説明

機能化物質及びそれらの使用

[(O3/2)Si CH2CH2SX] a [Si (O4/2)] b [WSi (O3/2)] c [VSi (O3/2)] d
の化合物[式中、Xは(CR1R2)eNR5 CO NHR、(CR1R2)eNR5 CS NHRから選ばれ、Wは存在する場合には(CR6R7)e ZR、(CH2)3 SR1 (CH2)3 NRR1、(CH2)e SR8、CH2CH2S (CR1R2)fNR5 CO NHR、CH2CH2S (CR1R2)、NR5 CS NHR、CH2CH2S (CH2)f ORから選ばれ、ZはO又はSであり、R、R1-7は独立に水素、アルキル基、アリール基又はアルキルアリール基から選ばれ、R8は [CH2CH2NR1]p R2 及び(CR1R2)m SR9 (式中、R9 は水素、C1-22-アルキル基である)から選ばれ、かつVは必要により置換されていてもよく、かつC1-22-アルキル基、C2-22-アルケニル基、C2-22-アルキニル基又はアリール基から選ばれる基である] これらの化合物は酵素を含む生物分子のための固定化物質、陽イオン及び陰イオン交換体、有機化合物及び無機化合物脱除剤、固相精製物質又は抽出物質、エンドトキシンを含む生物学的化合物の除去及び精製、抗菌剤、親水性改質剤、防炎剤、帯電防止剤、生物医療装置のための被覆物、撥水性フィルム及び被覆物、固相合成物質及びクロマトグラフィー材料として有益である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規機能化物質及びそれらの使用に関する。本発明の物質は、例えば、酵素を含む生物分子のための固定化物質、陽イオン交換体及び陰イオン交換体、有機化合物及び無機化合物の脱除剤、固相精製物質又は抽出物質、エンドトキシンを含む生物学的化合物の除去及び精製、貴金属回収、抗菌剤、親水性改質剤、防炎剤、帯電防止剤、生物医療装置のための被覆物、撥水性フィルム及び被覆物、固相合成物質及びクロマトグラフィー物質としての広範囲の適用に使用し得る。また、本発明はこれらの新規生成物の前駆体及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機能化固体の使用は多くの異なる適用、例えば、液相合成、固相合成、固相抽出、触媒作用、触媒支持体、製品精製並びに製造のための酵素の如き生物分子の固定化及び使用について迅速に増大しつつある。官能基又は官能基の組み合わせの化学構造だけでなく、機能性を固体支持体に付加する鎖又は鎖の組み合わせの化学的性質及び長さが性能特性を決めるのに重要である。こうして、特別な適用のための性能は化学構造及び表面付近の機能性の配置に依存する。これらの適用において、機能化固体の操作上の利点は操作の容易なこと、濾過による媒体の残部からの簡単な分離並びに再生及び再使用である。これらの機能化固体の操作のための主要な要件は広範囲の操作条件にわたる優れた物理的かつ化学的安定性、広い溶媒適用可能性、迅速な速度論−官能基への速くしかも容易な接近及び所望の適用のための高い固有の活性を有する官能基である。加えて、これらの機能化物質の調製が直ぐに入手し得る試薬から簡単である必要がある。最後に、官能基がその他の適用に使用し得る異なる機能化物質に直ぐに変換し得ることは高度に有利である。
白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、レニウム及び金を含む貴金属が多様な範囲の適用に広く使用される。主要な商用及び操作上の要件はこれらの金属のコスト及び制限された入手可能性並びに製品純度を確実にするためのプロセス流からのそれらの除去を考えると、再使用のためのそれらの捕獲である。新規かつ一層良好な技術が製品流及び廃棄流からのこれらの貴金属のできるだけ多くを捕獲するのに必要とされる。
一層厳格な環境上の規制の結果として、汚染された製品、活性医薬成分(API)、溶媒、飲料水及び水系廃棄物の広いスペクトルを含む多くの源から、また汚染された水からの毒性薬品及び危険な薬品の除去及び回収のための一層有効なシステムについての要求が増大しつつある。例えば、医薬工業において、API又はそれらの中間体の製造に使用される金属触媒が増加しつつある。これらの金属の毒性を考えると、非常に低い残留レベルがAPI中で達成される必要がある。生物学的評価のための化合物ライブラリーの調製において、簡単かつ迅速な方法が何千もの化合物をスクリーニングして最適化プログラム及び開発プログラムに最も重要なものを同定するために反応混合物を精製するのに必要とされる。エレクトロニクス工業は非常に低いレベルの陽イオン及び陰イオンの両方を含む超純粋な水についての特別な要求を有する。その他の工業、例えば、原子力工業及び電気メッキ工業は望ましくない金属イオンでひどく汚染されているかなりの量の水系流出物を発生する。
機能化固体物質は迅速な精製及び処理を助けるために液相有機合成に使用される。これらの物質(また脱除剤として知られている)は過剰の試薬及び副生物を除去し得る。典型的には、脱除剤は溶液に添加されて反応停止し、過剰又は未反応の試薬及び反応副生物と選択的に反応する。機能化物質に今結合された望ましくない薬品が簡単な濾過により除去される。この簡単な方法が液間抽出、クロマトグラフィー及び結晶化の通常の精製方法を回避する。
【0003】
遺伝子毒性物質はDNAへの直接又は間接の損傷を生じ得る。遺伝子毒性不純物評価が新規医薬物質及び既存の医薬物質について必要とされる。通常の不純物閾値は遺伝子毒性不純物に適用し得ない。幾つかの医薬物質が潜在的な遺伝子毒性不純物のために臨床上の中止にかけられ、或る場合には製品がリコールされていた。潜在的な遺伝子毒性不純物は、それらの性質により、通常高度に反応性であり、必要とされる制限に至るまでの分析が挑戦している。遺伝子毒性不純物の一つのクラスはアルキル化剤である。医薬物質をつくるための合成が潜在的な遺伝子毒性不純物及びそれらの運命を同定するために今再び注目されつつある。このような遺伝子毒性物質を除去するための可能な解決策として、再結晶又は潜在的な遺伝子毒性不純物もしくはその前駆体の脱除が挙げられる。こうして、このような遺伝子毒性不純物に有効な不均一脱除剤を設計するようにとの要望がある。
それらの毒性のために、汚染された製品、活性医薬成分(API)、溶媒、飲料水及び水系廃棄物そして汚染された水からの広いスペクトルを含む陽イオン及び陰イオンの除去及び回収のための一層有効なシステムについての要求が増大しつつある。置換ポリスチレン誘導体がこのような適用のための脱除剤としての使用に知られているが、それらは幾つかの制限、例えば、熱安定性の欠如、有機溶媒中の膨潤及び収縮並びに官能基の制限された範囲だけでなく、不十分な選択性を有している。
【0004】
貴金属媒介反応は有機化学者が幾つかの工業のための製品の製造に使用される広範囲の反応を行なうことを可能にする。典型的な反応として、スズキ、ヘック、酸化及び還元が挙げられ、金属及びそれらの錯体、例えば、白金、パラジウム及びロジウムが広範に使用される。これらのシステムの使用で見られる重大な問題はこれらの高価かつ高度に毒性の金属のかなりの損失である。更に、このような金属媒介反応を使用する活性医薬物質(API)の製造において、金属が所望のAPIに不変に錯生成し、600-1000ppmの範囲の残留金属含量がまれではないことがわかる。パラジウム、白金、ロジウム及びニッケルについての現行の目標は5ppm未満である。種々の方法が残留パラジウム含量を減少しようと試みられたが、殆どが成功しなかった。選択的再結晶は金属含量のほんのわずかな低下をもたらす。APIの低収率はこの方法のかなり望ましくない副作用である。最終工程から早い工程への貴金属触媒反応を再配置しようとする試みはまた金属含量のわずかだがかなりではない低下をもたらす。APIの溶液を機能化ポリスチレン樹脂の如き金属交換体を含む媒体に通そうとする試みはまた殆ど成功しなかった。別の一層コストのかかる方法−好適な金属キレート化剤の水溶液による洗浄が試みられていた。幾つかのこのような試薬がほんの制限された成功でもって使用されていた。こうして、貴金属について非常に高いアフィニティーを有し、かつそれらをしっかりと結合された錯体から直ぐに除去し得る新規機能化物質を設計するようにとの要望がある。更に、APIの構造多様性を考えると、有効な解決策を与えるために異なる構造及び高いアフィニティーを有する或る範囲の機能化物質を有することが必要である。
生物学的分子、例えば、酵素、ポリペプチド、タンパク質及び核酸を固定化することに多くの利点がある。これらとして、それらの分離及び精製が挙げられる。有効であるために、不溶性支持体の機能性は生物学的化合物の空間配置及び疎水性-親水性の構造上の特徴にマッチするように厳密に設計される必要がある。
エンドトキシンの如き高度に毒性の生物学的化合物はあらゆる種類の水生環境からだけでなく、医療適用及び医薬適用に使用される水から除去される必要がある。
不溶性支持体上の官能基への特異的結合は混合物又は水性流からの分離を可能にするであろう。
固定化生物触媒は均一酵素よりも多くの操作上及び性能上の利点を有する。これらとして、反応混合物からの生物触媒の分離の容易なこと、生物触媒の再使用、特に有機溶媒及び熱に対する生物触媒の一層良好な安定性、固定床反応器の使用及び一層低い製造コストが挙げられる。酵素の固定化は主として生物学的な、無機又は有機のフレームワークの物理的被覆により達成されていた。ここでは、酵素が表面に物理吸着される。しかしながら、フレームワークからの漏出の程度が非常に高いから低いまでの範囲であり、操作条件、特に溶媒の性質に依存する。酵素とフレームワークの間の共有結合がこの問題に解決策を与えるであろう。このような共有結合が知られているが、酵素のかなりの失活を不変にもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは特性の望ましい組み合わせを有し、酵素を含む生物分子のための固定化物質、無機化合物及び有機化合物のための脱除剤としての作用、固相精製物質又は抽出物質、エンドトキシンを含む生物学的化合物の除去及び精製、イオン交換材料、触媒、触媒固定化支持体、抗菌剤、親水性改質剤、防炎剤、帯電防止剤、固相合成物質及びクロマトグラフィー材料を含む或る範囲の使用にそれらを好適にする化合物、又はこれらのための前駆体である化合物のクラスを発見した。
本発明の第一の局面において、一般式1:
[(O3/2)Si CH2CH2SX] a [Si (O4/2)] b [WSi (O3/2)] c [VSi (O3/2)] d
の化合物が提供される。
式中、Xは
H
(CR1R2)eNR5 CO NHR
(CR1R2)eNR5 CS NHR
(CR1R2)eNR5 NHR
から選ばれ、かつ
cが0より大きい場合には、Wは(CR6R7)e ZR、(CH2)3 SR、(CH2)3 NRR1、(CH2)e SR8、CH2CH2S (CR1R2)fNR5 CO NHR、CH2CH2S (CR1R2)fNR5 CS NHR、CH2CH2S (CH2)f ORから選ばれ、かつ
Wが(CR6R7)e ZR であり、かつZがO又はSである場合には、Xはまた
[CH2CH2NR1]p R2;
(CR1R2)f CO NHR;
(CR1R2)f CO N[CH2CH2NR1]p R
から選ばれ、かつ
XがHである場合には、cは常に0より大きく、かつWは
(CH2)3 SR;
(CH2)3 NRR1
(CH2)e SR8;
CH2CH2S (CR1R2)fNR5 CO NHR
CH2CH2S (CR1R2)fNR5 CS NHR
CH2CH2S (CH2)fCO NHR
