説明

毛細管流動制限装置

真空脱気装置10におけるチャンバ12を操作可能に空にするのに使用するためのポンプ14が、チャンバ12と流体連通する1つ又は複数のポンプ・キャビティ72、74と、1つ又は複数のポンプ・キャビティ72、74の各1つと流体連通するように配置された出口83を有する連続した通気路80、84とを有する。通気路80、84は、液体脱気用途におけるポンプ14の作動の間の、ポンプ・キャビティ72、74内の溶媒凝縮を防止するのに十分な流量でポンプ14のポンプ・キャビティ72、74内へ希薄ガス流を提供するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、真空脱気システムに関し、より詳しくは、脱気される液体がそれを通じて運ばれるチャンバを空にするための、連続した通気路を通じて通気されるポンプを組み込む真空脱気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体溶媒の脱気は、種々の用途に利用される操作である。かかる用途の具体例は、液体クロマトグラフィ・システムにおける移動相の脱気におけるものである。そこでは、少量の溶解ガスの存在でさえ、得られる結果の精度や感度に干渉し得る。更に、もし溶解種が、酸素や空気の場合のように、化学的に活性であれば、かかる種は、所望でない変化又は移動相自体における劣化を付加的に生じ得る。
【0003】
液体材料を脱気するための技術は、脱気されるべき液体を加熱する又は沸騰させること、その材料を、減圧環境又は真空に晒すこと、及び、液体中の溶解ガスの量を減らすべく、熱及び真空の組合せを用いることを含むものであった。加えて、膜装置を通じた真空脱気が、ある長さの比較的小さな直径を備えた、合成高分子樹脂材料から構成されるとともに、減圧又は真空の下に保持される密閉チャンバ内に含められる半透過性の管類を採用することにより達成されてきた。脱気されるべき液体は、半透過性の高分子材料から作られた管類内の密閉チャンバを通じて運ばれる。かかる真空脱気法の例は、米国特許第5340384号に記載される。米国特許第5340384号は、本発明の場合と同じ譲受人に譲渡されたもので、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
真空脱気装置の密閉チャンバを空にすることを達成するために、典型的には、ポンプが、かかる真空チャンバと動作可能に接続されて採用される。たとえ種々のポンプのタイプが採用されても、単段又は多段の容積型ポンプが、真空脱気チャンバ内に所望レベルの減圧をもたらし維持するのに最良に適していることが分かっている。しかしながら、真空脱気用途でのかかるポンプの利用において生じる問題は、チャンバにて配置された半透過性の膜壁を通じた溶媒蒸気の透過の結果としての、脱気真空チャンバからポンプに浸潤する溶媒蒸気の存在である。もし溶媒蒸気の濃度が臨界レベルに達すれば、溶媒凝縮が生じるおそれがあり、結果として、ポンプの操作上の問題及び耐久性の問題が招かれる。例えば、凝縮された溶媒によって、ポンプの「詰まり」がもたらされる可能性があり、また、ポンプ内の金属部品の腐食がもたらされる可能性がある。
【0005】
ポンプ内における溶媒蒸気の凝縮の可能性を最小限に抑制するためには、凝縮臨界点を下回るよう溶媒蒸気凝縮を希薄化すべく、例えばポンプの圧縮チャンバ内へポンプ外部の少量の空気が侵入することを可能とするように、「流動制限器」が採用されてきた。かかる溶媒凝縮を回避するのに必要とされる空気の通気流量は、真空チャンバにおける脱気作用にて採用される半透過性の膜を通じた溶媒の透過性とともに、ポンプ作動温度での溶媒蒸気圧に依存する。溶媒の透過性は、各溶媒によって他と異なり、溶媒透過度は、真空チャンバ内の溶媒の分圧が、チャンバ温度での溶媒蒸気圧と等しい状態では、0に近づく。総チャンバ圧が溶媒蒸気圧を下回る静的な流れの状態で、チャンバ内の溶媒の分圧は、全圧に等しい。しかし、動的な流れの状態では、真空チャンバ内の溶媒蒸気の分圧を下げるチャンバ内への同伴空気の流入によって、膜に透過する溶媒の量が増加する。溶媒透過性は、次の数式を用いて算出され得る。
=p×V/(V+Vgas
=Vo×(1−p/p
ここで、
−溶媒分圧(mmHg)
p−チャンバ内の全圧(mmHg)
−溶媒蒸気の総透過性(標準cm/分)
Vo−溶媒分圧が0である状態での溶媒の総透過性(標準cm/分)
