説明

樹脂構造体を内蔵したセンタピラー構造

【課題】重量の増加を抑制しつつセンタピラーの曲げ変形を効率的に抑制することができる樹脂構造体を内蔵したセンタピラー構造を提供する。
【解決手段】車体側面部に設けられた前後のドア開口部3、4の間に位置して車体上下方向に延び、閉断面状に形成された閉断面部を有するセンタピラー20に樹脂構造体を内蔵したセンタピラー構造において、樹脂構造体50、60は、センタピラーに作用し得る複数の荷重にそれぞれ対応して閉断面部内に車体上下方向に離間して複数配設され、複数の樹脂構造体50、60の少なくとも1つは、センタピラーに取り付けられリアドアを回動可能に支持するヒンジ部47と車体上下方向の対応する位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両における車体側面部に設けられた前後のドア開口部の間に位置するセンタピラーに、該センタピラーを補強するための樹脂構造体を内蔵したセンタピラー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両における車体側面部には、前後のドア開口部の間に位置するセンタピラーが車体上下方向に延びるように設けられており、このセンタピラーは一般に、車外側に配設されるセンタピラーアウタと車室側に配設されるセンタピラーインナとで閉断面状に形成された閉断面構造として構成されている。
【0003】
また、センタピラーにおいては、閉断面状に形成された閉断面部内に補強部材を配設して強度及び剛性を高めるようにしたものも知られている。例えば特許文献1には、センタピラーの中空室に、中空室の長手方向に直交する補強プレートを該中空室の長手方向に所定間隔をあけて複数配設すると共にこれらのプレートを連結してなる樹脂製の補強部材を取り付け、かつ少なくとも1つの補強プレートと該補強プレートに隣接する補強プレートとの間を発泡体で充填するようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−053156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、センタピラーに複数の荷重が作用し得る場合に、前記特許文献1に記載されるように樹脂製の補強部材を一体的に配設して補強する場合には必要以上の補強によって重量の増加を招くことから、重量の増加を抑制することが望まれる。一方、センタピラーは、側突時にフロントドアやリアドアに作用する荷重が伝達されて車室側に曲げ変形される畏れがあるので、乗員の安全性を確保するために車室側に曲げ変形されることを抑制することが求められている。
【0006】
そこで、本発明は、重量の増加を抑制しつつセンタピラーの曲げ変形を効率的に抑制することができる樹脂構造体を内蔵したセンタピラー構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本願の請求項1に係る発明は、車体側面部に設けられた前後のドア開口部の間に位置して車体上下方向に延び、閉断面状に形成された閉断面部を有するセンタピラーに、該センタピラーを補強するための樹脂構造体を内蔵したセンタピラー構造であって、前記樹脂構造体は、前記センタピラーに作用し得る複数の荷重にそれぞれ対応して前記閉断面部内に車体上下方向に離間して複数配設され、前記複数の樹脂構造体の少なくとも1つは、前記センタピラーに取り付けられリアドアを回動可能に支持するヒンジ部と車体上下方向の対応する位置に設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記ヒンジ部は、車体上下方向に離間して配設される2つのヒンジ部を備え、該2つのヒンジ部とそれぞれ車体上下方向の対応する位置に設けられる前記樹脂構造体が異なる樹脂構造体である、ことを特徴とする。
【0009】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記複数の樹脂構造体の1つは、前記センタピラーに取り付けられフロントドアを係脱可能に係止させるストライカと車体上下方向の対応する位置に設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
また更に、本願の請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3に係る発明において、前記複数の樹脂構造体の1つは、フロントドアに設けられた車体前後方向に延びるインパクトバーの後端部と車体上下方向の対応する位置に設けられている、ことを特徴とする。
【0011】
また更に、本願の請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4の何れか1項に係る発明において、前記複数の樹脂構造体の1つは、リアドアに設けられた車体前後方向に延びるインパクトバーの前端部と車体上下方向の対応する位置に設けられている、ことを特徴とする。
【0012】
また更に、本願の請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5の何れか1項に係る発明において、前記複数の樹脂構造体の1つは、ドアに配設されたウインドガラスの下縁部をなすベルトラインと車体上下方向の対応する位置に設けられている、ことを特徴とする。
【0013】
