説明

樹脂積層体の製造方法、樹脂積層体、表示装置用材料、表示装置及び液晶表示装置

【課題】 ラミネータを用い、複数の転写材料を用いて樹脂積層体を製造する際に、ラミネータの合せ部(転写材料間の間隙)の大小に依存することなく、樹脂成分の染み出しを抑制して、安定的に製造できる樹脂積層体の製造方法、及びそれを用いて製造された樹脂積層体を提供する。
【解決手段】 少なくとも仮支持体とクッション層と感光性樹脂層とを有する感光性樹脂転写材料を用いて基板上に前記感光性樹脂層を転写して形成する樹脂積層体の製造方法であって、前記基板上に、複数の前記感光性樹脂転写材料を送り出す機構、転写搬送機構、及び、前記感光性樹脂転写材料を前記基板に一体的、並列的に接合する機構を有し、かつ、バックアップロールをクラウンロール化した感光性樹脂転写装置を用いて、前記クッション層の厚みが3μm〜30μmである前記感光性樹脂転写材料を転写して前記感光性樹脂層を形成することを特徴とする樹脂積層体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性樹脂転写材料を用いた樹脂積層体の製造方法及びそれを用いて製造された樹脂積層体に関し、特に感光性樹脂転写材料の塗布幅に依存することなく、その材料の利用効率を高めることができる樹脂積層体の製造方法及びそれを用いて製造された樹脂積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板や硬質樹脂基板などの基板の上に感光性樹脂層などの感光材料層を積層した感光性積層材料は、プリント配線基板やカラーフィルタの製造に用いる樹脂積層体として利用されている。このような樹脂積層体の用途として液晶パネルがあるが、液晶パネルの重要課題は、製造コストを下げることにある。とりわけ、カラーフィルタは、液晶パネルに占めるコストの比率が高く、カラーフィルタの歩留まりを上げることが液晶パネルのコストダウンに大きく寄与する。
【0003】
感光性樹脂転写材料を用いて樹脂積層体を形成する製造方法において、転写エリア幅より狭い幅の感光性転写材料を複数枚並列に供給できるラミネータ(以下、2丁ラミネーターと略称するが、2丁に限定するものではない)を用いて樹脂転写材料の塗布幅に依存することなく、広い幅のラミネートが可能であることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、複数の狭幅の転写材料を組み合わせることで、材料の利用効率を高めることができる。
【0004】
しかし、基板上の転写エリアの中に、合わせ部(非転写領域)が形成され、そのため、有効エリアに制約を受ける。基板を有効に利用する為には、この合わせ部を最小限に抑える必要があるが、転写材料ウェブの端部は、樹脂組成物が露出しており、ラミネート時の加熱、加圧により、その成分が仮支持体に覆われた領域を超えて基板上に染み出す。
2丁ラミネートの場合は、有効エリアを増やす為に合わせ部間隔を小さくすると、二つのウェブの両方から染み出しが起こる為に、その相乗効果によって大きな染み出し領域が形成されることがある。この染み出しが、その後の露光、現像プロセスでカラーフィルタの欠陥の原因となり、安定製造の妨げとなっていた。
一方、安定製造のために、ラミ泡回避、ラミネート時の応力を吸収する目的で、クッション層を付与した材料、とりわけ、クッション層厚アップや軟膜化することが有効であり、特に、大型基板の場合は、その効果が顕著である。
しかし、このようなクッション層厚アップ、軟膜化は、溶融成分が転写材料の両端部から染み出し、それに起因する欠陥などの製造故障の原因となり、特に、2丁ラミネートでバックアップロールをクラウン化した場合は、中央部の染み出し量が多くなり、安定製造の障害となる。これによる影響を最小限に食い止め、広い有効エリアを確保することが重要であった。
【特許文献1】特開2004−333616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ラミネータを用い、複数の転写材料を用いて樹脂積層体を製造する際に、ラミネータの合せ部(転写材料間の間隙)の大小に依存することなく、樹脂成分の染み出しを抑制して、安定的に製造できる樹脂積層体の製造方法、及びそれを用いて製造された樹脂積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記実情に鑑み本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、転写材料のクッション層厚みを特定の範囲として、クラウンロール化した転写装置を用いることにより、上記課題を解決しうることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は下記の手段により達成されるものである。
【0007】
<1> 少なくとも仮支持体とクッション層と感光性樹脂層とを有する感光性樹脂転写材料を用いて基板上に前記感光性樹脂層を転写して形成する樹脂積層体の製造方法であって、前記基板上に、複数の前記感光性樹脂転写材料を送り出す機構、転写搬送機構、及び、前記感光性樹脂転写材料を前記基板に一体的、並列的に接合する機構を有し、かつ、バックアップロールをクラウンロール化した感光性樹脂転写装置を用いて、前記クッション層の厚みが3μm〜30μmである前記感光性樹脂転写材料を転写して前記感光性樹脂層を形成することを特徴とする樹脂積層体の製造方法。
【0008】
<2> 上記<1>の記載の製造方法において、前記樹脂転写材料のクッション層の厚みを3μm〜20μmとすることを特徴とする樹脂積層体の製造方法。
<3> 上記<1>又は<2>に記載の製造方法で作製したことを特徴とする樹脂積層体。
【0009】
<4> 上記<3>に記載の樹脂積層体を露光、現像して作製したことを特徴とする表示装置用材料。
<5> 上記<4>に記載の表示装置用材料を備えたことを特徴とする表示装置。
【0010】
<6> 上記<4>に記載の表示装置用材料を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、2丁ラミネータで樹脂積層体を製造する際に、2丁ラミネータの合せ部(転写材料間の間隙)の大小に依存することなく、樹脂成分の染み出しを抑制して、安定的に製造できる樹脂積層体の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、前記樹脂積層体の製造方法を用いて製造された樹脂積層体を提供することができる。
さらに、本発明によれば、前記樹脂積層体を用いて形成された表示装置用材料を提供することができる。また、更に、本発明によれば、前記表示装置用材料を備えた表示装置、及び液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の樹脂積層体の製造方法は、少なくとも仮支持体とクッション層と感光性樹脂層とを有する感光性樹脂転写材料を用いて基板上に前記感光性樹脂層を転写して形成する樹脂積層体の製造方法であって、所定温度60〜140℃に加熱した前記基板上に、複数の前記感光性樹脂転写材料を送り出す機構、転写搬送機構、及び、前記感光性樹脂転写材料を前記基板に一体的、並列的に接合する機構を有し、かつ、バックアップロールをクラウンロール化した感光性樹脂転写装置を用いて、前記クッション層の厚みが3μm〜30μmである前記感光性樹脂転写材料を転写して前記感光性樹脂層を形成することを特徴とする。
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
[感光性樹脂転写材料]
本発明に用いる樹脂転写材料について説明する。
本発明に用いる樹脂転写材料は、仮支持体/クッション層/感光性樹脂層を基本構成として、仮支持体/クッション層/感光性樹脂層/保護フイルム、仮支持体/クッション層/中間層/感光性樹脂層/保護フイルムなどの構成を取ることが好ましい。
【0014】
<仮支持体>
上記転写材料の仮支持体としては、可撓性を有し、加圧又は、加圧及び加熱下においても著しい変形、収縮若しくは伸びを生じないことが必要である。そのような支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等を挙げることができ、中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
仮支持体の厚さに特に制限はないが、5〜200μmの範囲が一般的で、特に10〜150μmの範囲のものが取扱易さ、汎用性などの点から有利であり好ましい。また、仮支持体は、透明でもよいし、染料化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩などを含有していても良い。
【0015】
<クッション層>
本発明のクッション層は樹脂を含有する弾性体層であり、熱可塑性樹脂層であることが好ましい。
(樹脂)
本発明のクッション層に用いる好ましい樹脂として、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレンエチルアクリレート共重合体樹脂(EEA)、エチレンメタアクリレート共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、PRO NORYL樹脂、アイオノマー樹脂などが挙げられ、具体的には、「高分子材料便覧」(コロナ社発行、社団法人高分子学会編集、昭和48年2月20日発行)、102頁表1・1に記載の樹脂や、103頁表1・2に記載の樹脂が挙げられる。
上記樹脂の中でも、本発明のクッション層には、膜性向上及び、未露光部の除去性向上の観点からアルカリ可溶性クッション層であることが好ましい。
【0016】