gas−総蒸気通気流量(標準cm/分)
−ポンプ排出温度での溶媒蒸気圧(mmHg)
【0006】
例えばポンプの圧縮チャンバ内での凝縮を防止するのに必要とされる通気流量は、以下の関係によって算出され得る。
gas=m×22400/MW×(B/p−1)
ここでは、
=溶媒の総質量透過性(グラム/分)
MW=溶媒の分子量
B=気圧(mmHg)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
液体脱気用途に採用される従来の真空ポンプは、通常、浸潤性の通気流量を制御するための流量制限器として焼結多孔質フリットを採用してきた。かかるポンプ構成の一例が米国特許第6494938号に示され、記載される。米国特許第6494938号は、本発明の場合と同じ譲受人に譲渡されたもので、参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、かかる焼結多孔質フリットは、作用上の欠点及び時間とともに劣化する可能性を呈する。具体的には、かかる焼結多孔質フリットの多くが、例えば液体クロマトグラフィ移動相に採用される一定の溶媒及び添加剤から腐食の影響を受けやすい材料から加工される。例えばステンレス鋼から製造されたそのような焼結多孔質フリットの腐食は、通気流制限における著しく永続的な変化をもたらし得る。かかる変化は、時間とともに追跡することが難しい可能性があり、また、そのため、システム・オペレータに気付かれずに、真空脱気作業の精度や効率を低下させる可能性がある。
【0008】
更に、真空脱気用途に一般的に採用される焼結多孔質フリットは、1μmより小さい位数における孔サイズを備える。その小サイズのフリット孔によって、粒子が、孔内にとどめることとなり、それにより、それを通る通気の通過が塞がれる若しくは減らされる。また、小さい孔サイズによって、ポンプ・キャビティ内での通気制限及び/又は蒸気凝縮をもたらし得る孔内での溶媒蒸気凝縮がもたらされる可能性がある。加えて、かかる焼結多孔質フリットは比較的高価である。
【0009】
したがって、本発明の主要な目的は、腐食の影響を受けやすい材料で製造される焼結多孔質フリット、及び/又は、1μmよりも小さい平均孔サイズを有するものを用いることなく、液体の減圧脱気に採用されるポンプのチャンバ内への通気の流入を制御可能とするための機構を提供することである。
【0010】
本発明の更なる目的は、通気の流入を可能とする比較的安価な機構を提供することである。
【0011】
本発明によって、圧縮チャンバ真空脱気作用と組み合わせて採用されるポンプの目標とされたキャビティ内への希薄ガスの流れが、多孔質フリット流の制限器機構に関連した欠点なしに、容易化される。特に、連続した通気路が、溶媒蒸気又は液体脱気作用にて通常存在する他の材料からの腐食に抵抗のある材料内で、連続した管腔により画定されるものとして提供される。更に、連続した通気路が、粒子状残骸の浸潤の結果として詰まる可能性を最小限に抑制するのに十分な大きい最小断面面積を備える。
【課題を解決するための手段】
【0012】
具体的な実施例において、本発明の真空脱気装置は、1つ又は複数の液体を脱気するように構成され、その装置は、真空チャンバと、その真空チャンバの入口と出口との間で1つ又は複数の液体を運ぶために、真空チャンバ内に配置される液体運搬部材と、真空チャンバを操作可能に空にするのに適したポンプとを備えるものである。そのポンプは、好ましくは、連続した通気路を通じて通気されるポンプ・キャビティを有する。好適な実施例では、通気路は、ガラスなどの非金属材料から加工される毛細管の管腔により形成される。加えて、粒子状物質による通気路のブロックを更に阻止するために、フィルタが、通気路の入口に配置されてもよい。
【0013】
本発明のまた別の実施例では、真空脱気装置におけるチャンバを操作可能に空にするに際して利用されるポンプが、チャンバと流体連通する1つ又は複数のポンプ・キャビティと、その1つ又は複数のポンプ・キャビティの各々1つと流体連通するように配置された出口を有する連続した通気路とを備える。通気路は、具体的には、ポンプ・キャビティ内での溶媒凝縮を防止するに十分な流量での、ポンプ・キャビティ内への希薄ガスの流れを提供するように構成される。
【実施例】
【0014】
