説明

殺真菌剤N−6員縮合(ヘテロ)アリール−メチレン−N−シクロアルキルカルボキサミド誘導体

本発明は、すべて、式I


(式中、Aは、炭素に結合した5員ヘテロシクリル基を表し、Tは、O、S、N−R、N−OR、N−NRまたはN−CNを表し、ZからZおよびBは、芳香族、6員、縮合、(ヘテロ)アリールを表す。)のN−(芳香族、6員、縮合、(ヘテロ)アリール−メチレン)−N−シクロアルキルカルボキサミド誘導体、これらのチオカルボキサミドまたはN−置換カルボキサミド類似体、これらの調製の方法、(特に殺真菌剤組成物の形態での)殺真菌剤活性剤としてのこれらの使用、ならびにこれらの化合物または組成物を使用した(特に植物の)植物病原性真菌類の防除のための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−(芳香族、6員、縮合、(ヘテロ)アリール−メチレン)−N−シクロアルキルカルボキサミド誘導体、これらのチオカルボキサミドまたはN−置換カルボキサミド類似体、これらの調製の方法、(特に殺真菌剤組成物の形態での)殺真菌剤活性剤としてのこれらの使用、およびこれらの化合物または組成物を使用した(特に植物の)植物病原性真菌類の防除のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2001/11966号は、総括的に、特定のハロアルキル−2−ピリジル−メチレン−ヘテロシクリル−アミド誘導体を記載している。しかし、この文献に、任意のシクロアルキル基で置換された任意のこのような誘導体の開示はない。
【0003】
国際公開第2004/074259号は、次式:
【0004】
【化1】

(式中、Arは、5から10員複素環を表すことができ、Rは、C−C−シクロアルキルを表すことができ、一方、X、YおよびZは、NまたはCRを表すことができ、少なくとも1つはNを表す。)のGABAA受容体に結合可能な化合物を開示している。
【0005】
しかし、この文献に、5員複素環または窒素原子に結合したシクロアルキルを含む任意の化合物の開示はない。
【0006】
国際公開第2006/120224号は、次式:
【0007】
【化2】

の2−ピリジル−メチレン−カルボキサミド誘導体を開示しており、この文献に本発明による殺真菌剤の二環式誘導体を調製するためのヒントはなかった。
【0008】
国際公開第2007/117778号は、N−シクロプロピル−N−((7,8−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−4−イル)メチル)−4−メチルチアゾール−5−カルボキサミドおよびN−シクロプロピル−N−((8−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−4−イル)メチル)−4−メチルチアゾール−5−カルボキサミドを含む、誘導型一酸化窒素合成酵素阻害剤として有用なキノリン誘導体を開示している。これらの化合物は、本発明の部分を形成しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2001/11966号
【特許文献2】国際公開第2004/074259号
【特許文献3】国際公開第2006/120224号
【特許文献4】国際公開第2007/117778号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
活性成分に対する耐性株の発達を回避または抑制するために新規農薬化合物を使用することに関して、農薬分野において常に高い関心がもたれている。さらにまた、既知化合物と少なくとも同等の効力を維持しながら、同時に、活性化合物の使用量を低減するために、既知化合物よりも活性が高い新規化合物を使用することに関しても、高い関心がもたれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記で記載した効果または利点を示す化合物の新規ファミリーを見出した。
【0012】
したがって、本発明は、式(I)
【0013】
【化3】

[式中、
・Aは、(最大4個の基Rで置換されていることができる)炭素に結合した、不飽和または部分飽和、5員ヘテロシクリル基を表し、
・Bは、
【0014】
【化4】

(式中、
からWは、独立に、NもしくはCRb1を表し、
からYは、独立に、N、O、S、NRb2もしくはCRb3を表し、
からYは、これらが結合している原子Wと一緒になって、(最大4個のヘテロ原子を含む)芳香族5もしくは6員縮合ヘテロシクリル環、もしくは芳香族6員縮合カルボシクリル環を形成しており、
pは、1もしくは2を表す。)を表し、
・Tは、O、S、N−R、N−OR、N−NRもしくはN−CNを表し、
・Zは、置換されていないC−C−シクロアルキルもしくは(同じもしくは異なっていることができ、ハロゲン原子、シアノ、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C−アルキル)アミノカルボニルからなるリストから選択することができる)最大10個の原子もしくは基で置換されたC−C−シクロアルキルを表し、
・ZおよびZは、独立に、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、シアノ、ニトロ、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルスルフェニル、アミノ、C−C−アルキルアミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−(C−C−アルキル)カルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイルを表し、または
・ZおよびZは、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換されたもしくは置換されていないC−C−シクロアルキルを形成していることができ、
・Rは、独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノ、スルファニル、ヒドロキシル、ペンタフルオロ−λ−6−スルファニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、トリ(C−C−アルキル)シリル、トリ(C−C−アルキル)シリル−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルファニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルケニル、C−C−アルキニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−アルコキシイミノ、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C−アルキル)アミノカルボニルを表し、
・RおよびRは、同じもしくは異なっていることができ、水素原子、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルケニル、C−C−アルキニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノシクロアルキル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、最大5個のQ基で置換されていることができるフェニル、最大6個のQ基で置換されていることができるナフチル、最大5個のQ基で置換されていることができるフェニルメチレン、最大5個のQ基で置換されていることができるフェニルスルホニルを表し、
・Rb1およびRb3は、独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、スルファニル、アミノ、ペンタフルオロ−λ6−スルファニル、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルキルアミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−アルコキシ、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルファニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルキルスルフェニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、C−C−アルケニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルケニル、C−C−アルキニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキニル、C−C−アルケニルオキシ、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノシクロアルキル、ホルミル、ホルミルオキシ、ホルミルアミノ、カルボキシ、カルバモイル、N−ヒドロキシカルバモイル、カルバメート、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−(C−C−アルキル)アミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルコキシイミノ、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、トリ(C−C−アルキル)シリル、トリ(C−C−アルキル)シリル−C−C−アルキル、最大5個のQ基で置換されていることができるフェニル、最大5個のQ基で置換されていることができるベンジルオキシ、最大5個のQ基で置換されていることができるベンジルスルファニル、最大5個のQ基で置換されていることができるベンジルアミノ、最大5個のQ基で置換されていることができるフェノキシ、最大5個のQ基で置換されていることができるフェニルアミノ、最大5個のQ基で置換されていることができるフェニルスルファニル、最大5個のQ基で置換されていることができるベンジル、最大4個のQ基で置換されていることができるピリジニルおよび最大4個のQ基で置換されていることができるピリジニルオキシを表し、
・Rb2は、水素原子、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルケニル、C−C−アルキニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノシクロアルキル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、最大5個のQ基で置換されていることができるフェニルスルホニル、最大5個のQ基で置換されていることができるベンジルを表し、
・Qは、同じもしくは異なっていることができ、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシ、トリ(C−C)アルキルシリルおよびトリ(C−C)アルキルシリル−C−C−アルキル、C−C−アルコキシイミノ、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキルを表す。]
のN−(芳香族、6員、縮合、(ヘテロ)アリールメチレン)−N−シクロアルキル−カルボキサミド誘導体、ならびにこれらの塩、N−オキシド、金属錯体、半金属錯体(metalloidic complex)および光学活性または幾何異性体を提供し、ただし、式(I)の化合物は、N−シクロプロピル−N−((6,8−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)メチル)−フラン−2−カルボキサミド、N−シクロプロピル−N−((6−エトキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)メチル)−フラン−2−カルボキサミド、N−シクロプロピル−N−((6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)メチル)−フラン−2−カルボキサミド、N−シクロプロピル−N−((7,8−ジヒドロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−4−イル)メチル)−4−メチルチアゾール−5−カルボキサミドおよびN−シクロプロピル−N−((8−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−4−イル)メチル)−4−メチルチアゾール−5−カルボキサミドとは異なる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による化合物のいずれも、この化合物中の立体単位(IUPAC規則で定義された通り)の数に応じて1種または複数の立体異性体として存在することができる。したがって、本発明は、等しく、すべての立体異性体、およびすべての割合でのすべての可能な立体異性体の混合物に関する。立体異性体は、当業者に自体周知である方法によって分離することができる。
【0016】
本発明によれば、次の総称は、次の意味で一般的に使用される。
【0017】
・ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味し、
・ヘテロ原子は、窒素、酸素または硫黄であってよく、
・ハロゲン化された基、特にハロアルキル、ハロアルコキシおよびシクロアルキル基は、最大9個の同一または異なるハロゲン原子を含むことができ、
・任意のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、直鎖または分枝であってよく、
・「アリール」という用語は、ハロゲン、[C−C]−アルキル、[C−C]−ハロアルキル、[C−C]−アルケニル、[C−C]−ハロアルケニル、[C−C]−アルキニル、[C−C]−ハロアルキニル、[C−C]−アルコキシ、[C−C]−アルコキシ−[C−C]−アルキル、[C−C]−アルコキシ−[C−C]−アルコキシ、[C−C]−ハロアルコキシおよび[C−C]−ハロアルコキシ−[C−C]−アルキルからなるリストから選択される1から5個の基で場合によって置換されているフェニルまたはナフチルを意味し、
・アミノ基または同じまたは異なっていることができる2つの置換基で置換されている任意の他のアミノ含有基のアミノ部分の場合、この2つの置換基は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、置換されていることができるまたは他のヘテロ原子を含んでよいヘテロシクリル基、好ましくは5から7員ヘテロシクリル基、例えばモルホリノ基またはピペリジニル基を形成していることができる。
【0018】
本発明による式(I)の好ましい化合物は、Aが、
【0019】
【化5】

