段ボールケースの形成用ブランクシートおよびその罫入れ型
【課題】外フラップを所定の位置より外向きに精度よく折り曲げることができ、また、外フラップの内側方向への折曲げに際しては、底面パネルとの間に形成された横罫線に沿って精度よく折り曲げることができるようにした段ボールケースの形成用ブランクシートを提供することである。
【解決手段】ブランクシートS1の底面パネルP2に連設された外フラップF1に、その外フラップF1と底面パネルP2間に形成された横罫線bに対して交差方向に延びる複数の補助罫線eを、その横罫線bに沿って横罫線bの長さ方向に間隔をおいて形成し、外フラップF1の外側方向への折り曲げ時、補助罫線eの一端を結ぶ直線を起点にして折れ曲がるようにする。
【解決手段】ブランクシートS1の底面パネルP2に連設された外フラップF1に、その外フラップF1と底面パネルP2間に形成された横罫線bに対して交差方向に延びる複数の補助罫線eを、その横罫線bに沿って横罫線bの長さ方向に間隔をおいて形成し、外フラップF1の外側方向への折り曲げ時、補助罫線eの一端を結ぶ直線を起点にして折れ曲がるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ラップラウンドケースやセットアップケースからなる段ボールケース形成用のブランクシートおよびそのブランクシートを形成する罫入れ型に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールや清涼飲料水が充填された缶やビン等の包装対象物の複数を縦横に整列させた集積状態で包装するラップラウンドケースは、段ボールシートの打抜きにより形成されるブランクシートの折曲げと接着とによって組立状態とされる。
【0003】
図15(イ)は、ラップラウンドケースの形成用素材としてのブランクシートS1を示す。このブランクシートS1は、側面パネルP1、底面パネルP2、側面パネルP3および天面パネルP4を縦罫線aを介して一方向に連設し、上記底面パネルP2および天面パネルP4の両端縁に横罫線bを介して一対の外フラップF1を連設し、上記側面パネルP1、P3のそれぞれ両端縁に横罫線cを介して一対の内フラップF2を連設し、さらに、一側の側面パネルP1の側縁に縦罫線dを介してジョイントフラップJを連設した構成とされている。
【0004】
上記ブランクシートS1を用いるラップラウンドケースの組立てに際しては、特許文献1に記載されているような順序に従って組立てる。図15(ロ)乃至(チ)は、その特許文献1に記載されたケース組立ての順序を示し、先ず、底面パネルP2から一対の側面パネルP1、P3が起立するようそれぞれをL形に折曲げてケースK1を形成し、そのケースK1の底面パネルP2上に縦横に整列された包装対象品Aを押し込むと共に、その押込み方向先端側に位置する一対の内フラップF2をそれぞれ対向するよう内方向に90°折曲げる。
【0005】
また、底面パネルP2上に包装対象品Aが載置されると、他方の残りの一対の内フラップF2をそれぞれを対向するように内方向に90°折曲げ、かつ、ジョイントフラップJを包装対象品Aの上に向けて内方に折り曲げると共に、天面パネルP4を包装対象品Aと折り曲げられたジョイントフラップJのそれぞれの上面に重なる位置まで折り曲げて、ジョイントフラップJに予め塗布された接着剤を介してジョイントフラップJに天面パネルP4を接着する。
【0006】
その接着後、各一対の外フラップF1のそれぞれが対向するように各一対の内フラップF2に重なる位置まで折り曲げ、各内フラップF2に予め塗布した接着剤を介して各内フラップF2に各外フラップF1を接着してケースK0とする。
【0007】
ここで、底面パネルP2上に包装対象品Aを押し込む時、包装対象品Aの受け入れ側に位置する外フラップF1に上向きの反りが生じていると、その外フラップF1に包装対象品Aが引っ掛かって、包装対象品Aを底面パネルP2上にスムーズに押し込むことができない。
【0008】
そこで、包装対象品Aの押し込みに際しては、図15(ハ)に示すように、包装対象品Aの受け入れ側に位置する外フラップF1を下向き(外向き)に折り曲げて、包装対象品Aが外フラップF1に引っ掛からないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−299710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、底面パネルP2と包装対象品Aの受け入れ側に位置する外フラップF1間に形成された横罫線bが、ケースK0の内側となる段ボール面に対する罫線形成部材での押圧によって形成されたものであって、ケースの内側方向へは比較的精度よく折り曲げることができるものの、外側方向への折り曲げには抵抗があり、しかも、その横罫線bは厚みのある段ボールシートの波状の中しん紙の段山にほぼ平行した罫線として形成されたものであるため、外フラップF1を横罫線bに沿って外方に精度よく折り曲げることができず、折り曲げの起点が一定しない。
【0011】
ここで、外フラップF1をケースの外側方向に折り曲げた際の折り曲げの起点が横罫線bに対して内側方向にずれると、包装対象品Aの底面パネルP2上への押込み後、その外フラップF1を内側方向に折り曲げた際に、その外フラップF1は位置のずれている上記折り曲げの起点から折り返されることになり、寸法精度の高いケースK0を形成することができなくなる。
【0012】
上記のような問題は、ラップラウンドケースを形成する際の特有の問題ではなく、セットアップケースの場合も、角筒状のケースを形成したのち、その底面パネルおよび天面パネルの端縁に横罫線を介して連設された外フラップを外側方向に折り曲げてから包装対象品を押し込むようにしているため、上記ラップラウンドケースの場合と同様の問題が生じていた。
【0013】
