説明

機器取付装置及び製造方法

【課題】
【解決手段】電気機器を電力供給網に接続するために用いられる機器取付装置であって、該機器取付装置(1)を電力供給網と電気的に結合するための接続ユニット(2)を有する機器取付装置が示される。該機器取付装置(1)はハウジング(4)と取付枠(5)とを有し、該取付枠(5)は両側に開いた少なくとも一つの貫通開口(6)を有している。接続ユニット(2)、取付枠(5)及びハウジング(4)は、各々個別のモジュールを成すように構成されている。個々のモジュールは相互に結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器を電力供給網に接続するための機器取付装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、電気機器を電力供給網に接続するための機器取付装置が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許公報 EP 1142071 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決すべき課題は、低コストで単純な仕方で製造可能な機器取付装置を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に記載の機器ソケット並びに請求項12に記載の機器取付装置の製造方法により解決される。機器取付装置、及び機器取付装置の製造方法の有利な構成は、下位請求項の主題であり、または以下の説明及び図面から明らかになる。
【0006】
電気機器を電力供給網に接続するための機器取付装置であって、該機器取付装置を電力供給網と電気的に結合するための接続ユニットを有する機器取付装置が示される。接続ユニットは一実施態様にて、機器コネクタ受容部(IECプラグ)を含んでおり、これにより機器は機器取付装置経由で電力供給網と結合可能となる。機器取付装置はハウジングを有している。機器取付装置は更に、両側に開いた少なくとも一つの貫通開口を含む取付枠を有している。機器取付装置の接続ユニット、取付枠及びハウジングは、各々個別のモジュールを成すように構成されている。機器取付装置のこれら個別のモジュールは相互に結合されて装置を成している。
【0007】
一実施態様にて接続ユニットは、取付枠の前記少なくとも一つの貫通開口に案内されてハウジングにロック固定されている。
【0008】
一実施態様にて取付枠はロック固定手段により機器取付装置のハウジングと結合されている。別な実施態様では取付枠は、ハウジングにロック固定される接続ユニットによって固定されてハウジングと結合されている。
【0009】
機器取付装置の一実施態様にて、機器取付装置は単相または二相のスイッチユニットを含んでいる。スイッチユニットは取付枠と機械的に結合されている。
【0010】
取付枠は一実施態様にて、スイッチユニットを押入れることが可能なスイッチユニット用の受容凹部または開口を有している。スイッチユニットは好ましくは取付枠とロック固定可能に結合されている。
【0011】
機器取付装置の一実施態様にて、接続ユニット、取付枠、スイッチユニット及びハウジングは、係止凸部及び/または対応する係止凹部を有している。係止凸部ないし対応する係止凹部は、ロック固定手段に含まれていて、該ロック固定手段により個別のモジュールは、少なくとも一部取外し可能または取外し不能に相互に結合されている。
【0012】
機器取付装置の一実施態様にて、接続ユニットは、電力供給網フィルタを含む少なくとも一つの保護ユニットを有している。
【0013】
一実施態様にて、機器取付装置の前記少なくとも一つの保護ユニットは、接続ユニットと電気的に接続されていて、電力供給網からの攪乱から電気機器を、かつ/または電気機器からの攪乱から電力供給網を保護するように構成されている。しかしながら前記少なくとも一つの保護ユニットは、実施ないし適用の事例によっては、故障電流スイッチまたはモータ保護スイッチとして、及び/または自動安全装置としても、これらに関して公知の利点を伴って設けられてよい。
【0014】
機器取付装置の一実施態様にて、接続ユニットは安全遮断ユニットを有している。一実施態様にて安全遮断ユニットは、接続ユニットの少なくとも一つの位相に対して備えられた少なくとも一つの遮断器を含んでいる。別な実施態様にて、好ましくは接続ユニットの位相毎に遮断器が備えられている。
【0015】
機器取付装置の一実施態様にて、遮断器は機器の外側からアクセス可能である。安全遮断ユニットの保護のために、遮断器は取外し可能なアクセスカバーを有している。これには遮断器を容易に交換できるという利点がある。
