説明

毛髪洗浄料

【課題】洗髪時におけるすばやい泡立ちの早さと泡質に優れ、すすぎ時における髪の感触で、指通り、きしみのなさ、滑らかさに優れ、泡切れが早く、すすいだ後も、髪の滑らかさに優れるにもかかわらず、髪のべたつきが認められない、毛髪洗浄料を提供すること。
【解決手段】下記(A)〜(C)に従う、毛髪洗浄料を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した:(A)N-アシル-N-メチルタウリン型アニオン界面活性剤を、洗浄料の0.1〜30質量%含有する、(B)シリコーンエマルジョンを、シリコーンの実質量として、洗浄料の0.01〜5質量%含有する、(C)カチオン化グアガム(C1)及びカチオン化ローカストビーンガム(C2)を含有し、C1の含有量は洗浄料の0.005質量%以上であり、かつ、C1及びC2の総量は洗浄料の0.01〜2質量%であり、当該両成分の洗浄料における含有比は、質量比でC2/C1=0.05〜10、の範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー等として用いられる毛髪洗浄料に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
シャンプー等として用いられる毛髪洗浄料は、現在までに数多くの技術が、多様な側面から提供されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、すすぎ時の指通りを向上させるために、シャンプー基剤に、カチオン性ポリマーとして、第4級窒素を導入したセルロース誘導体を配合する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、洗髪乾燥後のうるおい効果を向上させるために、シャンプー基剤に、カチオン性ポリマーとして、第4級窒素を導入する技術が開示されている。
【0005】
特許文献3には、泡立ちを向上させるために、シャンプー基剤に、カチオン性ポリマーとして、低粘度の第4級窒素を導入したカチオン変性デンプンを配合する技術が開示されている。
【0006】
特許文献4には、泡立ちと泡切れを向上させるために、シャンプー基剤中に、カチオン化グアガムと平均粒径2μm未満のジメチルポリシロキサンを配合する技術が開示されている。
【0007】
特許文献5には、すすぎ時のきしみ感を緩和し、洗髪乾燥後の髪の滑らかさを向上させるために、特定のアニオン性界面活性剤に、第4級窒素を導入したカチオン化グアガムと臭化ステアリルトリメチルアンモニウムを配合した毛髪洗浄料が開示されている。
【0008】
特許文献6には、洗髪時の泡立ちと泡切れを向上させるために、シャンプー基剤中に、第4級窒素を導入した、カチオン化フェヌグリークガムと平均粒径2μm以上の分散粒子として存在するジメチルポリシロキサンを配合する技術が開示されている。
【0009】
特許文献7には、すすぎ中の髪の滑らかさや髪の指通りを向上させるために、N−アシル−N−メチルタウリン型アニオン界面活性剤と、カチオン変性ローカストビーンガム及び/又はカチオン変性フェヌグリークガムと、シリコーンエマルジョンを配合する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公昭47−20635号公報
【特許文献2】特開昭54−86629号公報
【特許文献3】特開平7−17825号公報
【特許文献4】特開平4−36226号公報
【特許文献5】特開平11−302136号公報
【特許文献6】特開2007−308447号公報
【特許文献7】特開2000−103724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の試みにおいても問題点が認められている。
【0012】
すなわち、特許文献1の技術においては、泡立ちが阻害されやすく、乾燥時にきしみ感や硬い感触を与える傾向が認められている。
【0013】
特許文献2の技術においては、洗髪乾燥後においてべたつきを生じ、毛髪全体の感覚が重くなる傾向が認められている。
【0014】
特許文献3の技術においては、シャンプーのすすぎ時の滑らかさに乏しい傾向が認められている。
【0015】
特許文献4の技術においては、すすいでいる時や、すすいだ後の、髪の滑らかさやきしみのなさ等に象徴されるコンディショニング効果が十分とはいえない傾向が認められている。
【0016】
特許文献5の技術においては、洗髪中の泡立ちや、泡切れが充分ではなく、さらに保存安定性に関する懸念が認められる。
【0017】
