歩行型管理機
【課題】主クラッチレバー及び駐車ブレーキレバーを連動させつつも、両レバーの配置の自由度を充分に確保できる歩行型管理機を提供する。
【解決手段】主クラッチ4dの「入」「切」の切替操作をする主クラッチレバー30と、ブレーキ装置11の「作動」「解除」の切替操作をする駐車ブレーキレバー50と、前記主クラッチレバー30と前記駐車ブレーキレバー50が配置されるハンドル18と、を具備する歩行型管理機において、前記主クラッチレバー30と前記駐車ブレーキレバー50とを連動ワイヤー29を介して連動連結した。
【解決手段】主クラッチ4dの「入」「切」の切替操作をする主クラッチレバー30と、ブレーキ装置11の「作動」「解除」の切替操作をする駐車ブレーキレバー50と、前記主クラッチレバー30と前記駐車ブレーキレバー50が配置されるハンドル18と、を具備する歩行型管理機において、前記主クラッチレバー30と前記駐車ブレーキレバー50とを連動ワイヤー29を介して連動連結した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型管理機に関し、より詳細には主クラッチレバー及び駐車ブレーキレバーを備える歩行型管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行型管理機においては、主クラッチ装置と駐車ブレーキ装置を備え、主クラッチ装置と駐車ブレーキ装置の操作を主クラッチレバーと駐車ブレーキレバーを用いて操作する構成が公知となっている。例えば、特許文献1に記載の技術である。
特許文献1に記載の技術においては、主クラッチレバーと駐車ブレーキレバーの二本のレバーを操作する場合、主クラッチレバーは前後に回動するだけで主クラッチを「入」と「切」に変更でき、主クラッチレバーが「切」のとき駐車ブレーキレバーを「作動」側に回動することで、制動することができる。また、主クラッチレバーが「入」で、駐車ブレーキレバーを「解除」から「作動」側に回動すると、駐車ブレーキレバーの「作動」側への回動に連動して主クラッチレバーが「切」側に回動するようになっていた。また、この状態から主クラッチレバーを「入」側に回動すると、その回動に連動して駐車ブレーキレバーも「解除」側に連動して回動するようになっていた。こうして、主クラッチ装置と駐車ブレーキ装置の両方が同時に「入」と「作動」の状態にならないようになっていた。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の技術においては、主クラッチレバーの「入」位置と駐車ブレーキレバーの「解除」位置、及び、主クラッチレバーの「切」位置と駐車ブレーキレバーの「作動」位置が、それぞれ接近した位置となっていたために、主クラッチレバーが「切」位置で駐車ブレーキレバーが「作動」位置のとき、駐車ブレーキレバーのみ「解除」位置に操作したい場合に、主クラッチレバーを「入」側に操作するおそれがあり、誤って主クラッチレバーに触れて「入」側に回動すると、駐車ブレーキレバーが意図せず「解除」となるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−298901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記を考慮して、主クラッチレバー及び駐車ブレーキレバーを連動させつつも、両レバーの配置(レイアウト)の自由度を充分に確保できる歩行型管理機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、主クラッチの「入」「切」の切替操作をする主クラッチレバーと、ブレーキ装置の「作動」「解除」の切替操作をする駐車ブレーキレバーと、前記主クラッチレバーと前記駐車ブレーキレバーが配置されるハンドルと、を具備する歩行型管理機において、前記主クラッチレバーと前記駐車ブレーキレバーとをワイヤーを介して連動連結したことを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の歩行型管理機において、前記駐車ブレーキレバーをレバーガイドにてガイドする構成とし、当該レバーガイドの「作動」位置に係止部を形成し、当該係止部を介して前記駐車ブレーキレバーを「作動」位置に保持すると、前記ワイヤーが緊張されて前記主クラッチレバーが「切」位置に保持されるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、主クラッチレバーと駐車ブレーキレバーが連動ワイヤーにより連結されるため、両レバーの操作方向の向きや位置が異なったりずれたりしていることを考慮しなくても連動連結することができ、両レバーの配置(レイアウト)の自由度を充分に確保することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、駐車ブレーキレバーが「作動」位置のとき、主クラッチレバーは「切」位置に保持されるので、主クラッチレバーに触れても「入」側に大きく回動することがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の一形態に係る歩行型管理機の全体的な構成を示す左側面図である。
【図2】主クラッチと主クラッチレバーとの連係、及び、ブレーキ装置と駐車ブレーキレバーとの連係の態様を示す右側面模式図である。
【図3】「入」位置にあるときの主クラッチレバーを示す右側面模式図である。
【図4】「切」位置にあるときの主クラッチレバーを示す右側面模式図である。
【図5】「切」位置にあるときの主クラッチレバー及び指クラッチレバーを示す右側面模式図である。
【図6】図5の状態から指クラッチレバーを「第二の位置」側に途中の回動位置まで押し下げ操作したときの状態を示す右側面模式図である。
【図7】図5の状態から指クラッチレバーを押し下げ操作して「第二の位置」まで回動させた後に、指クラッチレバーから手を離したときの状態を示す右側面模式図である。
【図8】図7の状態から指クラッチレバーを「第二の位置」側に途中の回動位置まで押し下げ操作したときの状態を示す右側面模式図である。
【図9】主クラッチレバーが「切」位置にあり、かつ、駐車ブレーキレバーが「作動」位置にあるときの状態を示す右側面模式図である。
【図10】図3の状態から駐車ブレーキレバーを「作動」位置側に途中の回動位置まで回動したときの状態を示す右側面模式図である。
【図11】図9の状態から主クラッチレバーを「入」位置側に途中の回動位置まで回動したときの状態を示す右側面模式図である。
【図12】駐車ブレーキレバー及び当該駐車ブレーキレバーのレバーガイドの構成を示す平面図である。図中の実線で示したレバーは「作動」位置にあるときの駐車ブレーキレバーを示し、二点鎖線で示したレバーは「解除」位置にあるときの駐車ブレーキレバーを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施の一形態に係る歩行型管理機1について、添付図面に基づいて説明する。
【0012】
初めに、歩行型管理機1の全体的な構成について、図1〜図3を参照して説明する。なお、以下では、歩行型管理機1が直進する方向を前後方向と規定するとともに、エンジン3が搭載される側を前方、耕耘装置7が装着される側を後方と規定して、説明を行う。
【0013】
歩行型管理機1は、エンジンフレーム2、エンジン3、伝動機構4、ミッションケース5、走行車輪6・6、耕耘装置7、及び操作部8等を具備する。
【0014】
歩行型管理機1の駆動源であるエンジン3は、エンジンフレーム2の前部に搭載される。エンジン3の出力軸3a(図2参照)から取り出された回転動力は、プーリ4a・4b及びベルト4c等により構成される伝動機構4を介して、ミッションケース5の入力軸9に伝達される。伝動機構4には、ベルトテンション式の主クラッチ4dが備えられる。当該主クラッチ4dの入切操作(切替操作)は、後述する主クラッチレバー30の操作と連係される。
【0015】
入力軸9から取り出された動力の一部は、ミッションケース5内の変速機構及び車軸10等を経由して、左右一対の走行車輪6・6に伝達される。
ミッションケース5の入力軸9から車軸10までの動力伝動中途部に備えられたブレーキ軸23には、ブレーキ装置11(図2参照)が備えられる。当該ブレーキ装置11の「作動」及び「解除」の切替操作は、駐車ブレーキレバー50(図2及び図3参照)の操作と連係される。
【0016】
ミッションケース5内の変速機構は、入力軸9から車軸10に伝達される動力を複数の変速段に変速可能とする機構であり、変速レバー12の操作と連係される。
また、入力軸9から取り出された動力の他の一部は、チェーンケース13内の伝動機構等を経由して、耕耘装置7の耕耘軸14に伝達される。
【0017】
走行車輪6・6は、歩行型管理機1を走行させるものである。走行車輪6・6は車軸10の左右両端部に固定されるとともに、ミッションケース5の左右両側方に配置される。
耕耘装置7は、前述したチェーンケース13及び耕耘軸14の他、さらに耕耘カバー15等を備える。耕耘軸14の外周面には耕耘爪16・16・・・が植設される。耕耘爪16・16・・・が耕耘軸14と一体化して回転することにより、歩行型管理機1を走行車輪6・6によって走行させながら、圃場を耕耘することが可能である。
【0018】
操作部8は、ハンドル基部17及びレバー操作装置100等により構成される。ハンドル基部17はミッションケース5の上に水平方向に回動可能に取り付けられる。ハンドル基部17には、ハンドル18の前端部が取り付けられる。ハンドル基部17をミッションケース5に対して水平方向に回動することにより、ハンドル18の延出方向を前後に振替可能である。
【0019】
図1に示すように、ハンドル18は、ハンドル基部17の左側から左後上方に延出した左延出部18L、及び、ハンドル基部17の右側から右後上方に延出した右延出部(不図示)を有する。ハンドル18の左延出部18Lの後部には、第一の取付プレート60が固定される。当該第一の取付プレート60には、主クラッチレバー30及び指クラッチレバー40等の操作具が前後回動可能に取り付けられる。ハンドル18の左延出部18Lの、第一の取付プレート60が配置される箇所よりも前方には、第二の取付プレート70が固定される。当該第二の取付プレート70には、駐車ブレーキレバー50(図3参照)が前後回動可能に取り付けられる。
【0020】
ハンドル18の左延出部18L及び前記右延出部の後端には、作業者が手で握る把持部19・19がそれぞれ形成される。
【0021】
以下では、操作部8の後部左側に具備されるレバー操作装置100の構成について、図2〜図12を参照して詳細に説明する。レバー操作装置100は、本発明に係るレバー操作装置の実施の一形態である。
【0022】
以下では、レバー操作装置100に備えられる各種の操作具、及び、これに関連する部材について説明する。
本実施形態のレバー操作装置100は、ハンドル18、主クラッチレバー30、指クラッチレバー40、駐車ブレーキレバー50、第一の取付プレート60、及び第二の取付プレート70等を備えて構成される。
【0023】
