説明

機能材を含むチューブ状集合体

【課題】 種々の農業用資材や生活資材であるウェブに、多量の機能材を含有させ、それらを徐々に機能させる機能を有し、さらにこれらの機能ウェブに柔軟性や面積拡大、単位面積当たりの機能材料の充填密度をアップし、ウェブを立体化し、ウェブに通水性や通気性等の特性を有する機能性ウェブを提示する。
【解決手段】 第1のウェブと第2のウェブが積層された状態で多条のスリット目が入れられており、このスリット部によって第1のウェブと第2ウェブがヒートシールされることによって、第1のウェブと第2ウェブの層間に形成された多数のチューブ状集合体が形成されており、かつこのチューブ内に機能性材料が含有されている、機能材を含むチューブ状集合体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚のウェブが積層された状態で、その層間に多数のチューブ状集合体を形成させ、このチューブ内に機能性材料が含有されている機能性ウェブスリット積層体に関し、機能材料として肥料や農薬等を含むマルチ資材や、抗菌、防かび、消臭剤等を含む生活用資材などに使用される機能性資材等に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布等の布状物に種々の機能性材料を含有させて、機能性を有する布状物として応用することが試みられてきた(特開2001−146673号公報、特開2001−316968号公報)。しかし、これらのウェブに多量の機能材を含有させたい場合があり、従来のように、ウェブに単に含浸させる方式では限界があった。また、これらの多量の機能材を、時間をかけて徐々に放散することが求められる場合もある。また、かかる機能性を含む布状物に、大きな伸縮性や伸度が求められる場合がある。また、適宜面積を拡大することが求められる場合があり、また逆に、単位面積当たりの機能材料の存在密度を高めたい場合もある。また、立体的な形状にして厚みを増大することが求められる場合がある。さらに、これらのウェブに通気性、通水性が付与されていることが求められてきた。これらの特性を別々の手段で行っていては、煩雑でコストもかかるので、簡便な手段で、これらの特性の全てを実現できる方策が求められていた。
【0003】
また農業においても、マルチ資材等に種々の機能剤を含ませて、高度の機能を有する農業資材が求められてきた(特開2007−209204)。また家庭内における抗菌、消臭等の用途においても、柔軟性や面積の拡大など、さらに高度の特性を有する資材が求められるようになった。また、かかる場合にも、多量の機能材を含有させたい場合があり、従来のようにウェブに含浸させるだけでは限界があった。さらに、湿度を多量に吸着出来る吸湿ウェブや、酸素を多量に吸着できる脱酸素ウェブも求められていた。
【0004】
【特許文献1】特開2001−146673号公報(第2頁)。
【特許文献2】特開2001−316968号公報(第2頁)。
【特許文献3】特開2007−209204号公報(第1頁)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、種々の農業用資材や生活資材などのウェブに、多量の機能材を含有させ、それらを徐々に機能させる機能を有し、さらにこれらの機能ウェブに柔軟性や面積拡大、単位面積当たりの機能材料の充填密度をアップし、ウェブを立体化し、ウェブに通水性や通気性等の特性を持たせることなどを、簡便な手段で付与する方式を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1のウェブと第2のウェブが積層された状態で多条のスリット目が入れられており、このスリット部によって第1のウェブと第2ウェブがヒートシールされることによって、第1のウェブと第2ウェブの層間に形成された多数のチューブ状集合体が形成されており、かつこのチューブ内に機能性材料が含有されている、機能材を含むチューブ状集合体に関する。また本発明は、前記第1のウェブと前記第2のウェブの間に機能性ウェブが積層されており、3層が積層された状態で前記スリットおよび前記ヒートシールが施されている、前記機能材を含むチューブ状集合体に関する。また本発明は、前記機能材を含むチューブ状集合体にシワ加工が施されている、前記機能材を含むチューブ状集合体に関する。また本発明は、前記第1のウェブと前記第2のウェブが不織布であり、前記機能性材料が農薬、肥料、種子の内の少なくとも1種であり、農業用マルチシートとして使用される、前記機能材を含むチューブ状集合体に関する。また本発明は、前記機能性材料が前記機能性ウェブ中に含有されており、前記第1ウェブ、前記第2ウェブ、機能性ウェブの全てが生分解性ウェブからなる前記機能材を含むチューブ状集合体に関する。また本発明は、前記第1のウェブと前記第2のウェブが不織布であり、前記機能性材料が抗菌剤、防かび剤、消臭剤の内の少なくとも1種を含む、前記機能材を含むチューブ状集合体に関する。さらに本発明は、前記第1のウェブと前記第2のウェブが不織布であり、前記機能性材料がガス吸着剤であり、この機能材を含むチューブ状集合体が多層積層されてガス吸着シートとして使用される、前記機能材を含むチューブ状集合体に関する。
