説明

標的物質の自動解析装置および判定ソフトウェア更新方法

【課題】判定ソフトウェアの自動更新が可能な生化学反応カセット自動解析装置を提供する。
【解決手段】判定ソフトウェアがそのバージョン情報およびプローブ担体上のプローブの種類を識別するための識別情報と関連付けられて格納された記憶部を有する生化学反応カセット自動解析装置100が、ネットワーク300を介して判定ソフトウェア提供システム200と接続されている。判定ソフトウェア提供システム200は、上記プローブの種類に応じた判定ソフトウェアがそのバージョン情報および上記識別情報と関連付けられて格納された判定ソフトウェア情報格納部202aと、判定ソフトウェア情報格納部202a内の判定ソフトウェアの更新情報を生化学反応カセット自動解析装置100に提供する照合用コンピュータ201とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学反応カセット等に収容されている、標的物質と特異的に結合可能なプローブ(標識された生化学的な物質)を固定してなるプローブ担体を用いて標的物質の種類や量を判定する解析装置及びそれに用いられる判定ソフトウェア更新方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ゲノム情報の増加に伴い、遺伝子の多型性や発現量を調べる研究が大規模に進められている。そのようなハイスループットのゲノム解析によく用いられているプローブ担体の一例として、DNAマイクロアレイ(DNAチップとも呼ばれる)がある。DNAマイクロアレイは、DNAなどの標的物質と特異的に結合可能なプローブがスライドガラス上に高密度に固定されたものである。このプローブが高密度に固定されたスライドガラス上で、採取した血液などの検体から遺伝子を抽出し、増幅し、蛍光色素などで標識化したゲノムをハイブリダイゼーション反応させる。検体に標的物質が存在する場合は、プローブに標識化された標的物質が結合するので、その標識の位置と量から標的物質の種類と量が分かる(特許文献1参照)。
【0003】
現在の一般的なDNAマイクロアレイの解析システムは、抽出装置、増幅装置、標識装置、ハイブリダイゼーション装置、検出装置、および解析装置など複数の装置から構成されている。抽出装置は、検体から遺伝子を抽出する。増幅装置は、抽出した遺伝子を増幅する。標識装置は、増幅した遺伝子を蛍光色素で標識する。ハイブリダイゼーション装置は、これら抽出装置、増幅装置および標識装置での各工程によって作製されたゲノムをDNAマイクロアレイ担体にハイブリダイゼーションする。検出装置は、反応後のDNAマイクロアレイ上の蛍光標識の位置と量を検出する。解析装置は、検出装置で検出した結果を解析する。各装置間の検体やDNAマイクロアレイ等の移動は手作業によって行われているため、手間がかかる。また、全装置を置くために多くのスペースが割かれる。
【0004】
これまでは、研究用途で使用されることが多かったため、手作業による煩わしさやスペースの問題はさほど問題視されていなかった。しかし、今後は、DNAマイクロアレイの性能の良さから、解析システムを臨床の場においても使用するようになることが予想されることから、そのような問題についても検討することが必要である。そこで、上記各種装置を一体化した生化学反応カセット自動解析装置が開発されている。
【特許文献1】特開平11−187900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように各種装置を一体化した生化学反応カセット自動解析装置が開発されている。しかし、この生化学反応カセット自動解析装置には、ユーザーが使用する上で、以下のような問題がある。
【0006】
DNAマイクロアレイ上のプローブ設計法の技術向上や、遺伝子と病気の相関の研究が進むにつれて、DNAマイクロアレイに用いられるプローブの種類は変化したり、増加したりする。また、DNAマイクロアレイ上のプローブ種類のパターンは、検査内容(例えば癌と感染症、癌と抗がん剤の副作用などの組み合わせ)によって変わるため、様々なパターンのチップが投入されると考えられる。このような状況においては、ユーザーが生化学反応カセット自動解析装置を購入した後に、新しいプローブ種類のDNAマイクロアレイが含まれた生化学反応カセットが売られる、といったことが発生する。そのような場合、装置購入時にインストールされていた標的物質の量と種類を判定する判定ソフトウェアでは、装置購入後に販売された新しいプローブ種類のDNAマイクロアレイを用いた解析を行うことができない場合がある。このため、ユーザーは、新しいプローブ種類のDNAマイクロアレイを購入した場合は、その購入したDNAマイクロアレイを用いた解析を行うための最新の判定ソフトウェアをベンダーから入手して装置内にインストールする必要がある。しかし、ユーザー自身で最新の判定ソフトウェアを生化学反応カセット自動解析装置内にインストールすることは非常に手間がかかる。
【0007】
本発明の目的は、上記問題を解決し、最新の判定ソフトウェアに自動で更新することができる、ユーザーへの負担の少ない、標的物質の解析装置を提供することにある。
【0008】
また本発明の他の目的は、より高精度な判定を行い得る判定ソフトウェア更新システム及び判定ソフトウェア更新方法を提供することにある。
【0009】
また本発明の更に他の目的は、検体中の標的物質の定性的、定量的な解析を、より高精度に行い得る標的物質の解析装置の動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の生化学反応カセット自動解析装置は、標的物質と特異的に結合可能なプローブが、該プローブの種類を識別するためのプローブ種類識別情報の読み出しが可能な情報媒体とともに固定されたプローブ担体を収容する生化学反応カセットと、前記標的物質を解析するための判定ソフトウェアが該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けられて格納された記憶部と、前記情報媒体から前記プローブ種類識別情報を読み取る情報読み取り部と、前記情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部から判定ソフトウェアを取得して前記標的物質の解析に利用する制御部とを有し、前記制御部が、外部から前記バージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む判定ソフトウェアの更新情報が供給されると、該供給された更新情報のバージョン情報およびプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部内を検索し、該当する判定ソフトウェアの情報を更新することを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、記憶部に格納された判定ソフトウェア(インストールされた判定ソフトウェア)は、バージョン情報およびプローブ種類識別情報に基づいて管理されている。外部から最新の判定ソフトウェアが供給されると、その供給された最新の判定ソフトウェアのバージョン情報およびプローブ種類識別情報に基づいて記憶部内の該当する判定ソフトウェアが自動で更新される。情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて記憶部から判定ソフトウェアを取得するようになっており、これにより、更新した判定ソフトウェアの使用を可能としている。よって、最新の判定ソフトウェアをインストールするための操作やインストールした判定ソフトウェアを利用するための設定をユーザー自身が行う必要はない。