CH2CH2S (CH2)fCO NHR8
CH2CH2S (CH2)f OR
から選ばれ、
【0006】
R、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は独立に水素、C1-22-アルキル基、C1-22-アリール基及びC1-22-アルキルアリール基から選ばれ、R8は [CH2CH2NR1]p R2 及び(CR1R2)m SR9 (式中、R9 は水素、C1-22-アルキル基、C1-22-アリール基、C1-22-アルキルアリール基又は (CR1R2)e Si(O3/2)である)から選ばれ、eは2から100までの整数であり、fは1から100までの整数であり、mは2から100までの整数であり、pは1から100までの整数であり、
Vは必要により置換されていてもよく、かつC1-22-アルキル基、C2-22-アルケニル基、C2-22-アルキニル基、アリール基、C1-22-アルキルアリールスルフィド基、スルホキシド、スルホン、アミン、ポリアルキルアミン、ホスフィン及びその他のリン含有基から選ばれる基であり、
【0007】
シリケート酸素原子の自由原子価が式1のその他の基のケイ素原子、水素、線状又は分岐C1-22-アルキル基、末端基R33M1O1/2、架橋ブリッジ員の一つ以上により、或いは鎖R3qM1(OR4)gOk/2もしくはAl(OR4)3-hOh/2 又はR3Al(OR4)2-rOr/2
(式中、
M1 はSi 又はTiであり、
R3 及びR4 は独立に線状又は分岐C1-22 アルキル基、アリール基及びC1-22-アルキルアリール基から選ばれ、
kは1から3までの整数であり、qは1から2までの整数であり、かつgはg + k + q = 4であるような0から2までの整数であり、
hは1から3までの整数であり、かつ
rは1から2までの整数である)
或いはオキソ金属橋かけ系(その金属はジルコニウム、ホウ素、マグネシウム、鉄、ニッケル又はランタニドである)により飽和され、
a、b、c及びdはa:bの比が0.00001から100000までであり、かつa及びbが常に0より大きく、かつcが0より大きい場合には、c対a+bの比が0.00001から100000までであり、かつdが0より大きい場合には、d対c対a+bの比が0.00001から100000までであるような整数である。
末端基及び/又は架橋剤及び/又はポリマー鎖が使用される場合、末端基、架橋剤又はポリマー鎖対a+b+c+dの比が0から999:1まで、好ましくは0.001から999:1まで、特に0.01から99:1まで、特に0.1から9:1までであることが好ましい。
比は本明細書中に特にことわらない限りモル比である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の化合物は貴金属回収剤、無機及び有機の化合物のための脱除剤、固相抽出物質、精製物質、エンドトキシンを含む生物学的化合物の除去及び精製、触媒、触媒固定化支持体、生物分子固定化支持体、抗菌剤、親水性改質剤、防炎剤、帯電防止剤、固相合成物質及びクロマトグラフィー材料を含む広範囲の使用に適応し得るので有利である。式1の化合物をベースとするイオン交換体材料はまた特別な適用のために官能基を選択し、設計すること及び一つ以上の官能基がユーザーの要求に従って高いレベル又は低いレベルのローディング(loading)を有するように調整し得ることにより高い固有の活性を有する。その他の利点として、高い熱安定性、固定され、かつ硬質の構造、広範囲の化学条件に対する良好な安定性、有機溶媒中の不溶性、高い耐老化性、容易に精製され、かつ高い再使用可能性が挙げられる。加えて、式1の化合物の調製方法は非常に融通性であり、広範囲の機能化物質が少ない数の普通の中間体からつくられることを可能にし、そしてまた物質の多孔性がミクロからマクロまでの多孔性に変化でき、しかも官能基だけでなく、フラグメントC及びD中の、その他の置換基、V及びWのローディングが必要に応じて変化し得る。式1の化合物はそれらの夫々の官能基が非常に安定かつ不活性の媒体にしっかりと結合されるという追加された利点を有する。更に、式1の化合物は速い速度論と対にされた陽イオン及び陰イオンの両方についての非常に高いアフィニティーの追加された利点を有し、こうして非常に低いレベルへの毒性化合物又は不純物の非常に迅速な除去を可能にする。加えて、式1の化合物は幾つかの化学変換を行なうための不均一触媒として使用でき、しかも濾過により反応混合物から容易に分離され、そしてまた循環され、再使用されるという主要な利点を有する。
C1-22-アルキル基、C2-22-アルケニル基、C2-22-アルキニル基、アリール基及びC1-22-アルキルアリール基から選ばれた必要により置換されていてもよい線状又は分岐基、R1-6 基は独立に線状又は分岐であってもよく、かつ/又は1個以上の置換基で置換されていてもよいが、水素原子及び炭素原子のみを含むことが好ましい。置換基が存在する場合、それはニトロ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ニトリル、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、スルフィド、スルホキシド、スルホン、C1-6-アルコキシ、C1-22-アルキル又はアリール二置換ホスフィン、アミノ、アミノC1-22-アルキル又はアミノジ (C1-22-アルキル) 或いはC1-22-アルキルホスフィン基又はホスホン基から選ばれてもよい。
【0009】
C1-22-アルキル基、C2-22-アルケニル基、C2-22-アルキニル基、アリール基及びC1-22-アルキルアリール基から選ばれた必要により置換されていてもよい線状又は分岐基、R1-7, 9 は独立に線状又は分岐C1-22 望ましくはC1-12-アルキル基、C2-22- 望ましくはC2-12-アルケニル基、アリール基及びC1-22-アルキルアリール基から選ばれることが好ましく、これらの基が独立に線状又は分岐C1-8-アルキル基、C2-8-アルケニル基、アリール基及びC1-8-アルキルアリール基から選ばれることが特に好ましい。
基R1-7, 9 は独立にC1-6-アルキル基、例えば、メチル基もしくはエチル基、又はフェニル基であることが好適である。g+k+q =4であることを条件として、qは0から2までであり、kは1から3までであり、かつgは0であることが好ましい。
好適なアルキル基の例として、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-デシル、n-ドデシル、シクロヘキシル、オクチル、イソ-オクチル、ヘキサデシル、オクタデシル、イソ-オクタデシル及びドコシルが挙げられる。好適なアルケニルの例として、エテニル、2-プロペニル、シクロヘキセニル、オクテニル、イソ-オクテニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、イソ-オクタデセニル及びドコセニルが挙げられる。
C1-6-アルコキシは1個から6個までの炭素原子を有し、かつ酸素原子に結合された直鎖又は分岐炭化水素鎖を表す。例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert-ブトキシ及びn-ブトキシが挙げられる。
アリールという用語は芳香族の特徴を有する5員もしくは6員環式基、8-10員二環式基又は10-13員三環式基を表し、1個以上のヘテロ原子、例えば、N、O又はSを含む系を含む。好適なアリール基の例として、フェニル、ピリジニル及びフラニルが挙げられる。“アルキルアリール”という用語が本明細書中に使用される場合、直前の炭素原子の範囲はアルキル置換基のみを表し、アリール炭素原子を含まない。好適なアルキルアリール基の例として、ベンジル、フェニルエチル及びピリジルメチルが挙げられる。
【0010】
Xが独立に(CR1R2)eNR5 CO NHR、(CR1R2)eNR5 CS NHR 又は(CR1R2)eNR5 NHR (式中、R、R1、R2及びR5が独立に水素、C1-6 アルキル又はフェニルから選ばれ、かつeが2〜6である)から選ばれる化合物が好ましく、cが0より大きい場合、Wが(CH2)e SR、(CH2)3 SR、(CH2)3 NRR1、(CH2)e SR8、CH2CH2S (CH2)2NH CO NHR、CH2CH2S (CH2)2NH CS NHR、CH2CH2S (CH2)f OR [式中、fが2〜12であり、かつR8 が[CH2CH2NH]p H 及び(CH2)m SR9 (式中、R9が水素又は(CH2)2 Si(O3/2) であり、かつpが1〜100であり、かつmが2〜100である)から選ばれる]から選ばれる化合物が好ましい。特に好ましい化合物として、Xが(CR1R2)eNR5 CO NHR 及び(CR1R2)eNR5 CS NHRから選ばれ、R1、R2が水素であり、かつeが2である化合物が挙げられる。R及びR5がH又はC1-6 アルキルであることが好適である。XがHである場合、Wが (CH2)3 SR (式中、RがH又はC1-6 アルキル、特にHである)であることが好ましい。
Xが水素であり、かつcが0より大きく、Wが(CH2)e SR、(CH2)3 SR、(CH2)3 NRR1、(CH2)e SR8、CH2CH2S (CH2)2NH CO NHR、CH2CH2S (CH2)2NH CS NHR、CH2CH2S (CH2)f OR[式中、fが2〜12であり、R及びR1が独立に水素、C1-6 アルキル又はフェニルから選ばれ、かつeが2〜6であり、かつR8が [CH2CH2NH]p H及び (CH2)m SR9 (式中、R9が水素又は (CH2)2 Si(O3/2) であり、かつpが1〜100であり、かつmが2〜10である)から選ばれる化合物が好ましい。
Wが(CH2)2 ZR であり、かつZがCH2、O又はSであり、Xが [CH2CH2NH]p H、(CH2)f CO NHR 又は (CH2)f CO N[CH2CH2NH]p H (式中、Rが独立にC1-20 アルキル又はアリールから選ばれ、pが1〜100であり、かつfが1〜10である)から選ばれる化合物が好ましい。
【0011】
本発明はまた式1の化合物の新規前駆体化合物を提供し、その前駆体は式2: (R4O)3SiCH2CH2SX[式中、Xは(CR1R2)eNR5 CO NHR、(CR1R2)eNR5 CS NHR、(CH2CH2NR1)pR 及び(CR1R2)eNR5 NHR (式中、R、R1、R2、R4、R5及び整数eは既に定義されたとおりである)である]のものである。R1、R2 及びR5が水素であり、RがC1-6 アルキル又はフェニルであり、eが2に等しく、かつ整数pが1〜20に等しい場合が特に好ましい。
本発明はまた式(R4O)3SiCH=CH2の化合物を式HS-X(式中、Xは本明細書に定義されたとおりである)のチオールと反応させることを特徴とする式(R4O)3SiCH2CH2SX の前駆体の製造方法を提供する。本発明はまたアミンを最初に必要により置換されていてもよいエチレンスルフィドと反応させ、次いで式(R4O)3SiCH=CH2 の化合物と反応させることによる式(R4O)3SiCH2CH2SCR1R2CR5R6NRR7 のトリアルコキシ化合物の製造方法を提供する。その方法は単一反応工程、即ち、所謂“ワンポット”方法で行なわれることが好適である。
