説明

樹脂発泡成形体及びその製造方法

【課題】安定したスキン層の形成により、成形する樹脂発泡成形体の強度を向上させることができ、発泡によるセル径をより均一にして、樹脂発泡成形体の外観が悪化することを抑制することができる樹脂発泡成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】第1型部2と第2型部3とを用い、キャビティ41内に超臨界流体を浸透させた熱可塑性樹脂組成物からなる溶融樹脂60を充填してスキン層61を形成し、第2型部3を可動させて、スキン層61に対する内側部分に発泡層62を形成する。溶融樹脂60を構成する熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と、ゴム強化ビニル系樹脂(B)とを含有している。ゴム強化ビニル系樹脂(B)は、ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(b2)を重合して得られるグラフト共重合体(B1)からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるコアバック成形を行って樹脂発泡成形体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、固定型と可動型との間に設けたキャビティ内に溶融樹脂を充填し、固定型に対して可動型を後退させることによって、所定の発泡倍率の樹脂発泡成形体を成形することが行われている。例えば、特許文献1の熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法においては、キャビティ容積を可変する可動コアを有する金型内に、予め不活性ガスを注入する工程と、化学発泡剤を混練した溶融樹脂に超臨界流体を浸透させてこの溶融樹脂を金型内に充填する工程と、溶融樹脂の金型内充填時に可動コアをキャビティ容積が増大する方向に後退させる工程とを行って、熱可塑性樹脂発泡成形体を成形している。これにより、成形体の表面外観品質に優れ、均一性の高い発泡セル径を安定的に得ることができる。
また、特許文献2においては、耐熱性、耐衝撃性、耐シンナー性を向上させた熱可塑性樹脂組成物を得るために、ポリカーボネート樹脂に特定の2種類のABS系の樹脂を配合することが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−15231号公報
【特許文献2】特開2001−131398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、樹脂発泡成形体は、一般的に、発泡を行っていない樹脂成形体に比べて強度が低くなる。そのため、樹脂を発泡させることによる強度の低下を小さく抑えるためには、更なる工夫が必要とされる。また、熱可塑性樹脂の発泡成形によって得られる樹脂発泡成形体において、発泡によるセル径をより均一にし、外観の悪化及び強度の低下を抑制するためには、更なる工夫が必要とされる。
また、特許文献2においては、所定の特性に優れた組成物を開示しているに過ぎず、外観の悪化及び強度の低下を図るための工夫はなされていない。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、安定したスキン層の形成により、成形する樹脂発泡成形体の強度を向上させることができ、発泡によるセル径をより均一にして、樹脂発泡成形体の外観が悪化することを抑制することができる樹脂発泡成形体及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、第1型部と、該第1型部に対して相対的に可動する第2型部とを用い、該第2型部と上記第1型部との間に形成したキャビティ内に、化学発泡剤を混練すると共に超臨界流体を浸透させた熱可塑性樹脂組成物からなる溶融樹脂を充填する充填工程と、上記第1型部と上記第2型部とを上記キャビティの容積が拡大する離隔方向に相対的に可動させる可動工程とを行って、樹脂発泡成形体を製造する方法において、
上記化学発泡剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、0.05〜5質量部であり、
上記超臨界流体の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、0.05〜5質量部であり、
上記熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)とゴム強化ビニル系樹脂(B)とを、(A)が20〜80質量%、(B)が80〜20質量%になる比率で含有しており、
該ゴム強化ビニル系樹脂(B)は、ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b2)を重合して得られるグラフト共重合体(B1)、又はビニル系単量体(b3)の共重合体(B2)と上記グラフト共重合体(B1)との混合物からなることを特徴とする樹脂発泡成形体の製造方法にある(請求項1)。
【0007】
本発明の樹脂発泡成形体の製造方法は、上記充填工程及び上記可動工程を行って、樹脂発泡成形体を製造するに当たり、特に、熱可塑性樹脂組成物を組成する材料に工夫を行っている。
具体的には、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記ポリカーボネート樹脂(A)と上記ゴム強化ビニル系樹脂(B)とを、(A)が20〜80質量%、(B)が80〜20質量%になる比率で含有して構成してある。また、ゴム強化ビニル系樹脂(B)は、ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b2)を重合して得られるグラフト共重合体(B1)から構成するか、又はビニル系単量体(b3)の共重合体(B2)とグラフト共重合体(B1)との混合物から構成している。
【0008】
これにより、上記可動工程として、熱可塑性樹脂組成物に化学発泡剤を混練すると共に超臨界流体を浸透させてなる溶融樹脂を充填したキャビティの容積を拡大させるときに、溶融樹脂がキャビティの表面に接触する部分に安定してスキン層(キャビティの表面に接触する溶融樹脂の部分が、その内部に位置する溶融樹脂の部分よりも早く硬化して形成されるほとんど未発泡の表面層)を形成することができる。そのため、安定したスキン層の形成により、成形する樹脂発泡成形体の強度を向上させることができる。
また、上記熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、上記キャビティの容積を拡大させるときには、溶融樹脂の内部に発泡層を形成し、成形する樹脂発泡成形体において、発泡によるセル径をより均一にすることができ、樹脂発泡成形体の外観が悪化することを抑制することができる。
【0009】
また、本発明においては、樹脂成形を行う所定の温度において、粘度が高いポリカーボネート樹脂(A)の存在により、発泡によるセル径をできるだけ均一にすることができ、樹脂発泡成形体の外観を向上させることができる。また、樹脂成形を行う所定の温度において、ポリカーボネート樹脂(A)よりも粘度が低いゴム強化ビニル系樹脂(B)の存在により、樹脂発泡成形体の表面に安定してスキン層を形成することができる。
さらに、本発明においては、化学発泡剤と超臨界流体とを併用することにより、成形する樹脂発泡成形体の発泡によるセル径をより均一にすることができ、その外観をより良好にすることができる。
【0010】
それ故、本発明の樹脂発泡成形体の製造方法によれば、安定したスキン層の形成により、成形する樹脂発泡成形体の強度を向上させることができ、発泡によるセル径をより均一にして、樹脂発泡成形体の外観が悪化することを抑制することができる。
【0011】
第2の発明は、上記樹脂発泡成形体の製造方法によって得られたことを特徴とする樹脂発泡成形体にある(請求項9)。
本発明の樹脂発泡成形体によれば、安定したスキン層の形成によって、強度を向上させることができ、発泡によるセル径をより均一にして、外観が悪化することを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上述した第1、第2の発明における好ましい実施の形態につき説明する。
第1、第2の発明において、上記熱可塑性樹脂組成物100質量部に対する上記化学発泡剤の含有量が0.05質量部未満である場合には、化学発泡剤の含有量が少なくて、発泡の各セル径を均一にすることが困難になる。一方、上記熱可塑性樹脂組成物100質量部に対する上記化学発泡剤の含有量が5質量部を超える場合には、化学発泡剤の含有量が多くて、化学発泡剤の残渣による金型汚染が生じ、外観に優れた樹脂発泡成形体を得ることが困難になる。
また、上記第1型部と上記第2型部との相対移動による上記キャビティの容積の拡大率は、1.1〜1.7倍とすることができる。この拡大率は、上記樹脂発泡成形体の発泡倍率となる。
【0013】
上記熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)とゴム強化ビニル系樹脂(B)以外にも、他の樹脂成分を含有して構成することができる。この他の樹脂成分は、例えば、(A)成分及び(B)成分を合わせた全体に対して5質量%以内で含有することができる。
また、他の樹脂成分は、特に限定されないが、(B)成分を除く、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂(PA)、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、エチレン系共重合体等が挙げられる。これらは一種を単独で用いることができ、二種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0014】