クッション層に用いる成分としては、特開平5−72724号公報[0007]以降に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点(軟化温度)がラミ泡混入防止とベース熱膨張防止のバランスの観点から60〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが特に好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル或いはそのケン化物のようなエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステル或いはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのケン化物のような塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物のようなスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物のようなビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンのようなポリアミド樹脂等の有機高分子が挙げられる。
【0017】
また、クッション層を構成する成分には、仮支持体との接着力を調節する為に各種可塑剤、各種ポリマーや過冷却物質、密着改良剤或いは界面活性剤、離型剤、熱重合禁止剤、溶剤等を加えることができる。これらによりTgの調整も可能である。
【0018】
好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂とポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアネートとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアネートとポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、ビスフェノールAとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの縮合反応生成物を挙げることができる。感光性組成物中の、可塑剤の量は上記バインダーに対して200質量%以下が一般的で、20〜100質量%の範囲が好ましい。
【0019】
前記界面活性剤は、クッション層形成成分と混ざり合うものであれば使用可能である。本発明に用いる好ましい界面活性剤としては、特開2003−337424号公報[0015]〜[0024]、特開2003−177522号公報[0012]〜[0017]、特開2003−177523号公報[0012]〜[0015]、特開2003−177521号公報[0010]〜[0013]、特開2003−177519号公報[0010]〜[0013]、特開2003−177520号公報[0012]〜[0015]、特開平11−133600号公報の[0034]〜[0035]、特開平6−16684号公報の発明として開示されている界面活性剤が好適なものとして挙げられる。より高い効果を得る為にはフッ素系界面活性剤、及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、又は、シリコン系界面活性剤、弗素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、或いは2種以上を含有することが好ましく、フッ素系界面活性剤が最も好ましい。
フッ素系界面活性剤を用いる場合、該界面活性剤分子中のフッ素含有置換基のフッ素原子数は1〜38が好ましく、5〜25がより好ましく、7〜20が最も好ましい。フッ素原子数が多すぎるとフッ素を含まない通常の溶媒に対する溶解性が落ちる点で好ましくない。フッ素原子数が少なすぎると、ムラの改善効果が得られない点で好ましくない。
また、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、又は、シリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0020】
本発明においては、クッション層の層厚を3μm〜30μmとする。クッション層の層厚が30μmを超えると、感光性樹脂成分の染み出しが多くなり、合わせ部での欠陥、ごみ発生の原因となる。3μm未満であると、ラミネート時に十分なクッション作用を発揮できず、凹凸基板への追従性を損なわれる。また、ラミネート時のシェアーを十分に吸収できず、正常な剥離界面での転写ができなくなるため好ましくない。
また、好ましくは3μm〜20μmであり、より好ましくは5μm〜20μmであり、特に好ましくは5μm〜10μmである。
【0021】
<中間層>
本発明における感光性樹脂転写材料においては、複数の塗布層の塗布時、及び塗布後の保存時における成分の混合を防止する目的から、中間層を設けることができる。該中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いても良く、この場合、露光時感度がアップし、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。
該酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせである。
【0022】
<感光性樹脂層>
本発明の感光性樹脂層は、着色画素(色材)、スペーサ、ブラックマトリクス(黒材)、配向制御材等の樹脂構造物を形成する場合に該樹脂構造物を構成する層である。
該感光性樹脂層は、少なくとも高分子物質と、重合性モノマーと、光重合開始剤とを含んだ感光性樹脂組成物から形成され、必要に応じて着色剤や他の成分を用いて構成することができる。着色剤を含有する場合には、カラーフィルタを構成する着色画素を形成することができる。
【0023】
(高分子物質)
高分子物質は、スペーサや着色画素等の樹脂構造物を形成した場合にバインダー成分としての機能を有するものであり、前記<クッション層>の項で述べた樹脂や、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーや、それ自体重合性を有する、光により重合可能なアリル基を有する高分子樹脂が好ましい例として挙げられる。
高分子物質は、目的に応じて適宜選択した単量体の単独重合体、複数の単量体からなる共重合体のいずれであってもよく、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用するようにしてもよい。
側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーの例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。
アリル基を有する高分子物質の単量体としては、特開2003−131379[0031]〜[0054]に記載の樹脂が好適なものとして挙げられる。
前記高分子物質の質量平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定値のポリスチレン換算値で5,000〜100,000が好ましく、8,000〜50,000がより好ましい。該質量平均分子量を5,000〜100,000の範囲内とすることで、膜強度を良化することができる。
前記高分子物質の感光性樹脂層中における含有量としては、該層の全固形分に対して、15〜95質量%が好ましく、30〜85質量%がより好ましく、40〜75質量%が更に好ましい。
【0024】
(重合性モノマー)
重合性モノマーとしては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エステル化合物、アミド化合物、並びにその他の化合物が挙げられる。
前記エステル化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル、その他のエステル化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、これらの中でも、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステル等が好ましい。
前記単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチルモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリル酸エステルしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも特に、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
前記多官能(メタ)アクリル酸エステルの他の例としては、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、及び特公昭52−30490号公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類、特開昭60−258539号公報に記載の(メタ)アクリル酸エステルやウレタン(メタ)アクリレートやビニルエステル、などが挙げられる。
前記「その他のエステル化合物」としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、日本接着協会誌Vol.20,No.7,第300〜308頁に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマー、などが挙げられる。
