説明

歯車サブアセンブリおよび排気ガス還流装置

【課題】減速機の一部を構成する歯車と、リンク機構の一部を構成するカムとを一体化した歯車サブアセンブリにおいて軽量化を達成する。
【解決手段】サブアセンブリ1によれば、歯車3は、回転軸30との締結に利用される金属製のプレート46、およびカム5との締結に利用される金属製のナット47をインサート部品とする樹脂成形により設けられている。これにより、歯車3において高い強度を必要とする部分を金属製とし、さほど高い強度を必要としない部分を樹脂製とすることで、歯車3全体を金属製とする場合に比べて歯車3を軽量化することができる。このため、減速機2の一部を構成する歯車3と、リンク機構の一部を構成するカム5とを一体化したサブアセンブリ1において軽量化を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、減速機の一部を構成する歯車と、リンク機構の一部を構成するカムとを一体化した歯車サブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関から排気される排気ガスを吸入空気の通路に還流させる排気ガス還流装置(以下、EGR装置と呼ぶ。)では、上記のような歯車サブアセンブリを一構成要素とするものが公知である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、内燃機関の吸排気装置は、排気ガスにより排気タービンを回転させるとともに排気タービンと同軸のコンプレッサにより吸入空気を圧縮するターボチャージャーを備えるものが周知である。そして、ターボチャージャーを備える吸排気装置において、EGR装置は、主に、排気タービンよりも排気下流側の排気路と、コンプレッサよりも吸気上流側の吸気路とを連通する低圧EGR通路を通じて排気ガスを吸気路に還流させる。
【0004】
また、EGR装置は、低圧EGR通路の開度を可変して排気ガスの還流量を増減するEGR弁、EGR弁を駆動するための出力を発生する電動機、電動機の出力を減速してEGR弁に伝達する減速機、吸気路において排気ガスの合流部よりも吸気上流側で吸入空気の流れを絞る吸気絞り弁、吸気絞り弁の動作をEGR弁の動作に連動させるリンク機構を有している。
【0005】
そして、歯車サブアセンブリは、例えば、減速機の一部であってEGR弁の回転軸に締結される歯車と、リンク機構の一部であって吸気絞り弁のEGR弁に対する連動パターンを示すカムプロフィールを有するカムとが一体化されて構成され、EGR装置の一構成要素となっている。
ところで、近年の車両に対する燃費低減の要請は極めて高く、このような燃費低減の要請に応じるため、歯車サブアセンブリに対しても軽量化の要請が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−190116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、減速機の一部を構成する歯車と、リンク機構の一部を構成するカムとを一体化した歯車サブアセンブリにおいて軽量化を達成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段によれば、歯車サブアセンブリは、減速機の一部を構成するとともに、回転軸に締結されて回転軸を中心として回転する歯車と、歯車に締結されてリンク機構の一部を構成するカムとを備える。また、歯車は、回転軸との締結に利用される金属製の軸締結部、およびカムとの締結に利用される金属製のカム締結部をインサート部品とする樹脂成形により設けられている。
【0009】
これにより、歯車サブアセンブリを構成する歯車において、高い強度を必要とする部分を金属製とし、さほど高い強度を必要としない部分を樹脂製とすることで、歯車全体を金属製とする場合に比べて歯車を軽量化することができる。このため、減速機の一部を構成する歯車と、リンク機構の一部を構成するカムとを一体化した歯車サブアセンブリにおいて軽量化を達成することができる。
【0010】
〔請求項2の手段〕
