説明

比較回路、および赤外線受信機

【課題】誤動作防止能力を有しつつ、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することができる比較回路を提供する。
【解決手段】比較回路10は、入力パルス信号の切り替わりに応じて、充放電電流により容量105を交互に充放電する充放電回路100と、容量105の容量電圧(Csig)と、第1の閾値電圧(Vth1)、および第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧(Vth2)とをそれぞれ比較することによって、比較結果に応じたパルス信号を生成し、該パルス信号を出力パルス信号のレベルを切り替える信号として出力信号生成回路550に出力するコンパレータ回路200と、上記生成されたパルス信号から、充放電回路100の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して充放電回路100に出力することにより、充放電電流の電流値を調整する論理処理回路300とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較回路に関し、特に、例えばICに内蔵された赤外線受信機やキャリアを含む信号の復調器などにおけるヒステリシスコンパレータ回路を有する比較回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、赤外線通信手段を採用する機器が広く使用されている。上記機器としては、例えば、家電製品のリモコンなどの赤外線通信受信機が挙げられる。一般的に、赤外線通信受信機では、回路上の誤動作を防止するため、出力回路にヒステリシスコンパレータ回路が備えられている。ヒステリシスコンパレータ回路は、チャタリングなどの回路的な誤動作を防止する役割がある。
【0003】
また、上記赤外線通信手段としては、例えば、IrDA(Infrared Data Association)受信用デバイス(赤外線受信用デバイス)、および赤外線リモコン受信デバイスがある。上記各デバイスの通信レート、パルス幅、およびパルス周期の仕様を、表1に示す。
【0004】
【表1】

【0005】
ところで、一般的に、赤外線受信用デバイスでは、受信距離によりパルス幅が変動する問題があり、受信距離によってはパルス幅仕様を満たせず、通信エラーとなる場合がある。よって、ヒステリシスコンパレータ回路を備えることによる従来の誤動作防止能力を維持しつつ、出力パルス幅が安定する赤外線受信機の開発が要望されている。
【0006】
また、近年ではワイヤレスキーボードなどのマルチメディア機器において、高速伝送または低消費電力駆動を目的とした短周期・短パルス幅の送信コードを用いた赤外線リモコンシステムを搭載する機器が増加している。これにより、さらに、上記短周期・短パルス幅の送信コードが受信可能な赤外線受信機の開発が要望されている。
【0007】
ここで、例えば、特許文献1および特許文献2に、上記要望に対するヒステリシスコンパレータ回路が開示されている。そこで、従来例として、上記各特許文献に記載されているヒステリシスコンパレータ回路方式を用いた比較回路2000について、図23〜25を参照しながら説明する。
【0008】
図23は、従来のヒステリシスコンパレータ回路方式を用いた比較回路2000の一構成例を示す回路図である。図24は、比較回路2000におけるヒステリシスコンパレータ回路2200の詳細な構成例を示す回路図である。図25は、比較回路2000の動作波形である。
【0009】
比較回路2000は、図23に示すように、容量2109(容量値Cx)を充放電する充放電回路2100、ヒステリシスコンパレータ回路2200、出力回路2300、充放電回路2100に信号を入力するための入力部2001、および出力回路2300から出力される信号を出力するため出力部2002から構成される。
【0010】
なお、図中、MNはNチャネルMOSFET、MPはPチャネルMOSFETを示し、ゲート/ソース間にMOSFETの閾値電圧(Vth)以上の電圧が印加されると、ドレイン/ソース間が導通し、電流が流れる。以下、ゲート/ソース間電圧をVgsと略記する。また、ドレイン/ソース間が導通することをON、一方ドレイン/ソース間が導通しないことをOFFとする。
【0011】
まず、充放電回路2100の基本動作について、図23および25を参照しながら、構成の説明を兼ねて説明する。
【0012】
充放電回路2100では、入力部2001にパルス信号すなわち入力電圧(Vin)が入力されると、Vin=Lowの場合は、MN2105に閾値電圧よりも小さいVgsが印加され、MN2105=OFFとなる。その結果、電流源2108から出力される定電流Iyは、MN2106およびMN2107で構成されるカレントミラーで折り返され、容量2109から定電流Iyが引っ張られる。すなわち、容量2109が放電される。
【0013】
このとき、反対にMP2101=ONとなるため、電流源2104から出力される定電流IxはVcc〜MP2101〜GNDのパスで流れるので、MP2102およびMP2103には電流が流れない。したがって、Vin=Lowの場合、容量2109は放電されている状態となる。
【0014】
同様の原理で、Vin=Hiの場合は、MP2101=OFF、MN2105=ONとなる。よって、MP2101=OFFの場合、定電流IxはMP2102およびMP2103で構成されるカレントミラーで折り返され、容量2109に定電流Ixが流れる。すなわち、容量2109が充電される。そして、反対にMN2105=ONとなるため、定電流IyはVcc〜MN2105〜GNDのパスで流れるので、MN2106およびMN2107には電流が流れない。したがって、Vin=Hiの場合、容量2109は充電されている状態となる。
【0015】
また、容量2109の電圧値を示す容量電圧(Csig_x)は、Vin=HiおよびVin=Lowの場合、すなわち充電および放電の場合によって、その電圧値が変動する。
【0016】
図25に示すように、A点でVin=Hiになると、容量2109は充電され始めるので、Csig_xが上昇する。そして、A→C点まで一定の時定数でCsig_xは上昇し、Vccまで上昇したC点で充電が飽和状態となり、一定のCsig_xとなる。また、D点でVin=Lowになると、容量2109は放電され始めるので、Csig_xは下降する。そして、D→F点まで一定の時定数でCsig_xは下降し、GND(0V)まで下降したF点で放電しきり、一定のCsig_xとなる。
【0017】
次に、ヒステリシスコンパレータ回路2200、およびヒステリシスコンパレータ回路2200の出力側に接続される出力回路2300の基本動作について、図23〜25を参照しながら、構成の説明を兼ねて説明する。
【0018】
ヒステリシスコンパレータ回路2200は、図23に示すように、コンパレータ回路部2201、およびヒステリシス特性を有するヒステリシス閾値電圧(Vth_his)を発生する基準電源2202を備え、充放電回路2100のCsig_xとVth_hisとを比較する。詳細には、ヒステリシスコンパレータ回路2200は、図24に示すように、入力電圧(+in)としてCsig_xを入力し、Csig_xとVth_hisとを比較した結果に応じて、出力電流(Iout)を出力する。その際、比較結果に応じて、Vth_hisの値は変動する。これについて、以下に説明する。
【0019】
(i)+in<Vth_hisの場合
電流源2220から出力される定電流Iwは、MN2211を流れ、MP2213およびMP2214で構成されるカレントミラーで折り返され、抵抗2217(抵抗値Ry)および抵抗2216(抵抗値Rx)を流れる。よって、Vth_hisは以下の式(1)となる。
【0020】
Vth_his=Vth_H=Rx×Iv+(Rx+Ry)×Iw ・・・式(1)
(なお、Vth_HのHは、Highを示す)
この時、MN2212には電流が流れないので、Iout=0となる。
【0021】
(ii)+in>Vth_hisの場合
電流源2220から出力される定電流IwはMN2212を流れるため、R2218(抵抗値Rz)にRz×Iwの電圧降下が生じる。よって、MP2215のゲート/ソース間に閾値電圧以上の電圧が印加されるので、MP2215がONし、Ioutが出力される。この時、MN2211には電流が流れないので、Vth_hisは以下の式(2)となる。
【0022】
Vth_his=Vth_L=Rx×Iv ・・・式(2)
(なお、Vth_LのLは、Lowを示す)
したがって、上記(i)および(ii)の場合により、ヒステリシス電圧幅は、
Vhis=Vth_H−Vth_L=(Rx+Ry)×Iw ・・・式(3)
となる。
【0023】
また、出力回路2300において、上記(i)の場合はIout=0であるので、MN2301およびMN2302はOFFとなることにより、出力電圧(Vout)はHi(=Vcc)となる。また、上記(ii)の場合は、Ioutが流れ、MN2301およびMN2302がONするため、出力電圧VoutはLow(=GND)となる。
【0024】
ここで、Vin=Hi、およびVin=Lowの場合における、Voutの変動について、図25を参照しながら説明する。
【0025】
図25に示すように、Csig_xがA点の時はCsig_x<Vth_hisであるので、Vth_hisはVth_Hとなることにより、Vout=Hiである。また、Csig_xがB点まで充電されると、Csig_x>Vth_Hとなるため、Vth_hisはVth_Lに下がり、Vout=Lowとなる。さらに、Csig_xがE点まで放電されると、Csig_x<Vth_hisとなるため、Vth_hisはVth_Hに上がり、Vout=Hiとなる。
【0026】
また、図25において、パルス幅をpw、VinがHiに上がってからVoutがLowに落ちるまでの反応の遅れ時間をt1、VinがLowに落ちてから出力電圧VoutがHiに上がるまでの反応の遅れ時間をt2、VinがLowに落ちてからCsig_xがLowまで放電しきる時間をt3とする。容量2109は、図23に示す定電流Ixで充電、および定電流Iyで放電されるため、上記t1〜t3は以下の式(4)〜(6)となる。
【0027】
t1=Cx×(Vth_H−0)/Ix=Cx×Vth_H/Ix ・・・式(4)
t2=Cx×(Vcc−Vth_L)/Iy ・・・式(5)
t3=Cx×(Vcc−0)/Iy=Cx×Vcc/Iy ・・・式(6)
次に、比較回路2000におけるチャタリングなどの誤動作対策について、図26を参照しながら説明する。図26は、比較回路2000の誤動作時の動作波形である。
【0028】
図26に示すように、ノイズなどによりVinのパルスに割れ(図中のγ)が生じた場合であっても、Csig_xはt/V=Cx/Iyの時定数で放電する。よって、Csig_xは急激にVth_his以下にならない。また、Vth_hisに式(3)のVhisを持たせてあるため、Voutが誤動作しにくくなっている。
【特許文献1】実開平1−132127号公報(1989年9月7日公開)
【特許文献2】特開2003−152509号公報(平成15年5月23日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
しかしながら、上記比較回路2000では、チャタリングなどの誤動作を防止するために、Csig_xがt/V=Cx/Iyの時定数で放電しているので、Csig_xがHiからLowレベルまで放電しきる時間(t3)が長い。これにより、VinのパルスのLow期間(Toff)がt3よりも短い場合、Voutの1パルス目の周期(T)が短くなってしまうという問題点を有している。これについて、図27を参照しながら説明する。
【0030】
図27(a)は、Toff>t3の場合の比較回路2000の動作波形であり、図27(b)は、Toff<t3の場合の比較回路2000の動作波形である。Tはパルス周期を示し、TonはパルスがHiの期間を示し、ToffはパルスがLowの期間(休止期間)を示す。なお、Vinには周期T(Ton+Toff)のパルスが、時刻t=0から連続で入力するものとする。
【0031】
Toff>t3の場合は、図27(a)に示すように、2パルス目が入力されるまでにCsig_xがLowまで放電しきるため、Voutの周期は正常である。
【0032】
Toff<t3の場合は、図27(b)に示すように、Csig_xが放電しきらないままに、2パルス目のVinが入力されてしまうため、2パルス目のCsig_xの充電時間は図中のaからbまでの時間分だけ短くなる。つまり、Voutにおいて、2パルス目がLowに落ちるまでの時間が、図27(a)に示すToff>t3の場合のようにCsig_xの重なりが無い場合に比べて、aからbまでの時間分だけ短くなり、結果としてVoutの1パルス目の周期が、Vinのパルス周期に比べて短くなってしまうという問題が生じる。
【0033】
ここで、Csig_xの波形の重なりを回避するために、Csig_xの放電時間を短く設定、つまり図27(b)に示すVinのパルスに対して、t3x<Toff<t3(t3xは放電時間を短くした場合のt3のこと)となるように設定すれば、上記問題は解消されるが、放電時間を短くすると、図26に示したチャタリングなどの誤動作防止能力は低下することになる。このように、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力と誤動作防止能力とは、トレードオフの関係にあるという問題点がある。
【0034】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、誤動作防止能力を有しつつ、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することができる比較回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明の比較回路は、上記課題を解決するために、入力パルス信号のHighレベルとLowレベルとの切り替わりに応じて、充電動作と放電動作とが交互に切り替わり、充放電電流により容量を充放電する充放電回路と、上記容量の容量電圧と所定の閾値電圧とを比較する第1のコンパレータ回路と、上記第1のコンパレータ回路から出力される第1のパルス信号から、出力パルス信号を生成して出力する出力信号生成回路とを備える比較回路において、上記第1のコンパレータ回路は、上記容量電圧と、第1の閾値電圧、および上記第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧とをそれぞれ比較することによって、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧よりも小さい場合、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧と上記第2の閾値電圧との間にある場合、および上記容量電圧が上記第2の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた上記第1のパルス信号を生成し、上記容量の充電時に、上記容量電圧が充電されて上記第2の閾値電圧よりも大きくなると、上記第1のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に出力し、また、上記容量の放電時に、上記容量電圧が放電されて上記第1の閾値電圧よりも小さくなると、上記第1のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に出力し、上記生成された第1のパルス信号から、上記充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して上記充放電回路に出力することにより、上記充放電電流の電流値を調整する電流値調整手段を備えていることを特徴としている。