また、上記のアミド化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド(モノマー)などが挙げられ、具体的には、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、などが挙げられ、また、特開昭60−258539号公報に記載の(メタ)アクリル酸アミド、などが挙げられる。
また、上記の「その他の化合物」としては、例えば、特開昭60−258539号公報に記載のアリル化合物、などが挙げられる。
上記した重合性モノマーは、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用するようにしてもよい。
重合性モノマーの感光性樹脂層中における含有量としては、該層の全固形分に対して、10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
本発明においては、感光性樹脂層中における、前記高分子物質の含有量A(質量%)と前記重合性モノマーの含有量(質量%)Bとの比B/Aとしては、0.3〜1.2が好ましい。この比B/Aを上記範囲にすることで、より効果的にレチキュレーションの発生を抑止でき、アルカリ現像に長時間要することもない。
また、より好ましい比B/Aの範囲は0.3〜0.9である。
【0025】
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、およそ300nm〜500nmの波長領域に約50以上の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有しているものが好ましく、例えば、特開平2−48664号公報、特開平1−152449号公報、及び特開平2−153353号公報に記載の芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類、ハロゲン化炭化水素誘導体、ケトン化合物、ケトオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、などが挙げられる。
上記の中でも、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体との組合せ、4−〔p−N,N’−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン〕、2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N’−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジンなどが好ましい。
上記の光重合開始剤は、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用するようにしてもよい。
光重合開始剤の含有量としては、前記重合性モノマーの量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
本発明に係る感光性樹脂層には、上記した高分子物質、重合性モノマー、及び光重合開始剤のほか、染料、顔料等の着色剤を含有してもよい。好ましい顔料の種類、サイズ等については、例えば特開平11−149008号公報の記載から適宜選択することができる。顔料等の着色剤を含有させた場合は、着色画素を形成することができる。
また、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を添加することもできる。
感光性樹脂層の層厚としては、0.5〜10μmが好ましく、1〜6μmがより好ましい。該層厚が、0.5μm未満であると製造時の塗布形成の際にピンホールが発生することがあり、10μmを超えると現像時に未露光部を除去するのに長時間を要することがある。
【0026】
(着色剤)
着色剤は、通常顔料であり、顔料分散レジストに通常用いられる有機顔料又は無機顔料が使用できる。無機顔料としては、金属酸化物や金属錯塩のような金属化合物が挙げられ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモンなどの金属の酸化物又は複合金属酸化物が挙げられる。また有機顔料及び無機顔料として具体的には、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられる。より具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0027】
上記公知の染料ないし顔料としては、ビクトリア・ピュアーブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、C.I.ピグメント・イエロー1、3、12、13、14、5、16、17、20、24、31、55、60、61、65、71、73、74、81、83、93、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、126、127、128、129、138、139、150、151、152、153、154、155、156、166、168、175、180、185。
C.I.ピグメント・オレンジ1、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、61、63、64、71、73。
C.I.ピグメント・バイオレット1、19、23、29、32、36、38;
C.I.ピグメント・レッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、193、194、202、206、207、208、209、215、216、220、224、226、242、243、245、254、255、264、265。
C.I.ピグメント・ブルー15、15:3、15:4、15:6、60。
C.I.ピグメント・グリーン7、36。
C.I.ピグメント・ブラウン23、25。
C.I.ピグメント・ブラック1、7等が挙げられる。
上記顔料は分散液として使用することが望ましい。この分散液は、前記顔料と顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、後述する有機溶媒(又はビヒクル)に添加して分散させることによって調製することができる。前記ビビクルとは、塗料が液体状態にある時に顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を固める部分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。前記顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438項に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に該文献310項記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
【0028】
(界面活性剤)
本発明の感光性樹脂層においては、塗布ムラ(膜厚変動によるムラ)を効果的に防止するという観点から、界面活性剤を含有させることが好ましい。該界面活性剤は、前記<クッション層>の項で述べた界面活性剤が好適なものとして挙げられる。
【0029】
(熱重合防止剤)
また、本発明の感光性樹脂層は、熱重合防止剤を含むことが好ましい。該熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。
尚、感光性樹脂層の全固形分に対する熱重合防止剤の含有量は、0.01〜1%が一般的であり、0.02〜0.7%が好ましく、0.05〜0.5%が特に好ましい。
【0030】
<保護フイルム>
感光性樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護する為に薄い保護フイルムを設けることが好ましい。保護フイルムは仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、感光性樹脂層から容易に分離されねばならない。保護フイルム材料としては例えばシリコン紙、ポリオレフィン若しくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。
【0031】
<感光性樹脂転写材料の作製方法>
本発明の感光性樹脂転写材料は、仮支持体上にクッション層の添加剤を溶解した塗布液(クッション層用塗布液)を塗布し、乾燥することによりクッション層を設け、その後クッション層上にクッション層を溶解しない溶剤からなる中間層材料の溶液を塗布、乾燥し、その後上記の組成物から樹脂層を、中間層を溶解しない溶剤で塗布、乾燥して設けることにより作製することができる。
また、前記の仮支持体上にクッション層及び中間層を設けたシート、及び保護フイルム上に感光性樹脂層を設けたシートを用意し、中間層と感光性樹脂層が接するように相互に貼り合わせることによっても、更には、前記の仮支持体上にクッション層を設けたシート、及び保護フイルム上に感光性樹脂層及び中間層を設けたシートを用意し、クッション層と中間層が接するように相互に貼り合わせることによっても、作製することができる。
尚、本発明の樹脂転写材料において、着色樹脂組成物の樹脂層の膜厚としては、1.0〜5.0μmが好ましく、1.0〜4.0μmがより好ましく、1.0〜3.0μmが特に好ましい。
また、特に限定されるわけではないが、その他の各層の好ましい膜厚としては、中間層は0.5〜3.0μm、保護フイルムは4〜40μmが、一般的に好ましい。
尚、上記作製方法における塗布は、公知の塗布装置等によって行うことができるが、本発明においては、スリット状ノズルを用いた塗布装置(スリットコータ)によって行うことが好ましい。
