説明

毛髪化粧料組成物

【課題】毛髪に対して十分に優れた滑り性としっとり感を付与することができる毛髪化粧料組成物を提供する。
【解決手段】本発明の毛髪化粧料組成物は、一般式:MDD'D''Mで表わされるアルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体を含有する。MはRSiO1/2で表わされる末端キャッピング単位、D'はRSiO2/2で表わされる二官能性シロキシ単位、D''はRSiO2/2で表わされる二官能性シロキシ単位を表わす。ここで、Rは水素原子あるいはアルキル基もしくはアルコキシ基を表わし、Rはアミノ基を含有する基を表わし、Rは長鎖アルキル基もしくはアラルキル基もしくはアリール基を表わす。また、aは1〜2、bは0〜1、cは1〜2の整数であり、a+b+cは3以下である。xは10〜2,000、yは1〜50、zは0〜100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料組成物に係り、特に毛髪に滑らかさやしっとり感などを付与する毛髪用化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、消費者のニーズに合せて毛髪に滑らかさ(滑り感)や柔らかさ、しっとり感などを付与するために、シリコーンオイル(ポリオルガノシロキサン)、エステル油、炭化水素油などの油分や、カチオン性界面活性剤などを配合した毛髪化粧料組成物が種々提案されている。
【0003】
特に、シリコーンオイルは表面張力が低いことから、毛髪に均一に広がり易く、優れた光沢を与えることができる。また、幅広い粘性のシリコーンオイルの使用が可能であり、様々な触感を与えることができる。そのため、シリコーンオイルを用いた毛髪化粧料が、特許文献などに広範に開示されている。
【0004】
3−アミノプロピル基および/またはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基を含むポリオルガノシロキサンは、毛髪への吸着性に優れ、特に毛髪が濡れた状態での滑り性に優れているので、このようなシリコーンオイルを含む毛髪化粧料が多く提案されている。例えば、前記した3−アミノプロピル基を含み、アミノ当量が4000未満のアミノ変性シリコーンオイルをシャンプーに配合することで、すすぎ時および乾燥時の指通りを改善することが提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0005】
また、重合度が517以下のアミノ変性シリコーンと高重合度のシリコーンとをそれぞれ含有する毛髪化粧料が提案されている。(例えば、特許文献2参照)なお、重合度517のアミノ変性シリコーンの粘度は、ポリジメチルシロキサンの分子量と粘度との関係を表わすBarryの式:分子量=((Log粘度−1)/0.0123)を参考にして求めると、約2.5Pa・sとなる。
【0006】
また、アミノ変性シリコーンとポリオルガノシロキサンガムとの混合物を配合した毛髪化粧料が提案されている。(例えば、特許文献3参照)なお、特許文献3において、アミノ変性シリコーンの粘度やアミノ基の含有量は幅広く規定され、特に限定されていないが、最も好ましい重合度は50〜500とされており、粘度では数Pa・s以下と推測される。
【0007】
さらに、重合度3,000〜20,000の高分子アミノ変性シリコーンを配合した毛髪用組成物も提案されている。(例えば、特許文献4参照)なお、このアミノ変性シリコーンの粘度を前記Barryの式を用いて求めると、約6,000Pa・s以上の値となる。
【0008】
しかしながら、特許文献1および2に記載された毛髪化粧料組成物においては、いずれも乾燥時の指通りが不十分であった。
【0009】
また、特許文献3に記載された毛髪化粧料組成物においても、毛髪に対して満足する指通りが得られなかった。
【0010】
さらに、特許文献4に記載された毛髪化粧料組成物は、流動性がほとんどないいわゆるガム状物質であり、調製に手間がかかるばかりでなく、十分な滑らかさを付与することができなかった。
【特許文献1】特開平8−217643号公報
【特許文献2】特開平1−203314号公報
【特許文献3】特開平6−145029号公報
【特許文献4】特開平5−85918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこれらの問題を解決するためになされたもので、毛髪に対して、従来は付与することが難しかった滑らかでしっとり感のある手触りを付与することができ、しかも毛髪が濡れた状態であっても乾いた状態であっても十分にその効果が発現する毛髪化粧料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、特定のアルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体を用いることにより、濡れた状態および乾いた状態の毛髪に対して、ともに極めて滑らかな触感を付与することができることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明の毛髪化粧料組成物は、一般式:MDD'D''M(式中、Mは一般式:RSiO1/2で表わされる末端キャッピング単位、Dは一般式:RSiO2/2で表わされる二官能性シロキシ単位、D'は一般式:RSiO2/2で表わされる二官能性シロキシ単位、D''は一般式:RSiO2/2で表わされる二官能性シロキシ単位をそれぞれ表わす。ここで、Rは同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して水素原子あるいは炭素数1〜5の1価の置換または非置換のアルキル基もしくはアルコキシ基を表わし、Rはアミノ基を含有する基を表わし、Rは同一であるかまたは異なっており、炭素数6〜100の1価の置換または非置換のアルキル基もしくはアラルキル基もしくはアリール基を表わす。aは1〜3の整数、bは0〜2の整数、cは0〜2の整数であり、a+b+cは3以下である。また、xは10〜2,000、yは1〜50、zは0〜100の値をそれぞれ有している。)で表わされるアルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体を含有することを特徴とする。
