説明

歩行型電動作業機のバッテリ搭載構造

【課題】構成の複雑化などを招くことなく機体にバッテリを安定した状態で搭載できるようにする。
【解決手段】機体の上部に備えた主フレーム7の後端部から後傾斜姿勢で後上方に向けて延出したハンドルフレーム9を備え、主フレーム7におけるハンドルフレーム9の直前箇所に、機体の下部に備えた作業装置2を駆動する電動モータ4に給電するバッテリ5を着脱可能に搭載するバッテリ搭載部23を設け、バッテリ搭載部23にバッテリ5をハンドルフレーム9に沿う後傾斜姿勢で主フレーム7とハンドルフレーム9とにわたるように搭載してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の上部に備えた主フレームの後端部から後傾斜姿勢で後上方に向けて延出したハンドルフレームを備えた歩行型電動作業機のバッテリ搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような歩行型電動作業機のバッテリ搭載構造としては、機体フレーム(本体フレーム)の後部にバッテリを垂直姿勢で着脱可能に搭載したものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−145783号公報(段落番号0011、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、機体にバッテリを安定した状態で搭載するためには、バッテリ専用の支持部材などを設ける必要があることから、部品点数が増加して構成の複雑化などを招くようになっていた。
【0005】
本発明の目的は、構成の複雑化などを招くことなく機体にバッテリを安定した状態で搭載できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、歩行型電動作業機のバッテリ搭載構造において、
機体の上部に備えた主フレームの後端部から後傾斜姿勢で後上方に向けて延出したハンドルフレームを備え、
前記主フレームにおける前記ハンドルフレームの直前箇所に、機体の下部に備えた作業装置を駆動する電動モータに給電するバッテリを着脱可能に搭載するバッテリ搭載部を設け、
前記バッテリ搭載部に前記バッテリを前記ハンドルフレームに沿う後傾斜姿勢で前記主フレームと前記ハンドルフレームとにわたるように搭載してある。
【0007】
第1の発明によると、重量の大きいバッテリを、主フレームにおけるハンドルフレームの直前箇所に、ハンドルフレームに沿う後傾斜姿勢で、主フレームとハンドルフレームとにわたる安定した状態でバッテリ搭載部に搭載することができる。
【0008】
従って、機体にバッテリを安定した状態で搭載するための専用の支持部材などを設けることによる部品点数の増加に起因した構成の複雑化などを招くことなく、機体にバッテリを安定した状態で搭載することができる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、
前記バッテリ搭載部に前記ハンドルフレームと平行に立ち上がって前記バッテリの横外周を囲む周壁部を備えて、前記ハンドルフレームに沿った前記周壁部に対する前記バッテリの抜き差しで前記バッテリ搭載部に対する前記バッテリの着脱を行うように構成してある。
【0010】
第2の発明によると、バッテリ搭載部の周壁部によってバッテリをより安定した状態で機体に搭載することができる。そして、このようにバッテリをより安定した状態で搭載できるようにしながらも、バッテリ搭載部に対するバッテリの着脱は、ハンドルフレームに沿う方向での周壁部に対するバッテリの抜き差しで簡単に行うことができる。
【0011】
従って、バッテリの着脱性を低下させることなくバッテリをより安定した状態で機体に搭載することができる。
【0012】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、
前記バッテリの前上部に把持部を備えてある。
【0013】
第3の発明によると、バッテリの把持部を掴んでバッテリを持ち上げた状態では、そのときの重量バランスでバッテリの姿勢が後傾斜姿勢になることから、ハンドルフレームに沿う後傾斜姿勢で機体に搭載するバッテリの着脱操作が行い易くなる。
【0014】
従って、バッテリの着脱性を向上させることができる。
【0015】
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか一つの発明において、
前記ハンドルフレームに、前記バッテリの前記バッテリ搭載部からの離脱を阻止する固定具を備えてある。
【0016】
第4の発明によると、作業時の振動などに起因してバッテリがバッテリ搭載部から離脱することでバッテリと機体側との間において電気的な接触不良などが生じる虞を阻止することができる。
【0017】
第5の発明は、上記第4の発明において、
前記固定具を、前記ハンドルフレームに備えた左右向きの支軸に、前記バッテリに係合して前記バッテリ搭載部からの前記バッテリの離脱を阻止する作用位置と、前記バッテリとの係合を解除して前記バッテリ搭載部に対する前記バッテリの着脱を許容する退避位置とにわたって前後揺動可能に装備し、
前記固定具を前記退避位置から前記作用位置に向けて揺動付勢する付勢手段を備え、