[式中、
・−*は、カルボニル部分への結合点を表し、
・Vは、O、SまたはNRa1を表し、
・Ra1は、水素原子、C−C−アルキル、同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルを表し、
・Ra2およびRa3は、同じまたは異なっていることができ、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C−C−アルキル、同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシまたは同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−シクロアルキルを表し、
・Ra4は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C−C−アルキル、同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシまたは同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルスルファニル、アミノ、C−C−アルキルアミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−アルキルオキシカルボニルを表す。]からなるリストから選択されるものである。
【0020】
本発明による式(I)のより好ましい化合物は、Aが、
【0021】
【化6】

[式中、
・−*は、カルボニル基への結合点を表し、
・Vは、O、SまたはNRa1を表し、
・Ra1は、水素原子、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルを表し、
・Ra2は、C−C−アルキル、同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシを表し、
・Ra3は、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキルを表し、
・Ra4は、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルを表す。]からなるリストから選択されるものである。
【0022】
本発明による式(I)の他のより好ましい化合物は、
・Aが、Aを表し、
・Vが、NRa1を表し、
・Ra1が、C−C−アルキルを表し、
・Ra2およびRa3が、同じもしくは異なっていることができ、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルを表し、または
・Aが、Aを表し、
・Vが、Sを表し、
・Ra2が、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルを表し、
・Ra4が、水素原子、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルを表す
ものである。
【0023】
本発明による式(I)の他の好ましい化合物は、Bが、
【0024】
【化7】

[式中、
・WからW、Y1a、Y2a、Y3aおよびY3bは、独立に、NRb2またはCRb3を表し、
・Y2bは、O、SまたはNRb2を表す。]からなるリストから選択されるものである。
【0025】
本発明による他のより好ましい化合物は、Bが、BもしくはBを表し、WからW、Y1a、Y2a、Y3aおよびY3bが、独立に、CRb3を表し、またはBが、BもしくはBを表し、WからW、Y1aおよびY3bが、独立に、CRb1を表し、Y2bが、Sを表すものである。
【0026】
本発明による式(I)の他の好ましい化合物は、Tが、OまたはSを表すものである。
【0027】
本発明による式(I)の他の好ましい化合物は、Zが、シクロプロピルを表すものである。
【0028】
本発明による式(I)の他の好ましい化合物は、ZおよびZが、独立に、水素原子またはC−C−アルキルを表すものである。
【0029】
本発明による式(I)の他の好ましい化合物は、Qが、ハロゲン原子、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシを表すものである。
【0030】
本発明による式(I)の化合物の置換基に関する上記の選択は、部分的に独立してまたは完全に独立してのいずれかで、様々な様式で組み合わせることができる。したがって、好ましい特徴のこれらの組合せは、本発明の化合物のサブクラスを提供する。本発明による好ましい化合物のこのようなサブクラスの例は、
−Aの好ましい特徴と1つまたは複数のT、ZからZ、R、R、T、VおよびQの好ましい特徴、
−Tの好ましい特徴と1つまたは複数のA、ZからZ、R、R、VおよびQの好ましい特徴、
−Zの好ましい特徴と1つまたは複数のA、T、Z、Z、R、R、VおよびQの好ましい特徴、
−Zの好ましい特徴と1つまたは複数のA、T、Z、Z、R、R、VおよびQの好ましい特徴、
−Zの好ましい特徴と1つまたは複数のA、T、Z、Z、R、R、VおよびQの好ましい特徴、
−Rの好ましい特徴と1つまたは複数のA、T、ZからZ、R、VおよびQの好ましい特徴、
−Rの好ましい特徴と1つまたは複数のA、T、ZからZ、R、VおよびQの好ましい特徴、
−Vの好ましい特徴と1つまたは複数のA、T、ZからZ、R、RおよびQの好ましい特徴、
−Qの好ましい特徴と1つまたは複数のA、T、ZからZ、R、RおよびVの好ましい特徴
を組み合わせることができる。
本発明による化合物の置換基の好ましい特徴についての上記組合せにおいて、当該好ましい特徴は、A、T、ZからZ、R、R、VおよびQのそれぞれのさらに好ましい特徴の中から選択して、本発明による化合物の最も好ましいサブクラスを構成することもできる。
【0031】
本発明は、式(I)の化合物を調製する方法にも関する。
【0032】
したがって、本発明のさらなる一態様によれば、次の反応スキーム:
【0033】
【化8】

[式中、
・A、ZからZ、WからWおよびBは、本明細書で定義された通りであり、
・Uは、ハロゲン原子または脱離基を表す。]で示されるように、Tが、Oを表す式(I)の化合物の調製のための方法P1が提供される。
【0034】
本発明による方法P1において、ステップ1は、適切な場合に溶媒の存在下および適切な場合に酸結合剤の存在下で実施することができる。
【0035】
式(II)のN−シクロアルキル−アミン誘導体は、既知であり、または既知方法、例えば、アルデヒドもしくはケトンの還元的アミノ化(Bioorganics and Medicinal Chemistry Letters、2006、2014頁、synthesis of compounds 7 and 8)、またはイミンの還元(Tetrahedron、2005、11689頁)、またはハロゲン、メシレートもしくはトシレートの求核置換(Journal of Medicinal Chemistry、2002、3887頁、preparation of intermediate for compound 28)で調製することができる。
【0036】
式(III)のカルボン酸誘導体は、既知である、または、既知方法(国際公開第93/11117号;欧州特許第545099号明細書;Nucleosides&Nucleotides、1987、737−759頁、Bioorg.Med.Chem.、2002、2105−2108頁)によって調製することができる。
【0037】
本発明による方法P1を実施するのに適した酸結合剤は、いずれの場合も、このような反応に関して慣習的な無機塩基または有機塩基である。好ましくは、以下のものを使用する:アルカリ土類金属、アルカリ金属の水素化物、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ金属のアルコキシド、例えば、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、カリウムtert−ブトキシド、または、他の水酸化アンモニウム;アルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭素カリウム、重炭素カリウム、重炭素ナトリウム;アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酢酸塩、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム;および、さらに、第三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、Nメチルピペリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)またはジアザビシクロウンデセン(DBU)。
【0038】
付加的な縮合剤を存在させずに操作すること、またはそれが酸結合剤として同時に作用するようアミン成分の過剰を用いることも可能である。
【0039】
本発明による方法P1を実施するのに適した溶媒は、いずれの場合も、慣習的な不活性有機溶媒である。好ましくは、以下のものを使用する:場合によってハロゲン化されている脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素類、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロルエタンまたはトリクロルエタン;エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンまたはアニソール;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、i−ブチロニトリルまたはベンゾニトリル;アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルリン酸トリアミド;エステル類、例えば、酢酸メチルまたは酢酸エチル;スルホキシド類、例えば、ジメチルスルホキシド;または、スルホン類、例えば、スルホラン。
【0040】
本発明による方法P1を実施する場合、反応温度は、独立して、比較的広い範囲で様々であることができる。一般に、本発明による方法は、0℃から160℃の温度、好ましくは、10℃から120℃の温度で実施する。本発明による方法に関して温度を制御する方法は、マイクロ波技術の使用である。
【0041】
本発明による方法P1は、一般に、独立して、大気圧下で実施する。しかし、いずれの場合も、高圧下または減圧下で実施することも可能である。
【0042】
本発明による方法P1のステップ1を実施する場合、一般的に1モルなどの過剰の式(III)の酸誘導体および1から3モルの酸結合剤を、式(II)のアミンの1モル当たり使用する。他の割合で反応成分を使用することも可能である。
【0043】
後処理は、慣習的な方法で実施する。一般的に、反応混合物を水で処理し、有機相を分離し、乾燥後、減圧下で濃縮する。適切な場合、残った残渣は、慣習的な方法、例えば、クロマトグラフィーまたは再結晶によって、依然として存在し得る不純物から取り出すことができる。
【0044】
本発明によるさらなる一態様によれば、Tが、Sを表す式(I)の化合物の調製のための方法P2が提供され、次の反応スキーム:
【0045】
【化9】

[式中、A、ZからZ、WからWおよびBは、本明細書で定義された通りである。]によって示される。
【0046】
方法P2は、チオネート化剤の存在下で実施することができる。
【0047】
出発原料の式(I)のアミド誘導体は、方法P1によって調製することができる。
【0048】
本発明による方法P2を実施するのに適したチオネート化剤は、硫黄(S)、硫化水素(HS)、硫化ナトリウム(NaS)、水硫化ナトリウム(NaHS)、硫化ホウ素(B)、硫化ビス(ジエチルアルミニウム)((AlEtS)、硫化アンモニウム((NHS)、五硫化リン(P)、ローソン試薬(2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,2,3,4−ジチアジホスフェタン2,4−ジスルフィド)またはポリマー支持チオネート化試薬、例えばJ.Chem.Soc.Perkin 1、(2001)、358頁に記載されたものであってよい。
【0049】
触媒的なまたは化学量論的な量以上の塩基、例えば、無機および有機塩基の存在下または不存在下で、アルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、複素環式芳香族塩基、例えば、ピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、さらに第三級アミン類、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−アミノピリジンまたはN−メチルピペリジンを使用することが好ましい。
【0050】
本発明による方法P2を実施するのに適した溶媒は、慣習的な不活性有機溶媒であり得る。好ましくは、以下のものを使用する:場合によってハロゲン化されている脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素類、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロルエタンまたはトリクロルエタン;エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンまたは1,2−ジエトキシエタン;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、i−ブチロニトリルまたはベンゾニトリル;含硫溶媒、例えば、スルホランまたは二硫化炭素。
【0051】
本発明による方法P2を実施する場合、反応温度は比較的広い範囲で様々であることができる。一般に、これらの方法は、0℃から160℃の温度、好ましくは、10℃から120℃の温度で実施する。本発明による方法に関して温度を制御する方法は、マイクロ波技術の使用である。
【0052】
本発明による方法P2は、一般に、大気圧下で実施する。高圧下または減圧下で実施することも可能である。
【0053】
本発明による方法P2を実施する場合、1モルまたは過剰の硫黄当量のチオネート化剤および1から3モルの塩基を、アミド誘導体(I)の1モル当たり使用することができる。
【0054】
反応成分を他の割合で使用することも可能である。後処理は、既知方法によって行う。
【0055】
一般に、当該反応混合物を減圧下に濃縮する。依然として存在し得る不純物は、クロマトグラフィーまたは再結晶などの既知方法によって、残った残渣から除去することができる。
【0056】
本発明のさらなる一態様によれば、Tが、N−R、N−OR、N−NRまたはN−CNを表す式(I)の化合物の調製のための方法P3が提供され、次の反応スキーム:
【0057】
【化10】