請求項2の手段によれば、軸締結部とカム締結部とは、モールド樹脂を介することなく直接的に接触している。
これにより、モールド樹脂を介することなく、軸締結部からカムまで力を伝達することができるので、歯車サブアセンブリの信頼性を高めることができる。
【0011】
〔請求項3の手段〕
請求項3の手段によれば、軸締結部とカム締結部とは一体物として設けられ、歯車は、一体物を1個のインサート部品として樹脂成形により設けられている。
これにより、歯車の成形用金型内にセットすべきインサート部品の数を、軸締結部とカム締結部とを別体としている場合に比べて低減することができる。このため、歯車サブアセンブリの製造コストを低減することができる。
【0012】
〔請求項4〜6の手段〕
請求項4の手段によれば、一体物は、軸締結部およびカム締結部のいずれか一方を他方に圧入することで設けられている。
請求項5の手段によれば、一体物は1つの鋳物である。
請求項6の手段によれば、一体物は、板状の金属材料をプレス加工してバーリング穴を立てることで設けられ、軸締結部およびカム締結部は少なくとも一方が、バーリング穴を加工して設けられている。
【0013】
〔請求項7の手段〕
請求項7の手段によれば、歯車サブアセンブリを用いた排気ガス還流装置は、内燃機関から排気される排気ガスにより排気タービンを回転させるとともに、排気タービンと同軸のコンプレッサにより内燃機関に吸入される吸入空気を圧縮するターボチャージャーを備える内燃機関の吸排気装置の一部を構成している。
【0014】
また、排気ガス還流装置は、排気タービンよりも下流側の排気ガスの通路から、コンプレッサよりも上流側の吸入空気の通路に排気ガスの一部を還流させるためのEGR通路を開閉するEGR弁と、EGR弁を駆動するための出力を発生する電動機と、吸入空気の通路においてEGR通路の接続部よりも上流側で吸入空気の流れを絞る吸気絞り弁とを備える。そして、減速機は電動機の出力を減速してEGR弁に伝達し、回転軸はEGR弁の回転中心であり、リンク機構は吸気絞り弁の動作をEGR弁の動作に連動させる。
【0015】
この手段は、低圧EGR通路を通じて排気ガスを吸気路に還流させるEGR装置に歯車サブアセンブリを利用するものであり、歯車サブアセンブリは、EGR弁の回転軸に締結される歯車と、吸気絞り弁のEGR弁に対する連動パターンを示すカムプロフィールを有するカムとが一体化されたものである。
【0016】
そして、このようなEGR弁および吸気絞り弁を備えるEGR装置では、EGR弁および吸気絞り弁のそれぞれを電動機の出力による動作方向とは反対の方向に付勢する捩りバネ等の付勢手段が備わっており、これらの付勢手段はEGR弁や吸気絞り弁を強力に付勢する。このため、軸締結部には、EGR弁を付勢する付勢手段から回転軸を介して強力な付勢力が伝達され、カム締結部には、吸気絞り弁を付勢する付勢手段からリンク機構を介して強力な付勢力が伝達される。
【0017】
したがって、このようなEGR装置によれば、軸締結部およびカム締結部は、高い強度を必要とするものであり、金属製にしておく必要性が高いので、請求項1〜請求項6の効果を顕著に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】内燃機関の吸排気装置の構成図である(実施例1)。
【図2】EGR装置の構成図である(実施例1)。
【図3】(a)は歯車サブアセンブリの平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である(実施例1)。
【図4】歯車サブアセンブリの分解斜視図である(実施例1)。
【図5】(a)はプレートおよびナットの斜視図であり、(b)は歯車の斜視図である(実施例1)。
【図6】(a)は歯車サブアセンブリの平面図であり、(b)は(a)のB−B断面図である(実施例2)。
【図7】プレートおよびナットの一体物の斜視図である(実施例2)。
【図8】一体物の製造方法を示す説明図である(実施例2)。
【図9】一体物の製造方法を示す説明図である(変形例)。