本発明により表される他の目的、特徴及び進歩とともに、上記で列挙された目的及び利点は、本発明の種々の可能性のある構成を表すものとされる添付図面を参照しつつ説明される詳細な実施例に関して提示される。本発明の他の実施例及び態様は、当業者の理解の範囲内にあるものとして認識される。
【0015】
図面を、最初に図1を参照すれば、真空脱気装置10は、真空チャンバ12と、その真空チャンバ12を操作可能に空にするように構成されたポンプ14とを有する。ポンプ14は、好ましくは、チャンバ口30をポンプ入口34に接続する真空ライン32を通じて、真空チャンバ12と流体連通する。液体運搬部材16が真空チャンバ12内に配設され、真空チャンバ12の入口18と出口20との間で1つ又は複数の液体を操作可能に運ぶように構成される。
【0016】
好適な実施例では、液体運搬部材16が、半透過性の膜を形成する、気体を透過し得る、また、液体を透過し得ない材料から加工される。半透過性の膜は、運ばれる液体の操作可能な脱気を容易化する。当技術分野でよく知られるように、かかる脱気は、例えば真空チャンバ12内など、脱気されるべき液体と減圧環境との間に、液体運搬部材16を介在させることにより達成される。したがって、図1に示された実施例では、液体運搬部材16は、真空チャンバ12の入口18と出口20との間に液体を含み運ぶ1つ又は複数の管腔を画定する管類の形をとり得る。しかしながら、他の実施例では、脱気されるべき液体が、減圧環境が液体運搬部材内に画定される1つ又は複数の管腔内で与えられつつ、液体運搬部材外部で流れ得る。好適な実施例では、液体運搬部材16が、気体を透過し得る、また、液体を透過し得ない材料から加工された管類の形をするものである。かかる材料の一具体例は、商標名テフロンAF(登録商標)でデラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.Du Pont de Nemours and Company)により販売される非結晶質のペルフルオロ共重合体である。かかる材料は、管などの所望の形態に押し出される、又は別法で従来的に形成される。他の実施例では、液体運搬部材16が、PTFE、シリコーン・ラバー及びその同様のものなどの複数の材料から加工され得る。
【0017】
ポンプ14は、チャンバ口30を通じてポンプ排気孔36へ気体状の及び/又は蒸気の物質をくみ出すことにより、真空チャンバ12を空にするよう操作可能に構成されている。かかる空にすることを達成するために、ポンプ14は、好ましくは、図2によりよく詳細に示されるものなどの、容積型機構を組み込む。それに示されるように、ポンプ14は、2段式の、直列ダイアフラム・ポンプ機構である。マニホールド50が、移送ライン56を通じて互いに流体連通する第1の段ヘッド52及び第2の段ヘッド54を有する。マニホールド50は、好ましくは、ポンプ入口34及びポンプ排出孔36にそれぞれ関連付けられた吸入口及び排出口ダックビル逆止弁60、62を更に有する。かかる逆止弁60、62は、入口34における真空ライン32からポンプ14内への、そして、結局のところ、排出孔36におけるポンプ14から外への流れ方向を規制する。加えて、移送ダックビル逆止弁64が、第1の段から第2の段へのみ通過させ、その逆はできないように、流れを規制すべく、移送ライン56内に設けられる。
【0018】
モータ132が、それぞれ第1及び第2のポンプ・キャビティ72、74内に往復運動でロッド118、128を回転可能に駆動させるために、駆動シャフト130を通じて、ポンプ14に操作可能に連結される。好ましくは、第1及び第2のロッド118、128が、ロッド118、128の往復運動が好ましくは180°互いに位相がずれるように、対向した偏心カム部137、139で駆動シャフト130に連結される。モータ132は、好ましくは、例えば駆動シャフト130に回転運動を提供することができる従来の任意のモータである。本発明の真空脱気装置10に有用なモータの具体例は、ブラシレスの直流ステッピング・モータである。
【0019】
図2に示される実施例では、ロッド118、128が、好ましくは、ダイアフラム142に係合する各ピストン・ヘッド134、136に連結される。それにより、ピストン・ヘッド134、136は、吸入位置138と排出位置140との間でダイアフラム142の各部を往復運動させる。ダイアフラム142は種々の材料から加工され得るが、ダイアフラム142の好適なデザインは、PTFE又はその同様のものの膜材料を組み込む。
【0020】
