説明

樹脂含浸絶縁テープの圧縮

本発明は、マトリックスを高熱伝導性充填樹脂(32)で含浸する方法を提供し、これが樹脂含浸マトリックスを製造する。高熱伝導性材料(30)は、樹脂(32)を5〜60体積%有する。これを約5〜30%まで圧縮すると樹脂中に装填した高熱伝導性材料間の距離が少なくなり、次に樹脂を硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年6月15日に提出されたスミス(Smith)らによる仮出願のUS 60/580,023に優先権を主張するものであり、これを参照して本明細書中に取入れることとする。
【0002】
本発明の分野
本発明は樹脂含浸電気絶縁テープに関する。
【0003】
本発明の背景
どのような形の電気器具の用途でも、電気絶縁コンダクターにニーズがある。全ての電気系と電子系の大きさを常に減少させ、かつ合理化させる後押しにより、より良好で、かつよりコンパクトな絶縁体ならびに絶縁系を相応して見出す必要がある。
【0004】
容易に表面に接着できる丈夫かつ柔軟な電気絶縁材料のその実用的利便性により、様々なエポキシ樹脂材料が電気絶縁系において広範に使用されてきた。マイカフレークやガラス繊維のような従来の電気絶縁材料は、表面コーティングでき、かつこれらのエポキシ樹脂に結合して、増大した機械強度、耐薬品性および電気絶縁特性を有するコンポジット材料を製造できる。多くの場合に、エポキシ樹脂は従来のワニスの沈殿物と置き換わっており、このような材料は幾つかの高電圧電気装置において利用され続けてきた。
【0005】
良好な電気絶縁体は、その性質により良好な断熱材になる傾向があるが、これは望ましくない。断熱挙動は、特に空冷電気機器ならびに部材に関しては、部材ならびに装置の効率と耐久性を全体的に下げてしまう。最大の電気絶縁性と最小の断熱的性質を備えた電気絶縁系を作ることが望ましい。
【0006】
電気絶縁材は、大抵は絶縁テープの形で生じ、これ自体は様々な層を有する。これらのタイプのテープに共通しているものは、繊維層の界面で結合した紙の層である。両方の層は樹脂で含浸される傾向がある。絶縁材料の好ましいタイプは、マイカテープである。マイカテープへの改善には、米国特許第6103882号に教示されているような触媒添加マイカテープが含まれる。マイカテープはコンダクターの回りに巻かれて、著しく良好な電気絶縁材を提供する。この例は、図1に記載されている。ここでは記載されているものは、コイル13であり、コンダクター14の多数の折り返しから成り、これは実施例に記載されるように組立てられて焼結コイルになる。ターン絶縁材15は、繊維状材料または材料、例えばガラスまたはガラスと熱処理されたダクロンから製造される。コイル用のグランド絶縁材は、焼結コイル14の回りに、コンポジットマイカテープ16の1つ以上の層を巻付けることにより提供される。このようなコンポジットテープは、例えば、ガラス繊維布またはポリエチレングリコールテレフタレートマットのような柔軟なバッキングシート18と組合わさった紙または小さなマイカフレークのフェルトであってよく、マイカの層20は、これに液体樹脂結合剤により結合している。一般に、コンポジットテープ16の多数の層は、電圧の要求に応じてコイルの回りに巻付けられる。丈夫な繊維状材料、例えば、ガラス繊維の外周テープ21の巻付けをコイルに適用してもよい。
【0007】
一般的に、マイカテープ16の多数の層は、通常高電圧コイルに使用される16以上の層でコイルの回りに巻付けられる。次に樹脂がテープ層に含浸される。都合の悪いことに、絶縁材のこの量は、放散熱の厄介な問題を更に加えることになる。必要なものは、通常の方法のものよりも高い熱を導電できるが、電気絶縁ならびに他の性能因子を妥協しない電気絶縁材である。
【0008】
従来技術を用いる他の欠点も存在するが、そのうちの幾つかを更なる記載の中で明らかにする。
【0009】
本発明のまとめ
上記のことを念頭において、方法と装置は本発明と一致する。本発明では、媒体を圧縮して高熱伝導性材料の間の平均距離を、平均フォノン行程長さの平均距離を下回るまで減らすことにより、高熱伝導性(HTC)含浸媒体を通るフォノンの分散を容易にする。これはフォノン散乱を減少させ、かつ熱源から離れてより多くのフォノンの正味の流れを作る。樹脂を多層絶縁テープのようなホストマトリックス媒体に含浸し、次にこれを圧縮する場合には、より高いパーセンテージのHTC材料が含浸マトリックス内に残る。二者択一的に、HTC材料はテープに装填され、次に樹脂で含浸され、圧縮されるか、またはテープを樹脂含浸の前に圧縮してもよい。このような場合には、むしろテープを樹脂で含浸する前と後の両方で圧縮してもよい。
【0010】
本発明と一致するこれらの並びに他の対象、特徴および利点は、マトリックスを高熱伝導性充填樹脂で含浸する方法を提供する特殊な実施多様により提供され、前記方法は、マトリックスを高熱伝導性材料装填樹脂で含浸して、これが樹脂含浸マトリックスを作ることから成る。高熱伝導性材料は、樹脂の5〜60体積%を有する。これを約5〜30%だけ圧縮し、かつ樹脂中に装填した高熱伝導性材料の間の距離を減らす。次に樹脂を硬化させる。高熱伝導性材料は、約1〜1000nmの大きさの少なくとも1つのシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛およびダイヤモンドならびにデンドリマーを有し、かつ該高熱伝導性材料は10〜50のアスペクト比を有する。