【0012】
また本発明に係る標的物質の解析装置は、標的物質と特異的に結合可能なプローブが、該プローブの種類を識別するためのプローブ種類識別情報の読み出しが可能な情報媒体と共に固定されたプローブ担体と共に使用される標的物質の解析装置であって、
(i)前記標的物質を解析するための判定ソフトウェアが、該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けられて格納された記憶部と、
(ii)前記情報媒体から前記プローブ種類識別情報を読み取る情報読み取り部と、
(iii)制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部から判定ソフトウェアを取得するステップと、
外部から前記バージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む判定ソフトウェアの更新情報が供給された場合、該供給された更新情報のバージョン情報およびプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部内を検索し、該当する判定ソフトウェアの情報を更新するステップと、を実行することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る標的物質の解析装置は、標的物質と特異的に結合可能なプローブが、該プローブの種類を識別するためのプローブ種類識別情報の読み出しが可能な情報媒体と共に固定されているプローブ担体と共に用いられる、
前記プローブ担体からのシグナル検出部と、
前記標的物質を解析するための判定ソフトウェアが、該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けられて格納された記憶部と、
前記情報媒体から前記プローブ種類識別情報を読み取る情報読み取り部と、
制御部と、
を有している標的物質の解析装置であって、
前記制御部が、
(i)該標的物質を含んでいる可能性を有する検体との反応に供した前記プローブ担体からのシグナルを前記シグナル検出部に検出させるステップと、
(ii)前記情報読み取り部が読み取った前記装着部に装着されたプローブ担体に固定された情報媒体からプローブ識別情報に基づき対応する判定ソフトウェアを取得するステップと、
(iii)前記ステップ(ii)で取得した判定ソフトウェアの更新要求を行うステップと、
(iv)前記ステップ(iii)の更新要求によって更新された判定ソフトウェアが提供された場合、該更新された判定ソフトウェアを用いて前記ステップ(i)で検出したシグナルの解析を行うステップと、を実行するものであることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る標的物質の解析装置の動作方法は、標的物質と特異的に結合可能なプローブが、該プローブの種類を識別するためのプローブ種類識別情報の読み出しが可能な情報媒体と共に固定されているプローブ担体と共に用いられる、
前記プローブ担体からのシグナル検出部と、
前記標的物質を解析するための判定ソフトウェアが、該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けられて格納された記憶部と、
前記情報媒体から前記プローブ種類識別情報を読み取る情報読み取り部と、
制御部と、
を有している標的物質の解析装置の動作方法であって、
前記制御部は、
(i)該標的物質を含んでいる可能性を有する検体との反応に供した前記プローブ担体からのシグナルを前記シグナル検出部に検出させるステップと、
(ii)前記情報読み取り部が読み取った前記装着部に装着されたプローブ担体に固定された情報媒体からプローブ識別情報に基づき対応する判定ソフトウェアを取得するステップと、
(iii)前記ステップ(ii)で取得した判定ソフトウェアの更新要求を行うステップと、
(iv)前記ステップ(iii)の更新要求によって更新された判定ソフトウェアが提供された場合、該更新された判定ソフトウェアを用いて前記ステップ(i)で検出したシグナルの解析を行うステップと、を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、最新の判定ソフトウェアに自動更新されるので、最新の判定ソフトウェアをインストールするための操作や設定をユーザー自身が行う必要がない分、ユーザーへの負担を軽減することができる、という効果がある。
【0016】
また、自動更新により、人為的ミスがなくなり、その結果、検査・解析における確度が上がる、という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態であるDNA判定ソフトウェア自動更新システムの構成を示すブロック図である。図1を参照すると、DNA判定ソフトウェア自動更新システムは、ユーザー側で使用される生化学反応カセット自動解析装置100と、ベンダー側で使用されるDNA判定ソフトウェア提供システム200とから構成されている。生化学反応カセット自動解析装置100とDNA判定ソフトウェア提供システム200はネットワーク300を介して相互通信可能に接続されている。
【0019】
生化学反応カセット自動解析装置100は、抽出装置、増幅装置、標識装置、ハイブリダイゼーション装置、検出装置、および解析装置などの各装置を一体化したものであって、判定ソフトウェア情報管理部を備える。図2に、その判定ソフトウェア情報管理部の構成を示す。
【0020】
図2を参照すると、判定ソフトウェア情報管理部は、情報読み取り部102、記憶部103、通信部104、入力部105、表示部106およびこれら各部の動作を制御する制御部101からなる。通信部104は、ネットワーク300を通じて外部装置との通信を行うモデムなどである。入力部105は、キーボードやマウスなどのユーザーがデータを入力する際に使用される装置、CD−ROMやDVDなどの記録媒体から情報を読み込むディスク装置などを含む。表示部106は、CRTやLCDなどにより構成される。
【0021】
情報読み取り部102は、生化学反応カセット107内に収納されるマイクロアレイ108の一部に設けられた情報媒体109から情報を読み取る。情報媒体109は、マイクロアレイ108上のプローブ担体の種類(プローブ種類)を識別可能な識別情報(例えばコード)が記録(例えば、印刷)または格納された媒体である。情報媒体109としては、プローブ種類の識別情報がバーコード情報や画像情報として印刷された媒体の他、プローブ種類の識別情報を記憶した無線タグ(ICチップ)などがある。バーコード情報を用いる場合は、情報読み取り部102にバーコードリーダが用いられる。画像情報を用いる場合は、情報読み取り部102にCCDに代表される撮像素子よりなるイメージセンサが用いられる。無線タグを用いる場合は、情報読み取り部102に無線タグ用のリーダが用いられる。情報媒体109のマイクロアレイ108への取りつけはベンダー側で行う。