特許文献6の技術においては、洗髪すすぎ時や乾燥後における、髪の滑らかさや、きしみのなさ等に象徴されるコンディショニング効果が不十分である傾向が認められている。
【0018】
特許文献7の技術においては、泡立ちのよさや泡切れの早さ、そして、すすいでいる時の髪のきしみのなさや、すすいだ後の髪のべとつきのなさ等に象徴されるコンディショニング効果が不十分である傾向が認められている。
【0019】
本発明が解決するべき課題は、下記(1)〜(3)の特徴を有する毛髪洗浄料を提供することにある。
(1)洗髪時におけるすばやい泡立ちの早さと泡質に優れる。
(2)すすぎ時における髪の感触で、指通り、きしみのなさ、滑らかさに優れ、泡切れが早い。
(3)すすいだ後も、髪の滑らかさに優れるにもかかわらず、髪のべたつきが認められない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者は、毛髪洗浄料についての技術的な検討を重ねた結果、下記(A)〜(C)に従う、毛髪洗浄料(以下、本発明の毛髪洗浄料ともいう)を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。
(A)N−アシル−N−メチルタウリン型アニオン界面活性剤を、洗浄料の0.1〜30質量%含有する。
(B)シリコーンエマルジョンを、シリコーンの実質量として、洗浄料の0.01〜5質量%含有する。
(C)カチオン化グアガム(C1)及びカチオン化ローカストビーンガム(C2)を含有し、C1の含有量は洗浄料の0.005質量%以上であり、かつ、C1及びC2の総量は洗浄料の0.01〜2質量%であり、当該両成分の洗浄料における含有比は、質量比でC2/C1=0.05〜10、の範囲である。
【0021】
上記の(A)におけるN−アシル−N−メチルタウリン型アニオン界面活性剤は、具体的には、下記一般式(1)にて表されるN−アシル−N−メチルタウリン型アニオン界面活性剤である(以下、AMT型活性剤ということもある)。
【0022】
【化1】

【0023】
[式中、RCOは脂肪族アシル基であり、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、有機アンモニウム、塩基性アミノ酸、タウリン塩又はN−メチルタウリン塩である。]
【0024】
上記の(B)におけるシリコーンエマルジョンは、水不溶性のシリコーン油の液滴粒子が分散液滴として水中に存在するエマルジョンである。
【0025】
上記の(C)におけるカチオン化グアガムは、グア種子の胚乳部分より得られた天然多糖質のグアガムに、カチオン性基を付加させて得られるカチオン性ポリマーである。また、カチオン化ローカストビーンガムは、ローカスト種子の胚乳部分より得られた天然多糖質のローカストビーンガムに、カチオン性基を付加させて得られるカチオン性ポリマーである。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、下記(1)〜(3)の特徴を有する毛髪洗浄料が提供される。
(1)洗髪時におけるすばやい泡立ちの早さと泡質に優れる。
(2)すすぎ時における髪の感触で、指通り、きしみのなさ、滑らかさに優れ、泡切れが早い。
(3)すすいだ後も、髪の滑らかさに優れるにもかかわらず、髪のべたつきが認められない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[本発明の必須事項]
本発明の毛髪洗浄料は、上述のように、(A)〜(C)に従うことを特徴とする。以下、これらの本発明の必須の要素について、発明の実施態様を考慮しながら説明する。
【0028】
(A)N−アシル−N−メチルタウリン型アニオン界面活性剤(AMT型活性剤)
上記式(1)にて示されるAMT型界面活性剤の脂肪族アシル基RCOは、炭素原子数が8〜28が好適であり、さらに好適には12〜18である。RCOの炭素原子数が7以下であると、皮膚に対する刺激が強くなり、起泡性も低下してくる傾向があり、炭素原子数が29以上では、起泡性が低下する傾向がある。脂肪族アシル基RCOを構成する脂肪族炭化水素は、飽和でも不飽和でも、また直鎖状でも分岐状でも構わない。脂肪族アシル基RCOの具体例としては、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、ヤシ油脂肪酸残基、パーム核油脂肪酸残基、牛脂脂肪酸残基等が挙げられる。
【0029】
