説明

樹脂シートの製造装置

【課題】一方の表面に凹凸が形成された樹脂シートを高い形状精度で製造し得る製造装置を提供する。
【解決手段】製造装置1は、押出ダイ10と、加熱ロール11bと、加熱ロール11bよりも温度が低い冷却ロール13と、加熱ロール11bと、冷却ロール13とに巻き掛けられている賦形ベルト14と、圧着ロール11aと、剥離ロール15と、剥離機構24とを備えている。剥離ロール15は、樹脂シート17の幅方向において、樹脂シート17の賦形ベルト14とは反対側の表面の全体にわたって接している。剥離機構は、冷却ロール13と剥離ロール15との間の隙間から搬出された樹脂シート17を賦形ベルト14から剥離させる。剥離ロール15による樹脂シート17の送り速度は、冷却ロール13による賦形ベルト14の送り速度と等しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートの製造装置に関し、詳細には、溶融されたシート状の樹脂を一対のロールを用いてプレス成形することにより一方の表面に凹凸が形成されている樹脂シートを製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置などに用いられるマイクロレンズアレイシートやエンボスシートなどの樹脂シートが種々知られている。樹脂シートの製造方法としては、溶融されたシート状の樹脂を一対のロール対を用いてプレス成形する方法が広く用いられている。例えば、下記の特許文献1には、一対のロール対を用いて溶融されたシート状の樹脂をプレス成形するための装置が記載されている。
【0003】
図12は、特許文献1に記載された樹脂シートの製造装置の模式図である。図12に示すように、製造装置100は、溶融された樹脂シート101を押出する押出ダイ102を備えている。押出ダイ102から押出された樹脂シート101は、冷却ロール103とゴムロール104との間に供給される。また、冷却ロール103とゴムロール104との間には、支持体層105も供給される。樹脂シート101は、冷却ロール103とゴムロール104とによって支持体層105と共に押圧されることにより樹脂シート106に成形される。樹脂シート106は、支持体層105と共に、第2の冷却ロール107を経由して第3の冷却ロール108にまで搬送される。樹脂シート106は、第3の冷却ロール108において支持体層105から剥離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−306549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、上記の製造装置100を用いて両表面が平滑な偏光板などの光学シートを製造することが開示されているが、製造装置100は、例えば、一方の表面に凹凸が形成された凹凸賦形樹脂シートの製造にも適用し得るものである。
【0006】
例えば、冷却ロール103の表面、または支持体層105の樹脂シート101側の表面に、凹凸賦形樹脂シートの表面に形成される凹凸に対応した形状の凹凸を形成しておくことにより、製造装置100を用いて凹凸賦形樹脂シートを製造することができる。
【0007】
例えば、冷却ロール103の表面に凹凸を形成する場合、樹脂シート101への凹凸の転写性を高めるためには、冷却ロール103の温度を高くすると共に、冷却ロール103の半径を小さくすることが好ましい。
【0008】
しかしながら、冷却ロール103の温度を高くしたり、冷却ロール103の半径を小さくしたりすると、樹脂シート101が冷却ロール103に張り付いてしまい、樹脂シート101が冷却ロール103から剥離しにくくなる。従って、冷却ロール103の温度を高くしたり、冷却ロール103の半径を小さくしたりすることにより、樹脂シート101への凹凸の転写性を十分に高めることが困難であるという問題がある。すなわち、一方の表面に凹凸が形成された樹脂シートを高い形状精度で製造することが困難であるという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、一方の表面に凹凸が形成された樹脂シートを高い形状精度で製造し得る製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る樹脂シートの製造装置は、一方の面に凹凸が形成されている樹脂シートを製造するための装置である。本発明に係る樹脂シートの製造装置は、押出ダイと、加熱ロールと、冷却ロールと、賦形ベルトと、圧着ロールと、剥離ロールと、剥離機構とを備えている。押出ダイは、溶融された樹脂をシート状に押し出す。冷却ロールは、加熱ロールよりも温度が低い。賦形ベルトは、加熱ロールと、冷却ロールとに巻き掛けられている。賦形ベルトの外側の表面には、樹脂シートの表面に形成される凹凸に対応した形状の凹凸が形成されている。圧着ロールは、加熱ロールと共に、押出ダイから押し出された樹脂シートが供給される隙間を形成している。圧着ロールは、樹脂シートを加熱ロール側に押圧して賦形ベルトに圧着させることによって賦形ベルトの表面に形成されている凹凸を樹脂シートに転写する。剥離ロールは、冷却ロールと共に前記樹脂シートが供給される隙間を形成している。剥離ロールは、樹脂シートの幅方向において、樹脂シートの賦形ベルトとは反対側の表面の全体にわたって接している。剥離機構は、冷却ロールと剥離ロールとの間の隙間から搬出された樹脂シートを賦形ベルトから剥離させる。剥離ロールによる樹脂シートの送り速度は、冷却ロールによる賦形ベルトの送り速度と等しい。