[式中、
・A、ZからZ、WからWおよびBは、本明細書で定義された通りであり、
・Uは、塩素原子またはメチルスルファニル基を表す。]によって示される。
【0058】
本発明による方法P3において、ステップ2は、酸結合剤の存在下および溶媒の存在下で実施することができる。
【0059】
式(II)のN−シクロアルキル−アミン誘導体は、既知であり、または既知方法、例えば、アルデヒドもしくはケトンの還元的アミノ化(Bioorganics and Medicinal Chemistry Letters、2006、2014頁、synthesis of compounds 7 and 8)、またはイミンの還元(Tetrahedron、2005、11689頁)、またはハロゲン、メシレートもしくはトシレートの求核置換(Journal of Medicinal Chemistry、2002、3887頁、preparation of intermediate for compound 28)によって調製することができる。
【0060】
式(IV)のN−置換カルボキシミドイルクロリドは、既知であり、または、既知方法、例えば、Houben−Weyl、「Methoden der organischen Chemie」(1985)、E5/1、628−633頁およびPatai、「The chemistry of amidines and imidates」(1975)、296−301頁に記載されたものによって調製することができる。
【0061】
式(IV)のN−置換またはN,N−二置換ヒドラゾノイルクロリドは、既知であり、または、既知方法、例えば、Tetrahedron、1991、47、447頁およびJournal of Heterocyclic Chemistry、1983、20、225頁に記載されたものによって調製することができる。
【0062】
式(IV)のN−シアノカルボキシミドイルクロリドは、既知であり、または、既知方法、例えば、Tetrahedron Letters、1968、5523頁およびBloorganic and Medicinal Chemistry、2006、4723頁に記載されたものによって調製することができる。
【0063】
本発明による方法P3を実施するのに適した酸結合剤は、このような反応に関して慣習的な無機塩基または有機塩基であり得る。好ましくは、以下のものを使用する:アルカリ土類金属もしくはアルカリ金属の水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、または、他の水酸化アンモニウム誘導体;アルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭素カリウム、重炭素カリウム、重炭素ナトリウム;アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酢酸塩、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム;アルカリ土類金属もしくはアルカリ金属の水素化物、例えば水素化ナトリウムもしくは水素化カリウム;アルカリ土類金属もしくはアルカリ金属アルコラート、例えばナトリウムメチレート、ナトリウムエチレート、ナトリウムプロピレートもしくはカリウムt−ブチレート;および、さらに、第三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)またはジアザビシクロウンデセン(DBU);またはポリマー担持酸スカベンジャー(例えばhttp://www.iris−biotech.de/downloads/scavengers.pdfに記載のように)。
付加的な酸結合剤を存在させないで実施することも可能である。
【0064】
本発明による方法P3を実施するのに適した溶媒は、慣習的な不活性有機溶媒であり得る。好ましくは、以下のものを使用する:場合によってハロゲン化されている脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素類、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロルエタンまたはトリクロルエタン;エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンまたはアニソール;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、i−ブチロニトリルまたはベンゾニトリル;アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルリン酸トリアミド;エステル類、例えば、酢酸メチルまたは酢酸エチル;スルホキシド類、例えば、ジメチルスルホキシド;または、スルホン類、例えば、スルホラン。
【0065】
本発明による方法P3を実施する場合、反応温度は比較的広い範囲で様々であることができる。一般に、これらの方法は、0℃から160℃の温度、好ましくは、10℃から120℃の温度で実施する。本発明による方法に関して温度を制御する方法は、マイクロ波技術の使用である。
【0066】
本発明による方法P3は、一般に、大気圧下で実施する。高圧下または減圧下で実施することも可能である。
【0067】
本発明による方法P3を実施する場合、式(III)のアミン誘導体は、この塩、例えば、クロロヒドレートまたは任意の他の好都合な塩として使用することができる。
【0068】
本発明による方法P3を実施する場合、1モルまたは過剰の式(II)のアミン誘導体および1から3モルの酸結合剤を、式(IV)のN−置換カルボキシミドイルクロリドの1モル当たり使用することができる。
【0069】
反応成分を他の割合で使用することも可能である。後処理は、既知方法によって行う。
【0070】
一般に、反応混合物は、減圧下で濃縮する。残る残渣は、既知方法、例えば、クロマトグラフィーまたは再結晶によって、依然として存在し得る不純物から取り出すことができる。
【0071】
本発明による化合物は、上記方法に準じて調製することができる。それにもかかわらず、当業者が、自分の一般的な知識および利用可能な刊行物に基づいて、合成することが望まれる本発明による化合物のそれぞれの特性に応じて該方法を適合させることができるということは理解されるであろう。
【0072】
さらに別の態様において、本発明は、有効で植物に対して毒性を示さない量の式(I)の活性化合物を含む殺菌剤組成物にも関する。
【0073】
「有効で植物に対して毒性を示さない量」という表現は、作物上に存在しているかまたはおそらく出現するであろう菌類を防除または駆除するのに十分であり、該作物について植物毒性の感知可能などのような症状も引き起こすことのない、本発明による組成物の量を意味する。このような量は、防除対象の菌類、作物の種類、気候条件、および、本発明による殺菌剤組成物に含まれている化合物に応じて、広い範囲で変動し得る。このような量は、当業者が実行可能な範囲内にある体系的な圃場試験により決定することが可能である。
【0074】
かくして、本発明により、活性成分としての有効量の本明細書で定義されている式(I)の化合物、および、農業上許容される支持体、担体または増量剤を含む殺菌剤組成物が提供される。
【0075】
本発明によれば、用語「支持体(support)」は、式(I)の活性化合物と組み合わせてまたは関連させて、特に植物の一部分に対して、より容易に施用できるようにする、天然または合成の有機化合物または無機化合物を意味する。このような支持体は、したがって、一般に不活性であり、また、農業上許容されるものであるべきである。支持体は、固体であってもよいし、または、液体であってもよい。適切な支持体の例としては、クレー、天然または合成のシリケート、シリカ、樹脂、蝋、固形肥料、水、アルコール(特に、ブタノール)、有機溶媒、鉱油および植物油、ならびに、それらの誘導体などが挙げられる。このような支持体の混合物を使用することもできる。
【0076】
本発明による組成物には、さらにまた、付加的な成分も含有させることができる。特に、該組成物には、さらに、界面活性剤を含有させることができる。該界面活性剤は、イオン性もしくは非イオン性のタイプの乳化剤、分散剤もしくは湿潤剤であることが可能である、または、このような界面活性剤の混合物であることが可能である。例えば、以下のものを挙げることができる:ポリアクリル酸塩、リグノスルホン酸塩、フェノールスルホン酸塩もしくはナフタレンスルホン酸塩、エチレンオキシドと脂肪アルコールの重縮合物もしくはエチレンオキシドと脂肪酸の重縮合物もしくはエチレンオキシドと脂肪アミンの重縮合物、置換されているフェノール(特に、アルキルフェノールまたはアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(特に、アルキルタウレート)、ポリオキシエチル化アルコールのリン酸エステルもしくはポリオキシエチル化フェノールのリン酸エステル、ポリオールの脂肪酸エステル、ならびに、硫酸官能基、スルホン酸官能基およびリン酸官能基を含む上記化合物の誘導体。該活性化合物および/または該不活性支持体が水不溶性である場合、ならびに、施用のための媒介物(vector agent)が水である場合、一般に、少なくとも1種の界面活性剤を存在させることが必要である。好ましくは、界面活性剤の含有量は、該組成物の5重量%から40重量%であり得る。
【0077】
場合によって、さらなる成分、例えば、保護コロイド、粘着剤、増粘剤、揺変剤、浸透剤、安定化剤、金属イオン封鎖剤などを含ませることもできる。さらに一般的には、該活性化合物は、通常の製剤技術に従う固体または液体の任意の添加剤と組み合わせることが可能である。
【0078】
一般に、本発明による組成物には、0.05から99重量%の活性化合物、好ましくは、10から70重量%の活性化合物を含有させることができる。
【0079】
本発明による組成物は、エアロゾルディスペンサー、カプセル懸濁液剤、冷煙霧濃厚剤(cold fogging concentrate)、散粉性粉剤、乳剤、水中油型エマルション剤、油中水型エマルション剤、カプセル化粒剤、細粒剤、種子処理用フロアブル剤、ガス剤(加圧下)、ガス生成剤(gas generating product)、粒剤、温煙霧濃厚剤(hot fogging concentrate)、大型粒剤、微粒剤、油分散性粉剤、油混和性フロアブル剤、油混和性液剤、ペースト剤、植物用棒状剤(plant rodlet)、乾燥種子処理用粉剤、農薬粉衣種子、可溶性濃厚剤(soluble concentrate)、可溶性粉剤、種子処理用溶液剤、懸濁液剤(フロアブル剤)、微量散布用液剤(ultra low volume(ULV)liquid)、微量散布用懸濁液剤(ultra low volume(ULV)suspension)、顆粒水和剤、水分散性錠剤、泥水処理用水和剤、水溶性顆粒剤、水溶性錠剤、種子処理用水溶性粉剤および水和剤などのような、様々な形態で使用することが可能である。これらの組成物には、処理対象の植物または種子に対して噴霧装置または散粉装置のような適切な装置を用いて施用される状態にある組成物のみではなく、作物に対して施用する前に希釈することが必要な商業的な濃厚組成物も包含される。
【0080】
本発明による化合物は、さらにまた、1種または複数の殺虫剤、殺菌剤、殺細菌剤、誘引剤、殺ダニ剤もしくはフェロモン活性物質、または、生物学的活性を有する別の化合物と混合することもできる。このようにして得られた混合物は、通常、拡大された活性スペクトルを有する。別の殺菌剤化合物との混合物が特に有利である。
【0081】
適切な殺真菌剤混合相手の例は、次のリストから選択することができる。
(1)核酸合成の阻害剤、例えば、ベナラキシル、ベナラキシル−M、ブピリメート、クロジラコン、ジメチリモール、エチリモール、フララキシル、ヒメキサゾール、メタラキシル、メタラキシル−M、オフレース、オキサジキシルおよびオキソリン酸。
(2)有糸分裂および細胞分裂の阻害剤、例えば、ベノミル、カルベンダジム、クロルフェナゾール、ジエトフェンカルブ、エタボキサム、フベリダゾール、ペンシクロン、チアベンダゾール、チオファネート、チオファネートメチルおよびゾキサミド。
(3)呼吸の阻害剤、例えば、CI呼吸阻害剤としてのジフルメトリム;CII呼吸阻害剤としてのビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルトラニル、フルオピラム、フラメトピル、フルメシクロックス、イソピラザム(9R成分)、イソピラザム(9S成分)、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルザミド;CIII呼吸阻害剤としてのアミスルブロム、アゾキシストロビン、シアゾファミド、ジモキシストロビン、エネストロブリン、ファモキサドン、フェンアミドン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン。
(4)例えば、ビナパクリル、ジノカップ、フルアジナムおよびメプチルジノキャップのような脱共役剤として作用し得る化合物。
(5)ATP産生の阻害剤、例えば、フェンチンアセテート、フェンチンクロリド、フェンチンヒドロキシドおよびシルチオファム。
(6)アミノ酸および/またはタンパク質生合成の阻害剤、例えば、アンドプリム、ブラストサイジン−S、シプロジニル、カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩水和物、メパニピリムおよびピリメタニル。