前記第一の取付プレート60は、その板面が左右方向に対して概ね垂直な板状の部材である。図3に示すように、当該第一の取付プレート60の前後中途部には主クラッチレバー30を軸支するための支軸61が、第一の取付プレート60の後部には指クラッチレバー40を軸支するための支軸62が、それぞれ概ね右方向に突設される。つまり、支軸61と支軸62は前後平行に配置される。また、第一の取付プレート60には、主クラッチレバー30の回動範囲を所定の範囲内に規制するためのストッパ63・64が概ね右方向に突設される。ストッパ63・64はそれぞれ、前記支軸61の斜め上後方と斜め上前方位置に設けられる。
【0024】
図3及び図4に示す主クラッチレバー30は、主クラッチ4dを「入」または「切」に切替操作するための操作具である。主クラッチレバー30は、第一の取付プレート60の支軸61に回動自在に嵌装されるボス部31と、一端が当該ボス部31に固設される棒状の部分32と、当該棒状の部分32の他端に設けられるグリップ部33と、一端がボス部31に固設される板状の部分35と、当該板状の部分35の他端部に枢結される円弧状の連結プレート36と、を備える。
【0025】
主クラッチレバー30は第一の取付プレート60に取り付けられる。つまり、主クラッチレバー30の棒状の部分32の一端がボス部31に固設され、当該ボス部31が第一の取付プレート60の支軸61に回動自在に嵌装される。当該棒状の部分32は側面視においてストッパ63・64の間に配置されるようにボス部31から上方に突設される。棒状の部分32の他端に設けられるグリップ部33は作業者が手で握る部分である。前記棒状の部分32の中途部には軸部34が概ね右方向に突設される。また、板状の部分35の一端部がボス部31に固定されており、当該板状の部分35の他端部には円弧状の連結プレート36(図3参照)が軸支されている。主クラッチレバー30の板状の部分35の他端部には、この円弧状の連結プレート36を介して、ワイヤー28の一端が連結される。当該ワイヤー28の他端は、前方に配置される前記主クラッチ4dのテンションアーム4e(図2参照)に連結される。このような構成により、主クラッチレバー30を前方に回動した位置を「入」位置とし、後方に回動した位置を「切」位置とし、ワイヤー28等を介して、主クラッチレバー30の入切回動操作と主クラッチ4dの入切操作(切替操作)を連係している。
【0026】
また、主クラッチレバー30の前記板状の部分35の中途部には連結プレート37の基端部が固定されており、当該連結プレート37の先端部には連動ワイヤー29の一端が連結される。当該連動ワイヤー29の他端は、駐車ブレーキレバー50(の他端部)に連結される。
【0027】
図5に示す指クラッチレバー40は、指の操作で主クラッチ4dを「入」または「切」に切替操作するための操作具であり、後述する中間プレート80を介して主クラッチレバー30の操作と連係されている。指クラッチレバー40は、主クラッチレバー30の後方に配置される。指クラッチレバー40は、第一の取付プレート60の支軸62に回動自在に嵌装されるボス部41と、当該ボス部41から後方に突設される棒状の部分42と、当該棒状の部分42の先端に設けられるグリップ部43と、一端部がボス部41に固定される連係プレート44とを有する。指クラッチレバー40は、主クラッチレバー30の後方位置で第一の取付プレート60に取り付けられる。前記グリップ部43はハンドル18の左延出部18Lの後端に設けた把持部19の前部に位置するように配置され、作業者が指で押し下げたりして操作できるようにしている。
【0028】
前記連係プレート44の他端部(前部)には、前方を開放しボス部41方向に穿設される溝44aが形成されている。さらに、当該連係プレート44の他端部において、前記溝44aの前下部から下方に当接面44bが形成されている。当該当接面44bは、溝44aの内周面と連続するように設けられている。
【0029】
さらに、指クラッチレバー40は、引っ張りバネ45により上方に回動するように付勢されている。つまり、当該引っ張りバネ45の一端は指クラッチレバー40の連係プレート44の後上部に形成された貫通孔40aに引っ掛けられ、他端はストッパ63に引っ掛けられる。指クラッチレバー40は引っ張りバネ45に引っ張られることにより、棒状の部分42が第一の取付プレート60の後端の折り曲げ部分に当接し、この位置を「第一の位置」として安定的に保持される。作業者がグリップ部43を押し下げ操作すると当該指クラッチレバー40を下方の「第二の位置」まで回動させることができるが、その後作業者が指を離すと当該指クラッチレバー40は「第一の位置」に復帰するようになっている。なお、「第一の位置」は、指クラッチレバー40を操作しない状態であり、グリップ部43が最も上方に到達するときの位置である。他方、「第二の位置」は指クラッチレバー40を操作してグリップ部43が最も下方に到達するときの位置である。
【0030】
図5及び図6に示す中間プレート80は、主クラッチレバー30の操作と指クラッチレバー40の操作とを連係させるためのプレートである。中間プレート80の前後中央上部の左側面にはボス部81が形成され、当該ボス部81が第一の取付プレート60の支軸61に嵌装されることにより、中間プレート80が第一の取付プレート60に回動自在に取り付けられる。中間プレート80は、平面視において主クラッチレバー30と連係プレート44の間に配置される。
【0031】
中間プレート80には第一の突出部80a、第二の突出部80b、及び第三の突出部80cが形成されている。側面視において、第一の突出部80aは、主クラッチレバー30の棒状の部分32(軸部34)の回動方向後側に配置される。また、側面視において、第二の突出部80bは、主クラッチレバー30の棒状の部分32(軸部34)の回動方向前側に配置される。つまり、第一の突出部80aと第二の突出部80bの間に軸部34が位置するように配置される。第一の突出部80a及び第二の突出部80bは側面視において中間プレート80から突出され、所定の回動位置において軸部34と当接するように配置されている。第一の突出部80aは指クラッチレバー40で主クラッチレバー30を「入」方向に操作した時に軸部34と当接し、第二の突出部80bは指クラッチレバー40で主クラッチレバー30を「切」方向に操作した時に軸部34と当接するように配設している。
【0032】
中間プレート80の第三の突出部80cは、主クラッチレバー30の棒状の部分32(軸部34)の回動方向前側で第二の突出部80bよりも前方に配置され、所定の回動位置において、第一の取付プレート60に突設されたストッパ64と当接するように設けられている。つまり、ストッパ64は、主クラッチレバー30の棒状の部分32、及び、中間プレート80の第三の突出部80cに当接可能なように、右側方へ突出して設けられて、指クラッチレバー40で主クラッチレバー30を「切」方向に操作した時にストッパ64と当接するように設けられている。なお、第二の突出部80bは回動時にストッパ64とは当接しないように構成されている。
【0033】
また、中間プレート80の後下方位置には軸部82が概ね右方向に突設され、当該軸部82にはローラ状のカムフォロワー83が回転自在に嵌装される。当該カムフォロワー83は、連係プレート44の溝44aに係合可能な直径とし、指クラッチレバー40で主クラッチレバー30を「入」方向に操作した時に、所定の回動位置において連係プレート44の溝44aに入り込む。また、カムフォロワー83は、指クラッチレバー40で主クラッチレバー30を「切」方向に操作した時に、所定の回動位置において連係プレート44の当接面44bと当接する。
【0034】
さらに、レバー操作装置100には、引っ張りバネ85が備えられる。当該引っ張りバネ85の一端は主クラッチレバー30の軸部34に引っ掛けられ、他端は中間プレート80の前後中途部の下部に概ね右方向に突設された軸部84に引っ掛けられる。引っ張りバネ85のバネ力は、引っ張りバネ45のバネ力よりも小さく構成されている。
【0035】
したがって、主クラッチレバー30が「切」位置で、指クラッチレバー40が操作されていない状態(図5参照)では、主クラッチレバー30は主クラッチ4dからの付勢力によりワイヤー28を介して後方へ回動するように付勢され、ストッパ63に当接した位置で保持される。指クラッチレバー40は引っ張りバネ45の付勢力により上方へ回動するように付勢され、第一の取付プレート60の後端に当接した位置で保持される。中間プレート80は引っ張りバネ85の付勢力により図5において時計回りに回動するように付勢され、カムフォロワー83が連係プレート44の溝44aの上前端に当接した位置で保持される。
【0036】
また、主クラッチレバー30が「入」位置で、指クラッチレバー40が操作されていない状態(図7参照)では、主クラッチレバー30は主クラッチ4dからの付勢力によりワイヤー28を介して前方へ回動するように付勢され、ストッパ64に当接した位置で保持される。このとき、ワイヤー28による付勢方向は支軸61を支点とする支点越えとなっている。指クラッチレバー40は引っ張りバネ45の付勢力により上方へ回動するように付勢され、第一の取付プレート60の後端に当接した位置で保持される。中間プレート80は引っ張りバネ85の付勢力により図7において反時計回りに回転するように付勢され、第二の突出部80bが軸部34と当接した位置で保持される。このとき、引っ張りバネ85は支軸61を支点とする支点越えとなっている。
【0037】
このように、主クラッチレバー30は「切」位置または「入」位置のいずれかの位置に安定的に保持されている。
【0038】
前記第二の取付プレート70は、板状の部材である。当該第二の取付プレート70は、第一の取付プレート60の前方でハンドル18の左延出部18Lに固定されている。第二の取付プレート70には、駐車ブレーキレバー50の回動支軸51を貫装するための貫通孔(不図示)が形成される。
【0039】
図4に示す駐車ブレーキレバー50は、ブレーキ装置11を「作動」または「解除」に切替操作するための操作具である。駐車ブレーキレバー50は、主クラッチレバー30の前方に配置される。本実施形態の駐車ブレーキレバー50は、右側面視概ね「く」の字形状の板材である。駐車ブレーキレバー50の中途部には貫通孔50aが形成される。当該貫通孔50a及び第二の取付プレート70の前記貫通孔に回動支軸51が貫装されることにより、駐車ブレーキレバー50が第二の取付プレート70に取り付けられる。回動支軸51は前記支軸61・62と概ね平行に配置されているが、その軸線方向は若干ずれていてもよい。駐車ブレーキレバー50は、前後回動可能に設けられる。駐車ブレーキレバー50の一端部には、作業者が手で握るグリップ部52が形成される。
【0040】
駐車ブレーキレバー50の中途部には、ワイヤー58の一端が連結される。当該ワイヤー58の他端は、前方のブレーキ装置11のブレーキアーム11a(図2参照)に連結される。このような構成により、駐車ブレーキレバー50を前方に回動した位置を「解除」位置とし、後方に回動した位置を「作動」位置とし、ワイヤー58等を介して、駐車ブレーキレバー50の作動・解除回動操作とブレーキ装置11の「作動」及び「解除」の切替操作とを連係させている。
【0041】