本発明の好適な態様では、第1の通気路80が、例えばポンプ14外部の周辺環境から第1のポンプ・キャビティ72内への希薄ガスの流入を可能とすべく、第1の段ヘッド52に配置される。図3に最もよく示されるように、第1の通気路80は、好ましくは、毛細管82の管腔により形成される。その毛細管82の管腔は、好ましくは、少なくとも約10μmの、より好ましくは、約25と約150μmとの間の最小断面直径を有する連続的な通路である。十分であるが大き過ぎることのないサイズの通気路管腔を提供するための毛細管82の選択は、「最悪な場合」の溶媒材料に基づいたポンプ・キャビティ72内の凝縮の防止に関して前述した関係で定められる必要な希薄ガス流量に基づくものであり、典型的には、第1のポンプ・キャビティ72を通じた総流量の約10〜20%の範囲内である。典型的には、毛細管82、また結果的に第1の通気路80に関して選択されたサイズは、第1のポンプ・キャビティを通じた流れについて標準立法センチメートル当たり約2.5と3mmHgとの間でのポンプ14の性能をもたらす。結果として、第1の通気路80のサイズは、第1の圧縮チャンバ72を通じたガス/蒸気の総流量に依存する。例のために、分析規模のクロマトグラフィ・システムに採用される真空脱気装置が、約25と80μmとの間の内径サイズを備える毛細管を有してもよく、一方、プリパトリ規模のクロマトグラフィ・システムに採用される毛細管は、約50と150μmとの間の内径サイズを有してもよい。かかる通気路のサイズは、汚染粒子によりもたらされるプラグなしの状態に保つ上で、相当により大きな成功を有する。更に、凝縮された流体が第1の通気路80をブロックする事象においてさえ、典型的には、ポンプ14の作動の回復により、その制限が解消される。更に、毛細管82は、好ましくは、ガラスなどの非金属材料から加工される。本発明の用途に有用なサイズのホウケイ酸塩ガラスの毛細管は、ニュージャージー州マウンテンレイクのビトロコム社(Vitrocom,Inc.of Mountain Lakes New Jersey)から入手可能である。毛細管82の非金属材料は、溶媒又は反応蒸発のアタックの結果として、時間に伴う第1の通気路80の劣化を著しく軽減する所望の腐食耐性をもたらす。
【0021】
上記に加えて、毛細管82に採用されるものなどの毛細管は、希薄ガス流制限器として従来採用されてきた焼結多孔質フリットよりはるかに安い。かかるコスト節約は、特に、従来技術の用途にて典型的に必要とされるような1μmよりも小さい次数での孔サイズを有する焼結多孔質フリットに対して、毛細管のコストを比較する上で明白である。したがって、希薄通気路を形成する上での毛細管の選択は、真空脱気装置に組み込まれる真空ポンプに予め採用される材料及びデバイスよりも、種々の利点をもたらす。
【0022】
図示された実施例においては、毛細管82が、第1の段ヘッド52の孔部53内に配置される。孔部53内に毛細管82を適切に着座させるために、第1のスリーブ部材92が、レセプタクルを画定するために孔部53内に着座させられ得る。レセプタクル内では、例えば圧縮摩擦力によって毛細管82が保持され得る。第1のスリーブ部材92は、好ましくは、第1の段ヘッド52の孔部53内に毛細管82を適切に位置決めし保持するために、化学的耐性があり、弾性のある材料である。そのため、第1のスリーブ部材92は、例えば、上記説明に適合するポリプロピレン、又は、他の高分子若しくは非高分子材料から加工され得る。第1のスリーブ部材92は、好ましくは、毛細管82を、少なくともその周囲で部分的に取り囲み、毛細管82と孔部53の基部109との間に軸方向のクッション及び気密のシールを備える。かかる様式において、毛細管82は、第1の段ヘッド52内でしっかり位置決めされ、密閉式に係合され、更に、ポンプ14に対する振動又は他の衝撃によりもたらされ得るダメージから防護される。
【0023】
図3に更に示されるように、孔部53が、第1のポンプ・キャビティ72が、第1のアクセス孔部112を通じて孔部53と流体連通するように、第1のポンプ・キャビティ72から間隔を置かれた位置で、第1の段ヘッド52内に配置され得る。第1のアクセス孔部112は、同様に、第1のポンプ・キャビティ72を毛細管82により画定される管腔に流体連結する。第1のアクセス孔部112は、孔部53の基部109を組み込む実施例に必要とされる。他の実施例において、孔部53は、第1のスリーブ部材92が、第1のポンプ・キャビティ72に直接隣接した所望の位置に毛細管82を圧力をかけて密閉式に保持するように、基部109を画定することなく、第1の段ヘッド52全体を通じて延びてもよい。