【0016】
機器の外側からの安全遮断ユニットへのアクセスには、特に機器の外側から目で見てチェックできるという利点がある。
【0017】
遮断器のアクセスカバーにより、接触からの十分な保護が保証されている。
【0018】
機器取付装置の一実施態様にて、ハウジングは金属から成る。ハウジングは好ましくは遮蔽に役立つ。この結果、結合されたユニットが、環境からの特に高周波の電磁的攪乱から保護され、また環境が、結合されたユニットからの電磁的攪乱から保護されるという利点が生じる。
【0019】
更に、電気機器を電力供給網に接続するための機器取付装置の製造方法が示される。この方法は次のステップを含む。先ず両側に開いた少なくとも一つの貫通開口を有する取付枠が用意される。更に、個別のモジュールを含み、機器取付装置の電力供給網との電気的結合に役立つ接続ユニットが用意される。次のステップでハウジングが用意され、接続ユニットが取付枠の貫通開口に挿入されて、取付枠と接続ユニットとがハウジングと機械的に結合される。
【0020】
機械的結合は、特にモジュールをロック固定手段によってロック固定させることによって行われる。
【0021】
上記の方法の一実施態様にて、用意されたスイッチユニットが取付枠とロック固定される。
【0022】
一実施態様にて個別のユニットのハウジングへの取付けは工具なしに行われる。個別のモジュール同士の取付けのため、これらのモジュールは係止凸部及び/または係止凹部を備えたロック固定手段を有しており、これら係止凸部及び/または係止凹部により個別のモジュール同士を工具なしに固定することができる。
【0023】
機器取付装置の上述のモジュール構成により、特に工具コストを削減することができる。製造工具を変えずに、更に数多くの機器取付装置の変種を製造することができる。モジュール構成により、機器取付装置の構成の高度な可変性・多様性が可能である。工具なしの取付けにより、取付け時間も取付けのし易さも改善されている。機器取付装置の個別の部分のロック固定可能な結合により、機器取付装置の修理及び/また分別廃棄のための個別部分への分解が単純な仕方で可能である。
【0024】
上述の装置及び方法は、以下の図面及び実施例に基づいてより詳しく説明される。
【0025】
以下に説明する図面は、縮尺関して正確なものと解すべきではない。むしろ図は個々の次元で拡大または縮小またはゆがめて表されているかもしれない。互いに同等の要素または同等の機能を担う要素は、同じ参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一実施態様の機器取付装置の構成の分解図である。
【図2】機器取付装置の一実施態様の斜視図である。
【図3】図2の機器取付装置の正面図である。
【図4】図2の機器取付装置の上面図である。
【図5】図2の機器取付装置の実施態様の側面図である。
【図6】図2の機器取付装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に、機器取付装置1の構成の分解図が示されている。機器取付装置1は図示の実施態様にて、取付枠5の貫通開口6に差込まれる接続ユニット2を含んでいる。取付枠5はロック固定手段(係止凸部及び係止凹部)10,11により機器取付装置1のハウジング4と結合される。取付枠5は、スイッチユニット7をロック固定ないし差込み可能なスイッチユニット受容部8を有している。取付枠5は係止凸部10によりハウジング4の係止凹部11と結合されている。接続ユニット2も同様に係止凸部10’によりハウジング4の係止凹部11と結合されている。ハウジング4は前端の向い合った両側部に、各々穿孔19を備えた三角形の装着面18を有している。装着面18は、例えば機器取付装置1が使用される機器のハウジングに対する機器取付装置1の装着部として用いられ、また他方で、対応する装着面を備えた取付枠5を装着するのに役立つ。機器取付装置1を機器に取付るために、穿孔19は取付枠5の穿孔17と同心に合わせられている。
【0028】
機器取付装置1の接続ユニット2は、図示の実施態様にて安全遮断ユニット13を有している。安全遮断ユニット13は、安全遮断ユニット13の内部に配置され外からアクセスカバー14を経てアクセス可能な遮断器を含んでいる。接続ユニット2は更に、例えば電力供給網フィルタを含む保護ユニット12を含んでいる。機器取付装置1を電力供給網に電気的に接続するために、接続ユニット2は図示の実施態様にて、三本の接触ピン16を有する低温機器コネクタ用の受容部3(IECプラグ)を有している。位相線(ライブ)、中性線(ニュートラル)及び接地線(保安アース)に各一つの接触ピン16が備えられている。接触ピン16は、保護ユニット12、安全遮断ユニット13、スイッチユニット7、及びハウジング4の背面の接触板15と電気的に結合されている。接触板15は機器取付装置1が使用される機器を電力供給網に電気的に接続するのに用いられる。接触ピン16は、低温機器プラグに通例の配置で三角形を成して配置されている。