この発明の課題は、外フラップを所定の位置より段ボールシートの罫線形成側の面より反対向きである外側方向へ精度よく折り曲げることができ、また、これとは逆に外フラップの内側方向への折曲げに際しては、底面パネルとの間に形成された横罫線に沿って精度よく折り曲げることができるようにした段ボールケースの形成用ブランクシートおよびそのブランクシート形成用の罫入れ型を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、この発明に係る段ボールケースの形成用ブランクシートにおいては、側面パネル、底面パネル、天面パネルおよびジョイントフラップが罫線を介して一方向に連設され、底面パネルおよび天面パネルの端縁に罫線を介して外フラップが連設され、前記側面パネルの端縁に罫線を介して内フラップが連設された段ボールケース形成用のブランクシートにおいて、前記底面パネルに連設された外フラップおよび前記天面パネルに連設された外フラップのうち、少なくとも底面パネルに連設された外フラップのみに、その外フラップと底面パネル間に形成された罫線に対して交差方向に延びる複数の補助罫線を設け、これら補助罫線の前記罫線側の各一端を相互間に間隔をもってこの罫線に平行な直線上に配置した構成を採用したのである。
【0015】
上記のように、底面パネルに連設された外フラップに、その外フラップと底面パネル間に形成された罫線に対して交差方向に延びる複数の補助罫線を形成することにより、複数の補助罫線の一端の位置での折曲げ強度は極めて弱いものとなって、外フラップを外側方向に向けて折り曲げた際、その外フラップは、複数の補助罫線の罫線側の各一端を結ぶ直線を折曲げの起点として折れ曲がることになり、外フラップを所定の位置より精度よく外側方向に折り曲げることができる。
【0016】
また、上記外フラップを内側方向に向けて折り曲げた際、複数の補助罫線の一端を結ぶ直線上の部位より罫線の形成部位の折曲げ強度が弱いため、外フラップは罫線に沿って確実に折れ曲がる。このため、寸法精度の高いケースが形成されることになる。
【0017】
ここで、補助罫線の罫線側に位置する一端と罫線との間に間隔を設けておくと、補助罫線と罫線間に腰の強い部分が形成されるため、外フラップを罫線に沿って内側方向により確実に折り曲げることができる。
【0018】
上記の目的を達成するため、この発明に係るブランクシート形成用の罫入れ型においては、側面パネル、底面パネル、天面パネルおよびジョイントフラップが罫線を介して連設され、前記底面パネルおよび天面パネルの端縁に罫線を介して外フラップが連設され、前記側面パネルの端縁に罫線を介して内フラップが連設された段ボールケース形成用のブランクシートに前記罫線を形成する罫押部材を設けた段ボールケース形成用ブランクシートの罫入れ型において、前記底面パネルと外フラップとの間の罫線を形成する罫押部材および天面パネルと外フラップとの間の罫線を形成する罫押部材のうち、少なくとも底面パネルと外フラップとの間の罫線を形成する罫押部材の外側のみに、その罫押部材に対して交差方向に延びる複数の補助罫押部材を前記罫押部材に沿って設け、これら補助罫押部材の前記罫押部材側の各一端を相互間に間隔をもってこの罫押部材に平行な直線上に配置した構成を採用したのである。
【0019】
上記の構成からなる罫入れ型においては、プレート上に段ボールシートが送り込まれて停止した際に、上下で対向するように配置されている罫入れ型とプレートの少なくともいずれか一方を接近する方向に相対的に移動させると、罫押部材が段ボールシートを押し込むため、罫線が形成され、さらに、補助罫押部材が段ボールシートを押し込むため、底面パネルと外フラップ間に形成された罫線に沿って補助罫線が形成されることになり、この発明に係る段ボールケースの形成用ブランクシートを形成することができる。
【0020】
ここで、補助罫押部材の罫押部材側に位置する一端は、その罫押部材の一側面に接触させるようにしてもよく、あるいは、罫押部材の一側面との間に微少な間隔が形成されるようにしておいてもよい。
【発明の効果】
【0021】
上記のように、この発明においては、底面パネルに連設された外フラップに、その外フラップと底面パネル間に形成された罫線に対して交差方向に延びる複数の補助罫線を、その罫線に沿って罫線の長さ方向に間隔をおいて形成したことにより、複数の補助罫線の一端を結ぶ直線を折曲げの起点として外フラップを外側方向に精度よく折り曲げることができる。また、罫線に沿って外フラップを内側方向に確実に折り曲げることができる。このため、寸法精度の高いケースを確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明に係る罫入れ型を用いた罫入れ装置の縦断正面図
【図2】図1に示す罫入れ型の平面図
【図3】図2の補助罫押部材の取付け部位を拡大して示す平面図
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図
【図5】補助罫押部材の他の例を示す断面図
【図6】補助罫押部材の他の例を示す断面図
【図7】補助罫押部材の他の例を示す断面図
【図8】補助罫押部材の他の例を示す断面図
【図9】補助罫押部材のさらに他の例を示す断面図
【図10】補助罫押部材が段ボールシートを押し込む前の状態を示す断面図
【図11】補助罫押部材が段ボールシートを押し込んだ状態を示す断面図
【図12】補助罫線の形成状態を示す断面図
【図13】この発明に係る段ボールケースの形成用ブランクシートの実施の形態を示す平面図
【図14】(I)乃至(IV)は、補助罫押部材の配置の各例を示す平面図
【図15】(イ)乃至(チ)は、ラップラウンドケースの組立て状態を段階的に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面に基いて説明する。図1は、罫入れ装置を示す。この罫入れ装置は、定盤1と、その上方に対向配置されたプレス盤11を有し、上記定盤1とプレス盤11の少なくと一方は互いに接近、離反する方向へ相対的に移動自在とされている。
【0024】
実施の形態では、定盤1に対してプレス盤11を昇降させるようにしているが、プレス盤1に対して定盤11を昇降させるようにしてもよい。
【0025】
定盤1の上面にはプレート2が取り付けられ、そのプレート2上にステンレス板等の硬質の金属板からなるカウンタプレート3が位置決め状態で着脱自在に取り付けられている。
【0026】
プレス盤11の下面にはチェース12が位置決め状態で取り付けられ、そのチェース12の下面に形成された角形の凹部13内に打抜き刃を備えた罫入れ型21が着脱自在に取り付けられている。