【0011】
本発明に係る樹脂シートの製造装置のある特定の局面では、剥離ロールは、冷却ロールに対して相対的に変位可能である。この構成によれば、樹脂シートの賦形ベルトからの剥離位置を調整することができる。このため、樹脂シートの剥離位置を樹脂シートの形状精度を高める観点からより好ましい位置とすることができる。従って、より高い形状精度を有する樹脂シートの製造が可能となる。
【0012】
本発明に係る樹脂シートの製造装置の他の特定の局面では、賦形ベルトは金属製である。賦形ベルトが金属製である場合、賦形ベルトの熱膨張係数と、樹脂シートの熱膨張係数とが大きく異なる。このため、樹脂シート及び賦形ベルトが冷却されていくに従って、樹脂シートの収縮率と賦形ベルトの収縮率との差が大きくなる。よって、樹脂シートが、樹脂シートの幅方向における端部から剥がれやすくなる。従って、樹脂シートの剥離位置の樹脂シートの幅方向におけるばらつきを抑制することができる本発明は、金属製の賦形ベルトを用いる場合に特に効果的である。
【0013】
本発明に係る樹脂シートの製造装置の別の特定の局面では、冷却ロールは、ヒーターを有し、樹脂シートの製造時において、冷却ロールの温度は、樹脂シートのガラス転移温度以下であって樹脂シートの歪点以上とされている。この構成によれば、賦形ベルトの過度な冷却を抑制できるため、樹脂シートが剥離ロールに達するまでの間に賦形ベルトから剥離することを抑制することができる。従って、樹脂シートの剥離位置の樹脂シートの幅方向におけるばらつきをより効果的に抑制することができる。
【0014】
なお、冷却ロールとは、加熱ロールよりも温度が低いロールを意味し、例えば、賦形ベルトよりも高い温度のロールであってもよい。
【0015】
本発明に係る樹脂シートの製造装置のさらに他の特定の局面では、樹脂シートの製造装置は、賦形ベルトの搬送方向において、賦形ベルトの加熱ロールと冷却ロールとの間の部分の上に位置する樹脂シートの温度を調節する温度調節機構をさらに備えている。この構成によれば、賦形ベルトの過度な冷却を抑制できるため、樹脂シートが剥離ロールに達するまでの間に賦形ベルトから剥離することを抑制することができる。従って、樹脂シートの剥離位置の樹脂シートの幅方向におけるばらつきをより効果的に抑制することができる。
【0016】
本発明のさらに別の特定の局面では、樹脂シートは、一方の表面に複数のマイクロレンズが形成されたマイクロレンズアレイシートである。
【0017】
本発明のさらにまた他の特定の局面では、樹脂シートは、一方の表面に微細な複数の凹凸が形成されたエンボスシートである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、加熱ロールの下流側に設けられた冷却ロールと、冷却ロールと加熱ロールとの間に巻き掛けられた賦形ベルトとが設けられており、賦形ベルトの冷却ロールと接する部分において樹脂シートが剥離されるため、加熱ロールの温度を高くしたり、加熱ロールの半径を小さくしたりした場合であっても、樹脂シートが賦形ベルトから剥離しやすい。従って、加熱ロールの温度を高くすると共に、加熱ロールの半径を小さくすることができる。また、剥離ロールにより、樹脂シートが賦形ベルトから剥離する位置の樹脂シートの幅方向におけるばらつきを効果的に抑制できる。このため、一方の表面に凹凸が形成された樹脂シートを高い形状精度で製造し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る樹脂シート製造装置の略図的模式図である。
【図2】樹脂シート製造装置により製造される樹脂シートの一部を表す長手方向に沿った断面図である。
【図3】賦形ベルトの一部を表す長手方向に沿った断面図である。
【図4】樹脂シート製造装置のロール対部分を拡大した模式的断面図である。
【図5】第1の変形例に係る樹脂シートの製造装置の略図的模式図である。
【図6】第2の変形例に係る樹脂シートの製造装置の略図的模式図である。
【図7】第2の実施形態に係る樹脂シート製造装置の略図的模式図である。
【図8】第2の実施形態における剥離ロール近傍を拡大した略図的模式図である。
【図9】図8におけるIX−IX矢視図である。
【図10】樹脂シートが過度に冷却された場合を説明するための略図的模式図である。
【図11】変形例に係る樹脂シート製造装置の略図的模式図である。
【図12】特許文献1に記載された樹脂シートの製造装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明するが、以下の実施形態は単なる一例であって、本発明は、下記の実施形態に限定されない。
【0021】
図1は、本実施形態に係る樹脂シート製造装置の略図的模式図である。図1に示す樹脂シート製造装置1は、図2に示す樹脂シート17を製造するための装置である。図2に示すように、樹脂シート17の一方の表面17aには、凹凸が形成されている。具体的には、本実施形態では、樹脂シート17は、マイクロレンズアレイシートであり、樹脂シート17の表面17aには、複数のマイクロレンズ17bがマトリクス状に配列されたマイクロレンズアレイが形成されている。
【0022】
樹脂シート17の材質は、熱可塑性樹脂である限り特に限定されない。樹脂シート17は、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどからなるシートであってもよい。