【0029】
スイッチユニット7は図示の実施態様にて、単相または二相のスイッチとして実施されていてよい。スイッチユニット7及び接続ユニット2は、図示の実施態様にて示されていない導線により相互に結合されている。
【0030】
図2は図1の分解図による機器取付装置1が組立てられた状態を示す。スイッチユニット2は、取付枠5の貫通開口8を経て、係止凸部ないし係止凹部11によりハウジング4と固定されている。機器取付装置1は図示の実施態様にて、アクセスカバー14を経て外からアクセス可能な安全遮断ユニット13を有している。機器取付装置1は図示の実施態様にてスイッチユニット14を有している。スイッチユニット7は取付枠5の開口ないし受容部8に配置されて取付枠と結合されている。機器取付装置1は背面に、機器の内部での電気接続のために備えられ、ハウジング4から少なくとも一部電気的に絶縁されている接触板15を有している。接続ユニット2は図示の実施態様にて、低温機器プラグに通例の配置で構成されている3本の接触ピン16を有している。
【0031】
図3は図2の実施態様による機器取付装置1の正面図を示す。図3にて、接続ユニット2のこれらの接触ピン16の投影が三角形の配置を成すのがわかる。接触ピン16は受容部3内に配置されている。受容部3は低温機器コネクタの接続に用いられる。図示の実施態様にて受容部3は、機器のコネクタが差込まれた状態で安全遮断ユニットのアクセスカバー14が開くのを防ぐ突出部9を有している。暖温機器ないし高温機器プラグ(C15及びC15a)用の機器取付装置の実施態様では、突出部9は、暖温機器ないし高温機器プラグ用の受容部3に低温機器コネクタが使用されるのを防ぐ。対応するコネクタは、突出部9に対応して、好ましくは突出部に適合した切欠を有している。
【0032】
しかしながら機器取付装置にとって受容部3は暖温機器ないし高温機器プラグに限定されるわけではない。図示されていない別な実施態様では、受容部は突出部9なしに実施されていてもよく、これにより受容部3は例えば低温機器プラグに適合している。
【0033】
図4は、図2の実施態様による機器取付装置1の上面図である。図示の実施態様にてハウジング4の背面に、ハウジング内部での機器取付装置の電気接続のために備えられている3本の接続接触板15が示されている。反対側に取付枠5が配置されている。
【0034】
図5は、図2の実施態様による機器取付装置1の側面図である。図5にて、取付枠5ないしスイッチユニット2をハウジング4と結合する係止凹部11が示されている。図示の実施態様にて機器取付装置1はスイッチユニット7を有している。ハウジング4の背面に接触板15が配置されており、該接触板15のうち位相線ないし中性線に対応した少なくとも2つは、ハウジング4に対して電気的に絶縁されている。
【0035】
図6は機器取付装置1の背面図である。機器取付装置1はハウジングの背面に、少なくとも一部互いにずらして配置された3つの接触板15を有している。接触板15のうち位相線ないし中性線に関係付けられた2つは、ハウジング4に対して電気的に絶縁されている。接地線用の接触板15はハウジングと結合されている。取付枠5は図示の実施態様では六角形の形を有している。ハウジング4は側面に、機器のハウジングに対する機器取付装置1の装着部として用いられる装着面18を各一つ有している。装着面18は各々、取付枠5の穿孔17と同心に重なるように配置された穿孔19を有している。取付枠5の穿孔17と装着面18の穿孔19により、機器取付装置1は機器のハウジングに例えばねじを用いて固定可能である。
【0036】
図示されていない別な実施態様にて取付枠は、機器取付装置を機器の受容開口にロック固定可能とする係止凸部をも有している。
【0037】
実施例にて、本発明の限られた数の可能な別構成しか説明できなかったが、本発明はこれらに限定されない。機器取付装置ないし機器取付装置の取付枠が、更なるモジュールの受容に用いられる更なる開口を含むことは、原理的に可能である。機器取付装置の取付けは図に示されているようにねじを用いて行うことができる。しかしながら係合によって機器のハウジングに固定することも可能である。
【0038】
装置の説明は個々の特別な実施態様に制限されない。むしろ個々の実施態様の特徴は、技術的に意味のある範囲で、任意に相互に組合わされてよい。
【符号の説明】
【0039】
1 機器取付装置
