説明

毛髪化粧料

【課題】 乾燥後の毛髪に優れた使用感を付与し、根元から毛先まで均一な柔軟性を付与することができる、特に化学処理により損傷の進んだ髪に適する毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】 次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)一般式(1)
【化1】


で表されるエーテル型陽イオン性界面活性剤
(B)脂肪族アルコール
(C)窒素原子を下記一般式(2)
【化2】


で表わされるポリ−(N−アシルアルキルイミン)単位と共に含有するアルキレン基に結合した1個以上のケイ素原子を有し、シリコーンセグメントの重量含有率が40%以上であるオルガノポリシロキサン
を含有する毛髪化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥後の毛髪に優れた使用感を付与し、更にその持続性に優れた毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック等、所謂ヘアコンディショニング剤は、洗髪後の乾燥した髪の扱いやすさを決める上で重要な役割を果たしている。具体的には、湿っている状態での髪のからまりを防ぐとともに、乾燥後になめらかさ、しっとり感など好ましい感触の賦与がその機能である。しかし、乾燥後の髪の感触は、さらなる水分の蒸発もあいまって経時とともに、パサつき感が増し、更にはなめらかさも失われる。
このような実状から、ヘアコンディショニング剤への種々の油剤の添加が試みられてきたが、乾燥後の感触を持続させるためには、相当量の油剤の添加が必要で、そのために、ヘアコンディショニング剤を使用した直後の感触にベタつき感が発生する所謂オーバーパフォーマンスの状態になるなどの問題点があった。
この問題点を解決するために、特定のオルガノポリシロキサンを、カチオン性界面活性剤及び脂肪族アルコール又は脂肪酸と併用したコンディショニング剤組成物(特許文献1)、及びアミドアミン化合物と併用したコンディショニング剤組成物(特許文献2)が開示されているが、ヘアカラー等の化学処理により損傷の進んだ髪に適用した場合、根元から毛先まで均一な柔軟性を与えるまでには至らなかった。
【特許文献1】特開2002−53444号公報
【特許文献2】特開2003−53445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、乾燥後の毛髪に優れた使用感を付与し、根元から毛先まで均一な柔軟性を付与することができる、特に化学処理により損傷の進んだ髪に適する毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、特定のエーテル型陽イオン性界面活性剤と脂肪族アルコールと特定のオルガノポリシロキサンを併用すると、乾燥後の毛髪の使用感が優れ、根元から毛先まで均一な柔軟性を付与することができることを見出した。
【0005】
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)一般式(1)
【0006】
【化1】