(7)シグナル変換の阻害剤、例えば、フェンピクロニル、フルジオキソニルおよびキノキシフェン。
(8)脂質および膜合成の阻害剤、例えば、ビフェニル、クロゾリネート、エジフェンホス、エトリジアゾール、ヨードカルブ、イプロベンホス、イプロジオン、イソプロチオラン、プロシミドン、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、ピラゾホス、トルクロホス−メチルおよびビンクロゾリン。
(9)エルゴステロール生合成の阻害剤、例えば、アルジモルフ、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、ドデモルフ、酢酸ドデモルフ、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェナリモール、フェンブコナゾール、フェンヘキサミド、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フルキンコナゾール、フルルプリミドール、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、フルコナゾール−シス、ヘキサコナゾール、イマザリル、硫酸イマザリル、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ナフチフィン、ヌアリモール、オキシポコナゾール、パクロブトラゾール、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ピペラリン、プロクロラズ、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、ピリブチカルブ、ピリフェノックス、キンコナゾール、シメコナゾール、スピロキサミン、テブコナゾール、テルビナフィン、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリデモルフ、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、ウニコナゾール、ビニコナゾールおよびボリコナゾール。
(10)細胞壁合成の阻害剤、例えば、ベンチアバリカルブ、ジメトモルフ、フルモルフ、イプロバリカルブ、マンジプロパミド、ポリオキシン、ポリオキソリム、プロチオカルブ、バリダマイシンAおよびバリフェナール。
(11)メラニン生合成の阻害剤、例えば、カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニル、フタリド、ピロキロンおよびトリシクラゾール。
(12)例えば、アシベンゾラル−S−メチル、プロベナゾールおよびチアジニルのような宿主の防御を誘導し得る化合物。
(13)例えば、ボルドー液、カプタホール、キャプタン、クロロタロニル、ナフテン酸銅、酸化銅、オキシ塩化銅、銅調製物、例えば、水酸化銅、硫酸銅、ジクロフルアニド、ジチアノン、ドジン、ドジン遊離塩基、ファーバム、フルオロホルペット、ホルペット、グアザチン、酢酸グアザチン、イミノクタジン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン三酢酸塩、マンカッパー、マンコゼブ、マンネブ、メチラム、メチラム亜鉛、オキシン銅、プロパミジン、プロピネブ、硫黄および多硫化カルシウム、チラム、トリルフルアニド、ジネブおよびジラムを含めた硫黄調製物のようなマルチサイト作用を有し得る化合物。
(14)例えば、2,3−ジブチル−6−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン、エチル(2Z)−3−アミノ−2−シアノ−3−フェニルプロプ−2−エノエート、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−{2−[1,1’−ビ(シクロプロピル)−2−イル]フェニル}−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、(2E)−2−(2−{[6−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−5−フルオロピリミジン−4−イル]オキシ}フェニル)−2−(メトキシイミノ)−N−メチルエタンアミド、(2E)−2−{2−[({[(2E,3E)−4−(2,6−ジクロロフェニル)ブト−3−エン−2−イリデン]アミノ}オキシ)メチル]フェニル}−2−(メトキシイミノ)−N−メチルエタンアミド、2−クロロ−N−(1,1,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)ピリジン−3−カルボキサミド、N−(3−エチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル)−3−(ホルミルアミノ)−2−ヒドロキシベンズアミド、5−メトキシ−2−メチル−4−(2−{[({(1E)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、(2E)−2−(メトキシイミノ)−N−メチル−2−(2−{[({(1E)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)エタンアミド、(2E)−2−(メトキシイミノ)−N−メチル−2−{2−[(E)−({1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}イミノ)メチル]フェニル}エタンアミド、(2E)−2−{2−[({[(1E)−1−(3−{[(E)−1−フルオロ−2−フェニルエテニル]オキシ}フェニル)エチリデン]アミノ}オキシ)メチル]フェニル}−2−(メトキシイミノ)−N−メチルエタンアミド、1−(4−クロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)シクロヘプタノール、メチル1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート、N−エチル−N−メチル−N’−{2−メチル−5−(トリフルオロメチル)−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシ]フェニル}イミドホルムアミド、N’−{5−(ジフルオロメチル)−2−メチル−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシ]フェニル}−N−エチル−N−メチルイミドホルムアミド、O−{1−[(4−メトキシフェノキシ)メチル]−2,2−ジメチルプロピル}1H−イミダゾール−1−カルボチオエート、N−[2−(4−{[3−(4−クロロフェニル)プロプ−2−イン−1−イル]オキシ}−3−メトキシフェニル)エチル]−N2−(メチルスルホニル)バリンアミド、5−クロロ−7−(4−メチルピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、プロパモカルブ−ホセチル、1−[(4−メトキシフェノキシ)メチル]−2,2−ジメチルプロピル1H−イミダゾール−1−カルボキシレート、1−メチル−N−[2−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、2−ブトキシ−6−ヨード−3−プロピル−4H−クロメン−4−オン、2−フェニルフェノールおよび塩、3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−[2−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、3,4,5−トリクロロピリジン−2,6−ジカルボニトリル、3−[5−(4−クロロフェニル)−2,3−ジメチルイソオキサゾリジン−3−イル]ピリジン、3−クロロ−5−(4−クロロフェニル)−4−(2,6−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリダジン、4−(4−クロロフェニル)−5−(2,6−ジフルオロフェニル)−3,6−ジメチルピリダジン、キノリン−8−オール、キノリン−8−オール硫酸塩(2:1)(塩)、ベンチアゾール、ベトキサジン、カプシマイシン、カルボン、キノメチオネート、クロロネブ、クフラネブ、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロスルファミド、ダゾメット、デバカルブ、ジクロロフェン、ジクロメジン、ジクロラン、ジフェンゾコート、ジフェンゾコートメチル硫酸塩、ジフェニルアミン、エコメイト、フェリムゾン、フルメトベル、フルオピコリド、フルオロイミド、フルスルファミド、ホセチル−アルミニウム、ホセチル−カルシウム、ホセチル−ナトリウム、ヘキサクロロベンゼン、イルママイシン、イソチアニル、メタスルホカルブ、メチル(2E)−2−{2−[({シクロプロピル[(4−メトキシフェニル)イミノ]メチル}チオ)メチル]フェニル}−3−メトキシアクリレート、メチルイソチオシアネート、メトラフェノン、(5−ブロモ−2−メトキシ−4−メチルピリジン−3−イル)(2,3,4−トリメトキシ−6−メチルフェニル)メタノン、ミルジオマイシン、トルニファニド、N−(4−クロロベンジル)−3−[3−メトキシ−4−(プロプ−2−イン−1−イルオキシ)フェニル]プロパンアミド、N−[(4−クロロフェニル)(シアノ)メチル]−3−[3−メトキシ−4−(プロプ−2−イン−1−イルオキシ)フェニル]プロパンアミド、N−[(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)メチル]−2,4−ジクロロピリジン−3−カルボキサミド、N−[1−(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)エチル]−2,4−ジクロロピリジン−3−カルボキサミド、N−[1−(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)エチル]−2−フルオロ−4−ヨードピリジン−3−カルボキサミド、N−{(Z)−[(シクロプロピルメトキシ)イミノ][6−(ジフルオロメトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル]メチル}−2−フェニルアセトアミド、N−{(E)−[(シクロプロピルメトキシ)イミノ][6−(ジフルオロメトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル]メチル}−2−フェニルアセトアミド、ナタマイシン、ニッケルジメチルジチオカルバメート、ニトロタル−イソプロピル、オクチリノン、オキサモカルブ、オキシフェンチイン、ペンタクロロフェノールおよび塩、フェナジン−1−カルボン酸、フェノトリン、亜リン酸およびこの塩、プロパモカルブホセチレート、プロパノシン−ナトリウム、プロキナジド、ピロールニトリン、キントゼン、S−プロプ−2−エン−1−イル5−アミノ−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−カルボチオエート、テクロフタラム、テクナゼン、トリアゾキシド、トリクラミド、5−クロロ−N’−フェニル−N’−プロプ−2−イン−1−イルチオフェン−2−スルホノヒドラジドおよびザリラミドのようなさらなる化合物。
【0082】
式(I)の化合物と殺細菌剤化合物の混合物を含む本発明による組成物も、特に有利であり得る。適切な混合相手殺細菌剤の例は、以下のリストの中で選択し得る:ブロノポール、ジクロロフェン、ニトラピリン、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、カスガマイシン、オクチリノン、フランカルボン酸、オキシテトラサイクリン、プロベナゾール、ストレプトマイシン、テクロフタラム、硫酸銅および他の銅剤。
【0083】
式(I)の化合物および本発明による殺菌剤組成物を使用して、植物または作物の植物病原性菌類を治療的または予防的に防除することができる。
【0084】
かくして、本発明のさらに別の態様により、植物または作物の植物病原性菌類を治療的または予防的に防除する方法が提供され、ここで、該方法は、式(I)の化合物または本発明による殺菌剤組成物を、種子、植物もしくは植物の果実に施用する、または、植物が生育している土壌もしくは植物を生育させるのが望ましい土壌に施用することを特徴とする。
【0085】
本発明による処置方法は、塊茎または根茎のような繁殖材料を処置するのにも有用であり得、さらには、種子、実生または移植実生(seedlings pricking out)および植物または移植植物(plants pricking out)を処置するのにも有効であり得る。この処置方法は、根を処置するのにも有効であり得る。本発明による処置方法は、関係している植物の樹幹、茎または柄、葉、花および果実のような植物の地上部を処置するのにも有用であり得る。
【0086】