前記第二の取付プレート70の上方には、駐車ブレーキレバー50のレバーガイド54(図3参照)が配置され、当該レバーガイド54のガイド孔に駐車ブレーキレバー50が挿入され、ガイド孔の後部に係止部54aが形成されている。レバーガイド54のガイド孔に沿って駐車ブレーキレバー50を操作することにより、当該駐車ブレーキレバー50を「作動」位置から「解除」位置までの範囲内において前後回動操作できるようになっている。なお、「作動」位置は、駐車ブレーキレバー50を最も後方まで回動させたときの位置であり、レバーガイド54に形成された係止部54aに駐車ブレーキレバー50を係止することにより、当該駐車ブレーキレバー50を「作動」位置に安定的に保持できるようになっている。また、「解除」位置は、駐車ブレーキレバー50を最も前方まで回動させたときの位置であり、ワイヤー58に設けたバネの付勢力によって駐車ブレーキレバー50を「解除」位置に安定的に保持できるようになっている。
【0042】
また、駐車ブレーキレバー50の他端部(下端部)には、連動ワイヤー29の他端が連結される。このように、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50とは連動ワイヤー29を介して連結されている。当該連動ワイヤー29は、主クラッチレバー30が「入」位置で、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置のとき(図7参照)、及び、主クラッチレバー30が「切」位置で、駐車ブレーキレバー50が「作動」位置のとき(図9参照)、略緊張される長さとしている。したがって、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50がハンドル18上で左右に位置がずれていたり、主クラッチレバー30の回動方向と駐車ブレーキレバー50の回動方向が多少ずれていたりしても、連動ワイヤー29で連結されているため、回動操作時に捩じれや歪みを吸収することができ、主クラッチレバー30の入切操作と、駐車ブレーキレバー50の「作動」・「解除」の切替操作と、を確実に連動させることができる。
【0043】
以下では、主クラッチレバー30の入切操作について、図3及び図4を参照して詳細に説明する。なお、主クラッチレバー30は、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある場合に限り、入切操作できるようになっている。
【0044】
作業者が主クラッチレバー30を前方に回動することにより、当該主クラッチレバー30を「入」位置まで回動させた場合(図3参照)、ワイヤー28の後端部が後方に引っ張られ、主クラッチ4dのテンションアーム4eが右側面視で反時計回りに回動する。これに伴って、主クラッチ4d(図2参照)のテンションプーリ4fがベルト4cの外周面に押し付けられ、当該ベルト4cの張力が増大する。したがって、プーリ4aの回転動力がベルト4cを介してプーリ4bに伝達可能な状態となる。その結果、主クラッチ4dが「入」となり、歩行型管理機1の走行及び耕耘作業が可能な状態となる。
【0045】
作業者が主クラッチレバー30を後方に回動することにより、当該主クラッチレバー30を「切」位置まで回動させた場合(図4参照)、ワイヤー28の後端部が「入」位置のときよりも前方に移動し、主クラッチ4d(図2参照)のテンションアーム4eが右側面視で時計回りに回動する。これに伴って、主クラッチ4dのテンションプーリ4fがベルト4cの外周面から離間し、当該ベルト4cの張力が減少する。したがって、プーリ4aの回転動力がプーリ4bに伝達不能な状態となる。その結果、主クラッチ4dが「切」となり、歩行型管理機1の走行及び耕耘作業ができない状態となる。
【0046】
以下では、指クラッチレバー40の押し下げ操作について、図5〜図8を参照して詳細に説明する。なお、指クラッチレバー40は、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある場合に限り、押し下げ操作できるようになっている。
【0047】
まず、主クラッチレバー30が「切」位置にある状態において指クラッチレバー40を押し下げ操作する場合について、図5〜図7を参照して説明する。
主クラッチレバー30が「切」位置にあり、かつ、作業者が指クラッチレバー40に触れていないとき、カムフォロワー83が連係プレート44の溝44aの前方に配置されている(図5参照)。この状態から、作業者が指クラッチレバー40のグリップ部43を押し下げ始めると、カムフォロワー83が溝44aに入り込んで当該溝44aの内周面によって押し上げられることにより、中間プレート80が支軸61を支点として右側面視時計回りに回動する。そして、中間プレート80が所定の回動位置に到達したとき、第一の突出部80aが主クラッチレバー30の軸部34に当接する。この状態から作業者がさらに指クラッチレバー40のグリップ部43を押し下げると、主クラッチレバー30が中間プレート80と一体化して支軸61を支点として右側面視時計回りに回動する(図6参照)。そして、指クラッチレバー40が「第二の位置」まで回動されたとき、ワイヤー28の付勢方向が支軸61を支点とする支点越えとなり、主クラッチレバー30は「入」位置に到達し保持される。この状態において、作業者が指クラッチレバー40から指を離すと、主クラッチレバー30が「入」位置に保持されたままの状態で、引っ張りバネ45の付勢力により指クラッチレバー40が「第一の位置」に復帰し、これに連動してカムフォロワー83が連係プレート44の溝44a内を摺動することにより中間プレート80が支軸61を支点として右側面視反時計回りに回動する。そして、中間プレート80が所定の回動位置に到達したときに引っ張りバネ85が支軸61を支点とする支点越えとなり、中間プレート80は引っ張りバネ85に付勢されて第二の突出部80bが主クラッチレバー30の軸部34と当接するときの回動位置に安定的に保持される(図7参照)。
【0048】
次に、主クラッチレバー30が「入」位置にある場合において指クラッチレバー40を押し下げ操作する場合について、図5、図7、及び図8を参照して説明する。
主クラッチレバー30が「入」位置にあり、かつ、作業者が指クラッチレバー40に触れていないとき、カムフォロワー83が連係プレート44の溝44aの前上部と当接している(図7参照)。この状態から、作業者が指クラッチレバー40のグリップ部43を押し下げ始めると、所定の回動位置において連係プレート44の当接面44bがカムフォロワー83に当接し、カムフォロワー83が当接面44bによって前方に押されることにより、中間プレート80が支軸61を支点として右側面視反時計回りに回動する。このとき、主クラッチレバー30の軸部34が第二の突出部80bと当接して後方に押されることにより、主クラッチレバー30が中間プレート80と一体化して支軸61を支点として右側面視反時計回りに回動する。作業者がさらに指クラッチレバー40のグリップ部43を押し下げると、中間プレート80の第三の突出部80cとストッパ64とが当接した状態となる(図8参照)。これにより、それ以上の指クラッチレバー40の「第二の位置」側への回動が規制されるが、ワイヤー28の付勢方向が支軸61を支点とする支点越えとなり、主クラッチレバー30は後方へ回動されることとなり、主クラッチレバー30がストッパ63に当接した「切」位置に安定的に保持される。この状態において、作業者が指クラッチレバー40から手を離すと、引っ張りバネ45の付勢力により指クラッチレバー40が「第一の位置」に復帰する。そして、中間プレート80は、主クラッチレバー30が後方へ回動されることにより、引っ張りバネ85が支軸61を支点とする支点越えとなり、右側面視時計回りに回転されて、図5に示す元の位置に戻される。
【0049】
このように、指クラッチレバー40を押し下げ操作することにより、中間プレート80を介して、主クラッチレバー30を「切」位置から「入」位置まで、あるいは、「入」位置から「切」位置まで回動させることができ、主クラッチレバー30に触れることなく主クラッチ4dを入切操作することが可能である。
【0050】
以下では、駐車ブレーキレバー50の切替操作について、図3、図4、及び図9〜図11を参照して詳細に説明する。なお、前述したように、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50とは連動ワイヤー29を介して連結されることにより、相互の位置関係が制限されている。したがって、主クラッチレバー30の動きについても合わせて説明する。
【0051】
始めに、主クラッチレバー30が「切」位置にある場合における、駐車ブレーキレバー50の切替操作について、図4及び図9を参照して説明する。
【0052】
主クラッチレバー30が「切」位置にある状態で、作業者が駐車ブレーキレバー50を後方まで回動して、当該駐車ブレーキレバー50を「作動」位置まで回動させた場合(図9参照)、ワイヤー58の後端部が後方に引っ張られ、ブレーキアーム11a(図2参照)が右側面視で時計回りに回動する。これに伴って、ミッションケース5内においてブレーキシューがブレーキ軸23に固定されたブレーキドラムに押し付けられ、ブレーキ軸23の回転に抵抗が付与される。したがって、車軸10が制動される。その結果、走行車輪6・6の回転が停止され、歩行型管理機1は駐車ブレーキを作動させた状態となる。
このとき、連結プレート37の先端部と、駐車ブレーキレバー50の他端部と、の間の距離は、連動ワイヤー29の長さよりも若干長い程度の長さとなる(図9参照)。
【0053】
一方、主クラッチレバー30が「切」位置にある状態で、作業者が駐車ブレーキレバー50を前方に回動することにより、当該駐車ブレーキレバー50を「解除」位置まで回動させた場合(図4参照)、ワイヤー58の後端部が「作動」位置のときよりも前方に移動し、ブレーキアーム11a(図2参照)が右側面視で反時計回りに回動する。これに伴って、ミッションケース5内においてブレーキシューがブレーキ軸23に固定されたブレーキドラムから離間し、ブレーキ軸23の回転に付与されていた抵抗が解除される。その結果、走行車輪6・6が回転可能な状態となり、歩行型管理機1が走行できる状態となる。
このとき、連結プレート37の先端部と、駐車ブレーキレバー50の他端部と、の間の距離は、駐車ブレーキレバー50を「作動」位置から「解除」位置側に回動するに連れて短くなる。したがって、主クラッチレバー30が「切」位置にあり、かつ、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある場合においては、連動ワイヤー29が弛んだ状態となる(図4参照)。このように、主クラッチレバー30が「切」位置に保持されているときは、連動ワイヤー29の張力による制限を受けることなく駐車ブレーキレバー50を切替操作可能である。
【0054】
次に、主クラッチレバー30が「入」位置にある場合における、駐車ブレーキレバー50の切替操作について、図3、図9及び図10を参照して説明する。
【0055】
主クラッチレバー30を「入」位置にしたときの連結プレート37の先端部と、駐車ブレーキレバー50を「作動」位置にしたときの当該駐車ブレーキレバー50の他端部と、を結ぶ直線の長さは、連動ワイヤー29の長さよりも長くなる。本実施形態のように主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50とを連動ワイヤー29で連結する構成とした場合、当該連動ワイヤー29の長さによる制限があるので、主クラッチレバー30を「入」位置とし、かつ、駐車ブレーキレバー50を「作動」位置とすることは、不能である。このように、本実施形態では、主クラッチ4dを「入」の状態としたままでブレーキ装置11を「作動」にしてしまうという誤操作が防止されている。