【0027】
罫入れ型21として、ここでは、図15(イ)に示すブランクシートS1の罫入れ型を示す。
【0028】
図1および図2に示すように、罫入れ型21は、チェース12にボルト止めされる平板状のダイボード22を有し、そのダイボード22の下面に、ブランクシートS1の外形を打ち抜く外形打抜き刃23と、ブランクシートS1に3本の縦罫線aおよび1本の縦罫線dを形成する罫押部材24aおよび24dと、底面パネルP2および天面パネルP4と外フラップF1間に横罫線bを形成する罫押部材24bと、一対の側面パネルP1、P3と内フラップF2間に横罫線cを形成する罫押部材24cが取り付けられている。
【0029】
また、ダイボード22には、底面パネルP2および天面パネルP4と外フラップF1間に横罫線bを罫入れする罫押部材24bの外側(外フラップF1に対応する側)に、その罫押部材24bに沿って複数の補助罫押部材25が取り付けられている。
【0030】
外形打抜き刃23は、切り刃を一側に有する帯状金属板からなり、ダイボード22に形成された溝へ圧入して取付けられている。
【0031】
罫押部材24a乃至24dは罫押し縁を一側に有する帯状金属板からなる。この罫押部材24a乃至24dは、図3および図4に示すように、ダイボード22に形成された直線溝26に対する圧入によって取付け状態とされている。
【0032】
一方、補助罫押部材25は、硬質の板片からなる。そのような板片として、ステンレス等の金属片、フェノール樹脂等の硬質の樹脂片を挙げることができる。この補助罫押部材25は、図3および図4に示すように、ダイボード22に形成された傾斜溝27に対する圧入により取り付けられて、罫押部材24bの長さ方向に傾斜しており、隣接する補助罫押部材25は、罫押部材24bと鋭角の角度をもってその長さ方向にオーバラップしている。図3に示すLは、そのオーバラップ量を示す。
【0033】
ここで、補助罫押部材25の段ボールシートを押し込むシート押込み縁25aの形状としては、図4乃至9に示す種々の形状を採ることができる。
【0034】
図4に示す例では、シート押込み縁25aを円弧状として、罫押部材24bに近接する一端から外フラップF1に対応する側である他端に向けて高さを次第に低くなるようにし、その一端の高さを罫押部材24bのシート押込み縁24b’より低くしている。また、シート押込み縁25aの一端部において罫押部材24bの一側面との間に小さい切欠部28を形成している。
【0035】
図5に示す例では、シート押込み縁25aを直線状として、一端から他端に至る高さを同一とし、そのシート押込み縁25aの高さを罫押部材24bのシート押込み縁24b’より低くしている。また、シート押込み縁25aの一端部において罫押部材24bの一側面との間に小さい切欠部28を形成している。
【0036】
図6に示す例では、図4に示す場合と同様に、シート押込み縁25aを円弧状として、罫押部材24bに近接する一端から他端に向けて高さを次第に低くなるようにし、その一端の高さを罫押部材24bのシート押込み縁24b’より低くして、図4に示す切欠部28を設けないようにしている。
【0037】
図7に示す例では、図5に示す場合と同様に、シート押込み縁25aを直線状として、一端から他端に至る高さを同一とし、そのシート押込み縁25aの高さを罫押部材24bのシート押込み縁24b’より低くして、図5に示す切欠部28を設けないようにしている。
【0038】
図8に示す例では、図6に示す場合と同様に、シート押込み縁25aを円弧状として、罫押部材24bに近接する一端から他端に向けて高さを次第に低くなるようにし、その一端の高さを罫押部材24bのシート押込み縁24b’と同一の高さとしている。
【0039】
図9に示す例では、図6に示す場合と同様に、シート押込み縁25aを円弧状として、罫押部材24bに近接する一端から他端に向けて高さを次第に低くなるようにし、その一端の高さを罫押部材24bのシート押込み縁24b’より低くして、そのシート押込み縁25aの長さ方向に間隔をおいて複数の切欠部29を形成している。
【0040】
上記いずれの補助罫押部材25も、一端から他端までの長さが、図10に示す段ボールシートS0の波状中しん紙sの段山を少なくとも2つ以上を横切るように押し潰すことができるような長さとされている。
【0041】
実施の形態で示す罫入れ装置は上記の構造からなり、図1に示すように、カウンタプレート3上に段ボールシートS0が送り込まれ、その停止状態において、プレス盤11を下降させると、罫入れ型21に設けられている外形打抜き刃23が段ボールシートS0を刺通して、図13に示すように、段ボールシートS0に打抜き切断線Cを形成する。
【0042】
また、罫入れ型21に設けられている罫押部材24a乃至24dが、図11に示すように、段ボールシートS0の罫押し側の面を押し込むと共に、補助罫押部材25が段ボールシートS0を押し込み、上記罫押部材24a乃至24dの押し込みによって、段ボールシートS0に、図13に示すように、縦罫線a、dおよび横罫線b、cが形成される。また、補助罫押部材25の押し込みにより、補助罫線eが形成される。
【0043】
図13に示す段ボールシートS0は、次のストリッピング装置に送り込まれて、打抜き切断線Cの外側の外形屑fが取り除かれて、製品としてブランクシートS1が形成される。
【0044】
前述の[背景技術]の項での記載と同様に、上記ブランクシートS1は、図15(ロ)乃至(チ)に示す順序に従って、一対の側面パネルP1、P3、一対の内フラップF2、ジョイントフラップJ、天面パネルP4、外フラップF1の折曲げが行なわれ、内フラップF2と外フラップF1の重なり部およびジョイントフラップJと天面パネルP4の重なり部が接着される。また、上記一対の側面パネルP1、P3の上方へ向けて90°の折り曲げ後、外フラップF1の上方へ向けての折曲げを開始されるまでの間で底面パネルP2上に縦横に整列された包装対象品Aの押し込みが行なわれて、その包装対象品Aを包装するケースK0とされる。
【0045】
上記のようなケースK0の形成に際し、底面パネルP2上に包装対象品Aが押し込まれる時、包装対象品Aの受け入れ側に位置する外フラップF1が下向き(外向き)にわずか折り曲げられて、包装対象品Aの押込みが阻害されることのないようにされる。
