説明

横磁束線形電動機を用いた両方向駆動型圧縮機

【課題】簡単な構造で高出力が得られる横磁束線形電動機を用いた両方向駆動型圧縮機を提供する。
【解決手段】本発明に係る両方向駆動型圧縮機は、複数のU字状の固定鉄芯を、前後方向に一定間隔でオフセットして交互に互いに向き合うように、かつ、鉄芯の脚が所定の空隙をおいて対向するように、前後方向に整列してなる固定鉄芯群及び鉄芯の左右の脚列をそれぞれ全体的に卷回するように巻かれた一対の巻線を含む固定子と、所定長さ可動鉄芯に永久磁石を組み合わせて成る一対の左右移動子部分を連結部によって対向する部分の磁束が反対となるように所定の間隔で連結させて成り、左右移動子部分が、それぞれ対応する鉄芯の対向する脚の間の空隙内に配置されているような移動子と、移動子の長手方向両端に連結されたピストンと、ピストンに対応するように配置され、ピストンの往復動に応じて空気の圧縮を行う一対のシリンダとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高出力かつ高効率な線形動力発生システムに関し、より詳細には、比較的簡単な構造ながら高出力で動力発生効率を高められる横磁束型線形電動機(リニアモータ)を使用した両方向駆動型圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、通常の冷蔵庫やエアコンには圧縮機が必要である。この圧縮機は、蒸発器から吸収した熱を使用して、低圧蒸気を高圧蒸気に変換する。この種の、ピストンとシリンダを備えた圧縮機は、往復動式やスクロール方式の回転型電動機を幅広く使用している。そして、直線動力を得るために、回転型電動機と、回転動力を直線運動に変換する付加的な機械装置とを結合した二重構造の駆動システムを使用している。回転動力を直線運動に変換する機械装置としてはボールスクリューなどが使用される。しかしながら、この種の二重構造の駆動システムは、構造が複雑で、製造コストが高く、メンテナンス費用も高いという欠点があった。さらに、二重構造の駆動システムには、騷音が大きく、効率が低く、体積が大きいという欠点があった。
【0003】
一方、線形電動機は、直線運動変換装置を必要とする回転型電動機とは異なり、直線運動を直接発生させるので、付加的な機械装置を必要としない、簡単な構造を有している。しかしながら、構造によって長さが制限されており、入口端及び出口端が存在するため、磁束の漏洩と、エネルギーの歪み及び損失が発生し、効率が低下する。また、高出力及び高効率を図るためには多くの永久磁石が必要とするため、コストが高くなり、電動機の体積も大きくなる。このため、線形電動機を圧縮機に適用することは好ましくない。それにもかかわらず、圧縮機に線形電動機を適用する場合もある。従来の線形電動機は、縦磁束型であり、一般的には単方向駆動型である。
【0004】
このような従来の線形電動機を使用した圧縮機の例を図1に示す。図1に示すように、圧縮機は、上側及び下側固定子101と、前記固定子の一側に結合されるシリンダ102と、前記固定子の他側に結合されて駆動力を発生させる電動機を構成する外部鉄芯103と、所定の間隙を置いて外部鉄芯103に挿入されてシリンダ102に結合される内部鉄芯104と、外部鉄芯103に巻回される巻線コイル105と、外部鉄芯103と内部鉄芯104との間に結合されて電動機の駆動時に直線運動を行う永久磁石106と、シリンダ102内部の圧縮空間に挿入されるピストン107と、永久磁石106をピストン107に連結して永久磁石106の直線運動をピストン107に伝える連結部材108と、固定子101の一側に結合される、内部に所定の移動空間を有し連結部材108を覆うボディーカバー109と、連結部材108とシリンダ102の間、及び連結部材108とボディーカバー109の間にそれぞれ挿入されてピストン107の動きを弾性的に支持すると共に、運動エネルギーを保存する内側及び下側ばね110・111と、を備えている。電動機に電流が印加されて巻線コイル105に電流が流れたときに外部鉄芯103と内部鉄芯104に流れる磁束と、永久磁石106から発生した磁束との相互作用力によって、永久磁石106が直線往復動を行う。前記直線運動は連結部材108を介してピストン107に伝えられ、ばね110・111によって弾性支持されたピストン107は、シリンダ102内の圧縮空間を直線往復動する。