【0011】
他の実施態様では、本発明は導電性物体と一緒に用いられる絶縁テープを充填樹脂で含浸する方法を提供し、この方法はテープを高熱伝導性材料装填樹脂で含浸することから成る。次に、樹脂で含浸したテープを圧縮し、樹脂を硬化させる。高熱伝導性材料は、約1〜1000nmの大きさの少なくとも1つのシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛およびダイヤモンドならびにデンドリマーを有し、かつ高熱伝導性材料は樹脂の5〜60体積%を有する。樹脂を通過するフォノンは、平均フォノン行程長さを有し、その際、樹脂で含浸したテープの圧縮は樹脂内の高熱伝導性材料間の間隔を、平均フォノン行程長さの距離を下回る平均距離まで減少させる。平均フォノン行程長さは変えられるが、一般に2〜100nmである。
【0012】
なお他の実施態様では、本発明は高熱伝導性材料を絶縁媒体に添加する方法を提供し、この方法は、約1〜1000nmの大きさの少なくとも1つのシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛およびダイヤモンドならびにデンドリマーを絶縁媒体に添加することから成る。次に、この絶縁媒体を樹脂で含浸し、その全体の体積または幅の約5〜30%に圧縮する。次にこれを硬化させる。絶縁媒体を通過するフォノンは平均フォノン行程長さを有し、かつ絶縁媒体は絶縁媒体内の高熱伝導性材料の間の間隔を、平均フォノン行程長さの距離を下回る平均距離まで減少させる。二者択一的に、樹脂を挿入する前に絶縁媒体を圧縮することができる。なお他の実施態様では、樹脂含浸の前または後の両方で絶縁媒体を圧縮できる。
【0013】
本発明の他の実施態様も存在し、これは詳細な説明の記載から明らかになる。
【0014】
図の簡単な説明
一例として、本発明を以下の図面について更に詳細に説明する。
【0015】
図1は、ステーターコイルの回りに巻かれた絶縁テープの使用を示している。
【0016】
図2は、本発明の装填樹脂を通って移動するフォノンを示している。
【0017】
本発明の詳細な説明
本発明は、テープのような樹脂含浸絶縁物体を提供し、これを圧縮して装填された高熱伝導性(HTC)充填剤の間の平均長さスケール(距離)を、平均フォノン行程長さの距離を下回る平均距離まで減少させる。従来技術の樹脂の熱伝導性は、樹脂含浸テープが設置された電気系の効率を制限している。樹脂マトリックスの熱伝導性を改善するために、HTC材料を樹脂中に装填し、次にこれを絶縁テープに含浸するか、または絶縁テープ中に装填し、次にこれを樹脂で含浸させる。
【0018】
電気的物体に設置する前または後に、テープを樹脂で含浸してもよい。樹脂含浸技法には、VPIおよびGVPIが含まれ、以下により詳しく説明することにする。VPIでは、一旦テープが巻付けられ含浸されると、これは本発明の方法により圧縮される。GVPIでは、テープ層は本発明により圧縮され、次にスロットに巻かれ、続いて含浸される。圧縮は機械的であり、かつプレス、バイス、クランプおよび他の装置のような様々な技法ならびに静水圧圧縮のような手法により達成してもよい。圧縮工程の間には、巻かれた物体を最終的な位置に移してもよい。
【0019】
一旦適当な位置に着くと、圧縮テープ中の樹脂は硬化され、これがHTC材料の位置を効果的に固定する。幾つかの実施態様では、通常の当業者のうち1人には明らかであるように樹脂は2工程のプロセスで硬化される。しかし、装填されたHTC材料の最適な圧縮は、圧縮工程の際に完全に硬化されていない樹脂を好む。さらに、本発明は複数の別個の圧縮工程を利用してもよい。これらの複数の圧縮工程は、次々に行うか、または緩和、付加的ラッピング、半硬化および/または輸送のような他の工程によって分けられていてもよい。
【0020】
図2には、本発明の1実施態様が示されている。ここでは、樹脂性マトリックス32に装填されたHTC材料30が記載されている。マトリックスを通って移動するフォノン34は、平均行程長さnを有する。この行程長さは樹脂マトリックスの正確な組成物により変えられるが、これはエポキシ樹脂のような樹脂に関しては一般に2〜100nm、より一般には5〜50nmである。従って、装填されたHTC材料間の平均距離は、平均してこの距離未満であるべきである。HTC材料間の距離は、テープの横断方向に対する厚さで変えることができ、かつこれは一般にスペーシングを最適化するのに必要な厚さ方向であることに留意されたい。
【0021】
