817でありおよびRは−(CH22−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均153℃であった。
【0086】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は4.13×106Pa(600psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約600ミクロンであった。
【0087】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。接触プロフィロメトリ(例えば60°2ミクロン径の触針を備えるKLA−テンコール(Tencor)P−10)を用いて、清透で、適度に鋭い角柱状構造を、フィルムの表面上に特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、ミクロンの底部幅(BW)および23.5ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。プロフィロメトリは触針プローブの形状およびサイズにより解像度が約1ミクロンに制限されており、および実際の頂点はかなり高い可能性がある。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。実際の充填の程度をよりよく特性づける、例えばツールでの複製の精度を特性づけるために、プロフィロメトリ断面を三角形に適合させた。計測したプロファイルからのデータを用いて、ベースから計測された高さ5および15ミクロンの間の断面の辺に沿って直線として縁を適合させた。91.1°の頂角を含む24.6ミクロンの理想頂点高さが算出された。プロファイル−計測断面積対理想算出断面積の比は、98.0%の算出充填率を導き出した。
【0088】
構造化キャストフィルムを、ほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、バッチテンタープロセスを用いて延伸させた。フィルムを、公証158℃に予熱し、この温度で、90秒にわたり、均一な速度(縁分離)で約6の最終延伸比まで延伸した。構造化表面は、適度に直線の断面縁(適度に平坦なファセット)およびおよそ類似の形状の角柱状形状を維持した。
【0089】
キャストフィルム上において用いたものと同一の接触プロフィロメトリを用いて延伸フィルムを計測した。延伸後の底部幅(BW’)は、顕微鏡的な断面化によって22ミクロンと計測され、および延伸後の頂部高さ(P’)は、8.5ミクロンと計測された。構造化高さを含むフィルムの最終厚さ(T’)は、約220ミクロンと計測された。延伸フィルムの裏面における屈折率を、ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)から入手可能であるメトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を用いて、632.8nmの波長で計測した。第1の面内(角柱に沿って)、第2の面内(角柱を横切って)、および厚さ方向に沿った屈折率を、それぞれ1.790、1.577および1.554と計測した。この延伸材料の断面における相対的複屈折は、従って0.10であった。
【0090】
プロフィロメトリデータを用いて、見かけ上の断面積の比は、延伸および配向における密度変化について補正されていない、6.4の延伸比の計測推測値をもたらす。この6.4の値を延伸比およびプロフィロメトリデータについて用いて、形状保持パラメータを0.94と算出した。
【0091】
実施例5
カルボキシレート(テレフタレートおよびナフタレート)部位(サブユニット)比によって測定される40mol%ポリエチレンテレフタレート(PET)および60mol%ポリエチレンナフタレート特徴を含むコ−ポリマー(いわゆる40/60coPEN)を反応容器内で形成した。内部粘度(I.V.)は約0.5であった。
【0092】
40/60coPEN樹脂ペレットを乾燥して残存水を除去し、および窒素パージ下で押出し型材ホッパーに充填した。エクストルーダ内の温度プロファイルを285℃から277℃に降温させながら、および288℃に設定したダイまで溶融系を継続させて40/60coPENを押出した。溶融系圧力を連続的に監視し、およびポリマーフィルムが、そのフィルムのツールに対向した第1の表面の構造化と同時に形成されるツールにダイを近接させる前の溶融系に沿った最終監視位置で平均を得た。
【0093】
ツールは、キャストフィルム上に形成された構造化表面の所望のネガティブ版を有する構造化ベルトであった。構造化表面は、50ミクロンの底部幅(BW)およびほとんど25ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の二等辺直角三角形を含んでいた。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。角柱は、キャスティング(MD)方向に沿って整列されていた。以下の式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールでツールの構造化表面をコートした。
【化7】

米国特許第6,376,065号明細書に開示のとおり、式中、RfはC49であり、およびRは−(CH26−である。ツールを、キャスティング(MD)方向に沿ったツール表面の連続的な動作を提供することができる温度制御された回転器に備え付けた。ツールの計測表面温度は平均102℃であった。
【0094】
溶融ポリマーを通して溶融系から排出させるダイオリフィスを回転ベルトツールに近接させて、ツールおよびダイの間に最終スロットを形成した。溶融系に沿った最終監視位置での圧力は、ダイおよびツールが接近するに連れて上昇した。この最終圧力および前に記録された圧力との間の差が、スロット圧力低下として称される。この実施例におけるスロット圧力低下は4.23×106Pa(614psi)であり、ツールネガティブによって形成された構造化キャビティ内に溶融ポリマーを充填するために十分な圧力を提供していた。このように形成されおよび構造化されたフィルムを、スロットからツールの回転により搬送し、追加の空気冷却で急冷し、ツールから除去して、ロールに巻いた。構造の高さを含めた、キャストフィルムの総厚(T)は約560ミクロンであった。
【0095】
キャストされおよび巻かれたポリマーフィルムは、厳密にツール構造を複製した。接触プロフィロメトリ(例えば60°2ミクロン径の触針を備えるKLA−テンコール(Tencor)P−10)を用いて、清透で、適度に鋭い角柱状構造を、フィルムの表面上に特定した。計測したプロファイルは、予期された、直線の縁およびわずかに丸まった頂部を備えたほとんど直角三角形の形態を示した。高分子フィルム表面上の複製された角柱は、49.9ミクロンの底部幅(BW)および23.5ミクロンの高さ(P)を有すると計測された。頂間間隔(PS)は、底部幅(BW)とおよそ同一であった。プロフィロメトリは触針プローブの形状およびサイズにより解像度が約1ミクロンに制限されており、および実際の頂点はかなり高い可能性がある。ツールはまた不完全であり、および公称サイズから小さな偏差が存在することができる。実際の充填の程度をよりよく特性づける、例えばツールでの複製の精度を特性づけるために、プロフィロメトリ断面を三角形に適合させた。計測したプロファイルからのデータを用いて、ベースから計測された高さ5および15ミクロンの間の断面の辺に沿って直線として縁を適合させた。91.1°の頂角を含む24.6ミクロンの理想頂点高さが算出された。プロファイル−計測断面積対理想算出断面積の比は、98.0%の算出充填率を導き出した。
【0096】