また、上記超臨界流体の含有量が上記熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、0.05質量部未満である場合には、化学発泡剤と超臨界流体とを併用することによる効果を十分に得られない。一方、上記超臨界流体の含有量が上記熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、5質量部を超える場合には、超臨界流体の含有量が多くて、均一なセルが得られず、外観に優れた発泡成形体を得ることが困難になる。
【0015】
また、上記熱可塑性樹脂組成物は、上記ポリカーボネート樹脂(A)としての芳香族ポリカーボネート樹脂を50〜70質量%含有し、残部が上記ゴム強化ビニル系樹脂(B)からなることが好ましい(請求項2)。
この場合には、熱可塑性樹脂組成物において、ゴム強化ビニル系樹脂(B)の含有量に比べて、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が多いことにより、樹脂発泡成形体の表面に、より安定してスキン層を形成することができる。
【0016】
また、上記第2型部は、上記第1型部に設けたキャビティ形成凹部内に配置するキャビティ形成凸部を設けてなり、上記キャビティ形成凹部において上記第1型部と上記第2型部との可動方向に平行に形成した内側面と、上記キャビティ形成凸部において上記可動方向に平行に形成した外側面との間には、上記溶融樹脂を充填するための充填用隙間が上記キャビティと連通して形成されており、上記充填工程においては、上記溶融樹脂を上記キャビティに充填すると共に上記充填用隙間に充填し、上記可動工程においては、上記キャビティ及び上記充填用隙間への上記溶融樹脂の充填を行った後、上記第1型部と上記第2型部とを上記離隔方向に相対的に可動させることが好ましい(請求項3)。
【0017】
この場合には、充填工程においては、充填する溶融樹脂がほとんど発泡せずに硬化して得られるスキン層を、キャビティの表面に接触する溶融樹脂の部分に形成するだけでなく、充填用隙間において、第1型部のキャビティ形成凹部における内側面と、第2型部のキャビティ形成凸部における外側面とに接触する溶融樹脂の部分にも形成することができる。これにより、可動工程において、第1型部と第2型部とを離隔方向に相対的に可動させるときには、樹脂発泡成形体の内部に溶融樹脂が発泡した発泡層を形成すると共に、樹脂発泡成形体の全周の表面にスキン層を形成することができる。
そのため、上記充填用隙間を形成した工夫により、樹脂発泡成形体の全周の表面に安定してスキン層を形成することができる。
【0018】
また、上記充填工程において、上記キャビティ及び上記充填用隙間の全体への上記溶融樹脂の充填を行って、該溶融樹脂を半硬化させて未発泡のスキン層を形成した後、上記可動工程において、上記第1型部と上記第2型部とを上記離隔方向に相対的に可動させ、上記スキン層に対する内側部分に上記溶融樹脂を発泡させた発泡層を形成して、上記樹脂発泡成形体を製造することが好ましい(請求項4)。
この場合には、充填工程において、キャビティ及び充填用隙間の全体に溶融樹脂を充填した後に可動工程を行うことにより、樹脂発泡成形体の全周の表面に、より安定してスキン層を形成することができる。
【0019】
また、上記第1型部は、上記キャビティ内に上記溶融樹脂を充填するための樹脂注入口を設けた固定型部であり、上記第2型部は、上記第1型部に対して上記離隔方向に可動する可動型部であることが好ましい(請求項5)。
この場合には、樹脂発泡成形体を製造するための装置の構成を、より簡単にすることができる。
【0020】
また、上記ゴム質重合体(b1)は、エチレン・α−オレフィン系ゴムであることが好ましい(請求項6)。
この場合には、より強度及び外観に優れた樹脂発泡成形体を成形することができる。
【0021】
また、上記化学発泡剤は、炭酸水素ナトリウム、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)の群から選択されたものであることが好ましい(請求項7)。
この場合には、化学発泡材が適切であり、キャビティ内に充填した溶融樹脂を安定して発泡させることができる。
【0022】
また、上記ゴム強化ビニル系樹脂(B)は、グラフト率が10〜150%であり、アセトン可溶部の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)が0.2〜0.8dl/gであり、上記ポリカーボネート樹脂(A)は、粘度平均分子量が12,000〜40,000であることが好ましい(請求項8)。
この場合には、ゴム強化ビニル系樹脂の各物性が適切であり、強度及び外観に優れた樹脂発泡成形体をより容易に成形することができる。
【0023】
なお、グラフト率が10%未満であると、樹脂とゴムとの界面接着強度が劣り、優れた耐衝撃強度が得られない。また、均一なセルが得られず樹脂発泡成形体の外観が低下する場合がある。一方、グラフト率が150%を超えると、界面層が厚くなり、またゴム内部にグラフトした樹脂層が発達し、ゴム弾性が低下する。結果として、優れた耐衝撃強度及び均一なセルが得られず、樹脂発泡成形体の外観が低下する場合がある。
【0024】
アセトン可溶部の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)が0.2dl/g未満であると、耐衝撃性が低下する場合があり、アセトン可溶部の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)が0.8dl/gを超えると流動性が低下し、スキン層が形成され難い場合がある。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が12,000未満であると、耐衝撃性が低下する場合があり、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が40,000を超えると、流動性が低下し、均一なセルが得られず、樹脂発泡成形体の外観が低下する場合がある。
【0025】
また、第2の発明において、上記樹脂発泡成形体の発泡倍率は1.1〜1.7倍であることが好ましい(請求項10)。
この場合には、樹脂発泡成形体の発泡倍率が適切であり、表面に毛羽立ちがなく、発泡によるセル径が均一で外観に優れ、さらに機械的強度にも優れる樹脂発泡成形体を得ることができる。
なお、樹脂発泡成形体の発泡倍率が1.1倍未満である場合には、発泡による軽量化等の効果があまり得られない。一方、樹脂発泡成形体の発泡倍率が1.7倍を超える場合には、キャビティ内に充填した溶融樹脂が十分に拡張せず、成形した樹脂発泡成形体の表面に波打ちが生じるおそれがある。
また、樹脂発泡成形体の発泡倍率は、より好ましくは1.2〜1.6倍とすることができる。
【0026】
上記樹脂発泡成形体の成形温度は、熱可塑性樹脂組成物の配合によって適宜選択されるが、本発明においては通常220〜260℃である。樹脂発泡成形体の形状は、目的、用途等により選択され、板状(シート状)、筒状、半筒状、棒状、線状、塊状等とすることができる。
本発明の樹脂発泡成形体は、表示板等の土木・建築関連資材、車両用内外装関連資材、容器、トレー等の日用雑貨用品、電気・電子部品、スポーツ用品、壁、床、機枠、家具、化粧シート、間仕切り、ラティス、フェンス、雨樋、サイジングボード、カーポート等の住宅・事務所用内外装材、玩具、遊技機等の緩衝材、補強材、断熱材、芯材、代替合板等として用いることができる。
さらに、本発明の樹脂発泡成形体は、用途によっては、他の成形品、部材等と一体化させ、複合化させてなる物品として用いることができ、上記用途に適用可能である。
【0027】
以下に、上記熱可塑性樹脂組成物及び上記化学発泡剤についての具体的な組成を説明する。
(ポリカーボネート樹脂(A))
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(A)としては、種々のジヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの反応によって得られるもの(ホスゲン法)、あるいはジヒドロキシアリール化合物とジフェニルカーボネートとのエステル交換反応によって得られるもの(エステル交換法)が挙げられる。好ましいポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂である。代表的な芳香族ポリカーボネート樹脂としては、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールAとホスゲンとの反応によって得られるポリカーボネート樹脂である。
【0028】
ここで、ポリカーボネート樹脂の原料となるジヒドロキシアリール化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルスルホン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロペンタン、ヒドロキノン、レゾルシンなどが挙げられ、これらは、1種または2種以上で用いられる。特に好ましいものは、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールAである。
【0029】
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、好ましくは12,000〜40,000、さらに好ましくは15,000〜35,000、特に好ましくは18,000〜30,000である。分子量が高い方が得られる樹脂発泡成形体の機械的強度が高くなるが、流動性が低下し、均一なセルが得られず、樹脂発泡成形体の外観が低下する傾向となる。また、分子量の異なる2種以上のポリカーボネートを用いることもできる。