【0007】
〔式中、R1 は、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R2 及びR4 は、炭素数1〜6のアルキル基又は−(AO)n H(Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、平均付加モル数nは1〜6の数を示し、n個のAOは同一でも異なってもよく、その配列は任意である。)を示し、R3 は、炭素数1〜6のアルキル基、ベンジル基又は−(A’O)m H(A’は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、平均付加モル数mは1〜6の数を示し、m個のA’Oは同一でも異なってもよく、その配列は任意である。)を示し、X- は、陰イオンを示す。〕で表されるエーテル型陽イオン性界面活性剤〔以下、成分(A)とも云う〕
(B)脂肪族アルコール〔以下、成分(B)とも云う〕
(C)窒素原子を下記一般式(2)
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、aは1〜5の数を示し、R11は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示す。)で表わされるポリ−(N−アシルアルキルイミン)単位と共に含有するアルキレン基に結合した1個以上のケイ素原子を有し、シリコーンセグメントの重量含有率が40%以上であるオルガノポリシロキサン〔以下、成分(C)とも云う〕
を含有する毛髪化粧料組成物を提供するものである。ここで、(C)成分のシリコーンセグメントはオルガノポリシロキサンのポリシロキサン部を意味し、シリコーンセグメントの重量含有率は、プラズマ発光分析によるケイ素定量分析値から求めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、特にヘアカラー等の化学処理により損傷の進んだ髪に適用した場合、優れた使用感を付与し、特に傷んだ毛先の感触を向上させることで根元から毛先まで均一な柔軟性を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
成分(A)の上記一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4は以下に示すものが、湿潤時から乾燥後までの毛髪に対する柔軟性及びすべり性の観点から好ましい。上記一般式(1)において、R1としては、炭素数12〜22、特に16〜18のものが好ましく、また直鎖のアルキル基が好ましい。R2及びR4としては、炭素数1〜6のアルキル基及び−(CH2CH2O)nHが好ましく、平均付加モル数nは1〜3、特に1〜2が好ましく、更にはメチル基及びエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。R3としては、メチル基、エチル基及びベンジル基が好ましく、更にはメチル基及びエチル基、特にメチル基が好ましい。X-としては、ハロゲンイオン、又は有機アニオン、例えば、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェート、ニトレート、スルフォネート、スルフェート、及びエチルスルフェート等のアルキルスルフェート等が挙げられ、アルキルスルフェート及び塩素イオンが好ましく、特に塩素イオンが好ましい。
【0012】
成分(A)は、2種以上を併用してもよい。本発明の毛髪化粧料中の成分(A)の含有量は、毛髪に十分に柔軟性及びすべり性を付与でき、かつ保存時における沈殿、固化、分層等が生じない製品の安定性の観点から、0.1〜20重量%が好ましく、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の洗い流すタイプのものでは、特に0.5〜10重量%が好ましく、また、ヘアパック、ヘアリキッド等の洗い流さないタイプのものでは、特に0.2〜5重量%が好ましい。
【0013】
本発明で使用する成分(B)脂肪族アルコールは、炭素数12〜30、特に16〜22の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を有するものが好ましい。このような脂肪族アルコールとして、セチルアルコール(セタノールともいう、セチルアルコールNX;高級アルコール工業製)、セトステアリルアルコール(カルコール6850;花王製)、ステアリルアルコール(カルコール80;花王製)、イソステアリルアルコール(リソナール18SP;高級アルコール工業製)、オレイルアルコール(オレイルアルコール♯1500;共和油脂工業製)、ベヘニルアルコール(カルコール220−80;花王製)、及びこれらの混合物が挙げられる。特にセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましく、また2種以上を併用してもよい。
成分(B)は、使用時の感触を高める観点から毛髪化粧料中に0.1〜15重量%、特に1.0〜10重量%含有するのが好ましい。
【0014】
成分(A)と成分(B)は、重量比で成分(A)/成分(B)が1/0.5〜1/10、更に1/1〜1/8、特に1/2〜1/6の範囲で含有するのが使用時の感触を高める点で好ましい。
【0015】
成分(C)における、窒素原子を一般式(1)で表わされるポリ−(N−アシルアルキルイミン)単位と共に含有するアルキレン基としては、式(A)
【0016】
【化3】

【0017】
〔ここで、pは1〜5の数、qは5〜30の数を示し、R12は炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基を示し、R11及びaは前記と同じ〕で示される基が好ましい。すなわち、成分(C)としては上記式(A)の基がケイ素原子に結合したオルガノポリシロキサンが好ましい。ここで、R11で示されるシクロアルキル基としては炭素数3〜6のものが好ましく、アラルキル基としては炭素数7〜12が好ましい。R11及びR12で示されるアリール基としては炭素数6〜12が好ましい。
【0018】
本発明で使用する成分(C)は、次の一般式(3);
【0019】
【化4】

【0020】
(式中、m、nは各々20〜10000の数、xは1〜5の数、yは5〜30の数を示し、R13は炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基を示し、及びY-は陰イオンを示す。)で表わされるものが好ましい。一般式(3)で表わされるアミノアルキルジメチルポリシロキサン/ポリエチルオキサゾリン共重合体は、次の反応スキームに従って製造される(ヨーロッパ特許出願第640、643号公報)。
【0021】
【化5】