【0023】
尚、マイクロレンズ17bの断面形状は、特に限定されないが、半円形状であることが好ましい。
【0024】
図1に示すように、樹脂シート製造装置1は、押出ダイ10を備えている。押出ダイ10は、溶融された樹脂をシート状に押し出す。押出ダイ10から押し出された樹脂シート16は、ロール対11に供給される。
【0025】
ロール対11は、圧着ロール11aと、加熱ロール11bとにより構成されている。圧着ロール11aと加熱ロール11bとの間には、押出ダイ10から押し出された溶融状態にある樹脂シート16が供給される隙間が形成されている。尚、圧着ロール11aと加熱ロール11bは、金属ロールやゴムロールなどにより構成することができる。典型的には、圧着ロール11aがゴムロールにより構成され、加熱ロール11bが金属ロールにより構成される。
【0026】
加熱ロール11bの下流側には、冷却ロール13が配置されている。冷却ロール13は、加熱ロール11bよりも低い温度に制御されている。本実施形態では、冷却ロール13の半径rは、加熱ロール11bの半径rと実質的に等しく設定されている。
【0027】
加熱ロール11bと冷却ロール13との間の中心間距離Lは、加熱ロール11bと冷却ロール13とが相互に接触しない範囲内において特に限定されない。加熱ロール11bと冷却ロール13との間の中心間距離Lは、加熱ロール11bの温度や樹脂シート17の材質などに応じて適宜設定される。一般的には、加熱ロール11bと冷却ロール13との間の中心間距離Lは、例えば、加熱ロール11bの半径rの2.1倍〜6倍程度であることが好ましい。
【0028】
冷却ロール13と加熱ロール11bとには、賦形ベルト14が巻き掛けられている。賦形ベルト14の材質は特に限定されない。賦形ベルト14は、例えば金属製であってもよい。また、賦形ベルト14の外側の表面には、例えば樹脂シート17の張り付きを抑制するためのコーティング層などが形成されていてもよい。
【0029】
図3は、賦形ベルト14の一部分の長手方向に沿った断面図である。図3に示すように、賦形ベルト14の外側の表面14aには、製造される樹脂シート17の表面17aに形成されるマイクロレンズ17bに対応する形状の凹部14bが、マイクロレンズ17bの配列に対応して複数形成されている。具体的には、賦形ベルト14の外側の表面14aには、マイクロレンズ17bに対応する形状の半休形状の凹部14bが、マイクロレンズ17bの配列に対応して複数形成されている。
【0030】
一方、加熱ロール11bや冷却ロール13と接触する賦形ベルト14の内側の表面は、鏡面に形成されている。
【0031】
冷却ロール13の近傍には、剥離ロール15が配置されている。この剥離ロール15は、冷却ロール13と共に樹脂シート17が供給される隙間を形成している。剥離ロール15は、樹脂シート17の幅方向(図1において紙面垂直方向)において、樹脂シート17の賦形ベルト14とは反対側の表面の全体にわたって接している。剥離ロー15は、モーター等の図示しない駆動手段により、剥離ロール15による樹脂シート17の送り速度が、冷却ロール13による賦形ベルト14の送り速度と等しくなるように駆動される。すなわち、剥離ロール15の回転角速度と剥離ロール15の半径との積が、冷却ロール13の回転角速度と冷却ロール13の半径との積と等しくされている。
【0032】
また、本実施形態では、剥離機構としての巻き取りロール24が設けられている。図1に示すように、樹脂シート17がこの巻き取りロール24により巻き取られることにより、冷却ロール13と剥離ロール15との間の隙間から搬出された樹脂シート17が賦形ベルト14から剥離される。これにより、樹脂シート17は、冷却ロール13と剥離ロール15との間の隙間の出口において、剥離ロール15から剥離される。
【0033】
次に、樹脂シート製造装置1の動作について説明する。
【0034】
押出ダイ10から押し出された溶融状態にある樹脂シート16は、加熱ロール11bと圧着ロール11aとの間の隙間に供給される。図4に示すように、この加熱ロール11bと圧着ロール11aとの間の隙間に供給された樹脂シート16は、圧着ロール11aによって加熱ロール11b側に押圧される。これにより、樹脂シート16が賦形ベルト14に圧着する。その結果、賦形ベルト14の表面14aに形成されている複数の凹部14bが溶融状態にあった樹脂シート16に転写され、図2に示す樹脂シート17が成形される。成形された樹脂シート17は、図1に示すように、賦形ベルト14と共に、冷却ロール13側に搬送される。冷却ロール13は、加熱ロール11bよりも低温に制御されているため、賦形ベルト14と共に冷却ロール13側に搬送される途中で樹脂シート17は冷却される。そして、樹脂シート17は、冷却ロール13と剥離ロール15との間の隙間から搬出されたところで賦形ベルト14から剥離される。賦形ベルト14から剥離された樹脂シート17は、巻き取りロール24によって巻き取られる。
【0035】