今、式1の化合物の調製が大いに詳しく説明される。式1の化合物の製造に使用される一般操作は最初に化合物 (R4O)3SiCH2CH2SX を生成し、そして試薬に応じて、次いで希薄な酸又は塩基を含む溶媒中で、所望の比で、テトラアルキルオルトシリケート、またその他の化合物、例えば、(R4O)3SiV 及び(R4O)3SiW、チタンアルコキシド、アルミニウムトリアルコキシド及びアルキルアルコキシシランと合わせることを特徴とする。また、物質、例えば、シリカ、酸化アルミニウム又はカーボン(これらに限定されない)の表面が (R4O)3SiCH2CH2SX そして必要な場合にはその他の化合物、例えば、 (R4O)3SiW 及び(R4O)3SiV、チタンアルコキシド、アルミニウムトリアルコキシド及びアルキルアルコキシシランで処理されて式1の化合物を得ることができる。次いでこれらの物質が続いて既知の化学を使用して変換し得る。
【0012】
機能化有機又は無機ポリマー又は物質の調製に簡単かつ有効な合成方法が欠如している。これは現在適切な解決策がないという重大な技術的問題に相当する。化学構造及び性能の間の関係並びに最適化学官能性を利用して所望の適用を得たいという要望を考えてこの問題の解決策を提供するようにとの要望が存する。例えば、直ぐに変換されるカルボニル、カルボキシ、メルカプト又はヒドロキシ官能化有機又は無機のポリマー又は物質の調製のための簡単かつ有効な合成方法が欠如している。その結果として、しっかりと結合された錯体中に保持された金属イオンを除去するのに必要な化学官能性を有する直ぐに入手し得る機能化物質が欠如している。無機物質の利点、例えば、高い熱安定性、速い速度論及び一層大きい溶媒相溶性を考えると、機能化無機物質の調製のための新規な簡単な合成方法についての特別な要望がある。加えて、触媒及び固定化酵素の性能が局所の環境の性質により影響し得る。
機能化物質の重要な所望の性質は安定な結合を介して表面に結合された、官能基を既知の化学を使用して異なる基に変換することができることである。次いでこれらの新規機能化物質がその他の適用のために、又は既存の適用を最適化するために使用し得る。更なる利点は広範囲の異なる機能化物質が制限された数の中間体からつくられることである。しかしながら、幾つかの問題が表面に結合された官能基の化学変換に見られる。例えば、非常に長い反応時間が表面に結合された官能基のこのような化学変換を行うのにしばしば必要とされる。これらの延長された反応条件は官能基が表面から除去されることをしばしばもたらす。加えて、非常にしばしば進行するこれらの反応は完結せず、分離し得ない生成物の混合物をもたらす。これらの難点を回避するために、本発明者らはこれらの物質の化学反応性を高めるための特定の付加的な官能性を有するこれらの新規機能化物質を設計した。加えて、本発明者らはこの設計が幾つかの所望の適用のための物質の性質を高めると考えた。
【0013】
(R4O)3SiCH2CH2SX の如き化合物をビニルトリアルコキシシランへのチオールHSXの遊離基促進付加により合成した。R4 は線状又は分岐C1-22-アルキル基、C2-22-アルケニル基もしくはC2-22-アルキニル基、アリール基又はC1-22-アルキルアリール基である。広範囲の遊離基開始剤がこの反応に使用でき、ペルオキシド、特にアルキルペルオキシドが好ましい。二三時間毎の非常に少量の開始剤の添加が全収率を改良する。20-170℃の反応温度が使用し得るが、20-120℃の反応温度が好ましい。ジ-tert-ブチルペルオキシドが好ましい遊離基開始剤である。5分〜48時間の反応時間が使用され、1/2〜2時間が好ましい。
既知のゾル-ゲル技術が式1のオルガノポリシロキサンを製造するのに使用される一つの方法であった。ゾル-ゲル技術及びシリコンエステルの加水分解の技術水準がM.A.Brook 著Silicon in Organic, Organometallic and Polymer Chemistry 10章, 318頁, John Wiley & Sons, Inc., 2000、G.A. Scherer 著Sol-gel science: the physics and chemistry of sol-gel processing, Boston: Academic Press, 1990、及びJ.D. Wright 著Sol-gel materials: chemistry and applications, Amsterdam: Gordon & Breach Science Publishers, 2001並びにこれらの中に含まれた文献により記載されている。酸及び塩基が必要により(R4O)3SiW 及び(R4O)3SiV、並びにテトラアルキルオルトシリケートの如きその他の化合物とともに (R4O)3SiCH2CH2SX のシリコンエステルの加水分解を触媒作用するのに使用されて式1のオルガノポリシロキサンを生成した。
式1の化合物における特別なサイズ及び分布を有する細孔の調製を助けるための鋳型がゾルゲル段階で添加し得る。式1の固体オルガノポリシロキサンの調製時に、これらの鋳型が既知の方法を使用して洗い去られる。
グループA、B、C及びDに加えて、末端基、架橋ブリッジ員又はポリマー鎖、例えば、 (R3)3SiO1/2 又はR3SiO3/2又は (R3)2SiO2/2又はTiO4/2又はR3TiO3/2 又は(R3)2TiO2/2 又はAlO3/2 又はR3AlO2/2(式中、R3 は先に定義されたとおりであるが、好ましくはメチル又はエチルである)、或いはその他のオキソ金属が変化する比で付加されて式1の所望の化合物を生成し得る。これらの末端基、架橋ブリッジ又はポリマー鎖前駆体は化合物 (R4O)3SiCH2CH2SX及びテトラアルキルオルトシリケート並びに(R4O)3SiV 及び(R4O)3SiWと同時に付加し得る。
式1の化合物はまた予備生成された物質、例えば、シリカ、又は酸化アルミニウムもしくはその他の酸化物或いはカーボン(これらに限定されない)を溶媒中で変化する比で、(R4O)3SiCH2CH2SXそして必要な場合には (R4O)3SiV 及び(R4O)3SiW、そして必要な場合にはその他の末端基、架橋剤又はポリマー鎖で処理することにより調製し得る。反応の終了時に、固体が濾過され、水又はアルコールの如き溶媒で徹底的に洗浄されて残存する出発物質を除去する。
【0014】
式1の化合物は、例えば、リガンドとして金属錯体に結合されてもよい。本発明の更なる局面は金属錯体M(L)j(式中、Mは0から4までの範囲の酸化状態を有するランタニド、アクチニド、主要な族又は遷移金属に由来し、かつLはハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、カルボキシレート、シアン化物、硫酸塩、カルボニル、イミン、アルコキシ、トリアリール又はトリアルキルホスフィン及びフェノキシから選ばれた一つ以上の必要により置換されていてもよいリガンドであり、かつjは0から8までの整数である)を更に含む式1の化合物を提供し、この場合、式1の化合物は前記金属錯体に結合される。
好適には、Mが0から4までの範囲の酸化状態を有する、コバルト、マンガン、鉄、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウムに由来し、かつLがハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、カルボキシレート、シアン化物、硫酸塩、カルボニル、イミン、アルコキシ、トリアリール又はトリアルキルホスフィン及びフェノキシから選ばれた一つ以上の必要により置換されていてもよいリガンドであり、かつjが0から4までの整数である。
【0015】
式1の化合物は広範囲の使用を有する。本発明は式1の化合物を供給原料と接触させて
i) 供給原料の成分の接触変換により化学反応を行なって所望の製品を製造し、
ii) 除去された成分中に減少された物質を生成するように供給原料の成分を除去し、又は
iii)イオン交換方法で供給原料中のイオン種を除去することを特徴とする、供給原料の処理方法を提供する。
供給原料は連続の流れ、例えば、連続プロセス反応供給原料であってもよく、又は別の処理のための材料のバッチの形態であってもよい。供給原料、例えば、廃水又は廃棄プロセス流が、処理されて供給原料の成分を選択的に除去してもよい。除去される成分は供給原料中の望ましくない物質であってもよく、その方法は式1の化合物との接触後に選択的に除去される成分の減少された供給原料のための所望の組成物を提供するように作用する。この方法は、例えば、医薬製造又は製剤化方法で望まれない種を供給原料から除去して除去される物質、例えば、金属種に関して医薬製品の純度レベルを改良するのに使用されてもよい。
その方法はその後の加工又は分析のために所望の種を供給原料から除去するのに使用されてもよく、例えば、生物学的分子、例えば、酵素、ペプチド、タンパク質、エンドトキシン及び核酸が供給原料から除去されて除去された成分の更なる加工又は分析を可能にし得る。
一層厳格な環境上の規制の結果として、汚染された溶媒、水系廃棄物の広いスペクトルから、また汚染された水並びに汚染された製品及び医薬品からの陽イオン及び陰イオンの除去及び回収のための一層有効なシステムについての要望が増大しつつある。式1の化合物は広範囲の陽イオン及び陰イオンを種々の環境から取り去る際に非常に有効である。陽イオンについて、これらとして、ランタニド、アクチニド、主要な族及び遷移金属が挙げられる。陰イオンとして、ヒ酸イオン、ホウ酸イオン、クロム酸イオン、過マンガン酸イオン及び過塩素酸イオンが挙げられる。
【0016】
式1の化合物はイオンについて非常に高いアフィニティーを有し、こうしてそれらを種々の環境から除去することができるように設計された。このような高いアフィニティーは金属イオンが、例えば、高度に極性の活性医薬成分中の特別な官能基にしっかりと結合されている場合に必要とされる。これらの適用についての式1の化合物の設計はイオンに強く結合するために二つ以上の異なるリガンドの存在を伴なう。除去すべきイオンに応じて、リガンドはイオンについての機能化物質のアフィニティーを最適化するために軟質もしくは硬質又はその両方の組み合わせであるように設計される。更に、式1の化合物は特定のイオン不純物に最適のリガンドの組み合わせを簡単に見つけるために容易に変性される官能基で設計された。
例えば、本明細書中の実施例1-4及び14からの生成物は種々の溶液からの銅(II)イオンの除去に非常に有効である。水処理流中に存在する鉄(II)イオン及び鉄(III)イオンは本明細書中の実施例4及び11からの生成物を使用して直ぐに除去される。実施例からの生成物についての言及は本明細書中の実施例についての言及である。
式1の化合物はまた種々の異なる溶液からの、そしてまた活性医薬成分中に普通に見られる官能基、例えば、アミド、アミン及びカルボン酸に結合された貴金属、例えば、パラジウム、白金及びロジウムイオンだけでなく、ニッケル(0)及びニッケル(II)を除去し得る。例えば、実施例1-4、9-11、14、16-20及び27-28からの生成物のいずれかによるテトラヒドロフラン又はジクロロメタン中の酢酸パラジウム溶液の処理は溶液からのパラジウムイオンの完全な除去をもたらす。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロリド又はアセテートを含む溶液について、実施例1-4、16-20及び27-28からの生成物はその除去について同等に有効である。実施例1-3、11、14、16-20からの生成物は種々の溶液からのクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)の除去に有効である。実施例1-3、9、及び16-20並びに27-28からの生成物は種々の溶液からの塩化白金の除去に有効である。ロジウム(III)は実施例1-4及び16-20からの生成物のいずれかを使用して種々の溶液から直ぐに除去される。