【0007】
本発明は、前記第1のウェブと前記第2のウェブが積層された状態で、熱刃と受ロール又は受架台間に挟みこまれ、熱刃によって押し切られることによる、前記機能材を含むチューブ状集合体の製造方法に関する。
【0008】
本発明は、機能材を含有するウェブに関する。ウェブとは、2次元的に広がりをもつシート状物で、不織布、紙、フィルム、織布、ニット等がある。本発明におけるウェブには、不織布が特に適合し、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、湿式不織布、乾式不織布、トウ開繊不織布、経緯直交不織布などが使用される。本発明のウェブは、上記の同種または異種の複数のウェブが積層接着されたウェブも使用される。また本発明におけるウェブには、構成するポリマーや繊維自身が、抗菌・防臭機能や、オイルキャッチ機能を有する繊維から構成されていてもよい。
【0009】
本発明においては、第1のウェブと第2のウェブが積層された状態で多条のスリット目が入れられる。第1のウェブと第2のウェブは、同種のウェブであっても、異種のウェブであってもよい。同一のウェブを折り曲げて、上面を第1のウェブ、下面を第2のウェブとしてもよい。これらの第1のウェブ、第2のウェブは、熱可塑性ウェブであって、熱により切断し、また、熱によりヒートシール出来る素材である。
【0010】
本発明における機能材または機能性材料とは、チューブに内蔵されている新たな薬剤や材料をいう。具体的には、機能材を含むチューブ状集合体が農業用資材である場合は、機能材は、農薬、肥料、種子、防虫剤、除草剤等である。また、他の機能材として、抗菌剤、防かび剤、消臭剤、芳香付与剤等の生活資材として使用される薬剤がある。また乾燥剤やガス吸収剤等の機能材料を使用して、乾燥用ウェブやガス吸収用ウェブとしても使用される。抗菌、防臭剤としては、活性炭や銀などの無機系、アルキルジメチルベンザルコニウム塩などの有機系、テルペンやヒノキチオールなどの天然系など、各種素材が使用できる。また、機能材が油吸収材である場合は、オイルキャッチャーとしても使用される。
【0011】
本発明の機能材は、チューブ内に含有されている。含有の方法は、溶剤に溶解させた状態や、水などの媒体に分散させた状態でウェブに含ませ、それを両面の第1のウェブと第2のウェブで挟んで、スリットとシールを行う。また、サンドイッチされるウェブとして、抗菌不織布、防臭不織布として市販されている不織布等をそのまま用いてもよい。他の手段として、機能材が固体の場合、サンドイッチさせるウェブの少なくとも片方に接着剤を付与し、接着剤で機能材を接合してもよい。また、機能材に接着剤を付与して、ウェブと接合させる手段も用いられる。また、先にチューブ状集合体を形成させ、そのチューブ内に、溶解や分散させた液体を流し込んでもよい。
【0012】
本発明における機能性ウェブに多条のスリット目が入れられ、しかもスリット部でヒートシールされていることを特徴とする。多条とは、1平方メータ当たり少なくとも10以上で、数100から数1000、必要に応じて数万の場合もある。スリットとは、線状の切れ目であって、丸穴や四角穴などの面積をもって開けられた穴とは異なる。スリット目は、スリット目の方向に100mm当たり100gの荷重をかけられた状態で、スリット幅が2mm以下である。スリットの長さは、2〜1000mmであることが好ましく、通常、5〜100mmの範囲が使用される。そしてそのスリット目のアスペクト比(長さ/巾)は、好ましくは10以上で100,000以下、さらに好ましくは50以上、100以上であることが最も好ましい。あまり小さなスリットは、本発明のスリットの効果が少なく、あまり大きなスリットは、ウェブとしての安定性を損ねるからである。
【0013】
本発明におけるスリットの方向は、ウェブの縦方向、横方向、斜め方向など任意の方向から選ばれる。また、スリット目は、スリット目を目開きさせることで、拡幅させる場合や、立体的にする場合は、千鳥配置のスリット目が好ましい。拡幅されることが好ましくない場合は、一定間隔毎にスリットされていない部分を設け、その間に平行な切れ目が入れられる。