【0005】
このような線形電動機を使用した圧縮機は、巻線コイル105に電流が流れると、縦磁束力によって単方向に駆動される。ピストン107の移動方向は、巻線コイル105に流れる電流によって外部鉄芯103及び内部鉄芯104に印加される磁束の方向と同じである。そのため、この圧縮機は、同じ容量の両方向駆動型圧縮機と比べて、相対的にサイズが大きく、効率が低いという欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点を解決するためのもので、一般的に汎用されている往復動式などの回転型電動機では、回転運動を直線運動に変換する方式を採用するのに対して、本発明では、ピストンが直線往復動する横磁束線形電動機を直接締結した圧縮機を提案し、現在汎用されている線形圧縮機には、1つの電動機が1つのピストンで駆動されたり回転する単方向駆動型が採用されているのに対して、本発明では、1つの横磁束線形電動機の前後にピストンを設ける横磁束線形電動機を用いた両方向駆動型圧縮機を提案する。すなわち、本発明は、両側にピストンを設け、中間に横磁束線形電動機を設けて駆動する方式を採用し、ピストンの前後移動時の圧縮と弛緩による速度変化をばねが吸収して放出する共振メカニズムを利用し、磁束の方向が移動方向に対して横方向となる横磁束線形電動機を用いたことを特徴とする。特に、冷凍機に必須要素となる圧縮機に対して、正確な位置とトーク値の調整により容量の調節が可能となり、単位重さ当たり推力特性に優れた横磁束線形電動機を適用する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る横磁束線形電動機を用いた両方向駆動型圧縮機は、複数のU字状の固定鉄芯を、前後方向に一定間隔でオフセットして交互に互いに向き合うように、かつ、前記鉄芯の脚が所定の空隙をおいて対向するように、前後方向に整列してなる固定鉄芯群及び前記鉄芯の左右の脚列をそれぞれ全体的に卷回するように巻かれた一対の巻線を含む固定子と、所定長さ可動鉄芯に永久磁石を組み合わせて成る一対の左右移動子部分を連結部によって対向する部分の磁束が反対となるように所定の間隔で連結させて成り、前記左右移動子部分が、それぞれ対応する前記鉄芯の対向する脚の間の前記空隙内に配置されているような移動子と、前記移動子の長手方向両端に連結されたピストンと、前記ピストンに対応するように配置され、前記ピストンの往復動に応じて空気の圧縮を行う一対のシリンダとを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る横磁束線形電動機を用いた両方向駆動型圧縮機は、前記移動子支持部とシリンダの一側に両端がそれぞれ固定されたばねをさらに備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る横磁束線形電動機を用いた両方向駆動型圧縮機は、前記移動子中心部に四角孔を両側に形成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る横磁束線形電動機を用いた両方向駆動型圧縮機は、前記移動子の両側のピストン駆動軸が中心軸に対して偏心していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、基本的に線形システムを元にすることから、直線動力を得るために回転型電動機と動力伝達装置を用いるシステムに比べて、構造が簡単であり、メンテナンス費用を低減することができる。
【0012】
また、本発明は、単方向に駆動される圧縮機に比べて、同じ容量の線形電動機を用いる場合でも、移動子の前後移動時に圧縮と吸入を同時に行うことから、ほぼ2倍に近い推力を得ることができる。同時に、横磁束線形電動機の場合、正確な位置とトーク値の調整が可能であり、電気回路と磁気回路の分離・調節が可能な可変吐出方式を採用することにより、容量とサイズを減らすことができて、既存の線形電動機に比べて同じ容量で得られる推力の2倍以上を得ることができる。したがって、実際、両方向駆動型と横磁束電動機を共に採用すると、同じサイズで計算上4倍以上の推力を得ることができる。
【0013】