【0032】
(スリット状ノズル)
上記転写材料は、公知の塗布方法により塗布し乾燥することによって形成することができるが、本発明においては、液が吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズルによって塗布することが好ましい。具体的には、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズル、及びスリットコーターが好適に用いられる。
【0033】
<樹脂積層体の製造方法>
本発明の樹脂積層体の製造方法は、前記転写材料を用いて、複数の転写材料送り出し部と加工機構、転写搬送機構、及び、前記転写材料を前記基板に一体的、並列的に接合する機構を有し、かつ、バックアップロールをクラウンロール化した感光性樹脂転写装置(ラミネータ)を用いる。
前記製造方法により製造された樹脂積層体は、露光して現像することをパターンの数だけ繰り返す方法など、公知の方法によって、カラーフィルタ(ブラックマトリクス、スペーサ、配向制御用突起等)を得ることができる。
【0034】
(ラミネータによる貼り付け)
本発明におけるラミネータである感光性樹脂転写装置は、複数の転写材料送り出し機構と加工機構、転写搬送機構、及び、該転写材料を基板に一体的、並列的に接合する機構を有し、かつ、バックアップロールをクラウンロール化した装置である。
ここで、前記一体的、並列的に接合する機構とは、複数の転写材料を同一速度、かつ、同一方向に近接して搬送し、複数の転写プロセスを安定して行うための機構全般を指し、具体的には、フレーム本体、調整機構などを指す。
本発明は、前記感光性樹脂転写材料を用い、フイルム状に形成した感光性樹脂層を、後述する基板上に加熱及び加圧したローラーで加熱圧着することによって、貼り付けることができる。
本発明に用いることができる感光性樹脂転写装置は、前記構成を有すれば特に限定されないが、具体的には、下記の転写装置を用いるのが好ましい。
【0035】
(転写装置)
本発明に用いることができる転写装置は、特開2004−333616号公報に記載の、複数の転写材料を1枚の基板に転写可能なラミネータであることが好ましい。
転写装置は、該基板に複数の感光性樹脂転写材料の感光性樹脂層を一体的、並列的に接合する機構(ラミネートロール対とバックアップロール)を有し、中でも、2枚の転写材料を用いる転写装置が好ましい。
前記複数の転写材料を用いて形成された複数の感光性樹脂層間の間隙が、染み出し防止と転写合わせ部縮小(有効転写エリアの拡大)の観点から、それぞれ独立に、1〜20mmであることが好ましく、1〜10mmであることがより好ましく、3〜8mmが特に好ましい。
また、本発明に用いる転写装置のラミネートロール硬度は、ラミ泡、段ムラ防止の観点から40度〜80度が好ましく、50〜70度がより好ましい。
ラミネートロール径は、ラミロール幅方向の圧力安定化とラミロール抱き角度最適化の観点から50〜150mmが好ましく、70〜130mmがより好ましい。
バックアップロール径は、50〜300mmが好ましく、100〜200mmがより好ましい。
また、本発明におけるバックアップロールはクラウンロール化していることが必要であり、そのクラウンロールにおけるクラウン量、即ち、ラミネートロール端とラミネートロール中央部での直径の差が、3mm以下が好ましく、0.1〜3.0mmがより好ましく、0.1から2mmがさらに好ましく、0.5〜2mmが特に好ましい。
【0036】
また、転写プロセス条件については、基板予備加熱装置で、この基板の加熱温度を60〜140℃にして用いる。該転写プロセスのその他の条件としては、ゴムローラー温度80〜140℃、ラミネート圧力(線圧)50〜200N/cm、搬送速度1〜5m/分の範囲が好ましい。ゴムローラーは140℃超えると、転写材料にシワがはいり、80℃未満では感光性樹脂層の密着が弱くなる。
【0037】
前記2枚の転写材料を用いる感光性樹脂転写装置(2丁ラミネート)について、以下具体的に説明する。
【0038】
本発明における感光性樹脂転写装置の前記転写材料送り出し機構は転写材料取り付け軸より構成される。
また、前記加工機構は、基板の長さに合わせて転写材料の感光性樹脂層及びカバーフィルムにハーフカットを入れるハーフカッター部、及びカバーフィルムを剥離する剥離機構より構成される。
また、前記転写搬送機構は、圧着部(ラミネート部)前の転写材料の搬送を安定化させる機構、即ち、バックテンションコントローラを有するテンション調節機構、フィルム位置制御装置と転写後のベースフィルムの剥離部より構成される。
これら転写材料送り出し機構、加工機構、及び転写搬送機構は、複数、一体的、並列的に配置される。
【0039】
本発明における転写方法は、基板上の転写エリアの幅よりも狭い幅の転写材料を複数枚並列に供給して、前記転写エリアの略全面に感光性樹脂層を転写することを特徴とする。
【0040】
本発明における感光性樹脂転写装置の一例を図1〜7を用いて説明する。
図1は、本発明における感光性樹脂転写装置の一例の全体の概要を示す概略図である。
図1に示す感光性樹脂転写装置2は、基板供給部10、予備加熱部11、接合機構(熱圧着部)12、冷却部13、基板取り出し部15、転写材料送り出し機構16(転写材料取り付け軸37、38)、加工機構39〜42、転写搬送機構(剥離部14、フイルム位置制御装置57、テンション調節機構43,44)等から構成されている。
これらのうち、基板供給部10、予備加熱部11、接合機構(熱圧着部)12、冷却部13、基板取り出し部15は一式を示すが、これらも複数、並列的に配置し、複数の基板を同時並列的にラミネートしても良い。
転写材料送り出し機構16は、転写材料取り付け軸37,38を有し、該転写材料取り付け軸37,38には、それぞれ長尺の転写材料17a,17bをロール状に巻いた転写材料ロール18a,18bがセットされる。
転写材料送り出し機構16は、それぞれ転写材料ロール18a,18bからそれぞれの転写材料17a,17bを引き出して、搬送路に並列に供給する。
【0041】
図2に示すように、各転写材料17a,17bは、仮支持体19上に、カラーフイルタを構成する感光性樹脂層20を層設したものであり、感光性樹脂層20の上層には感光性樹脂層20を保護するカバーフイルム21が設けられている。カラーディスプレイのパネルを製造する場合には、R(レッド),G(グリーン),B(ブルー)の3色のカラーフイルタに対応するR用,G用,B用の3色の転写材料17a,17bが、基板22上に面順次に転写される。
例えば、まず、R用の転写材料ロール18a,18bがセットされて、R用の感光性樹脂層がガラス基板22に転写される。この転写の後、フォトリソグラフィ法により、転写された感光性樹脂層に対して露光,現像が行われてフイルタパターンが形成される。フイルタパターンが形成された感光性樹脂層は、ベークされて基板上に固定される。
【0042】
このベーク後、R用のフイルタが形成されたガラス基板22は、再び感光性樹脂転写装置2に戻される。そして、G用の転写材料ロール18a,18bがセットされて、G用の感光性樹脂層がガラス基板22に転写される。転写されたG用の感光性樹脂層は、R用の感光性樹脂層と同様に、フイルタパターンが形成され、ベークにより固定される。G用のフイルタが形成された後、同様に、B用の感光性樹脂層が転写されて、B用のフイルタが形成される。これら3色のカラーフイルタを形成した後、それらの隙間を埋めるために、K(ブラック)用の感光性樹脂層が転写される。
【0043】
図1において、基板22は、基板供給部10のロボットハンド23によって、一定間隔で転写面を下側に向けた状態で予備加熱部11に供給される。この基板22は、例えば、4枚分のパネルを含む大きさであり、カラーフイルタが形成された後、4分割される。
【0044】
予備加熱部11は、基板搬送装置24と、ヒータ25, 26とから構成される。基板搬送装置24は、エアー浮上プレート27と送りローラ28とからなる。エアー浮上プレート27は、基板22の転写面側に対面するように配置されており、転写面に向けてクリーンなエアーを吹き出して、基板22を浮上させる。
【0045】
送りローラ28は、浮上した基板22の転写面の両側縁部に接触し、回転することで基板22を接合機構(熱圧着部)12へ向けて搬送する。基板22の転写面の両側縁部には感光性樹脂層20は転写されず、送りローラ28の周面が感光性樹脂層20に接触することはない。この送りローラ28はつば付きローラから構成されており、図示しないつばが基板22のガイドとして機能し、基板22の幅方向を位置決めする。
【0046】
ヒータ25, 26は、基板搬送装置24の基板22の搬送路を挟むように上下に複数個配置されており、基板22を例えば50〜110℃の温度に加熱する。予備加熱部11で加熱された基板22は、送りローラ28により接合機構(熱圧着部)12に送り出される。
【0047】
接合機構(熱圧着部)12は、ラミロール対29とバックアップローラ30とから構成されている。ラミロール対29は、基板22に接触するラミロール29aと、転写材料17に接触する29bとから構成される。これらラミロール29a、29b、およびバックアップローラ30にはヒータが内蔵されている。ラミロール対29は、基板22と転写材料17とを挟持して搬送することにより、転写材料17を基板22に熱圧着して貼り付ける。バックアップローラ30は、ラミロール29a、29bに接触して従動回転し、ラミロール29a、29bの撓みを抑えて、均一な力による熱圧着を可能にする。
【0048】
接合機構(熱圧着部)12は、後述するハーフカッタ45のハーフカット線が所定の位置を通過すると、基板搬送装置24に送り込み開始信号を送出する。これにより、ハーフカット線と基板22との位置合わせが行われた状態で、転写材料17の感光性樹脂層20が基板22に転写される。このとき、仮支持体19も基板22の移動に伴いラミロール対29の送り方向下流側に送られる。