【0022】
上記一般式(3)中の陰イオンY-は、もちろん上記反応スキームで例示されたエチルスルフェート陰イオンとは異なるものとすることができる。すなわち、4級化はメチルクロライド、ジメチルスルフェート、ベンジルクロライド、ドデシルブロマイド等によっても行うことができる。
【0023】
アミノアルキルジメチルポリシロキサン/ポリエチルオキサゾリン共重合体としては、クロロホルムを展開溶媒としたゲル浸透型クロマトグラフィー法によるポリスチレン換算重量平均分子量が15000〜300000、好ましくは50000〜200000であって、ポリエチルオキサゾリン残基の分子量が200〜20000、好ましくは400〜10000であり、更にグラフト点間分子量が1000〜40000、好ましくは2000〜25000のグラフト共重合体が好ましい。
【0024】
成分(C)は、2種以上を併用してもよい。成分(C)は、毛髪化粧料中に0.05〜10重量%、特に0.1〜5重量%含有するのがベタつきのなさ等の使用感の点で好ましい。
成分(B)と成分(C)は重量比で成分(B)/成分(C)が1/0.005〜1/0.5、特に1/0.02〜1/0.4の範囲で含有するのが使用時の感触を高める点で好ましい。
【0025】
本発明の毛髪化粧料中には、タンパク質類、セラミド類、シリコーン誘導体、カチオン性ポリマー等のコンディショニング成分を含有してもよい。
【0026】
タンパク質類とは、特にタンパク質もしくはタンパク質加水分解物及びその誘導体を意味し、動物又は植物から抽出、誘導することができる。動物に由来するタンパク質としては、ケラチン、エラスチン、コラーゲン、ラクトフェリン、カゼイン、α(β)−ラクトアルブミン、グロブリン類、卵白アルブミン及びシルクを挙げることができる。ここで、特に好ましいのは、ケラチン、エラスチン、コラーゲン、カゼイン、シルクである。一方、植物に由来するタンパク質の例としては、小麦、麦芽、オートムギ、大麦、トウモロコシ、米、大豆、ソラマメ、ルピナスの種子、ジャガイモ類及びアンズの仁を挙げることができる。ここで、特に好ましいのは、小麦、大豆が挙げられる。
【0027】
タンパク質類は、毛髪化粧料中に、好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくは0.05〜3重量%含有できる。
【0028】
セラミド類とは、合成もしくは天然物からの抽出により得られるN−アシル化スフィンゴシン類、N−アシル化フィトスフィンゴシン類、N−アシル化ジヒドロスフィンゴシン類を意味する。スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシンにアシル置換されている置換基は、C8〜22の飽和/不飽和の炭化水素基で、更に同炭化水素基の水素原子の1〜5個が水酸基により置換されていてもよい。例えば、CTFA辞書にも記載のされている以下の化合物が挙げられる。
セラミド1(1,3,4−オクタドデカトリオール、2−ステアロイルオキシヘプタコサミド:Phytoceramide 1の名称でGist-brocades/Cosmofermから入手可能)、セラミド2(1,3−ヘキサデカンジオール、2−ヘキサデカナミド:Ceramide IIの名称でGist-brocades/Cosmofermから入手可能)、セラミド3(1,3,4−オクタデカントリオール、2−オクタデカナミド:Ceramide IIIの名称でGist-brocades/Cosmofermから入手可能)、セラミド1A(1,3,4−オクタデカントリオール、2−リノレノイルヘプタコサミド:Phytoceramide 1Aの名称でGist-brocades/Cosmofermから入手可能)、セラミド6II(1,3,4−オクタデカントリオール、2−(2−ヒドロキシ)ステアラミド:Ceramide VIの名称でGist-brocades/Cosmofermから入手可能)、ヒドロキシカプロイルフィトスフィンゴシン(1,3,4−オクタデカントリオール、2−(2−ヒドロキシ)ヘキサミド:Ceramid VIA(C6;0)の名称でGist-brocades/Cosmofermから入手可能)、スフィンゴリピッドEX(特開平11−209248号公報)、スフィンゴリピッドE(特公平1−42924号公報)等。
【0029】
セラミド類は、毛髪化粧料中に、好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくは0.05〜3重量%含有できる。
【0030】
シリコーン誘導体とは、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーンなどの成分(C)以外のシリコーン誘導体を挙げることができる。これらのシリコーン誘導体の中でも、重合度500以上のジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、環状シリコーンが毛髪に対してよい感触を付与できるため好ましい。
【0031】
成分(C)以外のシリコーン誘導体は、毛髪化粧料に好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%含有できる。
【0032】
カチオン性ポリマーとは、O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース(カチセロH−60(花王製))、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド(Merquat 100(Calgon社製))、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマーコポリマー(Merquat (Calgon社製))、アクリルアミド/ジメチルジアリルアンモニウムクロリドコポリマー(Merquat 550、Merquat 2200(Calgon社製))、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドンコポリマー(LuviquatFC370、FC550、FC905、HM552(BASF社製))、ポリヒドロキシエチルセチルジアンモニウムフォスフェート(MonoCP(BASF社製))、ヒドロキシエチルセルロース/ジアリルジメチルアンモニウムクロリドコポリマー(Celquat H-100、L-200(National Starch社製))、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーのジエチル硫酸塩(Gafquat 734、755N、755(ISP社製))、アクリレート/ビニルピロリドンコポリマー(Luviflex VBM 35(BASF社製))、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(Copolymer 845、937、958(ISP社製))、ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタムコポリマー(Copolymer VC-713(ISP社製))、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー(Gafquat HS-100(ISP社製))、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(特開平2−180911号公報)等が挙げられる。