【0022】
記憶部103には、判定ソフトウェア情報、判定ソフトウェア情報を管理するためのプログラムやデータ(検査・解析データ)、DNA判定ソフトウェア提供システム200へのアクセスに必要な情報などが格納されている。判定ソフトウェア情報は、解析装置購入時に予めインストールされていた判定ソフトウェアや、解析装置購入後に、ユーザー側で入力部105を使用してインストールした判定ソフトウェアの情報である。この判定ソフトウェア情報は、ソフトウェアの新しさを示すバージョン情報と、利用可能なプローブ種類の識別情報とを含む。インストール処理は、制御部101にて実行される。アクセスに必要な情報は、ネットワーク300上におけるDNA判定ソフトウェア提供システム200および自解析装置100の各アドレス情報、自解析装置100の識別情報などである。
【0023】
制御部101は、記憶部103に格納されたプログラムに従って動作し、情報読み取り部102によるプローブ種類識別情報の読み取りを制御するとともに、読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて記憶部103内を検索して判定ソフトウェア情報を取得する。こうして取得した判定ソフトウェアが解析に利用される。また、制御部101は、記憶部103に格納されているアドレス情報に基づいてDNA判定ソフトウェア提供システム200にアクセスしてソフトウェア更新要求を行う。このソフトウェア更新要求を行う際、制御部101は、DNA判定ソフトウェア提供システム200に対して、検索した判定ソフトウェア情報のバージョン情報およびプローブ種類識別情報を通信部104から送信する。
【0024】
また、制御部101は、DNA判定ソフトウェア提供システム200から最新ソフトウェアを受信した場合は、その受信した最新ソフトウェアで記憶部103内の該当するソフトウェアを更新する。ここで、最新ソフトウェアとは、例えば、プローブ種類ごとの輝度の閾値や、プローブ全体の輝度パターンのばらつきの値を変更したものである。また、制御部101は、生化学反応カセット107内に収納されるマイクロアレイ108を利用して検査・解析の処理を実行した場合は、その検査・解析データを通信部104からDNA判定ソフトウェア提供システム200へ送信する。この検査・解析データの送信は、DNA判定ソフトウェア提供システム200からの収集要求に応じて行われても良い。その場合、検査・解析データは、収集要求を受信するまで、記憶部103に判定ソフトウェアの情報(バージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む)と関連付けられて格納される。
【0025】
DNA判定ソフトウェア提供システム200は、照合用コンピュータ201およびデータベース202から構成されている。データベース202は、判定ソフトウェア情報格納部202aと収集データ格納部202bを有する。判定ソフトウェア情報格納部202aには、DNAマイクロアレイ108上のプローブ種類に応じた最新の判定ソフトウェア情報が格納されている。この最新の判定ソフトウェア情報は、バージョン情報と利用可能なプローブ種類の識別情報とを含む。収集データ格納部202bには、生化学反応カセット自動解析装置100から収集した検査・解析データがその検査・解析に使用した判定ソフトウェアの情報(バージョン情報およびプローブ種類を含む)と関連付けられて格納される。
【0026】
照合用コンピュータ201は、キーボードやマウスなどの入力装置、プログラムやデータが格納される記憶部、ネットワーク300を介して外部装置との通信を行う通信機能などを備えている。照合用コンピュータ201は、生化学反応カセット自動解析装置100からのソフトウェア更新要求に応じて、判定ソフトウェア情報格納部202a内を検索して要求された最新の判定ソフトウェア情報があるか否かを調べる。判定ソフトウェア情報格納部202aの検索では、ソフトウェア更新要求と一緒に受信した、判定ソフトウェアのバージョン情報とプローブ種類の識別情報を利用する。最新の判定ソフトウェア情報がある場合は、照合用コンピュータ201は、その判定ソフトウェア情報を生化学反応カセット自動解析装置100に送信する。最新の判定ソフトウェア情報がない場合は、照合用コンピュータ201は、その旨を生化学反応カセット自動解析装置100に送信する。また、照合用コンピュータ201は、アクセスのあった生化学反応カセット自動解析装置100から、検査・解析データおよびその検査・解析に使用した判定ソフトウェアの情報(バージョン情報およびプローブ種類を含む)を収集する。データ収集は、定期的に行われても良く、また、生化学反応カセット自動解析装置100が検査・解析処理後にその検査・解析データを自動的に送信するようにしてもよい。収集したデータは、判定ソフトウェアの情報(バージョン情報およびプローブ種類を含む)と関連付けられて収集データ格納部202bに格納される。
【0027】
ベンダー(具体的には、システム運用管理者)は、照合用コンピュータ201の入力装置上でデータ更新のための入力操作を行うことで、ソフトウェア情報格納部202a内の判定ソフトウェア情報を最新のものに更新することができる。この情報更新において、ベンダーは、収集データ格納部202bに格納されている収集データを利用することができる。
【0028】
次に、本実施形態のDNA判定ソフトウェア自動更新システムの動作を具体的に説明する。図3は、DNA判定ソフトウェア更新処理の一手順を示すフローチャート、図4は、DNA判定ソフトウェア更新におけるデータの流れを示す模式図である。以下、図1〜図4を参照してDNA判定ソフトウェア更新処理を具体的に説明する。
【0029】
ユーザーは、マイクロアレイ108がベンダーによって前もって収納されている生化学反応カセット107あるいは、ベンダーから事前に購入したマイクロアレイ108をユーザーによって生化学反応カセット107内に収納したカセット、そのいずれかの方式のカセットを生化学反応カセット自動解析装置100にセットする(ステップ10)。制御部101は、生化学反応カセット107がセットされたことを検知すると、情報読み取り部102を制御してマイクロアレイ108に設けられた情報媒体109からプローブ種類識別情報を読み取る(ステップ11)。そして、制御部101は、読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて記憶部103内を検索して判定ソフトウェア情報を取得する。
【0030】
判定ソフトウェア情報の取得後、制御部101は、記憶部103に格納されているアドレス情報に基づいてDNA判定ソフトウェア提供システム200にアクセスしてソフトウェア更新要求を行う(ステップ12)。このソフトウェア更新要求送信ステップでは、制御部101は、DNA判定ソフトウェア提供システム200に対して、検索した判定ソフトウェア情報のバージョン情報およびプローブ種類識別情報を含むプローブ情報を通信部104から送信する。
【0031】