【0014】
本発明の毛髪化粧料組成物において、アルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体のアミノ当量を1,000〜140,000の範囲とすることができる。また、前記一般式におけるRを、3−アミノプロピル基またはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基とすることができる。さらに、アルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体をエマルジョンの形態で配合することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の毛髪化粧料組成物によれば、毛髪に対して、従来は得ることのできなかった優れた滑り性としっとり感の両方を付与することができる。また、その効果を、毛髪が濡れた状態であっても乾いた状態であっても十分に発現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の毛髪化粧料組成物の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明の実施形態の毛髪化粧料組成物は、一般式:MDD'D''Mで表わされるポリオルガノシロキサンを含有している。
【0018】
式中、Mは一般式:RSiO1/2で表わされる末端キャッピングされたシロキシ単位、Dは一般式:RSiO2/2で表わされる二官能性シロキシ単位、D'は一般式:RSiO2/2で表わされる二官能性シロキシ単位、D''は一般式:RSiO2/2で表わされる二官能性シロキシ単位をそれぞれ表わしている。
【0019】
ここで、Rは互いに同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素原子あるいは炭素数1〜5の1価の置換または非置換のアルキル基もしくはアルコキシ基を表わす。具体的にRとしては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のようなアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のようなアルコキシ基が例示されるが、特にメチル基であることが好ましい。
【0020】
はアミノ基を含有する1価の基(アミノ含有基)を示す。アミノ含有基として特に制限はないが、材料入手の観点から、3−アミノプロピル基またはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基であることが好ましい。
【0021】
は、互いに同一であるかまたは異なっており、炭素数6〜100、より好ましくは炭素数10〜50の1価の置換または非置換のアルキル基もしくはアラルキル基もしくはアリール基を表わす。具体的には、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基、デシル基、イソデシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基、ベヘニル基などのアルキル基、アリール部分がフェニル基または炭素数4以下の低級アルキル置換フェニル基であり、かつアルキル部分が炭素数4以下の低級アルキル基であるアラルキル基、例えば2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基など、あるいは、フェニル基または炭素数4以下の低級アルキル置換フェニル基、例えばフェニル基、トリル基などである。
【0022】
末端キャッピング単位Mにおいて、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数、cは0〜2の整数であり、a+b+cは3以下である。
【0023】
本発明の実施形態に使用するアルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体を表わす一般式:MDD'D''Mにおいて、xの値は10〜2000の範囲であり、好ましくは15〜1500の範囲である。xの値が10未満では、得られる化粧料組成物が滑らかさ(滑り性)の点で劣る。xの値が2000を超えると、使用後に水の揮発に伴って破壊されるエマルジョン粒子内のアルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体が毛髪表面に広がり難いため、滑らかさが得られない。
【0024】
yの値は1〜50の範囲であり、特に好ましくは1〜20の範囲である。yの値が50を超える場合、乾いた毛髪に対する滑らかさの点で劣る。zの値は0〜100の範囲であり、好ましくは0〜50の範囲である。zの値が100を超えると、毛髪に対して付与する滑らかさが劣り、好ましくない。
【0025】