【0014】
本発明においては、第1のウェブと第2のウェブが積層された状態で多条のスリット目が入れられており、そのスリット部によって第1のウェブと第2ウェブがヒートシールされることによって、第1のウェブと第2ウェブの層間に形成された多数のチューブ状集合体が形成されることを特徴とする。ヒートシールとは、本発明では熱可塑性ウェブが熱により接着・接合されて一体化することをいう。
【0015】
本発明におけるヒートシールされることによって形成される第1のウェブと第2ウェブの層間に形成された多数のチューブ状集合体が形成される。チューブ状であるので、チューブの中に多量の機能材を含有できることを特徴とする。さらに、この多量の機能材は、表面の第1のウェブと第2のウェブによって、徐々に放散や吸着などの機能を果たすことができる。
【0016】
本発明におけるスリットは、バッチ的には、多数の刃が埋め込まれている加熱板と、受け板間に第1のウェブと第2のウェブからなる2枚のウェブを挟み込み、積層されたウェブを熱刃で押し切ることによって、上下のウェブに、スリットとヒートシールが達成できる。連続的に行うには、張力下に走行する積層されているウェブが、加熱円筒表面に刃が植えられている回転熱刃と受ロール間に挟み込まれることにより、上下のウェブに、スリットとヒートシールが達成できる。
【0017】
本発明のウェブに千鳥状のスリットが入れられている場合は、スリット方向と直角方向に張力がかけられることで、スリット目が開き、張力方向に面積が拡がる。目開きされることで、面積が拡大するばかりでなく、通気性、通水性も増す。また、目開きにより、ウェブの厚みが増し、立体化する効果もある。厚みが増すことや立体化が好ましくない場合は、ウェブに平面的な力(プレスやニップロールなど)を作用させて、立体化したウェブが押しつぶされることで、簡単に平面化することもできる。
【0018】
本発明の機能材を含むチューブ状集合体は、ウェブにシワ加工が施されていることが好ましい。シワ加工により、ウェブに多数のシワ又は溝と畝を形成せせる。また、シワ加工によりウェブが柔軟になり、伸縮性が与えられ、またウェブの厚みが増し(カサ高性)て、立体化する効果がある。また、シワ加工することにより、ウェブの表面積が多くなるので、機能材料を単位面積当たりの密度を高めたウェブとすることもできる。シワ加工の方法として、蒸気等で加熱処理されたウェブを、厚いゴムシートやフェルトの屈曲表面を通過させて、これらの表面でウェブが伸長状態から収縮する際、ウェブをタテ方向に収縮させるサンフォライズ加工を用いることもできる。また、シワ加工の他の方法として、マイクレックス(登録商標)加工やギアクリンプなどを用いることもできる。
【0019】
機能材が農薬、肥料、種子、防虫剤、除草剤の内の少なくとも1種を含むことにより、本発明の機能材を含むチューブ状集合体は、農業資材、特にマルチシートとして有効である。本発明の機能材を含むチューブ状集合体は、農業資材として使用すると、チューブ内に多量の肥料等を含有することができる。しかも、表面の第1ウェブと第2ウェブを通じて、土の中に徐々に拡散するという特性を有する。さらに、スリット目を有することより、雨水や散水を均一に効率よく土の中へ浸透させることができる。また、スリット部は、育てたい苗の発芽を妨げるウェブ部分を、スリット目を拡大することにより取り除き、ウェブに発芽穴を容易に作ることができる。さらにウェブにスリットやシワ加工が施されていることにより、ウェブ全体が柔軟で、畝や溝等の地形の変化に柔軟に対応できる農業資材となる。
【0020】
農業用資材として使用されるウェブは、生分解性ウェブからなることが好ましい。生分解性ウェブで、土の中での分解速度をコントロールすることにより、発芽後にウェブを田畑から取り除く手間を省略することができる。生分解性ウェブは、綿やスフなどのセルローズ系などの天然素材も使用される。また、ポリ乳酸やポリグリコール酸、ポリビニルアルコール、トウモロコシを原料とする1、3−プロパンジオ−ルポリエステル等の合成化学によって生成された繊維やフィルムからなるウェブも使用することができる。合成化学系の生分解性ポリマーは、土中の分解速度を種々にコントロールされたものが製造されているので、それらを利用することで、目的に合わせた分解速度を有する機能材を含むチューブ状集合体とすることができる。
【0021】