例えば、図12に示す製造装置100において、冷却ロール103の表面に凹部を形成して図2に示す構造の樹脂シートを製造する場合、マイクロレンズが形成されてから冷却ロール103から剥離されるまでの樹脂シートの搬送距離を長くすることが困難である。具体的には、マイクロレンズが形成されてから冷却ロール103から剥離されるまでの樹脂シートの搬送距離は、冷却ロール103の周長の1/4程度となってしまう。このため、例えば、冷却ロール103やゴムロール104の温度を高くしたり、冷却ロール103やゴムロール104の半径を小さくしたりすると、冷却ロール103に対して樹脂シートが張り付いてしまい、樹脂シートが剥離し難くなるおそれがある。従って、製造装置100では、冷却ロール103やゴムロール104の温度を十分に高くしたり、冷却ロール103やゴムロール104の半径を十分に小さくしたりすることが困難である。よって、高い形状精度でマイクロレンズを成形することが困難である。
【0036】
それに対して、本実施形態では、ロール対11により成形された樹脂シート17は、賦形ベルト14上を冷却ロール13側に搬送された後に賦形ベルト14から剥離される。このため、マイクロレンズ17bが形成されてから賦形ベルト14から剥離されるまでの樹脂シート17の搬送距離を長くすることができる。また、樹脂シート17は、加熱ロール11bから離れて、加熱ロール11bよりも温度が低い冷却ロール13側に搬送される。このため、賦形ベルト14から剥離されるまでに樹脂シート17を十分に低い温度にまで冷却することができる。よって、樹脂シート17を賦形ベルト14から容易に剥離することができる。従って、加熱ロール11bの温度を高くしたり、加熱ロール11bの半径rを小さくしたりすることが可能となる。換言すれば、加熱ロール11bの温度を高くしたり、加熱ロール11bの半径rを小さくしたりした場合であっても、樹脂シート17を賦形ベルト14から容易に剥離することができる。よって、高い形状精度で樹脂シート17を製造することが可能となる。
【0037】
また、樹脂シート17の賦形ベルト14への張り付きを抑制できるため、樹脂シート17の張り付き異常などの製造トラブルの発生を抑制できる。従って、樹脂シート17の良品率を高めることができる。
【0038】
さらに、樹脂シート17を賦形ベルト14から剥離させる際に樹脂シート17にかかる応力を小さくすることができる。従って、より均質な樹脂シート17の製造が可能となる。
【0039】
以上のように、冷却ロール13と賦形ベルト14とを設けることにより、樹脂シート17が賦形ベルト14から剥離されるまでに、樹脂シート17を十分に冷却することが可能となるので、樹脂シート17の剥離性を改善することができる。樹脂シート17の剥離性をより向上する観点からは、樹脂シート17が剥離ロール15に達したときに樹脂シート17と賦形ベルト14との接合力がより小さいことが好ましい。従って、樹脂シート17が剥離ロール15に至るまでに十分に冷却されていることが好ましい。
【0040】
しかしながら、賦形ベルト14と樹脂シート17とでは、熱膨張係数が異なる。特に、賦形ベルト14が金属製である場合は、賦形ベルト14の熱膨張係数と、樹脂シート17の熱膨張係数とが大きく異なる。このため、剥離ロール15が設けられていない場合、樹脂シート17が剥離位置に至るまでに過度に冷却されると、樹脂シート17の収縮量と賦形ベルト14の収縮量とに大きな差が生じ、樹脂シート17の端部が賦形ベルト14から剥離してしまう場合がある。これにより、樹脂シート17の賦形ベルト14からの剥離位置が樹脂シート17の幅方向においてばらつく場合がある。樹脂シート17の賦形ベルト14からの剥離位置が樹脂シート17の幅方向においてばらつくと、形成されるマイクロレンズ17bの形状が樹脂シート17の幅方向においてばらつくこととなる。このことに鑑みて、樹脂シート17が剥離位置に至るまでにあまり冷却されないようにすると、樹脂シート17の賦形ベルト14からの剥離性が低下することとなる。すなわち、剥離ロール15を設けていない場合は、樹脂シート17の賦形ベルト14からの良好な剥離性と、樹脂シート17の賦形ベルト14からの剥離位置の樹脂シート17の幅方向におけるばらつきの抑制とを両立させることが困難である。
【0041】
それに対して、本実施形態では、剥離ロール15が設けられているため、樹脂シート17を十分に冷却した場合であっても、樹脂シート17の幅方向における端部が剥離ロール15に至るまでに賦形ベルト14から剥離することが効果的に抑制される。従って、樹脂シート17の賦形ベルト14からの良好な剥離性と、樹脂シート17の賦形ベルト14からの剥離位置の樹脂シート17の幅方向におけるばらつきの抑制とを両立させることができる。
【0042】
また、本実施形態では、剥離ロール15による樹脂シート17の送り速度が、冷却ロール13による賦形ベルト14の送り速度と等しい。このため、剥離ロール15の回転と冷却ロール13の回転とにより樹脂シート17に応力が加わることを効果的に抑制することができる。
【0043】
従って、高い形状精度を有する樹脂シート17を製造することができる。
【0044】
本実施形態では、本発明を実施した樹脂シート製造装置の好ましい一例について、マイクロレンズアレイシートを製造するための樹脂シート製造装置1を例に挙げて説明した。但し、本発明において、樹脂シート製造装置は、マイクロレンズアレイシートを製造するための装置に限定されない。本発明に係る製造装置は、例えば、複数の線条凸部が形成されたレンチキュラーレンズアレイシート、プリズムシートや、微細な複数の凹凸が形成されたエンボスシートなどの各種光学シート、若しくは光学シート以外のシートを製造するための装置であってもよい。
【0045】