さらに、本発明の実施形態において、アルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体のアミノ当量を1,000〜140,000とすることが望ましい。なお、アミノ当量とは、アミノ基1モル当量に対するアミノ変性ポリオルガノシロキサンの重量をいう。アミノ当量が1,000未満である場合には、乾いた髪に対する滑らかさの付与効果が低下し、反対にアミノ当量が140,000を超えると、濡れた髪に対する滑らかさの付与効果が低下し、いずれの場合も好ましくない。
【0026】
実施形態のアルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体は、濡れた髪と乾いた髪の両方に対して優れた滑らかさを与えるが、シリコーン化合物を併用することにより、より細かな触感の要求に対応することができる。なお、他のシリコーンと併用する場合、シリコーン同士を予めブレンドしておき、そのブレンド物を乳化して使用することが望ましい。
【0027】
併用するシリコーンとしては、ポリジメチルシロキサン(ジメチコン)、環状ポリジメチルシロキサン(シクロメチコン)などが挙げられる。ポリジメチルシロキサンとしては、25℃における粘度が0.05〜20,000Pa・sの幅広い範囲のものを使用することができ、配合により、特に乾いた髪に対する滑らかさを調整することができる。一方、環状ポリジメチルシロキサンは、特に濡れた髪に対する滑らかさを調整することができる。
【0028】
毛髪化粧料が、シャンプーやリンスのような水系の場合、本発明で使用されるアルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体、あるいはアルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体と前記した他のシリコーンとのブレンド物は、予め乳化しエマルジョンとしてから配合することが望ましい。
【0029】
このように構成することにより、毛髪化粧料中に分散されるシリコーン粒子の粒子径を容易に制御することができ、付与される触感の調整が容易となる。すなわち、大粒子径のシリコーン粒子を含むエマルジョンは、毛髪にシリコーン分が残りやすいため、塗り付けた後洗い流すタイプの化粧料であるリンス、コンディショナーなどには好適するが、シリコーンの粒子径が大きすぎると、毛髪化粧料中での安定性が低下するなどの問題がある。そのため、シリコーン粒子の最適な粒子径は各々の毛髪化粧料によって異なり、粒子径の制御が必要である。
【0030】
本発明において、このアルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体を含むエマルジョンの製造には、公知の方法を用いることができる。例えば、コロイドミル、ラインミル、ホモミキサー、ホモジナイザーなどの乳化機械、あるいはアンカーミキサーとホモミキサー、またはアンカーミキサーとディスパーミキサーとが一体になった乳化機を用いて乳化する方法などが挙げられるが、これらの方法に限定されない。
【0031】
また、エマルジョンの製造には、界面活性剤および水が使用される。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれを用いても良く、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0032】
アニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルフォン酸、オクチルベンゼンスルフォン酸、ポリオキシエチレンラウリルサルフェート、ラウリルサルフェート、テトラデセンスルフォン酸、ヒドロキシテトラデセンスルフォン酸、およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩などが挙げられる。
【0033】
カチオン性界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ステアリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジオクチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジステアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
【0034】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0035】
両性界面活性剤としては、ラウリルアミンオキシド、ラウリルベタイン、ココアミドプロピルベタインなどが挙げられる。
【0036】
界面活性剤の種類は、毛髪化粧料における他の成分との相性によって選択される。例えば、目的とする毛髪化粧料組成物がシャンプーのようなアニオン性組成物の場合、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤の使用が好ましく、またリンス、コンディショナーなどのカチオン性組成物の場合、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤の使用が好ましい。エマルジョンの粒子径制御が比較的容易であることと、アニオン性およびカチオン性組成物のいずれにも安定に配合できることから、特にノニオン性界面活性剤の使用が好ましい。
【0037】
