説明

構造材の欠陥検出装置及び方法

【課題】構造材が複雑な表面形状であっても、この構造材に存在する欠陥を高分解能で短時間に検出できること。
【解決手段】構造材1の内部あるいは表面に存在する欠陥を検出する構造材の欠陥検出装置10であって、構造材の離れた2接点間に交流電流を印加する電源コントローラ11及び電流印加端子12と、この交流電流により構造材の表面に誘導された誘導磁界の強度分布を、この構造材に非接触で検出する磁界プローブアレイ14とを有し、この磁界プローブアレイは、磁界を検出する素子を備えた磁界プローブ13が複数配列されて成り、この磁界プローブアレイにより検出された誘導磁界の強度分布を演算表示装置16が解析し評価することで、構造材に存在する欠陥を検出するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造材の内部あるいは表面に存在する欠陥を、誘導磁界を用いて検出する構造材の欠陥検出装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造材に生じたき裂状の欠陥を検出し、その寸法を評価することは、その部材や構造物全体の健全性を評価する上で重要であり、従来から様々な手法の欠陥探傷方法や装置が提案されている。これらは、例えば浸透探傷方法(PT)、磁粉探傷方法(MT)、蛍光探傷方法、放射線探傷方法(RT)、超音波探傷方法(UT)、渦電流探傷方法(ECT)、電位差法などである。
【0003】
これらの探傷方法のうち、迅速な測定が可能で、容易に定量データを得ることのできる方法として、電磁気的手法を用いた探傷方法を挙げることができる。この電磁気的手法を用いた探傷方法は、渦電流探傷方法(ECT)、電位差法などが知られており、いずれも構造材に電流または誘導電流を印加し、この電場(電位)の分布、あるいは電場に誘導されて生じた磁場(磁界)の分布が、欠陥の存在によって、無欠陥の場合と比べて変化することを検出して探傷を行う技術である。これらの技術においては、電場、磁場の印加方法と検出方法にそれぞれ特徴があり、検出感度等も異なった特性を示すことが知られている。
【0004】
上述の技術のうち、本発明に関連の深い技術として、電位差法によるき裂探傷方法と渦電流によるき裂探傷方法が挙げられる。はじめに、電位差法に関する従来技術について述べる。
【0005】
電位差法は、印加した電場(電位)がき裂状欠陥の存在によって不均一な分布となることを検出して探傷に利用する方法である。構造材に電場を印加した状態でこの構造材に検出用端子を接触させ、これらの検出用端子間における電位差を測定し、予め測定しておいた欠陥のない部位での電位差と比較することによって欠陥の有無を判定する。付与する電場は、直流あるいは交流のいずれでもよい。また、一部では、交流電流を印加したコイルあるいは導体を構造材に近接させ、このコイルあるいは導体に生じた磁場が構造材側に誘導する交流電流の電位差を、欠陥のある部位と無い部位とで比較し、き裂を探傷する方法も報告されている(非特許文献1)。また、非接触でき裂検出を行うために、き裂周りに生じた不均一な電場が誘導する磁場を、微小アンテナで検出して探傷する方法も報告されている(非特許文献2)。
【0006】
次に、渦電流によるき裂探傷についての従来技術を述べる。導電性のある構造材に、交流電流を印加したコイルを近接させると、電磁誘導により構造材に誘導渦電流が生じる。通常の渦電流法では、このように電場が誘導された部位に検出用のコイルを近接させ、構造材に誘導された渦電流を検出用コイルにて計測する。構造材に欠陥が存在すると構造材のインピーダンスが変化するため、欠陥のない部位と比較して異なる分布の電場が形成される。この電場の変化は、検出用コイルに励起される誘導電流に反映されるため、欠陥の有無を検出することができる。
【0007】
また、従来の渦電流探傷法は、欠陥の有無の判定には適しているが、欠陥寸法の定量化には不向きであるとされていた。しかし近年になって、検出用コイルを複数備えたマルチコイルプローブの開発と、マルチコイルプローブからの出力信号から欠陥寸法を逆問題解析によって推定する方法の開発が進み、欠陥寸法の同定にも渦電流探傷が用いられてきている。