以下、上記実施形態の変形例及び他の実施形態について説明する。以下の変形例の説明において、上記実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符合で参照し、説明を省略する。
【0046】
(第1の変形例)
上記実施形態では、冷却ロール13の半径rが、加熱ロール11bの半径rと実質的に等しい例について説明した。但し、冷却ロール13の半径rと加熱ロール11bの半径rとの大小関係は特に限定されない。例えば、冷却ロール13の半径rを加熱ロール11bの半径rよりも小さくしてもよい。また、図5に示すように、冷却ロール13の半径rを加熱ロール11bの半径r以上としてもよい。冷却ロール13の半径rを加熱ロール11bの半径r以上とすることによって、マイクロレンズ17bが形成されてから賦形ベルト14から剥離されるまでの樹脂シート17の搬送距離をより長くすることができる。従って、樹脂シート17の賦形ベルト14への張り付きをより効果的に抑制でき、樹脂シート17の賦形ベルト14からの剥離性をより高くすることができる。
【0047】
樹脂シート17の賦形ベルト14からの剥離性をより高くする観点から、冷却ロール13の半径rは、加熱ロール11bの半径rより大きいことが好ましい。具体的には、冷却ロール13の半径rは、加熱ロール11bの半径rの1.1倍以上10倍以下であることが好ましい。冷却ロール13の半径rを加熱ロール11bの半径rの1.1倍以上とすることにより、樹脂シート17の賦形ベルト14からの剥離性をさらに高くすることができる。冷却ロール13の半径rが加熱ロール11bの半径rの10倍を超えると、樹脂シート17の賦形ベルト14からの剥離性は高いものの、広大なスペースが必要となり、且つ高価な設備となる傾向にある。
【0048】
(第2の変形例)
図6は、第2の変形例に係る樹脂シートの製造装置の略図的模式図である。図6に示すように、本変形例では、温度調節機構18が設けられている。温度調節機構18は、賦形ベルト14の搬送方向dにおいて賦形ベルト14の加熱ロール11bと冷却ロール13との間に位置する部分の上に位置する樹脂シート17の温度を調節する機構である。この温度調節機構18により、剥離ロール15に至ったときの樹脂シート17の温度が賦形ベルト14からの剥離に適した温度となるように樹脂シート17の温度が調節される。その結果、樹脂シート17の早期剥離、樹脂シート17の賦形ベルト14への張り付きを抑制することができる。
【0049】
また、本変形例では、冷却ロール13は、ヒーター13aを備えている。樹脂シート17の製造時においては、このヒーター13aにより、冷却ロール13の温度が、樹脂シート17のガラス転移温度以下であって樹脂シート17の歪点以上とされる。これにより、樹脂シート17の早期剥離、樹脂シート17の賦形ベルト14への張り付きが抑制されている。
【0050】
また、本変形例では、賦形ベルト14の搬送方向dにおいて、賦形ベルト14の冷却ロール13と加熱ロール11bとの間に位置する部分を加熱する加熱機構19が設けられている。従って、賦形ベルト14の樹脂シート17が剥離される位置における温度を低くしつつ、マイクロレンズ17bが形成される位置における賦形ベルト14の温度を高くすることができる。よって、樹脂シート17の剥離性を高めつつ、マイクロレンズ17bの成形性を高めることができる。
【0051】
尚、加熱機構19の構成は特に限定されない。加熱機構19は、例えば、電熱ヒーターなどにより構成することができる。
【0052】
尚、上記実施形態及び第1及び第2の変形例では、一方の表面にのみ凹凸が形成された樹脂シートの製造装置を例に挙げて本発明に係る樹脂シートの製造装置について説明した。但し、本発明に係る樹脂シートの製造装置は、両方の表面に凹凸が形成された樹脂シートを製造するための装置であってもよい。
【0053】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る樹脂シート製造装置の略図的模式図である。
【0054】
図1に示すように、上記実施形態では、溶融状態にある樹脂シート16の搬送方向と平行な方向に加熱ロール11b及び冷却ロール13が配列されている例について説明した。但し、本発明はこの構成に限定されない。
【0055】
本実施形態では、図7に示すように、加熱ロール11bの中心軸の延びる方向から視た際に、冷却ロール13は、加熱ロール11bよりも一方側x1に位置している。ここで、一方側x1とは、押出ダイ10から押し出された溶融状態にある樹脂シート16に対して加熱ロール11b側であり、溶融状態にある樹脂シート16に対して圧着ロール11a側が他方側x2である。すなわち、加熱ロール11bと冷却ロール13との配列方向D1は、溶融状態にある樹脂シート16の搬送方向D3(溶融された樹脂の押出方向)に対して傾斜する方向に延びている。具体的には、本実施形態では、配列方向D1と搬送方向D3とのなす角度は、略垂直となっている。なお、配列方向D1とは、加熱ロール11bの中心軸の延びる方向から視た際に、加熱ロール11bの中心軸と、冷却ロール13の中心軸とを通る直線の延びる方向である。
【0056】