また更に、本願の請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6の何れか1項に係る発明において、前記複数の樹脂構造体の1つは、前記センタピラーに設けられ前記リアドアに通電するためのハーネスを挿通させる穴部と車体上下方向の対応する位置に設けられている、ことを特徴とする。
【0014】
また更に、本願の請求項8に係る発明は、請求項1から請求項7の何れか1項に係る発明において、前記複数の樹脂構造体が連結部材によって連結され、該連結部材が前記センタピラーに結合されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本願の請求項1に係る樹脂構造体を内蔵したセンタピラー構造によれば、樹脂構造体は、センタピラーに作用し得る複数の荷重にそれぞれ対応して閉断面部内に車体上下方向に離間して複数配設され、複数の樹脂構造体の少なくとも1つは、センタピラーに取り付けられリアドアを回動可能に支持するヒンジ部と車体上下方向の対応する位置に設けられている。これにより、側突時にリアドアに車外側から作用する荷重がヒンジ部を通じてセンタピラーに伝達される部分を含むセンタピラーに荷重が作用する部分を局部的に樹脂構造体によって補強することができ、センタピラーに必要以上に広い範囲にわたって補強する場合に比して、重量の増加を抑制しつつセンタピラーの曲げ変形を効率的に抑制することができる。
【0016】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、ヒンジ部は、車体上下方向に離間して配設される2つのヒンジ部を備え、2つのヒンジ部とそれぞれ車体上下方向の対応する位置に設けられる樹脂構造体が異なる樹脂構造体であることにより、側突時にリアドアに車外側から作用する荷重が2つのヒンジ部を通じてセンタピラーに伝達される部分をそれぞれ樹脂構造体によって補強することができ、前記効果をより具体的に実現することができる。
【0017】
更に、本願の請求項3に係る発明によれば、複数の樹脂構造体の1つは、センタピラーに取り付けられフロントドアを係脱可能に係止させるストライカと車体上下方向の対応する位置に設けられているので、側突時にフロントドアに車外側から作用する荷重がストライカを通じてセンタピラーに伝達される部分を有効に補強することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0018】
また更に、本願の請求項4に係る発明によれば、複数の樹脂構造体の1つは、フロントドアに設けられた車体前後方向に延びるインパクトバーの後端部と車体上下方向の対応する位置に設けられているので、側突時にフロントドアに車外側から作用する荷重がフロントドアのインパクトバーを通じてセンタピラーに伝達される部分を有効に補強することができ、前記効果をより有効に得ることができる。
【0019】
また更に、本願の請求項5に係る発明によれば、複数の樹脂構造体の1つは、リアドアに設けられた車体前後方向に延びるインパクトバーの前端部と車体上下方向の対応する位置に設けられているので、側突時にリアドアに車外側から作用する荷重がリアドアのインパクトバーを通じてセンタピラーに伝達される部分を有効に補強することができ、前記効果をより有効に得ることができる。
【0020】
また更に、本願の請求項6に係る発明によれば、複数の樹脂構造体の1つは、ドアに配設されたウインドガラスの下縁部をなすベルトラインと車体上下方向の対応する位置に設けられているので、側突時にドアに車外側から作用する荷重がドアの上端部を通じてセンタピラーに伝達される部分を有効に補強することができ、前記効果をより有効に得ることができる。
【0021】
また更に、本願の請求項7に係る発明によれば、複数の樹脂構造体の1つは、センタピラーに設けられリアドアに通電するためのハーネスを挿通させる穴部と車体上下方向の対応する位置に設けられているので、側突時に曲げ変形しやすいセンタピラーに設けられた穴部近傍を有効に補強することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0022】
また更に、本願の請求項8に係る発明によれば、複数の樹脂構造体が連結部材によって連結され、該連結部材がセンタピラーに結合されていることにより、センタピラーの閉断面部内に複数の樹脂構造体を位置決め精度良く配設することができるとともに、容易に取り付けることができ、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係るセンタピラー構造を適用した車体の側面図である。
【図2】フロントドア及びリアドアを取り除いた図1に示す車体の要部拡大図である。
【図3】車体のセンタピラーを示す斜視図である。
【図4】センタピラーを分解して示す分解斜視図である。
【図5】図3におけるY5−Y5線に沿ったセンタピラーの断面図である。
【図6】図3におけるY6−Y6線に沿ったセンタピラーの断面図である。
【図7】車体フレームの曲げ変形挙動を解析するためのシミュレーションについて説明するための説明図である。
【図8】車体フレームの曲げ変形挙動をシミュレーション解析した結果を示す斜視図である。
【図9】図8における車体フレームの屈曲部の断面を示す断面図である。
【図10】圧子の下降ストロークと荷重に対する反力との関係、及び圧子の下降ストロークとエネルギー吸収量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語など特定の方向を意味する用語を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0025】