【0049】
冷却部13は、冷却風吹き出しボード31と、搬送ローラ32とから構成される。冷却風吹き出しボード31は、HEPAフイルタを通過したクリーンな冷却風を基板22に向けて吹き出し、搬送ローラ32で搬送される基板22の温度をほぼ室温(30℃以下)に冷却する。
【0050】
本発明における転写搬送機構の一部である剥離部14は、剥離ローラ33およびベースフイルム巻取り機構34から構成されており、基板22から仮支持体19を連続的に剥離し、この仮支持体19を回収軸34aにロール状に巻き取る。回収軸34aは図示しない巻取りモータによって回転駆動される。この巻取りモータはトルク制御されており、ラミロール対29以降の仮支持体19の張力を一定に保持して、仮支持体19に撓みが発生しないようにしている。
【0051】
剥離部14の下流側には、エアー浮上プレート35からなる基板取り出し部15が設けられている。このエアー浮上プレート35は、予備加熱部11のエアー浮上プレート27と同様に構成されている。剥離部14から基板取り出し部15に送り出された基板22は、ロボットハンド36によってその上側面を吸着されて取り出される。
【0052】
図3に示すように、感光性樹脂転写装置2は、加工機構としてカッタ部39,40、カバーフイルム剥離機構41, 42を備え、更に転写搬送機構としては、前記剥離部の他に、バックテンションローラを有するテンション調節機構43,44及びフィルム位置制御装置57を独立に備えている。
各転写材料ロール18a,18bは、転写材料取り付け軸37,38にそれぞれセットされる。
【0053】
カッタ部39,40は、それぞれの転写材料17a,17bの仮支持体19a, 19bを残して、基板22の転写エリア22aの長さに合わせて感光性樹脂層20a, 20bおよびカバーフイルム21a, 21bに切れ目を入れるハーフカッタ45を備えている。ハーフカッタ45は、その長手方向が各転写材料17a,17bの幅方向に沿って延びた2枚の刃からなる。2枚の刃の間隔は、複数の基板22が連続的に搬送される間隔に対応している。すなわち、2枚の刃の間隔は、1枚の基板22の転写エリア22aの後端と、次の基板22の転写エリア22aの前端との間隔に対応しており、2枚の刃を同時に1回動作させることにより、それらの位置に同時に切れ目が入れられる。
【0054】
カバーフイルム剥離機構41, 42は、カットされた各感光性樹脂層20a, 20bの上層のカバーフイルム21a, 21bを各転写材料17a,17bから剥離する。このカバーフイルム剥離機構41, 42は、粘着テープロール46から引き出された粘着テープ47を、押さえローラ48によりカバーフイルム21へ貼り付け、このカバーフイルム21が貼り付いた粘着テープ47をテープ巻取り軸49に巻き取って回収する。
【0055】
本発明における転写搬送機構のテンション調節機構43, 44は、バックテンションローラ50, 51、モータ52, 53およびテンションセンサ54, 55から構成される。バックテンションローラ50, 51は、テンションセンサ54, 55から検出される張力値に基づいて、ラミロール対29以前の転写材料17a, 17bの張力を一定に保持して、転写材料17a, 17bに撓みが発生しないようにしている。テンションセンサ54, 55で検出された張力値は、コントローラ56(図5参照)に送られて、モータ52, 53の回転速度や回転量が制御され、これによりテンションが調節される。
【0056】
符号57は、前記転写搬送機構におけるフイルム位置制御装置である。フイルム位置制御装置57は、並列に搬送される2枚の転写材料17a, 17bの間の距離を所定間隔に保持して、転写材料17a, 17bの搬送を安定させる。なお、フイルム位置制御装置57を随所に設置して転写材料17a, 17bを精度よく搬送するようにしてもよい。
【0057】
図4に示すように、各転写材料17a, 17bの幅W2は、基板22上の転写エリア22aの全幅W1よりも狭く、例えば、W2≦1/2・W1である。こうした転写材料17a, 17bが並列に供給されることで、転写エリア22aの略全面に感光性樹脂層20が転写される。このように、基板上の転写エリアよりも幅が狭い転写材料を複数枚並列に供給することにより、転写材料を幅広化することなく、幅広の転写エリアの略全面に感光性樹脂層を転写することができる。
ここで、W1−2・W2は、前記複数の感光性転写材料の間隙を表す。
【0058】
図5に示すように、テンション調節機構43,44におけるバックテンションローラ50, 51は、同軸上に設けられている。各バックテンションローラ50, 51は、それぞれ別々のモータ52,53で駆動される。コントローラ56は、これらのモータ52,53を独立に制御することで、各転写材料の張力をそれぞれ独立に調節する。複数の転写材料を1つのバックテンションローラに引っかけて搬送しようとすると、いずれかの転写材料に滑りが生じるため、各転写材料の張力を一定に保持することができない。そこで、本発明における転写装置では、各転写材料に対して、テンション調節機構を設けて、これらを独立に制御することで、各転写材料の張力が一定に保持されるようにしている。
【0059】
次に、本実施形態の作用を説明する。
基板供給部10のロボットハンド23によって基板22が予備加熱部11に供給される。予備加熱部11に供給された基板22は、ヒータ25,26によって加熱されて接合機構(熱圧着部)12に送り出される。そして、接合機構(熱圧着部)12に送り出された基板22に対して、転写材料送り出し機構16から転写材料17a, 17bが並列に供給される。
【0060】
各転写材料17a, 17bが接合機構(熱圧着部)12に供給される以前には、コントローラ56が転写材料送り出し機構16を独立に制御して、転写材料17a, 17bに対して各転写材料ロール18a,18b各部の処理を実行する。転写材料17a, 17bは、各カット部39,40のハーフカッタ45によって基板22の転写エリア22aの長さに合わせて切れ目を入れられて、各カバーフイルム剥離機構41, 42に送られる。各カバーフイルム剥離機構41,42では、カットされた各感光性樹脂層20a, 20bの上層のカバーフイルム21a, 21bが転写材料17a, 17bから剥離される。各カバーフイルム剥離機構41, 42を通過した転写材料17a, 17bは、各テンション調整機構43,44によって転写材料17a, 17bの張力が一定に保持された状態で、接合機構(熱圧着部)12に供給される。
【0061】
各転写材料送り出し機構16から供給された転写材料17a, 17bは、基板22の転写エリア22aに位置合わせされた状態で、接合機構(熱圧着部)12のラミネートロール対29の間を搬送されて、基板22の転写エリア22aに各転写材料17a, 17bの感光性樹脂層20a, 20bが転写される。その後、各転写材料17a, 17bの感光性樹脂層20a, 20bが転写された基板22は、冷却部13に送られて、冷却風吹き出しボード31からの冷却風を受けて冷却された後、剥離部14に送られる。剥離部14では、各転写材料17a, 17bの仮支持体が回収軸34aに巻き取られて剥離される。各転写材料17a, 17bの仮支持体が剥離された基板22は、基板取り出し部15に送り出されて、ロボットハンド36によってその上側面を吸着されて取り出される。
【0062】
上述したように、基板22の転写エリア22aの幅よりも狭い幅の転写材料17a, 17bを並列に供給する転写材料送り出し機構16を備えることにより、装置の搬送系を幅広化する必要がないから、装置の改造費用が抑えられるとともに、幅広の基板の全面に感光性樹脂層を転写することができる。また、狭い幅の転写材料が使用されるから、しわが発生しにくく、転写材料の取り扱い性を損なうことがない。
【0063】
上記例では、各転写材料送り出し機構から、同じ色用の感光材料を供給する例で説明したが、図6に示すように、転写材料送り出し機構の第1供給部からは、R用の感光材料を供給し、他方からは、G用の感光材料を供給するというように、異なる色の感光材料を供給してもよい。また、上記例では、転写材料供給部を2つ設けた例で説明したが、2つ以上設けてもよい。
また、上記例では、各転写材料供給部が供給する各転写材料の幅を、転写エリアの1/2以下として、それぞれを同じ幅とした例で説明したが、一方が転写エリアの1/3の幅を持ち、他方が2/3の幅を持つというように、各転写材料の幅は同じでなくてもよいし、転写エリアの1/2以下でなくてもよい。このように、各転写材料の幅を変更すれば、転写材料の製造工程で発生する端尺幅の転写材料を有効に活用することもできる。
【0064】
図7は、中央に位置する第2供給部からR用の転写材料を供給し、その両側に位置する第1及び第3供給部からアライメントマークを転写するためのK用の転写材料を供給する例である。アライメントマークは、各色の転写位置を合わせるための位置決めマークである。
【0065】
(基板)
本発明において、樹脂積層体が形成される基板としては、例えば、透明基板が用いられ、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、或いは、プラスチックフィルム等を挙げることができる。
また、上記基板は、予めカップリング処理を施しておくことにより、転写材料との密着を良好にすることができる。該カップリング処理としては、特開2000−39033号公報記載の方法が好適に用いられる。尚、特に限定されるわけではないが、基板の膜厚としては、700〜1200μmが一般的に好ましい。
【0066】
(酸素遮断膜)