DNA判定ソフトウェア提供システム200では、照合用コンピュータ201が、生化学反応カセット自動解析装置100から受信したプローブ情報に基づいて判定ソフトウェア情報格納部202a内を検索する。次いで、照合用コンピュータ201は、受信したプローブ情報に含まれる判定ソフトウェアのバージョンと検索した判定ソフトウェアのバージョンとの照合を行う(ステップ13)。そして、照合用コンピュータ201は、照合結果に基づいてベンダー側の判定ソフトウェアの方が新しいか否かを判断する(ステップ14)。この判断では、バージョンの数値が大きい方が、より新しい判定ソフトウェアとされる。
【0032】
ステップ14の判断が「Yes」となった場合は、照合用コンピュータ201は、その判定ソフトウェアの情報(プローブ種類識別情報およびバージョン情報を含む)を最新情報として生化学反応カセット自動解析装置100に送信する。最新の判定ソフトウェアの情報を受信した生化学反応カセット自動解析装置100では、制御部101が、その最新の判定ソフトウェアの情報を記憶部103内に格納する(ステップ15)。この格納(ダウンロード)処理において、制御部101は、バージョン情報およびプローブ種類識別情報に基づいて、バージョンの古い判定ソフトウェアをバージョンの新しい判定ソフトウェアで上書きする。格納(ダウンロード)処理後、生化学反応カセット自動解析装置100では、バージョンの新しい判定ソフトウェアを用いた解析が行われる(ステップ16)。
【0033】
ステップ14の判断が「No」となった場合は、照合用コンピュータ201は、現在使用している判定ソフトウェアが最新のものである旨を示す通知信号を生化学反応カセット自動解析装置100に送信する。生化学反応カセット自動解析装置100では、制御部101が、その通知信号を受信したことで、記憶部103に格納されている判定ソフトウェアが最新のものであると判断する。よって、生化学反応カセット自動解析装置100では、記憶部103に格納されている判定ソフトウェアを用いた解析が行われる(ステップ17)。この処理に際して、通知信号を受信した制御部101が、現在使用している判定ソフトウェアが最新のものである旨のメッセージを表示部106にて表示してもよい。
【0034】
本実施形態のシステムでは、上述したDNA判定ソフトウェア更新処理に加えて、検査精度を上げるために、DNA判定ソフトウェア提供システム200において、生化学反応カセット自動解析装置100から検査・解析データを収集する処理が実行される。
【0035】
図5は、検査・解析データ収集処理の一手順を示すフローチャート、図6は、検査・解析データ収集におけるデータの流れを示す模式図である。以下、図1、図2、図5、図6を参照して検査・解析データ収集処理を具体的に説明する。
【0036】
生化学反応カセット自動解析装置100にて、セットされた生化学反応カセット107内のマイクロアレイ108について検査・解析の処理が実行される(ステップ20)。この処理では、まず、検体からの遺伝子を抽出して増幅し、その増幅した遺伝子を蛍光色素で標識してゲノムを作成する。そして、作製したゲノムをハイブリダイゼーションし、反応後のDNAマイクロアレイ上の蛍光標識の位置と量を検出し、その検出結果を解析する。
【0037】
検査・解析の処理後、制御部101は、情報読み取り部102で情報媒体109から読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて記憶部103内を検索して判定ソフトウェア情報を取得する。次いで、制御部101は、記憶部103に格納されているアドレス情報に基づいてDNA判定ソフトウェア提供システム200にアクセスする。そして、制御部101は、検査・解析データを、判定ソフトウェア情報(バージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む)を含むプローブ情報と一緒にDNA判定ソフトウェア提供システム200に送信する(ステップ21)。
【0038】
検査・解析データおよびプローブ情報を受信したDNA判定ソフトウェア提供システム200では、照合用コンピュータ201が、その受信した検査・解析データおよびプローブ情報を収集データ格納部202bに格納する(ステップ22)。
【0039】
以上説明した本実施形態によれば、生化学反応カセット107がセットされるタイミングで、そのカセットに収納されたマイクロアレイ108に対応する最新の判定ソフトウェアへの更新が自動的に行われる。よって、ソフトウェア更新ための操作や設定をユーザー自身で行う必要はない。
【0040】
また、常に、最新の判定ソフトウェアに更新されるようになっているので、ユーザー自身がプローブ種類に応じた最新の判定ソフトウェアを常に把握する必要もなくなる。従来は、そのような構成を有していなかったため、ユーザー自身が最新の判定ソフトウェアに関する情報を常に把握する必要があった。
【0041】
また、臨床の場で使用する場合は、人命に関わることから、検査結果に非常に高い正確性が要求される。本実施形態によれば、自動更新としたことで、人為的ミスがなくなり、その結果、検査・解析における確度が上がるので、そのような臨床の場での使用における正確性の要求にも応えることができる。
【0042】
さらに、本実施形態では、ユーザーから同じプローブ種類が固定されたDNAマイクロアレイを用いて検査した多くのデータを収集し、その収集した大量のデータに基づいて最新の判定ソフトウェアが作成されるようになっている。これにより、検査精度を上げることが可能となっている。
【0043】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態であるDNA判定ソフトウェア自動更新システムの構成を示すブロック図である。本実施形態のDNA判定ソフトウェア自動更新システムは、照合用コンピュータ201による最新の判定ソフトウェアの情報提供動作が第1の実施形態のシステムと異なる。第1の実施形態では、生化学反応カセット自動解析装置100が、生化学反応カセット107がセットされたタイミングで、DNA判定ソフトウェア提供システム200にアクセスして、最新の判定ソフトウェアへの更新要求を行っている。これに対して、本実施形態では、判定ソフトウェア情報格納部202aにてソフトウェアの情報が更新される度に、DNA判定ソフトウェア提供システム200がその更新情報を自動的に生化学反応カセット自動解析装置100に送信するようになっている。これ以外の構成は、第1の実施形態のシステムと同様であるので、以下では、異なる部分について詳細に説明する。
【0044】
図7に示すように、本実施形態のDNA判定ソフトウェア自動更新システムでは、データベース202は、判定ソフトウェア情報格納部202aおよび収集データ格納部202bに加えてアドレス情報格納部202cを有する。アドレス情報格納部202cには、更新した判定ソフトウェアの情報を送信すべき生化学反応カセット自動解析装置の、ネットワーク300上におけるアドレス情報が、予め格納されている。このアドレス情報格納部202cへのアドレス情報の登録は、解析装置の購入時に、ユーザーが提示したアドレス情報をシステム管理者が登録する。このアドレス情報の登録は、生化学反応カセット自動解析装置100を購入後に、生化学反応カセット自動解析装置100からDNA判定ソフトウェア提供システム200にアクセスして、アドレス情報を登録するようにしてもよい。
【0045】