フォノン34が樹脂32を通って移動するにつれて、これらのフォノンは埋込まれたHTC材料30に沿って通って行く傾向がある。このことは、局所のフォノンフラックスを増大させる。それというのも、約0.1〜0.5W/mKである樹脂とは対照的に、未処理のHTC材料が10〜1000W/mKの間の熱伝導性を有するようになるからである。フォノンが装填されたHTCに沿って通るにつれて、材料間の距離がn未満である場合には、フォノン36は次のHTC材料を通るようになり、従ってHTC材料は連続したネットワークを形成する。図2は、理想的な行程を示している。実際には、材料間の距離が短くなるにつれて散乱が少なくなるにもかかわらず、フォノンが樹脂とHTC材料の間を通るにつれてフォノン散乱が生じる。
【0022】
樹脂中に装填されるHTC材料の量は、実際に極めて少なくてもよい。例えば、図2に記載されているように約10%でよい。従って、装填されたHTC材料間の平均距離、または長さのスケールは、僅かにnよりも大きくてよい。しかし、多くのパーセンテージはn未満であるので、本発明の実施態様の範囲内におさまる。特殊な実施態様では、次のHTC材料からの距離がn未満であるパーセンテージ材料は50%以上であり、特殊な実施態様では75%以上である。特殊な実施態様では、HTC材料の平均長さはn以上であり、これは更にフォノン輸送を補助する。
【0023】
nが短いほど、装填されたHTC材料の濃度は高くなり、逆に粒度が大きいほど、必要なHTC材料は減る。特殊な実施態様では、樹脂と充填剤の全体積の5〜60%の装填されたHTC材料を使用し、より特殊な実施態様では25〜40%である。樹脂がテープに含浸される場合には、これはテープ繊維と基質の間の間隔を埋める。しかし、この時点でのテープ内のHTC分布は、大抵は最適化されておらず、むしろn以上のHTC材料間の平均距離を有する。よって、本発明の実施では、樹脂を含浸したテープを圧縮して装填されたHTC材料間の距離を減らす。
【0024】
装填樹脂がテープに含浸される場合に、特に樹脂の30%以上が充填剤である場合にはテープの繊維または粒子はHTC材料の幾つかをブロックするように働く。しかし、テープを圧縮することにより、逆のことが生じ、HTC材料自体が全体の構造の不可動部分に結合するので、より多くの充填剤がテープ内に閉じこめられる。HTC充填剤は、互いに固定される。挙げた実施態様では、充填剤は樹脂マトリックスとは反応しないことが示されてきたが、幾つかの実施態様では、充填剤は樹脂と共有結合を形成し、より均質なマトリックスを形成する。均質なマトリックス中では、充填剤に結合した樹脂は結合していない樹脂よりも良好に圧縮の間に保持されるであろう。
【0025】
テープの圧縮量は、一般に樹脂含浸テープの全体の大きさの約5〜30%である。含浸回路基板のような本発明を使用してもよい他の分野は、同様の全体的な圧縮を行うであろう。HTC材料と樹脂マトリックスの間のような界面を通過するにつれてフォノンが散乱するので、材料間の距離が短くなるにつれて散乱は少なくなる。従って、大きな圧縮はテープまたは他の含浸構造の全体的な結合性が保持される限りは、良い結果を提供するであろう。
【0026】
論じてきたように、ある状況では、含浸された、または含浸すべきテープで巻かれた物体は圧縮工程の間に移される。これらの並びに他の実施態様の際に、テープを過度に圧縮し、次に緩和してあまり圧縮されていない状態へ僅かに戻すことができる。緩和の量は、僅かであり、例えば元の圧縮の5〜50%である。このことは、テープを損傷することなく、かつ装填されたHTC材料の適切な分布を保持しながら巻いた物体をスロットのような狭い場所へ適切に挿入することを可能にする。
【0027】
樹脂が速く硬化するほど、圧縮の緩和は殆どない。樹脂とホスト媒体が圧縮される間に樹脂が硬化する場合には、特にそうである。特殊な実施態様での緩和の量は、全体の圧縮の5%以下に維持される。更なる緩和が望ましい実施態様では、樹脂が完全に硬化する前に圧縮を減らすことができる。
【0028】
本明細書で使用されているように、樹脂という用語は、変性エポキシ、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ビスマレイミド、シリコーン、ポリシロキサン、ポリブタジエン、シアネートエステル、炭化水素などを含めた全ての樹脂とエポキシ樹脂ならびにこれらの樹脂の均質なブレンドを意味する。この樹脂の定義には、架橋剤、促進剤およびその他の触媒および加工助剤のような添加剤が含まれる。液晶熱硬化性樹脂(LCT)や1,2−ビニルポリブタジエンのような特定の樹脂は、低分子量特性と良好な架橋特性を兼ね備えている。
【0029】
樹脂に装填したHTC材料は、添加されると物理的および/または化学的に樹脂と相互作用するか、または反応して熱伝導性を改善するような様々な物質である。1実施態様では、HTC材料はデンドリマーであり、かつ他の実施態様では、これらは3〜100、特に10〜50の範囲内のアスペクト比(横方向の平均寸法:縦方向の平均寸法の比)を有する高アスペクト比の粒子を含めた規定の大きさまたは形状を有するナノまたはミクロ無機充填剤である。
【0030】
