説明

正面及び側方放射を持つレーダセンサ

自動車の周辺検出用レーダセンサであって、複数の送信アンテナにより送信信号を放射する送信手段、物体において反射される送信信号を複数の受信アンテナにより受信する受信手段、及び受信される信号を処理する信号処理手段を有するものにおいて、複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナがあって、平らな基板の表側及び裏側に設けられて送信又は受信を行う少なくとも1つの個別素子(以下基本放射体と称する)をそれぞれ含み、少なくとも1つの送信アンテナ及び受信アンテナがあって、平らな基板に設けられかつレーダセンサ外で基板の垂線に対して最大でも45°で傾斜するビーム円錐中心を持つ少なくとも1つの基本放射体をそれぞれ含み、少なくとも1つの送信アンテナ及び受信アンテナがあって、平らな基板に設けられかつレーダセンサ外で基板の垂線に対して45°以上で傾斜する少なくとも1つの基本放射体をそれぞれ含んでいることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車における運転者援助システムに使用するためのレーダセンサに関する。レーダセンサは、本発明によれば正面放射及び側方放射を持ち、特に車線変更補助装置の実現に適している。
【背景技術】
【0002】
自動車はますます運転者援助システムを備えるようになっており、これらのシステムはセンサシステムにより周囲を検出し、こうして得られる交通状況から、車両の自動的な反応を誘導し、かつ/又は運転者に指図し特に警告する。その際快適機能と安全機能が区別される。
【0003】
快適機能として、現在の開発ではFSRA(全速力範囲適応クルーズコントロール)が重要な役割を果たす。車両は、交通状況が許す限り、自己速度を運転者により規定される希望速度に制御し、そうでない場合自己速度が自動的に交通状況に合わされる。第2の重要な快適機能として車線変更補助装置が設けられ、車線変更の場合事故及び他の車両に急な制動又は制御できない車線変更を強制することになる危険な状況を回避するため、注意されねばならないこの他の車両が隣接車線にある時、車線変更補助装置が運転者に指示するか又は明滅灯により警告する。
【0004】
快適さの向上のほかに、安全機能が重視され、非常状況における制動距離又は停止距離の減少が重要な役割を果たす。適当な運転者援助機能の選択幅は制動遅れを減少するため制動機の自動予備充填から、改善された制動援助(BAS+)を経て自動的な非常制動までに及んでいる。
【0005】
上述した種類の運転者援助システムのために、現在主としてレーダセンサが使用される。レーダセンサは悪い気候条件でも確実に動作し、物体からの間隔のほかに、ドップラー効果を介して物体の放射状相対速度も直接測定することができる。その際送信周波数として24及び77GHzが使用される。
【0006】
現在利用可能なレーダセンサは、最大約−75°・・・+75°の正面検出範囲のみを持っている。しかし高性能車線変更援助装置を実現するために、検出範囲が側方へ大きく開き、従って角のほぼ周りを見ることができる必要がある。このことは特に、自己の車両が他の特に小さい車両をゆっくり追い越し、この車両がサイドミラーの死角範囲にある状況において重要である。このような側方へ拡張される検出範囲を実現するため、従来技術によれば、異なる組込み方向を持つ第2のセンサ又は異なる方向のための付加的な高周波基板が必要であり、それによりシステム費用が著しく高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、正面及び側方の検出範囲を持つ有利なセンサを製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1〜14に記載のレーダセンサにより解決される。ここでは、平らな基板上に基本放射体によりどのような側方放射を実現できるかが示され、そのため基板縁に設けられて直接側方へ放射する基本放射体及び/又は反映面にあるか又は適当に形成される誘電材料を持つビーム転向部が、正面で放射する基本放射体により利用される。
【0009】
本発明の利点は、特に車線変更援助を行うのに適しているけれども他の機能においてもシステム費用を著しく減少する正面及び側方検出範囲を持つセンサを有利に実現できる、という事実から生じる。なぜならば、本発明によるセンサが車両の隅の範囲に取付けられると、車両において必要とされるセンサの数が減少するからである。必要なセンサの減少する数は、例えば必要な構造空間の減少及び車両重量の減少のような別の利点も持っている。