また、本発明に用いられる熱可塑性樹脂組成物中のポリカーボネート樹脂(A)の含有量は、20〜80質量%、好ましくは30〜75質量%、さらに好ましくは50〜70質量%である。ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が20質量%未満では、均一なセル径を有する発泡成形体を得ることが困難となり、一方、ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が80質量%を超えると、優れた外観を有する樹脂発泡成形体を得ることが困難となる傾向がある。
【0030】
(ゴム強化ビニル系樹脂(B))
(ゴム質重合体(b1))
本発明において用いられる上記ゴム質重合体(b1)は、室温でゴム質であれば、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよいが、非ジエン系重合体(非ジエン系ゴム質重合体)及びジエン系重合体(ジエン系ゴム質重合体)が好ましい。更に、上記ゴム質重合体(b1)は、架橋重合体であってもよいし、非架橋重合体であってもよい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
上記非ジエン系重合体(非ジエン系ゴム質重合体)としては、エチレン単位と炭素数3以上のα−オレフィンからなる単位を含むエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム、ウレタン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル系IPNゴム、共役ジエン系化合物よりなる単位を含む(共)重合体を水素添加してなる重合体等が挙げられる。これらの共重合体は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。また、これらの共重合体は水素添加(但し、水素添加率は50%以上。)されたものであってもよい。上記非ジエン系重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
また、上記ジエン系重合体(ジエン系ゴム質重合体)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等の単独重合体が挙げられ、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体等のスチレン・ブタジエン系共重合体ゴムが挙げられ、スチレン・イソプレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・イソプレン共重合体等のスチレン・イソプレン系共重合体ゴムが挙げられ、又は天然ゴム等が挙げられる。これらの共重合体は、ブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。また、これらの共重合体は水素添加(但し、水素添加率は50%未満。)されたものであってもよい。上記ジエン系重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
上記ゴム質重合体(b1)として、エチレン・α−オレフィンと、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体との少なくとも一方を用いた場合に得られるゴム強化ビニル系樹脂(B)は、一般に、「AES樹脂」といわれている。また、上記ゴム質重合体(b1)として、ジエン系重合体を用いた場合に得られるゴム強化ビニル系樹脂(B)は、ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂であり、一般に、「ABS樹脂」といわれている。更に、上記ゴム質重合体(b1)として、アクリル系ゴムを用いた場合に得られるゴム強化ビニル系樹脂(B)は、アクリル系ゴム強化ビニル系樹脂であり、一般に、「ASA樹脂」といわれている。
【0034】
上記ゴム強化ビニル系樹脂(B)の形成に用いる上記ゴム質重合体(b1)の形状は、特に限定されないが、粒子状である場合、その体積平均粒子径は、好ましくは50〜3,000nm、より好ましくは100〜2,000nm、更に好ましくは120〜800nmである。体積平均粒子径が50nm未満であると、本発明の熱可塑性樹脂組成物及びそれを含む成形品(樹脂発泡成形体)の耐衝撃性が劣る傾向にあり、3,000nmを超えると、成形品の表面外観性が劣る傾向にある。尚、上記重量平均粒子径は、電子顕微鏡写真法、レーザー回折法、光散乱法等により測定することができる。
【0035】
(ビニル系単量体(b2))
上記ゴム強化ビニル系樹脂(B)の形成に用いる上記ビニル系単量体(b2)は、芳香族ビニル化合物を含む。このビニル系単量体(b2)は、芳香族ビニル化合物のみであってよいし、この芳香族ビニル化合物と、例えば、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物等の芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物との組合せであってもよい。上記の芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
従って、上記ビニル系単量体(b2)としては、芳香族ビニル化合物の1種以上からなる単量体(x)、又は芳香族ビニル化合物の1種以上と、この芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物の1種以上とを組み合わせた単量体(y)を用いることができる。
【0036】
上記芳香族ビニル化合物としては、少なくとも1つのビニル結合と、少なくとも1つの芳香族環を有する化合物であれば、特に限定されず、その例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
【0037】
上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。
【0038】
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、マレイミド系化合物からなる単位を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸を共重合し、その後イミド化する方法でもよい。
【0039】
上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記化合物以外に、必要に応じ、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物を用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシスチレン、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−オキシシクロヘキシル、ビニルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルアミド、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
上記ビニル系単量体(b2)としては、芳香族ビニル化合物の1種以上、及び、この芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物の1種以上の組み合わせ、即ち、上記単量体(y)を用いることが好ましく、この場合の芳香族ビニル化合物と、それ以外の化合物との質量割合(芳香族ビニル化合物/それ以外の化合物)は、これらの合計を100質量%とした場合、通常、(2〜95)質量%/(98〜5)質量%、好ましくは(10〜90)質量%/(90〜10)質量%である。上記芳香族ビニル化合物の割合が少なすぎると、成形加工性が劣る傾向にあり、多すぎると、得られる成形品の耐薬品性、耐熱性等が十分でない場合がある。
【0041】
上記単量体(y)としては、好ましくは、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の組合せ(以下、「単量体(y1)」という。)、並びに、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合物((メタ)アクリル酸エステル化合物等)の組合せ(以下、「単量体(y2)」という。)である。シアン化ビニル化合物を用いることにより、耐薬品性及び耐熱性等の物性バランスが向上する。
【0042】
(ビニル系単量体(b3))
尚、前述のように、上記ゴム強化ビニル系樹脂(B)は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(B)(グラフト共重合体(B1))のみであってよいし、このゴム強化ビニル系樹脂(B)と、ビニル系単量体(b3)の(共)重合体(以下、「(共)重合体(B2)」という。)とからなる混合物であってもよい。
この(共)重合体(B2)の形成に用いるビニル系単量体(b3)は、上記ビニル系単量体(b2)として例示した化合物を用いることができる。従って、上記(共)重合体(B2)は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(B)の形成に用いた上記ビニル系単量体(b2)と全く同じ組成の成分を重合して得られる重合体であってもよいし、異なる組成で同じ種類の単量体を重合して得られる重合体であってもよいし、更には、異なる組成で異なる種類の単量体を重合して得られる重合体であってもよい。これらの各重合体が2種以上含まれるものであってもよい。