図8に、本発明の第2の実施形態であるDNA判定ソフトウェア自動更新システムにおいて行われるDNA判定ソフトウェア更新処理の一手順を示す。以下、図7および図8を参照して、DNA判定ソフトウェア更新処理を説明する。
【0046】
システム運用管理者が、照合用コンピュータ201上で、判定ソフトウェア情報格納部202aに格納されている判定ソフトウェアを更新するための入力操作を行う。この入力操作に応じて、照合用コンピュータ201が判定ソフトウェアの更新がなされたと判断する(ステップ30、Yes)。判定ソフトウェアが更新されると、照合用コンピュータ201は、アドレス情報格納部202cから更新した判定ソフトウェアの情報を送信すべき生化学反応カセット自動解析装置のアドレス情報を取得する(ステップ31)。次いで、照合用コンピュータ201は、判定ソフトウェア情報格納部202aから更新された判定ソフトウェアの情報(バージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む)を取得し、ステップ31で取得したアドレス情報宛に送信する(ステップ32)。
【0047】
生化学反応カセット自動解析装置100では、制御部101が、照合用コンピュータ201から受信した更新された判定ソフトウェアの情報に基づいて記憶部103内の情報を更新する(ステップ33)。この情報更新では、更新された判定ソフトウェアの情報に含まれるバージョン情報およびプローブ種類識別情報に基づいて記憶部103内を検索する。そして、該当する判定ソフトウェアの情報を更新された判定ソフトウェアの情報で上書きする。
【0048】
上述のようにして記憶部103内の判定ソフトウェアの情報が更新された後は、生化学反応カセット自動解析装置100にて、その記憶部103内の判定ソフトウェアを利用した検査・解析が行われる。図9に、その判定ソフトウェアを利用した検査・解析処理の一手順を示す。
【0049】
図9を参照すると、まず、ユーザーは、マイクロアレイ108がベンダーによって前もって収納されている生化学反応カセット107あるいは、ベンダーから事前に購入したマイクロアレイ108を生化学反応カセット107内に収納したカセット、そのいずれかの方式のカセットを生化学反応カセット自動解析装置100にセットする(ステップ40)。制御部101は、生化学反応カセット107がセットされたことを検知すると、情報読み取り部102を制御してマイクロアレイ108に設けられた情報媒体109からプローブ種類識別情報を読み取る(ステップ41)。次いで、制御部101は、読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて記憶部103内を検索して該当する判定ソフトウェア情報を読み出す(ステップ42)。生化学反応カセット自動解析装置100では、その読み出した判定ソフトウェアを用いた解析が行われる(ステップ43)。
【0050】
本実施形態においても、生化学反応カセット自動解析装置100における検査・解析結果は、DNA判定ソフトウェア提供システム200によって収集される。これにより、ベンダー側では、収集データに基づく最新の判定ソフトウェアを作成することが可能となっている。
【0051】
上述した本実施形態によれば、判定ソフトウェア情報格納部202a内の判定ソフトウェアの情報が更新される度に、その更新情報が、DNA判定ソフトウェア提供システム200から生化学反応カセット自動解析装置100に提供される。そして、生化学反応カセット自動解析装置100にて、その更新情報に基づいて、記憶部103内の判定ソフトウェアの情報が更新される。よって、本実施形態においても、前述の第1の実施形態の場合と同様な効果を奏する。
【0052】
また、第1の実施形態では、生化学反応カセットをセットしたタイミングで、最新の判定ソフトウェアへの更新が行われる。これに対して、本実施形態においては、プローブ種類に応じた最新の判定ソフトウェアがDNA判定ソフトウェア提供システム200から生化学反応カセット自動解析装置100に予め提供されている。よって、生化学反応カセットをセットした際には、すでに最新の判定ソフトウェアへの更新がなされた状態になっており、すぐに最新の判定ソフトウェアを利用した解析を実行することが可能となっている。このように、本実施形態では、第1の実施形態と比較して、生化学反応カセットをセットした後の処理時間が、ダウンロードに要する時間分だけ短縮される。
【0053】
以上説明した各実施形態は、本発明の一例であり、その構成および動作は適宜変更することができる。例えば、第1の実施形態の構成と第2の実施形態の構成を組み合せてもよい。この場合は、生化学反応カセットをセットしたタイミングで、生化学反応カセット自動解析装置100における判定ソフトウェアの更新処理が実行される。この更新処理に加えて、判定ソフトウェア情報格納部202aに格納されている判定ソフトウェアの情報が更新されるタイミングで、生化学反応カセット自動解析装置100における判定ソフトウェアの更新処理が実行されることになる。
【0054】
また、図1および図4に示したシステム構成では、DNA判定ソフトウェア提供システム200に対して1つの生化学反応カセット自動解析装置100が接続されるようになっているが、本発明はこれに限定されるものではない。DNA判定ソフトウェア提供システム200と接続される生化学反応カセット自動解析装置100の数は2以上であってもよい。通常は、複数の生化学反応カセット自動解析装置100がDNA判定ソフトウェア提供システム200に接続される。
【0055】
また、判定ソフトウェアの更新情報は、DNA判定ソフトウェア提供システム200からネットワーク300を介して生化学反応カセット自動解析装置100に送信されるようになっているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、判定ソフトウェアの更新情報は、CD−ROMなどの記録媒体を通じて生化学反応カセット自動解析装置100に供給してもよい。
【0056】
また、生化学反応カセット107内に収容されるプローブ担体の一例としてDNAマイクロアレイ108を挙げたが、本発明は、これに限定されるものではない。プローブ担体は、標的物質と特異的に結合可能なプローブを固定したものであれば、どのような構成のものであってもよい。プローブとしては、核酸やプロテインなど種々の物質を用いることが可能である。
【0057】
また、DNAマイクロアレイ108の材質は、ガラスであっても、プラスチックであってもよい。
【0058】
また、DNAマイクロアレイ108上へのプローブの固定には、インクジェット法やピン法を用いることが可能である。
【0059】
また、生化学反応カセット107内に流路がさらに形成されていてもよい。生化学反応カセット自動解析装置内には、生化学反応カセットと標的物質のシグナルを定性的および/あるいは定量的に読み取る装置やシグナルを解析する装置だけでなく、各種反応場や各種処理場、各種液体移動手段などが設定されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態であるDNA判定ソフトウェア自動更新システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す生化学反応カセット自動解析装置の判定ソフトウェア情報管理部の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すDNA判定ソフトウェア自動更新システムにおいて行われるDNA判定ソフトウェア更新処理の一手順を示すフローチャートである。
