歩行ロボット用付加装置および歩行ロボット
【課題】2足歩行型の人型ロボットの姿勢維持に伴う高負荷状態を緩和し、且つ2足歩行型の人型ロボットの優位性も生かすことができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】2足歩行が可能な人型ロボット100の下半身胴体部102の背面に人型ロボット100と同様な下半身を備えた歩行ロボット用付加装置200を着脱可能とする。2足歩行が生かせる状況では、歩行ロボット用付加装置200を取り外して人型ロボットとして稼働させ、4足歩行で構わない状況においては、歩行ロボット用付加装置200を装着して、4足歩行型の移動ロボットとする。2つの態様を状況に応じて使い分けることで、人型ロボット100の汎用性を高めることができる。
【解決手段】2足歩行が可能な人型ロボット100の下半身胴体部102の背面に人型ロボット100と同様な下半身を備えた歩行ロボット用付加装置200を着脱可能とする。2足歩行が生かせる状況では、歩行ロボット用付加装置200を取り外して人型ロボットとして稼働させ、4足歩行で構わない状況においては、歩行ロボット用付加装置200を装着して、4足歩行型の移動ロボットとする。2つの態様を状況に応じて使い分けることで、人型ロボット100の汎用性を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2足歩行型の歩行ロボットに取り付ける付加装置に係り、特に人型ロボットが備える2足に加えて、補助足や補助輪を着脱可能とし、必要に応じて姿勢の安定性を高めることができる構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボットの発達はめざましく、特に人型ロボットに代表される対人親和性を考慮した移動ロボットは、実用化の域に到達しつつある。人型ロボットは、人間と同様の立ち振る舞いが可能であるので、人間と協調しての各種の作業、人間が操作することを想定して作られた機器の操作(例えば重機の操作)、災害支援活動、介護等に利用されることが期待されている。
【0003】
人型ロボットにおける2足歩行や2足による姿勢の維持は、複雑な制御が必要であり、CPUやサーボモータに大きな負担を与える。人型ロボットが2足で自立した状態を維持する場合、見た目に動きはなくても、脚部各関節のサーボモータは動作しており、微妙な姿勢制御を絶えず動的に繰り返すことで、姿勢が維持されている。このような制御において、制御系のCPUは、常に演算を繰り返し、また脚部各関節のサーボモータにおいては絶えず電力が消費される。このため、姿勢を維持するだけであっても大きな電力を消費する。また、姿勢を維持するだけであっても、脚部各部の関節を駆動するサーボモータに負荷が加わるので、サーボモータの信頼性や寿命に悪影響を与えることにもなる。
【0004】
また実用性の観点から、人型ロボットは、自身に搭載したバッテリーを電力源として稼働しなければならず、稼働時間を延ばすために低消費電力化を追求することは重要である。また、2足で自立するための姿勢制御にCPUの演算能力の多くが費やされると、手先を利用した作業の制御やその他の制御(例えば、撮像画像の解析結果を反映した動作)の応答性に悪影響が及ぶ場合がある。具体的には、手先の動きの反応が遅くなったり、撮像画像に基づいた動きの反応が遅くなったりする不都合が発生する。複数のCPUや高速動作のCPUを用いることにより、この問題に対応することは可能であるが、それは高消費電力化、高コスト化、ハードウェアおよびソフトウェアの複雑化および大規模化を招くので好ましくない。
【0005】
特許文献1に記載されているような4足歩行型とすれば、安定性が向上するので、上述した2足歩行型の姿勢制御における高電力消費およびCPUへの高負荷を緩和することが可能である。しかしながら、4足歩行型では、人間と同様な手を利用しての作業を行うことができる優位性が失われる。なお、引用文献1には、4足歩行型のペット型ロボットに2足で立ち上がることができるモードを与えた構成が記載されているが、これは犬のような四肢をもった動物が2足で立ち上がる状態を模した動きであり、2足歩行型の人型ロボットとしての機能が得られる訳ではない。
【0006】
また、特許文献2には、2足歩行型の移動ロボットの各構成装置をモジュール化し、人型ロボットを構成する装置の汎用性を高めることを目的とした発明が記載されている。しかしながら、2足歩行ロボットの優位性を生かしながら、上述したような問題に対処する点に関しては何ら記載されていない。
【0007】
【特許文献1】特開2004−66381号(要約書)
【特許文献2】特開2005−161447号(要約書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した問題があるにしても、2足歩行可能な人型ロボットは、段差や階段、あるいは足場の悪い場所における移動が可能であり、また人間と同様な動きを行えるという優位性がある。そこで、本発明は、上述した2足歩行型の人型ロボットが2足で立った状態を維持するために必要なCPUやモータへの高負荷状態を解消することができ、同時に2足歩行型の人型ロボットの優位性も生かすことができるような技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、2足歩行型の歩行ロボットへ装着する歩行ロボット用付加装置であって、2足歩行型の歩行ロボットへの着脱を可能とする着脱可能手段と、前記歩行ロボットの脚部と協動して姿勢を維持するための補助脚部とを備えることを特徴とする。本発明によれば、作業内容や稼働環境に応じて、2足歩行型の歩行ロボットに上記の構成を備えた歩行ロボット用付加装置を装着することで、2足に加えて補助脚部を備えた移動ロボットを得ることができる。
【0010】
2足歩行型の歩行ロボットとしては、人間の腰部分に相当する下半身胴体部と、この下半身胴体部に備えた2本の脚部とを備え、2本足で歩行動作が可能な構成を挙げることができる。この構造においては、人間でいう上半身に相当する部分は必ずしも必要ではなく、人間の上半身に相当する部分に、任意の機能を持った構成を備えることができる。また、2足歩行型の歩行ロボットとしては、人間の腰部分に相当する下半身胴体部と、人間の胸郭に相当する上半身胴体部に備えた人型ロボットを挙げることができる。この人型ロボットは、2本の手を備え、人間の身体能力に模した機能を備えている。
【0011】
本発明においては、補助脚部を装着することで、2足で姿勢を維持する必要がなくなり、姿勢制御のための演算を行うCPUや脚部のサーボモータへの負担を軽減することができる。このため、低消費電力化が実現される。また、サーボモータへの負担が減るので、サーボモータの信頼性を高め、その寿命を延ばすことができる。さらに、制御系CPUへの負荷を低減することができるので、制御系CPUの能力を姿勢維持以外の制御に発揮させ易い状態で稼働させることができる。すなわち、2足歩行状態においては、2足による姿勢維持のための演算にCPUの機能を割かなければならず、そのために人型ロボットの場合における手先の細かい制御や画像認識処理等にCPUの機能を十分に振り分けることがでない場合があった。しかしながら、本発明によれば、姿勢維持のためのCPUへの負荷を大きく低減することができるので、CPUの機能を姿勢維持以外の処理や動作に優先的に振り分けることができる。このため、限られたハードウェア資源を利用して、CPUへの負荷が大きくなる細かい作業や画像処理機能を利用した作業等を効率よく実行することができる。
【0012】
また、本発明の歩行ロボット用付加装置は、歩行ロボットへの着脱が自在である。このため、2足歩行機能が有効となる段差がある場所や足場が悪い場所での稼働においては、歩行ロボット用付加装置を外して、2足歩行型の移動ロボットとして稼働させ、2足+補助脚でよい状況では歩行ロボット用付加装置を装着した形態で稼働させることができる。また、人型ロボットの場合、重機の運転といった人型ロボットでなければできない状況においては、歩行ロボット用付加装置を外して、2足歩行型の形態で稼働させ、2足+補助脚でよい状況においては、歩行ロボット用付加装置を装着した形態で稼働させることができる。また、歩行ロボット用付加装置は、母体である歩行ロボットに対して着脱自在であるので、上述した形態を作業環境や作業内容に合わせて適宜選択することが可能となる。つまり、現場において、作業内容に対応させて、2足歩行の態様または2足+補助脚の態様を適宜選択することができる。
【0013】
本発明の歩行ロボットは、下半身胴体部を備え、着脱可能手段は、前記下半身胴体部に着脱可能である構成とすることは好ましい。この態様によれば、歩行ロボットは少なくとも人間の腰部分に相当する下半身胴体部を備えていればよい。この下半身胴体部に少なくとも一つの脚部が連結される。勿論、この下半身胴体部に左右の2足を連結した構造とすることもできる。この態様のバリエーションとしては、人間でいう上半身の代わりに下半身胴体部に各種の構造を配置した例を挙げることができる。具体的には、下半身胴体部上に荷台を配置し、荷物の運搬機能を有した2足歩行ロボット、あるいは下半身胴体部上に視覚装置や各種センサを配置した2足歩行型の警備ロボットといった例を挙げることができる。
【0014】
本発明において、歩行ロボットは、下半身胴体部と上半身胴体部とを備えた人型ロボットであり、着脱可能手段は、下半身胴体部に着脱可能とされる構造とすることは好ましい。下半身胴体部というのは、人間の腰部分に相当する部分である。この部分に歩行ロボット用付加装置を装着することで、人型ロボットと歩行ロボット用付加装置とを結合した状態における安定性と運動性とを両立することができる。すなわち、人型ロボットの脚部は、脚としての動作があるので、装着部分として適当ではなく、また人型ロボットの上半身胴体部は、下半身胴体部に対してYaw軸回転(上半身を左右に捻る運動)およびPitch軸回転(上半身を前後に折り曲げる運動)を行うので、歩行ロボット用付加装置を装着する部位として適当ではない。これに対して、下半身胴体部は、人型ロボットの動作の基準となる部分であるので、歩行ロボット用付加装置を装着した際に、全体の動きに無理が生じず、また確実に安定性を確保することができる。
【0015】
本発明において、歩行ロボット用付加装置が、着脱可能手段を一端に備えた延長部材と、この延長部材の他端に固定される補助脚部の取り付けベースとを備えた構造とすることは好ましい。この態様によれば、延長部材によって補助脚部が歩行ロボットから離れた位置で接地する構造が実現できるので、高い安定性を得ることができる。また、延長部材に荷台や各種機器を取り付けることができるので、移動ロボットとしての機能を拡張することができる。
【0016】