【0046】
このとき、底面パネルP2に連設された外フラップF1の罫押し側の段ボール面(ケースK0の内側となる段ボール面)には、その外フラップF1と底面パネルP2間に形成された横罫線bに対して鋭角の角度で交差方向に延びる複数の補助罫線eが形成されており、さらに、波状中しん紙sの段山を横切って押し潰しているため、複数の補助罫線eの横罫線b側に位置する一端側の位置での折曲げ強度は極めて弱いものとなっている。
【0047】
このため、外フラップF1を外方向(下方向)に向けて折り曲げた際、その外フラップF1は、複数の補助罫線eの一端を結ぶ横罫線bに平行な直線を折曲げの起点として横罫線bに沿って正確に折れ曲がることになり、外フラップF1は所定の位置より精度よく外向きに折り曲げられることになる。
【0048】
また、複数の補助罫線eの横罫線b側である一端は断続的に直線上に並んで配置されて段ボールを押し潰しているが、横罫線bは連続した直線で段ボールを押し潰しているため、複数の補助罫線eの一端を結ぶ直線上の部位より横罫線bの形成部位の段ボールの折曲げ強度が弱い。したがって、外フラップF1を、図15(ト)に示すように、内向き(上向き)に折り曲げる際、外フラップF1は横罫線bに正確に沿って確実に折れ曲がることになる。その結果、寸法精度の高いケースK0が形成されることになる。
【0049】
ここで、図4および図5に示すように、シート押込み縁25aの一端部に切欠部28が形成された補助罫押部材25でもって補助罫線eを形成すると、その補助罫線eの一端と横罫線bとの間に微少な間隔が形成されて、補助罫線eと横罫線b間に段ボールの押し潰しの弱い腰の強い部分が形成されるため、外フラップF1を横罫線bに沿って内方により確実に折り曲げることができる。
【0050】
図3においては、罫押部材24bの長さ方向に等間隔に設けられた複数の補助罫押部材25のそれぞれを、その長さ方向が罫押部材24bに対して同方向に傾く傾斜状の配置としたが、補助罫押部材25の配置は、これに限定されるものではない。
【0051】
図14(I)乃至(IV)は、補助罫押部材25の他の配置例を示す。図14(I)では、罫押部材24bの長さ方向の中央部に位置する補助罫押部材25を、その長さ方向が罫押部材24bに直交する配置とし、その直交する補助罫押部材25の一側方に配置された複数の補助罫押部材25を罫押部材24bに対して鋭角の角度でその長さ方向に対して一方向に傾斜する配置とし、かつ、直交する補助罫押部材25の他側方に配置された複数の補助罫押部材25を罫押部材24bに対して鋭角の角度でその長さ方向に前記とは逆向きに傾斜する配置としている。
【0052】
このとき、図14(I)では、直交配置の補助罫押部材25の一側方に配置された複数の補助罫押部材25および他側方に配置された複数の補助罫押部材25のそれぞれを、その他端(外端)が、直交配置の補助罫押部材25に向けて倒れる傾斜状としているが、図14(II)では、直交配置の補助罫押部材25の一側方に配置された複数の補助罫押部材25と他側方に配置された複数の補助罫押部材25のそれぞれを、その他端(外端)が、直交配置の補助罫押部材25から離反する方向に向けて倒れる傾斜状としている。
【0053】
図14(III)では、罫押部材24bに対して一方向に向けて傾斜する補助罫押部材25と罫押部材24bに対して逆方向に向けて傾斜する補助罫押部材25とを罫押部材24bの長さ方向に交互に配置している。
【0054】
図14(IV)では、罫押部材24bの外側方に設けられた複数の補助罫押部材25のそれぞれを、罫押部材24bに対して直交する配置としている。
【0055】
図14(I)乃至(III)に示すように、補助罫押部材25を傾斜状の配置とすると、補助罫線eの罫入れ時、中しん紙sの段山は、補助罫押部材25により横罫線bに向けて略均一に押し潰されることになって、外フラップF1の横罫線bに沿う部分が全体にわたって扁平な薄肉厚となるため、横罫線b部位での強度は弱くなり、外フラップF1をより外向きおよび内向きにより容易に折り曲げることができる。
【符号の説明】
【0056】
P1 側面パネル
P2 底面パネル
P3 側面パネル
P4 天面パネル
F1 外フラップ
F2 内フラップ
J ジョイントフラップ
b 横罫線
c 横罫線
e 補助罫線
22 ダイボード
24b 罫押部材
25 補助罫押部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、ラップラウンドケースやセットアップケースからなる段ボールケース形成用のブランクシートおよびそのブランクシートを形成する罫入れ型に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールや清涼飲料水が充填された缶やビン等の包装対象物の複数を縦横に整列させた集積状態で包装するラップラウンドケースは、段ボールシートの打抜きにより形成されるブランクシートの折曲げと接着とによって組立状態とされる。
【0003】
図15(イ)は、ラップラウンドケースの形成用素材としてのブランクシートS1を示す。このブランクシートS1は、側面パネルP1、底面パネルP2、側面パネルP3および天面パネルP4を縦罫線aを介して一方向に連設し、上記底面パネルP2および天面パネルP4の両端縁に横罫線bを介して一対の外フラップF1を連設し、上記側面パネルP1、P3のそれぞれ両端縁に横罫線cを介して一対の内フラップF2を連設し、さらに、一側の側面パネルP1の側縁に縦罫線dを介してジョイントフラップJを連設した構成とされている。
【0004】
上記ブランクシートS1を用いるラップラウンドケースの組立てに際しては、特許文献1に記載されているような順序に従って組立てる。図15(ロ)乃至(チ)は、その特許文献1に記載されたケース組立ての順序を示し、先ず、底面パネルP2から一対の側面パネルP1、P3が起立するようそれぞれをL形に折曲げてケースK1を形成し、そのケースK1の底面パネルP2上に縦横に整列された包装対象品Aを押し込むと共に、その押込み方向先端側に位置する一対の内フラップF2をそれぞれ対向するよう内方向に90°折曲げる。
【0005】