【非特許文献1】李、庄子、日本機械学会論文集(A編),63(605),(1997),68−72
【非特許文献2】佐藤、庄子、佐藤、佐藤,日本機械学会論文集(A編),65(632),(1999),925−931
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の電磁気的手法を用いた探傷方法は、定量値を容易に得ることができる半面、探傷の分解能を高めようとすると、検出プローブ(電位差検出用接触端子、渦電流検出用コイル)が微小となり、探傷対象部分の全体を走査するのに膨大な時間と精密な走査機構が必要になると考えられる。また、上述のマルチコイルプローブにおいても、広い面積を同時に走査するためには、コイルを多数備えた大型の検出プローブが必要となるため、狭隘部や配管内面などの探傷には装置構成上不向きになると考えられる。このように電磁気的手法を用いた探傷法は、この点において、浸透探傷や磁粉探傷のように一度の手順で広い面積の探傷を行うことができる手法に対し劣っており、改善を要する。
【0009】
また、実際の構造材では実験室の試験体と異なり、探傷面が必ずしも平滑な表面でない場合が想定される。この場合、検出用接触端子を用いて電位差法で欠陥を検出しようとした場合、検出用接触端子を複雑な表面形状に追従させた状態で走査することは、精密な走査機構を用いたとしても困難であり、改善が必要となる。
【0010】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、構造材が複雑な表面形状であっても、この構造材に存在する欠陥を高分解能で短時間に検出できる構造材の欠陥検出装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る構造材の欠陥検出装置は、構造材の内部あるいは表面に存在する欠陥を検出する構造材の欠陥検出装置であって、前記構造材の離れた2接点間に交流電流を印加する電流印加手段と、この交流電流により前記構造材の表面に誘導された誘導磁界の強度分布を、当該構造材に非接触で検出する磁界プローブアレイとを有し、この磁界プローブアレイは、磁界を検出する素子を備えた磁界プローブが複数配列されて成り、この磁界プローブアレイにより検出された誘導磁界の強度分布を評価することで、前記構造材に存在する欠陥を検出するよう構成されたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る構造材の欠陥検出方法は、構造材の内部あるいは表面に存在する欠陥を検出する構造材の欠陥検出方法であって、前記構造材の離れた2接点間に交流電流を印加することで、当該構造材の表面に磁界を誘導し、この誘導磁界の強度分布を、磁界を検出する素子を備えた磁界プローブが複数配列されて成る磁界プローブアレイを用いて、前記構造材に非接触で検出し、この誘導磁界の強度分布を評価することで、前記構造材に存在する欠陥を検出することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る構造材の欠陥検出装置及び方法によれば、磁界プローブが、磁界を検出する素子を備えて構成されることから微小化でき、このため、複数の磁界プローブを高密度に配列して磁界プローブアレイを構成できる。従って、この磁界プローブアレイにより、構造材に存在する欠陥を高分解能で検出することができる。
【0014】
また、磁界プローブが複数配列された磁界プローブアレイを用いて構造材の欠陥を検出することから、構造材の広範囲を一度に走査して欠陥を検出できるため、検出速度が向上し、欠陥を短時間に検出することができる。
【0015】
更に、磁界プローブアレイにより、構造材の表面に誘導された磁界の強度分布が非接触で検出されることから、構造材が複雑な表面形状であっても、この構造材に存在する欠陥を検出することができる。
【0016】
また、複数の磁界プローブが配列されて成る磁界プローブアレイは、各磁界プローブが微小であることから、小型に構成される。この結果、構造材の狭隘部分や配管内面においても、欠陥を良好に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。但し、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【0018】