【0036】
上記の構成によれば、第1のコンパレータ回路が、容量電圧と、第1の閾値電圧、および第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧とをそれぞれ比較することによって、容量電圧が第1の閾値電圧よりも小さい場合、容量電圧が第1の閾値電圧と第2の閾値電圧との間にある場合、および容量電圧が第2の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた第1のパルス信号が生成される。
【0037】
そして、容量の充電時に、容量電圧が充電されて第2の閾値電圧よりも大きくなると、第1のパルス信号が出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として出力信号生成回路に出力されることにより、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替わる。
【0038】
また、容量の放電時に、容量電圧が放電されて第1の閾値電圧よりも小さくなると、第1のパルス信号が出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として出力信号生成回路に出力されることにより、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替わる。
【0039】
よって、容量の充電と放電とが交互に切り替わることによって、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替わる。すなわち、第1のコンパレータが出力する第1のパルス信号によって、出力パルス信号のパルス周期が決定されている。
【0040】
また、電流値調整手段が、第1のコンパレータ回路で生成された第1のパルス信号から、充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して充放電回路に出力することにより、充放電電流の電流値が調整されるので、容量の充電時間および放電時間が調整される。
【0041】
次いで、容量の充電時間および放電時間が調整された状態で、第1のコンパレータ回路が、上記同様に比較し、第1のパルス信号を出力信号生成回路に出力するので、出力信号生成回路では、容量の充電時間および放電時間が調整された状態に応じた第1のパルス信号から、HighレベルとLowレベルとが切り替えられた出力パルス信号が生成され出力されることになる。
【0042】
よって、放電時間を短縮すれば、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが早く切り替わることになるので、短縮された時間だけ、入力パルス信号に連続して次のパルスが入力されるまでの休止期間が短くなっても、出力されるパルスの周期は影響を受けない。それゆえ、入力パルスおよび出力パルスの周期ずれが発生せず、連続して入力される次のパルスにおいても、入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力することが可能となる。
【0043】
したがって、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することが可能となる。
【0044】
また、充放電回路では、第1のコンパレータ回路から、容量電圧が第1の閾値電圧と第2の閾値電圧との間にある場合に応じた第1のパルス信号が出力される場合、充放電電流の電流値を小さくするように調整することによって、充放電時間を長く設定することにより、入力パルスに割れが生じた場合であっても、容量電圧は、第1の閾値電圧よりも小さくならない。
【0045】
よって、入力パルスに割れが生じている場合であっても、容量電圧は、第1の閾値電圧よりも小さくならないことにより、第1のコンパレータ回路は、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替えるための第1のパルス信号を出力信号生成回路に出力しないので、出力パルスはパルス割れの影響を受けずに正常に出力される。したがって、入力パルスの誤動作時であっても、出力パルスの誤動作を防止することが可能となる。
【0046】
以上により、本発明の比較回路では、誤動作防止能力を維持しつつ、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することが可能となる。
【0047】
本発明の比較回路は、上記課題を解決するために、入力パルス信号のHighレベルとLowレベルとの切り替わりに応じて、充電動作と放電動作とが交互に切り替わり、充放電電流により容量を充放電する充放電回路と、上記容量の容量電圧と所定の閾値電圧とを比較する第1のコンパレータ回路および第2のコンパレータ回路と、上記第2のコンパレータ回路から出力される第2のパルス信号から、出力パルス信号を生成して出力する出力信号生成回路とを備える比較回路において、上記第1のコンパレータ回路は、上記容量電圧と、第1の閾値電圧、および上記第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧とをそれぞれ比較することによって、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧よりも小さい場合、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧と上記第2の閾値電圧との間にある場合、および上記容量電圧が上記第2の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた第1のパルス信号を生成し、上記第2のコンパレータ回路は、上記容量電圧と、上記第1の閾値電圧よりも大きく、かつ、上記第2の閾値電圧よりも小さい、ヒステリシス特性を有する第3の閾値電圧とを比較することによって、上記容量電圧が上記第3の閾値電圧よりも小さい場合、および上記容量電圧が上記第3の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた上記第2のパルス信号を生成し、上記容量の充電時に、上記容量電圧が充電されて上記第3の閾値電圧よりも大きくなると、上記第2のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に出力し、また、上記容量の放電時に、上記容量電圧が放電されて上記第3の閾値電圧よりも小さくなると、上記第2のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に出力し、上記生成された第1のパルス信号から、上記充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して上記充放電回路に出力することにより、上記充放電電流の電流値を調整する電流値調整手段を備えていることを特徴としている。
【0048】
上記の構成によれば、第1のコンパレータ回路が、容量電圧と、第1の閾値電圧、および第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧とをそれぞれ比較することによって、容量電圧が第1の閾値電圧よりも小さい場合、容量電圧が第1の閾値電圧と第2の閾値電圧との間にある場合、および容量電圧が第2の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた第1のパルス信号が生成される。
【0049】
また、第2のコンパレータ回路が、容量電圧と、第1の閾値電圧よりも大きく、かつ、第2の閾値電圧よりも小さい、ヒステリシス特性を有する第3の閾値電圧とを比較することによって、容量電圧が第3の閾値電圧よりも小さい場合、および容量電圧が第3の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた第2のパルス信号が生成される。
【0050】
そして、容量の充電時に、容量電圧が充電されて第3の閾値電圧よりも大きくなると、第2のパルス信号が出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として出力信号生成回路に出力されることにより、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替わる。
【0051】
また、容量の放電時に、容量電圧が放電されて第3の閾値電圧よりも小さくなると、第2のパルス信号が出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として出力信号生成回路に出力されることにより、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替わる。
【0052】
よって、容量の充電と放電とが交互に切り替わることによって、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替わる。すなわち、第2のコンパレータ回路が出力する第2のパルス信号によって、出力パルス信号のパルス周期が決定されている。
【0053】
また、電流値調整手段が、第1のコンパレータ回路で生成された第1のパルス信号から、充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して充放電回路に出力することにより、充放電電流の電流値が調整されるので、容量の充電時間および放電時間が調整される。
【0054】
次いで、第1のコンパレータ回路から出力される第1のパルス信号により容量の充電時間および放電時間が調整された状態で、第2のコンパレータ回路が、上記同様に比較し、第2のパルス信号を出力信号生成回路に出力するので、出力信号生成回路では、容量の充電時間および放電時間が調整された状態に応じた第2のパルス信号から、HighレベルとLowレベルとが切り替えられた出力パルス信号が生成され出力されることになる。
【0055】
よって、放電時間を短縮すれば、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが早く切り替わることになるので、短縮された時間だけ、入力パルス信号に連続して次のパルスが入力されるまでの休止期間が短くなっても、出力されるパルスの周期は影響を受けない。それゆえ、入力パルスおよび出力パルスの周期ずれが発生せず、連続して入力される次のパルスにおいても、入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力することが可能となる。
【0056】
したがって、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することが可能となる。
【0057】
また、第3の閾値電圧を備えて、充電時に容量電圧が第3の閾値電圧よりも大きくなると、第2のコンパレータ回路が第2のパルス信号を出力信号生成回路に出力することにより、例えば、容量が第2の閾値電圧よりも大きくなるときに出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号を出力信号生成回路に出力するときよりも、容量が第3の閾値電圧よりも大きくなる時間のほうが早いので、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとの切り替わりがさらに早くなる。
【0058】
よって、短いパルス幅のパルスが入力される場合であっても、第2のコンパレータ回路はこれに対応し、第2のパルス信号を正常に出力することにより、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替わるので、短いパルス幅の入力パルスに対する応答能力が向上することになる。すなわち、短周期の入力パルスに対する応答能力も向上することになる。
【0059】
また、充放電回路では、第1のコンパレータ回路から、容量電圧が第1の閾値電圧と第2の閾値電圧との間にある場合に応じた第1のパルス信号が出力される場合、充放電電流の電流値を小さくするように調整することによって、充放電時間を長く設定することにより、入力パルスに割れが生じた場合であっても、容量電圧は、第3の閾値電圧よりも小さくならない。
【0060】
よって、入力パルスに割れが生じている場合であっても、容量電圧は、第3の閾値電圧よりも小さくならないことにより、第2のコンパレータ回路は、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替えるための第2のパルス信号を出力信号生成回路に出力しないので、出力パルスはパルス割れの影響を受けずに正常に出力される。したがって、入力パルスの誤動作時であっても、出力パルスの誤動作を防止することが可能となる。
【0061】
以上により、本発明の比較回路では、誤動作防止能力を維持しつつ、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することが可能となり、さらに、短周期・短パルス幅の入力パルスに対する応答能力を向上することが可能となる。
【0062】