前記固定具が、前記バッテリ搭載部に装着する際の前記バッテリとの接当で前記付勢手段の揺動付勢に抗して前記作用位置から前記退避位置に向けて退避揺動するように構成してある。
【0018】
第5の発明によると、バッテリをバッテリ搭載部に装着する場合には、バッテリを固定具に接当させるようにしながらバッテリ搭載部に向けて移動させることで、固定具を作用位置から退避位置に揺動操作する手間を要することなくバッテリをバッテリ搭載部に装着することができる。そして、バッテリをバッテリ搭載部に装着すると、付勢手段の作用で固定具が退避位置から作用位置に復帰揺動してバッテリに係合することから、バッテリのバッテリ搭載部からの離脱を阻止することができる。
【0019】
従って、バッテリの装着性を低下させることなく作業時の振動などに起因したバッテリのバッテリ搭載部からの離脱を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】操縦ハンドルを作業姿勢に切り換えた状態での歩行型電動耕耘機の全体側面図である。
【図2】操縦ハンドルを格納姿勢に切り換えて収納ボックスを取り付けた状態での歩行型電動耕耘機の全体側面図である。
【図3】操縦ハンドルを格納姿勢に切り換えて収納ボックスを取り付けた状態での歩行型電動耕耘機の一部縦断側面図である。
【図4】歩行型電動耕耘機における要部の構成を示す縦断側面図である。
【図5】収納ボックスなどの構成を示す要部の一部縦断正面図である。
【図6】主フレーム及び下側カバー部などの構成を示す要部の分解斜視図である。
【図7】主フレーム及び下側カバー部などの構成を示す要部の斜視図である。
【図8】ロータカバー及びバッテリ搭載部などの構成を示す要部の縦断背面図である。
【図9】操縦ハンドル及びバッテリ搭載部などの構成を示す要部の平面図である。
【図10】バッテリの固定構造を示す要部の側面図である。
【図11】バッテリの固定構造を示す要部の横断平面図である。
【図12】揺動アームの固定構造を示す要部の一部縦断背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係る歩行型電動作業機のバッテリ搭載構造を、歩行型電動作業機の一例である歩行型電動耕耘機に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1〜5に示すように、本実施形態で例示する歩行型電動耕耘機は、機体フレーム1の下部に左右一対の耕耘ロータ2を作業装置として装備し、機体フレーム1の上部に、左右の耕耘ロータ2の上方を覆うロータカバー3、左右の耕耘ロータ2を駆動する電動モータ4、この電動モータ4に給電するバッテリ5、及び、前後揺動による姿勢変更が可能な操縦ハンドル6、などを備えて構成してある。
【0023】
機体フレーム1は、バッテリ5を支持する主フレーム7をフレーム部材を兼ねる伝動ケース8にボルト連結し、主フレーム7の後端部に、その後端部から後傾斜姿勢で後上方に向けて延出する状態でハンドルフレーム9を溶接し、このハンドルフレーム9における下端部の左右中央箇所に、その左右中央箇所から後方に向けて延出する状態で支持部材10を溶接して構成してある。
【0024】
図4及び図6〜8に示すように、主フレーム7は、上面に平面視十字形状のバッテリ支持部7Aを備え、かつ、補強リブを兼ねる縦向きで左右一対の前連結アーム部7Bと後連結アーム部7Cとを有する形状に屈曲形成した板金製であり、左右の後連結アーム部7Cには、バッテリ支持部7Aの形成に伴って開口する開口部7Dを備えている。そして、前向きに延出する前連結アーム部7Bの延出端を伝動ケース8の上部にボルト連結し、下向きに延出する後連結アーム部7Cの延出端を伝動ケース8の下部にボルト連結することで、その上面のバッテリ支持部7Aが後下がり姿勢になる状態で機体の上部に配備してある。
【0025】
図1〜5に示すように、伝動ケース8は、ウォーム減速機11を内蔵する側面視略L字状の左右二分割構造に形成してあり、その上端部に形成したフランジ8Aに電動モータ4をボルト連結してある。そして、その内部において電動モータ4の出力軸4Aとウォーム減速機11の入力軸11Aとを連結してある。ウォーム減速機11は、伝動ケース8の下端部から左右に延出する出力軸11Bを備え、これらの出力軸11Bに対応する耕耘ロータ2を一体回転する状態に連結してある。
【0026】
図1〜7及び図9に示すように、ハンドルフレーム9は、U字状に屈曲形成した丸パイプ材からなる第1部材9Aの両端部にわたって丸パイプ材からなる一直線状の第2部材9Bを左右向きに溶接し、第2部材9Bの両端部に、係合用の複数の凹凸をリング状の横外側面に整列形成した菊座金状の係合部材9Cを溶接して構成してある。そして、主フレーム7における後下がり姿勢のバッテリ支持部7Aに対して直角になる後傾斜姿勢に姿勢設定してある。
【0027】
操縦ハンドル6は、側面視への字状に屈曲形成した丸パイプ材からなる左右一対のハンドル部材6Aの中間部を、丸パイプ材からなる一直線状の連結部材6Bで連結し、左右のハンドル部材6Aの一端部に、係合用の複数の凹凸をリング状の横内側面に整列形成した菊座金状の係合部材6Cを溶接し、左右のハンドル部材6Aの他端部にゴム製のグリップ6Dなどを装備して構成してある。そして、左右の各係合部材6Cをハンドルフレーム9の対応する係合部材9Cに対向させた状態で、操縦ハンドル6の揺動支点軸を兼ねるボルト12を各係合部材6C,9C及び連結部材6Bに左方から挿通し、そのボルト12の右端部にノブ付きナット13を螺合することで、ハンドルフレーム9の延出端部(後上端部)に前後揺動可能に連結してある。