また上記の態様において、補助脚部の取り付けベースを歩行ロボットの下半身胴体部と同じ構造とすることは好ましい。こうすることで、構成部材をユニット化することができ、低コスト化を図ることができる。また、歩行ロボット用付加装置の脚部構造を歩行ロボットと同じにすることができるので、部品や制御方法を母体である歩行ロボットと共通化することができ、低コスト化を追究することができる。また、下半身胴体部にバッテリーを搭載した構造とした場合、歩行ロボット単体の場合に比較して、歩行ロボット用付加装置を装着した状態におけるバッテリーの容量を2倍にすることができる。本発明の歩行ロボット用付加装置を歩行ロボットに装着した場合、姿勢制御に要する消費電力を大きく削減することができるので、このバッテリー容量が倍増されることで、稼働時間を飛躍的に増大させることができる。
【0017】
本発明において、補助脚部は上下方向に伸縮可能であり、その先端に車輪を備えている構造とすることは好ましい。この態様によれば、母体である歩行ロボットが姿勢を上下させた場合に、それに応じて補助脚部を伸縮させ、歩行ロボット用付加装置を上下させることができる。こうすることで、簡単な構造でありながら、姿勢を崩さずに全体を上下させることができる。また、移動に際しては、車輪の機能により、歩行ロボットの移動に歩行ロボット用付加装置を追従させることができる。この態様によれば、補助脚部の上下だけであるので、サーボモータの数を減らすことができ、また制御が簡単であり、低消費電力化を追究することができる。さらに、構造をシンプルにできるので、低コスト化を追求することができる。
【0018】
本発明において、延長部材に荷台を設ける構造とすることは好ましい。この態様によれば、本発明の歩行ロボット用付加装置を装着した歩行ロボットの荷物運搬能力を高めることできる。また、荷物の運搬中に手を使うことができる構成を実現することができる。
【0019】
本発明において、歩行ロボット用付加装置の延長部材に機器搭載用の搭載部を設ける構造とすることは好ましい。この態様によれば、作業内容に適した機材を延長部材上に備えることができる。例えば、搭載部に溶接機材を搭載した溶接ロボット、台座上に塗装機材を搭載した塗装ロボットを簡単に得ることができる。この態様によれば、歩行ロボットを一つの母体ユニットとして利用して、作業内容に合った専用機能を有した移動ロボットを得ることができる。特に本発明の歩行ロボット用付加装置は、作業現場において着脱可能であるので、作業内容に合わせた仕様あるいは態様の選択をロボットの稼働現場で適宜行うことができる。搭載部は、各種の機器を固定することができる構造であればよい。搭載部の構造としては、機器を載せて固定するための台座や固定手段を備えた専用スペースを挙げることができる。
【0020】
本発明の歩行ロボット用付加装置において、補助脚部の動作が、装着対象である歩行ロボットから送られてくる制御信号によって制御されるようにすることは好ましい。この態様によれば、歩行ロボットに歩行ロボット用付加装置を装着した状態において、補助脚部の動作が歩行ロボットからの制御信号に基づいて行われる。本発明は、自律動作が可能な歩行ロボットの機能拡張を目的とするものであり、補助脚部は母体となる歩行ロボットの動作を補助するように機能することが重要となる。上記の態様によれば、母体となる歩行ロボットの動きを効果的にアシストする動作を補助脚部に行わせることができる。
【0021】
本発明は、上述したような歩行ロボット用付加装置を装着した歩行ロボットとして把握することもできる。すなわち、2足歩行型の歩行ロボットに補助脚が付加された構造の移動ロボットの発明として把握することもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、2足歩行型の歩行ロボットに補助脚部を装着することで、姿勢制御に伴うCPUやモータの負担を低減し、低消費電力化を図ることができ、ロボットの稼働時間を延ばすことができる。また、限られたCPUの能力を姿勢制御以外の処理に有効に利用することができる。一方、階段での作業や重機の操作といった2足歩行型の歩行ロボット(特に人型ロボット)に適した環境においては、本発明の付加装置を歩行ロボットから取り外すことで、歩行ロボットの2足歩行機能を生かすことができる。このように、本発明によれば、作業内容や作業環境に応じて、2足歩行型の歩行ロボットの機能を、2足歩行機能を重視した稼働形態と、低消費電力化を追究し、さらに2足歩行機能や2足による姿勢制御に要するCPUの機能を他の制御機能に有効に利用することができる稼働形態とに使い分けることができる。そして、2足歩行型の歩行ロボットの汎用性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(1) 第1の実施形態
本実施形態においては、2足歩行型の移動ロボットの一例である人型ロボットに本発明を適用した場合の例を説明する。図1は、本実施形態の移動ロボットの概要を示す斜視図である。図1(A)は、全体の概要を示す斜視図であり、図1(B)は、(A)に示す構成の一部を示す斜視図である。図2は、図1に示す移動ロボットの正面図(A)と側面図(B)である。図1および図2に示す移動ロボットは、2足歩行型の人型ロボット100と歩行ロボット用付加装置200とを結合させた構造を有している。図3は、2足歩行型の人型ロボット100の正面図(A)、側面図(B)および斜視図(C)である。
【0024】
本実施形態においては、図3に示す人型ロボット100に歩行ロボット用付加装置200を着脱可能な状態で連結することにより、図3に示す2足歩行型の人型ロボット100と、図1に示す4足の移動ロボットとを適宜選択可能にしたことを特徴とする。以下、母体となる2足歩行型の人型ロボット100、さらに歩行ロボット用付加装置200について順次説明する。
【0025】
(1−A)2足歩行型ロボット
まず、基本となる2足歩行型の人型ロボット100について説明する。図3に示す人型ロボット100は、自律制御型の2足歩行可能な人型ロボットである。この人型ロボットは、工事現場等における作業や介護作業といった人間がこれまで行ってきた作業を行うことを目的としている移動ロボットの一例である。
【0026】
図3に示すように、人型ロボット100は、上半身胴体部101と下半身胴体部102とが連結された構造を備えている。上半身胴体部101は人体の胸郭部分に相当し、下半身胴体部102は腰部分に相当する。上半身胴体部101と下半身胴体部102とは、腰関節部115によって連結され、上半身胴体部101は、下半身胴体部102に対して捻り回転(Yaw軸回転)および前後回転(Pitch軸回転)が行えるようになっている。なお、Yaw軸回転というのは、人体でいうと、直立した状態における鉛直軸回りの回転のことをいう。またPitch軸回転というのは、人体でいうと、人体を左右水平方向に貫く軸回りの回転のことをいう。ちなみに、人体の体を前後に貫く軸回りの回転のことをロール軸回転という。
【0027】
上半身胴体部101には、右肩関節103を介して右腕部104が連結され、左肩関節106を介して左腕部107が連結され、首113を介して頭部114が連結されている。右腕部104の先端には、物を掴むことができるハンド機構105が配置され、同様に左腕部107の先端にもハンド機構108が配置されている。ハンド機構105および108は、人間の手先と同様な機能を有する手先部分であり、物を掴んだり、指に相当する部分に物を引っ掛けて引っ張ったりすることができる。また、上半身胴体部101内には、全体の動作を制御するCPUボードおよびその他の制御基板が収められている。
【0028】
下半身胴体部102には、右股関節109を介して右脚部110が、左股関節111を介して左脚部112が連結されている。また、下半身胴体部102の内部には、動力源となるバッテリーが格納されている。左右の各脚部も人間の脚部と同様な機能を発現する動きが可能であり、2足歩行機能は勿論、しゃがむ、中腰になるといった動作を行うことができる。
【0029】
頭部114には、カメラが配置されている。このカメラによって撮像した画像は、上半身胴体部101内に収められたCPUボードによって解析され、視覚情報として取得される。人型ロボット100は、この視覚情報に基づいて各種の自律動作を行うことができる。
【0030】
人型ロボット100は、人間と同様な動きを行うことが可能であるので、対人親和性が高い。また2足歩行による段差や階段における移動や姿勢の維持、あるいは建設現場や土木作業現場といった足場が平坦でない場所における移動や姿勢の維持が可能であるので、人間と共同しての各種の作業、重機の操作、介護といった用途の利用に適している。
【0031】
図4は、下半身胴体部102の概要を示す斜視図(A)と側面図(B)である。図4に示すように、下半身胴体部102の背面(人間の臀部に相当する部分)には、取り外し可能な外装カバー116が取り付けられている。外装カバー116には、ボルト116aを通すためのボルト孔116bと補助固定用のビス116cを通すためのビス孔116dが形成されている。また、下半身胴体部102は、ボルト116aが貫通するボルト挿通孔102aと、ビス116cが螺合される雌ネジ部(図示せず)が形成されている。図4(B)に示すように、下半身胴体部102内には、バッテリーパック102bが格納されており、ボルト116aは、このバッテリーバック102bに形成された雌ネジ部102cに螺合される。この構造によれば、外装カバー116がボルト116aによって、バッテリーパック102bに固定される。バッテリーパック102bは、強固な構造であり、また下半身胴体部102の骨格構造に固定されているので、上述した結合構造とすることで、外装カバー116を下半身胴体部102に強固に固定することができる。また、後述するようにこの構造によれば、延長部材202(例えば図5参照)を下半身胴体部102に強固に固定することができる。
【0032】
外装カバー116を下半身胴体部102に装着するには、まず両者の相対的な位置を合わせた状態とする。次に、ボルト116aをボルト孔116bおよびボルト挿通孔102aに挿入し、雌ネジ部102cに螺合させる。さらに、ビス116cをビス孔116dに差し込んでそれを雌ネジ部(図示せず)に螺合させる。ボルト116aとビス116cは、簡単に装着および取り外すことが可能であるので、下半身胴体部102の背面への外装カバー116の着脱は簡単に行うことができる。
【0033】
ボルト116aや補助固定用のビス116cの代わりに、クイックリリースファスナと呼ばれる固定部材を用いることもできる。クイックリリースファスナは、工具を用いずにワンタッチで固定および固定の解除を行うことができる固定部材である。クイックリリースファスナは、ピン状の構造を有し、先端部分に相手部材が引っ掛かる凸部を備えており、所定構造の固定用孔に挿入し回転させると、先端が孔の内部構造に係合し、孔から引き抜けなくなり、ボルトやビスと同様に部材の固定を行うことができる。なお、外装カバー116の下半身胴体部102への固定構造としては、外装カバー116および/または下半身胴体部102に係合手段を設け、外装カバー116を下半身胴体部102に嵌め込んで固定する構造としてもよい。
【0034】
(1−B)歩行ロボット用付加装置
図5は、歩行ロボット用付加装置の分解状態を示す斜視図である。図6は、歩行ロボット用付加装置を示す正面図(A)、側面図(B)および斜視図(C)である。図5および図6に示すように、歩行ロボット用付加装置200は、下半身胴体部201、右脚部206および左脚部208、および延長部材202を備えている。