[A]第1の実施の形態(図1〜図3)
図1は、本発明に係る構造材の欠陥検出装置における第1の実施の形態の構成を概略して示す斜視図である。図2は、図1の磁気プローブアレイにより検出される磁界の強さを示し、(A)が構造材に欠陥が存在する場合、(B)が構造材に欠陥が存在しない場合をそれぞれ示すグラフである。
【0019】
図1に示す構造材の欠陥検出装置10は、構造材1の内部あるいは表面に存在する欠陥2を検出するものであり、電流印加手段としての電源コントローラ11及び電流印加端子12と、磁界プローブ13が複数配列されて成る磁界プローブアレイ14と、この磁界プローブアレイ14を制御等する磁界プローブアレイコントローラ15と、磁界の強度分布を解析して表示する演算表示装置16とを有して構成される。
【0020】
電流印加端子12は、構造材1の一定距離離れた2点に接触し、これらの2点間に電源コントローラ11からの交流電流を印加する。これにより、構造材1の表面に磁界が誘導される。また、電流印加端子12が構造材1に接触してこの構造材1に直接交流電流が印加されることで、構造材1に交流電流を安定して付与でき、欠陥2の検出時におけるS/N比を向上させることが可能となる。
【0021】
磁界プローブアレイ14は、複数の磁界プローブ13が一次元(直線状)または二次元(平面状)に配列されて成り(本実施の形態では二次元に配列されて成り)、構造材1の表面に沿って走査されることで、構造材1の表面に誘導された二次元的な磁界の強度分布を非接触で検出する。磁界プローブアレイ14を走査させる走査機構(不図示)は、例えばレールなどを備えた移動機構である。
【0022】
磁界プローブ13は、高周波磁界を検出する素子と周波数解析を行うCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路とを有して構成され、例えば一辺が数百μmの四角形状に微細化されている。尚、背景技術におけるマルチコイルプローブでは、各コイルの寸法が直径数mm、例えば5mmである。従って、磁界プローブアレイ14は、複数の磁界プローブ13が高密度に配列されたものとなっており、高分解能に構成される。ここで、この磁界プローブアレイ14については、特開2003‐84022号公報に、「高周波磁気イメージセンサ」として記載された技術が適用される。
【0023】
磁界プローブアレイコントローラ15は、磁界プローブアレイ14を走査させる図示しない走査機構を制御すると共に、各磁界プローブ13からの検出信号、つまり磁界の強度に関する検出信号を取り込んで演算表示装置16へ出力する。
【0024】
演算表示装置16は、磁界プローブアレイ14の各磁界プローブ13により検出され磁界プローブアレイコントローラ15を介して入力された、構造材1の表面の誘導磁界の強度に関する検出信号を解析して評価し、構造材1に存在する欠陥2を検出して表示する。具体的には、この演算表示装置16は、磁界プローブアレイ14の各磁界プローブ13にて検出された構造材1の表面の誘導磁界の強度を、図2に示すようにプロットしてグラフ化する。この図2では、縦軸が磁界の強さを示し、横軸が構造材1の表面の位置を示す。構造材1に欠陥が存在しない場合には、誘導磁界に変化はないが(図2(B))、構造材1の表面もしくは内部に欠陥2が存在する場合には、この欠陥2による電位の変化が誘導磁界の変化となってグラフ化される(図2(A))。
【0025】
演算表示装置16は、この磁界の変化を、図3に示すように、磁界プローブアレイ14が位置づけられた構造材1の領域(例えば、領域A、領域B…)毎に色彩表示または濃淡表示で表示する。この図3では、(B)が構造材1に欠陥2が存在しない場合を、(A)が欠陥2が存在する場合をそれぞれ示し、各升目17は、磁界プローブアレイ14の磁界プローブ13に対応する。例えば、濃淡の濃い升目17aは、磁界の強さが低く、深い欠陥2の部分を示し、グレートーンの升目17bは浅い欠陥2の部分を示している。また、白色の升目17cは欠陥2が存在しないことを示す。
【0026】