【0028】
この構成から、操縦ハンドル6は、ボルト12の右端部に螺合したノブ付きナット13を操作することで、ハンドルフレーム9に対する操縦ハンドル6の前後揺動を阻止する固定状態と前後揺動を許容する固定解除状態とに切り換えることができる。そして、固定解除状態に切り換えることで、操縦ハンドル6の姿勢を、ハンドルフレーム9の上端部から後上方に延出する作業姿勢(図1参照)と、操縦ハンドル6の全体が前倒れして機体フレーム1の真上に位置する格納姿勢(図2及び図3参照)とに変更することができ、作業姿勢としては作業者の伸長などに応じた任意の角度変更による高さ調節が可能であり、又、格納姿勢では、作業機全体としての上下長さを自動車のトランクに収納可能な寸法に短くすることができる。
【0029】
図1〜9に示すように、ロータカバー3は、上下に設定間隔をあけて配置した下側カバー部3Aと上側カバー部3Bとを備える二重構造に構成してある。下側カバー部3Aは、板金製で左右一対のカバー部材14を対応する耕耘ロータ2の上方に位置するように主フレーム7の横側部である前連結アーム部7B及び後連結アーム部7Cに横外方からボルト連結して構成してある。上側カバー部3Bは、その左右の両端部が左右の耕耘ロータ2の横外側端よりも横外側に位置する幅広に形成した樹脂製のカバー体15で構成してある。そして、その後部を主フレーム7のバッテリ支持部7Aにボルト連結してあり、その前部を電動モータ4とともに伝動ケース8の前上端部に連結した支持ステー16にボルト連結してある。
【0030】
左右のカバー部材14は、電動モータ4に対する直交姿勢で耕耘ロータ2の真上に位置する前側カバー部14Aと、バッテリ支持部7Aと同じ後下がり姿勢で耕耘ロータ2の後部上方に位置する後側カバー部14Bとを有する側面視への字状に屈曲形成してある。そして、それらの各カバー部14A,14Bの横外側端には、補強リブを兼ねる外側壁14Cを起立形成してあり、それらの外側壁14Cにわたって、それらの間に形成されるV字状の隙間を塞ぎながらカバー部材14を補強するプレート17を溶接してある。又、前側カバー部14Aの横内側端には、伝動ケース8におけるフランジ8Aの下方箇所が係入する凹部14D、及び、対応する前連結アーム部7Bとのボルト連結を可能にする前連結片14Eなどを形成してあり、後側カバー部14Bの横内側端には、対応する後連結アーム部7Cとのボルト連結を可能にする後連結片14F、及び、主フレーム7への連結に伴って主フレーム7の左右の開口部7Dを挿通する舌片14G、などを形成してある。
【0031】
そして、各カバー部材14を主フレーム7にボルト連結した状態では、各カバー部材14の前側カバー部14Aが左右の耕耘ロータ2と伝動ケース8のフランジ8Aとの間に位置して左右の耕耘ロータ2が跳ね飛ばす土などを受け止める状態になり、又、各カバー部材14の後側カバー部14Bが主フレーム7とともに左右の耕耘ロータ2とバッテリ5との間に位置して左右の耕耘ロータ2が跳ね飛ばす土などを受け止める状態になる。そして、それらの各カバー部14A,14Bの上面が、主フレーム7の前連結アーム部7B及び後連結アーム部7Cと各カバー部材14の外側壁14C及びプレート17との間で、電動モータ4とバッテリ5とを接続する電線18などの載置を可能にする載置面として機能するように構成してある。又、主フレーム7の左右の開口部7Dを挿通する各舌片14Gの延出端側が主フレーム7におけるバッテリ支持部7Aの下方で上下に重なり合うことで、各舌片14Gが、バッテリ支持部7Aに備えたバッテリ接続用のコネクタ19を下方から覆うカバー、及び、左右の開口部7Dの間で左右の後側カバー部14Bの載置面にわたる掛橋として機能するように構成してある。
【0032】
カバー体15は、主フレーム7のバッテリ支持部7A及び支持ステー16にボルト連結した状態では、左右の耕耘ロータ2の上方とともに主フレーム7及び左右のカバー部材14などの上方を覆う形状に形成してある。カバー体15の前部には、電動モータ4の上部側が挿通する開口部15Aを形成してあり、又、この開口部15Aから上方に露出する電動モータ4の上部側を上方から覆う樹脂製のモータカバー20を着脱可能に係合連結してある。カバー体15の後部にはバッテリ搭載用の凹部15Bを一体形成してある。バッテリ搭載用の凹部15Bには、主フレーム7のバッテリ支持部7Aに沿った後下がり姿勢でバッテリ支持部7Aにボルト連結する略矩形状の底部15Baと、ハンドルフレーム9と平行に立ち上がってバッテリ5の下部側の横外周を囲む周壁部15Bbとを備え、底部15Baには、凹部15Bに差し入れたバッテリ5の底部に備えたコネクタ5Aとバッテリ支持部7Aのコネクタ19との接続を許容する開口部15Bcを形成してある。
【0033】