【図4】図3に示すDNA判定ソフトウェア更新処理におけるデータの流れを示す模式図である。
【図5】図1に示すDNA判定ソフトウェア自動更新システムにおいて行われる検査・解析データ収集処理の一手順を示すフローチャートである。
【図6】図5に示す検査・解析データ収集処理におけるデータの流れを示す模式図である。
【図7】本発明の第2の実施形態であるDNA判定ソフトウェア自動更新システムの構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示すDNA判定ソフトウェア自動更新システムにおいて行われるDNA判定ソフトウェア更新処理の一手順を示すフローチャートである。
【図9】図8に示す生化学反応カセット自動解析装置において行われる判定ソフトウェアを利用した検査・解析処理の一手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
100 生化学反応カセット自動解析装置
101 制御部
102 情報読み取り部
103 記憶部
104 通信部
105 入力部
106 表示部
107 生化学反応カセット
108 DNAマイクロアレイ
109 情報媒体
200 DNA判定ソフトウェア提供システム
201 照合用コンピュータ
202 データベース
202a 判定ソフトウェア情報格納部
202b 収集データ格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的物質と特異的に結合可能なプローブが、該プローブの種類を識別するためのプローブ種類識別情報の読み出しが可能な情報媒体とともに固定されたプローブ担体を収容する生化学反応カセットと、
前記標的物質を解析するための判定ソフトウェアが該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けられて格納された記憶部と、
前記情報媒体から前記プローブ種類識別情報を読み取る情報読み取り部と、
前記情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部から判定ソフトウェアを取得して前記標的物質の解析に利用する制御部とを有し、
前記制御部は、外部から前記バージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む判定ソフトウェアの更新情報が供給されると、該供給された更新情報のバージョン情報およびプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部内を検索し、該当する判定ソフトウェアの情報を更新する、ことを特徴とする生化学反応カセット自動解析装置。
【請求項2】
ネットワークを介して外部装置と通信可能に接続され、前記判定ソフトウェアの更新情報を前記外部装置から受信する通信部をさらに有する、請求項1に記載の生化学反応カセット自動解析装置。
【請求項3】
ネットワークを介して外部装置と通信可能に接続される通信部をさらに有し、
前記制御部は、前記情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて、前記記憶部から該当する判定ソフトウェアのバージョン情報を取得するとともに、該取得した判定ソフトウェアのバージョン情報を前記読み取ったプローブ種類識別情報と一緒に前記通信部から前記外部装置に送信して更新要求を行い、該更新要求に応じて前記外部装置が送信した前記判定ソフトウェアの更新情報を前記通信部が受信する、請求項1に記載の生化学反応カセット自動解析装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記標的物質の解析の結果、該解析に使用した判定ソフトウェアのバージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む情報を前記通信部から前記外部装置に送信する、請求項2または3に記載の生化学反応カセット自動解析装置。
【請求項5】
ネットワークを介して通信可能に接続された生化学反応カセット自動解析装置および判定ソフトウェア提供システムを有し、
前記生化学反応カセット自動解析装置は、
標的物質と特異的に結合可能なプローブが、該プローブの種類を識別するためのプローブ種類識別情報の読み出しが可能な情報媒体とともに固定されたプローブ担体を収容する生化学反応カセットと、
前記標的物質を解析するための判定ソフトウェアが該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けられて格納された記憶部と、
前記情報媒体から前記プローブ種類識別情報を読み取る情報読み取り部と、
前記情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部から判定ソフトウェアを取得して前記標的物質の解析に利用する制御部とを有し、
前記判定ソフトウェア提供システムは、
前記プローブの種類に応じた判定ソフトウェアが該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けられて格納された判定ソフトウェア情報格納部と、
前記判定ソフトウェア情報格納部に格納された判定ソフトウェアの更新情報を管理する照合用コンピュータとを有し、
前記制御部は、前記情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて、前記記憶部から該当する判定ソフトウェアのバージョン情報を取得するとともに、該取得した判定ソフトウェアのバージョン情報を前記読み取ったプローブ種類識別情報と一緒に前記照合用コンピュータに送信して更新要求を行い、
前記照合用コンピュータは、前記制御部から受信した判定ソフトウェアのバージョン情報およびプローブ種類識別情報に基づいて前記判定ソフトウェア情報格納部から該当する判定ソフトウェアを取得し、該取得した判定ソフトウェアのバージョン情報が前記制御部から受信したバージョン情報より新しい場合に、該取得した判定ソフトウェア、該判定ソフトウェアのバージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む更新情報を前記制御部に送信し、
前記制御部は、前記照合用コンピュータから受信した更新情報に基づいて前記記憶部に格納された判定ソフトウェアの情報を更新する、ことを特徴とする判定ソフトウェア自動更新システム。
【請求項6】
ネットワークを介して通信可能に接続された生化学反応カセット自動解析装置および判定ソフトウェア提供システムを有し、
前記生化学反応カセット自動解析装置は、
標的物質と特異的に結合可能なプローブが、該プローブの種類を識別するためのプローブ種類識別情報の読み出しが可能な情報媒体とともに固定されたプローブ担体を収容する生化学反応カセットと、
前記標的物質を解析するための判定ソフトウェアが該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けられて格納された記憶部と、