【図10】一体物の製造方法を示す説明図である(変形例)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施形態1の歯車サブアセンブリは、減速機の一部を構成するとともに、回転軸に締結されて回転軸を中心として回転する歯車と、歯車に締結されてリンク機構の一部を構成するカムとを備える。また、歯車は、回転軸との締結に利用される金属製の軸締結部、およびカムとの締結に利用される金属製のカム締結部をインサート部品とする樹脂成形により設けられている。
【0020】
ここで、歯車サブアセンブリを用いた排気ガス還流装置は、内燃機関から排気される排気ガスにより排気タービンを回転させるとともに、排気タービンと同軸のコンプレッサにより内燃機関に吸入される吸入空気を圧縮するターボチャージャーを備える内燃機関の吸排気装置の一部を構成している。
【0021】
また、排気ガス還流装置は、排気タービンよりも下流側の排気ガスの通路から、コンプレッサよりも上流側の吸入空気の通路に排気ガスの一部を還流させるためのEGR通路を開閉するEGR弁と、EGR弁を駆動するための出力を発生する電動機と、吸入空気の通路においてEGR通路の接続部よりも上流側で吸入空気の流れを絞る吸気絞り弁とを備える。そして、減速機は電動機の出力を減速してEGR弁に伝達し、回転軸はEGR弁の回転中心であり、リンク機構は吸気絞り弁の動作をEGR弁の動作に連動させる。
【0022】
実施形態2の歯車サブアセンブリによれば、軸締結部とカム締結部とは、モールド樹脂を介することなく直接的に接触している。また、軸締結部とカム締結部とは一体物として設けられ、歯車は、一体物を1個のインサート部品として樹脂成形により設けられている。そして、一体物は、軸締結部およびカム締結部のいずれか一方を他方に圧入することで設けられている。
【実施例】
【0023】
〔実施例1の構成〕
実施例1の歯車サブアセンブリ(以下、サブアセンブリと呼ぶ。)1を、図1〜図5に基づき説明する。
サブアセンブリ1は、減速機2の一部を構成する歯車3と、歯車3に締結されてリンク機構4の一部を構成するカム5とを一体化したものであり、例えば、内燃機関6から排気される排気ガスを吸気路7に還流させる排気ガス還流装置(以下、EGR装置と呼ぶ。)8の一構成要素となっている。
【0024】
また、EGR装置8は、内燃機関6の吸排気装置10の一部を構成しており、例えば、低圧EGR通路11により排気ガスを吸気路7に還流させる低圧EGR装置12と、高圧EGR通路13により排気ガスを吸気路7に還流させる高圧EGR装置14とからなるものである。
【0025】
すなわち、吸排気装置10は、排気ガスにより排気タービン16を回転させるとともに排気タービン16と同軸のコンプレッサ17により吸入空気を圧縮するターボチャージャー18を備える。そして、低圧EGR装置12は、排気タービン16よりも排気下流側の排気路19と、コンプレッサ17よりも吸気上流側の吸気路7とを連通する低圧EGR通路11を通じて排気ガスを吸気路7に還流させるものであり、高圧EGR装置14は、排気タービン16よりも排気上流側の排気路19と、スロットル装置20よりも吸気下流側の吸気路7とを連通する高圧EGR通路13を通じて排気ガスを吸気路7に還流させるものである。
【0026】
なお、吸排気装置10は、EGR装置8およびターボチャージャー18以外に、例えば、周知のエアクリーナ21、インタークーラ22、DPF23等を備えるものである。
また、吸排気装置10は、所定の電子制御ユニット(図示せず:以下、ECUと呼ぶ。)を有し、ECUは、低圧、高圧EGR装置12、14が備える機器等を動作制御することで、内燃機関6の運転状態に応じた吸排気を実現させている。
【0027】
低圧EGR装置12は、低圧EGR通路11の開度を可変して排気ガスの還流量を増減する低圧EGR弁25、低圧EGR弁25を駆動するための出力を発生する電動機26、電動機26の出力を減速して低圧EGR弁25に伝達する減速機2、吸気路7において低圧EGR通路11の接続部よりも吸気上流側で吸入空気の流れを絞る吸気絞り弁27、吸気絞り弁27の動作を低圧EGR弁25の動作に連動させるリンク機構4、低圧EGR弁25の排気上流側で排気ガスを冷却する低圧EGRクーラ28を備える。