上記の構成から、電動モータ4及びバッテリ5を、左右の耕耘ロータ2の上方を覆う下側カバー部3Aの上方に、それらの上部側が上側カバー部3Bから上方に突出して露出する状態で配備していることから、左右の耕耘ロータ2が作業中に跳ね飛ばす土などから電動モータ4及びバッテリ5を保護できるようにしながら、電動モータ4及びバッテリ5の全体を上側カバー部3Bで覆う場合に比較して、上側カバー部3Bを高さの低い嵩張らない形状に形成することができて、機体の全体をコンパクトに構成することができる上に、上側カバー部3Bを外す手間を要することなく電動モータ4及びバッテリ5に対するメンテナンスを簡単に行うことができ、しかも、電動モータ4及びバッテリ5の放熱を促進させることができる。
【0034】
そして、上記のように機体の全体をコンパクトに構成しながらも、電動モータ4の上部から延出したコネクタ4Bとバッテリ支持部7Aのコネクタ19とを接続する電線18や、バッテリ支持部7Aのコネクタ19と操縦ハンドル6に備えた耕耘スイッチ(図示せず)及び緊急停止スイッチ(図示せず)とを接続する電線18などは、下側カバー部3Aと上側カバー部3Bとの間で、カバー部材14の載置面及び舌片14Gの各面上で主フレーム7の開口部7Dに通しながら載置面及び舌片14Gに沿って配索することができる。これにより、左右の耕耘ロータ2が作業中に跳ね飛ばした土などが電線18に激しく衝突することを下側カバー部3Aによって阻止することができ、長期の使用において土などの衝突に起因した断線の発生を防止することができる。
【0035】
又、下側カバー部3Aを構成する各カバー部材14の舌片14Gがバッテリ支持部7Aのコネクタ19を下方から覆うカバーとして機能することで、左右の耕耘ロータ2が作業中に跳ね飛ばした土などが、バッテリ支持部7Aのコネクタ19や、このコネクタ19に接続する電線18のバッテリ側のコネクタ18Aに激しく衝突することを阻止することができ、長期の使用において土などの衝突に起因したバッテリ用の各コネクタ18A,19の損傷をも防止することができる。
【0036】
更に、電動モータ4及び電動モータ4のコネクタ4Bとバッテリ支持部7Aのコネクタ19とにわたってカバー部材14の載置面及び舌片14Gに沿って配索した電線18などへの雨水の降り掛かりを上側カバー部3B及びモータカバー20によって防止することができ、これにより、電動モータ4及び電線18に対する防水性に優れたものにすることができる。
【0037】
しかも、左右の耕耘ロータ2が作業中に跳ね飛ばす土などからコネクタ19及び電線18を保護する下側カバー部3Aを板金製とし、電動モータ4及び電線18などを雨水などから保護する上側カバー部3B及びモータカバー20を樹脂製とすることで、下側カバー部3Aの耐久性の向上を図りながらロータカバー3の全体としての軽量化を図ることができる。
【0038】
その上、主フレーム7が下側カバー部3Aを構成する左右のカバー部材14の間に位置して上側カバー部3Bで上方が覆われた状態になることで、バッテリ支持部7Aを備える主フレーム7の上部側が下側カバー部3Aと上側カバー部3Bとの間に位置することになり、これにより、主フレーム7の上部側をロータカバー3で隠すことができ、機体の外観を良くすることができる。又、上側カバー部3Bによって主フレーム7への雨水などの降り掛かりを防止することができ、雨水などの付着に起因した主フレーム7の腐食などを防止することができる。
【0039】
図1〜11に示すように、主フレーム7におけるハンドルフレーム9の直前箇所には、主フレーム7のバッテリ支持部7Aとカバー体15の凹部15Bとから構成したバッテリ搭載部23を設けてある。又、ハンドルフレーム9の左側部分には、作業時の振動などによるバッテリ5のバッテリ搭載部23からの浮き上がりを阻止する固定具24を備えてある。ハンドルフレーム9の第1部材9Aは、その左右の中心間距離がバッテリ5の左右幅と同じ又はバッテリ5の左右幅よりも狭くなるように形成してある。
【0040】
固定具24は、ハンドルフレーム9の左側部分におけるバッテリ5の上面よりも低い位置にてハンドルフレーム9の内側に延出するように溶接した左右向きの支軸25に、バッテリ5に係合してバッテリ搭載部23からのバッテリ5の離脱を阻止する前側の作用位置と、バッテリ5との係合を解除してバッテリ搭載部23に対するバッテリ5の着脱を許容する後側の退避位置とにわたって前後揺動可能に装備してある。又、左右向きの支軸25に外嵌した捻りバネからなる付勢手段26の作用によって退避位置から作用位置に向けて前側に揺動付勢してある。
【0041】
固定具24には、左右向きの支軸25に外嵌する左右一対の嵌合部24A、作用位置ではバッテリ5の上面に接当することでバッテリ5に対する係合状態となる係合部24B、係合部24Bの上方に位置して付勢手段26の作用に抗した固定具24の作用位置から退避位置への揺動操作を可能にする操作部24C、及び、第1部材9Aの左側の起立部9aとの接当で付勢手段26の作用による固定具24の作用位置から前方への揺動を制限する接当部24D、などを形成してある。又、操作部24Cには、バッテリ搭載部23に装着するバッテリ5との接当で付勢手段26の作用に抗して固定具24を作用位置から退避位置に後退揺動させるカム面24Eを形成してある。
【0042】