【0010】
本発明がレーダセンサの実施例及びそのアンテナの実現により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 中央にレーダセンサの第1実施例の水平断面図が示され、上及び下にこのセンサの高周波基板の表側及び裏側が示されている。
【図2】 レーダセンサの両方の検出範囲を上から見た図で示す。
【図3】 車両への組込み状態及び車線変更援助を行う2つのレーダセンサの検出範囲を上から見た図で示す。
【図4】 正面から見たアンテナ及び側方から見たアンテナの双方向アンテナダイヤグラムを示す。
【図5】 中央にレーダセンサの第2実施例の水平断面図が示され、上及び下にこのセンサの高周波基板の表側及び裏側が示されている。
【図6】 中央にレーダセンサの第3実施例の水平断面図が示され、上及び下にこのセンサの高周波基板の表側及び裏側が示されている。
【図7】 中央にレーダセンサの第4実施例の水平断面図が示され、上及び下にこのセンサの高周波基板の表側及び裏側が示されている。
【図8】 図7による装置に対して、側方から見た受信アンテナの位相中心と基板面に関する方位角αAzにおいて大きく離れた点状物体との間の異なる行程長を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1において中央に、レーダセンサの水平断面図が示されている。センサは、表側及び側方を、レーダ波をできるだけ妨げられずかつ影響されずに通すプラスチックハウジング1.1により包囲される。センサは、裏側に蓋1.2を持っている。その間に前から見て、高周波の従って(例えば24GHz範囲にある)レーダ周波数で動作する構成要素を含む基板1.3、金属又は金属化されたプラスチックから成りかつ構造的支持部分としてかつ遮蔽するために用いられる内側支持体1.4、及び最後に低周波構成要素特にディジタル信号評価装置用の基板1.5がある。
【0013】
図1の上に示す高周波基板1.3の表側及びその裏側(図1において下)には、送信信号を放射する送信アンテナ、及び物体において反射される送信信号を受信する受信アンテナがある。送信アンテナ及び受信アンテナは、印刷構造でパッチアンテナとして構成されている。基板の裏側にある送信アンテナTXF0及び受信アンテナRXF0〜RXF7は、センサの前の範囲に用いられる。図2は、上から見た図で、そこにFで示されるセンサ2.1のこの正面検出範囲を示す。個々の四角形パッチは、送信又は受信する個別素子、以下基本放射体とも称される、を示し、基板に対して直角な中心を持つ非常に幅広の放射円錐を持っている。基板の表側にあるこれらのアンテナは、垂直なパッチ列(従って上下に設けられる8つのパッチ)のみから成っているので、方位(従って水平面)においてその放射円錐は、各パッチの放射円錐と同じ幅であり、基板の垂直に対して−75°・・・75°の範囲にある。仰角(従って垂直面)において、上下に設けられる8つのパッチにより、基板の垂線に呈して約−10°・・・+10°の狭い検出範囲が生じる。水平方向に8つの等間隔の受信アンテナがあることによって、信号処理手段において、離散フーリエ変換(DFT)によりディジタルビーム形成を行うことができ、それによりセンサの前の検出範囲において物体の方位角を正確に求め、方位角が異なる場合これらの方位角を介するだけで物体を分離することができる。
【0014】
基板の裏側(図1において下)には、高周波信号を発生しかつ処理する手段1.31のほかに、送信アンテナTXS及び受信アンテナRXSの上下に設けられるそれぞれ4つのパッチがある。これらのパッチの放射は、内側支持体1.4にある金属の又は金属化された面1.41を介して側方へ転向されるので、アンテナTXS及びRXSは図2に示す側方検出範囲Sを生じ、この側方検出範囲は基板面に関して約−50°・・・+50°の方位検出範囲を持っている。RXSにおいて1つの時点に受信される信号のみによって、この検出範囲に物体があるか否かを述べることができるだけで、その方位角を求めることができず、方位角を介してこれらの物体を分離することはできない。分離は、例えば距離及び放射状相対速度のような他の測定される量を介してのみ、又は物体仮定を仮定して測定量の時間的推移を介して可能である。後者は角度算定にも利用され、更に後述される。
【0015】