【0043】
次に、上記グラフト共重合体(B1)及び上記共重合体(B2)の製造方法について説明する。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(B)としてのグラフト共重合体(B1)は、上記ゴム質重合体(b1)の存在下に、上記ビニル系単量体(b2)を重合することにより製造することができる。重合方法としては、乳化重合、溶液重合、塊状重合、及び、塊状−懸濁重合が好ましい。
【0044】
尚、上記グラフト共重合体(B1)の製造の際には、ゴム質重合体(b1)及び上記ビニル系単量体(b2)は、反応系において、上記ゴム質重合体(b1)全量の存在下に、上記ビニル系単量体(b2)を一括添加して重合を開始してよいし、分割して又は連続的に添加しながら重合を行ってもよい。また、上記ゴム質重合体(b1)の一部存在下、又は、非存在下に、上記ビニル系単量体(b2)を一括添加して重合を開始してよいし、分割して又は連続的に添加してもよい。このとき、上記ゴム質重合体(b1)の残部は、反応の途中で、一括して、分割して又は連続的に添加してもよい。
【0045】
上記グラフト共重合体(B1)を100質量部製造する場合、上記ゴム質重合体(b1)の使用量は、通常、5〜80質量部、好ましくは10〜70質量部、更に好ましくは15〜60質量部である。また、上記ビニル系単量体(b2)の使用量は、上記ゴム質重合体(b1)100質量部に対し、通常、25〜1,900質量部、好ましくは60〜560質量部である。
【0046】
本発明に用いられるグラフト共重合体(B1)は、公知の乳化重合、溶液重合、懸濁重合などにより製造することができるが、乳化重合により製造した場合、通常、凝固剤により凝固し、得られる粉末を水洗後、乾燥することによって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウムなどの無機塩と、硫酸、塩酸、リン酸などの無機酸との少なくとも一方を使用するのが一般的である。この際、得られるグラフト共重合体(B1)をポリカーボネート樹脂(A)に配合すると、(B1)成分中に残存する塩または乳化剤などにより、ポリカーボネート樹脂(A)の分子量低下を招く問題がある。したがって、凝固剤として、硫酸などの酸を使用することが望ましい。
【0047】
なお、グラフト重合時のラジカル開始剤としては、一般的なものが使用できる。具体例としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイト、t−ブチルパーオキシモノカーボネートなどが挙げられる。ラジカル開始剤の使用量は、単量体成分に対し、通常、0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜1質量%である。
【0048】
本発明の効果を発現するためには、グラフト重合する際に、均一にグラフト反応が進むような有機過酸化物や溶媒の選択、およびゴム質重合体を乳化重合で合成し、乳化重合でグラフト重合させたり、ゴム質重合体を均一に溶解し重合を開始したり、あらかじめ溶融混練りしたものを溶液に溶解し溶液重合または塊状重合することや、再乳化したものを乳化重合または懸濁重合することなどの重合方法を工夫することが好ましい。
【0049】
このようにして得られる上記ゴム強化ビニル系樹脂(B)(グラフト共重合体(B1))のグラフト率は、10〜150%、好ましくは30〜100%である。グラフト率が10%未満であると、樹脂とゴムとの界面接着強度が劣り、優れた耐衝撃強度及び均一なセルが得られず、樹脂発泡成形体の外観が低下する場合がある。一方、グラフト率が150%を超えると、界面層が厚くなり、またゴム内部にグラフトした樹脂層が発達し、ゴム弾性が低下する。結果として、優れた耐衝撃強度及び均一なセルが得られず、樹脂発泡成形体の外観が低下する場合がある。上記グラフト率は、上記ゴム質重合体、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などの種類や量、さらに重合時間、重合温度などを変えることにより容易に調整することができる。
ここで、グラフト率(%)は、グラフト共重合体(B1)成分中のゴム成分をx(g)、グラフト共重合体(B1)成分中のアセトン不溶分をy(g)とすると、下記の計算式により求められた値である。
グラフト率(%)=((y−x)/x)×100
【0050】
また、本発明のゴム強化ビニル系樹脂(B)のアセトン可溶部の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.2〜0.8dl/g、好ましくは0.3〜0.7dl/gである。アセトン可溶部の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)が0.2dl/g未満であると、耐衝撃性が低下する場合があり、アセトン可溶部の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)が0.8dl/gを超えると流動性が低下し、スキン層が形成され難い場合がある。
上記極限粘度は、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さらに重合時間、重合温度などを変えることにより、容易に制御することができる。
【0051】
一方、本発明に用いられるゴム強化ビニル系樹脂(B)成分中の共重合体(B2)は、芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/他のビニル系単量体の質量比が、好ましくは50〜90/10〜40/0〜30、さらに好ましくは60〜79/21〜40/0〜30、特に好ましくは62〜78/22〜38/0〜30(質量%)である。シアン化ビニル化合物量が、上記の範囲において、21質量%以上であると、得られる成形品の耐薬品性が一段と優れる場合がある。また、芳香族ビニル化合物の使用量が50質量%未満では、ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性が低下し、耐衝撃性や耐熱劣化性が劣り、一方、90質量%を超えると、これもまた、ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性が低下し、耐衝撃強度や耐薬品性が劣ることがある。さらに、シアン化ビニル化合物の使用量が10質量%未満では、ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性が著しく低下し、耐衝撃性の低下や表層剥離などの問題を生じ、一方、40質量%を超えると、耐熱劣化性が低下する場合がある。さらに、他のビニル系単量体の使用量が30質量%を超えると、ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性が低下し、耐衝撃性が劣る場合がある。
なお、上記芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物や他のビニル系単量体は、ゴム強化ビニル系樹脂(B)に用いられる単量体成分と同様である。
【0052】
本発明の共重合体(B2)のアセトン可溶分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.31〜0.8dl/g、好ましくは0.32〜0.8dl/g0.32〜0.7dl/g、さらに好ましくは0.36〜0.7dl/gである。上記の範囲において、極限粘度が0.31dl/g未満では、得られる成形品(樹脂発泡成形体)の耐衝撃性に劣り、一方、0.8dl/gを超えると、成形加工性が著しく低下し、樹脂発泡成形体のスキン層が形成され難い場合がある。
【0053】
本発明に用いられる共重合体(B2)は、公知の乳化重合、溶液重合、懸濁重合などにより製造することができるが、乳化重合によって製造した場合、通常、凝固剤により凝固し得られる粉末を水洗後、乾燥することによって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウムなどの無機塩と、硫酸、塩酸、リン酸などの無機酸との少なくとも一方を使用するのが一般的である。この際、得られる共重合体(B2)をポリカーボネート樹脂(A)に配合すると、共重合体(B2)成分中に残存する塩または乳化剤などにより、ポリカーボネート樹脂(A)の分子量の低下を招く問題がある。したがって、凝固剤として、硫酸などの酸を使用することが望ましい。
【0054】
上記ゴム強化ビニル系樹脂(B)として用いる、グラフト共重合体(B1)と共重合体(B2)の配合割合は、(B1)成分が20〜100質量%、好ましくは30〜85質量%、さらに好ましくは35〜80質量%、(B2)成分が0〜80質量%、好ましくは15〜70質量%、さらに好ましくは20〜65質量%(ただし、(B1)+(B2)=100質量%)である。
また、ゴム強化ビニル系樹脂(B)中のゴム質重合体(b1)の割合は、通常4〜40質量%、好ましくは6〜35質量%、さらに好ましくは8〜30質量%である。
【0055】
本発明の熱可塑性樹脂組成物中におけるゴム強化ビニル系樹脂(B)成分の配合割合は、20〜80質量%である。好ましくは25〜70質量%、さらに好ましくは30〜50質量%とすることができる。ゴム強化ビニル系樹脂(B)成分の配合割合が20質量%未満では、樹脂組成物の成形性等が低下し、優れた外観を有する樹脂発泡成形体を得ることが困難となり、一方、80質量%超過では、均一なセル径を有する樹脂発泡成形体を得ることが困難となる。
【0056】