本発明の比較回路は、上記課題を解決するために、入力パルス信号のHighレベルとLowレベルとの切り替わりに応じて、充電動作と放電動作とが交互に切り替わり、充放電電流により容量を充放電する充放電回路と、上記容量の容量電圧と所定の閾値電圧とを比較する第1のコンパレータ回路および複数の第3のコンパレータ回路と、上記複数の第3のコンパレータ回路から出力される個別の第3のパルス信号から、個別の出力パルス信号を生成して出力する複数の出力信号生成回路とを備える比較回路において、上記第1のコンパレータ回路は、上記容量電圧と、第1の閾値電圧、および上記第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧とをそれぞれ比較することによって、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧よりも小さい場合、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧と上記第2の閾値電圧との間にある場合、および上記容量電圧が上記第2の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた第1のパルス信号を生成し、上記複数の第3のコンパレータ回路は、上記第1の閾値電圧よりも大きく、かつ、上記第2の閾値電圧よりも小さい、閾値電圧が個別に設定されたものであり、上記容量電圧と、上記閾値電圧とを比較することによって、上記容量電圧が上記閾値電圧よりも小さい場合、および上記容量電圧が上記閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた上記第3のパルス信号を個別に生成し、上記容量の充電時に、上記容量電圧が充電されて上記閾値電圧よりも大きくなると、上記第3のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に個別に出力し、また、上記容量の放電時に、上記容量電圧が放電されて上記閾値電圧よりも小さくなると、上記第3のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に個別に出力し、上記生成された第1のパルス信号から、上記充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して上記充放電回路に出力することにより、上記充放電電流の電流値を調整する電流値調整手段を備えていることを特徴としている。
【0063】
上記の構成によれば、第1のコンパレータ回路が、容量電圧と、第1の閾値電圧、および第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧とをそれぞれ比較することによって、容量電圧が第1の閾値電圧よりも小さい場合、容量電圧が第1の閾値電圧と第2の閾値電圧との間にある場合、および容量電圧が第2の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた第1のパルス信号が生成される。
【0064】
また、第3のコンパレータ回路が、容量電圧と、第1の閾値電圧よりも大きく、かつ、第2の閾値電圧よりも小さい、個別に設定された閾値電圧とを比較することによって、容量電圧が閾値電圧よりも小さい場合、および容量電圧が閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた第3のパルス信号が生成される。
【0065】
そして、容量の充電時に、容量電圧が充電されて閾値電圧よりも大きくなると、第3のパルス信号が出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として出力信号生成回路に出力されることにより、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替わる。
【0066】
また、容量の放電時に、容量電圧が放電されて閾値電圧よりも小さくなると、第3のパルス信号が出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として出力信号生成回路に出力されることにより、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替わる。
【0067】
よって、容量の充電と放電とが交互に切り替わることによって、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替わる。すなわち、第3のコンパレータ回路が出力する第3のパルス信号によって、出力パルス信号のパルス周期が決定されている。
【0068】
また、電流値調整手段が、第1のコンパレータ回路で生成された第1のパルス信号から、充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して充放電回路に出力することにより、充放電電流の電流値が調整されるので、容量の充電時間および放電時間が調整される。
【0069】
次いで、第1のコンパレータ回路から出力される第1のパルス信号により容量の充電時間および放電時間が調整された状態で、第3のコンパレータ回路が、上記同様に比較し、第3のパルス信号を出力信号生成回路に出力するので、出力信号生成回路では、容量の充電時間および放電時間が調整された状態に応じた第3のパルス信号から、HighレベルとLowレベルとが切り替えられた出力パルス信号が生成され出力されることになる。
【0070】
よって、放電時間を短縮すれば、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが早く切り替わることになるので、短縮された時間だけ、入力パルス信号に連続して次のパルスが入力されるまでの休止期間が短くなっても、出力されるパルスの周期は影響を受けない。それゆえ、入力パルスおよび出力パルスの周期ずれが発生せず、連続して入力される次のパルスにおいても、入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力することが可能となる。
【0071】
したがって、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することが可能となる。
【0072】
また、第3のコンパレータ回路を複数備えることにより、複数の第3のコンパレータ回路に設定された個別の閾値電圧との比較結果に応じて、複数の異なるパルス幅の出力パルスが出力生成回路に個別に出力される。よって、複数の異なる閾値電圧に応じて、出力パルス幅を変動させ、複数の異なるパルス幅の出力パルスを得ることが可能となる。
【0073】
また、充放電回路では、第1のコンパレータ回路から、容量電圧が第1の閾値電圧と第2の閾値電圧との間にある場合に応じた第1のパルス信号が出力される場合、充放電電流の電流値を小さくするように調整することによって、充放電時間を長く設定することにより、入力パルスに割れが生じた場合であっても、容量電圧は、閾値電圧よりも小さくならない。
【0074】
よって、入力パルスに割れが生じている場合であっても、容量電圧は、閾値電圧よりも小さくならないことにより、第3のコンパレータ回路は、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替えるための第3のパルス信号を出力信号生成回路に出力しないので、出力パルスはパルス割れの影響を受けずに正常に出力される。したがって、入力パルスの誤動作時であっても、出力パルスの誤動作を防止することが可能となる。
【0075】
以上により、本発明の比較回路では、誤動作防止能力を維持しつつ、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することが可能となり、さらに、所望のパルス幅、または所望の遅延時間の出力パルスを得ることが可能となる。
【0076】
また、本発明の比較回路では、上記充放電回路は、上記入力パルス信号のHighレベルとLowレベルとの切り替わりに応じて切り替わる切替部を有し、該切替部によって、充電電流を出力する第1の電流源と、放電電流を出力する第2の電流源とを切り替えることにより、上記容量を充放電することが好ましい。
【0077】
上記の構成によれば、充放電回路は、入力パルス信号のHighレベルとLowレベルとの切り替わりに応じて切り替わる切替部を有し、該切替部によって、充電電流を出力する第1の電流源と、放電電流を出力する第2の電流源とを切り替えることにより、容量を充放電するので、充電動作と放電動作とを交互に切り替えて行うことが可能となる。
【0078】
また、本発明の比較回路は、上記充放電回路は、上記第1のコンパレータ回路から、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧と上記第2の閾値電圧との間にある場合に応じた上記第1のパルス信号が出力される期間は、充電時間と放電時間とを等しくすることが好ましい。
【0079】
上記の構成によれば、充放電回路が、第1のコンパレータ回路から、容量電圧が第1の閾値電圧と第2の閾値電圧との間にある場合に応じた第1のパルス信号が出力される期間は、充電時間と放電時間とを等しくことにより、出力信号生成回路に入力されるパルス信号の入力間隔が等しくなるので、入力パルスのパルス幅と同じパルス幅の出力パルスを得ることが可能となる。
【0080】
また、本発明の比較回路は、電源投入時に、上記充放電回路の容量電圧に初期設定を与える初期設定回路をさらに備えることが好ましい。
【0081】
上記の構成によれば、初期設定回路を備えることにより、初期設定回路が、充放電回路の容量電圧に初期設定を与えること、例えば、容量電圧を0に設定することが可能となる。よって、電源投入時に安定した回路動作すなわち波形処理を行うことが可能となる。
【0082】
また、本発明の比較回路は、上記第1の閾値電圧および上記第2の閾値電圧は、抵抗の電圧降下により生成されるこが好ましい。これにより、第1の閾値電圧および第2の閾値電圧を抵抗の電圧降下により生成するので、プロセス変動や素子ばらつきなどによる影響を受けずに、常に設定される電圧値を満たすことが可能となる。例えば、第1の閾値電圧、および第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧を生成することが可能となる。
【0083】
また、本発明の赤外線受信機は、上記課題を解決するために、上記比較回路を備えることを特徴としている。
【0084】
上記の構成によれば、本発明の比較回路を備えているので、誤動作防止能力を有しつつ、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することができる。また、本発明の比較回路を備えることにより、短周期・短パルス幅の入力パルスに対する応答能力を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0085】
本発明の比較回路は、以上のように、第1のコンパレータ回路は、容量電圧と、第1の閾値電圧、および上記第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧とをそれぞれ比較することによって、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧よりも小さい場合、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧と上記第2の閾値電圧との間にある場合、および上記容量電圧が上記第2の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた第1のパルス信号を生成し、上記容量の充電時に、上記容量電圧が充電されて上記第2の閾値電圧よりも大きくなると、上記第1のパルス信号を出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として出力信号生成回路に出力し、また、上記容量の放電時に、上記容量電圧が放電されて上記第1の閾値電圧よりも小さくなると、上記第1のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に出力し、上記生成された第1のパルス信号から、充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して上記充放電回路に出力することにより、上記充放電電流の電流値を調整する電流値調整手段を備えている構成である。
【0086】
それゆえ、第1のコンパレータ回路から出力される第1のパルス信号により、出力信号生成回路では、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替えられる。また、第1のコンパレータ回路から出力される第1のパルス信号から、電流値調整手段が、充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して充放電回路に出力することにより、充放電回路では、放電電流の電流値が調整され、充電時間と放電時間とが調整される。そして、充放電回路で充電時間と放電時間とが調整された状態で、第1のコンパレータ回路は、容量電圧と、第1の閾値電圧および第2の閾値電圧とを比較して、第1のパルス信号を生成し、第1のパルス信号を出力信号生成回路に出力する。よって、充放電回路で充電時間と放電時間とが調整された状態における第1のパルス信号が出力される間隔で、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替えられる。すなわち、充電時間と放電時間と短縮すれば、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが早い間隔で切り替わる。
【0087】
また、充放電回路では、第1のコンパレータ回路から、容量電圧が第1の閾値電圧と第2の閾値電圧との間にある場合に応じた第1のパルス信号が出力される場合、充放電電流の電流値を小さくするように調整することによって、充放電時間を長く設定することにより、入力パルスに割れが生じた場合であっても、容量電圧は、第1の閾値電圧よりも小さくならないので、出力パルスが正常に出力される。
【0088】
以上により、誤動作防止能力を有しつつ、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することができる比較回路を提供するという効果を奏する。
【0089】
また、本発明の比較回路は、第1のコンパレータ回路は、容量電圧と、第1の閾値電圧、および上記第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧とをそれぞれ比較することによって、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧よりも小さい場合、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧と上記第2の閾値電圧との間にある場合、および上記容量電圧が上記第2の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた第1のパルス信号を生成し、第2のコンパレータ回路は、上記容量電圧と、上記第1の閾値電圧よりも大きく、かつ、上記第2の閾値電圧よりも小さい、ヒステリシス特性を有する第3の閾値電圧とを比較することによって、上記容量電圧が上記第3の閾値電圧よりも小さい場合、および上記容量電圧が上記第3の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた第2のパルス信号を生成し、上記容量の充電時に、上記容量電圧が充電されて上記第3の閾値電圧よりも大きくなると、上記第2のパルス信号を出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として出力信号生成回路に出力し、また、上記容量の放電時に、上記容量電圧が放電されて上記第3の閾値電圧よりも小さくなると、上記第2のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に出力し、上記生成された第1のパルス信号から、充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して上記充放電回路に出力することにより、上記充放電電流の電流値を調整する電流値調整手段を備えている、構成である。