また、本発明は、既存の線形電動機に比べて同じ容積で得られる推力特性に優れていることから、圧縮機への適用に当たり電動機の占有面積を最大限に減らすことができる。
【0014】
しかも、本発明は、高出力であるために使用鉄芯と巻線の量を節約できることから、資材費を低減することができる。
【0015】
併せて、本発明は、移動子中心部に四角孔を両側に形成することで、電動機の重さを減らすことができる。
【0016】
さらに、本発明は、移動子の両側に共振ばねを配置して前後移動時の圧縮と弛緩によって発生する慣性力をばねが吸収して放出するシステムの共振特性を利用するので、電動機のエネルギーの損失を最大限に抑えることができる。
【0017】
また、本発明は、ピストン駆動軸が中心軸に対して偏心していることから、軸方向の回転が発生せず電動機の空隙を一定に保つことができて、均一な力を発生させ、振動を減らすことができる。例えば、周り止めが必要なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。
【0019】
図2は、本発明に係る横磁束線形電動機を用いた両方向駆動型圧縮機(以降、単に「両方向駆動型圧縮機」という)を示す分解斜視図である。
【0020】
図2に示すように、一対の固定子201a・201bは、それぞれ、複数のU字状の固定鉄芯211a・211bと、固定子に電流を流す一対の連接型の環状巻線212a・212bとから成り、上下方向に対向して配置されている。移動子202は、可動鉄芯221と、高いエネルギー密度を有する永久磁石222とから成り、上下一対の固定子201a・201bの間に配置され、共振用ばね227と連結されている。
【0021】
また、複数の永久磁石222(反対方向の磁束を発生させるために、反対の極が向き合うように配置されている)が所定長さの可動鉄芯221によって連結された1対の構造が、その中間に設けられた中心部223を境界にして、互いに反対の極が向き合うように配置されている。よって、固定子巻線から発生した磁束によって、移動子を水平方向に動かす力が生じる。
【0022】
また、移動子の正確な水平を確保できても、微細な振動や力の不均衡が生じると、上下及び左右の変位が発生する畏れがあるので、圧縮機と接触するピストンの駆動軸を、中心軸に対して反対方向に偏心するように設計して、このような不平衡によって生じる変位を減らすガイドの役割を持たせている。また、移動子の重さを減らすために、中心部223の付近に四角孔を形成している。さらに、前後に久磁石と鉄芯が連結された一対の構造の間に設けられた中心部223と支持部224は、永久磁石から発生する磁束が漏洩しないように、非磁性体から作製する。
【0023】
図3は、図2に示した移動子202の分解斜視図であり、移動子202を左右2つの移動子部分202a・202bに切断している。図3に示すように、可動鉄芯221によって連結された多数の永久磁石222は相異なる方向の磁束を発生すべく配置されており、永久磁石222と可動鉄芯221が連結された1対の構造が対向配置させるべくその中間に移動子中心部223a・223bが配置されており、前記中心部の両側に移動子支持部224a・224bが連結されており、支持部224a・224bの一側にピストン225a・225bが連結されている。また、ピストン225a・225bの往復動に応じて空気の圧縮を行うシリンダ226a・226bが設けられ、駆動時にピストンがシリンダ226a・226bに挿入される。移動子支持部224a・224bとシリンダ226a・226bの一側に両端がそれぞれ固定された共振ばね227a・227bが配置されている。ばね227a・227bと連結された支持部224a・224bは、ピストン駆動軸に対して偏心するように左右移動子部分202a・202bに連結されている。左右移動子202a・202bの永久磁石222は、互いに反対極で対向配置することで高い空隙磁束を形成することができる。図面の矢印は、永久磁石222から発生する磁束の方向を示す。ここで、可動鉄芯221は同じ寸法を有し、さらに永久磁石222も同じ寸法を有する。
【0024】
図4は、図2に示した移動子202の側面図である。
【0025】
図4に示すように、移動子202は前後に水平運動をする平面形構造を有している。
【0026】