本願発明者等は、重量の増加を抑制しつつセンタピラーの曲げ変形を効率的に抑制することができる樹脂構造体を内蔵したセンタピラー構造の開発にあたり、先ず、断面矩形の管状のフレーム本体に外部から曲げ荷重を入力して曲げ変形する際の変形挙動についてシミュレーション解析を行った。
【0026】
図7は、フレーム本体の曲げ変形挙動を解析するためのシミュレーションについて説明するための説明図であり、図8は、フレーム本体の曲げ変形挙動をシミュレーション解析した結果を示す斜視図、図9は、図8におけるフレーム本体の屈曲部の断面図である。なお、図8では、フレーム本体の各部の変形量の大小を色の濃淡で表し、変形量が大きいほど濃い色で表し、図8及び図9では、フレーム本体の曲げ変形の進行状態を(a)、(b)、(c)、(d)の順に表しており、後述する図10に示す圧子の下降ストロークがS、S、S、Sの場合を順に示している。
【0027】
このシミュレーションでは、金属製フレーム本体200として、上面部200aと、下面部200bと、上面部200aと下面部200bとの間に位置し上面部200aと下面部200bとの間でそれぞれ角部200d、200eを形成する側面部200c、すなわち図8及び図9において上面部200aの右側端部と下面部200bの右側端部との間の右側面部200c及び上面部200aの左側端部と下面部200bの左側端部との間の左側面部200cとを有し、断面矩形の閉断面状に形成したモデルを用いて、シミュレーション解析した。
【0028】
具体的には、図7(a)に示すように、所定長さX1を有するフレーム本体200を、この長さX1より短い所定距離X2だけ離間させた2つの固定点201で支持させ、2つの固定点201の中間位置に対応するフレーム本体200の上面部200aの長手方向における中央部P1に上方から圧子202を一定速度で下降させ、圧子202を介して、車両衝突時に外部から入力される荷重を模擬した荷重Fをフレーム本体200に作用させ、フレーム本体200の曲げ変形挙動を調べた。
【0029】
フレーム本体200に外部から曲げ荷重Fが作用する場合、図7(b)に示すように、フレーム本体200は下側に凸状に湾曲して変形し、上面部200aでは長手方向両端から圧縮方向の力が作用して圧縮応力が生じ、下面部200bでは長手方向両端から引張方向の力が作用して引張応力が生じることとなる。また、側面部200cには、中立軸210より上面部200a側では圧縮応力が生じ、中立軸210より下面部200b側では引張応力が生じることとなる。
【0030】
図10は、圧子の下降ストロークと荷重に対する反力との関係、及び圧子の下降ストロークとエネルギー吸収量との関係を示すグラフであり、図10では、圧子202がフレーム本体200の上面部200aに接触した位置からの下降ストロークを横軸にとり、荷重Fに対する反力F’を左側縦軸にとって表示し、エネルギー吸収量EAを右側縦軸にとって表示している。エネルギー吸収量EAは、フレーム本体200が曲げ変形することにより吸収できるエネルギーであり、荷重Fに対する反力F’と圧子202の下降ストロークとの積で表されるものである。
【0031】
図8及び図9の(a)に示すように、圧子202が上面部200aに接触した位置である圧子の下降ストロークがSである場合、フレーム本体200において、角部200dの頂点P2は角部200eの頂点P3の略垂直方向上方側に位置している。なお、これら頂点P2、P3は、フレーム本体200が曲げ変形する際の屈曲部、すなわち中央部P1を有する断面における角部200d、200eの頂点を表している。
【0032】
この状態から圧子202を下方へ移動してフレーム本体200に荷重Fを付加すると、圧子200の下降ストロークが大きくなるにつれて荷重Fに対する反力F’が大きくなり、フレーム本体200が下側に凸状に湾曲して変形され、フレーム本体200は、上面部200aで圧縮方向の力が作用し、下面部200bで引張方向の力が作用し、荷重Fが付加される中央部P1から曲げ変形される。
【0033】
圧子202の下降ストロークがSの場合に荷重Fに対する反力F’が最大となり、図8及び図9の(b)に示すように、フレーム本体200は下側に凸状に湾曲して変形されるとともに閉断面状に形成されるフレーム本体200の内方側へ変形され、この変形に伴って上面部200aに隣接する側面部200cが断面方向における外方側に膨らんで面外変形を生じ、角部200eの頂点P3に対して角部200dの頂点P2が略垂直方向から外方側に傾斜し、図8における変形箇所αで示すように、角部200dに変形量の大きい部分が生じる。また、この変形に伴って下面部200bがフレーム本体200の内方側に変位している。
【0034】
さらに圧子202の下降ストロークが大きくなると、圧子202の下降ストロークに伴って荷重Fに対する反力F’が小さくなり、図8及び図9の(c)及び(d)に示すように、フレーム本体200はさらに曲げ変形され、上面部200aがフレーム本体200の内方側へさらに変形され、この変形に伴って側面部200cが断面方向における外方側へさらに膨らんで面外変形を生じるとともに、下面部200dがフレーム本体200の内方側へさらに変位し、フレーム本体200が曲げ変形されて座屈している。
【0035】