【0035】
下半身胴体部201は、脚部の取り付けベースとして機能する部分であり、母体である人型ロボット100の下半身胴体部102と同じものを、前後逆にして利用したものである。下半身胴体部201には、右股関節205を介して右脚部206が連結され、左股関節207を介して左脚部208が連結されている。左右の脚部も人型ロボット100と同じものが利用されている。
【0036】
下半身胴体部201の内部には、バッテリーや電子機器が収められている。また、下半身胴体部201には、開口210が形成され、そこにはコネクタ211が設けられている。コネクタ211を介して、外部からの電力供給や外部への電力の供給、制御信号の外部への出力や外部からの入力を行うことができる。開口210の縁部分212は、延長部材202を受ける受け面であり、そこには、ボルト204aが貫通するボルト挿通孔と位置決め孔214が設けられている。なお、図示省略されているが、開口210内には、バッテリーパックが固定格納され、このバッテリーバックに設けられた雌ネジ部にボルト204aがねじ込まれる。この点は、図4に示す下半身胴体部102の場合と同じである。
【0037】
本実施形態においては、人型ロボット100に歩行ロボット用付加装置200を連結した状態において、人型ロボット100の下半身胴体部102の背面に配置された図示しないコネクタと、コネクタ211とが図示しない延長ケーブルによって接続される。この延長ケーブルを介して、人型ロボット100から歩行ロボット用付加装置200に制御信号が送られ、また歩行ロボット用付加装置200側の各種センシングデータが人型ロボット100に送られる。また、人型ロボット100と歩行ロボット用付加装置200にそれぞれ搭載されたバッテリーの共有化が実現される。この構成によれば、図1に示す移動ロボットの移動に際して、人型ロボット100からの制御信号によって、歩行ロボット用付加装置200側の脚部206と208の動作が制御される。これにより、人型ロボット100の動作に対応して、それを補助するように歩行ロボット用付加装置200が動き、自律制御型の4足歩行ロボットとして稼働させることができる。
【0038】
図1に示すように、延長部材202は、歩行ロボット用付加装置200の下半身胴体部201と人型ロボット100の下半身胴体部102とを連結するための部材である。図7は、延長部材202を示す上面図(A)、正面図(B)、斜視図(C)および側面図(D)である。図5および図6に示すように、延長部材202は、断面がH型の金属部材を利用して構成され、両端に同じ構造の着脱部203と204を備えている。着脱部203を利用して、人型ロボット100の下半身胴体部102に対する着脱が行われ、着脱部204を利用して、歩行ロボット用付加装置200の下半身胴体部201に対する着脱が行われる。
【0039】
なお、図7には、延長部材202に着脱部204が装着され、図5に示す着脱部203は取り外されている状態が示されている。図7における符号215および216は、図7には示されていない着脱部203(例えば図5を参照)を延長部材202に固定するためのL型アングルである。説明は省略するが、着脱部204においてもこのL型アングルを用いた固定構造が採用されている。
【0040】
図5に示すように、着脱部203には、位置決め用の突起203cとボルト203aを通すためのボルト孔203bが形成されている。延長部材202の下半身胴体部102への装着は、まず位置決め用の突起203cを図示しない下半身胴体部102背面の位置決め孔に合わせ、次にボルト203aをボルト孔203bおよびに図4に示すボルト挿通孔102aに通す。そして、下半身胴体部102内のバッテリーパック102bに設けられた雌ネジ部102cにボルト203aを螺合させ固定する。前述したように、バッテリーパック102bは、下半身胴体部102の骨格構造にしっかりと固定されているので、延長部材202をバッテリーパック102bにボルト203aによって固定することで、下半身胴体部102と延長部材202(歩行ロボット用付加装置200)との連結構造を強固なものとすることができる。
【0041】
同様に、着脱部材204には、図7に示すように位置決め用の突起204cとボルト204aを通すためのボルト孔(図では、ボルト204aが挿入されている)が形成されている。図5に示すように、延長部材202の下半身胴体部201への装着は、まず位置決め用の突起204c(図7参照)を位置決め孔214に差し込んで両者間の位置決めを行い、次にボルト204aをボルト挿通孔213に通し、図示しないバッテリーパックの雌ネジ部に螺合させることで行われる。
【0042】
(1−C)装着方法
以下、人型ロボット100に歩行ロボット用付加装置200を装着し、図1に示す移動ロボットを得る手順の一例を説明する。まず、図3に示す2足歩行型の人型ロボット100の下半身胴体部102の背面に装着された外装カバー116を取り外す。この外装カバー116の取り外しは、図4に示すボルト116aとビス116cを外すことで簡単に行うことができる。
【0043】
次に図5に示すように、人型ロボット100側の下半身胴体部102と歩行ロボット用付加装置200の下半身胴体部201との間に延長部材202を挟むように配置し、着脱部203と下半身胴体部102との位置を合わせ、また着脱部204と下半身胴体部201との位置を合わせる。この位置合わせを行った状態において、ボルト203aおよびボルト204aをねじ込み締め付けを行う。こうして、下半身胴体部102と延長部材202とを結合し、下半身胴体部201と延長部材202とを結合し、図1および図2に示す人型ロボット100に歩行ロボット用付加装置200を装着した状態を得る。
【0044】
また、図示省略されているが、人型ロボット100の下半身胴体部102の背面に配置されたコネクタに延長ケーブルの一端を接続し、この延長ケーブルの他端をコネクタ211に接続する。この図示しない延長ケーブルにより、人型ロボット100から歩行ロボット用付加装置200に各種の制御信号が送られ、また歩行ロボット用付加装置200側で検出される各種センシングデータが人型ロボット100に送られる。また、互いのバッテリーを共有化するための電源線の接続が行われる。この延長ケーブルの接続によって、人型ロボット100の動作に連動させて、歩行ロボット用付加装置200の脚部を動かし、4足歩行を行うことができる。
【0045】
上述した人型ロボット100への歩行ロボット用付加装置200の装着作業、あるいは人型ロボット100から歩行ロボット用付加装置200を取り外す作業は、ボルトやビスの取り付け/取り外し、さらにコネクタの着脱によって行うことができるので、例えばロボットの稼働現場において容易に行うことができる。
【0046】
(1−D)使い分けの例
以下、図3に示す2足歩行型と図1に示す4足歩行型の使い分けの一例を示す。例えば、土木作業現場において人型ロボットに資材の運搬や作業の補助を行わせる場合を考える。この際、作業を行う足場が傾斜地や段差があるような場所である場合、図3に示す2足歩行型の人型ロボット100を稼働させることが適している。すなわち、図3に示す2足歩行型の人型ロボット100は、人間と同様に2本の脚部110および112を使って、足場が傾斜地や段差があるような場所であっても歩行や姿勢の維持を行うことができる。したがって、そのような足場においては、図3に示す人型ロボット100の優位性を効果的に発揮することができる。また、人間が操作することを前提としたブルドーザやクレーンといった重機をロボットに操作させる場合も、左右のハンド機構108および105を使ったレバーやスイッチの操作、さらに左右の脚部112および110を使ったペダルの操作等を行うことができる2足歩行型の人型ロボット100の形態(図3の状態)が適している。
【0047】
一方、平坦な場所において、ロボットに荷物の運搬や各種の作業を行わせる場合、平坦な場所を移動することができればよいので、脚部110および112による2足歩行にこだわる必要はない。この場合は、図1に示すような脚部110、112、206および208による4足歩行型を選択することで、稼働時間の延長、資材等の運搬能力の向上、ハンド機構105および108を使った各種作業の作業性の向上、といった効果を得ることができる。
【0048】
以下、2足歩行型から4足歩行型にすることの優位性について説明する。まず、4足歩行型が2足歩行型に比較して稼働時間を長くすることができる点について説明する。2足歩行型の場合、単に直立するだけであっても、動的な姿勢制御が必要となる。このため、見た目で静止している状態であっても、常に高速演算およびサーボモータの細かい動的な制御が行われており、電力消費が大きい。
【0049】
これに対して、図1に示すような4足歩行型とした場合、2足歩行のような動的な制御を行わなくても、姿勢を安定させることができるので、演算用CPUやサーボモータの負担は大きく緩和される。このため、消費電力を大きく下げることができる。また、図1に示す例の場合は、付加した下半身胴体部201にも本体側の下半身胴体部102内に内蔵されるバッテリーと同様なバッテリーが内蔵されるので、バッテリー容量を2足歩行型の場合に比較して2倍にすることができる。このため、上述した姿勢制御に必要な電力の低減効果と相まって、ロボットの稼働時間を飛躍的に延ばすことができる。
【0050】
次に、4足歩行型にすることによって、資材等の運搬能力が向上する優位性について説明する。図1に示すような4足歩行型の移動ロボットは、安定性に優れ、また重量を支える脚部が符号110、112、206および208によって示される4つであるので、図3に示す2足歩行型の人型ロボット100に比較して、より高重量の荷物を運搬することができる。また、延長部材202や下半身胴体部201を荷台とし、そこに荷物を搭載するようなこともできるので、図3に示す2足歩行型の人型ロボット100に比較して、より高重量で且つ大きな荷物の運搬を行うことも可能となる。また、延長部材202や下半身胴体部201を荷台に利用した場合、荷物を搭載している状態において、腕部104および107を使うことができる。つまり、荷物を搭載した状態において、腕部104および107、さらにそれらの手先のハンド機構105および108を用いた各種の作業を行うことができる。
【0051】
図8は、荷台を設けた4足歩行型の移動ロボットの正面図(A)と側面図(B)である。図8に示す例においては、歩行ロボット用付加装置200を構成する延長部材202上に搭載部として台座220を配置し、その上に荷台221が設けられている。この態様によれば、荷台221上に荷物を載せ、それを運搬することができる。また、人型ロボット100が備える右腕部104のハンド機構105、さらに左腕部107のハンド機構108を利用して、荷台221上に荷物を載せたり、それを降ろしたりする作業を行うこともできる。
【0052】
また、荷台221の代わりに馬の鞍や椅子のような人間が載ったり座ったりする構造、あるいは担架のような人を搬送する構造を配置することで、人間を載せて運搬する機能を得ることもできる。このような構造は、例えば災害救助現場等における救難用ロボットに利用することができる。
【0053】