図5は、図2に示した固定鉄芯211a・211bの斜視図である。
【0027】
図5に示すように、固定鉄芯211a・211bは、複数の、柱部及び中心部からなるU字状の鉄芯から構成されており、上鉄芯211a及び下鉄芯211bは、移動子202の磁束と固定子201の磁束とによって、両側の空隙から同じ方向に力を発生させるために、上鉄芯211aと下鉄芯211bとの間にτpの極間隔をあけて対向して配置されている。また、複数の上下固定鉄芯211a・211bは、上鉄芯211a同士の間、下鉄芯211b同士の間にそれぞれ2τpの間隔をあけて平行に配置されており、上鉄芯211aと下鉄芯211bは、互い違いとなるように、前後にτpの極間隔をあけて配置されている。
【0028】
図6は、固定子巻線212a・212bの斜視図である。
【0029】
図6に示すように、巻線は2つの長い環状に形成されており、両者が連接して配置されている。また、上巻線212aと下巻線212bにそれぞれ同じ方向の電流Iが流れると、固定鉄芯に磁束が発生し、反対方向の電流Iが流れると、磁束の方向も反対に変わる。したがって、移動子202は電流の方向に応じて移動する。図2に示すように、一方の環状巻線212a−1・212b−1の中心の穴には、平行に配置された複数の固定鉄芯211a・211bの一側方向の柱部が挿入され、他方の環状巻線212a−2・212b−2の中心の穴には、平行に配置された複数の固定鉄芯211a・211bの他側方向の柱部が挿入される。
【0030】
このように環状巻線212a−1・212a−2・212b−1・212b−2の中央部に固定鉄芯の柱部が挿設されると、図2に示すように、2つの環状巻線212a・212bの連接部は固定鉄芯211a・211bの中心部によって支持される。また、移動子202は、環状巻線の連接部上における固定鉄芯の柱部の間に載置される。並設された固定鉄芯211a・211bの1ピッチ(2τp)は、2つの可動鉄芯及び2つの永久磁石が連結された長さに該当することが好ましい。
【0031】
図7は、両方向駆動型圧縮機の右側駆動説明図である。
【0032】
図7に示すように、固定子巻線212a・212bに電流Iを流すと、アンペアの法則によって、上側固定鉄芯211aの前側ではS極、後側ではN極、そして下側固定鉄芯211bの前側ではN極、後側ではS極の磁束が発生する。このとき、固定子201の磁極と移動子202の磁極との相互作用により、磁極の方向が同じであれば反発力、磁極の方向が異なれば引力が発生する。このため、N−N極間の反発力とN−S極間の引力とによって右向きの合成力Fが生じる。
【0033】
図8は、両方向駆動型圧縮機の右側駆動力発生原理図である。図8は上部と下部の前方断面を基準とする2次元図面を示す。
【0034】
図8に示すように、固定子巻線212a・212bに電流が流れると、上側固定鉄芯211aではS極、下側固定鉄芯211bではN極の磁束が発生する。このとき、移動子202との関係により、S−S、N−Nの反発力(F、F)、S−N、N−Sの引力(F、F)が作用し、その結果、全体的に右向きの力Fが生じる。
【0035】
図9は、両方向駆動型圧縮機の左側駆動説明図である。
【0036】
図9に示すように、反対方向の電流Iを流すと、上固定鉄芯211aの前側と後側ではそれぞれN極、S極が発生し、下側固定鉄芯211bの前側と後側ではそれぞれS極、N極の磁束が発生する。このとき、固定子201の磁極と移動子202の磁極の相互作用により、磁極の方向が同じであれば反発力、磁極の方向が異なれば引力が発生する。このため、N−N極間の反発力とN−S極間の引力とによって左向きの合成力Fが生じる。
【0037】
図10は、両方向駆動型圧縮機の左側駆動力発生原理図である。図10は上部と下部の前方断面を基準とする2次元図面を示す。
【0038】
図10に示すように、図8での引力作用個所では反発力F、Fが発生し、図8での反発力作用個所では引力F、Fが発生する。すなわち、図8と大きさは同じであるが、方向が反対である力Fが作用し、その結果、圧縮機は反対方向に動く。
【0039】
図11は、本発明に係る複数の可動鉄芯と固定鉄芯を有する横磁束線形電動機の側面図である。図11は上部と下部の前方断面を基準とする2次元図面を示す。
【0040】