【0090】
それゆえ、第2のコンパレータ回路から出力される第2のパルス信号により、出力信号生成回路では、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替えられる。また、第1のコンパレータ回路から出力される第1のパルス信号から、電流値調整手段が、充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して充放電回路に出力することにより、充放電回路では、放電電流の電流値が調整され、充電時間と放電時間とが調整される。そして、充放電回路で充電時間と放電時間とが調整された状態で、第2のコンパレータ回路は、容量電圧と第3の閾値電圧とを比較して、第2のパルス信号を生成し、第2のパルス信号を出力信号生成回路に出力する。よって、充放電回路で充電時間と放電時間とが調整された状態における第2のパルス信号が出力される間隔で、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替えられる。すなわち、充電時間と放電時間と短縮すれば、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが早い間隔で切り替わる。
【0091】
また、第2のコンパレータ回路が、容量電圧と第3の閾値電圧とを比較して、第2のパルス信号を生成するので、容量が第3の閾値電圧よりも大きくなるまでの時間が早くなり、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとの切り替わりがさらに早くなる。
【0092】
さらに、充放電回路では、第1のコンパレータ回路から、容量電圧が第1の閾値電圧と第2の閾値電圧との間にある場合に応じた第1のパルス信号が出力される場合、充放電電流の電流値を小さくするように調整することによって、充放電時間を長く設定することにより、入力パルスに割れが生じた場合であっても、容量電圧は、第3の閾値電圧よりも小さくならないので、出力パルスが正常に出力される。
【0093】
以上により、誤動作防止能力を維持しつつ、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することができ、さらに、短周期・短パルス幅の入力パルスに対する応答能力を向上することができる比較回路を提供するという効果を奏する。
【0094】
また、本発明の比較回路は、第1のコンパレータ回路は、容量電圧と、第1の閾値電圧、および上記第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧とをそれぞれ比較することによって、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧よりも小さい場合、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧と上記第2の閾値電圧との間にある場合、および上記容量電圧が上記第2の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた第1のパルス信号を生成し、複数の第3のコンパレータ回路は、上記第1の閾値電圧よりも大きく、かつ、上記第2の閾値電圧よりも小さい、閾値電圧が個別に設定されたものであり、上記容量電圧と、上記閾値電圧とを比較することによって、上記容量電圧が上記閾値電圧よりも小さい場合、および上記容量電圧が上記閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた第3のパルス信号を個別に生成し、上記容量の充電時に、上記容量電圧が充電されて上記閾値電圧よりも大きくなると、上記第3のパルス信号を出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として出力信号生成回路に個別に出力し、また、上記容量の放電時に、上記容量電圧が放電されて上記閾値電圧よりも小さくなると、上記第3のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に個別に出力し、上記生成された第1のパルス信号から、充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して上記充放電回路に出力することにより、上記充放電電流の電流値を調整する電流値調整手段を備えている構成である。
【0095】
それゆえ、第3のコンパレータ回路から出力される第3のパルス信号により、出力信号生成回路では、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替えられる。また、第1のコンパレータ回路から出力される第1のパルス信号から、電流値調整手段が、充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して充放電回路に出力することにより、充放電回路では、放電電流の電流値が調整され、充電時間と放電時間とが調整される。そして、充放電回路で充電時間と放電時間とが調整された状態で、第3のコンパレータ回路は、容量電圧と個別の閾値電圧とを比較して、第3のパルス信号を生成し、第3のパルス信号を出力信号生成回路に出力する。よって、充放電回路で充電時間と放電時間とが調整された状態における第3のパルス信号が出力される間隔で、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが切り替えられる。すなわち、充電時間と放電時間と短縮すれば、出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとが早い間隔で切り替わる。
【0096】
また、第3のコンパレータ回路を複数備えることにより、容量電圧と個別の閾値電圧との比較結果に応じて、複数の異なるパルス幅の出力パルスが出力生成回路に個別に出力されるので、複数の異なる閾値電圧に応じて出力パルス幅が変動された、複数の異なるパルス幅の出力パルスが出力される。
【0097】
さらに、充放電回路では、第1のコンパレータ回路から、容量電圧が第1の閾値電圧と第2の閾値電圧との間にある場合に応じた第1のパルス信号が出力される場合、充放電電流の電流値を小さくするように調整することによって、充放電時間を長く設定することにより、入力パルスに割れが生じた場合であっても、容量電圧は、閾値電圧よりも小さくならないので、出力パルスが正常に出力される。
【0098】
以上により、誤動作防止能力を維持しつつ、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することができ、さらに、所望のパルス幅、または所望の遅延時間の出力パルスを得ることができる比較回路を提供するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0099】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜10に基づいて説明すれば、以下の通りである。図1は、比較回路10の一構成例を示す回路ブロック図である。
【0100】
なお、図中、MNはNチャネルMOSFET、MPはPチャネルMOSFETを示し、ゲート/ソース間にMOSFETのスレッシュ電圧(Vth)以上の電圧が印加されると、ドレイン/ソース間が導通し、電流が流れる。また、ドレイン/ソース間が導通することをON、一方ドレイン/ソース間が導通しないことをOFFとする。
【0101】
本実施の形態の比較回路10は、図1に示すように、充放電回路100、第1のコンパレータ回路としてのコンパレータ回路200、電流値調整手段としての論理処理回路300、SRラッチ回路400および出力回路500から構成される出力信号生成回路550、入力パルス信号すなわち入力電圧(Vin)が入力される入力部11、コンパレータ回路200とSRラッチ回路400との間に設けられるNOTゲート12、およびSRラッチ回路400と出力回路500との間に設けられるNOTゲート13を備えている。
【0102】
まず、充放電回路100の基本動作について、図1を参照しながら、構成の説明を兼ねて説明する。
【0103】
充放電回路100は、切替部としてのスイッチ部101および102、第1の電流源としての電流源103、第2の電流源としての電流源104、並びに容量105を備え、スイッチ部101および102の切り替えに応じて、容量105を充放電する。
【0104】
スイッチ部101は、Vin=Hiの場合はON、一方Vin=Lowの場合はOFFするように設定されているスイッチである。一方の電極が電流源103に接続されており、他方の電極が容量105およびスイッチ部102に接続されている。
【0105】
スイッチ部102は、Vin=Hiの場合はOFF、一方Vin=Lowの場合はONするように設定されているスイッチである。一方の電極が電流源104に接続されており、他方の電極が容量105およびスイッチ部101に接続されている。
【0106】
電流源103は、定電流I1を発生する電流源であり、電流発生方向側にスイッチ部101が接続され、もう片方向側が電源に接続されている。電流源104は、定電流I2を発生する電流源であり、電流発生方向側が接地され、もう片方向側がスイッチ部102に接続されている。
【0107】
容量105は、容量値C1の容量であり、一方の電極がスイッチ部101およびスイッチ部102に接続され、他方の電極が接地される。容量105は、充放電時において、その容量電圧(Csig)が変動する。このときの基本的な容量の充放電動作について説明する。
【0108】
入力部11に、Vin=Hiが入力される場合、スイッチ部101はONとなり、スイッチ部102はOFFとなる。よって、電流源103から出力される定電流I1が、スイッチ部101を通過して容量105に流れ込む。これにより、容量105は充電される。
【0109】
一方、入力部11に、Vin=Lowが入力される場合、スイッチ部101はOFFとなり、スイッチ部102はONとなる。よって、電流源104は、定電流I2を流すために、スイッチ部102を介して容量105から電流を引き抜く。これにより、容量105は放電される。
【0110】
また、電流源103および104には、論理処理回路300が接続されている。電流源103および104は、論理処理回路300の出力信号によって、出力する電流値を調整される。すなわち、後述するように、コンパレータ回路の比較結果に応じて、定電流I1およびI2の電流値は調整される。
【0111】
コンパレータ回路200は、コンパレータ回路部201および202、第1の閾値電圧(Vth1)を発生する基準電源203、並びに、第2の閾値電圧(Vth2)を発生する基準電源204を備え、充放電回路100のCsigと、コンパレータ回路部201においてVth1とを比較し、また、コンパレータ回路部202においてVth2とを比較する。比較した後、コンパレータ回路部201および202は、Csigが閾値電圧よりも、高ければHiの信号を、低ければLowの信号を生成し、論理処理回路300、および出力信号生成回路550のSRラッチ回路400にそれぞれ出力する。すなわち、HighレベルまたはLowレベルのパルス信号(第1のパルス信号)を生成し、論理処理回路300、および出力信号生成回路550のSRラッチ回路400にそれぞれ出力する。
【0112】
なお、Vth1およびVth2は、以下の式(7)を満たすように設定される。
【0113】
max_Csig>Vth2>Vth1>min_Csig ・・・式(7)
(max_Csig:容量105の最大充電電圧、min_Csig:容量105の最小充電電圧)
論理処理回路300は、入力されたコンパレータ回路200からの出力信号に応じて、充放電回路100の電流源103および104に、該電流源の定電流I1およびI2を調整するための信号を出力する回路である。すなわち、論理処理回路300は、Csigと、Vth1およびVth2との比較結果から生成されたパルス信号を入力して、論理処理した後、定電流I1およびI2を調整するための信号を出力する。よって、定電流I1およびI2は、コンパレータ回路200の比較結果から生成されたパルス信号に応じて、調整されることになる。
【0114】
SRラッチ回路400は、NANDゲート401および402を備え、入力されたコンパレータ回路200からの出力信号(パルス信号)のデータを保持する回路である。また、SRラッチ回路400の論理は、表2のようになっている。本回路では、S=R=1でデータをホールドし、SまたはRにパルス(active Low)が入力されると、Q,−Qがトグル(反転)するように使用している。データ保持処理終了後、出力信号が、出力回路500に出力される。
【0115】
【表2】

【0116】
出力回路500は、MN501,抵抗502、および出力部503を備えている。MN501は、ゲートがNOTゲート13を介してSRラッチ回路400に接続され、ドレインが出力部503、および抵抗502を介して電源に接続され、ソースが接地されている。
【0117】
また、出力回路500は、入力されたSRラッチ回路400からの出力信号に応じて、出力部503から出力パルス信号すなわち出力電圧(Vout)を出力する。詳細には、入力される信号がHiの場合、MN501はONとなることにより、VoutはLow(=GND)となる。一方、入力される信号がLowの場合、MN501はOFFとなることにより、VoutはHi(=Vcc)となる。
【0118】
次に、充放電回路100、および論理処理回路300の具体的な構成例について、図2を参照しながら説明する。図2は、比較回路10の詳細な構成例を示す回路図である。
【0119】
まず、充放電回路100の動作について、構成の説明を兼ねて説明する。なお、以下の充放電回路100における説明では、論理処理回路300からの信号が出力されていない場合、すなわちMP115およびMN122がOFFの状態とする。なお、論理処理回路300からの信号が出力されている状態は後述する。
【0120】
充放電回路100は、MP111〜117、MN118〜124、電流Iaを発生する電流源125、電流Ibを発生する電流源126、電流Icを発生する電流源127、電流Idを発生する電流源128、および容量105を備えている。ここで、MP111〜117で構成される部分がスイッチ部101、MN118〜124で構成される部分がスイッチ部102、電流源125および127が電流源103、電流源126および128が電流源104を示す。
【0121】
入力部11に、Vin=Hiが入力される場合、MP111およびMP114はOFFとなり、MN118およびMN121はONとなる。よって、MN118およびMN121はONとなるので、電流源126から出力される電流IbがVcc〜MN118〜GNDのパスで流れ、また、電流源128から出力される電流IdがVcc〜MN121〜GNDのパスで流れる。これにより、MN119、MN120、およびMN122〜124には、電流が流れない。