本発明による方法で保護可能な植物の中で、以下のものを挙げることができる:ワタ;アマ;ブドウ;果実作物または野菜作物、例えば、バラ科各種(Rosaceae sp.)(例えば、ピップフルーツ(pip fruit)、例えば、リンゴおよびナシ、さらに、核果、例えば、アンズ、アーモンドおよびモモ)、リベシオイダエ科各種(Ribesioidae sp.)、クルミ科各種(Juglandaceae sp.)、カバノキ科各種(Betulaceae sp.)、ウルシ科各種(Anacardiaceae sp.)、ブナ科各種(Fagaceae sp.)、クワ科各種(Moraceae sp.)、モクセイ科各種(Oleaceae sp.)、マタタビ科各種(Actinidaceae sp.)、クスノキ科各種(Lauraceae sp.)、バショウ科各種(Musaceae sp.)(例えば、バナナの木およびプランタン)、アカネ科各種(Rubiaceae sp.)、ツバキ科各種(Theaceae sp.)、アオギリ科各種(Sterculiceae sp.)、ミカン科各種(Rutaceae sp.)(例えば、レモン、オレンジおよびグレープフルーツ);ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、トマト)、ユリ科各種(Liliaceae sp.)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、レタス)、セリ科各種(Umbelliferae sp.)、アブラナ科各種(Cruciferae sp.)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)、ウリ科各種(Cucurbitaceae sp.)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、エンドウ)、バラ科各種(Rosaceae sp.)(例えば、イチゴ);主要作物(major crop)、例えば、イネ科各種(Graminae sp.)(例えば、トウモロコシ、芝、または、禾穀類、例えば、コムギ、ライムギ、イネ、オオムギおよびライコムギ)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、ヒマワリ)、アブラナ科各種(Cruciferae sp.)(例えば、ナタネ)、マメ科各種(Fabacae sp.)(例えば、ピーナッツ)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、ダイズ)、ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、ジャガイモ)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)(例えば、ビートルート(beetroot));アブラヤシ科各種(Elaeis sp.)(例えば、アブラヤシ(oil palm));園芸作物および森林作物(forest crops);さらに、これら作物の遺伝子組換えが行われた相同物。
【0087】
本発明による方法で防除可能な植物または作物の病害の中で、以下のものを挙げることができる:
うどんこ病(powdery mildew disease)、例えば、
ブルメリア(Blumeria)病、例えば、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)に起因するもの;
ポドスファエラ(Podosphaera)病、例えば、ポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha)に起因するもの;
スファエロテカ(Sphaerotheca)病、例えば、スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)に起因するもの;
ウンシヌラ(Uncinula)病、例えば、ウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator)に起因するもの;
さび病(rust disease)、例えば、
ギムノスポランギウム(Gymnosporangium)病、例えば、ギムノスポランギウム・サビナエ(Gymnosporangium sabinae)に起因するもの;
ヘミレイア(Hemileia)病、例えば、ヘミレイア・バスタトリクス(Hemileia vastatrix)に起因するもの;
ファコプソラ(Phakopsora)病、例えば、ファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)およびファコプソラ・メイボミアエ(Phakopsora meibomiae)に起因するもの;
プッシニア(Puccinia)病、例えば、プッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)、プッシニア・グラミニス(Puccinia graminis)またはプッシニア・ストリイホルミス(Puccinia striiformis)に起因するもの;
ウロミセス(Uromyces)病、例えば、ウロミセス・アペンジクラツス(Uromyces appendiculatus)に起因するもの;
卵菌類による病害(Oomycete disease)、例えば、
アルブゴ(Albugo)病、例えば、アルブゴ・カンジダ(Albugo candida)に起因するもの;
ブレミア(Bremia)病、例えば、ブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)に起因するもの;
ペロノスポラ(Peronospora)病、例えば、ペロノスポラ・ピシ(Peronospora pisi)およびペロノスポラ・ブラシカエ(Peronospora brassicae)に起因するもの;
フィトフトラ(Phytophthora)病、例えば、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)に起因するもの;
プラスモパラ(Plasmopara)病、例えば、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)に起因するもの;
プセウドペロノスポラ(Pseudoperonospora)病、例えば、プセウドペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)およびプセウドペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis)に起因するもの;
ピシウム(Pythium)病、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum)に起因するもの;
葉斑点性、葉汚斑性および葉枯れ性の病害(leaf spot,leaf blotch and leaf blight disease)、例えば、
アルテルナリア(Alternaria)病、例えば、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)に起因するもの;
セルコスポラ(Cercospora)病、例えば、セルコスポラ・ベチコラ(Cercospora beticola)に起因するもの;
クラジオスポリウム(Cladiosporium)病、例えば、クラジオスポリウム・ククメリヌム(Cladiosporium cucumerinum)に起因するもの;
コクリオボルス(Cochliobolus)病、例えば、コクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)(分生子形態:Drechslera、異名:Helminthosporium)またはコクリオボルス・ミヤベアヌス(Cochliobolus miyabeanus)に起因するもの;
コレトトリクム(Colletotrichum)病、例えば、コレトトリクム・リンデムチアヌム(Colletotrichum lindemuthianum)に起因するもの;
シクロコニウム(Cycloconium)病、例えば、シクロコニウム・オレアギヌム(Cycloconium oleaginum)に起因するもの;
ジアポルテ(Diaporthe)病、例えば、ジアポルテ・シトリ(Diaporthe citri)に起因するもの;
エルシノエ(Elsinoe)病、例えば、エルシノエ・ファウセッチイ(Elsinoe fawcettii)に起因するもの;
グロエオスポリウム(Gloeosporium)病、例えば、グロエオスポリウム・ラエチコロル(Gloeosporium laeticolor)に起因するもの;
グロメレラ(Glomerella)病、例えば、グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)に起因するもの;
グイグナルジア(Guignardia)病、例えば、グイグナルジア・ビドウェリイ(Guignardia bidwellii)に起因するもの;
レプトスファエリア(Leptosphaeria)病、例えば、レプトスファエリア・マクランス(Leptosphaeria maculans)およびレプトスファエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)に起因するもの;
マグナポルテ(Magnaporthe)病、例えば、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)に起因するもの;
ミコスファエレラ(Mycosphaerella)病、例えば、ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)、ミコスファエレラ・アラキジコラ(Mycosphaerella arachidicola)およびミコスファエレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis)に起因するもの;
ファエオスファエリア(Phaeosphaeria)病、例えば、ファエオスファエリア・ノドルム(Phaeosphaeria nodorum)に起因するもの;
ピレノホラ(Pyrenophora)病、例えば、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)またはピレノホラ・トリチシ・レペンティス(Pyrenophora tritici repentis)に起因するもの;
ラムラリア(Ramularia)病、例えば、ラムラリア・コロ−シグニ(Ramularia collo−cygni)またはラムラリア・アレオラ(Ramularia areola)に起因するもの;
リンコスポリウム(Rhynchosporium)病、例えば、リンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)に起因するもの;
セプトリア(Septoria)病、例えば、セプトリア・アピイ(Septoria apii)およびセプトリア・リコペルシシ(Septoria lycopersici)に起因するもの;
チフラ(Typhula)病、例えば、チフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)に起因するもの;
ベンツリア(Venturia)病、例えば、ベンツリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis)に起因するもの;
根、莢および茎の病害(root−,sheath and stem disease)、例えば、
コルチシウム(Corticium)病、例えば、コルチシウム・グラミネアルム(Corticium graminearum)に起因するもの;
フサリウム(Fusarium)病、例えば、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)に起因するもの;
ガエウマンノミセス(Gaeumannomyces)病、例えば、ガエウマンノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)に起因するもの;
リゾクトニア(Rhizoctonia)病、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に起因するもの;
サロクラジウム(Sarocladium)病、例えば、サロクラジウム・オリゼ(Sarocladium oryzae)に起因するもの;
スクレロチウム(Sclerotium)病、例えば、スクレロチウム・オリゼ(Sclerotium oryzae)に起因するもの;
タペシア(Tapesia)病、例えば、タペシア・アクホルミス(Tapesia acuformis)に起因するもの;
チエラビオプシス(Thielaviopsis)病、例えば、チエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola)に起因するもの;
トウモロコシ穂軸を含む穂の病害(ear and panicle disease)、例えば、
アルテルナリア(Alternaria)病、例えば、アルテルナリア属種(Alternaria spp.)に起因するもの;
アスペルギルス(Aspergillus)病、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)に起因するもの;
クラドスポリウム(Cladosporium)病、例えば、クラジオスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladiosporium cladosporioides)に起因するもの;
クラビセプス(Claviceps)病、例えば、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)に起因するもの;
フサリウム(Fusarium)病、例えば、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)に起因するもの;