隣接車線に他の車両があり、車線変更の場合、特に事故やこの他の車両に激しい制動又は制御できない車線変更を強制することになる危険な状況を回避するため、この他の車両に注意せねばならない時、このようなレーダシステムが車線変更援助を行うために利用される。このような運転者援助機能のために、図3において上から見て示すように、車両3.1の後部左及び右(典型的にはプラスチックバンパの後)に、図1による2つの上述したレーダセンサ3.2及び3.3が取付けられている。その際取付け角は60°車両の縦方向に対して傾斜している(従って後部に対して30°)。図3には両方のセンサの検出範囲が示されている。それぞれのセンサに関して正面の両方の検出範囲FL及びFRは、自己の車両の後又は車両の後部の高さにある車両の検出に用いられる。この検出範囲において物体の方位角は、8つの受信アンテナRXF0−RXF7の受信信号についてのDFTによるディジタルビーム形成によって、約80mの距離においても車両を車線に正しく対応させることができるほど正確に、求めることができる。即ちこの距離において、高い相対速度で接近する車両が検出されると、この車両が隣接車線にある時にのみ、それが車線変更援助のために重要である。
【0016】
いずれにせよ検出範囲FL及びFRは、車両のそばの全空間を覆わず、特に中央及び前の範囲を覆わない。これは、自己の車両が他の特に小さい車両を追い越し、この車両がサイドミラーの死角範囲にあるような状況において、特に危険である。そのために、それぞれのセンサに関して側方検出範囲SL及びSRが必要になる。高周波基板に設けられる基本放射体の放射方向の転向によるこれらの側方検出範囲の本発明による実現なしでは、そのために異なる取付け方向を持つ第2のセンサ又は付加的な他の方向を向く高周波基板が必要になるであろうが、これはシステム費用を高めることになる。
【0017】
それぞれのセンサに関して両方の正面検出範囲FL及びFRにおける角度測定精度は、外方へ減少する(従ってセンサの垂線に対して増大する角度と共に)。これは、第1に、方位角と隣接する受信アンテナRXF0−RXF7の受信信号の位相差との間の外方へますますゆるやかになる非直線的線図のせいであり、一層小さいアンテナゲインにより外方へ減少する信号−雑音比もそうなる。従ってそれぞれ車両側方へ向くFL及びFRの外側範囲において付加的に、それぞれの側方範囲SL及びSRにおいて受信されるアンテナRXSのレベルとの振幅比較により、角度評価が行われる。図4には、方位角について、正面アンテナ(TXF0/RX0−RX7)及び側方アンテナ(TXS/RXS)の双方向アンテナダイヤグラム(従って送信及び受信に対して)が示されている。振幅比較による付加的な角度評価は、例えばセンサに関する(左のセンサに対して)方位角範囲60°・・・75°又は(右のセンサに対して)−60°・・・−75°で行われ、正面アンテナのレベルは強く低下するが、側方アンテナのレベルは増大するので、レベル比の強い変化が生じる。正面アンテナのレベルのために、ディジタルビーム形成により生じるレベルを使用し、受信アンテナの個別レベルを使用しない。後者は多物体状況において誤差を生じることがある。振幅比較のほかに、正面受信アンテナ及び側方受信アンテナからの受信信号の位相関係も評価することができ、その場合これらのアンテナの位相中心の水平間隔が考慮される。
【0018】
今まで説明した手段により、前側方へそれぞれ15°まで物体の方位角を評価することができる。検出範囲SL及びSRの更に前方へ向く部分(従って範囲FL及びFR外)において、1つの時点に受信される信号から、一般的な方位評価を行うことはできない。即ちこれは、特定の物体仮定を仮定して初めて、測定量の値及び/又は時間的推移から可能であり、これが若干の例について説明される。
自己の車両に対して平行に動く物体が、前から側方検出範囲SL又はSRへ到来すると、センサに関する方位角が減少し、従って対応する双方向アンテナゲインがまず増大し、それから最大値の超過後再び減少する(図4参照)。この仮定及びほぼ一定の反射(従って一定の反射断面)から出発し、場合によっては変化する物体距離(これは直接測定される)の影響も考慮すると、測定されるレベルを方位角についてアンテナゲインの既知の推移と比較することによって、この方位角を大体推論することができる。
センサに対する静止物体の放射状相対速度は、方位角及び車両の自己速度に関係する。後者はわかっているので、センサにより測定される放射状相対速度から、それが静止物体に属すると仮定して、この静止物体の方位角を推論することができる。これらの静止物体の仮定に対して、原理的に種々のSAR法(合成開口レーダ)を、その方位角を求めるため使用することができる。