ここで、ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(3)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(18)ノニルフェニルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(EO14)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(EO80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット、モノレイン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリル、モノパルミチン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(10)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)フィトステロール、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(8)ステアリルプロピレンジアミン、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテルリン酸ナトリウムなどが挙げられる。得られるエマルジョンの安定性が良好なことから、これらのノニオン性界面活性剤の中でも、HLBの値が6〜20のものを併用することが好ましい。
【0038】
これらの界面活性剤の配合量は、エマルジョン全体の1〜40重量%の範囲が好ましく、より好ましくは2〜20重量%である。1重量%未満では、各成分を良好に分散させることが困難になり、また40重量%を超えるとエマルジョンの安定性が低下する。また、エマルジョンの分散媒としての水の配合量は、エマルジョン全体の20〜90重量%の範囲が好ましく、より好ましくは30〜80重量%である。
【0039】
乳化に際しては、アミノ基部分を酸で中和することで、エマルジョンの安定性を改善することができる。このとき使用される酸としては、酢酸、乳酸などの有機酸、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸が挙げられる。
【0040】
本発明に係る毛髪化粧料組成物として、具体的には、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、ヘアスタイリング剤、ヘアムース、ヘアクリーム、ジェルなどが挙げられる。各々の化粧料は、その目的が同一ではないが、毛髪に滑らかな触感を付与する点では一致している。本発明のアルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体を配合した毛髪化粧料を用いることで、濡れた髪、乾いた髪の両方に優れた滑らかさを付与することができる。
【0041】
本発明のアルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体を含むエマルジョンをリンス効果剤やコンディショナーとして用いる場合には、第4級アンモニウム塩の1種または2種以上を、毛髪化粧料全体に対して0.1〜5重量%の割合で配合することが望ましい。第4級アンモニウム塩が0.1重量%未満であると、リンス効果が不十分であり、5重量%を超えると、毛髪化粧料の粘性が高くなり使用しにくい。
【0042】
第4級アンモニウム塩としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルジメチルヒドロキセチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルアンモニウム、セチルトリエチルアンモニウムメチルサルフェートなどを挙げることができる。これらの中でも、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、および塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムが特に好ましい。
【0043】
また、本発明のアミノ変性ポリオルガノシロキサンを含むエマルジョンをシャンプーなどの洗浄剤に用いる場合には、脂肪酸石鹸、α‐アシルスルフォン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N‐アシルアミノ酸塩などのアニオン性界面活性剤、モノステアリン酸グリセリン、モノレイン酸グリセリンなどのグリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸グリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドなどのアルキルアルカノールアミドのようなノニオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2‐アルキル‐N‐カルボキシメチル‐N‐ヒドロキセチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインなどのベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体のような両性界面活性剤の1種または2種以上を、毛髪化粧料中に5〜40重量%の割合で配合することが望ましい。5重量%未満である場合には、洗浄性と洗浄時の泡立ち性が劣り、40重量%を超えると、得られる毛髪化粧料の粘性が高くなり使用し難い。
【0044】