関連する実施態様では、HTC材料は規定の大きさと形状分布を有していてよい。両方の場合に、充填剤粒子の濃度と相対濃度は、バルク結合(または、いわゆる浸透)構造が達成されるように選択される。このことは、容量充填ありまたは無しの高い熱伝導性を与え、増強した熱伝導性を有する構造的に安定なディスクリートな2相コンポジットを達成する。関連する他の実施態様では、HTC材料の配向は熱伝導性を増大する。なお、他の実施態様では、HTC材料の表面コーティングはフォノン輸送を増強する。これらの実施態様は、他の実施態様とは独立しているか、または完全に関連している。例えば、デンドリマーは、熱硬化性樹脂や熱可塑性材料のような他のタイプの高度構造化材料と結合する。これらは、HTC材料がフォノン散乱を減少するように樹脂マトリックス中に均質に分布し、かつフォノンに対してミクロスケールの架橋を提供し、HTC材料の間で良好な熱導電性界面を提供する。高度構造化材料は、1つの方向、または局在化したもしくはバルク異方性電気絶縁材料を作る方向に沿って熱伝導性が増大するように配列される。他の実施態様では、低熱伝導性充填剤を、高熱伝導性を有する金属酸化物、炭化物または窒化物ならびに混合系で表面コーティングすることによりHTCが達成され、これらは規定のバルク特性のある充填剤に物理的または化学的に結合しており、このような結合は、化学蒸着法および物理蒸着法ならびにプラズマ処理のようなプロセスにより達成されてもよい。
【0031】
関連する実施態様では、HTC材料は樹脂と一緒に、実質的に均質な混合物を形成するが、不所望な顕微鏡的界面や様々な粒子湿潤およびミクロ間隙形成が実質的にない。これらの均質な材料は連続相材料を形成し、これは通常の電気絶縁材料内でのフォノン波長またはフォノン平均自由行程よりも短い長さスケールではディスクリートではない。幾つかの実施態様では、誘電破壊をコントロールするために意図する界面を樹脂構造中に置くことができる。絶縁材料中では、正常な条件が与えられて誘電破壊が生じる。2相系での界面の性質と空間分布をコントロールすることにより、絶縁破壊の強さと長期電気耐久性を増強できる。絶縁耐力の増大は、増大した焼き締まり、ミクロ間隙の除去および内部機械圧縮強さの高いレベルゆえに部分的に生じる。
【0032】
全ての場合に、構造エレメントの長さスケールが熱輸送に重要なフォノン分布よりも短いか、または釣り合うことを保証することによりフォノン輸送は増強され、かつフォノン散乱は減少する。より大きなHTC粒状材料は、それ自身で実際にフォノン輸送を増大できるが、しかしより小さなHTC材料は樹脂マトリックスの性質を変えることができる。これにより、フォノン散乱の変化に影響を及ぼす。このことは、そのマトリックスが高い熱伝導性を示すことが知られているナノ粒子を使用することにより更に補助でき、かつ粒度がこの効果を維持することが保証され、かつフォノン散乱を減らすために必要な長さスケールが満たされる。
【0033】
連続した2相の有機−無機ハイブリッドは、線状または架橋ポリマーおよび熱硬化性樹脂中に無機ナノ粒子を組込むことにより形成してもよく、その際、ナノ粒子の寸法はポリマーまたはネットワークセグメントの長さの大きさないし未満(通常1〜50nm)である。これには、次のものに限定されるわけではないが、これを生じることができる3つのルートもしくはメカニズムが含まれる(i)側鎖グラフティング、(ii)包括的グラフティング(例えば、2つのポリマー鎖の末端の間)、(iii)幾つかのポリマー分子を含む架橋グラフティング。これらの無機ナノ粒子は、反応性表面を含有して、密接に共有結合した均質な有機−無機ハイブリッド材料を形成する。これらのナノ粒子は、アルミナ、酸化マグネシウムおよび酸化亜鉛ならびにその他の金属酸化物、窒化ホウ素および窒化アルミニウムおよび他の金属窒化物、炭化ケイ素およびその他の炭化物、天然または合成源のダイヤモンド、および各タイプの様々な物理的形態、その他の金属炭化物およびハイブリッドの化学量論および非化学量論的混合酸化物、窒化物および炭化物であってもよい。さらに、これらのナノ粒子は表面処理されて、ホスト有機ポリマーまたはネットワークとの反応に参加できる様々な表面官能基が導入される。樹脂中のHTC材料の体積パーセントは、約60体積%まで、またはそれ以上であってよく、特に、約35体積%までである。より高い体積充填は、マトリックスに更に高い構造安定性を与える傾向がある。しかし、大きさと形状分布の調節により、粒子結合とHTC材料の配列の程度は、1体積%以下という少なさを占めることができる。しかし構造安定性の理由により、浸透が生じるのに必要な最小量よりも多い量を加えるのが有用である。従って、樹脂は物理的歪みに耐えることができ、かつ浸透構造とHTC特性に損傷を与えることなく変形できる。
【0034】
多くの実施態様では、HTC材料の大きさと形状は、同じ用途内でも変化する。大きさと形状の範囲は同じ製品で使用される。長くまた短く変動する様々なアスペクト比のHTC材料は、樹脂マトリックスの熱伝導を増強し、向上した物理特性と性能を潜在的に提供する。しかし、観察すべき1つの点は、基質/絶縁材の層の間で架橋を生じるほど粒子の長さが長くならないことである。また、様々な形状と長さは、より均質な体積充填と充填密度を提供することによりHTC材料の浸透安定性を改善し、その結果より均質なマトリックスが生じる。大きさと形状を混合する場合には、1実施態様では、より長い粒子は、棒状であるのに対して、より小さな粒子は、球状、板状または円盤状むしろ立方形である。例えば、HTC材料含有の樹脂は、直径10〜50nmの球状物を55〜65体積%、および長さ10〜50μmの棒状物を約15〜25体積%、樹脂の10〜30体積%含有し得る。