【0122】
一方、MP111およびMP114はOFFとなるので、電流源125は、MP112およびMP113に電流Iaを流し、電流IaがVcc〜MP2〜GNDのパスで流れる。また、MP112とMP113とはカレントミラーを構成しているので、MP113に電流Iaが流れ、容量105に電流Iaが流れ込む。これにより、容量105は充電される。
【0123】
また、電流源127は、MP116およびMP117に電流Icを流し、電流IcがVcc〜MP116〜GNDのパスで流れる。さらに、MP116とMP117とはカレントミラーを構成しているので、MP117に電流Ic流れ、容量105に電流Icが流れ込む。これにより、容量105は充電される。したがって、容量105は、電流Iaと電流Icとを足した電流によって、充電される。
【0124】
また、入力部11に、Vin=Lowが入力される場合、MP111およびMP114はONとなり、MN118およびMN121はOFFとなる。よって、MP111およびMP114はONとなるので、電流源125から出力される電流IaがVcc〜MP111〜GNDのパスで流れ、また、電流源127から出力される電流IcがVcc〜MP114〜GNDのパスで流れる。これにより、MP112、MP113、およびMP115〜117には、電流が流れない。
【0125】
一方、MN118およびMN121はOFFとなるので、電流源126は、MN119およびMN120に電流Ibを流し、電流IbがVcc〜MN119〜GNDのパスで流れる。また、MN119とMN120とはカレントミラーを構成しているので、MN120に電流Ibを流すため、容量105から電流Ibが引っ張られる。これにより、容量105は放電される。
【0126】
また、電流源128は、MN123およびMN124に電流Idを流し、電流IdがVcc〜MN123〜GNDのパスで流れる。さらに、MN123とMN124とはカレントミラーを構成しているので、MN124に電流Idを流すため、容量105から電流Idが引っ張られる。これにより、容量105は放電される。したがって、容量105は、電流Ibと電流Idとを足した電流によって、放電される。
【0127】
論理処理回路300は、NANDゲート301、およびNOTゲート302を備えている。NANDゲート301は、コンパレータ回路200からの2つの出力信号を入力し、論理演算処理するゲートである。演算後の出力信号(X)は、充放電回路100、詳細にはMP115のゲート、およびNOTゲート302に出力される。NOTゲート302は、入力されたNANDゲート301からの出力信号を論理演算処理するゲートである。演算後の出力信号は、充放電回路100、詳細にはMN122のゲートに出力される。
【0128】
また、NANDゲート301の出力信号がX=Hiの場合、MP115はOFFとなり、一方X=Lowの場合、MP115はONとなる。MP115がONとなる場合、電流IcがVcc〜MN115〜GNDのパスで流れるので、MP116およびMP117には電流が流れない。これにより、MP117に流れる電流、すなわち電流Icによる容量105の充電は行われない。
【0129】
また、NANDゲート301の出力信号がX=Hiの場合、NOTゲート302の出力信号はLowとなるので、MN122はOFFとなる。一方、NANDゲート301の出力信号がX=Lowの場合、NOTゲート302の出力信号はHiとなるので、MN122はONとなる。MN122がONとなる場合、電流IdがVcc〜MN122〜GNDのパスで流れるので、MN123およびMN124には電流が流れない。これにより、MN124に流れる電流、すなわち電流Idによる容量105の放電は行われない。
【0130】
したがって、NANDゲート301の出力信号がX=Lowの場合には、電流Icによる充電、および、電流Idによる放電は行われないことになる。
【0131】
次に、本実施の形態の比較回路10における回路動作を、図3を参照しながら説明する。
【0132】
図3は、比較回路10の動作波形である。なお、以下の動作波形において、Vinは入力電圧、Vth1は第1の閾値電圧、Vth2は第2の閾値電圧、Csigは容量105の容量電圧、RはSRラッチ回路400のリセット入力信号、SはSRラッチ回路400のセット入力信号、XはNANDゲート301の出力信号、QはSRラッチ回路400の正論理値、および、Voutは出力電圧を示す。また、t1は入力パルスの立ち上がりに対する出力パルスの反応の遅れ時間、t2は入力パルスの立ち下がりに対する出力パルスの反応の遅れ時間、pwはパルス幅を示す。
【0133】
本実施の形態の比較回路10では、上述したように、Vin=Hiになると容量105の充電を行い、Vin=Lowになると容量105の放電を行う。
【0134】
図3に示すように、Vin=Lowから、Vin=Hiに立ち上がると、CsigはVth1まで急激に上昇し(A→B点)、その後、時定数に従ってVth2まで上昇する(B→C点)。CsigがVth2に達すると、容量105のmax_Csigまで急激に上昇する(C→D点)。そして、Csigはmax_Csigを保ち続ける(D→E点)。
【0135】
次いで、Vin=Hiから、Vin=Lowに立ち下がると、CsigはVth2まで急激に下降し(E→F点)、その後、時定数に従ってVth1まで下降する(F→G点)。CsigがVth1に達すると、容量105を放電しきるまで急激に下降する(G→H点)。そして、CsigはGND(Low)を保ち続ける。
【0136】
すなわち、Vin=Lowから、Vin=Hiに立ち上がると、容量105は急速に充電され(A→B点)、その後、時定数に従って容量105は充電される(B→C点)。CsigがVth2に達すると、容量105のmax_Csigまで容量105は急速に充電される(C→D点)。そして、容量105は充電が飽和状態となる(D→E点)。
【0137】
次いで、Vin=Hiから、Vin=Lowに立ち下がると、容量105は急速に放電され(E→F点)、その後、時定数に従って容量105は放電される(F→G点)。CsigがVth1に達すると、容量105を放電しきるまで容量105は急速に放電される(G→H点)。そして、容量105は放電しきった状態となる。
【0138】
ここで、上述したように、充電時には、電流Iaおよび電流Icによって容量105の充電が行われ、放電時には、電流Ibおよび電流Icによって容量105の放電が行われている。但し、論理処理回路300すなわちNANDゲート301の出力信号がX=Lowの場合、MP115およびMN122がONとなるので、電流Icによる容量105の充電と、電流Idによる容量105の放電とは行われない。
【0139】
そこで、図3を参照すると、NANDゲート301のXの動作波形は、B→C点およびF→G点の場合にLowとなっている。すなわち、B→C点およびF→G点の場合は、充放電回路のMP115およびMN122がONとなり、この期間の充放電電流には電流IcおよびIdは寄与しなくなるので、充放電電流が小さくなる。よって、B→C点およびF→G点の期間は、充放電時間が長くなる。
【0140】
これに対して、充放電動作は、図3に示す定数で表すと、
A→B、C→D点間 : 時定数t/V=C1/(Ia+Ic)で充電
B→C点間 : 時定数t/V=C1/Iaで充電
E→F、G→H点間 : 時定数t/V=C1/(Ib+Id)で放電
F→G点間 : 時定数t/V=C1/Ibで放電
を行っている。なお、図1に示す波形の場合では、Ia<<Ic、Ib<<Idとしている。
【0141】
また、SRラッチ回路400および出力回路500の動作波形について、図3および4を参照しながら説明する。図4は、SRラッチ回路400および出力回路500の真理値の表を示す。なお、Hiレベルを1、Lowレベルを0としている。
・入力パルスが入る前の初期状態(Vin=Low)においては、(S,R)=(1,0)であり、Q=0である。
・B点においては、Csig>Vth1となるため、Rは0→1となり、(S,R)=(1,1)となる。Qの値は保持される。
・C点においては、Csig>Vth2となるため、Sは1→0になり、(S,R)=(0,1)となる。ここで、Qが0→1と反転し、VoutがHi→Lowになる。
・F点においては、Csig<Vth2となりSは0→1となるが、Qは1のまま保持される。
・G点においては、Csig<Vth1となるため、Rは1→0になり、(S,R)=(1,0)となる。ここでQが1→0に反転し、VoutがLow→Hiになる。
【0142】
次に、比較回路10において、Vinに周期Tのパルスが時刻t=0から連続で入力する場合の動作波形について、図5を参照しながら説明する。
【0143】
図5は、パルス連続入力時の動作波形であり、(a)は、Toff>t3の場合の動作波形を示し、(b)は、t2<Toff<t3の場合の動作波形を示している。なお、TonはVin=Hiの期間を示し、ToffはVin=Lowの期間(休止期間)を示している。また、TonとToffとを合わせて、1周期(T)とする。さらに、t3は従来の比較回路(以下、従来例とする)における容量電圧が充電飽和状態から放電しきるまでの時間を示し、破線は従来例における動作波形を示す。
【0144】
Toff>t3の場合は、図5(a)に示すように、比較回路10の動作波形も従来例の動作波形も、Csigの波形に重なりは無く、Voutは正常に出力される。
【0145】
また、t2<Toff<t3の場合は、図5(b)に示すように、従来例の動作波形ではCsigの波形に重なりが生じるが、比較回路10の動作波形では重なりが生じず、Voutは正常に出力される。
【0146】
ここで、図3に示したように、t2は入力パルスの立ち下がりに対する出力パルスの反応の遅れ時間であるが、VinがHi→Lowに反転してから、CsigがLowレベルまで放電する時間でもある。図5に示す動作波形のとき、t2およびt3はそれぞれ以下の式(8)(9)となる。
【0147】
t2=(Vcc−Vth2)×C1/(Ib+Id)+(Vth2−Vth1)×C1 /Ib+(Vth1−0)×C1/(Ib+Id)
≒(Vth2−Vth1)×C1/Ib ・・・式(8)
t3=Vcc×C1/Ib ・・・式(9)
なお、比較のため従来の比較回路における放電電流をIbとする。また、Ib<<Idの場合は、式(8)におけるt2の第1項、および第3項は無視できるものとした。
【0148】
よって、t2とt3との差Δtは、
Δt=t3−t2=(Vcc−Vth2+Vth1)×C1/Ib
=(Vcc−ΔVth)×C1/Ib ・・・式(10)
となり、t2<t3となる。ここで、ΔVth=Vth2−Vth1・・・式(11)であり、ΔVthは、従来例のヒステリシス幅(Vhis)に相当する。
【0149】
したがって、本実施の形態の比較回路10では、従来例よりもToffが短い、すなわち休止時間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力が向上しており、式(10)のΔtだけ休止時間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力することが可能となる。
【0150】
また、本実施の形態の比較回路10では、Vin=Hiになると容量105の充電を行い、Vin=Lowになると容量105の放電を行う。そして、比較回路10はVth1およびVth2を設定することにより、充放電時のCsigに対して、(a)Csig<Vth1の場合、(b)Vth1<Csig<Vth2の場合、(c)Csig<Vth2の場合、の3通りの期間による場合分けを行い、容量105への充放電電流値を変動させている。
【0151】
すなわち、図3を参照すると、(a)の期間はA→B点およびG→H点の期間であり、(b)の期間はB→C点およびF→G点の期間であり、(c)の期間はC→D→E→F点の期間である。
【0152】
そして、B→C点およびF→G点の期間の場合、この期間の充放電電流には電流IcおよびIdは寄与しなくなるので、Ia<<Ic、Ib<<Idと設定すれば、B→C点およびF→G点の期間以外の充放電時間を急激に短縮することになる。
【0153】
これにより、t2の期間であるE→F、F→G、およびG→H点の期間のうち、E→FおよびG→H点の期間を急激に短縮することが可能となるので、t2を短くすることが可能となる。よって、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを正確に出力することが可能となる。なお、上記比較回路10の動作波形の説明では、充電動作から始まって、放電動作に切り替わる例を示したが、これに限らず、放電動作から始まって、充電動作に切り替わってもよい。
【0154】
なお、図3の波形では、(a)、(c)の期間は、充電時間、放電時間ともに短く設定し、(b)の期間は充放電時間を比較的長く設定している場合の波形である。
【0155】
すなわち、(a)〜(c)の期間のCsigはそれぞれ同一点の電圧であるが、各閾値電圧との相対関係により、充放電電流値(つまり充放電時定数)が異なり、(a)、(c)の期間のCsig(a)、(c)の充放電電流値が大きく(時定数が小さい)、(b)の期間のCsig(b)の充放電電流値が小さい(時定数が大きい)場合の動作波形を示している。また、Csigは、以下の式(12)を満たす。
【0156】
Max_Csig>Csig(c)>Vth2>Csig(b)>Vth1
>Csig(a)>Min_Csig ・・・式(12)
また、Toff<t2の場合は、Csigの波形に重なりが生じるため、SRラッチ回路400のリセット信号Rが0にならず、VoutはLowのままとなる。このような事態を避けるために、Toff<t2とならないように、t2の値を設定する必要がある。
【0157】
ここで、図2に示す比較回路10では、max_CsigはVccと同電位となり(MP113およびMP117の電位がVccと同電位になった時、充電電流は0になり充電が止まる)、同様に、min_CsigはGND=0と同電位になる(MN120およびMN124の電位がGNDと同電位になった時、放電電流は0になり放電が止まる)。
【0158】
そこで、比較回路10において、例えば、Vcc=5(V)、Vth2=3(V)、Vth1=2(V)、GND=0(V)と設定し、図2に示す比較回路10において、Ia=Ib=0.1(uA)、Ic=Id=10(uA)、C1=10(pF)と設定する場合、図3に示す動作波形におけるt1、t2はそれぞれ以下の値となる。
【0159】
t1=t_AB+t_BC+t_CD
=C1×Vth1/(Ia+Ic)+C1×(Vth2−Vth1)/Ia+C1 ×Vth2/(Ia+Ic)
=10×2/10.1+10×1/0.1+10×2/10.1
=103.96[usec]
t2=t_EF+t_FG+t_GH
=C1×Vth2/(Ib+Id)+C1×(Vth2−Vth1)/Ib+C1 ×Vth1/(Ib+Id)
=10×2/10.1+10×1/0.1+10×2/10.1
=103.96[usec]