また、上記のごとく列挙されたMのうち、特に、タウリン塩又はメチルタウリン塩が好ましい。また、当該のタウリン塩又はN−メチルタウリン塩の塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウム等が挙げられる。アルカリ金属の例としては、ナトリウム、カリウム等、アルカリ土類金属の例としては1/2カルシウム、1/2マグネシウム等、有機アンモニウムの例としてはトリエタノールアンモニウム等、塩基性アミノ酸の例としてはリジン、アルギニン等が、それぞれ挙げられる。
【0030】
さらに、AMT型活性剤の具体例としては、N−ラウロイル−N−メチルタウリンナトリウム、N−ラウロイル−N−メチルタウリントリエタノールアミン、N−ラウロイル−N−メチルタウリンタウリンナトリウム、N−ラウロイル−N−メチルタウリン−N’−メチルタウリンナトリウム、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、N−ミリストイル−N−メチルタウリンカリウム、N−ミリストイル−N−メチルタウリン−N’−メチルタウリンナトリウム、N−パルミトイル−N−メチルタウリンナトリウム、N−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム、N−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸−N−メチルタウリンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸−N−メチルタウリンカリウム、N−ヤシ油脂肪酸−N−メチルタウリンマグネシウム、N−ヤシ油脂肪酸−N−メチルタウリントリエタノールアンモニウム、N−ヤシ油脂肪酸−N−メチルタウリンタウリンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸−N−メチルタウリン−N’−メチルタウリンナトリウム、N−パーム核油脂肪酸−N−メチルタウリンナトリウム、N−パーム核油脂肪酸−N−メチルタウリンリジン、N−パーム核油脂肪酸−N−メチルタウリンマグネシウム、N−パーム核油脂肪酸−N−メチルタウリンタウリンナトリウム、N−パーム核油脂肪酸−N−メチルタウリン−N’−メチルタウリンナトリウム、N−牛脂脂肪酸−N−メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。なお、アシル基が油脂由来の脂肪酸のアシル体の場合で、油脂脂肪酸の名称によってアシル体を表す場合、単に油脂脂肪酸の表示でアシル体を示した。例えば、N−ヤシ油脂肪酸−N−メチルタウリン塩の「N−ヤシ油脂肪酸」は、Nにヤシ油脂肪酸由来のアシル基がついたものを表す。すなわち、「N−ココイル」を意味する。本発明における以降についても同様である。
【0031】
本発明の毛髪洗浄料におけるAMT型活性剤の配合量は、洗浄料の0.1〜30質量%の範囲であり、好適には1〜20質量%である。当該配合量が洗浄料の0.1質量%未満では、すすぎ時における髪の指通り、きしみのなさ、優れた滑らかさ、すすいだ後の髪の滑らかさ、及び、髪のべたつきの抑制効果を十分に発揮することが困難となり、30質量%を超えて配合しても、配合量の増加に見合った効果の向上は認められ難くなる。
【0032】
(B)シリコーンエマルジョン
上述したシリコーンエマルジョンを本発明の毛髪洗浄料に配合することにより、泡切れの早さを一段と優れたものとすることができる。当該シリコーンエマルジョン中のシリコーン油は特に限定されず、具体的には、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等が挙げられる。不揮発性のシリコーン油を選択することが好ましく、メチルポリシロキサン、ジヒドロキシポリジメチルシロキサンが特に好ましい。シリコーンエマルジョンは、1種又は2種以上を任意に選択して配合することができる。
【0033】
本発明の毛髪洗浄料において配合し得るシリコーンエマルジョンは、シリコーンエマルジョンとして市販されているので市販品を用いることができ、効率的である。市販品の例としては、例えば、ジメチルシリコーンエマルジョンBY22−007(ジメチルポリシロキサン50質量%含有)、同BY22−009(超微粒子化メチルポリシロキサン20質量%含有)、同BY22−029(高重合メチルポリシロキサン50質量%含有)、同BY22−019(高重合メチルポリシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサン50質量%含有)、同BY22−034(高重合メチルポリシロキサン及びメチルポリシロキサン50質量%含有)、同BY22−020(高重合メチルポリシロキサン及び軽質流動イソパラフィン50質量%含有)(以上、東レ・ダウコーニング株式会社製)、ジメチコノールエマルジョンXS65−C1717(高重合ジヒドロキシポリジメチルシロキサン50質量%含有)、アモジメチコンエマルジョンXS65−C0032(アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体40質量%含有)(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク製)等が挙げられる。