自己の車両に対して平行に一定の絶対速度で動く車両のセンサにより測定される放射状相対速度は、その方位角及び自己速度とこの車両の絶対速度との差に関係している。他の車両の方位角及び絶対速度により2つの未知数があるので、このような仮定のために、測定される放射状相対速度の推移を特定の期間にわたって評価せねばならない。
【0019】
高周波基板に設けられる基本放射体からの側方放射を実現するため、今まで適当に形成される金属表面における転向が利用された。しかしその代りに別の可能性もある。例示的に次のものを説明する。
高周波基板に設けられる基本放射体のビーム路は、導波管構造により側方へ転向される。そのため図5は、内側支持体5.4に実現される導波管5.41を持つレーダセンサの水平断面図を示す。高周波基板(図5の上に表側を示し、下に裏側を示す)は、図1による最初の実施例に対して、側方へ転向されるアンテナTXS及びRXSの少し引込められた位置のみで相違している。
高周波基板に設けられる基本放射体のビーム路は、誘導材料から適当に形成される構造により側方へ転向され、誘導材料から成るこれらの構造はなるべく基本放射体の上に設けられ、プラスチックハウジング部分の一部である。この方法は、組合わせにおいても、反映する面又は導波管構造により転向部と組合わせることができる。
基本放射体は印刷構造で使用され、この構造のビーム円錐中心は、付加手段なしでも基板に対して既に側方へ向いている。そのために例えば基板の縁で終わって適当に形成されるスタブを使用することができ、これらのスタブがスロットアンテナとして作用する。図6の上は、側方へ放射するアンテナTXS及びRXSを実現するスタブを縁に持つこのような装置の高周波基板6.3の表側を示す。それにより一方では転向手段は必要でなく(図6の中央に示す装置の断面参照)、他方では図6の下に示す基板裏側のパッチも必要でない。
【0020】
今まで考察した装置は、側方検出範囲のみでは、1つの時点に受信される信号から方位角を求めることができない。なぜならば、1つの送信アンテナ及び1つの受信アンテナしかないからである。この欠点を克服するため、複数の側方へ向く送信アンテナ及び/又は複数の側方へ向く受信アンテナが必要であり、その位相中心はそれぞれ基板に対して直角な方向に見て互いにずれている。方位角の評価は、異なる組合わせのために、ずれた位相中心を持つ複数の送信アンテナ及び/又は複数の受信アンテナを使用する時、このような送信アンテナ及びこのような受信アンテナの組合わせの受信信号の位相位置から行うことができる。
【0021】
これを図7に示す例について説明する。図7の上に示す高周波基板7.3の表側の縁に、側方へ放射する受信アンテナRXS0用のパッチがあり、図7の下に示す下側には、側方へ放射する送信アンテナTXS0及び側方へ放射する第2の受信アンテナRX1用のパッチがある。これらのパッチの放射の側方転向のために、再び反映する表面が利用される。図7による装置の断面図に示すように、基板裏側のアンテナTXS0及びRXS1用のこの反映する面は、再び金属又は金属化されたプラスチックから成る内側支持体7.4の一部7.41として実現され、基板表側のアンテナRXS0に対しては、パッチの上に適当に形成されて局部的に金属化されたプラスチックハウジング7.1の型部7.11により実現される。
【0022】
それにより両方の受信アンテナRXS0及びRXS1の位相中心は、基板に対して直角な方向に寸法dだけ互いにずれている。図8にアンテナの位相中心が垂直投影で示されている。更に図8は、大きく離れた点状物体へ至るビーム路を、基板面に関する方位角αAzにおいて示している(ビーム路を平行であると仮定できるほど大きく離れており、即ち物体から受信アンテナRXS0のビーム路は、受信アンテナRXS1へのビーム路より値Δr=sin(αAz)・dだけ大きい。従ってRXS1の受信信号の位相はRXS0の受信信号の位相よりΔφ=2π/λ・sin(αAz)・dだけ進んでおり、ここでλは使用されるレーダ周波数の波長である(24GHzでは、波長は約12.5mm)。従って両方の受信アンテナRXS0及びRXS1の受信信号の測定される位相差Δφから、対応する物体の方位角αAz=arcsin(Δφ・λ/(2π・d)を求めることができる。その際考慮すべきことは、位相従って位相差も2πの未知な整数倍までしか測定できないので、位相差が全検出範囲にわたって2πより小さい時にのみ、方位角算定にあいまいさが生じないことである。それから、基板面にたいしてここで仮定した−50°・・・+50°の検出範囲のために、d<π・λ(2π・sin(50°))=0.65λでなければならない、という要求が生じる。