【0056】
一方、主クラッチレバー30を「入」位置にしたときの連結プレート37の先端部と、駐車ブレーキレバー50を「解除」位置にしたときの当該駐車ブレーキレバー50の他端部と、を結ぶ直線の長さは、連動ワイヤー29の長さと略等しい。したがって、主クラッチレバー30が「入」位置にあり、かつ、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある場合においては、連動ワイヤー29が緊張した(突っ張った)状態となる(図3参照)。主クラッチレバー30を「入」位置に保持したまま、駐車ブレーキレバー50を「解除」位置から「作動」位置側に向かって回動すると、連動ワイヤー29に引っ張られて、主クラッチレバー30が「切」位置側に回動する(図10参照)。そして、主クラッチレバー30が「入」位置と「切」位置の間の所定の回動位置に到達したときに、ワイヤー28の付勢方向が支軸61を支点とする支点越えとなり、これにより主クラッチレバー30が「切」位置まで回動される(図9参照)。こうして、主クラッチ4dが「切」となる。このように、主クラッチレバー30が「入」位置にあり、かつ、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある状態から、当該駐車ブレーキレバー50を「作動」位置側に回動操作すると、連動ワイヤー29は緊張状態のまま、主クラッチレバー30あるいは指クラッチレバー40を操作することなく、主クラッチ4dを「切」の状態にすることができる。つまり、駐車ブレーキレバー50を「作動」位置側に回動操作すると同時に、主クラッチレバー30は「入」位置から「切」位置に回動される。
【0057】
従来からある歩行型管理機のレバー操作装置の構成においては、例えば、一方のレバーに設けたピンが他方のレバーに当接することで両レバーを連動させる構成としていた。このような構成とした場合、レバー操作の際にタイムラグが生じて、ブレーキがかかった状態で走行クラッチが入るおそれがあった。この点、本実施形態の如く連動ワイヤー29で両レバー(主クラッチレバー30及び駐車ブレーキレバー50)を連結する構成とした場合、主クラッチ4dの「入」・「切」とブレーキ装置11の「作動」・「解除」とがタイムラグを生ずることなく同時に切り替えられるので、ミッションケース5内部の歯車の破損やベルト4cやプーリ4a・4bやブレーキドラムの摩耗等を防止することができる。
【0058】
次に、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある場合における、主クラッチレバー30あるいは指クラッチレバー40の入切操作について、図3及び図4を参照して説明する。
【0059】
前述の如く、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にあり、かつ、主クラッチレバー30が「切」位置にある場合においては、連動ワイヤー29が弛んだ状態である(図4参照)。そして、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にあり、かつ、主クラッチレバー30が「入」位置にある場合においては、連動ワイヤー29が緊張した状態となる(図3参照)。主クラッチレバー30が「切」位置から「入」位置側に近づくに連れて、連結プレート37の先端部と、駐車ブレーキレバー50の他端部と、の間の距離は長くなるが、連動ワイヤー29は主クラッチレバー30が「入」位置に到達するまでは常に弛んだ状態であるので、連動ワイヤー29の張力による制限を受けることなく、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある場合に主クラッチレバー30を入切操作可能である。また、主クラッチレバー30に代えて指クラッチレバー40を操作する場合においても、連動ワイヤー29は常に弛んだ状態であるので、連動ワイヤー29の張力による制限を受けることなく指クラッチレバー40を押し下げ操作可能である。このように、ブレーキ装置11を「解除」にした状態においては、主クラッチレバー30または指クラッチレバー40を入切操作可能である。
【0060】
次に、駐車ブレーキレバー50が「作動」位置にある場合における、主クラッチレバー30あるいは指クラッチレバー40の入切操作について、図9及び図11を参照して説明する。
【0061】
前述の如く、連動ワイヤー29の長さによる制限があるので、駐車ブレーキレバー50を「作動」位置とし、かつ、主クラッチレバー30を「入」位置とすることは不能である。
また、駐車ブレーキレバー50を「作動」位置に保持したまま、主クラッチレバー30を「切」位置(図9参照)から「入」位置側に向かって回動すると、連結プレート37の先端部と、駐車ブレーキレバー50の他端部と、の間の距離が次第に長くなり、途中の回動位置(「切」位置近傍の回動位置)において連動ワイヤー29が緊張した状態となる(図11参照)。このとき、連動ワイヤー29が駐車ブレーキレバー50を引っ張る力により、当該駐車ブレーキレバー50には右側面視で時計回りの回転モーメントが付与されるが、前述したように「作動」位置のときの駐車ブレーキレバー50はレバーガイド54の係止部54aに係止されているので、駐車ブレーキレバー50の右側面視で時計回りへの回動は阻止される。また、図11の状態において作業者がグリップ部33から手を離すと、主クラッチレバー30はワイヤー28の付勢力により「切」位置に復帰する。このように、主クラッチレバー30が「切」位置にあり、かつ、駐車ブレーキレバー50が「作動」位置にある状態から、主クラッチレバー30を「入」位置側に回動したとき、当該主クラッチレバー30が「切」位置から「入」位置に向かう途中の所定の回動位置に到達したときに連動ワイヤー29が緊張した状態となり(図11参照)、それ以上の主クラッチレバー30の「入」位置側への回動が制限されるのである。このように、本実施形態では、ブレーキ装置11を「作動」の状態としたままで主クラッチ4dを「入」にしてしまうという誤操作を防止することができる。
【0062】
以上の如く、本実施形態に係る歩行型管理機1においては、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50とが連動ワイヤー29を介して連結されることにより、相互の位置関係が制限されている。すなわち、本実施形態に係る歩行型管理機1のレバー操作装置100においては、主クラッチ4dと連動連結して当該主クラッチ4dを「入」または「切」に切替操作する主クラッチレバー30と、ブレーキ装置11と連動連結して当該ブレーキ装置11を「作動」または「解除」に切替操作する駐車ブレーキレバー50と、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50を取り付けるハンドル18と、を具備する歩行型管理機のレバー操作装置において、主クラッチレバー30はハンドル18上に「入」位置と「切」位置に前後回動可能に支持され、駐車ブレーキレバー50は、主クラッチレバー30の前方のハンドル18上に、「解除」位置と「作動」位置に前後回動可能に支持され、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50とは、前後方向に配置されるとともに、連動ワイヤー29を介して連結されるものである。
このように構成した場合、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50が連動ワイヤー29により連結されるため、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50は連動ワイヤー29の長さ以上には離れて配置されないようになり、確実に操作できる。また、従来の誤操作防止のための措置のように主クラッチレバー30及び駐車ブレーキレバー50を概ね一直線上に配置する必要がない。また、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50とを連動ワイヤー29で連結する構成であれば、両レバーの回動軸(本実施形態では、支軸61及び回動支軸51)を平行に保つ必要もないし、両レバーの回動操作方向が多少ずれていても構わない。すなわち、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50の配置(レイアウト)の自由度を充分に確保することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る歩行型管理機1においては、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にあるとき、連動ワイヤー29の張力による制限を受けることなく主クラッチレバー30を入切操作可能である。
したがって、ブレーキ装置11を「解除」にした状態で、主クラッチレバー30を入切操作することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る歩行型管理機1においては、主クラッチレバー30が「入」位置にあり、かつ、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある状態から、当該駐車ブレーキレバー50を「作動」位置側に回動したとき、連動ワイヤー29に引っ張られて主クラッチレバー30が「切」位置側に回動する。
したがって、主クラッチレバー30が「入」位置にあり、かつ、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある状態から、当該駐車ブレーキレバー50を「作動」位置側に回動操作することにより、主クラッチレバー30を操作することなく主クラッチ4dを「切」の状態にすることができる。
【0065】
さらに、本実施形態に係る歩行型管理機1においては、駐車ブレーキレバー50をレバーガイド54にてガイドする構成とし、当該レバーガイド54の「作動」位置に係止部54aを形成し、当該係止部54aを介して駐車ブレーキレバー50を「作動」位置に保持すると、連動ワイヤー29が緊張されて主クラッチレバー30が「切」位置に保持されるように構成した。
したがって、駐車ブレーキレバー50が「作動」位置のとき、主クラッチレバー30は「切」位置に保持されて、主クラッチレバー30に触れても「入」側に大きく回動することがない。
【符号の説明】
【0066】
1 歩行型管理機
4d 主クラッチ
11 ブレーキ装置
18 ハンドル
29 連動ワイヤー(ワイヤー)
30 主クラッチレバー
40 指クラッチレバー
50 駐車ブレーキレバー
54 レバーガイド
54a 係止部
100 レバー操作装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型管理機に関し、より詳細には主クラッチレバー及び駐車ブレーキレバーを備える歩行型管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行型管理機においては、主クラッチ装置と駐車ブレーキ装置を備え、主クラッチ装置と駐車ブレーキ装置の操作を主クラッチレバーと駐車ブレーキレバーを用いて操作する構成が公知となっている。例えば、特許文献1に記載の技術である。