本発明の機能材を含むチューブ状集合体は、生活資材の分野でも種々に使用される。例えば、機能材として、乾燥剤や脱酸素剤などとして用いることにより、乾燥剤等を多量に含み、表面のウェブから徐々に水分や酸素等を徐々に吸着させることができ、長持ちのする機能性ウェブとなる。また、セルローズ系不織布や紙素材を第1又は第2シート使用し、チューブ内に抗菌、防臭機能を有する機能材を保有させて、抗菌シート、防臭シート、ワイパー、制汗シート等に使用される。これらはチューブ内に多量の機能材を含めることができる。また、表面のウェブ層により徐々に表面から拡散してくれるので、長期間の使用に適する。また、ウェブにスリットが入っているので、ウェブを通過する気体が乱流になり、単に表面を気体が流れる場合と異なり、気体の放散や吸着効率が良い。
【0022】
さらに、オイル吸着剤をチューブ内に含むことにより、カサ高でオイル含有量が大きいオイルキャッチャーとなる。またスリットが入っていることにより、流水抵抗が少なく、泡などの油表面の吸着を妨げる成分を、スリットより逃がすことができるので、オイル吸着性能が良い。さらに、ウェブにシワ加工が施されていることにより、ウェブの表面積が増すので、吸着能が増し、シワ加工によりチューブの内容積も増すので、多量のオイルを吸着できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、第1のウェブと第2のウェブとによりサンドイッチ構造になり、そのウェブ間に多数のチューブ状構造体が形成されることを特徴とする。このようなチューブ内に多量の機能材を含有でき、多量の機能材が要求される場合、長期間にわたって使用される場合などに特に適する。また、本発明はサンドイッチ構造体であることより、第1のウェブと第2のウェブの表面から機能性成分を放散させることや、外界の水分、酸素、有毒ガス等を徐々に内部のチューブ内の乾燥剤、脱酸素剤、ガス吸着剤に吸着させることができる。また、スリットの切り口がヒートシールされているので、機能材(抗菌材、防かび材等)が切り口からしみ出すことはない。
【0024】
本発明は、ウェブにスリットやシワ加工が施されることにより、ウェブが大きな伸縮性や伸度を有し、またスリットを有することにより柔軟性も有する。また、スリットされていることにより、適宜面積を拡大することや立体的な形状にして厚みを増大することや、カサ高性を与えることもできる。また、スリットにより、通気性、通水性を付与でき、さらに拡幅の程度により通気量や通水量をコントロールすることも可能である。
【0025】
また、本発明の機能材を含むチューブ状集合体は、ウェブにシワ加工が施されていることが好ましい。シワ加工によりウェブが柔軟になり、伸縮性が与えられ、またウェブの厚みが増し、カサ高性も増して、立体化する効果を有する。さらに、シワ加工を施すことで、ウェブの単位面積当たりの表面積が増すので、機能材の放散や吸着をより効果的に行うことができる。これらの特性を、これまでは別々の手段で行っており、煩雑でコストもかかっていたが、本発明では、簡便な手段で、これらの特性の全てを相乗効果として実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下本発明における実施の態様の例を図で説明する。図1は、本発明における機能材を含むチューブ状集合体の態様を示す模式図である。第1のウェブ1と第2のウェブ2が積層されて、縦方向(ウェブの長さ方向)に千鳥状に多数のスリット3を入れた図を示す。このスリット3の部分で、第1のウェブ1と第2のウェブ2がヒートシールされていることにより、2枚のウェブの間に中空部分4が形成され、全体としてチューブ状集合体5を形成する。このチューブの中空部分4に多量の機能材を含有することができる。
【0027】
図2は、第1のウェブ1と第2のウェブ2の間に、さらに第3の機能性ウェブ11が積層されて、3層が積層された状態で、縦方向に千鳥状に多数のスリット12を入れた図を示す。このスリット12の部分では、第1のウェブ1と第2のウェブ2と機能性ウェブ12の3層がヒートシールされていることにより、3層のウェブにより、全体としてチューブ状集合体13を形成する。
【0028】
図3は、本発明における機能材を含むチューブ状集合体の態様を示す模式図である。A図は、2層が積層されているウェブ21に縦方向に千鳥状にヒートシールされているスリット22を入れた図を示す。このウェブ21を、横方向(矢印方向)に力を加えると拡幅され、立体化された態様をB図で示す。ウェブ21のスリット22間に形成される幹部23と枝部24からなり、幹部23は、左側を上にして、右側に約45度方向下側に傾斜して、厚みをもった立体化された態様となる。それに平面的な圧力を加えると、平面化されて、C図の態様となる。