【0035】
形状に関しては、本発明は増強した浸透のために棒状と板状の傾向が自然にある形状を利用する。ここで棒状物は、天然に形成されるものに加え、合成加工した材料を含めて最も有利な実施態様である。棒状物は、約5以上のアスペクト比を有する粒子として定義され、特殊な実施態様では10以上であるが、より特殊な実施態様では100未満である。1実施態様では、棒状物の軸方向長さは、約10nm〜100ミクロンの範囲内である。より小さな棒状物は、樹脂マトリックスに良く浸透し、樹脂の粘度において殆ど不利な作用がない。
【0036】
多くのミクロ粒子は、球状および円盤状の形を形成するが、これは一定条件下で均質に分布する能力を下げるので、浸透が生じる濃度を減少させる凝集フィラメント状構造を導き得る。浸透を増大させることにより、エポキシ樹脂の熱的性質を増大させることができ、または代わりにエポキシ樹脂に加える必要があるHTC材料の量を減らすことができる。また、増強した浸透は、結果として回避すべき凝集よりもエポキシ樹脂内でHTC材料の均質な分布を生じ、不所望な界面、不完全な粒子湿潤およびミクロ間隙形成を有さないような、より均質な製品を形成する。同様に、凝集したフィラメント状または樹枝状構造は、球状(高密度の)凝集物または凝集塊よりも、高いアスペクト比の粒子から形成され、増強した熱伝導性を与える。
【0037】
反応性表面官能基は、無機コーティング剤に特有の表面基から形成しても、また付加的な有機コーティング剤を付与することにより達成してもよい。この両方には、ホスト有機マトリックスと化学反応が可能なヒドロキシル基、カルボン酸基、アミン基、エポキシド基、シラン基、ビニル基およびその他の基が含まれる。これらの単一または複数の表面コーティング剤および表面官能基は、湿式化学法、プラズマ重合を含めた非平衡プラズマ法および化学蒸着法および物理蒸着法、スパッタイオンメッキ法および電子蒸着法ならびにイオンビーム蒸着法を用いて付与することもできる。
【0038】
HTC材料に関して使用されているように紙に当てはめると、基質という用語は、絶縁紙が形成されるホスト材料を示すのに対して、マトリックスは、基質から作られるより完全な紙成分を示す。これらの2つの用語は、本発明の実施態様を検討する場合には多少互換性があって使用してもよい。熱伝導性の増大は、損失係数のような電気的性質、または引張り強さ、凝集特性のような基質の物理的性質に著しい障害を起こすことなく遂行されるべきである。物理的性質は、幾つかの実施態様では表面コーティング剤のようなものを用いてむしろ改善できる。さらに、幾つかの実施態様では、ホストマトリックスの電気抵抗はHTC材料の添加により増強できる。
【0039】
HTC材料は、絶縁紙の1つ以上の様々な製造工程で基質またはマトリックスに添加できる。絶縁紙の製造では別個の工程が存在する。本発明の目的のために、これらは3つの工程に分けることができる。原料工程、スラリー工程および紙の製造工程である。例えば、マイカ紙はマイカとして始まり、これはフレークに変換され、次にマイカフレークになり、次に液体と結合してスラリーになる。次にこれは機械を通ってマイカ紙を作り出す。
【0040】
通常は電気絶縁材に使用される標準のマイカ(白雲母、金雲母)の他に、黒雲母マイカならびにカオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイトおよびクロライトのような幾つかの他のマイカのようなアルミノケイ酸塩材料もある。モンモリロナイトは、その構造の中にラティスを有し、これは金属カチオン、有機化合物およびモノマーおよびポリマーのようなHTC材料と容易に挿入されて高い絶縁耐力のコンポジットを生じることができる。
【0041】
HTC材料の添加は、どの製造工程でも、または全ての製造工程で生じてもよい。これらの各工程は、当然ながらHTC材料を添加してよい複数のサブ工程から成る。様々な工程でHTC材料を適用するプロセスは、これらの様々な工程でホストマトリックスの物理的特性における違いを埋め合わせなくてはならない。例えば、HTC材料を緩いマイカフレークまたはマイカ小薄片へ添加することは、この材料をスラリー中のマイカまたは紙製品に添加することとは異なる。HTC材料は、裏地、または中間層の結合樹脂のような完成した絶縁テープの他の部材部分に存在していてもよい。
【0042】
絶縁紙の製法は、熱処理、化学処理または機械処理を個別に、もしくは組合わせて併用してパルプを製造し、次に紙を作るシートへ変形させる。HTC材料は、乾燥した形、または液体もしくは他の媒体に含有した形で原料工程に添加できる。HTC材料は、乾燥マイカ小薄片のような基質に添加され、かつ混ぜ合わせて、1つの場合としては基質内に均質な分布を形成する。熱処理のような方法を用いて、HTC材料を基質に運ぶ液体媒体を除去してもよい。