【0017】
種々の適用のための錯体化合物の製造におけるルテニウム触媒の使用が増大しつつある。これらの毒性触媒で見られる重大な問題はその金属が所望の化合物に結合され、通常の方法を使用して直ぐに除去し得ないことである。式1の化合物はまた種々の異なる溶液からの、そしてまた活性医薬成分中に普通に見られる官能基、例えば、アミド、アミン及びカルボン酸に結合されたルテニウムを除去し得る。例えば、実施例1-4、8-9、16-18及び27-28からの生成物のいずれかによる塩化ルテニウム溶液の処理は溶液からのルテニウムイオンの完全な除去をもたらす。
貴金属は、それらの夫々の触媒サイクルを考えると、廃棄物流、溶液中にしばしば存在し、又は一種より多い酸化状態で製品に結合される。式1の化合物、例えば、実施例1-4及び16-20はこれらの貴金属をそれらの異なる酸化状態で脱除し得る。
式1の化合物は陰イオン、例えば、ヒ酸イオン、クロム酸イオン、過マンガン酸イオン、ホウ酸イオン及び過塩素酸イオンを除去するのに使用し得る。これらの陰イオンは環境及び健康に多くの重大な問題を課する。
式1の化合物は過剰の無機又は有機試薬及び副生物を反応混合物又は不純な化学製品から除去するのに、脱除剤として、使用し得る。これらの適用において、不純物はこれらの不純物中に含まれる官能性を特定の機能化物質とマッチさせることにより除去される。例えば、実施例8-10及び14で夫々調製されたアミン及びポリアミン物質がカルボン酸及び鉱酸だけでなく、反応混合物からのその他の酸性試薬を直ぐに除去し得る。実施例8-10及び14-15で夫々調製されたアミン及びポリアミンがイソシアネート、酸塩化物、アルデヒド、スルホニルハライド及びクロロホルメートを除去し得る。下記の実施例は式1の化合物による望まれない有機化合物及び無機化合物の脱除を説明するが、それらの可能性の範囲を限定することを目的としない。トルエンスルホニルクロリド、ベンゾイルクロリド及びフェニルイソシアネートが実施例8-10及び14-15からのアミンを使用して直ぐに除去される。
【0018】
遺伝子毒性物質はDNAへの直接又は間接の損傷を生じ得る。遺伝子毒性不純物の一つのクラスは既知のアルキル化剤、例えば、アルキルハライド並びにスルホニルエステル及びハライドである。実施例24-26に説明されるように、式1のチオ尿素はこのような官能基を含む化合物を除去するのに非常に有効である。
式1の化合物はまた出発物質の最初の結合による固相合成に使用し得る。次いで幾つかの化学反応が行なわれ、夫々の工程において精製が簡単な濾過により容易である。その順序の最後に、所望の物質が固相から放出される。
加えて、式1の化合物は所望の製品が機能化物質による選択的保持により精製されるとともに不純物が除去される固相抽出のための物質として使用し得る。次いで所望の物質が続いて異なる溶媒系を使用して放出される。
式1の化合物の更なる適用として、クロマトグラフィー分離のための物質としての使用が挙げられる。
光学活性基を含む、式1の化合物はキラル分離のための物質として使用し得る。
式1の化合物はゲル濾過及び高速サイズ排除クロマトグラフィーだけでなく、高圧液体クロマトグラフィー及び固相抽出のための物質として使用し得る。
式1の化合物は生物学的分子、例えば、酵素、ポリペプチド、タンパク質及び核酸を固定化するためだけでなく、それらの分離及び精製のための両方に使用し得る。固定化酵素は多くの操作上及び性能上の利点を有する。式1の化合物に固定化し得る酵素の例として、リパーゼ、エステラーゼ、ヒドロラーゼ、トランスフェラーゼ、オキシドリダクターゼ及びリガーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
固定化酵素の既知の不利は性能が支持体への結合後に減少され、又は完全に失われることである。更なる不利として、不純な製品とともに固定化酵素の活性の損失をもたらす支持体からの酵素の漏出が挙げられる。
【0019】
既知の方法が酵素を式1の化合物の表面の官能性に結合するのに使用された。これとして、ジアルデヒド、例えば、グルタルアルデヒド、ジ-イソチオシアネート及びジ-イソシアネートの使用が挙げられるが、これらに限定されない。グルタルアルデヒドを使用して、イミンがアミンを介して、同様に酵素のアミノ基を介して表面への結合により生成される。表面に結合されたアミノ基への酵素のカップリングがまた水溶性カルボジイミド、例えば、EDC 1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩を使用して達成し得る。別のカップリングアプローチはハロゲン化シアンの使用を伴なう。その他の化学方法、例えば、ジ-イミド化学がまた酵素を表面の官能基に固定化するのに使用し得る。全てのこのような場合に、酵素が無機支持体に共有結合される。これが特に有利である。何とならば、固定化酵素が除去され、再使用し得るだけでなく、製品精製を促進するからである。別の操作上の利点は固定化酵素が固定床として、また流動化学に使用し得ることである。
流動実験において、高いエナンチオ選択的加水分解がラセミ体のエステルを含む水性有機溶液を20時間の期間にわたって、実施例41又は42を含む固定化リパーゼ、サーモミセス・ラヌギノーサのカラムに通すことにより達成された。酵素活性が固定化酵素の6回の追加の使用にわたって失われず、支持体からの酵素の漏出のないことを実証した。同じ実験において、別の技術を使用して支持体に物理吸着された同リパーゼは支持体からの漏出により活性を保持しなかった。
溶解されたリパーゼ、例えば、サーモミセス・ラヌギノーサは酵素活性を保持するために親油性環境中にあることを好むことが報告されている。実施例21、22、37-43において、固定化酵素のまわりの環境が酵素を結合するための官能性とともにアルキル基及びアルケニル基の結合により親油性にされた。必要により置換されていてもよいアルキルアリール基、アルケニル基、アルケニルアリール基及びアリール基だけでなく、ヘテロ置換アルキル基が酵素固定化のための官能性とともに、親油性環境を生じるために同様に結合し得る。
【0020】
Sang H.L.ら, Journal Molecular Catalysis, 47, 2007, 129-134により記載された方法を使用するp-ニトロフェニルブチレートの加水分解において、全てのリパーゼ変性シリカ(実施例37-42)は均一酵素に匹敵する活性で高い酵素活性を示した。こうして、酵素活性が固定化で維持された。
これらの親油性変性固定化酵素の活性は酵素と親油性基の構造の性質の組み合わせに依存すると考えられる。こうして、この組み合わせに応じて、酵素活性が追加の表面変性により高められる。p-ニトロフェニルブチレートの加水分解において、実施例37、39及び41におけるリパーゼ固定化酵素が実施例38及び40(これらの場合、親油性基が小さいか、又は性質が一層極性である)と較べて高い酵素活性を示した。
加えて、式1の化合物に固定化された核酸が高容量の核酸ハイブリダイゼーションアッセイを行なうのに使用し得る。
エンドトキシンはグラム陰性細菌、例えば、E.coliの細胞壁の一体部分である、リポポリサッカリドである。エンドトキシンは哺乳類で発熱反応及びショック反応を生じ、加えてしみ込みやすく、製品、混合物及び水性流から除去し難い。それらは非常に低い濃度で高度に活性であり、除去の既存の方法、例えば、膜技術が非常に有効ではない。式1の化合物、例えば、実施例8、9、10及び14でつくられた化合物はエンドトキシンを水性環境から除去し得る。
式1の化合物は抗菌剤として使用し得る。本発明はまた式1の化合物及び担体を含む抗菌性組成物を提供する。
式1の化合物は種々の表面に薄いフィルムとして適用し得る。
今、本発明が本発明の例示実施例を参照して詳しく記載される。
【実施例1】
【0021】
トルエン(2.5L)中に2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(1.54モル)及びシリカ(1kg)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン(1L)、メタノール(1L)、水性塩基(2x2L)、脱イオン水(2L)及びメタノール(2L)で洗浄し、次いで減圧で乾燥させて固定化アミノスルフィド(1.1kg)を得た。トルエン(300mL)中のアミノスルフィドシリカ(100g、0.1モル)及びメチルイソチオシアネート(0.25モル)の混合物を3時間にわたって撹拌しながら加熱した。冷却後、その混合物を濾過し、固体を水で良く洗浄して式1(式中、c及びdがゼロであり、R1、R2及びR5が水素であり、かつRがメチルである)のチオ尿素(105g)を得た。
【実施例2】
【0022】
トルエン(250mL)中に2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.154モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン、メタノール、水性塩基、脱イオン水及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて固定化アミノスルフィド(110g)を得た。トルエン(150mL)中のアミノスルフィドシリカ(50g、0.05モル)及びエチルイソチオシアネート(0.125モル)の混合物を3時間にわたって撹拌しながら加熱した。冷却後、その混合物を濾過し、固体を水で洗浄して式1(式中、c及びdがゼロであり、R1、R2及びR5が水素であり、かつRがエチルである)のチオ尿素(55g)を得た。
【実施例3】
【0023】
トルエン(250mL)中に2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.14モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン、メタノール、水性塩基、脱イオン水及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて固定化アミノスルフィド(110g)を得た。トルエン(150mL)中のアミノスルフィドシリカ(50g、0.05モル)及びフェニルイソチオシアネート(0.125モル)の混合物を3時間にわたって撹拌しながら加熱した。冷却後、その混合物を濾過し、固体を水で良く洗浄して式1(式中、c及びdがゼロであり、R1、R2及びR5が水素であり、かつRがフェニルである)のチオ尿素を得た。
【実施例4】
【0024】
トルエン(2.5L)中に2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(1.24モル)、フェニルトリエトキシシラン(0.3モル)及びシリカ(1kg)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン(1L)、メタノール(1L)、水性塩基(2x2L)、脱イオン水(2L)及びメタノール(2L)で洗浄し、次いで減圧で乾燥させて固定化フェニルアミノスルフィド(1.15kg)を得た。トルエン(300mL)中のフェニルアミノスルフィドシリカ(100g、0.1モル)及びメチルイソチオシアネート(0.25モル)の混合物を3時間にわたって撹拌しながら加熱した。冷却後、その混合物を濾過し、固体を水で良く洗浄して式1(式中、cがゼロであり、R1、R2及びR5が水素であり、かつRがメチルであり、かつVがフェニルである)のチオ尿素(105g)を得た。