【0029】
図4は、本発明の機能材を含むチューブ状集合体における他のスリットの態様を示す模式図である。D図は、2層のウェブが積層されているウェブ31に一定間隔毎にスリット32が入れられないゾーン33を設けた場合である。このようにスリットされていないゾーン33があると、拡幅を殆どせず、一定の通気量や通水量を保ちたい場合に有効である。E図は、A図とD図の中間の場合で、ウェブ35にスリット36が入れられていないゾーン37を狭くし、スリット36が若干量だけ相互に入り組んでいる場合を示す。農業用途やフィルター用途などのように、あまり大きな拡幅を求めないが、若干量の通気量や通水量をコントロールしたい場合に有効である。
【0030】
図5は、本発明における機能材を含むチューブ状集合体のさらに他の態様を示す模式図である。F図は、2層が積層されているウェブ41にスリット44が横方向に入っている場合の例を示す。G図では、ウェブ45に、タテ方向のスリット46と横方向のスリット47が入っている例を示す。また、図示していないが、スリット目は斜め方向でもよい。
【0031】
図6は、本発明におけるシワ加工が施された2枚が積層されているウェブの態様を示す模式図である。H図は、ギアクリンプ方式などによりシワないし折り目が入っている態様を示す。Ha図は平面図で、ウェブ51にヨコ方向に、直線的にシワないし折り目52が入っている。Hb図は、Ha図のA−Aにおける点線部の厚み方向における断面を拡大して示してある。
【0032】
図7は、サンフォライズ加工やマイクレックス(登録商標)加工のような、圧縮収縮加工によるシワ加工が施されている例を示す。Ia図は、ウェブ55に横方向にランダムな多数のシワ56が入っている。Ib図は、Ia図のB−Bにおける点線部の厚み方向における断面で、拡大して示している。
【0033】
図8は、2層のウェブにタテ方向(ウェブの流れ方向)に連続的にスリットやヒートシールを施す方法の例を示す。A図は、工程の概略で、装置の断面図で示す。第1のウェブ61と第2のウェブ62は、ニップロール63a、63bによってニップされることにより積層されて、積層ウェブ64となる。積層ウェブ64は、熱刃ロール65と受ロール66間にニップされて、熱刃67と受ロール66で挟まれた部分だけが、タテ方向にスリットとヒートシールが施されたチューブ状集合体からなるウェブ68となり、ニップロール69a、69bにより引き取られていく。熱刃ロール65は、中心にカートリッジヒータ等からなる熱源70を有し、熱刃ロール65全体が加熱されている。受ロール66は、バス71中にあり、水72により冷却されている。B図は、熱刃ロール65を形成する熱刃67の一枚を示し、円周には、一定間隔で切り欠き部73を有している。熱刃ロール65は、B図で示す熱刃67の切り欠き部73の位置を半ピッチずつずらして、スペーサ円盤と交互に重ねながら円筒状に並べていく。B図における熱刃67の斜線部74は、スペーサ円筒と重なる部分を示す。
【0034】
図9は、2層のウェブにヨコ方向(ウェブの幅方向)に連続的にスリットやヒートシールを施す方法の例を示す。A図は、工程の概略で、装置の断面図で示す。第1のウェブ61と第2のウェブ62は、ニップロール63a、63bによってニップされることにより積層されて、積層ウェブ64となる。積層ウェブ64は、熱刃ロール81と受ロール66間にニップされて、熱刃82と受ロール66で挟まれた部分だけが、ヨコ方向にスリットとヒートシールされたチューブ状集合体からなるウェブ84となり、ニップロール69a、69bにより引き取られていく。熱刃ロール81は、中心にカートリッジヒータ等からなる熱源83を有し、熱刃ロール81全体が加熱されている。受ロール66は、バス71中にあり、水72により冷却されている。B図は、熱刃ロール81を形成する熱刃82の一枚を示し、一枚の平たい刃には、一定間隔で切り欠き部85を有している。熱刃ロール81は、B図で示す熱刃82の切り欠き部85の位置を半ピッチずつずらして、熱刃ロール81の円筒に一定間隔で設けられている溝に植えられている。B図における熱刃82の斜線部86は、熱刃ロール81の溝の中に埋まっている部分である。
【0035】
なお、図3から図9までは、2層のウェブが積層されている例について説明したが、機能性ウェブとの3層の場合も同様である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、機能材料として肥料や農薬等を含むマルチ資材や、抗菌、防かび、消臭剤等を含む生活用資材などに使用される機能性資材として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明における機能材を含むチューブ状集合体の態様を示す模式図。