バッテリ5には、バッテリ5の残量及び温度などを監視して過放電や過充電などを防止する電圧・電流制御を行うマイクロコンピュータ(図示せず)を内蔵したリチウムイオンバッテリを採用してある。バッテリ5の前上部には、バッテリ搭載部23に対するバッテリ5の着脱及びバッテリ5の搬送を容易にする把持部5Bを左右向きの姿勢で備えてあり、バッテリ5の上面における後部右側箇所には、バッテリ5の残量などを表示するインジケータ5Cを備えてある。
【0043】
上記の構成から、バッテリ5をバッテリ搭載部23に取り付ける場合には、片方の手で操縦ハンドル6又はハンドルフレーム9を握りながら、もう片方の手でバッテリ5の把持部5Bを掴んだ状態で、バッテリ5を、ハンドルフレーム9に沿う後傾斜姿勢で、バッテリ搭載部23の上方からハンドルフレーム9に沿って固定具24のカム面24Eに接当させるようにしながら下方のバッテリ搭載部23に向けて移動させることで、固定具24を作用位置から退避位置に揺動操作する手間を要することなく、重量の大きいバッテリ5をバッテリ搭載部23に差し入れて取り付けることができ、バッテリ5の自重でバッテリ底部のコネクタ5Aをバッテリ支持部7Aのコネクタ19に接続することができる。
【0044】
逆に、バッテリ5をバッテリ搭載部23から取り外す場合には、固定具24の操作部24Cを付勢手段26の作用に抗して後方に揺動操作してバッテリ5の上面に対する係合部24Bの係合を解除した状態で、バッテリ5の把持部5Bを掴んでバッテリ5をハンドルフレーム9に沿って後上方に引き上げることで、バッテリ底部のコネクタ5Aとバッテリ支持部7Aのコネクタ19との接続を解除することができ、バッテリ5をバッテリ搭載部23から抜き出して取り外すことができる。
【0045】
つまり、カバー体15の凹部15B(周壁部15Bb)に対するバッテリ5のハンドルフレーム9に沿った抜き差しで、バッテリ搭載部23に対するバッテリ5の着脱を容易に行うことができる。
【0046】
しかも、バッテリ5の把持部5Bをバッテリ5の前上部に備えたことで、バッテリ5の把持部5Bを掴んでバッテリ5を持ち上げた状態では、そのときの重量バランスでバッテリ5の姿勢が後傾斜姿勢になることから、後傾斜姿勢のハンドルフレーム9に沿ったバッテリ5の抜き差しが行い易くなり、バッテリ搭載部23に対するバッテリ5の着脱を更に容易に行うことができる。
【0047】
そして、バッテリ5をバッテリ搭載部23に取り付けた状態では、付勢手段26の作用で固定具24が左右向きの支軸25を支点にして退避位置から作用位置に復帰揺動してバッテリ5の上面に係合することで、作業時の振動などに起因してバッテリ5がバッテリ搭載部23から浮き上がってバッテリ底部のコネクタ5Aとバッテリ支持部7Aのコネクタ19との接続が解除される虞を回避することができ、その接続解除に起因した不測の作動停止を防止することができる。
【0048】
又、バッテリ搭載部23に取り付けたバッテリ5がハンドルフレーム9に沿う後傾斜姿勢になって、バッテリ5の上面における後部右側箇所に備えたインジケータ5Cが、把持部5Bや固定具24によって遮られることなく後上方に面するようになることから、機体を後方から操縦する作業者がインジケータ5Cの表示を視認する際の視認性を向上させることができる。
【0049】
更に、重量の大きいバッテリ5を、機体フレーム1の前部側に配備した重量の大きい電動モータ4から離れた機体フレーム1の後部側において、ハンドルフレーム9に沿う後傾斜姿勢で、カバー体15及び固定具24を介して主フレーム7とハンドルフレーム9とにわたる安定した状態でバッテリ搭載部23に搭載することができる。これにより、機体フレーム1にバッテリ5を安定した状態で搭載するための専用の支持部材などを設けることなく、重量の大きい電動モータ4とバッテリ5とを機体フレーム1の前部側に搭載する場合に比較して機体の前後バランスを良好にすることができ、機体の操縦性を向上させることができる。
【0050】
その上、バッテリ5が、主フレーム7におけるハンドルフレーム9の直前箇所に、ハンドルフレーム9に沿う後傾斜姿勢で、その下部側がロータカバー3の上側カバー部3B(カバー体15)で覆われた状態で位置することから、嵩張るバッテリ5を機体フレーム1の後部側においてロータカバー3及びハンドルフレーム9と略一体化した目立ちに難い状態で装備することができ、これにより、機体の全体をコンパクトに構成することができるとともに機体の外観を良くすることができる。
【0051】
図4及び図8に示すように、バッテリ5の前壁及び後壁の各下部側部分には、バッテリ5の内部側に向けて凹入する左右一対の係合凹部5Dをバッテリ5の底面から上方に向けて形成してある。又、バッテリ搭載部23を構成するカバー体15の凹部15Bにおける周壁部15Bbの前壁部分及び後壁部分の各下部側には、バッテリ5をバッテリ搭載部23に取り付けた状態においてバッテリ5の対応する係合凹部5Dに係入することでカバー体15の凹部15Bに対するバッテリ5の左右方向及び前後方向への位置ズレを阻止する左右一対の突条15Bdを凹部15Bの内部側に突出する状態で形成してある。これにより、バッテリ5のバッテリ搭載部23への取り付けに伴うバッテリ底部のコネクタ5Aとバッテリ支持部7Aのコネクタ19との接続をより確実かつ簡単に行えるようにしてある。
【0052】
図1〜4、図6、図7及び図12に示すように、機体フレーム1の後部を形成する支持部材10は、前後方向視逆U字状に屈曲形成した板金製で、その後上部に配備した左右向きの支軸27を支点にして左右の耕耘ロータ1の後方で上下揺動する揺動アーム28を装備してある。