前記情報媒体から前記プローブ種類識別情報を読み取る情報読み取り部と、
前記情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部から判定ソフトウェアを取得して前記標的物質の解析に利用する制御部とを有し、
前記判定ソフトウェア提供システムは、
前記プローブの種類に応じた判定ソフトウェアが該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けられて格納された判定ソフトウェア情報格納部と、
前記判定ソフトウェア情報格納部に格納された判定ソフトウェアが更新されると、該更新された判定ソフトウェア、該判定ソフトウェアのバージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む更新情報を前記生化学反応カセット自動解析装置に送信する照合用コンピュータとを有し、
前記制御部は、前記照合用コンピュータから受信した更新情報に基づいて前記記憶部に格納された判定ソフトウェアの情報を更新する、ことを特徴とする判定ソフトウェア自動更新システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて、前記記憶部から該当する判定ソフトウェアのバージョン情報を取得するとともに、該取得した判定ソフトウェアのバージョン情報を前記読み取ったプローブ種類識別情報と一緒に前記照合用コンピュータに送信して更新要求を行い、
前記照合用コンピュータは、前記制御部から受信した判定ソフトウェアのバージョン情報およびプローブ種類識別情報に基づいて前記判定ソフトウェア情報格納部から該当する判定ソフトウェアを取得し、該取得した判定ソフトウェアのバージョン情報が前記制御部から受信したバージョン情報より新しい場合に、該取得した判定ソフトウェア、該判定ソフトウェアのバージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む更新情報を前記制御部に送信する、請求項6に記載の判定ソフトウェア自動更新システム。
【請求項8】
前記判定ソフトウェア提供システムは、収集データを格納するための収集データ格納部をさらに有し、
前記制御部は、前記標的物質の解析の結果、該解析に使用した判定ソフトウェアのバージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む情報を前記収集データとして前記照合用コンピュータに送信し、
前記照合用コンピュータは、前記制御部から受信した収集データを前記収集データ格納部に格納する、請求項5から7のいずれか1項に記載の判定ソフトウェア自動更新システム。
【請求項9】
標的物質と特異的に結合可能なプローブが、該プローブの種類を識別するためのプローブ種類識別情報の読み出しが可能な情報媒体とともに固定されたプローブ担体を収容する生化学反応カセットを有する生化学反応カセット自動解析装置において行われる判定ソフトウェア自動更新方法であって、
制御部が行う制御ステップとして、
前記標的物質を解析するための判定ソフトウェアを該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けて記憶部に格納する第1のステップと、
情報読み取り部を制御して前記情報媒体から前記プローブ種類識別情報を読み取るステップと、
前記情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部から判定ソフトウェアを取得して前記標的物質の解析に利用する第2のステップと、
外部から前記バージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む判定ソフトウェアの更新情報が供給されると、該供給された更新情報のバージョン情報およびプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部内を検索し、該当する判定ソフトウェアの情報を更新する第3のステップとを含む、ことを特徴とする判定ソフトウェア自動更新方法。
【請求項10】
前記第3のステップは、
前記情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて、前記記憶部から該当する判定ソフトウェアのバージョン情報を取得するとともに、該取得した判定ソフトウェアのバージョン情報を前記読み取ったプローブ種類識別情報と一緒に外部装置へ送信して更新要求を行い、該更新要求に応じて前記外部装置が送信した前記判定ソフトウェアの更新情報を受信するステップを含む、請求項9に記載の判定ソフトウェア自動更新方法。
【請求項11】
前記制御ステップは、前記標的物質の解析の結果、該解析に使用した判定ソフトウェアのバージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む情報を前記外部装置に送信するステップをさらに含む、請求項10に記載の判定ソフトウェア自動更新方法。
【請求項12】
標的物質と特異的に結合可能なプローブが、該プローブの種類を識別するためのプローブ種類識別情報の読み出しが可能な情報媒体とともに固定されたプローブ担体を収容する生化学反応カセットを有する生化学反応カセット自動解析装置が、ネットワークを介して判定ソフトウェア提供システムと通信可能に接続されたシステムにおいて行われる判定ソフトウェア自動更新方法であって、
前記生化学反応カセット自動解析装置の制御部が行う制御ステップとして、
前記標的物質を解析するための判定ソフトウェアを該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けて記憶部に格納するステップと、
情報読み取り部を制御して前記情報媒体から前記プローブ種類識別情報を読み取るステップと、
前記情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部から判定ソフトウェアを取得して前記標的物質の解析に利用するステップと、
前記情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて、前記記憶部から該当する判定ソフトウェアのバージョン情報を取得するとともに、該取得した判定ソフトウェアのバージョン情報を前記読み取ったプローブ種類識別情報と一緒に前記判定ソフトウェア提供システムに送信して更新要求を行うステップと、
前記更新要求に応じて前記判定ソフトウェア提供システムが送信した前記判定ソフトウェアの更新情報を受信し、該受信した更新情報のバージョン情報およびプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部内を検索し、該当する判定ソフトウェアの情報を更新するステップとを含み、
前記判定ソフトウェア提供システムの照合用コンピュータが行う制御ステップとして、 前記プローブの種類に応じた判定ソフトウェアを該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けて判定ソフトウェア情報格納部に格納するステップと、