また、底面パネルP2上に包装対象品Aが載置されると、他方の残りの一対の内フラップF2をそれぞれを対向するように内方向に90°折曲げ、かつ、ジョイントフラップJを包装対象品Aの上に向けて内方に折り曲げると共に、天面パネルP4を包装対象品Aと折り曲げられたジョイントフラップJのそれぞれの上面に重なる位置まで折り曲げて、ジョイントフラップJに予め塗布された接着剤を介してジョイントフラップJに天面パネルP4を接着する。
【0006】
その接着後、各一対の外フラップF1のそれぞれが対向するように各一対の内フラップF2に重なる位置まで折り曲げ、各内フラップF2に予め塗布した接着剤を介して各内フラップF2に各外フラップF1を接着してケースK0とする。
【0007】
ここで、底面パネルP2上に包装対象品Aを押し込む時、包装対象品Aの受け入れ側に位置する外フラップF1に上向きの反りが生じていると、その外フラップF1に包装対象品Aが引っ掛かって、包装対象品Aを底面パネルP2上にスムーズに押し込むことができない。
【0008】
そこで、包装対象品Aの押し込みに際しては、図15(ハ)に示すように、包装対象品Aの受け入れ側に位置する外フラップF1を下向き(外向き)に折り曲げて、包装対象品Aが外フラップF1に引っ掛からないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−299710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、底面パネルP2と包装対象品Aの受け入れ側に位置する外フラップF1間に形成された横罫線bが、ケースK0の内側となる段ボール面に対する罫線形成部材での押圧によって形成されたものであって、ケースの内側方向へは比較的精度よく折り曲げることができるものの、外側方向への折り曲げには抵抗があり、しかも、その横罫線bは厚みのある段ボールシートの波状の中しん紙の段山にほぼ平行した罫線として形成されたものであるため、外フラップF1を横罫線bに沿って外方に精度よく折り曲げることができず、折り曲げの起点が一定しない。
【0011】
ここで、外フラップF1をケースの外側方向に折り曲げた際の折り曲げの起点が横罫線bに対して内側方向にずれると、包装対象品Aの底面パネルP2上への押込み後、その外フラップF1を内側方向に折り曲げた際に、その外フラップF1は位置のずれている上記折り曲げの起点から折り返されることになり、寸法精度の高いケースK0を形成することができなくなる。
【0012】
上記のような問題は、ラップラウンドケースを形成する際の特有の問題ではなく、セットアップケースの場合も、角筒状のケースを形成したのち、その底面パネルおよび天面パネルの端縁に横罫線を介して連設された外フラップを外側方向に折り曲げてから包装対象品を押し込むようにしているため、上記ラップラウンドケースの場合と同様の問題が生じていた。
【0013】
この発明の課題は、外フラップを所定の位置より段ボールシートの罫線形成側の面より反対向きである外側方向へ精度よく折り曲げることができ、また、これとは逆に外フラップの内側方向への折曲げに際しては、底面パネルとの間に形成された横罫線に沿って精度よく折り曲げることができるようにした段ボールケースの形成用ブランクシートおよびそのブランクシート形成用の罫入れ型を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、この発明に係る段ボールケースの形成用ブランクシートにおいては、側面パネル、底面パネル、天面パネルおよびジョイントフラップが罫線を介して一方向に連設され、底面パネルおよび天面パネルの端縁に罫線を介して外フラップが連設され、前記側面パネルの端縁に罫線を介して内フラップが連設された段ボールケース形成用のブランクシートにおいて、前記底面パネルに連設された外フラップおよび前記天面パネルに連設された外フラップのうち、少なくとも底面パネルに連設された外フラップのみに、その外フラップと底面パネル間に形成された罫線に対して交差方向に延びる複数の補助罫線を設け、これら補助罫線の前記罫線側の各一端を相互間に間隔をもってこの罫線に平行な直線上に配置した構成を採用したのである。
【0015】
上記のように、底面パネルに連設された外フラップに、その外フラップと底面パネル間に形成された罫線に対して交差方向に延びる複数の補助罫線を形成することにより、複数の補助罫線の一端の位置での折曲げ強度は極めて弱いものとなって、外フラップを外側方向に向けて折り曲げた際、その外フラップは、複数の補助罫線の罫線側の各一端を結ぶ直線を折曲げの起点として折れ曲がることになり、外フラップを所定の位置より精度よく外側方向に折り曲げることができる。
【0016】
また、上記外フラップを内側方向に向けて折り曲げた際、複数の補助罫線の一端を結ぶ直線上の部位より罫線の形成部位の折曲げ強度が弱いため、外フラップは罫線に沿って確実に折れ曲がる。このため、寸法精度の高いケースが形成されることになる。
【0017】
ここで、補助罫線の罫線側に位置する一端と罫線との間に間隔を設けておくと、補助罫線と罫線間に腰の強い部分が形成されるため、外フラップを罫線に沿って内側方向により確実に折り曲げることができる。
【0018】
上記の目的を達成するため、この発明に係るブランクシート形成用の罫入れ型においては、側面パネル、底面パネル、天面パネルおよびジョイントフラップが罫線を介して連設され、前記底面パネルおよび天面パネルの端縁に罫線を介して外フラップが連設され、前記側面パネルの端縁に罫線を介して内フラップが連設された段ボールケース形成用のブランクシートに前記罫線を形成する罫押部材を設けた段ボールケース形成用ブランクシートの罫入れ型において、前記底面パネルと外フラップとの間の罫線を形成する罫押部材および天面パネルと外フラップとの間の罫線を形成する罫押部材のうち、少なくとも底面パネルと外フラップとの間の罫線を形成する罫押部材の外側のみに、その罫押部材に対して交差方向に延びる複数の補助罫押部材を前記罫押部材に沿って設け、これら補助罫押部材の前記罫押部材側の各一端を相互間に間隔をもってこの罫押部材に平行な直線上に配置した構成を採用したのである。
【0019】