【0028】
ここで、減速機2は、低圧EGR弁25の回転軸30に締結されて回転軸30を中心として回転する大径の歯車3、電動機26の出力軸に締結される小径の歯車31、歯車31の歯とかみ合う大径歯と歯車3の歯とかみ合う小径歯とが同軸に設けられた中間歯車32を有するものである。
【0029】
また、吸気絞り弁27は、吸気路7を絞って排気路19と吸気路7との差圧を拡大することで、低圧EGR通路11を経由する排気ガスの還流を促進するものである。
また、リンク機構4は、低圧EGR弁25のアクチュエータとしての電動機26の出力を吸気絞り弁27に伝達し、電動機26の出力により吸気絞り弁27を回転させるものであり、吸気絞り弁27のアクチュエータを省いて低圧EGR装置12のコストダウンを達成するものである。
【0030】
ここで、リンク機構4は、低圧EGR弁25や歯車3と同軸に組み込まれて電動機26の出力により回転する駆動側部材としてのカム5と、吸気絞り弁27と同軸に組み込まれてカム5から電動機26の出力を伝達されて回転する従動側部材としてのリンクレバー34とを有する。また、カム5は、吸気絞り弁27の低圧EGR弁25に対する連動パターンを示すカムプロフィール35を有し、リンクレバー34は、カムプロフィール35に当接してカム5から電動機26の出力を伝達される従動ピン36を有し、従動ピン36を介して伝達された出力によって回転することで吸気絞り弁27を回転させる。
【0031】
そして、リンク機構4による低圧EGR弁25と吸気絞り弁27との連動関係は、低圧EGR弁25が開側(低圧EGR通路11を開く方向)に回転するときに吸気絞り弁27が閉側(吸気路7を閉じる方向)に回転するものである。
【0032】
また、歯車3は、捩りバネ37によって低圧EGR弁25を閉側に回転する方向に付勢されており、リンクレバー34は、捩りバネ38によって吸気絞り弁27を開側に回転する方向に付勢されている。そして、電動機26の出力は、減速機2を介して低圧EGR弁25に伝達され、捩りバネ37による付勢力に抗して低圧EGR弁25を開側に回転させる。また、電動機26の出力は、減速機2およびリンク機構4を介して吸気絞り弁27に伝達され、捩りバネ38による付勢力に抗して吸気絞り弁27を閉側に回転させる。
【0033】
なお、高圧EGR装置14は、例えば、高圧EGR通路13の開度を可変して排気ガスの還流量を増減する高圧EGR弁40、高圧EGR弁40の排気上流側で排気ガスを冷却する高圧EGRクーラ41、高圧EGRクーラ41を迂回して排気ガスを吸気路7に導くクーラバイパス42、高圧EGRクーラ41とクーラバイパス42との間で排気ガスの還流路を切り替える切替弁43を備えるものである。
【0034】
次に、サブアセンブリ1について、主に図3〜図5を用いて説明する。
サブアセンブリ1は、減速機2の一部を構成する歯車3と、リンク機構4の一部を構成するカム5とをネジ45による締結によって一体化したものである。
【0035】
歯車3は、回転軸30との締結に利用される金属製のプレート46、およびカム5とのネジ締結に利用される金属製のナット47をインサート部品とする樹脂成形により設けられている。また、プレート46には、回転軸30の一端部48が嵌まる嵌合穴49が設けられており、回転軸30とプレート46とは、一端部48が嵌合穴49に嵌まることで締結される。
なお、歯車3の内周には、永久磁石50が装着されており、永久磁石50は、低圧EGR弁25の回転角を検出する回転角センサの一部を構成する。
【0036】
〔実施例1の効果〕
実施例1のサブアセンブリ1は、減速機2の一部を構成する歯車3と、歯車3に締結されてリンク機構4の一部を構成するカム5とを備える。また、歯車3は、回転軸30との締結に利用される金属製のプレート46、およびカム5との締結に利用される金属製のナット47をインサート部品とする樹脂成形により設けられている。
【0037】
これにより、サブアセンブリ1を構成する歯車3において、高い強度を必要とする部分を金属製とし、さほど高い強度を必要としない部分を樹脂製とすることで、歯車3全体を金属製とする場合に比べて歯車3を軽量化することができる。このため、減速機2の一部を構成する歯車3と、リンク機構4の一部を構成するカム5とを一体化したサブアセンブリ1において軽量化を達成することができる。