ジベレラ(Gibberella)病、例えば、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)に起因するもの;
モノグラフェラ(Monographella)病、例えば、モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis)に起因するもの;
黒穂病(smut− and bunt disease)、例えば、
スファセロテカ(Sphacelotheca)病、例えば、スファセロテカ・レイリアナ(Sphacelotheca reiliana)に起因するもの;
チレチア(Tilletia)病、例えば、チレチア・カリエス(Tilletia caries)に起因するもの;
ウロシスチス(Urocystis)病、例えば、ウロシスチス・オクルタ(Urocystis occulta)に起因するもの;
ウスチラゴ(Ustilago)病、例えば、ウスチラゴ・ヌダ(Ustilago nuda)に起因するもの;
果実の腐敗性および黴性の病害(fruit rot and mould disease)、例えば、
アスペルギルス(Aspergillus)病、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)に起因するもの;
ボトリチス(Botrytis)病、例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に起因するもの;
ペニシリウム(Penicillium)病、例えば、ペニシリウム・エクスパンスム(Penicillium expansum)およびペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)に起因するもの;
リゾプス(Rhizopus)病、例えば、リゾプス・ストロニファー(Rhizopus stolonifer)に起因するもの;
スクレロチニア(Sclerotinia)病、例えば、スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum)に起因するもの;
ベルチシリウム(Verticillium)病、例えば、ベルチシリウム・アルボアトルム(Verticillium alboatrum)に起因するもの;
種子および土壌が媒介する腐朽性、黴性、萎凋性、腐敗性および苗立ち枯れ性の病害(seed− and soilborne decay,mould,wilt,rot and damping−off disease)
アルテルナリア(Alternaria)病、例えば、アルテルナリア・ブラシキコラ(Alternaria brassicicola)に起因するもの;
アファノミセス(Aphanomyces)病、例えば、アファノミセス・ユーテイケス(Aphanomyces euteiches)に起因するもの;
アスコチタ(Ascochyta)病、例えば、アスコチタ・レンチス(Ascochyta lentis)に起因するもの;
アスペルギルス(Aspergillus)病、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)に起因するもの;
クラドスポリウム(Cladosporium)病、例えば、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)に起因するもの;
コクリオボルス(Cochliobolus)病、例えば、コクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)に起因するもの;
(分生子形態:ドレックスレラ(Drechslera)、ビポラリス(Bipolaris) 別名:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium))
コレトトリクム病(Colletotrichum)、例えば、コレトトリクム・コッコデス(Colletotrichum coccodes)に起因するもの;
フサリウム(Fusarium)病、例えば、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)に起因するもの;
ギベレラ(Gibberella)病、例えば、ギベレラ・ゼエ(Gibberella zeae)に起因するもの;
マクロフォミナ(Macrophomina)病、例えばマクロフォミナ・ファセオリナ(Macrophomina phaseolina)に起因するもの;
ミクロドキウム(Microdochium)病、例えば、ミクロドキウム・ニバレ(Microdochium nivale)に起因するもの;
モノグラフェラ(Monographella)病、例えば、モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis)に起因するもの;
ペニシリウム(ペニシリウム)病、例えば、ペニシリウム・エクスパンスム(Penicillium expansum)に起因するもの;
フォマ(Phoma)病、例えば、フォマ・リンガム(Phoma lingam)に起因するもの;
フォモプシス(Phomopsis)病、例えば、フォモプシス・ソジェ(Phomopsis sojae)に起因するもの;
フィトフトラ(Phytophthora)病、例えば、フィトフトラ・カクトルム(Phytophthora cactorum)に起因するもの;
ピレノホラ(Pyrenophora)病、例えば、ピレノホラ・グラミネア(Pyrenophora graminea)に起因するもの;
ピリクラリア(Pyricularia)病、例えば、ピリクラリア・オリゼ(Pyricularia oryzae)に起因するもの;
ピチウム(Pythium)病、例えば、ピチウム・ウルチマム(Pythium ultimum)に起因するもの;
リゾクトニア(Rhizoctonia)病、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に起因するもの;
リゾプス(Rhizopus)病、例えば、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)に起因するもの;
スクレロチウム(Sclerotium)病、例えば、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)に起因するもの;
セプトリア(Septoria)病、例えばセプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)に起因するもの;
チフラ(Typhula)病、例えば、チフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)に起因するもの;
ベルチシリウム(Verticillium)病、例えば、ベルチシリウム・ダリエ(Verticillium dahliae)に起因するもの;
潰瘍病、てんぐ巣病および枝枯れ病、例えば、
ネクトリア(Nectria)病、例えば、ネクトリア・ガリゲナ(Nectria galligena)に起因するもの:
胴枯れ病、例えば、
モニリニア病、例えば、モニリニア・ラキサ(Monilinia laxa)に起因するもの;
花および果実の奇形を含めた葉ぶくれ病または葉巻病、例えば、
エキソバシジウム(Exobasidium)病、例えば、エキソバシジウム・ベクサンス(Exobasidium vexans)に起因するもの;
タフリナ(Taphrina)病、例えば、タフリナ・デフォルマンス(Taphrina deformans)に起因するもの;
木質植物の衰退病(decline disease)、例えば、
エスカ病(Esca disease)、例えば、フェオモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella clamydospora)、フェオアクレモニウム・アレオフィルム(Phaeoacremonium aleophilum)、ファミチポリア・メディテラネア(Fomitiporia mediterranea)に起因するもの;
ガノデルマ(Ganoderma)病、例えば、ガノデルマ・ボニネンセ(Ganoderma boninense)に起因するもの;
花および種子の病気、
例えば、ボトリチス(Botrytis)病、例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に起因するもの;
塊茎の病気、例えば、
リゾクトニア病、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に起因するもの;
ヘルミントスポリウム病、例えば、ヘルミントスポリウム・ソラニ(Helminthosporium solani)に起因するもの;
根こぶ病、例えば、
プラモディオフィラ(Plamodiophora)病、例えば、プラモディオフィラ・ブラシカエ(Plamodiophora brassicae)に起因するもの。
【0088】
細菌性生物に起因する病気、例えば、
ザントモナス(Xanthomonas)属種、例えば、ザントモナス・キャンペストリス・パソバー・オリゼ(Xanthomonas campestris pv.oryzae);
シュードモナス(Pseudomonas)属種、例えば、シュードモナス・シリンゲ・パソバー・ラクリマンス(Pseudomonas syringae pv.lachrymans);
エルウィニア(Erwinia)属種、例えば、エルウィニア・アミロボーラ(Erwinia amylovora)。
【0089】
本発明による殺菌剤組成物は、材木の表面または内部で発生するであろう菌類病に対しても使用することができる。用語「材木(timber)」は、すべての種の木、そのような木を建築用に加工したすべてのタイプのもの、例えば、ソリッドウッド、高密度木材、積層木材および合板などを意味する。本発明による材木の処理方法は、主に、本発明による1種もしくは複数の化合物または本発明による組成物を接触させることにより行う。これには、例えば、直接的な塗布、噴霧、浸漬、注入、または、別の適切な任意の手段が包含される。
【0090】
本発明による処理方法において通常施用される活性化合物の薬量は、茎葉処理における施用では、一般に、また、有利には、10から800g/ha、好ましくは、50から300g/haである。種子処理の場合は、活性物質の施用薬量は、一般に、また、有利には、種子100kg当たり2から200g、好ましくは、種子100kg当たり3から150gである。
【0091】
本明細書で示されている薬量が本発明による方法を例証するための例として挙げられているということは、明確に理解される。当業者は、特に処理対象の植物または作物の性質に応じて、該施用薬量を適合させる方法を理解するであろう。
【0092】
本発明による殺菌剤組成物は、さらにまた、遺伝子組換え生物の本発明による化合物または本発明による農薬組成物による処理においても使用することができる。遺伝子組換え植物は、対象のタンパク質をコードする異種の遺伝子がゲノムに安定的に組み込まれている植物である。「対象のタンパク質をコードする異種の遺伝子(heterologous gene encoding a protein of interest)」という表現は、本質的に、形質転換された植物に新しい農業的特性を付与する遺伝子を意味する、または、遺伝子組換え植物の農業的品質を改善するための遺伝子を意味する。
【0093】
本発明による化合物または混合物は、さらにまた、例えば、真菌症、皮膚病、白癬菌性疾患(trichophyton disease)およびカンジダ症、または、アスペルギルス属種(Aspergillus spp.)(例えば、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus))に起因する疾患のようなヒトまたは動物の菌類病を治療的または予防的に処置するのに有用な組成物を調製するのに使用することもできる。
【0094】
本発明の様々な態様について、化合物の例についての下記表および下記調製実施例を参照して説明する。
【0095】
以下の表は、本発明による化合物の例について非限定的に例証している。
【0096】
下記表において、「M+H」(または「M−H」)は、それぞれ、質量分析において観察された分子イオンピークプラス1a.m.u.(原子質量単位)またはマイナス1a.m.u.(原子質量単位)を意味し、M(ApcI+)は、質量分析におけるポジティブ大気圧化学イオン化法で見出された分子イオンピークを意味する。
【0097】
下記表において、logP値は、EEC Directive 79/831 Annex V.A8に従い、下記方法を用いて、逆相カラム(C18)でのHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)により決定した:
温度:40℃;移動相:0.1%水性ギ酸およびアセトニトリル;10%アセトニトリルから90%アセトニトリルまでの直線勾配。
【0098】
較正は、logP値が知られている非分枝鎖アルカン−2−オン(3から16個の炭素原子含有)を用いて実施した(logP値は、連続する2種のアルカノンの間の線形補間を用いて、保持時間により決定)。
【0099】
ラムダマックス値は、190nmから400nmの紫外線スペクトルを用いて、クロマトグラフシグナルの最大値で決定した。
【0100】
下記実施例により、本発明による式(I)の化合物の調製について非限定的に例証する。
【0101】
【化11】