上記の構成からなる罫入れ型においては、プレート上に段ボールシートが送り込まれて停止した際に、上下で対向するように配置されている罫入れ型とプレートの少なくともいずれか一方を接近する方向に相対的に移動させると、罫押部材が段ボールシートを押し込むため、罫線が形成され、さらに、補助罫押部材が段ボールシートを押し込むため、底面パネルと外フラップ間に形成された罫線に沿って補助罫線が形成されることになり、この発明に係る段ボールケースの形成用ブランクシートを形成することができる。
【0020】
ここで、補助罫押部材の罫押部材側に位置する一端は、その罫押部材の一側面に接触させるようにしてもよく、あるいは、罫押部材の一側面との間に微少な間隔が形成されるようにしておいてもよい。
【発明の効果】
【0021】
上記のように、この発明においては、底面パネルに連設された外フラップに、その外フラップと底面パネル間に形成された罫線に対して交差方向に延びる複数の補助罫線を、その罫線に沿って罫線の長さ方向に間隔をおいて形成したことにより、複数の補助罫線の一端を結ぶ直線を折曲げの起点として外フラップを外側方向に精度よく折り曲げることができる。また、罫線に沿って外フラップを内側方向に確実に折り曲げることができる。このため、寸法精度の高いケースを確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明に係る罫入れ型を用いた罫入れ装置の縦断正面図
【図2】図1に示す罫入れ型の平面図
【図3】図2の補助罫押部材の取付け部位を拡大して示す平面図
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図
【図5】補助罫押部材の他の例を示す断面図
【図6】補助罫押部材の他の例を示す断面図
【図7】補助罫押部材の他の例を示す断面図
【図8】補助罫押部材の他の例を示す断面図
【図9】補助罫押部材のさらに他の例を示す断面図
【図10】補助罫押部材が段ボールシートを押し込む前の状態を示す断面図
【図11】補助罫押部材が段ボールシートを押し込んだ状態を示す断面図
【図12】補助罫線の形成状態を示す断面図
【図13】この発明に係る段ボールケースの形成用ブランクシートの実施の形態を示す平面図
【図14】(I)乃至(IV)は、補助罫押部材の配置の各例を示す平面図
【図15】(イ)乃至(チ)は、ラップラウンドケースの組立て状態を段階的に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面に基いて説明する。図1は、罫入れ装置を示す。この罫入れ装置は、定盤1と、その上方に対向配置されたプレス盤11を有し、上記定盤1とプレス盤11の少なくと一方は互いに接近、離反する方向へ相対的に移動自在とされている。
【0024】
実施の形態では、定盤1に対してプレス盤11を昇降させるようにしているが、プレス盤1に対して定盤11を昇降させるようにしてもよい。
【0025】
定盤1の上面にはプレート2が取り付けられ、そのプレート2上にステンレス板等の硬質の金属板からなるカウンタプレート3が位置決め状態で着脱自在に取り付けられている。
【0026】
プレス盤11の下面にはチェース12が位置決め状態で取り付けられ、そのチェース12の下面に形成された角形の凹部13内に打抜き刃を備えた罫入れ型21が着脱自在に取り付けられている。
【0027】
罫入れ型21として、ここでは、図15(イ)に示すブランクシートS1の罫入れ型を示す。
【0028】
図1および図2に示すように、罫入れ型21は、チェース12にボルト止めされる平板状のダイボード22を有し、そのダイボード22の下面に、ブランクシートS1の外形を打ち抜く外形打抜き刃23と、ブランクシートS1に3本の縦罫線aおよび1本の縦罫線dを形成する罫押部材24aおよび24dと、底面パネルP2および天面パネルP4と外フラップF1間に横罫線bを形成する罫押部材24bと、一対の側面パネルP1、P3と内フラップF2間に横罫線cを形成する罫押部材24cが取り付けられている。
【0029】
また、ダイボード22には、底面パネルP2および天面パネルP4と外フラップF1間に横罫線bを罫入れする罫押部材24bの外側(外フラップF1に対応する側)に、その罫押部材24bに沿って複数の補助罫押部材25が取り付けられている。
【0030】
外形打抜き刃23は、切り刃を一側に有する帯状金属板からなり、ダイボード22に形成された溝へ圧入して取付けられている。
【0031】
罫押部材24a乃至24dは罫押し縁を一側に有する帯状金属板からなる。この罫押部材24a乃至24dは、図3および図4に示すように、ダイボード22に形成された直線溝26に対する圧入によって取付け状態とされている。
【0032】
一方、補助罫押部材25は、硬質の板片からなる。そのような板片として、ステンレス等の金属片、フェノール樹脂等の硬質の樹脂片を挙げることができる。この補助罫押部材25は、図3および図4に示すように、ダイボード22に形成された傾斜溝27に対する圧入により取り付けられて、罫押部材24bの長さ方向に傾斜しており、隣接する補助罫押部材25は、罫押部材24bと鋭角の角度をもってその長さ方向にオーバラップしている。図3に示すLは、そのオーバラップ量を示す。
【0033】
ここで、補助罫押部材25の段ボールシートを押し込むシート押込み縁25aの形状としては、図4乃至9に示す種々の形状を採ることができる。
【0034】
図4に示す例では、シート押込み縁25aを円弧状として、罫押部材24bに近接する一端から外フラップF1に対応する側である他端に向けて高さを次第に低くなるようにし、その一端の高さを罫押部材24bのシート押込み縁24b’より低くしている。また、シート押込み縁25aの一端部において罫押部材24bの一側面との間に小さい切欠部28を形成している。
【0035】
図5に示す例では、シート押込み縁25aを直線状として、一端から他端に至る高さを同一とし、そのシート押込み縁25aの高さを罫押部材24bのシート押込み縁24b’より低くしている。また、シート押込み縁25aの一端部において罫押部材24bの一側面との間に小さい切欠部28を形成している。
【0036】
図6に示す例では、図4に示す場合と同様に、シート押込み縁25aを円弧状として、罫押部材24bに近接する一端から他端に向けて高さを次第に低くなるようにし、その一端の高さを罫押部材24bのシート押込み縁24b’より低くして、図4に示す切欠部28を設けないようにしている。