【0043】
液体キャリヤー中で凝集した形または凝集していない形で、HTC材料を懸濁液に添加することにより、スラリー工程でHTC材料はマトリックスに組み込まれる。HTC材料の凝集は、一般にこの工程では好ましくないが、しかし、ある場合には、凝集物の構造の性質によって使用してもよい。界面活性剤、化学的表面処理またはpHコントロールを使用して、粒子が凝集しないように、またはこれらが特定の方法で凝集することを保証してもよい。HTC材料が有る程度自己配列するか、または外力により配列できる場合には、混合による完全な分散は必要ではない。
【0044】
スラリー工程では、充填剤を液相中の粉末としてまたは懸濁液として添加してもよい。液体は、この分野で使用される様々なタイプであることができるが、水が一般的である。水自体は脱イオン化、脱塩するか、またはそのpH値をコントロールするための添加剤を有することができる。
【0045】
紙製品にHTC材料を添加するために、充填剤を適切な溶剤に懸濁液として組込んでもよい。例は、ヘキサン、トルエン、メチルエチルケトンなどのような通常の有機溶剤である。同様に、HTC材料を凝集していない懸濁として液体中に均質に分布させるのが好ましい。粒子の粒度分布は、ホストマトリックス中の間隙粒度分布に関して所望の目的を満たすように選択してよい。HTC材料の大きさと形状分布を用いて熱伝導性および他の物理特性に影響させてもよく、かつこのような成分の様々な気密な充填挙動を利用するか、またはそれらの様々な凝集または自己集合挙動を利用して、これを達成してもよい。
【0046】
スラリーまたは紙製品の工程では、溶剤はナフテン酸亜鉛および他の金属塩または有機金属化合物のような1つ以上の促進剤を含有していてもよく、これを後の含浸樹脂の反応を促進するために使用してもよい。HTC材料は、通常の溶剤または促進剤中で促進剤と一緒に添加することができる。
【0047】
この実施態様では、本発明はHTC材料をホストマトリックスまたはマイカおよびポリエステルのような基質に挿入する。他の基質成分には、ガラスフレーク、ポリイミドであるKaptonTMまたはポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルであるMylarTMが含まれる。HTC材料は、あらゆる外表面および内表面に適用できる。フレークは普通の一次工程基質であるが、基質材料の幾つかのタイプは種々の物理的形態を使用するか、または物理的形態の組合せであり、これは多層もしくは連続的であってよい複合紙を形成できる。
【0048】
樹脂の含浸における充填剤として、または後から樹脂で含浸される絶縁紙の不可欠な部分として、本発明をHTC材料により表現したが、両方を相互に一緒に使用してもよい。実施態様を組合わせることにより、最終生成物中でのHTC材料の分散を増大させることができる。HTC材料がマトリックス中に存在する場合には、ホスト材料を樹脂含浸の前および/または後の両方で圧縮することができる。
【0049】
ステーターコイルで使用される樹脂含浸のタイプは、VPIおよびGVPIとして知られている。テープをコイルの回りに巻付け、次に真空含浸法(VPI)により低粘度の液体絶縁樹脂で含浸させる。このプロセスは、マイカテープ中に閉じこめられた空気と湿気を除去するためにコイル含有のチャンバーを排気し、次に圧力下に絶縁樹脂を挿入してマイカテープを完全に樹脂で含浸し、このように間隙を除去し、マイカマトリックス中に樹脂性絶縁材を製造することから成る。約20%の圧縮は、幾つかの実施態様ではVPIプロセスに特定である。これが完了した後に、コイルを加熱して樹脂を硬化させる。樹脂は促進剤を含有してもよく、またテープはこの中に1つを有してもよい。このバリエーションでは、幅広いVPI(GVPI)は、乾燥した絶縁コイルを巻付け、次にステーター全体が個々のコイルよりも真空圧含浸されるプロセスを含む。GVPIプロセスでは、コイルは樹脂で含浸する前に圧縮される。それというのも、乾燥コイルが含浸前に最終的な位置に挿入されるからである。様々な圧縮法が上記で検討されてきたが、本発明の実際の圧縮工程にVPI/GVPI含浸法を使用することもできる。
【0050】
1実施態様では、本発明は高熱伝導性充填樹脂でマトリックスを含浸する方法を提供し、この方法はマトリックスを高熱伝導性材料装填樹脂で含浸することから成り、これが樹脂含浸マトリックスを作る。高熱伝導性材料は、樹脂の5〜60体積%を有する。これを約5〜30%だけ圧縮し、かつ樹脂中に装填された高熱伝導性材料間の距離を減らす。次に樹脂を硬化させる。高熱伝導性材料は、約1〜1000nmの大きさの少なくとも1つのシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛およびダイヤモンドならびにデンドリマーを有し、かつ該高熱伝導性材料は10〜50のアスペクト比を有する。
【0051】