【0034】
本発明の毛髪洗浄料におけるシリコーンエマルジョンの配合量は、シリコーン実質量として、洗浄料の0.01〜5質量%の範囲であり、好適には0.25〜2.5質量%である。当該配合量が洗浄料の0.01質量%未満では、すすぎ時における泡切れを早くすることが困難となり、さらには、すすぎ時における髪の指通り、きしみのなさ、優れた滑らかさ、すすいだ後の髪の滑らかさ、及び、髪のべたつきの抑制効果を十分に発揮することが困難となる。そして、当該配合量が5質量%を超えても配合量の増加に見合った効果の向上は認められ難くなる。
【0035】
(C)カチオン化グアガムとカチオン化ローカストビーンガム
上述のカチオン化グアガムは、グアガムに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加させて得られる、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアガムを好適な例としてあげることができる。本発明におけるカチオン化グアガムのカチオン化反応によって、導入される窒素の含有率はとくに限定されないが、カチオン化グアガム0.2〜3.0質量%であることが好ましい。当該窒素含有率が0.2質量%未満であると製品の毛髪への吸着性が弱くなり、コンディショニング効果が不十分となる傾向がある。また、当該窒素含有率が3.0質量%を超えても、カチオン化グアガムを配合することによる効果の向上は認められなくなる。本発明にて用い得るカチオン化グアガム(市販品)としては、ジャガーC−13−S、ジャガーC−14−S、ジャガーC−17、ジャガーC−162(以上、ローヌ・プーラン社製)や、カチナールCG−100(東邦化学工業社製)等があげられる。
【0036】
上述のカチオン化ローカストビーンガムは、ローカストビーンガムに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加させて得られる、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ローカストビーンガムを好適な例としてあげることができる。本発明におけるカチオン化ローカストビーンガムのカチオン化反応によって、導入される窒素の含有率はとくに限定されないが、カチオン化ローカストビーンガムに対して0.2〜3.0質量%であることが好ましい。当該窒素含有率が0.2%未満であると、製品の毛髪への吸着性が弱くなり、コンディショニング効果が不十分となる傾向がある。また、当該窒素含有率が3.0質量%を超えても、カチオン化ローカストビーンガムを配合することによる効果の向上は認められなくなる。本発明にて用い得るカチオン化ローカストビーンガム(市販品)としては、カチナールCLB−100(東邦化学工業社製)等が挙げられる。
【0037】
カチオン化グアガムとカチオン化ローカストビーンガムを、上述のように、カチオン化グアガム(C1)の配合量は洗浄料の0.005質量%以上であり、かつ、C1及びカチオン化ローカストビーンガム(C2)の総量は洗浄料の0.01〜2質量%、好適には0.1〜1質量%であり、当該両成分の洗浄料における含有比は、質量比でC2/C1=0.05〜10、好適には同0.1〜5の範囲、とすることにより、洗髪時における泡立ちと泡質を向上させ、さらに、すすぎ時における髪の指通り、きしみのなさ、優れた滑らかさ、すすいだ後の髪の滑らかさ、及び、髪のべたつきの抑制効果を発揮することができる。
【0038】
[本発明の毛髪洗浄料]
<配合成分>
(1)水
水は、イオン交換水、精製水、水道水、自然水等を用いることが可能であり、本発明の毛髪洗浄料の剤形と形態に応じて自由に配合することができる。具体的には、上記の必須成分の配合量(質量%)と、毛髪洗浄料の剤形と形態を考慮した他の成分の配合量(質量%)の残分として配合することが典型的である。
【0039】
(2)その他の成分