本発明のゴム質重合体(b1)としては、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体が好ましい。ゴム強化ビニル系樹脂(B)として、AES樹脂を用いることにより、ABS樹脂を用いた場合に比べ、容易に均一なセル径を有し、外観に優れた樹脂発泡成形体を得ることができる。これは、ゴム質重合体部分の架橋度の違い、すなわち形状の自由度の違いによるものと推測される。
また、AES樹脂は、耐熱劣化性に優れる。本発明で用いられる熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)を含有するが、そのため成形温度を高くすることが求められる。この点において、AES樹脂は耐熱劣化性に優れ、加工性に優れるという要求を満たすことができる。
【0057】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂組成物において、上記ゴム強化ビニル系樹脂(B)成分から由来のエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体の含有量は、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは2〜15質量%、特に好ましくは3〜15質量%である。上記の範囲にあると、本発明の目的とする熱可塑性樹脂組成物が得られやすい。
【0058】
ここで、ゴム強化ビニル系樹脂(B)(グラフト共重合体(B1))のベースゴムとなるエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(b1)としては、エチレン/炭素数3〜20のα−オレフィン/非共役ジエン=5〜95/95〜5/0〜30質量%の混合比からなる単量体を共重合して得られる共重合ゴムが好ましい。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられ、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−オクテン、さらに好ましくはプロピレンである。これらのα−オレフィンは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。α−オレフィンの炭素数は、3〜20であるが、好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜8である。炭素数が20を超えると、共重合性が極端に低下するため好ましくない。エチレンとα−オレフィンの重量比は、好ましくは5〜95/95〜5、さらに好ましくは60〜88/40〜12、特に好ましくは70〜85/30〜15である。
【0059】
また、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(b1)に用いられることのある非共役ジエンとしては、アルケニルノルボルネン類、環状ジエン類、脂肪族ジエン類などが挙げられ、好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。これらの非共役ジエンは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体中の非共役ジエンの含有量は、0〜30質量%、好ましくは0〜15質量%である。なお、このゴム質重合体の不飽和基量は、ヨウ素価に換算して、0〜40の範囲が好ましい。
【0060】
本発明の上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(b1)を製造するには、不均一系、均一系いずれの触媒を用いてもよい。不均一系触媒としては、例えばバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とを組み合わせたバナジウム系触媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、例えばメタロセン系触媒を挙げることができる。特に、炭素数6〜20のα−オレフィンを用いた上記ゴムを製造するには、メタロセン系触媒が有効である。
【0061】
なお、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(b1)のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、好ましくは40以下、さらに好ましくは25〜35である。ムーニー粘度は、分子量調節剤の種類・量や、モノマー濃度および反応温度などを変更することにより、調整することができる。
また、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量100万以上の成分の含有率が好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。このようなゴム質重合体は、分子量調節剤の種類・量、触媒の種類・量を変更することにより、製造することができる。さらに、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−110〜−40℃、さらに好ましくは−70〜−50℃、融点(Tm)は、好ましくは30〜110℃、さらに好ましくは40〜70℃である。
【0062】
なお、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体の割合は、通常、グラフト共重合体(B1)成分中に3〜50質量%、好ましくは5〜45質量%、さらに好ましくは7〜40質量%である。3質量%未満では耐衝撃性が発現しない場合があり、一方、50質量%超過では成形性、外観が低下する場合がある。
【0063】
使用する化学発泡剤として、特に限定はないが好ましいものとしては、例えば分解されて炭酸ガスを発生する熱分解型無機発泡剤(炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなど)、分解されて窒素ガスを発生する熱分解型発泡剤(アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビスイソブチロニトリル、p−トルエンスルホニルヒドラジドなど公知の熱分解型発泡性化合物が挙げられる。
【0064】
化学発泡剤の含有量は、所望の発泡倍率が得られるように、用いる化学発泡剤や樹脂の種類に応じて適宜選択されるものであるが、熱可塑性樹脂100質量部に対して化学発泡剤0.05〜5質量部であり、好ましくは0.1〜4質量部、更に好ましくは0.3〜3質量部である。化学発泡剤の含有量が0.05質量部未満である場合には、化学発泡剤の含有量が少なくて、発泡の各セル径を均一にすることが困難になる。一方、化学発泡剤の含有量が5質量部を超える場合には、化学発泡剤の含有量が多くて、化学発泡剤の残渣による金型汚染が生じ、外観に優れた発泡成形体を得ることが困難になる。
溶融状態可塑性樹脂への発泡剤の配合方法としては、熱可塑性樹脂組成物のペレットと発泡剤マスターバッチペレットをドライブレンドした後、成形機に供給し、成形機内で樹脂を可塑化させ、金型内で発泡させる方法が好ましく用いられる。また、物理発泡剤を併用してもよい。物理発泡剤としては、具体的には、プロパン、ブタン、水、炭酸ガス等が挙げられる。
【0065】
上記超臨界流体としては、不活性ガスである二酸化炭素や窒素を超臨界状態としたものとすることができる。例えば、二酸化炭素であれば、温度31℃以上、圧力7.3MPa以上とすることにより、超臨界状態とすることができる。二酸化炭素は、比較的低い温度、圧力で超臨界状態となり、また溶融樹脂中への溶解度が多いことにより、射出成形等を使用した発泡成形に適している。
溶融した熱可塑性樹脂に対する超臨界流体の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物に対して0.05〜5質量%の範囲、好ましくは0.1〜4質量%、さらに好ましくは0.2〜3質量%である。0.05質量%未満では、化学発泡剤と超臨界流体とを併用することによる効果を十分に得られず、一方、5質量%超過では、均一なセルが得られず外観に優れた樹脂発泡成形体を得ることが困難になる。
【0066】
なお、本発明に用いられる熱可塑性樹脂組成物には、熱老化防止剤を配合することができる。
熱老化防止剤としては、フェノール系、リン系、硫黄系などが挙げられ、好ましくはフェノール系、リン系および硫黄系の3種混合系である。熱老化防止剤として、この3種混合系を用いると、長時間、高温下に曝された時の、引張り伸び率を保持するという効果が得られる。
【0067】
熱老化防止剤のうち、フェノール系としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール誘導体、2−メチル−6−t−ブチルフェノール誘導体、オクタデシル3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、ペンタエリスリチル・テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2〔1−(2ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)−エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートなどが挙げられる。
【0068】
リン系としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、リン酸2水素ナトリウム、リン酸1水素2ナトリウムなどが挙げられる。