構造化キャストフィルムを、ほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、実験用延伸器を用いて延伸した。フィルムを103℃まで60秒予熱し、およびこの温度で、20秒にわたり、均一な速度(縁分離)で約6の最終延伸比まで延伸した。構造化表面は、適度に直線の断面縁(適度に平坦なファセット)およびおよそ類似の形状の角柱状形状を維持した。延伸フィルムの裏面における屈折率を、ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)から入手可能であるメトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を用いて、632.8nmの波長で計測した。第1の面内(角柱に沿って)、第2の面内(角柱を横切って)、および厚さ方向に沿った屈折率を、それぞれ1.758、1.553および1.551と計測した。この延伸材料の断面における相対的複屈折は、従って0.0097であった。
【0097】
実施例6
米国特許出願公開第2004/0227994 A1号明細書の実施例1〜4に記載の方法により形成した多層光学フィルムをキャストし、および保護ポリプロピレン表層を除去した。用いた低指数ポリマーは、co−PETであった。
【0098】
多層光学フィルムをシートに切り取り、および60℃で最低2時間でオーブン中で乾燥した。プラテンを115℃に加熱した。厚紙シート、クロムメッキ黄銅プレート(およそ3mm厚)、剥離ライナ、ニッケル微小構造ツール、多層光学フィルム、剥離ライナ、クロムメッキ黄銅プレート(およそ3mm厚)、および厚紙シートの順番で、フィルムを層構造に積み重ねた。構造物をプラテンの間に置き、および閉じた。1.38×105Pa(20psi)の圧力を60秒維持した。
【0099】
ニッケル微小構造ツールの構造化表面は、90°頂角、10ミクロンの底部幅(BW)および約5ミクロンの高さ(P)を有する反復的なおよび連続的な一連の三角柱を含む。個別の角柱の底部の頂点は、隣接する隣の構造によって共有されていた。
【0100】
エンボスシートを10:7(溝の横断方向に沿って)のアスペクト比に切り取った。構造化多層光学フィルムを、ほとんど真に一軸性の方策で、角柱の連続的長さ方向に沿って、バッチテンタープロセスを用いて延伸した。フィルムを、ほとんど100℃まで予熱し、およそ6の延伸比に約20秒にわたって延伸し、および次いで延伸を、テンター中において延伸温度にある状態で約10%緩和させて、フィルムにおける収縮を制御した。構造化高さを含むフィルム(T’)の最終厚さは、150ミクロンと計測された。延伸フィルムの裏面における屈折率を、ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)から入手可能であるメトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を用いて、632.8nmの波長で計測した。第1の面内(角柱に沿って)、第2の面内(角柱を横切って)、および厚さ方向に沿った屈折率を、それぞれ1.699、1.537および1.534と計測した。この延伸材料の断面における複屈折は、従って0.018であった。
【0101】
実施例7
配向、微小複製構造を以下のとおり構成した。125ミクロンピッチでの90°角柱状の溝を、キャストPEN(ポリエーテルナフタレン)の0.010インチ厚のフィルムに、125℃で4分間での圧縮成形によりエンボス加工した。ツール構造化フィルムを氷水で急冷した。フィルムを除去しおよび乾燥させた後、次いで、このフィルムを、溝の長軸に沿って128℃で5×一軸延伸した。これは5%の横方向収縮をもたらし、およそ62ミクロンの最終ピッチが得られた。屈折率は、配向軸に沿って1.84および交差方向に1.53と計測された。屈折率は、フィルムの平坦な裏面で、メトリコン角柱カプラー(Metricon Prism Coupler)を632.8nmの波長で用いて計測した。
【0102】
配向微小構造化フィルムの一片を、続いて、等方性屈折率1.593を有するUV硬化性アクリレート樹脂を用いて、構造化表面がスライドに対向するようガラス顕微鏡スライドに粘着させた。アクリレート樹脂を、UVチャンバを通すマルチパス(樹脂の完全な硬化を保証するため各面について3回)によって硬化させた。
【0103】
ヘリウム−ネオンレーザビームを、スライドに装着された配向構造化フィルムに通過させた。HeNeレーザを、グラントンプソン偏光子を通すことにより均一な直線偏光に偏光した。常光線(o光線)を極わずかな分離角で構造を通過させた。ここで、0級発散の半角は、およそ2°であると見出された。次いで、レーザビームを90°回転させて直交偏光(e光線)とするために、グラントンプソンの直後に半波長プレートを挿入した。0級ビームは、およそ8°の発散半角、またはo光線の4×発散を示した。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の方法によって製造されたフィルムの断面図である。
【図2A】本発明により製造された物品のいくつかの変形実施形態の端面図である。
【図2B】本発明により製造された物品のいくつかの変形実施形態の端面図である。
【図2C】本発明により製造された物品のいくつかの変形実施形態の端面図である。
【図2D】本発明により製造された物品のいくつかの変形実施形態の端面図である。
【図2E】本発明により製造された物品のいくつかの変形実施形態の端面図である。
【図3A】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3B】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3C】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3D】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3E】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3F】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3G】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3H】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3I】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3J】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3K】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3L】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3M】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3N】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3O】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3P】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3Q】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3R】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3S】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3T】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3U】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3V】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図3W】本発明のプロセスによって製造されることができる幾何学的特徴のいくつかの代替的プロファイルの断面図を示す。