その他、本発明の毛髪洗浄料には、必要に応じて、上記以外の成分を、本発明の効果を実質上損なわない質的、量的な範囲内で配合することができる。例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルグルタミン酸塩等の、AMT型活性剤以外のアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤;脂肪酸アルカノールアミン等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0040】
さらに、炭化水素油、エステル油、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油等の油分;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の保湿剤;カチオン化セルロース等のカチオン化グアガムとカチオン化ローカストビーンガム以外のカチオン性高分子;トリクロロカルバニリド、イオウ、ジンクピリチオン、イソプロピルメチルフェノール等の抗フケ用薬剤;増粘剤;粘度調整剤;乳濁剤;金属イオン封鎖剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;防腐剤;粉末成分;血行促進剤、局所刺激剤、毛包賦活剤、抗男性ホルモン剤、抗脂漏剤、角質溶解剤、殺菌剤、消炎剤、アミノ酸、ビタミン類、生薬エキス類等の育毛薬剤;pH調整剤;色素;香料;低級アルコール等が挙げられる。
【0041】
<本発明の毛髪洗浄料>
本発明の毛髪洗浄料は、選択する剤形と形態に応じた方法に従って製造することが可能であり、典型的には、上記の必須配合成分と必要な選択的成分を、水等の溶剤に溶解させることにより製造され、その製品形態としては、ヘアシャンプー、リンスインシャンプー等が挙げられる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0043】
[実施例1〜16、比較例1〜13]
表1〜4に示す各成分(合計100質量%)を撹拌混合してヘアシャンプー(毛髪洗浄料)を製造した。次いで、実施例1〜16(表1・2)と比較例1〜13(表3・4)のヘアシャンプーについて、使用テストにより効果試験を行った。以下に用いた試験方法と評価結果を、同表1〜4に示した。なお、各表の配合成分のうち、シリコーンエマルジョンの配合量は、エマルジョンとしての配合量として表示した。
【0044】
(1)効果の評価試験
20名の専門パネルによる実使用試験を行った。評価項目は、泡立ちのよさ、泡切れ
の早さ、すすいでいる時の髪の指通り、すすいでいる時の髪のきしみなさ、すすいでいる時の髪の滑らかさ、すすいだ後の髪のきしみのなさ、すすいだ後の髪の滑らかさ、すすいだ後の髪のべたつきのなさであり、それぞれの評価項目について、下記の評価基準に基づいて評価した。
【0045】
(評価点基準)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
【0046】
(評価基準)
◎:合計点が80点以上である。
○:合計点が60点以上80点未満である。
△:合計点が40点以上60点未満である。
×:合計点が40点未満である。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
表1〜2の実施例1〜16の試験結果から、本発明において規定された配合成分と配合量の範囲のヘアシャンプーは、配合量が限界値近傍において一部「△評価」が認められた程度で、総合的には、全ての項目において良好であった。
【0052】
これに対して、表3〜4の比較例1〜13において、AMT型活性剤の配合量を規定量よりも少なくした例(比較例1)では、泡立ちのよさ、髪の滑らかさにおいて「×評価」であり、同配合量をと過剰にした例(比較例2)では、髪のべたつきのなさにおいて「×評価」であった。また、シリコーン化エマルジョンの配合量を規定量よりも少なくした例(比較例3)では、泡切れの早さとすすいだ後の髪の滑らかさにおいて「×評価」が認められ、同配合量を過剰にした例(比較例4)では、すすいだ後の髪のきしみのなさとべたつきのなさにおいて「×評価」が認められた。また、カチオン化グアガムの配合量を規定量よりも少なくした例(比較例5)では、髪の滑らかさにおいて「×評価」であり、カチオン化グアガムとカチオン化ローカストビーンガムの総質量を規定量よりも少なくした例(比較例6)では、すすいでいる時及びすすいだ後の髪のきしみのなさと、滑らかさにおいて「×評価」が認められ、同総質量が規定量よりも過剰とした例(比較例7)では、すすいだ後の髪のべたつきのなさにおいて「×評価」が認められた。