そして、本実施形態では、圧着ロール11aに加えて、第2の圧着ロール20及び圧着ベルト21が設けられている。圧着ベルト21は、圧着ロール11aと第2の圧着ロール20とに巻き掛けられている。かつ、圧着ロール11aの中心軸の延びる方向から視た際に、第2の圧着ロール20は、圧着ロール11aよりも一方側x1であって、加熱ロール11bの押出ダイ10とは反対側に位置している。つまり、第2の圧着ロール20は、圧着ロール11aの中心軸の延びる方向から視た際に、第2の圧着ロール20の中心が圧着ロール11aの中心よりも加熱ロール11b側に位置するように配置されている。換言すれば、第2の圧着ロール20は、圧着ロール11aと第2の圧着ロール20の配列方向D2が搬送方向D3に対して加熱ロール11b側に傾斜するように配置されている。
【0057】
このため、圧着ロール11a及び第2の圧着ロール20に巻き掛けられた圧着ベルト21は、ロール対11の対向部から、加熱ロール11bの回転方向に向かって樹脂シート17に沿っている。すなわち、圧着ベルト21と樹脂シート17との接触部分の加熱ロール11bの回転方向に沿った長さが長くされている。よって、樹脂シート17は、圧着ベルト21によって、長い距離及び長い期間にわたって押圧される。その結果、樹脂シート17の成形精度をより高くすることができる。
【0058】
また、圧着ベルト21と樹脂シート17とが隔離される位置が、溶融状態にある樹脂シート16と圧着ベルト21とが初めて接触する位置から離れるため、圧着ベルト21と樹脂シート17との離型性を高めることができる。
【0059】
また、本実施形態では、冷却ロール13の半径rが、加熱ロール11bの半径rよりも大きくされている。従って、溶融にある樹脂シート16に対して加わる圧力をより高めることができる。このため、高い形状精度の樹脂シート17を製造することができる。かつ、賦形ベルト14と樹脂シート17とが離れる位置と、賦形ベルト14と溶融にある樹脂シート16とが初めて接触する位置との間の距離を長くできる。このため、樹脂シート17の離型性をより高めることができる。
【0060】
また、本実施形態では、樹脂シート17の賦形ベルト14からの離型性をより高める観点から、冷却ロール13から樹脂シート17が離型される部分に、エアナイフ22が設置されている。すなわち、本実施形態では、エアナイフ22と巻き取りロール24とにより剥離機構が構成されている。
【0061】
圧着ロール11aは、加熱ロール、すなわち、加熱されたロールであることが好ましい。ここで、「加熱されたロール」とは、内部にヒーター等の加熱手段を有し、樹脂シート17の成形時において、その加熱手段によって加熱されるロールを意味する。
【0062】
但し、加熱ロール11bの温度よりも圧着ロール11aの温度の方が高い場合には、圧着ベルト21から樹脂シート17が離型しにくくなる傾向にある。このため、加熱ロール11bの温度が圧着ロール11aの温度よりも高いことが好ましい。
【0063】
従って、圧着ロール11aの温度は、加熱ロール11bの温度以下であって、加熱ロール11bの温度よりも20℃低い温度以上であることが好ましい。
【0064】
本実施形態では、剥離ロール15は、冷却ロール13の軸心を中心とする円弧に沿って、冷却ロール13に対して相対的に変位可能となっている。具体的には、図8に示すように、剥離ロール15の軸心方向に配列されている一対の支持プレート26が設けられている。各支持プレート26には、冷却ロール13の周面に沿った円弧状のガイド穴26aが形成されている。図9に示すように、このガイド穴26aに剥離ロール15の端部に設けられた被支持部15aが挿入されている。そして、その被支持部15aと支持プレート26とは、ボルト27によって固定されている。このため、ボルト27をゆるめることにより、剥離ロール15は、ガイド穴26aに沿って変位可能となる。剥離ロール15を所望の位置に配置した後に、ボルト27を締めることにより、所望の位置に剥離ロール15を固定することができる。
【0065】
例えば成形条件や使用する樹脂の種類などが変わると樹脂シート17の賦形ベルト14からの剥離位置も変化する。通常、樹脂シート17の剥離位置は、冷却ロール13の温度などによって調節されるが、冷却ロール13の温度を変えたくない場合もある。その場合は、例えば、図10に示すように、樹脂シート17の剥離ロール15に至るまでの部分が賦形ベルト14から剥離した状態となる場合もある。この場合、賦形ベルト14から一旦剥離した樹脂シート17が、冷却ロール13と剥離ロール15とによって再度押圧されることとなる。このため、得られる樹脂シート17の形状精度が低下するおそれがある。
【0066】
ここで、本実施形態では、上述のように、剥離ロール15の冷却ロール13に対する相対位置が調節可能とされている。従って、剥離ロール15の位置を、樹脂シート17の剥離位置が好ましい位置となるように調節することができる。従って、得られる樹脂シート17の形状精度が低下することを抑制することができる。また、冷却ロール13の温度の設定自由度が向上する。このため、樹脂シート17をさらに高い形状精度で成形し得る。
【0067】
なお、本実施形態において、冷却ロール13は、定位置に固定されていてもよいし、冷却ロール13は変位可能であってもよい。例えば、冷却ロール13の変位機構をさらに設け、冷却ロール13の加熱ロール11bに対する位置を調節可能にしてもよい。この構成によれば、配列方向D1と搬送方向D3とのなす角度を適宜調節することができる。また、冷却ロール13の剥離ロール15に対する位置を調節することもできる。冷却ロール13の剥離ロール15に対する位置を調節することにより、冷却ロール13のどの部分で樹脂シート17が剥離されるかを調節することができる。すなわち、樹脂シート17が冷却ロール13の外周面に沿っている部分の中心角θ1を適宜調節することができる。なお、中心角θ1は、樹脂シート17の材質や温度などによって適宜設定できるが、一般的には、90°以上であることが好ましく、120°以上であることがより好ましい。