よって、上記数値設定が与えられる場合、信号入力から出力までの遅延時間t1が103.96(usec)であり、信号入力停止(図3のE点)からCsigが0Vまで落ちるまでの時間t2が103.96(usec)となる。
【0160】
したがって、入力部11に信号を連続で入力する場合、信号(Highレベル)と信号(Highレベル)との間の時間Toffが、t2=103.96(usec)以上ある場合は、出力部503からパルス信号を正常に出力することが可能となる。
【0161】
また、電流源125〜128から出力される電流Ia、Ib、Ic、およびIdは定電流であるので、充電時間および放電時間をより精度良く設定することが可能である。
【0162】
次に、本実施の形態の比較回路10における誤動作防止について、図6および7を参照しながら説明する。図6は、誤動作時の比較回路10の動作波形である。図7は、誤動作時のSRラッチ回路400および出力回路500の真理値の表を示す。
【0163】
図6に示すように、Vin=Hiのときのパルスに割れが生じている箇所(図中のα)が、誤動作を示す波形である。このパルスの割れはノイズなどにより生じる。
【0164】
Vinに割れが生じている箇所のCsigを見ると、C→D点までCsigは下降している。しかしながら、(b)の期間では、充放電時間を長く設定しているため、Vth1以下までCsigは下降しない。よって、波形、および真理値表に示すように、Vinの入力パルスに割れが生じている場合でも、従来例と同様にVoutの出力パルスは正常に出力される。したがって、Vinの誤動作時であっても、Voutの誤動作を防止することが可能となっている。
【0165】
ここで、本実施の形態の比較回路10と従来例との充放電電流が同じである場合、比較回路10のΔVth=Vth2−Vth1を、従来例のヒステリシス電圧幅(Vhis)に対して、
ΔVth≧Vhis ・・・式(13)
となるように設定することで、ヒステリシス幅が大きくなるので、従来例と同等以上の誤動作防止能力を維持することが可能となる。但し、比較回路10の充放電電流は、(b)の期間のみ、従来例と同じであるとする。
【0166】
以上のことから、本実施の形態の比較回路10では、従来例と比較しても、同等以上の誤動作防止能力を維持しつつ、休止時間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することが可能となる。
【0167】
また、本実施の形態の比較回路10において、(b)の期間における充電時間(充電電流)と放電時間(放電電流)とを等しく設定してもよい。詳細には、図3における、B→C点の充電時間と、F→G点の放電時間とを等しく設定してもよい。これについて、図3を参照しながら説明する。
【0168】
(b)の期間において、充電電流は電流Iaであり、放電電流は電流Ibである。そこで、充電時間と放電時間とを等しくするためにIa=Ibとすると、図3に示すB→C点の充電時間Tbcは、以下の式(14)となる。
【0169】
Tbc=(Vth2−Vth1)×C1/Ia=t1 ・・・式(14)
また、F→G点の放電時間Tfgは、以下の式(15)となる。
【0170】
Tfg=(Vth2−Vth1)×C1/Ib=t2 ・・・式(15)
よって、Ia=Ibの場合、Tbc=Tfg、つまりt1=t2である。ここでA→B点、C→D点、E→F点、およびG→H点での充放電時間が十分短い(Ia<<Ic、Ib<<Idであるとする)として無視するなら、t1=t2なので、VinとVoutとのパルス幅は等しくなる。
【0171】
したがって、比較回路10では、充電時間と放電時間とを等しくする、すなわちIa=Ibとすることにより、入力パルスのパルス幅と、同じパルス幅の出力パルスを出力することが可能となる。
【0172】
また、本実施の形態の比較回路10は、電源投入時の初期状態を設定するために、初期設定回路600を備えてもよい。これについて、図8および9を参照しながら説明する。
【0173】
図8は、初期設定回路600を備えた比較回路20の一構成例を示す回路図である。図9(a)は、初期設定回路600の具体的な構成例を示す回路図であり、図9(b)は、電源投入時の初期設定回路600の動作波形である。なお、Eは容量608の容量電圧、FはNOTゲート609の出力信号であり、MN604のゲートに印加される信号を示す。また、Ioutは初期設定回路600の出力電流を示す。
【0174】
比較回路20は、比較回路10の構成に加えて、初期設定回路600を備えている。
【0175】
初期設定回路600は、図9(a)に示すように、MP601〜603、MN604〜607、容量608、NOTゲート609、および抵抗610を備えている。なお、MP602および603、MN606および607、並びに、抵抗610で構成される部分が定電流回路620を構成している。
【0176】
電源を投入すると(Vcc=Hi)、図9(b)に示す動作波形のように、容量608は、電流が引き抜かれるため、放電しきるので、容量608の容量電圧は、E=Lowとなる。このとき、容量608のEが入力されるNOTゲート609の出力信号は、F=Hiとなる。
【0177】
そして、電源投入後、定電流回路620が動作し始めると、MP601がONされることにより、容量608は充電されるので、Eは上昇する。そして、Eが上昇するにつれて、FはLowに落ちる。したがって、FがHiの期間だけ、MN604,MN605がONされ、出力電流Ioutが流れる。
【0178】
例えば、図8に示すように、比較回路20において、電源投入時のCsigを0と設定する場合には、電源投入時の短期間のみ、容量105からIoutだけ電流を引き抜くようにすればよい。
【0179】
したがって、比較回路20では、初期設定回路600を備えることにより、電源投入時に初期設定を与えることで、電源投入時に安定した波形処理を行うことが可能となる。
【0180】
また、本実施の形態の比較回路10において、プロセス変動や素子ばらつきなどにより、コンパレータ回路200の第1の閾値電圧(Vth1)および第2の閾値電圧(Vth2)がVth1<Vth2を満たせない場合、比較回路10は正常動作することができなくなる。
【0181】
この問題を回避するために、コンパレータ回路200のVth1およびVth2は、抵抗の電圧降下を利用して生成している。これについて、図10を参照しながら説明する。図10は、閾値電圧生成回路230の具体的な構成例を示す回路図である。
【0182】
閾値電圧生成回路230は、図10に示すように、抵抗231(抵抗値Ra)、抵抗232(抵抗値Rb)、および定電流Ieを発生する電流源233を備え、電源、電流源233、抵抗231、抵抗232、GNDの順に直列に接続されている。そして、電流源233と抵抗231との間からVth2が取り出され、抵抗231と抵抗232との間からVth1が取り出される。
【0183】
このときの各閾値電圧の値は、以下の式(16)(17)となる。
【0184】
Vth1=Rb×Ie ・・・式(16)
Vth2=(Ra+Rb)×Ie ・・・式(17)
よって、常に、Vth1<Vth2を満たしており、ΔVth=Ra×Ieとなる。
【0185】
したがって、比較回路10では、閾値電圧生成回路230を備えることにより、常にVth1<Vth2を満たすことが可能となる。
【0186】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図11〜19に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。図11は、比較回路30の一構成例を示す回路図である。
【0187】
本実施の形態の比較回路30は、図11に示すように、入力部11、NOTゲート12、充放電回路100、コンパレータ回路200、論理処理回路300、第2のコンパレータ回路としてのヒステリシスコンパレータ回路700、および出力信号生成回路としての出力回路800を備えている。
【0188】
本実施の形態の比較回路30は、コンパレータ回路200を充放電回路100の充放電電流値を調整する回路として使用し、ヒステリシスコンパレータ回路700に設定されているヒステリシス特性を有する第3の閾値電圧(Vth3_his)(ヒステリシス電圧)と、Csigとの比較結果に応じてVoutを出力する。
【0189】
ヒステリシスコンパレータ回路700は、コンパレータ回路部701、およびVth3_hisを発生する基準電源702を備え、充放電回路100のCsigとVth3_hisとを比較する。比較した後、コンパレータ回路部701は、CsigがVth3よりも、高ければHiの信号を、低ければLowの信号を生成し、出力回路800に出力する。すなわち、HighレベルまたはLowレベルのパルス信号(第2のパルス信号)を生成し、出力回路800に出力する。
【0190】
また、ヒステリシスコンパレータ回路700の詳細な構成としては、図24に示すように、従来と同様の構成でもよい。一般的に用いられているヒステリシスコンパレータ回路を好適に用いることが可能である。
【0191】
ここで、ヒステリシスコンパレータ回路700の動作の原理としては、従来例の場合と同様であるが、本実施の形態の比較回路30では、Vth3_hisは次の条件を満たすように設定されている。
【0192】
Vth1<Vth3_L<Vth3_H<Vth2 ・・・式(18)
(なお、Vth3_HのHはHiを示し、Vth3_LのLはLowを示す)
出力回路800は、MN801、MN802、抵抗803、および出力部804を備えている。MN801は、ドレインがヒステリシスコンパレータ回路700に接続され、ゲートが自身のドレイン、およびMN802のゲートに接続され、ソースが接地されている。MN802は、ドレインが出力部804、および抵抗803を介して電源に接続され、ソースが接地されている。
【0193】
また、出力回路800は、入力されたヒステリシスコンパレータ回路700からの出力信号に応じて、出力部804から出力パルス信号すなわち出力電圧(Vout)を出力する。詳細には、入力される信号がHiの場合、MN801およびMN802はONとなることにより、VoutはLow(=GND)となる。一方、入力される信号がLowの場合、MN801およびMN802はOFFとなることにより、VoutはHi(=Vcc)となる。
【0194】
ここで、MN801およびMN802はカレントミラーを構成している。これについて、図12を参照しながら説明する。図12は、MN801およびMN802のカレントミラー構成部分を示す回路図であり、(a)はカレントミラー電流比を設定した回路図であり、(b)は同じサイズのMOSデバイスを5個接続した回路図である。
【0195】
MN801およびMN802は、カレントミラー電流比1:mを設定している。図12(a)に示すように、基準電流(Iref)がMN801を流れる場合、MN802のドレインから出力される電流(Iout(802))が、Irefのm倍となる。このときのIout(802)は、以下の式(19)となる。
【0196】
Iout(802)=Iref×(W2/L2)/(W1/L1) ・・・式(19)
(L1:MN801のゲート長、L2:MN802のゲート長、W1:MN801のゲート幅、W2:MN802のゲート幅)
よって、ゲート長、またはゲート幅を適切な値に設定することにより、m倍のIout(802)を得ることが可能となる。
【0197】
また、図12(b)に示すように、同じサイズのMOSデバイスを5個接続することで、より精度の高い電流値を得ることが可能となる。
【0198】
したがって、比較回路30では、ヒステリシスコンパレータ回路700の出力電流を、出力回路800におけるカレントミラー回路でm倍することにより、出力のドライブ電流能力を向上させている。
【0199】
次に、本実施の形態の比較回路30における回路動作を、図13を参照しながら説明する。
【0200】
図13は、比較回路30の動作波形である。なお、Vth3_hisは第3の閾値電圧、Vth3_HはHigh、Vth3_LはLow、Vhis3はヒステリシス幅を示す。また、時刻t=0にVinにパルスが入力してからVoutがLowに反転するまでの時間を、本実施の形態の比較回路30ではt1a、従来例ではt1cと定義する。さらに、Csigが充電されVth2となるまでの時間をt1bと定義する。また、t2は入力パルスの立ち下がりに対する出力パルスの反応の遅れ時間、pwはパルス幅を示す。さらに、t3は従来例の容量電圧が充電飽和状態から放電しきるまでの時間を示し、破線は従来例における動作波形を示す。
【0201】
基本的な動作は前記実施の形態の比較回路10および20と同様であり、Vin=Hiになると容量105の充電を行い、Vin=Lowになると容量105の放電を行う。
【0202】
但し、Csigの充放電動作は前記実施の形態の場合と同様であるが、C点においてCsig>Vth3_Hとなることにより、Vth3_HはVth3_Lに落ち、Vout=Lowとなる。その後、Csigが、D〜G点を経て、H点に達すると、Csig<Vth3_Lとなることにより、Vth3_LはVth3_Hに上がり、Vout=Hiとなる。
【0203】
次に、比較回路30において、Vinに周期Tのパルスが、時刻t=0から連続で入力する場合の動作波形について、図14を参照しながら説明する。
【0204】
図14は、連続入力時の動作波形であり、(a)は、Toff>t3の場合の動作波形を示し、(b)は、t2<Toff<t3の場合の動作波形を示している。
【0205】
Toff>t3の場合は、図14(a)に示すように、比較回路30の動作波形も従来例の動作波形も、Csigの波形に重なりは無く、Voutは正常に出力される。
【0206】
また、t2<Toff<t3の場合は、図14(b)に示すように、従来例の動作波形ではCsig波形に重なりが生じるが、本実施例の動作波形では重なりが生じず、Voutは正常に出力される。
【0207】
ここで、前記実施の形態1の場合と同様に、t2、t3、およびΔtは上記式(8)〜(10)と同様となり、t2<t3となる。
【0208】
したがって、本実施の形態の比較回路30では、従来例よりもToffが短い、すなわち休止時間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力が向上しており、式(10)のΔtだけ休止時間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力することが可能となる。
【0209】
また、本実施の形態の比較回路30では、Vin=Hiになると容量105の充電を行い、Vin=Lowになると容量105の放電を行う。そして、比較回路30はVth1およびVth2を設定することにより、充放電時のCsigに対して、(a)Csig<Vth1の場合、(b)Vth1<Csig<Vth2の場合、(c)Csig<Vth2の場合、の3通りの期間による場合分けを行い、容量105への充放電電流値を変動させている。
【0210】
すなわち、図13を参照すると、(a)の期間はA→B点およびI→J点の期間であり、(b)の期間はB→C→D点およびG→H→I点の期間であり、(c)の期間はD→E→F→G点は(c)の期間である。
【0211】