特殊な実施態様では、樹脂中に装填された高熱伝導性材料間の距離は、約5〜50nmである。幾つかの実施態様では、樹脂含浸マトリックスは硬化前に少なくとも2回圧縮される。
【0052】
他の実施態様では、本発明は導電性物体と一緒に用いられる絶縁テープを充填樹脂で含浸する方法を提供し、この方法はテープを高熱伝導性材料装填樹脂で含浸することから成る。次に、樹脂で含浸したテープを圧縮し、樹脂を硬化させる。高熱伝導性材料は、約1〜1000nmの大きさの少なくとも1つのシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛およびダイヤモンドならびにデンドリマーを有し、かつ該高熱伝導性材料は樹脂の5〜60体積%を有する。樹脂を通過するフォノンは、平均フォノン行程長さを有し、その際、樹脂で含浸したテープの圧縮は樹脂内の高熱伝導性材料の間の間隔を、平均フォノン行程長さの距離を下回る平均距離まで減少させる。平均フォノン行程長さを変えることはできるが、一般に2〜100nmである。
【0053】
特殊な実施態様では、導電性物体に巻付ける前にテープを樹脂で含浸する。他の実施態様では、導電性物体に巻付けた後にテープを樹脂で含浸する。含浸は、例えばVPIおよびGVPIにより行われる。用途に応じて、樹脂を含浸する前にさらに高熱伝導性材料をテープに添加する。
【0054】
他の実施態様では、高熱伝導性材料は、樹脂の25〜40体積%を有し、かつ該高熱伝導性材料は3〜100のアスペクト比を有する。他の特殊な実施態様では、高熱伝導性材料は、10nm〜100ミクロンの長さである。
【0055】
なお他の実施態様では、本発明は高熱伝導性材料を絶縁媒体に添加する方法を提供し、この方法は、約1〜1000nmの大きさの少なくとも1つのシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛およびダイヤモンドならびにデンドリマーを有する高熱伝導性材料を、絶縁媒体に添加することから成る。次に、この絶縁媒体を樹脂で含浸し、その全体の体積または幅の約5〜30%圧縮する。次にこれを硬化させる。絶縁媒体を通過するフォノンは平均フォノン行程長さを有し、かつ絶縁媒体は絶縁媒体内の高熱伝導性材料の間の間隔を、平均フォノン行程長さの距離を下回る平均距離まで減少させる。
【0056】
特殊な実施態様では、絶縁媒体に添加されるものと同様に樹脂は高熱伝導性材料で充填される。絶縁媒体は、テープであってよく、これはホスト基質またはホストマトリックスとも称される。
【0057】
更なる特殊な実施態様では、絶縁媒体は熱伝導性材料を添加した後、および樹脂を含浸する前に更に圧縮される。2回の圧縮について圧縮の全体量は約10〜30%である。
【0058】
発明の特殊な実施態様が詳細に記載されてきたが、開示の全体的な教示に鑑みて、これらの詳細な説明に対して様々な修正や代案が生じ得ることが当業者には理解されるであろう。従って、開示された特殊なアレンジは、単に例示的なものを意味するのであって、本発明の範囲として限定されるわけではない。これは添付されている請求項の全ての範囲ならびにこれと同等のものに挙げられている。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、ステーターコイルの回りに巻かれた絶縁テープの使用を表す図である。
【図2】図2は、本発明の装填樹脂を通って移動するフォノンを表す図である。
【符号の説明】
【0060】
13 コイル、 14 コンダクター、 15 ターン絶縁材、 16 マイカテープ、 18 バッキングシート、 20 マイカ層、 21 外周テープ、 30 HTC材料、 32 樹脂、 34 フォノン、 36 フォノン、 n 平均行程長さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスを高熱伝導性充填樹脂で含浸する方法であって:
マトリックスを高熱伝導性材料装填樹脂で含浸して樹脂含浸マトリックスを製造し、その際、前記高熱伝導性材料は樹脂の5〜60体積%を有している、
前記樹脂含浸マトリックスを約5〜30%だけ圧縮し、その際、前記樹脂中に装填した前記高熱伝導性材料の間の距離が減少し、かつ
前記樹脂含浸マトリックスを硬化させる
ことを含む方法において、その際、前記高熱伝導性材料は、約1〜1000nmの大きさの少なくとも1つのシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛およびダイヤモンドならびにデンドリマーを有し、かつ前記高熱伝導性材料は10〜50のアスペクト比を有する、マトリックスを高熱伝導性充填樹脂で含浸する方法。
【請求項2】
樹脂中に装填された高熱伝導性材料の間の距離は、約5〜50nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
樹脂含浸マトリックスは、硬化前に少なくとも2回圧縮される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
導電性物体と一緒に用いる絶縁テープを充填樹脂で含浸する方法であって:
前記テープを高熱伝導性材料装填樹脂で含浸し、
前記樹脂で含浸したテープを圧縮し、かつ
前記樹脂を硬化させる
ことを含む方法において、その際、前記高熱伝導性材料は、約1〜1000nmの大きさの少なくとも1つのシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛およびダイヤモンドならびにデンドリマーを有し、かつ前記高熱伝導性材料は前記樹脂の5〜60体積%を有し、前記樹脂を通過するフォノンは、平均フォノン行程長さを有し、前記樹脂で含浸したテープの圧縮は樹脂内の高熱伝導性材料の間の間隔を、前記平均フォノン行程長さの距離を下回る平均距離まで減少させることから成る、導電性物体と一緒に用いる絶縁テープを充填樹脂で含浸する方法。
【請求項5】
導電性物体に巻付ける前にテープを樹脂で含浸する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
導電性物体に巻付けた後にテープを樹脂で含浸する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
含浸は、少なくとも1つのVPIおよびGVPIにより行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
高熱伝導性材料は、樹脂の25〜40体積%を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
平均フォノン行程長さは、2〜100nmである、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
高熱伝導性材料は、3〜100のアスペクト比を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
高熱伝導性材料は、10nm〜100ミクロンの長さである、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
樹脂を含浸する前に高熱伝導性材料をテープに添加する、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
高熱伝導性材料を絶縁媒体に添加する方法であって:
約1〜1000nmの大きさの少なくとも1つのシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛およびダイヤモンドならびにデンドリマーを有する高熱伝導性材料を絶縁媒体に添加し、
前記絶縁媒体を樹脂で含浸し、
前記絶縁媒体を約5〜30%圧縮し、かつ
前記樹脂を硬化させる
ことを含む方法において、その際、前記絶縁媒体を通過するフォノンは、平均フォノン行程長さを有し、前記絶縁媒体の圧縮が、絶縁媒体内の高熱伝導性材料の間の間隔を、前記平均フォノン行程長さの距離を下回る平均距離まで減少させる、高熱伝導性材料を絶縁媒体に添加する方法。
【請求項14】
樹脂を高熱伝導性材料で充填する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
絶縁媒体は熱伝導性材料を添加した後、および樹脂を含浸する前に更に圧縮される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
2回の圧縮について圧縮の全体量は約10〜30%である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
絶縁媒体はテープである、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
高熱伝導性材料は、3〜100のアスペクト比を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
高熱伝導性材料は、10nm〜100ミクロンの長さである、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
樹脂を含浸する前に絶縁媒体を圧縮する、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−502775(P2008−502775A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516576(P2007−516576)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/020560
【国際公開番号】WO2006/002012
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(505428721)シーメンス パワー ジェネレーション インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Power Generation Inc.
【住所又は居所原語表記】4400Alafaya Trail,Orlando,Florida 32826,USA
【Fターム(参考)】