【0102】
【表1】

























【0103】
一般調製実施例1:Optimizer(商標)マイクロ波装置での式(I)のアミド誘導体の調製
8mlのOptimizer(商標)バイアルに、1.7mmolのアミン(II)を計量する。アセトニトリル中の塩化アシル(III)(2mmol)の1モル溶液の2mlを添加し、次いで1mlのトリエチルアミンを添加する。このバイアルを密封し、周囲温度で10秒、予備攪拌し、次いでマイクロ波下で、180℃で60秒間加熱する。冷却後、このバイアルを開け、10mlの炭酸カリウムの飽和溶液に注ぐ。水相を5mlのジクロロメタンで2回抽出する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥する。溶媒を除去し、粗製アミドをLCMSおよびNMRで分析する。十分に純粋ではない化合物を、分取LCMSでさらに精製する。
【0104】
一般調製実施例2:Chemspeed(商標)装置での式(I)のアミド誘導体の加硫
13mlのChemspeed(商標)バイアルに、0.27mmolの五硫化リン(P)を計量する。ジオキサン中のアミド(I)の0.18mol溶液の3ml(0.54mmol)を添加し、この混合物を、2時間加熱還流する。次いで、温度を80℃に冷却し、2.5mlの水を添加する。この混合物を、80℃でもう1時間加熱する。次いで、2mlの水を添加し、この反応混合物を、4mlのジクロロメタンで2回抽出する。有機相を塩基性アルミナカートリッジ(2g)に置き、8mlのジクロロメタンで2回溶離する。溶媒を除去し、粗製チオアミドを、LCMSおよびNMRで分析する。十分に純粋ではない化合物を、分取LCMSでさらに精製する。
【0105】
効力実施例A:ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)(オオムギ網斑病)のインビボ予防試験
試験する活性成分を、アセトン/tween/DMSOの混合物中で均質化することによって調製し、次いで、水で希釈して所望の活性物質濃度を得る。
【0106】
50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し、12℃で生育させたスターターカップ(starter cup)内のオオムギ植物(品種Express)を、1葉期(草丈10cm)で、上記の通り調製した活性成分を噴霧することにより処理する。対照として使用する植物は、活性物質を含まないアセトン/tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0107】
24時間経過した後、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)の胞子の水性懸濁液(1mL当たり12,000胞子)を噴霧することにより、該植物を汚染する。この胞子は、15日間培養したものから採取する。汚染されたオオムギ植物を、約20℃、相対湿度100%で24時間インキュベートし、次いで、相対湿度80%で12日間インキュベートする。
【0108】
上記汚染から12日間経過した後、対照植物と比較して、等級付けを行う。これらの条件下、以下の化合物を500ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも70%)または完全な保護が観察される:1、2、3、6、8、9、11、12、16、18、24、25、26、27、33、36、40、42、47、50、54、55、57、58、59、64、65、66、67、69、71、72、75、79、80、81、82、83、85、86、87、88、89、100、109、116、119、120、145、149、166、167、168、176、177、178、204、213、214、222、226、227、228、240、241および242。
【0109】
効力実施例B:スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)(ウリ類うどんこ病)のインビボ予防試験
試験する活性成分を、アセトン/tween/DMSOの混合物中で均質化することによって調製し、次いで、水で希釈して所望の活性物質濃度を得る。
【0110】
50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し20℃/23℃で生育したスターターカップ(starter cup)中のガーキン植物(品種Vert petit de Paris)を、上記に記載された水性懸濁液を噴霧することによって双葉期(the 2 first leaves stage)に処理する。対照として使用される植物は、活性成分を含んでいないアセトン/tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0111】
24時間経過した後、スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)の胞子の水性懸濁液(1mL当たり100,000胞子)を噴霧することにより、該植物を汚染する。この胞子は、汚染された植物から採取する。汚染されたガーキン植物を、約20℃/25℃および相対湿度60/70%でインキュベートする。
【0112】
上記汚染から11−12日間経過した後、対照植物と比較して、等級付け(効力%)を行う。
【0113】
これらの条件下、以下の化合物を500ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも70%)または完全な保護が観察される:2、6、8、11、12、17、18、22、23、25、26、36、40、41、42、47、49、50、51、53、55、56、57、58、59、63、64、65、66、67、69、70、71、72、74、75、79、80、81、82、83、85、86、87、88、89、100、105、109、120、128、129、136、137、138、149、157、158、159、166、167、168、176、177、178、180、185、194、195、196、198、204、205、221、222、240、241および242。
【0114】
効力実施例C:マイコスファレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)(小麦斑点病)のインビボ予防試験
試験する活性成分を、アセトン/tween/DMSOの混合物中で均質化することによって調製し、次いで、水で希釈して所望の活性物質濃度を得る。
【0115】
スターターカップ中で50/50泥炭土−ポゾランの底土に播種し、12℃で生育した小麦植物(品種Scipion)を、上記に記載の通り調製した活性成分を噴霧することによって1葉期(草丈10cm)に処理する。
【0116】
対照として使用される植物は、活性成分を含んでいないアセトン/tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0117】
24時間経過した後、ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)の胞子の水性懸濁液(1mL当たり500,000胞子)を噴霧することにより、該植物を汚染する。この胞子は、7日間培養したものから採取する。汚染されたコムギ植物を、18℃、相対湿度100%で72時間インキュベートし、次いで、相対湿度90%で21から28日間インキュベートする。
【0118】
上記汚染から21から28日間経過した後、対照植物と比較して、等級付け(効力%)を行う。
【0119】
これらの条件下、以下の化合物を500ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも70%)または完全な保護が観察される:1、2、5、6、7、8、9、11、17、18、22、23、24、26、27、32、33、34、36、40、41、47、48、49、50、51、53、54、55、56、57、58、59、63、64、65、67、69、70、71、74、75、79、80、81、83、84、85、86、87、88、89、94、96、97、100、105、109、115、116、119、120、128、129、134、136、137、138、140、145、146、147、149、155、157、158、161、164、166、167、168、170、172、174、176、177、178、180、183、185、186、187、190、192、194、195、221、225、226、227、228、229、240、241および242。
【0120】
効力実施例D:プッシニア・レコンジタf属種トリチシ(小麦褐さび病)のインビボ試験
試験する活性成分を、アセトン/tween/DMSOの混合物中で均質化することによって調製し、次いで、水で希釈して所望の活性物質濃度を得る。
【0121】
50/50泥炭土−ポゾランの底土に播種し、12℃で生育したスターターカップ中の小麦植物(品種Scipion)を、上記に記載の通り調製した活性成分を噴霧することによって1葉期(草丈10cm)に処理する。対照として使用される植物は、活性成分を含んでいないアセトン/tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0122】
24時間後、植物を、プッシニア・レコンジタ胞子の水性懸濁液(1ml当たり100,000胞子)を葉に噴霧することによって汚染する。胞子を10日間経過の汚染した小麦から回収し、2.5ml/lのtween80の10%を含む水に懸濁する。汚染した小麦植物を、20℃および相対湿度100%において24時間インキュベートし、次いで20℃および相対湿度70%において10日間インキュベートする。等級付けを、対照の植物と比較して、汚染後10日に実施する。
【0123】
これらの条件下で、良好(少なくとも70%)または完全な保護が、以下の化合物:1、2、9、16、24、25、26、36、47、49、54、57、58、63、64、65、66、67、80、83、85、87、88、89、94、100、109、119、120、134、136、137、138、140、149、158、167、176、177、178、240および242で、500ppmの薬量で観察されている。
【0124】
実施例E:アルテルナリア・ブラシカエ(アブラナ科植物の斑点病)のインビボ試験
試験する活性成分を、アセトン/tween/DMSOの混合物中で均質化することによって調製し、次いで、水で希釈して所望の活性物質を得る。
【0125】
スターターカップ中で50/50泥炭土−ポゾランの底土に播種し、18−20℃で生育したダイコン植物(品種Pemot)を、上記に記載の通り調製した活性成分を噴霧することによって子葉期に処理する。
【0126】
対照として使用される植物は、活性成分を含んでいないアセトン/tween/水の混合物で処理する。
【0127】
24時間後、植物を、アルテルナリア・ブラシカエ胞子の水性懸濁液(1cm当たり40,000胞子)をこれに噴霧することによって汚染する。胞子を12から13日経過の培養物から回収する。
【0128】
汚染したダイコン植物を、約18℃で、湿潤雰囲気下で6−7日間インキュベートする。
【0129】
等級付けを、対照の植物と比較して、汚染後6から7日に実施する。
【0130】
これらの条件下で、良好な保護(少なくとも70%)が、以下の化合物:2、6、12、16、18、26、47、49、57、65、66、67、69、79、80、83、166、167、176、204、213、214および240で、500ppmの薬量で観察されている。
【0131】
実施例F:ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)(灰色カビ病)のインビボ試験
試験する活性成分を、アセトン/tween/DMSOの混合物中で均質化することによって調製し、次いで、水で希釈して所望の活性物質を得る。
【0132】
スターターカップ中で50/50泥炭土−ポゾランの底土に播種し、18−20℃で生育したガーキン植物(品種Vert petit de Paris)を、上記に記載の通り調製した活性成分を噴霧することによって子葉Z11期に処理する。
【0133】
対照として使用される植物は、活性物質を含んでいない水性溶液で処理する。
【0134】
24時間後、植物を、ボトリチス・シネレア胞子の水性懸濁液(1ml当たり150,000胞子)の液滴を葉の上面に置くことによって汚染する。胞子を15日経過の培養物から回収し、
−20g/Lのゼラチン、
−50g/LのD−フルクトース、
−2g/LのNHNO
−1g/LのKHPO
からなる栄養溶液中に懸濁する。
【0135】
汚染されたキュウリ植物を、15−11℃(昼/夜)および相対湿度80%で、人工気象室(climatic room)中で5−7日間静置する。
【0136】
等級付けを、対照植物と比較して汚染後5/7日に実施する。
【0137】
これらの条件下で、良好(少なくとも70%)な保護が、以下の化合物:36、64、65、67、80および89で500ppmの薬量で観察されている。
【0138】
実施例G:ペロノスポラ・パラシチカ(Peronospora parasitica)(アブラナ科植物のべと病)のインビボ試験
試験する活性成分を、アセトン/tween/DMSOの混合物中で均質化することによって調製し、次いで、水で希釈して所望の活性物質を得る。
【0139】
50/50泥炭土−ポゾランの底土に播種し、18−20℃で生育したスターターカップ中のキャベツ植物(品種Eminence)を、上記に記載された水性懸濁液を噴霧することによって子葉期に処理する。対照として使用される植物は、活性物質を含んでいない水性溶液で処理する。24時間後、植物を、ペロノスポラ・パラシチカ胞子の水性懸濁液(1ml当たり50000胞子)を、これに噴霧することによって汚染する。感染した植物から胞子を回収する。汚染されたキャベツ植物を、20℃で、湿潤雰囲気下で5日間インキュベートする。等級付けを対照植物と比較して汚染後5日に実施する。
【0140】
これらの条件下で、良好(少なくとも70%の病害防除)ないし完全な保護(100%の病害防除)が、以下の化合物:本発明による2、6、8、19、27、48、49、57、73、75、83、84、87、88、94、99、108、109、129、134、135、136、149、155、164、169、174、176、179、183、198、219および240で、500ppmの薬量で観察されており、一方、不十分な保護(30%未満の病害防除)ないし完全な非保護が、国際公開第2006/120224号に開示された実施例5、45および50の化合物で500ppmの薬量で観察されている。
【0141】
国際公開第2006/120224号に開示された実施例5、45および50は、それぞれ以下の化合物:
N−シクロプロピル−N−[(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−メチレン]−2,5−ジメチル−フラン−3−カルボキサミド、
N−シクロプロピル−N−[(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−メチレン]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−シクロプロピル−N−[(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−メチレン]−5−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
に対応している。
【0142】
これらの結果は、本発明による化合物は、国際公開第2006/120224号に開示された構造的に最も近い化合物と比べて格段に良好な生物活性を有することを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
Aは、(最大4個の基Rで置換されていることができる)炭素に結合した、不飽和または部分飽和、5員ヘテロシクリル基を表し、
Bは、
【化2】