硫黄系としては、3,3’−チオビスプロピオン酸ジドデシルエステル、3,3’−チオビスプロピオン酸ジオクタデシルエステル、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリルプロピオネート)、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
【0069】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂組成物中の熱老化防止剤の割合は、0〜5質量%、好ましくは0〜3質量%である。本発明の熱可塑性樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂(A)以外のゴム強化ビニル系樹脂(B)成分は、熱老化防止剤を添加することで、熱老化特性が改良されるが、ポリカーボネート樹脂は、熱老化防止剤が加水分解を促進する触媒として働くことがあり、熱老化防止剤を入れない方が劣化を抑制する傾向もある。これらの相反する効果を鑑みて、5質量%を上限として上記熱老化防止剤を添加すれば、最適な熱老化防止効果が得られる。
【0070】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、ガラスファイバー、カーボンファイバー等の繊維状充填材、ガラスビーズ、ロックフィラー、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラスフレーク、硫酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化マグネシウムなどの充填材を、1種単独でまたは2種以上併用することができる。これらの充填材を配合することで、本発明に用いられる熱可塑性樹脂組成物に、さらに剛性、高熱変形温度などを付与することができる。また、上記のタルク、炭酸カルシウムなどを配合することで、本発明の熱可塑性樹脂組成物の発泡性能が向上する場合がある。
【0071】
また、本発明に用いられる熱可塑性樹脂組成物には、公知の耐候剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、シリコーンオイルなどの添加剤を配合することができる。
このうち、耐候剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系などが好ましい。滑剤としては、エチレンビスステアリルアミド、硬化ヒマシ油などが好ましい。着色剤としては、カーボンブラック、ベンガラなどが挙げられる。帯電防止剤としては、ポリエーテル、アルキル基を有するスルホン酸塩などが挙げられる。
【0072】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどを用い混練することができる。例えば、先ず(A)、(B)成分、必要に応じてその他の添加剤を混練することにより熱可塑性樹脂組成物のペレットを得ることができる。具体的には、2軸押出機によって(A)、(B)成分を溶融させる方法などが挙げられる。混練温度は、熱可塑性樹脂組成物の配合によって適宜選択されるが、本発明においては、通常220〜260℃である。
【実施例】
【0073】
以下に、本発明の樹脂発泡成形体及びその製造方法にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例)
本例の樹脂発泡成形体6の製造方法は、図1〜図4に示すごとく、第1型部2と、第1型部2に対して相対的に可動する第2型部3とを用いて、樹脂発泡成形体6の表面にスキン層61を形成すると共に、スキン層61の内側部分に発泡層62を形成する方法である。そして、本例の製造方法においては、充填工程として、図2、図3に示すごとく、第2型部3と第1型部2との間に形成したキャビティ41A内に、化学発泡剤を混練すると共に超臨界流体を浸透させた熱可塑性樹脂組成物からなる溶融樹脂60を充填してキャビティ41Aの表面に接触する溶融樹脂60の部分にスキン層61を形成し、可動工程として、図4に示すごとく、第1型部2と第2型部3とをキャビティ41Aの容積が拡大する離隔方向Rに相対的に可動させて、スキン層61に対する内側部分に溶融樹脂60を発泡させた発泡層62を形成する。
【0074】
また、化学発泡剤の含有量は、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、0.05〜5質量部である。超臨界流体の含有量は、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、0.05〜5質量部である。本例の熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と、ゴム強化ビニル系樹脂(B)とを含有している。本例のゴム強化ビニル系樹脂(B)は、ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(b2)を重合して得られるグラフト共重合体(B1)からなる。本例のゴム強化ビニル系樹脂(B)は、ゴム強化スチレン系樹脂(B)である。
なお、ゴム強化ビニル系樹脂(B)は、ビニル系単量体(b3)の共重合体(B2)と上記グラフト共重合体(B1)との混合物から構成することもできる。
【0075】
以下に、本例の樹脂発泡成形体6及びその製造方法につき、図1〜図4を参照して詳説する。
本例の樹脂発泡成形体6の製造方法は、化学発泡剤及び超臨界流体を用いると共に溶融樹脂60を充填したキャビティ41Aの容積を拡大させて、溶融樹脂60を発泡させる方法であり、発泡成形する樹脂発泡成形体6の全周の表面に、溶融樹脂60がほとんど発泡せずに硬化したスキン層61を効果的に形成することができるものである。
本例においては、図1、図4に示すごとく、第1型部2と第2型部3とを備えた製造装置1を用いて、樹脂発泡成形体6を成形する。本例の第1型部2は、キャビティ41内に溶融樹脂60を充填するための樹脂注入口22を設けた固定型部である。本例の第2型部3は、第1型部2に対して離隔方向Rに可動する可動型部である。
【0076】
また、本例の第2型部3は、第1型部2との間に形成するキャビティ41の容積を1.1〜2倍に拡大させるように、第1型部2に対して離隔方向Rへ後退するよう構成してある。そして、本例において発泡成形する樹脂発泡成形体6の発泡倍率は、1.1〜1.7倍である。
図2、図3に示すごとく、本例の製造装置1は、第1型部2に設けた樹脂注入口22に接続して、上記キャビティ41内に溶融樹脂60を注入するための注入ノズル25を有している。本例の第2型部3は、油圧、空気圧、電力等によって動作する駆動源によって、第1型部2に対して進退する(可動方向Dに移動する)よう構成してある。
【0077】
本例においては、第1型部2及び第2型部3を用いて、略直方体形状の樹脂発泡成形体6を発泡成形する。
図4に示すごとく、本例の第2型部3は、キャビティ形成凸部31の先端面312が充填用隙間42の可動方向Dの端部まで移動するまで第1型部2に対して離隔方向Rに可動するよう構成してある。
第2型部3が第1型部2に対する原位置301にあるときには、キャビティ41に連通して、溶融樹脂60を充填するための充填用隙間42が形成される。そして、図1、図2に示すごとく、第2型部3が離隔方向Rに可動する前の原位置301にあるときには、第2型部3と第1型部2との間には、容積が縮小したキャビティ41A及び充填用隙間42が形成されると共に、図4に示すごとく、第2型部3が離隔方向Rに可動した可動位置302にあるときには、第2型部3と第1型部2との間には、容積が拡大したキャビティ41Bが形成される。
【0078】
図1に示すごとく、本例の第1型部2は、キャビティ41における樹脂注入側の表面212(樹脂発泡成形体6の固定側表面を成形する面)、及び樹脂注入側の表面に直交する全周の側面211(内側面211、樹脂発泡成形体6の全側面を成形する面)を形成するためのキャビティ形成凹部21を有している。本例の第2型部3は、キャビティ41における樹脂受け側の表面312(樹脂発泡成形体6の可動側表面を成形する面)、及び樹脂注入側の表面に直交する全周の側面311(外側面311)を形成するためのキャビティ形成凸部31を有している。
第1型部2のキャビティ形成凹部21における内側面211、及び第2型部3のキャビティ形成凸部31における外側面311は、可動方向Dに平行に形成してある。
【0079】
また、同図に示すごとく、本例の第1型部2においてキャビティ形成凹部21を形成する型壁部の開口先端部23の全周には、開口先端部23と第2型部3における外側面311との間を閉塞する閉塞型部5が設けてある。
そして、製造装置1は、第1型部2に対して第2型部3を離隔方向Rに可動させるときには、第2型部3における外側面311が閉塞型部5における内周面51と摺動することにより、充填用隙間42を形成した状態を維持して、キャビティ41Aの容積を拡大させるよう構成してある。
【0080】
また、図4に示すごとく、製造装置1は、第1型部2に対して第2型部3を離隔方向Rに相対的に可動させたときには、第2型部3における先端面312と閉塞型部5における内側端面52とが一致するよう構成してある。そして、上記可動工程において、第1型部2に対して第2型部3を離隔方向Rに可動させたときには、樹脂発泡成形体6の全周の表面にスキン層61を形成すると共に、スキン層61の内側部分に発泡層62を形成することができる。
なお、成形する樹脂発泡成形体6の形状によっては、第2型部3における先端面312と閉塞型部5における内側端面52とが一致するまでは第2型部3を離隔方向Rに可動させずに、樹脂発泡成形体6からスキン層61による突出部が突出した形状を形成することもできる。
【0081】