【0068】
さらに、加熱ロール11bと冷却ロール13との間の距離が可変となるように、加熱ロール11b及び冷却ロール13のうちの少なくとも一方が変位可能であることが好ましい。これによれば、賦形ベルト14の張力を調整することができる。
【0069】
また、ベルト14,20の張力を一定に保つテンショナを設けてもよい。さらに、加熱ロール11bと冷却ロール13とのうちの少なくとも一方に、他方のロールから離れる方向に略一定の力で付勢する付勢機構を設けてもよい。
【0070】
同様に、圧着ロール11aと第2の圧着ロール20の相対的位置関係も可変であることが好ましい。これによれば、圧着ベルト21の張力を調整することができる。
【0071】
圧着ベルト21の外側の表面21aは、成形しようとする樹脂シート17の裏面14c(図3を参照)の形状により適宜設定することができる。圧着ベルト21の外側の表面21aは、鏡面であってもよいし、複数の微細な凹凸が形成されている凹凸面であってもよい。
【0072】
また、圧着ベルト21及び賦形ベルト14は、シームレスであること、つまり、つなぎ目を有さないベルトであることが好ましい。
【0073】
(その他の変形例)
上記圧着ロール11a及び加熱ロール11bのうちの少なくとも一方は、軸方向における端部の直径よりも軸方向における中央部の直径の方が大きい所謂樽型のクラウンロールにより構成されていてもよい。圧着ロール11a及び加熱ロール11bのうちの少なくとも一方をクラウンロールにより構成することにより、圧着ロール11aと加熱ロール11bとが圧着されたときにおける、圧着ロール11a、加熱ロール11bの中央部の径方向における凹みを抑制することができる。従って、軸方向における中央部においても高い形状精度で樹脂シート17を成形することができる。
【0074】
圧着ロール11a及び加熱ロール11bのうちの少なくとも一方が金属製のロールである場合は、金属製のロールをクラウンロールにすることがより好ましい。もっとも、金属製以外のロール、例えばゴム製のロールもクラウンロールとしてもよい。
【0075】
圧着ロール11aの外周面における弾性率と、加熱ロール11bの外周面における弾性率との関係は特に限定されないが、より高い形状精度の樹脂シート17を成形する観点からは、賦形ベルト14が巻き掛けられている加熱ロール11bの外周面における弾性率の方が、圧着ロール11aの外周面における弾性率よりも高いことが好ましい。すなわち、加熱ロール11bは、鉄、アルミニウム、銅等の金属などの弾性率の高い材料により形成されていることが好ましい。
【0076】
上記実施形態では、加熱ロール11b、冷却ロール13、圧着ロール11a及び第2の圧着ロール20の外周面が鏡面である例について説明した。但し、本発明において、ロール11a、11b、13及び20の外周面は、鏡面に限定されない。例えば、ロール11a、11b、13及び20の外周面は、凹凸面であってもよい。また、ロール11a、11b、13及び20の外周面には、周方向に沿って形成された1または複数の溝が形成されていてもよい。このようにすることによって、賦形ベルト14や圧着ベルト21の蛇行を抑制することができる。その結果、形状精度の高い樹脂シート17の形成が可能となる。なお、ロール11a、11b、13及び20の外周面に周方向に沿って形成された1または複数の溝が形成されている場合は、ベルト14,20の内側の表面に、その溝の形状に対応した凸部を設け、その凸部と溝とを嵌合させておくことが好ましい。
【0077】
また、賦形ベルト14や圧着ベルト21の蛇行を抑制する観点から、ベルト14,20の内側の表面及びロール11a、11b、13及び20の外周面に滑り止め加工を施してもよいし、蛇行防止機構を別途設けてもよい。蛇行防止機構は、例えば、光センサや磁気センサなどのベルト14,20の位置を検出する検出部と、ベルト14,20の位置を補正する位置補正部とにより構成することができる。滑り止め加工の具体例としては、上述のように、表面に凹凸や溝を形成する方法、耐熱ウレタン塗装などの摩擦抵抗の大きな層を形成する方法などが挙げられる。
【0078】
賦形ベルト14及びベルト20の厚みは特に限定されない。賦形ベルト14及びベルト20の厚みは、例えば、0.1〜0.5mm程度に設定することができる。
【0079】
各種目的のために、賦形ベルト14の外側の表面には、表面処理が施されていてもよい。例えば、賦形ベルト14の表面に、ハードクロムめっき層などの硬質めっき層や、ダイヤモンドカーボンコート(DLC)層などの硬質コート層を形成してもよい。これによれば、賦形ベルト14からの樹脂シート17の離型性をさらに高めることができると共に、賦形ベルト14の耐久性を向上することができる。その結果、賦形ベルト14の寿命を長くすることができる。
【0080】
また、例えば、賦形ベルト14の表面に黒色メッキ層を形成してもよい。これによれば、加熱機構19が赤外線ヒーターの場合、賦型ベルト14表面の赤外線吸収率高くなり、賦形ベルト14が加熱されるスピードを高めることができる。
【0081】