本発明の樹脂積層体を製造するに当たり、前記樹脂層上に更に酸素遮断膜を設けることができ、これにより、露光感度をアップすることができる。該酸素遮断膜としては、既に<転写材料>の(中間層)の項において説明したものと同様のものが挙げられる。尚、特に限定されるわけではないが、酸素遮断膜の膜厚としては、0.5〜3.0μmが好ましい。
【0067】
[表示装置用材料]
本発明の表示装置用材料は、前記樹脂積層体を露光し、現像することにより得ることができる。
ここで、本発明の表示装置用材料は前記樹脂積層体を用いて製造できる材料であり、液晶表示装置、PDP、ELなどに用いるカラーフィルタ(カラー画像、BM、スペーサ、及び液晶配向制御用突起等の全てを包含するもの。)等を意味する。
【0068】
(露光及び現像)
上記樹脂積層体の基板上に形成された樹脂層の上方に所定のマスクを配置し、その後該マスク、熱可塑性樹脂層、及び中間層を介してマスク上方から露光し、次いで現像液による現像を行う、という工程をパターンの数だけ繰り返すことにより、本発明の表示装置用材料を得ることができる。
ここで、前記露光の光源としては、樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm2程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm2程度である。
【0069】
また、前記現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。尚、現像液は樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。
【0070】
水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。該有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。
また、上記現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディプ現像等、公知の方法を用いることができる。
【0071】
ここで、上記シャワー現像について説明すると、露光後の樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。尚、現像の前に樹脂層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
【0072】
洗浄液としては公知のものを使用できるが、(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名「T−SD1(富士写真フイルム製)」、或いは、炭酸ナトリウム・フェノキシオキシエチレン系界面活性剤含有、商品名「T−SD2(富士写真フイルム製)」)が好ましい。
現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
【0073】
カラーフィルタを製造する場合においては、後述の基板上に後述の着色剤を含有する転写材料を用いて感光性樹脂層を重ねることで土台を形成し、その上に透明電極を形成し、更に分割配向用の突起を重ねることでスペーサを形成することが、コストダウンの観点で好ましい。
熱可塑性樹脂層を有する転写材料を用いる場合は、厚みが一定に保たれる為、重ねる色は3又は2色とすることが好ましい。
また上記土台のサイズは、転写材料を重ねてラミネートする際の樹脂層の変形を防止し一定の厚みを保持する観点から、25μm以上が好ましく、30μm以上が特に好ましい。
【0074】
<表示装置>
本発明における前記感光性転写材料を用いて作製された前記表示装置用材料を備えたものであれば特に限定されるものではない。
本発明の表示装置としては液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などを言う。表示装置の定義や各表示装置の説明は例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
本発明の表示装置のうち、後述の液晶表示装置は特に好ましい。
【0075】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置とは、本発明の表示装置用材料を備えるものであれば、特に限定されない。さらに偏光板を有することが好ましい。
液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。例えば、ECB(Electrically Controlled Birefringence )、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest Host)のような様々な表示モードが採用できる。この表示モードの中でも、特に高い表示品位の表示装置を提供できるVA(Vertically Aligned)表示モードが好ましい。
本発明はこれらのなかで特にカラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。
さらに本発明はもちろんIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置にも適用できる。
これらの方式については例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページに記載されている。
また、ノートパソコン用ディスプレイやテレビモニター等の大画面の液晶表示装置等にも好適に用いることができる。
【実施例】
【0076】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下において「%」、「部」は、特に断りがない限り、それぞれ「質量%」、「質量部」を表す。
【0077】
(実施例1)
(カラーフィルタの作製)
−感光性樹脂転写材料の作製−
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなるクッション層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1から成る中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、下記表1に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物K1を塗布、乾燥させ、該仮支持体の上に乾燥膜厚が3μmのクッション層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、乾燥膜厚が2.4μmの感光性樹脂層を設け、保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
こうして仮支持体とクッション層と中間層(酸素遮断膜)とブラック(K)の感光性樹脂層とが一体となった感光性樹脂転写材料を作製し、サンプル名を感光性樹脂転写材料K1とした。
【0078】
<クッション層用塗布液:処方H1>
・メタノール 11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.4部
・メチルエチルケトン 52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、重量平均分子量=10万、Tg≒70℃) 5.83部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃) 13.6部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学(株)製) 9.1部
・界面活性剤1 0.54部
【0079】
*界面活性剤1:メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業(株)製)の組成は、
・C613CH2CH2OCOCH=CH2:40部とH(OCH(CH3)CH27OCOCH=CH2:55部とH(OCH2CH27OCOCH=CH2:5部との共重合体、重量平均分子量3万 30部
・メチルエチルケトン 70部
【0080】
<中間層用塗布液処方:P1>
・ポリビニルアルコール 2.1部
(PVA205(鹸化率=88%);(株)クラレ製)
・ポリビニルピロリドン 0.95部
(PVP、K−30;アイエスピー・ジャパン(株)製)
・メタノール 44部
・蒸留水 53部
【0081】
次に、前記感光性樹脂転写材料K1の作製において用いた前記着色感光性樹脂組成物K1を、下記表1に記載の組成よりなる下記着色感光性樹脂組成物R1、G1及びB1に変更した以外は、上記と同様の方法により、感光性樹脂転写材料R1、G1及びB1を作製した。
【0082】
−ブラック(K)画像の形成−
無アルカリガラス基板を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で100℃2分加熱した。
【0083】
前記感光性樹脂転写材料K1の保護フイルムを剥離後、下記転写装置を用い、前記100℃で2分間加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分、の条件でラミネートした。
転写装置は、ウェブ幅520mm×2丁、ウェブ間隔5mm、ラミネートロール径110mm、バックアップロール径250mm、クラウン量2mm(ロール中央と端部の直径の差)とした(中央が太い)とした2丁ラミネータ(前記特許文献1記載)を用いた。
【0084】
仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cm2でパターン露光した。
【0085】