【0033】
カチオン性ポリマーは毛髪化粧料中に固形分として好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%含有できる。
【0034】
本発明の毛髪化粧料のpHは特に限定されないが、水で20重量倍に希釈した時の水溶液のpH(25℃)が2〜8が好ましい。特に毛髪用リンス、コンディショナー等に使用する場合はpH(25℃)3〜6が好ましく、毛髪用シャンプーに使用する場合はpH(25℃)5〜8が好ましい。pHは、酸又はアルカリを加えて調整すればよい。
【0035】
本発明の毛髪化粧料には更に、植物油、動物油、ラノリン誘導体、高級脂肪酸エステル類、高級脂肪酸類、グリセリン、保湿剤、多糖類、ポリペプタイド、パール化剤、溶剤、液晶形成基剤、芳香族スルホン酸類、色素、香料、噴射剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、抗フケ剤等を、適宜配合することができる。抗フケ剤としては、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミンなどが挙げられる。
【0036】
本発明の毛髪化粧料は、常法に従って、水溶液、エタノール溶液、エマルション、サスペンション、ゲル、液晶、固形、エアゾールフォーム、スプレー等の所望の剤型にすることができ、毛髪洗浄剤組成物としては、ヘアシャンプー等の製品とすることができ、毛髪洗浄剤組成物以外の毛髪化粧料としては、へアリンス、へアコンディショナー、へアトリートメント、へアパック、へアクリーム、ヘアカラー、コンディショニングムース、へアムース、へアスプレー、リーブオントリートメント、ワックス、トニック、染毛剤等の製品とすることができる。本発明の毛髪化粧料は、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック等洗髪後に用いるコンディショニング剤として特に有用である。
【実施例】
【0037】
本発明を実施例により更に詳しく記載する。
製造例1:オルガノポリシロキサンA−1の製造
硫酸ジエチル30.6g(0.199モル)と2−エチル−2−オキサゾリン945g(9.53モル)を脱水した酢酸エチル1,950gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖1級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(分子量110,000、アミン当量4,840)800g(アミノ基にして0.165gモル)の50%酢酸エチル溶液を一括して加え、12時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(1,720g、収率97%)として得た。シリコーンセグメントの含有率46%、重量平均分子量は122,000であった。(一般式(3):m=約22.7、n=約1460、x=3、y約=5.5、R2=エチル;ポリエチルオキサゾリン残基分子量=約12000、グラフト点間分子量=約110000)
【0038】
製造例2:オルガノポリシロキサンA−2の製造
硫酸ジエチル3.56g(0.0230モル)と2−エチル−2−オキサゾリン27.5g(0.277モル)を脱水した酢酸エチル60gに溶解し、窒素雰囲気下4時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖1級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(分子量110,000、アミン当量20,800)400g(アミノ基にして0.0192gモル)の50%酢酸エチル溶液を一括して加え、8時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(428g、収率99%)として得た。シリコーンセグメントの含有率94%、重量平均分子量は115,000であった。(一般式(3):m=約5.3、n=約1460、x=3、y約=9.8、R2=エチル;ポリエチルオキサゾリン残基分子量=約5000、グラフト点間分子量=約110000)
【0039】
製造例3:オルガノポリシロキサンA−3の製造
硫酸ジエチル3.75g(0.0243モル)と2−エチル−2−オキサゾリン49.8g(0.585モル)を脱水したクロロホルム107gに溶解し、窒素雰囲気下5時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N−アセチルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖1級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(分子量110,000、アミン当量9,840)400g(アミノ基にして0.0407モル)の50%酢酸エチル溶液を一括して加え、13時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N−アセチルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(444g、収率98%)として得た。シリコーンセグメントの含有率は88%、重量平均分子量は137,000であった。(一般式(3):m=約11.2、n=約1460、x=3、y=約25.1、R2=エチル;ポリエチルオキサゾリン残基分子量=約27000、グラフト点間分子量=約110000)
【0040】
実施例1〜9及び比較例1〜8
製造例1〜3で製造したオルガノポリシロキサンA−1〜A−3及び表1に示すエーテル型陽イオン性界面活性剤1〜4を用い、表2に示す組成のヘアコンディショナーを常法により製造した。これらのヘアコンディショナーについて、下記の方法により毛先から根元までの感触を官能評価した。なお、表2中の数値は「重量%」である。
【0041】
【表1】