図11に示すように、複数の可動鉄芯221及び永久磁石222が設けられている。同様に、複数の固定子の鉄芯211a・211bも設けられている。このことにより、移動子は、1周期だけでなく複数周期の移動が可能となる。
【0041】
図12は、本発明に係る横磁束線形電動機の移動子の時間−電流の特性図であり、図13は、移動子の時間−発生推力の特性図である。
【0042】
図12に示すように、最初の1/2周期区間t−tでは電流Iが、残り1/2周期区間t−tでは同じ大きさで反対方向の電流Iがそれぞれ印加されれば、図13に示すように、移動子は、最初の1/2周期区間t−tでは推力Fが、残り1/2周期区間t−tでは同じ大きさで反対方向の推力Fがそれぞれ発生する。この推力は、電流と同じ極性を有し、IによってFが、Iによって同じ大きさで反対方向のFがそれぞれ発生する。
【0043】
図14は、本発明に係る横磁束線形電動機の移動子の位置−電流の特性図であり、図15は移動子の位置−発生推力の特性図である。
【0044】
図14に示すように0−τp区間でI電流が印加されると、図15に示すように移動子の位置によってFの推力が発生する。また、I電流が印加されるとFの推力が発生する。
【0045】
図16は、本発明に係る横磁束線形電動機の電流供給回路図である。図16に示すように、上巻線212aと下巻線212bに同じ方向の電流が流れる場合、スィッチS及びスイッチSを導通させてI方向の電流を流すと、力Fが発生する。一方、反対方向の電流が流れる場合、スィッチSとスイッチSを導通させてI方向の電流を流すと、力Fが発生する。このとき、好ましくは、スィッチS〜Sは高速切り換えが可能な半導体素子で作製する。
【0046】
図17は、本発明に係る横磁束線形電動機の2並列構成による回路図である。
【0047】
図17に示すように、前巻線212a−1・212b−1と後巻線212a−2・212b−2よりなる上巻線212aと下巻線212bの2つを並列連結した2並列回路であって、これは低電圧、高電流向きになっている。
【0048】
図18は、本発明に係る横磁束線形電動機の直列構成による回路図である。
【0049】
図18に示すように、上巻線212aと下巻線212bを直列連結した回路であって、これは高電圧、低電流向きになっている。
【0050】
図19は、本発明に係る横磁束線形電動機の4並列構成による回路図である。
【0051】
図19に示すように、左右上下巻線212a−1・212a−2・212b−1・212b−2の4つを並列連結した4並列回路であって、これは図17よりも低電圧、高電流向きになっている。
【0052】
図20は、本発明に係る両方向駆動型ピストン−共振ばねと横磁束線形電動機よりなる圧縮機の説明図である。
【0053】
図20に示すように、横磁束線形電動機203を用いて両方向に駆動される線形圧縮機は、横磁束線形電動機の内部に巻線212a・212bと固定鉄芯211a・211bを備える上下固定子201a・201bの間に設けられる移動子202を備えている。移動子202は、可動鉄芯221と永久磁石222とピストン225a・225bを備え、両側に共振用ばね227a・227bとシリンダ226a・226bが連結されている。移動子202の左側部が圧縮されると、左側吐出用弁229b及び右側吸入用弁228aが同時に開かれ、一方、右側部が圧縮されると、右側吐出用弁229a及び左側吸入用弁228bが同時に開かれる。
【0054】
また、図20は、横磁束線形電動機203の両側にピストン225a・225b及びシリンダ226a、226bを有する圧縮機を示すものである。両側に配置した圧縮機と中心部にある横磁束線形電動機との間にばね227a・227bを設けることにより、電磁石とピストンロッドとばね間の共振メカニズムを用いた高効率かつ高出力型線形圧縮機を提案する。
【0055】
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨から逸脱しない範囲で本発明の属する分野で通常の知識を有する者によって修正及び変換が可能であり、その技術思想も特許請求の範囲に属すると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】従来の縦磁束形線形電動機を用いた圧縮機の断面図である。