そして、B→C→D点およびG→H→I点の場合、この期間の充放電電流には電流IcおよびIdは寄与しなくなるので、Ia<<Ic、Ib<<Idと設定すれば、B→C→D点およびG→H→I点の期間以外の充放電時間を急激に短縮することになる。
【0212】
これにより、t2の期間であるF→G、およびG→H点の期間のうち、F→G点の期間を急激に短縮することが可能となるので、t2を短くすることが可能となる。よって、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを正確に出力することが可能となる。
【0213】
なお、図13の波形では、(a)、(c)の期間は、充電時間、放電時間ともに短く設定し、(b)の期間は充放電時間を比較的長く設定している場合の波形である。
【0214】
但し、Toff<t2の場合は、Csig波形に重なりが生じるため、出力パルスの周期が入力パルスよりも短くなる可能性がある。このような事態を避けるために、Toff<t2とならないように、t2の値を設定する必要がある。
【0215】
次に、本実施の形態の比較回路30における誤動作防止について、図15を参照しながら説明する。図15は、誤動作時の比較回路30の動作波形である。
【0216】
図15に示すように、Vin=Hiのときのパルスに割れが生じている箇所(図中のβ)が、誤動作を示す波形である。このパルスの割れはノイズなどにより生じる。
【0217】
Vinに割れが生じている箇所のCsigを見ると、C→D点までCsigは下降している。しかしながら、(b)の期間では、充放電時間を長く設定しているため、(a)の期間までCsigは下降しない。よって、波形に示すように、Vinの入力パルスに割れが生じている場合でも、従来例と同様にVoutの出力パルスは正常に出力される。したがって、Vinの誤動作時であっても、Voutの誤動作を防止することが可能となっている。
【0218】
ここで、本実施の形態の比較回路30と従来例との充放電電流が同じである場合、比較回路30のヒステリシス幅(Vhis3)を、従来例のヒステリシス電圧幅(Vhis)に対して、
Vhis3≧Vhis ・・・式(20)
となるように設定することで、ヒステリシス幅が大きくなるので、従来例と同等以上の誤動作防止能力を維持することが可能となる。但し、比較回路30の充放電電流は、(b)の期間のみ、従来例と同じであるとする。
【0219】
以上のことから、本実施の形態の比較回路30では、従来例と比較しても、同等以上の誤動作防止能力を維持しつつ、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することが可能となる。
【0220】
また、本実施の形態の比較回路30の利点について、図16を参照しながら説明する。図16は、t1a<Ton<t1c<t1bの場合の動作波形を示す。なお、破線は従来例の動作波形、点線は前記実施の形態の比較回路10の動作波形を示す。
【0221】
まず、比較回路30において、図13に示す、t1a、t1b、およびt1cは、それぞれ以下の式(21)〜(23)となる。
【0222】
t1a=(Vth3_H−Vth1)×C1/Ia ・・・式(21)
t1b=(Vth2−Vth1)×C1/Ia ・・・式(22)
t1c=(Vth_H−0)×C1/Ia=Vth_H×C1/Ia ・・式(23)
ここで、Vth_Hは従来例のヒステリシス電圧(Hi)である。また、Vth3_H=Vth_Hの場合、
t1a<t1c<t1b ・・・式(24)
となる。
【0223】
これに対して、比較回路30において、Vinにt1a<Ton<t1c<t1bとなる短パルス幅のパルスが入力する場合の波形を図16に示す。
【0224】
この場合、前記実施の形態の比較回路10では、Csig>Vth2とならないため、VoutはLowに反転しない。また従来例の場合も、Vth3_H=Vth_Hなら、Csig>Vth_Hとならないため、VoutはLowに反転しない。
【0225】
しかしながら、本実施の形態の比較回路30では、Csig>Vth3_Hとなるため、VoutはLowに反転する。このとき、t1aを、t1bと比較したΔtb、および、t1cと比較したΔtcは、以下の式(25)(26)となる。
【0226】
Δtb=t1b−t1a=(Vth2−Vth3_H)×C1/Ia ・・式(25)
Δtc=t1c−t1a=(Vth_H−Vth3_H+Vth1)×C1/Ia
=Vth1×C1/Ia ・・・式(26)
したがって、本実施の形態の比較回路30では、従来例、および前記実施の形態の比較回路10と比較して、t1a<Ton<t1c<t1bのような短パルス幅の入力パルスを出力する能力が向上しており、前記実施の形態の比較回路10と比較してΔtb、従来例と比較してΔtcだけ、短パルス幅の入力に対する応答能力が向上している。すなわち、短周期の入力パルスに対する応答能力も向上することになる。
【0227】
以上により、本実施の形態の比較回路30では、短周期・短パルス幅の入力パルスを出力する能力を向上することが可能となる。
【0228】
また、本実施の形態の比較回路30は、電源投入時の初期状態を設定するために、初期設定回路600を備えてもよい。これについて、図17を参照しながら説明する。図17は、初期設定回路600を備えた比較回路40の一構成例を示す回路図である。
【0229】
比較回路40は、比較回路30の構成に加えて、初期設定回路600を備えている。したがって、比較回路40では、初期設定回路600を備えることにより、前記実施の形態の比較回路20と同様に、電源投入時に初期設定を与えることで、電源投入時に安定した波形処理を行うことが可能となる。
【0230】
また、本実施の形態の比較回路30においても前記実施の形態の比較回路10と同様に、プロセス変動や素子ばらつきなどにより、コンパレータ回路200の第1の閾値電圧(Vth1)および第2の閾値電圧(Vth2)、並びに、ヒステリシスコンパレータ回路700の第3の閾値電圧(Vth3_his)が、Vth1<Vth3_his<Vth2を満たせない場合、比較回路30は正常動作することができなくなる。
【0231】
この問題を回避するために、コンパレータ回路200のVth1およびVth2、並びにヒステリシスコンパレータ回路700のVth3_hisは、抵抗の電圧降下を利用して生成している。これについて、図18を参照しながら説明する。図18は、閾値電圧生成回路250の具体的な構成例を示す回路図である。
【0232】
閾値電圧生成回路250は、図18に示すように、抵抗251(抵抗値Rc)、抵抗252(抵抗値Rd)、抵抗253(抵抗値Re)、抵抗254(抵抗値Rf)、定電流Ifを発生する電流源255、定電流Igを発生する電流源256、並びに、スイッチ257を備えている。
【0233】
また、電源、電流源255、抵抗251、抵抗252、抵抗253、GNDの順に直列に接続されている。そして、電流源255と抵抗251との間からVth2が取り出され、抵抗252と抵抗253との間からVth1が取り出される。さらに、抵抗251と抵抗252との間に抵抗254を接続し、抵抗254を介して、Vth3_hisが取り出される。また、抵抗254とヒステリシスコンパレータ回路700との間には、スイッチ257が接続され、スイッチ257を介して電流源256、電源の順に接続されている。
【0234】
このときの各閾値電圧の値は、以下の通りとなる。
【0235】
〔1〕Csig<Vth3_his=Vth3_Hの場合(スイッチ257がONと等価)
このとき、抵抗254〜抵抗252〜抵抗253〜GNDのパスで定電流Igが流れる。
【0236】
Vth1=Vth1_H=Re×(If+Ig)=Re×If+Re×Ig
Vth2=Vth2_H=(Rd+Re)×(If+Ig)+Rc×If
=(Rc+Rd+Re)×If+(Rd+Re)×Ig
Vth3_his=Vth3_H=(Rd+Re)×(If+Ig)+Rf×Ig
=(Rd+Re)×If+(Rd+Re+Rf)×Ig
但し、Vth1<Vth3_his<Vth2を満たすためには、Rc×If>Rf×Igを満たすように抵抗と電流値とを設定する必要がある。
【0237】
[2]Csig<Vth3_his=Vth3_Lの場合(スイッチ257はOFFと等価)
このとき、定電流Igは上記パスを流れない。
【0238】
Vth1=Vth1_L=Re×If
Vth2=Vth2_L=(Rc+Rd+Re)×If
Vth3_his=Vth3_L=(Rd+Re)×If
よって、この場合は、常にVth1<Vth3_his<Vth2を満たす。
【0239】
また、Vth1、Vth2、およびVth3_hisのそれぞれのヒステリシス電圧幅について、図19を参照しながら説明する。図19は、比較回路30の動作波形におけるヒステリシス電圧幅を示す。
【0240】
上記[1]および[2]より、Vth1のヒステリシス電圧幅(Vhis1)、Vth2のヒステリシス電圧幅(Vhis2)、およびVth3_hisのヒステリシス電圧幅(Vhis3)は、以下の値となる。
【0241】
Vhis1=Re×Ig
Vhis2=(Rd+Re)×Ig
Vhis3=(Rc+Rd+Re)×Ig
よって、Vhis1<Vhis2<Vhis3となる。また、この場合、図13のVth1およびVth2に相当するものが、それぞれVth1_HおよびVth2_Lとなるだけであり、出力動作は図11の場合と何も変わりは無い。
【0242】
したがって、比較回路30では、閾値電圧生成回路250を備えることにより、常にVth1<Vth3_his<Vth2を満たすことが可能となる。
【0243】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について図20および21に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1および2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1および2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。図20は、比較回路50の一構成例を示す回路図である。
【0244】
本実施の形態の比較回路50は、入力部11、NOTゲート12、充放電回路100、コンパレータ回路200、論理処理回路300、および第3のコンパレータ回路および出力信号生成回路としてのコンパレータ出力回路900a、900b・・を備えている。
【0245】
本実施の形態の比較回路50は、コンパレータ出力回路900a、900b・・を備えることにより、第1の閾値電圧(Vth1)と第2の閾値電圧(Vth2)との間に、複数の閾値電圧(第3、第4、・・の閾値電圧(Vth3、Vth4、・・))を設け、Csigとこれらの閾値電圧との比較結果に応じて、それぞれのVout(Vout3、Vout4、・・)を出力する。
【0246】
コンパレータ出力回路900aは、コンパレータ回路部901a、Vth3を発生する基準電源902a、MN903a、MN904a、抵抗905a、および出力部906aを備え、比較処理と出力処理とを合わせ持つ回路である。また、コンパレータ回路部901a、および基準電源902aで構成される部分が特許請求の範囲に記載の第3のコンパレータ回路であり、MN903a、MN904a、抵抗905a、および出力部906aで構成される部分が特許請求の範囲に記載の出力信号生成回路である。
【0247】
なお、コンパレータ回路部901aは、比較回路30のコンパレータ回路部701と同様の構成を有し、また、MN903a、MN904a、および抵抗905aは、比較回路30のMN801、MN802、および抵抗803と同様の構成を有している。また、コンパレータ出力回路900b、900c・・は、コンパレータ出力回路900aと設定される閾値電圧が異なるのみで、他は同様の構成を有する。
【0248】
次に、本実施の形態の比較回路50において、CsigとVth3とを比較するコンパレータ出力回路900a、および、CsigとVth4と比較するコンパレータ出力回路900bを備える場合の回路動作を、図21を参照しながら説明する。
【0249】
図21は、比較回路50の動作波形である。なお、pw_inは入力パルス、pw3はコンパレータ出力回路900aの出力パルス、pw4はコンパレータ出力回路900bの出力パルスを示す。また、t1_3は、入力パルスの立ち上がりに反応するコンパレータ出力回路900aの出力パルスの遅れ時間、t1_4は、入力パルスの立ち上がりに反応するコンパレータ出力回路900bの出力パルスの遅れ時間を示す。
【0250】
基本的な動作は前記実施の形態の比較回路10〜40と同様であり、Vin=Hiになると容量105の充電を行い、Vin=Lowになると容量105の放電を行う。
【0251】
但し、Csigの充放電動作は前記実施の形態の場合と同様であるが、複数の閾値電圧を備えることにより、Csigと複数の閾値電圧との比較結果からパルス信号(第3のパルス信号)をそれぞれ生成し、MN903aに出力する。詳細には、CsigとVth3との比較により生成されたパルス信号により、Vout3の出力パルスを、また、CsigとVth4との比較により生成されたパルス信号により、Vout4の出力パルスを得るので、様々なパルス幅をもつ複数の出力パルスを得ることが可能となる。つまりは、閾値電圧の値に応じて、出力パルス幅を変動させることが可能となる。
【0252】
また、図21に示すように、パルス幅の他に、閾値電圧の値に応じて遅延時間(t1_3、t1_4)も変動する。よって、本実施の形態の比較回路50は、遅延器として利用することも可能となる。
【0253】
なお、コンパレータ出力回路900a、900b・・に設定される複数の閾値電圧は、ヒステリシス特性を有していてもよいし、有していなくても良い。なお、上記閾値電圧がヒステリシス特性を有する場合は、有さない場合に比べて、出力の誤動作特性を向上することが可能となる。
【0254】
〔実施の形態4〕
本発明の他の実施の形態について図22に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜3と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。図22は、赤外線リモコン受信用デバイス1000の一構成例を示す回路ブロック図である。
【0255】
本実施の形態の赤外線リモコン受信用デバイス1000は、受信信号処理用に赤外線受信機(図示せず)の受信チップに搭載されるICである。なお、赤外線受信機における図示しない残りの部分は、従来の一般的な構成で実現可能である。
【0256】
本実施の形態の赤外線リモコン受信用デバイス1000は、I/V変換回路1001、増幅回路1002、バンドパスフィルタ(BPF)1003、検波回路1004、積分回路1005、ヒステリシスコンパレータ回路1006、および出力回路1007から構成されており、入力部はフォトダイオード1008に接続されている。
【0257】
ここで、ヒステリシスコンパレータ回路1006は、前記実施の形態1〜3の比較回路10〜50で構成される。なお、比較回路として、ヒステリシス特性を有する回路を用いる方が、誤動作防止能力を向上することが可能となる。