【0037】
図7に示す例では、図5に示す場合と同様に、シート押込み縁25aを直線状として、一端から他端に至る高さを同一とし、そのシート押込み縁25aの高さを罫押部材24bのシート押込み縁24b’より低くして、図5に示す切欠部28を設けないようにしている。
【0038】
図8に示す例では、図6に示す場合と同様に、シート押込み縁25aを円弧状として、罫押部材24bに近接する一端から他端に向けて高さを次第に低くなるようにし、その一端の高さを罫押部材24bのシート押込み縁24b’と同一の高さとしている。
【0039】
図9に示す例では、図6に示す場合と同様に、シート押込み縁25aを円弧状として、罫押部材24bに近接する一端から他端に向けて高さを次第に低くなるようにし、その一端の高さを罫押部材24bのシート押込み縁24b’より低くして、そのシート押込み縁25aの長さ方向に間隔をおいて複数の切欠部29を形成している。
【0040】
上記いずれの補助罫押部材25も、一端から他端までの長さが、図10に示す段ボールシートS0の波状中しん紙sの段山を少なくとも2つ以上を横切るように押し潰すことができるような長さとされている。
【0041】
実施の形態で示す罫入れ装置は上記の構造からなり、図1に示すように、カウンタプレート3上に段ボールシートS0が送り込まれ、その停止状態において、プレス盤11を下降させると、罫入れ型21に設けられている外形打抜き刃23が段ボールシートS0を刺通して、図13に示すように、段ボールシートS0に打抜き切断線Cを形成する。
【0042】
また、罫入れ型21に設けられている罫押部材24a乃至24dが、図11に示すように、段ボールシートS0の罫押し側の面を押し込むと共に、補助罫押部材25が段ボールシートS0を押し込み、上記罫押部材24a乃至24dの押し込みによって、段ボールシートS0に、図13に示すように、縦罫線a、dおよび横罫線b、cが形成される。また、補助罫押部材25の押し込みにより、補助罫線eが形成される。
【0043】
図13に示す段ボールシートS0は、次のストリッピング装置に送り込まれて、打抜き切断線Cの外側の外形屑fが取り除かれて、製品としてブランクシートS1が形成される。
【0044】
前述の[背景技術]の項での記載と同様に、上記ブランクシートS1は、図15(ロ)乃至(チ)に示す順序に従って、一対の側面パネルP1、P3、一対の内フラップF2、ジョイントフラップJ、天面パネルP4、外フラップF1の折曲げが行なわれ、内フラップF2と外フラップF1の重なり部およびジョイントフラップJと天面パネルP4の重なり部が接着される。また、上記一対の側面パネルP1、P3の上方へ向けて90°の折り曲げ後、外フラップF1の上方へ向けての折曲げを開始されるまでの間で底面パネルP2上に縦横に整列された包装対象品Aの押し込みが行なわれて、その包装対象品Aを包装するケースK0とされる。
【0045】
上記のようなケースK0の形成に際し、底面パネルP2上に包装対象品Aが押し込まれる時、包装対象品Aの受け入れ側に位置する外フラップF1が下向き(外向き)にわずか折り曲げられて、包装対象品Aの押込みが阻害されることのないようにされる。
【0046】
このとき、底面パネルP2に連設された外フラップF1の罫押し側の段ボール面(ケースK0の内側となる段ボール面)には、その外フラップF1と底面パネルP2間に形成された横罫線bに対して鋭角の角度で交差方向に延びる複数の補助罫線eが形成されており、さらに、波状中しん紙sの段山を横切って押し潰しているため、複数の補助罫線eの横罫線b側に位置する一端側の位置での折曲げ強度は極めて弱いものとなっている。
【0047】
このため、外フラップF1を外方向(下方向)に向けて折り曲げた際、その外フラップF1は、複数の補助罫線eの一端を結ぶ横罫線bに平行な直線を折曲げの起点として横罫線bに沿って正確に折れ曲がることになり、外フラップF1は所定の位置より精度よく外向きに折り曲げられることになる。
【0048】
また、複数の補助罫線eの横罫線b側である一端は断続的に直線上に並んで配置されて段ボールを押し潰しているが、横罫線bは連続した直線で段ボールを押し潰しているため、複数の補助罫線eの一端を結ぶ直線上の部位より横罫線bの形成部位の段ボールの折曲げ強度が弱い。したがって、外フラップF1を、図15(ト)に示すように、内向き(上向き)に折り曲げる際、外フラップF1は横罫線bに正確に沿って確実に折れ曲がることになる。その結果、寸法精度の高いケースK0が形成されることになる。
【0049】
ここで、図4および図5に示すように、シート押込み縁25aの一端部に切欠部28が形成された補助罫押部材25でもって補助罫線eを形成すると、その補助罫線eの一端と横罫線bとの間に微少な間隔が形成されて、補助罫線eと横罫線b間に段ボールの押し潰しの弱い腰の強い部分が形成されるため、外フラップF1を横罫線bに沿って内方により確実に折り曲げることができる。
【0050】
図3においては、罫押部材24bの長さ方向に等間隔に設けられた複数の補助罫押部材25のそれぞれを、その長さ方向が罫押部材24bに対して同方向に傾く傾斜状の配置としたが、補助罫押部材25の配置は、これに限定されるものではない。
【0051】
図14(I)乃至(IV)は、補助罫押部材25の他の配置例を示す。図14(I)では、罫押部材24bの長さ方向の中央部に位置する補助罫押部材25を、その長さ方向が罫押部材24bに直交する配置とし、その直交する補助罫押部材25の一側方に配置された複数の補助罫押部材25を罫押部材24bに対して鋭角の角度でその長さ方向に対して一方向に傾斜する配置とし、かつ、直交する補助罫押部材25の他側方に配置された複数の補助罫押部材25を罫押部材24bに対して鋭角の角度でその長さ方向に前記とは逆向きに傾斜する配置としている。
【0052】
このとき、図14(I)では、直交配置の補助罫押部材25の一側方に配置された複数の補助罫押部材25および他側方に配置された複数の補助罫押部材25のそれぞれを、その他端(外端)が、直交配置の補助罫押部材25に向けて倒れる傾斜状としているが、図14(II)では、直交配置の補助罫押部材25の一側方に配置された複数の補助罫押部材25と他側方に配置された複数の補助罫押部材25のそれぞれを、その他端(外端)が、直交配置の補助罫押部材25から離反する方向に向けて倒れる傾斜状としている。