従って、この構造材の欠陥検出装置10では、電源コントローラ11及び電流印加端子12によって構造材1の離れた2接点間に交流電流を印加することで、この構造材1の表面に磁界を誘導する。この誘導磁界の強度分布を、磁界を検出する素子を備えた磁界プローブ13が複数配列されて成る磁界プローブアレイ14を用いて、構造材1に非接触で検出する。演算表示装置16は、この検出された誘導磁界の強度分布を解析して評価し、構造材1に存在する欠陥2を検出する。
【0027】
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば、次の効果(1)〜(4)を奏する。
【0028】
(1)磁界プローブ13が、磁界を検出する素子を備えて構成されることから微小化でき、このため、複数の磁界プローブ13を高密度に配列して磁界プローブアレイ14を構成できる。従って、この磁界プローブアレイ14により、構造材1に存在する欠陥を高分解能で検出することができる。
【0029】
(2)磁界プローブ13が複数配列された磁界プローブアレイ14を用いて構造材1の欠陥2を検出することから、構造材1の広範囲を一度に走査して欠陥2を検出できるため、検出速度が向上し、広範囲に存在する欠陥2を短時間に検出することができる。
【0030】
(3)磁界プローブアレイ14により、構造材1の表面に誘導された磁界の強度分布が非接触で検出されることから、構造材1が複雑な表面形状であっても、この構造材1に存在する欠陥2を検出することができる。
【0031】
(4)複数の磁界プローブ13が配列されて成る磁界プローブアレイ14は、各磁界プローブ13が微小(例えば一辺が数百μmの四角形状)であることから、小型に構成される。この結果、構造材1の狭隘部分や配管内面においても、欠陥2を良好に検出することができる。
【0032】
[B]第2の実施の形態(図4)
図4は、本発明に係る構造材の欠陥検出装置における第2の実施の形態の構成を概略して示す斜視図である。この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を簡略化し、または省略する。
【0033】
本実施の形態の構造材の欠陥検出装置20が、前記第1の実施の形態の構造材の欠陥検出装置10と異なる点は、電流印加手段の構成である。つまり、この欠陥検出装置20の電流印加手段は、構造材1の表面に接近可能な直線形状の導体21と、この導体21に交流電流を印加する電源コントローラ11とを有して構成される。導体21は、例えばロボットアームなどを用いて構造材1の表面に接近または離反される。
【0034】
電源コントローラ11により交流電流が印加された導体21が構造材1の表面に接近させることで、この導体21に生じた磁界が構造材1に誘導電流を励起させ、この誘導電流によって、構造材1の表面に磁界が誘導される。構造材1に欠陥2が存在している場合と存在していない場合とでは、誘導電流による電位分布に差異が生じ、この結果、構造材の表面に生じた誘導磁界にも差異が生ずる。この誘導磁界の差異を前記実施の形態と同様にして磁界プローブアレイ14が検出し、演算表示装置16が解析して評価することにより、構造材1の欠陥2が、前記実施の形態と同様にして検出される。
【0035】
従って、この構造材の欠陥検出装置20では、電源コントローラ11により交流電流が印加された導体21を構造材1に接近させることで、この構造材1に誘導電流を励起し、この構造材1の表面に磁界を誘導させる。この誘導磁界の強度分布を、磁界を検出する素子を備えた磁界プローブ13が複数配列されて成る磁界プローブアレイ14を用いて、構造材1に非接触で検出する。この検出された誘導磁界の強度分布を演算表示装置16が解析し評価することで、構造材1に存在する欠陥2を検出する。
【0036】
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の効果(1)〜(4)と同様な効果を奏する他、次の効果(5)及び(6)を奏する。
【0037】
(5)導体21を構造材1に接近させることで、この構造材1の表面に誘導磁界を生じさせ、この誘導磁界の変化により構造材1に存在する欠陥2を検出することから、例えば構造材1が非導電性の樹脂にてコーティングされている場合にも、この構造材1に存在する欠陥2を検出できる。
【0038】