次に、4足歩行型にすることによって、手を使った各種作業の作業性を向上させることができる優位性について説明する。4足歩行型にした場合、CPUに加わる演算(姿勢制御のための演算)の負担が低減されるので、CPUの演算能力を手先のハンド機構105および108の細かい制御に優先的に振り分けることができる。このため、ハンド機構105および108を用いた作業の作業性を高めることができる。このことは、CPUへの負担が大きい画像解析に基づいた手作業を行う場合に特に有利となる。また4足歩行型にした場合、安定性が向上するので、バランスが取りやすくなり、2足歩行型の場合に比較して、ハンド機構105およびハンド機構108を用いた重量物の扱いや各種機器の扱いに有利となる。また、図1に示すような形態においては、延長部材202や下半身胴体部201に機材を搭載し、その機材を用いた作業を、ハンド機構105およびハンド機構108を用いて行うことができる。例えば、延長部材202上に溶接機材を搭載し、右腕部104の手先のハンド機構105に溶接棒を持ち、さらに左腕部107の手先のハンド機構108で溶接する部材を支えながらの溶接作業を行うことができる。
【0054】
(2) 第2の実施形態
図9は、本発明を利用した他の実施形態を示す側面図である。図9に示すように、本実施形態においては、歩行ロボット用付加装置200を構成する下半身胴体部201が備える脚部として、先端に車輪223を備えた上下に伸縮する伸縮脚部222を採用する。伸縮脚部222は、シリンダ部222aとピストン部222bとを備えている。ピストン22bがシリンダ部222a内に出入りすることで、伸縮脚部222の伸縮が行われる。ピストン222bの先端には、地面や床に接地する車輪223(キャスター)が配置されている。この構成によれば、母体である人型ロボット100がその2足歩行機能によって移動すると、車輪223の働きによって、歩行ロボット用付加装置200がその動きに追従する。なお、この構成における人型ロボット100に対する歩行ロボット用付加装置200の装着構造は、第1の実施形態の場合と同じである。
【0055】
この構成においては、母体である人型ロボット100の姿勢の上下に合わせて、ピストン部222bがシリンダ部222a内に出入りし、全体の姿勢の上下が制御される。この伸縮脚部222の動きは、人型ロボット100側からの制御信号によって制御される。なお、ピストン部222bのシリンダ部222aに対する動きは、例えばモータドライブ機構によって駆動される。この駆動機構としては、アクチュエータや油圧機構を用いることもできる。
【0056】
図10は、図9に示す構成の移動ロボットが姿勢を下げた場合の状態を示す側面図である。この場合、人型ロボット100が脚部の膝を曲げてその姿勢を低くすると、その動きに対応して、ピストン部222bがシリンダ部222a内に移動し、伸縮脚部222が収縮する。こうして、図10に示すような姿勢が維持される。このような動作を行うことで、荷台221に荷物を載せている場合における荷物の転落や荷崩れを防ぐことができる。またこの構成においては、歩行ロボット用付加装置200における動作制御を簡単にすることができ、また電力消費を低く抑えることができる。このため、移動ロボットとしての稼働時間を図8に示す構成の場合に比較してさらに延ばすことができる。
【0057】
(3) 第3の実施形態
図11は、本発明を利用した他の実施形態を示す側面図である。図11には、図1に示す構成において、延長部材202上に台座220を設け、この台座上に塗装装置224を搭載し、右腕部104を用いて吹き付け塗装作業を行う状態が示されている。
【0058】
塗装装置224は、塗料のタンクと塗料を送りだすポンプとを備えた塗装装置本体225、複数の関節を備えた屈曲自在なアーム226を備えている。アーム226には、塗料を輸送するホース227が架設され、その先端には、ノズル229を備えた吹き付け装置228が配置されている。塗料は、塗装装置本体225からホース227を利用して、吹き付け装置228に送られ、ノズル229から噴射される。人型ロボット100は、自身の右腕部104先端に備えたハンド機構105によって吹き付け装置228を掴み、右腕部104を動かすことで、ノズル229から吹き付ける塗料の吹き付け方向を自在に制御することができる。また、吹き付け装置228は、塗料の噴射をON/OFFする図示しないレバーを備えており、このレバーをハンド機構105によって操作することで、吹き付けの有無を選択することができる。
【0059】
この例によれば、塗装装置224以外は、汎用性のあるユニットを利用することができるので、コスト増を招かずに人型ロボット100を塗装用移動ロボットとして活用することができる。すなわち、用途に合わせて人型ロボット100の機能を拡張することができる。こうして、人型ロボット100の汎用性を高めることができる。
【0060】
図11に示す構成は、消化液、各種の薬品、あるいは洗浄液等を吹き付ける用途に利用することもできる。また、塗装装置224の代わりとして、例えば、溶接装置や照明装置を台座220上に搭載し、人型ロボット100を溶接ロボットや照明ロボットとして活用することもできる。
【0061】
(4) 第4の実施形態
図12は、本発明を利用した他の実施形態を示す側面図(A)と正面図(B)である。この例では、図1に示す構成において、延長部材202上に台座220を配置し、その上に他の人型ロボットの上半身部分400を搭載している。
【0062】
人型ロボットの上半身部分400は、母体となる人型ロボット100から下半身胴体部102を取り外したものと同等の機能を有する。すなわち、上半身部分400は、図3に示す上半身胴体部101と同様な基本構造を有する上半身胴体部401を備えている。上半身胴体部401は、右腕部402と左腕部404を備え、上部に頭部408を備えている。右腕部402の先端は、ハンド機構403(図13参照)を備え、左腕部404の先端には、ハンド機構405を備えている。これら腕の機能は、母体の人型ロボット100と同じである。上半身胴体部401は、垂直延長部406を介して、台座220上に固定されている。また、上半身胴体部401は、垂直延長部406に対して、Yaw軸回転が可能になっている。符号407の部分は、人型ロボット100と上半身部分400との連携を制御する制御部である。なお、図においては、人型ロボットの上半身部分400のデザインを母体となる人型ロボット100と異なるデザインとしているが、これは同じデザインであってもよい。
【0063】
図13(A)および(B)は、図12に示す移動ロボットの作業の様子を示す概念図である。本実施形態によれば、図13に示すように、人型ロボット100と、これと同様な上半身の機能を有する上半身部分400とに、同時あるいは協動させて手を利用した作業を行わせることができる。すなわち、人型ロボット100には、そのハンド機構105および108を用いて、例えば符号410によって示される作業範囲における各種の作業を行わせることができる。また、上半身部分400には、そのハンド機構403および405を用いて、例えば符号411によって示される作業範囲における各種の作業を行わせることができる。また、図13(B)に示すように、上半身部400をYaw軸回転させることで、作業範囲411を変更することができる。このような体を捻ることで、作業範囲を適宜変更できる機能は、人型ロボット100においても同じである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、2足歩行が可能な歩行ロボットに装着する機能拡張ユニットとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】発明を利用した移動ロボットを示す斜視図である。
【図2】発明を利用した移動ロボットを示す正面図(A)と側面図(B)である。
【図3】発明を適用可能な人型ロボットの正面図(A)、側面図(B)および斜視図(C)である。
【図4】下半身胴体部の斜視図(A)と側面図(B)である。
【図5】発明を利用した歩行ロボット用付加装置の分解状態を示す斜視図である。
【図6】発明を利用した歩行ロボット用付加装置の正面図(A)、側面図(B)および斜視図(C)である。
【図7】発明を利用した歩行ロボット用付加装置に利用される延長部材の上面図(A)、正面図(B)、斜視図(C)および側面図(D)である。
【図8】発明を利用した移動ロボットの他の例を示す正面図(A)と側面図(B)である。
【図9】発明を利用した移動ロボットの他の例を示す側面図である。
【図10】図9に示す移動ロボットの稼働状態を示す側面図である。
【図11】発明を利用した移動ロボットの他の例を示す側面図である。
【図12】発明を利用した移動ロボットの他の例を示す側面図(A)と正面図(B)である。
【図13】図12に示す移動ロボットの稼働状態を示す第1の概念図(A)と第2の概念図(B)である。
【符号の説明】
【0066】
100…人型ロボット、101…上半身胴体部、102…下半身胴体部、200…歩行ロボット用付加装置、201…下半身胴体部、202…延長部材、203…着脱部、204…着脱部、220…台座、221…荷台、224…塗装装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、2足歩行型の歩行ロボットに取り付ける付加装置に係り、特に人型ロボットが備える2足に加えて、補助足や補助輪を着脱可能とし、必要に応じて姿勢の安定性を高めることができる構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボットの発達はめざましく、特に人型ロボットに代表される対人親和性を考慮した移動ロボットは、実用化の域に到達しつつある。人型ロボットは、人間と同様の立ち振る舞いが可能であるので、人間と協調しての各種の作業、人間が操作することを想定して作られた機器の操作(例えば重機の操作)、災害支援活動、介護等に利用されることが期待されている。
【0003】
人型ロボットにおける2足歩行や2足による姿勢の維持は、複雑な制御が必要であり、CPUやサーボモータに大きな負担を与える。人型ロボットが2足で自立した状態を維持する場合、見た目に動きはなくても、脚部各関節のサーボモータは動作しており、微妙な姿勢制御を絶えず動的に繰り返すことで、姿勢が維持されている。このような制御において、制御系のCPUは、常に演算を繰り返し、また脚部各関節のサーボモータにおいては絶えず電力が消費される。このため、姿勢を維持するだけであっても大きな電力を消費する。また、姿勢を維持するだけであっても、脚部各部の関節を駆動するサーボモータに負荷が加わるので、サーボモータの信頼性や寿命に悪影響を与えることにもなる。
【0004】
また実用性の観点から、人型ロボットは、自身に搭載したバッテリーを電力源として稼働しなければならず、稼働時間を延ばすために低消費電力化を追求することは重要である。また、2足で自立するための姿勢制御にCPUの演算能力の多くが費やされると、手先を利用した作業の制御やその他の制御(例えば、撮像画像の解析結果を反映した動作)の応答性に悪影響が及ぶ場合がある。具体的には、手先の動きの反応が遅くなったり、撮像画像に基づいた動きの反応が遅くなったりする不都合が発生する。複数のCPUや高速動作のCPUを用いることにより、この問題に対応することは可能であるが、それは高消費電力化、高コスト化、ハードウェアおよびソフトウェアの複雑化および大規模化を招くので好ましくない。