【0053】
図14(III)では、罫押部材24bに対して一方向に向けて傾斜する補助罫押部材25と罫押部材24bに対して逆方向に向けて傾斜する補助罫押部材25とを罫押部材24bの長さ方向に交互に配置している。
【0054】
図14(IV)では、罫押部材24bの外側方に設けられた複数の補助罫押部材25のそれぞれを、罫押部材24bに対して直交する配置としている。
【0055】
図14(I)乃至(III)に示すように、補助罫押部材25を傾斜状の配置とすると、補助罫線eの罫入れ時、中しん紙sの段山は、補助罫押部材25により横罫線bに向けて略均一に押し潰されることになって、外フラップF1の横罫線bに沿う部分が全体にわたって扁平な薄肉厚となるため、横罫線b部位での強度は弱くなり、外フラップF1をより外向きおよび内向きにより容易に折り曲げることができる。
【符号の説明】
【0056】
P1 側面パネル
P2 底面パネル
P3 側面パネル
P4 天面パネル
F1 外フラップ
F2 内フラップ
J ジョイントフラップ
b 横罫線
c 横罫線
e 補助罫線
22 ダイボード
24b 罫押部材
25 補助罫押部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面パネル、底面パネル、天面パネルおよびジョイントフラップが罫線を介して一方向に連設され、底面パネルおよび天面パネルの端縁に罫線を介して外フラップが連設され、前記側面パネルの端縁に罫線を介して内フラップが連設された段ボールケース形成用のブランクシートにおいて、
前記底面パネルに連設された外フラップおよび前記天面パネルに連設された外フラップのうち、少なくとも底面パネルに連設された外フラップのみに、その外フラップと底面パネル間に形成された罫線に対して交差方向に延びる複数の補助罫線を設け、これら補助罫線の前記罫線側の各一端が相互間に間隔をもってこの罫線に平行な直線上に配置されていることを特徴とする段ボールケース形成用のブランクシート。
【請求項2】
前記補助罫線の前記罫線側に位置する一端と罫線との間に間隔を設けた請求項1に記載の段ボールケース形成用のブランクシート。
【請求項3】
側面パネル、底面パネル、天面パネルおよびジョイントフラップが罫線を介して連設され、前記底面パネルおよび天面パネルの端縁に罫線を介して外フラップが連設され、前記側面パネルの端縁に罫線を介して内フラップが連設された段ボールケース形成用のブランクシートに前記罫線を形成する罫押部材を設けた段ボールケース形成用ブランクシートの罫入れ型において、
前記底面パネルと外フラップとの間の罫線を形成する罫押部材および天面パネルと外フラップとの間の罫線を形成する罫押部材のうち、少なくとも底面パネルと外フラップとの間の罫線を形成する罫押部材の外側のみに、その罫押部材に対して交差方向に延びる複数の補助罫押部材を前記罫押部材に沿って設け、これら補助罫押部材の前記罫押部材側の各一端が相互間に間隔をもってこの罫押部材に平行な直線上に配置されていることを特徴とする段ボールケース形成用ブランクシートの罫入れ型。
【請求項4】
前記補助罫押部材の一端部において罫押部材との間に切欠部を設けた請求項3に記載の段ボールケース形成用ブランクシートの罫入れ型。
【請求項1】
側面パネル、底面パネル、天面パネルおよびジョイントフラップが罫線を介して一方向に連設され、底面パネルおよび天面パネルの端縁に罫線を介して外フラップが連設され、前記側面パネルの端縁に罫線を介して内フラップが連設された段ボールケース形成用のブランクシートにおいて、
前記底面パネルに連設された外フラップおよび前記天面パネルに連設された外フラップのうち、少なくとも底面パネルに連設された外フラップのみに、その外フラップと底面パネル間に形成された罫線に対して交差方向に延びる複数の補助罫線を設け、これら補助罫線の前記罫線側の各一端が相互間に間隔をもってこの罫線に平行な直線上に配置されていることを特徴とする段ボールケース形成用のブランクシート。
【請求項2】
前記補助罫線の前記罫線側に位置する一端と罫線との間に間隔を設けた請求項1に記載の段ボールケース形成用のブランクシート。
【請求項3】
側面パネル、底面パネル、天面パネルおよびジョイントフラップが罫線を介して連設され、前記底面パネルおよび天面パネルの端縁に罫線を介して外フラップが連設され、前記側面パネルの端縁に罫線を介して内フラップが連設された段ボールケース形成用のブランクシートに前記罫線を形成する罫押部材を設けた段ボールケース形成用ブランクシートの罫入れ型において、
前記底面パネルと外フラップとの間の罫線を形成する罫押部材および天面パネルと外フラップとの間の罫線を形成する罫押部材のうち、少なくとも底面パネルと外フラップとの間の罫線を形成する罫押部材の外側のみに、その罫押部材に対して交差方向に延びる複数の補助罫押部材を前記罫押部材に沿って設け、これら補助罫押部材の前記罫押部材側の各一端が相互間に間隔をもってこの罫押部材に平行な直線上に配置されていることを特徴とする段ボールケース形成用ブランクシートの罫入れ型。
【請求項4】
前記補助罫押部材の一端部において罫押部材との間に切欠部を設けた請求項3に記載の段ボールケース形成用ブランクシートの罫入れ型。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−46386(P2011−46386A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194513(P2009−194513)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000229184)日本ダイスチール株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000229184)日本ダイスチール株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]