このシミュレーション解析結果から、断面矩形の閉断面状に形成したフレーム本体に外部から曲げ荷重が作用して曲げ変形される場合、先ず、圧縮方向の力が作用する上面部において荷重の入力方向に沿ってフレーム本体の内方側へ変形し、この変形に伴って該上面部に隣接する側面部がフレーム本体の外方側に膨らんで面外変形を生じるとともに、引張方向の力が作用する下面部がフレーム本体の内方側へ変位し、フレーム本体が曲げ変形されて座屈することが分かった。また、フレーム本体は、荷重が作用する部分を曲げ変形の起点として荷重が作用する部分を含む所定範囲のみが曲げ変形されて座屈することが分かった。
【0036】
なお、前述したシミュレーション解析に加えて、断面矩形の閉断面状に形成した実際のフレーム本体についても同様に、フレーム本体に外部から曲げ荷重を入力して曲げ変形する際の変形挙動を調べる実験を行ったが、かかる実験においても、前述したシミュレーション解析結果と略同様の結果が得られた。
【0037】
これらの結果から、閉断面状に形成されたセンタピラーにおいては、側突時に車外側からフロントドアやリアドアに作用し得る荷重がセンタピラーに伝達される部分を含む車体上下方向の所定範囲のみを有効に補強することで、重量の増加を抑制しつつセンタピラーが曲げ変形されることを効率的に抑制することができると考えられる。
【0038】
以下、本発明の実施形態に係るセンタピラー構造について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るセンタピラー構造を適用した車体の側面図、図2は、フロントドア及びリアドアを取り除いた図1に示す車体の要部拡大図、図3は、車体のセンタピラーを示す斜視図、図4は、センタピラーを分解して示す分解斜視図、図5は、図3におけるY5−Y5線に沿ったセンタピラーの断面図、図6は、図3におけるY6−Y6線に沿ったセンタピラーの断面図である。
【0039】
図1に示すように、車体1は、4ドアタイプの乗用車の車体であり、車体1の側面を構成する車体側面部2は、車体上部において車体前後方向に延びるルーフサイドレール10と、車体下部において車体前後方向に延びるサイドシル5と、車体上下方向に延び、上端がルーフサイドレール10に結合され下端がサイドシル5に結合されたセンタピラー20とを備え、センタピラー20は、ルーフサイドレール10の下方に設けられた前後のドア開口部3、4の間に位置している。
【0040】
車体側面部2はまた、ルーフサイドレール10の下方に設けられたドア開口部3、4を開閉可能に覆うサイドドア30、40、具体的には、車体前方側のドア開口部3を覆うフロントドア30と車体後方側のドア開口部4を覆うリアドア40を備えている。本実施形態では、フロントドア30とリアドア40とはそれぞれ、センタピラー20と車体側面視において重なるように配設されており、フロントドア30の車体後方側の端部がセンタピラー20と重なるように配設され、リアドア40の車体前方側の端部がセンタピラー20と重なるように配設されている。
【0041】
フロントドア30、リアドア40はそれぞれ、ドア本体31、41と、ウインドガラス32、42と、ウインドガラス32、42の昇降をガイドするとともにウインドガラス32、42を保持するドアサッシ33、43とを備え、フロントドア30のドア本体31とドアサッシ33の車体後方側の端部がセンタピラー20と重なるように配設され、リアドア40のドア本体41とドアサッシ43の車体前方側の端部がセンタピラー20と重なるように配設されている。
【0042】
フロントドア30はまた、その車体前方側にフロントドア30を回動可能に支持するヒンジ部37を備えている。ヒンジ部37は、車体上下方向に離間して配設される2つのヒンジ部37a、37b、すなわち車体上方側のアッパヒンジ部37aと車体下方側のロアヒンジ部37bとを備え、ヒンジ部37a、37bはそれぞれ、フロントドア30の車体前方側を車体1のフロントピラー6に連結してフロントドア30を支持するとともに、フロントドア30を車体1に対して車幅方向に回動することができるようになっている。
【0043】
一方、フロントドア30の車体後方側には、フロントドア30の開閉を規制するロック手段としてのラッチ38が備えられており、このラッチ38に対応して、センタピラー20にはフロントドア30を車体1に対して係脱可能に係止させるストライカ39が設けられている。フロントドア30のラッチ38がストライカ39と係止することにより、フロントドア30が車体1に対してロックされる。
【0044】
リアドア40についても同様に、その車体前方側にリアドア40を回動可能に支持するヒンジ部47を備えており、ヒンジ部47は、車体上下方向に離間して配設される2つのヒンジ部47a、47b、すなわち車体上方側のアッパヒンジ部47aと車体下方側のロアヒンジ部47bとを備え、ヒンジ部47a、47bはそれぞれ、リアドア40の車体前方側を車体1のセンタピラー20に連結してリアドア40を支持するとともに、リアドア40を車体1に対して車幅方向に回動することができるようになっている。
【0045】
また、リアドア40の車体後方側には、リアドア40の開閉を規制するロック手段としてのラッチ48が備えられており、このラッチ48に対応して、リアホイールハウス7にはリアドア40を車体1に対して係脱可能に係止させるストライカ49が設けられ、リアドア40のラッチ48がストライカ49と係止することにより、リアドア40が車体1に対してロックされる。
【0046】
また、フロントドア30、リアドア40はそれぞれ、側突時に乗員への衝撃を抑制するための車体前後方向に延びるインパクトバー35、45を備えており、インパクトバー35、45はそれぞれ、ドア本体31、41の車体上下方向の略中央部においてドア30、40のドアインナパネルとドアアウタパネルとの間に形成される空間内に配設され、該ドアインナパネル又はドアアウタパネルに固定されている。