特許文献1に記載の技術においては、主クラッチレバーと駐車ブレーキレバーの二本のレバーを操作する場合、主クラッチレバーは前後に回動するだけで主クラッチを「入」と「切」に変更でき、主クラッチレバーが「切」のとき駐車ブレーキレバーを「作動」側に回動することで、制動することができる。また、主クラッチレバーが「入」で、駐車ブレーキレバーを「解除」から「作動」側に回動すると、駐車ブレーキレバーの「作動」側への回動に連動して主クラッチレバーが「切」側に回動するようになっていた。また、この状態から主クラッチレバーを「入」側に回動すると、その回動に連動して駐車ブレーキレバーも「解除」側に連動して回動するようになっていた。こうして、主クラッチ装置と駐車ブレーキ装置の両方が同時に「入」と「作動」の状態にならないようになっていた。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の技術においては、主クラッチレバーの「入」位置と駐車ブレーキレバーの「解除」位置、及び、主クラッチレバーの「切」位置と駐車ブレーキレバーの「作動」位置が、それぞれ接近した位置となっていたために、主クラッチレバーが「切」位置で駐車ブレーキレバーが「作動」位置のとき、駐車ブレーキレバーのみ「解除」位置に操作したい場合に、主クラッチレバーを「入」側に操作するおそれがあり、誤って主クラッチレバーに触れて「入」側に回動すると、駐車ブレーキレバーが意図せず「解除」となるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−298901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記を考慮して、主クラッチレバー及び駐車ブレーキレバーを連動させつつも、両レバーの配置(レイアウト)の自由度を充分に確保できる歩行型管理機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、主クラッチの「入」「切」の切替操作をする主クラッチレバーと、ブレーキ装置の「作動」「解除」の切替操作をする駐車ブレーキレバーと、前記主クラッチレバーと前記駐車ブレーキレバーが配置されるハンドルと、を具備する歩行型管理機において、前記主クラッチレバーと前記駐車ブレーキレバーとをワイヤーを介して連動連結したことを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の歩行型管理機において、前記駐車ブレーキレバーをレバーガイドにてガイドする構成とし、当該レバーガイドの「作動」位置に係止部を形成し、当該係止部を介して前記駐車ブレーキレバーを「作動」位置に保持すると、前記ワイヤーが緊張されて前記主クラッチレバーが「切」位置に保持されるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、主クラッチレバーと駐車ブレーキレバーが連動ワイヤーにより連結されるため、両レバーの操作方向の向きや位置が異なったりずれたりしていることを考慮しなくても連動連結することができ、両レバーの配置(レイアウト)の自由度を充分に確保することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、駐車ブレーキレバーが「作動」位置のとき、主クラッチレバーは「切」位置に保持されるので、主クラッチレバーに触れても「入」側に大きく回動することがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の一形態に係る歩行型管理機の全体的な構成を示す左側面図である。
【図2】主クラッチと主クラッチレバーとの連係、及び、ブレーキ装置と駐車ブレーキレバーとの連係の態様を示す右側面模式図である。
【図3】「入」位置にあるときの主クラッチレバーを示す右側面模式図である。
【図4】「切」位置にあるときの主クラッチレバーを示す右側面模式図である。
【図5】「切」位置にあるときの主クラッチレバー及び指クラッチレバーを示す右側面模式図である。
【図6】図5の状態から指クラッチレバーを「第二の位置」側に途中の回動位置まで押し下げ操作したときの状態を示す右側面模式図である。
【図7】図5の状態から指クラッチレバーを押し下げ操作して「第二の位置」まで回動させた後に、指クラッチレバーから手を離したときの状態を示す右側面模式図である。
【図8】図7の状態から指クラッチレバーを「第二の位置」側に途中の回動位置まで押し下げ操作したときの状態を示す右側面模式図である。
【図9】主クラッチレバーが「切」位置にあり、かつ、駐車ブレーキレバーが「作動」位置にあるときの状態を示す右側面模式図である。
【図10】図3の状態から駐車ブレーキレバーを「作動」位置側に途中の回動位置まで回動したときの状態を示す右側面模式図である。
【図11】図9の状態から主クラッチレバーを「入」位置側に途中の回動位置まで回動したときの状態を示す右側面模式図である。
【図12】駐車ブレーキレバー及び当該駐車ブレーキレバーのレバーガイドの構成を示す平面図である。図中の実線で示したレバーは「作動」位置にあるときの駐車ブレーキレバーを示し、二点鎖線で示したレバーは「解除」位置にあるときの駐車ブレーキレバーを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施の一形態に係る歩行型管理機1について、添付図面に基づいて説明する。
【0012】
初めに、歩行型管理機1の全体的な構成について、図1〜図3を参照して説明する。なお、以下では、歩行型管理機1が直進する方向を前後方向と規定するとともに、エンジン3が搭載される側を前方、耕耘装置7が装着される側を後方と規定して、説明を行う。
【0013】
歩行型管理機1は、エンジンフレーム2、エンジン3、伝動機構4、ミッションケース5、走行車輪6・6、耕耘装置7、及び操作部8等を具備する。
【0014】
歩行型管理機1の駆動源であるエンジン3は、エンジンフレーム2の前部に搭載される。エンジン3の出力軸3a(図2参照)から取り出された回転動力は、プーリ4a・4b及びベルト4c等により構成される伝動機構4を介して、ミッションケース5の入力軸9に伝達される。伝動機構4には、ベルトテンション式の主クラッチ4dが備えられる。当該主クラッチ4dの入切操作(切替操作)は、後述する主クラッチレバー30の操作と連係される。
【0015】
入力軸9から取り出された動力の一部は、ミッションケース5内の変速機構及び車軸10等を経由して、左右一対の走行車輪6・6に伝達される。
ミッションケース5の入力軸9から車軸10までの動力伝動中途部に備えられたブレーキ軸23には、ブレーキ装置11(図2参照)が備えられる。当該ブレーキ装置11の「作動」及び「解除」の切替操作は、駐車ブレーキレバー50(図2及び図3参照)の操作と連係される。
【0016】
ミッションケース5内の変速機構は、入力軸9から車軸10に伝達される動力を複数の変速段に変速可能とする機構であり、変速レバー12の操作と連係される。
また、入力軸9から取り出された動力の他の一部は、チェーンケース13内の伝動機構等を経由して、耕耘装置7の耕耘軸14に伝達される。
【0017】
走行車輪6・6は、歩行型管理機1を走行させるものである。走行車輪6・6は車軸10の左右両端部に固定されるとともに、ミッションケース5の左右両側方に配置される。
耕耘装置7は、前述したチェーンケース13及び耕耘軸14の他、さらに耕耘カバー15等を備える。耕耘軸14の外周面には耕耘爪16・16・・・が植設される。耕耘爪16・16・・・が耕耘軸14と一体化して回転することにより、歩行型管理機1を走行車輪6・6によって走行させながら、圃場を耕耘することが可能である。
【0018】
操作部8は、ハンドル基部17及びレバー操作装置100等により構成される。ハンドル基部17はミッションケース5の上に水平方向に回動可能に取り付けられる。ハンドル基部17には、ハンドル18の前端部が取り付けられる。ハンドル基部17をミッションケース5に対して水平方向に回動することにより、ハンドル18の延出方向を前後に振替可能である。
【0019】
図1に示すように、ハンドル18は、ハンドル基部17の左側から左後上方に延出した左延出部18L、及び、ハンドル基部17の右側から右後上方に延出した右延出部(不図示)を有する。ハンドル18の左延出部18Lの後部には、第一の取付プレート60が固定される。当該第一の取付プレート60には、主クラッチレバー30及び指クラッチレバー40等の操作具が前後回動可能に取り付けられる。ハンドル18の左延出部18Lの、第一の取付プレート60が配置される箇所よりも前方には、第二の取付プレート70が固定される。当該第二の取付プレート70には、駐車ブレーキレバー50(図3参照)が前後回動可能に取り付けられる。
【0020】
ハンドル18の左延出部18L及び前記右延出部の後端には、作業者が手で握る把持部19・19がそれぞれ形成される。
【0021】
以下では、操作部8の後部左側に具備されるレバー操作装置100の構成について、図2〜図12を参照して詳細に説明する。レバー操作装置100は、本発明に係るレバー操作装置の実施の一形態である。
【0022】
以下では、レバー操作装置100に備えられる各種の操作具、及び、これに関連する部材について説明する。
本実施形態のレバー操作装置100は、ハンドル18、主クラッチレバー30、指クラッチレバー40、駐車ブレーキレバー50、第一の取付プレート60、及び第二の取付プレート70等を備えて構成される。
【0023】
前記第一の取付プレート60は、その板面が左右方向に対して概ね垂直な板状の部材である。図3に示すように、当該第一の取付プレート60の前後中途部には主クラッチレバー30を軸支するための支軸61が、第一の取付プレート60の後部には指クラッチレバー40を軸支するための支軸62が、それぞれ概ね右方向に突設される。つまり、支軸61と支軸62は前後平行に配置される。また、第一の取付プレート60には、主クラッチレバー30の回動範囲を所定の範囲内に規制するためのストッパ63・64が概ね右方向に突設される。ストッパ63・64はそれぞれ、前記支軸61の斜め上後方と斜め上前方位置に設けられる。
【0024】
図3及び図4に示す主クラッチレバー30は、主クラッチ4dを「入」または「切」に切替操作するための操作具である。主クラッチレバー30は、第一の取付プレート60の支軸61に回動自在に嵌装されるボス部31と、一端が当該ボス部31に固設される棒状の部分32と、当該棒状の部分32の他端に設けられるグリップ部33と、一端がボス部31に固設される板状の部分35と、当該板状の部分35の他端部に枢結される円弧状の連結プレート36と、を備える。
【0025】
主クラッチレバー30は第一の取付プレート60に取り付けられる。つまり、主クラッチレバー30の棒状の部分32の一端がボス部31に固設され、当該ボス部31が第一の取付プレート60の支軸61に回動自在に嵌装される。当該棒状の部分32は側面視においてストッパ63・64の間に配置されるようにボス部31から上方に突設される。棒状の部分32の他端に設けられるグリップ部33は作業者が手で握る部分である。前記棒状の部分32の中途部には軸部34が概ね右方向に突設される。また、板状の部分35の一端部がボス部31に固定されており、当該板状の部分35の他端部には円弧状の連結プレート36(図3参照)が軸支されている。主クラッチレバー30の板状の部分35の他端部には、この円弧状の連結プレート36を介して、ワイヤー28の一端が連結される。当該ワイヤー28の他端は、前方に配置される前記主クラッチ4dのテンションアーム4e(図2参照)に連結される。このような構成により、主クラッチレバー30を前方に回動した位置を「入」位置とし、後方に回動した位置を「切」位置とし、ワイヤー28等を介して、主クラッチレバー30の入切回動操作と主クラッチ4dの入切操作(切替操作)を連係している。