次に、上記製造装置1を用いて、樹脂発泡成形体6を製造する方法を詳説する。
本例においては、まず、充填工程として、図2、図3に示すごとく、注入ノズル25に保持する溶融樹脂60を、第1型部2における樹脂注入口22から縮小した状態のキャビティ41A内に注入する。このとき、溶融樹脂60は、キャビティ41Aから充填用隙間42へと流入し、縮小した状態のキャビティ41及び充填用隙間42の全体に溶融樹脂60が充填される。そして、第1型部2のキャビティ形成凹部21の表面及び第2型部3のキャビティ形成凸部31の表面に接触する溶融樹脂60の部分は、他の部分よりも早く冷却硬化して半硬化状態のスキン層61が形成される。
【0082】
次いで、可動工程として、図4に示すごとく、第1型部2に対して第2型部3を離隔方向Rに可動させる。このとき、充填用隙間42内に充填されて硬化した溶融樹脂60によるスキン層61に対して、第2型部3のキャビティ形成凸部31における外側面311が摺動し、このスキン層61の内側部分に溶融樹脂60が流入して発泡する。また、第1型部2のキャビティ形成凹部21における樹脂注入側の表面212、及び第2型部3のキャビティ形成凸部31における樹脂受け側の表面312に形成されたスキン層61の内側部分にも溶融樹脂60が流入して発泡する。
こうして、樹脂発泡成形体6の内部に溶融樹脂60が発泡した発泡層62を形成すると共に、樹脂発泡成形体6の全周の表面にスキン層61を形成することができる。そのため、全周の表面に安定してスキン層61を形成することができ、発泡成形した樹脂発泡成形体6の強度を効果的に向上させることができる。
【0083】
また、本例においては、上記熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、キャビティ41Aの容積を拡大させるときには、溶融樹脂60の内部に発泡層62を形成し、成形する樹脂発泡成形体6において、発泡によるセル径をより均一にすることができ、樹脂発泡成形体6の外観が悪化することを抑制することができる。
また、本例においては、樹脂成形を行う所定の温度において、粘度が高い芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の存在により、発泡によるセル径をできるだけ均一にすることができ、樹脂発泡成形体6の外観を向上させることができる。また、樹脂成形を行う所定の温度において、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)よりも粘度が低いゴム強化スチレン系樹脂(B)の存在により、樹脂発泡成形体6の表面に安定してスキン層61を形成することができる。
さらに、本例においては、化学発泡剤と超臨界流体とを併用することにより、成形する樹脂発泡成形体6の発泡によるセル径をより均一にすることができ、その外観をより良好にすることができる。
【0084】
それ故、本例の樹脂発泡成形体6の製造方法によれば、安定したスキン層61の形成により、成形する樹脂発泡成形体6の強度を向上させることができ、発泡によるセル径をより均一にして、樹脂発泡成形体6の外観が悪化することを抑制することができる。
【0085】
(確認試験)
本確認試験においては、上記熱可塑性樹脂組成物を用いて成形した樹脂発泡成形体6(発明品1〜7)の優れた効果を確認した。具体的には、成形した樹脂発泡成形体6について、表面外観の観察、強度としての曲げ弾性率(MPa)の測定、内部断面の観察を行い、それらが優れているかの評価を行った。樹脂発泡成形体6(発明品1〜7)についての評価結果を表1に示し、比較のために、発明品1〜7とは異なる熱可塑性樹脂組成物を用いて成形した樹脂発泡成形体6(比較品1〜6)の評価結果を表2に示す。
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

【0088】
本確認試験における熱可塑性樹脂組成物(発明品1〜7)及び他の熱可塑性樹脂組成物(比較品1〜6)に用いる各樹脂等は以下のようにした。
(1)ポリカーボネート樹脂(A)(表1においてはPCで示す。)
芳香族ポリカーボネート樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバレックス 7022PJ」を用いた。
【0089】
(2)グラフト共重合体(B1−1)(表1においてはAESで示す。)
(AES樹脂の調製)
リボン型撹拌翼を備えた内容積10リットルのステンレス製オートクレーブに、EPDM(JSR(株)製、EP−82)30部、スチレン(芳香族ビニル化合物)45.5部、アクリロニトリル(シアン化ビニル化合物)24.5部およびトルエン100部を仕込み、撹拌後、昇温し、ゴム質重合体(b1)を完全溶解し均一溶液を得た。次いで、t−ドデシルメルカプタン0.1部とベンゾイルパーオキサイド0.5部、ジクミルパーオキサイド0.1部を添加し、95℃に一定に制御しながら撹拌回転数200rpmで重合反応を行った。反応開始後6時間目から1時間を要して120℃まで昇温し、さらに2時間反応を行って終了した。重合転化率は、97%であった。100℃まで冷却後、2,2−メチレン−ビス−4−メチル−6−ブチルフェノール0.2部を添加したのち、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去し細かく砕いたのち、40mmφベント付き押し出し機(220℃、700mmHg)にて、実質的に揮発分を留去するとともに、重合体をペレット化した。グラフト率は60%、極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.42dl/g、体積平均粒子径は500nmであった。
【0090】
(3)グラフト共重合体(B1−2)(表1においてはABSで示す。)
撹拌装置を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコに、イオン交換水100部、不均化ロジン酸ナトリウム1.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエン(JSR(株)製、#0700)40部(固形分換算)、スチレン15部およびアクリロニトリル5部を加え、撹拌しながら昇温した。温度が45℃に達した時点で、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート・2水和物0.2部およびイオン交換水15部よりなる活性剤水溶液、ならびにジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド0.1部を添加し、1時間反応を続けた。その後、イオン交換水50部、不均化ロジン酸ナトリウム1部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルヒドロパーオキサイド0.2部、スチレン30部およびアクリロニトリル10部からなるインクレメント重合成分を3時間にわたって連続的に添加し重合反応を続けた。添加終了後、さらに撹拌を1時間続けたのち、2,2−メチレン−ビス(4−エチレン−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し、反応生成物をフラスコより取り出した。反応生成物のラテックスを硫酸2部で凝固し、反応生成物をよく水洗したのち、75℃で24時間乾燥し、白色粉末を得た。重合転化率は97.2%、グラフト率は75%、極限粘度は0.44dl/gであった。
【0091】
(4)他のビニル系単量体(b3)の共重合体(B2)(表1においてはASで示す。)
テクノポリマー社製のAS樹脂(サンレックス SAN−C)、スチレン/アクリロニトリル=76/24(%)の共重合体を用いた。極限粘度は0.58dl/gであった。
【0092】
(5)酸化防止剤(表1においてはAO1、AO2、AO3で示す。)
酸化防止剤としては、ADEKA社製アデカスタブAO−412S(AO1)と、ADEKA社製アデカスタブ2112(AO2)と、住友化学工業社製スミライザーGS(AO3)とを用いた。表1、表2において、酸化防止剤の添加量(質量部)は、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対する質量部によって示す。
【0093】
(6)化学発泡剤
化学発泡剤としては、永和化成工業社製「ポリスレンEB207」、マスターバッチ(炭酸水素ナトリウム/ABS=20/80(質量比))を用いた。
【0094】
(7)超臨界流体
超臨界流体としては、二酸化炭素を用いた。
【0095】
表1、表2において、表面外観の観察においては、良好な平面が得られた場合は○、一部に波打ちしている面があった場合は△、平面になっておらず、歪んで波打ちしている場合は×とした。表面外観が悪化した理由としては、スキン層61が安定して形成されなかったことが考えられる。
また、曲げ弾性率(曲げモジュラス)(MPa)の測定においては、ASTMD790に準拠して行った。曲げ弾性率の値が大きいほど、樹脂発泡成形体6の強度が高いことを意味する。なお、曲げ弾性率は、樹脂発泡成形体6が波打っていたり、歪んでいた場合には、測定を実施しなかった。この場合は、表中に「−」と記載した。
また、内部断面の観察においては、樹脂発泡成形体6の断面が均一で微細な発泡セルが形成されていた場合は○、発泡セルの外径に大小の分布があった場合は△、発泡セルのほとんどが大きな外径になっていた場合は×とした。
【0096】
表1、表2において、充填時間(sec)は、充填工程においてキャビティ41及び充填用隙間42に溶融樹脂60を充填するに要した時間とし、拡張後肉厚(mm)は、発泡成形後の樹脂発泡成形体6の可動方向Dにおける肉厚とし、発泡倍率(−)は、第2型部3の離隔方向Rへの移動量、すなわちキャビティ41の容積の拡大率とした。