【0047】
フロントドア30に設けられたインパクトバー35は、車体後方側に向かうに従って下方へ傾斜するように延び、フロントドア30を閉じた状態で車体側面視において、その前端部35aがフロントピラー6に重なるように設けられ、その後端部35bがセンタピラー20に重なるように設けられている。一方、リアドア40に設けられたインパクトバー45は、略水平方向に延び、リアドア40を閉じた状態で車体側面視において、その前端部45aがセンタピラー20に重なるように設けられ、その後端部45bがリアホイールハウス7に重なるように設けられている。
【0048】
このように、センタピラー20には、車体上下方向の略中央部にフロントドア30を係脱可能に係止させるためのストライカ39とリアドア40を回動可能に支持するアッパヒンジ部47aが取り付けられ、車体上下方向の下方側にリアドア40を回動可能に支持するロアヒンジ部47bが取り付けられている。
【0049】
また、センタピラー20には、フロントドア30及びリアドア40を閉じた状態で車体側面視において、車体上下方向の略中央部にリアドア40に設けられたインパクトバー45の前端部45aが重なるように設けられ、車体上下方向の下方側にフロントドア30に設けられたインパクトバー35の後端部35bが重なるように設けられている。
【0050】
本実施形態ではまた、センタピラー20に、該センタピラー20を補強するための樹脂製の補強部材である樹脂構造体50、60が内蔵されている。側突時に車外側からフロントドア30及びリアドア40に荷重が作用すると、センタピラー20にはストライカ39、インパクトバー35の後端部35b、アッパヒンジ部47a、ロアヒンジ部47b及びインパクトバー45の前端部45aを通じて優先的に荷重が伝達されることとなるが、樹脂構造体50、60は、これらの荷重が作用する部分に対応して車体上下方向の対応する位置に設けられている。なお、樹脂構造体50、60は、後述するセンタピラー20に設けられる穴部と車体上下方向の対応する位置にも設けられている。
【0051】
センタピラー20は、車体1の内面の一部を構成する略平面状のセンタピラーインナ21と、車体1の外面の一部を構成し、底面部22aと側面部22bとフランジ部22cとを備えた断面ハット状のセンタピラーアウタ22と、センタピラーインナ21とセンタピラーアウタ22との間においてセンタピラーアウタ22に略沿って配設され、底面部23aと側面部23bとフランジ部23cとを備えた断面ハット状のセンタピラーレイン23とを備えており、センタピラーレイン23のフランジ部23cとセンタピラーアウタ22のフランジ部22cとをともにセンタピラーインナ21の両端部21aにそれぞれ重ね合わせて接合することにより断面略矩形の閉断面状に形成されている。
【0052】
このようにして、センタピラー20は、センタピラーインナ21とセンタピラーアウタ22とによって閉断面状に形成された閉断面部25を有している。また、閉断面部25がセンタピラーレイン23によって車外側と車室側とに区切られることにより、センタピラーレイン21とセンタピラーアウタ23とによって形成された閉断面部25aと、センタピラーレイン22とセンタピラーインナ21とによって形成された閉断面部25bとを有している。なお、車体1では、センタピラーレイン23は、センタピラーアウタ22に略沿って配設され、閉断面部25bが断面略矩形状に形成されている。
【0053】
また、センタピラー20には、リアドア40に通電するためのハーネス(不図示)を挿通させる穴部22d、22eや、シートベルトリトラクタ(不図示)を収容するための穴部22f、側突時の曲げ変形の強度を調整するための穴部23dが設けられている。具体的には、センタピラーインナ21における車体上下方向の略中央部に穴部22d、22eが形成され、センタピラーインナ21における車体上下方向の下方側に穴部22fが形成され、センタピラーレイン23における車体上下方向の下方側に穴部23dが形成されている。なお、センタピラーインナ21、センタピラーアウタ22及びセンタピラーレイン23はそれぞれ、鋼板などの金属製の板状素材をプレス加工して成形されている。
【0054】
一方、樹脂構造体50、60は、樹脂材料を射出成形等によって成形して得られるものであり、車体上下方向に所定長さを有して閉断面部25b内に配設されている。樹脂構造体50が、センタピラー20における車体上下方向の略中央部に配置され、樹脂構造体60が、センタピラー20における車体上下方向の下方側に配置されている。
【0055】
樹脂構造体50は、センタピラーレイン23の底面部23aの形状に応じて略矩形状に形成される平板状の平板部51と、平板部51から略直角方向に延び格子状に配設されたリブ52からなるリブ部53とを有しており、平板部51がセンタピラーレイン23の底面部23に略沿って配設され、リブ52がセンタピラーインナ21に向かって車室側に延びるように設けられている。
【0056】
格子状に配設されたリブ52は、センタピラーレイン23の側面部23bに略沿って平行に車幅方向に延びる複数の縦リブ52aと、車体前後方向に延びる複数の横リブ52bとを有しており、リブ部53では、複数の縦リブ52aと複数の横リブ52bとがそれぞれ平行に設けられ、縦リブ52aと横リブ52とが互いに直角に結合され、センタピラーレイン23からセンタピラーインナ21に向かう方向に開口する四角形状の開口部54が形成されている。