(6)導体21が、磁界プローブアレイ14と共に構造材1に非接触状態とされるので、これらの導体21と磁界プローブアレイ14とを一体にユニット化し、これらの導体21と磁界プローブアレイ14とを構造材1の表面上で同時に移動させて、構造材1の欠陥を検出することができる。
【0039】
[C]第3の実施の形態(図5)
図5は、本発明に係る構造材の欠陥検出装置における第3の実施の形態の構成を概略して示す斜視図である。この第3の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を簡略化し、または省略する。
【0040】
本実施の形態の構造材の欠陥検出装置30が前記第1の実施の形態の構造材の欠陥検出装置10と異なる点は、電流印加手段の構成である。つまり、この欠陥検出装置30の電流印加手段は、構造材1の表面に接近可能なコイル形状のコイル状導体31と、このコイル状導体31に交流電流を印加する電源コントローラ11とを有して構成される。コイル状導体31は、例えばロボットアーム等を用いて構造材1の表面に接近または離反される。
【0041】
電源コントローラ11により交流電流が印加されたコイル状導体31が構造材1の表面に接近されることで、このコイル状導体31に生じた磁界が構造材1に誘導電流を励起させ、この誘導電流によって、構造材1の表面に磁界が誘導される。構造材1に欠陥2が存在している場合と存在していない場合とでは、誘導電流による電位分布に差異が生じ、この結果、構造材1の表面に生じた誘導磁界にも差異が生ずる。この誘導磁界の差異を前記第1の実施形態と同様にして磁界プローブアレイ14が検出し、演算表示装置16が解析して評価することにより、構造材1の欠陥2が、前記実施の形態と同様に検出される。
【0042】
従って、この構造材1の欠陥検出装置30では、電源コントローラ11により交流電流が印加されたコイル状導体31を構造材1に接近させることで、この構造材1に誘導電流を励起させ、この構造材1の表面に磁界を誘導させる。この誘導磁界の強度分布を、磁界を検出する素子を備えた磁界プローブ13が配置されて成る磁界プローブアレイ14を用いて、構造材1に非接触で検出する。この検出された誘導磁界の強度分布を演算表示装置16が解析し評価することで、構造材1に存在する欠陥2を検出する。
【0043】
以上のことから、本実施の形態によれば、前記第1及び第2の実施の形態の効果(1)〜(6)と同様な効果を奏する他、次の効果(7)を奏する。
【0044】
(7)電源コントローラ11により交流電流が印加されたコイル状導体31を構造材1の表面に接近させて、この構造材1に誘導電流を励起させることから、この誘導電流の強度が高められる。この結果、この誘導電流により構造材1の表面に誘導される誘導磁界の強度も高められるので、この誘導磁界の強度変化を磁界プローブアレイ14が検出することで、構造材1に存在する欠陥2の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る構造材の欠陥検出装置における第1の実施の形態の構成を概略して示す斜視図。
【図2】図1の磁気プローブアレイにより検出される磁界の強さを示し、(A)が構造材に欠陥が存在する場合、(B)が構造材に欠陥が存在しない場合をそれぞれ示すグラフ。
【図3】図1の演算表示装置の表示画面を示す図。
【図4】本発明に係る構造材の欠陥検出装置における第2の実施の形態の構成を概略して示す斜視図。
【図5】本発明に係る構造材の欠陥検出装置における第3の実施の形態の構成を概略して示す斜視図。
【符号の説明】
【0046】
1 構造材
2 欠陥
10 構造材の欠陥検出装置
11 電源コントローラ(電流印加手段)
12 電流印加端子(電流印加手段)
13 磁界プローブ
14 磁界プローブアレイ
20 構造材の欠陥検出装置
21 導体
30 構造材の欠陥検出装置
31 コイル状導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造材の内部あるいは表面に存在する欠陥を検出する構造材の欠陥検出装置であって、
前記構造材の離れた2接点間に交流電流を印加する電流印加手段と、
この交流電流により前記構造材の表面に誘導された誘導磁界の強度分布を、当該構造材に非接触で検出する磁界プローブアレイとを有し、