【0053】
さらに、カチオン化グアガムとカチオン化ローカストビーンガムの配合比を規定よりもカチオン化ローカストビーンガムの相対量を少なくした例(比較例8)では、すすいでいる時とすすいだ後の髪の滑らかさにおいて「×評価」が認められ、同相対量を過剰にした例(比較例9)では、すすいだ後の髪のべたつきのなさにおいて「×評価」が認められた。
【0054】
また、AMT型活性剤に代えてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を配合した例(比較例10)では、すすいでいる時の髪の滑らかさにおいて「×評価」が認められた。
【0055】
また、カチオン化グアガムとカチオン化ローカストビーンガムに代えて、コンディショニング成分として知られているカチオン化セルロースを配合した例(比較例11)では、すすいでいる時とすすいだ後の髪の滑らかさにおいて「×評価」が認められた。同じくカチオン化ポテトスターチを配合した例(比較例12)では、すすいでいる時とすすいだ後の髪の滑らかさ、すすいだ後の髪のきしみのなさにおいて「×評価」が認められた。同じく塩化ジメチルジアリル・アクリルアミド共重合体を配合した例(比較例13)では、すすいでいる時とすすいだ後の髪の滑らかさにおいて「×評価」が認められた。
【0056】
以下、本発明の毛髪化粧料の種々の処方例を表1〜4の毛髪洗浄料と同様に製造し、実施例として開示する。また、シリコーンエマルジョンの配合量はエマルジョンとしての配合量として表示した。これらいずれの処方例においても、上記の使用性に関する実使用試験において優れた結果が認められた。
【0057】
[実施例17〕 ヘアシャンプー
配合成分 配合量(質量%)
N−ココイル−N−メチルタウリンタウリンナトリウム 11.0
カチオン化ローカストビーンガム(注1) 0.2
カチオン化グアガム(注2) 0.4
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド 2.0
ジプロピレングリコール 3.0
イミダゾリニウムベタイン 4.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.6
オレイン酸モノグリセリド 1.5
シリコーンエマルジョン(注3) 1.8
安息香酸Na 0.25
アルギニン 0.1
香料 適量
EDTA−2Na・2H2O 0.05
水道水 残量
(注1)カチナールCLB−100(東邦化学製)
(注2)カチナールCG−100(東邦化学製)
(注3)ジメチルシリコーンエマルジョンBY22−007(ジメチルポリシロキサン
50質量%含有)(東レ・ダウコーニング社製)
〔実施例18〕 ヘアシャンプー
配合成分 配合量(質量%)
N−ラウロイル−N−メチルタウリンタウリンナトリウム 10.0
POE(2モル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 5.0
カチオン化ローカストビーンガム(注1) 0.3
カチオン化グアガム(注2) 0.1
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド 2.0
グリセリン 6.0
ヤシ脂肪酸アミドプロピルベタイン 3.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.2
オレイン酸モノグリセリド 1.5
シリコーンエマルジョン(注3) 1.0
安息香酸Na 0.25
ヒドロキシエチルウレア 0.1
香料 適量
イオン交換水 残量
(注1)カチナールCLB−100(東邦化学製)
(注2)カチナールCG−100(東邦化学製)
(注3)ジメチルシリコーンエマルジョンBY22−007(ジメチルポリシロキサン
50質量%含有)(東レ・ダウコーニング社製)
〔実施例19〕 ヘアシャンプー
配合成分 配合量(質量%)
N−ココイル−N−メチルタウリン−N’−メチルタウリンナトリウム 8.0
N―ココイル−N−メチルタウリンナトリウム 4.0
カチオン化ローカストビーンガム(注1) 0.2
カチオン化グアガム(注2) 0.3
カチオン化セルロース(注3) 0.5
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド 2.0
ジプロピレングリコール 3.0
イミダゾリニウムベタイン 4.0
ヤシ脂肪酸アミドプロピルベタイン 2.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.7