【0057】
また、リブ部53では、センタピラー20の車体前後方向端部側からセンタピラー20の車体前後方向中央側に向かってリブ52の長さが短く凹状に湾曲して形成されており、センタピラー20の車体前後方向中央側からセンタピラー20の車体前後方向端部側に近づくにつれて強度が増加するように構成されている。
【0058】
このようにして構成される樹脂構造体50は、2つの樹脂構造体50、60を連結する2つの連結部材70によってセンタピラー20に取り付けられている。連結部材70は、略直角に結合された略平板状の支持部70aと連結部70bとを備え、断面略L字状に形成されている。また、連結部材70の支持部70aには、該連結部材70の長手方向に離間して配置される複数のアンカー孔部70cが設けられている。なお、2つの連結部材70は、これに限定されるものではないが、鋼板などの金属製の板状素材をプレス加工して成形される。
【0059】
本実施形態では、樹脂構造体50は、樹脂構造体60と同時に成形され、樹脂構造体50、60を成形するための成形型(不図示)の所定位置に連結部材70を挿入した状態で樹脂材料を鋳込むことにより成形される。これにより、樹脂構造体50は、樹脂構造体60と所定の位置関係で、センタピラーレイン23の側面部23b側に位置する縦リブ53が支持部70aに一体的に成形され、連結部材70によって樹脂構造体60と連結される。その後に、樹脂構造体50は、樹脂構造体60とともに、連結部材70の連結部70bがセンタピラーインナ21の端部21aとセンタピラーレイン23のフランジ部23cとの間に挟まれて結合され、閉断面部25b内の所定位置に配設される。なお、成形時に連結部材70のアンカー孔部70cにも樹脂材料が流れ込むことから、連結部材70が、樹脂構造体50、60から抜けることを防止することができる。
【0060】
これにより、樹脂構造体50は、センタピラー20の閉断面部25b内においてセンタピラー20の車体上下方向の略中央部に配置され、アッパヒンジ47a、ストライカ39及びインパクトバー45の前端部45aを含む車体上下方向における所定範囲に設けられ、ストライカ39、アッパヒンジ47a及びインパクトバー45の前端部45aと車体上下方向の対応する位置に設けられている。また、樹脂構造体50は、センタピラーインナ20に設けられる穴部22d、22e近傍に配置され、センタピラーインナ20に設けられる穴部22d、22eと車体上下方向の対応する位置に設けられている。
【0061】
樹脂構造体60も同様に、樹脂構造体60は、センタピラーレイン23の底面部23aの形状に応じて略矩形状に形成される平板状の平板部61と、平板部61から略直角方向に延び格子状に配設されたリブ62からなるリブ部63とを有し、平板部61がセンタピラーレイン23の底面部23に略沿って配設され、リブ62がセンタピラーインナ21に向かって車室側に延びるように設けられている。
【0062】
格子状に配設されたリブ62も、センタピラーレイン23の側面部23bに略沿って平行に車幅方向に延びる複数の縦リブ62aと、車体前後方向に延びる複数の横リブ62bとを有しており、リブ部63では、複数の縦リブ62aと複数の横リブ62bとがそれぞれ平行に設けられ、縦リブ62aと横リブ62とが互いに直角に結合され、センタピラーレイン23からセンタピラーインナ21に向かう方向に開口する四角形状の開口部64が形成されている。
【0063】
また、リブ部63においても、センタピラー20の車体前後方向端部側からセンタピラー20の車体前後方向中央側に向かってリブ62の長さが短く凹状に湾曲して形成されており、センタピラー20の車体前後方向中央側からセンタピラー20の車体前後方向端部側に近づくにつれて強度が増加するように構成されている。
【0064】
このようにして構成される樹脂構造体60は、前述したように、樹脂構造体50と所定の位置関係で同時に成形され、センタピラーレイン23の側面部23b側に位置する縦リブ63が連結部70aに一体的に成形され、連結部材70によって樹脂構造体50と連結された状態でセンタピラー20に取り付けられて閉断面部25b内の所定位置に配設される。なお、本実施形態では、樹脂構造体50、60は、連結部材70を成形型に挿入した状態で同時に成形しているが、樹脂構造体50、60をそれぞれ成形した後に、センタピラーレイン23の側面部23b側に位置する縦リブ53、63をそれぞれ支持部70aに接着剤等を用いて結合し、樹脂構造体50、60を連結部材70によって連結させるようにしてもよい。
【0065】
これにより、樹脂構造体60は、センタピラー20の閉断面部25b内においてセンタピラー20の車体上下方向の下方側に配設され、ロアヒンジ部47b及びインパクトバー35の後端部35bを含む車体上下方向における所定範囲に設けられ、ロアヒンジ部47b及びインパクトバー35の後端部35bと車体上下方向の対応する位置に設けられている。また、樹脂構造体60は、センタピラーインナ20に設けられる穴部22f、23d近傍に配置され、センタピラーインナ20に設けられる穴部22f、23dと車体上下方向の対応する位置に設けられている。
【0066】