【図4】本発明によるプロセスの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)所望の構造化表面のネガティブ表面を含むツールを提供する工程と、
(b)前記ツールの前記ネガティブ表面を、フルオロケミカルベンゾトリアゾールを含む組成物と接触させて、コートされたネガティブ表面を提供する工程と、
(c)前記コートされたネガティブ表面を、樹脂と接触させて幾何学的特徴を含む前記所望の構造化表面を前記樹脂上に形成する工程と、
(d)前記樹脂を前記ツールから除去する工程と、
を含む、所望の構造化表面を有する高分子物品の製造方法。
【請求項2】
工程(d)の後に高分子フィルムを延伸する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ベンゾトリアゾールが、極薄層を前記ツールの前記ネガティブ表面上に形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フルオロケミカルベンゾトリアゾールを含む前記組成物が溶剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フルオロケミカルベンゾトリアゾールを含む前記組成物が、溶液または蒸気の形である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フルオロケミカルベンゾトリアゾールを含む前記組成物が極薄層である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記層が、1つ以上のフルオロケミカルベンゾトリアゾールの複数の分子を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記層が、前記ツールの前記ネガティブ表面に粘着された自己凝集極薄フィルムを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記フルオロケミカルベンゾトリアゾールが以下の式を有する、請求項1に記載の方法。
【化1】

(式中、RfはCn2n+l−(CH2m−であり、ここで、nは1〜22であり、およびmは0または1〜6の整数であり、
Xは−CO2−、−SO3−、−CONH−、−O−、−S−共有結合、−SO2NR−、または−NR−であり、ここで、RはHまたはC1〜C5アルキレンであり、
Yは−CH2−であり、ここで、zは0または1であり、および
1はH、低級アルキルまたはRf−X−Yz−であり、
ただし、Xが−S−、または−O−であるとき、mは0、およびzは0、nは≧7であり、ならびにXが共有結合である場合、mまたはzは少なくとも1である。)
【請求項10】
幾何学的特徴が細長い、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記幾何学的特徴が断続的である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記溶融樹脂が、結晶性ポリマー、半結晶性ポリマー、液晶ポリマー、非晶質ポリマー、または前記ポリマーの任意のコポリマー、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記溶融樹脂が、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテル−アミド、ポリアミド−イミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリオレフィン、ポリアルキレンポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、フルオロポリマー、塩素化ポリマー、ポリアリールエーテルケトン、脂肪族ポリケトン、任意の立体規則性のポリスチレン、これらのスチレン系材料の任意のコポリマーおよびブレンド、ビニルナフタレン、ポリエーテル、セルロース系材料、硫黄含有ポリマー、ポリウレタン並びにこれらの組み合わせから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記樹脂がポリエステルである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびそれらのコポリマーから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ツールの前記ネガティブ表面が少なくとも1つの幾何学的微小特徴を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ツールの前記ネガティブ表面が複数の幾何学的微小特徴を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記樹脂が溶融樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記溶融樹脂が前記ツールから除去される前に固化される、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図3L】
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【図3M】
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【図3N】
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【図3O】
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【図3P】
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【図3Q】
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【図3R】
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【図3S】
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【図3T】
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【図3U】
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【図3V】
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【図3W】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−525228(P2008−525228A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548368(P2007−548368)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/046037
【国際公開番号】WO2006/071612
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】