【図2】本発明における機能材を含むチューブ状集合体の他の態様を示す模式図。
【図3】本発明における機能材を含むチューブ状集合体におけるスリットの態様を示す模式図。
【図4】本発明における機能材を含むチューブ状集合体におけるスリットの他の態様を示す模式図。
【図5】本発明における機能材を含むチューブ状集合体におけるスリットのさらに他の態様を示す模式図。
【図6】本発明におけるシワ加工が施された機能性ウェブの態様を示す模式図。
【図7】本発明におけるシワ加工が施された機能性ウェブの他の態様を示す模式図。
【図8】本発明における機能材を含むチューブ状集合体を製造する方法を示す工程図。
【図9】本発明における機能材を含むチューブ状集合体を製造する方法を示す他の工程図。
【符号の説明】
【0038】
1:第1のウェブ、 2:第2のウェブ、 3:スリット、 4:中空部分、
5:チューブ状集合体。
11:機能性ウェブ、 12:スリット、 13:チューブ状集合体。
21:ウェブ、 22:スリット、 23:幹部、 24:枝部。
31:ウェブ、 32:スリット、 33:スリットされていないゾーン。
35:ウェブ、 36:スリット、 37:スリットされていないゾーン。
41:ウェブ、 42:スリット、 45:ウェブ、
46:タテ方向のスリット、 47:ヨコ方向のスリット。
51:ウェブ、 52:シワないし折り目。
55:ウェブ、 56:シワ。
61:第1のウェブ、 62:第2のウェブ、 63a、63b:ニップロール、
64:積層ウェブ、 65:熱刃ロール、 66:受ロール、 67:熱刃、
68:チューブ状集合体からなるウェブ、 69a、69b:ニップロール、
70:熱源、 71:バス、 72:水、 73:切り欠き部、 74:斜線部。
81:熱刃ロール、 82:熱刃、 83:熱源、
84:チューブ状集合体からなるウェブ、 85:切り欠き部、 86:斜線部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のウェブと第2のウェブが積層された状態で多条のスリット目が入れられており、
該スリット部によって該第1のウェブと該第2ウェブがヒートシールされることによって、該第1のウェブと該第2ウェブの層間に形成された多数のチューブ状集合体が形成されており、
かつ該チューブ内に機能性材料が含有されている、機能材を含むチューブ状集合体。
【請求項2】
前記第1のウェブと前記第2のウェブの間に機能性ウェブが積層されており、3層が積層された状態で前記スリットおよび前記ヒートシールが施されている、請求項1の機能材を含むチューブ状集合体。
【請求項3】
前記機能材を含むチューブ状集合体にシワ加工が施されている、請求項1の機能材を含むチューブ状集合体。
【請求項4】
前記第1のウェブと前記第2のウェブが不織布であり、前記機能性材料が農薬、肥料、種子の内の少なくとも1種であり、農業用マルチシートとして使用される、請求項1の機能材を含むチューブ状集合体。
【請求項5】
前記機能性材料が前記機能性ウェブ中に含有されており、前記第1ウェブ、前記第2ウェブ、該機能性ウェブの全てが生分解性ウェブからなる請求項2の機能材を含むチューブ状集合体。
【請求項6】
前記第1のウェブと前記第2のウェブが不織布であり、前記機能性材料が抗菌剤、防かび剤、消臭剤の内の少なくとも1種を含む、請求項1の機能材を含むチューブ状集合体。
【請求項7】
前記第1のウェブと前記第2のウェブが不織布であり、前記機能性材料がガス吸着剤であり、この機能材を含むチューブ状集合体が多層積層されてガス吸着シートとして使用される、請求項1の機能材を含むチューブ状集合体。
【請求項8】
前記第1のウェブと前記第2のウェブが積層された状態で、熱刃と受ロール又は受架台間に挟みこまれ、熱刃によって押し切られることによって、前記スリットおよび前記ヒートシールが施されている、請求項1の機能材を含むチューブ状集合体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−214518(P2009−214518A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63643(P2008−63643)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000143488)株式会社高分子加工研究所 (12)
【Fターム(参考)】