【0024】
本発明の更なる任意選択の特徴は、毛細管82に関して、孔部53内に軸方向に位置決めされる第1の焼結多孔質フリット86の使用である。この実施例では、第1の多孔質フリット86が、入って来た残骸が、毛細管82により画定される管腔内に入り、それを詰まらせる可能性をもたらすことを防止するために、フィルタとして採用される。そのため、フィルタとして効果的に作用するために、第1の多孔質フリット86の最小孔サイズが、好ましくは、毛細管82により画定される管腔の断面直径よりも小さい。しかしながら、第1の多孔質フリット86の最小孔サイズが少なくとも約10μm、また、より好ましくは約10と25μmとの間であるように、多孔質フリットの従来技術の使用の欠点を回避することもまた本発明の目標である。したがって、第1の多孔質フリット86は、約10と25μmとの間よりも大きい平均直径を有する粒子状物質が、毛細管82により画定される管腔内に入ることを防止する。
【0025】
図3に示されるように、第1の多孔質フリット86は、第1の多孔質フリット86が、第1の段ヘッド52内に第1の多孔質フリット86を弾性的に着座させるべく、第1のスリーブ部材92に軸方向で隣接するように、好ましくは、孔部53内に圧入されるよう構成される。好適な実施例では、第1の多孔質フリット86は、ポリプロピレン又はその同様のものなどの耐食材料から加工される。しかしながら、第1の多孔質フリット86用の他の材料が採用されてもよい。そのため、前述したように、入って来た残骸に対するフィルタとして作用するために、第1の通気路80の出口83から第1のポンプ・キャビティ72に入る希薄ガス流が、所望の流量で、粒子状残骸が実質的に存在せずに維持されるように、第1の多孔質フリット86が、第1の通気路80の入口81に配置される。
【0026】
図示された実施例に更に示されるように、ポンプ14は、第2の段ヘッド54内に、第2の段ヘッド54の孔部55内に配置された第2の毛細管85により画定される第2の通気路84を有してもよい。第2の通気路84は、第2の毛細管85を孔部55内に圧力をかけて密閉式に保持している第2のスリーブ部材94を含みつつ、第1の通気路80に関して、前述したように構成されてもよい。しかしながら、第1及び第2の通気路80、84が全く同一の構造及び構成である必要性がないことは、上記説明を通じて示唆されるものとされる。それどころか、第1及び第2の通気路80、84は、採用される特定の用途に適するように、異なるサイズ、材料、及び/又は、構成部品を伴い構成されてもよい。
【0027】
第1のポンプ・キャビティ72を第2のポンプ・キャビティ74に流体連結する移送ライン56が、ポンプ14のマニホールド50内に完全に含まれるように示されるが、かかる移送ラインは、その代わりに、ポンプのデザインによる当然の結果として、少なくとも部分的にポンプ14外部に延びてもよい。更に、ポンプ14は、図1〜3に示されるものと同様に、2より多い又は少ない段を有することができる。
【0028】
更に、前述したような通気路が、真空脱気チャンバ12と流体連通するポンプ14内の複数のポンプ・キャビティのいずれかに配置され得ることが、本発明によって意図される。圧縮チャンバを形成する第1及び第2のポンプ・キャビティ72、74は、かかるポンプ・キャビティの例であるが、ポンプ14における他のポンプ・キャビティが、毛細管の管腔により画定される本発明の連続した通気路を通じて通気され得る。例えば、本発明の通気構成を通じて場合によって通気され得るポンプ14内のポンプ・キャビティは、移送ライン56及びポンプ入口34を有する。
【0029】
本発明は、特許法に準拠するように、また、新規の原理を適用すべく、また、必要とされるような本発明の実施例を構成し利用すべく必要とされる情報を当業者が備えるように、かなり詳細に本明細書に説明されてきた。しかしながら、本発明が明らかに異なるデバイスにより実行され得ること、及び、種々の変更が、本発明の範囲から逸脱することなく達成され得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の真空脱気装置の概略図である。
【図2】図1に示された真空脱気装置の一部の縦断面図である。