【0038】
また、サブアセンブリ1は、内燃機関6の吸排気装置10の内、吸気絞り弁27を備える低圧EGR装置12に適用され、歯車3は、電動機26の出力を減速して低圧EGR弁25に伝達する減速機2の一部を構成し、カム5は、吸気絞り弁27の動作を低圧EGR弁25の動作に連動させるリンク機構4の一部を構成する。
【0039】
そして、吸気絞り弁27を備える低圧EGR装置12には、低圧EGR弁25および吸気絞り弁27のそれぞれを電動機26の出力による動作方向とは反対の方向に付勢する捩りバネ37、38が備わっており、捩りバネ37、38は、それぞれ低圧EGR弁25、吸気絞り弁27を強力に付勢する。このため、プレート46には、捩りバネ37の強力な付勢力が回転軸30を介して伝達され、ナット47には、捩りバネ38の強力な付勢力がリンク機構4を介して伝達される。
【0040】
したがって、このような低圧EGR装置12によれば、プレート46およびナット47は、高い強度を必要とするものであり、金属製にしておく必要性が高い。このため、歯車3においてプレート46およびナット47のみを金属製として強度を高めることは、サブアセンブリ1において軽量化を達成する上で極めて有効な手法である。
【0041】
〔実施例2〕
実施例2のサブアセンブリ1によれば、図6および図7に示すように、プレート46とナット47とは一体物52として設けられ、歯車3は、一体物52を1個のインサート部品として樹脂成形により設けられている。また、一体物52は、図8に示すように、プレート46に圧入用の穴53を設けるとともにプレート46にナット47を圧入することで設けられている。
【0042】
これにより、プレート46とナット47とは、モールド樹脂を介することなく直接的に接触する。このため、モールド樹脂を介することなく、プレート46からカム5まで力を伝達することができるので、サブアセンブリ1の信頼性を高めることができる。
【0043】
また、歯車3は、一体物52を1個のインサート部品として樹脂成形により設けられている。
これにより、歯車3の成形用金型内にセットすべきインサート部品の数を、プレート46とナット47とを別体としている場合に比べて低減することができる。このため、サブアセンブリ1の製造コストを低減することができる。
【0044】
〔変形例〕
サブアセンブリ1の態様は、実施例に限定されず種々の変形例を考えることができる。
例えば、実施例2のサブアセンブリ1によれば、プレート46に圧入用の穴53を設けてプレート46にナット47を圧入することで一体物52を設けていたが、ナット47に圧入用の穴53を設けるとともにプレート46に圧入用の突起を設け、ナット47にプレート46を圧入することで一体物52を設けてもよい。
【0045】
また、一体物52を1つの鋳物として設けてもよく(図9参照)、板状の金属材料をプレス加工してバーリング穴を立て、バーリング穴を加工することでナット47のネジ穴に相当する部分を設けてもよい(図10参照)。
【0046】
また、プレート46とナット47とを一体物52として設けるのではなく、歯車3の内部でプレート46とナット47とが直接的に接触するように歯車3を樹脂成形してもよい。この場合、歯車3の樹脂成形においてインサート部品の数は、一体物52をインサート部品とする場合に比べて増加するものの、歯車3の内部でプレート46とナット47とが直接的に接触しているので、モールド樹脂を介することなく、プレート46からカム5まで力を伝達することができる。このため、サブアセンブリ1の信頼性を高めることができる。
【0047】
さらに、実施例のサブアセンブリ1は、内燃機関6の吸排気装置10の内、吸気絞り弁27を備える低圧EGR装置12に適用され、歯車3は、電動機26の出力を減速して低圧EGR弁25に伝達する減速機2の一部を構成し、カム5は、吸気絞り弁27の動作を低圧EGR弁25の動作に連動させるリンク機構4の一部を構成していたが、他の用途にサブアセンブリ1を適用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 サブアセンブリ(歯車サブアセンブリ)