このようにして、本実施形態では、閉断面部25bを有するセンタピラー20に樹脂構造体50、60を内蔵したセンタピラー構造において、樹脂構造体50、60は、センタピラー20に作用し得る複数の荷重にそれぞれ対応して閉断面部25b内に車体上下方向に離間して複数配設され、複数の樹脂構造体50、60の少なくとも1つは、センタピラー20に取り付けられリアドア40を回動可能に支持するヒンジ部47と車体上下方向の対応する位置に設けられている。これにより、側突時にリアドア40に車外側から作用する荷重がヒンジ部47を通じてセンタピラー20に伝達される部分を含むセンタピラー20に荷重が作用する部分を局部的に樹脂構造体50、60によって補強することができ、センタピラー20に必要以上に広い範囲にわたって補強する場合に比して、重量の増加を抑制しつつセンタピラー20の曲げ変形を効率的に抑制することができる。
【0067】
また、ヒンジ部47は、車体上下方向に離間して配設される2つのヒンジ部47a、47bを備え、2つのヒンジ部47a、47bとそれぞれ車体上下方向の対応する位置に設けられる樹脂構造体50、60が異なる樹脂構造体であることにより、側突時にリアドア40に車外側から作用する荷重が2つのヒンジ部47a、47bを通じてセンタピラー20に伝達される部分をそれぞれ樹脂構造体50、60によって補強することができ、前記効果をより具体的に実現することができる。
【0068】
樹脂構造体50はまた、ストライカ39及びインパクトバー45の前端部45aと車体上下方向の対応する位置に設けられているので、側突時に、フロントドア30に車外側から作用する荷重がストライカ39を通じてセンタピラー20に伝達される部分及びリアドア40のインパクトバー45を通じてセンタピラー20に伝達される部分を有効に補強することができる。さらに、樹脂構造体50は、センタピラー20に設けられた穴部22d、22eと車体上下方向の対応する位置に設けられているので、側突時に曲げ変形しやすいセンタピラー20に設けられた穴部22d、22e近傍を有効に補強することができる。
【0069】
樹脂構造体60もまた、インパクトバー35の後端部35bと車体上下方向の対応する位置に設けられ、側突時にフロントドア30に車外側から作用する荷重がフロントドア30のインパクトバー35を通じてセンタピラー20に伝達される部分を有効に補強することができる。さらに、樹脂構造体60は、センタピラー20に設けられた穴部22f、23dと車体上下方向の対応する位置に設けられ、側突時に曲げ変形しやすいセンタピラー20に設けられた穴部22f、23d近傍を有効に補強することができる。
【0070】
本実施形態では、樹脂構造体50、60が連結部材70によって連結され、該連結部材70がセンタピラー20に結合されていることにより、センタピラー20の閉断面部25b内に樹脂構造体50、60を位置決め精度良く配設することができるとともに、容易に取り付けることができ、作業効率を向上させることができる。
【0071】
本実施形態ではまた、樹脂構造体50、60は、センタピラー20の車外側に位置するセンタピラーレイン23の底面部23aに略沿って配設される平板部51、61と、平板部51、61からセンタピラー20の車室側に位置するセンタピラーインナ21に向かって延びるリブ52、62を有しており、センタピラー20に車室側から荷重が作用する際には、平板部51、61によってセンタピラー20の曲げ変形初期に生じ得るセンタピラー20の内方側への曲げ変形を抑制することができるとともに、リブ52、53によって閉断面部25bを圧縮に対して強くすることができ、センタピラー20の曲げ変形を有効に抑制することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、センタピラー20に車体上下方向に離間して2つの樹脂構造体50、60が配設されているが、樹脂構造体50、60と同様に構成される樹脂構造体を、樹脂構造体50の車体上方側でドア30、40に配設されたウインドガラス32、42の下縁部をなすベルトライン36、46と車体上下方向の対応する位置に設けるようにすることも可能である。かかる場合には、側突時にドア30、40に車外側から作用する荷重がドア30、40の上端部を通じてセンタピラー20に伝達される部分を有効に補強することができる。
【0073】
前述したように、本実施形態に係るセンタピラー構造では、1つの樹脂構造体50が、アッパヒンジ部47a、ストライカ39、インパクトバー45の前端部45a及びセンタピラー20に設けられた穴部22d、22eと車体上下方向の対応するように設けられているが、アッパヒンジ部47a、ストライカ39、インパクトバー45の前端部45a及びセンタピラー20に設けられた穴部22d、22eに応じた複数の樹脂構造体を設けるようにしてもよい。
【0074】
樹脂構造体60についても、1つの樹脂構造体が、ロアヒンジ部47b、インパクトバー35の後端部35b及びセンタピラー20に設けられた穴部22f、23dと車体上下方向の対応するように設けられているが、ロアヒンジ部47b、インパクトバー35の後端部35b及びセンタピラー20に設けられた穴部22f、23dに応じた複数の樹脂構造体を設けるようにしてもよい。
【0075】
また、センタピラー20に配設される複数の樹脂構造体は、樹脂構造体50が、アッパヒンジ部47a、ストライカ39及びインパクトバー45の前端部45aに対応して設けられているように、センタピラー20に作用し得る複数の荷重に対応して設けるようにすることも可能である。
【0076】