【0026】
また、主クラッチレバー30の前記板状の部分35の中途部には連結プレート37の基端部が固定されており、当該連結プレート37の先端部には連動ワイヤー29の一端が連結される。当該連動ワイヤー29の他端は、駐車ブレーキレバー50(の他端部)に連結される。
【0027】
図5に示す指クラッチレバー40は、指の操作で主クラッチ4dを「入」または「切」に切替操作するための操作具であり、後述する中間プレート80を介して主クラッチレバー30の操作と連係されている。指クラッチレバー40は、主クラッチレバー30の後方に配置される。指クラッチレバー40は、第一の取付プレート60の支軸62に回動自在に嵌装されるボス部41と、当該ボス部41から後方に突設される棒状の部分42と、当該棒状の部分42の先端に設けられるグリップ部43と、一端部がボス部41に固定される連係プレート44とを有する。指クラッチレバー40は、主クラッチレバー30の後方位置で第一の取付プレート60に取り付けられる。前記グリップ部43はハンドル18の左延出部18Lの後端に設けた把持部19の前部に位置するように配置され、作業者が指で押し下げたりして操作できるようにしている。
【0028】
前記連係プレート44の他端部(前部)には、前方を開放しボス部41方向に穿設される溝44aが形成されている。さらに、当該連係プレート44の他端部において、前記溝44aの前下部から下方に当接面44bが形成されている。当該当接面44bは、溝44aの内周面と連続するように設けられている。
【0029】
さらに、指クラッチレバー40は、引っ張りバネ45により上方に回動するように付勢されている。つまり、当該引っ張りバネ45の一端は指クラッチレバー40の連係プレート44の後上部に形成された貫通孔40aに引っ掛けられ、他端はストッパ63に引っ掛けられる。指クラッチレバー40は引っ張りバネ45に引っ張られることにより、棒状の部分42が第一の取付プレート60の後端の折り曲げ部分に当接し、この位置を「第一の位置」として安定的に保持される。作業者がグリップ部43を押し下げ操作すると当該指クラッチレバー40を下方の「第二の位置」まで回動させることができるが、その後作業者が指を離すと当該指クラッチレバー40は「第一の位置」に復帰するようになっている。なお、「第一の位置」は、指クラッチレバー40を操作しない状態であり、グリップ部43が最も上方に到達するときの位置である。他方、「第二の位置」は指クラッチレバー40を操作してグリップ部43が最も下方に到達するときの位置である。
【0030】
図5及び図6に示す中間プレート80は、主クラッチレバー30の操作と指クラッチレバー40の操作とを連係させるためのプレートである。中間プレート80の前後中央上部の左側面にはボス部81が形成され、当該ボス部81が第一の取付プレート60の支軸61に嵌装されることにより、中間プレート80が第一の取付プレート60に回動自在に取り付けられる。中間プレート80は、平面視において主クラッチレバー30と連係プレート44の間に配置される。
【0031】
中間プレート80には第一の突出部80a、第二の突出部80b、及び第三の突出部80cが形成されている。側面視において、第一の突出部80aは、主クラッチレバー30の棒状の部分32(軸部34)の回動方向後側に配置される。また、側面視において、第二の突出部80bは、主クラッチレバー30の棒状の部分32(軸部34)の回動方向前側に配置される。つまり、第一の突出部80aと第二の突出部80bの間に軸部34が位置するように配置される。第一の突出部80a及び第二の突出部80bは側面視において中間プレート80から突出され、所定の回動位置において軸部34と当接するように配置されている。第一の突出部80aは指クラッチレバー40で主クラッチレバー30を「入」方向に操作した時に軸部34と当接し、第二の突出部80bは指クラッチレバー40で主クラッチレバー30を「切」方向に操作した時に軸部34と当接するように配設している。
【0032】
中間プレート80の第三の突出部80cは、主クラッチレバー30の棒状の部分32(軸部34)の回動方向前側で第二の突出部80bよりも前方に配置され、所定の回動位置において、第一の取付プレート60に突設されたストッパ64と当接するように設けられている。つまり、ストッパ64は、主クラッチレバー30の棒状の部分32、及び、中間プレート80の第三の突出部80cに当接可能なように、右側方へ突出して設けられて、指クラッチレバー40で主クラッチレバー30を「切」方向に操作した時にストッパ64と当接するように設けられている。なお、第二の突出部80bは回動時にストッパ64とは当接しないように構成されている。
【0033】
また、中間プレート80の後下方位置には軸部82が概ね右方向に突設され、当該軸部82にはローラ状のカムフォロワー83が回転自在に嵌装される。当該カムフォロワー83は、連係プレート44の溝44aに係合可能な直径とし、指クラッチレバー40で主クラッチレバー30を「入」方向に操作した時に、所定の回動位置において連係プレート44の溝44aに入り込む。また、カムフォロワー83は、指クラッチレバー40で主クラッチレバー30を「切」方向に操作した時に、所定の回動位置において連係プレート44の当接面44bと当接する。
【0034】
さらに、レバー操作装置100には、引っ張りバネ85が備えられる。当該引っ張りバネ85の一端は主クラッチレバー30の軸部34に引っ掛けられ、他端は中間プレート80の前後中途部の下部に概ね右方向に突設された軸部84に引っ掛けられる。引っ張りバネ85のバネ力は、引っ張りバネ45のバネ力よりも小さく構成されている。
【0035】
したがって、主クラッチレバー30が「切」位置で、指クラッチレバー40が操作されていない状態(図5参照)では、主クラッチレバー30は主クラッチ4dからの付勢力によりワイヤー28を介して後方へ回動するように付勢され、ストッパ63に当接した位置で保持される。指クラッチレバー40は引っ張りバネ45の付勢力により上方へ回動するように付勢され、第一の取付プレート60の後端に当接した位置で保持される。中間プレート80は引っ張りバネ85の付勢力により図5において時計回りに回動するように付勢され、カムフォロワー83が連係プレート44の溝44aの上前端に当接した位置で保持される。
【0036】
また、主クラッチレバー30が「入」位置で、指クラッチレバー40が操作されていない状態(図7参照)では、主クラッチレバー30は主クラッチ4dからの付勢力によりワイヤー28を介して前方へ回動するように付勢され、ストッパ64に当接した位置で保持される。このとき、ワイヤー28による付勢方向は支軸61を支点とする支点越えとなっている。指クラッチレバー40は引っ張りバネ45の付勢力により上方へ回動するように付勢され、第一の取付プレート60の後端に当接した位置で保持される。中間プレート80は引っ張りバネ85の付勢力により図7において反時計回りに回転するように付勢され、第二の突出部80bが軸部34と当接した位置で保持される。このとき、引っ張りバネ85は支軸61を支点とする支点越えとなっている。
【0037】
このように、主クラッチレバー30は「切」位置または「入」位置のいずれかの位置に安定的に保持されている。
【0038】
前記第二の取付プレート70は、板状の部材である。当該第二の取付プレート70は、第一の取付プレート60の前方でハンドル18の左延出部18Lに固定されている。第二の取付プレート70には、駐車ブレーキレバー50の回動支軸51を貫装するための貫通孔(不図示)が形成される。
【0039】
図4に示す駐車ブレーキレバー50は、ブレーキ装置11を「作動」または「解除」に切替操作するための操作具である。駐車ブレーキレバー50は、主クラッチレバー30の前方に配置される。本実施形態の駐車ブレーキレバー50は、右側面視概ね「く」の字形状の板材である。駐車ブレーキレバー50の中途部には貫通孔50aが形成される。当該貫通孔50a及び第二の取付プレート70の前記貫通孔に回動支軸51が貫装されることにより、駐車ブレーキレバー50が第二の取付プレート70に取り付けられる。回動支軸51は前記支軸61・62と概ね平行に配置されているが、その軸線方向は若干ずれていてもよい。駐車ブレーキレバー50は、前後回動可能に設けられる。駐車ブレーキレバー50の一端部には、作業者が手で握るグリップ部52が形成される。
【0040】
駐車ブレーキレバー50の中途部には、ワイヤー58の一端が連結される。当該ワイヤー58の他端は、前方のブレーキ装置11のブレーキアーム11a(図2参照)に連結される。このような構成により、駐車ブレーキレバー50を前方に回動した位置を「解除」位置とし、後方に回動した位置を「作動」位置とし、ワイヤー58等を介して、駐車ブレーキレバー50の作動・解除回動操作とブレーキ装置11の「作動」及び「解除」の切替操作とを連係させている。
【0041】
前記第二の取付プレート70の上方には、駐車ブレーキレバー50のレバーガイド54(図3参照)が配置され、当該レバーガイド54のガイド孔に駐車ブレーキレバー50が挿入され、ガイド孔の後部に係止部54aが形成されている。レバーガイド54のガイド孔に沿って駐車ブレーキレバー50を操作することにより、当該駐車ブレーキレバー50を「作動」位置から「解除」位置までの範囲内において前後回動操作できるようになっている。なお、「作動」位置は、駐車ブレーキレバー50を最も後方まで回動させたときの位置であり、レバーガイド54に形成された係止部54aに駐車ブレーキレバー50を係止することにより、当該駐車ブレーキレバー50を「作動」位置に安定的に保持できるようになっている。また、「解除」位置は、駐車ブレーキレバー50を最も前方まで回動させたときの位置であり、ワイヤー58に設けたバネの付勢力によって駐車ブレーキレバー50を「解除」位置に安定的に保持できるようになっている。
【0042】
また、駐車ブレーキレバー50の他端部(下端部)には、連動ワイヤー29の他端が連結される。このように、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50とは連動ワイヤー29を介して連結されている。当該連動ワイヤー29は、主クラッチレバー30が「入」位置で、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置のとき(図7参照)、及び、主クラッチレバー30が「切」位置で、駐車ブレーキレバー50が「作動」位置のとき(図9参照)、略緊張される長さとしている。したがって、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50がハンドル18上で左右に位置がずれていたり、主クラッチレバー30の回動方向と駐車ブレーキレバー50の回動方向が多少ずれていたりしても、連動ワイヤー29で連結されているため、回動操作時に捩じれや歪みを吸収することができ、主クラッチレバー30の入切操作と、駐車ブレーキレバー50の「作動」・「解除」の切替操作と、を確実に連動させることができる。