【0053】
揺動アーム28は、側面視への字状に形成した左右一対のアーム部材28Aを、それらの後部側に対する直交姿勢に姿勢設定した丸パイプ鋼材からなる支持部材28Bを介して対向する状態に溶接して構成してある。そして、揺動アーム28の揺動始端部を形成する左右のアーム部材28Aの前端部が支持部材10の横外側に位置する状態で揺動アーム28の揺動始端部を支持部材10に左右向きの支軸27を介して連結してある。
【0054】
揺動アーム28の遊端部を形成する左右のアーム部材28Aの一端部には、揺動アーム28を下向きに揺動変位させた下向き姿勢(図1の実線及び図2〜4で示す姿勢)で接地する移動輪29を装備してある。支持部材28Bには、揺動アーム28を後方揺動姿勢の一例として後向きに揺動変位させた後向き姿勢(図1の二点鎖線で示す姿勢)で接地する抵抗体としての抵抗棒30を高さ調節可能にピン連結してある。そして、支持部材10と揺動アーム28の揺動始端部とにわたって、揺動アーム28の下向き姿勢及び後向き姿勢での固定を可能にする固定手段31を装備してある。
【0055】
固定手段31は、揺動アーム28の揺動操作に伴って、右側のアーム部材28Aの前端部横外側に左右方向への摺動操作が可能となる状態に装備したL字状のロックピン32が、ロックピン32を左方に摺動付勢する圧縮バネからなる付勢手段33の作用で、支持部材10の前部側に形成した第1係合孔10Aに挿通することで、移動輪29が接地する下向き姿勢で揺動アーム28を固定し、又、支持部材10の後部側に形成した第2係合孔10Bに挿通することで、抵抗棒30が接地する後向き姿勢で揺動アーム28を固定するように構成してある。そして、ロックピン32を付勢手段33の作用に抗して右方に摺動操作してロックピン32の第1係合孔10A又は第2係合孔10Bへの挿通を解除することで、揺動アーム28の下向き姿勢又は後向き姿勢での固定を解除することができるように構成してある。
【0056】
上記の構成から、固定手段31によって揺動アーム28を下向き姿勢で固定している状態では、付勢手段33の作用に抗してロックピン32を右方に摺動操作して第1係合孔10Aから抜き出した後、揺動アーム28を後方に揺動操作して付勢手段33の作用でロックピン32を第2係合孔10Bに挿通させることで、揺動アーム28を後向き姿勢で固定することができ、抵抗棒30を接地させる作業状態に簡単に切り換え保持することができる。逆に、固定手段31によって揺動アーム28を後向き姿勢で固定している状態では、付勢手段33の作用に抗してロックピン32を右方に摺動操作して第2係合孔10Bから抜き出した後、揺動アーム28を前方に揺動操作して付勢手段33の作用でロックピン32を第1係合孔10Aに挿通させることで、揺動アーム28を下向き姿勢で固定することができ、移動輪29を接地させる移動状態に簡単に切り換え保持することができる。
【0057】
そして、移動状態では、移動輪29及び抵抗棒30が作業状態のときよりも機体前方側に変位して機体を後方から操縦する作業者の足元から離れることになり、これにより、移動輪29を使用して機体を移動させる際の作業者の足元空間が広くなることから、移動輪29を使用した機体の移動操作において移動輪29及び抵抗棒30が邪魔になることを防止することができる。
【0058】
図1〜4に示すように、抵抗棒30は、への字状に屈曲形成した丸棒鋼材で構成してある。そして、揺動アーム28の下向き姿勢では、その一端部側である支持部材28Bに対する連結部30Aが移動輪29の上方で前後向き姿勢になり、かつ、その他端部側である接地部30Bが移動輪29の前方で前下がり姿勢になって、接地部30Bの端部側が左右の耕耘ロータ2の間に位置する状態で、接地部30Bの端部が耕耘ロータ2の回転軌跡の最下点と伝動ケース8の底部との間に位置するように構成してある。又、揺動アーム28の後向き姿勢では、その連結部30Aが移動輪29の前方で上下向き姿勢になり、かつ、その接地部30Bが移動輪29の下方で前傾姿勢になって、接地部30Bの端部側が接地して操縦ハンドル6の上下操作による抵抗棒30の接地状態(対地突入深さ)の調節を可能にするように構成してある。
【0059】
上記の構成から、揺動アーム28を下向き姿勢で固定して移動輪29を接地させる移動状態では、抵抗棒30を移動輪29の上方から移動輪29の前方に向けて延出する状態にすることができ、抵抗棒30の接地部30Bを、移動輪29の前方における耕耘ロータ2の回転軌跡の最下点と伝動ケース8の底部との間に位置する状態で左右の耕耘ロータ2の間に収めることができる。
【0060】
これにより、移動状態において抵抗棒30が後方の操縦位置に向けて延出するように構成した場合に招く虞のある、移動輪29を使用した機体の移動操作時に、後方に向けて延出する抵抗棒30が操縦位置で歩行する作業者の足元などに位置して作業者の歩行などの邪魔になる、といった不具合の発生を未然に回避することができる。
【0061】
又、移動状態では抵抗棒30を移動輪29の前方に延出させるようにしながらも、移動輪29を使用して機体を移動させる際には、左右の耕耘ロータ2を接地させない浮上状態に維持するのに伴って、抵抗棒30も浮上して接地しなくなることから、移動輪29を使用した機体の移動操作時に抵抗棒30が接地して機体の移動に支障を来たす虞を生じ難くすることができる。