【0023】
図7による装置において、基板に対して直角な方向に関して側方を見る2つのアンテナの位相中心のずれは、基板の下及び上にあるパッチからの放射が反映する面で側方へ転向されることによって、実現される。しかし2つのアンテナの位相中心のこのようなずれは、他の手段によっても実現することができる。例として次のものがあげられる。
基板の表側の縁にスリットアンテナがあり、裏側に反映する面でビーム転向を行うパッチがある。
基板の表側に、縁にあるスリットアンテナ及び反映する面におけるビーム転向を行うパッチがあり、反映する面の位相中心は基板の上にある。
基板の裏側にパッチがあり、そのビーム転向は導波管又は異なるように反映する面により行われて、基板に対して直角な方向に2つの異なる位相中心が生じるようにしている。
【0024】
注意すべきことは、原則的に一方では、基板に対して直角な方向に位相中心用の2つより多い異なる面も実現可能であり、他方では、この方向にそれぞれずれた位相中心を持つ複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナが同時に可能なことである。それにより物体の方位角が一層正確に求められ、複数の物体が方位角を介してのみ分離される。
【0025】
今までの装置では、各アンテナが送信又は受信のためにのみ使用された。しかし適当な高周波構成要素(例えば印刷リングカップラ)により、アンテナを送信にも受信にも使用することができる。側方を見る共通な送信兼受信アンテナが実現されると、このアンテナを所定の構造空間において今まで示した装置の2倍の高さにすることができ、それにより高さ方向における一層大きいビーム集束が行われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の周辺検出用レーダセンサであって、複数の送信アンテナにより送信信号を放射する送信手段、物体において反射される送信信号を複数の受信アンテナにより受信する受信手段、及び受信される信号を処理する信号処理手段を有するものにおいて、
複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナがあって、平らな基板の表側及び裏側に設けられて送信又は受信を行う少なくとも1つの個別素子(以下基本放射体と称する)をそれぞれ含み、
少なくとも1つの送信アンテナ及び受信アンテナがあって、平らな基板に設けられかつレーダセンサ外で基板の垂線に対して最大でも45°で傾斜するビーム円錐中心を持つ少なくとも1つの基本放射体をそれぞれ含み、
少なくとも1つの送信アンテナ及び受信アンテナがあって、平らな基板に設けられかつレーダセンサ外で基板の垂線に対して45°以上で傾斜する少なくとも1つの基本放射体をそれぞれ含んでいる
ことを特徴とする、レーダセンサ。
【請求項2】
少なくとも1つの基本放射体のビーム円錐中心が、レーダセンサ外で基板に対して少なくとも近似的に平行であるか又は近似的に直角である、請求項1に記載のレーダセンサ。
【請求項3】
基本放射体が印刷構造特にパッチとして構成されている、上記請求項の1つに記載のレーダセンサ。
【請求項4】
少なくとも1つのアンテナが送信にも受信にも利用される、上記請求項の1つに記載のレーダセンサ。
【請求項5】
レーダセンサ外にある1つ又は複数の基本放射体のビーム円錐中心を基板の垂線に対して45°以上傾斜させるため、基本放射体が印刷構造で使用され、この印刷構造のビーム円錐中心が、付加的な手段なしに基板に対して少なくとも近似的に直角になっており、従って以下正面基本放射体と称され、基板の縁のなるべく近くに設けられるこれらの正面基本放射体のビーム円錐中心を傾斜させるため、次の手段の少なくとも1つが使用される
反映する面特に金属または金属化された平面又は湾曲面を持つ基本放射体のビーム路を特に基本放射体の上で転向させる、
導波管構造を持つ基本放射体のビーム路を転向させる、
誘電材料から成り適当に形成される構造を持つ基本放射体のビーム路を特に基本放射体の上で転向させる、
上記請求項の1つに記載のレーダセンサ。
【請求項6】
レーダセンサ外にある1つ又は複数の基本放射体のビーム円錐中心を基板の垂線に対して45°以上特に少なくともほぼ90°傾斜させるため、基本放射体が印刷構造で使用され、この印刷構造のビーム円錐中心が、付加的な手段なしに基板に対して側方にあり、以下側方基本放射体と称され、これらの側方基本放射体が基板のなるべく縁に設けられ、かつなるべくスロットアンテナとして実現されている、上記請求項の1つに記載のレーダセンサ。