【0005】
特許文献1に記載されているような4足歩行型とすれば、安定性が向上するので、上述した2足歩行型の姿勢制御における高電力消費およびCPUへの高負荷を緩和することが可能である。しかしながら、4足歩行型では、人間と同様な手を利用しての作業を行うことができる優位性が失われる。なお、引用文献1には、4足歩行型のペット型ロボットに2足で立ち上がることができるモードを与えた構成が記載されているが、これは犬のような四肢をもった動物が2足で立ち上がる状態を模した動きであり、2足歩行型の人型ロボットとしての機能が得られる訳ではない。
【0006】
また、特許文献2には、2足歩行型の移動ロボットの各構成装置をモジュール化し、人型ロボットを構成する装置の汎用性を高めることを目的とした発明が記載されている。しかしながら、2足歩行ロボットの優位性を生かしながら、上述したような問題に対処する点に関しては何ら記載されていない。
【0007】
【特許文献1】特開2004−66381号(要約書)
【特許文献2】特開2005−161447号(要約書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した問題があるにしても、2足歩行可能な人型ロボットは、段差や階段、あるいは足場の悪い場所における移動が可能であり、また人間と同様な動きを行えるという優位性がある。そこで、本発明は、上述した2足歩行型の人型ロボットが2足で立った状態を維持するために必要なCPUやモータへの高負荷状態を解消することができ、同時に2足歩行型の人型ロボットの優位性も生かすことができるような技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、2足歩行型の歩行ロボットへ装着する歩行ロボット用付加装置であって、2足歩行型の歩行ロボットへの着脱を可能とする着脱可能手段と、前記歩行ロボットの脚部と協動して姿勢を維持するための補助脚部とを備えることを特徴とする。本発明によれば、作業内容や稼働環境に応じて、2足歩行型の歩行ロボットに上記の構成を備えた歩行ロボット用付加装置を装着することで、2足に加えて補助脚部を備えた移動ロボットを得ることができる。
【0010】
2足歩行型の歩行ロボットとしては、人間の腰部分に相当する下半身胴体部と、この下半身胴体部に備えた2本の脚部とを備え、2本足で歩行動作が可能な構成を挙げることができる。この構造においては、人間でいう上半身に相当する部分は必ずしも必要ではなく、人間の上半身に相当する部分に、任意の機能を持った構成を備えることができる。また、2足歩行型の歩行ロボットとしては、人間の腰部分に相当する下半身胴体部と、人間の胸郭に相当する上半身胴体部に備えた人型ロボットを挙げることができる。この人型ロボットは、2本の手を備え、人間の身体能力に模した機能を備えている。
【0011】
本発明においては、補助脚部を装着することで、2足で姿勢を維持する必要がなくなり、姿勢制御のための演算を行うCPUや脚部のサーボモータへの負担を軽減することができる。このため、低消費電力化が実現される。また、サーボモータへの負担が減るので、サーボモータの信頼性を高め、その寿命を延ばすことができる。さらに、制御系CPUへの負荷を低減することができるので、制御系CPUの能力を姿勢維持以外の制御に発揮させ易い状態で稼働させることができる。すなわち、2足歩行状態においては、2足による姿勢維持のための演算にCPUの機能を割かなければならず、そのために人型ロボットの場合における手先の細かい制御や画像認識処理等にCPUの機能を十分に振り分けることがでない場合があった。しかしながら、本発明によれば、姿勢維持のためのCPUへの負荷を大きく低減することができるので、CPUの機能を姿勢維持以外の処理や動作に優先的に振り分けることができる。このため、限られたハードウェア資源を利用して、CPUへの負荷が大きくなる細かい作業や画像処理機能を利用した作業等を効率よく実行することができる。
【0012】
また、本発明の歩行ロボット用付加装置は、歩行ロボットへの着脱が自在である。このため、2足歩行機能が有効となる段差がある場所や足場が悪い場所での稼働においては、歩行ロボット用付加装置を外して、2足歩行型の移動ロボットとして稼働させ、2足+補助脚でよい状況では歩行ロボット用付加装置を装着した形態で稼働させることができる。また、人型ロボットの場合、重機の運転といった人型ロボットでなければできない状況においては、歩行ロボット用付加装置を外して、2足歩行型の形態で稼働させ、2足+補助脚でよい状況においては、歩行ロボット用付加装置を装着した形態で稼働させることができる。また、歩行ロボット用付加装置は、母体である歩行ロボットに対して着脱自在であるので、上述した形態を作業環境や作業内容に合わせて適宜選択することが可能となる。つまり、現場において、作業内容に対応させて、2足歩行の態様または2足+補助脚の態様を適宜選択することができる。
【0013】
本発明の歩行ロボットは、下半身胴体部を備え、着脱可能手段は、前記下半身胴体部に着脱可能である構成とすることは好ましい。この態様によれば、歩行ロボットは少なくとも人間の腰部分に相当する下半身胴体部を備えていればよい。この下半身胴体部に少なくとも一つの脚部が連結される。勿論、この下半身胴体部に左右の2足を連結した構造とすることもできる。この態様のバリエーションとしては、人間でいう上半身の代わりに下半身胴体部に各種の構造を配置した例を挙げることができる。具体的には、下半身胴体部上に荷台を配置し、荷物の運搬機能を有した2足歩行ロボット、あるいは下半身胴体部上に視覚装置や各種センサを配置した2足歩行型の警備ロボットといった例を挙げることができる。
【0014】
本発明において、歩行ロボットは、下半身胴体部と上半身胴体部とを備えた人型ロボットであり、着脱可能手段は、下半身胴体部に着脱可能とされる構造とすることは好ましい。下半身胴体部というのは、人間の腰部分に相当する部分である。この部分に歩行ロボット用付加装置を装着することで、人型ロボットと歩行ロボット用付加装置とを結合した状態における安定性と運動性とを両立することができる。すなわち、人型ロボットの脚部は、脚としての動作があるので、装着部分として適当ではなく、また人型ロボットの上半身胴体部は、下半身胴体部に対してYaw軸回転(上半身を左右に捻る運動)およびPitch軸回転(上半身を前後に折り曲げる運動)を行うので、歩行ロボット用付加装置を装着する部位として適当ではない。これに対して、下半身胴体部は、人型ロボットの動作の基準となる部分であるので、歩行ロボット用付加装置を装着した際に、全体の動きに無理が生じず、また確実に安定性を確保することができる。
【0015】
本発明において、歩行ロボット用付加装置が、着脱可能手段を一端に備えた延長部材と、この延長部材の他端に固定される補助脚部の取り付けベースとを備えた構造とすることは好ましい。この態様によれば、延長部材によって補助脚部が歩行ロボットから離れた位置で接地する構造が実現できるので、高い安定性を得ることができる。また、延長部材に荷台や各種機器を取り付けることができるので、移動ロボットとしての機能を拡張することができる。
【0016】
また上記の態様において、補助脚部の取り付けベースを歩行ロボットの下半身胴体部と同じ構造とすることは好ましい。こうすることで、構成部材をユニット化することができ、低コスト化を図ることができる。また、歩行ロボット用付加装置の脚部構造を歩行ロボットと同じにすることができるので、部品や制御方法を母体である歩行ロボットと共通化することができ、低コスト化を追究することができる。また、下半身胴体部にバッテリーを搭載した構造とした場合、歩行ロボット単体の場合に比較して、歩行ロボット用付加装置を装着した状態におけるバッテリーの容量を2倍にすることができる。本発明の歩行ロボット用付加装置を歩行ロボットに装着した場合、姿勢制御に要する消費電力を大きく削減することができるので、このバッテリー容量が倍増されることで、稼働時間を飛躍的に増大させることができる。
【0017】
本発明において、補助脚部は上下方向に伸縮可能であり、その先端に車輪を備えている構造とすることは好ましい。この態様によれば、母体である歩行ロボットが姿勢を上下させた場合に、それに応じて補助脚部を伸縮させ、歩行ロボット用付加装置を上下させることができる。こうすることで、簡単な構造でありながら、姿勢を崩さずに全体を上下させることができる。また、移動に際しては、車輪の機能により、歩行ロボットの移動に歩行ロボット用付加装置を追従させることができる。この態様によれば、補助脚部の上下だけであるので、サーボモータの数を減らすことができ、また制御が簡単であり、低消費電力化を追究することができる。さらに、構造をシンプルにできるので、低コスト化を追求することができる。
【0018】
本発明において、延長部材に荷台を設ける構造とすることは好ましい。この態様によれば、本発明の歩行ロボット用付加装置を装着した歩行ロボットの荷物運搬能力を高めることできる。また、荷物の運搬中に手を使うことができる構成を実現することができる。
【0019】
本発明において、歩行ロボット用付加装置の延長部材に機器搭載用の搭載部を設ける構造とすることは好ましい。この態様によれば、作業内容に適した機材を延長部材上に備えることができる。例えば、搭載部に溶接機材を搭載した溶接ロボット、台座上に塗装機材を搭載した塗装ロボットを簡単に得ることができる。この態様によれば、歩行ロボットを一つの母体ユニットとして利用して、作業内容に合った専用機能を有した移動ロボットを得ることができる。特に本発明の歩行ロボット用付加装置は、作業現場において着脱可能であるので、作業内容に合わせた仕様あるいは態様の選択をロボットの稼働現場で適宜行うことができる。搭載部は、各種の機器を固定することができる構造であればよい。搭載部の構造としては、機器を載せて固定するための台座や固定手段を備えた専用スペースを挙げることができる。
【0020】
本発明の歩行ロボット用付加装置において、補助脚部の動作が、装着対象である歩行ロボットから送られてくる制御信号によって制御されるようにすることは好ましい。この態様によれば、歩行ロボットに歩行ロボット用付加装置を装着した状態において、補助脚部の動作が歩行ロボットからの制御信号に基づいて行われる。本発明は、自律動作が可能な歩行ロボットの機能拡張を目的とするものであり、補助脚部は母体となる歩行ロボットの動作を補助するように機能することが重要となる。上記の態様によれば、母体となる歩行ロボットの動きを効果的にアシストする動作を補助脚部に行わせることができる。
【0021】