また、本確認試験においては、ポリカーボネート樹脂(A)とゴム強化ビニル系樹脂(B)とをブレンダーにてブレンドした後、日本製鋼所製の二軸押出機TEX44を用いて、250℃にて押し出し、このペレットを用いて試験を行い、結果を評価した。発泡成形機としては、日本製鋼所製180(t)電動成形機を用いた。また、得られた熱可塑性樹脂ペレットと発泡剤マスターバッチをドライブレンドして発泡成形機に供給した。
また、超臨界二酸化炭素発生装置で発生させた超臨界状態の二酸化炭素を、接続管を通して射出成形機に導入した。
【0097】
表1において、発明品1〜7については、いずれも表面外観がよかった。また、内部断面については、発明品4、6、7を除き、いずれも均一で微細な発泡セルが形成されていた。なお、発明品4、6、7については、ゴム強化ビニル系樹脂(B)の比率の違い等が影響して、内部断面における発泡セルの形成状態が若干劣っていたものと考えられる。また、発明品1〜7についての曲げ弾性率(MPa)は、いずれも1000近くあり、優れた結果が得られた。
発明品1〜7について、化学発泡剤と超臨界流体とを併合して用い、ポリカーボネート樹脂(A)とゴム強化ビニル系樹脂(B)との比率も適切であったことにより、良好な結果が得られたと考えられる。
【0098】
なお、発明品1〜6は、いずれもグラフト共重合体(B1)を構成するAES樹脂と、ビニル系単量体(b3)の共重合体(B2)を構成するAS樹脂との混合物から組成した。また、発明品7は、グラフト共重合体(B1)を構成するAES樹脂と、グラフト共重合体(B1)を構成するABS樹脂との混合物から組成した。
発泡倍率については、1.4倍、1.55倍、1.67倍として、試験を行ったところ、いずれにおいても良好な結果が得られた。従って、発泡倍率は、1.1〜1.7倍の範囲がよいことがわかった。
【0099】
表2において、比較品1〜6については、表面外観がよいものもあるが、曲げ弾性率及び内部断面のいずれもが劣っていることがわかった。特に、比較品1、2については、化学発泡剤を全く含有していないことが、曲げ弾性率が低く、内部断面における発泡セルの微細化が行われなかった大きな理由であると考えられる。また、比較品3については、超臨界流体を全く含有していないことが、曲げ弾性率が低く、内部断面における発泡セルの微細化が行われなかった大きな理由であると考えられる。また、比較品4、6については、ポリカーボネート樹脂(A)の含有比率が多いことが、表面外観、内部断面が悪くなった大きな理由であると考えられる。また、比較品5については、ポリカーボネート樹脂(A)の含有比率が少ないことが曲げ弾性率が低くなった大きな理由であると考えられる。
【0100】
以上の結果より、表1に示した熱可塑性樹脂組成物を用いた発明品1〜7の樹脂発泡成形体6については、ポリカーボネート樹脂(A)とゴム強化ビニル系樹脂(B)とを適切に含有した熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、安定したスキン層61を形成し、強度及び外観の優れた樹脂発泡成形体6を成形することができることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】実施例における、第1型部及び第2型部を有する製造装置を示す断面説明図。
【図2】実施例における、充填工程において、キャビティ及び充填用隙間内に溶融樹脂を充填した状態を示す断面説明図。
【図3】実施例における、充填工程において、キャビティ及び充填用隙間内に溶融樹脂を充填した状態を、図2と直交する方向から見た状態で示す断面説明図。
【図4】実施例における、可動工程において、第1型部に対して第2型部を可動させて、キャビティ内に樹脂発泡成形体を成形した状態を示す断面説明図。
【符号の説明】
【0102】
1 製造装置
2 第1型部
21 キャビティ形成凹部
211 内側面
22 樹脂注入口
3 第2型部
31 キャビティ形成凸部
311 外側面
41A、B キャビティ
42 充填用隙間
6 樹脂発泡成形体
60 溶融樹脂
61 スキン層
62 発泡層
D 可動方向
R 離隔方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1型部と、該第1型部に対して相対的に可動する第2型部とを用い、該第2型部と上記第1型部との間に形成したキャビティ内に、化学発泡剤を混練すると共に超臨界流体を浸透させた熱可塑性樹脂組成物からなる溶融樹脂を充填する充填工程と、上記第1型部と上記第2型部とを上記キャビティの容積が拡大する離隔方向に相対的に可動させる可動工程とを行って、樹脂発泡成形体を製造する方法において、
上記化学発泡剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、0.05〜5質量部であり、
上記超臨界流体の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、0.05〜5質量部であり、
上記熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)とゴム強化ビニル系樹脂(B)とを、(A)が20〜80質量%、(B)が80〜20質量%になる比率で含有しており、
該ゴム強化ビニル系樹脂(B)は、ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b2)を重合して得られるグラフト共重合体(B1)、又はビニル系単量体(b3)の共重合体(B2)と上記グラフト共重合体(B1)との混合物からなることを特徴とする樹脂発泡成形体の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、上記熱可塑性樹脂組成物は、上記ポリカーボネート樹脂(A)としての芳香族ポリカーボネート樹脂を50〜70質量%含有し、残部が上記ゴム強化ビニル系樹脂(B)からなることを特徴とする樹脂発泡成形体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記第2型部は、上記第1型部に設けたキャビティ形成凹部内に配置するキャビティ形成凸部を設けてなり、
上記キャビティ形成凹部において上記第1型部と上記第2型部との可動方向に平行に形成した内側面と、上記キャビティ形成凸部において上記可動方向に平行に形成した外側面との間には、上記溶融樹脂を充填するための充填用隙間が上記キャビティと連通して形成されており、
上記充填工程においては、上記溶融樹脂を上記キャビティに充填すると共に上記充填用隙間に充填し、
上記可動工程においては、上記キャビティ及び上記充填用隙間への上記溶融樹脂の充填を行った後、上記第1型部と上記第2型部とを上記離隔方向に相対的に可動させることを特徴とする樹脂発泡成形体の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、上記充填工程において、上記キャビティ及び上記充填用隙間の全体への上記溶融樹脂の充填を行って、該溶融樹脂を半硬化させて未発泡のスキン層を形成した後、上記可動工程において、上記第1型部と上記第2型部とを上記離隔方向に相対的に可動させ、上記スキン層に対する内側部分に上記溶融樹脂を発泡させた発泡層を形成して、上記樹脂発泡成形体を製造することを特徴とする樹脂発泡成形体の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、上記第1型部は、上記キャビティ内に上記溶融樹脂を充填するための樹脂注入口を設けた固定型部であり、
上記第2型部は、上記第1型部に対して上記離隔方向に可動する可動型部であることを特徴とする樹脂発泡成形体の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、上記ゴム質重合体(b1)は、エチレン・α−オレフィン系ゴムであることを特徴とする樹脂発泡成形体の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記化学発泡剤は、炭酸水素ナトリウム、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)の群から選択されたものであることを特徴とする樹脂発泡成形体の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項において、上記ゴム強化ビニル系樹脂(B)は、グラフト率が10〜150%であり、アセトン可溶部の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)が0.2〜0.8dl/gであり、
上記ポリカーボネート樹脂(A)は、粘度平均分子量が12,000〜40,000であることを特徴とする樹脂発泡成形体の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法によって得られたことを特徴とする樹脂発泡成形体。
【請求項10】
請求項9において、発泡倍率が1.1〜1.7倍であることを特徴とする樹脂発泡成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−36511(P2010−36511A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203960(P2008−203960)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(396021575)テクノポリマー株式会社 (278)
【出願人】(000132932)株式会社タカギセイコー (29)
【Fターム(参考)】