【0062】
しかも、移動輪29の前方に位置する左右の耕耘ロータ2の間で耕耘ロータ2の回転軌跡の最下点と伝動ケース8の底部との間の空間を抵抗棒30の収納空間に有効利用することで、移動状態では抵抗棒30を移動輪29の前方に位置させるようにしながらも、移動状態での移動輪29の位置を左右の耕耘ロータ2に接近させた位置に設定することができて、移動状態での移動輪29を機体後部側のバッテリ搭載部23にハンドルフレーム9に沿う後傾斜姿勢で搭載したバッテリ5の下方に入り込ませた状態にできることから、移動操作時の移動輪29を支点にした左右の耕耘ロータ2の持ち上げ操作を行い易くすることができる。
【0063】
一方、揺動アーム28を後向き姿勢で固定して抵抗棒30を接地させる作業状態では、抵抗棒30の接地部30Bが前傾姿勢で接地することで、抵抗棒30の接地点を左右の耕耘ロータ2からより後方に離れた位置に設定することができ、これにより、左右の耕耘ロータ2を支点にした操縦ハンドル6の上下操作による抵抗棒30の接地状態(対地突入深さ)の調節が行い易くなり、その接地状態の調節による移動抵抗の変更が行い易くなることから、耕耘ロータ2の駆動で移動する機体の移動速度の調節を操縦ハンドル6の上下操作によって簡単かつ良好に行うことができる。
【0064】
つまり、移動状態では移動輪29を使用した機体の移動を簡単かつ良好に行うことができる。又、作業状態では、抵抗棒30を使用した移動速度の調節を簡単かつ良好に行うことができ、移動速度の調節による耕深調節を簡単かつ良好に行うことができる。
【0065】
図1に示すように、この歩行型電動耕耘機においては、揺動アーム28の下向き姿勢で接地する移動輪29の接地高さ位置が揺動アーム28の後向き姿勢で接地する抵抗棒30の接地高さ位置よりも低くなるように構成してある。つまり、移動輪29を接地させた移動状態での機体高さが抵抗棒30を接地させた作業状態での機体高さよりも高くなって、移動状態での操縦ハンドル6の高さ位置が作業状態での操縦ハンドル6の高さ位置よりも高くなるように構成してある。そのため、操縦ハンドル6を同じ高さ位置に位置させた状態では、移動状態での左右の耕耘ロータ2の高さ位置が作業状態での左右の耕耘ロータ2の高さ位置よりも高くなって接地し難くなることから、移動輪29を使用した機体の移動操作時に左右の耕耘ロータ2が地面など接触して機体の移動に支障を来たす虞を生じ難くすることができる。
【0066】
図1〜3、図5及び図9に示すように、この歩行型電動耕耘機には、左右の耕耘ロータ2を下方から覆う状態で収納する上部開放型で樹脂製の収納ボックス34を着脱可能に備えてある。収納ボックス34の底部には、左右の耕耘ロータ2の間に位置して伝動ケース8の底部を下方から受け止め支持する支持台34Aを上向きに膨出形成してある。収納ボックス34における左右両側部の上部側には、ロータカバー3におけるカバー体15(上側カバー部3B)の左右両端部に形成した係合凹部15Cとの係合で、支持台34Aとの間に歩行型電動耕耘機の伝動ケース8からカバー体15にわたる部分を挟み込むことで、左右の耕耘ロータ2を下方から覆う状態で収納ボックス34を歩行型電動耕耘機の下部に固定するバックル式の固定具35を装備してある。収納ボックス34の後部には、揺動アーム28を下向き姿勢にして左右の耕耘ロータ2の間に位置させた抵抗棒30の接地部30Bの収納ボックス内への収納を可能にする切欠部34Bを、収納ボックス34の左右幅と略同幅で収納ボックス34の上端から収納ボックス内への抵抗棒30の収納を許容する所定の高さ位置まで下向きに凹入形成してある。
【0067】
つまり、揺動アーム28を下向き姿勢に変更した状態で機体に収納ボックス34を取り付けることにより、移動輪29を収納ボックス外に使用可能な状態で露出させながら、左右の耕耘ロータ2とともに抵抗棒30の接地部30Bを収納ボックス内に格納することができる。これにより、移動輪29を使用して機体を移動させる際には、収納ボックス34を取り付けることで、左右の耕耘ロータ2及び抵抗棒30の接地部30Bが地面など接触して機体の移動に支障を来たす虞を未然に回避することができる。
【0068】
そして、その移動後に操縦ハンドル6を格納姿勢に変更して自動車のトランクなどに積み込む際には、機体に取り付けた収納ボックス34によって、左右の耕耘ロータ2及び抵抗棒30の接地部30Bが自動車のトランクなどに直に接触することや、左右の耕耘ロータ2及び抵抗棒30の接地部30Bに付着した土などが自動車のトランク内などに剥がれ落ちることを阻止することができる。これにより、自動車などを利用して歩行型電動耕耘機を運搬する際に、歩行型電動耕耘機の積み込み箇所であるトランクなどが、左右の耕耘ロータ2及び抵抗棒30の接地部30Bとの接触に起因して損傷する不都合や、左右の耕耘ロータ2及び抵抗棒30の接地部30Bに付着した土などが剥がれ落ちることに起因して汚れる不都合の発生を防止することができる。
【0069】
図1〜5及び図9に示すように、伝動ケース8の上部には、歩行型電動耕耘機を持ち運ぶ際の把持部に使用可能なループ状で前向きに延出形成した丸パイプ鋼材からなるフロントガード36をボルト連結してある。これにより、歩行型電動耕耘機の持ち運びを容易にすることができる。