本発明の毛髪化粧料組成物には、上記成分の他に、目的に応じて、流動パラフィン、スクワラン、ラノリン誘導体、高級アルコール、各種エステル油などの油分、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトールポリエチレングリコールなどの水溶性油分、ヒアルロン酸、コンドロイチン酸、ピロリドンカルボン酸などの保湿剤、カルボキシビニルポリマーなどの増粘剤、カチオン変性セルロースエーテル誘導体、ポリビニルピロリドン誘導体4級アンモニウム塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアミド誘導体4級アンモニウム塩、ポリオキシエチレンポリアルキレン、ポリアミンなどのカチオン性高分子、紫外線吸収剤、香料などを配合しても良い。
【0045】
本発明の毛髪化粧料組成物においては、濡れた髪と乾いた髪のいずれに対しても、優れた滑らかさとしっとり感を付与することができる。そして、このような優れた触感は従来の毛髪化粧料では得られないものである。
【実施例】
【0046】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、これらの例において、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表わす。また、粘度は25℃における測定値を示す。
【0047】
実施例1(シャンプー組成物)
一般式:M10で表わされるアルキル変性シリコーンオイル3部と、オクタメチルシクロテトラシロキサン95部、化学式:HN−(CH)−HN−(CH)−Si(CH)(OCH)で表わされるアミノ化合物2部とを、水酸化カリウムを用い公知の方法で平衡化を行うことにより、アミノ当量4,600で粘度50Pa・sのアルキル変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体Cを得た。なお、Mは、化学式:R(CH2SiOで表されるシロキシ単位を表わす。Rは、炭素数30のアルキル基である。
【0048】
次いで、得られたアルキル変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体Cを25部に、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(HLB10.2)5.5部と、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(HLB14.5)3部をそれぞれ加え、さらにイオン交換水66部を徐々に加えながらアジホモミキサーにより撹拌して分散させ、乳白色のシリコーンエマルジョン(E-3)を得た。
【0049】
こうして得られたシリコーンエマルジョン(E-3)を用いて、表1に示す組成でシャンプー組成物を調製した。
【0050】
比較例1
一般式:MD50Mで表わされるアルキル変性シリコーンオイル25部に、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(HLB10.2)5.5部と、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(HLB14.5)3部をそれぞれ加え、さらにイオン交換水66部を徐々に加えながらアジホモミキサーにより撹拌して分散させ、シリコーンエマルジョン(E-4)を得た。なお、Mは化学式(CHSiO1/2で表されるシロキシ単位、Dは、化学式:R(CH)SiOで表されるシロキシ単位をそれぞれ表わす。Rは、炭素数14のアルキル基である。
【0051】
こうして得られたシリコーンエマルジョン(E-4)を用いて、表1に示す組成でシャンプー組成物を調製した。
【0052】
比較例2
一般式:MD'320Mで表わされるアミノ変性シリコーンオイル25部に、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(HLB10.2)5.5部と、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(HLB14.5)3部をそれぞれ加え、さらにイオン交換水66部を徐々に加えながらアジホモミキサーにより撹拌して分散させ、シリコーンエマルジョン(E-5)を得た。なお、D'は、HN−(CH)−HN−(CH)−SiOで表されるシロキシ単位を表わす。
【0053】
こうして得られたシリコーンエマルジョン(E-5)を用いて、表1に示す組成でシャンプー組成物を調製した。
【0054】
比較例3
一般式:MD'320Mで表わされるアミノ変性シリコーンオイル12.5部と、粘度5Pa・sのジメチルシリコーンオイル12.5部との混合物に、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(HLB10.2)5.5部と、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(HLB14.5)3部をそれぞれ加え、さらにイオン交換水66部を徐々に加えながらアジホモミキサーにより撹拌して分散させ、シリコーンエマルジョン(E-6)を得た。
【0055】
こうして得られたシリコーンエマルジョン(E-6)を用いて、表1に示す組成でシャンプー組成物を調製した。
【0056】
比較例4
粘度5Pa・sのジメチルシリコーンオイル25部に、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(HLB10.2)5.5部と、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(HLB14.5)3部を加え、さらにイオン交換水66部を徐々に加えながらアジホモミキサーにより撹拌して分散させ、シリコーンエマルジョン(E-7)を得た。