シリコーンエマルジョン(注4) 1.0
シリコーンエマルジョン(注5) 2.0
安息香酸Na 0.25
フェノキシエタノール 0.1
クエン酸 0.2
エデト酸二ナトリウム 0.1
香料 適量
イオン交換水 残余
(注1)カチナールCLB−100(東邦化学製)
(注2)ジャガー−C−13S(ローヌ・プラン社製)
(注3)ポリマーJR−400(ユニオンカーバイト社製)
(注4)ジメチルシリコーンエマルジョンBY22−007(ジメチルポリシロキサン
50質量%含有)(東レ・ダウコーニング社製)
(注5)ジメチコノールエマルジョンXS65−C1717(高重合ジヒドロキシポリ
ジメチルシロキサン50質量%含有)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリ
アル・インク製)
〔実施例20〕 ヘアシャンプー
配合成分 配合量(質量%)
N−ココイル−N−メチルタウリンナトリウム 3.0
POE(2モル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10.0
カチオン化ローカストビーンガム(注1) 0.1
カチオン化グアガム(注2) 0.5
塩化ジメチルジアリル・アクリルアミド共重合体(注3) 0.2
ソルビット液 6.0
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド 2.6
ラウリン酸プロピレングリコール 2.0
ラウリルベタイン 6.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.8
シリコーンエマルジョン(注4) 1.5
安息香酸Na 0.4
フェノキシエタノール 0.2
クエン酸 0.2
エデト酸二ナトリウム 0.1
香料 適量
イオン交換水 残量
(注1)カチナールCLB−100(東邦化学製)
(注2)カチナールCG−100(東邦化学製)
(注3)マーコート2200(ナルコ社製)
(注4)ジメチルシリコーンエマルジョンBY22−007(ジメチルポリシロキサン
50質量%含有)(東レ・ダウコーニング社製)
〔実施例21〕 ヘアシャンプー
配合成分 配合量(質量%)
N−ココイル−N−メチルタウリンタウリンナトリウム 20.0
カチオン化ローカストビーンガム(注1) 0.1
カチオン化グアガム(注2) 0.5
塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリルアミドの共重合体(注3) 0.2
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド 2.0
ジプロピレングリコール 2.3
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 4.0
ジステアリン酸エチレングリコール 1.5
シリコーンエマルジョン(注4) 2.0
フェノキシエタノール 0.1
クエン酸 0.2
エデト酸二ナトリウム 0.1
安息香酸Na 0.25
香料 適量
イオン交換水 残量
(注1)カチナールCLB−100(東邦化学製)
(注2)ジャガー−C−13S(ローヌ・プラン社製)
(注3)ポリクオタニウム−7[マーコート550(ナルコ社製)]
(注4)ジメチルシリコーンエマルジョンBY22−007(ジメチルポリシロキサン
50質量%含有)(東レ・ダウコーニング社製)
〔実施例22〕 ヘアシャンプー
配合成分 配合量(質量%)
N−ココイル−N−メチルタウリンタウリンナトリウム 8.0
POE(2モル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10.0
カチオン化ローカストビーンガム(注1) 0.7
カチオン化グアガム(注2) 0.8
ソルビット液 6.0
ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルNa 1.0
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド 0.6
ラウリン酸プロピレングリコール 2.1
ラウリルベタイン 9.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.7
シリコーンエマルジョン(注3) 2.5
オレイン酸モノグリセリド 1.0
フェノキシエタノール 0.1
クエン酸 0.2
エデト酸二ナトリウム 0.1
安息香酸Na 0.3
ポリオキシプロピレングリセリルエーテル(PPG−70グリセリル) 0.1