本発明は、上述したような歩行ロボット用付加装置を装着した歩行ロボットとして把握することもできる。すなわち、2足歩行型の歩行ロボットに補助脚が付加された構造の移動ロボットの発明として把握することもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、2足歩行型の歩行ロボットに補助脚部を装着することで、姿勢制御に伴うCPUやモータの負担を低減し、低消費電力化を図ることができ、ロボットの稼働時間を延ばすことができる。また、限られたCPUの能力を姿勢制御以外の処理に有効に利用することができる。一方、階段での作業や重機の操作といった2足歩行型の歩行ロボット(特に人型ロボット)に適した環境においては、本発明の付加装置を歩行ロボットから取り外すことで、歩行ロボットの2足歩行機能を生かすことができる。このように、本発明によれば、作業内容や作業環境に応じて、2足歩行型の歩行ロボットの機能を、2足歩行機能を重視した稼働形態と、低消費電力化を追究し、さらに2足歩行機能や2足による姿勢制御に要するCPUの機能を他の制御機能に有効に利用することができる稼働形態とに使い分けることができる。そして、2足歩行型の歩行ロボットの汎用性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(1) 第1の実施形態
本実施形態においては、2足歩行型の移動ロボットの一例である人型ロボットに本発明を適用した場合の例を説明する。図1は、本実施形態の移動ロボットの概要を示す斜視図である。図1(A)は、全体の概要を示す斜視図であり、図1(B)は、(A)に示す構成の一部を示す斜視図である。図2は、図1に示す移動ロボットの正面図(A)と側面図(B)である。図1および図2に示す移動ロボットは、2足歩行型の人型ロボット100と歩行ロボット用付加装置200とを結合させた構造を有している。図3は、2足歩行型の人型ロボット100の正面図(A)、側面図(B)および斜視図(C)である。
【0024】
本実施形態においては、図3に示す人型ロボット100に歩行ロボット用付加装置200を着脱可能な状態で連結することにより、図3に示す2足歩行型の人型ロボット100と、図1に示す4足の移動ロボットとを適宜選択可能にしたことを特徴とする。以下、母体となる2足歩行型の人型ロボット100、さらに歩行ロボット用付加装置200について順次説明する。
【0025】
(1−A)2足歩行型ロボット
まず、基本となる2足歩行型の人型ロボット100について説明する。図3に示す人型ロボット100は、自律制御型の2足歩行可能な人型ロボットである。この人型ロボットは、工事現場等における作業や介護作業といった人間がこれまで行ってきた作業を行うことを目的としている移動ロボットの一例である。
【0026】
図3に示すように、人型ロボット100は、上半身胴体部101と下半身胴体部102とが連結された構造を備えている。上半身胴体部101は人体の胸郭部分に相当し、下半身胴体部102は腰部分に相当する。上半身胴体部101と下半身胴体部102とは、腰関節部115によって連結され、上半身胴体部101は、下半身胴体部102に対して捻り回転(Yaw軸回転)および前後回転(Pitch軸回転)が行えるようになっている。なお、Yaw軸回転というのは、人体でいうと、直立した状態における鉛直軸回りの回転のことをいう。またPitch軸回転というのは、人体でいうと、人体を左右水平方向に貫く軸回りの回転のことをいう。ちなみに、人体の体を前後に貫く軸回りの回転のことをロール軸回転という。
【0027】
上半身胴体部101には、右肩関節103を介して右腕部104が連結され、左肩関節106を介して左腕部107が連結され、首113を介して頭部114が連結されている。右腕部104の先端には、物を掴むことができるハンド機構105が配置され、同様に左腕部107の先端にもハンド機構108が配置されている。ハンド機構105および108は、人間の手先と同様な機能を有する手先部分であり、物を掴んだり、指に相当する部分に物を引っ掛けて引っ張ったりすることができる。また、上半身胴体部101内には、全体の動作を制御するCPUボードおよびその他の制御基板が収められている。
【0028】
下半身胴体部102には、右股関節109を介して右脚部110が、左股関節111を介して左脚部112が連結されている。また、下半身胴体部102の内部には、動力源となるバッテリーが格納されている。左右の各脚部も人間の脚部と同様な機能を発現する動きが可能であり、2足歩行機能は勿論、しゃがむ、中腰になるといった動作を行うことができる。
【0029】
頭部114には、カメラが配置されている。このカメラによって撮像した画像は、上半身胴体部101内に収められたCPUボードによって解析され、視覚情報として取得される。人型ロボット100は、この視覚情報に基づいて各種の自律動作を行うことができる。
【0030】
人型ロボット100は、人間と同様な動きを行うことが可能であるので、対人親和性が高い。また2足歩行による段差や階段における移動や姿勢の維持、あるいは建設現場や土木作業現場といった足場が平坦でない場所における移動や姿勢の維持が可能であるので、人間と共同しての各種の作業、重機の操作、介護といった用途の利用に適している。
【0031】
図4は、下半身胴体部102の概要を示す斜視図(A)と側面図(B)である。図4に示すように、下半身胴体部102の背面(人間の臀部に相当する部分)には、取り外し可能な外装カバー116が取り付けられている。外装カバー116には、ボルト116aを通すためのボルト孔116bと補助固定用のビス116cを通すためのビス孔116dが形成されている。また、下半身胴体部102は、ボルト116aが貫通するボルト挿通孔102aと、ビス116cが螺合される雌ネジ部(図示せず)が形成されている。図4(B)に示すように、下半身胴体部102内には、バッテリーパック102bが格納されており、ボルト116aは、このバッテリーバック102bに形成された雌ネジ部102cに螺合される。この構造によれば、外装カバー116がボルト116aによって、バッテリーパック102bに固定される。バッテリーパック102bは、強固な構造であり、また下半身胴体部102の骨格構造に固定されているので、上述した結合構造とすることで、外装カバー116を下半身胴体部102に強固に固定することができる。また、後述するようにこの構造によれば、延長部材202(例えば図5参照)を下半身胴体部102に強固に固定することができる。
【0032】
外装カバー116を下半身胴体部102に装着するには、まず両者の相対的な位置を合わせた状態とする。次に、ボルト116aをボルト孔116bおよびボルト挿通孔102aに挿入し、雌ネジ部102cに螺合させる。さらに、ビス116cをビス孔116dに差し込んでそれを雌ネジ部(図示せず)に螺合させる。ボルト116aとビス116cは、簡単に装着および取り外すことが可能であるので、下半身胴体部102の背面への外装カバー116の着脱は簡単に行うことができる。
【0033】
ボルト116aや補助固定用のビス116cの代わりに、クイックリリースファスナと呼ばれる固定部材を用いることもできる。クイックリリースファスナは、工具を用いずにワンタッチで固定および固定の解除を行うことができる固定部材である。クイックリリースファスナは、ピン状の構造を有し、先端部分に相手部材が引っ掛かる凸部を備えており、所定構造の固定用孔に挿入し回転させると、先端が孔の内部構造に係合し、孔から引き抜けなくなり、ボルトやビスと同様に部材の固定を行うことができる。なお、外装カバー116の下半身胴体部102への固定構造としては、外装カバー116および/または下半身胴体部102に係合手段を設け、外装カバー116を下半身胴体部102に嵌め込んで固定する構造としてもよい。
【0034】
(1−B)歩行ロボット用付加装置
図5は、歩行ロボット用付加装置の分解状態を示す斜視図である。図6は、歩行ロボット用付加装置を示す正面図(A)、側面図(B)および斜視図(C)である。図5および図6に示すように、歩行ロボット用付加装置200は、下半身胴体部201、右脚部206および左脚部208、および延長部材202を備えている。
【0035】
下半身胴体部201は、脚部の取り付けベースとして機能する部分であり、母体である人型ロボット100の下半身胴体部102と同じものを、前後逆にして利用したものである。下半身胴体部201には、右股関節205を介して右脚部206が連結され、左股関節207を介して左脚部208が連結されている。左右の脚部も人型ロボット100と同じものが利用されている。
【0036】
下半身胴体部201の内部には、バッテリーや電子機器が収められている。また、下半身胴体部201には、開口210が形成され、そこにはコネクタ211が設けられている。コネクタ211を介して、外部からの電力供給や外部への電力の供給、制御信号の外部への出力や外部からの入力を行うことができる。開口210の縁部分212は、延長部材202を受ける受け面であり、そこには、ボルト204aが貫通するボルト挿通孔と位置決め孔214が設けられている。なお、図示省略されているが、開口210内には、バッテリーパックが固定格納され、このバッテリーバックに設けられた雌ネジ部にボルト204aがねじ込まれる。この点は、図4に示す下半身胴体部102の場合と同じである。
【0037】
本実施形態においては、人型ロボット100に歩行ロボット用付加装置200を連結した状態において、人型ロボット100の下半身胴体部102の背面に配置された図示しないコネクタと、コネクタ211とが図示しない延長ケーブルによって接続される。この延長ケーブルを介して、人型ロボット100から歩行ロボット用付加装置200に制御信号が送られ、また歩行ロボット用付加装置200側の各種センシングデータが人型ロボット100に送られる。また、人型ロボット100と歩行ロボット用付加装置200にそれぞれ搭載されたバッテリーの共有化が実現される。この構成によれば、図1に示す移動ロボットの移動に際して、人型ロボット100からの制御信号によって、歩行ロボット用付加装置200側の脚部206と208の動作が制御される。これにより、人型ロボット100の動作に対応して、それを補助するように歩行ロボット用付加装置200が動き、自律制御型の4足歩行ロボットとして稼働させることができる。
【0038】
図1に示すように、延長部材202は、歩行ロボット用付加装置200の下半身胴体部201と人型ロボット100の下半身胴体部102とを連結するための部材である。図7は、延長部材202を示す上面図(A)、正面図(B)、斜視図(C)および側面図(D)である。図5および図6に示すように、延長部材202は、断面がH型の金属部材を利用して構成され、両端に同じ構造の着脱部203と204を備えている。着脱部203を利用して、人型ロボット100の下半身胴体部102に対する着脱が行われ、着脱部204を利用して、歩行ロボット用付加装置200の下半身胴体部201に対する着脱が行われる。
【0039】
なお、図7には、延長部材202に着脱部204が装着され、図5に示す着脱部203は取り外されている状態が示されている。図7における符号215および216は、図7には示されていない着脱部203(例えば図5を参照)を延長部材202に固定するためのL型アングルである。説明は省略するが、着脱部204においてもこのL型アングルを用いた固定構造が採用されている。
【0040】