【0258】
赤外線受信機は、例えば、家電製品のリモコンであるとする。リモコン送信信号は、一般的に30kHz〜60kHz程度の決められたキャリア(副搬送波)で変調されたASK(Amplitude Shift Keying)信号である。
【0259】
受信チップでは、送信されてきた光信号がフォトダイオード1008で受信され、フォトダイオード1008の受信において発生した入力電流信号が、I/V変換回路1001で電圧信号に変換され、増幅回路1002にて増幅される。次いで、増幅回路1002から出力された電圧信号は、キャリアの周波数に合わせたBPF1003でキャリア成分が取り出される。その後、検波回路1004がキャリアを検出し、積分回路1005がキャリアのある時間を積分し、ヒステリシスコンパレータ回路1006がキャリアの有無を判別して、すなわち入力電圧と閾値電圧とを比較して、信号を出力する。そして、出力回路1007にて出力処理されて、デジタル信号が出力される。
【0260】
また、IrDAデバイスの場合においては、送信信号に変調をかけないため、バンドパスフィルタ回路が不必要となるが、上記赤外線リモコン受信用デバイス1000の場合とほぼ同じ構成である。
【0261】
よって、本実施の形態の赤外線リモコン受信用デバイス1000、およびそれを搭載する赤外線受信機では、本発明の比較回路から構成されるヒステリシスコンパレータ回路1006を備えているので、誤動作防止能力を有しつつ、休止期間の短い入力パルスの周期と同一の周期を有するパルスを出力する能力を向上することが可能となる。
【0262】
また、近年ではワイヤレスキーボードなどのマルチメディア機器において、高速伝送または低消費電力駆動を目的とした短周期・短パルス幅の送信コードを用いた赤外線リモコンシステムを搭載する機器が増加している。
【0263】
これに対して、本実施の形態の赤外線受信機では、本発明の比較回路を備えることにより、誤動作防止能力を維持しつつ、休止期間の短い送信コード、または短パルス幅の送信コードを受信することが可能となるので、上記機器に対しても対応することが可能となる。
【0264】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0265】
本発明は、赤外線通信手段を用いる機器に適用できる。上記機器として、例えば、赤外線通信受信機などがあり、具体的には、家電製品のリモコン、ワイヤレスキーボードなどのマルチメディア機器などにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0266】
【図1】本発明における比較回路の実施の一形態を示す回路ブロック図である。
【図2】上記比較回路の構成の一例を示す回路図である。
【図3】上記比較回路の動作波形である。
【図4】上記比較回路におけるSRラッチ回路、および出力回路の真理値表である。
【図5】上記比較回路における、パルス連続入力時の動作波形であり、(a)は、Toff>t3の場合の動作波形を示し、(b)は、t2<Toff<t3の場合の動作波形を示す。
【図6】上記比較回路における、誤動作時の動作波形である。
【図7】上記比較回路における、誤動作時のSRラッチ回路、および出力回路の真理値表である。
【図8】上記比較回路の他の構成の一例を示す回路図である。
【図9】(a)は、初期設定回路の構成の一例を示す回路図であり、(b)は、電源投入時の初期設定回路の動作波形である。
【図10】閾値電圧生成回路の構成の一例を示す回路図である。
【図11】本発明における比較回路の他の実施の形態を示す回路ブロック図である。
【図12】上記比較回路の出力回路において、(a)はカレントミラー電流比を設定した回路図であり、(b)は同じサイズのMOSデバイスを5個接続した回路図である。
【図13】上記比較回路の動作波形である。
【図14】上記比較回路における、パルス連続入力時の動作波形であり、(a)は、Toff>t3の場合の動作波形を示し、(b)は、t2<Toff<t3の場合の動作波形を示す。
【図15】上記比較回路における、誤動作時の動作波形である。
【図16】上記比較回路における、短パルス幅入力時の動作波形である。
【図17】上記比較回路の他の構成の一例を示す回路図である。
【図18】閾値電圧生成回路の構成の一例を示す回路図である。
【図19】上記比較回路のヒステリシス電圧幅を示す動作波形である。
【図20】本発明における比較回路のさらに他の実施の形態を示す回路ブロック図である。
【図21】上記比較回路の動作波形である。
【図22】本発明における赤外線リモコン受信用デバイスの実施の一形態を示すブロック図である。
【図23】従来のヒステリシスコンパレータ回路方式を用いた比較回路の実施の一形態を示す回路図である。
【図24】従来のヒステリシスコンパレータ回路の構成の一例を示す回路図である。
【図25】従来の比較回路の動作波形である。
【図26】従来の比較回路における、誤動作時の動作波形である。
【図27】従来の比較回路における、パルス連続入力時の動作波形であり、(a)は、Toff>t3の場合の動作波形を示し、図27(b)は、Toff<t3の場合の動作波形を示す。
【符号の説明】
【0267】
10,20,30,40,50 比較回路
11 入力部
100 充放電回路
101,102 スイッチ部(切替部)
103 電流源(第1の電流源)
104 電流源(第2の電流源)
105 容量
200 コンパレータ回路(第1のコンパレータ回路)
201,202 コンパレータ回路部
230 閾値電圧生成回路
231,232 抵抗
250 閾値電圧生成回路
251〜254 抵抗
300 論理処理回路(電流値調整手段)
400 SRラッチ回路
500 出力回路
503 出力部
550 出力信号生成回路
600 初期設定回路
700 ヒステリシスコンパレータ回路(第2のコンパレータ回路)
701 コンパレータ回路部
800 出力回路(出力信号生成回路)
804 出力部
900a.900b・・ コンパレータ出力回路(第3のコンパレータ回路、出力信号生成回路)
901a.901b・・ コンパレータ回路部
906a.906b・・ 出力部
1000 赤外線リモコン受信用デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力パルス信号のHighレベルとLowレベルとの切り替わりに応じて、充電動作と放電動作とが交互に切り替わり、充放電電流により容量を充放電する充放電回路と、上記容量の容量電圧と所定の閾値電圧とを比較する第1のコンパレータ回路と、上記第1のコンパレータ回路から出力される第1のパルス信号から、出力パルス信号を生成して出力する出力信号生成回路とを備える比較回路において、
上記第1のコンパレータ回路は、
上記容量電圧と、第1の閾値電圧、および上記第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧とをそれぞれ比較することによって、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧よりも小さい場合、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧と上記第2の閾値電圧との間にある場合、および上記容量電圧が上記第2の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた上記第1のパルス信号を生成し、
上記容量の充電時に、上記容量電圧が充電されて上記第2の閾値電圧よりも大きくなると、上記第1のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に出力し、
また、上記容量の放電時に、上記容量電圧が放電されて上記第1の閾値電圧よりも小さくなると、上記第1のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に出力し、
上記生成された第1のパルス信号から、上記充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して上記充放電回路に出力することにより、上記充放電電流の電流値を調整する電流値調整手段を備えていることを特徴とする比較回路。
【請求項2】
入力パルス信号のHighレベルとLowレベルとの切り替わりに応じて、充電動作と放電動作とが交互に切り替わり、充放電電流により容量を充放電する充放電回路と、上記容量の容量電圧と所定の閾値電圧とを比較する第1のコンパレータ回路および第2のコンパレータ回路と、上記第2のコンパレータ回路から出力される第2のパルス信号から、出力パルス信号を生成して出力する出力信号生成回路とを備える比較回路において、
上記第1のコンパレータ回路は、
上記容量電圧と、第1の閾値電圧、および上記第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧とをそれぞれ比較することによって、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧よりも小さい場合、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧と上記第2の閾値電圧との間にある場合、および上記容量電圧が上記第2の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた第1のパルス信号を生成し、
上記第2のコンパレータ回路は、
上記容量電圧と、上記第1の閾値電圧よりも大きく、かつ、上記第2の閾値電圧よりも小さい、ヒステリシス特性を有する第3の閾値電圧とを比較することによって、上記容量電圧が上記第3の閾値電圧よりも小さい場合、および上記容量電圧が上記第3の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた上記第2のパルス信号を生成し、
上記容量の充電時に、上記容量電圧が充電されて上記第3の閾値電圧よりも大きくなると、上記第2のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に出力し、
また、上記容量の放電時に、上記容量電圧が放電されて上記第3の閾値電圧よりも小さくなると、上記第2のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に出力し、
上記生成された第1のパルス信号から、上記充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して上記充放電回路に出力することにより、上記充放電電流の電流値を調整する電流値調整手段を備えていることを特徴とする比較回路。
【請求項3】
入力パルス信号のHighレベルとLowレベルとの切り替わりに応じて、充電動作と放電動作とが交互に切り替わり、充放電電流により容量を充放電する充放電回路と、上記容量の容量電圧と所定の閾値電圧とを比較する第1のコンパレータ回路および複数の第3のコンパレータ回路と、上記複数の第3のコンパレータ回路から出力される個別の第3のパルス信号から、個別の出力パルス信号を生成して出力する複数の出力信号生成回路とを備える比較回路において、
上記第1のコンパレータ回路は、
上記容量電圧と、第1の閾値電圧、および上記第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧とをそれぞれ比較することによって、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧よりも小さい場合、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧と上記第2の閾値電圧との間にある場合、および上記容量電圧が上記第2の閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた第1のパルス信号を生成し、
上記複数の第3のコンパレータ回路は、
上記第1の閾値電圧よりも大きく、かつ、上記第2の閾値電圧よりも小さい、閾値電圧が個別に設定されたものであり、
上記容量電圧と、上記閾値電圧とを比較することによって、上記容量電圧が上記閾値電圧よりも小さい場合、および上記容量電圧が上記閾値電圧よりも大きい場合のうちの何れかの場合に応じた上記第3のパルス信号を個別に生成し、
上記容量の充電時に、上記容量電圧が充電されて上記閾値電圧よりも大きくなると、上記第3のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に個別に出力し、
また、上記容量の放電時に、上記容量電圧が放電されて上記閾値電圧よりも小さくなると、上記第3のパルス信号を上記出力パルス信号のHighレベルとLowレベルとを切り替える信号として上記出力信号生成回路に個別に出力し、
上記生成された第1のパルス信号から、上記充放電回路の充放電電流の電流値を調整する信号を生成して上記充放電回路に出力することにより、上記充放電電流の電流値を調整する電流値調整手段を備えていることを特徴とする比較回路。
【請求項4】
上記充放電回路は、
上記入力パルス信号のHighレベルとLowレベルとの切り替わりに応じて切り替わる切替部を有し、該切替部によって、充電電流を出力する第1の電流源と、放電電流を出力する第2の電流源とを切り替えることにより、上記容量を充放電することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の比較回路。
【請求項5】
上記充放電回路は、
上記第1のコンパレータ回路から、上記容量電圧が上記第1の閾値電圧と上記第2の閾値電圧との間にある場合に応じた上記第1のパルス信号が出力される期間は、充電時間と放電時間とを等しくすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の比較回路。
【請求項6】
電源投入時に、上記充放電回路の容量電圧に初期設定を与える初期設定回路をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の比較回路。
【請求項7】
上記第1の閾値電圧および上記第2の閾値電圧は、抵抗の電圧降下により生成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の比較回路。
【請求項8】
受信信号を受信し、自機内で用いる信号として処理して出力する回路に、誤動作防止のために上記回路の出力側に設けられる比較回路を備えた赤外線受信機において、
上記比較回路は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の比較回路であることを特徴とする赤外線受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−5162(P2008−5162A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171807(P2006−171807)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】