次に、トリエタノールアミン系現像液(2.5%のトリエタノールアミン含有、ノニオン界面活性剤含有、ポリプロピレン系消泡剤含有、商品名:T−PD1、富士写真フイルム株式会社製)にて30℃50秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しクッション層と中間層(酸素遮断膜)を除去した。
引き続き炭酸Na系現像液(0.06モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、同濃度の炭酸ナトリウム、1%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、安定剤含有、商品名:T−CD1、富士写真フイルム株式会社製)を用い、29℃30秒、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し感光性樹脂層を現像しパターニング画素を得た。
【0086】
引き続き洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名「T−SD1(富士写真フイルム(株)製)」を用い、33℃20秒、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーとナイロン毛を有す回転ブラシにより残渣除去を行い、ブラック(K)の画像を得た。その後更に、該基板に対して該樹脂層の側から超高圧水銀灯で500mJ/cm2の光でポスト露光後、220℃、15分熱処理した。
【0087】
このKの画像を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置により100℃2分加熱した。
【0088】
−レッド(R)画素の形成−
前記感光性樹脂転写材料R1を用い、ブラック(K)画像を形成した基板上に、前記感光性樹脂転写材料K1と同様の工程で、レッド(R)の画素と、28×28μmの角形のレッド(R)パターンを形成した。但し露光量は40mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は35℃35秒とした。
【0089】
該感光性樹脂層R1膜厚は2.0μmであり、顔料C.I.ピグメント・レッド254及びC.I.ピグメント・レッド177の塗布量はそれぞれ、0.88、0.22g/m2であった。
このRの画素を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置により100℃2分加熱した。
【0090】
−グリーン(G)画素の形成−
前記感光性樹脂転写材料G1を用い、前記レッド(R)画素を形成した基板上に、前記感光性樹脂転写材料K1と同様の工程で、グリーン(G)の画素を、前記レッド(R)パターン上にレッド(R)パターン全体を覆うようにグリーン(G)パターンを形成した。但し、露光量は40mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は34℃45秒とした。
該感光性樹脂層G1膜厚は2.0μmであり、顔料C.I.ピグメント・グリーン36及びC.I.ピグメント・イエロー150の塗布量はそれぞれ、1.12、0.48g/m2であった。
【0091】
RとGの画像を形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置により100℃2分加熱した。
【0092】
−ブルー(B)画素の形成−
前記感光性樹脂転写材料B1を用い、前記レッド(R)画素とグリーン(G)画素を形成した基板上に、前記感光性樹脂転写材料K1と同様の工程で、ブルー(B)の画素を得た。但し露光量は30mJ/cm2、炭酸Na系現像液による現像は36℃40秒とした。
該感光性樹脂層B1膜厚は2.0μmであり、顔料C.I.ピグメント・ブルー15:6及びC.I.ピグメント・バイオレット23の塗布量はそれぞれ、0.63、0.07g/m2であった。
【0093】
このR、G、B画素及びKの画像を形成した基板を240℃で50分ベークして、目的のカラーフィルタを作製した。
【0094】
ここで、上記表1に記載の着色感光性樹脂組成物K1、R1、G1、B1の調製について説明する。
着色感光性樹脂組成物K1は、まず表1に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpm10分間攪拌し、次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー1、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpm30分間攪拌することによって得られた。
【0095】
尚、表2に記載の組成物の内、
*K顔料分散物1の組成は、
・カーボンブラック(デグッサ社製、商品名Special Black 250) 13.1部
・5−[3−オキソ−2−[4−[3,5−ビス(3−ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル)フェニル]アミノカルボニル]フェニルアゾ]−ブチロイルアミノベンズイミダゾロン 0.65部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万) 6.72部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53部
【0096】
*バインダー1の組成は、
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比のランダム共重合物、分子量4万) 27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
【0097】
*DPHA液の組成は、
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) 76部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24部
【0098】
*界面活性剤1は前記と同様である。
【0099】
着色感光性樹脂組成物R1は、まず表1に記載の量のR顔料分散物1、R顔料分散物2、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150rpm10分間攪拌し、次いで、表1に記載の量の添加剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpm20分間攪拌し、更に、表3に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpm30分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得られた。
【0100】
尚、表2に記載の組成物の内、
*R顔料分散物1の組成は、
・C.I.ピグメント・レッド254 8.0部
・5−[3−オキソ−2−[4−[3,5−ビス(3−ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル)フェニル]アミノカルボニル]フェニルアゾ]−ブチロイルアミノベンズイミダゾロン 0.8部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万) 8.0部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 83.2部
【0101】
*R顔料分散物2の組成は、
・C.I.ピグメント・レッド177 18部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万) 12部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 70部
【0102】
*バインダー2の組成は、
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート=38/25/37モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3万 27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
【0103】
*添加剤1は、燐酸エステル系特殊活性剤(楠本化成(株)製、商品名:HIPLAAD ED152)を用いた。
着色感光性樹脂組成物G1は、まず表1に記載の量のG顔料分散物1、Y顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpm10分間攪拌し、次いで、表2に記載の量のメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、バインダー1、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150rpm30分間攪拌し、更に、表1に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpm5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得られた。
【0104】
尚、表2に記載の組成物の内、
*G顔料分散物1の組成は、
・C.I.ピグメント・グリーン36 18部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万) 12部
・シクロヘキサノン 35部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 35部