【0070】
図1〜3に示すように、この歩行型電動耕耘機において揺動アーム28を下向き姿勢に変更して移動輪29を接地させた移動状態では、移動輪29及び抵抗棒30が操縦ハンドル6の揺動支点軸を兼ねるボルト12よりも機体前方側に位置するように構成してある。これにより、揺動アーム28を下向き姿勢に変更し、かつ、操縦ハンドル6を格納姿勢に変更した機体の格納状態での前後長さを、フロントガード36の前端からハンドルフレーム9の後端にわたる前後長さに短くすることができ、自動車のトランクなどに積み込み易くすることができる。
【0071】
〔別実施形態〕
【0072】
〔1〕歩行型電動作業機としては、草刈装置を作業装置2として備えた歩行型電動草刈機などであってもよい。
【0073】
〔2〕歩行型電動作業機としては、バッテリ搭載部23にバッテリ5をハンドルフレーム9に沿う後傾斜姿勢で主フレーム7とハンドルフレーム9とに直にわたる状態で搭載するように構成したものであってもよい。
【0074】
〔3〕主フレーム7としては、その上面に平面視矩形状のバッテリ支持部7Aを備えるように構成したものであってもよく、又、左右一対の前連結アーム部7B及び後連結アーム部7Cを一体形成していないものであってもよい。
【0075】
〔4〕ハンドルフレーム9としてはT字状やH字状などに形成したものであってもよい。
【0076】
〔5〕バッテリ搭載部23としては、周壁部15Bbを備えていないものであってもよく、又、主フレーム7のみで構成したものであってもよい。
【0077】
〔6〕固定具24としては、バッテリ5の背面又は横側面などに備えた係合部との係合でバッテリ搭載部23からのバッテリ5の離脱を阻止するように構成したものであってもよい。
【0078】
〔7〕固定具24としては、バッテリ5に係合してバッテリ搭載部23からのバッテリ5の離脱を阻止する作用位置と、バッテリ5との係合を解除してバッテリ搭載部23に対するバッテリ5の着脱を許容する退避位置との2位置に位置切り換え保持可能に構成したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係る歩行型電動作業機のバッテリ搭載構造は、主フレームの後端部から後傾斜姿勢で後上方に向けて延出するハンドルフレームを備えるものであれば、耕耘ロータを作業装置2として備えた歩行型電動耕耘機、又は、草刈装置を作業装置2として備えた歩行型電動草刈機、などに適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
2 作業装置
4 電動モータ
5 バッテリ
5B 把持部
7 主フレーム
9 ハンドルフレーム
15Bb 周壁部
23 バッテリ搭載部
24 固定具
25 支軸
26 付勢手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の上部に備えた主フレームの後端部から後傾斜姿勢で後上方に向けて延出したハンドルフレームを備え、
前記主フレームにおける前記ハンドルフレームの直前箇所に、機体の下部に備えた作業装置を駆動する電動モータに給電するバッテリを着脱可能に搭載するバッテリ搭載部を設け、
前記バッテリ搭載部に前記バッテリを前記ハンドルフレームに沿う後傾斜姿勢で前記主フレームと前記ハンドルフレームとにわたるように搭載してある歩行型電動作業機のバッテリ搭載構造。
【請求項2】
前記バッテリ搭載部に前記ハンドルフレームと平行に立ち上がって前記バッテリの横外周を囲む周壁部を備えて、前記ハンドルフレームに沿った前記周壁部に対する前記バッテリの抜き差しで前記バッテリ搭載部に対する前記バッテリの着脱を行うように構成してある請求項1に記載の歩行型電動作業機のバッテリ搭載構造。
【請求項3】
前記バッテリの前上部に把持部を備えてある請求項1又は2に記載の歩行型電動作業機のバッテリ搭載構造。
【請求項4】
前記ハンドルフレームに、前記バッテリの前記バッテリ搭載部からの離脱を阻止する固定具を備えてある請求項1〜3のいずれか一つに記載の歩行型電動作業機のバッテリ搭載構造。
【請求項5】
前記固定具を、前記ハンドルフレームに備えた左右向きの支軸に、前記バッテリに係合して前記バッテリ搭載部からの前記バッテリの離脱を阻止する作用位置と、前記バッテリとの係合を解除して前記バッテリ搭載部に対する前記バッテリの着脱を許容する退避位置とにわたって前後揺動可能に装備し、
前記固定具を前記退避位置から前記作用位置に向けて揺動付勢する付勢手段を備え、
前記固定具が、前記バッテリ搭載部に装着する際の前記バッテリとの接当で前記付勢手段の揺動付勢に抗して前記作用位置から前記退避位置に向けて退避揺動するように構成してある請求項4に記載の歩行型電動作業機のバッテリ搭載構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−23035(P2013−23035A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158415(P2011−158415)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】