この磁界プローブアレイは、磁界を検出する素子を備えた磁界プローブが複数配列されて成り、この磁界プローブアレイにより検出された誘導磁界の強度分布を評価することで、前記構造材に存在する欠陥を検出するよう構成されたことを特徴とする構造材の欠陥検出装置。
【請求項2】
構造材の内部あるいは表面に存在する欠陥を検出する構造材の欠陥検出装置であって、
前記構造材の表面に接近可能な導体に交流電流を印加する電流印加手段と、
交流電流が印加された上記導体の接近により前記構造材の表面に誘導された誘導磁界の強度分布を、当該構造材に非接触で検出する磁界プローブアレイとを有し、
この磁界プローブアレイは、磁界を検出する素子を備えた磁界プローブが複数配列されて成り、この磁界プローブアレイにより検出された誘導磁界の強度分布を評価することで、前記構造材に存在する欠陥を検出するよう構成されたことを特徴とする構造材の欠陥検出装置。
【請求項3】
構造材の内部あるいは表面に存在する欠陥を検出する構造材の欠陥検出装置であって、
前記構造材の表面に接近可能なコイル状導体に交流電流を印加する電流印加手段と、
交流電流が印加された上記コイル状導体の接近により前記構造材の表面に誘導された誘導磁界の強度分布を、当該構造材に非接触で検出する磁界プローブアレイとを有し、
この磁界プローブアレイは、磁界を検出する素子を備えた磁界プローブが複数配列されて成り、この磁界プローブアレイにより検出された誘導磁界の強度分布を評価することで、前記構造材に存在する欠陥を検出するよう構成されたことを特徴とする構造材の欠陥検出装置。
【請求項4】
前記磁界プローブアレイは、複数の磁界プローブが一次元または二次元に配列されて成り、構造材の表面に沿って走査されることで、当該構造材の表面の二次元的な磁界の強度分布を検出するよう構成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の構造材の欠陥検出装置。
【請求項5】
構造材の内部あるいは表面に存在する欠陥を検出する構造材の欠陥検出方法であって、
前記構造材の離れた2接点間に交流電流を印加することで、当該構造材の表面に磁界を誘導し、
この誘導磁界の強度分布を、磁界を検出する素子を備えた磁界プローブが複数配列されて成る磁界プローブアレイを用いて、前記構造材に非接触で検出し、
この誘導磁界の強度分布を評価することで、前記構造材に存在する欠陥を検出することを特徴とする構造材の欠陥検出方法。
【請求項6】
構造材の内部あるいは表面に存在する欠陥を検出する構造材の欠陥検出方法であって、
交流電流が印加された導体を前記構造材に接近することで、当該構造材の表面に磁界を誘導し、
この誘導磁界の強度分布を、磁界を検出する素子を備えた磁界プローブが複数配列されて成る磁界プローブアレイを用いて、前記構造材に非接触で検出し、
この誘導磁界の強度分布を評価することで、前記構造材に存在する欠陥を検出することを特徴とする構造材の欠陥検出方法。
【請求項7】
構造材の内部あるいは表面に存在する欠陥を検出する構造材の欠陥検出方法であって、
交流電流が印加されたコイル状導体を前記構造材に接近することで、当該構造材の表面に磁界を誘導し、
この誘導磁界の強度分布を、磁界を検出する素子を備えた磁界プローブが複数配列されて成る磁界プローブアレイを用いて、前記構造材に非接触で検出し、
この誘導磁界の強度分布を評価することで、前記構造材に存在する欠陥を検出することを特徴とする構造材の欠陥検出方法。
【請求項8】
前記磁界プローブを一次元または二次元に複数配列された磁界プローブアレイを、構造材の表面に沿って走査することで、当該構造材の表面の二次元的な磁界の強度分布を検出することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の構造材の欠陥検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−175638(P2008−175638A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8231(P2007−8231)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】