【実施例5】
【0025】
トルエン(250mL)中に2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.08モル)、1-オクチル-2-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.06モル)、メチルトリエトキシシラン(0.03モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン(1L)、メタノール(1L)、水性塩基(2x2L)、脱イオン水(2L)及びメタノール(2L)で洗浄し、次いで減圧で乾燥させて固定化フェニルアミノスルフィド(120g)を得た。トルエン(300mL)中のアミノスルフィドシリカ(100g、0.1モル)及びメチルイソチオシアネート(0.25モル)の混合物を3時間にわたって撹拌しながら加熱した。冷却後、その混合物を濾過し、固体を水で良く洗浄して式1(式中、R1、R2及びR5が水素であり、かつRがメチルであり、Wが2-オクチルスルフィニルエチルであり、かつVがメチルである)のチオ尿素(105g)を得た。
【実施例6】
【0026】
2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.08モル)、オクチル2-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.02モル)及びテトラエチルオルトシリケート(62.4g、0.3モル)を含む混合物をメタノール(200mL)に溶解し、1M HCl(36mL)を撹拌しながら添加した。次いでメタノールが蒸発し、ガラスが生成するまでその混合物を80℃で温めた。ガラスを砕き、水性塩基で洗浄し、次いで還流メタノール中で撹拌した。次いでその物質を0.1mm Hgの減圧で80℃で2時間乾燥させて式1(式中、eが2であり、R1及びR2が水素であり、Zが硫黄であり、Rがオクチルであり、Xが2-アミノエチルであり、かつdが0である)のアミンを白色の粉末として得た。
【実施例7】
【0027】
トルエン(250mL)中にメチル2-トリメトキシシリルエチルスルフィニルアセテート(0.08モル)、1-オクチル-2-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.08モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン(1L)及びメタノール(1L)で洗浄し、次いで減圧で乾燥させて式1(式中、R1、R2が水素であり、かつRがメチルであり、かつWが2-オクチルスルフィニルエチルである)の固定化メチルエステル(120g)を得た。
【実施例8】
【0028】
トルエン(250mL)中にメチル2-トリメトキシシリルエチルスルフィニルアセテート(0.08モル)、1-オクチル-2-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.08モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。テトラエチレンペンタミン(0.107モル)を添加し、その混合物を更に3時間還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン(1L)及びメタノール(1L)で洗浄し、次いで減圧で乾燥させて式1(式中、R1、R2が水素であり、かつRがポリアミンフラグメントであり、かつWが2-オクチルスルフィニルエチルである)の固定化アミン(122g)を得た。
【実施例9】
【0029】
メタノール(250mL)中にメチル2-トリメトキシシリルエチルスルフィニルアセテート(0.06モル)、1-オクチル-2-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.1モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。ポリアミン(Mn1300、0.06モル)を添加し、その混合物を更に3時間還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン(1L)及びメタノール(1L)で洗浄し、次いで減圧で乾燥させて式1(式中、R1、R2が水素であり、かつRがポリアミンフラグメントであり、かつWが2-オクチルスルフィニルエチルである)の固定化アミン(122g)を得た。
【実施例10】
【0030】
メタノール(250mL)中にメチル2-トリメトキシシリルエチルスルフィニルアセテート(0.05モル)、1-オクチル-2-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.11モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。ポリアミン(Mn2000、0.05モル)を添加し、その混合物を更に3時間還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン(1L)及びメタノール(1L)で洗浄し、次いで減圧で乾燥させて式1(式中、R1、R2が水素であり、かつRがポリアミンフラグメントであり、かつWが2-オクチルスルフィニルエチルである)の固定化アミン(121g)を得た。
【実施例11】
【0031】
2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.08モル)、メチルトリメトキシシラン(0.02モル)、ジメチルジメトキシシラン(0.01モル)及びテトラエチルオルトシリケート(0.8モル)を含む混合物をメタノール(300mL)に溶解し、1M HCl(36mL)を撹拌しながら添加した。次いでメタノールが蒸発し、ガラスが生成するまでその混合物を80℃で温めた。ガラスを砕き、水性塩基で洗浄し、次いで還流メタノール中で撹拌した。次いでその物質を0.1mm Hgの減圧下で80℃で2時間乾燥させた。トルエン(40mL)中にこのアミン物質(10g)、エチルイソシアネート(0.03モル)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流し、次いで濾過した。その物質を水及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて式1(式中、eが2であり、R1、R2及びR5が水素であり、Vがメチルであり、Rがエチルであり、かつcが0である)の尿素を白色の粉末として得た。
【実施例12】
【0032】
ジエチレントリアミン(72.4mL、670ミリモル)及びトルエン(150mL)の混合物を100℃で加熱し、次いでトルエン(50mL)中のエチレンスルフィド(20mL、335ミリモル)の溶液を30分間にわたって滴下して添加した。16時間後、その反応混合物を冷却し、濾過した。濾過された溶液を蒸発させ、ビニルトリメトキシシラン(34mL、224ミリモル)及びジ-tertブチルペルオキシド(1mL)を添加し、その反応混合物を130℃で24時間加熱し、ジ-tertブチルペルオキシド(1mL)を規則的に添加して2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド2'-ジエチレントリアミンエチルスルフィドを含む混合物を得た。
【実施例13】
【0033】
メチルヒドラジン(670ミリモル)及びトルエン(150mL)の混合物を100℃で加熱し、次いでトルエン(50mL)中のエチレンスルフィド(20mL、335ミリモル)の溶液を30分間にわたって滴下して添加した。16時間後、その反応混合物を冷却し、濾過した。濾過された溶液を蒸発させ、ビニルトリメトキシシラン(34mL、224ミリモル)及びジ-tertブチルペルオキシド(1mL)を添加し、その反応混合物を130℃で24時間加熱し、ジ-tertブチルペルオキシド(1mL)を規則的に添加して2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド2'-メチルヒドラジルエチルスルフィドを含む混合物を得た。
【実施例14】
【0034】
トルエン(250mL)中に2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド2'-ジエチレントリアミンエチルスルフィド(0.10モル)、1-オクチル-2-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.05モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて式1(式中、dが0であり、R6、及びR7が水素であり、Rがオクチルであり、かつXが2'-ジエチレントリアミンエチルである)の化合物を得た。
【実施例15】
【0035】
トルエン(250mL)中に2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド2'-メチルヒドラジルエチルスルフィド(0.15モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて式1(式中、c及びdが0であり、かつXが2'-メチルヒドラジルエチルである)の化合物を得た。
【実施例16】
【0036】
メタノール(200mL)中に2-トリメトキシシリル1-アセチルメルカプトエタン(0.12モル)及び3-メルカプト-1-トリエトキシシリルプロパン(0.05モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。メタノール性ナトリウムメトキシド(0.17モル)を添加し、その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて式1(式中、dが0であり、かつXが水素であり、かつWが3-メルカプトプロピルである)の化合物を得た。
【実施例17】
【0037】
メタノール(200mL)中に2-トリメトキシシリル1-アセチルメルカプトエタン(0.14モル)及び3-アミノ-1-トリエトキシシリルプロパン(0.02モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。メタノール性ナトリウムメトキシド(0.17モル)を添加し、その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて式1(式中、dが0であり、かつXが水素であり、かつWが3-アミノプロピルである)の化合物を得た。
【実施例18】
【0038】
メタノール(200mL)中に2-トリメトキシシリル1-アセチルメルカプトエタン(0.12モル)及び2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.05モル)並びにシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。メタノール性ナトリウムメトキシド(0.17モル)を添加し、その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン、水及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて式1(式中、dが0であり、かつXが水素であり、かつWが2-アミノエチルスルフィニルエチルである)の化合物を得た。
【実施例19】
【0039】