【図2】本発明に係る横磁束線形電動機を用いた両方向駆動型圧縮機(以降、単に「両方向駆動型圧縮機」という)を示す分解斜視図である。
【図3】図2に示した移動子202の分解斜視図である。
【図4】図2に示した移動子202側面図である。
【図5】図2に示した固定鉄芯211a・211bの斜視図である。
【図6】固定子巻線212a・212bの斜視図である。
【図7】本発明に係る横両方向駆動型圧縮機の右側駆動説明図である。
【図8】本発明に係る横両方向駆動型圧縮機の右側駆動力発生原理図である。
【図9】本発明に係る横両方向駆動型圧縮機の左側駆動説明図である。
【図10】本発明に係る横両方向駆動型圧縮機の左側駆動力発生原理図である。
【図11】本発明に係る複数の可動鉄芯と固定鉄芯を有する横磁束線形電動機の側面図である。
【図12】本発明に係る横磁束線形電動機の移動子の時間−電流の特性図である。
【図13】本発明に係る横磁束線形電動機の移動子の時間−発生推力の特性図である。
【図14】本発明に係る横磁束線形電動機の移動子の位置−電流の特性図である。
【図15】本発明に係る横磁束線形電動機の移動子の位置−発生推力の特性図である。
【図16】本発明に係る横磁束線形電動機の電流供給回路図である。
【図17】本発明に係る横磁束線形電動機の2並列構成による回路図である。
【図18】本発明に係る横磁束線形電動機の直列構成による回路図である。
【図19】本発明に係る横磁束線形電動機の4並列構成による回路図である。
【図20】本発明に係る両方向駆動型ピストン−共振ばねと横磁束線形電動機よりなる圧縮機の説明図である。
【符号の説明】
【0057】
201a 上固定子
201b 下固定子
211a 上固定鉄芯
211b 下固定鉄芯
212a 上固定子巻線
212b 下固定子巻線
202 移動子
221 可動鉄芯
222 移動子永久磁石
223 移動子中心部
224 移動子支持部
225 ピストン
226 シリンダ
227 共振用ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横磁束線形電動機を用いた両方向駆動型圧縮機であって、
複数のU字状の固定鉄芯を、前後方向に一定間隔でオフセットして交互に互いに向き合うように、かつ、前記鉄芯の脚が所定の空隙をおいて対向するように、前後方向に整列してなる固定鉄芯群及び前記鉄芯の左右の脚列をそれぞれ全体的に卷回するように巻かれた一対の巻線を含む固定子と、
所定長さ可動鉄芯に永久磁石を組み合わせて成る一対の左右移動子部分を連結部によって対向する部分の磁束が反対となるように所定の間隔で連結させて成り、前記左右移動子部分が、それぞれ対応する前記鉄芯の対向する脚の間の前記空隙内に配置されているような移動子と、
前記移動子の長手方向両端に連結されたピストンと、
前記ピストンに対応するように配置され、前記ピストンの往復動に応じて空気の圧縮を行う一対のシリンダとを備える横磁束線形電動機を用いた両方向駆動型圧縮機。
【請求項2】
一端が前記移動子の端部に固定され、他端が前記シリンダの端部に固定されたばねをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の横磁束線形電動機を用いた両方向駆動型圧縮機。
【請求項3】
前記連結部には四角孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載の横磁束線形電動機を用いた両方向駆動型圧縮機。
【請求項4】
前記ピストンの駆動軸が前記移動子の中心軸に対して偏心していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の横磁束線形電動機を用いた両方向駆動型圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−121897(P2006−121897A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306541(P2005−306541)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(501339126)韓国電気研究院 (5)
【Fターム(参考)】