前記制御部から受信した判定ソフトウェアのバージョン情報およびプローブ種類識別情報に基づいて前記判定ソフトウェア情報格納部から該当する判定ソフトウェアを取得し、該取得した判定ソフトウェアのバージョン情報が前記制御部から受信したバージョン情報より新しい場合に、該取得した判定ソフトウェア、該判定ソフトウェアのバージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む更新情報を前記制御部に送信するステップとを含む、ことを特徴とする判定ソフトウェア自動更新方法。
【請求項13】
標的物質と特異的に結合可能なプローブが、該プローブの種類を識別するためのプローブ種類識別情報の読み出しが可能な情報媒体とともに固定されたプローブ担体を収容する生化学反応カセットを有する生化学反応カセット自動解析装置が、ネットワークを介して判定ソフトウェア提供システムと通信可能に接続されたシステムにおいて行われる判定ソフトウェア自動更新方法であって、
前記生化学反応カセット自動解析装置の制御部が行う制御ステップとして、
前記標的物質を解析するための判定ソフトウェアを該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けて記憶部に格納するステップと、
情報読み取り部を制御して前記情報媒体から前記プローブ種類識別情報を読み取るステップと、
前記情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部から判定ソフトウェアを取得して前記標的物質の解析に利用するステップと、
前記判定ソフトウェア提供システムから受信した更新情報に基づいて前記記憶部に格納された判定ソフトウェアの情報を更新するステップとを含み、
前記判定ソフトウェア提供システムの照合用コンピュータが行う制御ステップとして、
前記プローブの種類に応じた判定ソフトウェアを該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けて判定ソフトウェア情報格納部に格納するステップと、
前記判定ソフトウェア情報格納部に格納された判定ソフトウェアが更新されると、該更新された判定ソフトウェア、該判定ソフトウェアのバージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む更新情報を前記生化学反応カセット自動解析装置に送信するステップとを含む、ことを特徴とする判定ソフトウェア更新方法。
【請求項14】
前記制御部が行う制御ステップは、前記標的物質の解析の結果、該解析に使用した判定ソフトウェアのバージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む情報を収集データとして前記照合用コンピュータに送信するステップをさらに含み、
前記照合用コンピュータが行う制御ステップは、前記制御部から受信した収集データを収集データ格納部に格納するステップをさらに含む、請求項12または13に記載の判定ソフトウェア更新方法。
【請求項15】
標的物質と特異的に結合可能なプローブが、該プローブの種類を識別するためのプローブ種類識別情報の読み出しが可能な情報媒体と共に固定されたプローブ担体と共に使用される標的物質の解析装置であって、
(i)前記標的物質を解析するための判定ソフトウェアが、該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けられて格納された記憶部と、
(ii)前記情報媒体から前記プローブ種類識別情報を読み取る情報読み取り部と、
(iii)制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記情報読み取り部で読み取ったプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部から判定ソフトウェアを取得するステップと、
外部から前記バージョン情報およびプローブ種類識別情報を含む判定ソフトウェアの更新情報が供給された場合、該供給された更新情報のバージョン情報およびプローブ種類識別情報に基づいて前記記憶部内を検索し、該当する判定ソフトウェアの情報を更新するステップと、を実行することを特徴とする標的物質の解析装置。
【請求項16】
標的物質と特異的に結合可能なプローブが、該プローブの種類を識別するためのプローブ種類識別情報の読み出しが可能な情報媒体と共に固定されているプローブ担体と共に用いられる、
前記プローブ担体からのシグナル検出部と、
前記標的物質を解析するための判定ソフトウェアが、該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けられて格納された記憶部と、
前記情報媒体から前記プローブ種類識別情報を読み取る情報読み取り部と、
制御部と、
を有している標的物質の解析装置であって、
前記制御部が、
(i)該標的物質を含んでいる可能性を有する検体との反応に供した前記プローブ担体からのシグナルを前記シグナル検出部に検出させるステップと、
(ii)前記情報読み取り部が読み取った前記装着部に装着されたプローブ担体に固定された情報媒体からプローブ識別情報に基づき対応する判定ソフトウェアを取得するステップと、
(iii)前記ステップ(ii)で取得した判定ソフトウェアの更新要求を行うステップと、
(iv)前記ステップ(iii)の更新要求によって更新された判定ソフトウェアが提供された場合、該更新された判定ソフトウェアを用いて前記ステップ(i)で検出したシグナルの解析を行うステップと、を実行するものであることを特徴とする標的物質の解析装置。
【請求項17】
標的物質と特異的に結合可能なプローブが、該プローブの種類を識別するためのプローブ種類識別情報の読み出しが可能な情報媒体と共に固定されているプローブ担体と共に用いられる、
前記プローブ担体からのシグナル検出部と、
前記標的物質を解析するための判定ソフトウェアが、該判定ソフトウェアのバージョン情報および前記プローブ種類識別情報と関連付けられて格納された記憶部と、
前記情報媒体から前記プローブ種類識別情報を読み取る情報読み取り部と、
制御部と、
を有している標的物質の解析装置の動作方法であって、
前記制御部は、
(i)該標的物質を含んでいる可能性を有する検体との反応に供した前記プローブ担体からのシグナルを前記シグナル検出部に検出させるステップと、
(ii)前記情報読み取り部が読み取った前記装着部に装着されたプローブ担体に固定された情報媒体からプローブ識別情報に基づき対応する判定ソフトウェアを取得するステップと、
(iii)前記ステップ(ii)で取得した判定ソフトウェアの更新要求を行うステップと、
(iv)前記ステップ(iii)の更新要求によって更新された判定ソフトウェアが提供された場合、該更新された判定ソフトウェアを用いて前記ステップ(i)で検出したシグナルの解析を行うステップと、を実行することを特徴とする標的物質の解析装置の動作方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−148752(P2007−148752A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341919(P2005−341919)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】