図5に示すように、着脱部203には、位置決め用の突起203cとボルト203aを通すためのボルト孔203bが形成されている。延長部材202の下半身胴体部102への装着は、まず位置決め用の突起203cを図示しない下半身胴体部102背面の位置決め孔に合わせ、次にボルト203aをボルト孔203bおよびに図4に示すボルト挿通孔102aに通す。そして、下半身胴体部102内のバッテリーパック102bに設けられた雌ネジ部102cにボルト203aを螺合させ固定する。前述したように、バッテリーパック102bは、下半身胴体部102の骨格構造にしっかりと固定されているので、延長部材202をバッテリーパック102bにボルト203aによって固定することで、下半身胴体部102と延長部材202(歩行ロボット用付加装置200)との連結構造を強固なものとすることができる。
【0041】
同様に、着脱部材204には、図7に示すように位置決め用の突起204cとボルト204aを通すためのボルト孔(図では、ボルト204aが挿入されている)が形成されている。図5に示すように、延長部材202の下半身胴体部201への装着は、まず位置決め用の突起204c(図7参照)を位置決め孔214に差し込んで両者間の位置決めを行い、次にボルト204aをボルト挿通孔213に通し、図示しないバッテリーパックの雌ネジ部に螺合させることで行われる。
【0042】
(1−C)装着方法
以下、人型ロボット100に歩行ロボット用付加装置200を装着し、図1に示す移動ロボットを得る手順の一例を説明する。まず、図3に示す2足歩行型の人型ロボット100の下半身胴体部102の背面に装着された外装カバー116を取り外す。この外装カバー116の取り外しは、図4に示すボルト116aとビス116cを外すことで簡単に行うことができる。
【0043】
次に図5に示すように、人型ロボット100側の下半身胴体部102と歩行ロボット用付加装置200の下半身胴体部201との間に延長部材202を挟むように配置し、着脱部203と下半身胴体部102との位置を合わせ、また着脱部204と下半身胴体部201との位置を合わせる。この位置合わせを行った状態において、ボルト203aおよびボルト204aをねじ込み締め付けを行う。こうして、下半身胴体部102と延長部材202とを結合し、下半身胴体部201と延長部材202とを結合し、図1および図2に示す人型ロボット100に歩行ロボット用付加装置200を装着した状態を得る。
【0044】
また、図示省略されているが、人型ロボット100の下半身胴体部102の背面に配置されたコネクタに延長ケーブルの一端を接続し、この延長ケーブルの他端をコネクタ211に接続する。この図示しない延長ケーブルにより、人型ロボット100から歩行ロボット用付加装置200に各種の制御信号が送られ、また歩行ロボット用付加装置200側で検出される各種センシングデータが人型ロボット100に送られる。また、互いのバッテリーを共有化するための電源線の接続が行われる。この延長ケーブルの接続によって、人型ロボット100の動作に連動させて、歩行ロボット用付加装置200の脚部を動かし、4足歩行を行うことができる。
【0045】
上述した人型ロボット100への歩行ロボット用付加装置200の装着作業、あるいは人型ロボット100から歩行ロボット用付加装置200を取り外す作業は、ボルトやビスの取り付け/取り外し、さらにコネクタの着脱によって行うことができるので、例えばロボットの稼働現場において容易に行うことができる。
【0046】
(1−D)使い分けの例
以下、図3に示す2足歩行型と図1に示す4足歩行型の使い分けの一例を示す。例えば、土木作業現場において人型ロボットに資材の運搬や作業の補助を行わせる場合を考える。この際、作業を行う足場が傾斜地や段差があるような場所である場合、図3に示す2足歩行型の人型ロボット100を稼働させることが適している。すなわち、図3に示す2足歩行型の人型ロボット100は、人間と同様に2本の脚部110および112を使って、足場が傾斜地や段差があるような場所であっても歩行や姿勢の維持を行うことができる。したがって、そのような足場においては、図3に示す人型ロボット100の優位性を効果的に発揮することができる。また、人間が操作することを前提としたブルドーザやクレーンといった重機をロボットに操作させる場合も、左右のハンド機構108および105を使ったレバーやスイッチの操作、さらに左右の脚部112および110を使ったペダルの操作等を行うことができる2足歩行型の人型ロボット100の形態(図3の状態)が適している。
【0047】
一方、平坦な場所において、ロボットに荷物の運搬や各種の作業を行わせる場合、平坦な場所を移動することができればよいので、脚部110および112による2足歩行にこだわる必要はない。この場合は、図1に示すような脚部110、112、206および208による4足歩行型を選択することで、稼働時間の延長、資材等の運搬能力の向上、ハンド機構105および108を使った各種作業の作業性の向上、といった効果を得ることができる。
【0048】
以下、2足歩行型から4足歩行型にすることの優位性について説明する。まず、4足歩行型が2足歩行型に比較して稼働時間を長くすることができる点について説明する。2足歩行型の場合、単に直立するだけであっても、動的な姿勢制御が必要となる。このため、見た目で静止している状態であっても、常に高速演算およびサーボモータの細かい動的な制御が行われており、電力消費が大きい。
【0049】
これに対して、図1に示すような4足歩行型とした場合、2足歩行のような動的な制御を行わなくても、姿勢を安定させることができるので、演算用CPUやサーボモータの負担は大きく緩和される。このため、消費電力を大きく下げることができる。また、図1に示す例の場合は、付加した下半身胴体部201にも本体側の下半身胴体部102内に内蔵されるバッテリーと同様なバッテリーが内蔵されるので、バッテリー容量を2足歩行型の場合に比較して2倍にすることができる。このため、上述した姿勢制御に必要な電力の低減効果と相まって、ロボットの稼働時間を飛躍的に延ばすことができる。
【0050】
次に、4足歩行型にすることによって、資材等の運搬能力が向上する優位性について説明する。図1に示すような4足歩行型の移動ロボットは、安定性に優れ、また重量を支える脚部が符号110、112、206および208によって示される4つであるので、図3に示す2足歩行型の人型ロボット100に比較して、より高重量の荷物を運搬することができる。また、延長部材202や下半身胴体部201を荷台とし、そこに荷物を搭載するようなこともできるので、図3に示す2足歩行型の人型ロボット100に比較して、より高重量で且つ大きな荷物の運搬を行うことも可能となる。また、延長部材202や下半身胴体部201を荷台に利用した場合、荷物を搭載している状態において、腕部104および107を使うことができる。つまり、荷物を搭載した状態において、腕部104および107、さらにそれらの手先のハンド機構105および108を用いた各種の作業を行うことができる。
【0051】
図8は、荷台を設けた4足歩行型の移動ロボットの正面図(A)と側面図(B)である。図8に示す例においては、歩行ロボット用付加装置200を構成する延長部材202上に搭載部として台座220を配置し、その上に荷台221が設けられている。この態様によれば、荷台221上に荷物を載せ、それを運搬することができる。また、人型ロボット100が備える右腕部104のハンド機構105、さらに左腕部107のハンド機構108を利用して、荷台221上に荷物を載せたり、それを降ろしたりする作業を行うこともできる。
【0052】
また、荷台221の代わりに馬の鞍や椅子のような人間が載ったり座ったりする構造、あるいは担架のような人を搬送する構造を配置することで、人間を載せて運搬する機能を得ることもできる。このような構造は、例えば災害救助現場等における救難用ロボットに利用することができる。
【0053】
次に、4足歩行型にすることによって、手を使った各種作業の作業性を向上させることができる優位性について説明する。4足歩行型にした場合、CPUに加わる演算(姿勢制御のための演算)の負担が低減されるので、CPUの演算能力を手先のハンド機構105および108の細かい制御に優先的に振り分けることができる。このため、ハンド機構105および108を用いた作業の作業性を高めることができる。このことは、CPUへの負担が大きい画像解析に基づいた手作業を行う場合に特に有利となる。また4足歩行型にした場合、安定性が向上するので、バランスが取りやすくなり、2足歩行型の場合に比較して、ハンド機構105およびハンド機構108を用いた重量物の扱いや各種機器の扱いに有利となる。また、図1に示すような形態においては、延長部材202や下半身胴体部201に機材を搭載し、その機材を用いた作業を、ハンド機構105およびハンド機構108を用いて行うことができる。例えば、延長部材202上に溶接機材を搭載し、右腕部104の手先のハンド機構105に溶接棒を持ち、さらに左腕部107の手先のハンド機構108で溶接する部材を支えながらの溶接作業を行うことができる。
【0054】
(2) 第2の実施形態
図9は、本発明を利用した他の実施形態を示す側面図である。図9に示すように、本実施形態においては、歩行ロボット用付加装置200を構成する下半身胴体部201が備える脚部として、先端に車輪223を備えた上下に伸縮する伸縮脚部222を採用する。伸縮脚部222は、シリンダ部222aとピストン部222bとを備えている。ピストン22bがシリンダ部222a内に出入りすることで、伸縮脚部222の伸縮が行われる。ピストン222bの先端には、地面や床に接地する車輪223(キャスター)が配置されている。この構成によれば、母体である人型ロボット100がその2足歩行機能によって移動すると、車輪223の働きによって、歩行ロボット用付加装置200がその動きに追従する。なお、この構成における人型ロボット100に対する歩行ロボット用付加装置200の装着構造は、第1の実施形態の場合と同じである。
【0055】
この構成においては、母体である人型ロボット100の姿勢の上下に合わせて、ピストン部222bがシリンダ部222a内に出入りし、全体の姿勢の上下が制御される。この伸縮脚部222の動きは、人型ロボット100側からの制御信号によって制御される。なお、ピストン部222bのシリンダ部222aに対する動きは、例えばモータドライブ機構によって駆動される。この駆動機構としては、アクチュエータや油圧機構を用いることもできる。
【0056】
図10は、図9に示す構成の移動ロボットが姿勢を下げた場合の状態を示す側面図である。この場合、人型ロボット100が脚部の膝を曲げてその姿勢を低くすると、その動きに対応して、ピストン部222bがシリンダ部222a内に移動し、伸縮脚部222が収縮する。こうして、図10に示すような姿勢が維持される。このような動作を行うことで、荷台221に荷物を載せている場合における荷物の転落や荷崩れを防ぐことができる。またこの構成においては、歩行ロボット用付加装置200における動作制御を簡単にすることができ、また電力消費を低く抑えることができる。このため、移動ロボットとしての稼働時間を図8に示す構成の場合に比較してさらに延ばすことができる。
【0057】