2 接続ユニット
3 受容部
4 ハウジング
5 取付枠
6 貫通開口
7 スイッチユニット
8 スイッチユニット受容部
9 突出部
10,10’ 係止凸部
11 係止凹部
12 保護ユニット
13 安全遮断ユニット
14 アクセスカバー
15 接触板
16 接触ピン
17,17’ 穿孔
18 装着面
19 穿孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を電力供給網に接続するための機器取付装置であって、
該機器取付装置(1)を電力供給網と電気的に結合するための接続ユニット(2)と、 ハウジング(4)と、両側に開いた少なくとも一つの貫通開口(6)を有する取付枠(6)とを有し、
前記の接続ユニット(2)、取付枠(5)及びハウジング(4)は、各々が個別のモジュールを成すように構成されており、該個別のモジュールが相互に結合されている機器取付装置。
【請求項2】
前記接続ユニット(2)が、前記取付枠(5)の前記少なくとも一つの貫通開口(6)に案内されて前記ハウジング(4)にロック固定されている、請求項1に記載の機器取付装置。
【請求項3】
前記取付枠(5)が前記ハウジング(4)にロック固定されている、請求項2に記載の機器取付装置。
【請求項4】
前記取付枠(5)と機械的に結合されている単相または二相のスイッチユニット(7)を含む、先行する請求項のいずれかに記載の機器取付装置。
【請求項5】
前記の接続ユニット(2)、取付枠(5)、スイッチユニット(7)及びハウジング(4)が、係止凸部(10)及び/または対応する係止凹部(11)を有する、先行する請求項のいずれかに記載の機器取付装置。
【請求項6】
前記接続ユニット(2)が、電力供給網フィルタを備えた少なくとも一つの保護ユニット(12)を有する、先行する請求項のいずれかに記載の機器取付装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの保護ユニット(12)が、電力供給網からの攪乱から電気機器が、かつ/または電気機器からの攪乱から電力供給網が保護されるように構成されている、請求項6に記載の機器取付装置。
【請求項8】
前記接続ユニット(2)が安全遮断ユニット(13)を有する、先行する請求項のいずれかに記載の機器取付装置。
【請求項9】
前記安全遮断ユニット(13)が、少なくとも一つの位相に対して備えられた少なくとも一つの遮断器を含む、請求項8に記載の機器取付装置。
【請求項10】
前記遮断器が前記ハウジングの外側からアクセス可能であって、取外し可能なアクセスカバー(14)を有している、請求項9に記載の機器取付装置。
【請求項11】
前記ハウジング(4)が金属から成る、先行する請求項のいずれかに記載の機器取付装置。
【請求項12】
電気機器を電力供給網に接続するための機器取付装置の製造方法であって、以下のステップ:
− 両側に開いた少なくとも一つの貫通開口(6)を有する取付枠(5)を用意する、
− 機器取付装置(1)を電力供給網と電気的に結合するための、モジュールとして構成された接続ユニット(2)を用意する、
− ハウジング(4)を用意する、
− 前記接続ユニット(2)を前記取付枠(5)の貫通開口(6)に押入れ、該取付枠(5)と該接続ユニット(2)とを前記ハウジング(4)と結合する、
を含む、方法。
【請求項13】
前記取付枠(5)及び接続ユニット(2)の前記ハウジング(4)との結合が、ロック固定手段(10,11)によるロック固定によって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
用意されたスイッチユニット(7)が前記取付枠(5)にロック固定される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
個々のユニットの前記ハウジング(4)への取付けが工具なしに行われる、請求項12ないし14のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−527719(P2012−527719A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511297(P2012−511297)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056989
【国際公開番号】WO2010/133679
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS  AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】