メタノール(200mL)中に2-トリメトキシシリル1-アセチルメルカプトエタン(0.12モル)及び3-メルカプトプロピル2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.05モル)並びにシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。メタノール性ナトリウムメトキシド(0.17モル)を添加し、その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン、水及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて式1(式中、dが0であり、かつXが水素であり、かつeが2であり、かつR8が(CH2)3SHと(CH2)3S(CH2)2Si(O3/2)の混合物である)の化合物を得た。
【実施例20】
【0040】
メタノール(200mL)中に2-トリメトキシシリル1-アセチルメルカプトエタン(0.12モル)及び2-メルカプトエチル2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.04モル)並びにシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。メタノール性ナトリウムメトキシド(0.17モル)を添加し、その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン、水及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて式1(式中、dが0であり、かつXが水素であり、かつeが2であり、かつR8が(CH2)2SHと(CH2)2S(CH2)2Si(O3/2)の混合物である)の化合物を得た。
【実施例21】
【0041】
トルエン(250mL)中に2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.08モル)、1-オクチル-2-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.06モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン(1L)、メタノール(1L)、水性塩基(2x2L)、脱イオン水(2L)及びメタノール(2L)で洗浄し、次いで減圧で乾燥させて固定化アミノスルフィド(120g)を得た。トルエン中のアミノスルフィドシリカ(2g)及び過剰のグルタルアルデヒドの混合物を24時間撹拌し、次いで濾過した。固体をメタノールで良く洗浄し、次いで乾燥させた。この固体に水中のリパーゼを添加し、その混合物を一夜撹拌し、次いで濾過した。その固定化酵素を水で良く洗浄した。ニトロフェノールエステルの水溶液をその固定化酵素で室温で処理して10分後に完全な加水分解を得た。固定化酵素をその溶液から濾過し、水で洗浄した。ニトロフェノールエステルの水溶液の新しいサンプルをこのサンプルで処理して、また10分後に完全な加水分解をもたらした。
【実施例22】
【0042】
アセトニトリル中の実施例21からのアミノスルフィドシリカ(2g)及び過剰のフェニルジイソチオシアネートの混合物を4時間にわたって40℃で温めた。濾過された固体を水で良く洗浄し、次いで室温で4時間にわたってリパーゼの水溶液で処理した。固定化酵素を反応混合物から濾過し、水で良く洗浄した。ニトロフェノールエステルの水溶液を室温で固定化酵素で処理して10分後に完全な加水分解を得た。固定化酵素を溶液から濾過し、水で洗浄した。ニトロフェノールエステルの水溶液の新しいサンプルをこのサンプルで処理して、また10分後に完全な加水分解をもたらした。
【実施例23】
【0043】
エンドトキシン水溶液(500mL、5x102 EU/mL)を実施例9からの生成物を含む短いカラムに通した。溶離された溶液の分析はエンドトキシン濃度が今検出限界(<0.05 EU/mL)を下回ることを示した。実施例8、10及び14からの生成物が同じ性能のレベルを示した。
【実施例24】
【0044】
無水THF(1.5mL)中の2-クロロアセトフェノン(50mg)の溶液を実施例1からの生成物(2当量、0.835g)で処理し、その混合物を15時間にわたって50℃で撹拌しながら加熱した。ナイロン膜0.2mm(これを無水THF2mLで洗浄した)を使用してシリカ脱除剤を除去した。有機層を真空で乾燥させ、LC/MSにより分析した。脱除を>93%の除去で測定した。実施例15からの生成物が同じ性能のレベルを示した。
【実施例25】
【0045】
無水THF(1.5mL)中の2-クロロメチルピリジン(50mg)の溶液を実施例1からの生成物(2当量、0.762 g)で処理し、その混合物を15時間にわたって40℃で撹拌しながら加熱した。ナイロン膜0.2mm(これを無水THF2mLで洗浄した)を使用してシリカ脱除剤を除去した。有機層を真空で乾燥させ、LC/MSにより分析した。脱除を>98%の除去で測定した。
【実施例26】
【0046】
無水THF(1.5mL)中の2-クロロ-N,N'-ジメチルアセトアミド(50mg)の溶液を実施例1からの生成物(2当量、0.735g)で処理し、その混合物を15時間にわたって50℃で撹拌しながら加熱した。ナイロン膜0.2mm(これを無水THF2mLで洗浄した)を使用してシリカ脱除剤を除去した。有機層を真空で乾燥させ、LC/MSにより分析した。脱除を>99%の除去で測定した。
【実施例27】
【0047】
トルエン(50mL)中のメチルイソチオシアネート(0.35モル)及び2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.154モル)の溶液を4時間にわたって撹拌しながら還流して(CH3O)3SiCH2CH2SCH2CH2NHC(=S)NHCH3を得た。次いでこの溶液をトルエン(200L)中のシリカ(100g)に添加し、得られる混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン(1L)、メタノール(1L)、水性塩基(2x2L)、脱イオン水(2L)及びメタノール(2L)で洗浄し、次いで減圧で乾燥させて式1(式中、c及びdが0であり、R1、R2及びR5が水素であり、かつRがメチルである)のチオ尿素(115g)を得た。
【実施例28】
【0048】
メタノール(200mL)中の(CH3O)3SiCH2CH2SCH2CH2NHC(=S)NHCH3(0.05モル)、2-トリメトキシシリル1-アセチルメルカプトエタン(0.12モル)及びシリカ(100g)の溶液を4時間にわたって撹拌しながら還流した。メタノール性ナトリウムメトキシド(0.17モル)を添加し、その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン、水及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて式1(式中、dが0であり、かつXが水素であり、かつeが2であり、かつWがCH2CH2SCH2CH2NHC(=S)NHCH3である)の化合物を得た。
【実施例29】
【0049】
実施例10からの生成物(0.06g)をクロロホルムとジクロロメタンの混合物中の三塩化ルテニウム500ppmの暗オレンジ/褐色の着色溶液のサンプル(1ml)に添加した。その溶液は完全に無色になった。その混合物を濾過した。濾液の分析はルテニウムが除去されたことを示した。実施例1〜4、8、9、11、15-20及び27-28は上記試験で同等に有効であった。
【実施例30】
【0050】
実施例1からの生成物(0.06g)をクロロホルム中のクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)150ppmのオレンジ色の着色溶液のサンプル(1ml)に添加した。その溶液は完全に無色になった。次いでその混合物を濾過した。濾液の分析はロジウムが除去されたことを示した。実施例9-11、14、16-20及び27-28は上記試験で同等に有効であった。
【実施例31】
【0051】
実施例1からの生成物(0.06g)をジクロロメタン中の酢酸パラジウム160ppmのオレンジ色の着色溶液のサンプル(1ml)に添加した。その溶液は完全に無色になった。次いでその混合物を濾過した。濾液の分析はパラジウムが除去されたことを示した。実施例2-4、16-20、及び27-28は上記試験で同等に有効であった。
【実施例32】
【0052】
実施例1からの生成物(0.06g)をジクロロメタン中のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム160ppmのオレンジ色の着色溶液のサンプル(1ml)に添加した。その溶液は完全に無色になった。次いでその混合物を濾過した。濾液の分析はパラジウムが除去されたことを示した。実施例16-20、及び27-28は上記試験で同等に有効であった。
【実施例33】
【0053】
実施例11からの生成物(0.06g)を水中のテトラクロロ白金酸カリウム1300ppmの明黄色の着色溶液のサンプル(1ml)に添加した。その溶液は完全に無色になった。次いでその混合物を濾過した。濾液の分析は白金が除去されたことを示した。実施例1及び16-20、並びに27-28は上記試験で同等に有効であった。
【実施例34】
【0054】
エーテル(10ml)中にp-トルエンスルホン酸(0.019g、0.1ミリモル)及び実施例10からの生成物(0.54g、0.10ミリモル)を含む混合物を室温で1時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を濃縮し、残渣を計量した。97%より多いp-トルエンスルホン酸を除去した。実施例8、9及び15が上記試験で同等に有効であった。
【実施例35】
【0055】
アニソール(0.031g、0.28ミリモル)、エチルクロロホルメート(0.027g、0.25ミリモル)及び実施例10からの生成物(0.59g、1.11ミリモル)の混合物をCDCl3(2.5cm3)中で室温で1.5時間撹拌した。次いでその混合物を遠心分離し、そのクロロホルム溶液の1H NMRスペクトルはエチルクロロホルメートが完全に除去されたことを示した。実施例8、9及び15がこの試験で同等に有効であった。
【実施例36】
【0056】
ジメトキシエタン(0.022g、0.25ミリモル)、フェニルイソシアネート(0.029g、0.24ミリモル)及び実施例1からの生成物(0.45 g、0.97ミリモル)の混合物をCDCl3(2.5cm3)中で室温で1.5時間撹拌した。次いでその混合物を遠心分離し、そのクロロホルム溶液の1H NMRスペクトルはフェニルイソシアネートが完全に除去されたことを示した。実施例8-10及び15がこの試験で同等に有効であった。
【実施例37】
【0057】
トルエン中に2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.03モル)、1-ドデシル-2-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.07モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン、メタノール、水性塩基、脱イオン水及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて固定化アミノスルフィド(120g)を得た。水溶液中のアミノスルフィドシリカ(2g)及び過剰のグルタルアルデヒドの混合物を6又は8時間撹拌し、次いで濾過した。固体を水で良く洗浄し、次いで乾燥させて過剰の水を除去した。この固体に水中のリパーゼを添加し、その混合物を8時間撹拌し、次いで濾過した。その固定化酵素を水で良く洗浄した。その固定化酵素をその溶液から濾過し、水中1Mの酢酸カルシウムの溶液で洗浄した。