【0057】
こうして得られたシリコーンエマルジョン(E-7)を用いて、表1に示す組成でシャンプー組成物を調製した。
【0058】
次に、上記実施例1および比較例1〜4でそれぞれ調製したシャンプー組成物について、以下に示す方法および基準にしたがっての特性評価を行った。
【0059】
[評価方法]
12人のパネリストがそれぞれ、長さ25cmの毛髪10gを40℃の水に浸しシャンプー組成物2gで1分間洗浄した後、30秒間40℃の水ですすぎ、ドライヤーで乾燥させて、毛髪サンプルを作成した。この毛髪サンプルの作成段階で、各パネリストに、「洗浄時の指通り」、「すすぎ時の指通り」、「乾燥後の滑らかさ」および「乾燥後のしっとり感」を、下記の基準で5段階の点数付けを行ってもらい、その平均値を算出した。
【0060】
[評価基準]
5…極めて優れる
4…優れる
3…良い
2…やや劣る
1…劣る
これらの評価結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
実施例2,比較例5〜8(コンディショナー組成物)
上記実施例1および比較例1〜4で使用したシリコーンエマルジョン(E-3)〜(E-7)を用い、表2に示す組成でそれぞれコンディショナー組成物を調製した。
【0063】
次に、これらのコンディショナー組成物の特性評価を、以下に示す方法および基準にしたがって行った。
【0064】
[評価方法]
12人のパネリストがそれぞれ、長さ25cmの毛髪10gを40℃の水に浸し、コンディショナー組成物2gを濡れた毛髪に塗り広げ、1分後40℃の水で30秒間すすぎ、ドライヤーで乾燥させて、毛髪サンプルを作成した。この毛髪サンプルの作成段階で、各パネリストに、「洗浄時の指通り」、「すすぎ時の指通り」、「乾燥後の滑らかさ」および「乾燥後のしっとり感」を、下記の基準で5段階の点数付けを行ってもらい、その平均値を算出した。
【0065】
[評価基準]
5…極めて優れる
4…優れる
3…良い
2…やや劣る
1…劣る
これらの評価結果を表2に示す。
【0066】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の毛髪化粧料組成物によれば、毛髪に対して、従来は得ることのできなかった優れた滑り性としっとり感の両方を付与することができる。また、その効果を、毛髪が濡れた状態であっても乾いた状態であっても十分に発現させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:MDD'D''
(式中、Mは一般式:RSiO1/2で表わされる末端キャッピング単位、Dは一般式:RSiO2/2で表わされる二官能性シロキシ単位、D'は一般式:RSiO2/2で表わされる二官能性シロキシ単位、D''は一般式:RSiO2/2で表わされる二官能性シロキシ単位をそれぞれ表わす。ここで、Rは同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して水素原子あるいは炭素数1〜5の1価の置換または非置換のアルキル基もしくはアルコキシ基を表わし、Rはアミノ基を含有する基を表わし、Rは同一であるかまたは異なっており、炭素数6〜100の1価の置換または非置換のアルキル基もしくはアラルキル基もしくはアリール基を表わす。aは1〜3の整数、bは0〜2の整数、cは0〜2の整数であり、a+b+cは3以下である。また、xは10〜2,000、yは1〜50、zは0〜100の値をそれぞれ有している。)で表わされるアルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体を含有することを特徴とする毛髪化粧料組成物。
【請求項2】
前記アルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体のアミノ当量が1,000〜140,000であることを特徴とする請求項1記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項3】
前記Rが、3−アミノプロピル基またはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基であることを特徴とする請求項1または2記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項4】
前記アルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体がエマルジョンの形態で配合されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の毛髪化粧料組成物。

【公開番号】特開2008−273990(P2008−273990A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199851(P2008−199851)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【分割の表示】特願2003−369883(P2003−369883)の分割
【原出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【出願人】(000221111)モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社 (257)
【Fターム(参考)】