【0043】
以下では、主クラッチレバー30の入切操作について、図3及び図4を参照して詳細に説明する。なお、主クラッチレバー30は、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある場合に限り、入切操作できるようになっている。
【0044】
作業者が主クラッチレバー30を前方に回動することにより、当該主クラッチレバー30を「入」位置まで回動させた場合(図3参照)、ワイヤー28の後端部が後方に引っ張られ、主クラッチ4dのテンションアーム4eが右側面視で反時計回りに回動する。これに伴って、主クラッチ4d(図2参照)のテンションプーリ4fがベルト4cの外周面に押し付けられ、当該ベルト4cの張力が増大する。したがって、プーリ4aの回転動力がベルト4cを介してプーリ4bに伝達可能な状態となる。その結果、主クラッチ4dが「入」となり、歩行型管理機1の走行及び耕耘作業が可能な状態となる。
【0045】
作業者が主クラッチレバー30を後方に回動することにより、当該主クラッチレバー30を「切」位置まで回動させた場合(図4参照)、ワイヤー28の後端部が「入」位置のときよりも前方に移動し、主クラッチ4d(図2参照)のテンションアーム4eが右側面視で時計回りに回動する。これに伴って、主クラッチ4dのテンションプーリ4fがベルト4cの外周面から離間し、当該ベルト4cの張力が減少する。したがって、プーリ4aの回転動力がプーリ4bに伝達不能な状態となる。その結果、主クラッチ4dが「切」となり、歩行型管理機1の走行及び耕耘作業ができない状態となる。
【0046】
以下では、指クラッチレバー40の押し下げ操作について、図5〜図8を参照して詳細に説明する。なお、指クラッチレバー40は、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある場合に限り、押し下げ操作できるようになっている。
【0047】
まず、主クラッチレバー30が「切」位置にある状態において指クラッチレバー40を押し下げ操作する場合について、図5〜図7を参照して説明する。
主クラッチレバー30が「切」位置にあり、かつ、作業者が指クラッチレバー40に触れていないとき、カムフォロワー83が連係プレート44の溝44aの前方に配置されている(図5参照)。この状態から、作業者が指クラッチレバー40のグリップ部43を押し下げ始めると、カムフォロワー83が溝44aに入り込んで当該溝44aの内周面によって押し上げられることにより、中間プレート80が支軸61を支点として右側面視時計回りに回動する。そして、中間プレート80が所定の回動位置に到達したとき、第一の突出部80aが主クラッチレバー30の軸部34に当接する。この状態から作業者がさらに指クラッチレバー40のグリップ部43を押し下げると、主クラッチレバー30が中間プレート80と一体化して支軸61を支点として右側面視時計回りに回動する(図6参照)。そして、指クラッチレバー40が「第二の位置」まで回動されたとき、ワイヤー28の付勢方向が支軸61を支点とする支点越えとなり、主クラッチレバー30は「入」位置に到達し保持される。この状態において、作業者が指クラッチレバー40から指を離すと、主クラッチレバー30が「入」位置に保持されたままの状態で、引っ張りバネ45の付勢力により指クラッチレバー40が「第一の位置」に復帰し、これに連動してカムフォロワー83が連係プレート44の溝44a内を摺動することにより中間プレート80が支軸61を支点として右側面視反時計回りに回動する。そして、中間プレート80が所定の回動位置に到達したときに引っ張りバネ85が支軸61を支点とする支点越えとなり、中間プレート80は引っ張りバネ85に付勢されて第二の突出部80bが主クラッチレバー30の軸部34と当接するときの回動位置に安定的に保持される(図7参照)。
【0048】
次に、主クラッチレバー30が「入」位置にある場合において指クラッチレバー40を押し下げ操作する場合について、図5、図7、及び図8を参照して説明する。
主クラッチレバー30が「入」位置にあり、かつ、作業者が指クラッチレバー40に触れていないとき、カムフォロワー83が連係プレート44の溝44aの前上部と当接している(図7参照)。この状態から、作業者が指クラッチレバー40のグリップ部43を押し下げ始めると、所定の回動位置において連係プレート44の当接面44bがカムフォロワー83に当接し、カムフォロワー83が当接面44bによって前方に押されることにより、中間プレート80が支軸61を支点として右側面視反時計回りに回動する。このとき、主クラッチレバー30の軸部34が第二の突出部80bと当接して後方に押されることにより、主クラッチレバー30が中間プレート80と一体化して支軸61を支点として右側面視反時計回りに回動する。作業者がさらに指クラッチレバー40のグリップ部43を押し下げると、中間プレート80の第三の突出部80cとストッパ64とが当接した状態となる(図8参照)。これにより、それ以上の指クラッチレバー40の「第二の位置」側への回動が規制されるが、ワイヤー28の付勢方向が支軸61を支点とする支点越えとなり、主クラッチレバー30は後方へ回動されることとなり、主クラッチレバー30がストッパ63に当接した「切」位置に安定的に保持される。この状態において、作業者が指クラッチレバー40から手を離すと、引っ張りバネ45の付勢力により指クラッチレバー40が「第一の位置」に復帰する。そして、中間プレート80は、主クラッチレバー30が後方へ回動されることにより、引っ張りバネ85が支軸61を支点とする支点越えとなり、右側面視時計回りに回転されて、図5に示す元の位置に戻される。
【0049】
このように、指クラッチレバー40を押し下げ操作することにより、中間プレート80を介して、主クラッチレバー30を「切」位置から「入」位置まで、あるいは、「入」位置から「切」位置まで回動させることができ、主クラッチレバー30に触れることなく主クラッチ4dを入切操作することが可能である。
【0050】
以下では、駐車ブレーキレバー50の切替操作について、図3、図4、及び図9〜図11を参照して詳細に説明する。なお、前述したように、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50とは連動ワイヤー29を介して連結されることにより、相互の位置関係が制限されている。したがって、主クラッチレバー30の動きについても合わせて説明する。
【0051】
始めに、主クラッチレバー30が「切」位置にある場合における、駐車ブレーキレバー50の切替操作について、図4及び図9を参照して説明する。
【0052】
主クラッチレバー30が「切」位置にある状態で、作業者が駐車ブレーキレバー50を後方まで回動して、当該駐車ブレーキレバー50を「作動」位置まで回動させた場合(図9参照)、ワイヤー58の後端部が後方に引っ張られ、ブレーキアーム11a(図2参照)が右側面視で時計回りに回動する。これに伴って、ミッションケース5内においてブレーキシューがブレーキ軸23に固定されたブレーキドラムに押し付けられ、ブレーキ軸23の回転に抵抗が付与される。したがって、車軸10が制動される。その結果、走行車輪6・6の回転が停止され、歩行型管理機1は駐車ブレーキを作動させた状態となる。
このとき、連結プレート37の先端部と、駐車ブレーキレバー50の他端部と、の間の距離は、連動ワイヤー29の長さよりも若干長い程度の長さとなる(図9参照)。
【0053】
一方、主クラッチレバー30が「切」位置にある状態で、作業者が駐車ブレーキレバー50を前方に回動することにより、当該駐車ブレーキレバー50を「解除」位置まで回動させた場合(図4参照)、ワイヤー58の後端部が「作動」位置のときよりも前方に移動し、ブレーキアーム11a(図2参照)が右側面視で反時計回りに回動する。これに伴って、ミッションケース5内においてブレーキシューがブレーキ軸23に固定されたブレーキドラムから離間し、ブレーキ軸23の回転に付与されていた抵抗が解除される。その結果、走行車輪6・6が回転可能な状態となり、歩行型管理機1が走行できる状態となる。
このとき、連結プレート37の先端部と、駐車ブレーキレバー50の他端部と、の間の距離は、駐車ブレーキレバー50を「作動」位置から「解除」位置側に回動するに連れて短くなる。したがって、主クラッチレバー30が「切」位置にあり、かつ、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある場合においては、連動ワイヤー29が弛んだ状態となる(図4参照)。このように、主クラッチレバー30が「切」位置に保持されているときは、連動ワイヤー29の張力による制限を受けることなく駐車ブレーキレバー50を切替操作可能である。
【0054】
次に、主クラッチレバー30が「入」位置にある場合における、駐車ブレーキレバー50の切替操作について、図3、図9及び図10を参照して説明する。
【0055】
主クラッチレバー30を「入」位置にしたときの連結プレート37の先端部と、駐車ブレーキレバー50を「作動」位置にしたときの当該駐車ブレーキレバー50の他端部と、を結ぶ直線の長さは、連動ワイヤー29の長さよりも長くなる。本実施形態のように主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50とを連動ワイヤー29で連結する構成とした場合、当該連動ワイヤー29の長さによる制限があるので、主クラッチレバー30を「入」位置とし、かつ、駐車ブレーキレバー50を「作動」位置とすることは、不能である。このように、本実施形態では、主クラッチ4dを「入」の状態としたままでブレーキ装置11を「作動」にしてしまうという誤操作が防止されている。
【0056】
一方、主クラッチレバー30を「入」位置にしたときの連結プレート37の先端部と、駐車ブレーキレバー50を「解除」位置にしたときの当該駐車ブレーキレバー50の他端部と、を結ぶ直線の長さは、連動ワイヤー29の長さと略等しい。したがって、主クラッチレバー30が「入」位置にあり、かつ、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある場合においては、連動ワイヤー29が緊張した(突っ張った)状態となる(図3参照)。主クラッチレバー30を「入」位置に保持したまま、駐車ブレーキレバー50を「解除」位置から「作動」位置側に向かって回動すると、連動ワイヤー29に引っ張られて、主クラッチレバー30が「切」位置側に回動する(図10参照)。そして、主クラッチレバー30が「入」位置と「切」位置の間の所定の回動位置に到達したときに、ワイヤー28の付勢方向が支軸61を支点とする支点越えとなり、これにより主クラッチレバー30が「切」位置まで回動される(図9参照)。こうして、主クラッチ4dが「切」となる。このように、主クラッチレバー30が「入」位置にあり、かつ、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある状態から、当該駐車ブレーキレバー50を「作動」位置側に回動操作すると、連動ワイヤー29は緊張状態のまま、主クラッチレバー30あるいは指クラッチレバー40を操作することなく、主クラッチ4dを「切」の状態にすることができる。つまり、駐車ブレーキレバー50を「作動」位置側に回動操作すると同時に、主クラッチレバー30は「入」位置から「切」位置に回動される。