【請求項7】
少なくとも2つの送信アンテナ及び/又は少なくとも2つの受信アンテナがあって、それらのビーム円錐中心が、センサ外で、基板の垂線に対して45°以上傾斜しており、その位相中心が、基板に対して直角な方向に見てそれぞれ互いにずれており、信号処理手段において、送信アンテナと受信アンテナの異なる組合わせの受信信号の位相位置により、基板に対して直角な方向における物体の角度位置が評価され、これらの組合わせのために、ずれた位相中心を持つ少なくとも2つの送信アンテナ及び/又は受信アンテナが使用される、上記請求項の1つに記載のレーダセンサ。
【請求項8】
基板に対して直角な方向における位相中心のずれが次の手段の少なくとも1つにより実現される
基板の両側に、請求項5に記載の転向される正面放射体又は請求項6に記載の側方放射体がある、
基板の一方の側特に表側に少なくとも1つの側方基本放射体があり、基板の他方の側に少なくとも1つの転向される正面基本放射体がある、
基板の一方の側のみに、少なくとも1つの側方基本放射体、及び基板の上又は下にある位相中心を持つ少なくとも1つの転向される正面基本放射体がある、
基板の一方の側のみ特に裏側に、少なくとも1つの転向される正面基本放射体があり、転向が例えば導波管又は異なるように反映する面により行われて、異なる位相中心が基板に対して直角な方向に生じるようにする、
請求項7に記載のレーダセンサ。
【請求項9】
ただ1つの送信アンテナ及び受信アンテナがあり、そのビーム円錐中心が、センサ外で基板の垂線に対して45°以上だけ傾斜し、信号処理手段において、所定の物体仮定を仮定して、少なくとも1つの測定量の値及び/又は時間的推移から、基板に対して直角な方向における物体の角度位置が評価される、上記請求項の1つに記載のレーダセンサ。
【請求項10】
少なくとも1つの受信アンテナがあり、そのビーム円錐中心が、センサ外で基板の垂直に対して最大でも45°又は45°以上だけ傾斜し、受信アンテナの検出範囲が重なり、重なり範囲において、このようなアンテナの受信信号から誘導されるか又はこれらの受信信号に相当する信号又は量の振幅比較及び/又は位相比較により、物体に対する角度評価が行われ、かつ/又は角度評価におけるあいまいさが回避される、上記請求項の1つに記載のレーダセンサ。
【請求項11】
レーダセンサが、レーダセンサ自体に関して正面(正面検出範囲)即ち自動車におけるその取付け面とは逆向きにかつ側方に(側方検出範囲)を見る、上記請求項の1つに記載のレーダセンサ。
【請求項12】
一方では正面検出範囲と側方検出範囲が接触するか又は重なり、他方では正面検出範囲のために複数の送信アンテナ及び/又は複数の受信アンテナがあり、それによりこの正面検出範囲において物体の方位角が直接求められる、請求項11に記載のレーダセンサ。
【請求項13】
基板の表側に設けられて印刷構造で構成される基本放射体によって、正面検出範囲を持つ少なくとも1つの送信アンテナ及び少なくとも1つの受信アンテナが実現され、基板の裏側の縁に設けられて印刷構造で構成されかつ金属又は金属化された平らな又は湾曲した面に転向部を持つ基本放射体によって、側方検出範囲を持つ少なくとも1つの送信アンテナ及び少なくとも1つの受信アンテナが実現され、この金属又は金属化された平ら又は湾曲した面が、構造的内部素子の部分として実現されている、請求項11又は12に記載のレーダセンサ。
【請求項14】
車線変更補助装置を実現するために、レーダセンサが車両に関して後方及び側方を見る、上記請求項の1つに記載のレーダセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−526372(P2011−526372A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519032(P2011−519032)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際出願番号】PCT/DE2009/000947
【国際公開番号】WO2010/000253
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(504087204)アーデーツエー・オートモテイブ・デイスタンス・コントロール・システムズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (33)
【Fターム(参考)】