賦形ベルト14及びベルト20は、例えば、金属製であってもよいし、プラスチック製であってもよい。賦形ベルト14をプラスチック製とすることにより、賦形ベルト14の表面の凹凸の形状精度を高めることが容易となる。その結果、高い形状精度の樹脂シート17の形成が容易となる。
【0082】
樹脂シート製造装置の一部または全体を覆うハウジングを設けてもよい。これによれば、樹脂シート17の成形を行っている部分の温度を均一にすることができる。また、樹脂シート17の急冷を抑制することができる。従って、樹脂シート17の残存応力を低減することができる。樹脂シート17の残存応力を効果的に低減する観点からは、ロール対11が設けられている部分から樹脂シート17が冷却ロール13から剥離される部分までを保温可能なハウジングを設けることがより好ましい。
【0083】
剥離ロール15の大きさは、特に限定されないが、通常、剥離ロール15の半径は、冷却ロール13の半径r以下に設定される。
【0084】
図12に示すように、賦形ベルト14の搬送方向において、冷却ロール13と加熱ロール11bとの間に、賦形ベルト14を加熱ロール11b側に押圧するアイドルローラ23を設けてもよい。アイドルローラ23を設けることにより、賦形ベルト14の加熱ロール11bと接触している部分の長さを長くすることができる。従って、溶融にある樹脂シート16の成形部に供給される賦形ベルト14の温度をより高くすることができる。換言すれば、搬送されているうちに過度に冷却された賦形ベルト14が溶融にある樹脂シート16の成形部に供給されることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0085】
1…樹脂シート製造装置
10…押出ダイ
11…ロール対
11a…圧着ロール
11b…加熱ロール
13…冷却ロール
14…賦形ベルト
14a…賦形ベルトの表面
14b…凹部
15…剥離ロール
16…溶融状態にある樹脂シート
17…樹脂シート
17a…樹脂シートの表面
17b…マイクロレンズ
18…冷却機構
19…加熱機構
20…第2の圧着ロール
21…圧着ベルト
22…エアナイフ(剥離機構)
23…アイドルローラ
24…巻き取りロール(剥離機構)
26…支持プレート
26a…ガイド穴
27…ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に凹凸が形成されている樹脂シートの製造装置であって、
溶融された樹脂をシート状に押し出す押出ダイと、
加熱ロールと、
前記加熱ロールよりも温度が低い冷却ロールと、
前記加熱ロールと前記冷却ロールとに巻き掛けられており、前記樹脂シートの表面に形成される凹凸に対応した形状の凹凸が外側の表面に形成されている賦形ベルトと、
前記加熱ロールと共に、前記押出ダイから押し出された樹脂シートが供給される隙間を形成しており、前記樹脂シートを前記加熱ロール側に押圧して前記賦形ベルトに圧着させることによって前記賦形ベルトの表面に形成されている凹凸を前記樹脂シートに転写する圧着ロールと、
前記冷却ロールと共に前記樹脂シートが供給される隙間を形成しており、前記樹脂シートの幅方向において、前記樹脂シートの前記賦形ベルトとは反対側の表面の全体にわたって接している剥離ロールと、
前記冷却ロールと前記剥離ロールとの間の隙間から搬出された前記樹脂シートを前記賦形ベルトから剥離させる剥離機構と、
を備え、
前記剥離ロールによる前記樹脂シートの送り速度は、前記冷却ロールによる前記賦形ベルトの送り速度と等しい、樹脂シートの製造装置。
【請求項2】
前記剥離ロールは、前記冷却ロールに対して相対的に変位可能である、請求項1に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項3】
前記賦形ベルトは金属製である、請求項1または2に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項4】
前記冷却ロールは、ヒーターを有し、前記樹脂シートの製造時において、前記冷却ロールの温度は、前記樹脂シートのガラス転移温度以下であって前記樹脂シートの歪点以上とされている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項5】
前記賦形ベルトの搬送方向において、前記賦形ベルトの前記加熱ロールと前記冷却ロールとの間の部分の上に位置する前記樹脂シートの温度を調節する温度調節機構をさらに備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項6】
前記樹脂シートは、一方の表面に複数のマイクロレンズが形成されたマイクロレンズアレイシートである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項7】
前記樹脂シートは、一方の表面に微細な複数の凹凸が形成されたエンボスシートである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂シートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−221560(P2010−221560A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71986(P2009−71986)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】