【0057】
従来からある歩行型管理機のレバー操作装置の構成においては、例えば、一方のレバーに設けたピンが他方のレバーに当接することで両レバーを連動させる構成としていた。このような構成とした場合、レバー操作の際にタイムラグが生じて、ブレーキがかかった状態で走行クラッチが入るおそれがあった。この点、本実施形態の如く連動ワイヤー29で両レバー(主クラッチレバー30及び駐車ブレーキレバー50)を連結する構成とした場合、主クラッチ4dの「入」・「切」とブレーキ装置11の「作動」・「解除」とがタイムラグを生ずることなく同時に切り替えられるので、ミッションケース5内部の歯車の破損やベルト4cやプーリ4a・4bやブレーキドラムの摩耗等を防止することができる。
【0058】
次に、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある場合における、主クラッチレバー30あるいは指クラッチレバー40の入切操作について、図3及び図4を参照して説明する。
【0059】
前述の如く、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にあり、かつ、主クラッチレバー30が「切」位置にある場合においては、連動ワイヤー29が弛んだ状態である(図4参照)。そして、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にあり、かつ、主クラッチレバー30が「入」位置にある場合においては、連動ワイヤー29が緊張した状態となる(図3参照)。主クラッチレバー30が「切」位置から「入」位置側に近づくに連れて、連結プレート37の先端部と、駐車ブレーキレバー50の他端部と、の間の距離は長くなるが、連動ワイヤー29は主クラッチレバー30が「入」位置に到達するまでは常に弛んだ状態であるので、連動ワイヤー29の張力による制限を受けることなく、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある場合に主クラッチレバー30を入切操作可能である。また、主クラッチレバー30に代えて指クラッチレバー40を操作する場合においても、連動ワイヤー29は常に弛んだ状態であるので、連動ワイヤー29の張力による制限を受けることなく指クラッチレバー40を押し下げ操作可能である。このように、ブレーキ装置11を「解除」にした状態においては、主クラッチレバー30または指クラッチレバー40を入切操作可能である。
【0060】
次に、駐車ブレーキレバー50が「作動」位置にある場合における、主クラッチレバー30あるいは指クラッチレバー40の入切操作について、図9及び図11を参照して説明する。
【0061】
前述の如く、連動ワイヤー29の長さによる制限があるので、駐車ブレーキレバー50を「作動」位置とし、かつ、主クラッチレバー30を「入」位置とすることは不能である。
また、駐車ブレーキレバー50を「作動」位置に保持したまま、主クラッチレバー30を「切」位置(図9参照)から「入」位置側に向かって回動すると、連結プレート37の先端部と、駐車ブレーキレバー50の他端部と、の間の距離が次第に長くなり、途中の回動位置(「切」位置近傍の回動位置)において連動ワイヤー29が緊張した状態となる(図11参照)。このとき、連動ワイヤー29が駐車ブレーキレバー50を引っ張る力により、当該駐車ブレーキレバー50には右側面視で時計回りの回転モーメントが付与されるが、前述したように「作動」位置のときの駐車ブレーキレバー50はレバーガイド54の係止部54aに係止されているので、駐車ブレーキレバー50の右側面視で時計回りへの回動は阻止される。また、図11の状態において作業者がグリップ部33から手を離すと、主クラッチレバー30はワイヤー28の付勢力により「切」位置に復帰する。このように、主クラッチレバー30が「切」位置にあり、かつ、駐車ブレーキレバー50が「作動」位置にある状態から、主クラッチレバー30を「入」位置側に回動したとき、当該主クラッチレバー30が「切」位置から「入」位置に向かう途中の所定の回動位置に到達したときに連動ワイヤー29が緊張した状態となり(図11参照)、それ以上の主クラッチレバー30の「入」位置側への回動が制限されるのである。このように、本実施形態では、ブレーキ装置11を「作動」の状態としたままで主クラッチ4dを「入」にしてしまうという誤操作を防止することができる。
【0062】
以上の如く、本実施形態に係る歩行型管理機1においては、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50とが連動ワイヤー29を介して連結されることにより、相互の位置関係が制限されている。すなわち、本実施形態に係る歩行型管理機1のレバー操作装置100においては、主クラッチ4dと連動連結して当該主クラッチ4dを「入」または「切」に切替操作する主クラッチレバー30と、ブレーキ装置11と連動連結して当該ブレーキ装置11を「作動」または「解除」に切替操作する駐車ブレーキレバー50と、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50を取り付けるハンドル18と、を具備する歩行型管理機のレバー操作装置において、主クラッチレバー30はハンドル18上に「入」位置と「切」位置に前後回動可能に支持され、駐車ブレーキレバー50は、主クラッチレバー30の前方のハンドル18上に、「解除」位置と「作動」位置に前後回動可能に支持され、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50とは、前後方向に配置されるとともに、連動ワイヤー29を介して連結されるものである。
このように構成した場合、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50が連動ワイヤー29により連結されるため、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50は連動ワイヤー29の長さ以上には離れて配置されないようになり、確実に操作できる。また、従来の誤操作防止のための措置のように主クラッチレバー30及び駐車ブレーキレバー50を概ね一直線上に配置する必要がない。また、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50とを連動ワイヤー29で連結する構成であれば、両レバーの回動軸(本実施形態では、支軸61及び回動支軸51)を平行に保つ必要もないし、両レバーの回動操作方向が多少ずれていても構わない。すなわち、主クラッチレバー30と駐車ブレーキレバー50の配置(レイアウト)の自由度を充分に確保することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る歩行型管理機1においては、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にあるとき、連動ワイヤー29の張力による制限を受けることなく主クラッチレバー30を入切操作可能である。
したがって、ブレーキ装置11を「解除」にした状態で、主クラッチレバー30を入切操作することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る歩行型管理機1においては、主クラッチレバー30が「入」位置にあり、かつ、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある状態から、当該駐車ブレーキレバー50を「作動」位置側に回動したとき、連動ワイヤー29に引っ張られて主クラッチレバー30が「切」位置側に回動する。
したがって、主クラッチレバー30が「入」位置にあり、かつ、駐車ブレーキレバー50が「解除」位置にある状態から、当該駐車ブレーキレバー50を「作動」位置側に回動操作することにより、主クラッチレバー30を操作することなく主クラッチ4dを「切」の状態にすることができる。
【0065】
さらに、本実施形態に係る歩行型管理機1においては、駐車ブレーキレバー50をレバーガイド54にてガイドする構成とし、当該レバーガイド54の「作動」位置に係止部54aを形成し、当該係止部54aを介して駐車ブレーキレバー50を「作動」位置に保持すると、連動ワイヤー29が緊張されて主クラッチレバー30が「切」位置に保持されるように構成した。
したがって、駐車ブレーキレバー50が「作動」位置のとき、主クラッチレバー30は「切」位置に保持されて、主クラッチレバー30に触れても「入」側に大きく回動することがない。
【符号の説明】
【0066】
1 歩行型管理機
4d 主クラッチ
11 ブレーキ装置
18 ハンドル
29 連動ワイヤー(ワイヤー)
30 主クラッチレバー
40 指クラッチレバー
50 駐車ブレーキレバー
54 レバーガイド
54a 係止部
100 レバー操作装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主クラッチの「入」「切」の切替操作をする主クラッチレバーと、
ブレーキ装置の「作動」「解除」の切替操作をする駐車ブレーキレバーと、
前記主クラッチレバーと前記駐車ブレーキレバーが配置されるハンドルと、を具備する歩行型管理機において、
前記主クラッチレバーと前記駐車ブレーキレバーとをワイヤーを介して連動連結したことを特徴とする歩行型管理機。
【請求項2】
請求項1に記載の歩行型管理機において、
前記駐車ブレーキレバーをレバーガイドにてガイドする構成とし、当該レバーガイドの「作動」位置に係止部を形成し、当該係止部を介して前記駐車ブレーキレバーを「作動」位置に保持すると、前記ワイヤーが緊張されて前記主クラッチレバーが「切」位置に保持されるように構成したことを特徴とする歩行型管理機。
【請求項1】
主クラッチの「入」「切」の切替操作をする主クラッチレバーと、
ブレーキ装置の「作動」「解除」の切替操作をする駐車ブレーキレバーと、
前記主クラッチレバーと前記駐車ブレーキレバーが配置されるハンドルと、を具備する歩行型管理機において、
前記主クラッチレバーと前記駐車ブレーキレバーとをワイヤーを介して連動連結したことを特徴とする歩行型管理機。
【請求項2】
請求項1に記載の歩行型管理機において、
前記駐車ブレーキレバーをレバーガイドにてガイドする構成とし、当該レバーガイドの「作動」位置に係止部を形成し、当該係止部を介して前記駐車ブレーキレバーを「作動」位置に保持すると、前記ワイヤーが緊張されて前記主クラッチレバーが「切」位置に保持されるように構成したことを特徴とする歩行型管理機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−34408(P2013−34408A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171408(P2011−171408)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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