【実施例38】
【0058】
トルエン(250mL)中に2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.05モル)、ビニルトリメトキシシランスルフィド(0.05モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン、メタノール、水性塩基、脱イオン水及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて固定化アミノスルフィド(120g)を得た。水溶液中のアミノスルフィドシリカ(2g)及び過剰のグルタルアルデヒドの混合物を6又は8時間撹拌し、次いで濾過した。固体を水で良く洗浄し、次いで乾燥させて過剰の水を除去した。この固体に水中のリパーゼを添加し、その混合物を一夜撹拌し、次いで濾過した。その固定化酵素を水で良く洗浄した。
【実施例39】
【0059】
トルエン(250mL)中に2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.05モル)、1-ブチル-2-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.05モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン、メタノール、水性塩基、脱イオン水及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて固定化アミノスルフィド(120g)を得た。水溶液中のアミノスルフィドシリカ(2g)及び過剰のグルタルアルデヒドの混合物を6又は8時間撹拌し、次いで濾過した。固体を水で良く洗浄し、次いで乾燥させて過剰の水を除去した。この固体に水中のリパーゼを添加し、その混合物を一夜撹拌し、次いで濾過した。その固定化酵素を水で良く洗浄した。その固定化酵素をその溶液から濾過し、水中1Mの酢酸カルシウムの溶液で洗浄した。
【実施例40】
【0060】
トルエン(250mL)中に2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.03モル)、2-(2-メルカプトエトキシ)エトキシエチルエチルスルフィドトリメトキシシラン(0.07モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン、メタノール、水性塩基、脱イオン水及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて固定化アミノスルフィド(120g)を得た。水溶液中のアミノスルフィドシリカ(2g)及び過剰のグルタルアルデヒドの混合物を6又は8時間撹拌し、次いで濾過した。固体を水で良く洗浄し、次いで乾燥させて過剰の水を除去した。この固体に水中のリパーゼを添加し、その混合物を一夜撹拌し、次いで濾過した。その固定化酵素を水で良く洗浄した。
【実施例41】
【0061】
トルエン(250mL)中に2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.03モル)、1-ブチル-2-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.07モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン、メタノール、水性塩基、脱イオン水及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて固定化アミノスルフィド(120g)を得た。水溶液中のアミノスルフィドシリカ(2g)及び過剰のグルタルアルデヒドの混合物を6又は8時間撹拌し、次いで濾過した。固体を水で良く洗浄し、次いで乾燥させて過剰の水を除去した。この固体に水中のリパーゼを添加し、その混合物を一夜撹拌し、次いで濾過した。その固定化酵素を水で良く洗浄した。
【実施例42】
【0062】
トルエン中に2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.03モル)、1-ベンジル-2-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.07モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン、メタノール、水性塩基、脱イオン水及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて固定化アミノスルフィド(120g)を得た。水溶液中のアミノスルフィドシリカ(2g)及び過剰のグルタルアルデヒドの混合物を6又は8時間撹拌し、次いで濾過した。固体を水で良く洗浄し、次いで乾燥させて過剰の水を除去した。この固体に水中のリパーゼを添加し、その混合物を8時間撹拌し、次いで濾過した。その固定化酵素を水で良く洗浄した。その固定化酵素をその溶液から濾過し、水中1Mの酢酸カルシウムの溶液で洗浄した。
【実施例43】
【0063】
トルエン中に2-アミノエチル塩酸塩2'-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.03モル)、1-オクタデシル-2-トリメトキシシリルエチルスルフィド(0.07モル)及びシリカ(100g)を含む混合物を4時間にわたって撹拌しながら還流した。その混合物を室温に冷却し、次いで濾過した。固体をトルエン、メタノール、水性塩基、脱イオン水及びメタノールで洗浄し、次いで減圧で乾燥させて固定化アミノスルフィド(120g)を得た。水溶液中のアミノスルフィドシリカ(2g)及び過剰のグルタルアルデヒドの混合物を6又は8時間撹拌し、次いで濾過した。固体を水で良く洗浄し、次いで乾燥させて過剰の水を除去した。この固体に水中のリパーゼを添加し、その混合物を8時間撹拌し、次いで濾過した。その固定化酵素を水で良く洗浄した。その固定化酵素をその溶液から濾過し、水中1Mの酢酸カルシウムの溶液で洗浄した。
【実施例44】
【0064】
p-ニトロフェニルブチレート(Sang H.L.ら, Journal Molecular Catalysis, 47, 2007,129-134)の溶液を使用して、実施例37-41からの物質のエステル化のための比活性(PLU/g)を測定した。リパーゼ変性シリカのサンプルをリン酸塩緩衝液に添加し、続いてDMF中のp-ニトロフェニルブチレートの溶液を25℃で振とうしながら添加した。周期的に、アリコートを採取し、UVスペクトロメーターにより分析した。p-ニトロフェニルブチレートの加水分解中に生成されるp-ニトロフェノールによる400nmにおける吸光度の増加を測定することにより比活性を測定した。これらの条件下で測定された、5分後の、比活性(PLU/g)は以下のとおりである:実施例37 267,000;実施例38 166,000;実施例39 280,000;実施例40 165,000及び実施例41 234,000。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1の化合物。
[(O3/2)Si CH2CH2SX] a [Si (O4/2)] b [WSi (O3/2)] c [VSi (O3/2)] d
[式中、Xは
H
(CR1R2)eNR5 CO NHR
(CR1R2)eNR5 CS NHR
(CR1R2)eNR5 NHR
から選ばれ、かつ
cが0より大きい場合には、Wは(CR6R7)e ZR、(CH2)3 SR、(CH2)3 NRR1、(CH2)e SR8、CH2CH2S (CR1R2)fNR5 CO NHR、CH2CH2S (CR1R2)fNR5 CS NHR、CH2CH2S (CH2)f ORから選ばれ、かつ
Wが(CR6R7)e ZR であり、かつZがO又はSである場合には、Xはまた
[CH2CH2NR1]p R2;
(CR1R2)f CO NHR;
(CR1R2)f CO N[CH2CH2NR1]p R
から選ばれ、かつ
XがHである場合には、cは常に0より大きく、かつWは
(CH2)3 SR;
(CH2)3 NRR1
(CH2)e SR8;
CH2CH2S (CR1R2)fNR5 CO NHR
CH2CH2S (CR1R2)fNR5 CS NHR
CH2CH2S (CH2)fCO NHR
CH2CH2S (CH2)fCO NHR8
CH2CH2S (CH2)f OR
から選ばれ、
R、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は独立に水素、C1-22-アルキル基、C1-22-アリール基及びC1-22-アルキルアリール基から選ばれ、R8は [CH2CH2NR1]p R2 及び(CR1R2)m SR9 (式中、R9 は水素、C1-22-アルキル基、C1-22-アリール基、C1-22-アルキルアリール基又は (CR1R2)e Si(O3/2)である)から選ばれ、eは2から100までの整数であり、fは1から100までの整数であり、mは2から100までの整数であり、pは1から100までの整数であり、
Vは必要により置換されていてもよく、かつC1-22-アルキル基、C2-22-アルケニル基、C2-22-アルキニル基、アリール基、C1-22-アルキルアリールスルフィド基、スルホキシド、スルホン、アミン、ポリアルキルアミン、ホスフィン及びその他のリン含有基から選ばれる基であり、
シリケート酸素原子の自由原子価が式1のその他の基のケイ素原子、水素、線状又は分岐C1-22-アルキル基、末端基R33M1O1/2、架橋ブリッジ員の一つ以上により、或いは鎖R3qM1(OR4)gOk/2もしくはAl(OR4)3-hOh/2 又はR3Al(OR4)2-rOr/2
(式中、
M1 はSi 又はTiであり、
R3 及びR4 は独立に線状又は分岐C1-22 アルキル基、アリール基及びC1-22-アルキルアリール基から選ばれ、
kは1から3までの整数であり、qは1から2までの整数であり、かつgはg + k + q = 4であるような0から2までの整数であり、
hは1から3までの整数であり、かつ
rは1から2までの整数である)
或いはオキソ金属橋かけ系(その金属はジルコニウム、ホウ素、マグネシウム、鉄、ニッケル又はランタニドである)により飽和され、
a、b、c及びdはa:bの比が0.00001から100000までであり、かつa及びbが常に0より大きく、かつcが0より大きい場合には、c対a+bの比が0.00001から100000までであり、かつdが0より大きい場合には、d対c対a+bの比が0.00001から100000までであるような整数である]
【請求項2】
末端基及び/又は架橋ブリッジ員及び/又はポリマー鎖を含み、末端基及び/又は架橋剤及び/又はポリマー鎖対a+b+c+dの比が0から999:1まで変化する、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
トリアルキルもしくはトリアリールシランに由来する末端基又はオルトシリケート、チタンアルコキシドもしくはアルミニウムトリアルコキシドに由来する架橋ブリッジ員或いはモノアルキルもしくはモノアリールトリアルコキシシラン又はジアルキルもしくはジアリールジアルコキシシランに由来するポリマー鎖を含む、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