このように、本実施形態では、樹脂構造体は、側突時にセンタピラー20に作用し得る複数の荷重にそれぞれ対応して閉断面部25b内に車体上下方向に離間して複数配設され、複数の樹脂構造体の少なくとも1つは、センタピラー20に取り付けられリアドア40を回動可能に支持するヒンジ部47と車体上下方向の対応する位置に設けられ、複数の樹脂構造体の1つは、ストライカ39、インパクトバー35の後端部35b、インパクトバー45の前端部45a、ベルトライン36、46及びセンタピラー20に設けられる穴部22d、22e、22f、23dの少なくとも何れかと車体上下方向に対応した位置に設けられる。また、複数の樹脂構造体は連結部材70によって連結され、連結部材70がセンタピラー20に結合されることにより閉断面部25b内に配設される。
【0077】
また、本実施形態では、センタピラーレイン23がセンタピラーアウタ22に略沿って配設され、樹脂構造体50、60がセンタピラーレイン23とセンタピラーインナ21とによって形成される閉断面部25b内に配設されているが、センタピラー20の形状に応じて樹脂構造体50、60をセンタピラーレイン23とセンタピラーアウタ22とによって形成される閉断面部25a内に配設するようにしてもよい。また、センタピラーレイン23を備えていないセンタピラー20では、樹脂構造体50、60をセンタピラーインナ21とセンタピラーアウタ22とによって形成される閉断面部25内に配設するようにしてもよい。
【0078】
以上のように、本発明は、例示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、重量の増加を抑制しつつセンタピラーの曲げ変形を効率的に抑制することができる樹脂構造体を内蔵したセンタピラー構造を提供することができ、例えば4ドアタイプの乗用車の車体のセンタピラーに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
2 車体側面部
3、4 ドア開口部
20 センタピラー
22d、22e、22f、23d 穴部
25、25a、25b 閉断面部
30 フロントドア
32、42 ウインドガラス
35、45 インパクトバー
36、46 ベルトライン
39 ストライカ
40 リアドア
47、47a、47b ヒンジ部
50、60 樹脂構造体
70 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側面部に設けられた前後のドア開口部の間に位置して車体上下方向に延び、閉断面状に形成された閉断面部を有するセンタピラーに、該センタピラーを補強するための樹脂構造体を内蔵したセンタピラー構造であって、
前記樹脂構造体は、前記センタピラーに作用し得る複数の荷重にそれぞれ対応して前記閉断面部内に車体上下方向に離間して複数配設され、
前記複数の樹脂構造体の少なくとも1つは、前記センタピラーに取り付けられリアドアを回動可能に支持するヒンジ部と車体上下方向の対応する位置に設けられている、
ことを特徴とする樹脂構造体を内蔵した車両用フレーム構造。
【請求項2】
前記ヒンジ部は、車体上下方向に離間して配設される2つのヒンジ部を備え、該2つのヒンジ部とそれぞれ車体上下方向の対応する位置に設けられる前記樹脂構造体が異なる樹脂構造体である、
ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂構造体を内蔵した車両用フレーム構造。
【請求項3】
前記複数の樹脂構造体の1つは、前記センタピラーに取り付けられフロントドアを係脱可能に係止させるストライカと車体上下方向の対応する位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂構造体を内蔵した車両用フレーム構造。
【請求項4】
前記複数の樹脂構造体の1つは、フロントドアに設けられた車体前後方向に延びるインパクトバーの後端部と車体上下方向の対応する位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の樹脂構造体を内蔵した車両用フレーム構造。
【請求項5】
前記複数の樹脂構造体の1つは、リアドアに設けられた車体前後方向に延びるインパクトバーの前端部と車体上下方向の対応する位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の樹脂構造体を内蔵した車両用フレーム構造。
【請求項6】
前記複数の樹脂構造体の1つは、ドアに配設されたウインドガラスの下縁部をなすベルトラインと車体上下方向の対応する位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の樹脂構造体を内蔵した車両用フレーム構造。
【請求項7】
前記複数の樹脂構造体の1つは、前記センタピラーに設けられ前記リアドアに通電するためのハーネスを挿通させる穴部と車体上下方向の対応する位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の樹脂構造体を内蔵した車両用フレーム構造。
【請求項8】
前記複数の樹脂構造体が連結部材によって連結され、該連結部材が前記センタピラーに結合されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の樹脂構造体を内蔵した車両用フレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−207404(P2011−207404A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78633(P2010−78633)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】