(式中、
からWは、独立に、NもしくはCRb1を表し、
からYは、独立に、N、O、S、NRb2もしくはCRb3を表し、
からYは、これらが結合している原子Wと一緒になって、(最大4個のヘテロ原子を含む)芳香族5もしくは6員縮合ヘテロシクリル環、もしくは芳香族6員縮合カルボシクリル環を形成しており、
pは、1もしくは2を表す。)を表し、
Tは、O、S、N−R、N−OR、N−NRもしくはN−CNを表し、
は、置換されていないC−C−シクロアルキルもしくは(同じもしくは異なっていることができ、ハロゲン原子、シアノ、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルコキシカルボニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C−アルキル)アミノカルボニルからなるリストから選択することができる)最大10個の原子もしくは基で置換されたC−C−シクロアルキルを表し、
およびZは、独立に、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、シアノ、ニトロ、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルスルフェニル、アミノ、C−C−アルキルアミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−(C−C−アルキル)カルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイルを表し、または
およびZは、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換されたもしくは置換されていないC−C−シクロアルキルを形成していることができ、
は、独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノ、スルファニル、ヒドロキシル、ペンタフルオロ−λ−6−スルファニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、トリ(C−C−アルキル)シリル、トリ(C−C−アルキル)シリル−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルファニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルケニル、C−C−アルキニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−アルコキシイミノ、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C−アルキル)アミノカルボニルを表し、
およびRは、同じもしくは異なっていることができ、水素原子、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルケニル、C−C−アルキニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノシクロアルキル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、最大5個のQ基で置換されていることができるフェニル、最大6個のQ基で置換されていることができるナフチル、最大5個のQ基で置換されていることができるフェニルメチレン、最大5個のQ基で置換されていることができるフェニルスルホニルを表し、
b1およびRb3は、独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、スルファニル、アミノ、ペンタフルオロ−λ6−スルファニル、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルキルアミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−アルコキシ、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルファニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルキルスルフェニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、C−C−アルケニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルケニル、C−C−アルキニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキニル、C−C−アルケニルオキシ、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノシクロアルキル、ホルミル、ホルミルオキシ、ホルミルアミノ、カルボキシ、カルバモイル、N−ヒドロキシカルバモイル、カルバメート、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−(C−C−アルキル)アミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルコキシイミノ、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、トリ(C−C−アルキル)シリル、トリ(C−C−アルキル)シリル−C−C−アルキル、最大5個のQ基で置換されていることができるフェニル、最大5個のQ基で置換されていることができるベンジルオキシ、最大5個のQ基で置換されていることができるベンジルスルファニル、最大5個のQ基で置換されていることができるベンジルアミノ、最大5個のQ基で置換されていることができるフェノキシ、最大5個のQ基で置換されていることができるフェニルアミノ、最大5個のQ基で置換されていることができるフェニルスルファニル、最大5個のQ基で置換されていることができるベンジル、最大4個のQ基で置換されていることができるピリジニルおよび最大4個のQ基で置換されていることができるピリジニルオキシを表し、
b2は、水素原子、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルケニル、C−C−アルキニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノシクロアルキル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、最大5個のQ基で置換されていることができるフェニルスルホニル、最大5個のQ基で置換されていることができるベンジルを表し、
Qは、同じもしくは異なっていることができ、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシ、トリ(C−C)アルキルシリルおよびトリ(C−C)アルキルシリル−C−C−アルキル、C−C−アルコキシイミノ、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキルを表す。]
の化合物、ならびにこれらの塩、N−オキシド、金属錯体、半金属錯体および光学活性または幾何異性体、ただし、N−シクロプロピル−N−((6,8−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)メチル)−フラン−2−カルボキサミド、N−シクロプロピル−N−((6−エトキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)メチル)−フラン−2−カルボキサミド、N−シクロプロピル−N−((6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)メチル)−フラン−2−カルボキサミド、N−シクロプロピル−N−((7,8−ジヒドロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−4−イル)メチル)−4−メチルチアゾール−5−カルボキサミドおよびN−シクロプロピル−N−((8−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−4−イル)メチル)−4−メチルチアゾール−5−カルボキサミドとは異なる式(I)の化合物。
【請求項2】
Aが、
【化3】

[式中、
−*は、カルボニル部分への結合点を表し、
は、O、SまたはNRa1を表し、
a1は、水素原子、C−C−アルキル、同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルを表し、
a2およびRa3は、同じまたは異なっていることができ、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C−C−アルキル、同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシまたは同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−シクロアルキルを表し、
a4は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C−C−アルキル、同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシまたは同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルスルファニル、アミノ、C−C−アルキルアミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−アルキルオキシカルボニルを表す。]
からなるリストから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、
【化4】

[式中、
−*は、カルボニル基への結合点を表し、
は、O、SまたはNRa1を表し、
a1は、水素原子、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルを表し、
a2は、C−C−アルキル、同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシを表し、
a3は、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキルを表し、
a4は、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルを表す。]
からなるリストから選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、Aを表し、
が、NRa1を表し、
a1が、C−C−アルキルを表し、
a2およびRa3が、同じもしくは異なっていることができ、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルを表し、または
Aが、Aを表し、
が、Sを表し、
a2が、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルを表し、
a4が、水素原子、C−C−アルキル、同じもしくは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキルを表す、
請求項1から3に記載の化合物。
【請求項5】
Bが、
【化5】

[式中、
からW、Y1a、Y2a、Y3aおよびY3bは、独立に、NRb2またはCRb3を表し、
2bは、O、SまたはNRb2を表す。]
からなるリストから選択される、請求項1から4に記載の化合物。
【請求項6】
Bが、BもしくはBを表し、
からW、Y1a、Y2a、Y3aおよびY3bが、独立に、CRb3を表し、または
Bが、BもしくBを表し、
からW、Y1aおよびY3aが、独立に、CRb1を表し、
2bが、Sを表す、
請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Tが、OまたはSを表す、請求項1から6に記載の化合物。
【請求項8】
が、シクロプロピルを表す、請求項1から7に記載の化合物。
【請求項9】
およびZが、独立に、水素原子またはC−Cアルキルを表す、請求項1から8に記載の化合物。
【請求項10】
Qが、ハロゲン原子、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルキル、同じまたは異なっていることができる最大9個のハロゲン原子を含むC−C−ハロゲノアルコキシを表す、請求項1から9に記載の化合物。
【請求項11】
活性成分として、請求項1から10に記載の式(I)の化合物の有効量および農業上許容される支持体、担体または増量剤を含む殺真菌剤組成物。
【請求項12】
農学的に有効でおよび実質的に植物に対して毒性を示さない量の請求項1から10に記載の化合物または請求項11に記載の組成物を、植物が生育しているもしくは生育し得る土壌に、植物の葉および/もしくは果実に、または植物の種子に施用することを特徴とする、作物の植物病原性菌類を防除するための方法。

【公表番号】特表2010−534716(P2010−534716A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518674(P2010−518674)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060040
【国際公開番号】WO2009/016221
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(503325538)バイエル・クロツプサイエンス・エス・アー (73)
【Fターム(参考)】