一つ以上の末端基もしくは架橋ブリッジ又はポリマー鎖がR32SiOR4O1/2、R33SiO1/2 又はR32SiO2/2又はTiO4/2又はR3TiO3/2 又はR32TiO2/2 又はAlO3/2 又はR3AlO2/2(式中、R3 及びR4は請求項1に定義されたとおりである)から選ばれる、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
R3が独立に線状又は分岐C1-22-アルキル基、アリール基及びC1-22-アルキルアリール基から選ばれる、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
R3がC1-6-アルキル、C2-12-アルケニル又はアリールである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
金属錯体M(L)j(式中、Mは0から4までの範囲の酸化状態を有するランタニド、アクチニド、主要な族又は遷移金属に由来し、かつLはハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、カルボキシレート、シアン化物、硫酸塩、カルボニル、イミン、アルコキシ、トリアリール又はトリアルキルホスフィン及びフェノキシから選ばれた一つ以上の必要により置換されていてもよいリガンドであり、かつjは0から8までの整数である)を含み、かつ式1の化合物が前記金属錯体に結合されている、請求項1から6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
プロトン化錯体又は金属錯体M(L)j(式中、Mは0から4までの範囲の酸化状態を有するコバルト、マンガン、鉄、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウムに由来し、かつLはハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、カルボキシレート、シアン化物、硫酸塩、カルボニル、イミン、アルコキシ、トリアリール又はトリアルキルホスフィン及びフェノキシから選ばれた一つ以上の必要により置換されていてもよいリガンドであり、かつjは0から4までの整数である)を含み、かつ式1の化合物が前記金属錯体に結合されている、請求項1から7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
Xが独立にH、(CR1R2)eNR5 CO NHR、(CR1R2)eNR5 CS NHR 又は(CR1R2)eNR5 NHR (式中、R、R1-2,5が独立に水素、C1-6 アルキル又はフェニルから選ばれ、かつeが2〜6である)から選ばれ、またcが0より大きい場合、Wが(CH2)e SR、(CH2)3 SR、(CH2)3 NRR1、(CH2)e SR8、CH2CH2S (CH2)2NH CO NHR、CH2CH2S (CH2)2NH CS NHR、CH2CH2S (CH2)f OR [式中、fが2〜12であり、かつR8 が[CH2CH2NH]p H又は(CH2)m SR9 (式中、R9が水素又は(CH2)2 Si(O3/2) であり、かつpが1〜100であり、かつmが2〜100である)から選ばれる]から選ばれる、請求項1から8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
Xが水素であり、かつcが0より大きく、Wが(CH2)e SR、(CH2)3 SR、(CH2)3 NRR1、(CH2)e SR8、CH2CH2S (CH2)2NH CO NHR、CH2CH2S (CH2)2NH CS NHR、CH2CH2S (CH2)f OR[式中、fが2〜12であり、R及びR1が独立に水素、C1-6 アルキル又はフェニルから選ばれ、かつeが2〜6であり、かつR8が [CH2CH2NH]p H及び (CH2)m SR9 (式中、R9が水素又は (CH2)2 Si(O3/2) であり、かつpが1〜100であり、かつmが2〜10である)から選ばれる]から選ばれる請求項1から8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
Wが(CH2)2 ZR であり、かつZがCH2、O又はSであり、Xが [CH2CH2NH]p H、(CH2)f CO NHR 又は (CH2)f CO N[CH2CH2NH]p H (式中、Rが独立にC1-20 アルキル又はアリールから選ばれ、pが1〜100であり、かつfが1〜10である)から選ばれる、請求項1から8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
シリケート酸素原子の自由原子価が式1のその他の基のケイ素原子、水素、線状又は分岐C1-6アルキル基の一つ以上により、もしくは末端基R33SiO1/2により、又は架橋ブリッジ員により、或いはポリマー鎖R3qSiOk/2(式中、R3 が線状又は分岐C1-4 アルキル基であり、kが2から3までの整数であり、かつk + q = 4であるようにqが1から2までの整数であり、かつ整数a、b、c及びdはi)a:bの比が0.00001から100,000までであり、かつ式AaBbCcDd中でA及びBの両方が常に存在し、またii)Cが存在する場合に、c対a+bの比が0.00001から100,000まで変化し、iii)Dが存在する場合に、d対a+bの比が0.00001から100,000まで変化し、かつ末端基及び/又は架橋剤及び/又はポリマー鎖対a+b+c+dの比が0から999:1まで変化するような整数である)により飽和される、請求項9から11に記載の化合物。
【請求項13】
a、b及びcはi)a:bの比が0.01から100までであり、かつ式AaBbCcDd中でA及びBの両方が常に存在し、またii)Cが存在する場合に、c対a+bの比が0.01から100まで変化し、またiii)Dが存在する場合に、d対a+bの比が0.01から100まで変化し、かつ末端基及び/又は架橋剤及び/又はポリマー鎖対a+b+c+dの比が0から99:1まで変化するような整数である、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
式2: [(R4O)3SiCH2CH2SX][式中、Xは(CR1R2)eNR5 CO NHR、(CR1R2)eNR5 CS NHR、(CH2CH2NR1)pR 及び(CR1R2)eNR5 NHR (式中、R、R1、R2及びR5は独立に水素、C1-12アルキル又はフェニルから選ばれる)から選ばれ、R4はC1-12アルキル又はフェニルから選ばれ、pは1〜100であり、かつeは2〜6である]の化合物。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項記載の化合物を供給原料流と接触させて
i) 供給原料の成分の接触変換により化学反応を行なって所望の製品を製造し、
ii)供給原料の成分を流れから除去し、又は
iii)イオン交換方法で供給原料流中のイオン種を除去することを特徴とする、供給原料の処理方法。
【請求項16】
液体基質からの望ましくない有機化合物、無機化合物又は生物学的化合物のレベルの除去又は低下のための脱除剤としての請求項1から14のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項17】
望ましくない化合物が反応混合物、廃棄物流もしくは廃水から除去され、又はその他の有機化合物に結合される、請求項16記載の使用。
【請求項18】
反応混合物、廃棄物流もしくは廃水からの、又はその他の有機化合物に結合された貴金属もしくはイオンのレベルの除去又は低下のための脱除剤としての請求項1から14のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項19】
貴金属又はイオンが白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、レニウム、金、又はニッケルの一種以上である、請求項18記載の使用。
【請求項20】
陽イオン又は陰イオン交換体としての請求項1から14のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項21】
酵素、ペプチド、タンパク質及び核酸から選ばれた生物学的分子の固定化及びその後の反応を触媒作用するためのその使用のための請求項1から14のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項22】
酵素、ペプチド、タンパク質、毒素、レクチン及び核酸から選ばれた生物学的分子の除去のための請求項1から14のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項23】
請求項1から14のいずれか1項記載の化合物及び担体を含むことを特徴とする抗菌性組成物。
【請求項24】
抗菌剤としての請求項1から14のいずれか1項記載の化合物及び請求項23記載の組成物の使用。
【請求項25】
親水性改質剤、防炎剤、帯電防止剤、生物医療装置のための被覆物、撥水性フィルム及び被覆物としての請求項1から14のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項26】
固相合成又は固相抽出及び精製のための請求項1から14のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項27】
不均一触媒支持体としての請求項1から14のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項28】
ガス、液体及び固体の環境からの有機分子、生物学的分子又は無機分子の分離又は精製のための請求項1から14のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項29】
キラル分離のための請求項1から14のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項30】
ゲル濾過、サイズ排除又はクロマトグラフィー媒体としての請求項1から14のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項31】
酸化、還元、炭素-炭素結合形成反応、付加、アルキル化、重合、ヒドロホルミル化、アリール化、アシル化、異性化、カルボキシル化、カルボニル化、エステル化、エステル交換又は転位反応のための不均一触媒としての請求項1から14のいずれか1項記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2011−502961(P2011−502961A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529299(P2010−529299)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008867
【国際公開番号】WO2009/049911
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(508243824)フォスフォニックス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】