【図3】図1及び2に示された真空脱気装置の一部の縦断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の液体を脱気するための真空脱気装置であって、
(a)真空チャンバと、
(b)前記真空チャンバ内に配置され、前記真空チャンバの入口と出口との間で1つ又は複数の液体を操作可能に運ぶように構成された液体運搬部材と、
(c)前記真空チャンバを操作可能に空にするように構成されたポンプであって、連続した通気路を通じて通気されるポンプ・キャビティを有するポンプと、を有する真空脱気装置。
【請求項2】
前記通気路が、前記ポンプのヘッド部に配置される、請求項1に記載の真空脱気装置。
【請求項3】
前記通気路が、少なくとも約10μmの最小断面直径を有する、請求項1に記載の真空脱気装置。
【請求項4】
前記通気路が、毛細管の管腔により形成される、請求項1に記載の真空脱気装置。
【請求項5】
前記毛細管が、非金属材料から加工される、請求項4に記載の真空脱気装置。
【請求項6】
前記毛細管が、ガラスから加工される、請求項4に記載の真空脱気装置。
【請求項7】
前記通気路の入口に配置されるフィルタを有する、請求項1に記載の真空脱気装置。
【請求項8】
前記通気路の出口が、前記ポンプ・キャビティに直接隣接する、請求項7に記載の真空脱気装置。
【請求項9】
前記フィルタが、約10μmの最小孔サイズを有する焼結多孔質フリットである、請求項7に記載の真空脱気装置。
【請求項10】
1つ又は複数の液体を脱気するための真空脱気装置であって、
(a)真空チャンバと、
(b)前記真空チャンバ内に配置され、前記真空チャンバの入口と出口との間で1つ又は複数の液体を操作可能に運ぶように構成された液体運搬部材と、
(c)前記真空チャンバを操作可能に空にするように構成されたポンプであって、連続した通気路を通じて通気されるポンプ・キャビティを有するポンプと、を有する真空脱気装置。
【請求項11】
前記ポンプ・キャビティが、圧縮チャンバ及び入口チャンバから成る群から選択される、請求項10に記載の真空脱気装置。
【請求項12】
連続した通気路が、前記入口チャンバ及び少なくとも1つの圧縮チャンバの各々に配置される、請求項11に記載の真空脱気装置。
【請求項13】
前記通気路が、少なくとも約10μmの最小断面直径を有する、請求項10に記載の真空脱気装置。
【請求項14】
前記通気路が、毛細管の管腔により形成される、請求項10に記載の真空脱気装置。
【請求項15】
真空脱気装置におけるチャンバを操作可能に空にするのに用いるポンプであって、
(a)前記チャンバと流体連通する1つ又は複数のポンプ・キャビティと、
(b)前記1つ又は複数のポンプ・キャビティの各1つと流体連通するように配置された出口を有する連続した通気路であって、前記ポンプ・キャビティにおける溶媒凝縮を防止するのに十分な流量で、前記ポンプ・キャビティ内に希薄ガス流を提供するように構成された通気路と、を有するポンプ。
【請求項16】
前記十分な希薄ガス流量が、
gas=m×22400/MW×(750/p−1))
により定められる、請求項15に記載のポンプ。
【請求項17】
前記通気路が、少なくとも約10μmの最小断面直径を有する、請求項15に記載のポンプ。
【請求項18】
前記1つ又は複数のポンプ・キャビティが、圧縮チャンバ及び入口チャンバから成る群から選択される、請求項15に記載のポンプ。
【請求項19】
連続した通気路が、前記入口チャンバ及び少なくとも1つの圧縮チャンバの各々に配置される、請求項18に記載のポンプ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−536576(P2009−536576A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510144(P2009−510144)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/068463
【国際公開番号】WO2007/134046
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508332036)レオダイン、エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】