(3) 第3の実施形態
図11は、本発明を利用した他の実施形態を示す側面図である。図11には、図1に示す構成において、延長部材202上に台座220を設け、この台座上に塗装装置224を搭載し、右腕部104を用いて吹き付け塗装作業を行う状態が示されている。
【0058】
塗装装置224は、塗料のタンクと塗料を送りだすポンプとを備えた塗装装置本体225、複数の関節を備えた屈曲自在なアーム226を備えている。アーム226には、塗料を輸送するホース227が架設され、その先端には、ノズル229を備えた吹き付け装置228が配置されている。塗料は、塗装装置本体225からホース227を利用して、吹き付け装置228に送られ、ノズル229から噴射される。人型ロボット100は、自身の右腕部104先端に備えたハンド機構105によって吹き付け装置228を掴み、右腕部104を動かすことで、ノズル229から吹き付ける塗料の吹き付け方向を自在に制御することができる。また、吹き付け装置228は、塗料の噴射をON/OFFする図示しないレバーを備えており、このレバーをハンド機構105によって操作することで、吹き付けの有無を選択することができる。
【0059】
この例によれば、塗装装置224以外は、汎用性のあるユニットを利用することができるので、コスト増を招かずに人型ロボット100を塗装用移動ロボットとして活用することができる。すなわち、用途に合わせて人型ロボット100の機能を拡張することができる。こうして、人型ロボット100の汎用性を高めることができる。
【0060】
図11に示す構成は、消化液、各種の薬品、あるいは洗浄液等を吹き付ける用途に利用することもできる。また、塗装装置224の代わりとして、例えば、溶接装置や照明装置を台座220上に搭載し、人型ロボット100を溶接ロボットや照明ロボットとして活用することもできる。
【0061】
(4) 第4の実施形態
図12は、本発明を利用した他の実施形態を示す側面図(A)と正面図(B)である。この例では、図1に示す構成において、延長部材202上に台座220を配置し、その上に他の人型ロボットの上半身部分400を搭載している。
【0062】
人型ロボットの上半身部分400は、母体となる人型ロボット100から下半身胴体部102を取り外したものと同等の機能を有する。すなわち、上半身部分400は、図3に示す上半身胴体部101と同様な基本構造を有する上半身胴体部401を備えている。上半身胴体部401は、右腕部402と左腕部404を備え、上部に頭部408を備えている。右腕部402の先端は、ハンド機構403(図13参照)を備え、左腕部404の先端には、ハンド機構405を備えている。これら腕の機能は、母体の人型ロボット100と同じである。上半身胴体部401は、垂直延長部406を介して、台座220上に固定されている。また、上半身胴体部401は、垂直延長部406に対して、Yaw軸回転が可能になっている。符号407の部分は、人型ロボット100と上半身部分400との連携を制御する制御部である。なお、図においては、人型ロボットの上半身部分400のデザインを母体となる人型ロボット100と異なるデザインとしているが、これは同じデザインであってもよい。
【0063】
図13(A)および(B)は、図12に示す移動ロボットの作業の様子を示す概念図である。本実施形態によれば、図13に示すように、人型ロボット100と、これと同様な上半身の機能を有する上半身部分400とに、同時あるいは協動させて手を利用した作業を行わせることができる。すなわち、人型ロボット100には、そのハンド機構105および108を用いて、例えば符号410によって示される作業範囲における各種の作業を行わせることができる。また、上半身部分400には、そのハンド機構403および405を用いて、例えば符号411によって示される作業範囲における各種の作業を行わせることができる。また、図13(B)に示すように、上半身部400をYaw軸回転させることで、作業範囲411を変更することができる。このような体を捻ることで、作業範囲を適宜変更できる機能は、人型ロボット100においても同じである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、2足歩行が可能な歩行ロボットに装着する機能拡張ユニットとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】発明を利用した移動ロボットを示す斜視図である。
【図2】発明を利用した移動ロボットを示す正面図(A)と側面図(B)である。
【図3】発明を適用可能な人型ロボットの正面図(A)、側面図(B)および斜視図(C)である。
【図4】下半身胴体部の斜視図(A)と側面図(B)である。
【図5】発明を利用した歩行ロボット用付加装置の分解状態を示す斜視図である。
【図6】発明を利用した歩行ロボット用付加装置の正面図(A)、側面図(B)および斜視図(C)である。
【図7】発明を利用した歩行ロボット用付加装置に利用される延長部材の上面図(A)、正面図(B)、斜視図(C)および側面図(D)である。
【図8】発明を利用した移動ロボットの他の例を示す正面図(A)と側面図(B)である。
【図9】発明を利用した移動ロボットの他の例を示す側面図である。
【図10】図9に示す移動ロボットの稼働状態を示す側面図である。
【図11】発明を利用した移動ロボットの他の例を示す側面図である。
【図12】発明を利用した移動ロボットの他の例を示す側面図(A)と正面図(B)である。
【図13】図12に示す移動ロボットの稼働状態を示す第1の概念図(A)と第2の概念図(B)である。
【符号の説明】
【0066】
100…人型ロボット、101…上半身胴体部、102…下半身胴体部、200…歩行ロボット用付加装置、201…下半身胴体部、202…延長部材、203…着脱部、204…着脱部、220…台座、221…荷台、224…塗装装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2足歩行型の歩行ロボットへの着脱を可能とする着脱可能手段と、
前記歩行ロボットの脚部と協動して姿勢を維持するための補助脚部と
を備えることを特徴とする歩行ロボット用付加装置。
【請求項2】
前記歩行ロボットは、
下半身胴体部を備え、前記着脱可能手段は、前記下半身胴体部に着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項3】
前記歩行ロボットは、
下半身胴体部と上半身胴体部とを備えた人型ロボットであり、
前記着脱可能手段は、前記下半身胴体部に着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項4】
前記着脱可能手段を一端に備えた延長部材と、
この延長部材の他端に固定される前記補助脚部の取り付けベースと
を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項5】
前記取り付けベースは、前記歩行ロボットの下半身胴体部と同じ構造を有することを特徴とする請求項4に記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項6】
前記補助脚部は上下方向に伸縮可能であり、その先端に車輪を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項7】
前記延長部材に荷台を設けたことを特徴とする請求項4に記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項8】
前記延長部材に機器搭載用の搭載部を設けたことを特徴とする請求項4に記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項9】
前記補助脚部の動作は、前記歩行ロボットから送られてくる制御信号によって制御されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の歩行ロボット用付加装置を装着したことを特徴とする歩行ロボット。
【請求項1】
2足歩行型の歩行ロボットへの着脱を可能とする着脱可能手段と、
前記歩行ロボットの脚部と協動して姿勢を維持するための補助脚部と
を備えることを特徴とする歩行ロボット用付加装置。
【請求項2】
前記歩行ロボットは、
下半身胴体部を備え、前記着脱可能手段は、前記下半身胴体部に着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項3】
前記歩行ロボットは、
下半身胴体部と上半身胴体部とを備えた人型ロボットであり、
前記着脱可能手段は、前記下半身胴体部に着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項4】
前記着脱可能手段を一端に備えた延長部材と、
この延長部材の他端に固定される前記補助脚部の取り付けベースと
を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項5】
前記取り付けベースは、前記歩行ロボットの下半身胴体部と同じ構造を有することを特徴とする請求項4に記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項6】
前記補助脚部は上下方向に伸縮可能であり、その先端に車輪を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項7】
前記延長部材に荷台を設けたことを特徴とする請求項4に記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項8】
前記延長部材に機器搭載用の搭載部を設けたことを特徴とする請求項4に記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項9】
前記補助脚部の動作は、前記歩行ロボットから送られてくる制御信号によって制御されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の歩行ロボット用付加装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の歩行ロボット用付加装置を装着したことを特徴とする歩行ロボット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−125638(P2007−125638A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−319375(P2005−319375)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(591210600)川田工業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(591210600)川田工業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】
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