*Y顔料分散物1(御国色素社製、商品名:CFエローEX3393)
【0105】
着色感光性樹脂組成物B1は、まず表1に記載の量のB顔料分散物1、B顔料分散物2、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpm10分間攪拌し、次いで、表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー3、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、フェノチアジンをはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpm30分間攪拌し、更に、表1に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpm5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得られた。
【0106】
尚、表1に記載の組成物の内、
*B顔料分散物1(御国色素社製、商品名:CFブルーEX3357)
*B顔料分散物2(御国色素社製、商品名:CFブルーEX3383)
【0107】
*バインダー3の組成は、
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート=36/22/42モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3万 27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
である。
【0108】
【表1】

【0109】
(MVA用液晶表示装置の作製)
上記で作製したカラーフィルタ上に、透明電極膜をITOのスパッタリングにより形成した。
【0110】
−液晶配向制御用突起−
高さ1.5μm、縦断面形状が蒲鉾様の液晶配向制御用突起を以下の方法で形成した。
【0111】
(突起用感光性転写材料の作製)
前記感光性樹脂転写材料K1の作製において用いた前記着色感光性樹脂組成物K1を、下記の組成よりなる突起用塗布液処方Aに変更した以外は、上記と同様の方法により、突起用感光性転写材料を作製した。
【0112】
<突起用塗布液:処方A>
・ポジ型レジスト液(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製FH−2413F) 53.3部
・メチルエチルケトン 46.7部
・界面活性剤1 0.04部
(突起の形成)
上記より得た突起用転写材料からカバーフィルムを剥がし、前記感光性樹脂転写材料Kにおける転写と同様に、2丁ラミネータによりラミネートを行った。ラミネート条件も同様である。この状態では、カラーフィルタ側基板上に、感光性樹脂層、中間層、クッション層がこの順に積層されている。
【0113】
次に、最外層であるクッション層の上方に、フォトマスクが感光性樹脂層の表面から100μmの距離となるようにプロキシミティー露光機を配置し、該フォトマスクを介して超高圧水銀灯により照射エネルギー70mJ/cm2でプロキシミティー露光した。その後、1%トリエタノールアミン水溶液を、シャワー式現像装置にて30℃で30秒間基板に噴霧して、クッション層及び中間層を溶解除去した。この段階では、感光性樹脂層は実質的に現像されていなかった。
【0114】
続いて、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を、シャワー式現像装置にて33℃30秒間基板に噴霧しながら現像し、感光性樹脂層の不要部(未硬化部)を現像除去した。すると、前記レッド(R)とグリーン(G)パターンを積層して形成したスペーサの土台上と、カラーフィルタ側基板上に、所望の形状にパターニングされた感光性樹脂層よりなる突起が形成された。
次いで、該突起が形成されたカラーフィルタ側基板を240℃下で50分ベークすることにより、前記レッド(R)とグリーン(G)を積層して形成したスペーサの土台上に、グリーン(G)画素からの高さが3.4μmのスペーサと、カラーフィルタ側基板上に、高さ1.5μm、縦断面形状が蒲鉾様の液晶配向制御用突起を形成することができた。
【0115】
更に上記で作製した液晶配向制御用突起の上にポリイミドの配向膜を設けた。カラーフィルタの画素群の周囲に設けられたブラックマトリックスの外枠に相当する位置に、スペーサ粒子を含有するエポキシ樹脂のシール剤を印刷し、カラーフィルタ基板を対向基板(TFT基板)と貼り合わせた。
次いで、貼り合わされたガラス基板を熱処理し、シール剤を硬化させ、2枚のガラス基板の積層体を得た。このガラス基板積層体を真空下で脱気し、その後大気圧に戻して2枚のガラス基板の間隙に液晶を注入した。注入終了後、注入口部分を接着剤を用い紫外線照射して封止し、液晶セルを得た。この液晶セルの両面に、偏光板を貼り付け、バックライトを構成し、液晶表示装置とした。
【0116】
(実施例2、3、比較例1、2)
実施例1において、クッション層の膜厚を表2記載の膜厚に変更した以外は、実施例1と同様の方法で液晶表示装置を作製した。
【0117】
[評価]
上記実施例及び比較例で得られた樹脂積層体を用いて下記の方法で試験して評価した。
(膜厚測定)
膜厚は表面粗さ計P−10(TENCOR社製)を用いて測定した。
【0118】
(平均染み出し測定)
上記で得られた樹脂積層体について、光学顕微鏡を用いて、ベースフィルム端部からの染み出し幅を測長し、その平均値を染み出し量(μm)とした。
【0119】
(ラミネート性<ラミ泡>評価)
上記で得られた樹脂積層体について、ベースフィルム剥離後、光学顕微鏡にてラミネート状態を観察し、ラミ泡の有無を観察した。
<評価基準>
○:ラミ泡無し。もしくは、パターン形成箇所に発生していない。
×:ラミ泡がパターン形成部に発生した。
【0120】
(2丁ラミ安定性評価)
上記で得られた樹脂積層体について、ベースフィルム剥離後、光学顕微鏡、及び、目視にて、転写材料の均一性(転写ムラ)を観察した。
<評価基準>
○:転写ムラ無し。もしくは、限定的でパターンへの影響なし。
×:パターンへの影響のある転写ムラ発生。
【0121】
【表2】

【0122】
表2から明らかな通り、実施例1〜3の製造方法により製造された樹脂積層体は、転写時に染み出しや、気泡混入などの故障がなく、安定して製造をすることができた。
比較例1の製造方法により作製した樹脂積層体は、クッション層の厚みが薄いため、転写材料が基板の上の凹凸に追従せず、気泡が混入した。また、比較例2の製造方法により、転写材料を用いて作製した樹脂積層体は、転写時の感光性樹脂層の染み出しによる合わせ部での欠陥が見られ、安定した製造ができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明における感光性樹脂転写装置の一例の全体の概要を示す概略図である。
【図2】転写材料の構成を示す断面図である。
【図3】転写材料送り出し機構、加工機構、転写搬送機構の概要を示す概略拡大図である。
【図4】基板上の転写エリアを示す説明図である。
【図5】2つの転写材料のテンション調節機構の設置位置を示す斜視図である。
【図6】転写材料の転写パターンである。
【図7】他の転写材料の転写パターンである。
【符号の説明】
【0124】
2 感光性樹脂転写装置
12 接合機構(熱圧着部)
14 剥離部(転写搬送機構)
16 転写材料送り出し機構
17a, 17b 転写材料
20a, 20b 感光性樹脂層
21 カバーフィルム
22 基板
22a 転写エリア
29 ラミロール対
30 バックアップロール
37,38 転写材料取り付け軸(転写材料送り出し機構)
39,40 カッター部(加工機構)
41,42 カバーフィルム剥離機構(加工機構)
43,44 テンション調整機構(転写搬送機構)
57 フィルム位置制御装置(転写搬送機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも仮支持体とクッション層と感光性樹脂層とを有する感光性樹脂転写材料を用いて基板上に前記感光性樹脂層を転写して形成する樹脂積層体の製造方法であって、前記基板上に、複数の前記感光性樹脂転写材料を送り出す機構、転写搬送する機構、及び、前記感光性樹脂転写材料を前記基板に一体的、並列的に接合する機構を有し、かつ、バックアップロールをクラウンロール化した感光性樹脂転写装置を用いて、前記クッション層の厚みが3μm〜30μmである前記感光性樹脂転写材料を転写して前記感光性樹脂層を形成することを特徴とする樹脂積層体の製造方法。
【請求項2】
請求項1の記載の製造方法において、前記樹脂転写材料のクッション層の厚みを3μm〜20μmとすることを特徴とする樹脂積層体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製造方法で作製したことを特徴とする樹脂積層体。
【請求項4】
請求項3に記載の樹脂積層体を露光、現像して作製したことを特徴とする表示装置用材料。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置用材料を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項4に記載の表示装置用材料を備えたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−52292(P2007−52292A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237930(P2005−237930)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】