香料 適量
水道水 残量
(注1)カチナールCLB−100(東邦化学製)
(注2)カチナールCG−100(東邦化学製)
(注3)ジメチコノールエマルジョンXS65−C1717(高重合ジヒドロキシポリ
ジメチルシロキサン50質量%含有)(モメンティブ・パフォーマンス・マテ
リ・アル・インク製)
〔実施例23〕 ヘアシャンプー
配合成分 配合量(質量%)
N−ラウロイル−N−メチルタウリン−N’−メチルタウリンナトリウム 8.0
POE(2モル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 5.0
カチオン化ローカストビーンガム(注1) 0.8
カチオン化グアガム(注2) 0.1
カチオン化フェヌグリークガム(注3) 0.2
ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルNa 1.0
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド 0.6
ラウリン酸プロピレングリコール 2.1
ラウリルベタイン 6.0
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 5.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.7
オレイン酸モノグリセリド 1.0
安息香酸Na 0.3
シリコーンエマルジョン(注4) 1.5
クエン酸 0.2
エデト酸二ナトリウム 0.1
ポリオキシプロピレングリセリルエーテル(PPG−70グリセリル) 0.1
香料 適量
イオン交換水 残量
(注1)カチナールCLB−100(東邦化学製)
(注2)カチナールCG−100(東邦化学製)
(注3)カチナールCF−100(東邦化学製)
(注4)ジメチルシリコーンエマルジョンBY22−007(ジメチルポリシロキサン
50質量%含有)(東レ・ダウコーニング社製)
〔実施例24〕 ヘアシャンプー
配合成分 配合量(質量%)
N−ココイル−N−メチルタウリンタウリンナトリウム 10.6
カチオン化ローカストビーンガム(注1) 0.2
カチオン化グアガム(注2) 1.5
カチオン化セルロース(注3) 0.1
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 5.0
ラウリン酸プロピレングリコール 1.4
ジステアリン酸エチレングリコール 1.5
オレイン酸モノグリセリド 0.1
シリコーンエマルジョン(注4) 2.0
シリコーンエマルジョン(注5) 1.0
安息香酸Na 0.3
クエン酸 0.2
エデト酸二ナトリウム 0.05
フェノキシエタノール 0.1
香料 適量
水道水 残量
(注1)カチナールCLB−100(東邦化学製)
(注2)カチナールCG−100(東邦化学製)
(注3)ポリマーJR−400(ユニオンカーバイト社製)
(注4)ジメチルシリコーンエマルジョンBY22−007(ジメチルポリシロキサン
50質量%)(東レ・ダウコーニング社製)
(注5)アモジメチコンエマルジョンXS65−C0032(アミノプロピルメチルシロキサン・
ジメチルシロキサン共重合体40質量%含有)(モメンティブ・パフォーマン
ス・マテリアルズ・インク製)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(C)に従う、毛髪洗浄料。
(A)N−アシル−N−メチルタウリン型アニオン界面活性剤を、洗浄料の0.1〜30質量%含有する。
(B)シリコーンエマルジョンを、シリコーンの実質量として、洗浄料の0.01〜5質量%含有する。
(C)カチオン化グアガム(C1)及びカチオン化ローカストビーンガム(C2)を含有し、C1の含有量は洗浄料の0.005質量%以上であり、かつ、C1及びC2の総量は洗浄料の0.01〜2質量%であり、当該両成分の洗浄料における含有比は、質量比でC2/C1=0.05〜10、の範囲である。
【請求項2】
N−アシル−N−メチルタウリン型アニオン界面活性剤は、N−アシル−N−メチルタウリンタウリン塩又はN−アシル−N−メチルタウリン−N’−メチルタウリン塩である、請求項1に記載の毛髪洗浄料。

【公開番号】特開2010−159234(P2010−159234A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3701(P2009−3701)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】