2 減速機
3 歯車
4 リンク機構
5 カム
6 内燃機関
7 吸気路(吸入空気の通路)
8 EGR装置(排気ガス還流装置)
10 吸排気装置
11 低圧EGR通路(EGR通路)
16 排気タービン
17 コンプレッサ
18 ターボチャージャー
19 排気路(排気ガスの通路)
25 低圧EGR弁(EGR弁)
26 電動機
27 吸気絞り弁
30 回転軸
46 プレート(軸締結部)
47 ナット(カム締結部)
52 一体物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減速機の一部を構成するとともに、回転軸に締結されてこの回転軸を中心として回転する歯車と、
この歯車に締結されてリンク機構の一部を構成するカムとを備え、
前記歯車は、前記回転軸との締結に利用される金属製の軸締結部、および前記カムとの締結に利用される金属製のカム締結部をインサート部品とする樹脂成形により設けられていることを特徴とする歯車サブアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の歯車サブアセンブリにおいて、
前記軸締結部と前記カム締結部とは、モールド樹脂を介することなく直接的に接触していることを特徴とする歯車サブアセンブリ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の歯車サブアセンブリにおいて、
前記軸締結部と前記カム締結部とは一体物として設けられ、
前記歯車は、前記一体物を1個のインサート部品として樹脂成形により設けられていることを特徴とする歯車サブアセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載の歯車サブアセンブリにおいて、
前記一体物は、前記軸締結部および前記カム締結部のいずれか一方を他方に圧入することで設けられていることを特徴とする歯車サブアセンブリ。
【請求項5】
請求項3に記載の歯車サブアセンブリにおいて、
前記一体物は、1つの鋳物であることを特徴とする歯車サブアセンブリ。
【請求項6】
請求項3に記載の歯車サブアセンブリにおいて、
前記一体物は、板状の金属材料をプレス加工してバーリング穴を立てることで設けられ、
前記軸締結部および前記カム締結部は少なくとも一方が、前記バーリング穴を加工して設けられていることを特徴とする歯車サブアセンブリ。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の内のいずれか1つに記載の歯車サブアセンブリを用いた排気ガス還流装置であって、
内燃機関から排気される排気ガスにより排気タービンを回転させるとともに、この排気タービンと同軸のコンプレッサにより前記内燃機関に吸入される吸入空気を圧縮するターボチャージャーを備える前記内燃機関の吸排気装置の一部を構成しており、
前記排気タービンよりも下流側の前記排気ガスの通路から、前記コンプレッサよりも上流側の前記吸入空気の通路に前記排気ガスの一部を還流させるためのEGR通路を開閉するEGR弁と、
前記EGR弁を駆動するための出力を発生する電動機と、
前記吸入空気の通路において前記EGR通路の接続部よりも上流側で前記吸入空気の流れを絞る吸気絞り弁とを備え、
前記減速機は前記電動機の出力を減速して前記EGR弁に伝達し、
前記回転軸は前記EGR弁の回転中心であり、
前記リンク機構は前記吸気絞り弁の動作を前記EGR弁の動作に連動させることを特徴とする排気ガス還流装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−246949(P2012−246949A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116984(P2011−116984)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】