【0042】
評価方法
過去にパーマやヘアカラーといった化学処理を行っていない毛髪を二分し、一方は健常毛として、また、他方はモデルブリーチ1剤、2剤で3回処理し、損傷毛とした。
男女専門パネラー10名により、各々の毛髪束を陰イオン性界面活性剤を主体とする市販ヘアシャンプーを用いて洗浄後、実施例又は比較例記載のヘアコンディショナーにて処理を行なった。このときの、ドライヤーで十分に乾燥した後の毛髪の感触について、表記載の項目を下記の基準に従って評価した。
4:非常に良好,3:良好,2:どちらともいえない,1:悪い
10名の評価の平均点を求め、3.6以上を◎、2.6〜3.5を○、1.6〜2.5を△、1.5以下を×とした。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】

【0044】
表2の結果から、実施例のヘアコンディショナーはいずれも健常毛及び損傷毛に根元から毛先の均一感と毛の中間部から毛先の良好な感触を付与したが、比較例のヘアコンディショナーは損傷毛に根元から毛先の均一感と毛の中間部から毛先の良好な感触のいずれをも付与しなかったことがわかる。
【0045】
実施例10:ヘアコンディショナー
(重量%)
エーテル型陽イオン性界面活性剤1 2
ステアリルアルコール 6
オルガノポリシロキサンA−2 0.5
イソステアリルグリセリルペンタエリスリチルエーテル 0.5
パルミチン酸イソプロピル 2
ミリスチン酸オクチルドデシル 1
プロピレングリコール 3
高重合ポリメチルシロキサン 1
アミノ変性シリコーン 0.5
クエン酸水溶液 適量(pH=4)
精製水 バランス
合計 100
【0046】
実施例11:ヘアトリートメント
(重量%)
エーテル型陽イオン性界面活性剤3 1.5
ステアリルアルコール 3.5
セタノール 3.5
オルガノポリシロキサンA−3 1
ジステアリルジモニウムクロリド1) 0.5
ジアルキル(C12−18)ジモニウムクロリド2) 0.5
イソステアリルグリセリルペンタエリスリチルエーテル 0.5
パルミチン酸イソプロピル 2
ミリスチン酸オクチルドデシル 1
ワセリン 1
プロピレングリコール 3
高重合ポリメチルシロキサン 2
アミノ変性シリコーン 0.5
クエン酸水溶液 適量(pH=4)
精製水 バランス
合計 100
1):塩化ジアルキル(C16/18)ジメチルアンモニウム
2):塩化ジアルキル(C12−18)ジメチルアンモニウム
実施例10、11はいずれも健常毛及び損傷毛に根元から毛先の均一感と毛の中間部から毛先の良好な感触を付与することが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)一般式(1)
【化1】

〔式中、R1 は、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R2 及びR4 は、炭素数1〜6のアルキル基又は−(AO)n H(Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、平均付加モル数nは1〜6の数を示し、n個のAOは同一でも異なってもよく、その配列は任意である。)を示し、R3 は、炭素数1〜6のアルキル基、ベンジル基又は−(A’O)m H(A’は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、平均付加モル数mは1〜6の数を示し、m個のA’Oは同一でも異なってもよく、その配列は任意である。)を示し、X- は、陰イオンを示す。〕で表されるエーテル型陽イオン性界面活性剤
(B)脂肪族アルコール
(C)窒素原子を下記一般式(2)
【化2】

(式中、aは1〜5の数を示し、R11は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示す。)で表わされるポリ−(N−アシルアルキルイミン)単位と共に含有するアルキレン基に結合した1個以上のケイ素原子を有し、シリコーンセグメントの重量含有率が40%以上であるオルガノポリシロキサン
を含有する毛髪化粧料組成物。
【請求項2】
成分(C)が、次の一般式(3);
【化3】

(式中、m及びnは各々20〜10000の数、xは1〜5の数、yは5〜30の数を示し、R13 は炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基を示し、Y- は陰イオンを示す。)で表わされるものである請求項1記載の毛髪化粧料組成物。

【公開番号】特開2006−232736(P2006−232736A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50133(P2005−50133)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】